ADSCの単離は、クロストリジウム・ヒストリチカム(Clostridium histolyticum)IおよびII型コラゲナーゼおよびサーモリシンから構成されるリベラーゼ(商標)(Roche Diagnostics)で主に達成されてきた。クロストリジウム・ヒストリチカム(Clostridium histolyticum)からの粗製調製物は、数種のコラゲナーゼを含有するだけでなく、スルヒドリル(sulhydryl)プロテアーゼ、クロストリパイン、トリプシン様酵素およびアミノペプチダーゼも含有する。リベラーゼ(商標)酵素産生中、コラゲナーゼアイソザイムは、原材料に存在する大量の内毒素を除去する過程によって精製される。従来のコラゲナーゼ調製物には、リベラーゼ(商標)の内毒素レベルと比較して、多岐にわたる内毒素混入がある。しかし、全リベラーゼ(商標)調製物は内毒素を含有する。したがって、起源にかかわらず、細菌ブリオンからの全精製コラゲナーゼおよび中性プロテアーゼに内毒素が混入している。先行研究では、様々なコラゲナーゼ調製物中の内毒素の相対量および単離細胞健常性に対する影響が調べられており、内毒素の存在は、ADSC生存能に有害である。
本発明の長所は多数あるが、それは、最高品質の結合組織分解酵素なしでは、良好で安定な増殖能がある生存可能なADSCを遊離させることが事実上できないからである。細胞移植の成功は、単離幹細胞、培養された細胞および調製された同種移植片の品質に正比例する。本明細書中で具体化される組成物および方法は、公衆衛生に非常に役立つ。第一に、MSC単離および移植技術の分野全体における飛躍的進歩が達成される。第二に、寿命が長い最高品質のMSCの回収である。第三に、毒性をなくすことによって、脂肪組織処理およびMSC単離に対する標準的プロトコールがもたらされる。第四に、微生物起源の現在のコラゲナーゼの代わりとなり、新しい標準となる、(脂肪組織溶解のためだけでなく)組織解離実行のための高度に精製された新規組み換えMMPカクテルが提供される。第五に、本組成物は、処置および美容手順の方法において有用である。他の利益は、本記述から明らかとなろう。
好ましい実施形態の次の記述は事実上単なる代表例であり、本発明、その適用または使用を何ら制限するものではない。本発明の実施形態は、提示される理論的態様なく実施され得る。さらに、出願者らが、提示される理論により縛られることを求めないことを理解した上で、理論的態様が提示される。
本発明の完全な理解をもたらすために、多くの具体的な詳細、関係および方法が示されることを理解されたい。しかし、関連技術分野の通常の技術者は、本発明が1以上の具体的な詳細なく、または他の方法を用いて実施され得ることを容易に認めよう。本発明は、一部の行為が異なる順序でおよび/または他の行為もしくは事象と同時に起こり得るので、行為または事象の例示される順序により限定されない。さらに、本発明に従う方法を実行するために、全ての例示される行為または事象が必要とされるわけではない。
本明細書中で開示される全ての遺伝子、遺伝子名および遺伝子産物は、本明細書中で開示される組成物および方法が適用可能であるあらゆる種からのホモローグに対応するものとする。したがって、この用語には、ヒトおよびマウスからの遺伝子および遺伝子産物が含まれるが限定されない。特定の種からの遺伝子または遺伝子産物が開示される場合、この開示は単なる代表例であり、それが出現する文脈から明らかに示されない限り、限定として解釈されるべきものではないことが理解される。したがって、例えば、いくつかの実施形態において哺乳動物核酸およびアミノ酸配列に関する本明細書中で開示される遺伝子または遺伝子産物に対して、他の哺乳動物、魚類、両生類、爬虫類および鳥類を含むが限定されない他の動物からの相同および/またはオルソロガスな遺伝子および遺伝子産物を包含するものとする。好ましい実施形態において、遺伝子、核酸配列、アミノ酸配列、ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質はヒトである。
別段の定義がない限り、本明細書中で使用される全ての用語(技術および科学用語を含む。)は、本発明が属する技術分野の通常の技術者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般に使用される辞書で定義されるものなどの用語は、関連技術分野の文脈でのそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書中でそのように明白に定義されない限り、理想的なまたは過度に形式的な意味で解釈されるべきものではないことがさらに理解されよう。
定義
本明細書中で使用される用語は、単に特定の実施形態を説明する目的のためのものであり、本発明の限定ではないものとする。本明細書中で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに別段の断りを示さない限り、複数形も含むものとする。さらに、「含むこと(including)」、「含む(includes)」、「有すること(having)」、「有する(has)」、「とともに(with)」という用語またはそれらの変形物が発明を実施するための形態または特許請求の範囲の何れかで使用される程度まで、このような用語が「含む(includes)」という用語と同様に包括的であるものとする。
本明細書中で使用される場合、「含むこと(comprising)」、「含む(comprise)」または「含まれる(comprised)」という用語およびその変形物は、物品、組成物、装置、方法、過程、系などの定義されるかまたは記載される要素を参照して、包括的またはオープンエンドであることを意味し、さらなる要素が許容され、それにより、定義されるかまたは記載される、物品、組成物、装置、方法、過程、系などが、これらの特定される要素または、必要に応じてその同等物を含み、他の要素が含まれ得、同様に、定義される、物品、組成物、装置、方法、過程、系などの範囲/定義内に入ることを示す。
「約」または「およそ」という用語は、当業者により決定される場合、特定の値に対する許容可能な誤差範囲内であることを意味し、これは、一部、値がどのように測定または決定されるか、すなわち測定系の限界に依存する。例えば、当技術分野での実施に対して、「約」は、1または1を超える標準偏差内であることを意味し得る。あるいは、「約」は、一定の値の、20%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、さらにより好ましくは1%以下の範囲を意味し得る。あるいは、特に生物学的系または過程に関して、この用語は、1桁内、好ましくは値の5倍およびより好ましくは2倍内であることを意味し得る。明細書および特許請求の範囲において特定の値が記載される場合、別段の断りがない限り、特定の値に対する許容可能な誤差範囲内を意味する「約」という用語が想定されるべきである。
「任意の」または「場合によっては」は、その後に記載される事象または状況が起こってもよいしまたは起こらなくてもよく、その記載が、その事象または状況が起こる例およびそれが起こらない例を含むことを意味する。
本明細書中で使用される場合、別段の断りがない限り、「ペプチド」、「ポリペプチド」または「タンパク質」という用語は、本明細書中で交換可能に使用され、様々なサイズのアミノ酸のポリマー、例えばMMPの断片を指す。これらの用語は、具体的な長さのアミノ酸のポリマーを暗示しない。したがって、例えばオリゴペプチド、タンパク質および酵素という用語は、組み換え技術を用いて、化学的または酵素的合成を用いて産生されるかまたは天然であるかにかかわらず、ポリペプチドまたはペプチドの定義内に含まれる。この用語はまた、グリコシル化、アセチル化、リン酸化などにより修飾されているかまたは誘導体化されているポリペプチドも含む。
本明細書中で使用される場合、「核酸」または「核酸配列」または「cDNA」は、天然の状態でそれに隣接する配列から分離されている、核酸セグメントまたは断片を指し、例えば、一般にその断片に隣接する配列、例えばそれが天然に生じるゲノムにおいてその断片に隣接する配列から除去されているDNA断片であり、1以上のイントロンが除去されている核酸配列を指す。この用語はまた、天然でその核酸に付随する他のコンポーネント、例えば、細胞中で天然でそれに付随するRNAまたはDNAまたはタンパク質から実質的に精製されている核酸にも適用される。したがって、この用語は、例えば、ベクターに、自己複製するプラスミドもしくはウイルスに、または原核もしくは真核のゲノムDNAに組み込まれるか、または他の配列とは独立して個別の分子として(例えば、cDNAまたはゲノムまたはPCRもしくは制限酵素消化により作製されるcDNA断片として)存在する、組み換えDNAを含む。これはまた、組み換えDNA、例えば、さらなるポリペプチド配列をコードするハイブリッド遺伝子の一部であるDNAも含む。
「ポリヌクレオチド」は、核酸の1本鎖または平行および逆平行鎖を意味する。したがって、ポリヌクレオチドは、1本鎖または2本鎖核酸の何れかであり得る。
「変異体」という用語は、ポリヌクレオチド配列の文脈で使用される場合、野生型遺伝子に関連するポリヌクレオチド配列を包含し得る。この定義はまた、例えば、「対立遺伝子」、「スプライシング」、「種」または「多型」変異体も含み得る。スプライシング変異体は、参照分子に対して顕著な同一性を有し得るが、一般にmRNAプロセシング中のエクソンのオルタナティブスプライシングゆえに、より多いかまたはより少ない数のポリヌクレオチドを有する。対応するポリペプチドは、さらなる機能ドメインを保持し得るかまたはドメインがなくてもよい。種変異体は、種により互いに異なるポリヌクレオチド配列である。本発明で特に有用なのは、野生型遺伝子産物の変異体である。変異体は、核酸配列における少なくとも1つの突然変異の結果生じ得、その結果、mRNAの変化または構造もしくは機能が変化していてもよいしまたはしていなくてもよいポリペプチドが生じ得る。あらゆる天然または組み換え遺伝子が、対立遺伝子形態を全く有さないか、1つまたは多くの対立遺伝子形態を有し得る。変異体を生じさせる一般的な突然変異的変化は、一般に、ヌクレオチドの天然の欠失、付加または置換に帰する。これらの変化のタイプのそれぞれは、単独でまたは他のものと組み合わせて、ある一定の配列中で1回以上、出現し得る。
「コードする」は、遺伝子、cDNAまたはmRNAなど、ヌクレオチド(すなわち、rRNA、tRNAおよびmRNA)の定められた配列またはアミノ酸の定められた配列の何れかを有する生物学的過程において他のポリマーおよび巨大分子の合成のための鋳型となるための、ポリヌクレオチドにおけるヌクレオチドの特異的な配列の固有の性質およびそこから生じる生物学的特性を指す。したがって、遺伝子は、その遺伝子に対応するmRNAの転写および翻訳が、細胞または他の生体系においてタンパク質を生成させる場合、タンパク質をコードする。そのヌクレオチド配列がmRNA配列と同一であり、通常配列リストで提供されるコード鎖および遺伝子またはcDNAの転写のための鋳型として使用される非コード鎖の両者とも、その遺伝子またはcDNAのタンパク質または他の産物を「コードする」と言われ得る。「コードすること」または「コードされる」、「コードする」は、特定の核酸に関して、特定のタンパク質への翻訳に対する情報を含むものとされる。タンパク質をコードする核酸は、核酸の翻訳される領域内に非翻訳配列(例えばイントロン)を含み得るか、または(例えばcDNAにおけるように)このような介入する非翻訳配列を欠き得る。タンパク質がコードされる情報は、コドンの使用により特定される。一般的には、アミノ酸配列は、「ユニバーサル」遺伝子コードを用いて核酸によりコードされる。
別段の断りがない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」は、互いの変性型である、および同じアミノ酸配列をコードする、全ヌクレオチド配列を含む。タンパク質およびRNAをコードするヌクレオチド配列は、イントロンを含み得る。
本明細書中で使用される場合、「プロMMP」は、マトリクスメタロプロテイナーゼ(マトリクスメタロプロテアーゼとしても知られる。)のプロ型の発現の結果として得られるタンパク質を意味するために使用される。この用語の意味の範囲内で、プロMMPは、プロMMP遺伝子またはcDNA、欠失、置換およびトランケーションを含むそれらの突然変異体ならびにその修飾型によりコードされる全てのタンパク質を包含することが理解されよう。本明細書中で使用される場合、「プロMMP」という用語はまた、活性型にまだ完全にプロセシングされていない、部分的にプロセシングされた形態のプロMMPも含む。
本明細書中で使用される場合、「マトリクスメタロプロテイナーゼ」(MMP)、例えばMMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−7、MMP−8、MMP−9、MMP−10、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−14、MMP−15、MMP−16、MMP−17、MMP−18、MMP−19、MMP−20、MMP−21、MMP−23A、MMP−23B、MMP−24、MMP−25、MMP−26、MMP−27、MMP−28は、何らかのMMP活性を有するあらゆるタンパク質、ペプチドまたはポリペプチドを指す。「MMP」という用語はまた、MMP活性を有するあらゆるMMP−タンパク質、ペプチドまたはポリペプチドをコードする核酸配列も指す。「MMP」という用語はまた、他のMMPアイソフォーム、突然変異体MMP遺伝子、MMP遺伝子のスプライシング変異体およびMMP遺伝子多型など、他のMMPコード配列も含むものとする。したがって、例えばMMP−12はまた、他のMMP−12アイソフォーム、突然変異体MMP−12遺伝子、MMP−12遺伝子のスプライシング変異体およびMMP−12遺伝子多型など、他のMMP−12コード配列も含むものとする。
本明細書中で使用される場合、「活性化」という用語は、マトリクスメタロプロテイナーゼの不活性のプロ型(プロMMP)からマトリクスメタロプロテイナーゼの活性型(MMP)へ変化させるために起こるプロセシングを指す。「MMP活性化剤」は、MMPに特異的である、活性型に活性化するかまたは変換する分子である。逆に、「MMP阻害剤」は、それが特異的に作用するMMPを抑制または阻害または不活性化する分子である。
本明細書中で使用される場合、「活性」または「活性がある」という用語は、標準的な技術に従いインビボまたはインビトロで決定した場合、マトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)により発揮される活性を指す。「活性断片」という用語は、活性を付与する、分子の活性部位またはセグメントを含有する。このような活性の例としては、細胞外マトリクスコンポーネント(例えばコラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、エラスチンなど)の触媒活性などの直接的活性またはリガンドもしくはその類似体への結合能、転写活性の変化またはMMP活性によって直接的もしくは間接的に制御される遺伝子もしくは遺伝子産物のレベルの変化、MMP活性によって発現が直接的もしくは間接的に影響を受け得る別のタンパク質に対する酵素活性の変化またはMMP活性の変化の結果で起こる細胞生理機能の機能的変化が挙げられるが限定されない。
本明細書中で使用される場合、「活性部位」という用語は、動物組織、例えば脂肪の触媒活性に直接関与する、活性MMP上の領域または活性MMPの構造モチーフを指す。好ましい実施形態において、動物はヒトである。特徴付けられるマトリクスメタロプロテイナーゼのポリペプチド配列に対して少なくとも90%の同一性およびより好ましくは95%の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドの包含は、小規模な突然変異または他の変化を含むが酵素活性を保持するものなど、MMPの近縁関係がある形態を包含するものとする。類似体は、構造類似体と呼ばれ、一般に、関心のある配列がある候補ポリペプチドの残基をアライメントすることによって決定される。例えば、それらの配列の長さに沿って同一であるアミノ酸の数を最適化するために、MMP−12とともに、候補MMP−12酵素アミノ酸配列をMMP−12の既知の配列とアライメントする。同一であるアミノ酸配列数を最適化するために、アライメントを行う際に何れかまたは両配列中のギャップが許容されるが、各配列中のアミノ酸は、それらの適正な順序で残存すべきである。好ましくは、Tatusovaら(FEMS Microbiol.Lett,174:247−250(1999))により記載されるように、BLAST2検索アルゴリズムのBlastpプログラムを用いて、2個のアミノ酸配列を比較する。
本明細書中で使用される場合、「核酸配列」、「ポリヌクレオチド」および「遺伝子」という用語は、本願を通じて交換可能に使用され、相補的DNA(cDNA)、直鎖状または環状オリゴマーまたは天然および/または修飾単量体のポリマーまたは結合を含み、デオキシリボヌクレオシド、リボヌクレオシド、その置換およびアルファ−アノマー型、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸(LNA)、ホスホチオアート、メチルホスホナートなどが含まれる。
核酸配列は「キメラ」であり得、すなわち異なる領域から構成される。本発明の文脈において、「キメラ」化合物はオリゴヌクレオチドであり、これは2以上の化学的領域、例えばDNA領域、RNA領域、PNA領域などを含有する。各化学的領域は、少なくとも1つの単量体単位、すなわちヌクレオチドから成り立つ。これらの配列は、一般的には、1以上の所望の特性を示すように配列が修飾される少なくとも1つの領域を含む。
本明細書中で使用される場合、「単量体」という用語は、一般的には、数単量体単位、例えば約3から4から、約数百単量体単位のサイズの範囲であるオリゴヌクレオチドを形成させるための、ホスホジエステル結合またはその類似体により連結される単量体を示す。ホスホジエステル連結の類似物としては、下記でより詳細に記載されるように、ホスホチオアート、ホスホロジチオアート、メチルホスホルナート(phosphornate)、ホスホロセレノアート(phosphoroselenoate)、ホスホールアミダートなどが挙げられる。
本内容において、「核酸塩基」という用語は、天然の核酸塩基ならびに非天然の核酸塩基を包含する。当業者にとって明らかなように、以前に「非天然」とみなしてきた様々な核酸塩基がその後に天然で見出されてきた。したがって、「核酸塩基」は、既知のプリンおよびピリミジン複素環だけでなく、複素環類似体およびその互変異性体も含む。核酸塩基の実例となる例は、Bennerら、米国特許第5,432,272号に記載の、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、ウラシル、プリン、キサンチン、ジアミノプリン、8−オキソ−N6−メチルアデニン、7−デアザキサンチン、7−デアザグアニン、N4,N4−エタノシトシン、N6,N6−エタノ−2,6−ジアミノプリン、5−メチルシトシン、5−(C3−C6)−アルキニルシトシン、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、シュードイソシトシン、2−ヒドロキシ−5−メチル−4−トリアゾロピリジン、イソシトシン、イソグアニン、イノシンおよび「非天然の」核酸塩基である。「核酸塩基」という用語は、これらの例ならびにその類似体および互変異性体のあらゆる全てを包含するものとする。特に関心がある核酸塩基は、アデニン、グアニン、チミン、シトシンおよびウラシルであり、これらは、ヒトでの治療および診断適用に関連して、天然の核酸塩基としてみなされる。
本明細書中で使用される場合、「ヌクレオシド」は、天然のヌクレオシドを含み、これには、例えばKornbergおよびBaker,DNA Replication,2nd Ed.(Freeman,San Francisco,1992)で記載されるような、2’−デオキシおよび2’−ヒドロキシ型が含まれる。
ヌクレオシドに関する「類似体」は、例えば一般的にScheit,Nucleotide Analogs,John Wiley,New York,1980;Freier & Altmann,Nucl.Acid.Res.,1997,25(22),4429−4443,Toulme,J.J.,Nature Biotechnology 19:17−18(2001);Manoharan M.,Biochemica et Biophysica Acta 1489:117−139(1999);Freier S.M.,Nucleic Acid Research,25:4429−4443(1997),Uhlman,E.,Drug Discovery & Development,3:203−213(2000),Herdewin P.,Antisense & Nucleic Acid Drug Dev.,10:297−310(2000),)により記載の修飾塩基部分および/または修飾糖部分;2’−O,3’−C−連結[3.2.0]ビシクロアラビノヌクレオシド(例えばN.K Christiensenら、J.Am.Chem.Soc,120:5458−5463(1998)参照)を有する合成ヌクレオシドを含む。このような類似体としては、例えば二重または三重安定性、特異性など、結合特性を促進するために設計される合成ヌクレオシドが挙げられる。
「変異体」という用語は、ポリヌクレオチド配列の文脈で使用される場合、野生型遺伝子に関するポリヌクレオチド配列を包含し得る。この定義は、例えば、「対立遺伝子」、「スプライシング」、「種」または「多型」変異体も含み得る。スプライシング変異体は、参照分子と顕著な同一性を有し得るが、一般に、mRNAプロセシング中のエクソンのオルタナティブスプライシングゆえに、より多いかまたはより少ない数のポリヌクレオチドを有する。対応するポリペプチドは、さらなる機能ドメインを保持し得るか、またはドメインがなくてもよい。種変異体は、種により互いに異なるポリヌクレオチド配列である。本発明で特に有用なのは、野生型標的遺伝子産物の変異体である。変異体は、核酸配列における少なくとも1つの突然変異の結果生じ得、その結果、mRNAの変化または構造または機能が変化していてもよいし、またはしていなくてもよいポリペプチドが得られ得る。あらゆる天然または組み換え遺伝子が、対立遺伝子形態を全く有さなくてもよいし、または1つまたは多く有してもよい。変異体を生じさせる一般的な突然変異的変化は、一般に、ヌクレオチドの天然の欠失、付加または置換に帰する。これらの変化のタイプのそれぞれは、単独でまたは他のものと組み合わせて、ある一定の配列中で1回以上出現し得る。
結果として得られるポリペプチドは、一般に互いに対して顕著なアミノ酸同一性を有する。多型変異体は、ある一定の種の個体間の特定の遺伝子のポリヌクレオチド配列中の変動である。多型変異体はまた、ポリヌクレオチド配列が1個の塩基により変動する「一塩基多型」(SNP)または一塩基突然変異も包含し得る。SNPの存在は、例えば、感受性対耐性である、疾患状況に対する傾向がある一定の集団を示し得る。
本明細書中で使用される場合、ポリペプチドの「変異体」は、1以上のアミノ酸残基により変化しているアミノ酸配列を指す。変異体は「保存的」変化を有し得、置換されたアミノ酸は同様の構造または化学特性を有する(例えばイソロイシンによるロイシンの置き換え)。殆どないが、変異体は、「非保存的」変化を有し得る(例えばトリプトファンによるグリシンの置き換え)。類似の小さな変動はまた、アミノ酸欠失もしくは挿入または両方も含み得る。生物学的活性を無効にすることなくどのアミノ酸残基が置換、挿入または欠失され得るかを決定する際の指針は、当技術分野で周知のコンピュータープログラム、例えばLASERGENEソフトウェア(DNASTAR)を用いて見出され得る。
本明細書中で使用される場合、「組織」という用語は、患者の構造的または他の物質の1つを形成するそれらの細胞外物質と一緒に細胞の凝集体を指す。本明細書中で使用される場合、「組織」という用語は、毛細血管、血管、筋肉および器官組織、創傷組織、腫瘍組織、骨組織または軟骨組織を含むが限定されない、身体のあらゆる組織を含むものとする。また、「組織」という用語は、本明細書中で使用される場合、個々の細胞も指し得る。
本文脈において、「間質血管細胞群(SVF)」は、脂肪組織から単離される細胞を指し、本明細書中で具体化される組成物で脂肪組織を処理することによる殆どの成熟脂肪細胞除去後の細胞の残存群を意味する。
「脂肪由来間質幹細胞」は、SVFから得られる間葉系幹細胞を意味し、「脂肪由来幹細胞(ASC)」、「脂肪由来幹細胞(ADSC)」、「脂肪幹細胞」などとも呼ばれ得る。本発明における脂肪由来間質幹細胞は、特にそれらに限定されないが脂肪吸引または外科的切除によってヒト皮下脂肪組織から単離され得る。
「骨髄由来前駆細胞」(BMDC)または「骨髄由来幹細胞」は、構成的に活性である自己再生のための機構がある原始幹細胞を指す。この定義には、全能性の、多能性のおよび前駆体である幹細胞が含まれる。「前駆体細胞」は、より成熟した細胞への分化が可能である細胞分化経路における何らかの細胞であり得る。このようなものとして、「前駆体細胞集団」という用語は、より成熟した細胞に進むことが可能な細胞の群を指す。前駆体細胞集団は、全能性である細胞、多能性である細胞および制限される幹細胞系列である細胞(すなわち、全てではない造血系列にまたは例えば赤血球系列の細胞にのみ進むことが可能な細胞)を含み得る。本明細書中で使用される場合、「全能性の細胞」という用語は、全ての細胞系列に進むことが可能な細胞を指す。同様に「全能性の細胞集団」という用語は、全ての細胞系列に進むことが可能な細胞の組成物を指す。また、本明細書中で使用される場合、「多能性の細胞」という用語は、(全てではないが)様々な系列に進むことが可能であり、少なくとも全造血系列(例えば、リンパ球、赤血球および血小板系列)に進むことができる細胞を指す。骨髄由来幹細胞は、2種類のよく特徴が分かっている幹細胞型を含有する。間葉系幹細胞(MSC)は通常、軟骨細胞および骨芽細胞を形成する。造血幹細胞(HSC)は、血液および免疫系(例えば、赤血球、顆粒球/マクロファージ、マガカリオサイト(magakaryocite)およびリンパ球系列)の細胞を通常は生じさせる中胚葉起源のものである。さらに、造血幹細胞はまた、肝臓(肝細胞、胆管細胞を含む。)、肺、腎臓(例えば腎尿細管上皮細胞および腎実質)、消化管、骨格筋繊維、CNSの星状細胞、プルキンエニューロン、心筋(例えば心筋細胞)、内皮および皮膚の細胞への分化能を有することも示されている。本明細書中で使用される場合、「幹細胞」という用語は、一般的用語であり、全てのタイプの幹細胞を包含するものとする。
