以下の説明および添付の図面は、履物製品および履物用の電動ひも締めシステムを開示する。ここで開示される履物に関連する概念は、たとえば、ランニングシューズ、バスケットボールシューズ、サッカーシューズ、ベースボールシューズ、フットボールシューズおよびゴルフシューズを含め、多様な運動用の履物の種類に適用してもよい。したがって、ここで開示される概念は、多様な履物の種類に適用される。
以下のさまざまな実施形態の説明を助け、明確にするために、本明細書ではさまざまな用語が定義される。別途明示されない限り、以下の定義は本明細書(請求項を含む)を通して適用される。一貫性のため、また便宜上、この詳細な説明を通し、図示する実施形態に対応した方向を示す形容詞を採用する。
この詳細な説明全体および請求項で使用される「長手」とは、構成要素の長さにわたる方向をいう。たとえば、履物製品の長手方向は履物製品の足先領域からかかと領域に延びる。「前方」は、足のつま先が指す一般的な方向をいうために使用され、「後方」は反対方向、つまり、足のかかとが向いている方向をいうために使用される。
この詳細な説明全体および請求項で使用される「側方方向」とは、構成要素の幅にわたる横方向をいう。言い換えると、履物製品の外側側部が他方の足から遠ざかる方を向く面で、内側側部が他方の足の方を向く面とすると、側方方向は履物製品の内側側部と外側側部との間に延びるであろう。
本明細書および請求項で使用される「側部」とは、上方または下方方向に対して、大略的に外側、内側、前方、または後方方向に向く構成要素のあらゆる部分をいう。
この詳細な説明全体および請求項で使用される「垂直」とは、側方方向および長手方向の両方に対して略直角の方向をいう。たとえば、靴底が地面に平らに置かれる場合、垂直方向は地面から上方に延びるであろう。これらの方向を示す形容詞はそれぞれ靴底の個々の構成要素に適用してもよいことは理解されるであろう。「上方」とは地面から離れる方を向く垂直方向をいうのに対し、「下方」は地面に近づく方を向く垂直方向をいう。同様に、「上」、「上部」およびその他同様な用語は地面から垂直方向に実質的にもっとも遠い物体の部分をいい、「底」、「下部」およびその他同様な用語は地面に垂直方向に実質的にもっとも近い物体の部分をいう。
靴の「内部」とは、靴が着用されたときに着用者の足によって占められる空間をいう。パネルまたは他の靴要素の「内側面」とは、完成した靴の靴内部の方に向けられる(または向けられることになる)パネルまたは要素の面をいう。要素の「外側面」または「外部」とは、完成した靴の靴内部から離れる方に向けられる(または向けられることになる)要素の面をいう。いくつかの場合において、要素の内側面は、その内側面と完成した靴の内部との間の他の要素を有することがある。同様に、要素の外側面は、その外側面と完成した靴の外部の空間との間に他の要素を有することがある。また、「内方」および「内方に」とは靴の内部を向く方向をいうものとし、「外方」および「外方に」は靴の外部を向く方向をいうものとする。
本開示の目的上、方向を示す前述の用語は、履物製品に関して使用される場合、靴底が地面に向いた直立位置にあるとき、すなわち、実質的に水平面に立っている着用者が着用したときに位置付けられるであろう履物製品をいうものとする。
くわえて、本開示の目的上、「固着される」とは、構成要素が容易に(たとえば、構成要素の一方または両方を破壊しなければ)分離できないように2つの構成要素が接合されることをいうものとする。固着の例示的な状態は、永久接着剤、リベット、縫製、釘、ステープル、溶接もしくは他の熱接着、またはその他接合技術を用いた接合を含んでもよい。くわえて、2つの構成要素は、たとえば、成形プロセスで一体的に形成されることにより「固着」してもよい。
本開示の目的上、「取り外し可能に装着される」とは、2つの構成要素が一緒に固定されるが、容易に互いから切り離せるように2つの構成要素を接合することをいうものとする。取り外し可能な装着機構の実施例は、面ファスナ、摩擦嵌め接続、締まり嵌め接続、ねじ式コネクタ、カムロックコネクタ、およびその他同様に容易に着脱可能なコネクタを含んでもよい。
電動履物用ひも締めシステムは、履物製品、手動締めひもおよび電動テンショニングシステムを含んでもよい。電動テンショニングシステムは、伸張部材と、取り外し可能で手動締めひもと交換可能であってもよい電動締付具とを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ひも締めシステムは、1足の履物、1対の電動テンショニングシステムおよび1対の手動締めひもが装備されてもよい容器を含む部品キットとして提供されてもよい。いくつかの実施形態では、電動締付具は履物製品のかかと部に取り外し可能に装着されてもよい。伸張部材は電動締付具に装着する、ひもまたはその他締めひも状部材を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ひもは履物製品のひも締め領域のアイステイに挿通されてもよい。したがって、電動締付具および伸張部材が履物から取り外されると、伸張部材が使用されていた同じアイステイに手動締めひもを通してもよい。
電動テンショニングシステムは履物を比較的素早く締め付けることを可能にする。くわえて、いくつかの実施形態では、締付けシステムは漸次締付けを提供してもよい。該漸次締付けは、着用のたびに使用者が予測通りの締め具合を得られるようにしてもよい。いくつかの実施形態では、締め具合をモニタリングするためにセンサを含んでもよい。該実施形態では、使用者は予測通りの締め具合も得られる。
いくつかの場合には、電動テンショニングデバイスを使用することで、他のテンショニング技術(ストラップを引くこと、ベルクロ(登録商標)、およびその他同様な手動クロージャシステム)で生じることのある器用さの問題をなくせるかもしれない。このようなデザインは、本来であれば履物の着用および調整に苦労することがある身体障害者または怪我をした人にとって履物の使い方を改善できるであろう。ここで提案する設計を用いると、履物は押しボタンまたはリモートインターフェースを介して締め付けることができるであろう。
いくつかの実施形態では、テンショニングシステムは、たとえば、ブレスレットまたはハンドヘルドデバイスによって、遠隔制御してもよい。該実施形態では、着用者が関与している活動を止めなくても、調整を行える。たとえば、長距離ランナーは、練習または競技を中断せずに履物の締め具合を調整してもよい。
くわえて、テンショニングシステムは自動調整を行うように構成されていてもよい。たとえば、締め具合センサを使用して、システムはフィット性の変化に応じて締め具合を調整することにより、着用中に締め具合を維持するように構成されていてもよい。たとえば、着用中に足がむくむ場合、初期に選択した締め具合を維持するために、テンショニングシステムが伸張部材の張力を解除してもよい。
くわえて、テンショニングシステムはパフォーマンスを向上させるために使用中に締め具合を調整するように構成されていてもよい。たとえば、着用者が運動中に履物に荷重をかけると、システムは所望のパフォーマンス特性が得られるように伸張部材を締付けるか、または緩めてもよい。たとえば、ランナーがカーブを進むとき、テンショニングシステムは、追加の安定性を提供し、履物内の中心位置に足を維持するために、履物を締め付けてもよい。別の例として、ランナーが下り坂を走っているとき、下り坂走行中に足が履物の前方に滑りがちなため、締付けシステムは足にかかる追加の力を制限するために履物を緩めてもよい。パフォーマンスのために複数の他の自動調整を利用してもよい。該自動調整は各活動で変わってもよい。くわえて、該調整の種類および量は使用者があらかじめ選択してもよい。たとえば、上記の例を用いると、使用者はカーブを進んでいるときに履物を締めるか、または緩めるかを選択してもよい。くわえて、使用者は、一定の状況にある間はそもそも自動調整を利用するかどうかを選択してもよい。たとえば、使用者はカーブを進むときには調整を実施する選択をしてもよいが、下り坂を走るときには調整を利用しないことを選んでもよい。
電動テンショニングシステムを履物製品から取り外し可能に提供することで、履物を従来どおりに使用できるようにしてもよい。くわえて、テンショニングシステムが取り外しできることで、テンショニングシステムの構成要素を履物とは別に修理または交換できるようにしてもよい。くわえて、テンショニングシステムが取り外しできることは、履物をテンショニングシステムとは別に修理または交換できるようにする。
図1は、電動履物用ひも締めシステム1100を示す。図1に図示されるように、システム1100は部品キットであってもよい。部品キットは、電動履物用ひも締めシステム1100の構成要素を保管するように構成されている容器1105を含んでもよい。システム1100は第1の履物製品1100を含んでいる。システム1100は、従来のように履物1110に通すように構成されている第1手動締めひも1116も含んでいる。締めひも1116は内部空洞1165の寸法を変更し、それによって着用者の足を内部空洞1165内に固定するとともに、内部空洞1116から足を出し入れしやすいようにするために利用される。
システム1100は第1電動テンショニングシステム1120を含んでおり、これは第1伸張部材と、伸張部材に張力を加えて履物1110によって画成される内部空洞のサイズを調整するように構成されている第1電動締付具1125とを含んでいる。
この詳細な説明全体および請求項で使用される「伸張部材」とは、略細長い形状で、引っ張り強さの高いあらゆる構成要素をいう。いくつかの場合には、伸張部材は一般的に低い弾力性を有することもできるであろう。さまざまな伸張部材の実施例は、締めひも、ケーブル、ストラップおよびひもを含むが、これだけに限定されない。いくつかの場合には、伸張部材は履物製品を締結するおよび/または締め付けるために使用してもよい。他の場合には、伸張部材は、ある構成要素またはシステムを作動させる目的で、所定の位置で張力を加えるために使用してもよい。
いくつかの実施形態では、伸張部材は分割して提供されてもよい。たとえば、伸張部材は第1伸張部材部分1130を含んでもよく、これは締付具1125と連動していてもよい。
たとえば、図1に図示されるように、第1伸張部材部分1130は電動締付具1125を通って延びていてもよい。くわえて、伸張部材は第2伸張部材部分1135を含んでもよく、これは第1伸張部材部分1130に解除可能に装着されていてもよい。また、伸張部材は第3伸張部材部分1136を含んでもよく、これは第1伸張部材部分1130に装着可能であってもよい。第2伸張部材部分1135および第3伸張部材部分1136は履物1110に通され、こうして、手動締めひも1116に取り替わってもよい。第2伸張部材部分1135および第3伸張部材1136が履物1110に通されると、第2伸張部材部分1135は第3伸張部材部分1136に解除可能に締結される。
電動締付具1125および伸張部材は履物1110に取り外し可能に装着されてもよい。くわえて、手動締めひも1116は伸張部材および電動締付具1125と交換可能であってもよい。
いくつかの実施形態では、システム1100は1足の履物を含んでもよく、したがって第2の履物製品1111を含んでもよい。また、システム1100は1足の履物を含んでもよいため、システム1100の他の構成要素も対で提供されてもよい。
たとえば、システム1100は第2手動締めひも1115を含んでもよい。くわえて、システム1100は第2電動テンショニングシステム1121を含んでもよい。第2電動テンショニングシステム1121は第2電動テンショニングデバイス1126を含んでもよい。第2電動テンショニングシステム1121は、第4伸張部材部分1131、第5伸張部材部分1140、および第6伸張部材部分1141を含む第2伸張部材も含んでもよい。説明のために、以下、各対の構成要素の一方のみを詳細に説明する。
図1にさらに図示されるように、電動履物用ひも締めシステム1100は、電動締付具1125を制御するように構成されているリモートデバイス1145を含んでもよい。いくつかの実施形態では、図1に図示されるように、リモートデバイス1145はブレスレットの形で提供されてもよい。たとえば、リモートデバイス1145は腕時計の機能として実装されてもよい。いくつかの実施形態では、リモートデバイス1145はハンドヘルドデバイスであってもよい。たとえば、リモートデバイス1145は携帯電話または他の携帯機器の機能として実装されてもよい。
容器1105は1足の履物、1対の手動締めひも、ならびに伸張部材および1対の電動締付具を含む1対の電動テンショニングシステムを収容するように構成されていてもよい。図1に図示されるように、いくつかの実施形態では、容器1105は靴箱などの箱でもよい。
図2は、テンショニングシステム1120と履物1110との関連を示す。参照のために、履物1110は足先領域10と中足領域12とかかと領域14との大略的に3つの部分に分割してもよい。足先領域10は、大略的に、つま先、および中足骨と指骨とを接続する関節に対応する履物1110の部分を含んでいる。中足領域12は、大略的に、足のアーチ部位に対応する履物1110の部分を含んでいる。かかと領域14は、大略的に、踵骨を含めて足の後部に対応している。足先領域10、中足領域12およびかかと領域14は履物1110の厳密な区域を区切ることを意図していない。むしろ、足先領域10、中足領域12およびかかと領域14は、以下の説明の助けになるように、履物1110の大略的な相対的区域を表すことを意図している。履物1110のさまざまな特徴は履物1110の1つの領域を越えて延びているため、足先領域10、中足領域12およびかかと領域14の用語は履物1110だけでなく、履物1110のさまざまな特徴にも適用される。
履物1110は、ソール構造1150と、ソール構造1150に固定されているアッパー1155とを含んでもよい。図2に図示されるように、アッパー1155は1つ以上の材料要素(たとえば、メッシュ、布、発泡体、革および合成皮革)を含んでもよく、これらは着用者の足を受け入れるように構成されている内部空洞1165を画成するために接合してもよい。材料要素は軽量、耐久性、通気性、耐摩耗性、柔軟性および快適性などの特性を選択的に付与するように選択されて、配置してもよい。アッパー1155は、着用者の足を空洞1165に受け入れられるスロート開口部1160を画成してもよい。
ソール構造1150は、(たとえば、接着剤、縫製、溶接または他の適した技術を用いて)アッパー1155に固着してもよく、アッパー1155と地面との間に延びる構成を有していてもよい。ソール構造1150は地面の反力を弱める(すなわち、垂直および水平荷重がかかる間に足の衝撃を和らげ、安定させる)ための手段を含んでもよい。くわえて、ソール構造1150はトラクションを与え、安定性を付与し、回内、回外もしくはその他の運動などのさまざまな足の運動を制御または制限するように構成されていてもよい。
ソール構造1150の構成は、ソール構造1155を使用してもよい1つ以上の種類の地面に応じて、大幅に変えてもよい。たとえば、開示される概念は、室内の床面または屋外の地表面を含む多様な地表面のいずれかで使用するために構成されている履物に適用可能であってもよい。ソール構造11150の構成は履物1110を使用することが想定される地表面の特性および条件に基づいて変えてもよい。たとえば、ソール構造1150は、地表面が固いかまたは柔らかいかに応じて変えてもよい。くわえて、ソール構造1150は湿潤または乾燥条件での使用に合わせて作ってもよい。
