JP2016517528A - 子癇前症を診断するための方法および組成物 - Google Patents

子癇前症を診断するための方法および組成物 Download PDF

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Abstract

妊娠女性からの生物学的サンプル中のPEEタンパク質および/またはPEE自己抗体の存在を検出するための結合剤を使用するための方法、組成物およびキットを提供する。そのような方法および組成物は、子癇前症の発症を予測するのに、子癇前症の進行をモニタリングするのに、子癇前症の軽減をモニタリングするのに、子癇前症に対する治療の有効性を評価するのに、子癇前症に対して治療されるべき患者の亜集団を特定するのに、および/または子癇前症の症状に関してモニタリングされるべき患者の亜集団を特定するのに有用である。【選択図】図1

Description

本発明は、子癇前症を診断するための方法および組成物に関する。
関連出願に対する相互参照
本出願は、2013年3月14日付け出願の米国仮特許出願第61/785,934号(その全内容を参照により本明細書に組み入れることとする)に基づく優先権の利益を主張するものである。
子癇前症(PEE)は妊娠中に生じる障害であり、母体および胎児の両方における罹患および死亡を招きうる。この病態は米国(U.S.)および米国外の両方において妊娠母体においてよく見られる。PEEは世界中で全出産の5〜15%に影響を及ぼす。世界中で、PEEは毎年1,300万例の早産の20%の原因である。米国だけでも、年間合計500,000例の早産のうちの100,000例がPEEによるものである。世界中で、毎年生まれる3,000万人の子宮内発育遅延乳児のうちの15%(450万人)はPEEに関連している。毎年世界中で約50万人の新生児および米国で10,500人の新生児が母体のPEEにより死亡している。米国におけるPEEによる死産は毎年約2200例である。これらの数字を更に悪化させることとして、世界中でPEEの報告が十分になされていないことが挙げられる。
PEEは妊娠誘発性高血圧を伴い、この場合、患者の尿中にタンパク質が観察されることが多い。現在、PEEは、通常は妊娠第20週の後のみの妊娠母体の血圧の上昇およびそれに合併する彼女の尿中の過剰タンパク質の出現により診断される。PEEは現在、高血圧、腎疾患、糖尿病または他の顕著な疾患の病歴を有さない女性における妊娠の後半に生じる血圧の上昇(> 140/90 mmHg)および尿中タンパク質(> 300mg/24時間)により定義されている。PEEは多数の他の異常をも含みうる。
そのような状態が存在するかどうかを診断するための正確な方法は存在せず、したがって、妊娠20週以降にそれらの個々の症状を示す女性ではPEEの可能性が常に考慮される。PEEの症状は多数の他の疾患に類似しているため、PEEは診断が特に困難であることが判明しており、頭痛、腹痛、視覚障害、錯乱、不安、息切れ、悪心および嘔吐のような症状を含む。診断されないで放置されたり、診断が遅すぎると、母体およびその新生児に重大な影響を及ぼしうる。更に、PEEは軽度から重度へと急速に進行しうる。該疾患の重大な徴候には、高血圧、脳損傷のリスク、腎および肝機能障害、血液凝固障害、肺浮腫、そして更には発作が含まれる。診断を更に複雑にすることとして、既存の高血圧を示す女性がいることが挙げられ、これをPEEの発症から区別することは困難であることが多い。現在のところ、症状の発現の前にこの潜在的に致命的な状態を診断するための有効な方法は存在しない。
PEEは母体合併症、例えば子癇およびHELLP症候群(溶血、肝酵素上昇および血小板減少)を引き起こしうる。PEEは胎児合併症、例えば早産、子宮内胎児発育遅延;アシドーシス、継続的な人生の難題、例えば学習障害、脳性麻痺、てんかん、失明、および難聴を引き起こす可能性があり、あるいは更には胎児死亡を引き起こしうる。
PEEの発症の早期検出、診断および/または予測は母体および胎児へのPEEによる多数の有害な影響を予防し、または遅延させるであろう。子癇前症の女性に存在する初期の分子的異常が現在ようやく認識されつつあるが、治療を要する女性を診断する正確および/または高感度な方法が尚も必要とされている。したがって、PEEに罹患する可能性のある母体の早期検出のための正確な試験に対する要求は満たされていない。本明細書に記載されている本発明はこの要求に対処するものであり、追加的な利益をももたらす。
本明細書の全体にわたって、種々の参考文献、刊行物、特許および/または特許出願が引用されている。これらの参考文献、刊行物、特許および/または特許出願の全体をあらゆる目的での使用のために参照により本明細書に組み入れることとする。
発明の簡潔な概要
本明細書に記載されている本発明は、とりわけ、子癇前症(PEE)の発症リスクを特定するのに、PEEの発症(開始)を予測するのに、PEEの進行をモニタリングするのに、PEEの軽減をモニタリングするのに、PEEに対して治療されるべき若しくはPEEに対して治療が継続されるべき患者の亜集団を特定するのに、妊娠女性におけるPEEに対する治療の有効性を評価するのに、および/またはPEEの症状に関してモニタリングされるべき患者の亜集団を特定するのに有用な方法、組成物およびキットを提供する。
1つの態様において、本発明は、妊娠女性における子癇前症の発症リスクを検出するための方法を提供し、該方法は、該女性からの生物学的サンプルを結合剤と接触させ、該サンプル中に存在する少なくとも3種のPEEタンパク質への結合剤の結合を検出することを含み、ここで、結合剤は10-12 M〜10-5 MのKdでPEEタンパク質に結合し、該サンプル中のPEEタンパク質への結合剤の結合は、同じトリメスター(三半期)における健常妊娠女性からの生物学的サンプル中のPEEタンパク質への結合剤の結合と比較して増大し、結合の増大が少なくとも80%の精度で子癇前症の発症リスクを示す。幾つかの実施形態においては、結合の増大が少なくとも90%の精度で子癇前症の発症リスクを示す。他の実施形態においては、結合の増大が少なくとも95%の精度で子癇前症の発症リスクを示す。1つの実施形態においては、子癇前症の発症を予測するため、子癇前症の進行をモニタリングするため、子癇前症の軽減をモニタリングするため、子癇前症に対する治療の有効性を評価するため、子癇前症に対して治療されるべき患者の亜集団を特定するため、または子癇前症の症状に関してモニタリングされるべき患者の亜集団を特定するために、該方法を使用する。1つの実施形態においては、前記少なくとも3種のPEEタンパク質は、表1に挙げられているPEEタンパク質から選択される。もう1つの実施形態においては、前記少なくとも3種のPEEタンパク質は、表2に挙げられているPEEタンパク質から選択される。もう1つの実施形態においては、前記少なくとも3種のPEEタンパク質は表3におけるPEEタンパク質の組合せから選択される。もう1つの実施形態においては、結合剤は更に、表1または表2から選択される更にもう1つのPEEタンパク質に結合する。ある実施形態においては、結合剤は48種以下のPEEタンパク質に結合する。ある実施形態においては、該女性は妊娠の第3トリメスターの女性である。ある実施形態においては、該女性は妊娠の第2トリメスターの女性である。ある実施形態においては、該女性は妊娠の第1トリメスターの女性である。幾つかの実施形態においては、生物学的サンプルは非胎児母体サンプルである。幾つかの実施形態においては、生物学的サンプルは尿、血液または胎盤組織である。幾つかの実施形態においては、結合剤はPEEタンパク質GSN、THBS1およびPRG2に対する個々の抗体の混合物を含む。更に他の実施形態においては、結合剤は更に、該サンプル中に存在する自己抗体に結合する。幾つかのそのような実施形態においては、結合剤は更に、表4または表5から選択される自己抗体に結合する。1つの特定の実施形態においては、結合剤はCSNK1D、CUEDC1およびZRANB2に対するPEE自己抗体に結合する。もう1つの特定の実施形態においては、結合剤はCSNK1D、SULT4A1およびジャンクション・プラコグロビン(Junction Plakoglobin)に対するPEE自己抗体に結合する。本明細書で提供する方法の1つの実施形態においては、結合はイムノアッセイにより実施される。もう1つの実施形態においては、イムノアッセイは酵素結合イムノソルベントアッセイである。もう1つの実施形態においては、イムノアッセイはビーズを含む。もう1つの実施形態においては、イムノアッセイは磁気粒子を含む。もう1つの実施形態においては、イムノアッセイは磁気粒子を含まない。もう1つの実施形態においては、結合剤は、タンパク質結合部位を含む核タンパク質である。
もう1つの態様においては、本発明は、妊娠女性における子癇前症の発症リスクを検出するための方法を提供し、該方法は、該女性からの生物学的サンプルを結合剤と接触させ、該サンプル中に存在するPEE自己抗体への結合剤の結合を検出することを含み、ここで、結合剤は10-12M〜10-5 MのKdでPEE自己抗体に結合し、該サンプル中のPEE自己抗体への結合剤の結合は、同じトリメスター(三半期)における健常妊娠女性からの生物学的サンプル中のPEE自己抗体への結合剤の結合と比較して変化し、結合の変化が少なくとも80%の精度で子癇前症の発症リスクを示す。1つの実施形態においては、結合の増大が少なくとも90%の精度で子癇前症の発症リスクを示す。もう1つの実施形態においては、結合の増大が少なくとも95%の精度で子癇前症の発症リスクを示す。1つの実施形態においては、PEE自己抗体は表4または表5から選択される。もう1つの実施形態においては、結合剤はタンパク質を含む。もう1つの実施形態においては、結合剤はタンパク質アレイを含む。もう1つの実施形態においては、該サンプル中のPEE自己抗体への結合剤の結合は、健常妊娠女性からの生物学的サンプル中の該自己抗体への結合剤の結合と比較して増大する。もう1つの実施形態においては、該サンプル中のPEE自己抗体への結合剤の結合は、健常妊娠女性からの生物学的サンプル中の該自己抗体への結合剤の結合と比較して低減する。もう1つの実施形態においては、結合剤はCSNK1D、CUEDC1およびZRANB2に対するPEE自己抗体に結合する。もう1つの実施形態においては、結合剤はCSNK1D、SULT4A1およびジャンクション・プラコグロビンに対するPEE自己抗体に結合する。もう1つの実施形態においては、結合剤は更に、表1または表2から選択されるPEEタンパク質に結合する。もう1つの実施形態においては、結合剤は更に、GSN、THBS1またはPRG2から選択されるPEEタンパク質に結合する。もう1つの実施形態においては、結合剤は48種以下のPEEタンパク質に結合する。1つの実施形態においては、結合剤はタンパク質を含む。もう1つの実施形態においては、結合剤は、標識を含むタンパク質を含む。特定の実施形態においては、該標識は蛍光標識でありうる。1つの実施形態においては、該女性は妊娠の第3トリメスターの女性である。1つの実施形態においては、該女性は妊娠の第2トリメスターの女性である。1つの実施形態においては、該女性は妊娠の第1トリメスターの女性である。もう1つの実施形態においては、生物学的サンプルは非胎児母体サンプルである。もう1つの実施形態においては、生物学的サンプルは尿、血液または胎盤組織である。もう1つの実施形態においては、該結合はイムノアッセイにより実施される。もう1つの実施形態においては、イムノアッセイは酵素結合イムノソルベントアッセイである。もう1つの実施形態においては、イムノアッセイはビーズを含む。もう1つの実施形態においては、イムノアッセイは磁気粒子を含む。もう1つの実施形態においては、イムノアッセイは磁気粒子を含まない。1つの実施形態においては、結合剤は抗体を含む。もう1つの実施形態においては、結合剤は核タンパク質を含む。更にもう1つの実施形態においては、結合剤はペプチドを含む。もう1つの実施形態においては、結合剤は蛍光標識を含む。もう1つの実施形態においては、結合剤は標識抗体を含む。
