JP2016518132A - 細菌人工染色体 - Google Patents

細菌人工染色体 Download PDF

Info

Publication number
JP2016518132A
JP2016518132A JP2016509489A JP2016509489A JP2016518132A JP 2016518132 A JP2016518132 A JP 2016518132A JP 2016509489 A JP2016509489 A JP 2016509489A JP 2016509489 A JP2016509489 A JP 2016509489A JP 2016518132 A JP2016518132 A JP 2016518132A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cdna
viral
rna
bac
virus
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016509489A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6501756B2 (ja
Inventor
ダルメイア,カイ
ネイツ,ヨハン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Katholieke Universiteit Leuven
Original Assignee
Katholieke Universiteit Leuven
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Katholieke Universiteit Leuven filed Critical Katholieke Universiteit Leuven
Publication of JP2016518132A publication Critical patent/JP2016518132A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6501756B2 publication Critical patent/JP6501756B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K39/12Viral antigens
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/12Antivirals
    • A61P31/14Antivirals for RNA viruses
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/67General methods for enhancing the expression
    • C12N15/69Increasing the copy number of the vector
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N7/00Viruses; Bacteriophages; Compositions thereof; Preparation or purification thereof
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K2039/51Medicinal preparations containing antigens or antibodies comprising whole cells, viruses or DNA/RNA
    • A61K2039/525Virus
    • A61K2039/5254Virus avirulent or attenuated
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2770/00MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA ssRNA viruses positive-sense
    • C12N2770/00011Details
    • C12N2770/24011Flaviviridae
    • C12N2770/24111Flavivirus, e.g. yellow fever virus, dengue, JEV
    • C12N2770/24134Use of virus or viral component as vaccine, e.g. live-attenuated or inactivated virus, VLP, viral protein
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A50/00TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE in human health protection, e.g. against extreme weather
    • Y02A50/30Against vector-borne diseases, e.g. mosquito-borne, fly-borne, tick-borne or waterborne diseases whose impact is exacerbated by climate change

Abstract

本発明は、ワクチンの製造のための人工染色体(BAC)の使用に関し、BACは、細菌細胞ごとに10より大きい数のコピーに前記BACを増幅させるための誘導性細菌ori配列と、弱毒化RNAウイルスゲノムのcDNAを含み、哺乳動物細胞における前記ウイルスcDNAの転写および転写されたRNAから感染性ウイルスRNAへのプロセシングのためのシス調節因子とを含むウイルス発現カセットとを備える。