細胞または幹細胞を「単離すること」は、細胞または幹細胞を組織試料から取り除き、組織の所望の細胞または幹細胞ではない他の細胞から分離する過程を指す。単離幹細胞は、一般に他の細胞型による混入がなく、一般にそれが単離された組織の成熟細胞を生成させるための増殖および分化能を有する。しかし、幹細胞の一群、例えば幹細胞の培養物を扱う場合、100%純粋である幹細胞の一群を得ることは実際的に不可能であることが理解される。したがって、単離幹細胞は、他の分化した細胞型の分析または産生に対する幹細胞の利用を妨げない僅かな他の細胞型の存在下で存在し得る。単離幹細胞は、一般に、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、98%または99%純粋である。好ましくは、本発明による単離幹細胞は、少なくとも98%または少なくとも99%純粋である。幹細胞はあらゆる組織から単離され得る。いくつかの実施形態において、組織は脂肪組織である。
「生体試料」は、固形(例えば組織、器官)および体液試料を含む。本発明で使用される生体試料は、細胞、タンパク質または細胞の膜抽出物、血液または体液、例えば腹水または脳液(例えば脳脊髄液)を含み得る。固形生体試料の例としては、中枢神経系、骨、乳房、腎臓、子宮頸部、子宮内膜、頭/頸部、胆嚢、耳下腺、前立腺、脳下垂体、筋肉、食道、胃、小腸、結腸、肝臓、脾臓、膵臓、甲状腺、心臓、肺、膀胱、脂肪、リンパ節、子宮、卵巣、副腎、精巣、扁桃腺および胸腺の組織から採取される試料が挙げられるが限定されない。「体液試料」の例としては、血液、血清、精液、前立腺液、精漿、尿、唾液、痰、粘液、骨髄、リンパおよび涙が挙げられるが限定されない。
「移植片」という用語は、受容対象哺乳動物において免疫反応を誘発し得る、何らかの細胞、器官、器官系または組織を含む。したがって、一般に、移植片としては、同種移植または異種移植細胞、器官、器官系または組織が挙げられる。同種移植片は、受容者と同じ種のメンバーから得られる移植片(細胞、器官、器官系または組織)を指す。異種移植片は、受容者と異なる種のメンバーから得られる移植片(細胞、器官、器官系または組織)を指す。
「処置」は、障害の病態または症状の発現を予防するかまたは変化させる意図を持って行われる介入である。したがって、「処置」は、治療的処置および予防的もしくは防御的手段の両方を指す。「処置」は、緩和ケアとしても規定され得る。処置を必要とする者としては、障害が既にある者ならびに障害を予防しようとする者が挙げられる。したがって、病状、障害または状態を「処置すること(treating)」またはその「処置」としては、次のものが挙げられる:(1)病状、障害または状態に罹患している可能性があるかまたはそれに罹患し易いが病状、障害または状態の臨床もしくは無症状性症状をまだ経験もしくは呈していないヒトまたは他の哺乳動物で発現する病状、障害または状態の臨床症状の発生を予防または遅延させること;(2)病状、障害または状態を阻害すること、すなわち、疾患の発症またはその再発(維持療法の場合)または少なくとも1つのその臨床または無症状性症状を抑止、軽減または遅延させること;または(3)疾患を緩和すること、すなわち病状、障害もしくは状態またはその臨床もしくは無症状性症状の少なくとも1つの軽減を引き起こすこと。処置しようとする個体に対する利益は、患者または医師に対して、統計学的に有意であるかまたは少なくとも認知可能なものである。
「患者」または「個体」または「対象」という用語は、本明細書中で交換可能に使用され、処置しようとする哺乳動物対象を指し、ヒト患者が好ましい。いくつかの場合において、本発明の方法は、実験動物において、獣医学的適用において、およびマウス、ラットおよびハムスターを含むげっ歯類および霊長類を含むが限定されない、疾患に対する動物モデルの開発において利用されている。
本明細書中で定義されるように、化合物または薬剤の「治療的有効」量(すなわち有効な投与量)は、治療的に(例えば臨床的に)望ましい結果を生じさせるのに十分な量を意味する。本組成物は、1日あたり1回以上から週に1回以上投与され得;これには1日おきに1回も含まれる。当業者にとって当然のことながら、疾患または障害の重症度、以前の処置、対象の総体的健康状態および/または年齢および存在する他の疾患を含むが限定されないある一定の要因が、対象を効果的に処置するために必要とされる投与量およびタイミングに影響を及ぼし得る。さらに、治療的有効量の本発明の化合物での対象の処置には、単回処置または一連の処置が含まれ得る。
本明細書中で定義されるように、化合物または薬剤の「有効」量(すなわち有効投与量)は、(例えば臨床的に)望ましい結果を生じさせるのに十分な量を意味する。いくつかの実施形態において、所望の結果は、脂肪組織または脂肪沈着の分解である。他の実施形態において、所望の結果は、様々な組織、骨髄、器官からの幹細胞の単離である。他の実施形態において、所望の結果は、膵臓からの膵島単離である。他の実施形態において、所望の結果は、ヒト卵巣組織からの生きている濾胞の単離である。他の実施形態において、所望の結果は、心筋細胞、繊維芽細胞および樹状細胞を含む様々な細胞型を単離するための組織解離である。
「医薬的に許容可能なプロドラッグ」という用語は、本明細書中で使用される場合、健全な医学的判断の範囲内で、過度な毒性、刺激、アレルギー性反応などを伴う、ヒトおよび下等動物の組織と接触させる使用に適切であり、合理的なベネフィット/リスク比に釣り合っており、それらの意図する使用に有効である、本発明の過程により形成されるMMP化合物のプロドラッグならびに、可能な場合は、本発明の化合物の双性イオン型を指す。「プロドラッグ」は、本明細書中で使用される場合、本発明の処方により表される何らかの化合物を得るために代謝的手段によって(例えば加水分解によって)インビボで変換可能である化合物を意味する。例えばBundgaard(編),Design of Prodrugs,Elsevier(1985);Widderら(編)、Methods in Enzymology,vol.4,Academic Press(1985);Krogsgaard−Larsenら(編).「Design and Application of Prodrugs,Textbook of Drug Design and Development,Chapter 5,113−191(1991);Bundgaardら、Journal of Drug Deliver Reviews,8:1−38(1992);Bundgaard,J.of Pharmaceutical Sciences,77:285 et seq.(1988);HiguchiおよびStella(編)Prodrugs as Novel Drug Delivery Systems,American Chemical Society(1975);およびBernard Testa & Joachim Mayer,「Hydrolysis In Drug And Prodrug Metabolism:Chemistry,Biochemistry And Enzymology,」John Wiley and Sons,Ltd.(2002)で論じられるように、プロドラッグの様々な形態が当技術分野で公知である。
本明細書中で使用される場合、「医薬的に許容可能な塩」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、過度な毒性、刺激、アレルギー性反応などなく、ヒトおよび下等動物の組織と接触させる使用に適切であり、合理的なベネフィット/リスク比に釣り合っている、本発明の過程により形成される化合物の塩を指す。医薬的に許容可能な塩は当技術分野で周知である。例えば、S.M.Bergeらは、J.Pharmaceutical Sciences,66:1−19(1977)において詳細に医薬的に許容可能な塩を記載している。塩は、本発明の分子の最終単離および精製中にインシトゥで、または遊離塩基官能基を適切な有機酸と反応させることによって個別に調製され得る。医薬的に許容可能な無毒性酸付加塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸などの無機酸を用いて、または酢酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸またはマロン酸などの有機酸を用いて、またはイオン交換などの当技術分野で使用される他の方法を使用することによって形成されるアミノ基の塩が挙げられるが限定されない。他の医薬的に許容可能な塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリル酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられるが限定されない。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。さらなる医薬的に許容可能な塩としては、適切な場合、無毒性のアンモニウム、四級アンモニウムおよび、ハロゲン化物、ヒドロキシド、カルボン酸、硫酸、リン酸、硝酸、1から6個の炭素原子を有するアルキル、スルホン酸およびアリールスルホン酸などの対イオンを用いて形成されるアミン陽イオンが挙げられる。
本明細書中で使用される場合、「キット」という用語は、物質を送達するための何らかの送達系を指す。「キット」という用語に含まれるのは、研究および臨床適用の両方のためのキットである。反応アッセイの文脈において、このような送達系には、ある場所から別の場所への、反応試薬(例えば適切な容器中のオリゴヌクレオチド、酵素など)の保管、輸送または送達を可能にする系および/または補助物質(例えば緩衝剤、アッセイを行うための書面の説明書など)が含まれる。例えば、キットには、関連の反応試薬および/または補助物質を含有する1以上の筐体(例えば箱)が含まれる。本明細書中で使用される場合、「断片化キット」という用語は、それぞれ全体的なキットコンポーネントのサブポーションを含有する2以上の個別の容器を含む送達系を指す。容器は、一緒にまたは個別に意図する受取人に送達され得る。例えば、第一の容器は、アッセイでの使用のための酵素を含有し得、一方で第二の容器はオリゴヌクレオチドを含有する。「断片化キット」という用語は、Federal Food,Drug,and Cosmetic Actのsection 520(e)のもと規制される検体特異的試薬(ASR)を含有するキットを包含するものとするがこれに限定されない。実際に、それぞれが全キットコンポーネントのサブポーションを含有する2以上の個別の容器を含む何らかの送達系が「断片化キット」という用語に含まれる。それに対して、「複合キット」とは、1つの容器中(例えば所望のコンポーネントのそれぞれを収用する1つの箱の中)に反応アッセイのコンポーネント全てを含有する送達系を指す。「キット」という用語は断片化および複合キットの両方を含む。
一般的技術
本発明の実施において有用な一般的技術のさらなる精緻化のために、実行者は、細胞生物学、組織培養、発生学および生理学における標準的な教科書および概論を参照し得る。
組織培養および胚性幹細胞に関して、読者は、Teratocarcinomas and embryonic stem cells:A practical approach(E.J.Robertson編、IRL Press Ltd.1987);Guide to Techniques in Mouse Development(P.M.Wassermanら編、Academic Press 1993);Embryonic Stem Cell Differentiation in vitro(M.V.Wiles,Meth.Enzymol.225:900,1993);Properties and uses of Embryonic Stem Cells:Prospects for Application to Human Biology and Gene Therapy(P.D.Rathjenら、Reprod.Fertil.Dev.10:31,1998)を参照することを願い得る。
分子および細胞生化学の一般的方法は、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd Ed.(Sambrookら、Harbor Laboratory Press 2001);Short Protocols in Molecular Biology,4th Ed.(Ausubelら編、John Wiley & Sons 1999);Protein Methods(Bollagら、John Wiley & Sons 1996);Nonviral Vectors for Gene Therapy(Wagnerら編、Academic Press 1999);ウイルスベクター(Kaplift & Loewy編、Academic Press 1995);Immunology Methods Manual(I.Lefkovits編、Academic Press 1997);およびCell and Tissue Culture:Laboratory Procedures in Biotechnology(Doyle & Griffiths,John Wiley & Sons 1998)のような標準的教科書で見出すことができる。本開示で言及される遺伝子操作のための試薬、クローニングベクターおよびキットは、BioRad、Stratagene、Invitrogen、Sigma−AldrichおよびClonTechなどの市販業者から入手可能である。
組成物
マトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)は、コラーゲン、エラスチン、ラミニンおよびフィブロネクチンなどの細胞外マトリクスタンパク質を消化する構造的に関連がある亜鉛依存性タンパク質分解酵素のファミリーである。少なくとも22種類の異なる哺乳動物MMP−タンパク質が同定されており、これらは基質特異性およびドメイン構造に基づいてグループ分けされている。MMPの酵素活性は、様々な細胞型でのそれらの遺伝子発現によってだけではなく、それらの不活性酵素前駆体前駆体(プロMMP)の活性化およびメタロプロテイナーゼの内因性阻害剤および組織阻害剤(TIMP)による阻害によっても正確に調節される。酵素は、正常なホメオスタシス組織リモデリング事象で重要な役割を果たすが、また、関節炎、歯周炎および組織潰瘍などの多くの結合組織疾患において、および癌細胞浸潤および転移においても、マトリクスの病的破壊に関与すると考えられる。
本発明の実施形態は、1以上のマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)を含む組成物を対象とする。MMPは、活性化状態であるかまたは、例えばプロ酵素型(プロMMP)などの不活性型であり得るか、または活性断片を含有し得る。MMPは、本明細書中で具体化される様々な組成物において、少なくとも1つのマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)またはそのプロMMPを含む。他の実施形態において、MMPは、本明細書中で具体化される様々な組成物において、少なくとも2つのマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)またはそのプロMMPを含む。他の実施形態において、MMPは、本明細書中で具体化される様々な組成物において、少なくとも3つのマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)またはそのプロMMPを含む。他の実施形態において、MMPは、本明細書中で具体化される様々な組成物において、少なくとも4つのマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)またはそのプロMMPを含む。他の実施形態において、MMPは、本明細書中で具体化される様々な組成物において、少なくとも5つのマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)またはそのプロMMPを含む。他の実施形態において、MMPは、本明細書中で具体化される様々な組成物において、少なくとも6つの、7つのまたはより多くのマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)またはそのプロMMPを含む。上記で論じられるように、「MMPまたはプロMMP」という用語は、別段の断りがない限り、本明細書中で具体化される様々な組成物において、核酸配列、アミノ酸配列、活性断片、合成断片、欠失、置換およびトランケーションを含む突然変異体、ならびにその修飾型、誘導体、変異体、相同体および/またはオルソロガス遺伝子、cDNA、RNA、キメラ分子、アイソフォーム、突然変異体遺伝子、スプライシング変異体遺伝子、遺伝子多型またはそれらの何らかの組み合わせを含む。本明細書中で具体化される分子は、その医薬組成物、医薬的に許容可能なその塩もしくはプロドラッグまたはそれらの何らかの組み合わせを含む。
ある一定の組織コンポーネント、最初に例えばコラーゲンを分解することが所望され得る。実施形態において、本組成物は、活性および不活性型両方のMMPを含む。例えば、一方のMMPが活性型であり得、第二のMMPは不活性型であり得る。不活性MMPは、活性化剤、例えば酵素を添加することによっていつでも活性化され得る。したがって、ある組織コンポーネントを最初に分解させ、それに続いて別のものなどを分解させ得る。
好ましい実施形態において、組成物は、有効量のマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)またはそのプロMMPを含み、このMMPまたはそのプロMMPは、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−7、MMP−8、MMP−9、MMP−10、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−14、MMP−15、MMP−16、MMP−17、MMP−18、MMP−19、MMP−20、MMP−21、MMP−23A、MMP−23B、MMP−24、MMP−25、MMP−26、MMP−27、MMP−28、活性断片、突然変異体、変異体、その医薬組成物、医薬的に許容可能なその塩もしくはプロドラッグまたはそれらの何らかの組み合わせを含む。
好ましい実施形態において、組成物は、有効量の少なくとも2つのマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)またはそのプロMMPを含み、このMMPまたはそのプロMMPは、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−7、MMP−8、MMP−9、MMP−10、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−14、MMP−15、MMP−16、MMP−17、MMP−18、MMP−19、MMP−20、MMP−21、MMP−23A、MMP−23B、MMP−24、MMP−25、MMP−26、MMP−27、MMP−28、活性断片、突然変異体、変異体、その医薬組成物、医薬的に許容可能なその塩もしくはプロドラッグまたはそれらの何らかの組み合わせを含む。
好ましい実施形態において、組成物は、有効量の少なくとも3つのマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)またはそのプロMMPを含み、このMMPまたはそのプロMMPは、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−7、MMP−8、MMP−9、MMP−10、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−14、MMP−15、MMP−16、MMP−17、MMP−18、MMP−19、MMP−20、MMP−21、MMP−23A、MMP−23B、MMP−24、MMP−25、MMP−26、MMP−27、MMP−28、活性断片、突然変異体、変異体、その医薬組成物、医薬的に許容可能なその塩もしくはプロドラッグまたはそれらの何らかの組み合わせを含む。
好ましい実施形態において、組成物は、有効量の少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つまたは7つまたはそれを超えるマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)またはそのプロMMPを含み、このMMPまたはそのプロMMPは、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−7、MMP−8、MMP−9、MMP−10、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−14、MMP−15、MMP−16、MMP−17、MMP−18、MMP−19、MMP−20、MMP−21、MMP−23A、MMP−23B、MMP−24、MMP−25、MMP−26、MMP−27、MMP−28、活性断片、突然変異体、変異体、その医薬組成物、医薬的に許容可能なその塩もしくはプロドラッグまたはそれらの何らかの組み合わせを含む。
好ましい実施形態において、MMP、不活性MMPまたはプロ酵素(プロMMP)は、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、核酸配列、cDNA、リボ核酸配列、キメラ分子、ペプチド模倣物、ペプチド核酸(PNA)またはそれらの組み合わせを含む。
他の実施形態において、本組成物は、有効量のマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)またはそのプロMMPを含み、このMMPまたはそのプロMMPは、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−8、MMP−9、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−19、MMP−25、活性断片、突然変異体、変異体、その医薬組成物、医薬的に許容可能なその塩もしくはプロドラッグまたはそれらの何らかの組み合わせを含む。他の実施形態において、本組成物は、有効量の少なくとも2つ、少なくとも3つ、4つまたはそれを超えるマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)またはそのプロMMPを含み、このMMPまたはそのプロMMPは、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−8、MMP−9、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−19、MMP−25、活性断片、突然変異体、変異体、その医薬組成物、医薬的に許容可能なその塩もしくはプロドラッグまたはそれらの何らかの組み合わせを含む。
好ましい実施形態において、組成物は、有効量のマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)またはそのプロMMPを含み、医薬組成物において、このMMPまたはそのプロMMPは、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−7、MMP−8、MMP−9、MMP−10、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−14、MMP−15、MMP−16、MMP−17、MMP−18、MMP−19、MMP−20、MMP−21、MMP−23A、MMP−23B、MMP−24、MMP−25、MMP−26、MMP−27、MMP−28、活性断片、突然変異体、変異体またはそれらの何らかの組み合わせを含む。
好ましい実施形態において、組成物は、有効量のマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)またはそのプロMMPを含み、医薬組成物において、このMMPまたはそのプロMMPは、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−8、MMP−9、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−19、MMP−25、活性断片、突然変異体、変異体またはそれらの何らかの組み合わせを含む。
いくつかの実施形態において、有効量の何れか1つのMMPまたはそのプロ酵素(すなわちプロMMP)は脂肪組織を異化する。他の実施形態において、有効量の何れか2以上のMMPまたはそのプロMMPは、脂肪組織を解離させるかまたは異化する。
脂肪組織細胞外マトリクス(ECM)は「疎性結合組織」として記載されている。ウシ脂肪組織ECMの免疫蛍光染色から、I、III、IV、VおよびVI型コラーゲン、ラミニンおよびフィブロネクチンが明らかになった。より詳細なプロテオミック分析から、種に基づく幾分かの変動が示されたが、コラーゲンは一貫している。デコリンまたは他のプロテオグリカンは脂肪組織ECMにおいて重要であり得る。ヒト脂肪組織ECMの定量から、顕著なレベルの酸溶解性コラーゲンおよびエラスチンが示されたが、硫酸化グリコサミノグリカン(GAG)は低レベルでしかなかった。マトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)は、コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチンおよびエラスチンを含む、実際上全てのECMコンポーネントの分解を触媒可能な酵素のファミリーである。MMPの幅広いスペクトル阻害によって、脂肪組織増殖が損なわれるが、一方でMMP−3およびMMP−11欠損マウスは、野生型マウスよりも多くの脂肪組織を発達させた。このことから、MMPが脂肪組織リモデリングに関与することが示される。
