JP2021524539A - ペルフルオロアリルエーテルを含有するフッ化ビニリデンフルオロポリマー - Google Patents

ペルフルオロアリルエーテルを含有するフッ化ビニリデンフルオロポリマー Download PDF

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Abstract

フッ化ビニリデンと少なくとも1つのペルフルオロ(アリルエーテル)とのコポリマーが記載される。このようなコポリマーは、硬化部位基を実質的に含まない。コポリマーは、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)を含む追加のコモノマーを含有してもよい。溶媒に溶解又は分散したこのようなコポリマーを含む、コーティングも記載される。表面上に、又は物品に注入されたこのようなフルオロポリマーの層を含む、物品も記載される。

Description

本開示は、フッ化ビニリデンと少なくとも1つのペルフルオロ(アリルエーテル)とのコポリマーに関する。これらのコポリマーは、硬化部位基を本質的に含まない。
簡潔に述べると、一態様では、本開示は、20〜90モル%、例えば、30〜50モル%のフッ化ビニリデンと、10〜45モル%、例えば、15〜30モル%の1つ以上のペルフルオロアリルエーテルと、を含む、フルオロポリマーであって、フルオロポリマーの総重量に基づいて、5ppm(百万分率)以下、例えば、1ppm以下の重量の硬化部位基を含む、フルオロポリマーを提供する。いくつかの実施形態では、フルオロポリマーは、20〜80重量%、例えば、25〜60重量%の1つ以上のペルフルオロアリルエーテルを含む。
いくつかの実施形態では、ペルフルオロアリルエーテルは、式1:
CF=CF−CF−O−(CF−O−(CF−F
[式中、m=1〜6、pは、0又は1、n=0〜6であり、但し、pが1である場合、nは0ではない]によるペルフルオロアリルエーテルからなる群から選択される。例えば、いくつかの実施形態では、少なくとも1つのアリルエーテルは、p及びnが0である、式1:
CF=CF−CF−O−(CF−F
によるペルフルオロアリルエーテルからなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのアリルエーテルは、pが1、nが1〜6である、式1:
CF=CF−CF−O−(CF−O−(CF−F
によるペルフルオロアリルエーテルからなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、フルオロポリマーは、少なくとも1つのペルフルオロアルキルビニルエーテル、例えば、少なくとも1モル%のペルフルオロアルキルビニルエーテルを含む。いくつかの実施形態では、フルオロポリマーは、20モル%以下のペルフルオロアルキルビニルエーテル、好ましくは10モル%以下のペルフルオロアルキルビニルエーテルを含む。いくつかの実施形態では、ペルフルオロアルキルビニルエーテルは、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)、ペルフルオロ(エチルビニルエーテル)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、任意に、ペルフルオロアルキルビニルエーテルは、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)である。
いくつかの実施形態では、フルオロポリマーは、Tg法に従って測定したとき、20℃以下、好ましくは0℃以下のガラス転移温度を有する。いくつかの実施形態では、フルオロポリマーは、ムーニー粘度法に従って測定したとき、121℃で1〜150のムーニー粘度を有する。
いくつかの実施形態では、フルオロポリマーは、ポリマーの重量に基づいて、1ppm未満の、6〜20個の炭素原子を有するペルフルオロアルカン酸を含む。
別の態様では、本開示は、本開示の実施形態のいずれか1つによるフルオロポリマーを含む、物品を提供する。いくつかの実施形態では、物品は、表面と、表面の少なくとも一部分を覆うフルオロポリマーを含む層と、を含む。いくつかの実施形態では、物品は多孔質基材を含み、フルオロポリマーは基材に少なくとも部分的に注入されている。
別の態様では、本開示は、溶媒と、溶媒に溶解又は分散した本開示の実施形態のいずれか1つによるフルオロポリマーと、を含む、コーティングを提供する。いくつかの実施形態では、フルオロポリマーは溶媒に分散しており、溶媒は水を含む。いくつかの実施形態では、このような水系コーティングは、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される界面活性剤を更に含む。いくつかの実施形態では、フルオロポリマーは溶媒に溶解しており、溶媒は少なくとも1つのフッ素化溶媒を含む。
本開示の上記概要は、本発明の各実施形態について記載することを意図するものではない。本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、以下の説明にも記載される。本発明の他の特色、目的、及び利点については、発明を実施するための形態及び特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
撥油性、撥水性、又は防汚性をもたらす材料が、衣類、電化製品、及び建築用途での使用をはじめとする多くの用途において望まれている。フッ素化(メタ)アクリレート系材料が使用されてきたが、フッ素化側鎖は加水分解されることがあり、性能の劣化につながる。ヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)オリゴマーが使用されてきたが、目的の達成には制限がある。