いくつかの実施形態では、ソール構造1150は特に専用の地表面または条件のために構成されていてもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、添付の図面では履物1110はランニングシューズとして図示されており、それに応じて、図示されるソール構造1150は舗道などの固くて滑らかな面でのクッション性、安定性およびトラクションを提供するように構成されている。しかし、提案される履物アッパーの構造は、バスケットボール、サッカー、フットボールおよびその他の運動など、あらゆる種類の履物に適用可能であってもよい。したがって、いくつかの実施形態では、ソール構造1150は、固い室内の床面(硬材など)、柔らかい天然芝面、または固い人工芝面でのトラクションおよび安定性を提供するように構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、ソール構造1150は複数の異なる地表面で使用するように構成されていてもよい。
いくつかの実施形態では、ソール構造1150は複数の構成要素を含んでもよく、これらは個々にまたは共同で、支持力、剛性、柔軟性、安定性、クッション性、快適性、軽量または他の特質など複数の特質を履物1110に与えてもよい。いくつかの実施形態では、図2に図示されるように、ソール構造1150はインソール/中敷き(図46を参照)、ミッドソール1151、および、露出して地面に接触する下面1153を含んでもよい、地面に接触するアウターソール部材1152を含んでもよい。しかし、いくつかの場合には、これらの構成要素の1つ以上を省いてもよい。
インソールは、アッパー1155に画成される空洞1165に設けてもよい。インソールは足先領域10、中足領域12およびかかと領域14のそれぞれを通り、履物1110の外側側部と内側側部との間に延びていてもよい。インソールは、ポリウレタン発泡体、または他のポリマー発泡体材料など、変形可能な(たとえば、圧縮可能な)材料から形成してもよい。したがって、インソールは、圧縮性により、クッション性を提供してもよく、また、快適性、支持力および安定性を提供するために足に適合させてもよい。
ミッドソール1151はアッパー1155の下部区域に(たとえば、縫製、接着、熱接着(溶接など)もしくは他の技術により)固着してもよく、またはアッパー1155と一体であってもよい。ミッドソール1151は足先領域10、中足領域12およびかかと領域14のそれぞれを通り、履物100の外側側部と内側側部との間に延びていてもよい。
いくつかの実施形態では、図2に図示されるように、ミッドソール1151の部分は履物1110の周縁の周りに露出していてもよい。他の実施形態では、ミッドソール1151は、アッパー1155の材料層など、他の要素で完全に覆われていてもよい。ミッドソール1151は、履物1110の意図される活動に応じて、上記説明した特性を有する任意の適した材料から形成してもよい。いくつかの実施形態では、ミッドソール160は、ポリウレタン(PU)、エチルビニルアセテート(EVA)、またはウォーキング、ランニングもしくは他の歩行活動中にソール構造1150が地面に接触するときに地面の反力を弱めるように作用する任意の他の適した材料などの、発泡ポリマー材料を含んでもよい。
図2に図示されるように、履物1110はベロ2270を含んでもよく、これはひも締め領域1175に設けられてもよい。いくつかの実施形態では、図2に図示されるように、ひも締め領域1175は履物1110の甲回り領域に設けてもよい。しかし、他の実施形態では、ひも締め領域は履物製品の他の部分に設けてもよい。(図48および図49を参照。)
図2に図示されるように、履物1110はひも締め領域1175に締めひもを受けるように構成されている複数のアイステイを含んでもよい。たとえば、履物1110はひも締め領域1175の第1側に第1アイステイ1181、第2アイステイ1182、第3アイステイ1183および第4アイステイ1184を含んでもよい。くわえて、履物1110はひも締め領域1175の第2側に第5アイステイ1185、第6アイステイ1186、第7アイステイ1187および第8アイステイ1188を含んでもよい。アイステイは図2では模式的に図示されており、従来の靴ひもおよびテンショニングシステム1120の伸張部材を受け入れる任意の適した構成を有してもよい。
図2は、履物1110が取り外し可能に装着されたときの電動テンショニングシステム1120の配置を模式的に図示している。点線1137で示されるように、テンショニングシステム1120は履物1110のかかと領域14に取り外し可能に装着されてもよい。電動締付具1125はハウジング1190内に設けられていてもよく、ハウジング1190は履物1110のヒールカウンタと合致する形状を有してもよい。
図2に図示されるように、ハウジング1190は履物1110のアッパー1155の第2面1128に嵌まり合うように構成されている第1面1127を有してもよい。いくつかの実施形態では、第1面1127および第2面1128は面ファスナ材料1129を用いて取り外し可能に装着されてもよい。他の実施形態では、第1面1127および第2面1128は、さね2300および溝2305を含め、さね継ぎ構成を用いて取り外し可能に装着してもよい。さね2300および溝2305は、図示する目的で、実質的に水平位置に向けて示されている。実装される場合、さね2300および溝2305は垂直に向けられてもよい。このような垂直の向きでは、ハウジング1190は所定の位置に垂直に嵌め込んでもよい。他の実施形態では、第1面1127および第2面1128は締まり嵌めまたは摩擦嵌めで取り外し可能に装着してもよい。たとえば、第1突出部2310は締まり嵌めで凹部2315の中に延びてもよい。このような摩擦嵌め装着の構成要素は任意の適した向きを有してもよい。
これらの接続の構成要素は第1面1127または第2面1128のいずれかに設けてもよいことは留意されるであろう。たとえば、面ファスナ1129の鉤構成要素は第1面1127または第2面1128のいずれかに配置してもよい。面ファスナ1129の輪構成要素は鉤構成要素の反対側の面に設けてもよい。同様に、さね2300は第1面1127または第2面1128のいずれかに配置してもよく、溝2305は、さね2300とは反対側の面に配置してもよい。さらに、突出部2310は第1面1127または第2面1128のいずれかに配置してもよく、凹部2315は突出部2310とは反対側の面に配置してもよい。開示されるこれらの取り外し可能な接続は単に例示的であることを意図している。取り外し可能な接続の代替タイプも可能であり、たとえば、ねじ部品、カムロックファスナ、ばねクリップ型の留め具、および他の取り外し可能な接続機構を含む。
図2に点線1137で示されるように、伸張部材は、手動締めひもと同じようにまたは同様に、ひも締め領域1175のひも穴に挿通してもよい。たとえば、第3伸張部材部分1135は第5ひも穴185、第2ひも穴182、第7ひも穴1187および第4ひも穴1184に通してもよい。同様に、第4伸張部材部分1136は第1ひも穴1181、第6ひも穴1186、第3ひも穴1183および第8ひも穴1188に通してもよい。第3伸張部材部分1135および第4伸張部材部分1136は第1伸張部材部分1130から着脱可能であってもよく、第3伸張部材部分1135および第4伸張部材部分1136はいずれかの端部からひも穴に挿通してもよい。伸張部材の部分を一緒に接続する機械的コネクタは模式的に示されており、図示する目的で拡大して示されていることは留意されるであろう。たとえば、第3伸張部材部分1135および第4伸張部材部分1136の遠位端にある継手1235は、第1コネクタ部1240および第2コネクタ部1245を含んでもよい。第1コネクタ部1240および第2めす型部1245は、ひも締め領域1175のひも穴に挿通されるようなサイズにされ、そのように構成されていてもよい。
履物1110のひも締めシステムを交換する方法は、履物製品から伸張部材、電動締付具1125および電源を取り外すことと、手動締めひもを履物1110に通すこととを含んでもよい。いくつかの実施形態では、手動締めひもを履物製品に通すことは、システム1120の伸張部材が取り外されたアイステイに手動締めひもを通すことを含む。履物1110から電動締付具1125を取り外すステップは、履物1110のアッパー1155からハウジング1190を切り離すことを含んでもよい。
図3は、テンショニングシステム1120を取り外し可能に設置した履物製品1110の後斜視図である。図3に図示されるように、ハウジング1190は履物1110のかかと部に取り外し可能に装着されている。くわえて、第3伸張部材部分1135および第4伸張部材部分1136は、第1アイステイ1181、第2アイステイ1182、第5アイステイ1185および第6アイステイ1186を含めたアイステイに通されている。ひも締め領域の残りは、図示する目的で図3では省略されている。
図3に図示されるように、テンショニングシステム1120は、伸張部材に張力を加えて、履物1110が画成する内部空洞1165のサイズを調整するように構成されている電動締付具1125を含んでもよい。締付具はハウジング1190内に設けられていてもよい。
これも図3に図示されるように、システム1120は電動締付具1125に電力を供給するように構成されている電源1205を含んでもよい。ハウジング1190は電動締付具1125および電源1205、ならびに第1伸張部材部分1130を収容するように構成されていてもよい。
いくつかの実施形態では、電源1205は1つ以上のバッテリを含んでもよい。電源1205は、電動締付具1125に電力を供給するために使用できるであろう1つ以上の種類のバッテリの模式的な表現のみとして意図される。使用できるであろう一候補のバッテリ技術はリチウムポリマーバッテリである。(1つまたは複数の)バッテリは、扁平形、円筒形もしくはコイン形としてパッケージされる充電可能または交換可能なユニットにすることができるであろう。くわえて、バッテリは単一電池または直列もしくは並列の電池にすることができるであろう。
充電可能バッテリはその場でまたは充電のために製品から取り外して充電することができるであろう。いくつかの実施形態では、充電回路は組み込んで内蔵することができるであろう。他の実施形態では、充電回路はリモートチャージャに配置することができるであろう。別の実施形態では、1つ以上のバッテリを充電するために誘導充電を使用することができるであろう。たとえば、充電アンテナを製品のソール構造に配置することができ、そして、バッテリを充電する充電マットに製品を置くことができるであろう。
バッテリパワーを最大限にするため、および/またはその他の形で使い方を改善するために、追加の手段を組み込むことができるであろう。たとえば、バッテリはピーク電流需要に対処するためにスーパーキャパシタと組み合わせて使用することができるであろう。他の実施形態では、バッテリを充電するための電力を生成するために、ランナーの体重および各歩を利用する環境発電技術を組み込むことができるであろう。
図4は、電動テンショニングシステム1120の後斜視図である。図4はハウジング1190内に配置されているシステム1120の構成要素を露出した、ハウジング1190の切断図を含む。たとえば、図4は電動締付具1125を示している。図4は締付具1125の外ハウジングを示している。締付具1125の内側の巻取り機構を、より詳細に以下で述べる。図4に図示されるように、締付具1125は、第1矢印1225および第2矢印1230で示されるように、第1伸張部材部分1130を締付具1125に引き込むことにより、伸張部材に張力を加えるように構成されていてもよい。第1伸張部材部分1130の経路は単なる模式的なものであり、該経路に関してはより複雑な配列が可能であることは留意されるであろう。
図4では、電源1205および制御ユニット1215も露出している。制御ユニット1215はさまざまな回路構成要素を含んでもよい。くわえて、制御ユニット1215は、電動締付具1125を制御するように構成されているプロセッサを含んでもよい。図4に図示されるように、テンショニングシステム1120は、電源1205と電動締付具1125との間に延びている第1電気ケーブル1210を含んでもよい。くわえて、第2電気ケーブル1220が制御ユニット1215と締付具1125との間に延びていてもよい。第1電気ケーブル1210および第2電気ケーブル1220は、電源1205、締付具1125および制御ユニット1215の間に、電力および電子通信信号を送るように構成されていてもよい。
制御ユニット1215は、電動締付具1125とともに使用できるであろう1つ以上の制御技術の模式的な表現のみとして意図される。たとえば、速度および方向の制御を可能にするために採用してもよいモータ制御にはさまざまなアプローチがある。
いくつかの実施形態では、マイクロコントローラユニットを使用してもよい。マイクロコントローラは内部割込み発生したタイミングパルスを使用して、パルス幅変調(PWM)出力を生成してもよい。このPWM出力はHブリッジに送られて、高電流PWMパルスがモータを速度制御しながら右回りおよび左回り両方に駆動させる。しかし、当業界で周知のモータ制御の任意の他の方法も使用できるであろう。
図5は、履物1110に設置されているテンショニングシステム1120の模式的な上面図である。図5に図示されるように、ハウジング1190は履物1110のかかと部に取り外し可能に装着されるように構成されていてもよい。また、締付具1125、電源1205および制御ユニット1215はハウジング1190内に収容してもよく、ハウジング1190がこれらの構成要素を受け入れて保護する機能を果たしてもよい。
図5に図示されるように、いくつかの実施形態では、ハウジング1190が履物1110のかかと部に装着されているとき、電動テンショニングデバイス1125を履物1110の最後部に配置してもよい。この位置付けは、履物1110の内側側部1260および外側側部1265の両方で、伸張部材に張力を加えやすくするだろう。
しかし他の実施形態では、これらの構成要素のいずれかを、アッパーおよび/またはソール構造を含め、履物の任意の他の部分に配置することができるであろう。いくつかの場合には、いくつかの構成要素は製品のある部分に配置し、他の構成要素を別の異なる部分に配置することができるであろう。別の実施形態では、電動テンショニングデバイス1125はアッパーのかかとに配置することができるであろう。一方で、電源1205および/または制御ユニット1215は履物1110のソール構造とともに配置することができるであろう。
たとえば、ある実施形態では、電源および制御ユニットを電動テンショニングデバイス1125にケーブル接続して(または単純な電気接点接続で)、履物1110の中足領域12の下に配置してもよく、電動テンショニングデバイス1125はかかと領域14に配置されてもよい。さらに他の実施形態では、電源および制御ユニットは電動テンショニングデバイスに組み込むことができるであろう。たとえば、いくつかの実施形態では、バッテリおよび制御ユニットの両方を電動テンショニングデバイス1125の外ハウジング内に配置することができるであろう。
また、いくつかの実施形態では、やはり図5に図示されるように、ハウジング1190は履物1110のかかと部の内側側部1260および外側側部1265を少なくとも部分的に包むように構成されていてもよい。図5では、制御ユニット1215は履物1110のかかと領域14の内側側部1260に示されている。電源1205は履物1110のかかと領域14の外側側部1265に示されている。
いくつかの実施形態では、制御ユニット1215および電源1205の位置は入れ替えてもよい。しかし、履物1110の内側側部1260に薄い方の構成要素を配置するのが有利であるかもしれない。これにより、ハウジング1190は外側側部1265よりも内側側部1260に低いプロファイルを有することが可能になり(図5に図示されるように)、内側に延びて、着用者の他方の足の履物の邪魔になるおそれのあるハウジング1190の量を最小限にとどめられる。
図6は、テンショニングシステムの伸張部材を設置した状態の履物1110のひも締め領域1175の部分図である。図6に図示されるように、第3伸張部材部分1135は第7ひも穴1187および第4ひも穴1184に挿通されている。くわえて、第4伸張部材部分1136は第3ひも穴1183および第8ひも穴1188に挿通されている。