脂肪組織ECM組成を考慮すると、いくつかの実施形態において、本組成物は、ECMの効率的な消化およびADSCの放出のためのMMPの混合物を含む。例えば、MMP−1またはMMP−8の組み合わせ(IおよびIII型コラーゲンに対するもの)、MMP−3またはMMP−19(IV型コラーゲン、フィブロネクチンおよびラミニンに対するもの)およびMMP−2またはMMP−9(IVおよびV型コラーゲンに対するもの)が必要とされ得る。VI型コラーゲンの消化が所望される場合、MMP−11が使用され得、一方でエラスチン消化はMMP−12を必要とする。
MMPおよびそれらの特異的な基質の例としては、次のものが挙げられるが限定されない:MMP−1、基質としては、I、II、III、VII、VIII、X型コラーゲン、ゼラチンが挙げられる。MMP−2、基質としては、ゼラチン、I、II、III、IV、VII、X型コラーゲンが挙げられる。MMP−3、基質としては、II、IV、IX、X、XI型コラーゲン、ゼラチンが挙げられる。MMP−7、基質としては、フィブロネクチン、ラミニン、IV型コラーゲン、ゼラチンが挙げられる。MMP−8、基質としては、I、II、III、VII、VIII、X型コラーゲン、アグリカン、ゼラチンが挙げられる。MMP−9、基質としては、ゼラチン、IV、V型コラーゲンが挙げられる。MMP−10、基質としては、IV型コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン、エラスチンが挙げられる。MMP−11、基質としては、IV型コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、アグリカンが挙げられる。MMP−12、基質としては、エラスチン、フィブロネクチン、IV型コラーゲンが挙げられる。MMP−13、基質としては、ColI、II、III、IV、IX、X、XIV、ゼラチンが挙げられる。MMP−14、基質としては、ゼラチン、フィブロネクチン、ラミニンが挙げられる。MMP−15、基質としては、ゼラチン、フィブロネクチン、ラミニンが挙げられる。MMP−16、基質としては、ゼラチン、フィブロネクチン、ラミニンが挙げられる。MMP−17、基質としては、フィブリノーゲン、フィブリンが挙げられる。MMP−18は、コラゲナーゼ4、xcol4、アフリカツメガエルコラゲナーゼとしても知られる。MMP−19はRASI−1としても知られ、場合によりストロメリシン−4と呼ばれる。MMP−20はエナメリシンとしても知られる。MMP−21はX−MMP−としても知られる。MMP−23A(CA−MMP−)膜結合II型膜貫通システインアレイ。MMP−23B−膜結合II型−膜貫通システインアレイ。MMP−24(MT5−MMP−)膜結合I型膜貫通MMP−。MMP−25(MT6−MMP−)膜結合グリコシルホスファチジルイノシトール−連結。MMP−26はマトリライシン−2、エンドメターゼとしても知られる。MMP−27はMMP−22、C−MMP−としても知られる。MMP−28はエピリシンとしても知られる。
したがって、細胞塊(例えば腫瘍)、タンパク質、組織および器官を解離させるために、または様々な組織および器官から異なる細胞型を単離するために使用されるMMPの組成物は、解離させようとする細胞塊、タンパク質、組織または器官のタイプまたは単離のための所望の細胞を含む組織もしくは器官の解離に依存して変化し得る。例えば、脂肪組織の効率的な異化のためのMMPの混合物は、2以上のMMPを含み、例えばMMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−8、MMP−9、MMP−11、MMP−12、MMP−19およびMMP−25などが含まれる。この場合において、I−III型コラーゲンを効率的に切断する能力に基づき、MMP−1およびMMP−8が選択されよう。MMP−2およびMMP−9はIVおよびV型コラーゲンを切断する。MMP−3およびMMP−19はIV型コラーゲン、フィブロネクチンおよびラミニンに対する活性を有し、MMP−12はエラスチンを効率的に切断し、MMP−11はVI型コラーゲンを切断する。MMPは、一般的にはセリンプロテアーゼ(トリプシン、キモトリプシン)を用いて活性化され、次いでセリンプロテアーゼ阻害剤を用いる。
別の実施形態において、膵臓または膵臓組織から膵島細胞を単離するための組成物は、有効量のマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)またはそのプロMMPを含み、このMMPまたはそのプロMMPは、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−7、MMP−8、MMP−9、MMP−10、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−14、MMP−15、MMP−16、MMP−17、MMP−18、MMP−19、MMP−20、MMP−21、MMP−23A、MMP−23B、MMP−24、MMP−25、MMP−26、MMP−27、MMP−28活性断片、突然変異体、変異体、その医薬組成物またはそれらの何らかの組み合わせを含む。
別の好ましい実施形態において、パンクレアーゼ(pancrease)または膵臓組織から膵島細胞を単離する方法は、有効量の少なくとも2以上のマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)または不活性MMPまたはそのプロ酵素(プロMMP)を含む組成物と生体試料を接触させることを含み、このMMP、不活性MMPまたはそのプロMMPは、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−7、MMP−8、MMP−9、MMP−10、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−14、MMP−15、MMP−16、MMP−17、MMP−18、MMP−19、MMP−20、MMP−21、MMP−23A、MMP−23B、MMP−24、MMP−25、MMP−26、MMP−27、MMP−28、活性断片、突然変異体、変異体、その医薬組成物またはそれらの何らかの組み合わせを含み、この組成物は、膵臓または膵臓組織を異化するかまたは解離させ、それによって幹細胞を単離する。好ましくは、MMP、不活性MMPまたはそのプロMMPは、場合によっては1以上のMMPの1以上の活性断片、不活性MMPまたは活性断片を含むプロMMPを含む。別の好ましい実施形態において、本方法は、不活性MMPまたはその断片を活性化する1以上の薬剤を投与することをさらに含む。
別の実施形態において、心筋細胞を単離するための組成物は有効量のマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)またはそのプロMMPを含み、このMMPまたはそのプロMMPは、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−7、MMP−8、MMP−9、MMP−10、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−14、MMP−15、MMP−16、MMP−17、MMP−18、MMP−19、MMP−20、MMP−21、MMP−23A、MMP−23B、MMP−24、MMP−25、MMP−26、MMP−27、MMP−28、活性断片、突然変異体、変異体、その医薬組成物、医薬的に許容可能なその塩もしくはプロドラッグまたはそれらの何らかの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、本組成物は、有効量の2以上、3以上、4以上のマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、不活性MMPまたはそのプロ酵素(プロMMP)を含む。
別の実施形態において、組織解離のための組成物は有効量のマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)またはそのプロMMPを含み、このMMPまたはそのプロMMPは、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−7、MMP−8、MMP−9、MMP−10、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−14、MMP−15、MMP−16、MMP−17、MMP−18、MMP−19、MMP−20、MMP−21、MMP−23A、MMP−23B、MMP−24、MMP−25、MMP−26、MMP−27、MMP−28、活性断片、突然変異体、変異体、その医薬組成物、医薬的に許容可能なその塩もしくはプロドラッグまたはそれらの何らかの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、本組成物は、有効量の2以上、3以上、4以上のマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、不活性MMPまたはそのプロ酵素(プロMMP)を含む。上記で論じられるように、組織は、あらゆるタイプの組織であり得、細胞はあらゆるタイプの細胞であり得る。例えば、繊維芽細胞、樹状細胞、幹細胞などである。
別の実施形態において、ヒト卵巣組織から生きている濾胞を単離するための組成物は、有効量のマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)またはそのプロMMPを含み、このMMPまたはそのプロMMPは、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−7、MMP−8、MMP−9、MMP−10、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−14、MMP−15、MMP−16、MMP−17、MMP−18、MMP−19、MMP−20、MMP−21、MMP−23A、MMP−23B、MMP−24、MMP−25、MMP−26、MMP−27、MMP−28、活性断片、突然変異体、変異体、その医薬組成物、医薬的に許容可能なその塩もしくはプロドラッグまたはそれらの何らかの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、本組成物は、有効量の2以上、3以上、4以上のマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、不活性MMPまたはそのプロ酵素(プロMMP)を含む。
本組成物が無毒性であるため、単離細胞は、患者を処置するための様々な手順、例えば細胞のエクスビボ増殖および対照への細胞の再注入、移植、単離細胞の移植、再生医療における幹細胞の使用、細胞もしくは組織塊の破壊、例えば繊維症を処置することなどにおけるものに対して使用され得る。
他の実施形態において、本組成物は、1以上のMMPの1以上の活性断片または活性断片を含むそのプロMMPを含み、この活性断片は脂肪組織を異化する。いくつかの実施形態において、MMPは活性もしくは不活性であるか、または本組成物は、活性および不活性型のMMPの組み合わせを含む。他の実施形態において、本組成物は、活性化剤、例えば酵素をさらに含む。他の実施形態において、活性化剤は、独立に投与されるか、または組成物のコンポーネントであり得る。他の実施形態において、本組成物は、医薬賦形剤を含む。
本明細書中で具体化される組成物は、様々な濃度、比率、タイプの1以上のMMPを含む。特定の組成物に存在するMMPは、特定の細胞型の単離のための、または組織、組織および細胞塊または器官などを消化するかまたは解離させるための、組織または器官のタイプに依存して、タイプ、量などの両方が変動する。例えば、組織が間質コラーゲンを含む場合、「コラーゲン溶解性」MMP−[それらの三重ヘリックスドメイン内で間質コラーゲン(IからIII型)のうち1以上の加水分解を触媒するもの]が使用される。コラーゲン溶解性MMPとしては、分泌型プロテアーゼMMP−1、MMP−2、MMP−8、MMP−9およびMMP−13および膜結合型プロテアーゼMT1−MMP−およびMT2−MMP−が挙げられる。この特定の組織を消化し、必要に応じて特定の細胞を単離するために、本組成物は、MMP−1および/またはMMP−8(IおよびIII型コラーゲンに対して)、MMP−3および/またはMMP−19(IV型コラーゲン、フィブロネクチンおよびラミニンに対して)およびMMP−2および/またはMMP−9(IVおよびV型コラーゲンに対して)の組み合わせを含む。組織がVI型コラーゲンを含む場合、MMP−11はMMP−組成物のコンポーネントである。エラスチン消化が必要とされる場合、MMP−12が使用され得る。
他の実施形態において、組成物は、ある1つのタイプのMMPおよび/またはそのプロ酵素MMPを含む。別の実施形態において、組成物は、2つのタイプのMMPおよび/またはそのプロ酵素MMPを含む。別の好ましい実施形態において、組成物は、1以上の不活性MMPを含む。別の実施形態において、組成物は、1以上のMMPまたはそのプロ酵素、その活性化剤および阻害剤を含む。このような実施形態において、本組成物は個別であり得、すなわち、MMP、そのプロ酵素は、1以上の活性化剤(例えばトリプシン、キモトリプシン、4−アミノフェニル酢酸第二水銀)を含む組成物またはMMPの阻害剤(例えばメタロプロテイナーゼの組織阻害剤(TIMP)、マリマスタット)を含むさらに別の組成物とは分けて維持され得る。
例えば、MMPは、プロテイナーゼにより、またはインビトロでチオール修飾剤(4−アミノフェニル酢酸第二水銀、HgCl2およびN−エチルマレイミド)、酸化グルタチオン、SDS、カオトロピック剤および反応性酸素などの化学剤により活性化され得る。低pHおよび熱処理も活性化をもたらし得る。MMPのタンパク質分解性活性化は多くの場合段階的である。最初のタンパク質分解性攻撃は、プロペプチドの第一のヘリックスと第二のヘリックスとの間の露出されるループ領域で起こる。ベイト領域の切断特異性は、各MMPで見出される配列により決定される。プロペプチドの一部が除去されると、これは、おそらくそのプロペプチドの残りの部分を不安定化し、これにより、部分的に活性化されたMMP中間体または他の活性MMPにより分子間プロセシングが可能となる。したがって、活性化の最終段階がMMPにより行われる。
プラスミンによるプロMMPの活性化は、インビボでの関連経路である。フィブリンに結合する組織プラスミノーゲン活性化因子および特異的な細胞表面受容体に結合するウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子によって、プラスミノーゲンからプラスミンが生じる。プラスミノーゲンおよびウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子の両者とも膜結合型であり、それによって局所化したプロMMP活性化が生成し、その後ECMターンオーバーが生成する。プラスミンは、プロMMP−1、プロMMP−3、プロMMP−7、プロMMP−9、プロMMP−10およびプロMMP−13を活性化することが報告されている。活性化されたMMPは、他のMMPをプロセシングすることに寄与し得る。段階的活性化系は、MMPが完全に活性化される前に中間体MMPと相互作用することによってTIMPが活性化を妨害し得るので、破壊性酵素を調節するためのより優れた制御機序に適合するために考案されてきたものであり得る。
殆どのプロMMPは細胞から分泌され、細胞外で活性化される。例えば、プロMMP−11(ストロメリシン3)はフューリンにより細胞内で活性化される。プロMMP−11は、プロペプチドのC末端でフューリン認識配列、KX(R/K)Rを保持する。6個のMT−MMP、MMP−23およびエピリシン(MMP−28)を含むいくつかの他のMMPは、プロペプチド中に同様の塩基性モチーフを有する。これらのタンパク質は活性酵素として分泌される可能性が最も高いので、内因性阻害剤によるそれらの遺伝子発現および阻害は、活性の制御にとって重大である。
TIMPは、1:1化学量論でMMPに結合する特異的な阻害剤である。4つのTIMP(TIMP−1、TIMP−2、TIMP−3およびTIMP−4)は脊椎動物で同定されており、それらの発現は、発生および組織リモデリング中に制御される。不均衡なMMP活性が付随する病的状態下で、TIMPレベルの変化は、MMP活性のレベルに直接影響を与えるので重要であるとみなされる。
血漿α−マクログロブリンなどのタンパク質は、阻害剤のベイト領域のタンパク質分解後にマクログロブリン内で殆どのプロテイナーゼを捕捉することによって殆どのプロテイナーゼを阻害する一般的なエンドペプチダーゼ阻害剤である。MMP−1は、溶液中でTIMP−1よりもα2−マクログロブリンと容易に反応する。
他の実施形態において、MMPまたはそのプロMMPは、1以上のMMPの1以上の活性断片または活性断片を含むプロMMPを場合によっては含み、この活性断片は脂肪組織を異化する。
他の実施形態において、MMPまたはその断片は活性もしくは不活性であるか、または本組成物はMMPまたはその断片の組み合わせを含有する。いくつかの実施形態において、本組成物は、不活性MMPまたはその断片を活性化する1以上の薬剤を含む。
ペプチド:単なる実例となる目的に対して、「MMP」という用語はまた、プロMMP型、活性型、不活性型およびその活性断片も含む。この用語は、対立遺伝子変異体、種変異体、スプライシング変異体、突然変異体、断片などを含むが限定されない。
実施形態において、組成物は、マトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、不活性MMPまたはそのプロ酵素(プロMMP)のペプチドまたはタンパク質を含み、このMMP、不活性MMPまたはそのプロMMPは、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−7、MMP−8、MMP−9、MMP−10、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−14、MMP−15、MMP−16、MMP−17、MMP−18、MMP−19、MMP−20、MMP−21、MMP−23A、MMP−23B、MMP−24、MMP−25、MMP−26、MMP−27、MMP−28、活性断片、突然変異体、変異体またはそれらの何らかの組み合わせを含む。好ましい実施形態において、本組成物は、医薬的に許容可能な薬剤、医薬的に許容可能なその塩またはプロドラッグをさらに含む。
いくつかの実施形態において、本組成物は、2以上のマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、不活性MMPまたはそのプロ酵素(プロMMP)のペプチドまたはタンパク質を含み、このMMP、不活性MMPまたはそのプロMMPは、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−7、MMP−8、MMP−9、MMP−10、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−14、MMP−15、MMP−16、MMP−17、MMP−18、MMP−19、MMP−20、MMP−21、MMP−23A、MMP−23B、MMP−24、MMP−25、MMP−26、MMP−27、MMP−28、活性断片、変異体、突然変異体、医薬的に許容可能な薬剤、医薬的に許容可能なその塩もしくはプロドラッグまたはそれらの何らかの組み合わせを含む。
いくつかの実施形態において、本組成物は、3以上のマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、不活性MMPまたはそのプロ酵素(プロMMP)のペプチドまたはタンパク質を含み、このMMP、不活性MMPまたはそのプロMMPは、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−7、MMP−8、MMP−9、MMP−10、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−14、MMP−15、MMP−16、MMP−17、MMP−18、MMP−19、MMP−20、MMP−21、MMP−23A、MMP−23B、MMP−24、MMP−25、MMP−26、MMP−27、MMP−28、活性断片、変異体、突然変異体、医薬的に許容可能な薬剤、医薬的に許容可能なその塩もしくはプロドラッグまたはそれらの何らかの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、本組成物は、4以上のマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、不活性MMPまたはそのプロ酵素(プロMMP)のペプチドまたはタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、本組成物は、有効量の5以上のマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、不活性MMPまたはそのプロ酵素(プロMMP)のペプチドまたはタンパク質を含む。
好ましい実施形態において、MMPペプチドが「活性」ペプチドであることを理解すると、MMPペプチドは、少なくとも5つの連続アミノ酸残基を含む。「活性」とは、本明細書中で記載のような既知の機能だけでなくMMP分子に対して天然である何らかの他の機能も含むか、またはエンドユーザーによる何らかの操作に基づき改変され得るものを含む、各MMPの1以上の機能を含む。
別の好ましい実施形態において、MMPペプチドは、ペプチドそれ自身、それに対する化学的同等物、その異性体(例えば、異性体、立体異性体、レトロ異性体、レトロ−インベルソ異性体、全−[D]異性体、全−[L]異性体またはその混合[L]および[D]異性体)、そこにおける保存的置換、その前駆体型、その細胞内タンパク質分解性にプロセシングされる形態、例えばNまたはC末端からの単一アミノ酸の切断または本発明のペプチドの活性代謝産物、医薬的に許容可能なその塩およびエステルおよび翻訳後修飾の結果生じる他の形態などを含む。10、9、8、7、6、5および4アミノ酸長以下のあらゆる親配列(コア親配列からの環化または直鎖状または分岐状)も含まれ、特定の配列は部分配列である。当業者にとって当然のことながら、ペプチドが単量体、二量体、三量体などであり得る場合である。本発明のペプチドの使用は、活性断片(単数または複数)が1以上の結合パートナーと複合体化されるというペプチドの使用を含む。本発明のペプチドの活性を保持する修飾ペプチドは、本発明の範囲内に包含される。
別の好ましい実施形態において、MMPペプチドは、少なくとも1つの非ネイティブアミノ酸残基または非アミノ酸分子を含む。「非ネイティブ」アミノ酸残基は、MMP核酸配列によりコードされるアミノ酸に対する何らかの変化を含む。したがって、非ネイティブアミノ酸残基または非アミノ酸分子は、化学的同等物、類似体、合成分子、誘導体、変異体、置換、ペプチド核酸、リンカー分子、無機分子などを含むが限定されない。
核酸レベルでまたはアミノ酸レベルで突然変異が導入され得る。特定の核酸配列に関して、遺伝コードの縮重のために、多数の機能的に同一である核酸がある一定のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCGおよびGCUは全て、アミノ酸アラニンをコードする。したがって、アラニンがコドンにより特定される全ての位置で、コドンはコードされるポリペプチドを変化させることなく記載される対応するコドンの何れかに変更され得る。このような核酸変動は「サイレント変化」であり、これは、保存的に修飾された変異の1種である。特定のアミノ酸をコードするために核酸レベルでの突然変異が導入される場合、1以上の核酸が変更される。例えばプロリンはCCC、CCA、CCG、CCUによってコードされ;したがって、1塩基変化、例えばGCCへのCCC(プロリン)の変化はアラニンを生じさせる。したがって、例として、天然または非天然ポリペプチドをコードする本明細書中の全ての天然または非天然核酸配列はまた、天然または非天然核酸の全ての可能なサイレント変異も示す。当業者は、機能的に同一である分子または異なる分子を得るために、天然または非天然核酸中の各コドン(通常はメチオニンに対する唯一のコドンであるAUGおよび通常はトリプトファンに対する唯一のコドンであるTGGを除く。)を修飾し得ると認識するであろう。したがって、天然または非天然ポリペプチドをコードする天然または非天然核酸の各サイレント変異は、各記載配列に潜在している。
アミノ酸配列、コードされる配列において1個の天然および非天然アミノ酸または小さい割合の天然および非天然アミノ酸を変化、付加または欠失させる、核酸、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質配列に対する個々の置換、欠失または付加に関しては、変更の結果、アミノ酸の欠失、アミノ酸の付加または化学的に類似のアミノ酸での天然および非天然アミノ酸の置換が生じる。機能的に類似の天然アミノ酸を提供する保存的置換表は当技術分野で周知である。このような保存的に改変される変異体は、さらに、本明細書中に記載の方法および組成物の多型変異体、種間ホモローグおよび対立遺伝子を除外しない。