テトラフルオロエチレン(TTE)とペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)とのペルフルオロコポリマーは、所望の性能をもたらし得る。しかし、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)などの短鎖PAVEでは、所望の性能が得られないため、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)などのより長鎖のPAVEを使用する必要がある。このようなより長鎖のPAVEでは、重合中に望ましくない量のペルフルオロカルボン酸(PFCA)が生成することがある。例えば、10ppm超の濃度の、C〜C14 PFCAが生成することがある。PFCAを許容可能な濃度(例えば、200ppb未満)まで除去することは、非常に困難かつ費用がかさみ、常に可能というわけではない。
フッ化ビニリデン(VDF)とペルフルオロ(アリルエーテル)とのコポリマーに基づく架橋エラストマーは公知である。しかし、このような材料は、概して、溶媒に溶解又は分散してコーティングを形成するのではなく、溶媒中で膨潤する。
欧州特許第1,838,742(B1)号(「フルオロエラストマーを作製するためのフルオロポリマー」)は、1つ以上の硬化部位と、フッ素化アリルエーテルに由来する1つ以上の繰り返し単位と、を含む非晶質フルオロポリマーを対象としている。
欧州特許出願公開第2,868,674(A1)号(「非フッ素化ポリヒドロキシ乳化剤を使用した重合によって得ることができる過酸化物硬化性フルオロポリマー」)は、ヨウ素、臭素、又はこれらの組み合わせから選択される1つ以上のハロゲンを含有する1つ以上の連鎖移動剤を使用して、VDFと少なくとも1つのペルフルオロモノマーとに由来する繰り返し単位を含む硬化性フルオロポリマーの作製方法について記載している。
驚くべきことに、本発明者らは、フッ化ビニリデン(VDF)と10モル%超のペルフルオロ(アリルエーテル)(「PAE」)とのコポリマーにより、1つ以上の有意な硬化をもたらすことができることについて発見した。本明細書で使用するとき、VDFとPAEとのコポリマーは、VDFと、1つ以上のPAEと、任意に1つ以上の他のコモノマーと、の共重合から得られたコポリマーを指す。したがって、VDFとPAEとのコポリマーは、VDFに由来する少なくとも繰り返し単位と、少なくとも1つのPAEに由来する繰り返し単位と、を含む。
いくつかの実施形態では、本開示のVDF−PAEコポリマーは、所望の撥性をもたらす一方で、低濃度のC〜C20PFCA(例えば、200ppb未満)を有する。いくつかの実施形態では、コポリマーは、20℃以下、10℃以下、又は更に0℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する。
本開示のフルオロポリマーでは、1つ以上のPAEがVDFと共重合している。いくつかの実施形態では、コポリマーは、VDFと1つ以上のPAEとのコポリマーからなる。いくつかの実施形態では、任意に、コポリマーはまた、他のコモノマーに由来する繰り返し単位を含んでもよい。
概して、ペルフルオロ(アリルエーテル)は、式1:
CF=CF−CF−O−(CF−O−(CF−F (1)
[式中、m=1〜6、pは、0又は1、n=0〜6であり、但し、pが1である場合、nは0ではない]によって表すことができる。
いくつかの実施形態では、p及びnは0であり、結果としてPAEは:
CF=CF−CF−O−(CF−F (2)
によって表される。
本明細書で使用するとき、式2のこのようなペルフルオロ(アルキルアリルエーテル)は、Ma−m[式中、mは、アルキル基中の炭素原子の数である]として表される。例えば、MA−1はペルフルオロ(メチルアリルエーテル)、すなわち、CF=CF−CF−O−CFであり、MA−3はペルフルオロ(プロピルアリルエーテル)、すなわち、CF=CF−CF−O−CF−CF−CFである。いくつかの実施形態では、mは1〜4であり、例えば、mは3である。
いくつかの実施形態では、p=1、nは1〜6であり、結果としてPAEは:
CF=CF−CF−O−(CF−O−(CF−F (3)
によって表される。
本明細書で使用するとき、式3のこのようなペルフルオロ(アルコキシアルキルアリルエーテル)は、Ma−mn[式中、mは、アルキル基中の炭素原子の数であり、nは、アルコキシ置換基中の炭素原子の数である]として表される。例えば、MA−31はペルフルオロ(メトキシプロピルアリルエーテル)、すなわち、CF=CF−CF−O−CF−CF−CF−O−CFである。いくつかの実施形態では、mは1〜4であり、例えば、m=3である。いくつかの実施形態では、n=1〜3であり、例えば、m=1である。
本明細書で使用するとき、用語「ペルフルオロ(アリルエーテル)」及びその略語(PAE)は、式1によって表されるものであり、式2のペルフルオロ(アルキルアリルエーテル)(「PAAE」)、及び式3のペルフルオロ(アルコキシアルキルエーテル)(PAAAE)の両方を含む。
いくつかの実施形態では、本開示のフルオロポリマーは、少なくとも10モル%の1つ以上のPAEを含有しており、モル%は、全コモノマーの総モルと比較するものであり、フルオロポリマー中の全てのPAEの総モルに基づくものである。いくつかの実施形態では、フルオロポリマーは、少なくとも15モル%、少なくとも25モル%、又は更に少なくとも35%のPAEを含む。いくつかの実施形態では、フルオロポリマーは、45モル%以下、例えば、40モル%以下のPAEを含む。いくつかの実施形態では、フルオロポリマーは、10〜45モル%、例えば、15〜30モル%の1つ以上のPAEを含む。