図6に図示されるように、伸張部材は第4伸張部材部分1136から第3伸張部材部分1135を手動で切り離すための手動解除機構を含んでもよい。たとえば、継手1235は第3伸張部材部分1135の遠位端に第1コネクタ部1240と、第4伸張部材部分1135の遠位端に第2コネクタ部1245とを含んでもよい。図6に図示されるように、いくつかの実施形態では、継手1235などの手動解除機構は履物1110の甲回り領域に配置されてもよい。
履物製品から伸張部材の取り外しを可能にするために、継手1235は手動で容易に切り離してもよい。該手動の切り離しは、履物1110から電動テンショニングシステムの取り外しを容易にするだろう。また、この手動解除機構は、誤作動またはバッテリパワーが低い場合に、伸張部材の張力を解除できるようにしてもよい。例示的な手動解除機構は任意の適したコネクタタイプを含んでもよい。
いくつかの実施形態では、ねじ式接続を利用してもよい。たとえば、第1コネクタ部1240はオスねじ部を含んでもよく、第2コネクタ部1245はメスねじ部を含んでもよい。継手1235を切り離すために、第1コネクタ部1240および第2コネクタ部1245を、たとえば、第1矢印1250および第2矢印1255の方向にひねってもよい。図6はねじ継手を図示しているが、他の実施形態では、伸張部材はスナップフィットコネクタ、フックと受け式コネクタ、または当業界で周知の任意の他の種類の手動留め具を含め、任意の他の締結手段を利用することができるであろう。
図7は、伸張部材の例示的な手動解除システムの実施形態を示す。図7を参照すると、製品1000は前の実施形態と同様であってもよく、締めひも1004および電動テンショニングデバイス1006を有するテンショニングシステム1002を含むことができる。この実施形態では、締めひも1004の一部に手動解除機構1010が装備されている。ここに図示される実施形態では、手動解除機構1010は、締めひも張力を緩和するために手動で分離することのできる、対応する留め具1012を含む。いくつかの場合には、図7に図示されるように、留め具1012はねじ継手を具備する。しかし、他の実施形態はスナップフィットコネクタ、フックと受け式コネクタ、または当業界で周知の任意の他の種類の留め具を含めて、任意の他の締結手段を利用することができるであろう。
図8および図9は、電動テンショニングデバイス160の内部構成要素の実施形態のそれぞれ等角図および等角分解図である。図8を参照すると、ハウジングユニット212の部分内の構成要素が示されている。ハウジングユニット212は内ハウジング部216および外ハウジング部218をさらに含んでもよい。外ハウジング部218はベースパネル210および外カバー214を含んでもよく、一般に電動テンショニングデバイス160の構成要素の保護用外装を提供する。内ハウジング部216は電動テンショニングデバイス160の構成要素を支持するような形状にしてもよい。いくつかの場合には、内ハウジング部216の部分は、以下詳細に述べるように、いくつかの構成要素の可動性を制限するように機能する。
ここで図8および図9を参照すると、いくつかの実施形態では、電動テンショニングシステム160はモータ220(図9に模式的に図示される)を具備してもよい。いくつかの実施形態では、モータ220は電気モータであってもよい。しかし、他の実施形態では、モータ220は当業界で周知の任意の種類の非電気モータを具備することができるであろう。
使用できるさまざまなモータの例は、DCモータ(永久磁石モータ、ブラシ付きDCモータ、ブラシレスDCモータ、スイッチトリラクタンスモータ等)、ACモータ(スライディングロータ、同期電気モータ、非同期電気モータ、誘導モータ等)、ユニバーサルモータ、ステッパモータ、圧電モータおよび当業界で周知の任意の他の種類のモータを含むが、これだけに限定されない。モータ220は電動テンショニングシステム160の1つ以上の構成要素を駆動するために使用することのできるモータクランクシャフト222をさらに含んでもよい。さまざまな種類のバッテリを含め、モータ220に電気を供給するための手段を以下詳細に述べる。
いくつかの実施形態では、電動テンショニングシステム160は、モータ220の出力速度を低下させ、モータ220によって発生するトルクを増加させる手段を含むことができる。いくつかの実施形態では、電動テンショニングシステム160は1つ以上の歯車減速アセンブリおよび/または歯車減速システムを含むことができる。いくつかの実施形態では、電動テンショニングシステム160は単一の歯車減速アセンブリを含んでもよい。他の実施形態では、電動テンショニングシステム160は2つ以上の歯車減速アセンブリを含んでもよい。
ある実施形態では、電動テンショニングシステム160は第1歯車減速アセンブリ230および第2歯車減速アセンブリ232を含み、これらは総称的に歯車減速システム228と呼ばれることがある。第1歯車減速アセンブリ230は大略的にモータ220および/またはクランクシャフト222に整列されている直列平歯車減速アセンブリであってもよい。対して、第2歯車減速アセンブリ232はクランクシャフト222の向きに略直角に延びている追加の歯車減速を提供してもよい。ハウジングユニット212に関し、第1歯車減速アセンブリ230はハウジングユニット212の長手方向に延びていてもよいのに対し、第2歯車減速アセンブリ232はハウジングユニット212の側方(または水平)方向に延びていてもよい。直列歯車と、クランクシャフト222の向きに対して水平に間隔のあいた歯車との組み合わせを用いることにより、モータ220はスプールおよび対応するスプールシャフト(以下さらに詳しく述べる)と平行に配置することができる。この配置はハウジングユニット212内に電動テンショニングデバイス160のすべての構成要素を嵌めるために必要な長手方向の空間を減じるだろう。
各歯車減速アセンブリは1つ以上の歯車を具備することができる。例示的な実施形態では、第1歯車減速アセンブリ230は1つ以上の直列平歯車を具備する。さらに、第1歯車減速アセンブリ230はクランクシャフト222によって駆動してもよく、それ自体が第2歯車減速アセンブリ232の第1歯車234を駆動する。
ある実施形態では、第2歯車減速アセンブリ232は、第1歯車234、第2歯車235、第3歯車236および第4歯車237を含む4段階の平歯車で構成してもよい。この実施形態では、以下さらに詳しく説明するように、第4歯車237は電動テンショニングデバイス160の追加構成要素を回転させるためのクランプ歯車として作用する。第2歯車減速アセンブリ232の本実施形態は4個の歯車を含む。しかし、他の実施形態は任意の他の数の歯車を使用することができるであろう。同様に、第1歯車減速アセンブリ230を構成する歯車の数は、異なる実施形態では変えてもよい。
くわえて、異なる実施形態では、第1歯車減速アセンブリ230および/または第2歯車減速アセンブリ232に使用される歯車の種類を変えることもできるであろう。いくつかの場合には、平歯車を使用してもよい。使用してもよい歯車の他の例は、はすば歯車、外歯車、内歯車、かさ歯車、冠歯車、ウォームギア、非円形歯車、ラックアンドピニオン歯車、エピサイクリック歯車、遊星歯車、ハーモニックドライブ(登録商標)ギア、ケージギア、磁気歯車、ならびに任意の他の種類の歯車および/またはさまざまな種類の歯車の任意の組合せを含むが、これだけに限定されない。歯車減速システム228の歯車の数、種類および配置は、電動テンショニングシステム160のサイズ、トルクおよび速度の所望のトレードオフを得られるように選択してもよい。
いくつかの実施形態では、電動テンショニングシステム160は締めひもの部分を巻取りおよび巻き戻すための手段を含むことができる。いくつかの実施形態では、電動テンショニングシステム160はスプール240を含むことができる。いくつかの場合には、スプール240は、締めひもおよびばねの一部をそれぞれ受けるための第1受け部242および第2受け部244をさらに具備してもよい。さらに、いくつかの場合には、第1受け部242は第1締めひも巻取り領域246および第2締めひも巻取り領域248を具備してもよく、いくつかの場合にはこれらを締めひもの両端部を個別に巻き取るために使用することができる。締めひもの径が積み重なるにつれてトルク出力が下がっていくため、各締めひも端部に個々の巻取り領域を用いることは、スプール240に巻かれる締めひもの径を小さくし、それによってトルク出力の低下を最小限にするのに役立つだろう。
いくつかの場合には、第1締めひも巻取り領域246および第2締めひも巻取り領域248は分割部249によって分離してもよく、分割部249は締めひもの一部をスプール240に永久に保持するための締めひも受止溝247を含んでもよい。しかし他の場合には、第1受け部242は単一の締めひも巻取り領域を具備してもよい。
電動ひも締めシステム160は、第2歯車減速アセンブリ232の最終駆動歯車とスプール240との間でトルクを伝達するための手段を含んでもよい。いくつかの実施形態では、電動ひも締めシステム160は第2歯車減速アセンブリ232(またはより一般的には歯車減速システム228)からスプール240に、締めひもの漸次締付け、漸次緩めおよび完全緩めを行えるようにトルクを伝達するための手段を含んでもよい。ある実施形態では、電動ひも締めシステム160は、第2歯車減速アセンブリ232の第4歯車237からスプール240にトルクを伝達しやすくするトルク伝達システム250を備えて構成してもよい。
トルク伝達システム250はさまざまなアセンブリおよび構成要素をさらに具備してもよい。いくつかの実施形態では、トルク伝達システム250はラチェットアセンブリ252、シャフト254および回転制御アセンブリ256を含んでもよい。以下さらに詳しく述べるように、トルク伝達システム250の構成要素は第2歯車減速アセンブリ232の第4歯車237からスプール240にトルクを伝達するように動作する。より具体的には、これらの構成要素は、漸次締付け(スプールの巻取り)、漸次緩め(スプールの巻き戻し)および完全張力解除(第4歯車237からスプール240に伝達されるトルクが実質的にない期間)を行えるように動作する。
いくつかの実施形態では、電動テンショニングデバイス160は補助巻取りアセンブリ260をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、補助巻取りアセンブリ260は、モータ220によって加えられるあらゆるトルクとは独立して、スプール240にトルクを加えるように構成してもよい。いくつかの場合には、たとえば、補助巻取りアセンブリ260はばね部材262および回転可能なばね受264を具備する。ばね部材262は、スプール240の第2受け部244とばね受264との間に延びていてもよい。特に、ばね部材262の第1端部263はスプール240と連動してもよいのに対し、ばね部材262の第2端部265はばね受264と連動してもよい。動作時、ばね部材262は、他の力またはトルクがないとき(たとえば、締めひもが弛んでいるとき)、締めひも巻取り方向にスプール240を回転させる偏倚トルクを加えるように構成してもよい。ばね部材262は巻上げばね、定荷重ばね、定トルクばね、クロックばねおよび任意の他の種類のばねにすることができるであろう。
いくつかの実施形態は固定軸受266も含むことができ、これがシャフト254の端部と連動してもよい。いくつかの実施形態では、固定軸受266は内ハウジング部216の凹部268内に収容してもよい。いくつかの実施形態では、シャフト254の端部は固定軸受266の開口部269内に配置してもよく、シャフト254が開口部269を通って滑動して、シャフト254の軸方向の動きをある程度与えることができるように構成してもよい。
いくつかの実施形態では、電動テンショニングデバイス160は、1つ以上のフィードバック信号に応じて、モータ220の動作を調整するための手段を含んでもよい。いくつかの実施形態では、たとえば、電動テンショニングデバイス160はリミットスイッチアセンブリ258を含んでもよい。一般に、リミットスイッチアセンブリ258は回転制御アセンブリ256の部分に流れる電流を検出して、検出した電流に応じてモータ220の動作を変えてもよい。リミットスイッチアセンブリ258の動作のさらなる詳細を、以下詳細に述べる。
参照のために、以下の詳細な説明は、軸に対する1つ以上の構成要素の回転方向を記述するときに、「第1回転方向」および「第2回転方向」という用語を使用する。便宜上、第1回転方向および第2回転方向とは、シャフト254の長手軸284(図12を参照)に対する回転方向をいい、略反対の回転方向である。第1回転方向は、シャフト254の第1端部620の視点から構成要素を見たときに、長手軸284に対して構成要素の右回り回転をいうことがある。シャフト254の第1端部620は第4歯車237と連動する端部であってもよい。したがって、第2回転方向は、同じ視点から構成要素を見たときに、長手軸284に対して構成要素の左回りの回転によって特徴付けられるだろう。
ここで、電動テンショニングデバイス160の動作の簡単な概要を説明する。動作の詳細な説明は以下に記載する。漸次締付けモードで、モータ220はクランクシャフト222を回転させるために動作し始めてもよい。クランクシャフト222は、第1歯車減速アセンブリ230の出力歯車が第2歯車減速アセンブリ232の第1歯車234を駆動するように、第1歯車減速アセンブリ230の入力歯車を回してもよい。中間の第2歯車235および第3歯車236がともに回転し、第4歯車237を第1回転方向に駆動する。第4歯車237が回転すると、第4歯車237はトルク伝達システム250に係合して駆動し、最終的にスプール240が第1回転方向に回転し始めるようにしてもよい。これにより、締めひも152をスプール240の第1受け部242に巻き取らせる。
漸次緩めモードでは、モータ220はクランクシャフト222を回転させるように動作してもよい。緩めモードでは、モータ220およびクランクシャフト222は締付けに関連する方向の反対方向に回転する。さらに、歯車減速システム228が駆動されて、第2歯車減速アセンブリ232の第4歯車237が第2回転方向に回転するようになる。
漸次締付けモードと対照的に、漸次緩めモードでは、第4歯車237はトルク伝達システム250およびスプール240の部分を直接駆動しない。代わりに、第4歯車237の第2回転方向への動きによりトルク伝達システム250にスプール240を一瞬解除させて、スプール240を所定の量だけ巻き戻させ、その後トルク伝達システム250はスプール240に再び係合し、さらなる巻き戻しを防止する。スプール240の解除および引掛けのこのシーケンスは、第4歯車237が第2回転方向に回転する限り、何度も繰り返して起こる。この漸次緩めを達成する方法のさらなる詳細を、以下詳細に説明する。
最後に、開放または完全緩めモードでは、トルク伝達システム250は、トルク伝達システム250のいずれの構成要素からもトルクが実質的にスプール240に伝達されないように動作する。このモード中、スプール240はシャフト254に対して巻き戻し方向に、より簡単に回転してもよい(たとえば、着用者が手で締めひも152を緩めて、製品100を脱ぐとき)。締めひもに沿って弛みが生じると、補助巻取りアセンブリ260はスプール240の第2受け部244に少量のトルクを加えてもよく、これが締めひも152の弛みを巻上げるように作用する。
図10〜図14は、トルク伝達システム250を構成する構成要素のさまざまな模式図を示す。明確にするために、これらの構成要素は電動締付具160の他の部品とは分離して図示している。くわえて、いくつかの図では、内部の構成要素を見せるために、いくつかの構成要素は図示していないか、または仮想線で図示している。