Description

発明の分野
本発明は、RNAウイルスゲノムの感染性cDNAの操作、維持、および繁殖に適したプラスミドベクター系、ならびにこのようなベクター系の使用に関する。
発明の背景
以前は、いくつかのフラビウイルスおよび他のRNAウイルスのコピーDNA(cDNA)が異なる低コピー細菌ベクターにおいてクローン化され、内部毒性が克服されてきた(ウイルス配列の大型かつ潜在発現による)(Bredenbeek et al.(2003) J. Gen. Virol. 84, 1261-1268;Durbin et al.(2006) Hum Vaccin. 2, 255- 260;Fan and Bird (2008) J. Virol. Methods. 149, 309-315;Li et al. (2011) PLoS One 6, el8197; Pu et al. (2011) J. Virol. 85, 2927-2941; Rice et al. (1989) New Biol. 1, 285-296)Almazan et al. (2008) Methods Mol Biol. 454, 275-91)。クローン化されたcDNAは、RNAゲノムのインビトロ合成およびトランスフェクション(Bredenbeek et al. (2003)上記)、またはウイルスcDNAへの発現カセットの組み込みによる、感染性組み換えウイルスの産生のための鋳型として使用されてきた。発現カセットは、トランスフェクトされたプラスミドDNAからウイルスRNAを転写させるCMV−IE(サイトメガロウイルス最初期)プロモーターなどのプロモーターを含む(Enjuanes et al. (2001) J. Biotechnol. 88, 183- 204;Hall et al. (2003) Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 100, 10460-10464)。弱毒化された口蹄疫(Ward et al. (1997) J. Virol. 71, 7442-7447)およびクンジンウイルス(Hall et al. (2003) Proc Natl Acad Sci USA. 100, 10460-10464)を発現させるこのようなウイルス発現カセットは、実験的なDNAワクチンとして使用されてきた。ウイルス発現カセットを含む低コピー数ベクター系は安定した態様で細菌宿主細胞内に維持され得るが、これらには、単に小規模な実験的使用に十分な量の感染性ウイルスcDNAを精製するのみであるという重大な欠点がある。このため、たとえば生体cDNAワクチンの製造にそれらを感染性ウイルスcDNAの定常的なソースとして使用することは不可能である。
ウイルスDNAワクチンの製造には、クローニングベクターを実質的に増幅させて十分なDNAを得る必要があるが、これらの増幅方法は厳しい制約の対象となっている。変異を避けるために、変異を起こし得る事象(組み換え、変異、ミスマッチ修復の向上など)を防止する条件下において、ウイルスDNAを含むベクターが増殖される。細菌人工染色体(BAC)は、その安定性が知られており、500kb以上に至る挿入断片を含み得る。
しかしながら、外来性DNAを有するこのようなベクターのサイズは、バクテリアにとって深刻な負荷であり、その複製には実質的な代謝努力が必要である。さらに、ヌクレオチドの消耗により、変異が増加し得る。最後に、望まれない外来性DNAの発現(いわゆる潜在発現)が起こり得て、毒性の組み換え型蛋白質が生じ得る。潜在転写による毒性蛋白質の産生は、フラビウイルスDNAに固有であり、プラスミドのコピー数を小さくすることによってのみ解決することができる。実際、ベクターのコピー数が大きければ、毒性蛋白質の濃度が高くなる。結果として、細菌宿主はこれらの蛋白質は発現しない変異体を対抗選択し得る。
Pu et al. (2011) J. Virol. 85, 2927-2941は、細菌におけるフラビウイルスの内因性の毒性を解決するためのさまざまな試みについて詳細に記載している。これらは、ウイルスゲノム、特定の宿主、変異体の一部を含むプラスミドのインビボの連結反応を含み、潜在発現および低コピー数プラスミドを回避する。
細菌内において単一のコピーとして生じるBACの使用は、これらの問題に対する解決策を提供する。
BAC DNAが後にサブクローン化または増殖されて濃度を高める施用、および想定される実験においてこれらの技術によって一部の変異を導くことが危険でない施用については、低コピー数は欠点ではない。しかしながら、このような増幅方法は、DNAワクチンの製造に適用することができず、DNAワクチンのための大規模なプラスミド製造においてBACが好ましくないビヒクルとなる。大量のBACを得るためには、非常に大規模な培養が必要となる。
誘導性BACベクターの使用が、Wild et al. (2002) Genome Res.12, 1434-1444から知られており、BACのコピー数が細胞あたり1コピーから細胞あたり100コピーもしくはそれ以上に増加する。この系は、BAC DNAの収率を増加させる方法を提供するものであるが、誘導により複製系の活動が大きく増加すると変異頻度が高まるという正当な懸念がある。したがって、DNAワクチンの製造には、大きなベクターのコピー数が得られるが変異の耐え難い導入なくしてベクターの複製が行なわれる系が必要である。
発明の概要
本発明は、低コピー数で宿主細胞内に安定して維持され得るが望まれない変異誘発事象なくして宿主の培養条件を変更することで大きく増幅され得る、ベクターを提供することによって、先行技術のベクター系におけるワクチンの製造のためのウイルス性cDNAの増幅の問題を解決するものである。本発明のさらなる目的は、イースト菌および細菌宿主の両方に対して往復され得るベクターを提供し、酵母および細菌の両方の遺伝子系においてベクターを操作することが可能な非常に用途の広い系を提供することにある。
本発明は、期待されるものに対して、BACベクターのコピー数の誘導性増加によって驚くほど低い変異率を有するDNAが提供されることを示す。さらに驚くべきことに、生じる少ない変異は大部分がフレームシフト変異または停止コドンであり、発現時には短縮(truncated)バージョンとなる。効果の無い、またはアミノ酸の変形を生じる点変異は、提示が不足している。
この予期しなかった効果により、大量のベクターが得られるとともに、生じる限られた量の誤差によって元のクローン化された構築物と比較して毒性が高まる変異のウイルスゲノムではなく機能を持たないウイルスゲノムに至るという有利な結果につながる。
本発明は、誘導性細菌ori配列を備える細菌人工染色体を提供し、誘導性細菌ori配列は、たとえば細菌宿主の培養条件を変更することによって大きなコピー数への細菌人工染色体の増幅を誘導することを可能にする。ここで使用される細菌人工染色体は、シス調節因子に隣接するRNAウイルスゲノムのcDNAを含むウイルス発現カセットをさらに備え、シス調節因子は、哺乳動物細胞に細菌人工染色体を導入すると、ウイルス性cDNAの転写を促進し、転写されたRNAを感染性ウイルスRNAにするプロセシングを可能にする。ウイルス発現カセットに含まれるウイルスcDNAは、野生型RNAウイルスゲノムのものに対応し得る、またはキメラ型ウイルスcDNA構築物となり得て、異種DNA塩基配列が挿入される、および/または生来ウイルス配列が欠失、短縮、もしくは変異する。典型的に、異種DNA塩基配列は1つ以上のペプチド/蛋白質をコードし、これらはこのようなキメラ型ウイルスcDNAを含むウイルス発現カセットを含む本発明に係る細菌人工染色体を哺乳動物細胞に導入した後に組み換えウイルスによって異種に発現される。細菌人工染色体は、酵母内において細菌人工染色体に対して往復するとともに細菌人工染色体を維持する酵母自己複製配列をさらに備える。酵母内において本発明に係る細菌人工染色体に対して往復するとともに細菌人工染色体を維持する可能性により、酵母および細菌遺伝子系の両方において遺伝子操作が可能となるという利点が提供される。このため、本発明は、RNAウイルスゲノムの感染性cDNAの操作、維持、および繁殖に適した単一ベクター系を提供する。誘導可能oriの刺激がない場合、本発明に係る細菌人工染色体は、細菌宿主における感染性ウイルスcDNAの記録および安定したクローン化のために使用され得て、このような刺激がある場合には、cDNAは容易に増幅され、その後に使用のために単離される。本発明に係る細菌人工染色体は、RNAウイルス性病原体に対する生ワクチンとして使用されるウイルスcDNAの開発、安定維持、および産生において特に有用である。代替的に、細菌人工染色体は、たとえば研究目的のために、cDNAからの生来もしくは組み換えウイルスの維持および増殖に使用される。
本発明において、誘導性細菌oriを有するBACは、RNAウイルスのcDNAと哺乳動物細部におけるウイルスcDNAの転写および転写されたRNAを感染性ウイルスRNAにするプロセシングのためのシス調節因子とを含むウイルス発現カセットのワクチンを製造するために使用される。
驚くべきことに、ウイルスDNAを含むBACの複数のコピーの産生は、大きなコピー数の系によって引き起こされるものとして知られる欠点にはつながらない。
概して、毒性蛋白質は、ウイルス配列の潜在発現によって細菌系において生産される。実際に、フラビウイルス感染クローンの産生は、細菌における全長cDNAの毒性によって従来より妨げられてきた。この課題を克服するためにさまざまな手法が採用されており、この手法には、非常に小さいコピー数のプラスミドおよび細菌人工染色体の使用が含まれる(Edmonds (2013) J. Virol. 87, 2367-2372において論じられている)。これは、BAC内にクローン化される挿入断片に関連し、細菌の成長および代謝を妨げる現象である。潜在発現が行なわれない変異体を有する細菌は、増殖の利点があり、元の個体群を過度に成長させる。先行技術においては、これは細菌コロニーのサイズによって反映される。変異の生じていない構築物は、毒性蛋白質を生成し、典型的に小さいコロニーが得られる。変異構築物は、より少ない毒性蛋白質を生成する、または毒性蛋白質を生成せず、より大きなコロニーが生じる結果となる。
この先行技術の知識に基づき、プラスミド複製の導入によって毒性の転写が増加すること、および潜在発現が行なわれない変異体が同時に増加することが予期された。
驚くべきことに、誘導複製系は潜在蛋白質の毒性に対して無反応であるように思われる。実際に、先行技術における大きなコピー数の系と比較すると、細菌コロニーはいくぶん大きく、最終的な毒性蛋白質に対して細菌宿主の反応が小さいことを示している。より重要なことに、変異プラスミドを表わす非常に大きいコロニーには遭遇しなかった。
誘導系が毒性蛋白質に対して無反応であるという発見は、予期されていなかった。この系が毒性蛋白質に対して反応しない(または恐らく毒性蛋白質が生成されない)ことは先行技術には示されていなかった。
誘導系のさらなる欠点は、BACの複数コピーの産生に固有である。実際に、誘導系の命名者は、BACクローンの最も重要な特徴は、その小さいコピー数から生じる安定性であると説明している。上で参照したWild et al. (2002)は、ブドウ糖を加えることによってコピー数がさらに低下し得ることを示した。この単一のコピー状態は、クローン間の細胞組み換えの機会を減少させることによってBACライブラリーの維持の安定性を向上させる。これは、Wild et al.によって公開された誘導系が、宿主細胞内にBACの複数コピーが存在するとすぐに引き起こされる望ましくない組み換え事象の変化を低下させないことを示している。誘導およびそれに続く大きなコピー数は組み換え事象を再び誘導することが当業者によって理解される。従って、当業者は、ワクチン接種を目的とした使用が意図されるDNA製造にこのような系を使用することを差し控え得る。
本発明において、BACは誘導ori系において増幅され、増幅されたBACは組み替え事象について試験される。予期されるものとは対照的に、組み換え事象は稀である。
さらに、組み換え事象についての試験とは別に、増幅されたBACは、他の変異の存在についても試験された。遭遇した変異頻度は非常に低く、さらに、ミスセンスの割合は理論上予期されたものよりも驚くほど低かった。変異は、生じている場合、主にナンセンスである、または機能を持たないウイルスRNAにつながるフレームシフト変異である。
本発明は、かなり大規模のDNAワクチン生産を可能にする。たとえば、現時点において弱毒化黄熱ワクチンの主な製造者は、既存の需要を満たすことができない。本発明の技術を用いることにより、現在の弱毒化ワクチンをより大幅に低いコストおよび高い品質でDNAワクチンを製造することが可能となり、長年の要望を達成することができる。
JEV、WNV、嚢虫症、風疹、およびHIVワクチンなどの他のウイルス症についても、十分な量のDNAを提供することができるワクチン製造プラットフォームが必要とされている。
本発明の第1の局面は、ワクチンの製造のための細菌人工染色体(BAC)の使用に関し、BACは、−細菌細胞ごとに10より大きい数のコピーに前記BACを増幅させるための誘導性細菌ori配列と、−弱毒化RNAウイルスゲノムのcDNAを含むとともに、哺乳動物細胞における前記ウイルスcDNAの転写および感染性RNAウイルスへの転写されたRNAのプロセシングのためのシス調節因子を含むウイルス発現カセットとを含む。
弱毒化RNAウイルスゲノムのcDNAの実施形態は、RNAウイルスゲノムのキメラ型ウイルスcDNA構築物であり、異種のDNA塩基配列が挿入される、または生来ウイルス配列が欠失、短縮、もしくは変異される。
ウイルス発現カセットの実施形態は、
−正鎖RNAウイルスゲノムのcDNAと、
−前記cDNAの転写を開始するための前記cDNAの5′末端に先行するRNAポリメラーゼ駆動プロモーターと、
−設定位置における前記ウイルスcDNAのRNA転写産物を開裂するための前記cDNAの3′末端に続くRNA自己開裂用要素とを含む。
正鎖RNAウイルスの実施形態は、フラビウイルス、ヘパシウイルス、ペスチウイルス、トガウイルス、ピコルナウイルス、コロナウイルス、ヘペウイルス、カリチウイルスである。
典型的な実施形態において、ウイルス発現カセットは、たとえば弱毒化YFV−17D黄熱ウイルスワクチンのcDNAなど、黄熱ウイルスのcDNAを含む。
他の実施形態において、ウイルス発現カセットは、負鎖RNAウイルス、二本鎖RNAウイルス、またはアンビセンスRNAウイルスのグループに属するウイルスのcDNAを含む。
特定の実施形態において、細菌人工染色体は、酵母において前記細菌人工染色体に対して往復するまたはこれを維持するための酵母自己複製配列をさらに含む。
酵母ori配列の例は、2μプラスミド起点またはARS1(自己複製配列1)またはその機能的に同種の誘導体である。
特定の実施形態において、RNAポリメラーゼ駆動プロモーターは、サイトメガロウイルス最初期(CMV−IE)プロモーター、シミアンウイルス40プロモーター、またはその機能的に同種の誘導体など、RNAポリメラーゼIIプロモーターである。
他の実施形態において、RNAポリメラーゼ駆動プロモーターは、RNAポリメラーゼIもしくはIIIプロモーターである。
自己開裂用要素の例は、デルタ肝炎ウイルスのゲノムリボザイムのcDNAまたは機能的に同種のRNA要素である。
特定の実施形態において、ウイルス発現カセットは、弱毒化YFV−17DワクチンのcDNAを含み、ビリオン表面蛋白質のためのcDNAコードのうちの1つ以上は、YFV−17Dのこのような機能的ビリオン表面蛋白質が発現しないように欠失、短縮、または変異され、異種の蛋白質のためのcDNA配列コードは、YFV−17DcDNAに挿入される。このような異種の蛋白質の例は、フラビウイルスのビリオン表面蛋白質である。
ウイルス発現カセットの実施形態は、弱毒化YFV−17DワクチンのcDNAを含み、1つ以上の無関係のcDNA配列は、ウイルス性ポリ蛋白質内で1つ以上の異種の蛋白質として発現されるように挿入される。
他の実施形態において、ウイルス発現カセットはウイルスcDNAを含み、外部cDNA配列が前記組み換えウイルスによって異種で発現するように挿入される。
さらなる局面は、RNAウイルスに対するウイルスを製造する方法に関し、方法は、a)第1の局面およびさまざまな実施形態において記載されるBACでトランスフェクトされた細菌宿主を提供するステップと、b)誘導性oriを活性化させる化合物を加えることによってBACを増幅させるステップと、c)増幅されたBACを単離するステップと、d)BACをワクチンするステップとを含む。
さらなる局面は、ワクチンとして使用される第1の局面およびそのさまざまな実施形態に記載されるBACに関する。
本発明の他の局面は、RNAウイルス感染の予防に使用される第1の局面およびそのさまざまな実施形態に記載されるBACに関する。
さらなる局面は、生DNAワクチンとしての第1の局面およびそのさまざまな実施形態に記載されるBACの使用に関する。
他の局面は、前記cDNAからの生来もしくは組み換えウイルスの増殖のための第1の局面およびそのさまざまな実施形態に記載されるBACの使用に関する。
さらなる局面は、ワクチンの製造のための第1の局面およびそのさまざまな実施形態に記載されるBACとしての細菌人工染色体(BAC)に関する。
発明の詳細な説明
図1は、RNAウイルス発現プラスミドのpShuttleBACシリーズの産生を示す。(A)図は、ベクター構築物が開始するときのpShuttleBAC/Pmeの構築物を示す。(B)図は、SV40プロモーター(SV40p)とHDVリボザイム(HDrz)との相同組み換えによるウイルスcDNAの挿入によるpShuttleBAC/Pme由来のフラビウイルス性発現ベクターの構造を示す。 図2は、大腸菌におけるpShuttleBACの向上したプラスミド安定性を示す。総括的プラスミドマップは、先行技術のフラビウイルスcDNAプラスミド(A)および新しいベクターのpShuttleBACシリーズ(B,DNA−YFVax)の原理レイアウトを示す。大腸菌の形質転換により、各(A)および(B)の単一コロニーは37℃で一夜で成長して選択培地で平板培養される。概してタイプAの構築物はタイプBのコロニーサイズのようにかなり小さいコロニーサイズに成長する(それぞれ図2CおよびD)。さらに、タイプAの構築物は、広範囲のコロニーサイズの後代を生じさせ(平均化されたコロニー直径についてのヒストグラム、図2Cの右側)、大腸菌に対するcDNAの毒性を弱める変異体プラスミドクローンの選択および分離を示す。クローン分析により、ウイルスE/NS1領域へのトランスポゾン挿入を含む、複数の可能な内在する変異が識別された。対照的に、pShuttleBACシリーズのタイプBの構築物を含むプラスミドクローンは、高い遺伝子安定性を示す大腸菌における繰り返しの通過後であっても、分離せず、同種のコロニーサイズを示す。 図3Aは、ノーザン法によるpShuttle/YF17D(野性型、WT)およびその複製欠陥性pShuttle/YF17DΔGDD(ΔGDD)へのVero−B細胞のトランスフェクション後のYFV−17D RNA複製の複製中間体の検出を示す。アンチセンス適応アンチゲノム(−)−RNA(上方パネル、11kb)、およびセンス適応ウイルス-ゲノム(+)−RNA(下方パネル、11kb)は、野生型のトランスフェクトされた細胞のみにおけるトランスフェクションの5日後に検出される。DNA指向性RNA合成の抑制因子であるアクチノマイシンD(ACD)がある場合における進行中の複製は、pShuttle/YF17DからのYFV−17Dゲノム転写の最初の開始後にウイルス複製がプラスミドとは独立した態様で自律的に継続されることを確認する。図3Bは、5′および3′RACE(cDNA末端の急速増幅)による適切なYFV−17D RNA転写産物プロセシングの検出を示す。pShuttle/YF17Dは、発生期のYFV−7D RNA(図3Bにおいて太字)の転写を開始し、これは、cDNA末端の急速増幅(RACE)によって確認されたように適切な5′および3′末端(それぞれ、上方および下方パネル)で開始および終了する。 図4Aから図4Cは、異なる起点のYFV−17Dによって誘導される同様のCPEを示す。鋳型としてpACNR−FLYF17DIIを使用してインビトロで転写およびキャッピングされたRNAに由来する(A)、またはpShuttle/YF17DのプラスミドDNAトランスフェクション後に採取された(B)YFV−17Dウイルスは、感染から5日後(d p.i)にBHK−21細胞に対する同一のウイルス誘導細胞変性効果(CPE)をもたらす。Cは比較のための非感染細胞である。図4Dから図4Eは、異なる起点のYFV−17Dの同様の溶菌プラーク表現型を示す。鋳型としてpACNR−FLYF17DIIを使用してインビトロで転写およびキャッピングされたRNAに由来するYFV−17Dウイルス(D)、またはpShuttle/YF17DのプラスミドDNAトランスフェクション後に採取された(E)は、BHK−21細胞に対して同等の数(感染から5日後に3×10溶菌プラーク形成単位(pfu)mL−1対2×10pfu mL−1)および同一のプラークの形態(t検定により直径6,4±0,7mM対6,1±1,1mM;n=8,p値=0,6t)をもたらす。 