いくつかの実施形態では、本開示のフルオロポリマーは、少なくとも20重量%の1つ以上のPAEを含有しており、重量%は、全コモノマーの総重量と比較するものであり、フルオロポリマー中の全てのPAEの総重量に基づくものである。いくつかの実施形態では、フルオロポリマーは、少なくとも25重量%、少なくとも40重量%、又は更には少なくとも50重量のPAEを含む。いくつかの実施形態では、フルオロポリマーは、80重量%以下、例えば70重量%以下、又は更には60重量%以下のPAEを含む。
本開示のフルオロポリマーでは、1つ以上のPAEがフッ化ビニリデンと共重合している。概して、本開示のフルオロポリマーは、フルオロポリマー中の全てのモノマーの総モル数に基づいて、少なくとも20モル%のVDFを含有する。いくつかの実施形態では、フルオロポリマーは、少なくとも25モル%、例えば少なくとも30モル%のVDFを含有する。いくつかの実施形態では、フルオロポリマーは、90モル%以下、80モル%以下、70モル%以下、又は更には60モル%以下のVDFを含有する。いくつかの実施形態では、フルオロポリマーは、コモノマーの総モルに基づいて、20〜90モル%、例えば、30〜50モル%のフッ化ビニリデンを含む。
いくつかの実施形態では、フルオロポリマーのガラス転移温度は、20℃以下、例えば10℃以下、又は更には0℃以下である。いくつかの実施形態では、このようなフルオロポリマーはまた、低いムーニー粘度を有する。例えば、いくつかの実施形態では、フルオロポリマーは、121℃で150以下、例えば100以下、又は更には50以下のムーニー粘度を有する。いくつかの実施形態では、ムーニー粘度は、121℃で1〜150、例えば、1〜100、又は更には1〜50である。
いくつかの実施形態では、フルオロポリマーは、半結晶質であってもよい。概して、融点(Tm)は、150℃以下、例えば100℃以下、又は更には50℃以下である。
本開示のフルオロポリマーは、任意に、更なるコモノマーに由来する単位を含有してもよい。このようなコモノマーは、フッ素化でも非フッ素化でもよいが、好ましくは、フッ素化、塩素化、又は塩素化及びフッ素化である。
概して、任意によるコモノマーは、αオレフィン官能基、すなわち、CX=CX基[式中、X、X、及びXは、互いに独立して、F、Cl、又はHであり、但し、少なくとも1つは、H又はFである]を含有する。いくつかの実施形態では、X、X、及びXの各々が、Fである。
これらの任意によるコモノマーは、官能性コモノマーであってもよく、例えば、それらが、例えば分枝部位を導入するための追加の官能基を有してもよく(「分枝修飾剤」)、又は極性基若しくは末端基を含有してもよい(「極性修飾剤」)。分枝修飾剤は、典型的には、第2のαオレフィン基を有し、又は分枝状分子それ自体である。極性修飾剤としては、極性基、例えば追加の官能基として酸基を有する、オレフィンが挙げられる。
任意によるコモノマーとしては、(i)他のペルフルオロα−オレフィン、例えばテトラフルオロエチレン(TFE)及びヘキサフルオロプロピレン(HFP)、(ii)F若しくはCl含有オレフィン、例えばクロロトリフルオロエチレン、又は(iii)非フッ素化α−オレフィン、例えばエチレン若しくはプロピレンを挙げることができる。
いくつかの実施形態では、フルオロポリマーは、少なくとも10モル%のTFE、例えば、少なくとも20モル%、又は更には少なくとも30モル%のTFEを含む。いくつかの実施形態では、フルオロポリマーは、50モル%以下、例えば、40モル%以下のTFEを含む。
いくつかの実施形態では、フルオロポリマーは、1つ以上のペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)コモノマー、例えば、少なくとも1モル%、少なくとも2モル%、又は更には少なくとも5モル%のPAVEを含んでもよい。しかし、長鎖PAVEにより望ましくないペルフルオロアルカン酸が生成することがあるため、いくつかの実施形態では、フルオロポリマーは、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、ペルフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)のうちの少なくとも1つ、又はこれらの組み合わせを含有してもよい。いくつかの実施形態では、フルオロポリマーは、PMVEを含む。加えて、このようなPAVEの量については、限定する必要がある場合があり、そのため、いくつかの実施形態では、フルオロポリマーは、30モル%以下、例えば、20モル%以下、又は更には10モル%以下のPAVEを含有する。いくつかの実施形態では、フルオロポリマーは、PAVEを実質的に含まず、すなわち、フルオロポリマーは、0.5モル%未満、例えば、0.1モル%以下、又は更に0.01モル%以下を含有する。
従来技術の架橋処方物では、追加の硬化部位モノマー(CSM)又は連鎖移動剤によって、ブロモ基、ヨード基、又はシアノ基などの硬化部位基が導入されていた。対照的に、本開示のフルオロポリマーは、硬化部位基を含んでいない。しかし、典型的な原料供給及び生産条件の結果として、このような硬化部位基が、フルオロポリマーの総重量に基づいて、微量、例えば、5ppm(百万分率)以下で存在してもよい。いくつかの実施形態では、フルオロポリマーは、2ppm以下、又は更には1ppm以下の硬化部位基を含む。
