JP2016521301A - 音響特性を有する複合体、複合体の製造、複合体を含む部品、部品の製造、およびそれらの使用 - Google Patents

音響特性を有する複合体、複合体の製造、複合体を含む部品、部品の製造、およびそれらの使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、マトリクス材料と有機天然繊維材料とを含む複合体に関する。複合体は、化合物、粒状体、または音再生装置の少なくとも一部であってもよい。複合体は、射出成形によって形成されてもよい。一実施形態に従えば、複合体は、マトリクス材料と有機天然繊維系材料とを含み、マトリクス材料は、熱可塑性ポリマーを含む。複合体は、1500〜5000の相対音波抵抗を有してもよい。複合体は、1.5〜5.0の相対音放射減衰を有してもよい。複合体は、ISO6721−3に従って測定された2000〜11000の動的弾性率を有してもよい。複合体は、5〜200の相対音響品質係数を有してもよい。複合体は、0.500〜0.005の相対粘性減衰係数を有してもよい。

Description

本願は、マトリクス材料と有機天然繊維系材料とを含み、音響特性を有する複合体に関する。本願は、前記複合体の製造に関する。本願は、さらに、前記複合体を含む部品、当該複合体の製造、当該複合体を含むラウドスピーカ、ならびに前記複合体および前記部品の使用に関する。
人間は、様々な種類の機械的振動を知覚する。機械的振動が特定の周波数範囲に入るとき、可聴音として聞こえ得る。様々な用途において、製品の音響特性は、重要な役割を果たし得る。製品は、音を増強または減衰させるように設計されてもよい。そのような製品の例は、断熱もしくは隔離パネル、音響システム、ラウドスピーカ、またはイヤホンである。製品の音響特性は、製品において使用される材料に少なくともある程度依存し得る。
本願の目的は、音響用途のための複合材料を提供することである。本願の他の目的は、複合体、または該複合体から作製された部品を提供することである。
一実施形態によれば、複合体はマトリクス材料と有機天然繊維系材料とを含み、マトリクス材料は熱可塑性ポリマーマトリクスを含み、複合体は、1500〜5000の相対音波抵抗を有する。
一実施形態によれば、複合体は、マトリクス材料と有機天然繊維系材料とを含み、マトリクス材料は、熱可塑性ポリマーマトリクスを含み、複合体は、1.5〜5.0の相対音放射減衰を有する。
一実施形態によれば、複合体は、マトリクス材料と有機天然繊維系材料とを含み、マトリクス材料は、熱可塑性ポリマーマトリクスを含み、複合体は、ISO6721−3に従って測定された2000〜11000の動的弾性率を有する。
一実施形態によれば、複合体は、マトリクス材料と有機天然繊維系材料とを含み、マトリクス材料は、熱可塑性ポリマーマトリクスを含み、複合体は、5〜200の相対音響品質係数を有し、相対音響品質係数は相対音波抵抗、相対音放射減衰、および相対粘性減衰係数に依存する。
一実施形態によれば、複合体は、マトリクス材料と有機天然繊維系材料とを含み、マトリクス材料は熱可塑性ポリマーマトリクスを含み、複合体は0.500〜0.005の相対粘性減衰係数を有する。
一例によれば、部品は、実施形態に従う複合体を含む。一例において、ラウドスピーカは、実施形態に従う複合体を含む。別の例において、楽器は、実施形態に従う複合体を含む。
一例によれば、音の減衰のための音響材料は、実施形態に従う複合体を含む。一例において、音の増強のための音響材料は、実施形態に従う複合体を含む。
一実施形態によれば、層構造は少なくとも2つの層を含み、少なくとも2つの層の少なくとも1つは、マトリクス材料と有機天然繊維系材料とを含む。
実施形態に従う複合体を製造する方法は、熱可塑性ポリマーマトリクスを含むマトリクス材料を溶融形態に加熱することと、有機天然繊維材料をマトリクス材料に混合することと、鋳型またはダイで混合物を成形することと、成形された混合物を凝固させて複合体を形成することとを含む。
一実施形態によれば、ラウドスピーカケーシングは、2つの表面の複合体を含み、複合体は、マトリクス材料と有機天然繊維系材料とを含み、ラウドスピーカケーシングは、複合体と一体的にかつ同時に形成される音方向部分を含み、音方向部分は、ラウドスピーカケーシングの内表面上に配設される。
実施形態に従う複合体を含むラウドスピーカの使用において、当該使用は、屋外、または所定の容積の空間においてなされてもよい。
添付図面は、本発明のいくつかの実施形態を示す。図は、同じ尺度ではない。
本発明の実施形態に従う複合体を示す。 フレーク形状の有機天然繊維系材料の実施例を示す。 本発明の実施形態に従う複合体の拡大断面図を示す。 本発明の実施形態に従う製造方法を示す。 発泡前の、本発明の一実施形態に従う複合体を示す。 発泡後の、本発明の一実施形態に従う複合体を示す。 本発明の実施形態に従う複合体を示す。 本発明の実施形態に従う複合体における音方向部分の実施例の断面図を示す。 本発明の実施形態に従う複合体における音方向部分の実施例の上面図を示す。 本発明の実施形態に従う音方向部分の側面図を示す。
本発明の以下の具体例および実施例は、添付の図面を用いてより詳細に説明される。実施形態は、具体例として示され、限定されると解釈されるべきではない。以下の符号は、図において示される。
100 複合体または複合材料
101 マトリクス材料
102 有機天然繊維系材料
1002 有機天然繊維成分
401 加熱
402 混合
403 成形
404 凝固
501 表面領域
502 中央領域
601 層
602 層
701 音方向部分
本願における割合は、別段の規定がなければ、重量パーセント(重量%)である。ただし、量の間における変化または比較に関する割合(%)を除く。
複合体
図1は、本発明の実施形態に従う複合体100を示す。複合体100は、マトリクス材料101と有機天然繊維系材料102とを含む。複合体100は、互いに組み合わされた2以上の材料要素を含む。少なくとも、いくつかの/全ての実施形態において、部品の構成要素は、それらの特性を保持している。また、マトリクス材料101と有機天然繊維系材料102とに加えて、他の添加物が複合体に混合されてもよい。マトリクス材料101と有機天然繊維系材料102とは、複合体において互いに完全に溶解または融合していなくてもよい。複合体100の特性は、単独で機能するその成分の特性とは異なってもよい。
マトリクス材料
実施形態に従う複合体は、マトリクス材料を含み、マトリクス材料には有機天然繊維系材料が混合される。マトリクス材料101は、任意の好適なポリマーまたはポリマー組成物を含み得る。ポリマーマトリクス101は、熱可塑性ポリマーなどのポリマーを含み得る。熱可塑性ポリマーは、非結晶性または半結晶性構造を含んでもよい長鎖ポリマーである。一実施形態によれば、マトリクス材料は、少なくとも50重量%(重量パーセント)、少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%または少なくとも80重量%、最も好ましくは少なくとも90重量%または少なくとも95重量%の熱可塑性ポリマーを含む。熱可塑性ポリマーは、たとえば、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリラクチド、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリカプロラクトン、ポリグリコライド、ポリブチレン、ポリ(アジパート−コ−テレフタレート)、コハク酸ポリブチレン、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリ(アクリルニトリルブタジエンスチレン)コポリマー(ABS)、ポリカーボネート、ポリラクチドなどのバイオポリマー、生分解性ポリマー、バイオベースポリマー、熱可塑性エラストマー、ポリサッカライド、ポリイミド、ポリビニルクロライド、それらの誘導体、および/またはそれらの任意の組み合わせなどを含む。一実施形態において、マトリクス材料における熱可塑性材料の量は、少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは少なくとも95重量%である。マトリクス材料は、40〜98重量%、好ましくは60〜95重量%の、熱可塑性ポリマーまたはポリマー組成物を含んでもよい。一実施形態において、マトリクス材料と有機天然繊維系材料とを含む複合体における熱可塑性材料の量は、5〜90重量%、より好ましくは10〜75重量%、より好ましくは20〜65重量%、最も好ましくは40〜60重量%である。
好適な熱可塑性ポリマーは、十分な熱可塑特性を保持しており、有機天然繊維系材料と溶融混合することができる。熱可塑性ポリマーは、複合体から、成形された物品、および/または部品を提供することを可能にする効果を有してもよい。たとえば、熱可塑性ポリマーは、射出成形によって製造および/または成形される。熱可塑性ポリマーは、一体形状を提供することができる効果を有してもよく、一体形状は、角部を超えて延び、および/または一体の熱可塑性部品の第1面に平行ではない第2面に延びる。
有利には、マトリクス材料は、少なくとも1つの、結晶性ポリマー、非結晶性ポリマー、結晶性オリゴマー、非結晶性オリゴマー、半結晶性ポリマー、および半結晶性オリゴマー、またはそれらの組み合わせを含む。マトリクス材料は、ガラス転位温度を有する。半結晶性ポリマーは、また、溶融温度を有する。半結晶性ポリマーは、結晶性および非結晶性部分の両方を含んでもよい。対応する剛性のある部分および軟らかい部分は、複合体の音響特性に影響を与え得る。一実施形態によれば、結晶性マトリクス材料は、非結晶性マトリクス材料に比べて、高い剛性と、小さな(相対)粘性減衰係数とを提供する効果を有してもよい。半結晶性マトリクス材料は、所望の剛性と音波減衰とを組み合わせる効果を有し得る。ポリオレフィン、たとえばポリプロピレンなどは、半結晶性マトリクス材料の一例である。非結晶性マトリクスの結晶度は、ゼロに接近している。半結晶性ポリマーについて、結晶度は、10〜80重量%、好ましくは20〜70重量%、より好ましくは40〜60重量%であってもよい。ポリオレフィンは、40〜60重量%の結晶度を含み得る。ポリプロピレンは、40〜60wt%の結晶度を含み得る。小さな分子を含む材料は、より大きな分子を含む材料に比べてより高い結晶度をもたらし得る。結晶度の評価方法は、密度測定法、示差走査熱量測定法(DSC)、X線回折(XRD)、赤外線分光法、および核磁気共鳴(NMR)を含む。測定値は、使用される方法に依存する。結晶性および非結晶性領域の分布は、偏光顕微鏡法、および透過電子顕微鏡法などの顕微鏡技術で可視化されてもよい。
複合体100のポリマーマトリクス101は、ポリオレフィンを含み得る。ポリマーマトリクスは、たとえば、ホモポリマー、コポリマー、または非飽和脂肪族炭化水素の修飾されたポリマーなどを含み得る。有機天然繊維系材料を含むポリマー複合体において使用され得るポリマーは、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル、およびそれらの組み合わせを含み得る。好ましいポリオレフィンは、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのC−Cポリオレフィンを含み得る。
ポリマーマトリクス101は、再生ポリマーを含み得る。また、ポリマーマトリクスは、未使用のポリマーを含み得る。また、ポリマーマトリクスは、再生ポリマーと未使用ポリマーとの両方を含み得る。未使用ポリマーは、ポリマーマトリクスに添加され得る。添加されるポリマー、たとえばポリプロピレンなどの量は、使用される他の原材料に依存してもよい。たとえば、再生ポリマー材料が使用される場合、添加される未使用ポリマーの量は、再生材料を伴う異なる原材料の量に依存してもよい。再生原材料は、紙、もしくはプラスチックポリマー、または紙およびプラスチックポリマーの両方を含み得る。ポリマーマトリクスは、少なくとも50重量%、好ましくは70重量%、より好ましくは95重量%の未使用ポリマーを含み得る。一実施例では、ポリマーマトリクスは、100重量%の未使用ポリマーを含む。未使用ポリマーは、再生ポリマーに比べて良好な剛性特性を提供する効果を有し得る。
生分解性ポリマーは、ポリヒドロキシアルカノエート、セルロースアセテート、たとえばセルロースアセテートブチレートもしくはセルロースブチレートなどのセルロース誘導体、ポリラクチド、デンプン、およびデンプン混合物、ポリカプロラクトン、ポリブチレンコハク酸エステル、ポリエステルウレタン、たとえばポリ−L−ラクチド、ポリ−D−ラクチド、ポリ−DL−ラクチドなどのポリ乳酸(PLA)、ポリサッカライド、およびポリサッカライドエステルもしくはエーテル、ポリエステル、ポリエステルコポリマー、ポリエステルアミド、またはそれらの任意の組み合わせもしくは誘導体を含み得る。
固体形状のポリマーマトリクス材料の密度は、約1g/m、たとえば0.8〜1.7g/mなどである。たとえば、低密度ポリエチレン(LDPE)は、0.840〜0.926g/cmの密度を含み、中密度ポリエチレン(MDPE)は、0.926〜0.941g/cmの密度を含み、高密度ポリエチレン(HDPE)は、0.941〜0.990g/cmの密度を含み、ポリプロピレン(PP)は、0.85〜0.95g/cmの密度を含み、ポリスチレン(PS)は、1.00〜1.150g/cmの密度を含み、ポリ乳酸(PLA)は1.18〜1.50g/cmの密度を含む。
実施形態に従うマトリクス材料は、それが加熱されるとき、数回、新たな形状に形成されてもよい。マトリクス材料は、冷却後、その新規の形状を保持しており、続いてそれは非常にゆっくりと流れるか、または全く流れない。マトリクス材料は、少なくとも1つの繰り返し単位を有する。マトリクス材料の数平均分子量は、18〜1000g/mol、または100〜500g/mol、または500〜1000g/mol、または1000〜10000g/mol、または10000〜100000g/mol、または100000g/molを超える。
有機天然繊維材料
有機天然繊維系材料は、有機天然繊維材料と、再生有機天然繊維材料とを含む。少なくとも、いくつか/全ての実施形態において、有機天然繊維材料は、セルロースを含む繊維または繊維様粒子などの粒子に言及する。有機天然繊維材料は、機械的に処理された、および/または化学的に処理された繊維および/または繊維様粒子を含み得る。使用される処理された粒子は、少なくとも30重量%または少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも50重量%または少なくとも60重量%、最も好ましくは少なくとも80重量%または少なくとも90重量%の機械的に処理された有機天然繊維材料を含み得る。
「機械的に処理された」とは、機械的パルプ化処理によるセルロースを含む任意の有機天然材料から分離された有機天然繊維材料に言及し得る。機械的パルプ化処理は、ケミメカニカルパルプを製造する化学的前処理に先行されてもよい。機械的に処理された有機天然繊維材料は、たとえば、使用される原料から、粉砕、精製、および/または粒子化などされてもよい。言い換えれば、機械的な力は、有機天然繊維材料の原料を処理するために使用された。機械的に処理された有機天然繊維材料は、特に、木粉、おがくず、チップ材料、ならびに/またはサーモメカニカルパルプ(TMP)、砕木パルプ(GW)、ストーングランドウッドパルプ(SGW)、加圧グランドウッドパルプ(PGW)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)、および/もしくはケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)などの機械パルプを含み得る。機械的に処理された有機天然繊維材料は、木質系繊維などの木質系材料を含むか、またはからなるが、それらは、非木質材料を含むか、またはからなってもよい。機械的に処理された有機天然繊維材料は、繊維または繊維用粒子などの、再生および/または未使用材料を含み得る。たとえば、少なくとも30重量%または少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも60重量%、最も好ましくは少なくとも80重量%、または最も好ましくは少なくとも90重量%の、使用される有機天然繊維材料が、未使用のものであってもよい。一実施例において、有機天然繊維材料の100重量%は、未使用のものを含む。たとえば、機械的に処理された有機天然繊維は、主要な有機天然繊維材料として、おがくず、または少なくとも他の機械的に処理された木、もしくは植物粒子を含み得る。機械的に処理された有機天然繊維材料は通常、リグニンを含む。セルロース系繊維のような、機械的に処理された有機天然繊維材料において、リグニンは、様々な量で存在するが、通常、化学的に処理された有機天然繊維材料におけるよりも多くの量で存在する。リグニンは、高度に重合化された材料であり、架橋することができ、セルロース系繊維プラスチック複合体における水忌避剤として機能し得る。たとえば、木材細胞において、リグニンの存在は、水が木材細胞に浸透することを制限し、その構造を非常に緻密にする。リグニンを含む有機天然繊維材料は、しかしながら、リグニンを含まない繊維材料よりも比較的低い押出または射出成形温度、たとえば100〜150℃などで、より容易に分解する傾向がある。
化学的に処理された有機天然繊維材料は、好ましくは化学木質系パルプを含む。化学パルプは、たとえば、クラフトプロセス、または亜硫酸法になどに由来してもよいが、ソーダパルプ化法などの他の化学的方法が使用されてもよい。好ましくは、化学パルプは、クラフトプロセスに由来する。化学的に処理された有機天然繊維材料は、好ましくは木質系セルロースを含むか、またはからなるが、非木質材料でもよい。化学的に処理された有機天然繊維材料は、再生および/もしくは未使用繊維、ならびに/または繊維様粒子を含み得る。有利には、少なくとも30重量%または少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも50重量%または少なくとも60重量%、最も好ましくは少なくとも80重量%または少なくとも90重量%の有機天然繊維材料が、化学的に処理される。一実施例によれば、100重量%の有機天然繊維材料は、化学的に処理される。有利には、少なくとも30重量%または少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも50重量%または少なくとも60重量%、最も好ましくは少なくとも80重量%、または少なくとも90重量%、または少なくとも95重量%の化学的に処理された有機天然繊維材料が、クラフトプロセスから生じる。有利には、セルロースを含む有機天然繊維材料のパルプ製造方法は、クラフト蒸解またはパルプ化と呼ばれる硫酸塩蒸解に基づく。有利には、化学的に処理されたパルプのリグニン含有量は、0.01〜15.00重量%、好ましくは0.01〜10.00重量%または0.01〜5.00重量%、より好ましくは0.01〜3.00重量%、0.01〜2.00重量%または0.01〜1.00重量%、最も好ましくは0.01〜0.50重量%である。好ましくは、化学的に処理されたパルプのアルファセルロース含有量は、50重量%を超え、好ましくは60重量%を超え、より好ましくは70重量%を超え、最も好ましくは72重量%を超え、または75重量%を超える。有利には、化学的に処理されたパルプのアルファセルロース含有量は、99重量%以下、好ましくは90重量%以下、より好ましくは85重量%以下、最も好ましくは80重量%以下である。
木質材料は、トウヒ、マツ、モミ、カラマツ、ダグラスモミもしくはツガなどの軟材の木、またはカバ、アスペン、ポプラ、ハンノキ、ユーカリノキもしくはアカシアなどの硬材の木、または軟材と硬材との混合物であればよい。有利な実施例において、少なくとも30重量%または少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも50重量%または少なくとも60重量%、最も好ましくは少なくとも80重量%または少なくとも90重量%の、複合体の有機天然繊維材料は、木質系である。一実施例において、複合体の有機天然繊維材料の100重量%は、木質系材料である。
非木質材料は、農業残渣、草、または、その他の植物性物質であってもよく、たとえば、ワタ、トウモロコシ、コムギ、オートムギ、ライムギ、オオムギ、コメ、アマ、アサ、マニラアサ、サイザルアサ、ジュート、ラミー、ケナフ、バガス、タケ、またはアシに由来する、わら、ココナツ、葉、樹皮、種子、外皮、花、野菜、もしくは果実などである。有機天然繊維材料は、少なくとも部分的に、紙シートもしくはウェブ、板紙もしくはウェブ、またはパルプシートもしくはウェブ、または圧縮繊維マトリクスもしくは圧縮繊維の一部、およびそれらの組み合わせの形状であってもよい。
再生有機天然繊維材料は、本発明の実施形態に従う有機天然繊維系材料に含まれる。再生有機繊維材料は、ポリマー複合体を製造するための材料を製造するために使用されてもよい。再生有機天然繊維材料は、好ましくは溶解パルプを含む。溶解パルプから製造することができるビスコースは、再生有機天然繊維材料の一例である。セルロースカルバメートから作製された繊維、またはカルバメートに由来する有機天然繊維材料の少なくとも一部を再生繊維であって、それらの構造に二酸化ケイ素を含む繊維は、ビスコースとして同様の用途で使用されてもよい。これらの再生繊維は、たとえば化学的処理などによってさらに修飾されてもよい。再生有機天然繊維系材料は、人工繊維を表してもよい。
