JP6691617B2 - 子癇前症の評価を提供するための方法及び組成物 - Google Patents

子癇前症の評価を提供するための方法及び組成物 Download PDF

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Description

本開示は、子癇前症の評価を提供するための方法及び組成物に関する。
子癇前症は、母親及び乳児に対する悪影響を与える、妊娠の重大なマルチシステム合併症である。障害の発生は、米国及び世界における全ての妊娠の約5〜8%であり、米国における全ての産婦死亡の18%に関与する。子癇前症の病因及び発症機構について、未だ解明されていなく、その診断が疾患過程において第三期に起こる非特異的実験室及び臨床徴候及び症状に依存するため、診断及び臨床管理の決定を困難にすることがある。より早く、より信頼性の高い疾患の診断、予測及び検出は、より適時的に且つ個人化された子癇前症治療を提供し、子癇前症の病因の理解を著しく進歩させる。
子癇前症マーカー、子癇前症マーカーパネル、及び検体の子癇前症マーカーレベル表示を取得するための方法を提供する。これらの組成物及び方法は、例えば、子癇前症の診断、子癇前症の予測、子癇前症を患う対象のモニタリング、及び子癇前症の治療の決定を含む、多くの用途において使用されている。また、本発明の方法を実施するためのシステム、装置及びキットを提供する。
本発明のいくつかの態様において、インヒビンβA(アクチビンA(Activin A))、エンドグリン(endoglin、ENG)、内皮細胞プロテインC受容体(EPCR)、可溶性fms様チロシンキナーゼ−1(sFlt−1)及び胎盤成長因子(PlGF)からなる群から選択される1つ以上の子癇前症マーカーを含む、子癇前症マーカーパネルを提供する。
本発明のいくつかの態様において、対象に対して子癇前症マーカーレベル表示を提供するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、当該方法は、対象からの血液検体中の子癇前症マーカーパネルを評価して、血液検体中のそれぞれの子癇前症マーカーのレベルを決定することと、前記パネルにおけるそれぞれの子癇前症マーカーのレベルに基づき、子癇前症マーカーレベル表示を取得することと、を含む。いくつかの実施形態では、前記パネルは、インヒビンβA(アクチビンA)を含む。いくつかの実施形態では、前記パネルは、インヒビンβA(アクチビンA)と胎盤成長因子(PlGF)を含む。いくつかの実施形態では、前記パネルは、エンドグリン(ENG)、内皮細胞プロテインC受容体(EPCR)、及び可溶性fms様チロシンキナーゼ−1(sFlt−1)からなる群から選択される1つ以上の子癇前症マーカーをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記パネルは、インヒビンβA、エンドグリン(ENG)、内皮細胞プロテインC受容体(EPCR)、可溶性fms様チロシンキナーゼ−1(sFlt−1)及び胎盤成長因子(PlGF)からなる群から選択される1つ以上の子癇前症マーカーを含む。いくつかの実施形態では、当該方法は、子癇前症マーカーレベル表示の報告を提供することをさらに含む。特定の実施形態では、子癇前症マーカー表示は、子癇前症スコアである。
本発明のいくつかの態様では、対象に対して子癇前症の評価を提供するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、前記子癇前症の評価は子癇前症の診断である。いくつかの実施形態では、当該方法は、例えば、前記のとおり又は本明細書のその他の箇所に記載するように対象からの検体における子癇前症マーカーレベル表示を取得し、且つ子癇前症マーカーレベル表示に基づいて対象に対して子癇前症の診断を提供することを含む。いくつかの実施形態では、当該方法は、子癇前症マーカーレベル表示を子癇前症表現型決定要素と比較し、且つ当該比較に基づいて対象に対して子癇前症の診断を提供することをさらに含む。いくつかの実施形態では、前記対象は、子癇前症の症状を有する。他の実施形態では、前記対象は、子癇前症に無症候性である。いくつかの実施形態では、対象は、子癇前症に関連する1つ以上のリスク因子を有する。他の実施形態では、前記対象は、子癇前症に関連する危険因子を有しない。いくつかの実施形態では、検体は妊娠の16週目以上で収集される。特定の実施形態では、検体は、妊娠の34週目以上で収集される。
一実施形態では、本開示の方法は、ADAM12及び/又はPAPPA2の発現レベルの測定を含まない。一実施形態では、当該方法は、FSTL3、APLN、LEP、INHA、PIK3CB、SLC2A1、CRH、HSD17B1、SIGLEC6、PVRL4、HEXB、IL1RAP、MFAP5、HTRA1、EBI3、HTRA4の発現レベルの測定を含まない。
一実施形態では、当該方法は、ADAM12の発現レベルの測定を含まない。一実施形態では、当該方法は、PAPPA2の発現レベルの測定を含まない。
