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金属支持固体酸化物燃料電池を形成する方法
本発明は、金属支持固体酸化物燃料電池(SOFC)を形成する方法、及びその方法で形成される燃料電池に関する。具体的には、本発明は、よりロバストな燃料電池を提供するための、アノードの形成方法に関する。
SOFCは、燃料ガス(通常水素ベース)の電気化学的酸化による電気エネルギーを生成する電気化学装置である。装置は、一般に、その電解質として酸素イオン伝導性金属酸化物由来のセラミックを用いた、セラミックベースである。ほとんどのセラミック酸素イオン導体(たとえば、ドープされた酸化ジルコニウム、又はドープされた酸化セリウム)は、(酸化セリウムベースの電解質について)500℃、又は(酸化ジルコニウムベースのセラミックスについて)600℃を上回る温度での、技術的に重要なイオン伝導率を実証するのみであるように、SOFCは高温で作動する。
他の燃料電池と同じように、SOFCは、燃料が酸化されるアノード、及び酸素が還元されるカソードを含む。これらの電極は、電気化学反応を触媒することができなければならず、作動(陽極側での還元、カソード側での酸化)温度における、それらのそれぞれの雰囲気下で安定でなければならず、かつ、電気化学反応によって作り出される電流が電極−電解質界面から引き出されるように、電子を伝導することができなければならない。
広範囲な研究にもかかわらず、アノードにとって重要な特性の組合せを有する材料を見つけることは困難であることが分かっている。長年にわたって、技術水準のSOFCアノードは、金属相としてニッケル、及びセラミック相として電解質材料(通常、イットリア又はスカンジア安定化ジルコニア)を有する、多孔質セラミック金属(サーメット)複合構造から構成され、あまり一般的ではないがドープされたセリアベースの電解質材料、例えばガドリニア又はサマリアドープされたセリアも使われている。この構造では、ニッケルは触媒の役割を担い、ニッケルの体積分率は、隣接する金属ネットワークが形成され、したがって必要な電子伝導率を提供する程度に十分に高い。電解質材料は、機械的構造を提供し、アノードと電解質との間の結合を強化し、アノード−電解質界面領域をアノード内にいくらかの距離延在させる、隣接するセラミック骨格をアノードに形成する。
これらのサーメットアノードの周知の限界は、電池作動温度において、アノードの金属ニッケルが還元性雰囲気においてのみ安定である、ということである。これは通常、燃料ガスによって提供されるので、通常、運転下でアノードは安定である。しかしながら、作動温度でSOFCへの燃料ガスの供給を中断すると、アノード内の雰囲気は酸化状態になる。これらの条件下で、金属ニッケルは酸化ニッケルへと酸化される。焼結した酸化ニッケルの還元によって形成された金属ニッケルは、それが形成された元の酸化ニッケルと同じモルホロジーへと酸化されて戻らないので、この酸化は、約40%を超える体積増加を伴う。その代わり、それは元の酸化ニッケルより大きい体積を占めるメソ多孔質体を生じる。再酸化におけるこの体積変化は、アノード構造内に、アノードのクラック及びSOFC電池の潜在的な破壊に繋がる可能性がある大きな応力を生じる可能性がある。
SOFCシステムは、一般に、予想外の燃料中断、例えばシステムのどこかに安全性の理由でシステムの緊急停止を必要とする破損が生じた場合に、アノードの上の還元性雰囲気を維持する、錯体及び高価なパージガスシステムの存在を必要とするので、多くのSOFC電池がこのタイプのダメージを受けずに複数の酸化還元(REDOX)サイクルを耐えることができないということは、発電用SOFC技術の広範囲にわたる商業的採用を抑制する主な要因であった。
不充分なREDOX安定性の問題は、特に、現在最も一般的な形態のSOFC電池であるアノード支持燃料電池において深刻である。電解質は非構造体であるところ、アノード支持は、用いられる電解質(例えば安定化ジルコニア)の層を非常に薄く(20μm未満)することを可能にするので有益である。これは、電解質支持電池の場合よりも低い温度範囲(800℃〜1000℃ではなく、650〜850℃)における作動を可能にする。電解質支持燃料電池において、酸素イオン輸送に対する電解質の抵抗は、電解質厚に反比例するので、電解質層の厚みによって生じる抵抗は、温度に伴う抵抗の指数関数的な低下を利用し、作動温度を上昇させることによって克服される。アノード支持電池ではより薄い層を使用することができるので、作動温度を低下させることができ、このことは、SOFCシステムにおいてより低コストの材料の使用を促進し、様々な材料分解機構、例えば金属成分の酸化の速度を低減するので一般的に望ましい。
これらの利点にもかかわらず、アノード支持電池ではアノードがSOFC電池の構造的支持体であり、応力誘発性クラッキングは電池の完全な破壊に繋がる可能性があるため、電池は、繰り返される酸化還元サイクル上、破滅的に故障する傾向が高い。
開発者による多大な努力にもかかわらず、ニッケルの比較的低コスト性と、水素の電気化学的酸化及び炭化水素燃料供給の水蒸気改質の両方のための高い触媒活性と、高い電子伝導率とを兼ねる、適切な材料が未だ開発されていないので、ニッケルに対する代替は、広範囲にわたって採用されなかった。
酸化還元サイクルのダメージ効果を緩和するのに役立つ、SOFCの設計に関する要因があり、要因は:
●アノード支持電池を使用しないこと−したがって、アノードをより薄くすることができる;酸化還元サイクルによる全体的な体積変化及び破滅的クラッキングの危険性を低減する。
●より低温で作動させること−ニッケルの酸化速度は、温度の増加と共に指数的に増加し、300℃超で始まる。作動温度が低ければ低いほど、ニッケルの酸化及び体積膨張の危険性がより少ない。更に、ニッケル粒子は、外表面は急速に酸化するが、粒子のコアは拡散律速でよりゆっくりと酸化する、コアシェル機構をとおして酸化される傾向がある。したがって、より低い温度においては、アノード内のニッケル粒子の全体粒子ではなく外表面だけが再酸化され、体積変化がいくらか低減される傾向がある。
●アノードに隣接するセラミック「骨格」を提供すること−SOFCアノードに使用される電解質ベースのセラミック相は、酸素分圧の変化によってほとんど影響を受けないので、ニッケル相に影響を及ぼす酸化還元サイクルの間、アノードのこの部分は体積が変わらない。したがって、アノード内に焼結された多孔質セラミックネットワークがある場合、アノードの構造的完全性、及び電解質に対する結合が強化される。
これらの基準を満たす可能性があるSOFC電池の設計は、英国特許第2368450号明細書の出願人によって開示された、金属支持SOFC設計である。このSOFC電池は、構造的支持体としてフェライトステンレススチール箔を使用する。箔はその中心領域において多孔質になっており、燃料がアノードにアクセスすること可能にする。活性電池層(アノード、電解質、及びカソード)は、すべてフィルムとしての基材箔上に堆積される。それは電池のための構造的支持体ではないので、アノードは厚みが約15μmであればよいことを意味する。この電池もまた、標準的な作動温度より非常に低い450〜650℃の温度範囲での作動を可能にする。これは、ジルコニアベースの材料よりも本質的に高い酸素イオン伝導率を有する、酸化セリウム(セリア)ベースのセラミック材料、例えばCGO10(ガドリニウムドープされた酸化セリウム、CGO10について−Ce0.9Gd0.11.95)を、酸素イオン伝導性電解質として大部分に用いることにより達成される。英国特許第2456445号明細書に開示されているように、安定化ジルコニアの薄膜を電解質に堆積して、セリアベース電解質の混合イオン−電子伝導率による電池の内部短絡が防止され、ジルコニア層は非常に薄いので、その酸素イオン輸送に対する抵抗は、低温作動が妨げられない程度に十分に低い。英国特許第2368450号明細書のSOFC電池は、5〜30μmの厚みを有する厚いフィルムとして製造される、多孔質金属−CGO10複合材サーメットアノードを使用する。アノードは、一般的に、金属酸化物及びCGO10粉末を含むインクをスクリーン印刷することによって堆積され、熱処理によって多孔質セラミック層を形成し、堆積された粉末を共に焼結して、スチール基材に結合した隣接構造を形成する。