更にもう1つの態様においては、本発明は、妊娠女性における子癇前症を発症するリスクを検出するための方法を提供し、該方法は、該女性からの生物学的サンプルを結合剤と接触させ、該サンプル中に存在する少なくとも1種のPEEタンパク質および少なくとも1種のPEE自己抗体への結合剤の結合を検出することを含み、ここで、結合剤は10-12M〜10-5 MのKdで前記少なくとも1種のPEEタンパク質に結合し、結合剤は10-12M〜10-5 MのKdで前記少なくとも1種のPEE自己抗体に結合し、該サンプル中の前記少なくとも1種のタンパク質および前記少なくとも1種のPEE自己抗体への結合剤の結合は、同じトリメスター(三半期)における健常妊娠女性からの生物学的サンプル中の前記少なくとも1種のPEEタンパク質および少なくとも1種のPEE自己抗体への結合剤の結合と比較して変化し、結合の変化が少なくとも80%の精度で子癇前症の発症リスクを示す。1つの実施形態においては、結合の増大が少なくとも90%の精度で子癇前症の発症リスクを示す。もう1つの実施形態においては、結合の増大が少なくとも95%の精度で子癇前症の発症リスクを示す。1つの実施形態においては、子癇前症の発症を予測するため、子癇前症の進行をモニタリングするため、子癇前症の軽減をモニタリングするため、または子癇前症に対する治療の有効性を評価するため、該方法を更に使用する。1つの実施形態においては、PEE自己抗体は表4または表5から選択される。1つの実施形態においては、該サンプル中のPEE自己抗体への結合剤の結合は、健常妊娠女性からの生物学的サンプル中の該自己抗体への結合剤の結合と比較して増大する。もう1つの実施形態においては、該サンプル中のPEE自己抗体への結合剤の結合は、健常妊娠女性からの生物学的サンプル中の該自己抗体への結合剤の結合と比較して低減する。1つの実施形態においては、PEEタンパク質は表1または表2から選択される。もう1つの実施形態においては、結合剤は更に、GSN、THBS1またはPRG2から選択されるPEEタンパク質に結合する。1つの実施形態においては、結合剤は2種以上のPEEタンパク質に結合する。1つの特定の実施形態においては、結合剤はPEEタンパク質GSN、THBS1およびPRG2に結合する。1つの実施形態においては、結合剤は48種以下のPEEタンパク質に結合する。1つの実施形態においては、結合剤は2種以上のPEE自己抗体に結合する。1つの特定の実施形態においては、結合剤はCSNK1D、CUEDC1およびZRANB2に対するPEE自己抗体に結合する。もう1つの特定の実施形態においては、結合剤はCSNK1D、SULT4A1およびジャンクション・プラコグロビンに対するPEE自己抗体に結合する。1つの実施形態においては、結合剤は標識抗体および標識タンパク質を含む。特定の実施形態においては、該標識は蛍光標識である。1つの実施形態においては、該女性は妊娠の第3トリメスターの女性である。もう1つの実施形態においては、該女性は妊娠の第2トリメスターの女性である。更にもう1つの実施形態においては、該女性は妊娠の第1トリメスターの女性である。1つの実施形態においては、生物学的サンプルは非胎児母体サンプルである。1つの実施形態においては、生物学的サンプルは尿、血液または胎盤組織である。1つの実施形態においては、結合はイムノアッセイにより実施される。1つの特定の実施形態においては、イムノアッセイは酵素結合イムノソルベントアッセイである。もう1つの特定の実施形態においては、イムノアッセイはビーズを含む。もう1つの特定の実施形態においては、イムノアッセイは磁気粒子を含む。1つの特定の実施形態においては、イムノアッセイは磁気粒子を含まない。
もう1つの態様においては、本発明は、GSN、THBS1およびPRG2に対する結合剤を含む1以上の固体表面を含む組成物を提供する。
もう1つの態様においては、本発明は、CSNK1D、CUEDC1またはZRANB2自己抗体に対する結合剤を含む1以上の固体表面を含む組成物を提供する。
もう1つの態様においては、本発明は、CSNK1D、SULT4A1またはジャンクション・プラコグロビン自己抗体に対する結合剤を含む1以上の固体表面を含む組成物を提供する。
もう1つの態様においては、本発明は、(a)妊娠女性からの生物学的サンプル中のGSN、THBS1およびPRG2を検出するための試薬、(b)GSN、THBS1およびPRG2に対する1以上の結合剤を含有する1以上の固体表面を含む組成物、および(c)アッセイの使用のための説明書、を含む診断アッセイキットを提供する。
もう1つの態様においては、本発明は、(a)妊娠女性からの生物学的サンプル中の自己抗体を検出するための試薬、(b)PEE自己抗体に対する1以上の結合剤を含有する1以上の固体表面を含む組成物、および(c)アッセイの使用のための説明書、を含む診断アッセイキットを提供する。1つの実施形態においては、該キットの組成物は、CSNK1D、CUEDC1およびZRANB2 PEE自己抗体に結合しうる固体表面を含む。もう1つの実施形態においては、該キットの組成物は、CSNK1D、SULT4A1およびジャンクション・プラコグロビンPEE自己抗体に結合しうる固体表面を含む。
図1は、健常妊娠女性からの血清と比較した場合のPEEにおける血清タンパク質の差異(ANOVAによりp<0.001)を示す48種のPEEタンパク質の主成分分析のグラフ表示である。軸は、該試験における患者(正常妊娠n=35, PEEを伴う妊娠n=25)のそれぞれにわたる48種のPEEタンパク質のスペクトルカウントに関する対応固有値の平方根により一定比率で拡大縮小された共分散行列の固有ベクトルを表す。表1も参照されたい。 図2は、PEEを強く予測する8種のタンパク質に関する散布図を示す。これらの8種のPEEタンパク質は図1における48種のPEEタンパク質の一部である: THBS1、PRG2、GSN、ITIH4、HPX、TF、APCSおよびF5。健常およびPEEサンプルからの各タンパク質に関する平均スペクトルカウント値およびSEMが示されている。これらの8種のタンパク質のうちの3種のランダムな組合せは0.95以上の平均AUCを示した。表2も参照されたい。 図2−1の続きである。 図3は、トリメスターにわたって比較しうるパターンを示すタンパク質群を特定するためのバイオマーカーパターン解析に関するタンパク質発現スキームである。タンパク質の特定されたパターンは、表1および2に「バイオマーカーパターン解析」と示されている欄に対応する。 図4は、表1における48種のPEEタンパク質の集合に関する各患者の個々のスペクトルカウントの散布図を示す。各タンパク質に関する平均スペクトルカウントおよびSEMが示されている。 図4−1の続きである。 図4−2の続きである。 図4−3の続きである。 図4−4の続きである。 図4−5の続きである。 図4−6の続きである。 図4−7の続きである。 図4−8の続きである。 図4−9の続きである。 図4−10の続きである。 図4−11の続きである。 図5は、75種のPEE自己抗体のANOVAによる主成分分析のグラフ表示であり、偽発見率はqFDR<0.05のp値、正常とPEEとの間の最小変化倍率の相違が1.5に調節されており、健常妊娠女性およびPEEを有する妊娠女性からの血清サンプルにおいて異なって測定されることが判明した。表4も参照されたい。 図6は、子癇前症を有するおよび有さない妊娠女性から採取された血清において有意に異なる(qFDR<0.05; 変化倍率>1.5)75種のPEE自己抗体の集合(図5および表5)からの10種のPEE自己抗体の部分集合に関する各患者の個々の平均蛍光強度(MFI)カウントの散布図を示す。25名の健常妊娠女性(正常)およびPEEを有する20名の妊娠女性からの血清サンプルにおける各自己抗体の平均MFIカウントおよびSEMが示されている。各グラフの左側の薄灰色の垂直のバーは第1トリメスター(三角形)または第3トリメスター(長方形)の正常妊娠女性を示す。各グラフの右側の濃灰色の垂直のバーは第3トリメスター(長方形)のPEEの女性を示す。>1.5の変化倍率を伴って正常女性と比較してPEEにおける有意(qFDR<0.05)な増加または減少を示し、第3トリメスターに最小の重複を有し、第1トリメスターの正常妊娠において測定されうるバイオマーカーが選択される。 図6−1の続きである。 図6−2の続きである。 図7は、子癇前症を有するおよび有さない妊娠女性から採取された血清において有意(qFDR<0.05; 変化倍率>1.5)に異なっていた75種のPEE自己抗体の集合からの最も有意な10種の自己抗体の各患者の個々の平均蛍光強度(MFI)カウントの散布図を示す。25名の健常妊娠女性およびPEEを有する20名の妊娠女性からの血清サンプルにおける各自己抗体の平均MFIカウントおよびSEMが示されている。 図7−1の続きである。 図7−2の続きである。
発明の詳細な説明
本明細書に記載されている発明は、とりわけ、子癇前症(PEE)を発症するリスクを特定するのに、PEEの発症(開始)を予測するのに、PEEの進行をモニタリングするのに、PEEの軽減をモニタリングするのに、PEEに対して治療されるべき若しくはPEEに対して治療が継続されるべき患者の亜集団を特定するのに、妊娠女性におけるPEEに対する治療の有効性を評価するのに、および/またはPEEの症状に関してモニタリングされるべき患者の亜集団を特定するのに有用な方法、組成物およびキットを提供する。以下で更に詳細に記載するとおり、後にPEEを発症しうる早期ないし中期妊娠中の妊娠女性を正確に特定するために使用されうる特定のペプチド、タンパク質および自己抗体バイオマーカーを特定した。そのようなマーカーはPEEと類似症状を示す他の状態との診断識別を可能にしうる。より大きなPEEリスクを有する被験者の早期特定は、新生児および母体の命を救うのを助け彼らの幸福を改善するために相当に重要であろう。
定義
本明細書を解釈する目的で以下の定義が適用され、適当な場合には、単数形で用いられている用語は複数形対象物をも含み、その逆も成り立つ。
本明細書中で用いる「子癇前症」または「PEE」は、妊娠女性が妊娠中に高血圧(妊娠前の彼女の血圧との比較におけるもの)および/または尿中のタンパク質を示した場合の病態を意味する。多くの場合、高血圧および/または尿中のタンパク質は妊娠の第20週以降(後期第2または第3トリメスター)に生じる。子癇前症の症状は、高血圧(高い血圧)、尿中の過剰なタンパク質(タンパク尿)、頭痛、視覚変化(視力の一時的喪失、霧視または光過敏を含む)、腹痛(例えば、上腹部痛、例えば、右側肋骨下の腹痛)、悪心、嘔吐、眩暈、尿量減少、突然の体重増加、視覚障害(例えば、光に対する過敏性、霧視、閃光点または背光の視認)、錯乱、不安および/息切れを含みうるが、これらに限定されるものではない。幾つかの場合には、PEEの重大な徴候は高血圧、脳損傷のリスク、腎および肝機能障害、血液凝固障害、肺浮腫および/または発作を含むが、これらに限定されるものではない。PEEの他の症状は本明細書に記載されており、治療医師を含む当業者に公知である。
PEEの発症の「リスクを有する」個体は、本明細書に記載されている治療方法の前に、検出可能な疾患または疾患症状を有していても有していなくてもよく、検出可能な疾患または疾患症状を示していても示していなくてもよい。「リスクを有する」は、個体が1以上のリスク因子を有することを示し、該リスク因子は、本明細書に記載されており当技術分野で公知のとおり、PEEの発症と相関する測定可能なパラメータである。これらのリスク因子の1以上を有する被験者は、これらのリスク因子の1以上を有さない被験者よりも、PEEを発症するより高い確率を有する。例えば、幾つかの実施形態においては、PEEを発症する「リスクを有する」被験者は、表1または表2に示されている1以上のPEEタンパク質の発現のレベルの変化を示す。
「個体」は「患者」でありうる。「患者」は、治療医師のケアを受けている「個体」を意味する。1つの実施形態においては、患者は女性である。もう1つの実施形態においては、患者は、PEEと診断されていない女性である。更に他の実施形態においては、患者は、PEEと診断されているがPEEに対処するためのいかなる治療も受けていない女性である。