有機天然繊維材料の量は、システム、または製品における、未処理の、および/または上述の方法で機械的に処理された、および/または上述の方法で化学的に処理された有機天然繊維材料の総量として計算される。有機天然繊維系材料の量は、システム、または製品における、未処理の、および/または上述の方法で機械的に処理された、および/または上述の方法で化学的に処理された、および/または上述の方法で再生された有機天然繊維材料における総量として計算される。
有機天然繊維材料は、たとえば木質材料のリサイクル流における原料パルプなどの再生材料を含み得る。再生材料は、再生紙材料を含み得る。有機天然材料は、少なくとも部分的に、大きな繊維の形態、または繊維束、紙くず、パルプくず、粉砕されたパルプ材料、その派生物、およびそれらの組み合わせであってもよい。
有機天然繊維材料102は、木質系セルロースパルプ繊維を含み得る。少なくともいくつか/全ての実施形態において、有機天然繊維材料は、セルロースを含む、繊維、または繊維様粒子などの粒子を表す。有機天然繊維材料は、セルロースを含む任意の植物材料に由来してもよい。少なくとも1つの、または両方の、木質材料と非木質材料とは、有機天然繊維材料に含まれてもよい。
有機天然繊維材料102は、少なくとも大部分が、たとえば、羊毛状物質、単一繊維、もしくは単一繊維の部分の形態であってもよく、または有機天然繊維材料は、おがくず、もしくは粉砕された材料などの繊維様粒子の形態であってもよく、当該材料は、正確に球形を有していない。少なくともいくつかの実施形態において、粒子の最大寸法は、最小寸法よりも5倍未満長い。好ましくは、有機天然繊維材料は、少なくとも部分的に繊維の形態である。好ましくは、少なくとも40重量%、または少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも60重量%または少なくとも70重量%、最も好ましくは少なくとも80重量%の有機天然繊維材料は、繊維の形態である。また、複合体は、微粒子を含み得る。一実施例によれば、100重量%の有機天然繊維材料は、繊維の形状である。
少なくとも0.1mm、より好ましくは少なくとも0.2mm、最も好ましくは少なくとも0.3mmの長さを有する有機天然繊維材料は、繊維と呼ばれてもよく、上述されたものよりも小さな粒子は、粉体または繊維様粒子と呼ばれてもよい。好ましくは、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%の有機天然繊維材料は、4mm未満、3mm未満、または2.5mm未満、より好ましくは、2.0mm未満、1.5mm未満、1.0mm未満、または0.5mm未満の繊維長を有する。好ましくは、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、または少なくとも90重量%の有機天然繊維材料は、少なくとも0.1mm、または少なくとも0.2mm、より好ましくは少なくとも0.3mmまたは少なくとも0.4mmの繊維長を有する。有利には、繊維は、繊維厚に対する繊維長の比率に関する形状比を有し、少なくとも5、好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくとも25、最も好ましくは少なくとも40である。加えてまたはあるいは、繊維は、繊維厚に対する繊維長の比率に関する形状比を有し、好ましくは最大1500、より好ましくは最大1000、最も好ましくは最大500である。高い形状比は、同じ有機天然繊維材料含有量に対して、より高い剛性および衝撃強度を有する強化成分に関する。これは、たとえばヤング係数または弾性率などの係数によって記載することができ、材料の剛性の尺度であり、材料を特徴付けるために使用される。有機天然繊維材料は、構造体における強化成分を形成し得る。
有利には、有機天然繊維材料は、フレーク形状の繊維を含む。図2は、フレーク形状の有機天然繊維材料の一実施例を示す。図2のフレークは、幅Wと厚みTとを有し、幅は厚みよりも大きい。図2のフレークは、長さLを有し、その最も大きな寸法であってもよい。幅Wと厚みTとは、フレークの表面の横断面寸法を示し得る。表面は、図2に示されるように、楕円状、もしくは長方形状であってもよく、またはフレークの表面は不規則な形状を含んでもよい。フレークの不規則な形状は、フレーク長さLに沿って連続していてもよい。一実施形態によれば、フレークの微細構造におけるセルロース繊維は、フレークの長さ方向に沿って配向されている。フレークは、繊維の厚みよりも2〜10倍長い幅を有してもよい。有利には、フレークの幅は、フレークの厚みの、少なくとも2倍、好ましくは少なくとも2.5倍、より好ましくは少なくとも3倍である。好ましくは、フレークは、1ミクロン〜30マイクロメートルの厚みを有し、より好ましくはフレークの厚みは、2ミクロン〜20マイクロメートルまで変化する。最も好ましくは、フレークの厚みは、2〜15μm、より好ましくは2〜10μm、および最も好ましくは2〜7μmである。一実施形態において、フレークの幅は、20〜500μm、好ましくは20〜200μm、より好ましくは20〜50μmである。好ましくは、幅に対する長さの比率に関するアスペクト比は、10〜100の間である。好ましくは、厚みに対する長さの比率に関するアスペクト比は、25〜1500、または25〜1000、より好ましくは25〜500、最も好ましくは25〜300である。一実施形態において、フレークの長さは、フレークの幅の少なくとも10倍である。一実施形態において、フレークは、管形状を有する。一実施形態において、フレークは、板状形状を有する。一実施形態において、有機天然繊維材料は、有機天然繊維材料の総重量の、少なくとも30乾燥重量%、好ましくは少なくとも50乾燥重量%、より好ましくは少なくとも70乾燥重量%、最も好ましくは少なくとも80乾燥重量%のフレーク形状繊維材料を含む。一実施例によれば、有機天然繊維材料は、当該有機天然繊維材料の総量の98乾燥重量%、または100乾燥重量%のフレーク形状繊維材料を含む。
図3は、本発明の一実施形態に従う複合体の拡大断面図を示す。図3は、後方散乱電子(BSE)技術を用いて500倍に拡大されて取得された。図3の断面図は、仮想平面に向かうメルトフロー方向を含み、したがって、少なくとも大部分の有機天然繊維1002は、配向される。有機天然繊維材料の縦方向は、仮想平面に少なくとも略直交する。有機天然繊維1002は、縦方向に管形状を有する。有機天然繊維1002は、図3に示されるように、管状の横断面も有する。丸い横断面に代えて、有機天然繊維1002の横断面は、板状形状に向けて平坦にされる。管状の有機天然繊維1002の横断面は、中空内部を含む。有利には、中空内部は、管状の有機天然繊維によって縁どられた板状形状を含む。有機天然繊維1002の中空内部の、横断面形状、形状、および/または容積は、繊維長にわたって変化してもよい。管状の有機天然繊維の中空内部は、たとえば、少なくともいくらかの、水分蒸発、同伴空気、気体、揮発性成分、またはマトリクス材料などを含んでもよい。一実施例によれば、管状の有機天然繊維は、空気を含む中空内部を縁どるように配置される。中空内部は、有機天然繊維の内表面が、少なくとも大部分でそれ自体に接触しないままであることを意味し得る。中空構造において、有機天然繊維の内壁は、仮にそうであるとしても互いに緩くのみ接触し得る。天然有機繊維は、天然有機繊維の内表面によって縁どられた、溝、または開口部を含んでもよい。中空内部の形状および寸法は、繊維間、および複合体間で異なってもよい。たとえば、製造方法、およびその調整可能なパラメータ、押出または射出成形の速度、温度、圧力などは、有機天然繊維の中空構造に影響を与え得る。有利には、少なくとも10〜30重量%、好ましくは少なくとも10〜50重量%、より好ましくは10〜70重量%の有機天然繊維1002は、有機天然繊維によって縁どられた中空内部を含む。
少なくとも部分的に中空の有機天然繊維材料は、弾性を有する、および/または柔軟な、マイクロまたはナノスケール部分を複合体に提供し得る。複合体の中空有機天然繊維構造は、複合体の、減衰および/または音伝達特性に影響を与え得る。たとえば、少なくとも部分的に中空天然繊維構造を含む複合体は、たとえば、合成繊維、またはガラス繊維などを含む複合体に比べてより高い吸音係数を含み得る。このことは、より良好な音伝達をもたらし得る、ガラス繊維の、硬度および/もしくは剛性、ならびに/または合成もしくはガラス繊維の長さが原因となり得る。中空、あるいは板状、または平坦な有機天然繊維構造は、異なる音伝達特性を有し得る。この相違は、有機天然繊維界面における音の反射および/または散乱が原因となり得る。中空、あるいは平坦な有機天然繊維部品は、縦方向に真っ直ぐな形状を有さなくてもよいが、湾曲し、回転し、および/またはより合わされた繊維部分であってもよい。少なくとも複合体の内部領域(表面領域と比較して)は、間接的な縦方向の配向を有する有機天然繊維を含み得る。有機天然繊維の配向は、少なくとも複合体の表面領域において制御されてもよい。有機天然繊維材料は、いくらか直線状の伸縮を含んでもよいが、たとえば、ガラス繊維は、複合体の製造段階の間に、それらの方向、および/または寸法を大部分維持する。中空の配向されていない構造部分を含む複合体は、音の減衰に影響を与え得る。
添加剤
複合体100は、1以上の添加剤を任意に含んでもよい。添加剤は、部品中に含まれてもよく、および/またはそれは複合体の部品に組み合わされてもよい。たとえば、添加剤は、マトリクス材料に結合されてもよい。
添加剤は、複合体の特性を調整する効果を有し得る。添加剤は、鎖延長剤、可塑剤、熱緩和剤、衝撃緩和剤、分散剤、カップリング剤、潤滑剤、および/または無機充填剤などを含み得る。添加剤は、流量制御剤、UV吸収剤、充填剤、金属粒子、艶消し剤、顔料、抗酸化剤、難燃剤、希釈剤、安定剤、モノマー、プレポリマー、柔軟性改良剤、加工助剤および潤滑剤、フッ素重合体系加工助剤、鉱油およびワックス、凝結剤、繊維ストランド、ポリマー、ガラス性、セラミック性、およびポリマー性発泡体、金属粒子、マイクロおよびナノ充填剤、コア−シェル粒子、エラストマー系マイクロおよびナノ粒子、磁性および誘電性ナノ結晶、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、ナノグラファイト、ナノクレイ、ナノシリカ、ナノアルミナ、ジルコニア、およびチタニアナノ粒子、貴金属、および導電性ナノ粒子、ナノファイバー、およびナノストランド、またはそれらの組み合わせを含み得る。実施形態に従う複合体における添加剤の量は、0.1〜30.0重量%であってもよい。その量は、材料、用途、および所望の特性に依存する。複合体における添加剤の好ましい量は、0.1〜10.0重量%、または0.1〜5.0重量%、または0.1〜1.0重量%、または0.5〜30重量%、または1.0〜20.0重量%、または5.0〜15.0重量%を含み得る。
鎖延長剤は、機械的強度と溶融強度とを構造体に提供する効果を有し得る。溶融強度は、たとえばより安定な加工を可能にするなど、製造および加工の間に有利である。鎖延長剤は、複合体のリサイクルおよび再利用を可能にし得る。鎖延長剤の例は、芳香族ジオール、脂肪族ジオール、炭素直鎖ジオール、および炭素環状ジオールである。
溶解した鎖延長剤は、予め加熱されたポリマーマトリクスに添加され、高速ミキサを用いて混合されてもよい。処理後、混合物は鋳型に配置され、混合物は加熱され、圧縮成形され、任意に硬化される。鎖延長剤の効果は、ヒステリシス特性を向上し得る。このことは、エネルギー吸収が低く、材料が引き伸ばしから回復するであろうことを示す。他の効果は、長い鎖(CH)と、より結晶質の硬い部分とが原因の、より良好な疎水性であってもよい。エラストマーは、約50℃における結晶転移を示してもよく、これはホットメルト接着剤用途において重要な特徴である。熱可塑性ポリウレタン(TPU)において使用される、炭素直鎖、および環状ジオールは、複合体の硬さを増加させ、より高い弾性率、および/または向上した耐水性を提供する効果を有し得る。鎖延長剤の効果は、改良された耐熱性、弾力性、および改良された耐水性を含み得る。環状鎖延長剤の効果は、高い軟化温度を有する軟質材料を提供することであってもよい。したがって、より高い硬度を有する製品は、より高い弾性率および圧縮強度を含む。ポリウレタンエラストマーの機械的特性は、鎖延長剤の使用によって向上されてもよい。
可塑剤は、材料の可塑性または流動性を増加させる添加剤である。可塑剤は、ポリマーの鎖の間にそれら自体を埋め込んで、ポリマーを離して配置する。このように、構造体における自由体積は増加する。材料のガラス転位温度は減少し、材料は柔らかくなる。材料中における可塑剤量の増加は、材料の低温収縮温度を低下させる。このことが原因で、材料はより柔軟になり、その耐久性が増加する。可塑剤は、エステルを含んでもよく、当該エステルは、セバシン酸エステル、アジピン酸エステル、テレフタラート、ジベンゾエート、グルタラート、フタラート、アゼラート、および他の特殊混合物を含んでもよい。可塑剤は、典型的には適度な鎖長を有する、直鎖または分枝芳香族アルコールを有するポリカルボン酸のエステルに基づいてもよい。可塑剤の例は、直鎖および分枝鎖アルキルアルコールのフタル酸エステルを含む。可塑剤は、たとえば、低い毒性、母材との適合性、非揮発性、および費用などに基づいて選択されてもよい。生分解性可塑剤の例は、トリエチルシトレート(TEC)、アセチルトリエチルシトレート(AATEC)、トリブチルシトレート(TBC)、アセチルトリブチルシトレート(ATBC)、トリオクチルシトレート(TOC)、アセチルトリオクチルシトレート(ATOC)、トリヘキシルシトレート(THC)、アセチルトリヘキシルシトレート(ATHC)、ブチリルトリヘキシルシトレート(BTHC)、トリメチルシトレート(TMC)などのアルキルシトレートを含む。フタル酸エステル系可塑剤は、水に対する良好な耐性を提供し得る。フタル酸エステル系可塑剤の例は、ジイソオクチルフタラート(DIOP)、ジエチルフタラート(DEP)、ジイソブチルフタラート(DIBP)、ブチルベンジルフタラート(BBzP)、Di−n−ブチルフタラート(DnBP、DBP)を含む。可塑剤は、柔軟性、硬度、および/または脆性を調節する効果を有し、および/または処理に好影響を与え得る。
熱緩和剤は、アルファメチルスチレン(AMS)、またはポリフェニレンエーテル(PPE)に基づいてもよい。熱緩和剤は、加熱ひずみ温度に影響を与え得る。たとえば、ポリ−D−ラクチドホモポリマーは、ポリ−L−乳酸の加熱ひずみ温度を増加するために使用されてもよい。熱緩和剤は、電気、および寸法特性、頑丈さ、および/または耐炎性を向上する効果を有し得る。
ポリマーは、硬質用途の最終用途要件を満たすために、耐衝撃性を改良されてもよい。耐衝撃性の改良は、材料にゴム領域を追加することによってなされてもよい。実質的に低い剛性とより高い強度とを有するポリマーが利用されてもよい。そのようなポリマーの例は、少なくとも1以上の、熱可塑性オレフィン(TPO)、熱可塑性エラストマー(TPE)、(ポリ−)スチレン−エチレンブチレン−スチレン(SEBS)、無水マレイン酸グラフト化スチレン−エチレンブチレン−スチレン(SEBS−MA)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、メチルメタクリレートブタジエンスチレン(MBS)系衝撃緩和剤、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)系衝撃緩和剤、エチレンビニルアセテート(EVA)、エチレンブチルアセテート(EBA)、およびそれらのマレイン酸ターポリマーを含む。
分散剤は、ポリマーマトリクスにおける、充填剤または顔料のような固体複合材料の分散を、促進および/または安定させる効果を有してもよい。分散剤は、界面活性剤を含んでもよく、および/または非表面活性ポリマー、もしくは表面活性物質であってもよい。分散剤の例は、シランである。分散剤は、懸濁液、またはコロイドのような混合物に添加されてもよい。分散剤は、粒子の分離を促進し、および/または沈殿もしくは凝集を妨げる効果を有し得る。良好な分散は、処理可能性に好影響を与える。
カップリング剤または相溶剤は、有機天然繊維材料およびポリマーマトリクスの分散および/または溶化を促進する傾向を有する化合物に言及する。カップリング剤は、マトリクス材料と、有機天然繊維材料に反応するように構成された部分とを含んでもよい。カップリング剤のマトリクス材料は、複合体のマトリクス材料の一部として含まれるが、カップリング剤のマトリクス材料は、純粋なマトリクス材料を含まなくてもよい。カップリング剤は、混合物中の極性成分と非極性成分との間の密接な接触を促進および維持する効果を有する。言い換えれば、カップリング剤は、ポリマーマトリクスに対する有機天然繊維材料の均一な分散を向上させ、処理の間における、非極性ポリマーマトリクスと極性有機天然繊維材料との間の界面接着を向上させるために使用されてもよい。カップリング剤は、グラフト化ポリマー界面活性剤として採用され、ポリマー骨格は、少なくとも1つの官能基であって、非極性ポリマーマトリクスを極性有機天然繊維にカップリングさせるために使用され得る官能基を含むように修飾されてもよい。修飾されたポリマーは、たとえば官能基をポリマー骨格に付着させることなどによって得られてもよい。たとえば、無水マレイン酸は、ポリマー骨格に官能基として付着し、それによって無水マレイン酸グラフト化ポリマーが得られる好適な化合物の一例であってもよい。カップリング剤は、不飽和カルボン酸、または不飽和カルボン酸無水物を含んでもよい。たとえば、不飽和カルボン酸の誘導体、およびそれらの混合物、または無水マレイン酸が使用されてもよい。そのような酸および無水物の例は、アクリル酸のような、モノ−、ジ−、またはポリカルボン酸、メタアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、イタコン酸無水物、マレイン酸無水物、および置換された無水マレイン酸、たとえば、ジメチル無水マレイン酸、またはシトラコン酸無水物、ナジック酸無水物、ナジックメチル酸無水物、およびテトラヒドロフタル酸無水物である。
カップリング剤は2つの機能領域を有してもよく、該領域は、ポリマーマトリクスとからみ合いを形成する第1領域、および有機天然繊維材料に強く相互作用する第2領域である。これらの相互作用は、ポリマーマトリクスと有機天然繊維材料との間の界面接触を増加させる。言い換えれば、複合体は、有機天然繊維材料とカップリング剤との間に形成される共有エステル結合などの第1カップリングと、カップリング剤とポリマーマトリクスとの間に形成される水素結合などの第2カップリングとによって形成される。前記カップリングは、共有結合および水素結合に加えて、からみ合った構造の形状をとり、有機天然繊維はカップリング剤に分散される。言い換えれば、カップリングおいて起こる化学反応に加えて、有機天然繊維は、からみ合ったポリマーマトリクスを含むカップリング剤に物理的に付着してもよい。前記物理的な付着は、安定した構造の形成を促進してもよい。カップリングは、マレイン酸無水物グラフト化ポリマーなどのグラフト化熱可塑性ポリマーを含むカップリング剤と、ポリマーマトリクスとの間にも生じ得る。前記カップリングは、ファンデルワールス力と、カップリング剤およびポリマーマトリクスの間に形成されるからみ合いとによって生じる。この種類の結合は、複合体のより高い引張強度を提供することに影響を与え得る。
カップリング剤は、グラフト化熱可塑性ポリマーを含み得る。また、ポリマーマトリクスは、グラフト化熱可塑性ポリマーを含み得る。また、カップリング剤は、ポリマーマトリクスを含み得る。言い換えれば、カップリング剤が熱可塑性ポリマーを含む場合、それはポリマーマトリクスを置換するために使用されてもよい。一実施例によれば、カップリング剤は、2,5−フランジオン、ジヒドロ−2,5−ジオキソフラン、トキシル酸無水物、またはシス−ブテン酸無水物としても知られるマレイン酸無水物を含み得る。マレイン酸無水物は、グラフト化ポリマーとして処理に提供されてもよい。カップリング剤と繊維との間のカップリングを開始するための十分な量のエネルギーが提供されなければ、ポリマー骨格におけるマレイン酸無水物などの官能基を含むグラフト化ポリマーは、不活性であってもよい。このことは、たとえば材料をカップリングが始まり得る活性化温度に加熱することによって実施することができる。カップリングは、共有結合のような化学反応であってもよい言い換えれば、カップリング剤を活性化するために、所定の活性化エネルギーレベルに到達しなければならず、十分な量の熱をシステムに導入することによって達成される。一旦活性化エネルギーレベルに到達すれば、カップリングは、グラフト化ポリマーと有機天然繊維材料との間の共有結合によって形成され、安定した耐久構造を形成し得る。
また、カップリング剤は、不飽和カルボン酸または無水化合物を準備し、ポリマーに反応させることによって形成され、有機天然繊維ポリマー複合体を製造する処理において、共有結合によってグラフト化化合物を形成する。
カップリング剤についてのメルトフローインデックスは、ISO1133(T230℃、2.16kg)に従って、0.1を超え、または0.1〜2000、好ましくは1.0〜500、より好ましくは2〜200、最も好ましくは5〜100であってもよい。実施形態に従う複合体は、0.5〜10.0重量%、好ましくは1.5〜5.0重量%、より好ましくは2〜3重量%のカップリング剤を含み得る。有利な実施形態において、カップリング剤は、マレイン酸無水物系カップリング剤を含む。マレイン酸無水物の量は、カップリング剤の、0.2〜8.0重量%、好ましくは1〜3重量%であってもよい。