ペルフルオロアルカン酸がフルオロポリマーの製造に使用されていない場合であっても、例えば、代替のフッ素化乳化剤が使用されている場合又は乳化剤が使用されていない場合に、ペルフルオロアルカン酸(特にペルフルオロC〜C12酸)が、一部のコポリマーの製造において生成する場合があることが、見出された。ペルフルオロアルカン酸は、式FC−(CF−COOM[式中、yは4〜18の整数であり、Mは、遊離酸の場合、Hであり、又は酸が塩として存在する場合、カチオンである]によって表される。ペルフルオロオクタン酸の場合、yは6であり、炭素原子の合計は8となる(「C酸」)。
概して、ペルフルオロアルカン酸の量は、抽出によって求めることができる。ペルフルオロアルカン酸の抽出は、典型的には、固体の微細に分散/粉砕したポリマー試料をメタノールで処理(50℃で16時間)することによって行われ、液相からポリマーを分離し、分離した(抽出した)液相中の酸の量を求める。
いくつかの実施形態では、本開示によるフルオロポリマーは、ペルフルオロアルカン酸を本質的に含まず、特に6〜20個の炭素原子を有する酸を本質的に含まない。この文脈における「本質的に含まない」は、1ppm未満、500ppb未満、200ppb未満、100ppb未満、又は更には50ppb未満(ポリマーの重量に基づく)の量を指す。
ペルフルオロアルカン酸がフルオロポリマーの製造に使用されない条件で重合したとき、いくつかの実施形態では、本開示によるフルオロポリマーは、ペルフルオロアルカン酸を本質的に含まず、特に6〜20個の炭素原子を有する酸を本質的に含まず、すなわち、1ppm未満、500ppb未満、200ppb未満、100ppb未満、又は更には50ppb未満(ポリマーの重量に基づく)である。「重合したとき」とは、この文脈において、ペルフルオロアルカン酸の除去、例えばアニオン交換に有用であることが知られている任意の後処理工程前の重合生成物を意味する。
好ましくは、ポリマーは、50ppb未満、好ましくは20ppb未満(ポリマーの重量に基づく)、例えば2〜20ppb(ポリマーの重量に基づく)の量で、抽出可能なペルフルオロオクタン酸を含有する。
概して、公知の方法を使用して、本開示のフルオロポリマーを調製することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコポリマーは、水相中での乳化重合又は懸濁重合によって調製することができる。乳化重合の場合、乳化剤が使用される。懸濁重合の場合、乳化剤は使用されない。いくつかの実施形態では、乳化重合は、安定な分散体が得られるので好ましい。
概して、PAE及びVDFは、開始剤及び任意による上記の追加のコモノマーの存在下で共重合する。様々なモノマーが、本明細書に記載の特性を有するコポリマーを製造するために、有効量で使用される。有効量は、本明細書に記載され例示された量の範囲内である。
フッ素化乳化剤が水性乳化重合で使用される場合、重合はペルフルオロアルカン酸を全く添加せずに行われ、特に、重合はペルフルオロオクタン酸を添加せずに行われる。代替のフッ素化乳化剤又は非フッ素化乳化剤を代わりに使用してもよい。使用時には、代替のフッ素化乳化剤は、典型的には、達成されるべき固形分(ポリマー含有量)に基づいて0.01重量%〜1重量%の量で使用される。好適な代替のフッ素化乳化剤としては、以下の一般式:
[R−O−L−COO
[式中、Lは、直鎖状又は分枝状又は環状の、部分フッ素化又は完全フッ素化アルキレン基又は脂肪族炭化水素基を表し、Rは、直鎖状若しくは分枝状の部分フッ素化若しくは完全フッ素化脂肪族基、又はエーテル酸素原子が1回以上介在している直鎖状若しくは分枝状の部分フッ素化若しくは完全フッ素化基を表し、X は、価数iを有するカチオンを表し、iは、1、2、又は3である。]に対応する乳化剤が挙げられる。乳化剤は、部分フッ素化脂肪族基を含有する場合、部分フッ素化乳化剤と称される。好ましくは、乳化剤の分子量は1,500g/モル未満である。具体的な例は、例えば、米国特許出願公開第2007/0015937号(Hintzerら)に記載されている。
水性乳化重合は、フリーラジカル開始剤又はレドックス型開始剤を用いて開始することができる。水性乳化重合を開始するための、公知の開始剤又は好適な開始剤のいずれかを使用することができる。好適な開始剤としては、有機開始剤及び無機開始剤が挙げられる。重合開始剤の量は適宜選択できるが、通常、重合に用いられる水の質量に基づいて、2〜600ppmである。
重合は、好ましくは、コモノマーを同時に重合することによって行う。典型的には、反応容器に成分を仕込んで、開始剤を活性化することにより反応を開始する。一実施形態では、コモノマーは、その後、反応が開始した後に反応容器に連続的に供給される。それらは、一定のコモノマー比で又はコモノマー比を変化させて連続的に供給することができる。
水性乳化重合は、シード粒子の有無にかかわらず、好ましくは、少なくとも65℃、好ましくは少なくとも70℃の温度で行われる。温度をより低くすると、必要なコモノマー含有量に達するのに十分な量のPAEをポリマーに導入することができない場合がある。高い方の温度としては、典型的には、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、又は更に150℃の温度を挙げることができる。
重合は、好ましくは、少なくとも0.5、1.0、1.5、1.75、2.0、又は更には2.5MPa(メガパスカル);最大で2.25、2.5、3.0、3.5、3.75、4.0、又は更には4.5MPaの圧力で行われる。
いくつかの実施形態では、水性乳化重合は、水性エマルジョン中のポリマー粒子の濃度が、少なくとも5、10、又は更には15重量%(「固形分含有量」とも称される)になるまで行われる。
得られた分散液において、ポリマー粒子(すなわち一次粒子)の平均粒径は少なくとも50、100、又は更には150nm;最大で250、275、300、又は更には350nm(D50)である。分散液の粒子サイズは、光の非弾性散乱によって求めることができる。
