JP2016532133A - 漏れを検知するための装置 - Google Patents

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Abstract

本発明は、加圧された包装容器(3)の漏れ口を通るガスの流れによって発生した超音波信号を検出するための検出器(9)を含む、包装容器の完全性を試験するための装置に関し、該装置は加圧された包装容器(3)の収容に適した試験室(2)を含み、該試験室(2)の内部で、加圧された包装容器(3)の漏れ口を通るガスの流れによって発生した、ガスが伝搬する超音波信号を検出することになるように、該検出器(9)が配置されることを特徴とする。

Description

本発明は、例えば原薬または製剤の包装用品として使用する前および/または使用した後の、空のプラスチック包装用品の完全性を試験するための装置に関する。また、本発明は、該装置を使用するための方法および該装置の用途に関する。
医薬品の製造において、プラスチック包装は、通常、単回使用(使い捨て)向けに設計される。使い捨て容器の使用は、二次汚染のリスク低減、優れた輸送性、および低い初期投資コストという理由で、新たに生まれた技術である。とりわけ、使い捨て容器は、バルク混合、バルク輸送操作のために、または原薬液もしくはバッファー原液の凍結、解凍、および調合のために使用される。異なるプロセス要件を満たすために、使い捨て容器は、さまざまなサイズとデザインの幅広い範囲で使用される。
使い捨て容器システムの完全性は、使用前に包装メーカーによって認定される。使用後の完全性は、それぞれの充填現場で製薬メーカーによって再確認される。現在、適切な試験方法の選択は、主に、医薬製品の容器クロージャ完全性試験から得た経験に基づいている。ここでは、さまざまな方法が市場で確立されており、一般的には2つのグループ、すなわち物理的試験と微生物試験、に分けることができる。
包装内容物の微生物学的分析は、医薬製品がその無菌性を維持しており、それゆえに包装がまだ完全なままであることを証明するために、長らく使用されてきた。医薬製品の無菌性は、これまでの製造工程、例えば、バルク混合、凍結、解凍、および調合で用いられた使い捨て容器の包装完全性の間接的な証拠となり得る。しかし、無菌試験は、とりわけ、それが破壊的でありかつ遅い(すなわち、すでに汚染されたサンプルの検出である)ので、実際的な制限がある。したがって、使用後の使い捨て容器の完全性を試験するためのこの試験方法の排他的使用は、製品の損失、それゆえに経済的価値の損失につながる可能性がある。使用前の微生物/無菌試験の適用は、それが破壊的であるので除外される。
微生物チャレンジ試験では、包装ユニットが微生物の懸濁液中に浸漬されるか、または包装ユニットに微生物を含むエアロゾルが吹き付けられる。微生物チャレンジ試験は破壊的であるため、使用前の使い捨て容器の完全性試験には適していない。それらは、言うまでもなく、使用後の完全性試験の標準であり、多くの場合は代替試験法が微生物チャレンジ試験に対して交差検証される。
このような考察に基づいて、包装メーカーならびに製薬業界は、医薬包装用品の容器クロージャ完全性を試験するための革新的な方法を開発するようにFDAにより促されている。
これらの無菌試験および微生物チャレンジ試験の代替法は、主に物理的な完全性試験であり、こうした試験はいくつかの重要な利点をもたらす:物理的完全性試験は非破壊的であり、時間効率がよく、汚染が生じる前の容器の欠陥を検知することができる。FDAのガイダンス文書「Container and Closure System Integrity Testing in Lieu of Sterility Testing as a Component of the Stability Protocol for Sterile Products」(非特許文献1)ならびにUSPのgeneral chapter [1207]「Sterile Product Packaging Integrity」(非特許文献2)は、医薬製品の容器クロージャ完全性試験として市場で確立されている試験法のリストを提供しており、そのうちのいくつかは、気泡試験、圧力/真空降下試験、微量ガス透過/漏洩試験、染料浸透試験、シール力試験および導電性試験を含めて、使い捨て容器にも適用することができる。
圧力/真空降下試験は、包装の漏れ口からの気体の流れにより引き起こされる圧力差または流量を測定するものである。この方法は、非多孔質包装材料、例えばステンレス鋼の容器のために確立された、よく用いられる非破壊的な完全性試験である。しかし、ステンレス鋼の容器とは対照的に、使い捨て容器はプラスチックであり、そのため非剛性である。したがって、使い捨て容器は試験中に膨張する。非剛性材料のこの性質は、試験される使い捨て容器の容積、材料、厚さ、寿命、および履歴に左右される。こうした影響は小さい包装容積では制御可能であるが、より大きい包装容積では困難になり、結果として長い測定時間と限られた試験精度につながる。
