JP2016524545A - ツール上に超音波回転振動を生成する装置 - Google Patents

Abstract

【課題】本発明は、ツール上に超音波回転振動を生成する装置を提供することである。【解決手段】本発明は、ツール上に超音波回転振動を生成する装置（１）に関し、前記装置（１）を回転軸（２）を中心に回転する工作機械のスピンドルに回転可能に固定して連結するよう設計された第１部（１１）と、前記装置（１）をツールに回転可能に固定して連結するよう設計された第２部（１２）と、前記第１部（１１）と前記第２部（１２）とを互いに回転可能に連結する爪係合部（１０）と、前記第１部（１１）上の少なくとも一つの第１の側面（５）と、前記第２部（１２）上の前記第１の側面（５）と対向して配設される少なくとも一つの第２の側面（７）と係合する爪係合部（１０）と、前記爪係合部（１０）の前記第１の側面（５）と前記第２の側面（７）との間に配設され前記回転軸（２）を中心に超音波回転振動を生成する少なくとも一つの圧電振動子（８）とを備える。【選択図】図１

Description

本発明は、ツール上に超音波回転振動を生成する装置に関する。具体的には、超音波振動は、回転するツール上の装置の回転方向に生成される。

様々な技術分野において、機能性材料、例えば高温耐性を有するニッケル合金、チタンやクロミウムコバルト合金、あるいは繊維強化プラスチックの使用が増えている。上述の機能性材料は、動作中に生じる負荷に対してだけでなく機械加工動作に対しても、強い耐性がない。このような背景技術に対して、ハイブリッドな機械加工装置が開発され、超音波振動を重畳することにより切り粉を除去することができる。

独国特許公開公報ＤＥ１０−２００８−０５２３２６Ａ１

特許文献１は、例えば、機械加工用に超音波回転振動を生成する圧電性のせん断用振動子を使用することを開示している。この超音波振動は、ツールの回転方向に作用する。しかしながら、圧電性のせん断用振動子は、非常に小さな発振振幅を生成することができるだけであり、同時に不必要な力の流れを生成してしまう。

本発明の目的は、ツール上に超音波回転振動を生成する装置を提供することである。ツールの回転方向に超音波振動を生成することを可能にし、費用効果の良い設計が実現され、保守作業を減らすことができる。この目的は、独立請求項の特徴により達成される。従属請求項は、本発明の効果に関与する。

上記の目的は、ツール上に超音波回転振動を生成する装置により達成される。前記装置は、第１部を有する。前記第１部は、工作機械のスピンドルに回転可能に固定して連結するよう設計されている。前記スピンドルは、回転軸を中心に回転する。また、前記装置は、第２部を有する。前記第２部は、前記装置を、ツールに回転可能に固定して連結するよう設計されている。これらの２つ、すなわち前記第１部と前記第２部は、爪係合部を介して互いに回転可能に連結される。前記爪係合部は、前記第１部と前記第２部とを一体化する部材として設計されている。前記爪係合部は、前記２つの第１部と第２部とを嵌合形式で連結する。この嵌合形式は、前記第１部側の少なくとも１つの第１側面と、前記第２部側の少なくとも１つの第２側面とを備える。これらの側面は、回転軸を中心とするトルクを前記第１部から前記第２部へ伝達可能なように、互いに対向している。さらに、前記装置は、少なくとも１つの圧電振動子を備える。前記圧電振動子は、前記爪係合部の前記２つの側面の間に配設される。前記圧電振動子に電圧が印加されると、前記圧電振動子は膨張または収縮するので、回転軸を中心として超音波回転振動が生成される。本発明に係る装置によると、トルクが工作機械の回転するスピンドルからツールに伝達されるとともに、この回転運動が、同時に超音波振動に重畳される。

本発明によると、このツールの回転運動が超音波振動に重畳されるので、作業中の切断力を小さくすることができる。これは、超音波振動による切削作業を中断することで行われる。これにより、超音波振動を使用しない従来の機械加工と比べて、さらに効果的に小片(chip)を作成することが可能になる。さらに、本発明に係る装置によると、従来は切断が不可能な部材や、経済的に切断できなかった部材の切断が可能になる。切断に要する力が小さくなり、摩擦も小さくなることから、ツールの摩耗も減る。同時に、超音波回転振動により、加工品の表面の粗さにおける品質が向上し、バリが形成されにくくなる。特に、摩耗が少なくなるので、さらに安定したツール寸法が得られるようになる。