一実施形態では、当該方法はFSTL3の発現レベルの測定を含まない。一実施形態では、当該方法は、APLNの発現レベルの測定を含まない。一実施形態では、当該方法は、LEPの発現レベルの測定を含まない。一実施形態では、当該方法は、INHAの発現レベルの測定を含まない。一実施形態では、当該方法は、PIK3CBの発現レベルの測定を含まない。一実施形態では、当該方法は、SLC2A1の発現レベルの測定を含まない。一実施形態では、当該方法は、CRHの発現レベルの測定を含まない。一実施形態では、当該方法は、HSD17B1の発現レベルの測定を含まない。一実施形態では、当該方法は、SIGLEC6の発現レベルの測定を含まない。一実施形態では、当該方法はPVRL4の発現レベルの測定を含まない。一実施形態では、当該方法は、HEXBの発現レベルの測定を含まない。一実施形態では、当該方法は、IL1RAPの発現レベルの測定を含まない。一実施形態では、当該方法は、MFAP5の発現レベルの測定を含まない。一実施形態では、これらの方法は、HTRA1の発現レベルの測定を含まない。一実施形態では、当該方法は、EBI3の発現レベルの測定を含まない。一実施形態では、当該方法はHTRA4の発現レベルの測定を含まない。
前記方法は、子癇前症の履歴、肥満、2年未満又は10年以上の出産間隔を有し、或いは40歳超え、慢性高血圧、偏頭痛、I型又はII型糖尿病、腎疾患、血栓発症傾向、又は狼瘡を含む特定の疾患の履歴を有する妊婦のような、特定の妊婦に特に適している。
子癇前症の診断が決定されると、女性は子癇前症の改善に寄与する処置を受けることができる。このような手順の例としては、血圧低下薬物、コルチコステロイドの使用、硫酸マグネシウムのような抗痙攣薬、ベッドでの安静、及び妊娠37週目又はそれ以降に診断される場合に分娩を考慮することを含むが、これらに限定することがない。
本発明のいくつかの態様では、インヒビンβA(アクチビンA)を含む、子癇前症マーカーパネルを提供する。いくつかの実施形態では、当該子癇前症マーカーパネルは、インヒビンβA(アクチビンA)と胎盤成長因子(PlGF)を含む。いくつかの実施形態では、当該子癇前症マーカーパネルは、インヒビンβA(アクチビンA)と胎盤成長因子(PlGF)からなる。
本発明のいくつかの態様では、検体に対する子癇前症の評価を行うためのキットを提供する。いくつかの実施形態では、子癇前症の評価は、子癇前症の診断である。いくつかの実施形態では、キットは、検体における、インヒビンβA(アクチビンA)を含む子癇前症マーカーパネル中のそれぞれのマーカーの量を測定するための1つ以上の検出要素を含む。いくつかの実施形態では、キットは、検体における、インヒビンβA(アクチビンA)と胎盤成長因子(PlGF)を含む子癇前症マーカーパネル中のそれぞれのマーカーの量を測定するための1つ以上の検出要素を含む。いくつかの実施形態では、キットは、検体における、エンドグリン(ENG)、内皮細胞プロテインC受容体(EPCR)、及び可溶性fms様チロシンキナーゼ−1(sFlt−1)からなる群から選択される1つ以上のマーカーをさらに含む子癇前症マーカーパネル中のそれぞれのマーカーの量を測定するための1つ以上の検出要素を含む。いくつかの実施形態では、キットは、さらに子癇前表現型決定要素を含む。いくつかの実施形態では、キットは、検体における、インヒビンβA(アクチビンA)、エンドグリン(ENG)、内皮細胞プロテインC受容体(EPCR)、可溶性fms様チロシンキナーゼ−1(sFlt−1)及び胎盤成長因子(PlGF)からなる群から選択される1つ以上のマーカーを含む子癇前症マーカーパネル中のマーカーの量を測定するための1つ以上の検出要素を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の検出要素は、検体中のマーカーポリペプチドのレベルを検出する。
本発明のいくつかの態様では、上記のようなキットの検体に対する子癇前症の評価を行うための組成物の製造における使用を提供する。前記子癇前症の評価は、例えば、対象の子癇前症を診断、予測、モニタリング及び/又は治療することを含む。
本発明は、添付図面を参照して以下の詳細な説明から最もよく理解される。本特許又は特許出願書類には、少なくとも1つのカラー図面を含む。カラー図面を有する本特許又は特許出願公報の写しは、請求及び必要な料金の納付後に、関連の特許局により提供される。なお、一般的な慣行によれば、図面の様々な特徴は、比例的ではない。逆に、明確にするために、様々な特徴の寸法は、任意に拡大又は縮小される。図面には、以下の図面が含まれる。
マルチオミックスに基づくPEバイオマーカーの発見と検証に関する研究概要を示す図である。 メタ解析、タンパク質アトラス解析、及びヒトオルトログ解析の組み合わせを用いたPEバイオマーカーの同定を示す図である。 PEバイオマーカー(PEと対照)の発現比較解析を示す図である。フォレストプロットは、胎盤mRNA発現のメタ解析の結果と、異なる第一期及び第三期妊娠齢週における母体血清分析物の存在量の定量化をまとめる。ラインプロットは95%の信頼区間を表す。 PE及び対照群において、血液検体採取が異なる妊娠齢週で行われる場合のアクチビンAのバイオマーカー分布のボックスプロット表示及びプロット図である。水平ボックス境界及び中線は、検体四分位を示す。 血液検体採取の妊娠齢週(上図)、分娩の妊娠齢週(下図)及びその間の間隔(中間図)に対する、アクチビンAのバイオマーカー分布の関数のプロット図である。 PE及び対照群において、血液検体採取が異なる妊娠齢週で行われる場合のENGのバイオマーカー分布のボックスプロット表示及びプロット図である。