JP2016530101A - 軽金属溶湯から鋳造された鋳造物を鋳型から離型する方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、軽金属溶湯から鋳造された鋳造物(M)を鋳造物の2つの外面を接続する鋳造物(M)内の通路開口部(Z1〜Z3)を表す中子(2〜7、17、18a〜21b、30)を少なくとも1つ備えた鋳型(1)から離型するための方法に関する。中子(2〜7、17、18a〜21b、30)は、温度の影響下で分解する結合剤によって結合された鋳型材料から製作され、鋳型(1)は炉(O)内で離型のための熱処理にかけられ、この熱処理中に結合剤はその結合効果を失う温度に加熱される。この方法の有効性を高めるために、本発明は、通路開口部を表す鋳型(1)の中子(18a〜21b)に形成された通路(D1〜D4)に炉(O)内で高温ガス(H)を流すことを提案する。高温ガス(H)の温度は、この高温ガスの影響の結果として通路開口部(Z1〜Z3)を表す中子(18a〜21b)が複数の断片(B)または個々の砂粒子に分解するように、鋳型材料の結合剤がその結合効果を失う温度に少なくとも相当する。【選択図】図5

Description

本発明は、軽金属溶湯から鋳造された鋳造物を鋳型から離型する方法に関する。
鋳型は、温度の影響下で分解する結合剤によって結合された鋳型材料から製作され、鋳造物の2つの外面を接続する鋳造物内の通路開口部を表す中子を少なくとも1つ備える。鋳型は、炉内で離型のための熱処理にかけられ、この熱処理中に中子の結合剤がその結合効果を失う温度に加熱される。
このような方法は、「熱による砂落とし」として専門家の間でも公知であり、特に燃焼機関用のエンジンブロックまたはシリンダヘッドを軽金属から大規模に鋳造する際に実際に使用されている。この種の鋳造物は、その設計が通常複雑で繊細であるため、それぞれ事前に鋳型材料から製作された複数の個別中子から作られた所謂「中子パッケージ」として組み立てられた鋳型で鋳造されることが多い。ただし、鋳型材料から製作された中子は、鋳造物の内部領域に設けられる流路および通路開口部を成型するために、重力金型鋳造でも用いられている。
ここで論じる種類の中子を形成するための鋳型材料は、通常、適した鋳型砂と結合剤との混合物から成る。結合剤は鋳型砂の個々の粒子を互いに結合して中子を完成させ、鋳型材料から形成された中子に必要な形状安定性を保証する。更に、溶湯の流し込み中の中子の挙動または結合剤と鋳型砂の相互作用を向上させる特定の添加剤を鋳型材料に含めることもできる。
結合剤は、熱の供給によって凝固可能な無機結合剤にすることも、または反応ガスによるガス処理によって凝固可能な有機結合剤とすることもできる。これら結合剤は、或る上限温度を超えるとその効果を失い、結合剤が少なくとも部分的に燃焼するという点で共通している。この点に達するや否や、このような結合剤を用いて製作された中子は複数の断片または個々の砂粒子に分解し、鋳造物から離れ落ちる。ここでの目的は、鋳造物の中または表面に残る鋳型材料の量ができる限り少なくなるように、中子の分解を制御することである。
実際には、熱による砂落としのために実施される熱処理が行われる温度は十分に高く設定されるので、結合剤は炉内でほぼ完全に燃焼する。その後、残った鋳型砂を再使用のために、殆ど手間を掛けずに、用意できる。
この熱による砂落としを特に効果的に使用できるのは、例えば特許文献1から公知のように、鋳造物からの砂落としと鋳型砂の処理とが鋳造物の溶体化処理に結合され、この3つの作業ステップが炉内での連続走行中に実施される場合である。鋳型砂の処理結果を向上させるために、鋳造物から離れ落ちた中子の断片は炉内で鋳型砂床に集められる。鋳型砂の断片が絶えず動き、強制的な摩削性暴露の結果として個々の砂粒子に急速に分解するように、流動性ガス流を吹き込んで鋳型砂床を流動化させる。