まず図10および図11を参照すると、ラチェットアセンブリ252は、第4歯車237、爪部材600およびラチェットハウジング602を含むいくつかの構成要素を具備してもよい(第4歯車237、爪部材600およびスプール240の相対的な位置をよく見せるために、図11ではラチェットハウジング602は図示されていない)。第4歯車237は突出ボス部604を含んでもよい。いくつかの実施形態では、突出ボス部604は、爪部材600に接触する摩擦面606をさらに含む。第4歯車237は、シャフト254のねじ切りに係合してもよい、内側にねじを切った空洞608も含んでもよい。便宜上、第4歯車237が爪部材600に対面して直接駆動する要素として作用するとともに、第2歯車減速アセンブリ232の最終駆動歯車としても作用するため、第4歯車237はラチェットアセンブリ252および第2歯車減速アセンブリ232の両方の一部として特徴付けられる。特に、第4歯車237を1つのアセンブリの一部として特徴付けることは、それが異なるアセンブリと連動することを排除するものではないことは理解されるべきである。
いくつかの実施形態では、爪部材600はラチェットハウジング602と界接するように構成されている。特に、爪アーム611から延びている歯610は、ラチェットハウジング602の対応する歯612と噛み合ってもよい。いくつかの場合には、爪アーム611および歯610の幾何学形状は、爪部材600がラチェットハウジング602内で第1回転方向に回転することができるが、爪部材600はラチェットハウジング602内で第1回転方向とは反対の第2回転方向の回転が防止される配列を提供する。
いくつかの実施形態では、爪部材600は、第4歯車237の摩擦面606に対面して係合することのできるボス係合面614を含む。第4歯車237の摩擦面606が爪部材600のボス係合面614に接触させられるときに、第4歯車237は爪部材600を駆動してもよい。さらに、ラチェットアセンブリ252の一方向ラチェット設計は、第4歯車237が爪部材600を第1回転方向にのみ駆動するのを確実にする。
爪部材600は、スプール240の第1端部670に対面するスプール係合面616(図16も参照)を含んでもよい。スプール係合面616が十分な摩擦力でスプール240に押し当てられるときに、爪部材600がスプール240を第1回転方向に駆動するために使用されてもよい。したがって、図11に図示される構成では、第4歯車237、爪部材600およびスプール240のすべてが十分な摩擦力で一緒に締着されることにより、第4歯車237が爪部材600、ひいてはスプール240を駆動するように作用してもよい。
ラチェットアセンブリ252は、スプールにトルクを伝達するために使用してもよい一方向トルク伝達機構の例示的なものであることのみを意図している。他の実施形態はラチェット状の機構に制限されることなく、他の一方向機構を含むことができるであろう。使用できるであろう他の一方向機構の例は、ころ軸受、スプラグクラッチ、ラチェットホイールと爪、および他の機構を含むが、これだけに限定されない。
図12〜図14は、シャフト254および回転制御アセンブリ256を含め、トルク伝達システム250の追加構成要素のさまざまな図を示す。図12はシャフト254および回転制御アセンブリ256の分離した分解図を示すのに対し、図13〜図14はさまざまな視点から見たこれら構成要素のいくつかの部分の組立図を示す。
シャフト254は第1端部620を具備してもよい。いくつかの実施形態では、第1端部620はねじ切り部624を含んでもよい。いくつかの場合には、ねじ切り部624は第4歯車237の内側にねじを切った空洞608(図10を参照)に係合してもよく、シャフト254に沿った第4歯車237の相対的な軸方向の動きを促してもよい。シャフト254は固定軸受266の開口部269に係合する第2端部622も含んでもよい。いくつかの実施形態では、シャフト254の中間部626を、第1端部620と第2端部622との間に設けてもよい。
シャフト254のさまざまな部分は、トルク伝達システム250およびスプール240の構成要素を受けるように構成されている。第1端部620および第2端部622は、それぞれラチェットアセンブリ252および回転制御アセンブリ256と連動してもよい。中間部626はスプール240の中央空洞690(図15を参照)内に挿入して、スプール240が中間部262を中心に回転するようにしてもよい。
いくつかの実施形態では、シャフト254の中間部626はシャフト254から半径方向外方に延びているフランジ部628をさらに含む。フランジ部628はスプール240に接触するスプール係合面630を含んでもよい。フランジ部628の反対側の面(図示せず)は回転制御アセンブリ256に対面してもよい。いくつかの実施形態では、フランジ部628は1つ以上のスロット632を含んでもよい。
いくつかの実施形態では、回転制御アセンブリ256は係合板640と圧縮ばね642とを含んでもよい。いくつかの実施形態では、係合板640は、係合板640とスプール240とに向かって延びているピン644をさらに含む。いくつかの実施形態では、ピン644はフランジ部628のスロット632に挿入してもよい。また、いくつかの場合には、ピン644はスプール240の位置合わせ穴650(図15を参照)に挿入してもよく、シャフト254およびスプール240が互いとは独立して回転するのを防止する。
図12〜図14に図示するように、回転制御アセンブリ256の構成要素はシャフト254の第2端部622に沿って配置されている。いくつかの実施形態では、圧縮ばね642は係合板640と固定軸受266との間に配置して、圧縮ばね642が係合板640を軸方向にフランジ部628およびスプール240に向かって偏倚させるように作用してもよい。
他の実施形態では、シャフトおよびスプールを解除可能に連結するために代替方法を使用することができるであろう。実施例には、他の種類の物理的にインターロックする形状構成または摩擦を増大させる形状構成を含むことが含まれる。一実施例として、波形座金またはベルビルワッシャを使用して、軸方向コンプライアントの摩擦継手を得られるであろう。
図15は分離した一実施形態のスプール240の等角図を示す。前述したように、スプール240は係合板640のピン644を受け止めるための手段を含む。この場合、4個の位置合わせ穴650が第2端面673にほぼ均等に離間している。くわえて、この特定のスプール240の図は、ばね部材262の端部を保持するために使用してもよいスロット675を明示している。
ここで図16を参照すると、トルク伝達システム250の構成要素がシャフト254に沿って組み立てられた構成で示されている。参照のために、スプール240はシャフト254に仮想線で示されている。くわえて、内ハウジング部216の断面部が参照のために示されている。
図8でも分かるように、内ハウジング部216内に設置されるとき、トルク伝達システム250のいくつかの構成要素は軸方向の動きが制約される。たとえば、スプール240およびラチェットハウジング602は軸方向の(またはシャフト254の長手方向に沿った)移動が制約される。対して、シャフト254の第1端部620に沿ってねじ切りされている第4歯車237はシャフト254を中心に回転して、シャフト254に沿って軸方向に(ねじ係合のために)並進することができる。いくつかの実施形態では、内ハウジング部216の壁部652は第4歯車237の軸方向の動きをラチェットアセンブリ252から離れる方向に制限する。
トルク伝達システム250についてここで図示する配列も、シャフト254の回転および軸方向の並進の両方を可能にする。特に、シャフト254の第2端部622は固定軸受266を摺動してもよいのに対し、シャフト254の第1端部620はシャフト254の軸方向の動きもある程度許す内ハウジング部216のチャンネル660(図8を参照)に配置されている。いくつかの実施形態では、軸方向の並進の量は、フランジ部628とスプール240との間の接触を含む形状構成、および他に考えられる形状構成によって制限されてもよい。
図17から図26は、漸次締付け、漸次緩めおよび完全緩め中にトルク伝達システム250の動作を図示するために、トルク伝達システム250およびスプール240の模式図を図示する。
まず図17を参照すると、トルク伝達システム250は、締めひもが完全に緩んでいる構成である。より具体的には、この構成は、トルク伝達システム250からスプール240に伝達されるトルクがないものである。この構成において、第4歯車237から爪部材600にトルクが伝達しないように、第4歯車237は爪部材600(ラチェットハウジング602内に配置されている)から離間していてもよい。また、第4歯車237が爪部材600およびスプール240に対する締付け圧を提供しなければ、スプール240は爪部材600から第1端部670で実質的な抵抗なく回転してもよい。さらに、この構成では、係合板640およびフランジ部628はスプール640の第2端部672から離間しているので、スプール240は第2端部672で回転するのにも抵抗を一切受けない。内ハウジング612の形状構成はスプール240の軸方向の動きを妨げるが、この構成では、スプール240は第1回転方向にまたは第2回転方向に回転してもよい。
前述したように、スプール240は、第2受け部244でスプールに偏倚トルクを加える補助巻取りアセンブリ260(図示せず)によって第1回転方向(つまり、締めひも巻取り方向)で回転するように偏倚されてもよい。しかし、この偏倚力はちょうど弛みを引き締めるだけの大きさであってもよく、スプール240から締めひもを巻き戻すために締めひもを引っ張る着用者が、比較的容易に克服することができる。したがって、スプール240は締めひもによってスプール240に加えられる張力がなければ弛みを巻き込むように偏倚するが、この構成ではスプール240は比較的自由に回転してもよい。
図17にも示されるように、この完全に緩んだ構成では、リミットスイッチアセンブリ258の接点259が係合板640に押し当てられる。この係合板640との接触がスイッチの連続性を提供し、それにより接点259間に電流が流れる。
図18は、モータ220(図示せず)が回転し始めたときのトルク伝達システム250の動作を示す。当初、モータ220は歯車減速システム228を駆動するので、第4歯車237が第1回転方向(矢印700で模式的に示される)に回転する。第4歯車237が第1回転方向に回転すると、第4歯車237とシャフト254との間のねじ切り界接のために、第4歯車237は軸方向に(矢印702で示される)爪部材600の方に並進する。第4歯車237は、ボス部604の摩擦力606が爪部材600のボス係合面614に接触して、押し当たるまで、回転して軸方向に並進し続ける。この時点で、圧縮ばね642からの予荷重が係合板640およびフランジ部628(これらは連結されている)にある程度の抗力を提供して、第4歯車237がシャフト254に沿って軸方向に並進している間シャフト254を回転させないようにしてもよい。この抗力がなければ、または別の摩擦もしくは抗力源がなければ、シャフト254が傾斜して第4歯車237とともに回るので、第4歯車237は軸方向に並進しないであろう。
図19は、スプール240が締めひもを巻き込み始めた構成のトルク伝達システム250の動作を示す(つまり、トルク伝達システム250が漸次締付けモードにある)。この場合、爪部材600との接触がシャフト254に沿った第4歯車237のさらなる軸方向の並進を妨げるが、モータ220は第4歯車237を第1回転方向(矢印700で模式的に示される)に駆動し続ける。そのため、第4歯車237が回り続けると、シャフト254が軸方向に(矢印706で模式的に示される)並進するので、第1端部620はスプール240から遠くに並進する。シャフト254が軸方向に並進すると、フランジ部628はスプール240の第2端部672を圧迫し、ピン644をスプール254の位置合わせ穴(図15を参照)に係合させる。これがシャフト254とスプール240とを一緒にロックし、この2つの構成要素の相対的な回転を防止する。フランジ部628とスプール240との間の接触がシャフト254のさらなる軸方向の並進を防止する。この時点で、ラチェットアセンブリ252がスプール240の第1端部670を圧締すると、第4歯車237のさらなる駆動がスプール240を第1回転方向(矢印708で模式的に示される)に回転させるように作用する。モータ240が第4歯車237を駆動し続ける限り、締めひもはスプール240に巻き取られてもよい。
フランジ628がスプール240に向かって移動し、係合板640が圧縮ばね642の力で追従すると、リミットスイッチアセンブリ258が係合板640から分離することも、図19から分かる。これにより接点259間の電流の連続性は断たれる。
図20および図21はいくつかの構成要素の拡大模式図を示す。例示のために、模式的な締めひも720がスプールとともに示されている。図20および図21を参照すると、ラチェットアセンブリ252は確実に、第4歯車237から爪部材600およびスプール240にのみトルクを伝達することができ、逆はできない。特に、ラチェットアセンブリ252の一方向動作はスプール240によって発生するトルクが、爪部材600、第4歯車237および最終的にモータ220を回すのを防止する。換言すると、前述したように、ラチェットアセンブリ252はスプール240が第2回転方向(つまり、巻き戻し方向)に偶発的に回転するのを防止する荷重保持機構として機能する。この配列は、モータ220が停止するか、または締めひもによってスプール240に加えられるトルクが第4歯車237によってスプールに加えられるトルクを超える状況において、スプール240がモータ220を巻き戻すのを防止するのに役立つだろう。
図22〜図25は、漸次緩めモードでのトルク伝達システム250の動作を示している。いくつかの実施形態では、漸次緩めは数段階で起こってもよい。
図22および図23に示される第1段階中、モータ220は第4歯車237を第2回転方向に(矢印730で模式的に示される)駆動するように動作される。これで、第4歯車237を矢印732で模式的に示される方向に、軸方向に爪部材600およびスプール240から離れるように並進させる。第4歯車237が爪部材600から離れるように並進すると、第4歯車237、爪部材600およびスプール240の第1端部670間の締付け力が解除される。
図24に示される第2段階中、今度は締めひもの張力がスプール240を第2回転方向に(矢印734で模式的に示される)回転させる。スプール240およびシャフト254はこの段階では物理的に一緒にロックされているため、シャフト254はスプール240とともに第2回転方向に(矢印736で模式的に示される)回転する。シャフト254がシャフト254と第4歯車237との間のねじ係合(および歯車減速システム228およびモータ220によって提供される第4歯車237の回転に対する抵抗)を回転させると、第4歯車237を軸方向に爪部材600に向かって並進させる。
図25に示される最終段階では、第4歯車237、爪部材600およびスプール240は一緒に締着されて、スプール240が第2回転方向にさらに回転するのを防止する。締めひもをスプール240から漸次巻き戻すために、これら3つの段階を連続して繰り返してもよい。
図26は、完全緩めモード(または完全解除モード)でのトルク伝達システム250の動作を示す。図26を参照すると、モータ220は第4歯車237を駆動して、スプール240がもう巻き戻らなくなるほど締めひも張力が十分に低くなるまで、第2回転方向に(矢印740で模式的に示される)回転させてもよい。いくつかの実施形態では、第4歯車237は、第4歯車237が内ハウジング部216の壁部652によって提供されるハードストップに突き当たるまで、回転し続けてもよい。第4歯車237がそれ以上並進できない状態で、モータ220が第4歯車237を駆動し続けると、係合板628がスプール240ともはやロックしなくなるまで(つまり、ピン644がスプール240の位置合わせ穴650から離脱するまで)、シャフト254が矢印742によって模式的に示される方向に軸方向に並進することになる。この時点で、係合板640はリミットスイッチアセンブリ258の接点259に接触し、それによってリミットスイッチの連続性が完成し、さらにモータ220を停止させる。これがスプール240を完全に緩めた状態にしておき、補助巻取りアセンブリ260によって第1回転方向への偏倚が多少もたらされるものの、比較的自由に回転できるようにする。