水平ボックス境界及び中線は、検体四分位を示す。 血液検体採取の妊娠齢週(上図)、分娩の妊娠齢週(下図)及びその間の間隔(中間図)に対する、ENGのバイオマーカー分布の関数のプロット図である。 PE及び対照群において、血液検体採取が異なる妊娠齢週で行われる場合のEPCRのバイオマーカー分布のボックスプロット表示及びプロット図である。水平ボックス境界及び中線は、検体四分位を示す。 血液検体採取の妊娠齢週(上図)、分娩の妊娠齢週(下図)及びその間の間隔(中間図)に対する、EPCRのバイオマーカー分布の関数のプロット図である。 PE及び対照群において、血液検体採取が異なる妊娠齢週で行われる場合のPlGFのバイオマーカー分布のボックスプロット表示及びプロット図である。水平ボックス境界及び中線は、検体四分位を示す。 血液検体採取の妊娠齢週(上図)、分娩の妊娠齢週(下図)及びその間の間隔(中間図)に対する、PlGFのバイオマーカー分布の関数のプロット図である。 PE及び対照群において、血液検体採取が異なる妊娠齢週で行われる場合のsFlt−1のバイオマーカー分布のボックスプロット表示及びプロット図である。水平ボックス境界及び中線は、検体四分位を示す。 血液検体採取の妊娠齢週(上図)、分娩の妊娠齢週(下図)及びその間の間隔(中間図)に対する、sFlt−1のバイオマーカー分布の関数のプロット図である。 バイオマーカーパネルスコアと血液検体採取の時の妊娠齢週との関数をプロットした図である。*フィッティングLoess曲線は、妊娠齢週の関数としてのバイオマーカースコアの全体的な傾向を表す。 A:バイオマーカーパネルスコア(上図)及び関連するROC曲線(下図)と、血液検体採取の時の妊娠齢週との関数をプロットした図である。スコアは、(A)合計5つ検証済みのバイオマーカーパネルと妊娠齢週で、及び(B)合計5つ検証済みのバイオマーカーパネルで開発されたランダムフォレストアルゴリズムによって生成される。
子癇前症マーカー、子癇前症マーカーパネル、及び検体の子癇前症マーカーレベル表示を取得するための方法を提供する。これらの組成物及び方法は、例えば、子癇前症の診断、子癇前症の予測、子癇前症を患う対象のモニタリング、及び子癇前症の治療の決定を含む、多くの用途において使用されている。また、本発明の方法を実施するためのシステム、装置及びキットを提供する。本発明のこれら及び他の目的、利点、及び特徴は、以下のより詳細に説明される組成物及び方法の詳細を読めば、当業者にとって明らかになる。
本発明の方法及び組成物を説明する前に、本発明は、明らかに変更することができるため、記載される特定の方法又は組成物に限定されないことを理解すべきである。また、本明細書で使用される用語は、本発明の範囲が添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、特定の実施形態のみを説明する目的として用いられ、限定することを意図するものではない。
一連の値を提供する場合、特に規定しない限り、当該範囲における上限と下限との間のそれぞれの中間値は、下限の単位の10分の1までに、具体的に公開されるように理解される。前記範囲におけるいずれの所定値又は中間値、及び前記範囲におけるいずれの所定値又は中間値の間のそれぞれの比較的小さい範囲も、本発明に含まれる。これらの比較的小さい範囲の上限と下限は、独立して当該範囲に含まれても含まなくてもよい。前記上限と下限のいずれか一方を含む、いずれも含まない、又は両方を含む前記比較的小さい範囲も、本発明に含まれる。前記範囲からいずれの具体的な限界を排除してもよい。前記範囲が前記上限と下限の一方又は両方を含む場合、前記含まれる上限と下限の一方又は両方を排除した範囲も、本発明に含まれる。
特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるような意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと類似又は同等の任意の方法及び材料を本発明の実施又は試験において使用することができるが、ここで、いくつかの可能な及び好ましい方法及び材料が説明される。本明細書に記載された全ての刊行物は、刊行物が引用される方法及び/又は材料を開示し記載するように、本明細書に参照として取り込まれる。なお、矛盾が存在する限り、本開示は、取り込まれた刊行物のいずれかの開示を置換することが理解される。
本開示を読む当業者に明らかとなるように、本明細書に記載及び列挙された個々の実施形態の各々は、本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴と容易に分離する又は組み合わせることができる、別個の成分と特徴を有する。列挙された方法は、記載の事件の順序で、又は論理的に可能な任意の他の順序で実行することができる。
なお、本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるように、単数形である「一」、「一つ/一種」及び「当該/前記」は、特に説明しない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「一つの細胞」を提示する場合、複数のそのような細胞を含み、及び、「当該ペプチド」を提示する場合、当業者に知られるポリペプチドなどのような一つ以上のペプチド及びその等価物を提示することを含む。