図5は、免疫蛍光測定法(IFA)による感染組み換えDENV2の検出を示す。pShuttle/DV2でトランスフェクトされたBHK−21細胞によって産生された組み換えDENV2 NGCは、Vero−B細胞の用量依存的な感染を示し、感染から5日後のウイルスE蛋白質について蛍光抗体法によるウイルス焦点として視覚化される(Aは純粋な上澄み、Bは100倍に薄めた浮遊物、Cは非感染細胞制御)。 図6は、スタマリルに感染した(白抜きの正方形)、またはpShuttle/YF17Dがトランスフェクトされた(十字)AG129マウスの生存を示す。腹腔内投与後の約10日から12日において、インターフェロンタイプIおよびIIレセプタ欠損(AG129)マウスは、体重が落ち始め、一様な症状の集合、すなわち毛の波打ち、震え、および弛緩性の後脚麻痺が生じる。複製欠損NS5ΔGDDプラスミド変種(ΔGDD、白抜きの円)でトランスフェクトされた対照動物は、病理発生を示さない。しかしながら、最初のトランスフェクション後20日における第2のスタマリル(登録商標)投与(黒塗りの三角形)を受け、同様の時間枠内に死亡し、同様の症状を示した。プラスミドDNAは、キャリアとしての33%プロピレングリコールにおいて炭酸カルシウムマイクロフラワーを使用して腹腔内にトランスフェクトされる。 図7は、感染したAG129マウスからの罹患率(A)およびYFV−17DRNAの検出(B)。(A)スタマリル(登録商標)によって、またはpShuttle/YF17D(pYF17D)でのトランスフェクションによって感染した場合、AG129マウスは、平均で12日から13日(MMD、死亡への平均日数)後に、安楽死させる前に体重が約20%落ちる。対照的に、pShuttle/YF17DΔGDD(ΔGDD)がトランスフェクトされたマウスは、スタマリル(登録商標)(ΔGDD+2°スタマリル)が投与される前に体重が増加し、約2週間以内にYFV−17D感染によって死亡する。(B)同等の量のYFV−17DRNAが、死亡時に収集された(A)からのAG129マウスの脳のサンプルにおいてqRT−PCRによって検出され得る。 図8は、pShuttle/YF17Dのマップ(合成構築物#1)を示す。説明:SV40p:シミアンウイルス40プロモーター/起点、YFV−17D:黄熱ウイルスワクチン株17D cDNA,HDVrz:デルタ肝炎ウイルスリボザイムcDNA;2μ:サッカロマイセスセレビシエ2ミクロン起点;TRP1:トリプトファンに対して原栄養成長を与えるTRP1遺伝子;parABC:Fプラスミドの分節遺伝子;repE:FプラスミドのrepE遺伝子;oriS:Fプラスミドの起点;oriV:プラスミドRK2の起点;CmR:クロラムフェニコール耐性遺伝子。 図9は、異なるYFV−17D cDNAベクターを用いた形質転換後の大腸菌コロニー成長を示す。(A)pACNR−FLYF17DIIを用いた形質転換および37℃で16時間にわたる成長後の大腸菌EPI−300Tコロニーを示す。ミクロコロニー(0.2mm未満の直径)およびマクロコロニー(約0.4mmの直径)というサイズに差がある2つの部分母集団を有するコロニーサイズ分布が観察され得る。ミクロコロニーは多数を占める。(B+C)pShuttle/YFV17Dを用いた形質転換後の大腸菌EPI−300Tコロニーを示す。誘導物質のない場合(B)、または誘導性高コピー起点が介在する高コピー複製の誘導のための0.01%L−アラビノースを有する場合(C)のプレート上での平板培養を示す。大きな黒い円は、寒天培地に埋め込まれた直径2.5mmのジルコニアビーズであり、較正物質として機能する。差し込み図は、各設定において観察されるコロニーの外形を表わす概略的な線図である。 図10は、異なるYFV−17D cDNAベクターを用いた形質転換後の大腸菌コロニーのサイズ分布を示す。(A)pACNR−FLYF17DIIを用いた形質転換後の大腸菌EPI−300Tコロニーを示す。(B+C)pShuttle/YFV17Dを用いた形質転換後の大腸菌EPI−300Tを示す。誘導物質のない場合(B)、または誘導性高コピー起点が介在する高コピー複製の誘導のための0.01% L−アラビノースを有する場合(C)のプレート上での平板培養を示す。 図11aは、pShuttle/ChimeriVax−JEのマップを示す。pShuttle/ChimeriVax−JEは、SV40プロモーター/起点の後に、YFV−17Dのnt1−481および2452−10862を含み、ここに神経弱毒化JEVワクチン株JE SA14−14−2の477−2477が挿入される。JEV E−ORFの第2の最後の2つの最後のアミノ酸は、ヒスチジンからグリシンコドンに変異してKasIサイトを生成し、NS2AおよびNS4B−ORFは、Imojev(登録商標)に見つけられる2つの順応性G4055aおよびG7349a変異を含み、それぞれYFV−17D NS2Aにおいてメチオニンをバリンに変化させ、NS4B ORFにおいてリシンをグルタミンに変化させる。付加的な沈黙変異により、制限マーカーが位置406(XhoI)、4009(BstEII)、および7315(NheI)に生成される。図11bは、pShuttle/ChimeriVax−WNのマップを示す。pShuttle/ChimeriVax−WNは、SV40プロモーター/起点の後に、YFV−17Dのnt1−481および2452−10862を含み、ここにWNV株NY−99の神経弱毒化誘導体の477−2477が挿入される。WN E−ORFの第2の最後の2つの最後のアミノ酸は、ヒスチジンからグリシンコドンに変異してKasIサイトを生成し、NS2AおよびNS4B−ORFは、Imojev(登録商標)に見つけられる2つの順応性G4055aおよびG7349a変異を含み、それぞれYFV−17D NS2Aにおいてメチオニンをバリンに変化させ、NS4B ORFにおいてリシンをグルタミンに変化させる。付加的な沈黙変異により、制限マーカーが位置406(XhoI)、4009(BstEII)、および7315(NheI)に生成される。 図12は、pShuttle/EV71のマップを示す。pShuttle/EV71は、その5′末端のSV40プロモーター/起点とその3′末端の30nt長のポリA反復およびデルタ肝炎ウイルスリボザイムとの間に挿入されるEV71株BrCr−TR(Genbank AB204852.1)のcDNAを含む。 図13は、配列番号1〜7を有する配列を示す。
定義
「細菌人工染色体(BAC)」の用語は、大腸菌などの細菌細胞内にDNA塩基配列をクローン化するために使用されるプラスミドDNA構築物を言う。典型的に、30,000個から約300,000個にわたる塩基対のDNA塩基配列が、BACに挿入され得る。挿入されたDNAを有するBACは、細菌細胞によって取り込まれ得る。細菌細胞が成長して分裂するにつれ、BAC DNAは、細菌細胞内において、非常に低い細菌細胞ごとのコピー数、好ましくは細胞毎に3コピーを超えない数、たとえば細胞毎に単一のコピーで安定して維持される。BACの複製は、複製起点(ori)配列、典型的にはoriS配列において開始される。この複製は、BACによってコードされる、概してrepEおよび/またはrepFという、遺伝子産物によって厳重に規制される。BACはさらに、parA、B、およびCなどの蛋白質をコードし、分裂時におけるBACコピーの配分を娘細胞に指示する。典型的に、BACベクターは、青色選択を可能にするlacZなど、抗生物質耐性またはリポーター酵素マーカーなどの選択可能マーカーをさらに含む。一般に使用されるBACの例はpBeloBac11(Shizuya et al. (1992) Proc. Natl . Acad. Sci. USA 89, 8794-8797)である。このベクターの配列は、GenBank登録番号U51113において報告された。pBeloBac11は、円形のプラスミドであって、oriSと、oriSにおける複製を開始および規制する蛋白質を産生するrepE遺伝子と、配分遺伝子parA、B、およびCとを含む。選択のために、pBeloBac11は、クロラムフェニコール抵抗コード遺伝子を含む。また、ベクターは、挿入断片がBACにおいてクローン化された時に妨害され得るもしくはベクターから除去されるlacZa遺伝子を含む。
「誘導性細菌ori配列」の用語は、細菌宿主細胞において機能し、増幅媒介蛋白質に対して反応するプラスミドori配列を言う。好ましくは、前記の増幅媒介蛋白質が無い場合、誘導性oriの複製機能は厳しく抑制される、または存在しない。前記の増幅媒介蛋白質が存在する場合、誘導性oriは、プラスミドを大きなコピー数、好ましくは細胞毎に20コピーより大きい数、より好ましくは100より大きい数、たとえば細胞ごとに500もしくは100コピーを超える数に増幅させるのが好ましい。本発明での使用のために、誘導性oriが単一の増幅媒介蛋白質に反応するのが好ましいが、これは必須ではない。
oriVは、本発明における誘導性細菌oriとしての使用に特に有用であり、これは、その広い宿主領域、100kb以上のDNA断片を複製するという知られた能力、その大きなコピー数、および1つの誘導性蛋白質のみを必要とする点に起因する。誘導性oriVを含む細菌人工染色体の例は、pBeloBAC/oriV(Wild et al.(2002) Genome Res. 12, 1434-1444)およびpBAC−LacZ(Addgene plasmid 13422: pBAC-lacZ,, Adgene, Cambridge MA, USA)である。pBAC−lacZプラスミドは、標準的な大腸菌株において複製され得るミニF′であるが、単一コピーのエピソームとして維持されることから、低いDNA収率を与える。また、pBAC−lacZは、trfA遺伝子によってコードされるトランス作用因子が存在する場合のみにおいて活性化される第2の高コピー数起点を含む。誘導性プロモーターからのtrfAを発現する大腸菌細胞におけるこのプラスミドの形質転換により、trfA発現を誘導することによってpBAC−lacZのコピー数を増加させることができる。TransforMax(商標)EPI300(商標)大腸菌細胞(Epicentre、マディソン郡、ウィスコンシン州、米国)は、誘導性変異体trfA遺伝子を含み、この誘導性変異体trfA遺伝子の遺伝子産物は、複製のoriV起点からの複製の開始に必要となる。trfAの発現は、L−アラビノースを培地に加えてoriVを活性化させることによって誘導され得る。
「酵母複製起点」は、細菌人工染色体などのプラスミド内の配列をいい、酵母細胞内におけるこのプラスミドの複製および維持を可能とする。2μプラスミドにある複製起点(Huberman et al. (1987) Cell 51, 473-481; Brewer and Fangman (1987) Cell 51, 463-471; Hartley and Donelson (1980) Nature 286, 860-865.)は、本発明に係る細菌人工染色体を酵母に対して往復させるのに適したoriであるものとして示される。他の適した酵母ORIが記載され(Liachko et al. (2013) Genome Res. 23, 698-704)、たとえば、酵母動原体性プラスミド(YCp)において使用されるARS1(自己複製配列1)およびその機能的に同種の誘導体、または合成CEN6/ARSH4起点(Frazer and O'Keefe (2007) Yeast. 24, 777-789)などがある。
本発明の文脈における「ウイルス発現カセット」は、シス調節因子に隣接するRNAウイルスゲノムのcDNAを言い、シス調節因子は、前記細菌人工染色体が哺乳動物細胞に導入されると、前記ウイルスcDNAの転写を促進し、感染性ウイルスRNAへの転写されたRNAのプロセシングを可能とし、これは以下により詳細に記載される。
「感染性ウイルスRNA」は、哺乳動物宿主に導入された時に、ウイルス複製および感染性ウイルス後代の産生に必要なすべてのウイルス機能を提供するのに十分なウイルスRNAを言う。これは、(i)ウイルスRNAの合成およびゲノムの増幅のための転写鋳型として機能すること、および(ii)ウイルス複製に必要なウイルス蛋白質の合成のための転写鋳型として機能することを含む。たとえば生得の抗ウイルス反応に関連する宿主細胞因子の囮(Moon et al.(2012) RNA. 18, 2029-40)などの他の補助的な機能が同じく感染性ウイルスRNAによって提供され得る。
本発明の文脈における「弱毒化」は、病原体の毒性の変化に関連し、これによって病原有機体の有害な性質が弱まる(または減衰される)。弱毒化された病原体は、生ワクチンとして使用され得る。弱毒化ワクチンは、弱められた生体からいくつかの方法で取り出され得て、通常は、最適以下の条件下での培養(弱毒化とも言われる)、または遺伝子変化によって行われ、病気を引き起こす能力を減少させる効果がある。
第1の局面において、本発明は、誘導性細菌ori配列を含む細菌人工染色体を提供し、誘導性細菌ori配列は、刺激がある場合において、細菌細胞内の前記細菌人工染色体を大きなコピー数、好ましくは細胞毎に10コピーを超え、より好ましくは100を超え、たとえば、細胞毎に500もしくは1000を超える数へ増幅させることを誘導する。概して、前記刺激による前記細菌人工染色体の増幅は、10,000を超えず、たとえば細胞毎に5000コピー以下となる。本発明に係る細菌人工染色体は、ウイルス発現カセットをさらに含み、ウイルス発現カセットは、シス調節因子に隣接するRNAウイルスゲノムのcDNAを含み、シス調節因子は、前記細菌人工染色体が哺乳動物細胞に導入されると、前記ウイルスcDNAの転写を促進するとともに、感染性ウイルスRNAへの転写されたRNAのプロセシングを可能とする。本発明に係る細菌人工染色体のウイルス発現カセットに含まれるウイルスcDNAは、正鎖ウイルス、負鎖ウイルス、二本鎖RNAウイルスのグループに属するウイルス、または複製のためにアンビセンスRNAストラテジーを使用するウイルスから取り出され得る。ウイルス発現カセットに含まれる前記ウイルスcDNAは、野生型RNAウイルスゲノムのものに対応し得る、または異種DNA塩基配列が挿入される、および/もしくは生来ウイルス配列が欠失されるキメラ型ウイルスcDNA構築物であり得る。好ましくは、前記異種DNA塩基配列は、哺乳動物細胞に導入された後に組み換えウイルスによって異種に発現される、このようなキメラ型ウイルスcDNAを含むウイルス発現カセットを含む本発明に係る細菌人工染色体の1つ以上の蛋白質をコードする。選択的に、本発明に係る細菌人工染色体は、酵母において前記細菌人工染色体に対して往復するまたはこれを維持するための酵母自己複製配列をさらに含む。酵母細胞において本発明に係る細菌人工染色体に対して往復することおよびこれを維持する可能性により、酵母および細菌遺伝子系の両方において遺伝子操作が可能であるという利点がもたらされる。
誘導性oriの刺激がない場合において、本発明に係る細菌人工染色体は、細菌宿主における感染性ウイルスcDNAの記録および安定的なクローン化に使用することができ、このような刺激が存在する場合においては、前記cDNAは増幅され、その後に使用のために単離され得る。本発明に係る細菌人工染色体は、RNAウイルス性病原体に対する生ワクチンとして使用されるウイルスcDNAの成長、安定的な維持、および産生に特に有用である。代替的に、前記細菌人工染色体は、たとえば研究目的のために、cDNAからの生来もしくは組み換えウイルスの維持および増殖のために使用される。本発明に係る細菌人工染色体、特に酵母複製起点を含むものは、ウイルスcDNAを遺伝子的に操作するための多用途系を提供するというさらなる利点を有する。この多用途性は、たとえばRNAウイルス性病原体に対するcDNA生ワクチンの設計、または逆遺伝学的手法を使用した特定の遺伝子産物の役割および機能の解明を目的とした研究など、前記細菌人工染色体の研究開発用途において特に重要である。
本発明に係る細菌人工染色体が正鎖RNAウイルスゲノムのcDNAを含むウイルス発現カセットを含む場合、哺乳動物細胞への導入時にウイルスcDNAの転写を開始するRNAポリメラーゼ駆動プロモーターによって前記ウイルスcDNAがその5′末端において先行するのが好ましく、その一方で、その3′末端において、設定位置で前記ウイルスcDNAのRNA転写産物を開裂するための自己開裂用要素が続くのが好ましい。合わせてこれらのシス調節因子は、哺乳動物細胞に細菌人工染色体を導入する時に、感染性ウイルスRNAへの前記ウイルスcDNAの転写およびプロセシングを可能とする。好ましくは、前記RNAポリメラーゼ駆動プロモーターは、たとえばサイトメガロウイルス最初期(CMV−IE)プロモーター (Thomsen et al. (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81, 659-663)、シミアンウイルス40プロモーター(Deboist and Chambon (1981) Nature 290, 304-310)、もしくはCMV−IEチキンベータアクチンキメラ型(CAG)プロモーター(Niwa et al. (1991) Gene 108, 193-199)などのその機能的に同種の誘導体などのRNAポリメラーゼII作用プロモーターである、またはテトラサイクリンオペレーター最小CMV−IEプロモーター(Gossen e t al. (1995) Science. 268, 1766-1769;Baron and Bujard (2000) Methods Enzymol. 327, 401-421)などの前記RNAポリメラーゼII作用プロモーターの誘導性バージョンである。代替的に、前記RNAポリメラーゼ駆動プロモーターは、RNAポリメラーゼI(Russel and Zomerdijk (2006) Biochem. Soc. Symp. 73, 203-216)、またはU6もしくはH1プロモーターなどのRNAポリメラーゼIIIプロモーターである。前記RNA自己開裂用要素は、デルタ肝炎ウイルスのゲノムリボザイムのcDNA(Chadalavada et al.(2007) RNA 13, 2189-2201)、またはWebb and Luptak (2011) RNA Biol. 8, 719-727に記載されるような機能的に同種のデルタ肝炎ウイルスのような自己開裂リボザイムRNA要素のcDNAであることがさらに好ましい。好ましくは、前記ウイルス発現カセットに含まれる正鎖RNAウイルスのウイルスcDNAは、黄熱ウイルスと他のフラビウイルスとを含むフラビウイルス科、C型肝炎ウイルスを含むヘパシウイルス、牛ウイルス性下痢ウイルスと豚コレラウイルスとを含むペスチウイルス、アルファウイルス属チクングニヤとルビウイルス属風疹ウイルスとを含むトガウイルス科、ポリオウイルスおよびライノウイルスなどのエンテロウイルス属とアルトウイルス族とを含むピコルナウイルス科、HCoV−229EとSARS−CoVとMERS−CoV(当初はノーベルコロナウイルス2012/ロンドン1ノーベルCov2012と記載)とネココロナウイルスとを含むコロナウイルス科、E型肝炎ウイルスを含むヘペウイルス、およびノーウォークウイルスとノロウイルスとを含むカリシウイルス科のうちのいずれか1つのウイルス科に属するウイルスに由来する。ウイルス発現カセットに含まれる前記ウイルスcDNAは、野生型RNAウイルスゲノムのものに対応し得る、または異種のDNA塩基配列が挿入される、および/もしくは生来ウイルス配列が欠失、短縮、または変異されるキメラ型ウイルスcDNA構築物であり得る。好ましくは、前記異種のDNA塩基配列は、組み換えウイルスによって哺乳動物への導入時に異種に発現される、このようなキメラ型ウイルスcDNAを含むウイルス発現カセットを含む本発明に係る細菌人工染色体の1つ以上の蛋白質/ペプチドをコードする。
本発明の特定の実施形態において、本発明に係る細菌人工染色体は、正鎖弱毒化黄熱ウイルス(YFV)−17Dワクチン(図6)のcDNAを含むウイルス発現カセットを含む。この特定の実施形態に係る細菌人工染色体は、YFV−17D cDNAの安定的なクローン化および増殖のために使用され得る。加えて、このような細菌人工染色体は、現在使用されている弱毒化YFV−17Dウイルスワクチン(スタマリル(登録商標)およびYF−VaxRなどの同様の製造物)に代わる生YFV−17Dに対するDNAワクチンとして機能し得る。既存のYFV−17Dウイルスワクチンに対し、本発明に係るYFV−17 DNAワクチンは、真核細胞培養または有胚鶏卵を必要とすることなく低コストで製造することができるという利点を有する。さらに、その流通にはコールドチェーンが必要ではなく、針を使用せずに投与することができる。