補助巻取りアセンブリはトルク伝達システムとは実質的に独立して動作するように構成してもよい。これにより、トルク伝達システムの動作のさまざまな段階中に、巻取りアセンブリに弛みを引き込ませてもよい。特に、補助巻取りアセンブリは、伸張部材を締付けている、緩めているおよび完全に緩めている間に発生するおそれのある伸張部材(例、締めひも)の弛みを引き込むように構成されていてもよい。
図27から図29は、電動締付具160のいくつかの部分の模式的な等角図を示している。より具体的には、図27から図29は、システムの、異なる動作モード中の補助巻取りアセンブリ260の一般的な動作を図示することが意図されている。図27は締付けモードで動作している電動締付具160の構成を図示している。このモードでは、第4歯車237は、トルク伝達システム250と協働して、スプール240を第1回転方向に駆動し、それによって締めひも800をスプール240に巻き付ける。このモードにおいて、スプール240がモータによって駆動されているとき、ばね部材262はスプール240からばね受264に巻かれてもよい。
次に図28を参照すると、電動締付具160は、完全緩めモードで動作しているとき、締めひも800の張力がスプールを第2の巻取り方向に回転させて、締めひも800をスプール240から巻き戻す。スプール240が第2回転方向に巻くと、ばね部材262はばね受264から、スプール240の第2受け部244に巻き戻されてもよい。これによりばね部材262はデフォルト構成に復帰し、補助巻取りアセンブリ260は巻取り方向にスプール240を偏倚して弛みを引き込もうとする。
次に図29を参照すると、電動締付具160は、モータによってスプール240にトルクが供給されないモードで動作している。くわえて、締めひも800に弛みが生じてきているので、締めひも800もスプール240に大きなトルクを加えていない。この状況において、ばね部材262がスプール240の第2受け部244からばね受264に巻き戻されると、補助巻取りアセンブリ260は偏倚力を提供してスプール240を第1回転方向に巻く。
補助巻取りアセンブリ260は、モータ220を外したときに弛みを素早く確実に巻き上げることによって、テンショニングシステム150の可用性を改善してもよい。これは、モータが弛みを巻き込むのを待たなくても、使用者がすぐに製品を履いたり、または脱いだりすることができるので望ましい。
図示される実施形態では、この素早い弛み巻取りは、惰性回転するスプールに蓄積し、締めひもスプールの一端に巻き直される定荷重ばねを利用して達成される。しかし、他の実施形態では、多様な異なる要素またはシステムがこの素早い弛み巻取りに使用できるであろう。たとえば、別の実施形態では、弛みの巻取りに、減速がまったくまたは歯車減速が少ししかない第2小型モータを使用することができるであろう。さらに他の実施形態では、他のばね要素を使用することができるであろう。たとえば、別の実施形態では、エラストマー製ねじりばねを使用することができるであろう。さらに別の実施形態では、歯車付きクロックばねを使用することができるであろう。さらに、他の実施形態では、ばね部材は締付けシステムの他の構成要素に巻き付けることができるであろう。
たとえば、図30に示される代替実施形態では、ばね部材820は一端でスプール240に巻き付け、もう一端でモータ220に巻き付くように構成されている。この代替配列は電動締付けシステムのさらにややコンパクトな構成を提供するだろう。締めひもの完全巻取りおよび巻き戻しの速度を高めることに加えて、締めひもを完全に巻取りおよび巻き戻しするためにモータを利用するシステムよりも、バッテリの寿命が大幅に改善されるだろう。
電動テンショニングデバイスの位置は実施形態によって変えることができる。図示される実施形態は、アッパーのかかとに配置される電動テンショニングデバイスを示している。しかし、他の実施形態は、アッパーの足先部および中足部を含め、履物製品の任意の位置に電動テンショニングデバイスを組み込んでもよい。さらに他の実施形態では、電動テンショニングデバイスは製品のソール構造に配置することができるであろう。電動テンショニングデバイスの位置は、サイズの制約要因、製造上の制約要因、美観的な好み、最適な締めひもの配置、取り外しやすさ、および他に考えられる要因を含むが、これだけに限定されないさまざまな要因に従って選択してもよい。
電動テンショニングデバイス160をアッパー102の外部に配置した実施形態では、着用者はハウジングユニット212(図1を参照)の一部を取り外すことによって構成要素にアクセスしてもよい。たとえば、いくつかの場合には、スプール240は、締めひもが破断した場合に備えて、交換可能であってもよい。
いくつかの実施形態は、製品の取り外し可能な構成要素に電動テンショニングデバイスを組み込むための手段を含んでもよい。ある実施形態では、電動テンショニングデバイスは外部ヒールカウンタに組み込んでもよい。いくつかの場合には、外部ヒールカウンタは、電動テンショニングデバイスを製品に取り付けるためのハーネスとして機能してもよい。該実施形態では、外部ヒールカウンタは電動テンショニングデバイスを受けるように特別に適合されていてもよい。締めひもテンショニングデバイスとともに使用するように構成されているヒールカウンタの実施例は、Gerberの特許文献1(現在、2012年5月25日に出願され、「Article of Footwear with Protective Member for a Control Device」と題する米国特許出願第13/481,132号)で開示されており、その開示全体を参照により本明細書に組み込む。
図31は、テンショニングシステム150とともに構成されている履物製品100の実施形態の模式的な等角図を示す。本実施形態では、これ以降単に製品100とも呼ばれる履物製品100は、ランニングシューズなどの運動靴の形で示されている。しかし、他の実施形態では、テンショニングシステム150は、ハイキングブーツ、サッカーシューズ、フットボールシューズ、スニーカー、ランニングシューズ、クロストレーニングシューズ、ラグビーシューズ、バスケットボールシューズ、ベースボールシューズ、および他の種類の靴を含むが、これだけに限定されない任意の他の種類の履物とともに使用してもよい。また、いくつかの実施形態では、製品100は、スリッパ、サンダル、ハイヒール、ローファー、および任意の他の種類の履物を含むが、これだけに限定されない、さまざま種類の非スポーツ関連の履物とともに使用するように構成されていてもよい。以下さらに詳しく述べるように、テンショニングシステムは履物に限定されなくてもよく、他の実施形態ではテンショニングシステムは、衣類、スポーツウェア、スポーツ用具および他の種類の衣料品を含む、さまざまな種類の衣料品とともに使用することができるであろう。さらに他の実施形態では、テンショニングシステムは医療用装具などの装具とともに使用してもよい。
製品100はアッパー102とソール構造104とを含んでもよい。一般に、アッパー102は任意の種類のアッパーであってもよい。特に、アッパー102は任意の設計、形状、サイズおよび/または色を有してもよい。たとえば、製品100がバスケットボールシューズである実施形態では、アッパー102は足首に高い支持力を施すような形状にされているハイトップアッパーとすることができるであろう。製品100がランニングシューズである実施形態では、アッパー102はロートップアッパーとすることができるであろう。
いくつかの実施形態では、ソール構造104は製品100にトラクションを提供するように構成されていてもよい。トラクションを提供することに加えて、ソール構造104は、ウォーキング、ランニングまたは他の歩行活動中に足と地面との間で圧縮されるときに、地面の反力を弱めてもよい。ソール構造104の構成は、異なる実施形態では、多様な従来の構造または従来にない構造を含むように大幅に変えてもよい。いくつかの場合には、ソール構造104の構成は、ソール構造104を使用してもよい1種類以上の地面に応じて構成することができる。地面の例は、天然芝、人工芝、土、および他の地表面を含むが、これだけに限定されない。
異なる実施形態では、ソール構造104は異なる構成要素を含んでもよい。たとえば、ソール構造104はアウトソール、ミッドソールおよび/またはインソールを含んでもよい。くわえて、いくつかの場合には、ソール構造104は地面とのトラクションを高めるように構成されている1つ以上のクリート部材またはトラクション要素を含むことができる。
いくつかの実施形態では、ソール構造104はアッパー102と接合してもよい。いくつかの場合には、アッパー102は足を包み込んで、ソール構造104を足に固定するように構成されている。いくつかの場合には、アッパー102は、製品100の内部空洞へのアクセスを提供する開口部130を含んでもよい。
テンショニングシステム150は、開口部130のサイズを調整し、それによって着用者の足の周りでアッパー102を締め付け(または緩める)ためのさまざまな構成要素およびシステムを具備してもよい。いくつかの実施形態では、テンショニングシステム150は締めひも152および電動テンショニングデバイス160を具備してもよい。締めひも152はさまざまな異なる締めひもガイド154を通過するように構成されていてもよく、締めひもガイド154はさらにスロート開口部132の縁部と連動していてもよい。いくつかの場合には、締めひもガイド154はアッパーの従来のひも穴と同様な機能を提供してもよい。特に、締めひも152が引っ張られるかまたは張力をかけられると、スロート開口部132は一般的に、アッパー102が足の周りに締め付けられるように収縮してもよい。
この実施形態における締めひもガイド154の配列は、単なる例示的なものであることが意図されており、他の実施形態は締めひもガイド154の特定の構成に制限されないことは理解されるであろう。さらに、実施形態に図示されている特定の種類の締めひもガイド154も例示的なものであり、他の実施形態は任意の他の種類の締めひもガイドまたは同様な締めひも手段を組み込んでもよい。たとえば、いくつかの他の実施形態では、締めひも154は従来のひも穴に挿入することができるであろう。実施形態に組み込まれる締めひもガイド手段のいくつかの実施例は、2012年1月5日に公開され、「Lace Guide」と題するCottermanらの特許文献2に開示されており、その開示全体を参照により本明細書に組み込む。追加の実施例は、2011年11月3日に公開され、「Reel Based Lacing System」と題するGoodmanらの特許文献3(「リールベースの締めひも出願」)に開示されており、その開示全体を参照により本明細書に組み込む。締めひもガイドのさらに追加の実施例は、2011年9月22日に公開され、「Guides For Lacing Systems」と題するKernsらの特許文献4に開示されており、その開示全体を参照により本明細書に組み込む。
締めひも152は当業界で周知のあらゆる種類の締めひも材料の種類を含んでもよい。使用してもよい締めひもの実施例は、低い弾性率および高い引っ張り強さを有するケーブルまたは繊維を含む。締めひもは材料の単一のストランドを含んでもよく、または材料の複数のストランドを含むこともできる。他の種類の伸びきり鎖の高弾性率ポリエチレン繊維素材も締めひもとして使用することができるが、締めひもの例示的な材料は、ニュージャージー州モリスタウンシップのHoneywell社が製造するSPECTRATMである。締めひものさらに別の例示的な特性は、前述のリールベースの締めひも出願に記載されている。
いくつかの実施形態では、締めひも152は締めひもガイド154を通過してもよく、締めひもガイド154の上にあるチャンネル開口部156に入った後に、アッパー102内の内部チャンネル(図示せず)を通過してもよい。いくつかの実施形態では、内部チャンネルはアッパー102の側部の周りに延びて、締めひもを、アッパー102のかかと部14に取り付けてもよい電動テンショニングデバイス160に向かって案内する。いくつかの場合には、電動テンショニングデバイス160は締めひも152の一部を受けるための手段を含んでもよい。いくつかの場合には、締めひも152の端部はアッパー102の内部チャンネルを出て、電動テンショニングデバイス160のハウジングユニット212の開口部を通過する。
電動テンショニングデバイス160は、アッパー102を締付けおよび緩めるために、締めひも152に自動的に張力を加えるように構成されていてもよい。以下さらに詳しく説明するように、電動テンショニングデバイス160は、電動テンショニングデバイス160の内部のスプールに締めひも152を巻取り、スプールから締めひも152を巻き戻すための手段を含んでもよい。また、この手段はさまざまな入力または制御に応答して、スプールの自動的な巻取りおよび巻き戻しをする電気モータを含んでもよい。
電動テンショニングデバイス160をアッパー102に取り付けるための手段は、異なる実施形態では変えることができる。いくつかの場合には、電動テンショニングデバイス160は取り外し可能に装着して、電動テンショニングシステム160を使用者が簡単に取り外して変更することができるようにしてもよい(たとえば、締めひもを交換しなければならないとき)。電動テンショニングシステム160をアッパー102に取り外し可能に装着するための手段の実施例は、以下詳細に述べる。他の場合には、電動ひも締めデバイス160はアッパー102に恒久的に装着することができるであろう。たとえば、ある実施形態では、外部ハーネス(図示せず)を使用して、電動テンショニングシステム160をアッパー102のかかと部14に取り付けてもよい。
いくつかの実施形態では、電動テンショニングデバイス160はリモートデバイス170と通信してもよい。いくつかの場合には、電動テンショニングデバイス160はリモートデバイス170から動作命令を受信してもよい。たとえば、電動テンショニングデバイス160は、スプールを巻くことによって、増大した張力を締めひも152に加える命令を受信してもよい。いくつかの場合には、リモートデバイス170は電動テンショニングデバイス160から情報を受信することが可能であってもよい。たとえば、リモートデバイス170は締めひも152の現在の張力に関わる情報および/またはその他感知した情報を受信することができるであろう。
図32を参照して以下に述べるように、リモートデバイス170は着用者がテンショニングシステム150を動作させるために使用してもよい遠隔制御として機能してもよい。
ある実施形態では、リモートデバイス170はApple,Inc.社が製造するiPhone(登録商標)などの携帯電話を具備する。他の実施形態では、スマートフォンを含め、任意の他の種類の携帯電話も使用することができるであろう。他の実施形態では、携帯情報端末、デジタル音楽プレーヤー、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ウルトラブックコンピュータおよび任意の他の種類のポータブル電子機器を含むが、これだけに限定されない、任意のポータブル電子機器を使用することができるであろう。さらに他の実施形態では、電動テンショニングデバイス160を制御するために特別設計されたリモートデバイスを含め、任意の他の種類のリモートデバイスを使用することができるであろう。
以下詳細に述べる別の実施形態では、リモートデバイス170は、使用者が着用して、電動テンショニングデバイス160と通信するように特別に設計されたブレスレット、リストバンドおよび/またはアームバンドを具備することができるであろう。リモートデバイスの種類は、ソフトウェアおよびハードウェアの要求事項、移動しやすさ、製造費、ならびに他に考えられる要因に応じて選択することができるであろう。