本明細書中で用いる「患者亜集団」およびその文法的派生語は、1以上の特徴的な測定可能および/または特定可能な特徴を有するものとして特徴づけられた患者の部分集合を意味し、該特徴は、そのような患者の部分集合を、それが属する、より広範な疾患範疇における他の者から識別する。そのような特徴は、PEEを発症するリスクを有する場合に特徴的であると本明細書に記載されているPEEタンパク質および/または自己抗体プロファイルを、場合によっては、本明細書に記載されており治療医師などの当業者に公知である症状のいずれかと共に有することを含む。
本明細書中で用いる「生物学的サンプル」なる語は、例えば物理的、生化学的、化学的および/または生理的特徴に基づいて特徴づけられおよび/または特定されることになる細胞および/または他の分子的実体を含有する、個体から得られたまたは誘導された組成物を意味する。幾つかの実施形態においては、生物学的サンプルは母体からの血液、血清、生物学的流体または組織である。他の実施形態においては、生物学的サンプルは新生児からの何らかの物質を含有する。
本明細書中で用いる「予測する」および「予測」は、事象が100%の確実性で生じることを意味しない。むしろ、それは、事象がおそらく生じるであろうということを意味すると意図される。「予測する」または「予測を行う」ために取られる行為は、事象がおそらく生じるであろう可能性の決定を含みうる。そのような決定または予測を行うために、本明細書に記載されている複数の因子の評価が用いられうる。
「相関する」または「相関」は、第1の分析またはプロトコールの性能および/または結果を第2の分析またはプロトコールの性能および/または結果と何らかの方法で比較することを意味する。例えば、第2のプロトコールを行う際に第1の分析もしくはプロトコールの結果を用いることが可能であり、および/または第2の分析もしくはプロトコールを行うべきかどうかを決定するために第1の分析もしくはプロトコールの結果を用いることが可能である。個体からの生物学的サンプルに対して行われるPEEタンパク質分析またはPEE自己抗体分析の実施形態に関しては、特定の治療レジメンをその個体に対して行うべきかどうかを決定するために、該結果を用いることが可能である。
「診断」なる語は、医学的もしくは病理学的状態、疾患または状態の特定または分類を意味するものとして本明細書において用いられる。例えば、「診断」はPEEの特定を意味しうる。「診断」はPEEの重症度の分類をも意味しうる。PEEの診断は、当業者(例えば、産科医)が用いるいずれかのプロトコール、例えば、“Pre-eclampsia: Etiology and Clinical Practice”(F. Lyall編およびM. Belfort編), Cambridge University Press (2007)および/または“Chesley's Hypertensive Disorders in Pregnancy, 3rd edition (M. Lindheimer, J. Roberts, F.G. Cunningham編), Elsevier (2009)に記載されているものに従い行われうる。
「診断の補助」なる語は、PEEの症状または状態の特定のタイプの存在、度合または他の性質に関する臨床的決定を行うことを補助する方法を意味するものとして本明細書において用いられる。例えば、PEEの診断を補助する方法は、個体からの生物学的サンプル中の1以上のPEEタンパク質および/もしくはPEE自己抗体の量を測定しまたはその存在もしくは非存在を検出することを含みうる。
「予後」なる語は、PEEの発症(PEEの再発を含む)の可能性の予測を意味するものとして本明細書において用いられる。本発明の予測方法は、いずれかの特定の患者に対する最も適切な治療方式を選択することによって、治療判断を行うために臨床的に用いられうる。本発明の予測方法は、患者がPEEを発症する、PEEの再発を有する、および/もしくはPEE症状の悪化を示すことが起こりそうかどうかを予測する際ならびに/またはそのようなことが起こりそうかどうかに関する診断を補助する際の貴重な手段である。
「治療」は、個体の自然経過を改変するために試みる臨床的介入を意味し、臨床診断または予後の経過の前、途中または後で行われうる。望ましい治療効果はPEEまたはその状態もしくは症状の発症または再発の予防、PEEの状態または症状の軽減、PEEのいずれかの直接的または間接的な病理学的結果の消失、PEEの進行速度または重症度の低減、および/またはPEEの改善もしくは緩和を含む。幾つかの実施形態においては、本発明の方法および組成物は、PEEを発症するリスクを有すると特定された患者の亜集団に対して使用される。幾つかの場合には、本発明の方法および組成物は、PEEの発症を遅らせるための試みにおいて有用である。
本明細書に記載されている本発明の態様および実施形態は、態様および実施形態「からなる」および/または「から実質的になる」ことを含むと理解される。
本明細書中で用いる「ペプチド」なる語は、1つのアミノ酸のカルボキシル基が別のアミノ酸のアルファアミノ基に連結された2以上のアミノ酸を含む天然または合成分子を意味するものとして用いられうる。本発明のペプチドは長さによっては限定されず、したがって、「ペプチド」はより長いポリペプチドおよび/またはタンパク質の一部であることが可能であり、あるいはより長いポリペプチド/タンパク質自体を意味しうる。ペプチドなる語はタンパク質および/またはポリペプチドと互換的に用いられうる。
本明細書中で用いる「検出」なる語は、1以上のバイオマーカー、例えばタンパク質、ペプチドおよび他の生物学的分子の、検出不可能な、低い、正常な、または高い血清濃度の定量的測定を意味する。
本明細書中で用いる「定量する」および「定量」なる語は互換的に使用可能であり、サンプル中の物質(例えば、バイオマーカー)の相対的または絶対的な量または存在量を決定するプロセスを意味する。
本明細書における「約」が付いた値またはパラメータに対する言及は、その値またはパラメータ自体に向けられた実施形態を含む(および示す)。例えば、「約X」に関する説明は「X」の説明を含む。「約」なる語は、所定の値が、所望の結果に影響を及ぼすことなくエンドポイントより「少し大きい」または「少し小さい」ことが可能であると定めることにより、数的範囲のエンドポイントに柔軟性を付与するために用いられる。本明細書において、濃度、量および他の数的データは範囲の形態で表されまたは示されうる。そのような範囲の形態は単に便宜および簡潔さのために用いられているに過ぎず、したがって、範囲の限界値として明示的に挙げられている数値だけでなく、その範囲に含まれる全ての個々の数値または部分範囲をも、それぞれの数値および部分範囲が明示的に挙げられている場合と同様に含むように柔軟に解釈されるべきであると理解されるべきである。
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられている単数形表現は、文脈が明らかに他を示すものでない限り、複数対象物を含む。
「随意的」または「所望により(場合によって)」は、引き続いて記載されている事象または状況が生じても生じなくてもよいこと、ならびにその記載が、該事象または状況が生じる場合およびそれが生じない場合を含むことを意味する。
一般的技術
特に示されていない限り、本明細書中に用いられている科学技術用語は、本発明が属する技術分野の当業者により一般に理解されているのと同じ意味を有する。
本発明の実施は、特に示されていない限り、当技術分野の技量の範囲内であるタンパク質生物学、タンパク質化学、分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の通常の技術を用いるであろう。そのような技術は例えば以下のような文献に十分に説明されている:“Pre-eclampsia: Etiology and Clinical Practice”(F. Lyall編およびM. Belfort編), Cambridge University Press (2007); “Chesley's Hypertensive Disorders in Pregnancy, 3rd edition”(M. Lindheimer, J. Roberts, F.G. Cunningham編), Elsevier (2009);“Molecular Cloning: A Laboratory Manual”, second edition (Sambrookら, 1989); “Oligonucleotide Synthesis”(M. J. Gait編, 1984);“Current Protocols in Molecular Biology”(F. M. Ausubelら編, 1987, 定期的改訂版);“PCR: The Polymerase Chain Reaction”, (Mullisら編, 1994); およびSingletonら, Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 2nd ed., J. Wiley & Sons (New York, N.Y. 1994)。
妊娠女性からの生物学的サンプルの収集
典型的に、生物学的サンプルは妊娠女性から収集される。血清、血漿、血液、尿、粘液、唾液、脳脊髄液、羊水、滑液、子宮頸膣液、洗浄液、胎盤、他の周辺組織、組織およびそれらの組合せ(これらに限定されるものではない)を含む、いずれかのタイプの生物学的サンプルが収集されうる。1つの実施形態においては、妊娠女性から収集された生物学的サンプルは非胎児組織のみを含有する。もう1つの実施形態においては、母体非胎児組織と共に何らかの胎児組織が収集される。
本明細書に記載されている方法を用いるPEEに関する女性の試験は、PEEを示すタンパク質、ペプチドおよび自己抗体のようなバイオマーカーが定量可能である時の妊娠中の任意の時点で行われうる。バイオマーカーは妊娠の第1、第2または第3トリメスター中に収集され、試験されうる。1つの実施形態においては、バイオマーカーは妊娠約4週〜約6週、妊娠約6週〜約8週、妊娠約8週〜約10週、妊娠約10週〜約12週、妊娠約12週〜約14週、妊娠約14週〜約16週、妊娠約16週〜約18週、妊娠約18週〜約20週、妊娠約20週〜約22週、妊娠約22週〜約24週、妊娠約24週〜約26週、妊娠約26週〜約28週、妊娠約28週〜約30週、または約30週以降で収集され、試験されうる。これらの範囲は限定的なものとして解釈されるべきではなく、したがって、試験は妊娠中の任意の時点で行われうる。むしろ、これらの範囲は、そのような試験が妊娠女性の大多数において最もよく行われうる妊娠周期の期間を示すために記載されている。
PEEタンパク質およびペプチドの特定ならびに生物学的サンプルの試験
PEEに関して妊娠女性を試験するための方法は、PEEを発症していない健常妊娠女性と比較して、生物学的サンプル中に存在するPEEに関連した1以上のペプチド、タンパク質および/または自己抗体の濃度、発現、細胞内トランスロケーションまたは活性の相違を検出することを含みうる。本明細書に更に記載されているとおり、該ペプチド、タンパク質または自己抗体を特定し、特徴づけ、および定量するために種々の系および方法が使用されうる。非限定的な系および方法が本明細書に記載されている。
1つの実施形態においては、PEEを有する妊娠女性またはPEEの発症リスクを有する疑いのある妊娠女性と妊娠健常女性との間で異なって発現されるペプチドまたはタンパク質を特定するために質量分析が使用されうる。そのような実施形態においては、種々の生物学的サンプルからの複数の質量スペクトルを比較すること、非生物学的変動性を相殺するための手法を用いた後で定量的に異なる質量イオンを位置づけること、関心のあるタンパク質またはペプチドバイオマーカーを単離し特徴づけることが本発明で用いられうる。