酸性雰囲気における高温では酸化クロムスケールが形成するので、従来のセラミックの処理方法によってフェライトステンレススチール支持体上にセラミック層を堆積することによって、酸性雰囲気においてスチールを暴露してもよい最大温度に制限が課される。この上限は、セラミックス焼結に典型的に使用される1200〜1500℃より実質的に低く、そのため、希土類ドープされたセリア電解質を、1100℃未満で、理論密度である96%超まで焼結する、所望の気密な層の形成を促進する方法が開発された(英国特許第2368450号明細書、英国特許第2386126号明細書、及び英国特許第2400486号明細書)。
驚くべきことに、これらの温度で酸化ニッケル−希土類ドープされたセリア複合材アノードを焼結することは、電解質の焼結よりも困難であることが分かった。これは、2つの異なる酸化物材料の複合材は、単一の相材料よりも焼結しにくいことが分かったからである。したがって、酸化ニッケル又はセラミック単独は、これらの温度で適切に焼結するが、しかしながら、複合材の空気中での焼結は劣っている可能性があり、粒子と弱いセラミック構造との間の弱いネックにつながる可能性がある。酸化還元サイクルの間の体積変化の結果、ニッケル粒子間の弱い結合が破壊されるので、これは酸化還元サイクルの結果として電池の故障につながる可能性がある。これは、アノードから電解質が剥離することにより、最終的に電池の破滅的な故障につながる可能性がある。
Vieweger等(「金属支持電池の薄い電解質」、S.Vieweger,R Muecke,N.Menzler,M.Ruettinger,Th.Franco、及びH.Buchkremer.Lucerne:s.n.2012年、第10回欧州SOFCフォーラムの議事録、vol.第7章、13/109〜19/109頁)、及びRodriguez−Martinez等(高い燃料利用率に耐える筒状金属支持固体酸化物燃料電池。L.Rodriguez−Martinez,L.Otaegui,A. Arregi,M.Alvarez an I.Villareal.Lucerne:s.n.2012年、第10回欧州SOFCフォーラムの議事録、Vol.第7章、39/109〜48/109頁)は、通常水素と、不活性気体、例えば窒素又はアルゴンとの混合物である強い還元雰囲気において、セラミック層を金属支持体上へと焼成することによって、これらの問題点を回避した。還元性雰囲気は、スチールの過剰な酸化を回避し、より高い処理温度、より典型的には従来のセラミック処理において使用される高い処理温度を使用することを可能にする。しかしながら、そのような雰囲気での使用は、英国特許第2368450号明細書に開示される種類の金属支持SOFCにとって多くの欠点があり、欠点は:
●セリアベースの電解質とともに使用するには不適切な方法−高温におけるCe4+イオンからCe3+イオンへの還元に関連する体積膨張は、電解質にクラックが入るほど高い機械的応力を生じるので、強い還元雰囲気において焼成することができない。
●還元性雰囲気は、アノードのニッケルがニッケル金属として存在することを意味する−アノード−電解質界面における触媒表面積が小さいので、1100℃超では過度に焼結して、多孔性が不充分で電気化学的性能に劣るアノードにつながる傾向がある。
●ニッケルの相互拡散−還元性雰囲気で高温においては、アノードからのニッケルと支持体からのイオン(支持体がスチールである場合、典型的には鉄イオン)とが、広範囲に相互拡散する傾向がある。これは、ニッケル以外の金属、例えば鉄の含有率が高い不安定なアノード、並びに支持体内に存在するニッケルによって支持体内にオーステナイト相の形成を生じる支持体領域につながることがあり、オーステナイト相は非常に高い熱膨張係数(CTE)を有する。
●カソード材料の限られた選択性−ほとんどのSOFCカソード材料は、通常、これらの条件で還元され、成分の酸化物及び/又はもとの金属へと不可逆的に分解する傾向がある混合金属酸化物材料であるので、還元性雰囲気において焼結することができない。したがって、アノード及び電解質が還元性雰囲気において焼結される場合であっても、カソードは空気中で焼結しなければならない。アノードのニッケルを空気に暴露すると、その再酸化をもたらす。
強い還元雰囲気におけるアノードの焼結に関する問題に鑑みて、例えば、多孔質(通常ジルコニアベースの)セラミック構造を、金属支持体と電解質との間に焼結する、代替のアプローチが試みられている(M.C.Tucker,T.Z.Sholklapper,G.Y.Lau,L.C.Dejonghe、及びS.J.Visco、2009年、ECS会報第25巻(2)、681頁)。これは、セラミックがニッケルを含まないので、還元性雰囲気において焼成することを可能にする。アノードが機能するために存在するべきニッケルの含有量は、電解質の焼結後に、多孔質セラミックネットワークをニッケル塩の溶液で浸透し、熱的に分解して酸化ニッケルを形成することによって添加することができる。しかしながら、浸透工程は、焼結の間に還元性雰囲気を使用することを可能にするものの、電子伝導性ネットワークを形成するのに求められる20体積%超のニッケルを多孔質セラミック構造に堆積するために、複数回の浸透、乾燥、及び分解工程を要するので、工業的製造までスケールアップすることが困難であることがある。更なる問題として、金属塩の低温分解によって形成される非常に大きな表面積の酸化ニッケルは、典型的なSOFCの作動条件下でニッケル金属として容易に焼結する傾向があり、触媒的活性及び/又は電子伝導率の潜在的な低下につながり、いずれも急速な電池性能低下につながる可能性がある。
McKenna等によって試験された方法(「METSOFC欧州協会における金属支持電池の進歩」、B.McKenna,N.Chriistiansen,R.Schauperl,P.Prenninger,J.Nielsen,P.Blennow,T.Klemenso,S.Ramousse,A.Kromp、及びA.Weber.Lucerne:s.n.、2012年、第10回欧州SOFCフォーラムの議事録、Vol.第7章、20/109〜29/109頁)は、還元性雰囲気において共焼結される、ジルコニア及び粉末状のステンレススチールのサーメットとしてのアノード構造体の形成を必要とする。ステンレススチールがアノードの電子伝導性ネットワークとして機能し、これはネットワークへ後で浸透され電解触媒として機能するのに必要なニッケルの量が非常に少ないことを意味する。この方法は機能する可能性があるが、アノードの触媒活性部分とクロム含有ステンレススチールとが非常に近接しているためアノード被毒の危険性がある。支持体は、それらが不動態化した酸化クロムスケールで全く覆われていない場合、ステンレススチール粒子の腐食に対しても潜在的に弱い。
したがって、アノードが酸化還元サイクルに対して安定で、作動温度における還元性雰囲気の低下に対してロバストで、さらに商業的に実現可能な製造方法を使用して行うことができ、理想的には製造の間に燃料電池の他の成分が分解することのない、金属支持SOFCの調製方法を提供することは有益である。本発明は、これらの問題のいくつかの側面を克服し、又は少なくとも改善することを目的とする。
したがって、本発明の第一の側面において、金属支持固体酸化物燃料電池を形成する方法であって、
a)酸化ニッケル、及び希土類ドープされたセリアを含む未焼結のアノード層を、金属基材に適用すること;
b)アノード層を非還元条件下で予備焼成して、複合材を形成すること;
c)複合材を還元性雰囲気で焼成して、焼結サーメットを形成すること;
d)電解質を提供すること;並びに
e)カソードを提供すること;を含み、雰囲気は酸素源を含む、方法が提供される。
還元性雰囲気で複合材を焼成して焼結サーメットを形成することは、酸化ニッケルをニッケル金属へと還元することを本質的に含んでいる−これなしではサーメットは形成されない。還元性雰囲気でニッケル金属を形成するこの工程は、酸素源があっても、ニッケル金属を形成及び焼結することができるが、金属基材が安定なままである程度に酸素分圧が十分に高いままであり、基材の表面上に形成したあらゆる酸化物不動態層が還元されない焼成方法を提供する。更に、還元性雰囲気は、焼成の間に酸化ニッケルからニッケルへの還元を、重要なことに、電解質を提供する前にもたらすので、最初の使用の間のアノードの体積変化が低減される。これは、電解質−アノード界面におけるアノードの膨張による使用中の電解質及びアノードのクラッキングの可能性を低減する。したがって、SOFCの製造の間の金属支持体の分解を妨げ、及び複合材の焼成の間にニッケルを予め還元することによって、請求項に記載の方法を用いて製造されるSOFCは、非常にロバストである。