いくつかの実施形態では、電動締付具160は複数のリモートデバイスと通信してもよい。たとえば、使用者は、好ましい張力設定を特定して設定するために自宅でiPhone(登録商標)などの携帯機器を使用してもよく、ブレスレット、リストバンドおよび/またはアームバンドなど、さらに基本的なコントローラを有する別のリモートデバイスは、たとえばスポーツをしているときに、電動締付具160にコマンドを出すために使用してもよいだろう。たとえば、ブレスレットは、設定した張力を使用者が呼び出してそれを調整できるが、後で呼び出すために新たな張力を設定することはできないだろう。
すでに述べたように、リモートデバイス170は電動締付具160と(または個別の制御ユニットなどの補助デバイスを介して電動締付具160と間接的に)通信してもよい。異なる通信方法の実施例は、パーソナルエリアネットワーク(例、Bluetooth(登録商標))およびローカルエリアネットワーク(例、Wi−Fi)、ならびに当業界で周知の任意の種類のRFベースの方法などのワイヤレスネットワークを含むが、これだけに限定されない。いくつかの実施形態では、ワイヤレス通信に赤外線光を使用してもよい。図示されている実施形態は電動テンショニングシステム160とワイヤレス通信するリモートデバイス170を詳述しているが、他の実施形態では、リモートデバイス170および電動テンショニングシステム160は1本以上のワイヤで物理的に接続して通信してもよい。
明確にするために、実施形態では1個の履物製品を示している。しかし、リモートデバイス170は同様なテンショニングシステムも含む対応する履物製品を動作させるように構成されていてもよいことは理解されるであろう(例、1足の履物のそれぞれがテンショニングシステムを有する)。以下に説明するように、リモートデバイス170は各製品のテンショニングシステムを互いに独立してそれぞれ動作させるために使用してもよい。
図32は、テンショニングシステム150を制御するための例示的なユーザインターフェースの模式的な表現を含む、リモートデバイス170の実施形態の模式図を示す。いくつかの実施形態では、リモートデバイス170は、以下単にアプリケーション180と呼ぶ、ひも締め制御ソフトウェアアプリケーション180を実行することができてもよい。リモートデバイス170がモバイルソフトウェアアプリケーションを実行することのできる携帯電話(または同様なデジタル機器)である実施形態では、アプリケーション180は使用者が第三者のオンラインストアまたはウェブサイトからダウンロードしてもよい。このような携帯電話(または同様なデジタル機器)は、使用者との入出力インタラクションのために、アプリケーション180によって使用してもよいタッチスクリーンLCDデバイスを含んでもよい。いくつかの実施形態では、出力表示のみに、LCDまたは非タッチスクリーンLCDを使用してもよい。
アプリケーション180は複数の制御ボタン182を表示し、該複数の制御ボタン182とのユーザインタラクションに応答し、該インタラクションに応答して制御コマンドを開始してもよい。例示的な制御コマンドは、左/右の靴選択、漸次締付け、漸次緩め、開放/完全緩め、張力保存、および張力呼び出し/復元を含んでもよいが、これだけに限定されない。
図32の例示的な実施形態では、これらの制御ボタンは第1ボタン191および第2ボタン192を含み、これらはそれぞれ制御コマンドを受信して応答する靴(左または右)を選択するために使用される。いくつかの実施形態では、第1ボタン191または第2ボタン192のいずれを選択してもよいが、両方を同時に選択することはできない。他の場合には、第1ボタン191および第2ボタン192を同時に選択して、使用者に両方の靴を同時に締め付け、緩めまたは開放させることが可能であってもよい。くわえて、アプリケーション180は「漸次締付け」コマンドを開始する第3ボタン193、「漸次緩め」コマンドを開始する第4ボタン194、および「開放」(または完全緩め)コマンドを開始する第5ボタン195を含んでもよい。任意で、いくつかの実施形態では、所定の閾値に達するまで(たとえば、閾値圧力、巻取り距離等)、履物を締め付ける「完全締付け」コマンドを含むことができるであろう。
いくつかの実施形態では、靴、製品または他のアイテムは2つ以上の電動締付具160を含んでもよい。該実施形態では、各電動締付具160はリモートデバイス170と個々に通信するためのワイヤレス通信ハードウェアを含んでもよく、または複数の電動締付具160が共同で使用するための単一のワイヤレス通信機器を備えてもよい。該実施形態の場合、リモートデバイス170は、アプリケーション180などを用いて、1つの製品で複数の電動締付具160を個々に調整するための追加ボタンまたは他のコントローラを備えるように構成されていてもよい。
たとえば、図32に図示されるボタン191は、ユーザインタラクションに個別に応答する上領域および下領域に細分することができるであろう。これらの領域を使用することによって、ボタン193,194および195を介して張力調整のために2つの電動締付具160のうちの1つを選択することができるであろう。別の実施例では、ボタン193および194などの追加ボタンをアプリケーション180によって同時に表示して、複数の電動締付具160の調整をより素早く行えるであろう。
アプリケーション180は、好ましい張力設定を保存して使用するための手段も含んでもよい。たとえば、「現在の張力を保存」コマンドおよび「保存した張力に戻す」コマンドをそれぞれ開始するために、第6ボタン196および第7ボタン197を使用してもよい。いくつかの場合には、張力の値はリモートデバイスに保存することができるであろうが、他の場合には張力の値は電動テンショニングデバイス160の制御盤の内部メモリに格納することができるであろう。さらに他の実施形態は、複数の張力設定を保存する手段を含むことができるであろう。たとえば、使用者はスポーツをするときはよりぴったりしたフィットを好み、普段の活動にはより緩いフィットを好むことがある。このような場合、リモートデバイス170は、使用者が、少なくとも2つの異なる締めひも張力の好みに対応する2つ以上の張力設定を保存できるようにしてもよい。
いくつかの実施形態では、第6ボタン196は現在選択されている1つの電動締付具160の張力設定を保存させ、いくつかの実施形態では、第6ボタン196は複数の電動締付具160の張力設定を1つのアクションで保存させてもよい。当業者は、複数の電動締付具160の張力の保存または呼び出しは、1足の靴など、単一のアイテムかまたは複数のアイテムの一部かに関係なく、リモートデバイス170によって出された単一のコマンドを用いて、または各電動締付具160に個別の制御コマンドを出すなど、一連の制御コマンドを用いて行えることは認識するであろう。
いくつかの実施形態では、アプリケーション180および/またはリモートデバイス170は、リモートデバイス170の通信範囲内の複数のアイテムまたはアイテムのセットの中から、1足の靴など、個別のアイテムまたは個別のアイテムのセットを選択的に制御するように構成されていてもよい。たとえば、アプリケーション180は各アイテムに割り当てられる固有識別子によってアイテムを列挙し、列挙されたアイテムを使用者に表示し、アイテムを選択する入力を受信するように構成されていてもよい。別の実施例では、アプリケーション180はBluetooth(登録商標)を介して特定のアイテムまたはアイテムのセットとペアリングしてもよい。別の実施例では、LCDディスプレイのないリモートデバイスは、必要なら繰り返し押して、所望のアイテムを選択する制御ボタンを含んでもよく、アイテムはリモートデバイスとワイヤレス通信状態にあるときに光るLEDを含んでもよい。
実施形態は、電動テンショニングデバイス160をリモートで動作させるための特定のユーザインターフェースまたはアプリケーションに限定されない。ここでの実施形態は例示的なものであることが意図されており、他の実施形態は任意の追加の制御ボタン、インターフェースデザインおよびソフトウェアアプリケーションを組み込むことができるであろう。一実施例として、いくつかの実施形態は、制御する靴を選択するための手段を含まなくてもよく、代わりに、左の靴または右の靴のいずれかに各セットが対応する2セットの制御ボタンを利用することができるであろう。さまざまな動作コマンドを開始する制御ボタンは、使いやすさ、デザイナーの美的好み、ソフトウェア設計のコスト、電動テンショニングデバイス160の動作性、および他に考えられる要因を含むさまざまな要因に応じて選択することができる。
この詳細な説明全体および請求項において、テンショニングシステムのさまざまな動作モードまたは構成を説明する。これらの動作モードは、テンショニングシステム自体の状態、ならびにテンショニングシステムの個々のサブシステムおよび/または構成要素の動作モードをいうことがある。例示的なモードは「漸次締付けモード」、「漸次緩めモード」および「完全緩め」モードを含む。後者2つのモードは「漸次解除モード」および「完全解除モード」とも呼ばれることがある。漸次締付けモードでは、電動締付具160は締めひも152を漸次(もしくは徐々に)締め付けるか、または締めひも152の張力を高めるように動作してもよい。漸次緩めモードでは、電動締付具160は締めひも152を漸次(もしくは徐々に)緩めるか、または締めひも152の張力を解除するように動作してもよい。
以下詳しく述べるように、漸次締付けモードおよび漸次緩めモードは締めひもを個別のステップで、または連続して締め付け、緩めてもよい。完全解除モードでは、電動締付具160は、システムによって締めひもに加えられる張力を、使用者が製品から足を簡単に抜くことができるレベルまで実質的に低下させるように動作してもよい。これは漸次解除モードとは対照的で、その場合システムは現在の張力に対して締めひもの張力を低くするが、必ずしも締めひもから完全に張力を取り除かないように動作する。また、完全解除モードは、使用者が製品を脱ぐことができるように締めひも張力を素早く解除するために利用してもよいが、漸次解除モードは、使用者が所望の張力の量を探るときに締めひも張力に微調整を行うために利用してもよい。
実施形態は、考えられる3つの動作モード(および関連の制御コマンド)を説明しているが、他の動作モードも可能であってもよい。たとえば、いくつかの実施形態は、所定の張力が得られるまで電動締付具160が締めひも152を締め続ける完全締付け動作モードを組み込むことができるであろう。
図33から図37は、テンショニングシステム150の異なる動作モード中に締め付け、緩められている製品100の実施形態の模式図を示している。各図は、各動作モードを開始するために使用される特定の制御ボタンを含めて、リモートデバイス170の模式図も示している。
図33は、足200を入れる直前の完全に開放された状態の製品100を示す。この状態では、締めひも152は使用者が足を開口部130に挿入できるよう十分に緩んでいてもよい。
次に図34を参照すると、足200は製品100に挿入されており、完全に開放された状態のままである。次に図35を参照すると、リモートデバイス170の第3ボタン193を押すことによって、電動テンショニングデバイス160に漸次締付けコマンドが送信されている。このコマンドは電動テンショニングデバイス160を漸次締付けモードに入らせる。この時点で、締めひも152の張力が高められてアッパー102を足200の周りに締め付ける。特に、締めひも152は電動テンショニングデバイス160に引き込まれて、電動テンショニングデバイス160がスロート開口部132に隣接して配置されている締めひも152の部分を引張り、こうしてスロート開口部132を収縮させる。いくつかの場合には、この漸次締付けは、着用者が第3ボタン193を押すたびに、締めひも152が所定の量だけ(たとえば電動テンショニングデバイス160内のスプールを所定の角度回転させることによって)巻き取られるように、個別のステップで行うことができる。他の場合には、着用者が第3ボタン193に触れ続けている限り、この漸次締付けを連続して行うことができる。いくつかの場合には、締め付け速度は、製品100を完全に締め付けるのに過度に長い時間がかからないように十分な速さにしながらも、システムが好ましい締め具合のレベルを行きすぎないように設定することができる(つまり、システムは、十分に締まっていない状態ときつすぎる状態との間で、速すぎる変化をしない)。
図36および図37は、締めひも152が緩む2つの異なる動作モードの模式図を示す。まず図36を参照すると、着用者は第4ボタン194を押して、テンショニングシステム150の漸次緩めコマンドを開始することができる。漸次緩めコマンドを受信すると、電動テンショニングデバイス160は漸次緩めモードで動作してもよく、締めひも152は電動テンショニングデバイス160から解除される(つまり、締めひも152の一部が電動テンショニングデバイス160から出る)。これにより締めひも152の張力がある程度緩み、スロート開口部132が部分的に広がる。
いくつかの場合には、この漸次緩めは、着用者が第4ボタン194を押すたびに、締めひも152が所定の量だけ(たとえば、電動テンショニングデバイス160内のスプールを所定の角度回転させることにより)繰り出されるように、個別のステップで行うことができる。他の場合には、着用者が第4ボタン194に触れ続けている限り、この漸次緩めを連続して行うことができる。いくつかの場合には、緩め速度は、製品100を完全に緩めるのに過度に長い時間がかからないように十分な速さにもしながらも、システムが好ましい締め具合のレベルを行きすぎないように設定することができる(つまり、システムは、きつすぎる状態と十分に締まっていない状態との間で、速すぎる変化をしない)。この構成を用いると、着用者は、アッパー102の好ましい締め具合レベルが得られるまで、締めひも152の張力を(漸次締付けモードおよび漸次緩めモードを使用して)増減し続けることができる。
次に図37を参照すると、着用者は第5ボタン195を押して、テンショニングシステム150の開放または完全緩めコマンドを開始することができる。漸次緩めコマンドとは対照的に、開放コマンドは、使用者が製品100を素早く脱ぐことができるように、締めひも152のすべての張力(またはそのほとんど)を一気に解くために使用してもよい。したがって、開放コマンドを受信すると、電動テンショニングデバイス160は完全緩めモードで動作する。このモードでは、電動テンショニングデバイスは、実質的にすべての張力が締めひも152から取り除かれるように、締めひも152を十分に繰り出すように動作する。いくつかの場合には、これは(たとえば、センサを用いて)締めひも152の張力を継続的にモニタリングし、張力のレベルが閾値張力未満になるまで締めひも152を繰り出すことにより達成されてもよい。他の場合には、これは、テンショニングシステム150の完全に緩められた状態を得るために必要な量にほぼ対応することが分かっている所定の締めひも152の長さを繰り出すことにより達成してもよい。図37で分かるように、テンショニングシステム150が開放状態にあるとき、足200は履物100から簡単にかつ快適に抜くことができる。
異なる実施形態では、電動締めひもデバイスの制御は、さまざまな方法およびデバイスを用いて行うことができる。ここで図38を参照すると、いくつかの実施形態では、RFベースの制御ブレスレット390を含め、さまざまな種類のリモートデバイスを利用してもよい。制御ブレスレット390は電動テンショニングデバイスにコマンドを送信するための1つ以上のボタンを組み込んでもよい。いくつかの場合には、制御ブレスレット390は、漸次締付けコマンドおよび漸次緩めコマンドを開始するためのボタンを含んでもよい。さらに他の場合には、開放コマンド(または完全緩めコマンド)、張力保存コマンド、および保存した張力に戻るコマンドを含め、任意の他のコマンドを開始するための追加ボタンを含むことができる。さらに他の場合は、任意の他の種類のコマンドを出すための任意の他のボタンを組み込むことができるであろう。