本明細書に記載された刊行物は、本出願の出願日以前の開示のためにのみ提供される。本明細書におけるいずれの内容は、本発明が先行発明のためにそのような出版物に先行する権利がないことを容認するものとして解釈すべきではない。また、提供される公開日は、実際の公開日と異なる可能性があるため、独立して確認する必要がある。
以上で簡単に説明するように、本発明のそれぞれの態様は、対象の子癇前症を診断、予測、モニタリング及び/又は治療するように、子癇前症の評価を提供するための方法、組成物、システム及びキットを含む。「子癇前症」又は「前子癇」とは、高血圧、タンパク尿、手と顔/目の腫れ(浮腫)、急激な体重増加、正常よりも高い肝臓酵素、及び血小板減少症のうち1つ以上の症状を伴い得る妊娠のマルチシステム合併症を意味する。子癇前症は、一般的に第三期妊娠に発症するが、重度の場合に、例えば妊娠の約22週目以降のような第二期妊娠に発症することがある。解決されない場合、子癇前症は、子癇、すなわち、既存の脳状態に関連しない痙攣を引き起こす可能性がある。子癇前症を「診断する」又は「子癇前症診断を提供する」とは、一般に、子癇前症の判定を提供することを意味し、例えば、対象(例えば、子癇前症の臨床症状を有する対象、子癇前症の症状がないが子癇前症に関連するリスク因子を有する対象、子癇前症の症状がなく且つ子癇前症に関連する危険因子を有しない対象)が子癇前症の影響を受けているかについての判定、対象の子癇前症の疾患又は障害のサブタイプへの分類、子癇前症の重症度の判定などがある。子癇前症を「予測する」又は「子癇前症予測を提供する」とは、一般に、子癇前症の予測を提供することを意味し、例えば、対象が子癇前症に発展する感受性又はリスクの予測、疾患の進行及び/又は疾患の結果の予測(例えば、子癇前症の発症の予測、子癇前症の持続時間の予測、子癇前症が子癇に発展するかについての予測など)、対象の子癇前症治療に対する応答性の予測(例えば、陽性応答、陰性応答、全く応答なし)などがある。子癇前症を「モニタリングする」とは、一般に、対象の状況をモニタリングすることを意味し、例えば、子癇前症診断の知らせ、子癇前症予測の知らせ、子癇前症の治療効果や有効性に関する情報の提供などがある。子癇前症を「治療する」とは、哺乳類に医薬を提供し、又は子癇前症に対するいずれかの治療を提供することを意味し、(a)子癇前症を患う傾向があるが未だ診断されていない対象に子癇前症の発症を防止すること、(b)子癇前症を抑制し、すなわち進行を阻害すること、又は(c)子癇前症を寛解し、即ち、子癇前症の復帰を引き起こすことを含む。
本発明を説明する際に、まず、子癇前症の評価の提供に有用な組成物を説明し、さらに、それらの使用方法、システム及びキットを説明する。
子癇前症マーカー及びパネル
本発明のいくつかの態様において、子癇前症マーカー及び子癇前症マーカーパネルを提供する。「子癇前症マーカー」とは、検体中の表示が子癇前症表現型に関連する分子実体を意味する。例えば、子癇前症マーカーは、健常個体と比較して、子癇前症を発症する又は発症した個体由来の検体において、示差的に表示されてもよく、すなわち、異なるレベルで表されてもよい。いくつかの例では、マーカーのレベル向上は、子癇前症表現型と関連する。例えば、子癇前表現型に関連する検体において、検体中のマーカーの濃度は、子癇前症表現型に関連しない検体の1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、4倍、5倍、7.5倍、10倍、又はそれ以上であってもよい。他の例では、マーカーのレベル低下は、子癇前症表現型と関連している。例えば、子癇前表現型に関連する検体において、検体中のマーカーの濃度は、子癇前症表現型に関連しない検体よりも10%、20%、30%、40%、50%又はそれ以上低下することができる。
子癇前症マーカーは、子癇前症に関連するタンパク質、及びそれらに対応する遺伝子配列であるmRNA、DNAなどを含むことができる。「遺伝子」又は「組み換え遺伝子」とは、タンパク質をコードするオープンリーディングフレームを含む核酸を意味する。
コード配列の境界は、5’(アミノ基)末端の開始コドン及び3’(カルボキシ基)末端の翻訳終止コドンによって決定される。転写終結配列は、コード配列の3’末端にあってもよい。また、遺伝子は、天然のプロモーター(即ち、非組換え細胞(即ち、天然に存在する細胞)において、遺伝子のエキソンとイントロンが作動可能に連結されているプロモーター)及び関連する調節配列を任意に含んでもよく、AUG開始部位の上流にある配列を有しても有しなくてもよく、非翻訳のリーダー配列、シグナル配列、下流の非翻訳配列、転写開始及び停止配列、ポリアデニル化シグナル、翻訳開始及び停止配列、リボソーム結合部位などを含んでも含まなくてもよい。