カップリング剤は、初期の非結合および/または不適合表面の間における、結合またはより安定した結合を提供する効果を有し得る。強化充填プラスチックについて、繊維性または他の無機成分と有機マトリクスポリマーとの間の結合は、複合体強度および/またはその作動期間に影響を与える。カップリング剤は、実施形態に従う複合体の減衰特性および弾性率に影響を与え得る。さらに、カップリング剤は、剛性などの、複合体の機械的特性に影響を与え得る。
潤滑剤は、生産率を制御および増加させるために有機天然繊維ポリマー複合体構造の製造において使用され得る添加剤である。潤滑剤は、加工助剤、離型剤、またはスリップ剤とも呼ばれ得る。潤滑剤は、たとえば、ステアリン酸塩(ステアレート)などの物質を含む金属イオン、または金属イオンを含まない合成ワックスなどであってもよい。潤滑および放出特性、ならびに撥水性は、ステアリン酸金属塩の特性である。これらの特性の特別な効果は、各ステアリン酸金属塩の、カチオン(金属イオン)、脂肪酸の鎖長、およびたとえば水分の結晶含有量などの特定の他の特性によって決定される。ステアレートに好適な金属イオンは、たとえば、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、バリウム、ナトリウム、カリウム、またはアルミニウムなどであってもよいが、これに限定されるものではない。ステアレートは、1以上の、これらの金属イオンまたは同様物の組み合わせを含んでもよい。カルボン酸エステルまたはエーテルは、有機天然繊維材料を含む複合体についての潤滑剤として好ましい。なぜなら、ステアレートは、複合体におけるカップリング剤を妨げ得るからである。
有機天然繊維材料を含むポリマー複合体の製造において使用される潤滑剤は、内部潤滑剤または外部潤滑剤として区別されてもよい。内部潤滑剤は、内部摩擦を減少させ、流れ特性と溶融物の均一性とを向上し、繊維片および混合物形態をより容易に作製する。それらは、ポリマーにおいて、溶解可能、または部分的に溶解可能であってもよく、凝集物、顔料、またはポリマー鎖の界面に沈殿し得る。内部潤滑剤の非限定的な例のリストは、脂肪酸、長鎖脂肪酸のエステル、ポリエチレンワックス、およびホワイトオイルを含む。外部潤滑剤は、処理装置の壁に接触する材料の摩擦を減少させ、それら自身のうちの粒子の摩擦と工作機械上のポリマー溶融物の接着とを減少させる。外部潤滑剤は、プラスチックにおけるその非溶解特性によって、処理操作の間に表面に移動し、そこに凝集して潤滑剤として機能し、最終製品表面の平滑度と光沢とをさらに増加させ得る。外部潤滑剤の非限定的な例は、金属ステアレート、脂肪酸アミドエステル、シリコンオイル、パラフィンオイル、およびグリコールを含む。
使用される潤滑剤は、たとえば脂肪族カルボン酸塩、ならびにモノおよびジアミンなどの化合物の混合物であってもよい。所望の効果をもたらすための好ましい量は、複合体の、4.0重量%、3.0重量%、2.0重量%、1.0重量%、0.5重量%、または0.3重量%などの5.0重量%以下の潤滑剤を含み得る。好ましくは、潤滑剤は、複合体の0.01〜5.00重量%、好ましくは0.05〜3.00重量%添加され得る。
無機充填剤は、製品の剛性特性を増加する効果を有し得る。無機充填剤は、複合体の任意部分である。特に、使用は、用途および特性に依存する。有機天然繊維材料を含む複合体における無機充填剤の量は、0〜40重量%、好ましくは1〜20重量%であってもよい。無機充填剤は、滑石、雲母、カオリン、炭酸カルシウム、飛散灰、雲母、ガラス繊維、炭素繊維、二酸化チタン(TiO)を含み得る。少なくともいくつかの実施形態によれば、少なくとも50重量%の充填剤は、1以上の無機充填剤を含む。また、任意の好適なポリマー性繊維などの他の有機充填剤が使用されてもよい。有機天然繊維材料を含む複合体は、たとえば顔料を用いることによって着色されてもよい。実施形態に従う複合体の無機充填剤は、炭酸カリウム(CaCO)および/または滑石を含み得る。複合体は、1〜40重量%、好ましくは1〜20重量%の滑石および/または炭酸カリウムを含み得る。滑石、または炭酸カリウムなどの無機充填剤は、複合体の減衰特性を調節する効果を提供し得る。
一実施例において、炭素繊維およびガラス繊維は、添加剤として使用され、複合体の機械的特性を向上してもよい。複合体の耐摩耗性を向上するために、アラミド繊維が添加剤として使用されてもよい。複合体の耐水性を向上するために、グラファイト粉体が添加剤として使用されてもよい。複合体の表面を硬化するために、硫化モリブデン(MoS)が添加剤として使用されてもよい。
少量の、熱硬化性樹脂またはポリウレタンなどの他の残基が、熱可塑特性を犠牲にすることなく、ポリマー組成物中に存在してもよい。
変数
材料の音響特性は、多くの用途にとって重要である。音として判断することができる機械的振動は、縦波として伝達されてもよい。固体を通って、しかしながら、音は、縦波および横波の両方として伝達されてもよい。固体中の横音波は、伝播方向に対して直角にせん断応力を変化させる波である。固体材料において、媒体は、音波によって周期的に変位可能であり、したがって振動を生じる。音は、様々な材料における、周波数、波長、振幅、強度、および速度によって特徴付けられてもよい。
実施形態に従う有機天然繊維材料を含む複合体は、良好な音と高い音強度とを提供する。それは、高い弾性率と、かなり低い密度とを含む。材料の音響性能は、その密度ρ、弾性率E、および粘性減衰係数δによって影響を受ける。固体の密度は、単位体積あたりの質量として計算されてもよい。
Figure 2016521301
ここで、m=質量、V=体積、およびρ=密度である。体積を増加させる熱膨張または発泡は、通常、密度を減少させる。インピーダンスを含む材料の音響特性は、音波抵抗および音放射係数として知られており、音放射減衰としても知られている。音波抵抗Zと、音放射減衰θとは以下のように定義される。
Figure 2016521301
Figure 2016521301
一実施例として、音波抵抗Zと音放射減衰θとの量は、材料の、動的に測定された弾性率から決定される。 動的弾性率は、動的機械熱解析(DMTA)装置を用いる動的機械解析によって測定されてもよく、弾性率は、貯蔵弾性率E’として通常表わされる。他の実施例において、動的弾性率は、曲げ振動共振曲線法に基づく測定法を規定するISO6721−3に従って測定されてもよい。また、動的弾性率は、材料のモード解析から決定されてもよい。材料のモード解析法が好ましい。なぜなら、単一測定値における、特性周波数と、粘性減衰係数δとを決定することが可能であるからである。動的およびモード測定法は、材料の良好な音響特性を示す。このことは、たとえば、可聴音波の周波数および/または動的プロセスである周波数に近いか、または等しい測定周波数などが原因である。したがって、相対的および/または動的および/またはモード値は、音響特性を測定するために有利であってもよい。
モード解析を用いて正方形プレートの音響反応における異なる材料との差を測定するとき、以下の式を使用することができる。式は、均質で等方性の支持されていない正方形プレートのn次モードの周波数fと、機械的特性とを含む。
Figure 2016521301
ここで、Cはn次モード、tはプレート厚み、νはポアソン比、およびlはプレートの長さ(幅)によって決定される定数である。以下の解析および実施例において、全ての試料の(関連する)第1モードのみが解析された。このモードに関する最大変位は、プレートの中央におけるものである。変位振幅は、プレートの端部に向かって減少する。したがって、試料がその幾何学的中心において振動されるとき、第1モードは可能な限り励振される。量fが測定され、t、l、νおよびρは正確にまたはほぼ正確に知られている。第1モードの式は、以下に基づく。
Figure 2016521301
以下の解析および実施例において量の相対的比較が示されるので、上記の式の定数Cと全ての量の次元とから除かれることが妥当である。したがって、量Eに代えて、無次元の相対的動的弾性率Erelが得られる。
Figure 2016521301
動的弾性率が第1モードのモード解析によって決定されるとき、計算された量は、相対値Erel、Zrel、およびθrelとして表すことができる。
Figure 2016521301
Figure 2016521301
相対粘性減衰係数δrelは、以下のような第1モード共振周波数から得られる。
Figure 2016521301
ここで、f0dは、第1モード共振周波数(ピーク振幅P)であり、fおよびfは、
Figure 2016521301
の振幅を有する。
任意の音響用途において、特定の用途における選択された材料について、相対音波抵抗Zrel(またはZ)と、相対音放射減衰θrel(またはθ)と、相対粘性減衰係数δrel(またはδ)との適切な均衡がある。たとえば、機器のサウンドボードは、高い音放射減衰θを必要とする。一方、ラウドスピーカのエンクロージャは、エンクロージャ材料の、明らかに低いレベルの音放射減衰と、最適化されたレベルの音波抵抗および粘性減衰係数とを必要とし得る。
材料の相対音響品質係数Qrelは、以下のように表わされる。
Figure 2016521301
相対音波抵抗Zrelと相対音放射減衰θrelとの計算において、密度はkg/mの単位を有し、相対動的弾性率ErelはPaの単位、またはその無次元相当値を有する。相対音波抵抗Zrelは、10で割られ、計算のための値に変えられ、相対音波抵抗Zrelのこれらの値は本明細書および表に表される。ポアソン比νは、材料について、および熱可塑性ポリマーと有機天然系繊維とを含む任意の複合体について近似され、一定値0.3が計算に使用される。
表1は、特定の複合体における値の例を示す。マトリクス材料の例は、ポリプロピレンを含む。複合体における有機天然繊維材料の量は、第2列に示される。比較のために、測定は、有機天然繊維材料を含まないポリプロピレン、木質系板材、および合板についてもなされる。測定は、木質系板材と合板とを除いて、射出成形された試験試料からなされた。測定は、22℃、および45%の相対湿度(RH)において実施された。
表1は、密度および弾性率を用いて測定された具体的な弾性率値の例を示す。側定に使用される密度値の例は、ISO1183−1試験法に基づくものである。弾性率値の例は、ISO527−2試験法に従って測定される(50mm/分)。射出成形引張試験試料は、実施形態に従う複合体を使用した。上述の式を用いて、相対音波抵抗Zrel、相対音放射減衰θrelと、相対音響品質係数Qrelとの値を計算することが可能である。
Figure 2016521301
有機天然繊維材料を含む複合材料の比弾性率は、1000MPa/(g/cm)を超えてもよい。たとえば、有機天然繊維材料を含む複合材料の比弾性率は、2000MPa/(g/cm)または2300MPa/(g/cm)を超えてもよい。いくつかの用途において、有機天然繊維材料を含む複合体の比弾性率は、2500MPa/(g/cm)を超え、または3500MPa/(g/cm)を超え、有利には4500MPa/(g/cm)を超え、好ましくは5000MPa/(g/cm)を超え、または6000MPa(g/cm)を超えてもよい。一実施形態において、有機天然繊維材料を含む複合材料の比弾性率は、2000〜7000MPa/(g/cm)、好ましくは3000〜6000MPa/(g/cm)、より好ましくは4000〜5500MPa/(g/cm)であってもよい。
動的弾性率は、動的機械熱解析(DMTA)を用いるか、または曲げ振動共振曲線法に基づく測定法を規定するISO6721−3に従って動的機械的熱解析によって測定されてもよい。また、動的弾性率は、材料のモード解析から決定されてもよい。表1に示される値の例について、試験材料の射出成形プレートが準備された。正方形プレートの寸法は、約150mm×150mm、3.3mmの厚みであった。吊るされたプレートは、当該プレートの第1モード点、つまり当該プレートの中央において機械的に振動され、信号解析は第1モード周波数fの値と、相対粘性減衰係数δを得るために採用された。たとえば、ポリプロピレンマトリクスと20重量%の有機天然繊維とを含む材料について、第1モード周波数fおよび相対粘性減衰係数δは、それぞれ337.9Hzおよび0.024であった。値は、上述のモード解析と上述の式とによって測定された。ISO6721−3に従って測定された、実施形態に従う複合体の動的弾性率は、2000〜11000、好ましくは2800〜9000、より好ましくは3500〜7500、最も好ましくは4000〜7000であってもよい。一例において、ISO6721−3に従って測定されるとき、実施形態に従う複合体の動的弾性率は、6500である。
音波抵抗は、インピーダンスとも呼ばれ得る。音波抵抗が高い場合、たとえばラウドスピーカケーシングなどへのエネルギー透過率は、不十分であるかもしれない。このことは、エコーおよび定常波の形成をもたらす。音波抵抗が低ければ、ラウドスピーカケーシングに伝達されるエネルギーは、迅速に誘導され、短期間持続してもよい。このことは、特有の共振または周波数、および/または大きな音エネルギー損失をもたらし得る。音波抵抗は、用途によって最適化されなければならない。ラウドスピーカケーシングについて、音波抵抗は、音響品質を最適化するために高過ぎても、低過ぎてもならない。実施形態に従う複合体の相対音波抵抗は、1500〜5000、好ましくは1900〜4500、より好ましくは2500〜4000、最も好ましくは2800〜3200、たとえば3000などであってもよい。他の実施形態において、実施形態に従う複合体の相対音波抵抗は、1500〜5000、好ましくは2000〜4500、より好ましくは2300〜2700、たとえば2500などであってもよい。音波抵抗は、材料の密度および弾性率に関連する。
密度および弾性率は、音放射減衰に影響を与える。音放射減衰は、周囲に音エネルギーを放射する性能を示す。音放射減衰は、用途によって調節されてもよい。ラウドスピーカケーシングについて、音放射減衰は低くなければならないが、一方、楽器について、音放射減衰は高くなければならない。実施形態に従う複合体の相対音放射減衰は、1.5〜5.0、好ましくは2.0〜4.5、より好ましくは2.1〜3.5、最も好ましくは2.2〜2.8であってもよい。一実施形態において、実施形態に従う複合体の相対音放射減衰は、1.5〜5.0、好ましくは2.0〜4.5、より好ましくは3.0〜4.0、最も好ましくは3.2〜3.8であってもよい。たとえば、有機天然繊維材料を含む複合体であって、ギターボディーのために設計された複合体についての相対音放射減衰は、およそ3〜15であってもよい。
有機天然繊維材料を含む複合体についての音響特性と相対音響品質係数Qrelとは、ISO6721−3に従って測定されてもよい。有機天然繊維を含む複合体の音響特性および相対音響品質係数Qrelは、他の種類の動的機械解析によって測定されてもよい。有機天然繊維材料を含む複合体の相対音響品質係数は、5〜200、好ましくは8〜100、より好ましくは15〜50、最も好ましくは20〜45、たとえば30などであってもよい。一実施形態において、有機天然繊維材料を含む複合体についての相対音響品質係数は、5〜200、または好ましくは10〜150、またはより好ましくは25〜100、または最も好ましくは40〜80、たとえば60などであってもよい。
ポリマー材料と有機天然繊維材料とを含む複合体は、高い弾性率で低い密度を提供する効果を有する。密度および引張弾性率は、セルロース重量パーセントの関数として増加してもよい。なぜなら、引張弾性率(E)が密度(ρ)よりも速く増加し、比弾性率(E/ρ)も増加するからである。
損失係数は、内部摩擦による熱として振動の機械的エネルギーのいくらかの消失を表す。内部摩擦は振動の減衰に影響を与える。なぜなら、内部摩擦は、密度および弾性率とは無関係であるからである。
音エネルギーの低損失は、低粘性減衰に関連する。有機天然繊維材料を含む複合体は、粘性減衰の良好な値を提供してもよい。これらの特性は、音波抵抗と音放射減衰とに影響を与える。複合体の弾性率と損失弾性率とは、粘性減衰係数に影響を与える。複合体におけるエネルギー伝達とエネルギー吸収とは、調節されてもよい。材料の選択は、特定の振動周波数において、振幅、減衰およびモード形状に影響を与える。
弾性および密度は、比弾性率に影響を与え、剛性に関連する。弾性率値の例は、ポリプロピレンについて1.1〜2GPa、ポリスチレンについて3〜3.5GPa、中密度繊維板(MDF)について4GPa、マツ(繊維方向に沿って)について9GPa、アサ繊維について35GPa、アマ繊維について58GPa、アルミニウムについて69GPa、70重量%の繊維(単一方向性、繊維方向に沿って)を含むガラス補強プラスチックについて40〜45GPa、ガラス補強ポリエステルマトリクスについて17.2GPa、50重量%の繊維(2軸性)を含む炭素繊維補強プラスチックについて30〜50GPa、70重量%の繊維(単一方向性、繊維方向に沿って)を含む炭素繊維補強プラスチックについて181GPaである。
音が材料を通って移動する速度は、材料の密度によって割られ材料の弾性率の根として規定されてもよい。材料における縦波の速度は、横向きの振動周波数を特徴付けてもよい。材料の音波抵抗またはインピーダンスは、製品材料の音速とその密度と表す。音速は、したがって、弾性率と密度とに直接に関連する。
材料における音は、1以上の方向に伝播してもよい。等方性物質において、音速は、全ての方向において実質的に同一である。異方性材料において、音速は、方向によって左右される。たとえば、有機天然繊維材料を含む少なくともいくつかの複合体において、音速は、メルトフロー方向と、それに垂直な方向であって、交差方向と称する方向とに沿って異なってもよい。繊維の配向方向は、メルトフロー方向に対応する。交差方向における音速は、メルトフロー方向における音速の3分の1であってもよい。
一実施形態によれば、交差方向における音速は、メルトフロー方向における音速よりも10%、または20%、または30%小さくてもよい。有利には、交差方向における音速は、メルトフロー方向における音速よりも30%、または40%、または50%小さくてもよい。いくつかの実施形態において、交差方向における音速は、好ましくは、メルトフロー方向における音速よりも60%、または70%、または80%小さい。
メルトフロー方向における音速は、最大2000m/sであってもよく、2000m/s以上であってもよい。有機天然繊維材料を含む複合体の組成を選択することによって、音速が制御されてもよい。音速は、2000m/s以下、たとえば2000m/sと800m/sとの間、1800m/sと1000m/sとの間などであるように選択されてもよい。あるいは、音速は、2000m/s以上、たとえば2000m/sと3800m/sとの間、2000m/sと3000m/sとの間などであるように選択されてもよい。
たとえば、ラウドスピーカ材料に対する比弾性率は、4.0MPa/(g/cm)であってもよい。任意の動力学的方法を用いて測定された、ラウドスピーカ材料についての相対音波抵抗は、1500〜5000、好ましくは2000〜4500、より好ましくは2300〜2700であってもよい。ラウドスピーカ材料についての相対音放射減衰は、1.5〜5.0、好ましくは2.0〜4.5、より好ましくは3〜4であってもよい。モデル解析を用いて測定された、ラウドスピーカ材料についての相対音響品質係数は、5〜200、好ましくは10〜150、より好ましくは20〜80、最も好ましくは15〜80であってもよい。
楽器用共鳴板について、任意の動力学的方法を用いて測定された相対音放射減衰は、2.0を超え、好ましくは5.0未満、より好ましくは10.0未満であってもよい。共鳴板についての相対粘性減衰係数または損失係数は、0.500〜0.005、好ましくは0.20〜0.01、より好ましくは0.20〜0.02、たとえば0.025であってもよい。好適な実施形態によれば、相対粘性減衰係数は、0.20未満、好ましくは0.04未満、たとえば0.005であってもよい。
実施例1
50重量%の有機天然繊維材料と、適切に選択されたポリプロピレンマトリクスおよび添加剤とを含む複合材料が、149×149×3.3mmの寸法を有する板に射出成形された。該材料の密度は、1.11g/cmであった。上述のような板に関してモデル解析が行われ、測定された第1モード周波数fおよび相対粘性減衰係数δは、それぞれ435Hzおよび0.024であった。
相対音波抵抗Zrel、相対音放射減衰θrelおよび相対音響品質係数Qrelの値は、それぞれ3099、2.52および28であった。
実施例2
実施例1における複合材料が、密度が0.99g/cmに減少され、該材料の動的弾性率がわずかに増加されるように修正された。該材料は、149×149×3.3mmの寸法を有する板に射出成形された。上述のような板に関してモデル解析が行われ、測定された第1モード周波数fおよび相対粘性減衰係数δは、それぞれ475Hzおよび0.024であった。
相対音波抵抗Zrel、相対音放射減衰θrelおよび相対音響品質係数Qrelの値は、それぞれ3018、3.08および18であった。
実施例3
40%の天然繊維材料と、適切に選択されたポリプロピレンマトリクスおよび添加剤とを含む複合材料が、149×149×3.3mmの寸法を有する板に射出成形された。添加剤は、成形された材料の密度が0.92g/cmに減少される一方で、該材料の動的弾性率が密度の減少によって大きく変化しないように選択された。上述のような板に関してモデル解析が行われ、測定された第1モード周波数fおよび相対粘性減衰係数δは、それぞれ425Hzおよび0.024であった。