所望の場合には、代替のフッ素化乳化剤を除去するため、重合反応終了後に分散液をアニオン交換により処理することができる。アニオン交換及びノニオン性乳化剤の添加により分散液から乳化剤を除去する方法が、例えば欧州特許第1155055(B1)号に開示されており、高分子電解質の添加による方法が、国際公開第2007/142888号に開示されており、又は、ノニオン性安定剤(ポリビニルアルコール、ポリビニルエステルなど)の添加による方法が、開示されている。
分散液中のフルオロポリマー含有量は、例えば米国特許第4,369,266号に記載されているような限外濾過の使用により、又は(例えば米国特許第3,037,953号に記載されている)熱デカンテーションにより、若しくは電気デカンテーションにより高濃縮することで増加させることができる。高濃縮した(up-concentrated)分散液の固形分含有量は、典型的には約30〜約70重量%である。
分散液は、分散液を基材上にコーティング又は含浸するときに有益な場合がある成分、例えば接着促進剤、摩擦低減剤、顔料などを更に含んでもよい。任意による構成成分としては、例えば、様々な用途に必要とされ得る又は望まれる得るものなどの、緩衝剤及び酸化剤が挙げられる。
本開示のいくつかの実施形態では、コポリマーは、溶媒に溶解又は分散したコポリマーを含む、コーティングの形態で提供される。例えば、いくつかの実施形態では、コポリマーの水性分散液を、コーティングとして使用してもよい。
いくつかの実施形態では、このような水性分散液は、従来のカチオン性、ノニオン性、アニオン性、及び/又は双性イオン性(すなわち、両性)界面活性剤(すなわち、乳化剤)を含んでもよい。界面活性剤の混合物、例えばノニオン性及びイオン性界面活性剤を含有するものを使用してもよい。好適なノニオン性界面活性剤は、Dow DuPontなどから商品名TERGITOLで入手可能なものなど、高い又は低いHLB値を有することができる。好適なカチオン性界面活性剤としては、モノテール又はバイテールの(mono- or bi-tail)アンモニウム塩が挙げられる。好適なアニオン性界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(Rhodia(France)から入手可能)などの、スルホン酸及びカルボン酸脂肪族化合物、並びにこれらの塩が挙げられる。好適な両性界面活性剤としては、ココベタイン、スルホベタイン、アミンオキシド等が挙げられる。特定の実施形態では、本開示の処理組成物における使用に好適な界面活性剤は、国際公開第2013/162704号(Coppensら)に記載されている。
いくつかの実施形態では、コポリマーは、溶媒、例えばフッ素化有機溶媒を含む溶媒に溶解して、コーティングを形成することができる。本明細書で使用するとき、「フッ素化有機溶媒」は、概して、有機フッ素化学の技術分野において受け入れられているとおりに使用され、これには、フッ素原子で置換されており、任意に水素及び/又は塩素若しくは他のハロゲン原子で置換されている、炭素骨格の形態を概ねとる、フッ素化有機化合物が挙げられるが、これらに限定されない。炭素骨格には、ヘテロ原子、例えば二価酸素、三価窒素、硫黄などが介在してもよい。フッ素化溶媒の例としては、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、ペルフルオロカーボン(PFC)、ハイドロフルオロエーテル(HFE)、ハイドロハロフルオロエーテル(HEFE)、例えばハイドロクロロフルオロエーテル(HCFE)、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)、ハイドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)、クロロフルオロカーボン(CFC)、フルオロケトン、ペルフルオロケトン、及びハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)が、単独で又は混合物として、挙げられる。
いくつかの実施形態では、コーティングを使用して、例えば、物品を形成するために基材に積層、コーティング、及び/又は注入することができる。基材又はその処理された表面は、無機材料でも有機材料でもよい。基材は、例えば、繊維、布地、顆粒、又は層であってもよい。典型的な基材としては、有機繊維又は無機繊維、好ましくはガラス繊維、有機布地又は無機布地、顆粒(ポリマービーズなど)、及び、例えばフルオロポリマーをはじめとする1つ以上の有機ポリマーを含有する層が挙げられる。布地は織布でも不織布でもよい。基材はまた、金属表面又はフルオロポリマー表面若しくはフルオロポリマー層を含有する、金属又は物品でもよく、限定はしないがPTFE表面又はPTFE層などであってもよい。
いくつかの実施形態では、フルオロポリマーはまた、固体として処理することができる。フルオロポリマーを乾燥形態で提供するためには、分散液から分離する必要がある。本明細書に記載のフルオロポリマーは、当技術分野において公知の方法によって、水性分散液からそれらを意図的に凝固させることによって回収することができる。一実施形態では、水性エマルジョンを高剪断速度で撹拌して、ポリマーを意図的に凝固させる。他の塩を含まない方法としては、鉱酸の添加が挙げられる。塩含有量が問題にならない場合、例えば塩化物塩(例えば、MgCl)又は炭酸アンモニウムなどの塩を凝固剤として添加することができる。トルエン、キシレンなどのような炭化水素などの粒塊化剤を添加して粒径を大きくし、粒塊を形成することができる。粒塊化により、約0.5〜1.5mmのサイズを有する粒子(二次粒子)が生じ得る。