熱による砂落としと、鋳型砂の処理と、鋳造物の溶体化処理とを結合すると、鋳造物が炉内に留まる時間が比較的長くなる。ここに述べた種類の方法の運用固有の大規模な実施のために、鋳型と鋳造物とを連続走行中に熱処理する必要がある場合は、かなりの長さの連続炉になる。鋳造物内の通路開口部を表す中子の熱による砂落としは、これら通路開口部が直径の大きなシリンダ開口部などである場合でも、信頼性があまり高くない方法でしか実現されていないことも示されている。
独国特許公告第693 18 000(T3)号(欧州特許第0 612 276(B1)号)
上で説明した従来技術を背景として、本発明の目的は、冒頭に詳記した種類の方法の有効性と砂落とし結果とを向上させることである。
本発明は、この課題の解決のために、請求項1に記載の方法を提案する。
本発明による方法の有利な複数の実施形態が従属請求項に記載されており、本発明の一般概念のように、以下に詳細に説明する。
上で説明した種類の熱による砂落としの場合のように、本発明によると、軽金属溶湯から鋳造された鋳造物を、温度の影響下で分解する結合剤によって結合された鋳型材料から製作され、鋳造物の2つの外面を接続する鋳造物内の通路開口部を表す中子を少なくとも1つ備えた鋳型から離型するとき、鋳型は炉内で離型のための熱処理にかけられ、この熱処理中に中子の結合剤がその結合効果を失う温度に加熱される。
本発明によると、通路開口部を表す鋳型の中子に形成された通路に高温ガスが流される。この高温ガスの温度は、通路開口部を表す中子がこの高温ガスの影響の結果として複数の断片または個々の砂粒子に分解するように、鋳型材料の結合剤がその結合効果を失う温度に少なくとも相当する。このために、鋳型の通路は、この通路が鋳型の第1の外面から別の外面に通じるように、通路開口部を表す中子内に延在する。
ここで言う「結合効果を失う」とは、少なくとも部分的な燃焼の、または別の種類の化学分解の、結果として、結合剤が少なくとも数か所で中子の鋳型材料を一つにまとめておけなくなることを意味する。
本発明により設けられる鋳型の通路は、炉への進入時に既に存在させることもできる。この場合、時期尚早な結合剤の無効化を防ぐために、可燃性材料、例えば厚紙、砂、可燃性不織布など、から作られた肉薄のカバーなどの道具によって通路開口部を最初に閉じることができる。これにより、炉への進入前に煙突効果によって環境から通路への空気の流入、ひいては鋳造物の通路開口部を表す中子の結合剤の時期尚早な燃焼、が通路の領域において発生する危険性が防止される。このカバーは炉内で極めて短時間で燃焼するので、本発明により使用される効果、特に通路への高温ガスの流入、が炉内で発生する。
あるいは、炉内で通路を形成することも可能である。この場合、例えば、結合剤の分解の結果として第1の型部分が鋳型から離れ落ちた場合に通路が開放されるように鋳型を形成するか、または炉の進入領域において機械力の作用によって通路を鋳型に導入する。
したがって、本発明によると、使用される鋳型は、熱処理中に広まっている高温雰囲気に鋳型が暴露される強さが従来方法より明らかに増すように形成される。この目的のために、少なくとも1つの通路が鋳型の表面に設けられ、炉雰囲気から形成された高温ガスがこの通路を通って鋳造物内にある鋳型の中子の内部に達する。これにより、鋳造物の内部に配置された中子もその結合剤がその力を失う温度に急速に加熱される。この加熱は、高温ガスが流れる通路が設けられた中子に最初にもたらされるが、鋳造物内の更なる流路、空洞などを表す中子が存在し、上記中子に当接する場合は、これら中子も加熱される。
ここで述べる種類の鋳造物および鋳型のための通常の熱処理炉の場合、炉雰囲気は酸素を含有する。その結果、本発明により設けられた鋳型の通路を通る高温ガスも酸素を含有し得る。本発明により鋳型に高温ガスを流すことの特定の利点は、より多量の酸素が高温ガスによって鋳型の内部領域にも狙いどおりに達することである。そのため、鋳型材料の結合剤の燃焼が促進され、それに応じて内側にある中子の分解も加速されて完了する。