より特定的な実施形態において、本発明に係る細菌人工染色体は、異種のDNA塩基配列が挿入された、および/または生来のウイルス配列が欠失された弱毒化YFV−17DワクチンのcDNAを含むウイルス発現カセットを含む。たとえば、米国特許第6962708を参照すると、YFV−17DのcDNAにおけるprM−E蛋白質をコードするヌクレオチド配列は、YFV−17Dの機能性prM−E蛋白質が発現されないように欠失、短縮、または変異され得て、一方で、ヌクレオチド配列は第2の異なるウイルスのウイルスエンベロープ蛋白質をコードし、第2のウイルスのウイルスエンベロープ蛋白質は、YFV−17Dワクチンの組み換えゲノムから発現される。好ましくは、前記第2のウイルスは、日本脳炎(JE、たとえばJE SA14−14−2)、デング熱(DEN、たとえばデング熱タイプ1〜4のいずれか;たとえばデング熱二本鎖PUO−218)(Gruenberg et at. (1988) J. Gen. Virol. 67, 1391-1398.)、マーレーバレー脳炎(MVE)、セントルイス脳炎(SLE)、西ナイル熱(WN)、ダニ媒介脳炎(TBE)(すなわち、中央ヨーロッパ脳炎(CEE)およびロシア春夏脳炎(RRSE)ウイルス)、およびC型肝炎C(HCV)ウイルスなどのフラビウイルスでもある。第2のフラビウイルスとして使用される追加のフラビウイルスは、クンジンウイルス、ポワサンウイルス、キャサヌール森林熱ウイルス、ジカウイルス、ウスツウイルス、およびオムスク出血熱ウイルスを含む。キメラ型YFV−17D cDNAを含むこのような細菌人工染色体を哺乳動物細胞に導入することにより、YFV−17Dに属する細胞内複製の要因となる遺伝子および遺伝子産物と第2のウイルスのエンベロープの遺伝子および遺伝子産物とから構成されるキメラウイルスが産生される。ウイルスエンベロープは中和抗体の誘発に応答性を有する抗原決定基群を含むことから、キメラウイルスに感染する結果として、このような抗体が第2のウイルスに対して生成される。代替的に、YFV−17DのcDNAにおけるprM−Eおよび/またはNS1蛋白質をコードするヌクレオチド配列は、YFV−17Dの機能性prM−Eおよび/またはNS1蛋白質自体が発現されないように欠失、短縮、または変異され得て、一方、ヌクレオチド配列は、YFV−17Dワクチンの組み換えゲノムから前記蛋白質が発現されるように特定のエピトーム/抗原を含むペプチド/蛋白質をコードする。代替的に、異種の蛋白質をコードするcDNAは、E遺伝子とNS1遺伝子との間の挿入(Bonaldo et al. (2007) Virol. J. 4, 115.)、C遺伝子における挿入(Jones et al. (2005) Virology 331, 247-259; Schoggings et al. (2012) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 109, 14610-14615)、またはYFV−17D cDNAの翻訳されていない領域における挿入(Jones et al. (2005)上記)など、本発明に係る細菌人工染色体内のcDNA YFV−17Dにおける他の位置に挿入され得る。好ましくは、前記エピトープ/抗原を含む蛋白質は、腫瘍抗原、または寄生病原体のウイルスや細菌の抗原である。キメラ型YFV−17D cDNAを含むこのような細菌人工染色体を哺乳動物細胞に導入することにより、YFV−17Dに属する細胞内複製に応答性を有する遺伝子および遺伝子産物と前記エピトープ/抗原を含む蛋白質の遺伝子および遺伝子産物とから構成されるキメラウイルスが産生される。中和抗体の誘発に応答性を有する抗原決定基群をウイルスエンベロープが含むことから、キメラウイルスに感染する結果として、前記エピトープ/抗原を含む蛋白質に対してこのような抗体が産生される。
負鎖RNAウイルスゲノムのcDNAを含むウイルス発現カセットを本発明に係る細菌人工染色体が含む場合、正鎖RNAウイルスについて上で記載した構築物は、発現を駆動するシス要素に対するセンス(抗ゲノム性)方向にウイルス性ゲノムcDNAが置かれ(Radecke et al. (1995) EMBO J. 14, 5773-5784)、およびウイルスRNA複製を助けるために必要なウイルス性レプリカーゼ複合体の一部をウイルスRNAとともに構成するウイルス遺伝子産物によるコードをセンス方向にさらに含むように、改変されなければならない。これらのcDNAは、プラスミドからウイルスレプリカーゼを構築するこれらのウイルス遺伝子産物を発現させるのに必要な調節シス要素に隣接する。非分節性負鎖RNAウイルスの場合(Conzelmann (1998) Annu. Rev. Genet. 32, 123-162)、これらのウイルス遺伝子産物は、N(NP)、P、およびL蛋白質である。負鎖RNAゲノムの抗ゲノムcDNAの発現は、RNAポリメラーゼIもしくはIIプロモーターによって駆動され得て(Martin et al., (2006) J Virol. 80, 5708-5715)、一方で、ウイルスレプリカーゼ複合体を構築するウイルス蛋白質のための発現カセットは、ウイルス自体が自然に遭遇する多シストロン性であり得る、または各レプリカーゼ構成部分のバランスの取れた発現のために異なるRNAポリメラーゼプロモーター(Morita et al. (2012) Biotechniques O, 1-5)の集合を採用する単シストロン性であり得る。本発明に係る人工細菌染色体からの分節性RNAゲノムを用いた負鎖RNAウイルスの救済は、非分節性RNAゲノムを有する負鎖RNAウイルスについて記載された系に対する変異を必要とする。より特定的には、適切なRNAポリメラーゼIおよびIIプロモーター(Fodor et al. (1999) J. Virol. 73, 9679-9682)によって駆動される 各ゲノムセグメント(Neumann and Kawaoka (2004) Curr. Top. Microbiol. Immunol. 283, 43-60)のための発現カセットを組み込む必要がある。従来技術においてこの目的に使用されるプラスミドベクター系の限られたベクター能力により、このようなウイルスの救済のために必要な機能は、従来技術において、いくつかのプラスミドの共トランスフェクションによって提供されなければならない。たとえば、インフルエンザウイルスの救済のために8または12個のプラスミドを使用することがHoffmann et al. (2002) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99, 11411-11416およびFodor et al. 1999(上記)においてそれぞれ以前に記載された。本発明に係る細菌人工染色体の大きな挿入断片を含む高いベクター能力は、負鎖RNAウイルスゲノムもしくはゲノムセグメントおよび追加のウイルス蛋白質コード配列を単一の細菌人工染色体から正鎖RNAウイルスゲノムと同様の方法で発現させることを可能にする。
好ましくは、前記ウイルス発現カセットおよびウイルス複製の救済に必要な追加の発現カセットに含まれる負鎖RNAウイルスの前記ウイルスcDNAは、インフルエンザA型、B型、およびC型ウイルスを含むオルソミクソウイルス科 、麻疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、およびRSウイルスを含むパラミクソウイルスを含むウイルス科のいずれか1つに属するウイルスから取り出される。ウイルス発現カセットに含まれる前記ウイルスcDNAは、野生型RNAウイルスゲノムのものに対応し得る、または異種のDNA塩基配列が挿入された、および/または生来のウイルス配列が欠失、短縮、もしくは変異されたキメラ型ウイルスcDNA構築物であり得る。好ましくは、前記異種のDNA塩基配列は、哺乳動物に導入された時に組み換えウイルスによって異種で発現される、このようなキメラ型ウイルスcDNAを含むウイルス発現カセットを含む本発明に係る細菌人工染色体の1つ以上のペプチド/蛋白質をコードする。
二本鎖RNAウイルスゲノムのcDNAを含むウイルス発現カセットを本発明に係る細菌人工染色体が含む場合、Boyce et al. (2008) J. Virol. 82, 8339-8348に記載されるようなウイルスRNA複製の救助に必要なすべてのウイルスRNAゲノムセグメント、すなわちブルータングウイルスの場合における10個のRNAが、発生期の転写産物に対する主にキャッピングなどの適切なプロセシングを可能とするRNAポリメラーゼIIプロモーターから発現され得るように、構築物を改変しなければならない。代替的に、RNAポリメラーゼ IおよびIIIプロモーターがこの目的のために使用され得る。好ましくは、前記ウイルス発現カセットに含まれる二本鎖RNAウイルスの前記ウイルスcDNAは、レオウイルス、ロタウイルス、およびブルータングウイルスを含むレオウイルス科のウイルス科のうちのいずれか1つに属するウイルスから取り出される。ウイルス発現カセットに含まれる前記ウイルスcDNAは、野生型RNAウイルスゲノムのものに対応し得る、または異種のDNA塩基配列が挿入された、および/または生来のウイルス配列が欠失、短縮、または変異されたキメラ型ウイルスcDNA構築物であり得る。好ましくは、前記異種のDNA塩基配列は、哺乳動物への導入時に組み換えウイルスによって異種に発現される、このようなキメラ型ウイルスcDNAを含むウイルス発現カセットを含む本発明に係る細菌人工染色体の1つ以上のペプチド/蛋白質をコードする。
複製のためにアンビセンスRNA戦略を使用するウイルスのcDNAを含むウイルス発現カセットを本発明に係る細菌人工染色体が含む場合、記載された(Lowen et al. (2004) Virology 330, 493-500)ウイルスRNA複製の救済のために必要なすべてのウイルスRNAゲノムセグメントがRNAポリメラーゼIもしくはIIプロモーターから発現されるように構築物を改変しなければならない。好ましくは、前記ウイルス発現カセットに含まれる、複製のためにアンビセンスRNA戦略を使用するウイルスの前記ウイルスcDNAは、リフトバレー熱ウイルス、ハンターンウイルス、およびシュマレンベルクウイルスをブニヤウイルス科、ならびにラッサ熱ウイルスを含むアレナウイルス科のウイルス科のいずれか1つに属するウイルスから取り出される。ウイルス発現カセットに含まれる前記ウイルスcDNAは、野生型RNAウイルスゲノムのものに対応し得る、または異種のDNA塩基配列が挿入された、および/または生来のウイルス配列が欠失、短縮、または変異されたキメラ型cDNA構築物であり得る。好ましくは、前記異種のDNA塩基配列は、哺乳動物に導入された時に組み換えウイルスによって異種に発現される、このようなキメラ型ウイルスcDNAを含むウイルス発現カセットを含む本発明に係る細菌人工染色体の1つ以上のペプチド/蛋白質をコードする。
上記のように、および例によって示されるように、本発明は、DNAワクチンに使用される十分に高い品質のウイルスcDNAを大量に生成することを可能にする。
DNAをワクチン製剤に形成することは、先行技術において知られており、たとえば、"DNA Vaccines" Methods in Molecular Medicine Vol 127, (2006) Springer Saltzman, Shen and Brandsma (Eds.) Humana Press. Totoma, NJ .の第6章から第10章、およびAlternative vaccine delivery methods, Pages 1200-1231, of Vaccines (6thEdition) (2013) (Plotkin et al. Eds.)の第61章に詳細に記載されている。DNAワクチンの製剤に適した許容可能なキャリア、希釈剤、賦形剤、および補助剤についての詳細は、以下に示されるように、WO2005042014に見つけることができる。
「許容可能なキャリア、希釈剤、または賦形剤」は、特に免疫療法に関するヒトおよび/または動物向け薬剤における使用に許容可能な追加の物質をいう。
例示により、許容可能なキャリア、希釈剤、または賦形剤は、全身投与もしくは局所投与において安全に使用され得る固体もしくは液体の充填剤、希釈剤、またはカプセル化物質であり得る。具体的な投与経路に応じて、当該技術において周知のさまざまなキャリアが使用され得る。これらのキャリアは、砂糖、澱粉、セルロースおよびその誘導体、麦芽、ゼラチン、滑石粉、硫酸カルシウム、植物油、合成潤滑油、ポリオル、アルギン酸、リン酸塩緩衝液、乳化剤、塩酸塩、臭化物、および硫酸塩を含む鉱酸塩などの等張生理食塩水および塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、およびマロン酸塩などの有機酸、ならびに発熱物質のない水を含むグループから選択され得る。
薬学的に許容可能なキャリア、希釈剤、および賦形剤を記載した有用な参考文献は、Remington's Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Co. N . J. USA, 1991)であり、この文献は引用により本願明細書において援用される。
患者に対してDNAワクチンを投与するために任意の安全な投与経路が採用され得る。たとえば、口、直腸、非経口、舌下、頬、静脈内、関節内、筋肉内、皮膚内、皮下、吸入、眼内、腹腔内、脳室内、経皮などが採用され得る。筋肉内および皮下注射は、たとえば、免疫療法組成物、蛋白質ワクチン、および核酸ワクチンの投与において適切であり得る。微粒子衝突もしくは電気穿孔が特に核酸ワクチンの投与について特に有用であり得る。
剤形は、タブレット、分散液、懸濁剤、注射剤、液剤、シロップ剤、トローチ、カプセル剤、坐剤、エアゾール剤、経皮的貼付剤などを含む。これらの剤形は、この目的のために特定的に設計された制御放出装置またはこの態様で付加的に作用するように変更された植込剤の注射もしくは移植を含み得る。治療薬の制御放出は、たとえば、アクリル樹脂を含む疎水性ポリマー、ろう、高脂肪族アルコール、ポリ乳酸およびポリグリコール酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの特定のセルロース誘導体を用いて達成され得る。加えて、制御放出は、他のポリマーマトリクス、リポソーム、および/またはミクロスフェアを使用して達成され得る。
経口もしくは非経口投与に適したDNAワクチンは、所定量のプラスミドDNAを粉末もしくは顆粒剤として、または水溶液、非水溶液、水中油型エマルション、もしくは油中水型エマルションにおける溶液もしくは懸濁液として各々が含むカプセル剤、小袋、またはタブレットなどの個別の単位で示され得る。このような組成物は、任意の薬学的手法で製剤され得るが、すべての方法は、1つ以上の必要な成分を構成するキャリアを上記の作用薬と組み合わせるステップを含む。概して、組成物は、液状キャリアもしくは微細に分割された固体キャリアまたは両方をDNAプラスミドと一様かつ密接に混ぜ合わせ、必要であれば望ましい形態に生成物を形成することによって製剤される。
上記の組成物は、投与製剤に準拠した方法で、効果のある用量で投与され得る。患者に投与される用量は、適切な期間にわたって患者から良好な反応が得られるよう十分にすべきである。投与される作用薬の量は、医師の判断に応じる要因である、年齢、性別、重量、および健康状態を含む治療される対象に応じ得る。
典型的に、DNAワクチンは、ヒトの予防的もしくは治療的免疫のために使用されるが、特定のウイルスについては家畜および伴侶動物などの家庭動物を含む脊椎動物(典型的には哺乳類、鳥、および魚)にも適用され得る。予防接種は、猿、マウス、ラット、鳥、およびコウモリなどのウイルスの生きた貯蔵庫(動物原性感染症)である動物が想定される。特定の実施形態において、ワクチンは、補助剤、すなわち免疫原性および/またはワクチン組成物の効能を向上させる1つ以上の物質を含み得る。しかしながら、生ワクチンは、ウイルス複製とは独立した生来の免疫反応を刺激する補助剤によって最終的には害され得る。好適な補助剤の非限定的な例は、スクアランおよびスクアレン(または他の動物由来の油)、ブロック共重合体、Tween−80などの界面活性剤、Quil−A、DrakeolもしくはMarcolなどの鉱油、落花生油などの植物油、コリネバクテリウムパルブムなどのコリネバクテリウム由来の補助剤、プロピオンバクテリウムアクネなどのプロピオンバクテリウム由来の補助剤、ウシ結核菌(カルメット・ゲラン桿菌もしくはBCG)、インターロイキン2およびインターロイキン12などのインターロイキン、インターロイキン1などのモノカイン、腫物壊死因子、ガンマインターフェロンなどのインターフェロン、サポニン水酸化アルミニウムまたはQuil−A水酸化アルミニウムなどの組み合わせ、リポソーム、ISCOMtおよびISCOMATRIX(B)補助剤、ミコバクテリウム細胞壁抽出物、ムラミルジペプチドなどの合成グリコペプチドまたは他の誘導体、アブリジン、リピドA誘導体、硫酸デキストラン、DEAEデキストランまたはリン酸アルミニウムを有するもの、Carbopol′EMAなどのカルボキシポリメチレン、Neocryl A640などのアクリル共重合体エマルション、ワクシニアもしくは動物ポックスウイルス蛋白質、ならびにコレラ毒素などのサブウイルス粒子補助剤またはその合剤を含む。本発明は、以下の例によってさらに例示される。
実施例
実施例1:実施例2および実施例3の動物において示される試験研究において使用される動物、ウイルス、細胞、バクテリア、および酵母
動物
インターフェロンタイプIおよびIIレセプタ―の両方のノックアウトを伴う129/Svマウス(AG129マウス、B&K Universal Ltd/UK)がハウスにおいて育成された。
ウイルスおよび細胞
Vero−B(アフリカミドリザルの腎臓;American Type Culture Colletion(ATCC)CCL−81)およびBHK−21(ベビーハムスター腎臓細胞;ATCC CCL−10)細胞がATCCから取得された。すべての細胞は、本質的に記載のように培養された(De Burghgraeve et al. (2012) PLoS ONE 7, e37244)。黄熱ウイルスワクチン株17D(スタマリル(登録商標))は、ベルギー国ブリュッセルのSanofi Pasteur MSDから購入された。
バクテリアおよび酵母
pShuttle−BAC生殖のルーチンクローニングおよび生殖に使用されるバクテリア菌株は、それぞれ、大腸菌Top10(Invitrogen)およびEpi300−T(Epicenter)であった。全長フラビウイルスcDNAプラスミドpACNR−FL17DII、pACNR−DENV2、およびp4を用いて形質転換させたバクテリア(以下を参照)は、慣例的に28℃で成長させ、プラスミドDNAの収率は、クロラムフェニコール増幅によって増加させた。Epi−300T細胞を含むシャトルプラスミドは、以下に記載するように37℃で成長させて増幅された。酵母株サッカロミセスセレビシエYPH500(遺伝子型:MATα ura3-52 lys2-801_amber ade2-101_ochre trp1-Δ63 his3-Δ200 Ieu2-Δ1)は、Difco-BD BiosciencesおよびSigma-Aldrichwasからの選択培地上において成長させた。コンピテント酵母細胞の形質転換は、リチウム酢酸塩法を使用して行なわれ、酵母は28℃で成長させた。
試験セクションにおいて使用される実験的プライマーは、以下に示される。
実施例2:YFV−17D、デング熱タイプ2(DENV2)、およびデング熱タイプ4(Denv4)のウイルスcDNAを含む本発明に係る細菌人工染色体の産生
YFV−17D、デング熱タイプ2(DENV2)、およびデング熱タイプ4(Denv4)のウイルスcDNAを含む本発明に係る細菌人工染色体は、以下に記載するように製造された。
材料および方法
プラスミド構築物(細菌人工染色体)