焼成工程c)の還元性雰囲気は、不活性気体、気体還元剤、及び気体酸素源を含んでもよい。不活性気体は、当業者に知られる多くのキャリア気体の一つ、たとえば希ガス、例えばアルゴン又は窒素であってよく、これらの両方は容易に入手可能で低コストであるため一般的である。多くの場合、アルゴン単独、又は窒素と組み合わせて使用する。還元剤は、水素、一酸化炭素、及びこれらの組み合わせから選択してもよい。多くの場合、その低毒性のため水素が用いられる。気体酸素源は、二酸化炭素、水蒸気、及びこれらの組み合わせから選択してもよい。酸素源を存在させて、還元性雰囲気を緩衝し、予測可能な酸素分圧を提供し、多くの場合、入手及び取扱いが容易で安価であるので水蒸気が使用されるが、二酸化炭素を使用してもよい。
還元剤/不活性気体混合物に酸素源(例えば水蒸気、又は二酸化炭素)を添加することによって緩衝される焼成工程の間に還元性気体混合物を使用することは、高温において、反応(1)、(2)、及び(3)の熱力学的平衡によって、酸素分圧が所定の範囲内に緩衝されることを意味しており、反応(1)、(2)、及び(3)は使用する酸素源及び還元剤によっていくつか又は全てが適用する。
Figure 2016533016
式(1)及び(3)は焼成反応であり、したがって強発熱性であり、熱力学的平衡は非常に右に偏っている。しかしながら、逆反応は、反応剤及び生成物の混合物内で無視できない程度に起こり、したがって、これらの気体混合物における酸素分圧は常にゼロではない。また、酸素分圧は与えられた温度においてほぼ一定で、平衡位置における気体混合物は、反応(1)又は(3)へとシフトし、反応において生成すべき又は消費されるべき酸素を補う。
上記のように、定義した還元性雰囲気の機能は、焼成温度において、アノード内のニッケルがその金属状態に維持され、アノード内の希土類ドープされたセリアが部分的に還元された状態に維持される程度に、十分に還元する焼成雰囲気を維持することである。しかしながら、酸素分圧は、金属基材を保護している不動態層(たとえばフェライトステンレススチール基材を保護している、熱的に成長した酸化クロム)が金属へ還元されない程度に十分に高い。請求項に記載の雰囲気を使用しない場合、金属基材にすぐ隣接する雰囲気は、酸化物スケールが還元され、又は金属基材から蒸発して、保護されていない金属を残す程度に還元性になることが示された。酸化物スケールがアノード内のニッケルと金属基材との間のバリアとして機能することなく、基材とアノードとの間で金属の広範囲な相互拡散が起こる。これにより、その後の焼成工程の間、アノード内の著しい量の混入物(多くの場合、スチールを使用する場合、酸化鉄の形態)の存在につながり、また、スチールを用いた場合、スチール内にオーステナイト相を形成することによる基材の歪曲につながる。この歪曲は、オーステナイト相が残りの基材よりも非常に高い熱膨張係数を有することで起こる。
多くの場合、焼成工程c)の還元性雰囲気は、0.01〜50体積%の酸素源、多くの場合0.2〜10体積%、又は0.5〜3体積%の酸素源を含む。したがって、多くの例において、酸素分圧、例えば金属基材上に存在する任意の不動態層の還元、及びそれに伴うアノードの焼成の間の基材の分解を妨げ、酸化ニッケルの還元を妨げる程高くはない酸素分圧を提供するのに十分な量の酸素源が存在しさえすれば、酸素源は、この工程の還元性雰囲気のほんの少量成分であってよい。
酸素源が水蒸気である場合、還元剤及び不活性気体の組合せを水浴に通してバブリングし、気体混合物を水蒸気で飽和させることにより、水蒸気を還元性雰囲気へと便宜に加えてもよい。
多くの場合、還元剤は、還元性雰囲気に0.5〜50体積%、多くの場合1〜10体積%、多くの場合2〜5体積%で存在する。多くの場合これらの低濃度で存在する還元剤は、確実に酸化ニッケルを金属ニッケルへと還元し、ニッケルを焼結するのに十分である。金属ニッケルは、酸化ニッケルよりも焼成温度でより効果的に焼結し、高延性であるので、セリアの焼結の間に希土類ドープされたセリア周辺を流れ、確実に希土類ドープされたセリアを良好に焼結し、形成される強い多孔質サーメット内の焼結ニッケルと希土類ドープされたセリアとを良好に混合する。更に、還元剤が水素である場合、5%以下の水素濃度で作動させることは、雰囲気が非可燃性であることを意味するので、有益である可能性がある。
したがって、工程c)の還元性雰囲気の酸素分圧は、10−14〜10−22bar(1bar=100kPa)、多くの場合、10−15〜10−21bar、又は10−17〜10−19barであってよく、これらの酸素分圧においては、アノードの焼成のために典型的に使用される温度において、ニッケル金属及び酸化クロムの形成に望ましいことが分かった。これは、酸化ニッケルからニッケル金属への必要な還元を提供し、電極活性層の形成を可能にし;少なくとも支持体が、最も一般的に用いられる金属支持体であるフェライトステンレススチールであるSOFCにとって、不動態層が保持されることもまた確実にする。
前記のように、焼成工程c)におけるサーメットの形成は、酸化ニッケルからニッケル金属への還元を本質的に含んでおり、焼結プロセスのいかなる時点であってもよく、例えば、酸化ニッケルからニッケル金属への還元が、酸化ニッケルの全部又は実質的に全部が焼結の前にニッケルへと還元される条件であってよく;あるいは、ニッケルへの還元が始まる前に酸化ニッケルを焼結する条件を提供してもよく、この場合、ニッケル金属は酸化ニッケルよりも高い焼結活性を有するので、酸化ニッケルは焼結を開始し、形成したときにニッケル金属が後に続く。
本明細書で用いる、「完全(fully)」及び「すべて(all)」などの、酸化ニッケルからニッケル金属への還元、及び焼結の程度に関する表現は、当業者によって解釈されるような通常の意味を与えられることが意図されており、例えば、「全ての」酸化ニッケルが還元されたというときには、少ない割合の酸化ニッケルがあってもよいが、しかしながら方法の精度の範囲内で還元は完全であるとみなされる。更に、酸化ニッケルからニッケル金属への還元は実質的に全て完了してもよく、又はほとんど全て完了してもよい、例えば、還元されたニッケルは、95〜99.9質量%のニッケル、あるいは98〜99.5質量%のニッケル、おそらく99〜99.5質量%で存在してもよい。
ニッケル含有材料の焼結に関する反応条件を変更して、酸化ニッケルの還元を制御することができる。例えば、焼結の最低温度に達する前に、酸化ニッケルがニッケル金属へと完全に還元されるように、炉の温度を焼結温度へと段階的に上げることができる。代替として、酸化ニッケルのための還元温度(たとえば、300℃〜450℃)まで炉を急速に加熱して、完全な還元が起こるまでこの温度に保ち、その後焼結温度へ急速に加熱してもよい。したがって、焼成工程c)において、焼結の前に酸化ニッケルをニッケル金属へと還元する方法が提供される。これらの方法は、還元する前に酸化ニッケルを焼結する場合よりも、焼結の前に酸化ニッケルからニッケル金属への完全な還元を提供し、アノードに生じる応力をより少なくし、クラッキングをより少なくすると考えられる。
代替として、酸化ニッケルをニッケル金属へと完全に還元する前(または、雰囲気が非還元性である任意の還元の前)に焼結を開始するように、サンプルを、空気、不活性雰囲気、又は還元性雰囲気中で、酸化ニッケルの焼結温度へと加熱してもよい。空気又は不活性雰囲気を使用する場合、酸化ニッケルのための焼結温度において、還元性雰囲気を導入し、酸化ニッケルからニッケルへの還元を可能にし、サーメットの焼結を更に促進してもよい。したがって、焼成工程c)において、ニッケル金属へと還元する前に、酸化ニッケルを少なくとも部分的に焼結する方法が提供されるが、しかしながら、完全に焼結することも可能である。希土類ドープされたセリアは、適切な温度に達したとき焼結する。
本明細書に記載の方法の第一の工程は、未焼結のアノード層を金属基材に適用することであり、典型的に、金属基材はステンレススチール基材であり、特にフェライトステンレススチールは加熱したとき酸化クロム表面不動態層を形成するので、フェライトステンレススチール基材である。本明細書で用いる用語「支持体」及び「基材」は、金属支持体/基材を意味するものとして交換可能に使用されることを意図する。他の耐熱スチールで共通して形成される酸化アルミニウム又は酸化シリコンとは対照的に、酸化クロム不動態層を形成することは、酸化クロムは高温において絶縁ではなく電子半導体であり、フェライトステンレススチールを燃料電池用途における使用に適するものにするという利点を有する。フェライトステンレススチールは、アルミニウムを含まないフェライトステンレススチール、例えば、安定剤としてのチタン及び/又はニオブを含むフェライトステンレススチールであってもよい。多くの場合、フェライトステンレススチールは、約17.5〜23質量%のCrを含む。具体的には、フェライトステンレススチールは、欧州規格1.4509(17.5〜18.5質量%Cr)及び/又は欧州規格1.4760(22〜23質量%Cr)から選択してもよいが、当業者であれば理解できるように、類似のフェライトステンレススチールの規格を使用してもよい。