「非天然アミノ酸」は、20種類の一般的アミノ酸またはピロリシンまたはセレノシステインのうち1つではないアミノ酸を指す。「非天然アミノ酸」という用語と同義的に使用され得る他の用語は、「非天然コードアミノ酸」、「天然ではないアミノ酸」、「天然で生じないアミノ酸」およびその様々にハイフンで結ばれる、およびハイフンで結ばれない形態である。「非天然アミノ酸」という用語は、天然でコードされるアミノ酸の修飾により天然で生じるアミノ酸を含むが限定されない(20種類の一般的アミノ酸またはピロリシンおよびセレノシステインを含むが限定されない。)が、使用者の操作なくしては、翻訳複合体によって伸長するポリペプチド鎖にそれ自身が組み込まれない。天然ではコードされない天然で生じるアミノ酸の例としては、N−アセチルグルコサミニル−L−セリン、N−アセチルグルコサミニル−L−スレオニンおよびO−ホスホチロシンが挙げられるが限定されない。さらに、「非天然アミノ酸」という用語は、天然ではなく、合成により得ることができるかまたは非天然アミノ酸の修飾により得ることができるアミノ酸を含むが限定されない。
いくつかの場合において、非天然アミノ酸置換または組み込みは、他の化学的、物理学的、薬理学的および/または生物学的形質に影響を与えるために、ポリペプチド内での他の付加、置換または欠失と組み合わせられる。いくつかの場合において、他の付加、置換または欠失によって、ポリペプチドの(タンパク質分解性の分解に対する耐性を含むが限定されない)安定性が向上し得るかまたはその適切な受容体、リガンドおよび/または結合タンパク質に対するポリペプチドの親和性が向上し得る。いくつかの場合において、他の付加、置換または欠失によって、ポリペプチドの溶解度が向上し得る。いくつかの実施形態において、組み換え宿主細胞での発現後のポリペプチド溶解度を向上させる目的のために、非天然アミノ酸の組み込みのための別の部位に加えて、天然でコードされるアミノ酸または非天然アミノ酸での置換のための部位が選択される。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、会合するリガンド、結合タンパク質および/または受容体に対する親和性を調節し、受容体二量体化を調整し(向上させるかまたは低下させることを含むが限定されない。)、受容体二量体を安定化し、循環半減期を調整し、放出またはバイオアベイラビリティーを調整し、精製を促進し、または特定の投与経路を改善もしくは変化させる、別の付加、置換または欠失を含む。同様に、非天然アミノ酸ポリペプチドは、検出(GFPを含むが限定されない。)、精製、組織または細胞膜を通じた輸送、プロドラッグ放出または活性化、サイズ縮小またはポリペプチドの他の特質を改善する、化学的または酵素切断配列、プロテアーゼ切断配列、反応基、抗体結合ドメイン(FLAGまたはポリ−Hisを含むが限定されない。)または他の親和性に基づく配列(FLAG、ポリ−His、GSTなどを含むが限定されない。)または連結される分子(ビオチンを含むが限定されない。)を含み得る。
本明細書中に記載の方法および組成物は、ポリペプチドへの1以上の非天然アミノ酸の組み込みを含む。1以上の非天然アミノ酸は、ポリペプチドの活性を破壊しない1以上の特定の位置で組み込まれ得る。これは、疎水性アミノ酸を非天然または天然疎水性アミノ酸で、大型アミノ酸を非天然または天然大型アミノ酸で、親水性アミノ酸を非天然または天然親水性アミノ酸で置換することおよび/または活性に必要ではない位置で非天然アミノ酸を挿入することを含むが限定されない「保存的」置換をなすことによって達成され得る。
ポリペプチド内での非天然アミノ酸での置換のための所望の部位を選択するために、様々な生化学的および構造的アプローチを使用し得る。ポリペプチド鎖のあらゆる位置が、非天然アミノ酸を組み込むための選択に適切であり、選択は、合理的設計に基づき得るか、または何らかの特定の所望の目的のための、または特定の所望の目的のない、無作為選択によるものであり得る。所望の部位の選択は、アゴニスト、超アゴニスト、部分的アゴニスト、インバースアゴニスト、アンタゴニスト、受容体結合調整因子、受容体活性調整因子、結合パートナーへの結合の調整因子、結合パートナー活性調整因子、結合パートナー立体構造調整因子、二量体または多量体形成、ネイティブ分子と比較して活性または特性に対する変化がないことまたは、溶解度、凝集もしくは安定性など、ポリペプチドの何らかの物理学的または化学的特性を操作することを含むが限定されない、何らかの所望の特性または活性を有する(さらに修飾されてもよいし、または未修飾のままであってもよい)非天然アミノ酸ポリペプチドを作製することに基づき得る。例えば、ポリペプチドの生物学的活性に必要とされるポリペプチド中の位置は、点突然変異分析、アラニンスキャニングまたはホモローグスキャンニング法を含むが限定されない方法を用いて同定され得る。アラニンまたはホモローグスキャンニング突然変異誘発を含むが限定されない方法によって生物学的活性に重大であると同定される残基以外の残基は、ポリペプチドに対して求められる所望の活性に依存して、非天然アミノ酸での置換に対する良好な候補であり得る。あるいは、生物学的活性に対して重大であるとして同定された部位は、ポリペプチドに対して求められる所望の活性に依存して、これもまた、非天然アミノ酸での置換に対する良好な候補であり得る。別の代替物は、非天然アミノ酸によりポリペプチド鎖上の各位置で連続的置換を行い、ポリペプチドの活性における影響を観察することである。何らかのポリペプチドへの非天然アミノ酸での置換のための位置を選択するための、あらゆる手段、技術または方法は、本明細書中に記載の方法、技術および組成物での使用に適切である。
欠失を含有するポリペプチドの天然で生じる突然変異体の構造および活性はまた、非天然アミノ酸での置換に耐えると思われるタンパク質の領域を決定するために調べられ得る。非天然アミノ酸での置換に耐えられないと思われる残基を削除したら、関連ポリペプチドおよび何らかの会合するリガンドまたは結合タンパク質の三次元構造を含むが限定されない方法を用いて、残存する位置それぞれでの提案される置換の影響を調べ得る。多くのポリペプチドのX線結晶構造およびNMR構造は、タンパク質および核酸の大型分子の三次元構造データを含有する集中型のデータベースであるProtein Data Bank(PDB、rcsb.org)において利用可能であり、非天然アミノ酸で置換され得るアミノ酸位置を同定するために使用することができる。さらに、三次元構造データが利用可能でない場合、ポリペプチドの二次元および三次元構造を調べてモデルを作製し得る。したがって、非天然アミノ酸で置換され得るアミノ酸位置の同一性は容易に得られ得る。非天然アミノ酸の組み込みの代表的な部位は、受容体結合領域または結合タンパク質への結合のための領域またはリガンド候補から除外されるものが挙げられるが限定されず、完全にまたは部分的に溶媒に露出され得、近隣残基との水素結合相互作用は殆どないかまたは全くなく、近隣の反応性残基への露出は最小限であり得、および/またはその会合受容体、リガンドまたは結合タンパク質がある特定のポリペプチドの三次元結晶構造により予想されるように非常に柔軟な領域にあり得る。
ポリペプチド中のある一定の位置で多岐にわたる非天然アミノ酸を置換し得るかまたはそこに組み込み得る。例として、その会合リガンド、受容体および/または結合タンパク質とのポリペプチドの三次元結晶構造の試験に基づき、組み込みのために、特定の非天然アミノ酸が選択され得、保存的置換が好ましい。
本明細書中でさらに使用される場合、本発明のペプチドの「化学的同等物」は、本明細書中に記載のペプチドと同じ所望の活性、例えばコラゲナーゼ活性を保持し、些細な化学的相違を呈する分子または穏やかな条件下で本発明のペプチド(例えば、本発明のペプチドのエステル、エーテル、還元生成物および複合体)に変換される分子である。
さらに、本明細書中で使用される場合、「保存的置換」は、アミノ酸置換が同様の極性または立体的配置を有するか、またはアミノ酸置換が置換残基と同じクラス(例えば、疎水性、酸性または塩基性)に属するかの何れかのために、置換アミノ酸残基と機能的に同等であるアミノ酸置換である。「保存的置換」という用語は、本明細書中で定義されるように、本発明のペプチドの自然免疫促進能に対して重要ではない影響を有する置換を含む。保存的置換の例としては、極性(親水性)残基の、別のものに対する置換(例えばアルギニン/リジン、グルタミン/アスパラギンまたはスレオニン/セリン);非極性(疎水性)残基(例えばイソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン)の、別のものに対する置換、酸性残基(例えば、アスパラギン酸またはグルタミン酸)の、別のものに対する置換;または塩基性残基(例えば、アルギニン、ヒスチジン、リジンまたはオルニチン)の、別のものに対する置換が挙げられる。
「類似体」という用語は、本明細書中で使用される場合、少なくとも1つの残基が機能的に類似の残基で保存的に置換されている、本明細書中に記載の配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を有するあらゆるペプチドを含む。「類似体」は、MMP−ペプチドのアミノ酸配列の機能的変異体および明らかな化学的同等物を含む。本明細書中でさらに使用される場合、「機能的変異体」という用語は、酵素能を示す、例えば間質性コラーゲンの1以上の加水分解を触媒する、ペプチドの活性を指す。「類似体」は、本明細書中に記載のような類似体のあらゆる医薬的に許容可能な塩をさらに含む。
「誘導体」は、本明細書中で使用される場合、官能側鎖の反応により化学的に誘導体化された1以上のアミノ酸を有する本発明のペプチドを指す。代表的な誘導体化分子としては、アセチル基、アミン塩酸塩、カルボベンゾキシ基、クロロアセチル基、ホルミル基、p−トルエンスルホニル基またはt−ブチルオキシカルボニル基を付加することによって塩またはアミドを形成させるために遊離アミノ基が誘導体化されているペプチド分子が挙げられるが限定されない。遊離ヒドロキシル基は、O−アシルまたはO−アルキル誘導体を形成させるために誘導体化され得る。さらに、塩、エステル(例えば、メチルおよびエチルエステル)またはヒドラジドを形成させるために遊離カルボキシル基を誘導体化し得る。したがって、「誘導体」は、本明細書中に記載のような誘導体のあらゆる医薬的に許容可能な塩をさらに含む。
本発明のある実施形態において、MMPペプチドは、修飾C末端および/または修飾N末端を含む。例えば、単離ペプチドはアミド化C末端を有し得る。例えば、アミノ末端はアセチル化(Ac)され得るか、またはカルボキシ末端がアミド化(NH2)され得る。しかし、本発明のある実施形態において、本発明のペプチドは、このような修飾の結果、所望の活性が失われる場合、好ましくはアセチル化されない。アミノ末端修飾には、メチル化(すなわち−−NHCH3または−−NH(CH3)2、アセチル化、カルボベンゾイル基を付加することまたはRCOO−−(式中、Rは、ナフチル、アクリジニル、ステロイジルおよび類似の基からなる群から選択される。)により定義されるカルボキシル官能基を含有する何らかの保護基でアミノ末端をブロックすることが含まれる。カルボキシ末端修飾には、カルボキサミド基での遊離酸の置換または構造の束縛を導入するためのカルボキシ末端での環状ラクタムの形成が含まれる。
ある実施形態において、NHからNCH3など、骨格置換をなし得る。ペプチドはまた、修飾も有し得る(例えば、挿入または欠失またはトランケーションなどの点突然変異)。例として、ペプチドは、所望の活性が保持される限り、Dアミノ酸の少なくとも1つの点挿入によって、修飾された残基を含むアミノ酸配列を含み得る。例えば、プロリン残基の環サイズが5員から4、6または7員に変化しているプロリン類似体を使用し得る。環状基は、飽和または不飽和であり得、不飽和である場合、芳香族または非芳香族であり得る。
別の好ましい実施形態において、20種類の遺伝コードされるアミノ酸(またはDアミノ酸)の天然の側鎖が、同様の特性を有する他の側鎖で、例えばアルキル、低級アルキル、環状4−、5−、6−から7−員アルキルアミド、アミド低級アルキルアミドジ(低級アルキル)、低級アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシおよびその低級エステル誘導体で、および4−、5−、6−から7−員の複素環などの基で置き換えられる。
このような置換としては、(1)オルニチン、Nlyのような、標準的ではない正荷電アミノ酸;「N末端」に連結されるリジン側鎖を有するN−(4−アミノブチル)−グリシンおよびグリシンのアミノ基に連結されるアミノプロピルまたはアミノエチル基がある化合物;(2)Citなど、正味荷電がなく、アルギニンと類似の側鎖がある非天然アミノ酸;シトルリンおよびHci;1以上のメチレン基があるシトルリン;(3)OHがある標準的ではない非天然アミノ酸(例えばセリンのようなもの)、例えばhSerなど;ホモセリン(もう1つのメチレン基、Hyp;ヒドロキシプロリン、Val(pOH);ヒドロキシバリン、Pen;ペニシラミン、(Val(βSH);(4)プロリン誘導体、例えばD−Proなど、例えば3,4−デヒドロプロリンなど、Pyr;ピログルタミン、環上にフッ素置換があるプロリン、1,3−チアゾリジン−+カルボン酸(環中にSがあるプロリン);(5)ヒスチジン誘導体、例えばThiなど;ベータ−(2−チエニル)−アラニン;または(6)アルキル誘導体、例えばAbuなど;2−アミノ酪酸(Ca上のエチル基)、Nva;ノルバリン(Cα上のプロピル基)、Nle;ノルロイシン(Cα上のブチル基)、Hol;ホモロイシン(Cα上のプロピル基)、Aib、アルファ−アミノイソ酪酸(メチレン基がないバリン)が挙げられ得るが、必ずしも限定されない。当業者は、親ペプチド/配列の活性を保持する置換を認識する。
別の代替的な実施形態において、環状ペプチドを形成させるためにそれぞれN末端アミノ基があるカルボキシル基またはエステルの−−OHまたはエステル(−−OR)の内部の置き換えによって環化するようにC末端カルボキシル基またはC末端エステルを誘導し得る。例えば、ペプチド酸を与えるための合成および切断後、溶液中、例えば塩化メチレン(CH2C12)、ジメチルホルムアミド(DMF)混合液中で、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)などの適切なカルボキシル基活性化因子によって、遊離酸を活性化エステルに変換する。次いで、N末端アミンでの活性化エステルの内部置き換えによって、環状ペプチドを形成させる。重合化とは対照的に、内部環化は、非常に希薄な溶液の使用により促進され得る。このような方法は当技術分野で周知である。
本発明のペプチドは、例えば活性化剤が投与されるような時間まで不活性のままとするために、またはペプチドの立体構造を制限するために、環化するか、またはペプチドの末端のデスアミノまたはデスカルボキシ残基を組み込んで、末端アミノまたはカルボキシル基がないようにすることができる。本発明の化合物のC末端官能基は、アミド、アミド低級アルキル、アミドジ(低級アルキル)、低級アルコキシ、ヒドロキシおよびカルボキシおよびその低級エステル誘導体および医薬的に許容可能なその塩を含む。
Nおよび/またはC末端システインを付加し、ジスルフィド結合または他の側鎖相互作用を通じてペプチドを環化することによって、本発明のペプチドを環化することができる。
核酸:本発明の実施形態はまた、核酸配列、MMP、プロMMP、その活性断片、突然変異体、変異体またはそれらの組み合わせをコードする核酸を含む組成物も対象とする。MMP−核酸配列は、1以上の突然変異、置換、欠失、挿入、修飾、修飾核酸塩基、結合、類似体、誘導体などを含み得る。「MMP」という用語は、これらの分子全てを包含するものとする。したがって、MMP−1に言及する場合、その用語は、MMP−1タンパク質、プロMMP−1、その活性断片、突然変異体、変異体、1以上の突然変異、置換、欠失、挿入、修飾、修飾核酸塩基、結合、類似体、誘導体などを含むMMP−1核酸配列を指す。「核酸配列」という用語は、簡潔にするために使用され、これには、単離核酸またはcDNA配列、合成されるまたは合成核酸配列、キメラ核酸配列、ホモローグ、オルソログ、変異体、突然変異体またはそれらの組み合わせが含まれるが限定されない。
いくつかの実施形態において、組成物は、マトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、不活性MMPまたはそのプロ酵素(プロMMP)をコードする単離核酸またはcDNA配列または合成核酸配列を有する発現ベクターを含み、このMMP、不活性MMPまたはそのプロMMPは、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−7、MMP−8、MMP−9、MMP−10、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−14、MMP−15、MMP−16、MMP−17、MMP−18、MMP−19、MMP−20、MMP−21、MMP−23A、MMP−23B、MMP−24、MMP−25、MMP−26、MMP−27、MMP−28、活性断片、突然変異体、変異体、その医薬組成物、医薬的に許容可能なその塩もしくはプロドラッグまたはそれらの何らかの組み合わせを含む。いくつかの好ましい実施形態において、本組成物は、2以上または3以上または4以上のマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、不活性MMPまたはそのプロ酵素(プロMMP)をコードする単離核酸またはcDNA配列または合成核酸配列を有する発現ベクターを含み、このMMP、不活性MMPまたはそのプロMMPは、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−7、MMP−8、MMP−9、MMP−10、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−14、MMP−15、MMP−16、MMP−17、MMP−18、MMP−19、MMP−20、MMP−21、MMP−23A、MMP−23B、MMP−24、MMP−25、MMP−26、MMP−27、MMP−28、活性断片、cDNA配列、突然変異体、変異体、その医薬組成物、医薬的に許容可能なその塩もしくはプロドラッグまたはそれらの何らかの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、発現ベクターは、マトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、不活性MMPまたはそのプロ酵素(プロMMP)の核酸配列をコードし、このMMP、不活性MMPまたはそのプロMMPは、野生型マトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、不活性MMPまたはそのプロ酵素(プロMMP)と少なくとも約50%、60%、70%、75%、80%、90%、95%、96%、97%、99%または99.9%の配列同一性を含む。
いくつかの実施形態において、組成物は、マトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、不活性MMPまたはそのプロ酵素(プロMMP)の核酸配列を含み、このMMP、不活性MMPまたはそのプロMMPは、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−7、MMP−8、MMP−9、MMP−10、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−14、MMP−15、MMP−16、MMP−17、MMP−18、MMP−19、MMP−20、MMP−21、MMP−23A、MMP−23B、MMP−24、MMP−25、MMP−26、MMP−27、MMP−28、活性断片、cDNA配列、突然変異体、変異体、その医薬組成物、医薬的に許容可能なその塩もしくはプロドラッグまたはそれらの何らかの組み合わせを含む。
いくつかの実施形態において、組成物は、マトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、不活性MMPまたはそのプロ酵素(プロMMP)の2以上の核酸配列を含み、このマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、不活性MMPまたはそのプロ酵素(プロMMP)は、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−7、MMP−8、MMP−9、MMP−10、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−14、MMP−15、MMP−16、MMP−17、MMP−18、MMP−19、MMP−20、MMP−21、MMP−23A、MMP−23B、MMP−24、MMP−25、MMP−26、MMP−27、MMP−28、活性断片、cDNA配列、突然変異体、変異体、その医薬組成物、医薬的に許容可能なその塩もしくはプロドラッグまたはそれらの何らかの組み合わせを含む。
いくつかの実施形態において、本組成物は、マトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、不活性MMPまたはそのプロ酵素(プロMMP)の2以上、3以上、4以上の核酸配列を含む。
いくつかの実施形態において、組成物は、マトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、不活性MMPまたはそのプロ酵素(プロMMP)の核酸配列を含み、このMMP、不活性MMPまたはそのプロMMPは、野生型マトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、不活性MMPまたはそのプロ酵素(プロMMP)に対して少なくとも約50%の配列同一性を含み、このMMP、不活性MMPまたはそのプロMMPは、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−7、MMP−8、MMP−9、MMP−10、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−14、MMP−15、MMP−16、MMP−17、MMP−18、MMP−19、MMP−20、MMP−21、MMP−23A、MMP−23B、MMP−24、MMP−25、MMP−26、MMP−27、MMP−28、活性断片、cDNA配列、突然変異体、変異体、その医薬組成物、医薬的に許容可能なその塩もしくはプロドラッグまたはそれらの何らかの組み合わせを含む。
いくつかの実施形態において、本組成物は、マトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、不活性MMPまたはプロ酵素(プロMMP)、活性断片、cDNA配列、突然変異体、変異体、その医薬組成物、医薬的に許容可能なその塩もしくはプロドラッグまたはそれらの何らかの組み合わせのうち、2以上、3以上、4以上の核酸配列を含む。
他の実施形態において、MMP核酸配列は、野生型MMPまたはそのcDNA配列に対して少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を含む。
他の実施形態において、マトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、不活性MMPまたはそのプロ酵素(プロMMP)核酸配列であり、このMMP、不活性MMPまたはそのプロMMP核酸配列は、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−7、MMP−8、MMP−9、MMP−10、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−14、MMP−15、MMP−16、MMP−17、MMP−18、MMP−19、MMP−20、MMP−21、MMP−23A、MMP−23B、MMP−24、MMP−25、MMP−26、MMP−27、MMP−28または活性断片またはそのcDNA配列を含み、野生型MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−7、MMP−8、MMP−9、MMP−10、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−14、MMP−15、MMP−16、MMP−17、MMP−18、MMP−19、MMP−20、MMP−21、MMP−23A、MMP−23B、MMP−24、MMP−25、MMP−26、MMP−27、MMP−28、活性断片またはそのcDNA配列に対して少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を含む。
いくつかの実施形態において、MMPの核酸配列は、1以上の突然変異、置換、欠失、変異体またはそれらの組み合わせをさらに含む。
いくつかの実施形態において、1以上の突然変異、置換、欠失、変異体またはそれらの組み合わせを含むMMP核酸配列とMMPのネイティブまたは野生型またはcDNA配列との間の、相同性、配列同一性または相補性は、約50%から約60%である。いくつかの実施形態において、相同性、配列同一性または相補性は、約60%から約70%である。いくつかの実施形態において、相同性、配列同一性または相補性は、約70%から約80%である。いくつかの実施形態において、相同性、配列同一性または相補性は、約80%から約90%である。いくつかの実施形態において、相同性、配列同一性または相補性は、約90%、約92%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%または約100%である。
ある実施形態において、ベクターは、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−7、MMP−8、MMP−9、MMP−10、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−14、MMP−15、MMP−16、MMP−17、MMP−18、MMP−19、MMP−20、MMP−21、MMP−23A、MMP−23B、MMP−24、MMP−25、MMP−26、MMP−27、MMP−28、変異体、突然変異体またはその活性断片を含む、MMPまたはそのプロMMPをコードするポリヌクレオチドを含む。