中子の結合剤の加速分解に加え、本発明により鋳型の内側にある中子に高温ガスを直接流すことによって引き起こされる加速された加熱は、中子内の熱応力を高める。これは、本発明により引き起こされる熱による砂落としの結果の最適化および有効性の向上に同様に寄与する。
原則として、本発明によると、鋳型に設けられた通路に高温ガス流をファンなどによって強制的に流すことも考えられる。ただし、実地試験においては、本発明により利用される効果を達成するには、自然対流でも十分であることが証明されている。すなわち、煙突効果が発生するため、通路がほぼ如何なる位置合わせであっても、通路内に自然の高温ガス流が形成される。そのためには、高温ガスが流れる鋳型の中子の通路が炉内で鉛直に位置合わせされていると特に好都合であることが証明されている。これを特に容易に実現できるのは、軽金属鋳造物が燃焼機関用のエンジンブロックであり、その少なくとも1つのシリンダ開口部とそれに隣接するクランクケースとが本発明による方法で高温ガス用の通路が設けられた少なくとも1つの中子によってそれぞれ形成される場合である。
ここで、本発明により設けられる通路は、通路開口部を成型する中子の数に拘らず、鋳型を完全に貫通することが極めて重要であることは言うまでもない。同様に、本発明による方法の実施のために設けられる鋳型の場合、それぞれ通路を有する2つ以上の中子によって鋳造物の通路開口部を表すことができる。これら中子の通路は互いに接続され、炉内で一緒に高温ガスが流される。このような実施形態の一例は、上で言及した、燃焼機関用のエンジンブロックのための鋳型である。この場合、エンジンブロックのクランクケースを成型する更なる中子の表面に置かれた1つ以上の中子によってシリンダ開口部が成型される。本発明によると、これら中子の全てに通路が設けられ、高温ガスが妨げられずに強力に流れるようにこれら通路は最適に位置合わせされる。
本発明は、このように2つ以上の中子から組み立てられた中子パッケージとして形成される鋳型のために特に好都合であることを証明した。勿論、このような中子パッケージは、複数の中子ばかりでなく、燃焼機関のベアリング溝、シリンダボア、または他の高応力がかかる領域のためのチル鋳物などの金属またはクロマイト砂製の冷却要素も本来公知のように備えることができる。これには、完全な中子の代わりに使用可能なチル鋳造板、チル型、および匹敵するあらゆる機能部分も含まれる。同様に、シリンダ形状の所謂「ライナ」を中子パッケージ内に位置付けることができる。ライナは、機関を鋳造するための鋳造材料より弾性の材料から鋳造され、完成した燃焼機関内に、使用時に燃焼機関のピストンがその内部で動くシリンダ室を限定する。
本発明による鋳型の設計によって引き起こされる急速かつ強力な内部加熱は、特に中子パッケージ鋳型の場合、高い熱応力と結合剤の強燃焼とをもたらすので、内部および外部に配置された中子の完全な分解が促進される。したがって、本発明により生じるエンジンブロックの熱による砂落としの場合、高温ガスを案内する通路が設けられた、エンジンブロックのシリンダ開口部とクランクケースとを表す中子の砂ができる限り残渣なく除去されることと、外側にある中子を従来の手順で可能であった範囲より明らかに広範囲に除去可能であることとが示された。
鋳型の外面部分を形成する中子パッケージの各中子に窪みを成型することによって、鋳型の外面に位置する中子パッケージの中子の砂落としをより有効に行うことができる。これら窪みの存在により、鋳型砂、ひいては鋳型の重量が本来公知のように節減されるばかりでなく、高温ガスの接触面も拡大される。これにより、大量の酸素が側面部を形成する中子の内部深くに達し、その結果、その結合剤がより短時間でほぼ完全に燃焼する。