本開示の実施例に示されるように、本発明者らは、子癇前症に関連するいくつかの分子実体を同定し、且つそれらは、子癇前症の診断、子癇前症の予測、子癇前症を患う対象のモニタリング、子癇前症を患う対象への治療の決定などのような子癇前症の評価を提供するように、組み合わせて(即ち、パネルとして)用いられる。これらは、インヒビンβA(アクチビンA、Genbankアクセッション番号NM_002192)、エンドグリン(ENG、Genbankアクセッション番号NM_000118、NM_001114753、NM_001278138)、内皮細胞プロテインC受容体(EPCR,Genbankアクセッション番号NM_006404)、胎盤成長因子(PlGF,Genbankアクセッション番号NM_001207012、NM_002632、NM_001293643)、及び可溶性fms様チロシンキナーゼ−1(sFlt−1,Genbankアクセッション番号NM_001160030、NM_001160031、NM_002019、NM_001159920)を含むが、これらに限定するものではない。
上記のように、本明細書では、子癇前症パネルも提供される。子癇前症マーカーの「パネル」とは、2つ以上の子癇前症マーカーを意味し、例えば3つ以上、4つ以上、又は5つ以上のマーカーである。組み合わせて考慮される場合、そのレベルは、例えば、子癇前症の診断、予測、監視及び/又は治療を行う、子癇前症の評価の提供に用いられる。特に関心するのは、子癇前症マーカーであるアクチビンA、ENF、EPCR及びPlGFを含むパネルである。例えば、いくつかの実施形態では、子癇前症パネルは、アクチビンA、PlGF、及びENGとEPCRのうちの1つ以上を含むことができる。例えば、前記子癇前症パネルは、アクチビンA及びPlGFを含むことができ、アクチビンA、ENG及びPlGFを含むことができ、アクチビンA、EPCR及びPlGFを含むことができ、又は、アクチビンA、ENG、EPCR及びPlGFを含むことができる。
いくつかの例では、当該技術分野で公知の他の子癇前症マーカーは、対象の子癇前症パネルに含まれることができ、例えば、可溶性血管内皮成長因子/血管透過率因子受容体(VEGF−R1、FMS様チロシンキナーゼ1又はsFlt−1ともいう、Genbankアクセッション番号NM001159920.1(異性体2)、NM001160030.1(異性体3)とNM001160031.1(異性体4))、及び胎盤成長因子(PlGF、Genbankアクセッション番号NM_002632.5(異性体1)とNM001207012.1(異性体2))(Verlohrenら、(2010) Amer Journal of Obstetrics and Gynecology 161: e1 -e11)がある。したがって、例えば、子癇前症パネルは、sFlt−1、PlGF、及びアクチビンA、ENGとEPCRのうちの1つ以上とを含むことができる。例えば、前記子癇前症パネルは、sFlt−1及びPlGFを含むことができ、sFlt−1、アクチビンA及びPlGFを含むことができ、sFlt−1、アクチビンA、ENG及びPlGFを含むことができ、sFlt−1、アクチビンA、EPCR及びPlGFを含むことができ、sFlt−1、ENG及びPlGFを含むことができ、sFlt−1、EPCR及びPlGFを含むことができ、sFlt−1、ENG、EPCR及びPlGFを含むことができ、又はsFlt−1、アクチビンA、ENG、EPCR及びPlGFを含むことができる。
本発明の方法で子癇前症パネルとして使用される子癇前症マーカーの他の組み合わせは、例えば、当該技術分野で公知であるか又は本明細書の実施例に記載されているような方法のような、任意の適宜な統計的方法を用いて当業者によって容易に同定されることができる。例えば、分析物のパネルは、遺伝的アルゴリズム(GA)と、全部ペアリングされた(AP)サポートベクトルマシン(SVM)メソッドとを組み合わせることにより選択して、子癇前症の分類解析に用いられる。予測的特徴は、例えば、非常にコンパクトな非冗長性子癇前症関連分析物を生成し、最適な分類性能を有する反復GA/SVMにより自動的に決定される。異なる分類器セットは、一般的に適度な重複遺伝子特徴のみを有するが、上記及び本明細書の実施例において子癇前症の評価を提供する際に、同様のレベルの精度を有する。
方法
本発明のいくつかの態様では、対象の子癇前症マーカーレベル表示を取得するための方法を提供する。子癇前症マーカーレベル表示とは、対象からの生物学的検体における子癇前症マーカー(例えば、子癇前症マーカーパネル)のうち1つ以上のレベルの表示を意味する。「生物学的検体」という用語は、生体から得られる様々な検体タイプを含み、診断、予測、又はモニタリング解析に用いられる。当該用語は、生物由来の血液及び他の液体検体、又はそれに由来する細胞及びその子孫を含む。当該用語は、例えば、特定の成分を試薬処理、可溶化、又は濃縮するように、取得後にいずれの方式で操作された検体を含む。当該用語は、臨床検体を含み、細胞上清、細胞溶解物、血清、血漿、生物学的流体、及び組織検体も含む。本発明の方法に用いられる臨床検体は、種々の供給源、特に血液検体から得ることができる。
特に関心な検体源は、血液検体又はその製剤(例えば、全血)、又は血清もしくは血漿、及び尿を含む。約2μl〜約2,000μlの血液、血清、又は尿の検体容積は、子癇前症遺伝子産物のレベルの決定に十分である。一般的に、検体容積は、約10μl〜約1,750μl、約20μl〜約1,500μl、約40μl〜約1,250μl、約60μl〜約1,000μl、約100μl〜約900μl、約200μl〜約800μl、約400μl〜約600μlである。複数の実施形態では、ヒト検体の適切な初期供給源は、血液検体である。そのため、本発明の検定において用いられる検体は、一般的に血液由来の検体である。血液由来の検体は、全血又はその一部、例えば、血清や血漿などから由来することができ、いくつかの実施形態では、検体は、血液由来であり、凝固が許容され、血清が分離及び回収されて測定に使用される。