ある実施形態において、1以上のMMPを発現するベクターは、患者に投与され得、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−7、MMP−8、MMP−9、MMP−10、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−14、MMP−15、MMP−16、MMP−17、MMP−18、MMP−19、MMP−20、MMP−21、MP−23A、MMP−23B、MMP−24、MMP−25、MMP−26、MMP−27、MMP−28、変異体、突然変異体またはその活性断片を含む、MMPまたはそのプロMMPの発現は、処置しようとする状態に付随するタンパク質または組織を解離させる
当技術分野で公知であるように、および本明細書中に記載のように、多くのベクターが哺乳動物細胞への遺伝子産物の転移に介在可能であることが知られている。「ベクター」(遺伝子送達または遺伝子転移「ビヒクル」と呼ばれることがある。)は、インビトロまたはインビボの何れかで宿主細胞に送達しようとするポリヌクレオチドを含む巨大分子または分子の複合体を指す。送達しようとするポリヌクレオチドは、遺伝子治療において関心のあるコード配列を含み得る。ベクターとしては、例えば、ウイルスベクター(アデノウイルス(「Ad」)、アデノ随伴ウイルス(AAV)および水疱性口内炎ウイルス(VSV)およびレトロウイルスなど)、リポソームおよび他の脂質含有複合体および宿主細胞へのポリヌクレオチドの送達に介在可能な他の巨大分子複合体が挙げられる。ベクターはまた、遺伝子送達および/または遺伝子発現をさらに調整するかまたはさもなくば標的細胞に有利な特性を提供する他のコンポーネントまたは官能基も含み得る。下記でより詳細に記載し、例示するように、このような他のコンポーネントとしては、例えば、細胞への結合または標的化に影響を与えるコンポーネント(細胞型または組織特異的な結合に介在するコンポーネントを含む。);細胞によるベクター核酸の取り込みに影響を与えるコンポーネント;取り込み後の細胞内でのポリヌクレオチドの局在化に影響を与えるコンポーネント(核局在化に介在する物質など);およびポリヌクレオチドの発現に影響を与えるコンポーネントが挙げられる。このようなコンポーネントとしてはまた、マーカー、例えばベクターにより送達された核酸を取り込み、発現している細胞を検出または選択するために使用され得る検出可能および/または選択可能マーカーなども挙げられ得る。このようなコンポーネントは、ベクターの天然の特性として提供され得るか(結合および取り込みに介在するコンポーネントまたは官能基を有するある一定のウイルスベクターの使用など)、またはベクターは、このような機能を提供するように修飾され得る。他のベクターとしては、Chenら;BioTechniques,34:167−171(2003)により記載されるものが挙げられる。非常に多岐にわたるこのようなベクターが当技術分野で公知であり、一般的に利用可能である。
「組み換えウイルスベクター」は、1以上の異種遺伝子産物または配列を含むウイルスベクターを指す。多くのウイルスベクターがパッケージングに関連してサイズの制約を示すので、異種遺伝子産物または配列は、一般的には、ウイルスゲノムの1以上の部分を置き換えることによって導入される。このようなウイルスは、(例えば、複製および/またはキャプシド形成のために必要とされる、ヘルパーウイルスまたは遺伝子産物を担うパッケージング細胞株を使用することによって)ウイルス複製およびキャプシド形成中に欠損機能がトランスで提供されることを必要とする、複製欠損となり得る。送達しようとするポリヌクレオチドがウイルス粒子の外側に持ち込まれる修飾ウイルスベクターも記載されている(例えば、Curiel,DTら、PNAS 88:8850−8854,1991参照)。
適切な核酸送達系は、ウイルスベクター、一般的にはアデノウイルス、アデノウイルス随伴ウイルス(AAV)、ヘルパー依存性アデノウイルス、レトロウイルスまたはセンダイウイルス−リポソーム(HVJ)複合体のうち少なくとも1つからの配列を含む。好ましくは、ウイルスベクターは、ポリヌクレオチド、例えばサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターに操作可能に連結される強力な真核プロモーターを含む。
さらに好ましいベクターとしては、ウイルスベクター、融合タンパク質および化学的複合物が挙げられる。レトロウイルスベクターとしては、モロニーマウス白血病ウイルスおよびHIVに基づくウイルスが挙げられる。ある好ましいHIVに基づくウイルスベクターは、gagおよびpol遺伝子がHIVゲノム由来であり、env遺伝子が別のウイルス由来である少なくとも2つのベクターを含む。DNAウイルスベクターが好ましい。これらのベクターとしては、オルソポックスまたはトリポックスベクターなどのポックスベクター、I型単純ヘルペスウイルス(HSV)ベクターなどのヘルペスウイルスベクター[Geller,A.I.ら、J.Neurochem,64:487(1995);Lim,F.ら、DNA Cloning:Mammalian Systems,D.Glover編(Oxford Univ.Press,Oxford England)(1995);Geller,A.I.ら、Proc Natl.Acad.Sci.:U.S.A.:90 7603(1993);Geller,A.I.ら、Proc Natl.Acad.Sci.USA:87:1149(1990)]、アデノウイルスベクター[LeGal LaSalleら、Science,259:988(1993);Davidsonら、Nat.Genet.3:219(1993);Yangら、J.Virol.69:2004(1995)]およびアデノ随伴ウイルスベクター[Kaplitt,M.G.ら、Nat.Genet.8:148(1994)]が挙げられる。
ポックスウイルスベクターは、遺伝子を細胞質に導入する。トリポックスウイルスベクターは、結果として、核酸を短時間だけ発現させる。アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクターおよび単純ヘルペスウイルス(HSV)ベクターは、いくつかの本発明の実施形態に対して示され得る。アデノウイルスベクターは、結果として、アデノ随伴ウイルスよりも発現時間が短く(例えば約1カ月未満)、いくつかの実施形態においては、かなり長い発現を示し得る。選択される特定のベクターは、標的細胞および処置されている状態に依存する。適切なプロモーターの選択は容易に遂行され得る。好ましくは、高発現プロモーターを使用する。適切なプロモーターの例は、763塩基対のサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターである。ラウス肉腫ウイルス(RSV)(Davisら、Hum Gene Ther 4:151(1993))およびMMTプロモーターも使用し得る。それらのネイティブプロモーターを用いてある一定のタンパク質を発現させ得る。発現を促進し得る他のエレメントもまた、エンハンサーまたはtat遺伝子およびtarエレメントなどの高レベル発現を生じさせる系として含まれ得る。次いで、このカセットは、ベクター、例えばプラスミドベクター、例えばE.コリ(E.coli)複製起点を含むpUC19、pUC118、pBR322または他の公知のプラスミドベクターなど、に挿入され得る。Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory press(1989)を参照。プラスミドベクターはまた、アンピシリン耐性に対するβ−ラクタマーゼ遺伝子などの選択可能マーカーも含み得るが、ただし、マーカーポリペプチドは、処置されている生物の代謝に悪影響を及ぼさないものとする。カセットはまた、合成送達系において核酸結合部分にも結合させることができる。
必要に応じて、本発明のポリヌクレオチドはまた、陽イオン性リポソームおよびアデノウイルスベクターなどのミクロ送達(microdelivery)ビヒクルとともに使用することもできる。
複製欠損組み換えアデノウイルスベクターは、公知の技術に従い作製され得る。Quantinら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:2581−2584(1992);Stratford−Perricadetら、J.Clin.Invest.90:626−630(1992);およびRosenfeldら、Cell,68:143−155(1992)参照。
MMPの発現は当技術分野で公知の何らかのプロモーター/エンハンサーエレメントにより調節され得るが、これらの制御エレメントは、発現のために選択された宿主において機能性でなければならない。MMP−遺伝子発現を調節するために使用され得るプロモーターとしては、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター(米国特許第5,385,839号および同第5,168,062号)、SV40初期プロモーター領域(BenoistおよびChambon,1981,Nature 290:304−310)、ラウス肉腫ウイルスの3’の長い末端反復中に含有されるプロモーター(Yamamotoら、Cell 22:787−797、1980)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagnerら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.78:1441−1445,1981)、メタロチオネイン遺伝子の制御配列(Brinsterら、Nature 296:39−42,1982);β−ラクタマーゼプロモーターなどの原核発現ベクター(VIIIa−Kamaroffら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.75:3727−3731,1978)またはtacプロモーター(DeBoerら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.80:21−25,1983)が挙げられるが限定されず;またGal4プロモーター、ADC(アルコールデヒドロゲナーゼ)プロモーター、PGK(ホスホグリセロールキナーゼ)プロモーター、アルカリホスファターゼプロモーターなどの酵母または他の真菌由来のプロモーターエレメント;および組織特異性を示し、トランスジェニック動物で利用されてきた動物転写調節領域:膵臓腺房細胞において活性があるエラスターゼI遺伝子調節領域(Swiftら、Cell 38:639−646,1984;Ornitzら、Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.50:399−409,1986;MacDonald,Hepatology 7:425−515,1987);膵臓ベータ細胞において活性があるインスリン遺伝子調節領域(Hanahan,Nature 315:115−122,1985)、リンパ球細胞において活性がある免疫グロブリン遺伝子調節領域(Grosschedlら、Cell 38:647−658,1984;Adamesら、Nature 318:533−538,1985;Alexanderら、Mol.Cell.Biol 7:1436−1444,1987)、精巣、乳房、リンパ球および肥満細胞において活性があるマウス乳癌ウイルス調節領域(Lederら、Cell 45:485−495,1986)、肝臓において活性があるアルブミン遺伝子調節領域(Pinkertら、Gene and Devel.1:268−276,1987)、肝臓において活性があるアルファ−フェトプロテイン遺伝子調節領域(Krumlaufら、Mol Cell.Biol.5:1639−1648,1985;Hammerら、Science 235:53−58,187)、肝臓において活性があるα1−アンチトリプシン遺伝子調節領域(Kelseyら、Genes and Devel.1:161−171,1987)、骨髄細胞において活性があるベータ−グロビン遺伝子調節領域(Mogramら、Nature 315:338−340,1985;Kolliasら、Cell 46:89−94,1986)、脳のオリゴデンドロサイト細胞において活性があるミエリン塩基性タンパク質遺伝子調節領域(Readheadら、Cell 48:703−712,1987)、骨格筋において活性があるミオシン軽鎖−2遺伝子調節領域(Sani,Nature 314:283−286,1985)および視床下部において活性がある性腺刺激ホルモン放出ホルモン遺伝子調節領域(Masonら、Science 234:1372−1378,1986)も参照のこと。
本発明のDNA配列を発現させることにおいて、多岐にわたる宿主/発現ベクターの組み合わせを使用し得る。有用な発現ベクターは、例えば、染色体、非染色体および合成DNA配列のセグメントからなり得る。適切なベクターとしては、SV40の派生物および既知の細菌プラスミド、例えばE.コリ(E.coli)プラスミドcol E1、pCR1、pBR322、pMal−C2、pET、pGEX(Smithら、Gene 67:31 −40、1988)、pMB9およびそれらの誘導体、プラスミド、例えばRP4など;ファージDNA、例えばファージ1、例えばNM989および他のファージDNAの多数の誘導体、例えばM13および繊維状1本鎖ファージDNA;酵母プラスミド、例えば2μプラスミドまたはその誘導体など、真核細胞において有用なベクター、例えば昆虫または哺乳動物細胞において有用なベクターなど;プラスミドおよびファージDNAの組み合わせ由来のベクター、例えばファージDNAまたは他の発現調節配列を使用するために修飾されているプラスミドなどが挙げられる。
MMPを発現させるために、本発明に従い、酵母発現系を使用することもできる。例えば、例を2つ挙げると、非融合pYES2ベクター(XbaI、SphI、ShoI、NotI、GstXI、EcoRI、BstXI、BamHI、SacI、KpnIおよびHindIIIクローニング部位;Invitrogen)または融合pYESHisA、B、C(XbaI、SphI、ShoI、NotI、BstXI、EcoRI、BamH1、SacI、KpnIおよびHindIIIクローニング部位、ProBondレジンで精製し、エンテロキナーゼで切断したN末端ペプチド;Invitrogen)を本発明に従い使用し得る。本発明に従い、酵母2−ハイブリッド発現系を調製し得る。
ある好ましい送達系は、そこにポリヌクレオチドの1以上、好ましくは約1個のポリヌクレオチドを組み込む組み換えウイルスベクターである。好ましくは、本発明の方法で使用されるウイルスベクターは、約108から約5x1010pfuのpfu(プラーク形成単位)を有する。ポリヌクレオチドを非ウイルスベクターを用いて投与しようとする実施形態において、約0.1ナノグラムから約4000マイクログラムの間の使用は有用であることが多く、例えば約1ナノグラムから約100マイクログラムである。
使用、処方、投与
本組成物は、インビトロおよびインビボでの様々な手順および方法において有用である。例えば、幹細胞の単離、膵臓からの膵島細胞の単離または何らかの組織もしくは器官からの何らかのタイプの細胞の単離、選択組織の分解、組織もしくは細胞塊の分解、組織コンポーネントもしくは組織足場材料(例えばフィブリン、コラーゲン、エラスチンなど)の分解、化粧用途、例えば脂肪沈着、セルライトなどの異化など。
幹細胞:ある好ましい実施形態において、膵臓から膵島細胞を単離する方法は、有効量のマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)またはそのプロMMPを含む組成物と膵臓を接触させることを含み、このMMPまたはそのプロMMPは、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−7、MMP−8、MMP−9、MMP−10、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−14、MMP−15、MMP−16、MMP−17、MMP−18、MMP−19、MMP−20、MMP−21、MMP−23A、MMP−23B、MMP−24、MMP−25、MMP−26、MMP−27、MMP−28、活性断片、突然変異体、変異体、その医薬組成物、医薬的に許容可能なその塩もしくはプロドラッグまたはそれらの何らかの組み合わせを含む。膵臓にMMPカクテルを灌流させることができるか、または本明細書中で具体化される組成物とともに温置する前に膵臓を薄切りにすることができ、当技術分野で公知の方法により膵島を単離および精製することができる。いくつかの実施形態において、本組成物は、2以上、3以上、4以上のマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、不活性MMPまたはそのプロ酵素(プロMMP)を含む。
別の好ましい実施形態において、様々な細胞型を単離するために組織または器官を解離させる方法は、有効量のマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)またはそのプロMMPを含む組成物と組織または器官を接触させることを含み、このMMPまたはそのプロMMPは、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−7、MMP−8、MMP−9、MMP−10、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−14、MMP−15、MMP−16、MMP−17、MMP−18、MMP−19、MMP−20、MMP−21、MMP−23A、MMP−23B、MMP−24、MMP−25、MMP−26、MMP−27、MMP−28、活性断片、突然変異体、変異体、その医薬組成物、医薬的に許容可能なその塩もしくはプロドラッグまたはそれらの何らかの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、本組成物は、2以上、3以上、4以上のマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、不活性MMPまたはそのプロ酵素(プロMMP)を含む。
組織または器官にMMPカクテル(例えば2以上のMMP分子の組み合わせ)を灌流させることができるか、または本明細書中で具体化される組成物とともに温置する前に器官を薄切りにすることができ、当技術分野で公知の方法により所望の細胞を単離および精製することができる。細胞型の例としては、心筋細胞、繊維芽細胞、樹状細胞、卵巣組織からの濾胞などが挙げられるが限定されない。
実施形態において、脂肪組織から幹細胞を単離する方法は、有効量の少なくとも1つのマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)またはそのプロMMPを含む組成物と脂肪組織を接触させることを含み、このMMPまたはそのプロMMPは、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−7、MMP−8、MMP−9、MMP−10、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−14、MMP−15、MMP−16、MMP−17,MMP−18、MMP−19、MMP−20、MMP−21、MMP−23A、MMP−23B、MMP−24、MMP−25、MMP−26、MMP−27、MMP−28、活性断片、突然変異体、変異体、その医薬組成物、医薬的に許容可能なその塩もしくはプロドラッグまたはそれらの何らかの組み合わせを含み、この組成物は組織を異化し、それによって組織から幹細胞を単離する。いくつかの実施形態において、本組成物は、2以上、3以上、4以上のマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、不活性MMPまたはそのプロ酵素(プロMMP)を含む。
実施形態において、生体試料から幹細胞を単離する方法は、有効量の少なくとも1つのマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)またはそのプロMMPを含む組成物と生体試料を接触させることを含み、このMMPまたはそのプロMMPは、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−7、MMP−8、MMP−9、MMP−10、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−14、MMP−15、MMP−16、MMP−17、MMP−18、MMP−19、MMP−20、MMP−21、MMP−23A、MMP−23B、MMP−24、MMP−25、MMP−26、MMP−27、MMP−28、活性断片、突然変異体、変異体、その医薬組成物、医薬的に許容可能なその塩もしくはプロドラッグまたはそれらの何らかの組み合わせを含む。例えば、生体試料は、臍帯血、骨髄、骨、胎盤、脂肪組織、膵臓、心臓などであり得る。臍帯血中の幹細胞の例:(a)体細胞;(b)間葉系幹細胞;(c)内皮前駆細胞および血管形成促進細胞;および(d)造血幹細胞。いくつかの実施形態において、生体試料は、上皮、結合組織、脂肪組織、内皮、基底膜、基底層、心臓組織、心内膜、頂端膜、側底膜、細胞外マトリクス、高密度結合組織、繊維性結合組織、嗅上皮、疎性結合組織、ムチン、中皮、間質、網状結合組織、骨髄、血液、血管、リンパ系組織、肺、心血管系組織、脳組織、脳脊髄組織および液、脳血管組織および液、神経組織、脳、骨組織、皮膚、筋肉、膵臓組織、卵巣濾胞、臍帯血組織、胎盤、腸の内層、脳組織、脊髄組織、心血管系組織、結合組織、脳脊髄液または組織、骨髄、真皮、血液、骨膜、繊維性組織、瘢痕組織または何らかの器官組織を含む。
組織から単離される幹細胞または前駆体細胞としては、例えば、骨髄から単離される末梢血幹細胞(PBSC)、幹細胞(骨髄細胞;BMC);脂肪組織から単離される幹細胞;間葉系幹細胞(MSC)、臍帯血、月経液、心臓由来細胞、胚性幹細胞、CD30+細胞、CD34+細胞、CD34−細胞、CD9+細胞、CD29+細胞、CD44+細胞、CD45+細胞、CD49+細胞、CD54+細胞、CD56+細胞、CD59+細胞、CD71+細胞、CD90+細胞、例えばCD90.1+またはCD90.2+細胞、CD105+細胞、CD133+細胞、CD135+(flt−3+)細胞、CD140a+細胞、CDCP1+細胞、CD146+(muc−18+)細胞、ABCG2+細胞、CD144+細胞、胎児肝臓キナーゼ1+細胞、Stro−1+細胞、CD117+(c−キット+)細胞、ネスチン+細胞、PSA−NCAm+細胞、CD30+細胞、p75ニューロトフィン(neurotophin)+細胞、CD106+細胞、CD120a+細胞、CD124+細胞、CD166+細胞、幹細胞因子+(SCF+)細胞、Sca−1+細胞、SH2+細胞、SH3+細胞、HLA、例えば、HLA−ABC細胞、骨形成タンパク質タンパク質+(BMP)細胞、例えば、BMP2+およびBMP4+細胞、Gap43+細胞、グリア線維酸性タンパク質+(GFAP+)細胞、ミエリン塩基性タンパク質+(MBP+)細胞、O4+細胞、O1+細胞、シナプトフィジン+細胞、アルカリホスファターゼ+細胞、クリプト+(TDGF−1+)細胞、ポドカリキシン+細胞、硫酸化プロテオグリカン+細胞、例えば、シリル化ケラチン表面プロテオグリカン+細胞、段階特異的な胚性抗原+(例えば、SSEA−1、−3および−4)細胞、TRA−l−60+細胞、TRA−1−81+細胞、オステオカルシン+細胞、マトリクスglaタンパク質+細胞、オステオポンチン+細胞、Thy1+細胞、II型コラーゲン+細胞、IV型コラーゲン+細胞、脂肪酸輸送体+細胞およびβ1インテグリン+細胞から単離される幹細胞が挙げられるが限定されない。
間葉系幹細胞(MSC)は、サイトカインなどの生物学的活性因子からの様々な影響に依存して複数の特異的なタイプの間葉系または結合組織(すなわち、固有のエレメントを支持する身体の組織;例えば脂肪、骨、間質、軟骨、弾性および繊維性結合組織)に分化可能な、骨髄、血液、真皮および骨膜でとりわけ見られる形成的な多能性芽細胞である。
プラスチックに接着するヒト骨髄穿刺細胞のおよそ30%がMSCとみなされる。これらの細胞は、インビトロで増殖させ、次いで分化させるために誘導することができる。成人MSCをインビトロで増殖させ、刺激して骨、軟骨、腱、筋肉または脂肪細胞を形成させることができるという事実から、組織工学および遺伝子治療ストラテジーに対して成人MSCは魅力的となる。MSC機能をアッセイするために、インビボアッセイが開発されてきた。循環に注入されたMSCは、本明細書中で上記に記載の多くの組織に統合することができる。具体的に、5−アザシチジンへの曝露によって骨格筋および心筋を誘導することができ、培養におけるラットおよびヒトMSCの神経分化は、β−メルカプトエタノール、DMSOまたはブチル化ヒドロキシアニソールへの曝露により誘導することができる[Woodbury(2000)J.Neurosci.Res.61:364−370]。さらに、MSC由来細胞は、末梢注入後ならびにラット脳へのヒトMSCの直接注入後に脳に深く統合することが分かっており;これらは、発生的に神経幹細胞の遊走中に使用される経路に沿って移動し、広く分布するようになり、HSC特殊分化のマーカーを喪失し始める[Azizi(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:3908−3913]。間葉系幹細胞および系列特異的な細胞の増殖を促進するための方法は、米国特許第6,248,587号で開示されている。
ヒト間葉系幹細胞(hMSC)の表面上のエピトープ、例えば米国特許第5,486,359号に記載のSH2、SH3およびSH4などは、例えば骨髄に存在するものなど、不均一な細胞集団から間葉系幹細胞集団をスクリーニングし、捕捉するための試薬として使用され得る。前駆体間葉系幹細胞は、CD45に対して陽性である。これらの前駆間葉系幹細胞は、様々な間葉系系列に分化し得る。
別の好ましい実施形態において、単離幹細胞は、胚性幹細胞、成体幹細胞、臍帯血幹細胞、体性幹細胞、癌幹細胞または心臓幹細胞である。