基材の厚みは、約50〜500μm、多くの場合約50〜400μm、場合によっては約200〜350μmであってもよい。基材の厚さは、安定な基材を提供する必要性によって決定され、電池形成又は使用の間にゆがまないが、できるだけ薄くして、燃料とアノードとの間の効果的な接触を可能にする。英国特許第2368450号明細書に記載されているように、この接触は、基材の非多孔質領域に囲まれた多孔性領域であって、アノードがその上に形成される多孔性領域を提供することによって、優れた結果とともに達成することができる。多くの場合、基材の多孔性領域は、基材表面の一方と他方とを流動的に相互接続する複数のつながった開口を含み、多くの場合、これらは均一に間隔を置いて離れ、更に又は代替として約5〜500μm、又は約100〜300μmの横方向寸法を有する。更に、開口は、基材の多孔質領域の約0.1〜5面積%、又は基材の多孔質領域の約0.2〜2面積%を占めてもよい。これらの特徴の各々は、燃料が基材を通ってアノードへと効率的に移動することに寄与し、金属基材に燃料電池を支持させつつ、電池内の電気化学的活性層の厚みを大きく低減することを促進する。
典型的に、基材は箔であるが、しかしながら焼結基材を使用することもできる。箔の利点は、多孔質領域の構造の制御が容易であることである。
未焼結のアノード層は、一般に、酸化ニッケル、及び希土類ドープされたセリアを含むインクを適用することによって形成されるが、しかしながら、他の方法を用いてもよい。これらの2成分は、一般に、インクベース内に粉末として懸濁しており、インクベースは、一つ又は複数の揮発性の溶媒、一つ又は複数の溶解した不揮発性の高分子バインダ、分散剤、湿潤剤、及び他の一般的なインク成分を一般に含み、酸化ニッケル及び希土類ドープされたセリアの粒度分布d90は、多くの場合0.1〜4μm、又は0.2〜2μm、又は0.7〜1.2μmである。酸化ニッケル及び希土類ドープされたセリアの粒度分布及び径自体は異なってもよいが、しかしながら、それらが同じであるか又は同様である場合、アノードの粉末の良好な混合、及びしたがって強い焼結を促進するのを助けるので、有益である可能性がある。インク内により容易に懸濁し、アノード層内の成分のより高い均一性を提供し、高い表面積対体積比を有し、粒子の反応性及び焼結容易性を増大させるので、一般に小さな粒径が選択される。
典型的に、インクは、インクの30〜70質量%の酸化ニッケルの固形分を含む。多くの場合、これは35〜45質量%であり、固体の残りは希土類ドープセリアである。すなわち、多くの場合、インクの固体は、金属酸化物及び希土類ドープされたセリアのみであり、すなわち、多くの場合、アノードは、酸化ニッケル及び希土類ドープされたセリアから成り、又はこれらから本質的に成る。
多くの例において、希土類ドープされたセリアは、式Ce1−xRE2−x/2であり、REは希土類、及び0.3≧x≧0.05である。多くの場合、希土類ドープされたセリアは、ガドリニウムドープされた酸化セリウムであり、多くの場合、式Ce0.9Gd0.11.95(CGO10)である。これらは、ジルコニアベースの材料を含む多くの電解質材料よりも高い酸素イオン伝導率を有するので、これらの化合物が一般に使われ;これによって、燃料電池が従来のSOFCより低い温度で作動することを可能にし、本発明の燃料電池の作動温度は、典型的に450〜650℃、多くの場合500〜620℃である。より低い温度で燃料電池を作動することは、非還元性雰囲気におけるニッケルの酸化速度が低減され、その結果、粒子の外殻のみが酸化され、アノード内の体積変化を低減し、したがって還元性雰囲気の燃料供給が中断される場合におけるクラッキングの危険性を低減することにつながることを含む、多くの利点を有する。更に、金属支持体の使用が可能になり、電極及び電解質材料は構造的役割をあまり果たさない、あるとしてもほとんど果たさないので、これらを薄層にすることが可能である。
未焼結のアノード層の適用は、一般に、まず金属基材にインクを適用することを含み、これは典型的に印刷によって、例えばスクリーン印刷によって行うことができるが、しかしながら、当業者に知られているように、他の方法、例えばテープキャスティング、減圧スリップキャスティング、電気泳動堆積、及びカレンダー加工を用いてもよい。多孔性領域が存在する場合、基材へのインクの適用は、典型的に、多孔質領域を覆って層が成形され、しかしながら非多孔質領域が実質的に覆われないままになるように行う。これは、燃料がアノードをバイパスすることがなく、しかしながら必要より多く基材を覆わないことによって、材料コスト及び質量を最小にすることを確実にする。
この最初の適用の後に、任意にインクを乾燥させてプリント層を提供する工程を行う。乾燥は、空気乾燥でもよく、又は穏やかに加熱してもよい。穏やかな加熱は、多くの場合、プリント層の形成の速度を上げるために用いる。50〜150℃の温度が典型的である。乾燥工程は、溶媒を蒸発させ、使用する任意のインク処方の任意のバインダを固め、インクを凝固させて、本願明細書においてプリント層と称する、もろい最初のアノード層を形成する。この層の厚みは、一般に5〜40μm、多くの場合7〜20μm、多くの場合9〜15μmである。本発明の燃料電池はアノード支持電池ではないので、多くの従来の燃料電池よりもアノード層を非常に薄くすることができ、このことは酸化還元サイクルの間の全体の体積変化がより小さいという利点を有し、したがって経時的なアノードのクラッキングが著しく低減される。したがって、未焼結のアノード層の適用は、まず金属基材にインクを適用し、インクを乾燥させて、厚さ5〜40μmのプリント層を提供することを含む。
多くの場合、本発明の方法は、未焼結のアノード層を100〜300MPaの圧力で圧縮する工程をさらに含む。この圧縮工程は、未焼結のアノード層の密度を上昇させ、酸化ニッケル及び希土類ドープされたセリアの粒子を十分に近接させ、本発明の方法で使用される温度で効果的に焼結することを保証する。しかしながら、焼成工程c)において定義した還元条件におけるアノード層の焼成は、希土類ドープされたセリア及び酸化ニッケルの焼結に非常に好ましいので、圧縮工程の使用は必須ではなく、したがってこの工程は省略してもよい。存在する場合、多くの場合、圧縮工程は、プリントした層を加熱する工程と組み合わせて使用し、圧縮の前にインクベースから残留した有機材料を除去し、圧縮してもよい酸化ニッケル及び希土類ドープされたセリアを含む、未焼結のアノード層を残す。当業者に知られているように、様々な圧縮方法を使用してもよく、多くの場合、単軸又は冷間等方圧プレスが使用される。
非還元条件下で未焼結のアノード層を予備焼成して複合材を形成する工程は、残留した有機成分をインク(代替のキャリアでなくインクを用いる場合)から除去し、弱く焼結した酸化物−セラミック構造の製造をとおしてアノード層を金属基材へと結合し、金属支持体上に不動態層を形成させ、支持体を保護し、アノードとバルク金属との間に拡散バリアを提供する。未焼結のアノード層の予備焼成は、一般に、950〜1100℃、多くの場合980〜1050℃、又は1000〜1030℃の温度の炉内で行う。これらの範囲の上限は、基材の安定性に基づいて選択される。約1100℃超では、高い耐酸化性で知られる高クロム含有量のスチールでさえ、空気中であまりに急速に酸化するので、基材が焼成工程に耐えることができない。具体的には、アノードサーメットの形成の間、酸化クロム不動態層が成長し、繰り返し剥がれ落ち、容認できない程度に金属基材を弱める。セリア化合物は1100℃未満の温度で焼結してもよいので、希土類ドープされたセリアの使用は、ロバストなサーメットの形成とともに、金属基材の使用を促進する。下限は、不動態層の形成、及びインクから任意の残留した有機物質を除去する必要性によって導かれる。
予備焼成工程は、典型的に空気中での焼成であるが、しかしながら、他の非還元性雰囲気を使用してもよい。典型的に、焼成工程は、15〜60分の時間にわたる。インクから任意の残留した有機物質を除去することを可能にし、酸化物−セラミック複合材を最初に焼結し、炉が熱的平衡に達することを可能にする程度に、焼成期間は十分でなければならないが;しかしながら、長すぎる焼成期間は金属支持体の酸化を増大させ、フェライトステンレススチールを使用する場合、支持体から蒸発するクロムがアノードへ混入する可能性がある。したがって、最適な焼成期間は15〜60分である。