いくつかの実施形態では、検体が血清又は血清由来の検体である。流体血清検体を生成するためのいずれの簡便な方法を用いることができる。複数の実施形態では、当該方法は、静脈血を皮膚穿刺(例えば、フィンガー・スティック、静脈穿刺)によって凝固又は血清分離管に抽出され、血液を凝固させ、凝固した血液から血清を分離するように遠心することを採用する。その後、血清を回収し、測定まで保存する。患者由来の検体を得ると、子癇前症マーカーのレベルを決定するように、検体を測定する。
対象検体は、一般的には、妊娠の第二期又は第三期において個体から取得する。「妊娠」とは、哺乳類における妊娠の持続的期間を意味し、即ち、受精から出生までの時間間隔に2週間を加えたものである最後の月経期間の1日目から算出したものである。第二期妊娠又は第三期妊娠とは、妊娠の第二又は第三の部分を意味し、各期が3ヶ月である。したがって、例えば、「第一期妊娠」とは、最後の月経の1日目から妊娠13週目までを意味し、「第二期妊娠」とは、妊娠14週目から27週目までを意味し、「第三期妊娠」とは、妊娠28週目から出生まで、即ち、妊娠38〜42週目を意味する。言い換えると、対象検体は、妊娠約14週目から42週目まで、妊娠約18週目から42週目まで、妊娠約20週目から42週目まで、妊娠約24週目から42週目まで、妊娠約30週目から42週目まで、妊娠約34週目から42週目まで、妊娠約38週目から42週目までのような時期において、取得されることができる。したがって、いくつかの実施形態では、対象検体は、第一期妊娠、例えば、妊娠14週目又はそれ以降、例えば、妊娠14週目、15週目、16週目、17週目、18週目、19週目、20週目、21週目、22週目又は23週目又はそれ以降、より一般的に妊娠24週目、25週目、26週目、27週目、28週目、29週目、30週目、31週目、32週目又は33週目又はそれ以降において、取得されることができる。いくつかの実施形態では、対象検体は、第三期妊娠、例えば、妊娠34週目の際に又はそれ以降、例えば、35週目、36週目、37週目、38週目、39週目、40週目又は41週目において、取得されることができる。
一度検体を得ると、そのまま使用しても、凍結されても、適切な培養培地中で短時間に維持されてもよい。ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、齧歯類(例えば、マウス、ラット、ハムスター)、霊長類などのような動物モデルを用いることができるが、一般的に、当該検体はヒト患者由来のものである。本発明の方法において、子癇前症を患う患者において本明細書に開示された1つ以上の子癇前症マーカーの示差的表示を証明した任意の適宜な組織検体を評価することができる。一般的に、適切な検体源は、関心のある分子実体(即ち、RNA転写物又はタンパク質)が放出された流体に由来する。
対象検体は、1つ以上の子癇前症マーカーの検出を増強するために、様々な方法で処理することができる。例えば、検体が血液である場合、測定の前に赤血球を検体から除去(例えば、遠心分離によって)してもよい。このような処理は、親和性試薬を用いて子癇前症マーカーのレベルを検出する場合の非特異的バックグラウンドレベルを低下させるために使用されてもよい。当分野で周知の方法(例えば、酸沈殿、アルコール沈殿、塩沈殿、疎水性沈殿、濾過(30kDより大きい分子を保持できるフィルター、例えばCentrim30(商標)を使用する)、親和性精製)により検体を濃縮させ、子癇前症マーカーの検出を増強することもできる。いくつかの実施形態では、被験検体及び対照検体のpHは、中性に近いpH(即ち、pH6.5〜8.0)に調整され、維持される。そのようなpH調整は、複合体形成を阻止し、それにより、検体におけるマーカーのレベルのより正確な定量を提供する。検体が尿である実施形態では、マーカーの検出を増強するために、検体のpHを調整し、検体を濃縮する。
本発明の方法を実施する際に、個体からの生物学的検体中の子癇前症マーカーのレベルを評価する。本発明の検体中の1つ以上の子癇前症マーカーのレベルは、任意の簡便な方法によって評価されることができる。例えば、1種以上の子癇前症遺伝子の1つ以上の核酸転写物(例えば、mRNA)のレベル/量を測定することによって、子癇前症遺伝子発現レベルを検出することができる。1つ以上のタンパク質/ポリペプチドのレベル/量を測定することによって、タンパク質マーカーを検出することができる。用語「評価」、「測定」、「計測」、「評価」、及び「決定」は、互換的に使用され、要素が存在するかどうかを決定すること、及び定量的及び定性的に測定することを含む任意の形態の測定を意味する。評価は、相対的でも絶対的でもよい。