もう1つの実施形態においては、PEEを有する妊娠女性またはPEEの発症リスクを有する疑いのある妊娠女性と妊娠健常女性との間で異なって発現されるペプチドまたはタンパク質を特定するためにキャピラリー液体クロマトグラフィーが用いられうる。PEEタンパク質および/またはペプチドを特定するために他の技術が用いられうると当業者は理解するであろう。PEEに関する診断マーカーとして使用されることを可能にするPEEタンパク質および/またはペプチドの特徴は後記に記載されている。
異なって発現されるタンパク質またはペプチドは、PEEおよび健常妊娠間で異なって発現されたタンパク質を特定するために、分位点正規化後の一元または多元配置分散分析(ANOVA)により分析されうる。例えば、図1および表1を参照されたい。1つの実施形態においては、0.05未満の偽発見率を有するp値で1.5を超える変化倍率(fold change)でアップレギュレーションされるタンパク質、または1.5を超える変化倍率でダウンレギュレーションされるタンパク質を有意とみなすことが可能であり、予測モデルを構築するために利用しうる。もう1つの実施形態においては、0.05未満の偽発見率を有するp値で2を超える変化倍率でアップレギュレーションされるタンパク質、または2を超える変化倍率でダウンレギュレーションされるタンパク質を有意とみなすことが可能であり、予測モデルを構築するために利用しうる。統計分析のために種々のタイプのソフトウェアが使用されうる。そのようなソフトウェアの一例として、パーテック・ゲノミクス・スイート(Partek Genomics Suite)が挙げられる。以下の分類モデルからPEEの検出および/または予測のためのロバスト(robust)モデルを選択するために、タンパク質またはペプチドは統計分析に付されうる:k-近傍、直近重心、判別分析、サポートベクターマシン、部分最小二乗、対角判別分析、ランダムフォレストおよびロジスティック回帰分析。実施例において更に詳細に説明されているとおり、複数のモデルが、僅か3個のタンパク質で、>0.9の曲線下面積(AUC)を有する受信者動作特性曲線(ROC)を与えうる。典型的には、ROC曲線下面積は、感度および特異度の両方の尺度を考慮した試験精度の尺度である。1.0のAUCは、そのコホートに100%の精度が存在することを意味する。種々の実施形態においては、ROC曲線下面積は、PEEの検出の精度、PEEの診断における精度、PEEの予測における精度、PEEの発症の予測における精度などの統計的測定値でありうる。
この方法を用いて、PEEに関連していることが判明したペプチドおよび/またはタンパク質の例を実施例1および表1に記載する。これらのペプチドおよび/またはタンパク質は「PEEタンパク質」または「PEEペプチド」または「PEEポリペプチド」と互換的に称されることが可能であり、PEEの診断、診断の補助および/または治療において有用である。これらのPEEタンパク質は、PEEに対する治療のための患者亜集団を特定するためにも使用されうる。
生物学的サンプルの試験およびPEE自己抗体の特定
妊娠女性から採取された生物学的サンプルは、妊娠女性がPEEを有するかどうかまたは将来発症するかどうかを評価するために使用されうる自己抗体(すなわち、PEE自己抗体)を特定するために使用されうる。自己抗体を測定する種々の技術が当業者に公知である。1つの非限定的な方法は、健常妊娠女性およびPEE妊娠女性からの生物学的サンプルにおける種々の自己抗体を測定するためにProtoArray(登録商標)ヒトタンパク質マイクロアレイV5(マイクロアレイ)(Invitrogen, Carlsbad, CA)を使用することである。いずれかのタイプの統計ソフトウェア、例えばパーテック・ゲノミクス・スイート(Partek's Genomics Suite)(Partek Inc, St. Louis, MO)を使用して、健常妊娠およびPEE妊娠の血清中の各自己抗体の存在量を表す相対蛍光単位がアップロードされ、分析されうる。データはPEEおよび健常妊娠間で異なって発現する自己抗体を特定するために、分位点正規化およびそれに続く一元または多元配置分散分析(ANOVA)に付されうる。
PEEおよび健常妊娠間で異なって発現される典型的な自己抗体を表4、表5および図5〜7に示す。1つの実施形態においては、0.05未満の偽発見率でのp値で1.5を超える変化倍率でアップレギュレーションされる自己抗体、または1.5を超える変化倍率でダウンレギュレーションされる自己抗体が有意とみなされることが可能であり、予測モデルを構築するために利用されうる。1つの実施形態においては、少なくとも約8種の抗体がPEEおよび健常妊娠サンプル間の変動の70%の説明をもたらしうる。もう1つの実施形態においては、約15種の抗体が該サンプル間の相違の95%の全ての説明をもたらしうる。ここに開示されているPEE自己抗体は、PEEの発症リスクを評価し、PEEの発症をモニタリングし、治療のための患者を選択する種々の方法、ならびに本明細書に記載されている他の用途に使用されうる。
結合剤ならびにPEEを検出するための又は子癇前症の発症リスクを診断するためのPEEタンパク質および/またはPEE自己抗体の使用方法
本発明の結合剤は、PEEの発症リスクを有する疑いのある若しくはPEEに既に罹患している妊娠女性または健常妊娠女性から採取された生物学的サンプル中に存在するタンパク質、ペプチドおよび/または自己抗体を特定するために使用されうる。結合剤は1以上のタンパク質、1以上のペプチド、1以上の抗体、1以上の核酸または1以上の核タンパク質でありうる。結合剤はタンパク質、ペプチドおよび自己抗体に対する複数の結合部位を含みうる。1つの実施形態においては、結合剤は、妊娠女性がPEEを発症するか、またはPEEを有するか、またはPEEから回復しているかどうかを予測するタンパク質またはペプチドを特定するために使用されうる。そのような場合、結合剤は、PEEまたはPEE状態の診断を補助するために使用されうる。
本発明の結合剤は当業者に公知の方法で標識または修飾されうる。例えば、結合剤は標識を含みうる。標識には、蛍光標識、免疫標識、磁気標識、DNA標識、小分子標識または放射標識が含まれうるが、これらに限定されるものではない。
タンパク質結合剤は何らかの方法で標識または修飾されうる。例えば、タンパク質結合剤は標識を含みうる。標識には、蛍光標識、免疫標識、磁気標識、DNA標識、小分子標識または放射標識が含まれうるが、これらに限定されるものではない。
ペプチド結合剤は何らかの方法で標識または修飾されうる。例えば、ペプチド結合剤は標識を含みうる。標識には、蛍光標識、免疫標識、磁気標識、DNA標識、小分子標識または放射標識が含まれうるが、これらに限定されるものではない。
核酸結合剤は何らかの方法で標識または修飾されうる。例えば、核酸結合剤は標識を含みうる。標識には、蛍光標識、免疫標識、磁気標識、DNA標識、小分子標識または放射標識が含まれうるが、これらに限定されるものではない。
核タンパク質結合剤は何らかの方法で標識または修飾されうる。例えば、核タンパク質結合剤は標識を含みうる。標識には、蛍光標識、免疫標識、磁気標識、DNA標識、小分子標識または放射標識が含まれうるが、これらに限定されるものではない。
結合剤は10-15M、10-14M、10-13M、10-12M、10-11M、10-10M、10-9M、10-8M、10-7M、10-6M、10-5M、10-4M、10-3Mまたは10-2Mの解離定数(Kd)で1以上のタンパク質、ペプチドまたは自己抗体に結合しうる。ある実施形態においては、結合剤は10-12M〜10-5M、10-10M〜10-5M、10-8M〜10-5M、10-7M〜10-5M、10-10M〜10-8M、10-9M〜10-7M、または10-8M〜10-6MのKd範囲で1以上のタンパク質、ペプチドまたは自己抗体に結合しうる。
1つの特定の実施形態においては、結合剤は1種のタンパク質、ペプチドおよび/または自己抗体に結合しうる。もう1つの実施形態においては、結合剤は2種のタンパク質、ペプチドおよび/または自己抗体に結合しうる。更にもう1つの実施形態においては、結合剤は3種のタンパク質、ペプチドおよび/または自己抗体に結合しうる。関連実施形態においては、結合剤は1種以上、2種以上、3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、10種以上、11種以上、12種以上、13種以上、14種以上、15種以上、16種以上、17種以上、18種以上、19種以上、20種以上、21種以上、22種以上、23種以上、24種以上、25種以上のタンパク質、ペプチドおよび/または自己抗体、最大で30種、40種、50種、60種、70種、80種、90種または100種のタンパク質、ペプチドおよび/または自己抗体に結合しうる。1つの特定の実施形態においては、結合剤は最大で48種のPEEタンパク質および/またはペプチドに結合しうる。もう1つの特定の実施形態においては、結合剤は2、3、4、5、6、7、8、9、10種又はそれ以上の組合せのタンパク質、ペプチドおよび抗体のいずれかの組合せに結合しうる。
本明細書に記載されているPEEタンパク質およびPEE自己抗体は、PEEの発症リスクを有する個体を診断するため、または該個体の診断を補助するために使用されうる。PEEタンパク質およびPEE自己抗体は、子癇前症の発症リスクを特定するため、PEEの発症を予測するため、PEEの進行をモニタリングするため、PEEの軽減をモニタリングするため、PEEに対して治療されるべき若しくはPEEに対して治療が継続されるべき患者の亜集団を特定するため、妊娠女性におけるPEEに対する治療の有効性を評価するため、および/またはPEEの症状に関してモニタリングされるべき患者の亜集団を特定するためにも使用されうる。
1つの実施形態においては、本発明の結合剤は抗体、自己抗体、ペプチド、ポリペプチド、オリゴヌクレオチド、小分子などから選択される。特定の実施形態においては、本発明の結合剤は蛍光標識または蛍光免疫標識を含む。もう1つの特定の実施形態においては、本発明の結合剤は磁気標識または磁気免疫標識を含む。もう1つの特定の実施形態においては、本発明の結合剤は放射標識または磁気放射標識を含む。更にもう1つの実施形態においては、結合剤はオリゴヌクレオチドまたは小分子で標識されている。
1つの実施形態においては、結合剤は免疫アッセイを含む。PEEの発症リスクを有する疑いのある妊娠女性および健常妊娠女性から採取された生物学的サンプル中に存在するタンパク質またはペプチドを検出し、特定し、および/または定量するために、イムノアッセイが用いられうる。ある実施形態においては、イムノアッセイは酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)でありうる。本発明において使用される任意のイムノアッセイは蛍光、磁気または放射免疫標識を含みうる。
もう1つの実施形態においては、結合剤は診断アレイを含む。PEEの発症リスクを有する疑いのある妊娠女性および健常妊娠女性から採取された生物学的サンプル中に存在するタンパク質、ペプチドまたは自己抗体を検出し、特定し、および/または定量するために、診断アレイが使用されうる。該アレイは、基体上の複数の分離した既知領域を含むタンパク質または抗体被覆基体を含みうる。該アレイは、多孔性または非多孔性でありうる粒子、ナノ粒子、ビーズ、ナノビーズまたは他の固体表面を含むことが可能であり、様々なサイズを有しうる。1つの実施形態においては、診断アレイは蛍光粒子を含まない。もう1つの実施形態においては、診断アレイは蛍光粒子を含む。1つの実施形態においては、診断アレイは磁気粒子を含まない。もう1つの実施形態においては、診断アレイは磁気粒子を含む。
関連実施形態においては、本発明の結合剤は粒子、ナノ粒子、ビーズ、ナノビーズを含む。1つの実施形態においては、ナノ粒子、ビーズまたはナノビーズは蛍光標識されている。もう1つの実施形態においては、ナノ粒子、ビーズまたはナノビーズは磁気標識されている。もう1つの実施形態においては、ナノ粒子、ビーズまたはナノビーズは放射標識されている。更にもう1つの実施形態においては、ナノ粒子、ビーズまたはナノビーズはオリゴヌクレオチドまたは小分子で標識されている。