凝固した及び/又は粒塊化したポリマー粒子の乾燥は、例えば、100℃〜300℃の温度で行うことができる。凝固粒子の粒径は、電子顕微鏡法によって求めることができる。平均粒径は、標準粒径測定ソフトウェアによる数平均として表すことができる。溶融ペレット化することによって粒径を更に大きくすることができる。粒子は、少なくとも2mm、典型的には約2〜約10mmの粒径(最長直径)を有することができる。
本発明の利点及び実施形態を実施例で更に例示する。しかしながら実施例は、本開示を提示された実施例に限定することを意味しない。本開示は、特許請求の範囲内の他の材料、範囲及び実施形態により実施することができる。
実施例
方法の説明がDIN、ASTM、ISOなどの規格を参照している場合、及び規格が発行された年が示されていない場合は、2018年に発効となったバージョンを意味する。例えば、規格が更新されていないか又は失効しているという理由で2018年に発効となったバージョンがすでに存在していない場合は、2018年に最も近い日付で発効となったバージョンを使用するものとする。
Tm法.フルオロポリマーの融解ピークについては、ASTM4591に従って、窒素流下及び10℃/分の加熱速度で、Perkin−Elmer DSC 7.0により求めた。示された融解温度(Tm)は、最大融解ピークに関連する。
Tg法.フルオロポリマーのガラス転移温度については、ASTM E1356に従って、窒素流下及び10℃/分の加熱速度で、Perkin−Elmer DSC 7.0により求めた。示されたガラス転移温度(Tg)は、試験方法において定義された中点温度を指す。
ムーニー粘度法.フルオロポリマーのムーニー粘度については、ASTM D1646に従って、レオメーターのAlpha Tecnologies Mooney MV 2000を用い、121℃の測定温度、1分間の予備コンディショニング時間、及び10分間の試験時間で、大型ローター、ML1+10を121℃で使用して求めた。
コモノマー含有量の方法.ポリマーのコモノマー含有量については、固相NMRによって求めた。クロスインテグレーション標準(cross-integration standard)として少量の2,2−ビス(4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパンを用いて、試料を3.2mmローターに詰めた。ローターにはフルオロポリマースペーサの代わりに珪藻土を使用した。スペクトルは、180℃、18kHz MASで、3.2mmのVarian HFXY MASプローブを備えたVarian 400MHz NMRS固相NMRスペクトル計で収集した。Hスペクトルは、19Fスペクトルの前後に収集した。
あるいは、記載されているポリマー中のコモノマー含有量は、Thermo Nicolet Nexus FT−IR分光計を用いた赤外分光法によって求めることができる。存在する場合、HFPコモノマー含有量については、米国特許第4,675,380号に記載されているように求めることができる。あるいは、組成物については、これらを例えばアセトンに溶解し、文献(Macromolecules 2002,35,8694ff)に従って組成物を測定することによって、特定のポリマーに関して求めることができる。
固形分含有量の試験法.分散液の固形分含有量(フルオロポリマー含有量)については、ISO 12086に従って、重量測定で求めることができる。不揮発性無機塩の補正は行われていない。ポリマー分散液の固形分含有量をポリマー含有量とする。
粒径の方法.ラテックス粒径の測定は、ISO/DIS 13321に従って、MALVERN ZETASIZER 1000 HSAを用いた動的光散乱によって行うことができる。粒径は、体積平均として求められ、D50として表記する。測定前に、重合から得られたポリマーラテックスを0.001モル/LのKCl溶液で希釈する。全ての場合において測定温度は20℃であった。
MA−3、CF=CF−CF−O−CF−CF−CFは、Anles(St.Petersburg,Russia)から購入した。
実施例1.50Lの重合ケトルに、29LのHO及び300gの30重量のフッ素化乳化剤(CF−O−[CF−OCFHFCF−COONH、米国特許第7,671,112号を参照のこと)を仕込み、240rpmの攪拌速度で攪拌した。ケトルを90℃まで加熱し、窒素でパージした。次いで、以下のモノマーを仕込んだ:1.0バールに達するまでVDF、圧力が1.0バールから2.9バールに上昇するまでMA−3、及び圧力が6.0バールに上昇するまで再びVDF。4.0gの過硫酸アンモニウム(APS)を添加することによって、重合を開始させた。303分にわたって、3.70kgのVDF(76モル%)、5.77kgのMA−3(24モル%)、及び1960gの2重量%のAPS溶液を連続的に供給して、圧力を維持した。この反応を停止させた。得られたポリマー分散液は、22重量%の固形分含有量を有した。分散液中のポリマーの平均粒径は、97nmであった。
ポリマーを、MgClを用いた凝固によって単離した。−29℃のTg及び35のムーニー粘度ML1+10が確認された。MA−3の組み込みについては、文献(Macromolecules 2002,35,8694−8707)に記載されているように−129ppmにおける、MA−3からの−O−CFCFCFシグナルの積分を、VDFからの−CF−シグナルと比較することによって、19F−NMRから求めた。25モル%のMA−3及び75モル%のVDFの組成が確認された。