好ましくは、前記第１部は、前記回転軸の方向に延在する複数の第１の爪部を備える。従って、前記第２部は、前記回転軸の方向に延在する複数の第２の爪部を備えてもよい。各第１の爪部は２つの第１の側面を有する。各第２の爪部は２つの第２の側面を有する。第１の爪部と第２の爪部は、互いに爪係合（claw coupling）しているので、トルクが、前記第１部から、複数の側面、すなわち可能な限り大きい領域を介して、前記第２部に伝達される。当該技術分野の当業者であれば、トルクを伝達するために、少なくとも、第１の側面と第２の側面とを利用可能であることは明らかである。効果的な構成として、複数の爪部と、これらに対応する多数の側面とが備えられている。このため、全ての側面またはいくつかの側面の間に、圧電振動子を用いてもよい。そして、個々の圧電振動子は、第１の側面と第２の側面との間に配設される。

好ましくは、少なくとも１つの圧電振動子は、厚み振動子、すなわち、縦方向か横方向の振動子である。本発明によると、爪係合している第１の側面と第２の側面との間に、圧電振動子を配設している。これにより、電圧を印加することで厚みを増加または減少させる簡単な圧電振動子を使用することができる。超音波回転振動を生成する装置の周方向に接する方向で、厚みが変わるように、前記圧電振動子を配設してもよい。ここで定義される周方向は、スピンドルの回転軸を中心とする。このため、本発明では、せん断用の振動子を用いる必要がない。

複数の爪部および複数の圧電振動子を使用する際に、これらの圧電振動子を、回転軸と同心となるように配設してもよい。これらの圧電振動子を、可能な限り大きいトルクを生成するように回転軸のできる限り外側に配設してもよい。

好ましくは、使用する全ての圧電振動子を、それらの極性に対して配設し、超音波回転振動が生じている間は、同じ方向に動作可能なように接触している。このため、圧電振動子は互いに干渉しない。

好ましくは、前記装置の第１部および第２部は、少なくとも１つの張力部を介して相互連結される。この張力部は、前記回転軸の方向に延在してもよい。特に、前記張力部は、前記回転軸と同軸に配設される。好ましくは、前記第１部および第２部は、前記張力部により螺合されている。

さらに、少なくとも一つの圧電振動子は、前記第１の側面と前記第２の側面とに同時に当接することが好ましい。この結果、これらの側面と、前記少なくとも一つの圧電振動子との間に遊びがない。

さらに、前記第１の側面および前記第２の側面は、前記回転軸に対して傾斜していることが好ましい。ここで、前記側面のそれぞれの物体表面法線は、前記回転軸に対してα度傾いている。α度は、好ましくは６０度〜８５度の間であり、特に好ましくは４５度から８９度の間である。また、前記物体表面法線は、前記周方向に対して接線方向であってもよい。

さらに、好ましくは、それぞれ対向する側面は互いに平行である。あるいは、それぞれ対向する側面は互いに平行でなくてもよい。すなわち、物体表面法線が角度を包囲するので、２つの対向する側面の間に配設される圧電振動子がくさび形を成す。この場合、対向する側面は、前記回転軸に対して同じ角度αで傾いているわけではない。前記少なくとも一つの圧電振動子には、前記側面の傾斜を介して前記爪係合に予め荷重を付加することができる。これは、特に、張力部を利用する際に実行可能である。

また、前記少なくとも一つの圧電振動子に予め付加される荷重は、変更可能なように設定することができる。前記少なくとも一つの側面を、前記少なくとも一つの圧電振動子の電極として使用してもよい。縦方向の振動子を用いる際に、前記第１部および/または前記第２部を電極として使用することができる。代替案あるいは追加案として、前記圧電振動子と前記爪部との間に、電極を導入することができる。

前記圧電振動子が横方向の振動子として使用される場合は、前記圧電振動子の前面の自由な位置に搭載してもよい。

追加の電極を使用する場合は、前記圧電振動子に対して、爪部を電気的に絶縁してもよい。これは、好ましくはセラミック製ディスクを用いて行われる。

制御装置を備え、前記少なくとも一つの圧電振動子に電圧を印加することが好ましい。前記制御装置により、前記装置は、可能な限り高い振動振幅を達成するように、共振周波数で動作可能としてもよい。複数の圧電振動子を使用する場合は、交互に収縮、膨張するように、複数の圧電振動子を配設し制御することが好ましい。