すべてのプラスミド構築物は、標準的な技術によって生成され、サンガー配列決定技法によって確認された。誘導性シャトルベクターpShuttleBAC/Pmeは、以下のいくつかのステップにおいて生成された(図1)。まず、アラビノース誘導性pBeloBAC/oriV(Wild et al. (2002) Genome Res. 12, 1434-1444)の誘導体であるpBAC/LacZ(Addgeneプラスミド#13422)内に存在するlacZ遺伝子が、(i)ヒグロマイシンBに対する抵抗性を有するhph遺伝子を駆動するシミアンウイルス40(SV40)プロモーター/起点(配列番号1)と、(ii)デルタ肝炎ウイルス(HDrz)のゲノムリボザイムの合成cDNA(Chadalavada et al. (2007) RNA 13, 2189-2201)(配列番号2)と、(iii)サッカロミセスセルビシエエピソーム2μプラスミド起点および(iv)トリプトファンを栄養原体増殖させるTRP1遺伝子とを含む合成DNAカセットによって置き換えられる。ビルディングブロック(i)は、プライマー#334および#425を使用してpBABEハイグロ(Morgenstern et al. (1990) Nucleic Acids Res. 18, 3587-3996;Addgeneプラスミド#1765)から増幅されたPCRであった。ビルディングブロック(ii−iv)は、プライマー#426および#231を使用してpJet(-)/Trp1_2micron-YF3'_HDrz_BstEから増幅されたPCRであった。プラスミドpJet(-)/Trp1_2micron-YF3'_HDrz_BstEは、YFV−17D cDNAの3′末端(ウイルスnt9466から10862を含む)と(ii)HDrz(DNAヌクレオチド#109、110、および111から組み立てられる)との融合体と、PCRプライマー#194および#195を使用してpRE637(Esteban & Fujimura, (2003) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 100, 2568-2573)から取り出された(iii+iv)2μ−TRP1配列とを含む、pJet1.2/blunt(CloneJET PCRクローニングキット、Fermentas)の誘導体である。ビルディングブロック(i)は、pBAC/LacZのSalIサイトへクローン化される前にオーバーラップ伸展PCRによって(ii−iv)に融合され、pShuttleBAC/SV40_Hygro_HDrz中間構築物を生じさせた。続いて、hph遺伝子スタッファー要素が、プライマー#474および#475を使用した全長プラスミドにわたる逆PCR、およびT4 DNAリガーゼによる再円化によって、大腸菌における形質転換およびクローン化の前に、最終pShuttleBAC/Pmeシャトルベクター(図1A)における多重クローニングサイト(SfiI−PmeI−BstEII)のためのpShuttleBAC/SV40_Hygro_HDrzから置き換えられた。
ウイルス発現構築物pShuttle/YF17D、pShuttle/DV2、およびpShuttle/DV4は、YFV−17D(配列番号3)、DENV2鎖ニューギニアC(NGC)およびDENV4鎖ドミニカのcDNAをそれぞれS.セルビシエにおける相同組み換え(図1B)によってpShuttleBAC/Pmeに貼り付けることによって生成された。そのため、ウイルスcDNAは、5′末端におけるSV40プロモーター/起点の−76bp(Ghosh et al. (1981) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78, 100- 104)と3′末端における86nt HDrz配列(Chadalavada et al., (2007) RNA 13, 2189-2201)とを含む最終伸展を導入する3ラウンドのPCRによって増幅された。最初のPCR(10サイクル)は、ウイルス特定プライマー組み合わせ#454プラス#457、#455プラス#458、および#856プラス#857をそれぞれ使用し、その後の10サイクルの各々では、SV40およびHDrzに特定的な#453プラス#456、および最終的に#453プラス#111プライマーを使用した。それぞれのウイルスcDNA鋳型は、pACNR−FLYF1DII(上記のBredenbeek et al. , (2003))、pACNR−DENV2、およびp4(Durbin et al. (2001) Am J Trop Med Hyg. 65, 405-413)であった。プラスミドpACNR−DENV2は、DENV2 NGC cDNA由来のpDVWS601(Gualano et al. (1998) Gen. Virol. 79, 437-446)に置き換えられながら、ウイルスゲノムのnt位置7537および10232に付加的な翻訳静的AgelおよびBstEIIサイトを含むpACNR−FLYF17Dの誘導体である。組み換えに必要な線形化ベクター部分は、プライマー#552プラス#553を使用してPmeIを用いて予備線形化されたpShuttleBAC/Pmeに対する逆PCRによって作られた。ベクターアンプリコンは、ゲル精製および酵母YPH500への形質転換前にDpnIを用いて処理され、切断されていないプラスミド鋳型のバックグラウンド形態キャリーオーバーを減少させた。酵母クローンは、トリプトファンの無い状態で成長し、組み換えシャトルプラスミドが選択された。酵母ミニプレップから取り出されたプラスミドDNAは、大腸菌Epi300−T細胞 (Epicenter)へ移され、0.1%(w/v)のLアラビノースを一夜で培養された6倍希釈から新鮮なLB媒体(20mMの塩化マグネシウムを補充)へ付加し、強度の振動を伴う37℃での6時間にわたる成長によって記載のように増幅された(上記のWild et al. (2000))。
NS5 ORF(RdRpΔGDD)に無変換致死変異を含むYFV−17D変異体は、nt9294の下流に適切に変異したYFV−17D cDNAを含む酵母エピソームプラスミド(YEp)p404Gal1/HA-NS5ΔGDD_ura3に由来する3,6kbの長さのBg/II−PstI制限フラグメントを、ClaIによって線形化されたpShuttle/YF17D(YFV−17D nt9656の下流)およびKasI(HDrz nt位置+27の上流)に同相組み換えしてpShuttle/YF17DΔGDDを得ることによって生成された。
結果
一連の合成DNA構築物(pShuttleBAC)は、いくつかのDNAビルディングブロックから組み立てられ、RNAウイルス発現プラスミドとして機能した(図1)。共通のベクター構築物pShuttleBAC/Pmeは、大腸菌における状態増幅のための第2の起点(oriV)と、酵母2μ起点およびサッカロミセスセルビシエにおけるエピソーム複製のためのTRP1栄養要求性マーカーとを含む細菌人工染色体である(図1A)。YFV−17DワクチンのcDNAは、pShuttleBAC/Pme内に存在するSV40プロモーターとHDVリボザイムとの間の相同によってpShuttle/YF17Dを得るために挿入された(図1B)。pShuttle/YF17Dのマップが図8に示される(配列番号4)。他のフラビウイルスのcDNAもまた挿入された。pACNR・FLYF17DIIなどの先行技術のフラビウイルスcDNAクローンとは対照的に、pShuttle/YF17Dは、大腸菌における優位な遺伝子安定性を示し(図2)、高いプラスミドDNA収率を生成するように誘導され得る。
実施例3:YFV−17DワクチンのcDNAを含む本発明に係る細菌人工染色体のインビトロおよびインビボの特徴化
本発明に係る細菌人工染色体から発現されるYFV−17Dの特徴は原生の原生ワクチンのものと同一であることが分かった(複製の効率、ウイルス収率、およびプラーク表現型など)。また、この裸YFV−71DプラスミドDNAがAG129マウスの腹腔内に注射されると、親ウイルスと同様の病理、病的状態、および死亡率が結果として現れる。この簡便、堅牢、かつ再現可能な系は、真核細胞培養または有胚鶏卵を必要とすることなく低コストでYFVのDNAワクチンを提供する。これは、もはやコールドチェーンを必要とせず、針を用いずに投与することができる。
材料および方法
インビトロ転写、インビトロキャッピング、および電気穿孔
全長YFV−17D cDNAを含むプラスミドpACNR−FLYF17DII(Bredenbeek et al. (2003) J. Gen. Virol. 84, 1261-1268)は、AflIIを用いて線形化され、プロテイナーゼK消化、フェノールクロロホルム抽出、およびエタノール沈澱によって精製された。代替的に、インビトロ転写(IVT)のための全長cDNA鋳型がプライマー#173および#55ならびにKAPA高忠実度DNAポリメラーゼを使用したpACNR−FLYF17DIIのPCRによって作られ、プラスミド収率の制限が克服された。ランオフRNA転写産物は、インビトロにおいてSp6 RNAポリメラーゼを使用して産生された(Ribomax体規模RNA産生キット、Promega)。転写産物は、精製されたワクシニアウイルス7−メチルグアノシントランスフェラーゼ(Scriptcap7mGキャッピング系、Epicenter)を使用してキャッピングされ、キャリアRNAとしてBHK−21細胞から抽出された過剰な全RNAを使用したBHK−21細胞の電気穿孔のために使用された。細胞培養培地は、トランスフェクトされた細胞がほぼ完全な細胞病原性を示した時に摘出された。遠心分離によってセルデブリスから媒体が取り除かれ、続いてBHK−21細胞上にウイルスストックを準備するために使用された。
プラスミドトランスフェクション
Vero−B細胞は、10%ウシ胎仔血清を含む媒地において6ウェルプレートに70%の培養密度まで接種され、1:3のDNA対ビヒクル比率でTransit−LTI試薬(Mirus)を使用して2.5μgのプラスミドDNAを用いて後日トランスフェクトされた。プラスミドpmRFP1は、1:10の比率で合わせて共にトランスフェクトされ、等しいトランスフェクション効能を確定するための視覚制御として機能した。長期にわたるウイルスストックの維持および産生のために、媒地は、2%のみの血清を含むように一夜の培養期間で変更された。
ウイルスRNA末端のマッピング
pShuttleBACベクター由来ウイルスRNAからの適切なプロセシングは、cDNA末端の急速増殖(RACE)によって分析された。新しい逆連結反応/増幅プロトコルの後の5′RACEは、かなり詳細に開示された(Dallmeier & Neyts (2013) Anal. Biochem. 434, 1-3)。非ポリアデニル化YFV−17DゲノムRNAの3′RACEは、本質的に以前に記載されたように行われた。簡単に、5μLのデオキシリボヌクレアーゼIで処理されたpShuttle/YF17DがトランスフェクトされたVero細胞の全RNA(RNAのうちの約1μg)は、16℃で一夜における10μLの全反応量における15%ポリエチレングリコール(PEG)−8000がある場合におけるT4 RNAリガーゼ2(New England Biolabs)のK227Q変異体の活動により、5′アデニル化および3′ジデオキシトシン(ddC)変質リンカー#393(miRNAクローニングリンカー1,IDT DNA技術)に連結された。連結反応生成物は、One−Step RT−PCR(Qiagen)によってYFV−17Dおよびリンカー特定プライマー#391および#394を使用してそれぞれ増幅された。265bpのアンプリコンは、Taq DNAポリメラーゼによって生成されてサンガー配列決定法によって分析された3′アデニンオーバーハングを精白した後に、ゲル精製され、pJet1.2/blunt(CloneJet PCRクローニングキット、Fermentas)にクローン化された。
細胞内ウイルス複製RNA形態の検出
アガロースゲル電気泳動を変性させた後のノーザンブロット法およびウイルス複製中間体の検出は、採用されたゲル系およびプローブ設計に関して僅かに変更を加えて本質的に記載のように行われた(Dallmeier et al. (2008) PLoS Pathog. 4, e1000230)。簡単に、3μgの全RNAは、20mMの3−(N−モルホリノ) プロパンスルホン酸(MOPS)、pH7.0、5mMの酢酸ナトリウム、ならびに1%ホルムアミドおよび0.01μgのエチジウムブロマイドmL−1を含む2mMのメチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)中の1%アガロースゲルを介して熱変性されて分離され、その後に20×SSC(3M塩化ナトリウム、300mMクエン酸ナトリウム,pH7.0)において正の電荷を有するナイロン膜(Roche Diagnostics)上に毛細転移された。YFV−17D(nt7637−8136)のNS5領域の5′末端に対して相補的な鎖特定DIGラベル一本鎖DNAプローブが、Knuchel et al. (2000) J. Histochem. Cytochem. 48, 285- 294により、プライマー#947および#948を使用して生成された。ハイブリダイゼーションおよび免疫検出は、フィルターハイブリダイゼーション(Roche Diagnostics)のDIG適用マニュアルによるものである。
プラーク検定およびRT−qPCRによるウイルス定量化
トランスフェクトされた細胞から放出された感染性ウイルスは、 以前に開示された方法で(Kaptein et al. (2010) Antimicrob Agents Chemother. 54, 5269-8520)0.5×保存培地に置かれる1%微結晶セルロース(Avicell)を使用してBHK−21細胞の合流単層に対する感染7日のウイルスプラーク測定法によって定量化された。感染したマウス組織におけるウイルスRNA負荷の定量化のために、スナップフローズン検死が行なわれた。ここでは、RLTバッファーにおけるPrecellysビード粉砕機(Rneasy、Qiagen)において破砕され、その後に全RNAが製造者の説明書に従って抽出された。NS3遺伝子の約150nt延長を標的としたプライマーおよび基準としてプローブの使用および同じクローン化されたYFV−17D cDNA断片の系列希釈により、開示されたものと全く同じ方法で(Kaptein et al. (2010)上記)YFV−17D RNAのための定量的逆転写酵素PCR(RT−qPCR)が行なわれた。
免疫蛍光測定法
トランスフェクション7日後のpShuttle/DV2トランスフェクトされたBHK−21細胞の取り除かれた上澄みが使用され、サブコンフルエントなVero−B培養を接種するために使用された。Vero−B培養は、4%パラホルムアルデヒドにおいて5日後に固定され、本質的に以前に開示された方法で(De Burghgraeve et al. (2012) PLoS ONE 7, e37244)免疫染色された。細胞内E蛋白質発現は、DENV2血清型特定単クローン抗体(mAb)3H5.1(ミリポア)、およびAb分類された二次Alexa Lour-488(ミリポア)によって検出された。DAPI着色の後、細胞はFLoid Cell Imaging station(Life Technologies)を使用して視覚化された。
マウスのインビボトランスフェクション
10μgから20μgのプラスミドDNAが33%プロピレングリコール中においてキャリア(Fumoto et al. (2012) Mol. Pharm. 9, 1962-1970)としての20μg炭酸カルシウムマイクロフラワーと混合され、成体(約20g)のAg129マウスの腹膜中に注射された。代替的に、弱毒化YFV−17Dワクチン(スタマリル(登録商標)、Sanofi Pasteur MSD、ブリュッセル)の半分の投与量が腹膜中に注射された。重量および挙動が毎日監視された。
結果
哺乳動物細胞内にトランスフェクトされた場合、適切にプロセシングされたYFV−17D RNAの転写は、細胞内の自律ウイルス複製(図3A)を開始するpShuttle/YF17D(図3B)から行なわれる。pShuttle/YF17Dがトランスフェクトされた細胞は、最終的に感染性ビリオンを分泌する。感染性ビリオンは、組織培養内における細胞変性効果を誘導する能力(図4Aから図4C)、ウイルス収率、およびプラーク表現型(図4D+図4E)に関し表現型が親YFV−17Dウイルスとは区別することができない。産生された組み換えウイルスは、このため、生物学上同一(定量的および定性的)であると考えられる。同様に、pShuttle/DV2がトランスフェクトされた細胞は、組み換え感染性DENV2ニューギニア株C(図5)を産生する。
YFV−17D感染の確立された致死のインビボマウスモデルであるAG129マウスにおけるpShuttle/YF17Dの腹腔内トランスフェクション(Meier et al. (2009) PLoS Pathog. 5, el000614; Thibodeaux et al. (2012) Vaccine 30, 3180-3187)は、生来のYFVワクチンであるスタマリル(登録商標)と同様のウイルス誘導死亡率(図6)および病的状態(図7)を引き起こす。結論として、簡便、堅牢、および再現可能な系は、真核細胞の培養および有胚鶏卵を必要とすることなく低コストでYFVに対するDNAワクチンを開発することが可能となり得る。これには、もはやコールドチェーンは必要ではなく、針を用いない投与となり得る。
実施例4:皮下経路によって、および裸プラスミドDNAの針無し噴射注入によって感染したAG129マウスにおけるpShuttle/YF17D(DNA−YFVax)によって誘導される病的状態および死亡率
腹腔内経路以外のpShuttle/YF17D(DNA−YFVax)の適用経路の実現可能性を評価するために、9週齢の雄AG129マウス(雄、重量22gから25g)のグループ(n=3)に対し、100μLの燐酸塩緩衝食塩水 (PBS)中の25μgのDNA−YFVaxが、(i)注射器およびG27針を使用して皮下(s.c.)に、または(ii)たとえばインシュリンもしくは麻酔薬のヒトへの医療的使用のための経皮的適用が許可された針無し噴射注射器(Injex-30、Injex Pharma GmbH、ベルリン、ドイツ)によって経皮的に(t.d.)注射された。上記のように200μLの33%プロピレングリコール中の炭酸カルシウム微細結晶を用いて作られた25μgのDNA−YFVaxが腹腔内に注射されたAG129は、対照群としての役割を果たした。病的状態および死亡率は上記のように評価され、試験は30日後に終了した(表2を参照)。
皮下および経皮経路でDNA−YFVaxが注射されたAG129マウスの少なくとも一部は、YFV−17Dによって誘導される病気の兆候を示し(体重の減少、毛の波打ち、背中のこぶ、後ろ脚の麻痺)、安楽死させなければならなかった。最も重要な点として、針無し噴射注入によって注射されたすべてのマウスが、17日±2日以内にYFV−17D誘導の脳炎によって一貫して死亡し、すべての腹腔内注射対照群マウスは、試験中(30日)生き延びたことである。検査中に対照群が死亡しなかったこと(実施例3に示される13±2のMMDと比較)は、使用された動物は重量が大きく雄であったことによって容易に説明され得る。
注目すべきは、DNA−YFVaxのためのキャリアとして炭酸カルシウムを使用することは必ずしもワクチン投与に最適ではないということである。すなわち、注入の経路および炭酸カルシウムマイクロフラワーの異なるバッチ間での変動性の両方に応じてハムスターにおいて幾分の抑止効果が観測される場合があった(実施例5を参照)。結論として、DNA−YFVaxは、異なる形態において、および針無し噴射注入を含む異なる注入経路において投与が成功し得る。
実施例5:pShuttle/YF17D(DNA−YVax)を用いた免疫処置後のシリアンゴールデンハムスターのセロコンバージョン
DNA-YFVaxによるYFVに対する防護免疫の誘導を評価するために、症状発現前のシリアンゴールデンハムスター(Mesocricetus auratus)モデルが使用された(Tesh et al. (2001) J Infect Dis. 183, 1431-1436)。このため、雌ハムスターのグループ(8週齢から10週齢、90gから100g)は、スタマリル(登録商標)の1/5投与量(100μL)、または上記のように200μLの33%プロピレングリコール中の炭酸カルシウム微細結晶を用いて形成された20μgのpShuttle/YF17D(DNA−YFVax)のいずれかの腹腔内(i.p.)注入によって免疫化された。代わりに、繰り返しで10μgのDNA−YFVaxが適用された。血液は、完全な外科麻酔下において心臓穿刺によって週ごとに採られ、血清は、遠心分離によって採取され、−80℃の冷凍で保存された。2匹の未処置のハムスターが、正常血清としての役割を果たした。関連する免疫保護を評価するために、(i)間接免疫蛍光法分析(IIFA)、および(ii)プラーク減少中和テスト(PRNT)によって結成が分析された。
間接免疫蛍光法分析(IIFA)。免疫化されたハムスターの血清中のYFV−17D(スタマリル(登録商標)およびDNA−YFVax)特定IgG抗体は、ヒトへの臨床使用が公認された商用のYFV UFAキット(EUROIMMUN Medizinische Labordiagnostika AG、Lubeck、ドイツ、カタログ番号FI−2665−1005GおよびFI−2665−1010G)(Niedrig et al. (2008) Clin Vaccine Immunol. 15, 177-81)を使用して、一部変更を伴って製造者の説明書に従って判定された。ハムスターの血清は、サンプルバッファーにおいて20倍、66倍、200倍、660倍、および2000倍に希釈化され、30μLの血清希釈液がYFV−IIFAスライド上に加えられた。スライドは、室温で30分にわたって培養され、0.2%Tween−20を含有するPBS中で5分間にわたって洗浄された。ゴールデンハムスターにおいて誘導された抗体の検出のために、FITCラベルの抗ハムスターIgG二次抗体 (Jackson Immuno Research Laboratories Inc.、カタログ番号307−095−003)が、PBS含有2%BSA中において1:50に希釈化され、キットに設けられた抗ヒト二次抗体の代わりに使用された。スライドはDAPIを用いて逆染色され、終点タイターが螢光顕微鏡検査法によって判定された。