相対音波抵抗Zrel、相対音放射減衰θrelおよび相対音響品質係数Qrelの値は、それぞれ2509、2.96および16であった。
実施例4
30%の天然繊維材料と、適切に選択されたポリプロピレンマトリクスおよび添加剤とを含む複合材料が、149×149×3.3mmの寸法を有する板に射出成形された。添加剤は、成形された材料の密度が0.855g/cmに減少され、該材料の動的弾性率は高いままであるように選択された。上述のような板に関してモデル解析が行われ、測定された第1モード周波数fおよび相対粘性減衰係数δは、それぞれ465Hzおよび0.030であった。
相対音波抵抗Zrel、相対音放射減衰θrelおよび相対音響品質係数Qrelの値は、それぞれ2552、3.49および19であった。
実施例5
20%の天然繊維材料と、適切に選択されたポリプロピレンマトリクスおよび添加剤とを含む複合材料が、149×149×3.3mmの寸法を有する板に射出成形された。成形された材料の密度は0.99g/cmであった。上述のような板に関してモデル解析が行われ、測定された第1モード周波数fおよび相対粘性減衰係数δは、それぞれ315Hzおよび0.025であった。
相対音波抵抗Zrel、相対音放射減衰θrelおよび相対音響品質係数Qrelの値は、それぞれ2001、2.04および30であった。
実施例6
60%の天然繊維材料と、適切に選択されたポリプロピレンマトリクスおよび添加剤とを含む複合材料が、149×149×3.3mmの寸法を有する板に射出成形された。該材料の密度は1.19g/cmであった。上述のような板に関してモデル解析が行われ、測定された第1モード周波数fおよび相対粘性減衰係数δは、それぞれ462Hzおよび0.020であった。
相対音波抵抗Zrel、相対音放射減衰θrelおよび相対音響品質係数Qrelの値は、それぞれ3528、2.49および23であった。
実施例7
15%の天然繊維材料と、適切に選択されたポリプロピレンマトリクスおよび添加剤とを含む複合材料が、149×149×3.3mmの寸法を有する板に射出成形された。該材料の密度は0.98g/cmであった。上述のような板に関してモデル解析が行われ、測定された第1モード周波数fおよび相対粘性減衰係数δは、それぞれ230Hzおよび0.010であった。
相対音波抵抗Zrel、相対音放射減衰θrelおよび相対音響品質係数Qrelの値は、それぞれ1447、1.51および6であった。
実施例8
30%の天然繊維材料と、向上された剛性および減衰を提供する、適切に選択されたポリプロピレンマトリクスおよび添加剤とを含む複合材料が、149×149×3.3mmの寸法を有する板に射出成形された。該材料の密度は0.95g/cmであった。上述のような板に関してモデル解析が行われ、測定された第1モード周波数fおよび相対粘性減衰係数δは、それぞれ740Hzおよび0.050であった。
相対音波抵抗Zrel、相対音放射減衰θrelおよび相対音響品質係数Qrelの値は、それぞれ4512、5.00および45であった。
実施例9
60%の天然繊維材料と、10%の無機フィラーと、適切に選択されたポリプロピレンマトリクスおよび添加剤とを含む複合材料が、149×149×3.3mmの寸法を有する板に射出成形された。該材料の密度は1.30g/cmであった。上述のような板に関してモデル解析が行われ、測定された第1モード周波数fおよび相対粘性減衰係数δは、それぞれ530Hzおよび0.032であった。
相対音波抵抗Zrel、相対音放射減衰θrelおよび相対音響品質係数Qrelの値は、それぞれ4422、2.62および66であった。
実施例10
30%の天然繊維材料と、10%の無機フィラーと、適切に選択されたポリプロピレンマトリクスおよび添加剤とを含む複合材料が、149×149×3.3mmの寸法を有する板に射出成形された。該材料の密度は1.40g/cmであった。上述のような板に関してモデル解析が行われ、測定された第1モード周波数fおよび相対粘性減衰係数δは、それぞれ500Hzおよび0.015であった。
相対音波抵抗Zrel、相対音放射減衰θrelおよび相対音響品質係数Qrelの値は、それぞれ4492、2.29および19であった。
特性
複合製品の機械的特性は、多くの側面に依存する。たとえば、材料の選択、複合体中のその比およびその相互作用である。
複合体のマトリクス材料は、適用および/または最終用途に従って選択される。選択されたマトリクス材料は、使用される製造方法にも適している。当然ながら、材料および可能性のある添加剤の相互作用は、複合体、最終製品およびその特性に影響を与える。マトリクス材料特性は、加工中変化する。たとえば、マトリクス材料の結晶化は、有機天然繊維材料の存在によって変化し得る。マトリクス材料および有機天然繊維材料を含む組成は、元のマトリクス材料とは異なる特性を有してもよい。以下に、ポリマーを選択するために用いられ、その使用および加工に影響を与えるポリマーのいくつかの特性が記載される。
ポリエチレンの少なくともいくつかは、軽量、安価、硬質かつ剛性のあるポリマーである。ポリエチレンは、その接着よび/または粘着を向上させるための添加剤とともに用いられてもよい。ポリエチレンホモポリマーは軽量、硬質かつ剛性があるが、低温(0℃以下)に少しも耐えられない。ポリプロピレンは、剛性および相対的に低い密度を有し、多くの適用に対して有利であり得る。ポリプロピレン共重合体は、低温、たとえば−25℃からまたは−20℃からの低温においてもその特性を維持する。ポリエステルは、耐候性および剛性を有し、剛性は添加剤によってさらに向上させることができる。ポリアセタール(POM)およびポリアミド(PA)は、鋼に対する低摩擦を有する。ポリアセタールは、異なる状況においてその寸法を十分に保持し、可撓性および粘性を有する。ポリアミドは剛性を有し、繊維状構造を有する。ポリイミドは、高温に耐える。たとえば、形状が変化しないように形状が安定化されてもよいが、ポリイミドを用いることによって高温(200℃以上)であっても耐える。ポリカーボネートは、耐久性、特に耐衝撃性がある。ポリスチレンは、剛性があり透明であり(光り輝き)、良好な耐熱性および、たとえばポリオレフィンと比べて良好な塗装性を有する。ポリ乳酸は、剛性および生分解性を有し、有機天然繊維材料と十分に適合する。ポリ乳酸およびポリエチレンは、有機天然繊維材料の処理温度範囲に適合する適切な処理温度を有する。
ポリマーに加えて、複合体は、有機天然繊維材料を含む。複合体の繊維含有量は、5〜75重量%、好ましくは20〜70重量%、より好ましくは30〜60重量%、最も好ましくは40〜50重量%であってもよい。複合体の繊維含有量は、5〜75重量%、より好ましくは10〜40重量%、最も好ましくは20〜30重量%であってもよい。繊維の種類、繊維特性、繊維含有量、繊維長、分散、ならびに繊維およびマトリクス間の接着は、製品の機械的特性に影響を与え得る。複合製品の剛性は、有機天然繊維材料がマトリクス材料に添加されるとき、増加し得る。有機天然繊維は、複合体の剛性および/強度を増加させる効果を有してもよい。軽量、最適化された剛性および最適化された音響減衰が、実施形態に従う複合材料によって達成されてもよい。さらに、製造フェーズにおいて、向上された流量特性がしばしば特に薄い製品に対して望まれる。有機天然繊維材料の重量百分率は、有機天然繊維材料の重量百分率の増加が増加した剛性をもたらすように剛性に影響を与え得る。複合体における有機天然繊維材料の相対的に小さい重量百分率は、剛性、および/または等価剛性における所望の減衰の所望の変化を提供し得る。あるいは、または加えて、有機天然繊維の形状比は、剛性に影響を与え得る。多くの適用において、有機天然繊維の高い形状比が望まれる。
有利には、繊維は、繊維厚みに対する繊維長さの比に関する形状比が少なくとも5、好ましくは10、より好ましくは25、最も好ましくは40である。加えて、またはあるいは、繊維は、繊維厚みに対する繊維長さの比に関する形状比が好ましくは最大1500、より好ましくは最大1000、最も好ましくは最大500である。高い形状比は、少なくとも部分的に、同じ有機天然繊維材料含有量に対してより高い剛性および衝撃強度で部品を強化する効果を有する。あるいは、または加えて、ガラス繊維または炭素繊維のようなより長い繊維が、複合体の剛性をもたらすために用いられてもよい。これは、係数、たとえば弾性係数によって記載されてもよく、これは材料の剛性の大きさであり、材料を特徴付けるために用いられる。
繊維材料は、クラフトプロセスに由来する有機天然繊維材料などの、化学的に処理された有機天然繊維材料を含んでもよい。クラフトプロセスは、有機天然材料のリグニン含有量を減少させる。リグニンは、繊維間の接着材料として機能し得るけれども、同時に、周囲から繊維を分離し、複合体製造中、繊維成分の沈殿を妨げることができる。有利には、繊維材料中のリグニンの含有量は、化学プロセスによって、15重量%未満、好ましくは、5重量%未満、より好ましくは1重量%未満、最も好ましくは0.5重量%未満まで減少されてもよい。有機天然繊維材料は、低リグニン含有量であってもよく、偏平なおよび/または配向した繊維を有する複合体構造のために用いられてもよい。
少なくともいくつか/すべての実施形態において、有機天然繊維材料を含む複合体は、複合体およびその構造ならびに/または適用の密度の有意な増加なく、構造および/または適用に曲げ剛性および剛性を提供するという効果を有してもよい。実施形態に従う複合体は、軽量の剛性のある複合体または部品を提供するという効果を有してもよい。比較して、剛性を提供するために、澱粉またはガラス繊維などの添加剤を含む、いくつかの先行技術のマトリクス材料はまた、添加剤の量と類似して増加する密度を有する。実施形態に従う複合体は、所望の音響特性を様々な適用、たとえばラウドスピーカケーシングおよび/またはその他の部分、音響パネル、楽器、車に提供するという効果を有してもよい。
所望の特性は、様々な用途のために、元の材料とその特性とを調整することによって達成されてもよい。たとえば、吸湿が調整されてもよい。一実施形態において、複合製品は、60〜80重量%の有機天然繊維材料を含み、乾燥複合製品は、30時間(相対湿度50%、気温22℃)に複合材料の重量の1.9%未満の水分を吸収する。複合製品が60〜80重量%の有機天然繊維材料を含むとき、乾燥複合製品は、30時間(相対湿度50%、気温22℃)に複合材料の重量の1.9%未満、好ましくは1.5%未満、より好ましくは1.0%未満の水分を吸収する。
他の実施形態において、複合材料は、40〜60重量%の有機天然繊維材料を含み、乾燥複合材料は、30時間(相対湿度50%、気温22℃)に複合材料の重量の1.5%未満の水分を吸収する。複合材料が40〜60重量%の有機天然繊維材料を含むとき、乾燥複合製品は、30時間(相対湿度50%、気温22℃)に複合材料の重量の1.5%未満、好ましくは1.0%未満、より好ましくは0.8%未満の水分を吸収する。
さらに他の実施形態において、複合製品は、20〜40重量%の有機天然繊維材料を含み、乾燥複合製品は、30時間(相対湿度50%、気温22℃)に複合材料の重量の1.3%未満の水分を吸収する。複合製品が20〜40重量%の有機天然繊維材料を含むとき、乾燥複合製品は、30時間(相対湿度50%、気温22℃)に複合材料の重量の1.3%未満、好ましくは0.8%未満、より好ましくは0.5%未満の水分を吸収する。
さらに他の実施形態において、複合製品は、10〜20重量%の有機天然繊維材料を含み、乾燥複合製品は、30時間(相対湿度50%、気温22℃)に複合材料の重量の1.2%未満の水分を吸収する。複合製品が10〜20重量%の有機天然繊維材料を含むとき、乾燥複合製品は、30時間(相対湿度50%、気温22℃)に複合材料の重量の1.1%未満、好ましくは0.7%未満、より好ましくは0.4%未満の水分を吸収する。
一実施形態において、大気からの吸湿は、乾燥複合製品から測定することができる。測定前に、複合製品が乾燥される。複合製品は、測定前に120℃の温度で48時間乾燥すべきである。多くの場合、乾燥温度は、ポリマーのガラス転移温度または溶融温度よりも少なくとも10℃低いべきである。乾燥温度が110℃未満である場合、乾燥温度は、できるだけ高くなければならず、乾燥は、好ましくは、真空オーブン(好ましくは0.01mbarの真空準位)において、48時間の乾燥時間で達成される。吸湿測定のために、少なくとも10グラムの製品がプレート上に載置される。プレート上にはただ1つの粒状層が存在すべきである。次いで、吸湿が、乾燥製品の重量と比較した重量増加として測定される。乾燥複合製品の重量が10.0gから10.1gに増加した場合、その結果は1.0%である。測定は、温度22℃、空気中における相対湿度50%の条件で達成される。異なる測定時間が用いられてもよい。
熱膨張
熱膨張は、材料に固有の特徴である。各材料は固有の熱膨張係数を有し、材料の寸法が温度の関数としてどれくらい変化し得るかを決定する。熱膨張係数は、複合体の異方特性であってもよい。複合体は、メルトフロー方向およびメルトフロー方向に垂直な方向、いわゆる交差方向に対して異なる特性を有してもよい。繊維は、複合体の少なくとも表面領域上で、メルトフロー方向に配向されてもよい。熱膨張係数は、メルトフロー方向よりも交差方向においてより大きくてもよい。メルトフロー方向に対する熱膨張係数は、交差方向に対する熱膨張係数よりも少なくとも10%、または少なくとも20%、または少なくとも30%小さくてもよい。熱膨張係数は、複合体のマトリクス材料に依存してもよい。メルトフロー方向に対する熱膨張係数は、交差方向に対する熱膨張係数よりも1〜50%、または1〜40%、または1〜30%、または1〜20%、または1〜10%小さくてもよい。一実施形態において、メルトフロー方向に対する熱膨張係数は、交差方向に対する熱膨張係数に対応する。一例において、メルトフロー方向における熱膨張係数と交差方向における熱膨張係数とは同じである。
熱膨張係数の示された関係は、百分率値であり、重量百分率ではない。複合体の熱膨張係数は、明確に述べられていない場合、メルトフロー方向のものである。
一般的に、木の熱膨張は、金属の熱膨張よりも小さくてもよい。たとえば、熱膨張係数は、木の材料に依存するが、木について3〜6×10−6/℃であり、アルミニウムについて23×10−6/℃であり、銀について19×10−6/℃であり、鉄について12×10−6/℃であってもよい。一般的に、プラスチックの熱膨張は、金属の熱膨張よりも大きくてもよい。たとえば、熱膨張係数は、ポリスチレンについて70×10−6/℃であり、ポリプロピレンについて100〜200×10−6/℃であり、ポリエチレンについて200×10−6/℃であり、ポリエステルについて124×10−6/℃であり、ポリアミドについて110×10−6/℃であり、ABSについて74×10−6/℃であり、ポリカーボネートについて70×10−6/℃であってもよい。複合体のマトリクス材料と有機天然繊維材料との比率を選択することによって、特定の熱膨張係数を有する複合体が設計可能である。
マトリクス材料と有機天然繊維材料とを含む複合体の熱膨張係数は、マトリクス材料を含むが有機天然繊維材料を含まない複合体の熱膨張係数よりも小さくてもよい。マトリクス材料と有機天然繊維材料とを含む複合体は、マトリクス材料を含むが有機天然繊維材料を含まない複合体の熱膨張係数よりも20%未満、または40%未満、または60%未満小さい熱膨張係数を有してもよい。マトリクス材料と有機天然繊維材料とを含む複合体の熱膨張係数は、有機天然繊維材料を含まないマトリクス材料の熱膨張係数の40〜80%、または50〜80%、または60〜80%であってもよい。ポリプロピレンマトリクス材料と有機天然繊維材料とを含む複合体の熱膨張係数は、有機天然繊維材料を含まないポリプロピレンマトリクス材料の熱膨張係数の40〜80%、または50〜80%、または60〜80%であってもよい。
一般的に、マトリクス材料と有機天然繊維材料とを含む複合体は、該マトリクス材料と比較して低い熱膨張係数を有する。一例によれば、プラスチックマトリクスについての熱膨張係数は、100〜200×10−6/℃であり、40重量%の有機天然繊維材料を含むプラスチックマトリクスは、90〜120×10−6/℃の熱膨張係数を有していてもよく、50重量%の有機天然繊維材料を含むプラスチックマトリクスは、60〜90×10−6/℃の熱膨張係数を有する。
一例において、線熱膨張係数は、ISO11359−1/2(ppm/K)に従って、縦および横方向に測定される。ポリプロピレンマトリクスと40重量%の有機天然繊維材料とを含む複合体は、118ppm/Kの横方向線熱膨張係数と、51ppm/Kの流れ(縦)方向線熱膨張係数とを有する。ポリプロピレンマトリクスと50重量%の有機天然繊維材料とを含む複合体は、79ppm/Kの横方向線熱膨張係数と、76ppm/Kの流れ方向線熱膨張係数とを有する。後者の複合体に対して、その値はほぼ対称な特性の熱膨張を示す。これは、特定の用途に対して望ましい。
熱膨張係数は、他の材料に等しい、または他の材料に近い、または他の材料に適合する値を有するように選択されてもよい。このような材料は、たとえば金属または他の複合体であり得る。有利には、これは、製品において異なる材料の各熱膨張係数を適合させるように用いられてもよい。これは、製品の音響特性に影響を与え得る。その組成物のためのマトリクス材料および有機天然繊維材料は、複合材料に対する所望の密度および熱膨張を得るように選択されてもよい。また、複合体の製造パラメータは、方向に依存するが、複合体の熱膨張特性に影響を与える。有機天然繊維の配向は、異方性変数に影響を与える。たとえば、40重量%の有機天然繊維材料を含む複合体構造における熱膨張は、50重量%の有機天然繊維材料を含む複合体構造よりも大きな熱膨張を有してもよい。したがって、50重量%の有機天然繊維材料を含む複合体構造の寸法安定性は、より少ない有機天然繊維材料を含む複合体構造と比較して改善され得る。組成物の同様の選択が、本願において以下で詳細に議論されるが、複合体における異方性の音速を制御するためにさらに使用されてもよい。
たとえば、複合体は、製品における金属に取付けられ、または固定されてもよい。金属部分は、所定の周知の熱膨張係数を有し、これは金属部分が外部温度の変化にどのように反応するかを示す。金属部分に接続しているまたは取り付けれる製品部分の熱膨張特性を、当該金属の熱膨張と適合させることが有利である。熱膨張の同様の特性は、変化している温度においてさえ、製品の接続、取付け、特性および/または品質を維持することができる。たとえば、金属からなる車のドアは所定の熱膨張係数を有し、たとえば−50℃〜+50℃の大きく変化する外気温に曝されてもよい。車のドアの内張りは、実施形態に従う複合体を含んでもよい。車のドアは、外側部分と内側部分との間で断熱されているけれども、金属ドアは熱を伝える。外気温および対流熱は、接続している内部部品および/または内側に連なる部品に影響を与える。組成、マトリクス材料、有機天然繊維材料、可能性のある添加材料、製造パラメータおよび/または繊維配向を選択して、他の部品の一部に取付けられるまたは隣接して配設されるべき複合体の熱膨張係数が金属部分の熱膨張係数に対応することが有利である。
一例において、ギターは、マトリクス材料と有機天然繊維材料とを含む複合体から少なくとも部分的になっていてもよい。ギターの弦は、スチールまたはナイロンからなっていてもよい。弦の振動は、音を生成する。音は、振動をギターボディーにギターのブリッジを介して導くことによって増幅される。ギターの大きなボディー部分は、音を増幅する。ギターボディーは、マトリクス材料と有機天然繊維材料と含む複合体を含んでもよく、ここで、複合体の熱膨張係数は、金属弦の熱膨張係数に近づけてもよい。有機天然繊維材料を含む複合体は、温度変化に曝されたとき、たとえば木などの伝統的な楽器材料よりもより安定した特性を有してもよい。温度による最小の寸法変化は、演奏性を維持する、および/または変化する外部条件での調律を回避する効果を有することができる。実施形態に従う複合体のギターボディーの熱挙動は、ギターの音程調律の必要性を低減させ得る、および/または弦の寿命を増加させ得る。温度の変化に加えて、複合体は、湿度などの他の外部変化に対する耐性を有する。外部変化に対する耐性、すなわち変化する外部条件での特性の維持は、楽器にとって有利である。上記の例は、他の弦楽器にも準用する。
製造
様々な工業用途において、音響材料は、表面の形状に適合し、または特定の形状を維持することが望ましい。熱成形は、成形された音響材料の製造に容易性および速度を提供する。材料の形状は、材料の吸音および剛性に影響を与え得る。
少なくともいくつかの実施形態によれば、マトリクス材料は、熱可塑性ポリマー系マトリクス材料および/または熱可塑性オリゴマー系マトリクス材料を含む。ポリマー系マトリクス材料は、1または複数のポリマーを含有し、オリゴマー系マトリクス材料は、1または複数のオリゴマーを含有する。マトリクス材料の全量から計算されるポリマーおよび/またはオリゴマーの全量は、好ましくは、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%または少なくとも98重量%である。少量の、ポリウレタンなどの熱硬化性樹脂または他の残留物が、熱可塑性特性を犠牲にすることなく、ポリマー組成物に存在してもよい。熱可塑性ポリマーは、一般的に構造が非晶質または半結晶のいずれかであってもよい長鎖ポリマーである。