実施例2.50Lの重合ケトルに、29LのHO、実施例1における300gの30重量のフッ素化乳化剤を仕込み、240rpmの撹拌機速度で撹拌した。ケトルを90℃まで加熱し、窒素でパージした。次いで、以下のモノマーを仕込んだ:1.0バールに達するまでVDF、圧力が1.0バールから2.9バールに上昇するまでMA−3、及び圧力が6.0バールに上昇するまで再びVDF。8.0gのAPSを添加することによって、重合を開始させた。319分にわたって、4.00kgのVDF(84モル%)、3.80kgのMA−3(16モル%)、及び1960gの2重量%のAPS溶液を連続的に供給して、圧力を維持した。この反応を停止させた。得られたポリマー分散液は、24重量%の固形分含有量を有した。分散液中のポリマーの平均粒径は、82nmであった。ポリマーを、MgCを用いた凝固によって単離した。−31℃のTg、83℃のTm、及び32のムーニー粘度ML1+10を測定した。
実施例3.50Lの重合ケトルに、29LのHO、実施例1における300gの30重量%のフッ素化乳化剤を仕込み、240rpmの撹拌機速度で撹拌した。ケトルを90℃まで加熱し、窒素でパージした。次いで、以下のモノマーを仕込んだ:1.0バールに達するまでVDF、圧力が1.0バールから2.0バールに上昇するまでMA−3、2.0バールから3.8バールまでPMVE、及び圧力が6.0バールに上昇するまで再びVDF。8.0gのAPSを添加することによって、重合を開始させた。146分にわたって、1.65kgのVDF(70モル%)、1.17kgのMA−3(20モル%)、1.23kgのPMVE(10モル%)、及び1960gの2重量%のAPS溶液を連続的に供給して、圧力を維持した。この反応を停止させた。得られたポリマー分散液は、11重量%の固形分含有量を有した。分散液中のポリマーの平均粒径は、90nmであった。ポリマーを、MgClを用いた凝固によって単離した。−28℃のTg及び65のムーニー粘度ML1+10を測定した。
「パディング」工程による処理手順。処理分散液に基材を浸漬させ、基材が飽和するまで撹拌することにより、フルオロポリマーを布地基材上に適用した。次いで、飽和した基材をパダー/ローラーに通し、過剰な分散液を除去し、特定の%のウエットピックアップ(WPU)を得た。
Figure 2021524539
例えば、100のWPUは、この工程の後、基材が乾燥前の処理分散液の自重の100%を吸収したことを意味する)。次いで、試料を乾燥させ、170℃で3分間硬化させた。
布地上の固形分(「SOF」).SOFについては、処方物中の分散体の重量分率(A)、処方物の固体の重量分率(S)、及び測定したウエットピックアップ(WPU)に基づいて、以下の式により計算する。
SOF(%)=(A×S×WPU).
例えば、30重量%の固形分含量を有するフルオロポリマー分散液を6.7重量%含有する処方物で布地を処理する場合、50WPUでは、SOF%は布地上0.067×0.30×50=1%の固形分になる。
噴霧評価方法.処理した基材の噴霧評価(SR)は、処理した基材に衝突する水に対する、処理した基材の動的撥水性を示す値である。撥水性は、試験法22−1996(2001 Technical Manual of the American Association of Textile Chemists and Colorists(AATCC)に収載)によって測定し、試験した基材の「噴霧評価」によって表記する。噴霧評価は、250mLの水を、15cmの高さから基材に噴霧することによって得た。濡れパターンについては、0〜100のスケール(0は完全に濡れていることを意味し、100は全く濡れていないことを意味する。)を使用し、目視評価した。噴霧評価については、初期と、布地を5回又は20回洗濯した後(それぞれ、5L又は20Lと表記)に測定した。
洗濯の手順は、処理した基材の400〜900cmのシートを、バラスト試料(8オンスの布地1.9キログラム(kg))と共に、洗濯機(Kenmore Elite)に入れることからなるものとした。市販の洗剤(Proctor & Gambleから入手可能な「TIDE」))38グラム(g)を添加した。基材及びバラスト荷重を、短時間洗濯サイクルを使用して40℃で洗浄した後、すすぎサイクル及び遠心脱水を行った。試料は、繰り返しサイクル間に乾燥させなかった。必要なサイクルの後、織物試料を、「高」に設定したMiele T−356回転式乾燥機で乾燥させた。
撥油性の方法.処理した基材の撥油性(OR)については、American Association of Textile Chemists and Colorists(AATCC)Standard Test Method No 118−1983によって測定する。当該手法は、様々な表面張力を有する油の浸透に対する、処理した基材の耐性に基づくものである(米国特許第5,910,557号を参照のこと)。1〜8の評価を割り当て、値が高くなるほどより良好な撥油性を示すものとした。
撥水性(WR)の方法.基材の撥水性(WR)については、一連の水−イソプロピルアルコール試験液体を使用して測定し、処理した基材の「WR」評価に関して表記した。WR評価は、15秒間の曝露後に基材表面に浸透することもそれを濡らすこともなかった最も浸透性の試験液体に対応した。100%の水(0%のイソプロピルアルコール)、浸透性最小の試験液体が浸透した又はそれのみに耐性であった基材は0の評価を得、他方、浸透性最大の試験液体の100%のイソプロピルアルコール(0%の水)に耐性であった基材は10の評価を得た。他の中間的な評価は、試験液体中のイソプロピルアルコールのパーセントを10で除算することにより計算し、例えば、処理した基材は、70%/30%イソプロピルアルコール/水ブレンドに耐性であるものの80%/20%のブレンドには耐性がないと、7の評価を得るものとなった。
布地に対する性能試験.