鋳型が中子パッケージである限り、原則として、平坦な各側面部は、通常、鋳型の底部、各側面、および被い面を覆う。特に、このように設計された鋳型の場合、鋳造物の通路開口部を表す少なくとも1つの中子が鋳型の外縁を形成する各側面部に突き当たり、当該通路開口部を表す中子の通路が鋳型の外面に達するまで外側面部内に延在すると、特に好都合であることが証明されている。この場合、当該側面部の通路にも流れる高温ガスによって、この通路に当接する側面部の領域が急速に加熱され、その結果、そこに存在する結合剤の燃焼が加速されて応力が発生し、当該側面部の分解を加速する。
本発明による手順は、鋳型が炉内で受ける熱処理が鋳造物の溶体化処理として実現されると、特に有効であることが証明されている。本発明により内側にある通路に高温ガスが流れることによって、高温ガス用の通路が各々設けられた中子が急速に加熱されるばかりでなく、好ましくは鋳物体積の加熱も加速され、かつ一様に行われる。したがって、今後は炉内の熱を鋳造物の専ら外側から内側に浸透させる必要はなく、熱は内側にある領域に直接伝わる。
溶体化との本来公知の結合と同じく、鋳型材料の本来公知の処理を本発明による熱による砂落としと組み合わせて実施可能である。この砂落とし中、結合剤の分解によって鋳造物から離れ落ちた断片は炉内で集められて炉内に保持される。そのため、鋳型の断片から個々の砂粒子への分解を同様に公知の方法で助けることができる。すなわち、断片から形成された炉内の鋳型材料床にガス流を吹き込んで、集められた断片を炉内で動かし続けることによって、分解を促進できる。
その結果、本発明によると、熱による鋳造片の離型が、従来の手順で可能であるより急速かつ効率的に、簡単に実現される。より急速な分解および熱処理温度への急速加熱の結果として、砂落としに必要な熱処理のために鋳型が熱処理炉内に留まる滞留時間、すなわち処理時間、を明らかに短縮できる。これは、本発明による砂落としが鋳造部分の溶体化処理と組み合わされた場合に特に当てはまる。したがって、本発明による手順の場合、溶体化時間、すなわち、鋳造物を溶体化温度に維持する必要がある時間、を明らかに短縮できることを証明できた。ここで、実地試験により、本発明による手順では、アルミニウム溶湯から鋳造された燃焼機関用のエンジンブロックの砂落としおよび溶体化に必要な1回の走行当たりの運転時間を従来の運転の場合より最大60分短縮できることが分かった。実地調査は、更なる短縮も可能であることを予測している。
本発明により実施される熱による砂落としの後、鋳片に残っている残留砂は、従来の手順に比べ明らかに少ない。その理由は、通路開口部の領域での中子の除去がより良好に行われるばかりでなく、鋳造部分のより急速な加熱の結果として、鋳型の内側にある他の中子も同様により急速に加熱されるからである。その結果、内側にある中子の場合、結合剤の強力な分解が用いられ、それに伴い、当該中子が小さな断片および砂粒子に分解されて、鋳造物から少しずつ容易に落ちることができる。これにより、本発明により砂落としされた鋳造物は、取り出されるべき鋳造物の表面に表された流路に残っている汚れおよび砂を除去するために高価な方策を用いずに、最高の品質要件を達成する。
本発明によると、中子が急速に分解され、鋳造物が急速に加熱されるので、熱による中子の除去のために、更には、必要であれば、これに組み合わされた溶体化処理のために、必要な熱処理時間を短縮できる。これにより、本方法を1回の走行で実施するために必要な炉の構築をより短期間で、ひいてはより低コストで実現可能であり、より少ないエネルギー消費で運転可能である。更に、本発明により設けられた通路によって鋳型材料および重量が節減されるので、本発明による手順によって達成される経費削減にも寄与する。
一例示的実施形態を示す図面によって、本発明をより詳細に以下に説明する。
鋳型の斜視図である。 図1による鋳型を上から見た図である。 図1に示されているX−X線に沿った図1による鋳型の断面図である。 本発明による方法を含む鋳造物の製作において行われる作業ステップの流れである。 連続炉内を通過中のエンジンブロック鋳造物が溶体化温度に達するまでの継時的な温度展開である。