プラーク減少中和テスト(PRNT)黄熱病ワクチン接種されたハムスターの血清中における中和抗体タイターがPRNTを使用して判定された。簡単に、0.5×10個のBHK細胞/ウェルが12個のウェルプレートにおいて一夜にわたって増殖培養液(10%FCS、1%炭酸水素ナトリウム、および1%グルタミンが補充されたMEM媒体)中で平板培養された。すべての血清は、1:20、1:66、1:200、1:660、1:2000、および1:6600系列希釈液でトリプレットにおいて分析された。30μL血清希釈液は、YFV−17Dウイルス(スタマリル(登録商標)、ロットG5400P1、Vero−B細胞上で一度培養)の40個のプラーク形成を含む30μL評価媒体と混合された。37℃での1時間にわたるこの事前吸着の後、440μLの分析媒体が加えられ、各合剤のうちの500μLがBHK細胞に加えられた。室温での1時間の培養後、細胞は洗浄され、0.5%の最終濃度のLMPアガロース(Invitrogen)で補充された分析媒体が加えられた。その後、細胞は37℃で5日間にわたって培養され、2時間にわたって8%ホルムアルデヒドで固定され、Giemsa染色液で着色された。プラークが数えられ、50%中和タイターがReed and Munch(Reed & Muench ( 1938) Am. J. Hyg. 27, 493-497)に従って計算された。
全体的に、IIFAによる交差反応抗体の検出(表3)およびPRNTによる中和抗体の検出(表4)は一貫していた。ワクチン効能に関し、DNA- YFVaxは、スタマリル(登録商標)に対して劣性を示さなかった。両方の試験グループにおいて、3つの個体のうちの2つ(1/5スタマリル(登録商標)対20μgDNA−YFVax)、および5つのうちの4つ対4つのうちの2つの個体(1/5スタマリル(登録商標)対10μgDNA−YFVax)は、YFV交差反応および中和抗体の高いタイターにセロコンバートされた(表3および表4)。これらの値は、完全な防御免疫(免疫保護)を表わすものと考慮され得て、40より大きいPRNTタイターは、致死的なYFV抗原投与ハムスターモデルにおいて保護的である(Julander et al. (2011) Vaccine 29, 6008-6016)。最も重要なことは、WHOは、既に0.7より大きいログ中和率(LNI)は霊長類における予防接種後の免疫保護に相関すると宣言しており、これはヒトに適用される(WHO position paper (2013) Wkly. Epidemiol. Rec. 88, 269-283.)。0.7より大きいPRNTログ10滴定濃度のベンチマークは、数倍の大きさで、150倍より大きくハムスターにおけるDNA−YFVaxによって越えられている(表4を参照)。
また、免疫反応は、スタマリル(登録商標)と比較した場合にDNA−YFVaxでワクチン接種された個体においてより相同であり、高いPRNTタイターへのセロコンバージョンが一貫して4週間後のみでなく、3週間にわたって検出され、すなわち、スタマリル(登録商標)グループからの他のセロコンバーターよりも3週間遅れている。
実施例6:クローン化されたYFV−17D cDNAの遺伝的不安定性の評価
(a)開始材料:pACNR−FLYF17DII(Bredenbeek et al. (2003)上記)およびpShuttle/YFV−17Dの大規模プラスミド製剤が標準的な技術を使用して行なわれた。このため、pACNR−FLYF17DIIは、標準的な大腸菌K12誘導体株において形質転換され、100μg/mLアンピシリンを含むLB寒天培地上で平板培養され、好ましいプラスミド安定性となるように28℃(37℃の代わり)で一夜にわたって成長された。小さなコロニーが2日間の連続的な一夜培養において強度の振動下において28℃で100μg/mLを含むLBにおいて拡大および成長し、最終的に1Lバッチ培養に到達した。このバッチは、28℃で一夜で成長し、最終的に、クロラムフェニコールを20μg/mLの最終濃度となるまで添加することによってさらに28℃で8時間にわたって増幅された。同様に、pShuttle/YFV−17Dは、大腸菌株EPI300−T細胞(Epicentre)において形質転換され、20μg/mLクロラムフェニコールを含むLB寒天培地上で平板培養され、さらに37℃で一晩で成長した。後者のプラスミドは、これに伴って拡大し、さらにすべての増殖が20μg/mLクロラムフェニコールの存在下において37℃で行なわれた。最終的な一夜のバッチ培養は、20μg/mLクロラムフェニコールおよび0.01%Lアラビノースを含む新鮮なLB媒体に6分の1に希釈化され、6時間以下の時間にわたって成長された。プラスミドは、標準的なカラム親和性精製(Qiagen)を使用して精製され、TE(10mM トリス−HCl、1mM EDTA)において1μg/mLの最終濃度に溶解され、−20℃において冷凍保存された。
(b)コロニー成長およびサイズ。両方のプラスミドは、大腸菌EPI300−Tに形質転換され、選択培地としての適切な抗生物質を含むMacConkey寒天培地(2%ペプトン、0.5%NaCl、1%ラクトース、0.15%胆汁酸塩、0.003%ニュートラルレッド、0.0001%クリスタIバイオレット、1.35%寒天培地)上に筋状に接種される。無菌ジルコニアビード(直径2.5mm)が寒天培地に埋め込まれ、絶対ゼロ測定のためのキャリブレータとして機能する。pShuttle/YFV−17Dで形質転換されたバクテリアの1つの部分標本について、寒天培地は、追加の0.01%Lアラビノースを含む。37℃での16時間にわたる培養の後、通常のデジタルカメラ(Canon Powershot SX10IS)を使用して写真が撮影され、JPEGファイルとして保存された(図9を参照)。画像は、Geissman (2013) PLoS One.8, e54072.のコロニーカウントおよびサイズに関する画像分析のために、OpenCFUバージョン3.8.11に送られた。
pShuttle/YFV−17Dを持つ大腸菌クローンは、クローンを含むpACNR−FLYF17DII(図9A)と比してより大きなサイズおよびより相同の個体群(図9B)に成長した。偶然にも、これにより、アラビノース誘導状態(図9C)においても低い毒性のpShuttle/YFV−17Dが残った。pACNR−FLYF17DII形質転換体個体群に存在するより大きなコロニー(図9A)は、有毒なウイルス蛋白質の潜在発現を除去した変異を伴うプラスミドを含む可能性が最も高い(実施例6を参照)。
画像分析は、pShuttle/YFV−17D対pACNR−FLYF17DII含有クローンにおいて非常に高い相同性を示した(表5)。実際に、pACNR−FLYF17D形質転換体は、異なる平均サイズの少なくとも2つの下位個体群に明らかに分割され、(i)平均からの大きな標準偏差(表5)、非ガウスサイズ分布(図10A)、および(iii)たとえば、算出された算術平均と正中コロニー サイズとの大きな差(表5)が得られた。対照的に、pShuttle/YFV−17Dを有する形質転換体は、より同相のコロニーサイズ(表5)およびベル形状のガウスサイズ分布(図10B)を示す。偶然にも、後者は、pShuttle/YFV−17Dのアラビノース誘導状態に完全に適用される(表5、図10C)。
実施例7 大腸菌におけるクローン化されたYFV−17D cDNAの増殖時の変異パターンおよび頻度
YFV−17D cDNA含有プラスミドのクローン遺伝子安定性に対処するために、実施例6に記載される両方のプラスミドは、大腸菌EPI300−Tに形質転換され、上記のように選択培地として適切な抗体を含有するMacConkey寒天培地上に筋状で摂取された(実施例6bを参照)。pACNR−FLYF17DIIクローンは、28℃で24時間にわたって培養され、pShuttle/YF17Dクローンは、37℃で16時間にわたって培養された。
各プラスミドについて、24から48コロニーの各々のうち2つのシリーズが、200μL液体培地(20mMのMgClが補充された適切な抗生物質を含むLB)へのプラスミド増殖のために選ばれた。小さいコロニーから開始するために1つのpACNR−FLYF17DIIシリーズが選択され(pASシリーズ)、1つが大きなコロニーから選択された。大きなサイズの差が観察されないpShuttle/Y17Dについて(実施例6bを参照)、妥当なサイズの差を伴うコロニーが、小さいコロニー(pSSシリーズ)および大きなコロニー(pSLシリーズ)から開始する培養の2つのシリーズとしてそれぞれ選択された。
pACNRプラスミドを含有するバクテリアが28℃において24時間にわたって培養され、pShuttleコロニーが37℃で一夜にわたって培養され、その後にクロラムフェニコールおよび0.01%アラビノースを含有する600μLのLBにおいて6時間にわたって培養された。これらの培養の一部[経路0(P0)のプラスミドとして考慮される]は、プライマー#208および#94(YFV−17D nt1−940に対応)ならびに#953および#954(YFV−17D nt2500−3600に対応)をそれぞれ使用した増幅のためのPCR(GoTaq Green Mastermix、Promega)への直接的な対象となる。
アンプリコンは、親和性が浄化され(Qiagen)、プライマー#208および#953をそれぞれ使用して直接的に配列される(Bigdye、Applied Biosystems)。分析されたcDNA領域は、以前より知られる毒性の決定因子、すなわちウイルス性5′非翻訳領域における大腸菌における異常な転写および翻訳(Li et al. (2011)上記; Pu et al. (2011)上記)およびウイルスE−NS1領域内の特に疎水性の蛋白質伸長(Yamshchikov et al. (2001) Virology 281, 272-280)のための潜在プロモーターを伴うcDNAを含むことが予期された。
各培養されたクローンの各々の他の部分は、新鮮な媒地において1/100に希釈化され、以前と同様に次なる経路(P1)を生じさせる。後者は、10の経路(P10)まで繰り返される。P1、P3、およびP3からのプラスミドは、以前のようにPGRおよい配列によって分析された。P10について、プラスミドは、媒体の5mLの量まで大きく成長し、プラスミドは、標準的なアルカリプラスミドミニプレップ手順によって単離される。これらのプラスミドミニプレップは、(i)アガロースゲル電気泳動検査後のPGR分析(nt1−940および2500−3600領域の両方を標的とする)、(ii)直接配列(PCRアンプリコンが検出され得る場合)、および(iii)PstIを使用した制限分析の対象となった。P0、P1、P3、およびP10の配列結果は、表6および表7にまとめられている。P10のPCRおよび制限分析の結果は、表8にまとめられている。
初期経路に見つかった変異
pASおよびpALシリーズの初期経路からのプラスミドの直接配列(低い経路番号P0からP3)(表6)は、元のクローンプラスミド製剤において13%という高い変異頻度を示した(実施例6aを参照)。見付かったほぼすべての変異は、未熟停止コードン(PMSt)および単一のヌクレオチド欠失/挿入の導入によるノンセンスもしくはフレームシフト変異(FS)であった。これらの変異は、全長YFV−17D読取枠(ORF)の明らかに完全な切除発現であった。pSLシリーズにおいて、同様の変異はP1において見られたが、頻度は低かった。P0におけるpSSシリーズにおいて、ウイルスORFの発現を消失させないミスセンス変異が見付かった。
結論として、YFV−17DのcDNAを担持する元のクローンプラスミド(実施例6aを参照)の大規模な製剤は、容易に検出可能な量の変異体プラスミド変種を含む。pACNR−FLYF17DIIの場合において、変異の大部分は、それぞれの変異体cDNAから生じるウイルスRNAを明らかに無能化する全長ウイルスポリ蛋白質の発現を切り離す。これは、すべてのプラスミドクローンのうちの10%以上に当てはまる。pShuttle/YFV−17Dの場合において、変異頻度は低く(10%未満)、最も重要なことは、変異体の小さな割合が無能化されたウイルスの先天的な複製を構成する点である。
経路p10において見つかった変異
pALおよびpASシリーズからのプラスミドが経路P10において分析された時、プラスミドの大部分は、大きな構造的な再配列を含み、これにより、48のうちの10(21%)および48のうちの44(92%)のプラスミドクローンが、nt2500−3600領域の増幅に完全に失敗した(表8)。数キロベースに至るDNAがプラスミドから消失するという、後者の変異体プラスミドに異常な制限パターンが伴った。注目すべきは、試験されたすべての変異体クローンは、依然としてnt1−940領域(表6)を含み、無関係の汚染物ではなく元のpACNR−FLYF17DII(表8)の子孫である可能性が高かった。このような毒性のcDNA断片の欠失は予期されており、先行技術において報告されている(Yamshchikov et al. (2001)上記)。
対照的に、同様の再配置および欠失は、pShuttle−YFV17Dシリーズには見つからなかった。ここれ、48のうちの2つのみ(4%)が、E−NS1コード領域におけるフレームATG開始コドン(nt2957−2959)において明らかに変化するミスセンス変異を示す。これは、ウイルスORFの発現を消失させない。
結論として、元のクローンpACNR−FLYF17DII(実施例6aを参照)を繰り返し継代することにより、ウイルスcDNAにおいて大きな欠失が起こり、それぞれの変異体cDNAから生成されるウイルスRNAを完全に無機能化させる可能性が明らかに最も高いすべてのプラスミドのうちの90%以上に至る機能性cDNAの損失が起こる。pShuttle/YFV−17Dの場合において、変異頻度はかなり低く(5%未満)、最も重要なことは、たとえば弱毒化DNAワクチンとしての使用を不可能にする先天的複製機能の損失したウイルスが観察され得ないということである。
実施例8:キメラ型フラビウイルスワクチンのための発現ベクターとしてのpShuttle/YFV−JE、pShuttle/YFV−WN、およびpShuttle/YFV−USUの構造
YFV−17Dの組み換えキメラ型誘導体が開発され、非対応抗原のためのベクター(Guy et al. (2010) Vaccine 28, 632-49; 米国特許出願公開第20100278773号)、たとえば日本脳炎ウイルス(JEV)および西ナイルウイルス(WNV)のprMおよびE蛋白質などの他の病原性フラビウイルス抗原の表面糖蛋白質のためのベクターとしてYFV−17Dが機能するワクチンとして使用される。これらは、ChimeriVax−JE(Imojev(登録商標) Sanofi Pasteur-MSD)およびChimeriVax−WN20としてそれぞれ開発された。本発明に係るpShuttle/YFV−17D(DNA−YFVax)は、トランスフェクトされたプラスミドDNAからこれらの上記のChimeriVaxワクチンウイルスを直接的に開始することができるように変更され得て、生ウイルスを含有する前記弱毒化ChimeriVax−JE(Imojev(登録商標))およびChimeriVax−WN20ワクチンと完全に置き換えることができる。
ChimeriVax−JE、pShuttle/ChimeriVax−JE(図11a)を発現するBACは、pShuttle/YFV17DにおけるYFV−17Dのnt482−2451を、神経弱毒化JEVワクチン株JE SA14−14−2(Chambers (1999) J. Virol. 73(4), 3095-3101; Arroyo et al. (2001) J. Virol. 75, 934-942.)のnt477−2477にYFV−17DバックボーンのNS2AおよびNS4B遺伝子における2つの適合性変異を加えたもの(Pugachev et al. (2004) J. Virol. 78, 1032-1038)に代替することによって産生される。これは、3つのプラスミド断片を相同再配列および結合させることによって実現される。これらは、pShuttle/YFV17Dの2つのPCRアンプリコン(nt7228−481、およびnt3966−7342)、および慣習的DNA合成によって作られたキメラ型YFV−JEV cDNA断片(IDT Integrated DNA Technologies, Haasrode, Belgium)である。後者は、ChimeriVax-JEのnt359−4105を含む(図11a)。最終的な構築物は、配列番号5において特定される配列を有する。
ChimeriVax−WN02、pShuttle/ChimeriVax−WN02を発現するBAC(図11b)は、pShuttle/ChimeriVax−JEのprM−E遺伝子領域を、Monath et al. (2006) (Proc Natl Acad Sci USA. 103, 6694- 6699)によるE蛋白質における3つの神経弱毒性変異、すなわちL107F、A316V、およびK440Rを含む領域WNV(NY99株)のそれと置き換えることによって産生される。このため、キメラ型YFV−WNV cDNA断片は、慣習的DNA合成(IDT Integrated DNA Technologies, Haasrode, Belgium)によって作られ、pShuttle/ChimeriVax−JEのXhoI(nt406)およびKasI(nt2477)サイトに再結合される。最終的な構築物は、配列番号6で特定される配列を有する。
実施例9:異なるピコルナウイルスのための発現ベクターとしてのpShuttle/Ev71の構造
エンテロウイルス属は、センス方向におけるRNAゲノムを有する小さい無外膜ウイルスのピコナウイルスのファミリーに属する(+)−RNAウイルスである。典型的に、ピコナウイルスのゲノムは、キャッピングされないが、代わりに5′末端が共有結合で取り付けられたVPg蛋白質を担持する。キャップ構造の無い状態で、内部のリポソーム導入部位(IRES)は、ウイルス蛋白質発現のためのウイルスRNAへの細胞翻訳機構を採用する。原則的に、ピコルナウイルスにおける感染性ウイルス後代の複製および産生は、ウイルスゲノムの異種転写の後に細胞内で開始される。先行技術において、ウイルスゲノムは、 ファージプロモーターの制御下におけるcDNAから発現され、同族のファージRNAポリメラーゼがプロデューサ―セル(2プラスミド系)に共トランスフェクトされ、発現した場合にのみ転写される。同様に、前記ファージポリメラーゼは、組み換えバキュロウイルス(Yap ef al. ( 1997) Virology. 231, 192-200)などのヘルパーウイルスを使用したcDNAの形質導入時に細胞内で発現され得る。
先行技術の複雑な手法の代わりに、ピコルナウイルスcDNAは、ヒトエンテロウイルス71(EV71)について以下で例示されるようなウイルス複製の直接的な開始のために、pShuttle−BAC(1プラスミド系)の誘導体から細胞内で発現され得る。このため、EV71ゲノムは、デルタ肝炎ウイルスリボザイムが続く5′SV40プロモーターおよび3′末端ポリAテールを有するpShuttle−BAC内に発現カセットとしてクローン化される。これは、プライマー♯991および♯992を使用するPCRによってEV71のcDNAを増幅すること、およびそれぞれの発現カセットを生成するためにプライマー#453および#990を用いて再増幅することによって実現される。異なる核酸源が、このPCRのための鋳型として使用され得て、7.4kb長のEV71 cDNAが適切に増幅され、それらは、(i)Chua et al. (2008) J. Gen. Virol. 89, 1622-1632)およびZhang et al. (2013) Virus Genes. 47, 235-243)によって開示されるようなEV71の既にクローン化されたcDNA、または(ii)任意の組織培養の逆転写による生成物、またはヒトもしくは動物組織由来のEV71の全長ゲノムRNAである。代替的に、(iii)EV71 cDNAが慣習的な遺伝子合成によって作られ得る。cDNAの源に関わらず、生成された発現カセットは、PmeIを使用した制限酵素消化、好ましくは酵母における組み換えによって線形化されたpShuttle/BAC−Pme内に挿入される。このような構築物は、EV71株BrCr−TR(Arita et al. (2005) J. Gen. Virol. 86, 1391-401)についての配列番号7において特定される配列を有する。
たとえば、ヒトライノウイルス14(hRV14)などの他のエンテロウイルス属のクローン化については同様の戦略が行なわれ、プライマーの第1集合のみがウイルスcDNAの初期の増幅について変更される。hRV14の適切なプライマーは、♯988および♯989である。
感染性EV71およびhRV14ウイルスは、pShuttle/EV71およびpShuttle/hRV14プラスミドの、それぞれの、培養されたヒト子宮頸癌(HeLa)細胞のトランスフェクションによって、またはインビボトランスフェクションによって生成される。その弱毒化変種は、同様の方法で産生され得て、弱毒化ワクチンとして使用される。