図4は、本発明の実施形態に従う製造方法を示す。マトリクス材料が加熱される(401)。熱可塑性複合体が製造されるとき、マトリクス材料、たとえばポリマーが加熱されて、ポリマーの溶融形態を達成する。熱可塑性ポリマーは、しばしば低温で固化され、高温で溶融するビスコースポリマーを形成する。典型的には、これらのポリマーの粘性は、温度が上昇するとき低下し、ポリマーはより容易に表面を流れ濡らす。
マトリクス材料は、
− 有機天然材料がマトリクス材料に付着可能であるとき、および/または
− 該材料のメルトフローインデックスが(規格ISO1133(2011年に有効)に従って)測定可能であるとき、および/または
− 有機天然繊維材料がマトリクス材料粒子に付着可能であるとき、
少なくとも部分的に溶融形態にある。
有利には、マトリクス材料のメルトフローレートMFRは、1000g/10分(2011年有効のISO1133によって規定される230℃、2.16kg)未満、より好ましくは0.1〜200g/10分、最も好ましくは0.3〜150g/10分である。有利には、マトリクス材料のメルトフローレートMFRは、0.1g/10分(2011年有効のISO1133によって規定される230℃、2.16kg)以上、より好ましくは1g/10分以上、最も好ましくは3g/10分以上である。
一例の測定において、ポリプロピレンと40重量%の有機天然繊維材料とを含む複合体に対するメルトフローレート(ISO1133)は、8.1g/10分であった。他の例の測定において、ポリプロピレンと50重量%の有機天然繊維材料とを含む複合体に対するメルトフローレート(ISO1133)は、3.4g/10分/190℃、10kgであった。
少なくともいくつかの実施形態において、マトリクス材料の融点は、250℃未満、好ましくは220℃未満、より好ましくは190℃未満である。有利には、マトリクス材料のガラス転移温度は、250℃未満、好ましくは210℃未満、より好ましくは170℃未満である。
有機天然繊維材料などの複合体の他の成分は、ポリマー溶融物と混合される(402)。任意に、カップリング剤および/または潤滑剤などの添加剤が、有機天然繊維材料が添加される後または前に溶融物に添加され混合されてもよい。ポリマーの粘性が低いとき、これはポリマーの温度が高いことを意味するが、しばしば、他の成分をポリマーに混合するのに都合がよい。
ポリマーマトリクスと有機天然繊維材料とを含む組成物は、カップリング剤がそのプロセスに加えられるとき、230℃〜140℃の間、有利には220℃〜180℃の間の温度を有してもよい。該成分を混合した後、カップリング剤と有機天然繊維材料との間の共有結合が開始してもよい。少なくともいくつかの実施形態において、混合物の温度は、維持され、または少なくとも180℃、好ましくは少なくとも185℃、より好ましくは少なくとも145℃まで下げられ、共有結合を開始し維持する。共有結合に加えて、この製造段階は、混合物から水分量を低減する効果を有してもよい。
ポリマーマトリクスと有機天然繊維材料とカップリング剤とを含む混合物は、混合物が少なくとも180℃、好ましくは少なくとも185℃の温度に到達するまで加熱して、混合物から水分量を低減しカップリング剤と有機天然繊維材料との間の結合を達成してもよい。前記温度において、前記結合は共有結合の形態をとる。混合物の温度は、有利には少なくとも200℃など、さらにより高くてもよく、この場合、反応がさらにより迅速にかつ効率的に生じる。プロセス温度がさらに上昇する場合、有機天然繊維材料は、その構造を失い始め、分解し得る。該プロセスにおいて230℃未満の材料温度が好ましい。無水マレイン酸グラフト化ポリマーなどのカップリング剤が活性化するとき、反応し始める。さらに水分を低減するために、任意の蒸発器またはドライヤが用いられてもよい。
与えられた熱および/または圧力のために、ポリマーマトリクスおよびカップリング剤は、流動形態であってもよく、カップリング剤は、少なくとも2種類の化学的結合、すなわち極性繊維および非極性ポリマー間の共有結合、または水分子との水素結合などの水素結合を形成してもよい。極性繊維および非極性ポリマー間の共有結合を達成するために、上述したような十分に高い温度が使用されるべきである。ポリマーマトリクス、有機天然繊維材料、カップリング剤および温度の選択は、有機天然繊維材料およびカップリング剤間の結合の種類に影響を与え得る。水素結合の結合エネルギー準位は、約5〜30kJ/molの範囲にあり、一方、共有結合は、約70〜700kJ/molの準位を有する。したがって、有機天然繊維材料およびカップリング剤間の共有結合による複合体の安定性は、水素結合によるものよりも高い。言い換えれば、有機天然繊維材料およびカップリング剤間に一旦生じた共有結合は安定し、不純物、またはマトリクス材料と有機天然繊維材料とを含む複合体の製造で後で生じ得る競合分子によって容易には妨げられない。水素結合は水分の影響を受けやすいので、高温は、混合物の水分を低減する効果を有する、および/または溶融物から水分子を蒸発させることを可能にする。水分子は、繊維およびカップリング剤間の水素結合を切断し、これは複合体構造の機械的強度を減少させる。これは、表面の水分子でも生じてもよいが、水素結合の崩壊を生じ得る。溶融および混合中のエネルギー入力は、繊維表面から水分を除去可能にするのに十分に高いべきである。
潤滑剤は、有機天然繊維材料と、任意にカップリング剤とを含むポリマー複合体の溶融物に混合されてもよい(401)。たとえば、マレイン酸無水物は、カップリング剤として使用されてもよい。マレイン酸無水物と有機天然繊維材料との間のカップリングは、金属イオン、または溶融物における異なる顔料などの他の混入物によって妨げられ得る。有機天然繊維材料を含むポリマー複合体の製造において相性の良い潤滑剤は、有利には金属イオンを含まず、該金属イオンはカップリング剤との望ましくない反応を生じ得る。好ましい潤滑剤の例は、複合体の混合物、修飾された脂肪酸エステル、および脂肪酸アミドである。潤滑剤は、内部(分子/分子)、および/または外部(ポリマー/金属)相互作用を減少することによって溶融物のレオロジーを向上する効果を有し得る。高いせん断速度を用いる押出のために、潤滑剤は、押出された表面における欠陥を回避し、および/またはメルトフラクチャーを妨げる効果を有し得る。潤滑剤を有する押出による形成は、簡単かつ効率的な製造法を提供し、および/または材料流を変化させる処理パラメータを持続的に調整することを可能にする効果を有し得る。
加えてまたはあるいは、他の添加剤および/または充填剤が、混合工程402においてマトリクス材料と有機天然繊維材料とを含む複合体に添加されてもよい。一実施形態によれば、潤滑剤は、ポリマーマトリクス材料に組み合わせられる。その後、有機天然繊維材料は、混合工程402における混合物に添加される。ポリマーマトリクスへの潤滑剤の添加は、有機天然繊維材料が潤滑剤と同時にポリマーマトリクスに添加され、有機天然繊維材料とポリマーマトリクスとの間の結合を妨げる効果を有し得る状況に比べて、後に添加される有機天然繊維材料がポリマーマトリクスに良好に結合することを可能にする効果を有し得る。有機天然繊維材料をポリマーマトリクスに添加する前における、ポリマーマトリクスへの潤滑剤の添加および/または混合は、複合体の減衰特性に影響を与え得る。
溶融複合体混合物は、たとえば鋳型またはダイなどを用いて成形される(403)。溶融複合体は、鋳型に流され、メルトフロー方向に伝播するように配置されてもよい。複合体混合物は、溶融形態における低い粘性によって、均一に鋳型を満たすように配置される。また、溶融複合体は、その形状に適合する成形ノズルまたはダイから生じてもよい。メルトフロー方向は、ノズル、または鋳型から空隙の他の端部に向かう。押出または射出成形などの異なる種類の技術が利用されてもよい。成形または押出複合体は、たとえば、温度低下などによって凝固するように構成される(404)。成形温度は、たとえば60〜80℃であってもよい。30〜50℃のような異なる成形温度は、たとえばPLAに利用されてもよく、または期間もしくは表面品質などの他の因子および対象に依存する。
製造の間において、複合体の有機天然繊維は、メルトフロー方向に沿って配向されるように構成される。管状の有機天然繊維は、メルトフロー方向に沿った配向を有してもよい。繊維は、形成された複合体の表面に縦に沿って配向される。少なくとも複合体の表面領域において、有機天然繊維は、メルトフロー方向に沿って配向される。好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、最も好ましくは少なくとも90重量%の管状有機天然繊維は、メルトフロー方向に沿った配向を有する。一実施形態によれば、20重量%未満、好ましくは15重量%未満、より好ましくは10重量%未満の有機天然繊維は、45°未満、好ましくは40°未満、より好ましくは35°未満、最も好ましくは30°未満、メルトフロー方向からはずれる。繊維配向は、少なくとも複合体の表面領域で生じてもよい。表面領域は、複合体の厚みの10〜45%を含んでもよい。たとえば10〜20ミリメートル、または3〜5mmの厚みのオーダの少なくとも厚い複合体部分では、有機天然繊維の配向は、複合体の表面領域上のみで良好に生じ得る。有機天然繊維の配向は、所望の音響特性を達成するために制御されてもよい。特に方向依存的な音響特性は、複合体の有機天然繊維の配向を制御することによって達成されてもよい。たとえば、押出または射出速度は、有機天然繊維成分の配向ならびに/または温度および複合体の冷却速度に影響を与える。有機天然繊維の配向は、複合体の機械的特性に影響を与え得る。たとえば、剛性は、配向方向(メルトフロー)において、それに垂直な方向におけるよりも高い。有機天然繊維の配向は、複合体における音速、音放射減衰、音伝達特性、熱膨張特性、複合体の収縮、音響品質係数、弾性率、および/または音波抵抗に影響を与え得る。
好適な熱可塑性ポリマーは、十分な熱可塑特性を保持しており、有機天然繊維材料と可能な添加剤とを溶融混合することを可能にし、使用される製造方法によって、形成された複合体を成形物品に効率的に形成することを可能にする。製造は、多くの方法、押出、射出成形、圧縮成形、熱成形、発泡などの方法例によって実施することが可能である。
押出プロセスにおいて、複合体は、溶融され、ダイを押し通される。ダイの断面は、用途に従って選択されてもよく、複雑な断面も可能である。射出成形において、材料は、鋳型に注入される。典型的には、加熱された材料は、高圧によって鋳型キャビティに混合かつ注入され、冷却および硬化/凝固して、鋳型の形状に適合させる。射出成形の多用途性は、たとえば部品の使用される材料、形状および特性を考慮することによって促進される。圧縮成形において、材料は、開口した加熱された鋳型キャビティ内に置かれる。鋳型が閉じられ、圧力が印加され、成形材料を全ての鋳型領域に接触させる。熱および圧力は、成形材料が凝固するまで維持される。圧縮成形は、典型的には、成形された複合体、高強度材料補強材に適した高容量高圧法である。圧縮成形は、大規模の部品製造において好ましい。射出成形は、より大量の製造量のために利用される。
複合体または部品は、製造の間に望ましくない寸法変化を受け得る。射出成形の間に、複合体または部品は、収縮してもよい。射出成形の間の収縮は、成形された複合体または部品の寸法の正確性に影響を与え得る。成形された複合体または部品は、寸法の不正確性が原因で、ひけを特に厚い壁に含み得る。有機天然繊維材料を含む複合体は、半結晶性マトリクス材料に比べてより少ない収縮を受ける。有機天然繊維材料を含む複合体は、対応する重量百分率のガラス繊維および/または鉱物添加物を含むマトリクスよりも少ない収縮を受ける。有機天然繊維材料の体積百分率は、対応する重量百分率のガラスまたは鉱物添加物のものよりも大きい。有機天然繊維材料を含む複合体は、対応する重量百分率のガラス繊維および/または鉱物添加物を含むマトリクスに比べて、射出成形の間により良好な寸法正確性をもたらす効果を有してもよい。有機天然繊維材料を含む複合体は、顕著なひけなしに射出成形によって厚い壁を形成することを可能にする効果を有し得る。
発泡または発泡射出成形は、発泡法と組み合わされた射出成形を含む。発泡剤は、マトリクス材料、有機天然繊維材料および可能性のある添加剤を含む加熱溶融された複合体に添加される。単一相の溶融された複合体は、鋳型キャビティに注入される。発泡剤の寸法は、発泡射出プロセスの間に変化し得る。たとえば、気泡が拡大、結合などされてもよい。発泡は、成形された複合体が鋳型に注入された(403)後、複合体の凝固前に、少なくとも大部分が鋳型内において生じるように構成される。多孔質構造を有する複合体は、発泡によって製造されてもよい。多孔質構造は、エアバブル、ガスバブル、中空のガラスボール、空気充填プラスチックカプセル、または他の好適な成分を含んでもよい。
図5aおよび図5bは、発泡前(5a)および発泡後(5b)の一実施形態に従う複合体を示す。図5aにおいて、たとえば有機天然繊維材料、任意に添加剤および/または充填剤、ならびに0.5〜3重量%の化学的発泡剤などを含むポリプロピレンマトリクスは、鋳型に注入される。加圧シリンダの温度は、200〜230℃であってもよい。有利には、鋳型キャビティにおける内部温度は、100℃未満、たとえば90℃に保持される。鋳型キャビティの内壁に接触するとき、複合体は、鋳型壁に隣接するその表面501上で凝固し始める。複合体502の中央領域は、図5aにおいて溶融状態のままである。複合体が鋳型キャビティに注入された後および/または間に、発泡が可能である。発泡剤のいくつかのまたは少数の部分は、鋳型に注入される前に活性化されてもよい。発泡剤の活性化は、複合体が鋳型に注入された後に制御されてもよい。発泡剤は、鋳型内で分解するように構成される。たとえば、キャビティが加熱されてもよく、またはキャビティ内の圧力が減少してもよい。発泡剤は、図5bに示されるように膨張するように構成される。たとえば、発泡剤として作用する加圧された気体は、減圧によって膨張する。気体は、その周囲の複合材料内で膨張する。発泡は、複合体502の中央領域に近い内部で生じるが、図5bに示されるような凝固した表面領域501上では生じない。均一な表面構造を有するために、発泡が生じる前に固体表面層を有することが有利であり得る。複合体の表面における、または表面に近い発泡は、望ましくない。表面領域が、もしあれば最小の多孔性を含むとき、複合体、または製品の表面は、複合体または製品の発泡した内部領域に比べて、より高い密度を含む。締まった表面は、より良好な透過性を提供する、および/または表面より下の内部領域を保護する効果を有し得る。高密度表面は、剛でありかつ硬質であり、構造に剛性を提供する。
発泡は、構造的発泡を提供し得る。発泡は、空孔構造と、周囲の媒体、たとえばポリマーとを含む気泡を含む。気泡は、巨視的または微視的に開口し、部分的または完全に閉じていてもよい。発泡は、液体および/または固体において閉じ込められた気泡、または気孔のポケットを形成することを含む。独立気泡構造発泡体において、気泡は、相互に連結されていない。これに代えて、気泡は、分離したポケットを形成し、互いに周囲の媒体によって完全に取り囲まれる(図4bに示されるように)。連続気泡構造において、気泡は、互いに接続されている。気泡は、内部結合された網状組織を形成し、気泡は、周囲の媒体に分散される。媒体の液体領域は、多くの異なる寸法の気泡を含み得る。溶融物が排出されるとき、たとえばポリマーマトリクス領域は、薄くなり始めるか、または小さくなり始めてもよい。独立気泡構造発泡体は通常、連続気泡構造発泡体よりも高い圧縮強度を有する。より高い圧縮強度は、少なくとも部分的に独立気泡構造が原因である。独立気泡構造発泡体材料は、一般的に連続気泡構造発泡体材料よりも、材料の密度が高く、および/または大量の材料を含む。独立気泡構造は、寸法的安定性、低い水分吸収係数、および向上した強度特性を含む。連続気泡構造発泡体の絶縁特性は、周囲の媒体に依存する。良好な絶縁性を提供するために、特定の気体が、独立気泡構造発泡体において使用されてもよい。
独立気泡発泡体であって、空泡粒子がマトリクス材料に埋め込まれている独立気泡発泡体は、合成発泡体と呼ばれ得る。合成発泡体は、非常に高い強度対重量比を提供する効果を有し得る。合成発泡体は、そのマトリクスとして形状記憶体を用いてもよい。合成発泡体は、形状記憶樹脂と複合体材料との特性を有する。たとえば、加熱されたときに、繰り返し再形成することができる性質である。形状記憶発泡体は、必要な動的構造支持体、柔軟な発泡体コア、および/または膨張可能な発泡体充填剤を必要とする用途について有利な効果をもたらし得る。
発泡体において、不活性気体は、ポリマー溶融体に注入されてもよく、または溶融物における化学反応によって放出されてもよい。発泡剤は、発泡射出成形プロセスにおける気泡構造発泡体を製造するために用いられる。発泡剤は、化学的発泡剤、または物理的発泡剤を含み得る。化学的発泡剤は、溶融物における化学反応後に放出される。化学的発泡剤は、加熱によって、多くの気体体積を放出することによって分解する化合物を含む。化学的発泡剤は、有機または無機化合物を含んでもよく、発熱性(エネルギー放出)、または吸熱性(エネルギー消費)であってもよい。化学的発泡剤の例は、ヒドラジン、重炭酸ナトリウム、およびクエン酸である。化学的発泡剤は、窒素ガス(N)、二酸化炭素(CO)、および/または水(HO)などの気体を形成するために分解される。吸熱性化学的発泡剤を用いることは、良好な表面態様、均一な気泡構造および/または高密度の効果を有してもよい。物理的発泡剤は、溶融物に注入される。物理的な発泡剤は、高圧ガス、たとえば窒素(N)または二酸化炭素(CO)であって、大気圧に戻すと膨張する高圧ガスを含む。他の種類の物理的発泡剤は、揮発性液体であり、加熱によって膨張し、高容量の蒸気を生成する。液体物理的発泡剤は、たとえばブタン、n−ペンタンまたは水などを含み得る。薄い部分について、物理的発泡剤が、化学的発泡剤よりも好ましい。
発泡射出成形プロセスによる製造は、発泡製品に好ましい効果を提供し得る。その効果は、表面におけるひけの欠如、わずかな焼結ひずみ、静的精度、高い剛性対重量比、重量削減、低い保持圧力、速い循環時間および/または部品費用低減を含み得る。発泡した複合体は、多孔質構造を含む。音響特性における効果は、向上した吸音、向上した音伝達損失および/または向上した振動減衰を含み得る。
一実施形態の例によれば、ポリプロピレン(PP)またはポリラクチド(PLA)複合体は、2重量%の発熱性化学的発泡剤を用いる発泡によって形成された。別の実施形態の例において、ポリラクチド(PLA)は、2重量%の発熱性化学的発泡剤を用いる発泡によって形成された。発泡製品の密度は、非発泡対照物に比べて、少なくとも5%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%減少する。発泡製品の密度は、非発泡対照物に比べて、5〜60%、好ましくは20〜50%、最も好ましくは少なくとも30〜40%減少する。非発泡材料の密度は、知られているか、または測定されてもよく、それは材料の射出発泡試料から測定された密度と比較されてもよい。
製造方法は、顆粒の形態で、マトリクス材料と有機天然繊維材料とを含む複合体を提供するために使用されてもよい。複合体の量および有用性を測定するために用いられる側定および試験は、その他の標準化された方法で記載されていない限り、射出成形試料について実施される。
発泡複合体
少なくともいくつかの実施形態によれば、発泡複合体の機械的特性は、それらの非発泡対照物に比べて影響を受ける。
密度は、EN ISO1183−1、ISO1183−2、ISO1183−3(2004)において特定される方法、ならびにそれらの他の標準化機構、実験室、およびオンライン密度センサ、および所定密度の様々な液体を用いる浮沈試験を用いて、高温で複合体材料の試料を圧縮することによって、同時に真空を適用することによって、その後、上述された方法、または任意の他の好適な方法によって、形成され押圧され、冷却された試料材料の密度を測定することによって、決定されてもよい。空孔容積は、コンピュータ断層撮影法、水飽和、および水蒸発法、ならびに空孔径分布測定などの多孔性測定に採用される方法によって直接に決定されてもよい。空孔容積は、直接、間接、およびそれらの組み合わせによって決定されてもよい。実施形態に従う複合体の空孔容積は、好ましくは15%未満である。一実施形態において、実施形態に従う有機天然繊維材料を含む複合体の空孔容積は、6〜50%、好ましくは8〜30%、より好ましくは9〜20重量%である。
音波抵抗性と音放射減衰とのバランスを調整する必要があるとき、発泡が好ましい。発泡は、複合体密度を減少させるために使用されてもよく、音響特性に影響を与え得る。音伝達と吸着との間のバランスを変化させるために、発泡が採用されてもよく、このことは多くの場合ラウドスピーカにおいて望まれる。より高い多孔性は、より高い吸着をもたらしてもよく、定常波とエコーとの強度を減少させる効果を有し得る。ラウドスピーカの気泡の曲げ剛性が変化しないままである場合、低い引張強度は、ラウドスピーカにそれほど重要でなくてもよい。なぜなら、曲げ剛性は、厚み粉体3に比例し、非常に低い弾性率であり、発泡によって得られてもよく、同様の曲げ剛性をもたらし得るからである。非発泡試料と同じ重量を有する発泡試料は、より厚くなり、発泡試料材料は、非発泡試料に比べてさらに高い曲げ剛性を有し得る。
一実施形態において、有機天然繊維材料を含む複合体の密度は、発泡によって制御された。3つの異なる化学的発泡剤が使用された。表2は例を示し、同一の材料は、2つの吸熱性化学的発泡剤と1つの発熱性発泡剤とで形成された。表2が示すように、密度および引張弾性率は、より高い発泡剤含有量で減少する。