もう1つの実施形態においては、結合剤は、磁気に基づくタンパク質アッセイ成分および/またはナノタグを含む。そのような実施形態においては、磁気ナノタグの使用により生物学的サンプル中に存在するタンパク質またはペプチドを検出し、特定し、および/または定量するために、磁気多重タンパク質アッセイが使用される(Osterfeldら, “Multiplex Protein Assays Based on Real-Time Magnetic Nanotag Sensing”, PNAS, 105, 20637-20640 (2008年12月12日付けでオンライン公開))。例えば、診断アレイのためにMagArrayタンパク質チップが使用されうる。この実施形態においては、タンパク質またはペプチド検出は3段階で行われる。第1に、表面上のプローブがサンプル中のタンパク質またはペプチドに特異的に結合する。第2に、ナノタグ標識抗体が、該結合タンパク質またはペプチドに結合して、サンドイッチ様構造を形成する。第3に、該チップに外部磁場を加え、該ナノタグにより生成された浮遊磁場を電気的に測定して、サンプル中の標的分子の存在を判定する。
関連実施形態においては、本発明の結合剤はナノタグを含む。1つの実施形態においては、ナノタグは蛍光標識されている。もう1つの実施形態においては、ナノタグは磁気標識されている。もう1つの実施形態においては、ナノタグは放射標識されている。更にもう1つの実施形態においては、ナノタグはオリゴヌクレオチドまたは小分子で標識されている。
もう1つの実施形態においては、目的のタンパク質、ペプチドを測定するために、カルボキシルビーズセットが使用されうる。この場合、いずれかのタンパク質またはペプチドが安定なマイクロビーズ表面に共有結合され、ついで蛍光標識および蛍光強度測定されうる。イルミナ(Illumina)(Illumina Inc., Hayward, CA)によるベラコード技術(VeraCode Technology)は、標準的な96ウェルマイクロプレートにおける単一反応において、種々の組合せの48個までのイムノアッセイを行うことを可能にする。
更にもう1つの実施形態においては、電気化学発光ELISAによりタンパク質、ペプチドおよび自己抗体が測定されうる。Meso Scale Discovery(MSD, Gaithersburg, MD)による多重電気化学発光ELISAプラットフォームは、同じウェル内で数個までのアナライトを同時に測定する能力を有する特別設計可能なハイスループット多重ELISAである。
もう1つの実施形態においては、目的のタンパク質、ペプチドまたは自己抗体バイオマーカーの活性、結合、細胞内トランスロケーションまたは翻訳後プロセシングにおける相違を検出するために機能的タンパク質ベースのアッセイが用いられうる。そのようなアッセイには、競合結合アッセイ、ウエスタンブロット免疫ブロットアッセイ、リポソームイムノアッセイなどが含まれる。1つの特定の実施形態においては、単なる例示ではあるが、InvitrogenのProtoArray(登録商標)マイクロアレイのようなアッセイが、目的のタンパク質-タンパク質相互作用を検出するために使用されうる。このアレイは、PEEのリスクを有する疑いのある妊娠女性からの血清または尿のような生物学的サンプルをプロファイリングすることを可能にし、生物学的に関連のあるタンパク質キナーゼ基質、小分子結合相手、ユビキチンリガーゼ基質および抗体のタンパク質相互作用体を特定するために使用されうる。1つの実施形態においては、タンパク質の特性における相違を検出するためにスペクトルイメージングが用いられうる。
PEEタンパク質および/またはPEE自己抗体は、前記節に記載されている機能的パラメータを有する結合剤により検出されうる。他の実施形態においては、結合剤は、PEEタンパク質、ペプチドおよび/または自己抗体を定量するために使用されうる。これは、PEEの発症、PEEの発症リスクを予測するのに、PEEを診断するのに、またはPEE症状の重症度を決定するのに有用でありうる。
本明細書に開示されているPEEタンパク質および/またはPEE自己抗体を使用する1つの利点は、子癇前症の発症リスクの決定が高レベルの精度で行われうることである。精度は感度(正しく特定される子癇前症陽性患者の精度)および特異性(正しく特定される子癇前症陰性患者の精度)、すなわち、それぞれ陽性予測値(PPV)および陰性予測値(NPV)により表されうる。
本明細書において提供される実施形態においては、PEEの発症リスクを有する疑いのある妊娠女性に関する、PEEタンパク質および/またはPEE自己抗体あるいはペプチド/タンパク質および自己抗体の両方の組合せを使用したPEEの発症リスクの決定は、PEEの検出または予測に関して高精度である。本明細書において提供される実施形態においては、該方法は少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の精度を与える。更に、本明細書において提供される実施形態においては、該方法は、PEEの検出または予測に関して少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の精度を与える。
本明細書において提供される実施形態においては、PEEの発症リスクを有する疑いのある妊娠女性に関する、PEEタンパク質および/またはPEE自己抗体あるいはペプチド/タンパク質および自己抗体の両方の組合せを使用したPEEの発症リスクの決定は、PEEの検出または予測に関して高感度である。本明細書において提供される実施形態においては、該方法は少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の感度を与える。更に、本明細書において提供される実施形態においては、該方法は、PEEの検出または予測に関して少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の感度を与える。
更に、本明細書において提供される実施形態においては、PEEの発症リスクを有する疑いのある妊娠女性からのタンパク質、ペプチドおよび/または自己抗体バイオマーカーの分析は、PEEの検出または予測に関して高度に特異的である。本明細書において提供される実施形態においては、該方法は、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の特異性を与える。更に、本明細書において提供される実施形態においては、該方法は、PEEの検出または予測に関して少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の特異性を与える。
更に、本明細書において提供される実施形態においては、PEEの発症リスクを有する疑いのある妊娠女性からのタンパク質、ペプチドおよび/または自己抗体バイオマーカーの分析は、PEEの検出または予測に関する陽性予測値(PPV; 真の陽性/正しい診断である陽性試験結果の比率)を示す。本明細書において提供される実施形態においては、該方法はPEEの検出または予測に関して少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%のPPVを与える。また、本明細書において提供される実施形態においては、PEEの発症リスクを有する疑いのある妊娠女性からのバイオマーカーの分析は、PEEの検出または予測に関する陰性予測値(NPV; 正しく診断された、陰性試験結果を有する被験者の比率)を示す。本明細書において提供される実施形態においては、該方法はPEEの検出または予測に関して少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%のNPVを与える。
本明細書において提供される実施形態においては、PEEの発症リスクを有する疑いのある妊娠女性からのバイオマーカーの分析は、PEEの検出の確率の統計的測定値またはPEEの発症を予測する確率の統計的測定値である曲線下面積(AUC)を示す。本明細書において提供される実施形態においては、該方法はPEEの検出に関してまたはPEEの発症の予測に関して少なくとも0.80、少なくとも0.81、少なくとも0.82、少なくとも0.83、少なくとも0.84、少なくとも0.85、少なくとも0.86、少なくとも0.87、少なくとも0.88、少なくとも0.89、少なくとも0.90、少なくとも0.91、少なくとも0.92、少なくとも0.93、少なくとも0.94、少なくとも0.95、少なくとも0.96、少なくとも0.97、少なくとも0.98、少なくとも0.99および1.0のAUCを与える。
PEEの発症リスクを有する疑いのある妊娠女性からまたは健常妊娠女性から採取された生物学的サンプルの分析は、ただ1種に関する試験、1種以上、2種以上、3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、10種以上、11種以上、12種以上、13種以上、14種以上、15種以上、16種以上、17種以上、18種以上、19種以上、20種以上、21種以上、22種以上、23種以上、24種以上、25種以上のタンパク質、ペプチドおよび/または自己抗体、最大30種、40種、50種、60種、70種、80種、90種または100種の本明細書に開示されているPEEタンパク質、PEEペプチドおよび/またはPEE自己抗体の組合せに関する試験を含む。
1つの実施形態においては、PEEの発症リスクを有する疑いのある妊娠女性からのバイオマーカーの分析は、表1から選択される少なくとも1つのタンパク質の増加または減少を検出することを含む。そのような実施形態においては、PEEの発症リスクは、IGLC1、C8G、C2、APOA4、TF、SERPIND1、C1S、THBS1、APCS、CRP、IGFBP3、IGKC V-IV、ITIH1、CLU、APOC2、PROS1、PAPPA、AFM、VWF、PRG2、APOB、FCN3、C8A、IGHG1、CD14、IGHG3、HPX、IGHG1、IGHG1、CLEC3B、APOE、PSG9、CP、GSN、FN1、FBLN1、KRT86、A2M、APOB、F5、ITIH4、hCG、KRT31、APOL1、HP、MBL2、C4BPBおよび/またはF13Bのタンパク質濃度の変化を含みうる。もう1つの実施形態においては、PEEの発症リスクを有する疑いのある妊娠女性からのバイオマーカーの分析は、表2から選択される少なくとも1つのタンパク質における変化を含む。そのような実施形態においては、PEEの発症リスクはAPCS、THBS1、PRG2、ITIH4、GSN、HPX、F5および/またはTFのタンパク質濃度の変化を含みうる。
1つの実施形態においては、PEEの発症リスクを有する妊娠女性は、3種のタンパク質を使用して、高レベルの精度(例えば、少なくとも約90%、95%、99%または100%)で特定されうる。1つの実施形態においては、そのような3種のタンパク質は表1から選択される。もう1つの実施形態においては、任意の3種のタンパク質は、APCS、THBS1、PRG2、ITIH4、GSN、HPX、F5、TF、APOB、A2M、C4BPB、FN1、PAPPAおよびVWFからなる群から選択される。関連実施形態においては、3種のタンパク質の組合せは、表3に示されている組合せから選択される。
もう1つの実施形態においては、該分析は、表1に開示されている48種のPEEタンパク質のいずれか1種または(2種以上または3種以上の)組合せ、あるいは表2に開示されている8種のタンパク質のいずれか1種または(2種以上または3種以上の)組合せに関する試験を含みうる。表1の48種のPEEタンパク質の組合せは、健常妊娠からPEEの発症リスクを識別するためのタンパク質の最小セットを与えうる。表3は、妊娠女性におけるPEEの発症リスクを検出するために使用されうる3種のタンパク質の例示的な組合せを示す。これらの実施形態のいずれかにおいては、該試験は、所望により、本明細書に後記で更に詳細に開示されている1以上のPEE自己抗体と共に行われうる。