例えば、検体中で1つ以上のタンパク質/ポリペプチド又はそのフラグメントの量又はレベルを検出し、到達タンパク質レベルで表示することにより、少なくとも1つの子癇前症マーカーのレベルを評価することができる。本願で使用される用語「タンパク/タンパク質」及び「ポリペプチド」は互換可能である。「ポリペプチド」とは、アミノ酸の重合体(アミノ酸配列)を意味し、分子の特定の長さを意味しない。したがって、ペプチド及びオリゴペプチドは、ポリペプチドの定義内に含まれる。この用語は、さらに、グリコシル化ポリペプチド、アセチル化ポリペプチド、リン酸化ポリペプチドなどのような翻訳後修飾ポリペプチドを意味するか、又はそれを含む。この定義には、例えば、アミノ酸の1種類又は複数種のアミノ酸アナログを含むポリペプチド、置換結合を有するポリペプチド、並びに当技術分野で知られている天然に存在する及び天然に存在しない他の修飾が含まれる。
タンパク質レベルを検出する場合、検定された検体における1種類又は複数種のタンパク質のレベルが決定される、タンパク質レベルを評価するための任意の簡便なプロトコルを使用することができる。例えば、タンパク質レベルを検定するための代表的で便利なタイプのプロトコルの1つは、ELISAである。ELISA及びELISAに基づく検定では、目的のタンパク質に特異的な1種類又は複数種の抗体を、選択された固体表面、好ましくはポリスチレンマイクロタイタープレートのウェルのようなタンパク質親和性を示す表面に固定化することができる。不完全に吸着された物質を除去するように洗浄した後、検定プレートウェルを、試験検体に対して抗原的に中性であることが知られている非特異的「ブロッキング」タンパク質、例えばウシ血清アルブミン(BSA)、カゼイン又は粉末ミルクを塗布する。これは、固定化表面上の非特異吸着部位のブロッキングを可能にし、それにより表面上への抗原の非特異的結合によるバックグラウンドを減少させる。未結合のブロッキングタンパク質を除去するように洗浄した後、免疫複合体(抗原/抗体)の形成に適する条件下で、固定化表面を被験検体と接触させる。そのような条件は、非特異的バックグラウンドの減少に寄与する、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)/Tween又はPBS/Triton−X100におけるBSA又はウシガンマグロブリン(BGG)のような希釈剤で検体を希釈することと、約25〜27℃の温度で約2〜4時間インキュベートする(他の温度を使用してもよい)ことと、を含む。インキュベーション後、抗血清接触表面を洗浄して、非免疫複合体を除去する。例示的な洗浄手順は、PBS/Tween、PBSTriton−X100、又はホウ酸塩緩衝液などの溶液による洗浄を含む。その後、免疫複合体形成の発生及び量は、結合した免疫複合体を、第1の抗体とは異なる標的に対する特異性を有する第2の抗体に付し、第2の抗体の結合を検出することによって決定する。特定の実施形態では、第2の抗体は、適切な発色基質と共にインキュベートすると着色沈殿を生じる、ウレアーゼ、ペルオキシダーゼ、又はアルカリホスファターゼのような関連する酵素を有する。例えば、ウレアーゼ又はペルオキシダーゼ接合抗ヒトIgGを、免疫複合体形成に有利の時間及び条件下で用いることができる(例えば、室温で、PBS/TweenのようなPBS含有溶液において2時間インキュベートする)。第2の抗体とインキュベーションし且つ未結合物質を除去するように洗浄した後、標識の量を、発色基質と共にインキュベートすることにより定量し、発色基質は、例えばウレアーゼ標識の場合に、尿素及びブロモクレゾールパープルであり、あるいはペルオキシダーゼ標識の場合に、2,2’−アジノ−ジ−(3−エチル−ベンズチアゾリン)−6−スルホン酸(ABTS)及びHである。その後、定量は、例えば、可視スペクトル分光光度計を使用して、発色度を測定することにより達成される。
前記フォーマットは、まず、検体を検定プレートに結合させることによって変更することができる。その後、一次抗体を検定プレートとともにインキュベートし、続いて一次抗体に対する特異性を有する標識された二次抗体を用いて、結合された一次抗体を検出する。
上記1種類又は複数種の抗体が固定化された固体基材は、種々の材料から作製され、及び様々な形状を有してもよく、例えば、例えばマイクロタイタープレート、マイクロビーズ、ディップスティック、樹脂粒子などである。基板を選択することにより、信号対雑音比を最大化し、バックグラウンド結合を最小化し、分離及びコスト低下を容易にする。使用する基材に最も適切な方式で、例えば、リザーバーからビーズ又はディップスティックを除去すること、マイクロタイタープレートウェルなどのリザーバーを空にする又は希釈すること、あるいはビーズ、粒子、クロマトグラフィーカラム又はフィルターを洗浄溶液又は溶媒ですすぐことによって、洗浄することができる。
あるいは、検体中の1種類又は複数種のタンパク質のレベルを測定するための非ELISAベースの方法を使用することができる。代表的な例には、質量解析、プロテオームアレイ、xMAP(登録商標)マイクロスフェア技術、フローサイトメトリー、ウェスタンブロッティング、及び免疫組織化学が含まれるが、これらに限定されない。