Figure 2016521301
非発泡試料の密度は、射出成形試料から測定されてもよく、射出成形機の後圧力は、可能である限り高く、または少なくとも800barであり、加圧後時間は、少なくとも15秒であった。試料の重量がより長い加圧後時間で増加しない場合、加圧後時間は、十分に長くされた。この測定は、材料を砕くことによって、および砕いた材料を射出成形することによって既製品にも実施することができる。
一実施形態において、有機天然繊維材料を含む発泡複合体の密度は、有機天然繊維材料を含む非発泡複合体の密度よりも2〜50%低く、好ましくは4〜30%低く、最も好ましくは4〜20%低い。
発泡した複合体の引張弾性率は減少してもよいが、(壁の)曲げ剛性は増加する。曲げ剛性は、3つの粉体の厚みのオーダを増加させる。このことは、より低い密度を有し、同じ量の材料を有する硬い材料を提供することに影響を与える。このことは、少量の材料を有する特定の所望の特性を提供することを可能にし得る。発泡した複合体の多孔性は、良好な防音材料を提供し得る。発泡部分の入射吸音係数は、非発泡または非多孔質部分に比べてより高い。音波は、多孔性材料に吸収される。少なくともいくつかの実施形態によれば、天然繊維複合体の中空構造は、それらの合成繊維またはガラス繊維対照物よりも高い吸音係数を有する。このことは、ガラス繊維の剛性および/または合成もしくはガラス繊維の長さが原因であり得、良好な音伝達をもたらし得る。中空の、可能であれば板状の、または平坦な繊維構造は、音伝達特性を減少させ得る。発泡および有機天然繊維材料は、音減衰特性に影響を与え得る。有機天然繊維材料と一実施形態に従う多孔性とを含む発泡複合体は、特に軽量で、音減衰が望まれる構造について有利である。発泡複合体は、低周波数音、たとえば1kHzを超える周波数の良好な減衰を提供してもよい。分離された空隙は必要ではないので、複合体要素の寸法は小型であってもよい。有機天然繊維部品は、リサイクル可能であり、容易に取り扱われるが、たとえばガラス繊維は、別々の廃棄物処理が必要であり、粉砕されるときにとがった片を形成する。実施形態に従う構造は、たとえば、フエルト、発泡体、積層体および/またはハニカムの音減衰構造を置き換えるか、確立し得る。そのような構造は、たとえば自動車ドアパネル、または他の自動車内部部分に使用されてもよい。
マトリクス材料と有機天然繊維材料とを含む、発泡した多孔質製品は、良好な減衰特性を有する。音波は、多孔性材料に吸収される。マトリクス材料と有機天然繊維材料とを含む発泡製品は、音の減衰が望まれる任意の用途において利用され得る。音響パネルは、内部または外部で使用されてもよい。多孔質複合体を含むパネルは、その耐候性によって屋外環境で利用可能である。特に複合体は、湿度、および温度の変化に耐え得る。絶縁性パネルは、吸音、および/または少ない重量、および/または小型の寸法の所望の特性を有し得る。また、たとえば1.5kHzを超える低周波数は、効率的に吸収されてもよい。パネルのような大きな構成要素は、発泡によって複合体を形成してもよい。また、小さな構成要素、または製品のほんの一部は、実施形態に従って形成されてもよい。
自動車用パネル
有機天然繊維材料を含む複合体は、自動車ドアパネルとして使用されてもよい。自動車ドアパネルの実施形態に従う複合材料は、発泡によって製造されてもよい。発泡複合体は、所望の軽量かつ剛性のある、自動車ドアパネル用複合体を提供し得る。発泡複合体は、より少ない材料を使用し得るので、非発泡対照物よりもさらに環境保護の解決手段を提供する。発泡複合体の密度は、非発泡複合体の密度よりも低くすることができ、このことは、音減衰特性に有利であり得る。自動車の内部の外部騒音は、複合体パネルによって減少し得る。自動車用の複合体は、熱遮断パネルとして作用してもよく、自動車内における様々な熱源から、および/または外部供給源から自動車に熱を伝達することを減少させるか、または防ぐ。複合体パネルは、自動車の内部および/または外部の他の部分において使用されてもよい。複合体パネルの、軽量性、剛性、騒音減衰特性は、たとえば、自動車の、プラスチック金属および/または木製部分などを置き換え得る。複合体パネルは、熱膨張係数などの他の材料特性を満たすように設計されてもよく、それに隣接する材料に取り付け可能であり、および/または他の材料の挙動に従う、もしくは補う挙動を含む。複合体の、マトリクス材料と有機天然繊維材料との比率は、複合体固有の熱膨張係数に影響を与え得る。有利には、互いに隣接する異なる材料の熱膨張係数は、製品について所望の音響特性を得るために適合するように設けられてもよい。複合体パネルは、外部環境に対して安定であり、耐性を有してもよい。複合体パネルは、自動車の外側部分において使用されてもよい。実施形態の複合体要素は、自動車の外装にしっかりと固定することができる。
一実施形態によれば、ラウドスピーカ要素は、複合体要素、たとえば複合体パネルに取り付け可能である。ラウドスピーカは、自動車の複合体要素に固定されてもよい。また、音響特性に加えて、自動車用の複合体要素は、耐久性があり、外部環境に対して耐性を有し、その寸法を維持する。ラウドスピーカは、実施形態にかかる複合体要素にしっかりと固定されてもよい。実施形態にかかる複合体要素の表面積は、複合体パネル表面上におけるラウドスピーカ要素の面積に比べて大きくてもよい。たとえば、ラウドスピーカは、パネル表面積の10%未満を保有していてもよい。自動車用の複合体要素は、ラウドスピーカを保持してもよいが、一方、自動車の本体、たとえば、複合体要素が取り付けられる自動車のドアを形成する外側金属体は、筐体の一部として機能するように構成される。
一体的部分
マトリクス材料と有機天然繊維材料とを含む複合体は、射出成形によって製造することを可能にする。このことは、上述されたように、発泡を含んでもよいか、または除いてもよい。マトリクス材料および有機天然繊維材料のような選択された複合体含有物と、製造方法とは、均一かつ一様な要素の形成を可能にする。有機天然繊維材料、および可能な充填剤、および/または発泡剤は、複合体において均等に分散するように構成される。このことは、音響的に一様な部分を提供する効果を奏する。たとえば、木製部分に固有の変化は回避されてもよく、および/または複合材料を利用するとき、材料品質の変化を原因とする代償は必要とされない。射出成形は、形成された表面上に有機天然繊維材料を連続的に配向することを可能にする。繊維配向は、音響特性に影響を与える。この特性は、メルトフロー方向と、メルトフロー方向に垂直な交差方向とに沿って異なる。したがって、形成された部分は、異方性である。射出成形は、接合なしに所望の形状に形成することを可能にする。たとえば、所望の、寸法および表面形状は、好適な鋳型を作製/使用することによって製造されてもよい。異なる形状、体積、および厚みは、様々な種類の用途に有利である。射出成形によって形成される複合体は、様々な用途に好適である。たとえば、湾曲したもしくは曲線のある形状、または中空管などを一体的部分として提供することが可能である。
一体的部分は、射出成形によって形成されてもよい。継ぎ目またはシームは回避され得る。このことは、機械的に強く、現実的な部分を提供し得る。一体的部分は、部分の音波伝達特性に影響を与え得る。有機天然繊維成分は、メルトフロー方向に従って配向される。繊維配向は、様々な方向への音の伝播に影響を与え得る。部分は、繊維の配向に関する所望の効果をもたらすように設計されてもよい。製造された複合体製品または部分は、気密であってもよい。このことは、たとえば閉じた要素に対して重要である。実施形態に従う複合体部分は、それらの寸法を維持する。部分は、空気の湿度または温度変化などの外部条件に耐性を有する。複合体は、屋内、屋外、水中、または他の特殊な要件が適用される様々な環境において、耐久性があり、有用である。
一実施例において、ラウドスピーカケーシングは、マトリクス材料と有機天然繊維材料とを含む複合体で形成されてもよい。ラウドスピーカケーシングは、1以上の部分を含み得る。先行解決手段において、いくつかのMDF、または合板は、加工、および処理され、所望の寸法および形状を得て、可能であれば穴を開けられ、互いに接合され、ケーシングを形成し、その外形は、研磨、丸み付け、または研磨などの仕上げをされた。いくつかの製造工程に代えて、複合体で作製されたケーシングは、安定した音響特性を含む一体的部分の射出成形物であってもよい。角部は、必要に応じて、少なくとも製品の内部または外部において回避されてもよい。角部は、製品の音響的弱点をもたらし得る。非連続的な角部に代えて、複合体から作製された製品は、角部にわたって曲がる連続的構造を含み得る。この連続的構造は、安定した音響特性を含み、角部構造、および/または非連続的構造、および/または接合要素、および/または取り付け手段が原因で損なわれない。複合体によって作製された部分は、所望の音響特性を容易に作り出す、および/または提供することに影響を与え得る。一実施形態によれば、ラウドスピーカケーシングは、6未満または5未満、好ましくは4未満または3未満、より好ましくは2つの部分で作製される。一体的な複合体部分は、単一工程で作製されてもよく、ラウドスピーカケーシングの2以上の従来部分を置き換える。角部における、非連続点および/または接合部は回避され得る。別の部分が原因の望ましくない共鳴は、回避され得る。複合体構造は、2つの表面に沿って一体的に連続し得る。
一体的構造は、有機天然繊維の配向における切れ目を含まなくてもよい。湾曲したまたは曲線を有する表面は、1つの単一片を形成してもよく、および/または1つの製造工程によって形成されてもよい。一体的部分の断面は連続的部分であってもよく、任意に、隣接した表面は互いに直交して配置されない。一体的部分は、連続的なメルトフローからなってもよい。
様々な製品部分は、マトリクス材料と有機天然繊維材料とを含む複合体によって置き換えられてもよい。先行解決手段において、様々な材料から最初に作製される製品部分は、一体的部分として複合体を形成し得る。このことは、2つの部品の相互作用に影響を与え得る。さらに、シームまたは継ぎ目などのいくつかの弱点は、回避され得る。接合点は、製品の持続可能性、および/または外部環境に対する耐性、および/または音響特性を減少させ得る。接合なしに一体的部分が形成されるとき、これらは問題を形成しない。一体部分は安定した構造を形成するが、一方、様々な部分とそれらの取り付けとは、互いに影響を与え、様々な環境において様々に挙動し得る。
一般的に、材料の間の界面は、固体材料における音に影響を与える。材料は、異なる密度または粘性を有してもよく、音を減衰させ得る。粘性または密度の変化は、音が減衰され得る速度を変化させ得る。音が一定の物理特性を有さない材料を通って移動するとき、屈折され得る。屈折は、分散または集中であってもよい。実施形態に従う複合体の効果は、音響特性が調整され得る一体的構造を提供することである。実施形態に従う複合体は、一様かつ連続的な音響特性を含む均質な要素を提供し得る。
実施形態に従うラウドスピーカは、ラウドスピーカ要素を含む任意の音再生手段を含み得る。実施形態に従う複合体を含むラウドスピーカは、屋外で使用されてもよい。ラウドスピーカの使用は、外部で無制限の空間において行われ得る。空間は、スタジアム、公園、または任意の公共もしくは私的な外部の場所を含み得る。実施形態に従うラウドスピーカは、少なくとも1000mを含む空間において使用されてもよい。実施形態に従うラウドスピーカは、100〜500m、または10〜100m、または2〜10mを含む空間で使用されてもよい。空間は、たとえば、コンサートホール、バス、飛行機、映画館、TV製作現場、HiFiスタジオ、または任意の他の公共、もしくは私有空間などを含み得る。

図6は、本発明の一実施形態に従う複合体を示す。図6の複合体は、層601および層602を含む。層は同じ尺度ではなく、厚みなどの絶対的な寸法、および互いに関連する寸法は、実施形態、用途、製造方法、使用および/または周囲の環境に従って変化してもよい。実施形態に従う複合体は、2以上の層を含み得る。層を含む構造は、単一層構造と同じ製造方法を用いて形成されてもよい。層は、既存の層の上に押出されてもよい。あるいは、2つの層は、互いに取り付けられてもよい。層601,602は、たとえば、互いに積層または接着されてもよい。層601(602)は、構造を強化してもよい。層601,602は、同様の特性を有してもよく、任意の所望の特性、たとえば音の減衰をさらに向上させてもよい。層構造は、最終製品に様々な機能特性を提供するために用いられてもよい。2つの層材料の特性は、組み合わされて剛性などの特性を向上させ、または特性の所望の組み合わせを達成し得る。層は、音の反射、および/または吸収の様々な特性を有し得る。層状製品は、音を所望の方向に伝達し、他の方向への音の伝播を妨げるという効果を提供し得る。たとえば、イヤホンケーシングは、音を一方向に向かって使用者の耳に有利に伝達するが、ケーシングは音が外部に漏れることを防ぐ。また、イヤホンケーシングは、外部音が使用者の耳に入ることを防ぐ。
一実施形態によれば、少なくとも1つの層は、有機天然繊維材料を含む複合体を含む。他の層は、他の材料を含み得る。他の層は、たとえば、塗料、被覆、織物、木材、木質系材料または金属などを含み得る。一実施形態において、外部層は、有機天然繊維材料を含む複合体を含む。内部構造を任意に形成する他の層は、柔らかい層、または低密度層、または異なる音響特性を含む層を含み得る。別の実施形態において、内部層の両側の2つの外部層は、有機天然繊維材料を含む複合体から作製される。有機天然繊維材料を含む複合体の層は、所望の、色、および/または硬い表面、および/または繊維豊富な表面、および/または構造の剛性、および/または摩擦耐久性、および/または光沢のある表面、および/または高密度の表面、および/または多孔性、および/または繊維の配向を提供する効果を有し得る。
実施形態に従う層構造は、気密ケーシングを提供し得る。このことは、冷気、空気、水、粉塵、外部騒音、および/または任意の他の外部影響に対する耐性を提供し得る。外部層601は、内部層602を保護してもよく、および/または層の裏側の部分を保護してもよい。外部層601は、内部層602とは異なる量の有機天然繊維材料を含み得る。このことは、外部層601にさらなる剛性を提供し得る。剛性のある緻密な層601は、外部環境に対して内部層を保護し得る。一実施形態において、外部層601における天然有機繊維材料の量は、内部層602における天然有機繊維材料の量よりも少ない。このことは、外部層601に、所望の外観および/または外部特徴を提供する効果を有し得る。一実施形態によれば、外部層は、有機天然繊維材料を含まない。別の実施形態によれば、外部層601は、内部層602よりも、少なくとも10%、または少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%少ない有機天然繊維材料を含む。一実施形態の例において、内部層は、有機天然繊維材料を含まない。さらに別の実施形態によれば、内部層602は、外部層601よりも、少なくとも10%、または少なくとも20%、または少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%少ない有機天然繊維材料を含む。
外部層601は、内部層602に含まれる天然有機繊維材料とは異なる方向に配向される天然有機繊維材料を含み得る。繊維配向は、音響特性に影響を与え得る。2つの層構造は、1つの側面上に音伝達パネルを提供し、他の側面上に隔離パネルを提供してもよい。たとえば、層601は、音波を伝達するように構成されてもよいが、一方、層602は、音波の伝播を妨げるように構成されてもよい。
一実施形態において、層構造は、複合体の、表面層と内部層とによって形成される。複合体は、射出成形されてもよい。射出成形の間に、たとえば射出点位置、射出速度、温度および/または材料に応じて、表面層上における有機天然繊維成分は、複合体の表面に沿って平均して配向される。表面層において、大部分の有機天然繊維成分は、管状成分の最も長い寸法が表面に沿って、およびメルトフロー方向に沿って延びるように配向される。断面を含む有機天然繊維成分は、より大きな断面寸法が成分表面に平行に配置され、より小さな断面寸法が成分表面に略垂直に配置されるように大部分が配向される。複合体の内部層に向けて、有機天然繊維成分は、管状成分の縦寸法が、複合体表面に沿って配置され、それらの断面寸法がより無秩序に配向されるように配向されてもよい。管状の有機天然繊維成分は、その長手寸法のまわりを回転してもよい。内部層であって、表面層に隣接して、または表面層の間に20〜70%の複合体を含み得る内部層において、繊維配向は、より無秩序であり、ほとんどの繊維は、表面層と同様には配向されていない。
外部層601は、非発泡複合体を含んでもよく、内部層602は、多孔質発泡複合体を含んでもよい。他の実施例において、外部層601は、多孔質発泡複合体を含んでもよく、内部層602は非発泡複合体を含んでもよい。一方の層は、多孔質複合体の特性を有するが、他の層は、たとえば、多孔質層を遮蔽する緻密な表面に提供されてもよい。一実施形態において、層間における空孔容積の差は、10%を超える、好ましくは20%を超える、より好ましくは30%を超える、最も好ましくは40%を超えるものを含む。
一実施形態において、層601,602は有機天然繊維材料を含む複合体を含み、層602,601は、木材、たとえば、合板、ファインウッド、またはハードウッドを含む。複合体層601,602は、木材層602の熱膨張係数に近い熱膨張係数を有するように構成されてもよい。たとえば、複合体層601,602の熱膨張係数は、木材層602,601の熱膨張係数の2〜100倍であってもよい。
外部層601は、所望の表面仕上げに応じた特性を含むように配置されてもよい。たとえば、外表面層601は、塗料、フィルム、または被覆に適合性を有するように構成されてもよい。層は、下塗剤、または他の付着を促進する他の成分を含んでもよい。層601は、添加剤を含むように構成され、他の層602および/または他の材料に良好な接着を提供してもよい。
層601,602は、同様のポリマー、たとえば、ポリオレフィン材料を含み得る。同様の材料を用いる効果は、化学的、または物理的接触によって層を互いに付着することを可能にしてもよい。相性の良い材料の層は、たとえば、製造工程の間における圧縮(圧力)および熱によって付着されてもよい。別の接着または付着製造工程は、回避することができる。また、リサイクリングは、外部層のない同様の材料について、容易であり簡単である。一体化層構造は、不所望なシーム層の無い2つの相性の良い層の効果を組み合わせることが可能である。層のための複合体は、本願に示されるように選択され、製造されてもよい。
材料の密度および弾性率は、特性インピーダンスを記述するために使用されてもよい。特性インピーダンスは、第1インピーダンスを有する一方の媒体、たとえば層601から、第2インピーダンスを有する他方の媒体、たとえば層602へ伝達されてもよい振動エネルギーに言及する。たとえば、第1材料(601)からのインピーダンスは、第2材料(602)に伝播するとき、変化してもよい。音伝播の挙動は、密度および圧力ならびに/または材料粘性の間における関係などの、材料のいくつかの物理的因子によって影響し得る。
一実施形態において、層構造は、少なくとも2つの層を含み、少なくとも2つの層の少なくとも一方は、実施形態に従う複合体を含む。層の密度は、異なってもよい。実施形態に従う複合体を含む層は、他の層よりも高密度であってもよい。複合体を含む層は、少なくとも2つの層の他方の密度よりも少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%大きな密度を有してもよい。一実施形態において、複合体を含む層は、少なくとも2つの層の他方の密度よりも、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%大きな密度を有する。一実施形態によれば、少なくとも2つの層の他方の密度よりも、10〜90%、好ましくは20〜80%、より好ましくは30〜70%大きい密度を有する。
一実施形態によれば、実施形態に従う複合体を含む層は、他の層よりも低密度であってもよい。一実施形態において、少なくとも2つの層の一方である第2層は、複合体を含む層の密度よりも、300〜900%、好ましくは500〜700%大きな密度を有する。一実施形態によれば、少なくとも2つの層の一方は、複合体を含む層の密度よりも、30〜400%、好ましくは70〜250%、より好ましくは150〜230%大きな密度を有する。
2つの一体化した成分を含む層構造は、非均質構造が原因の、振動と騒音とを減衰し得る。たとえば、音響パネルの裏側の多孔質複合体は、所望の音響吸音特性を提供し得る。層構造における両方の材料は、いくつかの、または全ての同じ種類の騒音を減衰するように構成されてもよい。一実施例として、層材料501の1つは、600〜2000Hz、好ましくは800〜1800Hz、より好ましくは1000〜1600Hzの範囲の周波数における騒音を、減衰または吸収するように構成されてもよい。他の層材料502は、50〜5000Hz、好ましくは100〜5000Hz、より好ましくは1000〜5000Hz、最も好ましくは2000〜5000Hzの範囲の周波数における騒音を吸収するように構成されてもよい。