気泡試験は、包装の漏れ口からの気体の通り抜けに必要とされる最低圧力を測定するものである。包装ユニットの外面は液体と接触しなければならないので、この試験方法は、それを使用する前の完全性試験には適していない。さらに、気泡の検出は、試験構成および漏れを見つける検査者の能力に左右される。
微量ガス透過/漏洩試験は、容器の漏れ口を通るトレーサーガスの流れを検出する。充填されていない使い捨て容器の場合、この試験方法は非破壊的で、高感度であり得る。しかし、トレーサーガスの分析、例えば質量分析、およびトレーサーガスの供給は、特に大きな包装容積を試験する場合には、かなりの投資に相当する。
導電性試験は、2つの高度に荷電した電極の間に包装ユニットを配置することによって、包装ユニットの外側での導電性溶液の存在を検出するものである。包装の漏れ口がある場合、包装内容物が包装の外側を濡らして初めて、短絡に起因する電流として検出される。導電性試験は非破壊的であるが、導電性の包装内容物と非導電性材料からなる包装容器に限定される。したがって、導電性は、使用前および使用後の充填されていない使い捨て容器の完全性試験には適していない。
染料浸透試験およびシール力試験は、主にシール部分およびシール強度のための完全性試験であり、そのため本発明の範囲に入らない。
さらに別の完全性試験が文献に発表されているが、これらは保健医療当局によって認識されていないか、または受け入れられていない。これらの中に、超音波映像およびガス流の超音波検出がある。
超音波映像では、超音波送信機が超音波パルスを発信し、該パルスは音響レンズによって容器表面上に集束される。音波の散乱、吸収、および反射は包装材料に左右されるため、反射エコーは試験される包装ユニットのテクスチャと完全性についての情報を提供する。超音波映像は、迅速かつ穏やかで、非破壊的な完全性試験法である。この方法は測定可能なエコーを得るために平坦な表面を必要とするので、使い捨て容器の特定の部分、例えばシール部分によく使用されるが、使い捨て容器全体には不適切と考えられる。
圧力下でシールすることができる、または容器内に圧力を生み出すために締め付けるもしくは他の方法で操作することができる、充填された容器のために、ガス流の超音波検出が記載される。包装欠陥の存在下では、容器を水の中に浸した場合、ガスが漏れ口から流出して、水結合式超音波受信機によって気泡として検出される。包装部品の外表面は液体と接触していなければならないので、この試験方法は、使用前の使い捨て容器の完全性試験には適していない。
先行技術のこの短いレビューは、使用前および使用後の充填されていない使い捨て容器の完全性試験のために現在利用可能な手段が、完全に満足というわけではなく、まだ多くの欠点があることを示している。
FDA,「Container and Closure System Integrity Testing in Lieu of Sterility Testing as a Component of the Stability Protocol for Sterile Products」 USP,general chapter [1207]「Sterile Product Packaging Integrity」
本発明の目的は、先行技術に関連する欠点の少なくともいくつかを克服すること、ならびに医薬分野の要件に応じて容器またはその部品の完全性試験を可能にする装置および方法を提供することである。
第1の局面において、本発明は、例えば原薬または製剤の包装として使用する前および/または使用した後の、冷蔵条件、冷凍条件、周囲条件、または制御されていない条件で医薬製品を保存するために使用できる、空の包装用品の完全性を試験するための装置であって、試験されるプラスチック包装用品が加圧される、反響試験室を含む装置に関する。試験される包装用品の漏れ口を通ってガス分子が流れるときに発生する、空気が伝搬する超音波信号を検出する空気結合超音波センサを、該試験室は装備している。
本発明は、加圧された包装容器の漏れ口を通るガスの流れによって発生した超音波信号を検出するための検出器を含む、包装容器の完全性を試験するための装置であって、該装置は加圧された包装容器の収容に適した試験室を含み、試験室の内部で、加圧された包装容器の漏れ口を通るガスの流れによって発生した、ガスが伝搬する超音波信号を検出することになるように、該検出器が配置されることを特徴とする装置に関する。
本発明の装置の特定の態様では、試験室は反響するように構成される。
本発明の装置の特定の態様では、試験室はガス状媒体で満たされる。
本発明の装置の特定の態様では、試験室は空気で満たされる。
本発明の装置の特定の態様では、検出器は試験室の内部に配置される。