方法は、アノードの予備焼成、アノードの焼成、アノードの焼結、電解質の焼結、カソードの焼結、又はこれらの組み合わせから選択される加熱工程の少なくとも1つの間に、金属基材を補強する工程をさらに含んでもよい。基材を補強することは、アノード、電解質、及び/又はカソードの焼結及び収縮として基材に適用される加熱の間又は応力の下で、基材が歪曲することがないという利点を有する。一旦アノードサーメットが成形されたとき基材形態を維持するのに役立つので、これはアノードの形成につながる加熱工程の間、特に重要である。典型的に、基材は電極活性層に比べて厚く、電極活性物質の層は基材上に成形されてSOFCが製造され、したがって、補強は一般に基材を平坦に保ち、補強は当業者に知られている様々な方法を使用して行ってもよい。これは、基材をピン止めすること、締め付けること、又は加重することを含むことができる。基材の加重は、多くの場合アノードの端周辺にセラミックフレームを適用することを含む。
予備焼成工程b)の後に、工程c)において定義した還元性雰囲気中で複合材を焼成する。(支持体に接着した)複合材を冷やして、不活性雰囲気を含む炉内に複合材を移動すること、又は予備焼成工程のために使用した炉の雰囲気をパージして、所望の還元性雰囲気でこれを置換することによって行ってもよい。これは、様々な方法で達成してもよい。例えば、2台の炉を使用する場合、予備焼成炉を周囲温度に冷やし、加熱前に不活性気体でパージして酸素を除去した第二の炉へと部品を移動してもよい。この第二の炉を焼成温度へと、例えば周囲温度〜500℃へと加熱する間、還元剤及び酸素源を不活性雰囲気へと導入してもよい。代替として、炉を1台だけ用いる場合、予備焼成工程の後、炉の雰囲気をまず空気から不活性雰囲気(例えばアルゴン、又は窒素)へと変えることができ、次に還元剤及び酸素源を、100〜1100℃、場合により500〜1050℃、多くの場合900〜1030℃の温度で添加することができる。選択される方法は、製造ライン上の考慮点に依存し、1つ又は2つの炉の選択のどちらが効率的であるかは、燃料電池及び工場の設計の両方によって変化することがあることが理解されよう。
焼成工程c)は、酸化ニッケルをニッケル金属へと還元し、この工程は、予備焼成工程b)について上述したものと同様の温度及び滞留時間で一般に(独立して)行う。これらの温度において、存在する任意の不動態層は安定なままであり、したがって金属基材の酸化は、基材が腐食したり、SOFCの構造的完全性を弱めるようなものではない。しかしながら、温度は、確実にニッケル及び希土類ドープされたセリアを良好に焼結し、サーメットを製造する程度に十分であり、ロバストなアノード、及びより安定なSOFCにつながる。更に、アノードに不必要な混入物がないように、フェライトステンレススチールを使用する場合、支持体から蒸発するクロムが混入することがないように、良好な焼結を確実にするには、15〜60分の留時間が適切であることが分かった。
これらの条件下の焼成及び焼結は、Ce4+イオンが部分的にCe3+イオンに還元されることによりカチオン可動性が増加することをとおして、アノードの酸化ニッケルが金属ニッケルへと還元され、希土類ドープされたセリアの焼結を強化することを確実にする。更に、金属ニッケルは、同じ温度で酸化ニッケルよりもはるかに容易に焼結し、高延性であり、容易に移動して、希土類ドープされたセリア相の焼結に適応することができることを意味する。この温度範囲において、金属ニッケルの焼結は(従来のセラミック焼結温度における場合よりも)過剰ではないが、しかしながら、金属ニッケルの強い多孔質焼結ネットワークが形成される。従来のアノード形成方法では、酸化ニッケルは還元されないが、しかしながら、希土類ドープされたセリアと共に酸化ニッケルとして焼結される。酸化ニッケルは、電池の作動の開始時に初めて還元され、アノードの体積変化につながり、及びしたがって、アノード−電解質界面における応力の結果として、アノードのクラッキング及び電解質からの分離の恐れがある。電解質が存在する前の、酸化ニッケルからニッケルへの還元及び上述の焼結は、最初の作動時にこの体積変化を激減させ、上述のようなクラッキングの問題を解決することに大いに役立つ。
更に、本発明の方法は、電解質を提供する前に、焼結ニッケルを再酸化する工程をさらに含んでもよい。これは、還元及び酸化サイクル全体が完了したアノード材料に、電解質が適用される前に、安定なミクロ構造の形成を提供する。アノードのミクロ構造の変化の大部分は、最初の酸化還元サイクルにおいて起こるので、この再酸化工程を含むことは、その後の作動中の酸化還元サイクル、又は使用中に還元性雰囲気が失われた場合(たとえば燃料が電池へと流れることを妨げるシステム故障がある場合)の、上述の作動温度におけるニッケルから酸化ニッケルへの酸化によって、ミクロ構造の変化にダメージを受ける危険性を低減する。
再酸化は、還元性雰囲気を酸性雰囲気へと置換することによって、簡単に達成してもよいが;しかしながら、制御された再酸化が起こる環境を提供することが有益である可能性がある。すなわち、還元剤を除去し、不活性キャリア気体及び酸素源を保持することによって、焼成工程c)の還元性雰囲気を変更することが有利である可能性がある。これらの条件下では、炉内の酸素分圧は、金属ニッケルが熱力学的に安定であるレベルを越えるまでゆっくり上昇し、アノード中のニッケルが酸化ニッケルへとゆっくり再酸化することを可能にする。再酸化工程は、存在する場合、ニッケルが焼結する温度未満の温度で一般に行い、したがって典型的に再酸化温度は、焼結温度〜200℃、より多くの場合1000〜500℃、多くの場合750〜650℃である。多くの場合、再酸化工程は、焼結の後、炉の冷却の間に、還元剤を除去して雰囲気を変化させることをとおして、簡単に行うことが可能である。
電解質及びカソードを提供する工程は、本技術分野において周知な工程である。典型的に、本発明の燃料電池に使用する電解質の厚みは、5〜30μm、多くの場合10〜20μmである。そのような薄い電解質層を提供することは、カソードからアノードへの酸素イオンの迅速な移動を提供する。多くの場合、電解質は、希土類ドープされたセリアを含み、適切な希土類セリアは、アノードについて上記に定義したものである。いくつかの例において、電解質は、低濃度の酸化コバルトと組み合わせて、希土類ドープされたセリアを含んでもよく、焼結助剤として、例えば0.5〜5質量%の酸化コバルトであってよく、残りの電解質は希土類ドープされたセリアであってよい。アノード及び電解質のための希土類ドープされたセリアの使用は、いずれも、化学的及び熱膨張の両方に関して、燃料電池のこれらの成分の間の適合性を強化することに役立ち、このことは、酸化還元サイクルの間の、層間の機械的応力を低減し、したがって、使用中のクラッキング及び燃料電池の故障の可能性を低減することに厳密に適合する。更に、これらのセリアは高い電荷移動速度を有するので、これらを含有することは電解質とアノードとの間の良好な電荷移動速度を確実にする。
アノードを完全に形成した後、及び任意にニッケルを酸化ニッケルへと再酸化した後に、電解質は別々の焼成工程において一般に焼結される。
典型的に、カソードの厚みは30〜60μm、多くの場合40〜50μmである。カソードは、一般に、酸素の還元が起こる薄い活性層と、スタック内の電池から電流を集めることができるより厚い集電体層との2つの層を含む。集電体層は、一般に、ペロブスカイト、例えばランタンストロンチウムコバルタイトであるが、しかしながら、電子伝導性のあらゆるセラミック材料を用いてもよい。
活性層カソードは、ペロブスカイト酸化物混合導体と、希土類ドープされたセリアとの、焼結された粉末状混合物を含んでもよく、希土類ドープされたセリアは上記に定義したものである。ペロブスカイトは、La1―xSrCoFe1−y3−δ含んでもよく、ここで、0.5≧x≧0.2、及び1≧y≧0.2である。具体的には、ペロブスカイト酸化物混合導体は、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83−δ、Gd0.5CoO3−δ、及びRESr1−xCoO3−d、(ここで、RE=La、Sm、Pr、及び0.5<x<0.8)の一つ又は複数を含んでもよい。これらは、ほとんどのペロブスカイトより高いイオン性伝導率を有するので、これらの化合物を使用することは有用である可能性がある。場合によっては、混合物は、上記に定義したように、20〜50質量%の希土類ドープされたセリア、場合によっては30〜45質量%、場合によっては35〜45質量%、又は約40質量%の希土類ドープされたセリアを含む。これは、上述した化学的及び熱膨張の両方に関してカソードと電解質との間の適合性を強化することに役立ち、これらのセリアは高い電荷移動速度を有するので、これらを含有することは、電解質とカソードとの間の良好な電荷移動速度を確実にする。