前記第１部は、前記装置を、前記工作機械のスピンドルに回転可能なように固定して連結するように設計されている。この連結は、急峻な先細り（steep taper）または中空のシャンク先細り（hollow shank taper）により実現されることが好ましい。前記第２部と前記ツールとの連結は、コレットチャック（collect chuck）または収縮チャック（shrink chuck）を介して実現されることが好ましい。

本発明は、さらに、フライス盤である工作機械であって、前記装置を備えてもよい。前記第１部は、前記工作機械の回転するスピンドルに連結され、ともに回転する。

本発明によれば、従来は切断が不可能な部材や、経済的に切断できなかった部材の切断が可能になる。切断に要する力が小さくなり、摩擦も小さくなることから、ツールの摩耗も減る。同時に、超音波回転振動により、加工品の表面の粗さにおける品質が向上し、バリが形成されにくくなる。特に、摩耗が少なくなるので、さらに安定したツール寸法が得られるようになる。

本発明の実施形態の詳細を、添付の図を参照して説明する。

本発明の一実施形態に係る装置の側面図である。

本発明の一実施形態に係る図１の装置の横断面図である。

図１および図２は、ツール上に超音波回転振動を生成する装置１を図示している。

装置１は、第１部１１と、第２部１２と、複数の圧電振動子８とを備える。圧電振動子８は、縦方向または横方向の振動子（longitudinal or transverse oscillators）として設計される。また、装置１は、圧電振動子８を制御するための制御装置１８を備える。制御装置１８を図示する。

第１部１１は、図示のように、スピンドル連結１５を有する。第１部１１は、上記のスピンドル連結１５を介して、工作機械の回転スピンドルに連結可能であり、共に回転する。上記のスピンドルは、回転軸２を中心に回転する。したがって、装置１も関連のツールも回転軸２を中心に回転する。

第２部１２は、図示するようにツール連結１６を有する。第２部１２は、上記のツール連結１６を介して、ツール、特にフライス盤連結され、共に回転する。

回転軸２に従って円周方向３を定める。

爪係合（claw coupling）部１０が、第１部１１および第２部１２の両方に形成される。第１部１１は、複数の第１の爪部４を備える。第１の側面５は、各第１の爪部４の両側それぞれに画定される。第２部１２は、複数の第２の爪部６を備える。第２の側面７は、各第２の爪部６の両側それぞれに画定される。爪部４、６が互いに係合するので、回転軸２を中心とするトルクが、第１部１１から側面５、７を介して第２部１２に伝達可能である。

圧電振動子８のうちの１つは、それぞれ第１の側面５と第２の側面７の間に配置される。圧電振動子８の設計に応じて、振動子は、対応する電極および絶縁体を有する。

制御装置１８を経由して、圧電振動子８に電圧を印加することにより、圧電振動子８の厚みが変わる。超音波振動が第２部１２に伝達され、ツールに伝達される。この超音波振動は、円周方向３に生じる。これにより、超音波振動がスピンドルによって生成される回転運動に重畳する。

第１および第２の側面５、７に対する物体表面法線（surface normals）１７は、回転軸２に対してα度傾いている。直接対向する側面５、７は、互いに並列して配設される。装置１は、張力部１３をさらに備える。上記張力部１３は、回転軸２の方向に延在する。２つの第１部１１および第２部１２は、張力部１３を介して共にねじ留めされる。同時に、張力部１３が、傾斜した側面５、７を介して圧電振動子８に予圧を付加する。

前側のポケット１４が第１部１１に備えられ、上記ポケットは、張力部１３の上部を受容する。第２部１２は、張力部１３を収容するための対応するねじ山を有する。

圧電振動子８は、それぞれ２つの対向する支持面９を備える。前記支持面９は、第１の側面５および第２の側面７に、それぞれ直接接触している。

一実施形態として、ツールの回転移動を、装置１によって超音波回転振動と重畳することができる。これは、特に超音波による切削加工に用いられる。使用する圧電振動子８は、厚み振動子（thickness oscillator）、すなわち縦方向または横方向の振動子である。本発明によると、並進振動（translational vibration）は、回転軸２の方向には発生しない。圧電性剪断効果も必要としない。並進振動には、機械加工プロセスおいて加工物の表面品質が低下するという欠点がある。全体の処理能力が圧電セラミックス上でのせん断力として作用するため、圧電性剪断効果としては、振幅が小さく処理能力も低いという欠点がある。このことは、圧電素子には不適切な負荷となってしまう。本発明によると、圧電振動子８が圧力の方向に作用し、かなり高い力を伝導することができるので、図示する装置１は、超音波による切削加工において、非常に高い物質除去率を達成することができる。