本発明の装置の特定の態様では、検出器は、それが試験室の壁の開口を通る超音波信号を検出することになるように配置される。
本発明の装置の特定の態様では、包装容器と試験室は、互いに対して回転可能である。
本発明の装置の特定の態様では、試験室は、包装容器を受け取るための手段を含み、この包装容器受け取り手段は、軸の周りを回転できるように、試験室の内部に配置される。
本発明の装置の特定の態様では、包装容器受け取り手段は、包装容器を受け取るフレームである。
本発明の装置の特定の態様では、装置はさらに、無菌のガス状媒体、好ましくは無菌窒素で包装容器を加圧するための手段を含む。
第2の局面において、本発明は、加圧された包装容器の漏れ口を通るガスの流れにより発生した超音波信号を検出することによって、包装容器の完全性を試験するための方法であって、加圧された包装容器が試験室内に収容され、該試験室の内部で発生した、空気が伝搬する超音波信号が検出されることを特徴とする方法に関する。
本発明の方法の特定の態様では、包装容器は可撓性材料で作られる。
本発明の方法の特定の態様では、包装容器はプラスチックで作られる。
本発明の方法の特定の態様では、包装容器は単回使用向け/使い捨て用である。
本発明の方法の特定の態様では、包装容器は無菌である。
本発明の方法の特定の態様では、包装容器は薬学的材料を包装するためのものである。
本発明の方法の特定の態様では、前記試験は包装容器の使用前に実施される。
本発明の方法の特定の態様では、前記試験は包装容器の使用後に実施される。
完全性試験中に検出される、空気が伝搬する超音波信号は、試験されるサンプルの容積、材料、厚さ、寿命、および履歴ではなく、入口圧力と漏れ口のサイズに左右されるので、この方法は広範囲の包装サイズおよびデザインの完全性試験に適している。
さらに、空気結合式超音波受信機の適用は、パッケージにかかる関連ストレス、例えば外表面の浸漬を回避するので、前記試験を使用前と使用後に実施することができる。
試験室の反響設計によって、音の吸収が効果的に低減され、したがって、正確な完全性試験が保証される。
本発明の試験手順は簡単であり、測定時間も短い。そのため、それは包装メーカーでの使用前だけでなく、製薬メーカーでの使用後にも包装を試験するのに適している。
さらに、そのユニークな特徴のため、本発明の試験手順は、他の物理的完全性試験では現在達成し得ない、使用前と使用後の包装容器の迅速な完全性試験を可能にし、これは、微生物学的無菌試験に基づいた完全性試験と比較して、より安全な原薬輸送、製剤、バルク溶液、またはバッファー原液の安全な調合、および安全な調合プロセスにつながる。
本発明の装置の図式的概観を示す。試験される包装容器には、圧力制限器を通るガスシリンダからのガスが供給される。漏れ口での空気の乱流に起因する、空気が伝搬する超音波信号は、超音波キャプチャ装置(センサ)により検出されて、記録装置に送信される。 本発明の装置1の分解図を示す。完全性について試験される包装容器3は、フレーム5に取り付けられる。フレーム5は、取付要素12に包装容器3を接続する接続要素6を含み、取付要素12は本発明の装置のガス管10を包装容器3に連結する。本発明の装置1は、試験室2および手動クランク11の付いた回転ディスク8を含む。さらに、超音波信号を検出するためのセンサ9が試験室2に取り付けられる。 本発明の組み立てられた装置を示す。 穴のあいてない使い捨てバッグ(図4A)と、穴のあいた使い捨てバッグ(図4B)についての、本発明の装置を用いた超音波式漏れ試験からの電圧信号を示す。
はじめに
超音波バッグ(Celsius FFT 12L, Sartorius Stedim Biotech GmbH, Goettingen, ドイツ)試験は、Ultrasonic spy 101 (Richard Chambers GmbH, Heimstetten, ドイツ)または別の超音波キャプチャ装置を用いて実施する。超音波は空気の乱流によって漏れ口の端に発生する。漏れ口からの十分な空気の流れを得るのに必要な圧力は、Flowstar(登録商標)3 (Pall AG, Basel, スイス)または特定の圧力(≦200ミリバール)でガスを供給することが可能な別の装置を介して提供される。超音波キャプチャ装置により捉えられた音波信号は、Endress + HauserグラフィックデータマネージャRSG40または電圧信号を表示記録することが可能な別の装置に送信される。バッグを拡張させる防音スチールバレル内に試験されるバッグを配置するが、そこではバッグをスプリングでフレームに取り付ける。手動クランクは、信号を捉えている間、フレームを該バレル内で回転させることができる。
本発明の装置の具体的な実施態様の構成要素
- 包装容器3、例えば使い捨てバッグ
- 試験室2
- 超音波キャプチャ装置9