カソードは、一般に、使用する前に焼結される。カソードは、典型的に、一つ又は複数の層(たとえば活性及び集電)として、直接又は間接的に、焼結した電解質の上に適用され、アノードについて記載したものと同様の条件で焼結される。これは、繰り返される酸化還元サイクルに対して、及び形成されるアノード構造体の結果として、高温における燃料欠乏に対してロバストな、中間温度の金属支持SOFCを提供する。
本発明の第二の側面において、本発明の第一の側面による方法によって形成された金属支持固体酸化物燃料電池が提供される。
いくつかの例において、燃料電池は、特許された英国特許2368450号明細書に記載されている種類の燃料電池であり、引用により本明細書に取り入れられる。そのような場合、燃料電池は:
(i)多孔性領域、及び多孔質領域を囲む非多孔質領域を含む、フェライトステンレススチール支持体;
(ii)支持体の多孔質領域の一方の表面下に位置し、支持体の多孔質領域の周りの非多孔質領域に密封して取り付けられた、フェライトステンレススチールバイポーラプレート;
(iii)支持体の多孔質領域の他方の表面上に位置するアノード層を含む、アノード;
(iv)アノード層の上に位置する電解質層を含む、電解質;及び
(v)電解質層の上に位置するカソード層を含む、カソード;を含む。
ここで、アノードは、ニッケル及び希土類ドープされたセリアを含み、燃料電池は、本発明の第一の側面による方法によって形成される。
燃料電池は、2以上の燃料電池を含む燃料電池スタック内に存在してもよく、したがって、本発明の第三の側面において、本発明の第二の側面による燃料電池を含む燃料電池スタックが提供される。それぞれの燃料電池は、前記のように、支持体が溶接され、又はそうでなくとも封止される、バイポーラプレートを含んでもよい。
本発明の第四の側面において、本発明の第二の側面による燃料電池の、電気エネルギーの生成のための使用が提供される。
本発明の方法は、アノードの劣った焼結の問題、支持体の分解、及び使用中の電解質の剥離を回避する、金属支持SOFC電池における使用に適する、高焼結されたニッケル−希土類ドープされたセリアの厚いフィルムアノードを製造する方法を提供することを目的とする。方法は、金属支持固体酸化物燃料電池を形成する方法であってもよく、方法は:
a)酸化ニッケル及び希土類ドープされたセリア(両者は任意に粉末状であり、及び任意に粒度分布d90が0.2〜3μmである)を任意にインクの形態で含む、未焼結のアノード層を、金属基材へ適用すること、
b)インクを任意に乾燥させて、厚み5〜40μmのプリント層を提供すること;
c)任意に、未焼結のアノード層を、100〜300MPaの圧力で圧縮すること;
d)任意に、アノード層の予備焼成及び複合材の焼成のために、任意に金属支持体に加重することによって、任意に金属を補強すること;
e)非還元条件(任意に空気中)で、任意に950〜1100℃の温度でアノード層を予備焼成して、複合材を形成すること、
f)還元性雰囲気で複合材を焼成して、焼結サーメットを形成することであって、雰囲気は不活性気体、気体還元剤、及び気体酸素源を任意に含み、還元剤は0.5〜50体積%の水素を任意に含み、酸素源は0.01〜50体積%の水蒸気を任意に含み、不活性気体はアルゴンを任意に含み;複合材の焼成は任意に950〜1100℃の温度で行い、焼成条件は、ニッケル含有成分を焼結する前に、酸化ニッケルからニッケル金属への還元を任意に提供する、形成すること、
g)電解質を提供する前に、任意に、焼結ニッケルを再酸化すること;
h)電解質を提供すること;並びに
i)カソードを提供すること、を含む。
本明細書に記載されている方法のSOFCのための使用は、アノード構造が中間作動温度(650℃未満)における酸化還元に非常に安定であるので、著しく電池性能を低下させることなく、何百もの高温での燃料中断に耐えることができるSOFCを提供する。
別途記述しない限り、本発明に記載されている整数のそれぞれは、当業者であれば理解されるように、任意の他の整数と組み合わせて使用してもよい。本発明の全ての側面は、その側面に関して記載されている特徴を好ましくは「含む」が、しかしながら、具体的には、それらは請求項に記載されている特徴「から成る」、又は「から本質的になる」ものであってよいことが想定されている。更に、全ての用語は、本明細書において具体的に定義しない限り、本技術分野においてそれらの一般に理解される意味が与えられることを意図する。
更に、本発明の議論において、反対のことを述べない限り、パラメータの許容範囲の上限又は下限に係る代替値の開示は、小さい代替値及び大きい代替値の間にある上記パラメータのそれぞれの中間値自体が、そのパラメータに係る可能性ある値として開示された、暗示的記載として解釈される。
更に、別途記述しない限り、本出願に記載の全ての数値は、用語「約」によって修飾されたものとして理解される。
本発明がより容易に理解されるように、以下の図面を参照しながら、更に具体例に記載する。
図1は、英国特許第2368450号明細書に記載されているような、SOFCの模式図である。
図2は、図1のSOFCの断面を示す、走査型電子顕微鏡写真(SEM)である(15.0kV、7.9mm×1.50k)。
図3は、温度500〜1100℃の範囲、及び酸素分圧log 0〜−40の範囲をカバーする、ニッケル/酸化ニッケル系の熱力学的相図である。
図4は、温度500〜1100℃の範囲、及び酸素分圧log 0〜−40の範囲をカバーする、クロム/酸化クロム系の熱力学的相図である。
図5は、水素及び水蒸気分圧の関数としての、1030℃及び全圧1barにおける、ニッケル/酸化ニッケル系の熱力学的相図である。
図6は、水素及び水蒸気分圧の関数としての、1030℃及び全圧1barにおける、クロム/酸化クロム系の熱力学的相図である。
図7は、空気において予備焼成した後の、本発明のSOFCの金属支持体及びアノードの断面を示すSEMである(15.0kV、7.0mmx4.0k)。
図8は、後述するように還元水素雰囲気で焼成し、再酸化した、金属支持体及びアノードの断面を示すSEMである(20.0kV、4000x)。
図9は、図8の断面をより高倍率(20.0kV、13000x)で示すSEMである。
図10は、本発明の方法を使用してできたSOFCの断面を示すSEMである。
図11は、電池作動温度の関数としての、図10のSOFCについての電流−電圧曲線である(56%水素−44%の窒素燃料、過剰量の空気をカソードに供給)。
図12は、図10のSOFCの電力サイクルグラフである。
図13は、標準的な、図2で説明したようなニッケル−CGOアノード、及び図8で説明したような還元焼成したニッケル−CGOアノードの両者について、最初に製造された後、及び最初の性能特性評価試験で作動させた後の電池の両方のSOFC電池に対して行った、機械的強度試験の結果の表である。
英国特許第2368450号明細書に記載されているようなSOFC10を、図1において図式的に、及び図2においてSEM断面で示す。両図は、基材2の中心領域を通る数千もの孔をレーザードリル加工することによって、部分的に多孔質にしたフェライトステンレススチール基材1を示す。多孔質基材は、基材1の多孔質領域2を覆う、酸化クロム不動態層11、酸化ニッケル、及びCGOアノード層3を含む。アノード層3の上には、基材1のドリル加工されていない領域9上へアノード3上に重なるCGO電解質層4(10〜20μm、CGO)が堆積しており、このようにしてアノード3の端周辺に封止を形成した。カソード5、6は、酸素の還元が起こる薄い活性層5(CGO複合材)、及びスタックの電池10から電流を集めることができるより厚い集電体層6(ランタンストロンチウムコバルタイト)を有する。図2は、電子伝導を妨げ(カソード5、6とジルコニア層7と望ましくない化学反応からの短絡を防ぎ)、アノードと電解質との間にそれぞれ界面を形成する、非常に薄い安定化ジルコニア層7と、さらにより薄いドープされたセリア層8とをさらに示す。