実施形態に従う複合体は、安定で耐性のある構造および熱特性と一体化された音減衰の効果を提供する。さらに、複合体は、軽量であってもよく、多くの用途と最終用途のための低費用の解決手段を提供し得る。複合体の特性は、所望の最終用途によって変化してもよい。多くの異なる種類の構造および/または用途が可能であるが、同様の製造方法が、様々な特性を有する複合体を提供するために利用されてもよい。実施形態に従う層構造は、たとえば、2つの層を互いに積層することによって、または2つの材料を同時に射出成形によって作製されてもよい。
ラウドスピーカ
ラウドスピーカは、たとえば、携帯電話、音楽プレイヤ、コンピュータ、ラジオ、または他の電子装置などの音再生システムの一部であってもよい。パブリックアドレス(PA)ラウドスピーカは、本格的な音再生のために設計された大きな装置である。PAラウドスピーカにおける移動領域は、在宅用機器に比べて大きい。なぜなら、PAラウドスピーカは、音圧がより高くなり、音がさらに伝達されるようにより多くの空気を移動するために使用されるからである。PAラウドスピーカの伝達率は、音質を犠牲にして達成される。ハイファイ(HiFi)ラウドスピーカは、20Hz〜20kHzの安定した再生音を提供するために最適化される。HiFiラウドスピーカは、全ての周波数に使用される1要素ブロードバンドラウドスピーカを含み得る。1要素ラウドスピーカは、良好な品質を可聴性周波数範囲に提供し、位相誤差は小さい。なぜなら、全ての周波数は、同一の要素から生じるからである。しかしながら、より良い音質は、高周波および低周波を分離するさらなる要素を提供し得る。ツイータは、高周波を再生するために使用され、バスラウドスピーカは低周波用である。バスラウドスピーカは、非常に小さな寸法、正確な再生音、および気密性である密閉ケーシングを含む。バスラウドスピーカはバスレフレックスエンクロージャを含んでもよく、管はスピーカの空間を外気に接続するために使用される。好適な管は、特定の周波数を増強する。サブウーファは、たとえば150Hz以下などの低周波を再生可能である。再生可能な周波数範囲は、交差周波数に依存し、音声は0dBに向けて減少し始める。サブウーファケーシングは、剛性があり、支持されていなければならない。なぜなら、ケーシング内部の圧力振動が高いからである。また、不所望な共振を回避するために、ケーシングの特性周波数は、剛性のあるケーシングによって回避されてもよい。定常波は、ラウドスピーカおよび/またはその部分における問題をもたらし得る。サブウーファケーシングの剛性は、追加の支持パネルまたはリブをケーシングに提供することによって向上されてもよい。サブウーファは、レフレックス管、または受動素子を介して所望の周波数を再生するためのレフレックスエンクロージャを含まなくてもよい。任意の、ケーシング、ケーシングの部分、管、追加の支持体、リブ、音伝達、制御または誘導要素は、マトリクス材料と有機天然繊維材料とを含む複合体のケーシングと一体であってもよい。
スピーカコーン本体は、マトリクス材料と有機天然繊維材料とを含む複合体から作製されてもよい。スピーカ複合体のマトリクス材料は、全流量、重量および剛性を考慮して選択されてもよい。有機天然繊維材料の量および品質と他の任意の充填剤とは、重量比に対する剛性と音響減衰とを考慮して選択されてもよい。一実施形態によれば、有機天然繊維材料の量は、30〜70重量%、好ましくは40〜60重量%であってもよく、所望の音響特性が確立されるように選択される。弾性率、剛性および強度は、音響特性に影響を与える。
製造方法は、弾性率、剛性および強度などの音響特性を調節するために使用されてもよい。いくつかの実施形態において、指向性音響特性は調節されてもよく、または様々な方向において音響特性は調節されてもよい。一実施例において、複合体は、マトリクス材料としてのポリプロピレンと、45〜65重量%の有機天然繊維材料とを含む。別の実施例において、複合体は、ポリ乳酸マトリクスと、30〜50重量%の有機天然繊維材料とを含む。有機天然繊維材料の量は、複合体の粘性に影響を与え得る。増大する粘性が原因で、製造工程は、影響を受け、または実施できなくなることさえある。射出成形は、押出に比べて低い粘性を必要とし、押出は、使用される複合体をより高い粘性とすることを可能にし得る。剛性のある硬質ポリマーが有利に使用される。ホモポリマーは、コポリマーに勝る音響特性を提供し得る。スピーカマトリクスとして使用されるポリマーマトリクス材料の引張弾性率は、1000〜6000MPa、好ましくは2000〜5500MPaであってもよい。
音方向
図7aおよび図7bは、マトリクス材料と有機天然繊維材料とを含む複合体の一体的部分である音方向部分701の一例を示す。図7aは側面からの断面図であり、図7bは上方から見た上面図を示す。音方向部分701は、複合体の一体的部分であり、複合体と同時に形成される。音方向部分701は、様々な形状と寸法とで実現されてもよい。音方向部分は、固体部分表面の任意の継ぎ目であってもよい。たとえば、突出部、空隙、チャネル、スロット、溝、突起、または音波方向付けに好適な任意の他の部分などである。平行な真っ直ぐな表面は、定常波と望ましくないエコーとの生成をもたらし得る。これらは、たとえばスピーカボックスにおいて乱され得る。音方向部分は、定常波および/または望ましくないエコーを、最小化または防止する効果を有し得る。音波の平坦で均一な反射は乱され、したがって音方向部分によって妨げられる。図7aおよび図7bは、表面上に音方向部分を含む複合体の可能性のある断面の一例を示す。たとえば、スピーカボックスは、音方向部分701を内部に、スピーカボックスの内表面において含み得る。サウンドボックスの外部寸法は、反射を回避するために、真っ直ぐな表面と、丸い端部とを含む。音方向部分701は、定常波を回避することができるように、音波に対する反射面を提供する。非連続的表面は、音方向部分701によって形成されてもよい。非連続的表面は、定常波を回避する効果を有し得る。表面は、音波を偏向させるように構成されるように調整されてもよい。有利には、複合体の有機天然繊維材料は、細長い音方向部分に平行な方向に配向される。あるいは、音方向部分は、多くの方向に延びてもよい。一実施形態によれば、少なくとも2つの音方向部分が互いに交差してもよい。一体的な音方向部分を含む複合体部分を製造する際には、射出成形が有利であり得る。射出成形は、一体的な三次元構造を効率的に設計し作製することを可能にする。
図7a、図7bおよび図7cにおいて、音方向部分は、ラウドスピーカの壁に垂直であるとして示されている。一実施例において、音方向部分は、その反対の端部よりも壁に隣接してより広くてもよい。壁と音方向部分との間の角度αは、少なくとも92°、好ましくは少なくとも95°、より好ましくは少なくとも100°であることが可能である。壁構造と音方向部分の構造体との間の角度αは、90〜120°、好ましくは91〜110°、より好ましくは92〜100°であってもよい。角度αは、寸法および/またはラウドスピーカケーシングの全内部面積に比較した音方向部分の面積に影響を与え得る。さらに、このことは、音波の斜め反射を提供する効果を有し得る。
図7cは、音方向部分の側面図を示す。音方向部分は、高さY1と、幅X1とを含み得る。音方向部分の所定の寸法は、所定の周波数を回避するか、または減衰するために有利である。たとえば、330〜400Hzの周波数が、減衰されてもよい。たとえば、壁厚Y2を含むラウドスピーカケーシングにおいて、音方向部分の高さY1は、ラウドスピーカケーシングの壁厚Y2の少なくとも0.5倍であってもよい。ラウドスピーカケーシングの壁厚は、3〜30mm、好ましくは5〜20mmであってもよい。音方向部分の高さY1は、壁厚方向におけるラウドスピーカケーシングの壁厚Y2の、0.5〜20.0倍、好ましくは1.0〜10.0倍、より好ましくは1.5〜7.0倍であってもよい。ラウドスピーカ壁表面に平行である音方向部分の幅X1は、音方向部分の高さY1の、0.05〜1.0倍、好ましくは0.1〜0.5倍であってもよい。音方向部分は、ラウドスピーカケーシングの総内表面積に比べて小さいラウドスピーカケーシング内表面を有する。音方向部分の無いラウドスピーカケーシングの内表面積は、ラウドスピーカケーシングの総内表面積の、70〜99%、好ましくは80〜96%、より好ましくは85〜95%であってもよい。音方向部分は、ラウドスピーカケーシングの総内表面積の、1〜30%、好ましくは4〜20%、より好ましくは5〜15%を占有してもよい。
音方向部分は、たとえば、ラウドスピーカケーシングの内表面に形成されてもよい。一体的な音方向部分は、ラウドスピーカ壁と一体であってもよい。音方向部分とラウドスピーカ壁とは、同時に、同一の製造方法で製造されてもよい。音方向部分を含む形成された構造の外表面は、平坦かつ均一であってもよい。実施形態は、ひけ無しにラウドスピーカに一体的な音方向部分を提供する効果を有し得る。
たとえば、マトリクス材料としてのポリプロピレンは、射出成形を可能にする。ポリプロピレンは、補強されていないポリプロピレンの低弾性率が原因で重量比に対する低い剛性を有する。剛性は、有機天然繊維材料によって向上され得る。一実施例として、リグニンを含まない有機天然繊維材料は、重量および/または密度におけるわずかな増加によって向上した剛性の効果を提供する。剛性は、滑石などの充填剤によって向上されてもよいが、その場合、同様に増加する剛性は、有機天然繊維材料を含む材料に比べて、非常に大きく増加する重量および/または密度を必要とする。したがって、滑石などの充填剤と、ポリプロピレンなどのマトリクスとのみを用いることは、望ましくない重量増加をもたらすであろう。
発泡は、スピーカにおいて使用される複合体において好ましい効果を提供し得る。発泡した複合材料は、気泡を含む。多孔質構造は、非発泡複合体に比べて、材料全体の気体伝播、低密度、および/または散乱表面の増大した量を提供し得る。発泡は、吸収を促進するために使用されてもよい。組成における発泡剤の選択と、発泡剤の量とは、複合体部分の音響特性に影響を与える。拡大率が発泡の間に増加するとき、複合体の弾性率は低くなる。発泡の拡大率の増加とともに、剛性は高くなる。
機械的減衰は、コーン本体材料に望ましい。有機天然繊維材料またはその成分は、複合体に剛性を提供する。有機天然繊維材料の体積分率は、全体の減衰、すなわち力学的エネルギーを消散する能力に、少なくとも部分的に影響を与える。有機天然繊維材料は、音響反射と望ましくない振動とを少なくとも部分的に消失させ得る。有機天然繊維材料は、たとえば、高弾性率の複合体または部品において、音波によって好都合に迅速に誘導される減衰振動の効果を有し得る。一実施形態に従う複合体に分散される発泡剤は、音波を減衰する効果を提供し得る。他の充填剤は、用途および使用に従う複合体の音響特性を微調整するために使用されてもよい。複合体は、マトリクス材料と、30〜50重量%の有機天然繊維材料、1〜40重量%の充填剤および/または添加剤とを含み得る。複合体は、高弾性率および/または所望の重量を提供する効果を有し得る。低重量解決手段にも関わらず、いくつかの用途において、ある重量レベルが望まれ、構造に安定性を提供してもよい。たとえば、楽器は、ケーシングおよび/または部分についてある重量を有することが好ましい。
楽器
実施形態に従う複合体は、楽器に使用されてもよい。多くの楽器において、音は、楽器の材料の振動によって生じる。マトリクス材料は、熱可塑性、たとえばポリスチレンであってもよい。あるいは、再生ポリオレフィン、環状オレフィンコポリマー(COC)、アクリル、またはポリオレフィンが用いられてもよい。複合体の有機天然繊維の量は、20〜60重量%であってもよい。使用される材料は、音響特性に影響を与え、このことは楽器において非常に重要である。また、どのように楽器が見え感じられるかなどの、使用者によって検知される他の特性は、材料の選択に影響を与え得る。典型的には、元来使用される木質材料の特性に適合する特性が好ましい。楽器の内部部分は、実施形態に従う有機天然繊維材料を含む複合体の部分に置き換えられてもよい。有機天然繊維材料を含む複合体の内部部分は、外部の木材部分に隣接して設置されてもよい。木材部分は、マトリクス材料と有機天然繊維材料とを含む一体押出部品を含み得る。振動エネルギーが第1インピーダンスを有する一方の媒体から第2インピーダンスを有する他方の媒体に伝達されるとき、第1および第2インピーダンスは、同じオーダである必要がある。インピーダンス間のミスマッチ、またはインピーダンス間の差が顕著である場合、振動エネルギーは、媒体から他方の媒体に進まず、音は伝達されない。インピーダンスは、材料の密度と音速と、または材料の密度と弾性率とを調整することによって調整されてもよい。
弦鳴楽器において、伸張された弦は、所定の周波数で振動し、音を形成する。弦単独は、その小さな断面積が原因で、振動エネルギーを外気に伝達することができない。大部分の弦楽器は、音を伝達するための、共鳴胴または共鳴板に結合される。たとえば、バイオリンまたはギターにおいて、弦は、楽器の上面、共鳴板にブリッジを介して結合される。ブリッジは、弦の振動を共鳴板に伝達する。また、共鳴板は、音の放射に寄与する裏板を含む。共鳴板の形状および材料は、音質および周囲の空気への放射の仕方に影響を与える。低インピーダンスは、空気への音の伝達に有利である。共鳴板材料は、低インピーダンスを有する。共鳴板のインピーダンスは、共鳴板材料のインピーダンスと共鳴板の厚みとに比例する。たとえば、細い弦は、より厚い共鳴板よりも低いインピーダンスを有する。高品質音を達成するために、弦のインピーダンスと共鳴板とが調整される。一般的に、共鳴板は、(たとえば、弦などに比べて)大きな表面積と軽い重量とを有する。共鳴板は、密度を含むように構成され、弦の振動に従って最適に振動することができる。共鳴板材料の高い密度は、大きな音の放射に比例する。たとえば、バイオリンについて、共鳴板の厚みは2〜3mmであってもよく、構造に剛性を提供し、大きな音を再現することができる高密度材料が好ましい。有利には、共鳴板材料は、内部摩擦などの抵抗損失によってエネルギーを失わないが、柔軟な構造を含む。共鳴板は、所定の周波数を増幅し、所定の他の周波数を減衰するように設計される。
いくつかの弦楽器、バイオリンなどにおいて、弓は、弦の振動を起こすために使用され得る。弓棒の材料および構造は、所定の、密度、曲げ剛性および減衰特性を必要とする。好ましくは、弓は、非常に高い密度と高い弾性率との材料を含む。曲げ剛性は、使用される材料の形状と弾性率とに依存する。曲げ剛性は、それに付着する毛の張力に影響を与える。弓の密度および質量は、演奏性に影響を与える。一様な材料品質は、所望の品質を有する細長い弓にとって重要である。有機天然繊維材料を含む複合体からなる弓は、所望の特性を有するように設計されてもよい。実施形態に従う弓は一体的に作製されてもよく、かつ/または所望の形状および/または品質、および/または特性に仕上げるように加工されてもよい。
ピアノの音も、張られた弦の振動に基づくものである。ピアノにおいて、押された鍵盤は、ハンマーを動かす。 ハンマーは、弦をたたき、振動させる。各弦は、特定のハンマーを有し、ハンマーは、レバーなどのいくつかの小さな部分を含むより複雑な機構によって動く。この構造は、好ましくは機械的に維持可能であり安定している。 ピアノに含まれる小さな部分は、一般的に、高い摩耗抵抗、長いライフサイクル、反復的な衝撃負荷に耐えるための頑丈さ、および寸法安定性を必要とする。ハンマーは、様々な特定周波数を含み、ピアノの様々な音節で利用される。有機天然特性と比較的高い音速とを含む複合体は、ピアノの一部として好ましい。
木琴は、それ自体が振動することによって音を生じる。したがって、材料特性は、生じる音にとって決定的である。個々の木琴の音板の長さは、その振動周波数を決定する。同一の長さおよび形状の音板は、使用される材料に由来する音速に対応する振動周波数を有する。木琴の材料は、好ましくは高密度を有する。さらに、演奏の間に木琴に生じる、接触および/または衝撃負荷を伝導可能であるように、側面の硬さが望まれる。木琴の音板は衝撃的に振動させられ、エネルギーは音板がそれに応じて振動する時間に比べて短時間で音板に伝達される。マレットの特性は、生じる音に影響を与える。硬いマレットのより短い接触時間は、明瞭な音を生じるが、一方、柔らかいマレットのより長い接触時間は、柔らかい音を生じる。木琴の固体材料が振動するとき、いくつかのその機械的エネルギーは、内部摩擦によって熱として消散される。木材部品について、内部摩擦は、温度および水分含有量などの外部条件と相互作用する大きさに依存するが、実施形態に従う複合体は、外部条件の変化に耐性がある。実施形態に従う部品の挙動は、機械的に、また音質を考慮して安定化されてもよい。音の大きさと反響時間とが衝撃的に振動された楽器に求められる場合、使用される材料は音を良好に放射しなければならない。低い係数を有する音板は、明瞭な音をもたらすであろう。なぜなら、より高い部分では、高い損失係数を有する材料よりも減衰が少ないからである。木琴の音は、有利には十分にゆっくりと減衰する。
太鼓などの打楽器において、音は、張られた膜の振動から生じる。張られた膜は、太鼓のばちまたは演奏者の手によって打たれ、膜の振動を発生し、音を生じ得る。典型的には、認識可能な音調または音の高さは存在しないが、この楽器は、リズム楽器と称され、使用される。リズム楽器において、周波数、体積および減衰は、音と音響特性とに影響を与える。たとえば、膜が取り付けられた太鼓の円形部分などは、実施形態に従う複合体で作製されてもよい。円形部分の形状は、太鼓の音質に影響を与える。円形部分は、明瞭な音を生じるために半球状に形作られてもよく、または暗い響きの音を生じるために放物状に形作られてもよい。円形部分表面の品質は、太鼓の音質に影響を与える。円形部分の表面は、平滑で均一、または幾つものくぼみを含む粗いものとして設計されてもよい。
フルート、クラリネット、またはリコーダーなどの管楽器は、音を発生する空気柱の振動に基づくものである。管楽器は、共振体を形成し、音を発生および放射する空気柱を含む。空気柱の形状および長さと、指穴の形状および設計と、マウスピースとは、生じる音に影響を与える。寸法安定性および水分耐性は、管楽器の材料によって重要である。外部環境に加えて、演奏家の息は、空気柱に水分を導入する。材料は、有利にはほとんど水分を吸収せず、管壁の液滴が音を損なうことを避ける。寸法的に安定な水分耐性材料は、顕著に長時間にわたって調律されたままの楽器に影響を与える。音質は、材料と、封入された振動空気の柱との相互作用によって決定される。材料は、管壁における空気摩擦が原因の振動減衰によって、また端部における振動空気における乱流によって楽器の音に影響を与える。振動的減衰は、滑らかな仕上げに合わせて低くなる。末端の正確な切断および丸み仕上げは、乱流を減少し、振動を減衰し、音質に影響を与え得る。管壁と指穴との最適な仕上げと、高密度とは、使用される材料の好ましい品質である。
マトリクス材料と有機天然繊維材料とを含む複合体は、楽器において使用されてもよい。密度、弾性率、減衰および収縮などの材料特性は、所望の音響特性に従って設計されてもよい。実施形態に従う複合体は、それに隣接する、または複合体に取り付けられる、または一体化される、または音の発生、および/もしくは音質に寄与する周囲の材料を有する、材料の特性に適合するように設計されてもよい。実施形態に従う材料は、外部環境に対する耐性に影響を与えてもよい。実施形態によれば、楽器またはその一部の品質または性能は、木材部分と同様に、水分と空気とを交換することが原因で損なわれない。実施形態によれば、寸法安定性および機械的特性は、外部条件の変化において維持されてもよい。
上述の記載は、マトリクス材料と有機天然繊維材料とを含む複合体の実施例および実施形態、マトリクス材料と有機天然繊維材料とを含む部品、ならびに複合体および部品の使用を示す。任意の記載された、実施例、実施形態、図、特徴および/またはそれらの詳細は、それらの相当するおよび/または好適な部分との間で、結合、置換、または交換されてもよい。自明な、構造的および/または機能的修正は、以下の特許請求の範囲内で、上述の実施例および実施形態になされてもよい。

Claims (108)

  1. マトリクス材料と有機天然繊維系材料とを含む複合体であって、
    マトリクス材料は、熱可塑性ポリマーマトリクスを含み、
    複合体は、1500〜5000の相対音波抵抗を有することを特徴とする複合体。
  2. マトリクス材料と有機天然繊維系材料とを含む複合体であって、
    マトリクス材料は、熱可塑性ポリマーマトリクスを含み、
    複合体は、1.5〜5.0の相対音放射減衰を有することを特徴とする複合体。
  3. マトリクス材料と有機天然繊維系材料とを含む複合体であって、
    マトリクス材料は、熱可塑性ポリマーマトリクスを含み、
    複合体は、ISO6721−3に従って測定された、2000〜11000の動的弾性率を有することを特徴とする複合体。
  4. マトリクス材料と有機天然繊維系材料とを含む複合体であって、
    マトリクス材料は、熱可塑性ポリマーマトリクスを含み、
    複合体は、5〜200の相対音響品質係数を有し、
    相対音響品質係数は、相対音波抵抗、相対音放射減衰および相対粘性減衰係数に依存することを特徴とする複合体。
  5. マトリクス材料と有機天然繊維系材料とを含む複合体であって、
    マトリクス材料は、熱可塑性ポリマーマトリクスを含み、
    複合体は、0.500〜0.005の相対粘性減衰係数を有することを特徴とする複合体。
  6. 複合体は、1500〜5000の相対音波抵抗を有することを特徴とする、請求項2〜5のいずれか1項に記載の複合体。
  7. 複合体は、1.5〜5.0の相対音放射減衰を有することを特徴とする、請求項1または3〜5のいずれか1項に記載の複合体。