幾つかの実施形態においては、3種のタンパク質の最小セット(その実体は3種のタンパク質の組合せによって変動しうる)は、PEEの発症リスクを有する疑いのある女性の、正常妊娠を経る女性からの分離に関して、>0.96のAUCを示しうる。1つの実施形態においては、3種のタンパク質の任意の組合せは、APCS、THBS1、PRG2、ITIH4、GSN、HPX、F5、TF、APOB、A2M、C4BPB、FN1、PAPPAおよびVWFから選択されうる。例えば、3種のタンパク質の1つの組合せは、GSN、THBS1およびPRG2でありうる。他の実施形態においては、2種のタンパク質の最小セットが、PEEの発症リスクを有する疑いのある女性の、正常妊娠を経る女性からの分離に関して、>0.95のAUCを示しうる。例えば、2種のタンパク質の1つの組合せは、THBS1およびPRG2でありうる。
本明細書において提供される実施形態においては、PEEの発症リスクを有する疑いのある妊娠女性からのバイオマーカーの分析は、表4または表5から選択される少なくとも1つの自己抗体における変化(上昇または低下)を含む。表4は、PEEおよび健常妊娠間で異なって発現される75種のPEE自己抗体を示す。表5は、PEEおよび健常妊娠間で異なって発現される10種の自己抗体の1つの部分集合を示す。1つの実施形態においては、PEEの発症リスクは、RNF111、ACY3、GSTZ1、SCAMPI、KIAA1826、OSBPL1A、NDUFB2、JAK3、PI16、SCP2、SULT4A1、LOC283861、DLX1、KRT33B、PRKD2、BNIP1、U1snRNP68、KLHL29、PSPH、MEIS3、C16orf28、JUP、CTNNA3、CUEDC1、EMILIN1、CCDC53、UBE1DC1、JAK2、CD40、CAPZA2、DSN1、LOC284837、IGHA1、DACT3、CLIP3、TEC、PSMA1、SNURF、CSNK2A1、CSNK1Dまたはそれらの組合せに対する自己抗体の濃度の上昇を含む。もう1つの実施形態においては、PEEの発症リスクはAKT1、GAGE7B、SUGT1L1、SLC5A2、HMGB1、GPBP1L1、APEX1、RPS28、RPS10、RBMX、RPL39L、C18orf22、TSLP、GPR45、PIM1、RBMS3、IGLV2-14、CCL19、FGFR3、ANKHD1、ACP1、BEX5、GLO1、PIK3CG、MGC16075、PRC1、ZRANB2、HSPA5、CDK5、HOXC8、TNFSF13B、SUPT4H1、ORC6L、FKSG44またはそれらの組合せに対する自己抗体の濃度の低下を含む。1つの典型的な実施形態においては、PEEの発症リスクはグルタチオントランスフェラーゼゼータ1(マレイルアセトアセタートイソメラーゼ, GSTZ1)、スルホトランスフェラーゼファミリー4A, メンバー1(SULT4A1)、ジャンクション・プラコグロビン(JUP)、CUEドメイン含有1(CUEDC1)、仮想タンパク質LOC284837およびそれらの組合せに対する自己抗体の濃度の上昇を含む。もう1つの典型的な実施形態においては、PEEの発症リスクはカゼインキナーゼ1、デルタ(CSNK1D)、pim-1癌遺伝子(PIM1)、細胞質分裂のタンパク質調節因子1(PRC1)、ジンクフィンガー、RAN結合ドメイン含有2(ZRANB2)、サイクリン依存性キナーゼ5(CDK5)またはそれらの組合せに対する自己抗体の濃度の低下を含む。CSNK1D、CUEDC1およびZRANB2は、0.93の曲線下面積で93%の精度でPEEの検出を可能にする、3種の自己抗体の、1つの典型的なセットである。CSNK1D、SULT4A1およびジャンクション・プラコグロビンは、0.94の曲線下面積で94%の精度でPEEの検出を可能にする、3種の自己抗体の、もう1つの典型的なセットである。
他の実施形態においては、PEEの発症リスクを有する疑いのある妊娠女性の評価は、表1または2から選択される少なくとも1つのタンパク質における変化、表4または表5から選択される少なくとも1つの自己抗体における変化の組合せ、およびそれらの組合せ、例えば、タンパク質と自己抗体との組合せに関する試験を含む。
本発明のPEEタンパク質および/またはPEE抗体は、治療目的で子癇前症のリスクを有する妊娠女性の患者亜集団を特定するためにも使用されうる。幾つかの実施形態においては、この亜集団はPEEの症状の発症、進行または軽減に関してモニタリングされる。
幾つかの実施形態においては、この亜集団はPEEの症状の発現前または発現時にPEEに対して治療される。幾つかの実施形態においては、該治療は新生児の分娩である。他の実施形態においては、該治療は、血圧を低下させるための適当な抗高血圧薬、コルチコステロイドおよび/または抗痙攣薬を妊娠女性に投与することでありうる。他の実施形態においては、該治療は、妊娠母体の血圧を低下させるため、および/または胎盤への血流を増加させるための、妊娠女性の安静である。患者のこの亜集団は、彼らの安全および彼らの子供の安全を確保するために、全段階において、治療医師に公知の種々の生理的パラメータに関してモニタリングされうる。幾つかの場合には、治療が継続されるべきかどうかを決定するために、または治療が有効かどうかを調べるために、該モニタリングを行う。
したがって、本発明のPEEタンパク質および/またはPEE抗体ならびに本明細書に記載されている方法を用いて、当業者はPEEの発症リスクを決定することが可能であり、PEEの発症を判定し、PEEの進行をモニタリングし、PEEの軽減をモニタリングし、PEEに対して治療されるべき若しくはPEEに対して治療し続けられるべき患者の亜集団を特定し、妊娠女性におけるPEEに対する治療の有効性を評価し、および/またはPEEの症状に関してモニタリングされるべき患者の亜集団を特定することが可能である。
PEEの診断、検出または予測のためのキット
本発明は更に、PEEの診断、検出および予測のためのアッセイキットを提供する。キットは、妊娠女性からの生物学的サンプル中の、PEEに関与するタンパク質、ペプチドもしくは自己抗体またはタンパク質、ペプチドおよび自己抗体の組合せを検出するための試薬を含む。該試薬は本発明の結合剤を含みうる。該キットに存在する結合剤および試薬は標識されうる。それらは、例えば、蛍光標識、放射標識、免疫標識、磁気標識、小分子標識、DNAに基づく標識および/または当業者に公知のいずれかの標識で標識されうる。該キットは更に、生物学的サンプル中の目的のタンパク質、ペプチドまたは自己抗体バイオマーカー(またはそれらの組合せ)に特異的に結合しうる少なくとも結合剤を含有する1以上の固体表面を含む組成物を含む。該キットはまた、該アッセイの使用のための説明書を含む。1つの実施形態においては、結合剤はペプチドまたはタンパク質に結合しうる。もう1つの実施形態においては、結合剤は自己抗体に結合しうる。1つの特定の実施形態においては、該キットは、APCS、THBS1、PRG2、ITIH4、GSN、HPX、F5、TF、APOB、A2M、C4BPB、FN1、PAPPAおよびVWFから選択されるPEEタンパク質に対する結合剤を含む1以上の固体表面を含む組成物を含む。もう1つの特定の実施形態においては、該キットは、PEEタンパク質THBS1およびPRG2に対する結合剤を含む固体表面を含む組成物を含む。もう1つの特定の実施形態においては、該キットは、PEEタンパク質GSN、THBS1およびPRG2に対する結合剤を含む固体表面を含む組成物を含む。もう1つの特定の実施形態においては、該キットは、PEE自己抗体CSNK1D、CUEDC1およびZRANB2に対する結合剤を含む固体表面を含む組成物を含む。もう1つの特定の実施形態においては、該キットは、PEE自己抗体CSNK1D、SULT4A1およびジャンクション・プラコグロビンに対する結合剤を含む固体表面を含む組成物を含む。
PEEの診断、検出または予測のための組成物
本発明は、PEEタンパク質およびPEE自己抗体に特異的な結合剤を含む1以上の固体表面を含む組成物を提供する。ある実施形態においては、該固体表面は、少なくとも1種、1種以上、2種以上、3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、10種以上、11種以上、12種以上、13種以上、14種以上、15種以上、16種以上、17種以上、18種以上、19種以上、20種以上、21種以上、22種以上、23種以上、24種以上、25種以上のタンパク質、ペプチドおよび/または自己抗体、最大30種、40種、50種、60種、70種、80種、90種または100種のタンパク質、ペプチドおよび/または自己抗体に対する結合剤を含む。1つの実施形態においては、最大48種のPEEタンパク質および/またはペプチドをリスク評価のために測定する。もう1つの実施形態においては、結合剤は最大48種のPEEタンパク質および/またはペプチドに結合しうる。もう1つの実施形態においては、該固体表面は、PEEタンパク質、ペプチドおよび抗体の、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種またはそれ以上の組合せの任意の組合せに結合しうる結合剤を含みうる。もう1つの特定の実施形態においては、本発明は、APCS、THBS1、PRG2、ITIH4、GSN、HPX、F5、TF、APOB、A2M、C4BPB、FN1、PAPPAおよびVWFに対する結合剤を含む1以上の固体表面を含む組成物を提供する。もう1つの特定の実施形態においては、本発明は、PEEタンパク質THBS1およびPRG2に対する結合剤を含む固体表面を含む組成物を提供する。もう1つの特定の実施形態においては、本発明は、PEEタンパク質GSN、THBS1およびPRG2に対する結合剤を含む固体表面を含む組成物を提供する。もう1つの特定の実施形態においては、本発明は、PEE自己抗体CSNK1D、CUEDC1およびZRANB2に対する結合剤を含む固体表面を含む組成物を提供する。もう1つの特定の実施形態においては、本発明は、PEE自己抗体CSNK1D、SULT4A1およびジャンクション・プラコグロビンに対する結合剤を含む固体表面を含む組成物を提供する。
幾つかの実施形態においては、該固体表面は標識を含む。1つの実施形態においては、該標識は免疫標識、例えば、標識を含む1以上の抗体または自己抗体である。もう1つの実施形態においては、該標識は磁気標識である。もう1つの実施形態においては、該標識は蛍光標識である。
以下の実施例は例示目的で記載されている。これらは本発明の或る態様および実施形態を示すことが意図されるが、本発明を何ら限定しないことが意図される。
実施例1:質量分析に基づくプロテオミクスによる血清タンパク質バイオマーカーの特定
ProteoPrep20血漿免疫除去キット(Sigma-Aldrich、Cat.no PROT20)を使用して、健常およびPEE妊娠からの血清サンプルから20種の最も豊富な血清タンパク質を除去した。ついで各サンプルからの溶出液を標準的なトリプシン消化法でのトリプシン消化に付した。トリプシンにより生じたペプチドを、質量分析前に、0.2% ギ酸、2% アセトニトリルおよび97.8% 水を含有するバッファー中で再構成させた。用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、セルフパック(self-packed)の150 μM ID C18、15 cmカラムを有するEksigent nano2D(Eksigent)であった。エレクトロスプレー源は、LTQオービタルトラップ・ベロス(Orbitrap Velos)(Thermo Fisher)上で600 nL/分で作動するミクロム・アドバンス(Michrom Advance)であった。データ依存的にデータ取得を行い、最高の12個(Velos)の最も強力な荷電ペプチドイオンを電荷状態2+および3+のMS/MSフラグメンテーションのために選択した。ついで、セクエスト(Sequest)アルゴリズムでのソーサラー(Sorcerer)(SAGE-N)分析の前に、ミスコンバート・スクリプト(msconvert script)でデータをmzXML形式で抽出した。前駆体イオンに関しての50 ppmの質量ウィンドウを用いて、インターナショナル・プロテイン・インデックス(International Protein Index)(IPI)ヒトデータベースを検索した。Cys上のプロピオンアミドの静的(static)修飾ならびにMet酸化およびLysアセチル化の可変修飾が許容された。全ての検索結果を集め、スカフォールド(Scaffold)(Proteome Software)インターフェースに表示させた。これは、特定された各タンパク質に関する累積スペクトルカウントと共に、特定されたタンパク質をリストするものである。