酸化ニッケル粉末及びCGO粉末(d90=0.7〜1.2μm、インク中の酸化ニッケル対CGOの質量比1:0.55)の懸濁粒子を含むスクリーン印刷インクを適用することによって、図1及び2のSOFC10を調製した。従来の方法を用いて、インクをフェライトステンレススチール基材1上へスクリーン印刷し、オーブンで乾燥して溶媒を蒸発させ、バインダを固化し、これによって厚み9〜15μmの乾燥したプリント層を形成した。300MPaの圧力で冷間等方圧プレスを使用して、乾燥したプリント層を圧縮した。未焼結のアノード層を炉内に置き、空気雰囲気で40分間960℃の温度に加熱して、焼結したアノード層3を製造した。CGO電解質層4をアノード層3上に吹き付け、1020℃で40分間、炉内で焼成させた。最後に、英国特許第2456445号明細書に開示されている方法により、焼成した電解質層にジルコニア層7を適用し、ドープされたセリア層8、及び2枚のカソード層5、6もまた英国特許第2456445号明細書の方法によって適用し、825℃の温度で焼成してSOFC1の構造を製造した。
対照的に、図1及び2のSOFC10と同様の構造を有する、本発明のSOFC10(図7〜10を参照)は、異なる方法で調製され、酸化ニッケル相、多孔質アノード構造体、及び支持体1とアノード3との間の隣接する酸化クロム不動態層11の良好な焼結を示した。図10は、電解質層4、カソード層5、6、ジルコニア層7、及びドープされたセリア層8もまた示す。
図7〜10のSOFCは、酸化ニッケル粉末及びCGO粉末(d90=0.7〜1.2μm、酸化ニッケル対CGOの比1:0.78)の懸濁粒子を含むスクリーン印刷インクを適用することによって調製した。従来の方法を使用して、インクをフェライトステンレススチール基材上へスクリーン印刷し、乾燥して溶媒を蒸発させ、バインダを固化し、これによって厚み9〜15μmの乾燥したプリント層を形成した。乾燥したプリント層を、1020℃の温度で40分間、空気中で焼成して、焼結したアノード層3を製造した。炉を室温に冷却し、5%水素/アルゴン混合物を用いて、系から空気をパージした。
4.85体積%の水素、2.91体積%の水蒸気、残部のアルゴンを含む雰囲気を導入し、炉を1045℃に加熱した。水素及びアルゴン混合物を脱イオン水に通してバブリングすることによって、水蒸気を、水素及びアルゴンの乾燥混合物に導入し、還元性雰囲気中、10−17〜10−19barの酸素分圧にした。この雰囲気及びこの温度で40分間複合材を焼成して、酸化ニッケルを金属ニッケルへと還元し、ニッケル及び希土類ドープされたセリアを焼結して、サーメットを形成した。
40分後に炉を冷却して、雰囲気を、脱イオン水を通してバブリングした窒素に切り替えた。これは酸素分圧を10−13bar超まで上昇させ、ニッケル金属から酸化ニッケルへの酸化に導いた。
完全に冷却した後に、炉内で、空気中、700℃で60分間アノードを加熱することによって、アノードを再酸化した。
焼結したアノード3を、図1及び2について上述したように処理し、CGO電解質層4、ジルコニア層7、ドープされたセリア層8、及び2枚のカソード層5、6を含む、完全な固体酸化物燃料電池を形成した。
酸化ニッケル及び酸化クロムの安定性
酸化ニッケルからニッケル金属への還元はアノードの機能の鍵であるので、ニッケル、酸化ニッケル、クロム、及び酸化クロムの安定性は、本発明の系における関心事である。SOFC支持体上の不動態層の形成及び維持は、支持体とアノードとの間の拡散の防止に重要であり、最も一般的に用いられる基材はフェライトステンレススチール基材であるので、不動態は典型的には酸化クロムであり、アノードに混入してその効率が低減され、及び支持体に混入してオーステナイト相を形成し、支持体の構造的完全性が低減される可能性がある。更に、不動態層は、燃料電池の形成に使用される焼成工程の間、及びその後の使用において、支持体の分解を防ぐ。
図3は、温度及び酸素分圧の関数として、金属ニッケルの熱力学的安定性の限界を示す、ニッケル/酸化ニッケル系の熱力学的相図を示す。1000〜1100℃において、金属ニッケルは、10−13〜10−14bar程度の酸素分圧において安定であることが分かる。したがって、これら以下の酸素分圧において、酸化ニッケルは金属ニッケルへと還元される。
図4は、クロム/酸化クロム系の等価相図を示しており、1000〜1100℃において、金属クロムは10−22〜10−24barの酸素分圧、又はそれ未満においてのみ安定であることを示す。したがって、酸化クロム不動態層は、約10−22bar超の酸素分圧で保持される。
図5は、水素及び水蒸気分圧の関数として、1030℃及び全圧1barにおける、ニッケル/酸化ニッケル系の相図を示しており、0.5〜10%の水蒸気、及び1〜20%の水素を含むあらゆる気体混合物は十分に還元性であり、安定相は金属ニッケルのみであることを示す。
図6は、クロム/酸化クロム系の等価相図を示しており、同じ範囲の気体混合物について、熱力学的に安定な相は酸化クロムのみであることを示す。
SOFC構造
図7は、空気中での最初の焼成の後、本明細書に記載されている方法によって製造されたアノード3のSEM断面を示す。この画像は、フェライトステンレススチール基材1、基材1上の熱的に成長した酸化クロムスケール11、並びに酸化ニッケル(暗い相−45体積%)及びCGO(明るい相−55体積%)からなる弱く焼結した多孔質アノード構造体3を示す。図8は、還元性雰囲気における焼成、その後の再酸化の後のアノード3の断面図であり、図9は、同じアノード3ミクロ構造の高拡大画像である。これらの図は、酸化クロム不動態層11が焼成後に無傷で残存すること、並びに酸化ニッケル相12及び明るいCGO相13の両方が良好に焼結されたことを示す。良好な焼結は、セラミックと金属領域との明白な差異によって実証された。セラミック領域は、明るい領域及び暗い斑点の金属領域として現れた。
図10は、燃料電池10の作動後の、本明細書に記載されている方法によって製造された、アノード3を有する完成したSOFC電池10を示す。アノード構造体3は、上述のように、SOFC10の他の部分とともに、SOFC作動の間にアノード3内の酸化ニッケルが金属ニッケルへと還元して戻った後に見ることができる。
得られたアノード構造体は、650℃未満の作動温度において、酸化還元安定性が高いことが実証され、電池性能を著しく低下させることなく何百もの高温の燃料中断に耐えることができた。
SOFC性能
図11は、図10の燃料電池の異なる作動温度における電流−電圧分極曲線である。燃料速度を算出したところ、測定したそれぞれの温度で0.75V/セルで燃料利用率は約60%であり、システムは少なくとも492〜608℃の広い温度範囲の全体にわたって作動することができ、用途、スタックのセル数、必要な出力等のために運転温度を最適化することができることを示した。
図12は、このアノード構造体によって可能な、非常に良好な酸化還元安定性を示す。7層短スタックで、600℃において、電流−電圧曲線を追ってスタック性能を確かめる一連のサイクルを行った。スタックを開回路に戻し、スタックを580〜600℃に維持しながら、スタックへの水素供給を断った。この間、スタックへの空気及び窒素は維持した。燃料の中断を20分間維持し、アノードが部分的に再酸化する時間を与えた。次に水素の供給を回復させ、スタックに数分を与え回復させた後、別の電流−電圧曲線を追って、アノードの酸化還元サイクルの結果としてスタック性能が失われたかどうか確かめた。酸化還元サイクルの結果として、スタック性能が落下し始め、一つ又は複数の電池への損傷を示すまで、このシーケンスを続けた。
図12から、図10のSOFC電池を用いて、全体で291サイクル運転させた、スタック内の7つの電池は、小さな最初の焼き付けの後、あらゆる測定可能な性能低下もなく、200以上の酸化還元サイクルに耐えることがわかる。この例における200サイクルの後に観察された性能低下は、スタックの底の1つの電池の故障によるものであり;スタック設計を機械的に最適化することで、その層の故障を回避することができ、さらに優れた酸化還元安定性につながると考えられる。
図13は、標準的な、図2で説明したようなニッケル−CGOアノード、及び図8で説明したような還元焼成したニッケル−CGOアノードの両方について、最初に製造された後、及び最初の性能特性評価試験で作動させた後の電池の両方のSOFC電池に対して行った、機械的強度試験の結果の表である。還元焼成したニッケルCGOアノードに関する作動後試験は、250を超える酸化還元サイクルを含むものであった。
製造時の電池では、アノードは酸化状態にあり、機械的試験の前には還元されて作動開始時の電池内のアノード構造体を模倣し、一方、作動後の電池におけるアノードは、作動中のアノードの最終的なサーメットの状態である。
電池の機械的強度測定を行うために、まず電池の金属基材を平坦な板金に接着し、引張力が適用される際に電池が曲がることを防止した。電池のカソードを機械的に除去し、電解質を暴露した。