布地A:115g/平方メートルの坪量を有するTaslan Dobbyナイロン織布(NTD)。ナイロン布地は、中国の製造業者によって70D160D/166T83Tとして評価され、染色され、仕上げ用に調製されている。
布地B:84g/平方メートルの坪量を有するPoly Pongeeポリエステル織布(PPP)。ポリエステル布地は、中国の製造業者によって、75D75D/145T90Tとして評価され、染色され、仕上げ用に調製されている。
試料については、実施例3のフルオロポリマー組成物を使用して、処理手順に従って「パッディング」工程を介して、布地A及びBを用いて調製した。結果を表1にまとめる。
Figure 2021524539
本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない本発明の様々な修正及び変更が、当業者には明らかとなるであろう。

Claims (21)

  1. 20〜90モル%のフッ化ビニリデンと、10〜45モル%、例えば、15〜30モル%の1つ以上のペルフルオロアリルエーテルと、を含むフルオロポリマーであって、前記フルオロポリマーの総重量に基づいて5ppm(百万分率)以下の重量の硬化部位基を含み、モル%はコモノマーの総モルに基づくものである、フルオロポリマー。
  2. 20〜80重量%、例えば、25〜60重量%の前記1つ以上のペルフルオロアリルエーテルを含む、請求項1に記載のフルオロポリマー。
  3. 1ppm以下の硬化部位基を含む、請求項1又は2に記載のフルオロポリマー。
  4. コモノマーの総モルに基づいて、30〜50モル%のフッ化ビニリデンを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフルオロポリマー。
  5. 少なくとも1つのペルフルオロアリルエーテルが、式1:
    CF=CF−CF−O−(CF−O−(CF−F
    [式中、m=1〜6、pは、0又は1、n=0〜6であり、但し、pが1である場合、nは0ではない]によるペルフルオロアリルエーテルからなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のフルオロポリマー。
  6. 少なくとも1つのペルフルオロアリルエーテルが、p及びnが0である、式1:
    CF=CF−CF−O−(CF−F
    によるペルフルオロアリルエーテルからなる群から選択される、請求項5に記載のフルオロポリマー。
  7. m=1〜4、好ましくはm=3である、請求項6に記載のフルオロポリマー。
  8. 少なくとも1つのペルフルオロアリルエーテルが、pが1でありnが1〜6である、式1:
    CF=CF−CF−O−(CF−O−(CF−F
    によるペルフルオロアリルエーテルからなる群から選択される、請求項5〜7のいずれか一項に記載のフルオロポリマー。
  9. m=1〜4、好ましくはm=3であり、n=1である、請求項8に記載のフルオロポリマー。
  10. 1〜30モル%のペルフルオロアルキルビニルエーテル、好ましくは10モル%以下のペルフルオロアルキルビニルエーテルを更に含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載のフルオロポリマー。
  11. 前記ペルフルオロアルキルビニルエーテルが、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)、ペルフルオロ(エチルビニルエーテル)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、任意に、前記ペルフルオロアルキルビニルエーテルが、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)である、請求項10に記載のフルオロポリマー。
  12. Tg法に従って測定したとき、20℃以下、好ましくは0℃以下のガラス転移温度を有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載のフルオロポリマー。
  13. ムーニー粘度法に従って測定したとき、121℃で1〜150のムーニー粘度を有する、請求項1〜12のいずれか一項に記載のフルオロポリマー。
  14. ポリマーの重量に基づいて、1ppm未満の、6〜20個の炭素原子を有するペルフルオロアルカン酸を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載のフルオロポリマー。
  15. 請求項1〜14のいずれか一項に記載のフルオロポリマーを含む、物品。
  16. 表面と、前記表面の少なくとも一部分を覆う前記フルオロポリマーを含む層と、を含む、請求項15に記載の物品。
  17. 前記物品が多孔質基材を含み、前記フルオロポリマーが前記基材に少なくとも部分的に注入されている、請求項15に記載の物品。
  18. 溶媒と、前記溶媒に溶解又は分散した請求項1〜14のいずれか一項に記載のフルオロポリマーと、を含む、コーティング。
  19. 前記フルオロポリマーが前記溶媒に分散しており、前記溶媒は水を含む、請求項18に記載のコーティング。
  20. ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される界面活性剤を更に含む、請求項19に記載のコーティング。
  21. 前記フルオロポリマーが前記溶媒に溶解しており、前記溶媒が少なくとも1つのフッ素化溶媒を含む、請求項18に記載のコーティング。
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