タンパク質IDおよび対応するスペクトルカウントを、パーテック・ゲノミクス・スイート(Partek's Genomics Suite)(Partek Inc, St. Louis, MO)にアップロードし、それにより分析した。該データを分位点正規化およびそれに続く分散分析(ANOVA)に付して、PEEおよび健常妊娠間で異なって発現したタンパク質を特定した。図1および表1。0.05未満の偽発見率のp値で1.5を超える、または1.5未満の変化倍率を有するタンパク質を有意とみなし、予測モデルの構築に利用した。PEEの予測のための1つの頑強(ロウバスト)なモデルを以下の分類モデルから選択するために、パーテック・ゲノミクス・スイート(Partek Genomics Suite)を利用した:K-近傍、直近重心、判別分析、サポートベクターマシン、部分最小二乗、対角判別分析、ランダムフォレストおよびロジスティック回帰分析。複数のモデルは、僅か3つのタンパク質で、0.95〜1.0の曲線下面積(AUC)を有する受信者動作特性曲線(ROC)を与える。これらのモデルはいずれもPEEの診断に有用であり、僅か2つのタンパク質(例えば、THSB1およびPRG2)または3つのタンパク質(例えば、GSN、THBS1、PRG2)で0.9以上の感度、1.0(100%)の特異度、PPV 1.0(100%)、NPV 0.92(92%)を与える。表2は、健常妊娠女性と比較した場合に、PEEを有する妊娠女性において異なって発現される8種のタンパク質の1つのセットを示す。表3は、妊娠女性におけるPEEの発症リスクを検出するために使用されうる3つのタンパク質の例示的な組合せを示す。
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実施例2:高密度タンパク質マイクロアレイによる抗体ベースバイオマーカーの特定
抗原のパネルとの血清IgG相互作用を特定するために、ProtoArray(登録商標)ヒトタンパク質マイクロアレイV5(マイクロアレイ)(Invitrogen, Carlsbad, CA)を使用した。各マイクロアレイは、バキュロウイルス内で発現されたN末端GSTエピトープを有する重複してプリントされた9400個の別々のタンパク質抗原を含有し、細胞酵素活性/天然コンホメーションを維持する天然条件下でアフィニティ精製された。アルティメイト(Ultimate)ORFコレクション(Invitrogen, Carlsbad, CA)から各タンパク質を入手した。マイクロアレイを-80℃で保存し、使用前に、4℃で20分間平衡化した。マイクロアレイスライドを、4℃で1時間、4ウェルトレー内で穏やかに撹拌しながら、5.0 mLのブロッキングバッファー(100 mM リン酸ナトリウム pH 7.4, 200 mM NaCl, 0.08% Triton X-100, 25% グリセロール, 20 mM 還元型グルタチオン, 1.0 mM DTT, 1% ハマーシュタイン(Hammarstein)等級カゼイン)でブロッキングした。該ブロッキング工程の後、ブロッキングバッファーを吸引により除去し、PBSTバッファー(1×PBS, 1% ハマーシュタイン等級カゼイン, 0.1% Tween 20)中の5.0 mLの希釈血清(1:150)をプレート上に加えて、4℃で穏やかに撹拌しながら90分間インキュベートした。次工程において、血清サンプルを除去し、プレートを5.0 mLの新鮮なPBSTバッファーで5回洗浄した(1回の洗浄当たり穏やかに撹拌しながら5分間のインキュベーションを行った)。PBSTバッファー中で希釈された二次抗体(抗ヒト抗体-Alexa Fluor(登録商標)647コンジュゲート)5.0 mLを加え、プレートを、4℃で、穏やかに撹拌しながら90分間インキュベートした。該二次抗体溶液を吸引により除去した。ついでプレートを5.0 mLの新鮮なPBSTバッファーで5回洗浄した(1回の洗浄当たり穏やかに撹拌しながら5分間のインキュベーションを行った)。最後に、スライドを遠心分離により乾燥させ、Axon GenePix 4000Bスキャナー(Molecular Devices, Sunnyvale, CA)を使用してスキャンした。マイクロアレイ分析ソフトウェアGenePix pro 6.0(Molecular devices, Sunnyvale, CA)を使用することにより、データを取得した。スライドを600のPMTゲイン、100%のレーザー出力および0μmの焦点で635 nmでスキャンした。各タンパク質マイクロアレイのバーコードを提出することにより、Invitrogenウェブサイト(www.invitrogen.com/ProtoArray)のProtoArray中央ポータルから「.gal」ファイルを得た。Prospector Analyzer(登録商標)5.2(Invitrogen, Carlsbad, CA)を製造業者の説明書に従い使用して、.gprファイルからデータを抽出した。
健常およびPEE妊娠者の血清中の各自己抗体の存在量を表す相対蛍光単位をパーテック・ゲノミクス・スイート(Partek's Genomics Suite)(Partek Inc, St. Louis, MO)にアップロードし、それにより分析した。該データを分位点正規化およびそれに続く分散分析(ANOVA)に付して、PEEおよび健常妊娠間で異なって発現した自己抗体を特定した(表4〜5、図5〜7)。図5は、健常妊娠女性およびPEE妊娠女性からの血清サンプルにおいて異なって測定されることが判明した、<0.05のp値を伴う、75種のPEE自己抗体のANOVAによる主成分分析のグラフ表示である。このセットから、種々の組合せの自己抗体がPEEを正確に予測しうる。自己抗体に関する変化倍率が>2倍の閾値に設定された場合、以下の10種の自己抗体が、PEEを識別するための1つの例示的なセットとして特定される:CSNK1D、GSTZ1、CDK5、PIM1、ZRANB2、PRC1、CUEDC1、SULT4A1、LOC283861、ジャンクション・プラコグロビン。PEEの予測率を得るために、統計モデリングにより3種の自己抗体のセットが選択されうる。CSNK1D、CUEDC1およびZRANB2は、0.93のAUCでPEEの予測率を与える、3種の自己抗体の例示的なセットの1つである。3種の自己抗体のもう1つのセットであるCSNK1D、SULT4A1およびジャンクション・プラコグロビンはPEEに関して0.94のAUCを示す。
0.05未満の偽発見率のp値で2を超える変化倍率を示す自己抗体を有意とみなし、予測モデルの構築のために使用した。PEEの予測のための1つのロバストなモデルを以下の分類モデルから選択するために、パーテック・ゲノミクス・スイートを利用した:K-近傍、直近重心、判別分析、サポートベクターマシン、部分最小二乗、対角判別分析、ランダムフォレストおよびロジスティック回帰分析。複数のモデルは、僅か3つの自己抗体で、0.9以上のAUCを有するROCを与えた。これらのモデルの1以上はいずれもPEEの診断に使用されうる。
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実施例3:妊娠女性からのサンプルにおけるPEEの予測
妊娠13週以降に高血圧を示し、したがってPEEを有するまたは発症する疑いのあるす妊娠女性から、50ミリリットルの血液サンプルを採取する。血液を凝固させて血清を得る。ProteoPrep20血漿免疫除去キット(Sigma-Aldrich、Cat.no PROT20)を使用して、該血清サンプルから20種の最も豊富な血清タンパク質を除去する。
ついで、標準的なプロトコールを用いて、酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)を使用して、血清タンパク質を特定し、定量する。1つの実施形態においては、以下のタンパク質に特異的な抗体が該ELISAアッセイにおいて使用されうる:APCS、THBS1、PRG2、ITIH4、GSN、HPX、F5およびTF。
もう1つの代替的アッセイにおいては、スペクトルイメージャーを使用して、血清タンパク質を特定し、定量する。
更にもう1つのアッセイにおいては、MagArrayタンパク質チップを使用して血清タンパク質を特定し、定量する。MagArrayタンパク質チップの場合、表面上のプローブがサンプル中の血清タンパク質に特異的に結合する該チップ上に血清を適用する。第2に、目的のタンパク質に特異的なナノタグ標識抗体が、該プローブに結合した血清タンパク質に結合して、サンドイッチ様構造を形成する。第3に、該チップに外部磁場を加え、該ナノタグにより生成された浮遊磁場を電気的に測定して、目的のタンパク質のそれぞれの存在および量を決定する。1つの実施形態においては、以下の標的タンパク質に特異的な抗体がMagArrayアッセイにおいて使用されうる:APCS、THBS1、PRG2、ITIH4、GSN、HPX、F5およびTF。1つのアッセイ形態においては、前記一覧から3つの標的を検出および定量のために選択し、該アッセイにおいて使用して、サンドイッチ様構造を形成させる。そのような3つのタンパク質に関する結合データを定量する。該タンパク質の濃度を決定し、ほぼ同じ妊娠期間の健常妊娠女性の血清から採取された参照サンプル濃度値と比較する。
更にもう1つのアッセイにおいては、目的のタンパク質、ペプチドおよび自己抗体を測定するためにカルボキシルビーズセットが使用されうる。このアッセイにおいては、いずれかのタンパク質またはペプチドを高安定性マイクロビーズ表面に共有結合させ、ついで蛍光標識および蛍光強度測定を行うことができる。イルミナ(Illumina)(Illumina Inc., Hayward, CA)によるベラコード技術(VeraCode Technology)は、種々の組合せの48個までのイムノアッセイを標準的な96ウェルマイクロプレートにおける単一反応において行うことを可能にする。
更にもう1つの実施形態においては、電気化学発光ELISAによりタンパク質、ペプチドおよび自己抗体が測定されうる。Meso Scale Discovery(MSD, Gaithersburg, MD)による高感度多重電気化学発光ELISAプラットフォームは、同じウェル内で10個までのアナライトを同時に測定する能力を有する特別設計使用のためのハイスループット多重ELISAである。
PEEを有する疑いのある女性から採取された血清サンプル中の3つのタンパク質の濃度における、健常妊娠女性からの血清サンプル中のそれらのタンパク質のレベルと比較した場合のいずれかの変化(アップレギュレーションまたはダウンレギュレーション)は、PEEの診断の指標となる。ついでこの結果はその妊娠女性の医師に戻され、妊娠母体および成長中の胎児を保護するために適当な治療手段が採られうる。

Claims (89)

  1. 妊娠女性における子癇前症の発症リスクを検出するための方法であって、該方法は、
    a.該女性からの生物学的サンプルを結合剤と接触させ、
    b.該サンプル中に存在する少なくとも3種のPEEタンパク質への結合剤の結合を検出することを含み、ここで、前記少なくとも3種のPEEタンパク質は、表1に挙げられているタンパク質、表2に挙げられているタンパク質または表3におけるタンパク質の組合せから選択され、
    ここで、結合剤は10-12 M〜10-5MのKdでPEEタンパク質に結合し、該サンプル中のPEEタンパク質への結合剤の結合は、同じトリメスターにおける健常妊娠女性からの生物学的サンプル中のPEEタンパク質への結合剤の結合と比較して増大し、結合の増大は少なくとも80%の精度で子癇前症の発症リスクを示す、方法。