１ 装置
２ 回転軸
３ 円周方向
４ 第１の爪部
５ 第１の側面
６ 第２の爪部
７ 第２の側面
８ 圧電振動子
９ 支持面
１０ 爪係合部
１１ 第１部
１２ 第２部
１３ 張力部
１４ 前側ポケット
１５ スピンドル連結
１６ ツール連結
１７ 物体表面法線
１８ 制御装置

Claims (14)

1. ツール上に超音波回転振動を生成する装置（１）であって、
   前記装置（１）を、回転軸（２）を中心に回転する工作機械のスピンドルに回転可能なように固定して連結するよう設計された第１部（１１）と、
   前記装置（１）を、ツールに回転可能に固定して連結するよう設計された第２部（１２）と、
   前記第１部（１１）と前記第２部（１２）とを互いに回転可能に連結する爪係合部（１０）と、
   前記第１部（１１）上の少なくとも一つの第１の側面（５）と、
   前記第２部（１２）上の、前記第１の側面（５）と対向して配設される少なくとも一つの第２の側面（７）と係合する爪係合部（１０）と、
   前記爪係合部（１０）の前記第１の側面（５）と前記第２の側面（７）との間に配設され、前記回転軸（２）を中心に超音波回転振動を生成する少なくとも一つの圧電振動子（８）とを備えるツール上に超音波回転振動を生成する装置。
2. 前記少なくとも一つの圧電振動子（８）は、縦方向または横方向の振動子である請求項１に記載の装置。
3. 前記少なくとも一つの圧電振動子（８）は、前記超音波振動を生成するために、前記円周方向（３）の接線方向において、その厚みを変えるように構成され、
   前記円周方向（３）は、前記回転軸（２）を中心に定義される請求項１または請求項２に記載の装置。
4. 使用される前記圧電振動子（８）の全ては、極性に応じて配設され、超音波回転振動が生じている間、同じ方向に動作可能に接触している請求項１から請求項３のいずれか一項に記載の装置。
5. 前記第１部（１１）と前記第２部（１２）とは、少なくとも一つの張力部（１３）を介して相互連結される請求項１から請求項４のいずれか一項に記載の装置。
6. 前記張力部（１３）は、前記回転軸（２）の方向に延在する請求項５に記載の装置。
7. 前記少なくとも一つの圧電振動子（８）は、前記第１の側面（５）と前記第２の側面（７）とに同時に当接する請求項１から請求項６のいずれか一項に記載の装置。
8. 前記第１の側面（５）および前記第２の側面（７）のそれぞれの物体表面法線は、前記回転軸（２）に対してα度傾いている請求項１から請求項７のいずれか一項に記載の装置。
9. 前記α度は、６０度〜８５度の間であり、好ましくは４５度から８９度の間である請求項８に記載の装置。
10. 前記第１の側面（５）は、対向する前記第２の側面（７）と並列に配設される請求項１から請求項９のいずれか一項に記載の装置。
11. 前記少なくとも一つの圧電振動子（８）に電圧を印加するための制御装置（１８）をさらに備える請求項１から請求項１０のいずれか一項に記載の装置。
12. 前記第１部（１１）は、前記回転軸（２）の方向に延在する複数の第１の爪部（４）を含み、
    前記第２部（１２）は、前記回転軸（２）の方向に延在する複数の第２の爪部（６）を含み、
    前記複数の第１の爪部（４）および複数の第２の爪部（６）は、交互に互いを係合する請求項１から請求項１１のいずれか一項に記載の装置。
13. 前記圧電振動子（８）は、前記複数の第１の爪部（４）の各第１の爪部と複数の第２の爪部（６）の各第２の爪部との間にそれぞれ配置される請求項１２に記載の装置。
14. フライス盤である工作機械であって、
    請求項１から請求項１３のいずれか一項に記載の前記装置を備え、
    前記第１部（１１）は、ともに回転するために、前記工作機械の回転するスピンドルに連結される工作機械。

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