矩形の鋳型1は、燃焼機関(不図示)用のエンジンブロックMの鋳造に用いられる。
鋳型1は、複数の中子から形成された中子パッケージとして組み立てられる。これら中子は、鋳型砂と有機結合剤、ならびに必要に応じて随意に追加される添加剤、との混合物として中子に成型される鋳型材料から本来公知の方法でコアシュータ(不図示)内で製作される。その後、これら中子は反応ガスによるガス処理によって凝固される。
あるいは、従来技術において公知のあらゆる有機中子製作法、例えばウォームボックス法、ホットボックス法、クローニング法、手込め法、および触媒なしの自硬化法など、によって中子を製作することも可能である。
鋳型1の中子には、鋳型1の底部を形成し、鋳型1のその他の中子がその上に構築される中子2と、鋳型1の長手方向側面にそれぞれ割り当てられて、その長手方向側面において鋳型1を画定する2つの中子3、4と、鋳型1の横方向側面にそれぞれ割り当てられて、その横方向側面において鋳型1を画定する2つの中子5、6と、鋳型1をその上面で完成させる被い中子7がある。
鋳型1の側縁をその長手方向側面に形成する中子3、4および鋳型1の側縁をその横方向側面に形成する中子5、6にいくつかの窪み8、9がそれぞれ成型される。これら窪み8、9は、一方では、鋳型1によって取り囲まれた鋳造チャンバを確実に包囲するために十分な壁厚が底部の領域に残るように、他方、これら窪み8、9の間には、中子3〜6の固有の剛性のために十分な強度を保証すると同時に、中子3〜6を形成している鋳型材料の結合剤が無効になったときにバー10、11の、ひいてはそれぞれの中子3〜6の、崩壊を容易に可能にするような厚さのバー10、11のみが窪み8、9の間に残るように、中子3〜6に配置されて凹状にされる。
被い中子7には、被い中子7の平坦な外面12に直角に位置合わせされ、かつ等距離に配置された4つの通路開口部13〜16が成型される。これら通路開口部13〜16は、被い面12から中子2〜7によって取り囲まれた空間につながっている。
被い面12に当接する通路開口部13〜16の端縁領域に円周凹部が成型される。この円周凹部にカバーEが置かれる。カバーEは、被い中子7自体を形成する鋳型材料、厚紙、または可燃性フェルトから製作され、厚さが約1cmであり、開口部13〜16に緩く載せられる。この目的は、エンジンブロック鋳造物Mのデカンテーション後、砂落としおよび溶体化のために実施される熱処理が開始されるまで、通路開口部13〜16を閉じておくことである。別個のカバーEの代わりに、被い中子7の周囲中子材料に一体に接続された膜状カバー層によって通路開口部13〜16を閉じ、熱処理中存在する温度に暴露されると、この膜状カバー層が急速に分解して通路開口部13〜16が開放されるようにすることもできる。図2および図3においては、カバーEが外されているので、以下に説明するように形成されて本発明により設けられた、鋳型1を貫通する自由通路D1〜D4が見える。
中子2〜7によって囲まれた空間においては、2つずつ積み重なった4対の環状中子18a、18b、19a、19b、20a、20b、および21a、21bがエンジンブロック鋳造物MのクランクケースKの上部を表す中央の中子17に設けられた座にそれぞれ載る。4対の中子18a、18b、19a、19b、20a、20b、および21a、21bのそれぞれの外周面は、エンジンブロック鋳造物Mの4つのシリンダ室のうちの1つにそれぞれ界接する。図4には、明瞭化のために、これらシリンダ室のうちの3つのシリンダ室Z1〜Z3のみが象徴的に描かれている。これらシリンダ室は、エンジンブロック鋳造物Mの通路開口部をそれぞれ形成する。中子18a〜21bによってそれぞれ取り囲まれた環状開口部は、互いに位置合わせされると同時に、被い中子7のそれぞれ割り当てられた通路開口部13〜16に位置合わせされ、通路開口部13〜16の延長部分を形成するように、対応する上側の中子18b、19b、20b、21bの端縁に面一に位置する。