いくつかの他の実施形態では、締付け、緩めおよび/または他の機能を行うためのボタンは、製品に直接配置することができる。例として、いくつかの実施形態は電動テンショニングデバイスのハウジング上またはそれに隣接して1つ以上のボタンを組み込むことができるであろう。さらに他の実施形態では、電動締付具は音声コマンドを用いて制御してもよい。これらのコマンドは、リモートデバイスを通じて、または製品に統合されて電動テンショニングデバイスと通信状態にある音声コマンドの受信が可能なデバイスに伝送することができるであろう。
実施形態は、電動テンショニングシステムの制御ユニットに情報を提供するための多様なセンサを組み込むことができる。前述したように、いくつかの実施形態では、電流を測定するためにHブリッジ機構が使用される。測定された電流は制御ユニット302(図5を参照)への入力として供給される。いくつかの場合には、一定の締めひも張力に対する所定の電流が分かっていてもよい。測定された電流を所定の電流に対して点検することにより、電動テンショニングシステムは、所望の締めひも張力が得られたことを示す所定の電流が測定されるまで、締めひもの張力を調整してもよい。
電流をフィードバックとして用いると、多様なデジタル制御戦略を採用することができる。たとえば、比例制御のみを使用することができるであろう。あるいは、PI制御または完全なPIDを採用することができるであろう。いくつかの場合には、単純平均法を採用するか、またはノイズを低減するためにファジー論理およびバンドパスを含む他のフィルタリング技法を採用することができるであろう。
さらに他の実施形態は追加の種類のセンサを含むことができる。いくつかの場合には、使用者が立っているときを示すために、製品のインソールの下に圧力センサを使用することができるであろう。電動テンショニングシステムは、使用者が立ち位置から座位に移動したときに、締めひもの張力を自動的に緩めるようにプログラミングすることができる。このような構成は、座っているときには血液循環を促進するために低張力を要するが、立っているときには安全性のために高い張力を要する高齢者にとって便利であろう。
さらに他の実施形態は、追加の張力感知素子を含むことができるであろう。ある実施形態では、締めひもを含めて、テンショニングシステムの状態をより正確にモニタリングするために、締めひもに3点曲げインジケータを使用することができるであろう。他の実施形態では、容量性デバイスまたは誘導性デバイスなど、偏位を測定するさまざまなデバイスを使用することができるであろう。いくつかの他の実施形態では、テンショニングシステムの1つ以上の構成要素の張力誘起ひずみを測定するために、ひずみ計を使用することができるであろう。
いくつかの実施形態では、ジャイロスコープおよび加速度計などのセンサをテンショニングシステムに組み込むことができるであろう。いくつかの実施形態では、加速度計および/またはジャイロスコープは、締めひも張力を調整するためのフィードバックとして使用してもよい急なモーメントおよび/または位置情報を検出するために使用することができるであろう。これらのセンサはバッテリ寿命を延長するためにスリープ/アウェイクの期間を制御するためにも実装することができるであろう。たとえば、いくつかの場合には、これらのセンサからの情報を利用して、使用者が活動していないときにシステムの張力を下げ、より大きな活動期間中に張力を高めることができるであろう。
いくつかの実施形態は、長期間にわたって感知したデータを保存するために、メモリを使用してもよい(たとえば、制御ユニットに関連する内蔵メモリ)。このデータは後でアップロードおよび分析するために保存してもよい。たとえば、履物製品のある実施形態は、締付けの傾向を見るために後で評価することのできる張力情報を、長期間にわたって感知して保存してもよい。
いくつかの実施形態は締め付け中に生じるかもしれない高圧領域を検知するために、圧力センサを組み込めることも想定される。いくつかの場合には、このような高圧領域を避けるために、締めひもの張力を自動的に減じることができるであろう。くわえて、いくつかの場合には、システムは、(製品の用途またはフィット性を変えることにより)使用者にこれらを高圧領域に変えるようプロンプトし、それを避ける方法を提案することができるであろう。
いくつかの実施形態では、使用者はモータのパルス発生からフィードバックを与えられることも想定され、これは振動/音の形で使用者に触覚型のフィードバックを発する。該手段はテンショニングシステムの動作を直接促すか、または電動テンショニングデバイスと通信状態にある他のシステムに触覚型のフィードバックを提供することができるであろう。
さまざまな入力に応答して電動テンショニングデバイスを自動的に動作するさまざまな方法を使用することができる。たとえば、最初に靴を締めた後、締めひも張力は最初の数分の使用で急速に低下するのが一般的である。テンショニングシステムのいくつかの実施形態は、使用者が設定した初期張力に締めひも張力を再調整するための手段を含んでもよい。いくつかの実施形態では、最初の数分の張力をモニタリングした後、当初の張力に一致するよう張力を再調整するように制御ユニットを構成してもよい。
図39は、使用者の所望の張力を長期間維持するために、締めひも張力を自動的に再調整するための例示的なプロセスの模式図である。いくつかの実施形態では、以下のステップのいくつかを、電動テンショニングデバイス160に関連する制御ユニット302(図5を参照)で行うことができるであろう。他の実施形態では、以下のステップのいくつかをテンショニングシステムの他の構成要素で行うことができるであろう。他の実施形態では、以下のステップの1つ以上は任意であってもよいことは理解されるであろう。
ステップ502で、制御ユニット302は、使用者が製品を締め終えたかどうかを判定してもよい。いくつかの場合には、制御ユニット302は、所定の期間後に制御コマンド(例、漸次締付けコマンド)を受信しなければ、使用者が締めひもを締め終えたと判定してもよい。使用者が製品を締め終えたと制御ユニット302が判定したら、制御ユニット302はステップ504に進む。そうでなければ、制御ユニット302は、使用者が製品を締め終えたと判定されるまで待ってもよい。
ステップ504で、制御ユニット302は、初期張力を判定するために、所定の間隔の間テンショニングシステムの張力(例、締めひもの張力)をモニタリングしてもよい。電流センサおよび他のセンサを含む、張力をモニタリングする方法は上記これまでに述べた。いくつかの場合には、制御ユニット302は所定の間隔の間に測定された平均張力を初期張力として設定してもよい。
次に、ステップ506で、制御ユニット302はテンショニングシステムの張力が低下したかどうかを判定してもよい。低下していなければ、制御ユニット302は待ってから、張力が低下したかどうかを再評価してもよい。張力が低下したと判断されたら、制御ユニット302はステップ508に進んでもよい。ステップ508で、制御ユニット302は、初期張力が得られるまで、テンショニングシステムの張力を自動的に高めてもよい。いくつかの実施形態では、ステップ508の後、制御ユニットは待って、ステップ506で張力を自動的に再び評価してもよい。いくつかの実施形態では、制御ユニット302は、自動的に過張力を検出し、応答して、初期張力が得られるまで、テンショニングシステムの張力を自動的に低下させるように構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、制御ユニット302は、血液循環を高めるためなど、張力の周期変動を行うように構成されていてもよい。
いくつかの実施形態では、図39に図示され、上記説明したように所定の期間ただ待つのではなく、ステップ506の再評価はセンサ情報によってトリガしてもよい。ある実施例では、センサベースのトリガは、待つことを、張力の再評価を行わせるセンサ情報に置き換えてもよい。別の実施例では、図39に図示されるように待つことを行ってもよいが、センサ情報が、場合によっては待つことを終了させて、張力の再評価をトリガする。該情報を制御ユニット302に提供するセンサは、立っていることおよび/または運動速度を検出するために靴のインソールにある圧力センサ、曲げインジケータ、ひずみ計、ジャイロスコープ、および加速度計を含んでもよいであろうが、これだけに限定されない。いくつかの実施形態では、初期張力を維持する代わりに、またはそれに加えて、新たな目標張力を確立するためにセンサ情報を使用してもよい。たとえば、着用者の足に対する履物製品のアッパーの接触圧を測定して、所望の圧力を得るように自動的に調整するために、圧力センサを使用することができるであろう。いくつかの実施形態では、制御ユニット302は、ある期間にわたって得たセンサ情報を保存して、トリガイベントを特定するように構成されていてもよい。くわえて、制御ユニット302は、保存したセンサ情報をリモートデバイスにアップロードまたはその他の形で提供するように構成されていてもよい。アップロードされたセンサ情報は、履物の締め具合と運動のパフォーマンスとの相関関係をモニタリングすることを含むが、これだけに限定されない目的で、検証および分析してもよい。
いくつかの実施形態は、2つ以上の異なるモードで動作するように構成されていてもよい。たとえば、いくつかの実施形態は「通常モード」および「競技モード」(または、同様に、「スポーツモード」または「アクティブモード」で動作することができるであろう。通常モードでは、バッテリの寿命を節約するために、締付け後に電気モータの電源が切られるであろう。対して、使用者が競技モードを選択する場合、バッテリの寿命を犠牲にするが、システムの張力を継続的にモニタリングして、最大のパフォーマンスのために調整してもよい。使用者がこれら2つのモード間で切り替えができることにより、使用者は状況のニーズに応じて、バッテリの寿命を最適にするか、またはパフォーマンスを最適にするかを選ぶことができる。いくつかの実施形態では、「通常モード」または「競技モード」のいずれかに対して、スポーツ用の目標張力および娯楽用の実質的に異なる張力を構成するなど、複数の目標張力を保存して、それに戻ってもよい。いくつかの実施形態では、制御ユニット302は、継続的にモニタリングされる「競技モード」の利点のいくつかを達成しながら、バッテリの寿命をさらに延ばせるように、張力を頻繁に、ただし継続的にではなく、モニタリングおよび調整するように構成されていてもよい。
図40は、2つの異なるモードでテンショニングシステムを動作させるための例示的なプロセスの模式図である。いくつかの実施形態では、以下のステップのいくつかは、電動テンショニングデバイス160に関連する制御ユニット302(図5を参照)によって行うことができるであろう。他の実施形態では、以下のステップのいくつかはテンショニングシステムの他の構成要素によって行うことができるであろう。他の実施形態では、以下のステップのうち1つ以上は任意であってもよいことは理解されるであろう。
ステップ510で、制御ユニット302は使用者が選択したモードを受信してもよい。これはリモートデバイスからの信号を受信することによって判定してもよく、リモートデバイスは使用者に「通常モード」かまたは「競技モード」かの選択をプロンプトする。次に、ステップ512で、制御ユニット302は使用者が製品を締め終えたかどうかを判定する。締め終えていなければ、制御ユニット302は使用者が製品を締め終えるまで待つ。使用者が製品を締め終えている場合、制御ユニット302はステップ514に進む。ステップ514で、制御ユニット302は、ステップ510の間に受信した情報から、どのモードが選択されたかを判定する。使用者が通常モードを選択した場合、制御ユニットはステップ516に進み、モータの電源が切られて、システムはバッテリ電力を節約するために使用者(または他のシステム/センサ)からのその後の指示を待つ。ステップ514で使用者が競技モードを選択した場合、制御ユニット302はステップ518に進む。ステップ518の間に、制御ユニット302は製品の張力を能動的にモニタリングしてもよく、最大のパフォーマンスを達成するために張力を自動的に調整してもよい。
テンショニングシステムを自動制御するためのプロセスの別の実施例として、リモートデバイスからのGPSフィードバックを使用して、ランナーが平坦な地面にいるか、坂道を上っているか、または下っているかを判定することができるであろう。システムは履物の締めひもの張力を、たとえば、自動的に、坂道を下っている間に締めひもの張力を高めることにより、自動的に調整することができるであろう。
いくつかの実施形態では、1つ以上のセンサで測定した張力データをデジタル追跡する方法を使用することができるであろう。デバイスの平均張力も追跡することができるであろう。この張力データを使用して、運動活動中に足にかかる荷重などのパフォーマンスパラメータを測定してもよい。いくつかの実施形態では、該張力モニタリングを使用して、むくみを測定してもよい。くわえて、いくつかの場合には、履物を脱ぎ履きする回数を追跡することができる。くわえて、使用時間も追跡することができるであろう。データ収集はUSBデバイス、データコードおよびブルートゥース(登録商標)通信技術を含むさまざまな技術によって促進することができるであろう。さらに、収集したデータを評価のために多様な技術によりいずれかの中央データベースに送信することができるであろう。
上記説明し、図39および図40に図示される例示的な方法は履物に向けられているが、同様な方法を、テンショニングシステムを含む他の種類の製品の自動化動作に使用できることは理解されるであろう。特に、これらの方法はあらゆる種類の衣料品とともに使用することができるであろう。
図41は、電動テンショニングデバイス900の代替実施形態の模式図を示している。いくつかの内部構成要素を説明するために、図43は電動テンショニングデバイス900のいくつかの構成要素の断面図を図示している。電動テンショニングデバイス900は前の実施形態と同様ないくつかの手段、たとえば、モータ902およびモータ902で駆動される歯車減速システム904を含んでもよい。ここで図示される歯車減速システム904は5段階の平歯車を含む。採用できるであろう他の歯車減速は、サイクロイド、ハーモニックおよび遊星を含む。いくつかの実施形態では、モータ902と歯車減速システム904との組み合わせは、電流要件、サイズ、トルクおよび速度間のトレードオフを最大化するようなサイズにしてもよい。図示される実施形態では、歯車減速は約600:1で、出力RPMは30で、ピーク電流は1.2アンペアである。
歯車減速システム904の出力は、図42に図示される漸次解除可能な荷重保持機構906に入ってもよい。この荷重保持機構906はラチェット型機構を具備し、モータ902および/または歯車減速システム904をバックドライブする可能性なく、スプール908に加えられる荷重を保持するのを助ける。その目的は、バックドライブしないモータ/ギアボックスに頼らずに、荷重を保持することである。荷重保持機構906は、モータ902の電源を切っている間でさえもスプール908に荷重を保持してもよい。少量の締めひも張力を解除することが望ましい場合、モータ902は巻き戻して、スイーパ要素が爪要素910を内歯912にずらして、出力に1つの歯を巻き戻させる。スプールを精密に巻き戻し、それに応じて締めひも張力を緩和するために必要なだけこれを繰り返すことができる。このことは、使用者が精密なフィット感を得られるのに重要である。使用してもよい例示的な荷重保持機構は、2010年6月10日に公開され、「Reel Based Lacing System」と題するSoderbergらの特許文献5に開示されており、その開示全体を参照により本明細書に組み込む。