さらに、本発明の幹細胞は、造血幹細胞または間葉系幹細胞であり得る。本発明の幹細胞は、全能性、多能性、多分化能性または単能性幹細胞であり得る。本発明の幹細胞は、初代幹細胞であってもよいし、または樹立された幹細胞株、前癌性幹細胞株、癌細胞株または何らかの幹細胞マーカーを顕在化する何らかの細胞株由来であってもよい。初代幹細胞は、癌患者または健康な患者由来であり得る。
本発明のこの態様による好ましい幹細胞はヒト幹細胞である。
いくつかの実施形態において、幹細胞は、脂肪組織から単離される。幹細胞は、CD44、CD73、CD90、CD105またはそれらの組み合わせを含むマーカーにより同定される。
脂肪、脂肪沈着、セルライト:本組成物は、脂肪沈着を減少させるための美容目的で、または例えば脂肪腫などの脂肪沈着が付随する状態の処置において使用され得る。脂肪貯蔵の蓄積は、身体で不均一に起こり得る。例えば、ある一部の者は、腹腔に主に脂肪が蓄積し得、一方で他の者では主に皮下組織に蓄積し得る。性差も明らかになり得、女性では大腿部および臀部外側に脂肪が蓄積し、男性では胴回りに蓄積する。女性は、大腿部の脂肪沈着を蓄積し得、これは、皺のある、または「橙皮状」の外観を有し、その結果、セルライトと呼ばれる状態となる。セルライトは、脂肪乳頭と呼ばれることがある皮下脂肪ヘルニア形成をもたらす皮膚の構築に関連し得る。セルライトに関連し得る他の要因としては、液体貯留および炎症につながる、結合組織隔壁の変化および/または減少、血管およびリンパ変化が挙げられる。脂肪組織はまた、脂肪腫として知られる繊維性脂肪沈着の形態でも蓄積し得る。脂肪貯蔵の利用は不均一に起こり得る。実質的な体重減少がある者は、依然として、不健康な過剰な体重減少が達成されない限り、減量に耐性がある局所的な脂肪蓄積ポケットを有し得る。運動は、皮下脂肪貯蔵に異なるように影響を及ぼし得、脂肪分解に反応するより深部の組織および表面的貯蔵はより耐性がある。セルライトはまた、体重減少にもかかわらず依然として存在し得、脂肪腫は一般的には体重減少により影響を受けない。
局所的な脂肪、脂肪組織、セルライトおよび脂肪細胞減少療法を達成するための、医薬組成物、処方物、方法および系も本明細書中で提供される。
いくつかの実施形態において、局所的な脂肪沈着の減少を必要とする対象(例えば肥満である対象)において局所的な脂肪沈着を減少させる方法は、その対象に有効量の少なくとも1つのマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)またはそのプロMMPを含む医薬組成物を投与することを含み、このMMPまたはそのプロMMPは、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−7、MMP−8、MMP−9、MMP−10、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−14、MMP−15、MMP−16、MMP−17、MMP−18、MMP−19、MMP−20、MMP−21、MMP−23A、MMP−23B、MMP−24、MMP−25、MMP−26、MMP−27、MMP−28、活性断片、突然変異体、変異体、その医薬組成物、医薬的に許容可能なその塩もしくはプロドラッグまたはそれらの何らかの組み合わせを含み、局所的な脂肪沈着を減少させる。
ある実施形態において、局所的な脂肪沈着の減少を必要とする対象(例えば肥満である対象)において局所的な脂肪沈着を減少させる方法は、その対象に有効量の少なくとも1つのマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)またはそのプロMMPを含む医薬組成物を投与することを含み、このMMPまたはそのプロMMPは、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−8、MMP−9、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−19、MMP−25、活性断片、突然変異体、変異体、その医薬組成物、医薬的に許容可能なその塩もしくはプロドラッグまたはそれらの何らかの組み合わせを含み、局所的な脂肪沈着を減少させる。いくつかの実施形態において、本組成物は、2以上、3以上、4以上のマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、不活性MMPまたはそのプロ酵素(プロMMP)を含む。
実施形態において、本医薬組成物は、非経口、局所、筋肉内、皮下または経皮投与経路により投与される。ある一定の態様において、本医薬組成物は局所的な脂肪沈着に、またはその付近に投与される。
ある実施形態において、脂肪組織増加が付随する状態を有する対象を処置する方法は、その対象に有効量の少なくとも1つのマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)またはそのプロMMPを含む組成物を投与することを含み、このMMPまたはそのプロMMPは、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−7、MMP−8、MMP−9、MMP−10、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−14、MMP−15、MMP−16、MMP−17、MMP−18、MMP−19、MMP−20、MMP−21、MMP−23A、MMP−23B、MMP−24、MMP−25、MMP−26、MMP−27、MMP−28、活性断片、突然変異体、変異体、その医薬組成物、医薬的に許容可能なその塩もしくはプロドラッグまたはそれらの何らかの組み合わせを含み、本組成物が脂肪組織を異化する。いくつかの実施形態において、本組成物は、2以上、3以上、4以上のマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、不活性MMPまたはそのプロ酵素(プロMMP)を含む。
実施形態において、MMPまたはそのプロMMPは、1以上のMMPの1以上の活性断片または活性断片を含むプロMMPを場合によっては含み、この活性断片が脂肪組織を異化する。脂肪組織増加が付随する状態の例は、セルライト、脂肪沈着、脂肪腫、肥満、糖尿病、代謝性疾患またはそれらの組み合わせを含む。したがって、本組成物は、美容または健康の理由の何れかのために何らかの脂質または脂肪沈着を異化することにおいて有効である。
いくつかの実施形態において、本組成物は、皮下または筋肉内注射を介して局所的に投与される。いくつかの実施形態において、1以上のMMPまたはプロMMPがカプセル封入され、対象に注射されたら時間をかけて放出される。
いくつかの実施形態において、治療的有効量の脂肪組織を異化するための少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物または持続放出医薬組成物が投与された対象において脂肪吸引手順が行われる。
組織、タンパク質、マトリクス、器官:他の実施形態において、本明細書中で具体化される組成物は、タンパク質、マトリクス、組織または器官を解離させる。好ましい実施形態において、組織を解離させるための方法は、有効量のマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、不活性MMPまたはそのプロ酵素(プロMMP)を含む組成物と組織を接触させることを含み、このMMP、不活性MMPまたはそのプロMMPは、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−7、MMP−8、MMP−9、MMP−10、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−14、MMP−15、MMP−16、MMP−17、MMP−18、MMP−19、MMP−20、MMP−21、MMP−23A、MMP−23B、MMP−24、MMP−25、MMP−26、MMP−27、MMP−28、活性断片、突然変異体、変異体、その医薬組成物、医薬的に許容可能なその塩もしくはプロドラッグまたはそれらの何らかの組み合わせを含む。組織の非限定例としては、上皮、結合組織、脂肪組織、内皮、基底膜、基底層、心臓組織、心内膜、頂端膜、側底膜、細胞外マトリクス、高密度結合組織、繊維性結合組織、嗅上皮、疎性結合組織、ムチン、中皮、間質、網状結合組織、骨髄、血液、血管、リンパ系組織、肺、心血管系組織、脳組織、脳脊髄組織および液、脳血管組織および液、神経組織、脳、骨組織、皮膚、筋肉、膵臓組織、卵巣濾胞、臍帯血組織、胎盤、腸の内層、脳組織、脊髄組織、心血管系組織、結合組織、脳脊髄液または組織、骨髄、真皮、血液、骨膜、繊維性組織、瘢痕組織または何らかの器官組織が挙げられる。組織または器官の具体的な供給源としては、脂肪/脂肪分、副腎、骨、脳、軟骨、結腸、内皮、上皮、眼、心臓、腸、腎臓、肝臓、肺、リンパ節、乳房、種々の筋肉、神経、膵臓、耳下腺、下垂体、前立腺、生殖系、鱗屑、皮膚、脾臓、脳幹、胸腺、甲状腺/副甲状腺、扁桃腺または腫瘍が挙げられるが限定されない。
別の好ましい実施形態において、タンパク質マトリクスを解離させる方法は、有効量のマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、不活性MMPまたはそのプロ酵素(プロMMP)を含む組成物とタンパク質マトリクスを接触させることを含み、このMMP、不活性MMPまたはそのプロMMPは、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−7、MMP−8、MMP−9、MMP−10、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−14、MMP−15、MMP−16、MMP−17、MMP−18、MMP−19、MMP−20、MMP−21、MMP−23A、MMP−23B、MMP−24、MMP−25、MMP−26、MMP−27、MMP−28、活性断片、突然変異体、変異体、その医薬組成物、医薬的に許容可能なその塩もしくはプロドラッグまたはそれらの何らかの組み合わせを含む。タンパク質マトリクスの例は、コラーゲン、フィブロネクチン、ゼラチン、ラミニン、アグレガン(aggregan)、エラスチン、フィブリン、フィブリノーゲンまたはそれらの組み合わせを含む。本組成物は、多くの医学または美容分野で適用され得る。例えば瘢痕化の減少または除去、組織塊、創傷治癒、組織の選択的除去などである。
他の好ましい実施形態において、瘢痕または創傷を処置または治癒させる方法は、少なくとも1つの:マトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、不活性MMPまたはそのプロ酵素(プロMMP)を含む組成物と瘢痕組織または創傷を接触させることを含み、このマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、不活性MMPまたはそのプロMMPは、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−7、MMP−8、MMP−9、MMP−10、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−14、MMP−15、MMP−16、MMP−17、MMP−18、MMP−19、MMP−20、MMP−21、MMP−23A、MMP−23B、MMP−24、MMP−25、MMP−26、MMP−27、MMP−28、活性断片、突然変異体、変異体またはそれらの何らかの組み合わせを含む。好ましくは、MMP、不活性MMPまたはプロ酵素(プロMMP)は、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、核酸配列、cDNA、リボ核酸配列、キメラ分子、ペプチド模倣物、ペプチド核酸(PNA)またはそれらの組み合わせを含む。好ましくは、本組成物は、医薬的に許容可能な薬剤、医薬的に許容可能なその塩またはプロドラッグをさらに含む。他の好ましい実施形態において、本組成物は、有効量の何れか2以上のMMPまたはプロMMP、活性断片、変異体、突然変異体またはそれらの何らかの組み合わせを含み、瘢痕組織または創傷を解離させるかまたは異化する。
別の好ましい実施形態において、繊維性組織を解離させる方法は、少なくとも1つの:マトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、不活性MMPまたはそのプロ酵素(プロMMP)を含む組成物と繊維性組織を接触させることを含み、このマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、不活性MMPまたはそのプロMMPは、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−7、MMP−8、MMP−9、MMP−10、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−14、MMP−15、MMP−16、MMP−17、MMP−18、MMP−19、MMP−20、MMP−21、MMP−23A、MMP−23B、MMP−24、MMP−25、MMP−26、MMP−27、MMP−28、活性断片、突然変異体、変異体またはそれらの何らかの組み合わせを含む。好ましくは、MMP、不活性MMPまたはプロ酵素(プロMMP)は、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、核酸配列、cDNA、リボ核酸配列、キメラ分子、ペプチド模倣物、ペプチド核酸(PNA)またはそれらの組み合わせを含む。好ましくは、本組成物は、医薬的に許容可能な薬剤、医薬的に許容可能なその塩またはプロドラッグをさらに含む。他の好ましい実施形態において、本組成物は、有効量の何れかの2以上のMMPまたはプロMMP、活性断片、変異体、突然変異体またはそれらの何らかの組み合わせを含み、繊維性組織を解離させるかまたは異化する。
したがって、本組成物はまた、熱傷および潰瘍除去、創傷治癒、瘢痕化または瘢痕化組織に対する局所的処置、ぺイロニー病の処置、骨(例えば異常な骨形成または成長)の処置、異常なまたはヘルニア状態の椎間板の再形成に対しても有用である。
疾患:本明細書中で具体化される組成物は、MMPカクテルが有益である疾患のインビボ処置または予防に有用である。これらには、ウイルス疾患、細菌感染、原虫感染症の寄生生物、癌、自己免疫疾患、炎症、移植、神経性疾患または障害、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、多発性硬化症、アルツハイマー病、肝臓疾患または障害、胃腸疾患または障害、糖尿病、癌、自己免疫、免疫関連疾患または障害、神経性疾患または障害、神経変性疾患または障害、神経修復および麻痺、神経内分泌分化、炎症性疾患、筋肉疾患または障害、感染性生物が関連する疾患または障害などが含まれる。
特定の例において、本明細書中の組成物は、例えば、繊維症、癌、タンパク質蓄積が付随する疾患、例えばアルツハイマー病など、腫瘍性疾患、炎症性疾患、冠動脈疾患、閉塞性心血管系疾患、変性疾患および感染性疾患、白内障、異常なタンパク質沈着などの処置において使用し得る。腫瘍性疾患のいくつかの例は、癌、リンパ腫、白血病および脳腫瘍であり得るが限定されない。炎症性疾患のいくつかの例は、関節炎、喘息、アテローム性動脈硬化症、クローン病、大腸炎、皮膚炎、紅斑性狼瘡などであり得るが限定されない。感染性疾患のいくつかの例としては、細菌、ウイルス、真菌、マイコプラズマ、ある種の遺伝性疾患および他の感染症が挙げられ得るが限定されない。
ある好ましい実施形態において、繊維症に罹患しているかまたはその発症リスクがある患者を処置する方法は、有効量のマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)またはそのプロMMPを含む治療的有効量の組成物を投与することを含み、このMMPまたはそのプロMMPは、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−7、MMP−8、MMP−9、MMP−10、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−14、MMP−15、MMP−16、MMP−17、MMP−18、MMP−19、MMP−20、MMP−21、MMP−23A、MMP−23B、MMP−24、MMP−25、MMP−26、MMP−27、MMP−28、活性断片、突然変異体、変異体、その医薬組成物、医薬的に許容可能なその塩もしくはプロドラッグまたはそれらの何らかの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、本組成物は、2以上、3以上、4以上のマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、不活性MMPまたはそのプロ酵素(プロMMP)を含む。
「治療的有効量」は、疾患を処置するために対象に投与された場合に、その疾患に対するこのような処置をもたらすのに十分である化合物の量を意味する。「治療的有効量」は、化合物、疾患およびその重症度、および処置しようとする対象の年齢、体重などに依存して変動し得る。「医薬的に許容可能な」という句は、生理学的に耐容性であり、一般的にはヒトへの投与時にアレルギー性または同様の有害な反応、例えば胸焼け、眩暈などを生じない分子部分および組成物を指す。
治療化合物としての使用のためのMMPのタイプおよび量は、当業者にとって入手可能な何らかの情報に基づき治療活性を有すると考えられ得る。例えば、原型化合物は、医師用卓上参考書に含有される情報に基づき治療活性を有すると考えられ得る。さらに、非限定例として、治療化合物は、臨床家の経験、化合物の構造、構造活性関係データ、EC50、アッセイデータ、IC50アッセイデータ、動物または臨床研究または何らかの他の基礎またはこのような基礎の組み合わせに基づき治療活性を有すると考えられ得る。
治療的に活性のある化合物は、治療活性を有する化合物であり、例えば化合物が対象に投与されるかまたはインビトロで試験された場合に特別な反応を誘導する能力を含む。治療活性は、予防および緩和処置の両方を含め、疾患または状態の処置を含む。疾患または状態の処置は、疾患または状態の予防、緩和および排除を含む、何らかの量による、疾患または状態の改善を含み得る。例えば組織または細胞塊の解離から利益を得る何らかの疾患または障害に対する好ましい実施形態におけるものを含め、何らかの疾患または状態に対して治療活性が果たされ得る。治療活性を決定するために、化合物の治療活性が評価され得る何らかの方法を使用し得る。例えば臨床評価、EC50およびIC50アッセイおよび用量反応曲線を含め、例えばインビボおよびインビトロの両方の方法を使用し得る。
処方物、投与:本明細書中で具体化される組成物は、何らかの適切な方法によって、例えばRemington:The Science And Practice Of Pharmacy(21st ed.,Lippincott Williams & Wilkins)に記載のように投与のために処方される。
投与の代表的な経路としては、非経口、経口、皮下、局所、筋肉内、経皮、経粘膜、舌下、鼻腔内、経血管、皮下、眼窩またはそれらの組み合わせが挙げられるが限定されない。いくつかの実施形態において、本組成物は、処置が所望される領域、例えば局所的な脂肪沈着での注射のために処方される。別の実施形態において、本組成物は、例えば対象において瘢痕化をなくすかまたは減少させるために、局所処方物として処方され得る。いくつかの実施形態において、組成物は、少なくとも1以上または少なくとも2以上または少なくとも3以上のマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、不活性MMPまたはそのプロ酵素(プロMMP)を含み、このマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、不活性MMPまたはそのプロ酵素(プロMMP)は、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−7、MMP−8、MMP−9、MMP−10、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−14、MMP−15、MMP−16、MMP−17、MMP−18、MMP−19、MMP−20、MMP−21、MMP−23A、MMP−23B、MMP−24、MMP−25、MMP−26、MMP−27、MMP−28、活性断片、cDNA配列、突然変異体、変異体、その医薬組成物、医薬的に許容可能なその塩もしくはプロドラッグまたはそれらの何らかの組み合わせを含む。
いくつかの実施形態において、本組成物は、4以上または5以上のマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、不活性MMPまたはそのプロ酵素(プロMMP)を含む。
本発明の核酸、タンパク質、ペプチドまたは薬剤は、静脈内、腹腔内、筋肉内注射または経口によるものを含め、何らかの適切な経路を介して、処置を必要とする患者に投与され得る。正確な用量は、核酸、タンパク質、ペプチドまたは薬剤が診断のため、または処置のため、または予防のためであるか否かを含むいくつかの要因に依存する。成人患者の投与量または投与計画は、小児および幼児に対して比例的に調整され得、また、例えば分子量に比例して他の投与または他の方式に対しても調整され得る。医師の裁量により、適切な間隔で投与または処置を反復し得る。
本発明の核酸、タンパク質、ペプチドまたは薬剤は、通常、核酸、タンパク質、ペプチドまたは薬剤に加えて少なくとも1つのコンポーネントを含み得る医薬組成物の形態で投与される。したがって、本発明による、および本発明による使用のための医薬組成物は、活性成分に加えて、医薬的に許容可能な賦形剤、担体、緩衝剤、安定化剤または当業者にとって周知の他の物質を含み得る。このような物質は、無毒性であるべきであり、活性成分の効果を妨害すべきではない。担体または他の物質の的確な性質は、経口であり得るか、または注射、例えば静脈内によるか、または腫瘍部位での蓄積による、投与経路に依存する。
いくつかの実施形態において、MMP、プロMMP、活性薬剤、MMPの阻害剤またはそれらの組み合わせは、放出を延長させ、それにより組織、タンパク質マトリクス、器官などの異化をさらに維持するために、結晶性微粒子懸濁液として処方される。本組成物は、局所適用、静脈内点滴または注射、皮下、筋肉内、腹腔内、頭蓋内および脊髄注射、経口経路を介した摂取、吸入、経上皮拡散または埋め込み型、時間放出薬物送達装置によって投与され得る。
他の実施形態において、本明細書中で具体化される組成物は、担体とともに処方され、MMP、プロMMP、活性薬剤、MMPの阻害剤またはそれらの組み合わせの時間放出のために構成され得る。様々な時間放出配列が企図される。例えば、特定のMMPの連続または時間放出があるように、本組成物においてMMPの連続放出を有することは有益であり得る。これは、組織、マトリクス、異なる基質層がある器官への適用において特に所望される。例えば、第一の層がコラーゲンであり、第二の層がフィブロネクチンである場合、コラーゲンを分解するためにMMP−2を放出させ、続いてフィブロネクチンを異化するためにMMP12を放出させることが所望され得る。さらに、MMPの不活性型が使用される場合、同時に、一方を他方の前に、一方を他方の後にまたはそれらの組み合わせで、MMPおよび特異的な活性薬剤を放出することが所望され得る。さらに、MMPに特異的な阻害剤を含むことが所望される場合、これらは、MMPが所望の組織またはタンパク質マトリクスを異化した後の時間点で放出するように処方され得る。
別の態様において、本発明は、医薬的に許容可能な担体と一緒に、MMP、プロMMP、活性薬剤、MMPの阻害剤またはそれらの組み合わせまたは医薬的に許容可能なそのエステル、塩またはプロドラッグを含む医薬組成物を提供する。本明細書中で具体化される組成物は、何らかの従来の経路、特に腸内的に、例えば経口的に、例えば錠剤またはカプセルの形態で、または非経口的に、例えば注射用の溶液または懸濁液の形態で、局所的に、例えばローション、ゲル、軟膏もしくはクリームの形態で、または鼻腔または坐剤形態で、医薬組成物として投与され得る。遊離形態、または少なくとも1つの医薬的に許容可能な担体または希釈剤と会合された医薬的に許容可能な塩の形態の、本発明の、MMP、プロMMP、活性化剤、MMPの阻害剤またはそれらの組み合わせを含む医薬組成物は、混合、粒状化またはコーティング法により従来の方式で製造され得る。例えば、経口組成物は、a)希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシン;b)潤滑剤、例えばシリカ、タルカム、ステアリン酸、そのマグネシウムまたはカルシウム塩および/またはポリエチレングリコール;錠剤の場合はまた、c)結合剤、例えば,ケイ酸マグネシウムアルミニウム、デンプン糊、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびまたはポリビニルピロリドン;必要に応じて、d)崩壊剤、例えばデンプン、寒天、アルギン酸またはそのナトリウム塩または発泡性混合物;および/またはe)吸収剤、着色剤、香味料および甘味料と一緒に活性成分を含む錠剤またはゼラチンカプセルであり得る。注射用組成物は水性等張溶液または懸濁液であり得、坐剤は、脂肪エマルションまたは懸濁液から調製され得る。本組成物は、安定化され得、および/または、保存剤、安定化剤、湿潤剤または乳化薬剤、溶液プロモーター、浸透圧を制御するための塩および/または緩衝剤などのアジュバントを含有し得る。さらに、これらはまた、他の治療的に価値のある物質も含有し得る。経皮適用のための適切な処方物は、担体とともに有効量の本発明の化合物を含む。担体は、宿主の皮膚を通じた通過を支援するために、吸収性の薬理学的に許容可能な溶媒を含み得る。例えば、経皮装置は、裏打ち部材、場合によっては担体とともに本化合物を含有する貯留槽、場合によっては長期間にわたり調節され、予め決定された速度で宿主の皮膚に本化合物を送達するための速度調節バリアおよび皮膚にその装置を固定するための手段を含む包帯の形態である。マトリクス経皮処方物も使用され得る。例えば皮膚および眼への局所適用のための適切な処方物は、好ましくは当技術分野で周知の水性溶液、軟膏、クリームまたはゲルである。このようなものは、可溶化剤、安定化剤、等張性促進剤、緩衝剤および保存剤を含有し得る。特定の投与経路に適切な何らかの適切な医薬的に許容可能な賦形剤が使用され得る。医薬的に許容可能な担体の例としては、緩衝剤、塩水または他の水媒体が挙げられるが限定されない。本発明の化合物は、好ましくはそれらの投与(例えば皮下)のために使用される担体中で可溶性である。あるいは、適切な担体中の活性化合物または化合物の懸濁液(例えば結晶性微粒子の懸濁液)が使用される。いくつかの実施形態において、液体担体中で、例えば溶液、懸濁液、ゲルおよび/またはエマルションとして、MMPまたはプロMMPの1以上が処方される。いくつかの実施形態は、何らかの適切な脂溶性担体、例えば変性油(例えば、CREMOPHOR(商標)BASF,Germany)、ダイズ油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、誘導体化ポリエーテル、それらの組み合わせなどを含む。いくつかの実施形態は、MMPまたはプロMMPの少なくとも1つに対する微粒子および/またはナノ粒子担体を含む。いくつかの実施形態は、1以上の時間放出薬剤、持続または制御放出担体または薬剤、例えばポリマーミクロスフェアを含む。時間放出薬剤の例は、グリセロール、グリコール、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、イソマルト(isomalt)、マルチトール、ラクチトールおよびポリビニルアルコール、単糖類及び二糖類を含む。長時間にわたり放出されるようにMMPなどがカプセル封入され得る。いくつかの実施形態は、MMP、プロMMPまたはその活性断片、その活性化剤または阻害剤の微粒化粒子のための安定な懸濁液に適切な賦形剤を含む。