中子18a〜21bのうちの下側の中子18b、19b、20b、21bの環状空間の延長線上に、更なる通路開口部22〜25が平板状中子17に成型される。通路開口部22〜25は、被い中子7の対応する通路開口部13〜16に同様に位置合わせされて配置される。
通路開口部22〜25は、それぞれの下端において、底部中子2の対応する通路開口部26〜29に連なる。通路開口部26〜29は、底部中子2に向かって漏斗状に成型されて、クランクケースKの下部を成型する更なる中子30内まで延在し、底部中子2上に位置する。
最後に、更に4つの通路開口部31〜34が底部中子2に成型される。これら通路開口部31〜34は、通路開口部26〜29にそれぞれ対応する。
互いに位置合わせされ、かつ共通の長手方向軸線L1に同軸の通路開口部13、22、26、および31は、中子18a、18bによってそれぞれ囲まれた環状開口部と共に、第1の通路D1を形成する。第1の通路D1は、平坦な接触面35、すなわち、使用中、底部中子2がそれによって対応する地面に立つ面、から被い中子7の同様に平坦な被い面12につながる。
同様に、互いに位置合わせされ、かつ長手方向軸線L1に軸線方向に平行に配置された共通の長手方向軸線L2に同軸の通路開口部14、23、27、および32は、中子19a、19bによって囲まれた各環状開口部と共に、第2の通路D2を形成する。更に、互いに位置合わせされ、かつ長手方向軸線L1に軸線方向に平行に配置された共通の長手方向軸線L3に同軸の通路開口部15、24、28、および33は、中子20a、20bによって囲まれた環状開口部と共に、第3の通路D3を形成する。更に、互いに位置合わせされ、かつ長手方向軸線L1に軸線方向に平行に配置された共通の長手方向軸線L4に同軸の通路開口部16、25、29、および34は、中子21a、21bによって囲まれた各環状開口部と共に、第4の通路D4を形成する。
エンジンブロックMを製作するために、第1の加工ステーションにおいて、鋳型1は中子2〜7、17、18a〜21b、30、ならびに更なる中子(明瞭化のためにここには不図示)から組み立てられる。
その後、鋳型1にアルミニウム溶湯が充填される。そのため、鋳型1が重力方向の上方に配置され、被い中子2が下方に配置されるように、鋳型1は、水平に位置合わせされた回転軸線の周りに位置合わせされる。これにより、鋳型1への充填を行うフィーダ(図1〜3には不図示)の充填用開口部(図1〜3には不図示)が充填のために重力方向の上方に配置され、フィーダは下方に位置付けられる。充填手順の完了後、フィーダと被い中子7とが重力方向の上方に位置し、フィーダの充填用開口部が下方に配置されるように、鋳型1は水平に位置合わせされた枢動軸線を中心に再び枢動される。「回転成型」とも称されるこの方法を用いると、鋳型1内の鋳造物の均一凝固が実現される。
最も早期には鋳型1内のアルミニウム溶湯の凝固開始時に、最も遅くにはその凝固完了後に、鋳型1は連続炉O内に進入し、そこでエンジンブロックMの砂落としが行われ、エンジンブロックMは溶体化処理を通過し、エンジンブロックMから離れ落ちた鋳型1の各中子の鋳型材料は再使用のために用意される。
この目的のために、炉O内に進入した鋳型1は、溶体化温度に加熱される。溶体化温度は、それぞれ処理されるAl鋳造合金に応じて、一般に450〜550℃の範囲内である。この溶体化温度は、鋳型1の中子の鋳型材料の結合剤の燃焼が始まる温度より高い。
自然対流の結果として、鋳型1の通路D1〜D4に下から流れ込む高温ガス流Hが開始される。これにより、外側の中子2〜7の領域で鋳型1の分解が始まるばかりでなく、鋳型1の内側で高温ガス流H1〜H4によって覆われた中子17、18a〜21b、および30の領域でも鋳型1の分解が始まる。同時に、エンジンブロックMの軽金属は、鋳型1の外側から溶体化温度に急速に加熱されるばかりでなく、内側からも加熱される。