  8. 複合体は、ISO6721−3に従って測定された、2000〜11000の動的弾性率を有することを特徴とする、請求項1,2,4または5に記載の複合体。
  9. 複合体は、5〜200の相対音響品質係数を有し、相対音響品質係数は、相対音波抵抗、相対音放射減衰および相対粘性減衰係数に依存することを特徴とする、請求項1〜3または5のいずれか1項に記載の複合体。
  10. 複合体は、0.500〜0.005の相対粘性減衰係数を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合体。
  11. 複合体は、1900〜4500、好ましくは2500〜4000、より好ましくは2800〜3200の相対音波抵抗を有することを特徴とする、請求項1または6に記載の複合体。
  12. 複合体は、2000〜4500、好ましくは2300〜2700の相対音波抵抗を有することを特徴とする、請求項1または6に記載の複合体。
  13. 複合体は、2.0〜4.5、好ましくは2.1〜3.5、より好ましくは2.2〜2.8の相対音放射減衰を有することを特徴とする、請求項2または7に記載の複合体。
  14. 複合体は、2.0〜4.5、好ましくは3.0〜4.0、より好ましくは3.2〜3.8の相対音放射減衰を有することを特徴とする、請求項2または7に記載の複合体。
  15. 複合体は、2800〜9000、好ましくは3500〜7500、より好ましくは4000〜7000の動的弾性率を有することを特徴とする、請求項3または8に記載の複合体。
  16. 複合体は、8〜100、好ましくは15〜50、より好ましくは20〜45の相対音響品質係数を有することを特徴とする、請求項4または9に記載の複合体。
  17. 複合体は、10〜150、好ましくは25〜100、より好ましくは40〜80の相対音響品質係数を有することを特徴とする、請求項4または9に記載の複合体。
  18. 相対音響品質係数は、相対音波抵抗に比例し、相対粘性減衰係数の2乗に比例し、相対音放射減衰の2乗に反比例することを特徴とする、請求項4,9,16または17に記載の複合体。
  19. 複合体は、0.20〜0.01、好ましくは0.20〜0.02の相対粘性減衰係数を有することを特徴とする、請求項5または10に記載の複合体。
  20. 複合体は、ISO527に従って測定された、2000〜7000MPa/(g/cm)、好ましくは3000〜6000MPa/(g/cm)、より好ましくは4000〜5500MPa/(g/cm)の比弾性率を有することを特徴とする、請求項1〜19のいずれか1項に記載の複合体。
  21. 複合体は、5〜90重量%、好ましくは10〜75重量%、より好ましくは20〜65重量%、最も好ましくは40〜60重量%の熱可塑性ポリマーマトリクスを含むことを特徴とする請求項1〜20のいずれか1項に記載の複合体。
  22. マトリクス材料は、75〜90重量%の熱可塑性材料を含むことを特徴とする、請求項1〜21のいずれか1項に記載の複合体。
  23. マトリクス材料は、ポリオレフィンを含むことを特徴とする、請求項1〜22のいずれか1項に記載の複合体。
  24. マトリクス材料は、ポリプロピレンを含むことを特徴とする、請求項1〜23のいずれか1項に記載の複合体。
  25. マトリクス材料は、少なくとも50重量%、好ましくは70重量%、より好ましくは95重量%、最も好ましくは100重量%の未使用のポリマー材料を含むことを特徴とする、請求項1〜24のいずれか1項に記載の複合体。
  26. 有機天然繊維材料は、木材パルプ材料を含むことを特徴とする、請求項1〜25のいずれか1項に記載の複合体。
  27. 有機天然繊維材料は、化学パルプ材料を含むことを特徴とする、請求項1〜26のいずれか1項に記載の複合体。
  28. 有機天然繊維材料は、化学木材パルプ材料を含むことを特徴とする、請求項1〜27のいずれか1項に記載の複合体。
  29. 有機天然繊維材料は、クラフトプロセス由来の有機天然繊維材料を含むことを特徴とする、請求項1〜28のいずれか1項に記載の複合体。
  30. 有機天然繊維材料は、フレーク形状の有機天然繊維材料を含むことを特徴とする、請求項1〜29のいずれか1項に記載の複合体。
  31. 有機天然繊維材料は、フレーク形状の繊維を含み、フレーク形状は、長さ、幅および厚みを有し、フレークの幅は、フレークの厚みの2〜10倍であることを特徴とする、請求項1〜30のいずれか1項に記載の複合体。
  32. 有機天然繊維材料は、フレーク形状の繊維を含み、フレーク形状は、長さ、幅および厚みを有し、フレークの幅は、フレークの厚みの少なくとも2倍、好ましくは少なくとも2.5倍、より好ましくは少なくとも3倍であることを特徴とする、請求項1〜31のいずれか1項に記載の複合体。
  33. 有機天然繊維材料は、フレーク形状の繊維を含み、フレーク形状は、長さ、幅および厚みを有し、フレーク形状は、長さの厚みに対する比に関するアスペクト比が25〜1500、好ましくは25〜1000、より好ましくは25〜500、最も好ましくは25〜300であることを特徴とする、請求項1〜32のいずれか1項に記載の複合体。
  34. 有機天然繊維材料は、フレーク形状の繊維を含み、フレーク形状は、長さ、幅および厚みを有し、フレークの長さは、フレークの幅の少なくとも10倍であることを特徴とする、請求項1〜33のいずれか1項に記載の複合体。
  35. 有機天然繊維材料は、有機天然繊維材料の全量の、少なくとも30乾燥重量%、または少なくとも50乾燥重量%、好ましくは少なくとも70乾燥重量%、より好ましくは少なくとも80乾燥重量%、最も好ましくは98乾燥重量%のフレーク形状繊維材料を含むことを特徴とする、請求項1〜34のいずれか1項に記載の複合体。
  36. 有機天然繊維材料は、15重量%未満、好ましくは5重量%未満、より好ましくは1重量%未満、最も好ましくは0.5重量%未満のリグニンを含むことを特徴とする、請求項1〜35のいずれか1項に記載の複合体。
  37. 有機天然繊維材料は、管状の有機天然繊維によって縁どられた少なくとも部分的に中空の内部を有する有機天然繊維成分を含むことを特徴とする、請求項1〜36のいずれか1項に記載の複合体。
  38. 複合体は、少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも30重量%の有機天然繊維材料を含むことを特徴とする、請求項1〜37のいずれか1項に記載の複合体。
  39. 複合体は、90重量%未満、好ましくは70重量%未満、より好ましくは60重量%未満の有機天然繊維材料を含むことを特徴とする、請求項1〜38のいずれか1項に記載の複合体。
  40. 複合体は、10〜90重量%、好ましくは20〜70重量%、より好ましくは40〜60重量%の有機天然繊維材料を含むことを特徴とする、請求項1〜39のいずれか1項に記載の複合体。
  41. 有機天然繊維材料は、少なくとも30重量%、または少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、最も好ましくは少なくとも90重量%の未使用材料を含むことを特徴とする、請求項1〜40のいずれか1項に記載の複合体。
  42. 複合体は、カップリング剤、潤滑剤および無機充填剤の少なくとも1つからなる添加剤を含むことを特徴とする、請求項1〜41のいずれか1項に記載の複合体。
  43. 複合体は、0.5〜10.0重量%、好ましくは1.5〜5.0重量%、より好ましくは2.0〜3.0重量%のカップリング剤を含むことを特徴とする、請求項1〜42のいずれか1項に記載の複合体。
  44. 複合体は、無水マレイン酸系カップリング剤を含むことを特徴とする、請求項1〜43のいずれか1項に記載の複合体。
  45. カップリング剤は、0.2〜8.0重量%、好ましくは1.0〜3.0重量%の無水マレイン酸を含むことを特徴とする、請求項44に記載の複合体。
  46. 複合体は、0.01〜5.00重量%、好ましくは0.05〜3.00重量%の潤滑剤を含むことを特徴とする、請求項1〜45のいずれか1項に記載の複合体。
  47. 複合体は、0〜40重量%、好ましくは1〜20重量%の無機充填剤を含むことを特徴とする、請求項1〜46のいずれか1項に記載の複合体。
  48. 複合体は、射出成形によって、または押出によって形成されることを特徴とする、請求項1〜47のいずれか1項に記載の複合体。
  49. 複合体は、発泡射出成形によって形成され、発泡複合体は、発泡射出成形中に拡大された発泡剤によって生じる空孔を含むことを特徴とする、請求項1〜48のいずれか1項に記載の複合体。
  50. 発泡複合体は、対応する発泡していない複合体の密度よりも2〜50%、好ましくは4〜30%、より好ましくは4〜20%小さい密度を有することを特徴とする、請求項49に記載の複合体。
  51. 発泡複合体は、複合体の全体積の、15%未満、好ましくは6〜50%、より好ましくは8〜30%、最も好ましくは9〜20%の空孔容積を有することを特徴とする、請求項49または50に記載の複合体。
  52. 複合体は、マトリクス材料の熱膨張係数の40〜80%、好ましくは50〜80%、より好ましくは60〜80%の熱膨張係数を有することを特徴とする、請求項1〜41のいずれか1項に記載の複合体。
  53. 有機天然繊維系材料は、有機天然繊維材料からなることを特徴とする、請求項1〜52のいずれか1項に記載の複合体。
  54. 複合体は、部品であることを特徴とする、請求項1〜53のいずれか1項に記載の複合体。
  55. 請求項1〜53のいずれか1項に記載の複合体を含むことを特徴とする部品。
  56. 請求項54または55に記載の部品を含むことを特徴とする製品。
  57. 部品は、2つの表面を含み、一方の表面は、一体的な音方向部分を有することを特徴とする、請求項55に記載の部品。
  58. 請求項1〜54のいずれか1項に記載の複合体を含むことを特徴とするラウドスピーカ。
  59. 複合体は、ラウドスピーカのコーンおよび/またはチューブを形成するように構成されてなることを特徴とする、請求項58に記載のラウドスピーカ。
  60. 複合体は、ラウドスピーカのためのケーシングを形成するように構成されてなることを特徴とする、請求項58または59に記載のラウドスピーカ。
  61. ケーシングは、6未満、または5未満、好ましくは4未満または3未満、より好ましくは2つの部分からなることを特徴とする、請求項60に記載のラウドスピーカ。
  62. ケーシングは、ケーシングの少なくとも2つの隣接する平行でない表面を構成する一体的部分を形成するように構成されてなることを特徴とする、請求項60または61に記載のラウドスピーカ。
  63. ケーシングは、音方向部分を含む内表面を有することを特徴とする、請求項58〜62のいずれか1項に記載のラウドスピーカ。
  64. 複合体は、ラウドスピーカが取付けられるパネルを形成することを特徴とする、請求項1〜54のいずれか1項に記載の複合体。
  65. ラウドスピーカは、パネルに取付けられ、パネルは金属部分に取付けられることを特徴とする、請求項64に記載の複合体。
  66. 音を減衰するための音響材料を含むことを特徴とする請求項1〜54のいずれか1項に記載の音響材料。
  67. 音を強化するための音響材料を含むことを特徴とする請求項1〜54のいずれか1項に記載の音響材料。
  68. 音方向部分を形成するために表面に一体的な不連続性を含むことを特徴とする請求項1〜54のいずれか1項に記載の音響材料。
  69. 請求項1〜54のいずれか1項に記載の複合体を含むことを特徴とする楽器。
  70. 少なくとも2つの層を含む層構造であって、少なくとも2つの層の少なくとも一方は、マトリクス材料と有機天然繊維系材料とを含む複合体を含むことを特徴とする層構造。
  71. 少なくとも2つの層の一方は、600〜2000Hz、好ましくは800〜1800Hz、より好ましくは1000〜1600Hzの範囲の周波数を減衰するように構成されてなり、少なくとも2つの層の他方は、50〜5000Hz、好ましくは100〜5000Hz、より好ましくは1000〜5000Hz、最も好ましくは2000〜5000Hzの範囲の周波数を減衰するように構成されてなることを特徴とする、請求項70に記載の層構造。
  72. 複合体を含む層は、少なくとも2つの層の他方の密度よりも、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%大きいまたは小さい密度を有することを特徴とする、請求項70に記載の層構造。
  73. 複合体を含む層は、少なくとも2つの層の他方の密度よりも、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%大きい密度を有することを特徴とする、請求項70に記載の層構造。
  74. 複合体を含む層は、少なくとも2つの層の他方の密度よりも、10〜90%、好ましくは20〜80%、より好ましくは30〜70%大きい密度を有することを特徴とする、請求項70に記載の層構造。
  75. 少なくとも2つの層の一方は、複合体を含む層の密度よりも、300〜900%、好ましくは500〜700%大きい密度を有することを特徴とする、請求項70に記載の層構造。
  76. 少なくとも2つの層の一方は、複合体を含む層の密度よりも、30〜400%、好ましくは70〜250%、より好ましくは150〜230%大きい密度を有することを特徴とする、請求項70に記載の層構造。
  77. 複合体を含む層は、内層を形成するように構成されてなり、他方の層は、層構造の外層を形成するように構成されてなることを特徴とする、請求項70〜76のいずれか1項に記載の層構造。
  78. 複合体を含む層は、外層を形成するように構成されてなり、他方の層は、層構造の内層を形成するように構成されてなることを特徴とする、請求項70〜76のいずれか1項に記載の層構造。
  79. 層構造は、少なくとも3つの層を含み、複合体を含む層は、層構造の2つの外層を形成するように構成されてなることを特徴とする、請求項70〜76のいずれか1項に記載の層構造。
  80. 少なくとも2つの層の少なくとも一方は、拡大された発泡剤を含むことを特徴とする、請求項70〜79のいずれか1項に記載の層構造。
  81. 少なくとも2つの層の少なくとも2つは、複合体を含むことを特徴とする、請求項70〜80のいずれか1項に記載の層構造。
  82. 少なくとも2つの層の一方は、拡大された発泡剤を含み、少なくとも2つの層の他方は、発泡剤を含まないことを特徴とする、請求項70〜81のいずれか1項に記載の層構造。
  83. 少なくとも2つの層の一方は、少なくとも2つの層の他方とは異なる量の有機天然繊維材料を含むことを特徴とする、請求項70〜82のいずれか1項に記載の層構造。
  84. 少なくとも2つの層の一方は、少なくとも2つの層の他方よりも、10%、または20%、または30%、または40%、または50%少ない有機天然繊維材料を含むことを特徴とする、請求項70〜83のいずれか1項に記載の層構造。
  85. 少なくとも2つの層の一方における繊維配向は、少なくとも2つの層の他方における繊維配向とは異なり、任意には、繊維配向は相互に直交していることを特徴とする、請求項70〜84のいずれか1項に記載の層構造。
  86. 少なくとも2つの層は、異なる比弾性率を有し、より小さい比弾性率を有する層の比弾性率とより大きい比弾性率を有する層の比弾性率とを比較するとき、差が少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%であることを特徴とする、請求項70〜85のいずれか1項に記載の層構造。
  87. 少なくとも2つの層は、異なる動的弾性率を有し、より小さい動的弾性率を有する層の動的弾性率とより大きい動的弾性率を有する層の動的弾性率とを比較するとき、差が少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは30%であることを特徴とする、請求項70〜86のいずれか1項に記載の層構造。
  88. 少なくとも2つの層は、異なる相対音響品質係数を有し、より小さい相対音響品質係数を有する層の相対音響品質係数とより大きい相対音響品質係数を有する層の相対音響品質係数とを比較するとき、差が少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%であることを特徴とする、請求項70〜87のいずれか1項に記載の層構造。
  89. 少なくとも2つの層は、異なる剛性を有し、より小さい剛性を有する層の剛性とより大きい剛性を有する層の剛性とを比較するとき、差が少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%であることを特徴とする、請求項70〜88のいずれか1項に記載の層構造。
  90. 少なくとも2つの層は、異なる相対音波抵抗を有し、より小さい音波抵抗を有する層の音波抵抗とより大きい音波抵抗を有する層の音波抵抗とを比較するとき、差が少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%であることを特徴とする、請求項70〜89のいずれか1項に記載の層構造。
  91. 少なくとも2つの層は、異なる相対音放射減衰を有し、より小さい相対音放射減衰を有する相対音放射減衰とより大きい相対音放射減衰とを比較するとき、差が少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%であることを特徴とする、請求項70〜90のいずれか1項に記載の層構造。
  92. 少なくとも2つの層の一方は、木質系材料、金属およびゴムの少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項70〜91のいずれか1項に記載の層構造。
  93. 少なくとも2つの層の少なくとも一方は、請求項1〜54のいずれか1項に記載の複合体を含むことを特徴とする、請求項70〜92のいずれか1項に記載の層構造。
  94. 請求項1〜54のいずれか1項に記載の複合体を製造する方法であって、
    熱可塑性ポリマーを含むマトリクス材料を溶融形態に加熱することと、
    有機天然繊維材料を溶融したマトリクス材料と混合することと、
    鋳型またはダイで混合物を成形することと、
    成形された混合物を凝固させて複合体を形成することと、
    を含むことを特徴とする方法。
  95. 複合体は、混合物を押出成形または射出成形することによって製造されることを特徴とする、請求項94に記載の方法。
  96. 有機天然繊維材料を溶融したマトリクス材料に混合する前に、潤滑剤を溶融したマトリクス材料と混合することを含む、請求項94または95に記載の方法。
  97. 複合体は、粒状であることを特徴とする、請求項94〜96のいずれか1項に記載の方法。
  98. 複合体は、ラウドスピーカケーシングであることを特徴とする、請求項94〜96のいずれか1項に記載の方法。
  99. 2つの表面の複合体を含み、複合体が、マトリクス材料と有機天然繊維系材料とを含む、ラウドスピーカケーシングであって、複合体と一体的にかつ同時に形成される音方向部分を含み、音方向部分はラウドスピーカケーシングの内表面に配設されることを特徴とするラウドスピーカケーシング。
  100. 音方向部分は高さを有し、ラウドスピーカケーシングは平均壁厚を有し、音方向部分の高さは壁厚に平行であり、音方向部分の高さは平均壁厚の少なくとも0.5倍であることを特徴とする、請求項99に記載のラウドスピーカケーシング。
  101. 音方向部分は、壁厚方向におけるラウドスピーカケーシングの平均壁厚の0.5〜20.0倍、好ましくは1.0〜10.0倍、より好ましくは1.5〜7.0倍の高さを有することを特徴とする、請求項100に記載のラウドスピーカケーシング。
  102. ラウドスピーカケーシングは、3〜30mm、好ましくは5〜20mmの平均壁厚を有することを特徴とする、請求項99〜101のいずれか1項に記載のラウドスピーカケーシング。
  103. ラウドスピーカケーシングは壁面を有し、音方向部分は高さおよび幅を有し、幅は壁面に平行であり、音方向部分の幅は音方向部分の高さの0.05〜1.00倍、好ましくは1.0〜0.5倍であることを特徴とする、請求項99〜102のいずれか1項に記載のラウドスピーカケーシング。
  104. 音方向部分を除くラウドスピーカケーシングの内表面面積は、ラウドスピーカケーシングの全内表面面積の70〜99%、好ましくは80〜96、より好ましくは85〜95%であることを特徴とする、請求項99〜103のいずれか1項に記載のラウドスピーカケーシング。
  105. 音方向部分は、ラウドスピーカケーシングの全内表面面積の1〜30%、好ましくは4〜20%、より好ましくは5〜15%を有することを特徴とする、請求項99〜104のいずれか1項に記載のラウドスピーカケーシング。
  106. 請求項1〜54のいずれか1項に記載の複合体を含むラウドスピーカの、屋外での使用。
  107. 請求項1〜54のいずれか1項に記載の複合体を含むラウドスピーカの、少なくとも1000mの空間での使用。
  108. 請求項1〜54のいずれか1項に記載の複合体を含むラウドスピーカの、100〜500m、または10〜100m、または2〜10mの空間での使用。
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