本明細書中で具体化される組成物は、1以上のMMP、プロMMP、MMPまたはそれらの組み合わせの活性化剤、阻害剤の放出のための送達ビヒクルを提供しながら生体適合性および好ましくは生分解性および生体吸収性などの物理学的特性の組み合わせを呈するように適合化された担体物質とともに処方され得る。使用される担体物質は、埋め込まれるか、分解されるかまたは吸収されたときに炎症または刺激の誘導が生じないように、生体適合性である。
したがって、本発明による担体は、生分解性であるかまたは非生分解性であるかの何れかであり得る。生分解性組成物の代表例としては、アルブミン、ヒアルロン酸、デンプン、セルロースおよびセルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、カゼイン、デキストラン、多糖類、フィブリノーゲン、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ヒドロキシブチラート)、ポリ(アルキルカルボナート)およびポリ(オルトエステル)、ポリエステル、ポリ(ヒドロキシ吉草酸)、ポリジオキサノン、ポリ(エチレンテレフタラート)、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(タルトロン酸)、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリ(アミノ酸)およびそれらのコポリマーが挙げられる。
非分解性ポリマーの代表例としては、ポリ(エチレン酢酸ビニル)(「EVA」)コポリマー、シリコーンゴム、アクリルポリマー(ポリアクリル酸、ポリメチルアクリル酸、ポリメチルメタクリラート、ポリアルキルシノアクリラート(polyalkylcynoacrylate))、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド(ナイロン6,6)、ポリウレタン、ポリ(エステルウレタン)、ポリ(エーテルウレタン)、ポリ(エステル−尿素)、ポリエーテル(ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(酸化プロピレン)、プルロニックおよびポリ(テトラメチレングリコール))、シリコーンゴムおよびビニルポリマー(ポリビニルピロリドン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(酢酸フタル酸ビニル)が挙げられる。陰イオン性(例えば、アルギン酸塩、カルボキシメチルセルロースおよびポリ(アクリル酸)または陽イオン性(例えば、キトサン、ポリ−L−リジン、ポリエチレンイミンおよびポリ(アリルアミン))の何れかであるポリマーもまた開発され得る。
ポリマー性担体としては、ポリ(エチレン酢酸ビニル)、ポリウレタン、ポリ(D,L−乳酸)オリゴマーおよびポリマー、ポリ(L−乳酸)オリゴマーおよびポリマー、ポリ(グリコール酸)、乳酸およびグリコール酸のコポリマー、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(バレロラクトン)、ポリ無水物、ポリエチレングリコールとのポリ(カプロラクトン)またはポリ(乳酸)のコポリマー(例えばMePEG)および上記のものの何れかのブレンド、混合物またはコポリマーが挙げられる。他の好ましいポリマーとしては、多糖類、例えばヒアルロン酸、キトサンおよびフカンなど、および分解性ポリマーと多糖類のコポリマーが挙げられる。
これらの適用に有用な他のポリマーとしては、カルボン酸ポリマー、ポリアセタート、ポリアクリルアミド、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリビニルブチラール、ポリシラン、ポリウレア、ポリウレタン、ポリ酸化物、ポリスチレン、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリスルホニド、ポリビニルハロゲン化物、ピロリドン、熱硬化性ポリマー、架橋性アクリルおよびメタクリルポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、スチレンアクリルコポリマー、酢酸ビニルポリマーおよびコポリマー、酢酸ビニルポリマーおよびコポリマー、エポキシ、メラミン、他のアミノ樹脂、フェノール性ポリマーおよびそのコポリマー、水不溶性セルロースエステルポリマー(プロピオン酸酢酸セルロース、酢酸セルロース、酪酸酢酸セルロース、硝酸セルロース、フタル酸酢酸セルロースおよびそれらの混合物を含む。)、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリエーテル、多糖類、親水性ポリウレタン、ポリヒドロキシアクリラート、デキストラン、キサンタン、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロースおよび、N−ビニルピロリドン、N−ビニルラクタム、N−ビニルブチロラクタム、N−ビニルカプロラクタム、極性ペンダント基を有する他のビニル化合物のホモポリマーおよびコポリマー、親水性エステル化基を有するアクリラートおよびメタクリラート、ヒドロキシアクリラートおよびアクリル酸およびそれらの組み合わせ、セルロースエステルおよびエーテル、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、硝酸セルロース、酢酸セルロース、酪酸酢酸セルロース、プロピオン酸酢酸セルロース、ポリウレタン、ポリアクリラート、天然および合成エラストマー、ゴム、アセタール、ナイロン、ポリエステル、スチレンポリブタンジエン、アクリル樹脂、塩化ポリビニリデン、ポリカーボネート、ビニル化合物のホモポリマーおよびコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル酢酸ビニルが挙げられる。全般的に、Williamsに対する米国特許第6,514,515号;Parkらに対する米国特許第6,506,410号;Mathiowitzらに対する米国特許第6,531,154号、Chudzikらに対する米国特許第号6,344,035号;Zdrahalaらに対する米国特許第6,376,742号;およびGriffith,L.A.,Ann.N.Y.Acad,of Sciences,961:83−95(2002);およびChaikofら、Ann.N.Y.Acad.of Sciences,961:96−105(2002)を参照のこと。
さらに、本明細書中で記載のようなポリマーは、必要に応じて様々な組成物中でブレンドするかコポリマー化することもできる。論じられるようなポリマー性担体は、所望の放出特徴および/または特異的な所望の特性を有する様々な形態で適応させ得る。例えば、pHなどの具体的な惹起事象への曝露時にMMPを放出させるために、ポリマー性コーティングを適応させ得る。pH感受性ポリマーの代表例としては、ポリ(アクリル酸)およびその誘導体(例えば、ポリ(アミノカルボン酸)などのホモポリマー;ポリ(アクリル酸);ポリ(メチルアクリル酸)、このようなホモポリマーのコポリマーおよび上記で論じられるものなどのポリ(アクリル酸)およびアクリル単量体のコポリマーを含む。)が挙げられる。他のpH感受性ポリマーとしては、多糖類、例えば酢酸フタル酸セルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート;酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース;トリメリラート(trimellilate)酢酸セルロース;およびキトサンが挙げられる。また他のpH感受性ポリマーとしては、pH感受性ポリマーおよび水溶性ポリマーの何らかの混合物が挙げられる。
同様に、ポリマー性担体を温度感受性になるように適応させ得る。熱ゲル化ポリマーおよびそれらのゼラチン温度の代表例としては、ホモポリマー、例えばポリ(N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド)(19.8℃);ポリ(N−n−プロピルアクリルアミド)(21.5℃);ポリ(N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド)(22.3℃);ポリ(N−n−プロピルメタクリルアミド(28.0℃);ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(30.9℃);ポリ(N,n−ジエチルアクリルアミド)(32.0℃);ポリ(N−イソプロピルメタクリルアミド)(44.0℃);ポリ(N−シクロプロピルアクリル−アミド)(45.5℃);ポリ(N−エチルメチアクリルアミド(ethylmethyacrylamide))(50.0℃);ポリ(N−メチル−N−エチルアクリルアミド)(56.0℃);ポリ(N−シクロプロピルメタクリルアミド)(59.0℃);ポリ(N−エチルアクリルアミド)(72.0℃)が挙げられる。さらに、上記の単量体間でコポリマーを調製することによって、またはこのようなホモポリマーをアクリル単量体(例えばアクリル酸およびその誘導体、例えばメチルアクリル酸、アクリル酸およびその誘導体、例えばブチルメタクリラート、アクリルアミドおよびN−n−ブチルアクリルアミド)などの他の水溶性ポリマーと組み合わせることによって、熱ゲル化ポリマーが作製され得る。
当技術分野で公知の何らかの方法を用いて、例えば単針、複数針を用いて、および/または無針注射装置を用いて、注射用処方物を投与する。いくつかの実施形態において、活性成分の組織ローディング用量は、注射により送達される適切な担体中で処方される。いくつかの実施形態において、送達は、単針注射を含む。いくつかの実施形態において、送達は複数針アレイを用いた注射を含み、いくつかの実施形態において、これは標的組織における処方物の幅広い分散をもたらす。いくつかの実施形態において、局所的な脂肪がある領域の組織または皮下脂肪の適切な層への分散をもたらすように処方物を注射する。
いくつかの実施形態において、MMP、プロMMP、活性化剤または何らかのそれらの組み合わせは、例えば個別の処方物として注射されるかまたは、あるいは個別の系路により投与される。
いくつかの実施形態において、処方物は、MMPまたはプロMMPまたは活性化剤または活性断片またはそれらの何らかの組み合わせの持続性または制御放出を提供するために、1以上の持続または制御放出剤を含む。このような処方物において、MMPまたはプロMMPまたは活性化剤または活性断片またはそれらの何らかの組み合わせは、または、持続または制御放出剤または担体中にカプセル封入され、これに結合され、および/または複合化される。いくつかの実施形態において、生体適合性、生分解性の持続または制御放出処方物は局所組織活性を提供する。持続放出は、約12時間から約12カ月、例えば1日、3日、7日、10日、1カ月、45日、2カ月、3カ月、4カ月、6カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月、または約12時間から約12カ月の何らかの他の時間にわたり得る。適切な持続または制御放出剤または担体としては、ポリマー、巨大分子、活性成分複合物、ヒドロゲル、その混入物などが挙げられる。持続放出担体のいくつかの実施形態は、脂肪、例えばリポソームを標的とする。好ましくは、持続放出物質は、単位時間あたりの活性物質の実質的に等しい量の送達を促進するために選択される。単一領域を処置するために、数ラウンドの持続放出処方物の注射が時間をかけてなされ得る。いくつかの実施形態において、持続放出は、MMPなどを結晶性薬物微粒子の懸濁液として処方される結果である。
いくつかの実施形態において、持続放出剤は、ポリマー、例えば、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(ラクチドグリコリド)ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリエーテルエステル、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、ポリカーボネート、ポリシアノアクリラート、ポリウレタン、ポリアクリラートおよび上記のもののブレンド物、混合物またはコポリマーを含み、これらは活性成分ととともにカプセル封入するか、結合させるかまたは複合化させるために使用される。持続放出ポリマーのいくつかの実施形態は、活性成分の1以上が複合化されるポリエチレングリコール基を含む。いくつかの実施形態において、持続放出剤は、ポリ(ラクチドグリコリド)(PLGA、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸))コポリマーを含む。
持続放出剤のいくつかの実施形態は、修飾アルギナートを含む1以上のヒドロゲルを含む。適切な修飾アルギナートの例としては、WO98/12228で開示されるものが挙げられる。持続放出剤のいくつかの実施形態は、アルブミンに基づくナノ粒子担体または賦形剤を含む。
いくつかの実施形態において、プレポリマー溶液を含む処方物を標的組織部位に注射し、次いでこれがインビボで(例えば光重合化により)ポリマー化または(例えば温度感受性のゲル化物質を用いることにより)固化する。
いくつかの実施形態において、制御放出物質は、組織、タンパク質またはマトリクス減少の特定の適用のために設計された放出特徴を有する。いくつかの実施形態において、持続放出または制御放出薬剤は、注射用の溶液および/またはゲルとして処方されるミクロスフェアなどの微粒子に形成される。いくつかの実施形態において、微粒子は、直径約10μmから約100μm(例えば、約15μm、20μm、25μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μmまたは約10μmから約100μmの何らかの他の直径)の範囲である。いくつかの実施形態において、微粒子は、サイズが均一である。他の実施形態において、微粒子は、約10%から約300%、例えば、30%、40%、50%、70%、80%、90%、120%、150%、170%、190%、200%、225%、250%、275%または約10%から約300%の何らかの他の%のサイズ変動で変動し得る。いくつかの実施形態において、MMPなどを含む処方物は、注射用ゲルとして提供されるか、またはミクロスフェアに加工される。他の実施形態において、これらは結晶性微粒子として形成される。微粒子形成に適切な注射用生分解性、生体適合性物質の他の例としては、キトサン、デキストラン、ハイドロキシアパタイトおよびシリコンが挙げられる。
ミクロスフェアおよび/または微粒子は、溶媒蒸発および/またはエマルションポリマー化によることを含め、何らかの方法を用いて形成される。いくつかの実施形態において、ミクロスフェアの平均直径は、約5μmから約60μm、好ましくは約20μmである。いくつかの実施形態において、活性成分の所望の放出速度に依存して、様々なラクチドとグリコリドとの比でPLGAが製造される。このコポリマーの分解速度はその結晶性および処方物中のグリコリドの割合に比例するので、ラクチドおよび/またはグリコリドの非ラセミ混合物は、結晶性を向上させ、分解速度を遅くする。グリコリドの割合が高いほど、分解速度が速くなる。いくつかの実施形態において、約65%から75%ラクチドと約25%から35%グリコリドとの比率により、約2週間から約45日にわたり放出される活性成分が提供される。他の実施形態において、ラクチドとグリコリドとの比率は、約0:100から約100:0であり、それにより他の放出速度がもたらされる。
ミクロスフェアまたは微粒子のいくつかの実施形態は、空洞を含みおよび/または内部が多孔性である。いくつかの実施形態において、ミクロスフェアは、固形または多孔性の外殻を含む。
いくつかの実施形態において、多孔性外殻および/またはミクロスフェアを含む処方物は、活性成分の2相性の放出プロファイルを示し、活性成分の最初の突発的放出、それに続いてポリマー性ミクロスフェアの分解を伴う持続放出が起こる。理論に縛られることを望むものではないが、最初の突発的放出は、活性成分の有効な脂肪分解または異化濃度を組織に負荷し、続いて所望の濃度を持続させる、よりゆっくりとした放出が起こると考えられる。
いくつかの実施形態において、活性成分の1以上を、ポリマー性ミクロスフェアに対して約10から12質量%の比率でポリマーにカプセル封入し、結合させ、および/または複合化させる。担体(例えば微粒子またはミクロスフェア)の質量%としての活性成分の量は、本明細書中で「活性成分負荷量」と呼ぶ。本明細書中で使用される場合、「負荷される」および「負荷(量)」という用語は、担体に実質的にカプセル封入され、結合され、および/または複合化される活性成分を指す。いくつかの実施形態において、活性成分負荷量は約75%以下である。したがって、いくつかの好ましい処方物は、1以上の活性成分および/またはそれらの生理学的に許容可能な塩および溶媒和物を含み、約10mgから約200ミリグラムのポリマーあたり約1mgから約20mgの活性成分(例えば、約2mg、5mg、7mg、10mg、12mg、14mg、15mg、17mg、18mgまたは約1mgから約20mgの何らかの他の量の活性成分)でポリマー性ミクロスフェアに負荷される。いくつかの実施形態において、この活性成分負荷量がある処方物は、本明細書中で具体化されるように脂肪分解を生じさせるのに適切な濃度で活性成分を約12時間から約45日(例えば、約3日、7日、16日、20日、25日、30日、35日、40日、42日または約12時間から約45日の何れかの他の時間)放出させるのに十分である。
いくつかの実施形態において、2以上の活性成分を同じ微粒子に、例えばリポソームまたはPLGAにおいて負荷する。したがって、いくつかの実施形態、1以上のMMPをカプセル封入するポリマーなどは、脂肪組織に同時に送達される。あるいは、2種類の活性成分を個々の微粒子に負荷する。次に2種類のタイプのミクロスフェアを混合して、それぞれの所望の比率で処方物を得て、次いで同時に投与する。あるいは、この2種類のタイプの微粒子を連続的に投与する。
活性成分を含むミクロスフェアを約10mLから約20mLの適切な生理学的に許容可能な液体担体中で懸濁する。活性成分の個別のミクロスフェアを用いたいくつかの実施形態において、ミクロスフェアを液体担体中で一緒に混合する。他の実施形態において、各タイプのミクロスフェアを液体担体と個別に混合する。いくつかの実施形態において、次いでミクロスフェア懸濁液を皮下、真皮の直下に1.0mLアリコートで注射して、例えばセルライトの処置の場合、ミクロスフェア懸濁液1mLあたり約2.0cmの面積を被覆する。いくつかの実施形態において、約20cm2から約40cm2の面積を被覆するために、約10から約20回の注射を行う。より大きいおよび/またはより小さい面積を様々な実施形態で処置する。あるいは、いくつかの実施形態において、1.0mLから10.0mLのボーラス注射を、顎下領域、側腰部および臀部または組織などの脂肪沈着部に注射する。あるいは、上記のような注射は、各活性成分をカプセル封入する2種類のミクロスフェア処方物を用いて同じ位置で、個別におよび連続的になされる。
いくつかの実施形態において、無針(needless)注射を使用して、懸濁液としてまたは粉末化負荷微粒子として、すなわち液体担体なしで、微粒子製剤を投与する。
PLGA15ミクロスフェアは、親水性化合物よりも容易に疎水性化合物をカプセル封入する。親水性活性成分の負荷量を増加させるために、いくつかの実施形態において、ミクロスフェアをポリエチレングリコール単位で修飾する。ある一定のサイズのミクロスフェアは、実質的に血液に吸収されないか、またはリンパにより除去されず、それによって、標的領域内で活性成分の放出が局所化される。例えば、いくつかの実施形態において、ミクロスフェアは、直径約20μmから約200μm、例えば、約30μから175μm、約50μmから約150μm、約75μmから約125μmまたは約20μmから約200μmの何らかの他の直径である。ミクロスフェアのサイズはまた、組織における活性成分の放出プロファイルにも影響を与える。一般に、大きいミクロスフェアほど、より長く均一な放出プロファイルをもたらす。したがって、いくつかの実施形態において、処方物中の平均粒径は、所望の放出期間に基づいて選択される。
いくつかの実施形態において、処置しようとする対象に対して非持続放出処方物が提供される。いくつかの実施形態において、非持続放出処方物は、単回投与後、1以上のMMPなどの活性を提供する。
いくつかの実施形態において、処方物は、当技術分野で公知の何らかの適切な方法を用いて経皮的に、例えば局所適用されるクリームとして、またはパッチを通じて送達される。あるいは、例えば電気的な、当技術分野で公知の他の経皮送達手段もまた有用である。例えば本明細書中に記載のような生分解性、生体適合性活性成分−ポリマー処方物またはリポソーム処方物を用いて、経皮的に送達可能な処方物の持続放出実施形態を提供することもできる。
いくつかの実施形態において、薬物または薬物の組み合わせの局所適用が利用される。個々の物質に対して、分配係数は、一般にオクタノール:水比または「LogP」として測定され、これは、オクタノール対水に対するある種の物質の相対的親和性の目安である。LogPが大きいほど、物質はオクタノールに引き付けられる傾向が高く、LogPが小さいほどその傾向が低い。言い換えると、これは、ある種の物質に対する、親油性対親水性の相対的な目安を与える。薬剤の皮膚への送達の場合、最適LogPは1.0から5.0の範囲である。フォルモテロールのLogPは、2から4の範囲である。ケトチフェンは、それが皮膚に、および皮膚を横切って送達されるようにする同様の物理学的特性を有する。
軟膏およびクリームを含む様々な局所処方物は、薬物または薬物の組み合わせの送達に適切である。提案される組み合わせに対する代表的な局所ビヒクルとしては、テルペン(例えばシネオール、酢酸リナリル、メンタノン、d/l−メントール)、脂肪酸エステル(例えばミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル)およびより長鎖のアルコール(1−オクタノール、1−デカノール、1−ドデカノール)が挙げられるが限定されない。テルペン、脂肪酸エステルおよびより長鎖のアルコールと組み合わせたN−メチル−ピロリドン。テルペン、脂肪酸エステルおよびより長鎖のアルコールとN−メチル−ピロリドンとの比率は、100:0から最大60:40重量対重量であり得る。いくつかの実施形態において、皺、瘢痕化および他の皮膚状態の処置のために、薬物または薬物の組み合わせの無針(needless)皮内注射が使用される。
本発明は、本発明の医薬的に許容可能な局所処方物を包含する。「医薬的に許容可能な局所処方物」という用語は、本明細書中で使用される場合、表皮への処方物の適用による、本発明の化合物の皮内投与に対して医薬的に許容可能な何らかの処方物を意味する。本発明のある一定の実施形態において、局所処方物は担体系を含む。医薬的に有効な担体としては、溶媒{例えばアルコール、ポリアルコール、水)、クリーム、ローション、軟膏、油、硬膏、リポソーム、粉末、エマルション、マイクロエマルションおよび緩衝化溶液(例えば低張または緩衝食塩水)または局所的に医薬を投与するための当技術分野で公知の何らかの他の担体が挙げられるが限定されない。当技術分野で公知の担体のより完全なリストは、例えば、その開示がその全体において参照により本明細書中に組み込まれる、Remington’s Pharmaceutical Sciences,16th Edition,1980および17th Edition,1985、両者ともMack Publishing Company,Easton,Pa.により刊行、など、当技術分野で標準的である参考書により提供される。ある一定の他の実施形態において、本発明の局所処方物は賦形剤を含み得る。本発明の医薬的に許容可能な局所処方物を調製するために、当技術分野で公知の何らかの医薬的に許容可能な賦形剤を使用し得る。本発明の局所処方物中に含まれ得る賦形剤の例としては、保存剤、抗酸化剤、保湿剤、皮膚軟化剤、緩衝剤、可溶化剤、他の浸透剤、皮膚保護剤、界面活性剤および噴霧剤および/または本発明の化合物と組み合わせて使用されるさらなる治療剤が挙げられるが限定されない。適切な保存剤としては、アルコール、四級アミン、有機酸、パラベンおよびフェノールが挙げられるが限定されない。適切な抗酸化剤としては、アスコルビン酸およびそのエステル、亜硫酸水素ナトリウム、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、トコフェロールおよびEDTAのようなキレート剤およびクエン酸が挙げられるが限定されない。適切な保湿剤としては、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、尿素およびプロピレングリコールが挙げられるが限定されない。本発明との使用のための適切な緩衝剤としては、クエン酸、塩酸および乳酸緩衝液が挙げられるが限定されない。適切な可溶化剤としては、四級塩化アンモニウム、シクロデキストリン、安息香酸ベンジル、レシチンおよびポリソルベートが挙げられるが限定されない。本発明の局所処方物中で使用され得る適切な皮膚保護剤としては、ビタミンE油、アラトイン(allatoin)、ジメチコン、グリセリン、ペトロラタムおよび酸化亜鉛が挙げられるが限定されない。