図41および図43を参照すると、この実施形態の荷重保持機構906の出力はオス型スクエアドライブ914である。この駆動要素は任意の数の辺とすることができるか、または外部スプラインとすることができるであろう。オス型スクエアドライブは、十分な隙間を設けて、シャフト912(図43を参照)に沿って低摩擦で摺動するための材料からなるメス型要素916と合わさる。メス型要素916はオス型スクエアドライブ914によって駆動される。メス型要素916の反対側の端部は面駆動要素920を含む。図示される実施形態では、これはスプール908の1つのフランジ上の一致する歯に係合するかまたは一致する歯から離脱することのできる複数の三角歯である。これらの歯はわずか1個から9個以上にすることができるであろう。係合を促すために、歯は5度から60度まで逆勾配を付けてもよい。いくつかの実施形態では、歯は約45度の角度を成してもよい。
メス型要素916の中心は、シャフト912のねじ切り部と係合することのできるねじ山(図示せず)を有する。モータ902が一方向に駆動されると、要素916は、メスねじ山により軸方向に移動して、それ自体とスプール908上の対応する歯との間で面歯に係合する。通常固定されているシャフト912は、軸方向の移動中および係合中の回転を防止する摩擦要素922を有する。係合が完了し、面歯が完全に係合したら、シャフト912のオスねじ山がトルクを受ける。一定のトルクレベルを超えると、モータ902および歯車減速システム904はねじり摩擦要素922を克服して、シャフト912が回転する。
図示される実施形態では、摩擦要素922は、ハウジングに収容されているシャフト912のOリングである。Oリングの圧力は、Oリングに圧着することのできるねじを介して調整することができる。他の実施形態では、このねじり摩擦は複数の手段によって行うことができるであろう。たとえば、別の実施形態では、ねじり摩擦は、たとえばナイロンまたは他のブレーキパッド材料に当ててスチールまたは真鍮を使用し、軸方向のばねテンショナを介して調整できる調整可能な面クラッチなどのクーロン摩擦デバイスとして行うことができるであろう。他の実施形態では、ねじり摩擦は、粒子クラッチを介して電気的に、またはロータリーダンパを介して油圧的にも行うことができるであろう。いくつかの実施形態では、離脱に達する回転数は、望まれる場合、締めひもの全張力から無張力になるための回転数と調和させることができる。このように、漸次解除は、張力をかけられる締めひもの範囲のどこでも行うことができる。
図示される実施形態では、弛みの素早い巻取りは、惰性回転するスプール930に蓄積されて、スプール908の一端930に巻き直される定荷重ばね(図示せず)を介して達成してもよい。
いくつかの実施形態では、締めひもの摩耗を防ぎ、締めひもの疲労寿命を増すために、締めひもを出して、ハウジング内の丸くしたひも穴に通してもよい。いくつかの実施形態では、これらの出口は、締めひもをスプールに多少なりとも均等に巻き取るのを助けて容量を最大化するために、スプール径の少なくとも1/2だけスプールから離して配置してもよい。
いくつかの実施形態では、いずれかの使用者がバッテリ寿命の残っていない靴を締めてしまった場合のために、使用者による初期手動解除要素も備えられる。荷重保持およびモータ/ギアボックス機構からスプールを手動で離脱するために、多くのアプローチを使用することができるであろう。たとえば、スプール908の歯と要素916との間に先細ブレード(図示せず)を挿入して、分離方向にスプール908の軸方向の移動を可能にするばね要素を介してこれらを分離することができる。
図44および図45は、電動締付けシステムとともに使用できるであろう代替テンショニングおよび解除機構の模式図を示している。参照のために、この機構は締付具の他の構成要素とは別に示されている。この機構は締付け、荷重保持、漸次解除および完全解除を行うために使用することができる。
この設計では、カムおよびラッチのシステムを使用する。図44および図45を参照すると、荷重保持機構938は、その中心付近に1つの駆動爪944を有する円筒形プレート942に接続されている歯車減速システム(図示せず)の最終段階出力歯車940を含む。締め付け方向にモータは連続駆動されて、スプールに装着されている出力リング946の戻り止めを介して爪944が駆動する。この出力リング946はプレート942が駆動する内部戻り止め948と、外部荷重保持爪954に係合する外部メス型歯950とを有する。
モータが停止すると、外部荷重保持爪954はスプールのトルクに抵抗する。プレート942は内部駆動爪944を有するだけでなく、その周縁に外部荷重保持爪954と周期的に離脱するカム要素945も有することが分かる。停止して荷重を保持すると、外部爪954が係合する。次いで、円筒形プレート942が漸次解除のために後退し始める。最初、出力は解除されない。次いで、プレート942上のカム要素945の1つが外部荷重保持爪954を解除する。これが起こると、出力リング946は爪954に追いついて、次に荷重保持爪954が係合し、機構が漸次荷重保持位置で停止する。このようにして、漸次解除が完了する。
これを動作させるために、プレート942をモニタリングして、各漸次解除位置で停止させるためのリミットスイッチが採用される。図示される実施形態では、6つの停止位置があり、すなわち60度ごとに回転する。この数は空間要件および望まれる締めひもの漸次解除の分割度に基づいて変えることができる。たとえば、1回転あたりわずか1つのストップおよび12ものストップとすることもできるであろう。
完全解除のために、機構938は内部および外部の爪両方を同時に解除して停止しなければならない。これを行うためには解除用爪960がもう1つ必要である。図面において、爪960は3つの位置を有する。完全後退、アクチュエータ伸展、および解除カム伸展である。張力をかけた後、爪960は完全に後退する。漸次解除が作動すると、内部爪944はおそらくこの外部爪960を通り越して、完全解除位置にセットする。そのため、完全解除が命令されると、内部爪944は、内部および外部両方の爪が持ち上がる位置に移動し、使用者は弛み巻取り機構によって提供される最小限の抵抗しか受けずに、締めひもを自由に引き出して製品を脱ぐことができる。
図46は、アッパー3155と、アッパー3155に固定されているソール構造3150とを含む履物製品3010の例示的な実施形態を図示している。いくつかの実施形態では、ソール構造3150はミッドソール3151およびインソール3054を含んでもよい。矢印3055で示されるように、インソール3054は履物3010に取り外し可能に挿入されてもよい。
図46は電動テンショニングシステム3020も示しており、これは履物3010に取り外し可能に装着してもよい。履物3010およびテンショニングシステム3020は上述した履物およびテンショニングシステムと同じかまたは同様な特質を有してもよい。たとえば、テンショニングシステムはハウジング3025内に締付具、電源および他の部品を含んでもよく、ハウジング3025は、たとえば履物3010のかかと部のアッパー3155に取り外し可能に装着してもよい。
くわえて、履物3010は、ソール構造3150に配置されるさまざまな追加構成要素を含んでもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、履物3010はソール構造3150のかかと部にクッション要素3080を含んでもよい。クッション要素3080はミッドソール3151に組み込んでもよい。いくつかの実施形態では、クッション要素3080は加圧流体を収容するチャンバを含んでもよい。いくつかの実施形態では、クッション要素3080は発泡体クッション材を含んでもよい。
いくつかの実施形態では、履物3010は、ソール構造3150のかかと部に、取り外し可能な電子機器3065を含んでもよい。矢印3070で示されるように、電子機器3065はインソール3054の下のミッドソール3151の凹部3060に取り外し可能に挿入してもよい。電子機器3065はパフォーマンスデータを収集するように構成されているデータ取得構成要素3075を含んでもよい。いくつかの実施形態では、履物3010はクッション要素3080および電子機器3065の両方を含んでもよい。たとえば、図46に図示されるように、クッション要素3080はミッドソール3151のかかと領域に配置してもよく、電子機器3060はミッドソール3151の中足領域に配置してもよい。
ミッドソール3151の足先領域は比較的最小限の高さを有することがあるため、クッション要素3080および電子パッケージ3060のミッドソール3151への配置は、ソール構造3150の追加部品のための余地をほとんど残さないかもしれない。したがって、テンショニングシステム3020のハウジング3025をアッパー3155の外側かかと部に装着できることは、ミッドソール3151に組み込まれる部品を含む履物での電動締め付けの使用を可能にするだろう。
いくつかの実施形態では、電動テンショニングシステムは異なる構成要素配列を組み込んでもよい。たとえば、図47に図示されるように、電動テンショニングシステム4125は履物製品4010に取り外し可能に装着可能であってもよい。テンショニングシステム4125の構成要素および動作は、上述した他のテンショニングシステムと同様であってもよい。たとえば、テンショニングシステム4125は履物4010のかかと部に取り外し可能に装着可能なハウジング4126を含んでもよい。くわえて、ハウジング4126は電動締付具4200、電源4205および制御ユニット4210を収容してもよい。しかし、図47に図示されるように、いくつかの実施形態では、締付具4200は、テンショニングシステム4125を履物4010に設置したときに、履物4010の内側側部または外側側部に配置してもよい。くわえて、図47に図示されるように、いくつかの実施形態では、電源4205は、テンショニングシステム4125が履物4010に設置されたときに、履物4010のかかと部の最後部に配置してもよい。この配列は、いくつかの場合、たとえば、締付具4200が電源4205よりも低いプロファイルを有する場合に有利であろう。テンショニングシステム4125の最小限の幅を維持することが望ましいことがあり、ひいては、よりサイズの大きいバッテリをかかと部の最後部に収容するのが好ましいことがある。
この配列は、代替ひも締め装置を動作させるのにも有利であろう。たとえば、図48に図示されるように、いくつかの実施形態では、履物製品5010は履物5010の内側側部または外側側部に配置されているひも締め領域5175を含んでもよい。このようなひも締め装置はフィット性を改善し、甲回り領域などの足のさまざまな部分に無理な圧力をかけずにぴったり締め付けることができるだろう。くわえて、ひも締め領域5175を甲回り領域から離して配置することは、履物5010の比較的滑らかな表面を甲回り領域に呈することができるだろう。この滑らかな表面は、キックの正確さを向上させ、足に対する不均一な材料の影響を防止するため、サッカーに望ましいであろう。
電動テンショニングシステム5125は履物5010に取り外し可能に装着可能であってもよく、上述したテンショニングシステムと同様な構成要素を含んでもよい。たとえば、テンショニングシステム5125はハウジング5126内に収容されている電動締付具、電源および制御ユニットを含んでもよい。テンショニングシステム5125は伸張部材も含んでもよい。伸張部材は、コネクタ5035など、手動継手と接続可能な複数の部分を含んでもよい。たとえば、伸張部材はハウジング5126に関連する第1伸張部材部分5130を含んでもよい。くわえて、伸張部材は第2伸張部材部分5135および第3伸張部材部分5136を含んでもよく、これらはひも締め領域5175に挿通してもよい。第1伸張部材部分5130の両端は履物5010の同じ側でハウジング5126に進入してもよいため、締付具を第1伸張部材部分5130の進入点に最も近い履物5010の側部に配置することが望ましいであろう。
かかとに取り付けられる電動テンショニングシステムは、他のひも締め構成の使用を可能にしてもよい。たとえば、かかと取付テンショニングシステムの締めひも張力はかかと領域から加えられ、テンショニングが自動で行われるため、ひも締め領域を露出する必要はない。したがって、隠れたひも締めシステムを使用してもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、ひも締め領域が靴のソール構造の足の下にあるひも締めシステムが考えられる。
図49は履物製品6010を示す。履物6010は、ソール構造6150と、ソール構造6150に固定されているアッパー6155とを含んでもよい。くわえて、図49は電動テンショニングシステム6125を示している。テンショニングシステム6125は履物6010に取り外し可能に装着可能であってもよく、上述したテンショニングシステムと同様な構成要素を含んでもよい。たとえば、テンショニングシステム6125はハウジング6126に収容されている電動締付具、電源および制御ユニットを含んでもよい。
テンショニングシステム6125は伸張部材も含んでもよい。伸張部材は、手動継手と接続可能な複数の部分を含んでもよい。たとえば、伸張部材は、ハウジング6126に関連する第1伸張部材部分6130を含んでもよい。くわえて、伸張部材は、ひも締め領域6175に通してもよい第2伸張部材部分6136を含んでもよい。第2伸張部材部分6136は手動継手6140によって第1伸張部材部分6130に取り外し可能に装着してもよい。したがって、ハウジング6126およびその中身、ならびに第1伸張部材部分は、アッパー6155および手動継手6140からハウジング6126を取り外し可能であるため、交換してもよい。
図49に図示されるように、ひも締め領域6175は内部に、たとえば、ソール構造6150の中底6005に配置してもよい。第2伸張部材部分6136は、中底6005の第1周縁部6025および第2周縁部6030の近くでソール構造6150に進入してもよい。また、第2伸張部材部分6136は中底6005の溝6020に配置してもよい。第2伸張部材部分6136は中底6005の第1周縁部6025および第2周縁部6030の近くに配置されているアンカー部材間に延びていてもよい。
たとえば、第1アンカー部材6011、第2アンカー部材6012および第3アンカー部材6013は、第1周縁部6025の近くに配置してもよい。くわえて、第4アンカー部材6014、第5アンカー部材6015および第3アンカー部材6016は、第2周縁部6030の近くに配置してもよい。これらのアンカー部材はアッパー6155に固定してもよい。テンショニングシステム6125が伸張部材に張力を加えると、第2伸張部材部分6136がアンカー部材を互いに近づくように引き合い、こうしてアッパー6155を足の周りに締め付ける。例示的な中底ひも締めシステムの追加の詳細は、2013年3月5日に発行され、「Cable Tightening System for an Article of Footwear」と題するBakerらの特許文献6に記載されており、その開示全体を参照により本明細書に組み込む。
本発明のさまざまな実施形態を説明してきたが、この説明は制限ではなく例示的なものを意図しており、本実施形態の範囲内にある他の多くの実施形態および実施態様が可能であることは当業者には明らかであろう。したがって、本実施形態は添付の請求項およびその均等物に鑑みる場合を除き制限されるべきではない。また、さまざまな修正および変更を添付の請求項の範囲内で行ってもよい。
関連出願のクロスリファレンス
本出願は、2013年8月30日に出願され、「Motorized Tensioning System with Sensors」と題するBeersらの特許文献7(現在、米国特許出願第14/014,555号)の一部継続出願(CIP)であり、同特許出願は2012年8月31日に出願され、「Motorized Tensioning System with Sensors」と題するBeersらの米国仮特許出願第61/695,953号に与えられる35 U.S.C.119条(e)に基づく優先権を主張し、その開示全体を参照により本明細書に組み込む。