ガスシリンダは包装容器を加圧するためのガスを供給し、圧力制限器は特定の圧力でガスを供給するために使用される。
方法
1. 包装容器3をスプリングでフレーム5に取り付ける(図2参照)。
2. フレーム5を試験バレル2に取り付け、カバー8を閉じる(図2参照)。フレーム5の上端は解除式であって、接続要素7により回転ディスク8に旋回可能に接続され、また、フレーム5の下端は解除式であって、接続要素6により取付要素12に旋回可能に接続され、取付要素12はフレーム5をガス管10に接続する。接続要素6は、ガス管10への包装容器3の接続を可能にするために、中空管の形態である。
3. 圧力制限器(Flowstarまたは同様の装置)を設置し、ガス供給管10を試験室2の底部のダクトを介してフレーム5に接続する(図3参照)。包装容器3は、超音波を測定している間圧力をかける必要がある。
4. 記録装置(RSG40グラフィックデータマネージャまたは同様の記録装置)を設置する。
5. 超音波キャプチャ装置(Ultrasonic spy 101または同様の装置)を測定位置に設置し、記録装置に接続する。
6. 圧力制限装置を始動させ、意図した圧力に到達するまで待つ。
7. 超音波キャプチャ装置を始動させ、バッグ3を入れたフレーム5を、回転ディスク8の手動クランク11でゆっくりと、30秒あたり1回の360度回転で2回、記録しながら回転させる。
結果
図4は、穴のあいてない使い捨てバッグ、および穴のあいた使い捨てバッグにおける超音波式漏れ試験からの電圧信号を示す。図4A:穴のあいてないバッグは信号を一切示さない。図4B:穴のあいたバッグは、該バッグを60秒以内に2回、y軸周りで回転させることから生じる、2つのピークを有する信号を示す。信号は、上述した装置および方法を用いて測定した。

Claims (19)

  1. 加圧された包装容器(3)の漏れ口を通るガスの流れによって発生した超音波信号を検出するための検出器(9)を含む、包装容器の完全性を試験するための装置(1)であって、
    該装置が加圧された包装容器(3)の収容に適した試験室(2)を含むこと、および
    該試験室(2)の内部で、加圧された包装容器(3)の漏れ口を通るガスの流れによって発生した、ガスが伝搬する超音波信号を検出することになるように該検出器(9)が配置されることを特徴とする、装置。
  2. 試験室(2)が反響するように構成される、請求項1記載の装置。
  3. 試験室(2)がガス状媒体で満たされる、請求項1または2記載の装置。
  4. 試験室(2)が空気で満たされる、請求項1〜3のいずれか一項記載の装置。
  5. 検出器(9)が試験室(2)の内部に配置される、請求項1〜4のいずれか一項記載の装置。
  6. 試験室(2)の壁の開口を通る超音波信号を検出することになるように検出器(9)が配置される、請求項1〜4のいずれか一項記載の装置。
  7. 包装容器(3)と試験室(2)が互いに対して回転可能である、請求項1〜6のいずれか一項記載の装置。
  8. 試験室(2)が包装容器を受け取るための手段(5)を含み、包装容器を受け取るための手段(5)が、軸の周りを回転できるように、試験室の内部に配置される、請求項7記載の装置。
  9. 包装容器を受け取るための手段(5)が包装容器(3)を受け取るフレームである、請求項8記載の装置。
  10. 包装容器(3)を加圧するための手段(6,10)をさらに含む、請求項1〜9のいずれか一項記載の装置。
  11. 包装容器を加圧するための手段(6,10)が、無菌のガス状媒体、好ましくは無菌窒素で加圧する、請求項10記載の装置。
  12. 加圧された包装容器(3)の漏れ口を通るガスの流れによって発生した超音波信号を検出することにより、包装容器(3)の完全性を試験するための方法であって、
    加圧された包装容器(3)が試験室(2)内に収容されること、および
    該試験室の内部で発生した、空気が伝搬する超音波信号が検出されることを特徴とする、方法。
  13. 包装容器(3)が可撓性材料で作られる、請求項12記載の方法。
  14. 包装容器(3)がプラスチックで作られる、請求項12または13記載の方法。
  15. 包装容器(3)が単回使用向け/使い捨て用である、請求項12〜14のいずれか一項記載の方法。
  16. 包装容器(3)が無菌である、請求項12〜15のいずれか一項記載の方法。
  17. 包装容器(3)が薬学的材料を包装するためのものである、請求項12〜16のいずれか一項記載の方法。
  18. 前記試験が包装容器(3)の使用前に実施される、請求項12〜17のいずれか一項記載の方法。
  19. 前記試験が包装容器(3)の使用後に実施される、請求項12〜18のいずれか一項記載の方法。
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