これもまた当然のことながら、併用療法において本発明の医薬組成物を使用し得、すなわち、本明細書中で具体化される化合物および医薬組成物を、1以上の他の所望の治療または医学的手順と同時に、その前に、またはその後に投与し得る。併用計画で使用するための治療の特定の組み合わせ(治療または手順)は、所望の治療および/または手順および達成させようとする所望の治療効果の適合性を考慮する。これもまた当然のことながら、使用される治療は、同じ障害に対して所望の効果を達成し得るか、またはこれらは、異なる効果を達成し得る(例えば何らかの有害作用の調節)。
ある一定の実施形態において、本発明の医薬的に許容可能な局所処方物は、少なくとも1つの本発明の化合物および浸透促進剤を含む。局所処方物の選択は、処置しようとする状態、本発明の化合物の物理化学的特徴および存在する他の賦形剤、処方物中でのそれらの安定性、利用可能な製造装置およびコストの制約を含むいくつかの要因に依存する。本明細書中で使用される場合、「浸透促進剤」という用語は、角質層を通じて、および表皮または真皮に、好ましくは全身性吸収が殆どないかまたは全くなく、薬理学的に活性である化合物を輸送することが可能な薬剤を意味する。多岐にわたる化合物が、皮膚を通じた薬物の浸透速度を促進することにおけるそれらの効果について評価された。例えば、様々な皮膚浸透促進剤の使用および試験を調べる、Percutaneous Penetration Enhancers,Maibach H.I.およびSmith H.E.(編),CRC Press,Inc.,Boca Raton,Fla.(1995)およびBuyuktimkinら、Chemical Means of Transdermal Drug Permeation Enhancement in Transdermal and Topical Drug Delivery Systems,Gosh T.K.,Pfister W.R.,Yum S.I.(編),Interpharm Press Inc.,Buffalo Grove,IU.(1997)を参照のこと。ある一定の代表的な実施形態において、本発明との使用のための浸透剤としては、トリグリセリド(例えばダイズ油)、アロエ組成物(例えばアロエベラジェル)、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、オクトリフェニル(octolyphenyl)ポリエチレングリコール、オレイン酸、ポリエチレングリコール400、プロピレングリコール、N−デシルメチルスルホキシドが挙げられるが限定されない。脂肪酸エステル(例えばミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸メチル、モノオレイン酸グリセロールおよびモノオレイン酸プロピレングリコール)およびN−メチルピロリジン。
ある一定の実施形態において、本組成物は、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸入またはパッチの形態であり得る。ある一定の代表的な実施形態において、本発明による組成物の処方物はクリームであり、これは、飽和または不飽和脂肪酸、例えばステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、パルミト−オレイン酸、セチルまたはオレイルアルコールをさらに含有し得、特にステアリン酸が好ましい。本発明のクリームはまた、非イオン性界面活性剤、例えばポリオキシ−40−ステアラートも含有し得る。ある一定の実施形態において、滅菌状態下で活性コンポーネントを医薬的に許容可能な担体および必要とされ得る場合は何らかの必要な保存剤または緩衝液と混合する。眼用処方物、点耳薬および点眼薬も、本発明の範囲内であるものとして企図される。さらに、本発明は経皮パッチの使用を企図し、これは、身体への化合物の制御送達をもたらすというさらなる長所を有する。このような剤形は、化合物を的確な溶媒中で溶解または分散させることにより作製される。上記で論じられるように、皮膚を横切る化合物の流動を向上させるために、浸透促進剤もまた使用され得る。速度調節膜を提供するかまたはポリマーマトリクスもしくはゲル中で化合物を分散させるかの何れかによって、速度を調節することができる。
キット
ここで、本発明による方法での即時使用のための、パッケージ中にコンポーネントを含むキットが提供される。一般的には、本発明の方法を実施するための書面の説明書も提供される。キットは1以上のMMPなど、溶媒等を含み得る。活性成分を希釈するかまたは再構成するための適切緩衝液も提供され得る。コンポーネントのうち一部は乾燥形態で提供され得、再構成を必要とし得る。
実施形態において、キットは、1以上のマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、不活性MMPまたはそのプロ酵素(プロMMP)を含み、このMMP、不活性MMPまたはそのプロMMPは、MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−7、MMP−8、MMP−9、MMP−10、MMP−11、MMP−12、MMP−13、MMP−14、MMP−15、MMP−16、MMP−17、MMP−18、MMP−19、MMP−20、MMP−21、MMP−23A、MMP−23B、MMP−24、MMP−25、MMP−26、MMP−27、MMP−28、活性断片、突然変異体、変異体、その医薬組成物、医薬的に許容可能なその塩もしくはプロドラッグまたはそれらの何らかの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、キットは、1以上のMMP、プロMMP、断片および/または活性化剤を含む。活性化剤の例としては、酵素、例えばプロMMPを切断してそれらの活性型にするプロテアーゼが挙げられる。他の例において、例えばMMP活性部位の修飾、例えばグリコシル化などによってMMPが不活性化される場合、修飾を除去する薬剤は活性化剤である。
いくつかの実施形態において、幹細胞の単離のためのキットは、1以上のMMP、プロMMP、断片および/または活性化剤を含む。活性化剤の例としては、酵素、例えばプロMMPを切断してそれらの活性型にするプロテアーゼが挙げられる。他の例において、例えばMMP活性部位の修飾、例えばグリコシル化などによってMMPが不活性化される場合、修飾を除去する薬剤は活性化剤である。
他の実施形態において、脂肪沈着の減少、脂肪細胞組織の異化のためのキットは、1以上のMMP、プロMMP、断片および/または活性化剤を含む。
本願で引用される全ての刊行物および特許文書は、それぞれ個々の刊行物または特許文書が個々にそのように示されているかのように、同程度まで全ての目的に対して関連部分で参照により組み込まれる。本文書における様々な参考文献のそれらの引用によって、出願者らは、何ら特定の参考文献がそれらの発明に対する「先行技術」であることを許容しない。
上記開示は一般的に本発明を記載する。単なる例示目的で本明細書中に提供され、本発明の範囲を限定するものではない次の具体的な例に対する参照によって、より完全な理解が達成され得る。
実施例
実施例1:脂肪組織からの幹細胞のMMP誘導性単離
脂肪由来の間質幹細胞(ADSC)の単離は、主に、I型コラゲナーゼまたはIおよびII型コラゲナーゼおよびサーモリシンから構成されるリベラーゼを用いて達成されてきた(Priya,Sarcarら(2012)J.Tissue Eng.Regen.Med.Jul.27:1−9)。
IおよびII型コラゲナーゼを、ガス壊疽の病原物質である非常に危険性の高いバチルス・クロストリジウム(bacillus Clostridium)から精製する。さらに、クロストリジウム・ヒストリチカム(Clostridium histolyticum)からの粗製調製物は、数種のコラゲナーゼだけでなく、スルヒドリル(sulhydryl)プロテアーゼ、クロストリパイン、トリプシン様酵素およびアミノペプチダーゼも含有する。リベラーゼ酵素産生中に、原材料中に存在する大量の内毒素を除去する過程によってコラゲナーゼアイソザイムを精製する。リベラーゼの内毒素レベルと比較して、従来のコラゲナーゼ調製物の多岐にわたる内毒素混入物がある。しかし、供給源にかかわらず、細菌ブリオンからの全精製コラゲナーゼおよび中性プロテアーゼには内毒素が混入する(Priya,Sarcarら、(2012)J.Tissue Eng.Regen.Med.Jul.27:1−9)。先行研究では、様々なコラゲナーゼ調製物中の内毒素の相対量および単離細胞の健常性における影響が調べられ(Linetsky,E.,L.Inverardiら(1998).Transplantation Proc.30:345−346;Jahr,H.,G.Pfeifferら(1999)J.Mol.Med.(Berl.)77:118−120;Salamone,M.,G.Seiditaら(2010)Transplantation Proc.42:2043−2048)、内毒素の存在がADSC生存能に有害であることが認められた。さらに、細胞移植の成功は、単離され、培養される幹細胞および調製される同種移植片の品質に正比例する。
内毒素混入問題に対する解決策は、ADSC単離での使用のための組み換え酵素の作製である。深刻な問題は、Ia型はIb型に自己触媒的に急速に分解されるので、I型コラゲナーゼがリベラーゼの最も不安定なコンポーネントであることである。分解されたコラゲナーゼは膵島生存能に対して有害な作用がある(Brandhorst,H.,N.Raimsch−Guentherら(2008)Transplantation Proc.40:370−371)。
I型コラゲナーゼおよびリベラーゼ(商標)(Hoffman−La Roche,Ltd.)と比較した場合の、MMP−3、MMP−9およびMMP−12を用いた脂肪組織からの間葉系幹細胞(MSC)の単離が本明細書中に記載される。単離MSCを組織培養中で増殖させ、形態学的におよび免疫表現型的に(immunophetypically)特徴を評価した。MSC分化能を評価するために、脂肪細胞細胞分化を誘導した。
材料および方法
酵素:脂肪組織の効率的な異化を達成するために、MMPの混合物を使用した。MMP−1、MMP−2、MMP−3、MMP−8、MMP−9、MMP−11、MMP−12、MMP−19およびMMP−25を含む幅広い範囲のMMPが含まれた。IからIII型コラーゲンを効率的に切断するその能力に基づき、MMP−1およびMMP−8を選択した。MMP−2およびMMP−9はIVおよびV型コラーゲンを切断する。MMP−3およびMMP−19は、IV型コラーゲン、フィブロネクチンおよびラミニンに対する活性を有し、MMP−12はエラスチンを効率的に切断し、MMP−11はVI型コラーゲンを切断する。この研究室は、長年にわたり、組み換えMMP−1、MMP−3、MMP−8、MMP−9およびMMP−12を作製してきた。発明者らの研究室において、関心のある他のMMP(MMP−11、MMP−19およびMMP−25)の組み換え産生物を合成することができる。
酵素活性化:緩衝試薬およびキモトリプシンはSigma(St.Louis,MO)から入手した。リベラーゼ(商標)はRoche(San Francisco,CA)から入手した。I型コラゲナーゼ型はWorthington Biochemical(Lakewood,NJ)から入手した。R&D Biosciences(San Diego,CA)からMMP−3およびMMP−12を得て、一方で活性MMP−9はCalbiochem(Billerica,MA)から入手した。MMP−3は、20ng/μL濃度で5ngキモトリプシン/5ngトリプシン混合物により37℃で30分間活性化した。2mM PMSF(Biosynth,Itasca,IL)の添加により反応を停止させた。MMP−12は、TSB(50mM Tris、150mM NaCl、10mM CaCl2、1μM ZnCl2、0.01%Brij−35、pH7.5)中で30時間、自己活性化された。TSB中で5μM Knight基質を用いて、125ng/μLのMMP−3および20ngμLのMMP−12で酵素活性を試験した。以前に記載の方法によって、Knight1本鎖ペプチド(SSP)[Mca−Lys−Pro−Leu−Gly−Leu−Lys(Dnp)−Ala−Arg−NH2(配列番号1)]を合成した(Nagase,H.,C.G.Fieldsら(1994).J.Biol.Chem.269:20952−20957;Neumann,U.,H.Kubotaら(2004).Anal.Biochem.328:166−173)。
脂肪組織からの間葉系幹細胞単離:脂肪吸引によって吸引脂肪組織を患者から回収した。組織をPBSで1回(50/50)洗浄した。次に、TSB(50mM Tris、150mM NaCl、10mM CaCl2、1μM ZnCl2、0.01%Brij−35、pH7.5)中で酵素(400ng/mL脂肪組織の各MMP−、120U/mL脂肪組織I型コラゲナーゼおよび対照として0.45Wunsch単位/mL脂肪組織リベラーゼ(商標))で間欠的に振盪させながら37℃で60分間、2から10mLの組織を消化した。等体積のDMEM−LG/10%SC−認定FBSを添加することによって反応を停止させ、3000xgで20分間遠心した。最上部の分画を廃棄し、MSCを含有する残りの間質血管細胞分画(SVF)を20mLのDMEM−LG/10%FBS中で再懸濁し、100μmナイロンメッシュに通してろ過し、1,200xgで20分間遠心した。RBC溶解緩衝液(8.7g/L塩化アンモニウム)中で37℃で10分間、SVFを温置することによって残りのRBCを除去した。1,200xgで5分間の遠心によりDMEM−LG/10%FBSで細胞を洗浄した。DMEM−LG、10%FBSおよび1xペニシリン/ストレプトマイシン中で細胞を再懸濁し、組織培養皿に5000個細胞/cm2の密度でプレーティングした。細胞接着1日後に培養液を交換した。70から80%の細胞コンフルエンスを達成するまで、培地を3日ごとに交換し、その時点でTRYPLE(商標)試薬(Life Technologies,Carlsbad,CA)により細胞を剥がし、MESENPRO RS(商標)培地(Life Technologies,Carlsbad,CA)に200個細胞/cm2で継代した。
単離ADSCの評価−生存能:トリパンブルーで細胞を染色し、Cellometer T4 Auto自動細胞カウンター(Nexcelom Bioscience,Lawrence,MA)で評価した。
単離ADSCの評価−フローサイトメトリー:VGTIフローサイトメトリーコア施設(Port St.Lucie,FL)でフローサイトメトリー実験を行った。hMSC陽性マーカー(CD73、CD90およびCD105)、hMSC陰性マーカー(CD11b、CD19、CD34、CD45およびHLA−DR)およびアイソタイプ対照抗体を含むBD STEMFLOW(商標)ヒトMSC分析キット(BD Biosciences,Franklin Lakes,NJ)でMSCを染色した。異なる方法により単離し、継代5まで増殖させたMSCを暗所にて4℃で30分間、陽性、陰性の両方およびアイソタイプ抗体染色対照で染色した。各試料に対して、BD LSR II分析器(BD Biosciences,Franklin Lakes,NJ)で50,000事象を得て、Flowjoソフトウェアによりデータを分析した。
単離ADSCの評価−脂肪生成分化:STEMPRO(登録商標)脂肪生成分化キット(Life Technologies,Carlsbad,CA)を用いて、10日間、コンフルエントの培養物において脂肪生成を誘導した。10日後、油滴形成を検出するために、200μLのオイルレッドO溶液(Sigma,St.Louis,MO)で室温にて10分間細胞を染色した。
結果
酵素活性化:製造者の説明書に従い、市販の組み換えMMP−3およびMMP−12酵素を活性化し、一方でMMP−9は活性型で購入した。内部で作製した蛍光Knight基質を用いて酵素活性を試験した。全酵素が、Knight基質に対して同等の活性を示した(図1)。
MSCの単離:I型コラゲナーゼ、リベラーゼ(商標)、MMP−3、MMP−9またはMMP−12の何れかで、37℃にて30分間、脂肪組織吸引物を処理した。SVFの結果、総細胞数は様々となり、MMP−3処理試料の場合の63.9%からMMP−12処理試料の場合の82.5%までの生存能を示した(表1)。10cm
3組織培養皿に10
4個細胞/cm
2の密度で単離SVFをプレーティングし、非吸着細胞を24時間後に除去した。細胞を5から7日間培養して、80%コンフルエント継代0培養を達成した。
表1.単離SVC総細胞数およびパーセント生存能
最初のMMP−9−単離SVF試料のロバストな生存能にかかわらず、発明者らは、この試料においてMSC増殖を促進することができなかった。SVFは、ADSCだけでなく、前駆脂肪細胞、繊維芽細胞、常在単球、リンパ球、血管平滑筋細胞なども含有する細胞の不均一な混合物なので、最初の数および生存能は、単離を生き延びるADSCなく、上記の細胞全てを含んでいるはずである。全ての他の処理済み試料から、形態学的に同様の細胞があるロバストなMSC培養物が得られた(図2)。さらに継代5の後、全試料からの細胞(上述のMMP−9単離物を除く。)は、優れた生存能および同様の形態を保持した。倍加時間および継代10を通じた異なる試料間での細胞拡散などの増殖パラメーターにおいて相違は認められなかった。I型コラゲナーゼおよびLIBERASE(商標)により単離された細胞の同様の特徴ゆえに、ここで示されるさらなる実験では、MMP−3、MMP−12およびリベラーゼ(商標)単離試料を比較した。
MSCの免疫表現型の特徴:独特にMSCを定義する表面マーカーがないにもかかわらず、MSCを定義するために、共通する表面マーカープロファイル(例えば、CD34−、CD45−(HSCマーカー)、CD31−(内皮細胞マーカー)、CD44+、CD90+、CD73+およびCD105+)が頻繁に使用されてきた。リベラーゼ(商標)、MMP−3およびMMP−12により単離された試料中の表現型MSCマーカーのフローサイトメトリー分析を継代5で行った(図3)。全試料が、99.8%以上でMSCマーカーCD73、CD90およびCD105に対して陽性であった。他のMMPを用いて単離されたMSCの分析から同様の結果が得られた(図7から10)。さらに、これらの試料中のMSCは、非常に類似したマーカー発現レベルを示した(図4)。MMP−3およびリベラーゼ(商標)により単離された細胞は、マーカーCD44に対して100%陽性であり、一方でMMP−12により単離された試料は、試料中の細胞数が少ないがゆえに、このマーカーに対して信頼できる結果が得られなかった。MSC陰性マーカー(CD11b、CD19、CD34、CD45およびHLA−DR)およびアイソタイプ対照抗体の発現に対して全試料を試験し、陰性の結果となった。
脂肪生成:オイルレッドOでの脂質滴形成の染色によって、MMP−3、MMP−12、リベラーゼ(商標)(図5)およびI型コラゲナーゼにより単離された試料の脂肪細胞分化能を検出した。脂肪生成は、顕微鏡評価により示されるように全試料で同等であった。MMP−12単離後のMSCの骨形成および軟骨形成分化も観察した(図11)。
考察
間葉系幹細胞を得るための大量の蓄積および信頼できる単離方法は、将来の臨床用途でのこれらの細胞の適用成功のために重大である。殆ど全ての幹細胞適用には、それらの標的化された使用前にある程度のエクスビボ増殖および操作が必要なので、十分なMSC供給源が必要である。脂肪組織は、ユビキタスであり、骨髄などの他のMSC供給源と比較して、患者の不快感が最小である、成体幹細胞の容易に利用可能な供給源なので、これらのMSC(ADSC)の理想的な供給源である。これらのADSCの単離は、容易に利用可能で対費用効果が高く、回収した細胞に害を与え得る毒性副産物がないものでなければならない。組み換えMMPを使用することによるADSCの単離は、これらの要件に対処し得る。
この例において、MMP−3およびMMP−12でのADSCの単離が首尾よく明らかにされており、一般的に使用されるI型コラゲナーゼおよびリベラーゼ(商標)で単離されたADSCの形態、表現型および脂肪生成能を比較した。
ADSCの形態学的特徴は培養における繊維芽細胞様の形であり、多分化能、高い増殖能および共通表面マーカープロファイル(例えば、CD34−、CD45−(HSCマーカー)、CD31−(内皮細胞マーカー)、CD44+、CD90+、CD73+およびCD105+)である。MMP−3およびMMP−12により単離されたADSCは、基本的に細菌由来I型コラゲナーゼおよびリベラーゼ(商標)により単離された細胞と同一の形態学的および表現型の特徴を呈した。MMP−3、MMP−12およびリベラーゼ(商標)で単離した試料のCD73、CD90およびCD105レベルは、フローサイトメトリーにより決定した場合同等であり、陰性マーカーについて陰性であった。さらに、リベラーゼ(商標)およびI型コラゲナーゼで単離した細胞と比較して、MMP−3およびMMP−12により単離されたADSCの脂肪形成能が保持されることが明らかになった。
興味深いことに、脂肪組織のMMP−9処理によって、ADSCは全く得られなかった。これは、MMP−9がゼラチナーゼであり、脂肪組織内に含有されるインタクトな膠原線維性ECMネットワーク内に存在するADSCに接近できないという事実故であり得る。さらなる実験には、MMPおよび他のMMP(MMP−1、MMP−8、(IおよびIII型コラーゲンの場合)、MMP−19(IV型コラーゲン、フィブロネクチンおよびラミニンの場合)およびMMP−11(VI型コラーゲンの消化の場合))のカクテルを試験することが含まれる。
結論
本明細書に記載のADSCを単離するための組み換えMMPの適用は非常に重要であるが、それは、最高品質の結合組織分解酵素なしでは、毒性副産物なく生存可能なADSCを遊離させることが実質的に不可能だからである。この画期的アプローチは、次の成果をもたらすと予想される。第一に、MSC単離および移植技術の分野全体におけるブレークスルーが達成される。第二に、予想寿命が長い最高品質のMSCの回収が可能となる。第三に、酵素毒性を消失させることによって、脂肪組織処理およびMSC単離に対する標準的なプロトコールが開発される。第四に、組織解離の実施において、微生物起源の現在のコラゲナーゼの代わりになり、新しい標準となる、高度に精製された新規組み換えMMPカクテルが導入される。第五に、このアプローチが、現在の標準が依然として細菌由来のコラゲナーゼに依存している、膵島細胞などの他の細胞の単離に適用され得る。結論として、ここに記載の研究は、複数の組織および器官起源からの細胞単離に大きな影響がある。
実施例2:様々な細胞の単離
膵臓からの膵島単離:3つの主要な段階がある:MMP−カクテル(例えば2以上のMMP)でのインシトゥ膵臓灌流、膵臓消化および膵島精製。
最初にマウスにペントバルビタールまたは類似物で麻酔をかけ、次いでフードに移した。各マウスを腹側が上になるようにして横たえ、その皮膚を70%エタノールで消毒する。上腹部付近を切開して肝臓および腸を露出させる。マウス膨大部を十二指腸壁上で手術用鉗子で固定し、十二指腸への胆汁経路を塞ぐ。5mLの1xHBSSでMMPカクテルを溶解させることによって3mLの緩衝液を作製し、30G1/2−G針が付いた5mLシリンジに吸い取る。次いで肝管および胆嚢管の結合部を通じて針を総胆管に挿入し、顕微鏡下で総胆管の中ほどに到達させる。溶液をゆっくりと注入して、膵臓を膨らませる。膵臓を摘出し、2mLの上述の緩衝液を含有する50mL試験管に入れる。試験管を短時間振盪し、次いで37.5℃の水浴に15分間入れる。温置後、試験管を手動で振盪して、懸濁液が均一になるまで膵臓を破壊する。組織懸濁液が非常に細かい粒子になったら、試験管を氷上に置くことによって消化を終了させ、25mLの1xHBSS中の1mM CaCl2を添加する。これを4℃で290gで30秒間遠心し、上清を廃棄する。次いで、20mLの1xHBSS緩衝液中の氷冷1mM CaCl2でペレットを再懸濁し、290gで4℃で30秒間再び遠心し、上清を廃棄する。得られたペレットを15mLの1xHBSS中1mM CaCl2で再懸濁し、次いで予め湿らせた70μm細胞ストレーナー上に注ぐ。試験管を20mLの1mM CaCl2で洗浄し、再びストレーナー上に注ぐ。フィルターを通じて1xHBSS中1mM CaCl2中のさらなる25mLを注ぐ。新しいペトリ皿上でストレーナーを裏返して、捕捉した膵島をRPMI1640培地中に、L−グルタミン(20mM)、ペニシリン(100UmL−1)、ストレプトマイシン(100μgmL−1)およびFBS(10%)からなる15mLの緩衝液で皿上に洗い流す。大きく開いたチップ付きのピペットを用いて単離膵島を手動で採取し、計数して、37℃の5%C02インキュベーターに入れる。
心筋細胞、繊維芽細胞および樹状細胞を含む様々な細胞型を単離するための組織解離:細胞懸濁液を調製するための方法は次のとおりである:(a)機械的に細切し、ふるいにかけるかまたは剥ぎ取る;(b)二価陽イオンの非存在下で化学的に;および(c)MMP、コラゲナーゼ、DISPASE(登録商標)、トリプシン、パパイン、エラスターゼ、プロナーゼ、ヒアルロニダーゼで、またはこれらの酵素の選択された組み合わせでの消化によって酵素的に行う。