Claims (23)

  1. ワクチンの製造のための細菌人工染色体(BAC)の使用であって、前記BACは、
    −細菌細胞ごとに10より大きい数のコピーに前記BACを増幅させるための誘導性細菌ori配列と、
    −弱毒化RNAウイルスゲノムのcDNAを含み、哺乳動物細胞における前記ウイルスcDNAの転写および感染性RNAウイルスへの転写されたRNAのプロセシングのためのシス調節因子を含む、ウイルス発現カセットとを備える、使用。
  2. 弱毒化RNAウイルスゲノムの前記cDNAは、RNAウイルスゲノムのキメラ型ウイルスcDNA構築物であり、異種のDNA塩基配列が挿入される、または生来ウイルス配列が削除、短縮、もしくは変異される、請求項1に記載の使用。
  3. 前記ウイルス発現カセットは、
    正鎖RNAウイルスゲノムのcDNAと、
    前記cDNAの転写を開始するための前記cDNAの5′末端に先行するRNAポリメラーゼ駆動プロモーターと、
    設定位置における前記ウイルスcDNAのRNA転写産物を開裂するための前記cDNAの3′末端に続く自己開裂用要素とを含む、請求項1に記載の使用。
  4. 前記正鎖RNAウイルスは、フラビウイルス、ヘパシウイルス、ペスチウイルス、トガウイルス、ピコルナウイルス、コロナウイルス、ヘペウイルス、およびカリチウイルスから構成されるグループから選択される、請求項3に記載の使用。
  5. 前記ウイルス発現カセットは、黄熱ウイルスのcDNAを含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の使用。
  6. 前記ウイルス発現カセットは、弱毒化YFV−17D黄熱ウイルスワクチンのcDNAを含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の使用。
  7. 前記ウイルス発現カセットは、負鎖RNAウイルス、二本鎖RNAウイルス、またはアンビセンスRNAウイルスのグループに属するウイルスのcDNAを含む、請求項1に記載の使用。
  8. 前記細菌人工染色体は、酵母において前記細菌人工染色体に対して往復するまたはこれを維持する酵母自己複製配列をさらに含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の使用。
  9. 前記酵母ori配列は、2μプラスミド起点またはARS1(自己複製配列1)またはその機能的に同種の誘導体である、請求項8に記載の使用。
  10. 前記RNAポリメラーゼ駆動プロモーターはRNAポリメラーゼIIプロモーターである、請求項3に記載の使用。
  11. 前記RNAポリメラーゼIIプロモーターは、サイトメガロウイルス最初期(CMV−IE)プロモーター、シミアンウイルス40プロモーター、またはその機能的に同種の誘導体である、請求項10に記載の使用。
  12. 前記RNAポリメラーゼ駆動プロモーターは、RNAポリメラーゼIもしくはIIIプロモーターである、請求項3に記載の使用。
  13. 前記自己開裂用要素は、デルタ肝炎ウイルスのゲノムリボザイムのcDNA、または機能的に同種のRNA要素である、請求項3から11のいずれか1項に記載の使用。
  14. 前記ウイルス発現カセットは、 弱毒化YFV−17DワクチンのcDNAを含み、ビリオン表面蛋白質のためのcDNAコードのうちの1つ以上が欠失、短縮、または変異され、YFV−17Dのこのような機能的ビリオン表面蛋白質が発現されず、異種の蛋白質についてのcDNA配列コードがYFV−17D cDNAに挿入される、請求項6に記載の使用。
  15. 前記異種の蛋白質は、フラビウイルスのビリオン表面蛋白質である、請求項14に記載の使用。
  16. 前記ウイルス発現カセットは、弱毒化YFV−17DワクチンのcDNAを含み、1つ以上の無関連のcDNA配列が、前記ウイルス性ポリ蛋白質内での1つ以上の異種の蛋白質として発現されるように挿入される、請求項14または15に記載の使用。
  17. 前記ウイルス発現カセットは、ウイルスcDNAを含み、外部cDNA配列が前記組み換えウイルスによって異種に発現されるように挿入される、請求項1から16のいずれか1項に記載の使用。
  18. RNAウイルスに対するワクチンを製造する方法であって、
    a)BACが移入される細菌宿主を提供するステップを備え、前記BACは、
    −細菌細胞ごとに10より大きい数のコピーに前記BACを増幅させるための誘導性細菌ori配列と、
    −弱毒化RNAウイルスゲノムのcDNAを含み、哺乳動物細胞における前記ウイルスcDNAの転写および転写されたRNAから感染性ウイルスRNAへのプロセシングのためのシス調節因子とを含むウイルス発現カセットとを含み、方法はさらに、
    b)前記誘導性oriを活性化させる化合物を加えることによって前記BACを増幅させるステップと、
    c)前記増幅されたBACを単離するステップと、
    d)前記BACをワクチンに形成するステップとを備える、方法。
  19. BACであって、
    −細菌細胞ごとに10より大きい数のコピーに前記BACを増幅させるための誘導性細菌ori配列と、
    −弱毒化RNAウイルスゲノムのcDNAを含み、哺乳動物細胞における前記ウイルスcDNAの転写および転写されたRNAから感染性ウイルスRNAへのプロセシングのためのシス調節因子とを含むウイルス発現カセットとを備え、
    ワクチンとして使用される、BAC。
  20. BACであって、
    −細菌細胞ごとに10より大きい数のコピーに前記BACを増幅させるための誘導性細菌ori配列と、
    −弱毒化RNAウイルスゲノムのcDNAを含むウイルス発現カセット、または
    −弱毒化RNAウイルスゲノムのcDNAを含み、哺乳動物細胞における前記ウイルスcDNAの転写および転写されたRNAから感染性ウイルスRNAへのプロセシングのためのシス調節因子とを含むウイルス発現カセットとを備え、
    RNAウイルス感染の予防に使用される、BAC。
  21. 生DNAワクチンとしての請求項1から18のいずれか1項に記載の細菌人工染色体の使用。
  22. 生来もしくは組み換えRNAウイルスゲノムのcDNAの維持、および前記cDNAからの生来もしくは組み換えウイルスの増殖のための、請求項1から18のいずれか1項に記載の細菌人工染色体の使用。
  23. ワクチンの製造のための細菌人工染色体(BAC)であって、前記BACは、
    −細菌細胞ごとに10より大きい数のコピーに前記BACを増幅させるための誘導性細菌ori配列と、
    −弱毒化RNAウイルスゲノムのcDNAを含み、哺乳動物細胞における前記ウイルスcDNAの転写および転写されたRNAから感染性ウイルスRNAへのプロセシングのためのシス調節因子とを含むウイルス発現カセットとを備える、細菌人工染色体。
JP2016509489A 2013-04-26 2014-04-25 細菌人工染色体 Active JP6501756B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
GBGB1307528.8A GB201307528D0 (en) 2013-04-26 2013-04-26 Bacterial artificial chromosomes
GB1307528.8 2013-04-26
PCT/EP2014/058459 WO2014174078A1 (en) 2013-04-26 2014-04-25 Bacterial artificial chromosomes