アノード及び/又はアノード−電解質結合の機械的強度を評価するために、円形の金属試験片を、電解質の四隅で電解質表面に、及び電池の中央に接着した。ダイヤモンドスクライバーを用いて、金属試験片の周りで電池のセラミック層を切断した。調整した油圧プーラーを試験片に取り付け、試験片を電池基材から引き離すのに必要な応力を測定した。この技術を使用して最大17MPaの引張応力を適用すると、試験中の燃料電池層よりむしろ、試験片を電解質に保持している接着剤が破損する傾向があった。試験片が17MPa未満で引き離された場合、これは、最も弱い電池層(通常アノードの内部構造)の破損を示す。
標準的なニッケル−CGOアノードは製造時の状態では強いが、それらは作動後の電池において、酸化ニッケルが金属ニッケルへ還元された後、非常に低い応力で破損することが分かった。理論に制約されないが、これは、アノード内に隣接するセラミック構造が欠如していることに大部分起因すると考えられ、アノードの機械的強度はニッケル粒子の間の比較的弱いネックによって全体的に提供されていることを意味する。対照的に、還元焼成したニッケル−CGOアノードは、サーメット構造への還元後にそれらの強度を保持し、金属及びセラミック相の非常に優れた焼結を示すことが分かった。
本発明の方法及び燃料電池は、様々な実施形態の形で取り入れることができ、そのほんの少数が上記に説明及び開示されたことを理解されたい。
本発明の実施形態の例を以下の項目[1]〜[19]に列記する。
[1]
金属支持固体酸化物燃料電池を形成する方法であって:
a)酸化ニッケル、及び希土類ドープされたセリアを含む未焼結のアノード層を、金属基材に適用すること;
b)前記アノード層を非還元条件下で予備焼成して、複合材を形成すること;
c)前記複合材を還元性雰囲気で焼成して、焼結サーメットを形成すること;
d)電解質を提供すること;並びに
e)カソードを提供すること;を含み、
前記還元性雰囲気は酸素源を含む、方法。
[2]
焼成工程c)の前記還元性雰囲気が、不活性気体、気体還元剤、及び気体酸素源を含む、項目1に記載の方法。
[3]
前記還元剤が、水素、一酸化炭素、及びこれらの組み合わせから選択される、項目2に記載の方法。
[4]
前記気体酸素源が、二酸化炭素、水蒸気、及びこれらの組み合わせから選択される、項目2又は3に記載の方法。
[5]
焼成工程c)の前記還元性雰囲気が、0.01〜50体積%の前記酸素源、及び/又は0.5〜50体積%の前記還元剤を含む、項目2〜4のいずれか一項に記載の方法。
[6]
工程c)の前記還元性雰囲気の酸素分圧が、10 −14 〜10 −22 barである、項目1〜5のいずれか一項に記載の方法。
[7]
焼成工程c)において、焼結の前に、前記酸化ニッケルをニッケル金属へと還元する、項目1〜6のいずれか一項に記載の方法。
[8]
焼成工程c)において、前記酸化ニッケルを、ニッケル金属へと還元する前に、少なくとも部分的に焼結する、項目1〜7のいずれか一項に記載の方法。
[9]
前記未焼結のアノード層の予備焼成、及び前記複合材の焼成の少なくとも1つを、950〜1100℃の温度で行う、項目1〜8のいずれか一項に記載の方法。
[10]
前記アノードの予備焼成、前記アノードの焼成、前記アノードの焼結、前記電解質の焼結、前記カソードの焼結、又はこれらの組み合わせから選択される加熱工程の少なくとも1つの間に、前記金属基材を補強することを含む、項目1〜9のいずれか一項に記載の方法。
[11]
前記酸化ニッケル及び前記希土類ドープされたセリアが粉末状であり、前記粉末の粒度分布d90が0.1〜4μmである、項目1〜10のいずれか一項に記載の方法。
[12]
前記酸化ニッケル及び前記希土類ドープされたセリアをインクとして適用する、項目1〜11のいずれか一項に記載の方法。
[13]
前記未焼結のアノード層の適用が、まず前記金属基材に前記インクを適用し、インクを乾燥させて、厚さ5〜40μmのプリント層を提供することを含む、項目12に記載の方法。
[14]
前記未焼結のアノード層を、100〜300MPaの圧力で圧縮する工程をさらに含む、項目1〜13のいずれか一項に記載の方法。
[15]
前記電解質を提供する前に、焼結された前記ニッケルを再酸化する工程をさらに含む、項目1〜14のいずれか一項に記載の方法。
[16]
項目1〜15のいずれか一項に記載の方法によって形成された、金属支持固体酸化物燃料電池。
[17]
項目16に記載の燃料電池を2以上含む、燃料電池スタック。
[18]
電気エネルギーの生成における、項目16に記載の燃料電池の使用。
[19]
図面を参照しながら本明細書に実質的に記載されている方法、燃料電池、及び使用。

Claims (17)

  1. 金属支持固体酸化物燃料電池を形成する方法であって
    a)酸化ニッケル、及び希土類ドープされたセリアを含む未焼結のアノード層を、金属箔基材に適用すること
    b)前記未焼結のアノード層を非還元条件下で予備焼成して、複合材を形成すること
    c)前記複合材を還元性雰囲気で焼成して、焼結サーメットを形成すること
    d)電解質を提供すること並びに
    e)カソードを提供することを含み、
    前記還元性雰囲気は酸素源を含み、
    工程c)の前記還元性雰囲気の酸素分圧が10 −14 〜10 −22 barであり、前記還元性雰囲気は、前記電解質を提供する前の前記焼成の間に、前記酸化ニッケルのニッケルへの還元を引き起こす、方法。
  2. 焼成工程c)の前記還元性雰囲気が、不活性気体、気体還元剤、及び気体酸素源を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記還元剤が、水素、一酸化炭素、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項2に記載の方法。
  4. 前記気体酸素源が、二酸化炭素、水蒸気、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項2又は3に記載の方法。
  5. 焼成工程c)の前記還元性雰囲気が、0.01〜50体積%の前記酸素源、及び/又は0.5〜50体積%の前記還元剤を含む、請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 焼成工程c)において、焼結の前に、前記酸化ニッケルをニッケル金属へと還元する、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  7. 焼成工程c)において、前記酸化ニッケルを、ニッケル金属へと還元する前に、少なくとも部分的に焼結する、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記未焼結のアノード層の予備焼成、及び前記複合材の焼成の少なくとも1つを、950〜1100℃の温度で行う、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記未焼結のアノードの予備焼成、前記複合材の焼成、前記電解質の提供、前記カソードの提供、又はこれらの組み合わせから選択される加熱工程の少なくとも1つの間に、前記金属箔基材補強することを含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記酸化ニッケル及び前記希土類ドープされたセリアが粉末状であり、前記粉末の粒度分布d90が0.1〜4μmである、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記酸化ニッケル及び前記希土類ドープされたセリアをインクとして適用する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記未焼結のアノード層の適用が、まず前記金属箔基材に前記インクを適用し、インクを乾燥させて、厚さ5〜40μmのプリント層を提供することを含む、請求項11に記載の方法。
  13. 前記未焼結のアノード層を、100〜300MPaの圧力で圧縮する工程をさらに含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記電解質を提供する前に、焼結された前記ニッケルを再酸化する工程をさらに含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法によって形成された、金属支持固体酸化物燃料電池。
  16. 請求項15に記載の燃料電池を2以上含む、燃料電池スタック。
  17. 電気エネルギーの生成における、請求項15に記載の燃料電池の使用。
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