加熱の進行ひいては鋳型材料の結合剤の燃焼によって、結合剤の無効化が進み、側面の中子2〜7と内部の中子2〜7、17、18a〜21b、および30の分解が始まる。エンジンブロック鋳造物Mから離れ落ちた断片および砂粒子Bは、炉O内の鋳型1の搬送路Fの下に設けられた砂床SBに集められる。
砂床SB上に集められた断片Bを動かし続けて断片化および再生を促進するために、炉Oの底部に埋め込まれたノズルを介して高温ガスHGが砂床SBに吹き込まれる。こうして実現された砂床SBの流動化および焼鈍により、中子断片B内に依然として含まれている残留結合剤は燃焼し、断片Bは個々の砂粒子に分解される。この処理によって得られた鋳型砂Sは、再使用のために、鋳型1を組み立てるための中子を製作するコアシュータに戻される。
エンジンブロック鋳造物Mが炉Oの出口方向に搬送されるほど、エンジンブロックMの砂落としがより完全に行われ、最後に最小の断片BがエンジンブロックMから少しずつ出て来る。
炉Oの出口に達すると、溶体化処理に必要な時間も終了するので、その直後に通過するステーションでエンジンブロック鋳造物Mを室温まで急冷できる。その後、機械加工が行われる。この加工では、フィーダが分離され、更なる機械加工がエンジンブロックMに対して行われる。その後、場合によっては、更なる再配置処理が行われる。
図5には、従来の運転方法で砂落としおよび溶体化が行われたエンジンブロック鋳造物用の炉O内でのエンジンブロック鋳造物Mの温度プロファイル(破線)と、本発明による方法で砂落としおよび溶体化が行われた同様のエンジンブロック鋳造物部分の温度プロファイル(実線)とが示されている。鋳造物を収容した鋳型は、鋳造部品を鋳造するためのアルミニウム溶湯の液相温度未満に降下した後、ただし、エンジンブロック鋳造物が完全には凝固していないときに、炉Oに入る。エンジンブロック鋳造物は部分的に凝固した状態で炉O内に送られるので、この状態で依然として存在する鋳造熱を使用できる。
炉Oへの進入時の鋳造物の温度は、従来方法での運転時および本発明による運転時、それぞれ約430℃に達する。ただし、本発明により高温ガスが流された鋳造物は、従来どおり内部貫流なしに加熱された鋳造物より明らかに急速に、約485℃の溶体化温度TLGに達した。その結果として、本発明により高温ガスが内部に流された鋳造物は、従来の炉O内で従来どおり処理された鋳造物より約90分長く溶体化温度TLGに留まる。同時に、本発明による手順では砂落としが大幅に有効な方法で行われたので、本発明による手順は、従来の手順に比べ、砂落としおよび溶体化工程を約30%短縮できる。
1 鋳型
2 底部中子
3、4 鋳型1の長手方向側面を縁取る中子
5、6 鋳型1の横方向側面を縁取る中子
7 被い中子
8、9 窪み
10、11 バー
12 被い中子7の被い面
13〜16 被い中子7の通路開口部
17 中子
18a〜21b 環状中子
22〜25 中子17の通路開口部
26〜29 中子30の通路開口部
30 中子
31〜34 底部中子2の通路開口部
35 底部中子2の接触面
B 中子断片
D1〜D4 通路
E カバー
H 高温ガス
HG 高温ガス流
K エンジンブロックMのクランクケース
M エンジンブロック鋳造物
O 連続炉
S 用意された鋳型砂
SB 砂床
Z1〜Z3 エンジンブロックMのシリンダ室
F 搬送路22

Claims (10)