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016518132A true JP2016518132A (ja) 2016-06-23
JP6501756B2 JP6501756B2 (ja) 2019-04-17

Family

ID=48626864

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016509489A Active JP6501756B2 (ja) 2013-04-26 2014-04-25 細菌人工染色体

Country Status (17)

Country Link
US (2) US10076564B2 (ja)
EP (2) EP2989205B1 (ja)
JP (1) JP6501756B2 (ja)
KR (1) KR102170609B1 (ja)
CN (1) CN105229153A (ja)
AU (1) AU2014259354B2 (ja)
BR (1) BR112015026531B1 (ja)
DK (1) DK2989205T3 (ja)
ES (1) ES2718187T3 (ja)
GB (1) GB201307528D0 (ja)
HU (1) HUE042886T2 (ja)
PL (1) PL2989205T3 (ja)
PT (1) PT2989205T (ja)
SI (1) SI2989205T1 (ja)
TR (1) TR201904215T4 (ja)
WO (1) WO2014174078A1 (ja)
ZA (1) ZA201507795B (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022502012A (ja) * 2018-09-07 2022-01-11 カトリック ユニヴェルシテット ルーヴェン フラビウイルスとリッサウイルスとのキメラワクチン

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB201716254D0 (en) * 2017-10-05 2017-11-22 Univ Leuven Kath Live-attenuated flaviruses with heterologous antigens
GB201716307D0 (en) 2017-10-05 2017-11-22 Univ Leuven Kath Chimeric yellow fever zika virus strain
WO2019204654A1 (en) * 2018-04-18 2019-10-24 Utah State University Compositions and methods for zika virus characterization and vaccine development
KR20220016053A (ko) 2019-04-10 2022-02-08 카톨리에케 유니버시테이트 루벤 키메라 지카-일본 뇌염 바이러스
WO2021048003A1 (en) 2019-09-13 2021-03-18 Katholieke Universiteit Leuven Chimeric filovirus vaccines
AU2020346382A1 (en) 2019-09-13 2022-04-21 Katholieke Universiteit Leuven Lassavirus vaccines
CN114450408A (zh) 2019-09-25 2022-05-06 鲁汶天主教大学 大载体和用于高产量生产的方法
WO2021170869A1 (en) 2020-02-27 2021-09-02 Katholieke Universiteit Leuven Coronavirus vaccines

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5874259A (en) * 1997-11-21 1999-02-23 Wisconsin Alumni Research Foundation Conditionally amplifiable BAC vector
US20030049665A1 (en) * 2001-07-31 2003-03-13 Waclaw Szybalski Method for converting single-copy BAC vectors to conditional high-copy pBAC/oriHC vectors
JP2003515335A (ja) * 1999-12-03 2003-05-07 コンセホ・スペリオール・デ・インベスティガシオネス・シエンティフィカス 感染性クローン

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5665600A (en) 1991-09-18 1997-09-09 Research Corporation Technologies, Inc. Pichia pastoris linear plasmids and DNA fragments thereof
US5866404A (en) 1995-12-06 1999-02-02 Yale University Yeast-bacteria shuttle vector
US6962708B1 (en) 1997-02-28 2005-11-08 Acambis, Inc. Chimeric flavivirus vaccines
US6573090B1 (en) 1998-12-09 2003-06-03 The General Hospital Corporation Enhanced packaging of herpes virus amplicons and generation of recombinant virus vectors
GB2372991B (en) * 2001-03-09 2004-11-17 Fiocruz Fundacao Oswaldo Cruz Flavivirus expression vector
US6472177B1 (en) 2001-04-23 2002-10-29 Wisconsin Alumni Research Foundation Expression vector with dual control of replication and transcription
EP1457565A1 (en) 2001-12-25 2004-09-15 Evec Incorporated Double-stranded cyclic dna capable of proliferating as artificial e. coli chromosome
AU2003275416A1 (en) 2002-10-04 2004-05-04 Embiosis Pharmaceuticals Compatible host/vector systems for expression of dna
US20070036827A1 (en) 2003-10-29 2007-02-15 The University Of Queensland West nile virus vaccine
US20050214838A1 (en) 2004-03-10 2005-09-29 Waclaw Szybalski Methods for mapping and sequencing nucleic acids
WO2009053988A1 (en) 2007-10-25 2009-04-30 Ramot At Tel-Aviv University Ltd. Production of bac vectors carrying viral genomes
CN101864442A (zh) * 2010-05-19 2010-10-20 江苏省农业科学院 重组火鸡疱疹病毒细菌人工染色体转移载体

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5874259A (en) * 1997-11-21 1999-02-23 Wisconsin Alumni Research Foundation Conditionally amplifiable BAC vector
JP2003515335A (ja) * 1999-12-03 2003-05-07 コンセホ・スペリオール・デ・インベスティガシオネス・シエンティフィカス 感染性クローン
US20030049665A1 (en) * 2001-07-31 2003-03-13 Waclaw Szybalski Method for converting single-copy BAC vectors to conditional high-copy pBAC/oriHC vectors

Non-Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
GENOME RESEARCH, 2002, VOL.12, P.1434-1444, JPN6018007028 *
JOURNAL OF GENERAL VIROLOGY, 2006, VOL.87, P.2263-2268, JPN6018007030 *
JOURNAL OF VIROLOGY, 2003, VOL.77, P.6450-6465, JPN6018007031 *
PNAS, 2000, VOL.97, P.5516-5521, JPN6018007033 *

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022502012A (ja) * 2018-09-07 2022-01-11 カトリック ユニヴェルシテット ルーヴェン フラビウイルスとリッサウイルスとのキメラワクチン
JP7240029B2 (ja) 2018-09-07 2023-03-15 カトリック ユニヴェルシテット ルーヴェン フラビウイルスとリッサウイルスとのキメラワクチン

Also Published As

Publication number Publication date
PL2989205T3 (pl) 2019-06-28
ES2718187T3 (es) 2019-06-28
KR102170609B1 (ko) 2020-10-28
DK2989205T3 (en) 2019-04-23
US10076564B2 (en) 2018-09-18
EP3540065A1 (en) 2019-09-18
GB201307528D0 (en) 2013-06-12
BR112015026531A2 (ja) 2017-09-05
PT2989205T (pt) 2019-04-23
CN105229153A (zh) 2016-01-06
BR112015026531B1 (pt) 2023-02-07
AU2014259354B2 (en) 2020-02-27
KR20160003032A (ko) 2016-01-08
TR201904215T4 (tr) 2019-04-22
ZA201507795B (en) 2019-07-31
WO2014174078A1 (en) 2014-10-30
SI2989205T1 (sl) 2019-05-31
AU2014259354A1 (en) 2015-11-05
US20190111125A1 (en) 2019-04-18
US20160206723A1 (en) 2016-07-21
EP2989205B1 (en) 2019-01-02
JP6501756B2 (ja) 2019-04-17
HUE042886T2 (hu) 2019-07-29
EP2989205A1 (en) 2016-03-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6501756B2 (ja) 細菌人工染色体
KR20190016032A (ko) 백신 벡터로서 3개의 세그먼트를 가진 피친드 바이러스
AU2020244533B2 (en) Recombinant RSV with silent mutations, vaccines, and methods related thereto
JP5619614B2 (ja) レオウイルス科のウイルスのワクチン用ウイルス株を製造する方法
JP2023516149A (ja) コロナウイルスワクチン
JP2022023198A (ja) プラス鎖rnaウイルスによって引き起こされる感染疾患に対するワクチン
AU2003267851B2 (en) Novel full-length genomic RNA of Japanese encephalitis virus, infectious JEV CDNA therefrom, and use thereof
Nickols et al. Plasmid DNA launches live-attenuated Japanese encephalitis virus and elicits virus-neutralizing antibodies in BALB/c mice
US20060280757A1 (en) Flavivirus vaccine delivery system
WO2023066874A1 (en) Methods for determining mutations for increasing modified replicable rna function and related compositions and their use
US20230203536A1 (en) Coronavirus rna replicons and use thereof as vaccines
US20230265454A1 (en) RNA Replicon for Versatile and Efficient Gene Expression
AU2004245578B2 (en) Flavivirus replicon packaging system
WO2023213783A1 (en) Replicon compositions and methods of using same for the treatment of diseases
CN111615398A (zh) 嵌合黄热病寨卡病毒株

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170322

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180227

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20180501

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180821

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181127

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190212

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190219

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190319

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6501756

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250