  2. 結合剤が更に、表1または表2から選択されるPEEタンパク質に結合する、請求項1記載の方法。
  3. 結合剤が、表1から選択されるPEEタンパク質に結合する、請求項1記載の方法。
  4. 結合剤が、表2から選択されるPEEタンパク質に結合する、請求項1記載の方法。
  5. 結合剤が48種以下のPEEタンパク質に結合する、請求項2記載の方法。
  6. 該女性が妊娠の第3トリメスターの女性である、請求項1記載の方法。
  7. 該女性が妊娠の第2トリメスターの女性である、請求項1記載の方法。
  8. 該女性が妊娠の第1トリメスターの女性である、請求項1記載の方法。
  9. 生物学的サンプルが非胎児母体サンプルである、請求項1記載の方法。
  10. 生物学的サンプルが尿、血液または胎盤組織である、請求項1記載の方法。
  11. 結合の増大が少なくとも90%の精度で子癇前症の発症リスクを示す、請求項1記載の方法。
  12. 結合の増大が少なくとも95%の精度で子癇前症の発症リスクを示す、請求項1記載の方法。
  13. 結合剤がPEEタンパク質GSN、THBS1およびPRG2に対する個々の抗体の混合物を含む、請求項1記載の方法。
  14. 結合剤が更に、該サンプル中に存在するPEE自己抗体に結合する、請求項1記載の方法。
  15. 結合剤が更に、表4または表5から選択されるPEE自己抗体に結合する、請求項14記載の方法。
  16. 結合剤がCSNK1D、CUEDC1およびZRANB2に対するPEE自己抗体に結合する、請求項14記載の方法。
  17. 結合剤がCSNK1D、SULT4A1およびジャンクション・プラコグロビン(Junction Plakoglobin)に対するPEE自己抗体に結合する、請求項14記載の方法。
  18. 結合剤が抗体を含む、請求項1記載の方法。
  19. 結合剤が核タンパク質を含む、請求項1記載の方法。
  20. 結合剤がペプチドを含む、請求項1記載の方法。
  21. 結合剤が蛍光標識を含む、請求項1記載の方法。
  22. 結合剤が標識抗体を含む、請求項1記載の方法。
  23. 結合がイムノアッセイにより実施される、請求項1記載の方法。
  24. イムノアッセイが酵素結合イムノソルベントアッセイである、請求項23記載の方法。
  25. イムノアッセイがビーズを含む、請求項23記載の方法。
  26. イムノアッセイが磁気粒子を含む、請求項23記載の方法。
  27. イムノアッセイが磁気粒子を含まない、請求項23記載の方法。
  28. 結合剤が、タンパク質結合部位を含む核タンパク質である、請求項1記載の方法。
  29. 方法が更に、子癇前症の発症を予測するため、子癇前症の進行をモニタリングするため、子癇前症の軽減をモニタリングするため、子癇前症に対する治療の有効性を評価するため、子癇前症に対して治療されるべき患者の亜集団を特定するため、または子癇前症の症状に関してモニタリングされるべき患者の亜集団を特定するために使用される、請求項1記載の方法。
  30. 妊娠女性における子癇前症の発症リスクを検出するための方法であって、該方法は、
    a.該女性からの生物学的サンプルを結合剤と接触させ、
    b.該サンプル中に存在するPEE自己抗体への結合剤の結合を検出することを含み、
    ここで、結合剤は10-12 M〜10-5MのKdでPEE自己抗体に結合し、該サンプル中のPEE自己抗体への結合剤の結合は、同じトリメスターにおける健常妊娠女性からの生物学的サンプル中のPEE自己抗体への結合剤の結合と比較して変化し、結合の変化は少なくとも80%の精度で子癇前症の発症リスクを示す、方法。
  31. PEE自己抗体が表4または表5から選択される、請求項30記載の方法。
  32. 結合剤がタンパク質を含む、請求項30記載の方法。
  33. 結合剤が、標識を含むタンパク質を含む、請求項32記載の方法。
  34. 標識が蛍光標識である、請求項33記載の方法。
  35. 結合剤がタンパク質アレイを含む、請求項30記載の方法。
  36. 該サンプル中のPEE自己抗体への結合剤の結合が、健常妊娠女性からの生物学的サンプル中の該自己抗体への結合剤の結合と比較して増大する、請求項30記載の方法。
  37. 該サンプル中のPEE自己抗体への結合剤の結合が、健常妊娠女性からの生物学的サンプル中の該自己抗体への結合剤の結合と比較して低減する、請求項30記載の方法。
  38. 結合剤がCSNK1D、CUEDC1およびZRANB2に対するPEE自己抗体に結合する、請求項30記載の方法。
  39. 結合剤がCSNK1D、SULT4A1およびジャンクション・プラコグロビンに対するPEE自己抗体に結合する、請求項30記載の方法。
  40. 結合剤が更に、表1または表2から選択されるPEEタンパク質に結合する、請求項30記載の方法。
  41. 結合剤が更に、GSN、THBS1およびPRG2から選択されるPEEタンパク質に結合する、請求項30記載の方法。
  42. 結合剤が48種以下のPEEタンパク質に結合する、請求項40記載の方法。
  43. 該女性が妊娠の第3トリメスターの女性である、請求項30記載の方法。
  44. 該女性が妊娠の第2トリメスターの女性である、請求項30記載の方法。
  45. 該女性が妊娠の第1トリメスターの女性である、請求項30記載の方法。
  46. 生物学的サンプルが非胎児母体サンプルである、請求項30記載の方法。
  47. 生物学的サンプルが尿、血液または胎盤組織である、請求項30記載の方法。
  48. 結合の増大が少なくとも90%の精度で子癇前症の発症リスクを示す、請求項30記載の方法。
  49. 結合の増大が少なくとも95%の精度で子癇前症の発症リスクを示す、請求項30記載の方法。
  50. 結合がイムノアッセイにより実施される、請求項30記載の方法。
  51. イムノアッセイが酵素結合イムノソルベントアッセイである、請求項50記載の方法。
  52. イムノアッセイがビーズを含む、請求項50記載の方法。
  53. イムノアッセイが磁気粒子を含む、請求項50記載の方法。
  54. イムノアッセイが磁気粒子を含まない、請求項50記載の方法。
  55. 該方法が更に、子癇前症の発症を予測するため、子癇前症の進行をモニタリングするため、子癇前症の軽減をモニタリングするため、子癇前症に対する治療の有効性を評価するため、子癇前症に対して治療されるべき患者の亜集団を特定するため、または子癇前症の症状に関してモニタリングされるべき患者の亜集団を特定するために使用される、請求項30記載の方法。
  56. 妊娠女性における子癇前症の発症リスクを検出するための方法であって、該方法は、
    a.該女性からの生物学的サンプルを結合剤と接触させ、
    b.該サンプル中に存在する少なくとも1つのPEEタンパク質および少なくとも1つのPEE自己抗体への結合剤の結合を検出することを含み、
    ここで、結合剤は10-12 M〜10-5MのKdで前記少なくとも1つのPEEタンパク質に結合し、結合剤は10-12 M〜10-5 MのKdで前記少なくとも1つのPEE自己抗体に結合し、該サンプル中の前記少なくとも1つのPEEタンパク質および前記少なくとも1つのPEE自己抗体への結合剤の結合は、同じトリメスターにおける健常妊娠女性からの生物学的サンプル中の前記少なくとも1つのPEEタンパク質および少なくとも1つのPEE自己抗体への結合剤の結合と比較して変化し、結合の変化は少なくとも80%の精度で子癇前症の発症リスクを示す、方法。
  57. 該自己抗体が表4または表5から選択される、請求項56記載の方法。
  58. 該サンプル中のPEE自己抗体への結合剤の結合が、健常妊娠女性からの生物学的サンプル中のPEE自己抗体への結合剤の結合と比較して増大する、請求項56記載の方法。
  59. 該サンプル中のPEE自己抗体への結合剤の結合が、健常妊娠女性からの生物学的サンプル中のPEE自己抗体への結合剤の結合と比較して低減する、請求項56記載の方法。
  60. 該タンパク質が表1または表2から選択される、請求項56記載の方法。
  61. 結合剤が更に、GSN、THBS1およびPRG2から選択されるPEEタンパク質に結合する、請求項56記載の方法。
  62. 結合剤が2種以上のPEEタンパク質に結合する、請求項56記載の方法。
  63. 結合剤が更に、PEEタンパク質GSN、THBS1およびPRG2に結合する、請求項62記載の方法。
  64. 結合剤が48種以下のPEEタンパク質に結合する、請求項62記載の方法。
  65. 結合剤が2種以上のPEE自己抗体に結合する、請求項56記載の方法。
  66. 結合剤がCSNK1D、CUEDC1およびZRANB2に対するPEE自己抗体に結合する、請求項65記載の方法
  67. 結合剤がCSNK1D、SULT4A1およびジャンクション・プラコグロビンに対するPEE自己抗体に結合する、請求項65記載の方法。
  68. 該女性が妊娠の第3トリメスターの女性である、請求項56記載の方法。
  69. 該女性が妊娠の第2トリメスターの女性である、請求項56記載の方法。
  70. 該女性が妊娠の第1トリメスターの女性である、請求項56記載の方法。
  71. 生物学的サンプルが非胎児母体サンプルである、請求項56記載の方法。
  72. 生物学的サンプルが尿、血液または胎盤組織である、請求項56記載の方法。
  73. 結合の増大が少なくとも90%の精度で子癇前症の発症リスクを示す、請求項56記載の方法。
  74. 結合の増大が少なくとも95%の精度で子癇前症の発症リスクを示す、請求項56記載の方法。
  75. 結合剤が標識抗体および標識タンパク質を含む、請求項56記載の方法。
  76. 標識が蛍光標識である、請求項56記載の方法。
  77. 結合がイムノアッセイにより実施される、請求項56記載の方法。
  78. イムノアッセイが酵素結合イムノソルベントアッセイである、請求項56記載の方法。
  79. イムノアッセイがビーズを含む、請求項77記載の方法。
  80. イムノアッセイが磁気粒子を含む、請求項77記載の方法。
  81. イムノアッセイが磁気粒子を含まない、請求項77記載の方法。
  82. 該方法が更に、子癇前症の発症を予測するため、子癇前症の進行をモニタリングするため、子癇前症の軽減をモニタリングするため、または子癇前症に対する治療の有効性を評価するために使用される、請求項56記載の方法。
  83. GSN、THBS1およびPRG2に対する結合剤を含む1以上の固体表面を含む組成物。
  84. CSNK1D、CUEDC1およびZRANB2 PEE自己抗体に対する結合剤を含む1以上の固体表面を含む組成物。
  85. CSNK1D、SULT4A1およびジャンクション・プラコグロビンPEE自己抗体に対する結合剤を含む1以上の固体表面を含む組成物。
  86. a.妊娠女性からの生物学的サンプル中のGSN、THBS1およびPRG2を検出するための試薬、
    b.GSN、THBS1およびPRG2に対する1以上の結合剤を含有する1以上の固体表面を含む組成物、および
    c.アッセイの使用のための説明書
    を含む診断アッセイキット。
  87. a.妊娠女性からの生物学的サンプル中のPEE自己抗体を検出するための試薬、
    b.PEE自己抗体に対する1以上の結合剤を含有する1以上の固体表面を含む組成物、および
    c.アッセイの使用のための説明書
    を含む診断アッセイキット。
  88. 該組成物が、CSNK1D、CUEDC1およびZRANB2 PEE自己抗体に結合しうる固体表面を含む、請求項87記載のキット。
  89. 該組成物が、CSNK1D、SULT4A1およびジャンクション・プラコグロビンPEE自己抗体に結合しうる固体表面を含む、請求項87記載のキット。
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