  1. 軽金属溶湯から鋳造された鋳造物(M)を鋳型(1)から離型する方法であって、前記鋳型(1)は少なくとも1つの中子(2〜7、17、18a〜21b、30)を備え、前記少なくとも1つの中子(2〜7、17、18a〜21b、30)は前記鋳造物の2つの外面を接続する前記鋳造物(M)内の通路開口部(Z1〜Z3)を表し、前記少なくとも1つの中子(2〜7、17、18a〜21b、30)は、温度の影響下で分解する結合剤によって結合された鋳型材料から製作され、前記鋳型(1)は炉(O)内で前記離型のための熱処理にかけられ、前記熱処理中、前記鋳型(1)は前記結合剤がその結合効果を失う温度に加熱される方法において、前記炉(O)内で、前記通路開口部を表す前記鋳型(1)の前記中子(18a〜21b)内に形成された通路(D1〜D4)に高温ガス(H)が通され、前記高温ガス(H)の温度は、前記通路開口部(Z1〜Z3)を表す前記中子(18a〜21b)が前記高温ガスの影響の結果として複数の断片(B)または個々の砂粒子に分解するように、前記鋳型材料の前記結合剤がその結合効果を失う温度に少なくとも相当することを特徴とする方法。
  2. 前記鋳型(1)の前記中子(18a〜21b)の前記通路(D1〜D4)は前記炉(O)内で鉛直に位置合わせされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記鋳造物(1)の前記通路開口部(Z1〜Z3)は、通路(D1〜D4)をそれぞれ有する2つ以上の中子(18a〜21b)によって表され、前記通路開口部(Z1〜Z3)に割り当てられた前記中子(18a〜21b)の前記通路(D1〜D4)は互いに接続され、前記炉(O)内で一緒に高温ガス(H)が流されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記鋳型(1)は、2つ以上の中子(2〜7、17、18a〜21b、30)で構成された中子パッケージとして形成されることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。
  5. 前記鋳型(1)の外側面部分を形成する前記中子(3〜6)に窪み(8、9)が成型されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. 前記鋳造物(M)の前記通路開口部(Z1〜Z3)を表す前記少なくとも1つの中子(18a〜21b)は、前記鋳型(1)の外縁を形成する外側面部(7)に達し、前記通路開口部(Z1〜Z3)を表す前記中子(18a〜21b)の前記通路(D1〜D4)は、前記鋳型(1)の前記外面(12)に達するまで前記外側面部(7)内に延在することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の方法。
  7. 前記鋳型(1)が前記炉(O)内で受ける前記熱処理は、前記鋳造物(M)の溶体化処理として行われることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の方法。
  8. 前記結合剤の前記分解によって形成されて前記鋳造物(M)から離れ落ちる、前記通路開口部を表す少なくとも前記中子(2〜7、17、18a〜21b、30)の前記断片(B)は前記炉(О)内で集められ、前記断片(B)に依然として含まれている前記結合剤も燃焼するまで、前記炉(O)内に保持されることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の方法。
  9. 前記鋳造物(M)は燃焼機関用のエンジンブロックであり、前記少なくとも1つの中子(18a〜21b)によって表される前記通路開口部はこの鋳造物(M)のシリンダ開口部(Z1〜Z3)であることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の方法。
  10. 前記鋳型(1)および前記鋳造物(M)は、前記炉(O)を連続走行で通過することを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の方法。
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