別の例として、患者検体中で、関心の遺伝子によってコードされる1以上のRNA転写物又はそのフラグメントの量又はレベルを検出し、到達核酸マーカーで表示することにより、少なくとも1つの子癇前症マーカーのレベルを評価することができる。任意の適切なプロトコルを用いて検体中の核酸のレベルを検出することができる。様々な異なる核酸を検出する方式、例えば差次的遺伝子発現解析分野に使用される方法が知られるが、マーカー表示を生成するための1つの代表的で便利なタイプのプロトコルは、アレイベースの遺伝子発現プロファイリングプロトコルである。そのような応用は、使用される核酸が生成されるマーカー表示における検定/プロファイリングされようとするそれぞれの遺伝子に関する「プローブ」核酸を示す、ハイブリダイゼーション検定である。これらの検定において、まず、検定される最初の核酸検体から標的核酸の検体を調製し、調製は、標的核酸の標識(例えば、シグナル生成系のメンバー)による標識を含んでもよい。標的核酸検体の調製後、検体をハイブリダイゼーション条件下でアレイと接触させることにより、アレイ表面に付着したプローブ配列に相補する標的核酸との間で複合体を形成する。その後、ハイブリダイズした複合体の存在を、定性的又は定量的に検出する。
本発明の方法で採用されるマーカー表示を生成するために実施され得る特定のハイブリダイゼーション技術は、米国特許第5,143,854号、第5,288,644号、第5,324,633号、第5,432,049号、第5,470,710号、第5,492,806号、第5,503,980号、第5,510,270号、第5,525,464号、第5,547,839号、第5,580,732号、第5,661,028号、第5,800,992号;及びWO95/21265、WO96/31622、WO97/10365、WO97/27317、EP373203、及びEP785280に記載されるものを含み、これらの開示内容が、参照としてここで組み込まれる。それらの方法では、上記のように、発現が検定されているそれぞれの表現型決定遺伝子のプローブを含む「プローブ」核酸アレイを、標的核酸と接触させる。接触は、ハイブリダイゼーション条件、例えばストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で行われ、その後非結合核酸を除去する。ここで使用される用語「ストリンジェントな検定条件」とは、検定において所望の特異性レベルを提供するのに十分な相補性を持つ表面結合核酸及び溶液相核酸のような核酸の結合対の生成に適するが、所望の特異性を提供するのに十分でない相補性を持つ結合メンバー間の結合対の形成に適しない条件を意味する。ストリンジェントな検定条件は、ハイブリダイゼーション条件及び洗浄条件の両方の合計又は組み合わせ(全体)である。
得られたハイブリダイゼーション核酸のパターンは、プローブされた各遺伝子の発現に関する情報を提供し、ここで発現情報は、遺伝子が発現されるかどうか、そして一般的にはどんなレベルで発現するかに関するものであり、発現データ、即ち発現表現(例えば、トランスクリプトームの形態)は、定性的でも定量的でもよい。
あるいは、検体における1種類又は複数種の核酸のレベルを定量するための非アレイベースの方法を用いることができ、定量的PCR、逆転写PCT(RT−PCR)、リアルタイムPCRなどを含むポリメラーゼ連鎖反応(PCR)ベースの検定のような増幅プロトコルに基づくものを含む。
分子及び細胞生化学における一般的な方法は、Molecular Cloning: A Laboratory Manual,3rd Ed.(Sambrookら,HaRBor Laboratory Press 2001);Short Protocols in Molecular Biology,4th Ed.(Ausubelら eds.,John Wiley & Sons 1999);Protein Methods (Bollagら,John Wiley & Sons 1996);Nonviral Vectors for Gene Therapy (Wagnerら eds.,Academic Press 1999);Viral Vectors (Kaplift & Loewy eds.,Academic Press 1995);Immunology Methods Manual (I.Lefkovits ed.,Academic Press 1997);及びCell and Tissue Culture: Laboratory Procedures in Biotechnology (Doyle & GrifFlths,John Wiley & Sons 1998)のような標準的教科書に見出すことができ、それらの開示が参照としてここで組み込まれる。本開示において言及される遺伝子操作のための試薬、クローニングベクター、及びキットは、BioRad、Stratagene、Invitrogen、Sigma-Aldrich及びClonTechのようなメーカーから入手可能である。
得られたデータは、検体中でプロービングされた各マーカーのレベルに関する情報を提供し、ここで情報は、マーカーが存在するかどうか、そして一般的にはどのレベルで存在するかに関するものであり、データは、定性的でも定量的でもよい。したがって、検出が定性的である場合、当該方法は、読み取り、又は標的マーカー(例えば、核酸又はタンパク質)が被験検体中に存在するか否かの評価(例えば、見積もり)を提供する。他の実施形態では、本方法は、被験検体中に標的マーカーが存在するかどうかの定量的検出、即ち、標的分析物(例えば、核酸又はタンパク質)の実際量又は相対存在量の見積もり又は評価を提供する。このような実施形態では、定量的検出は絶対的であってもよく、あるいは、方法が検体中の2種類又はそれ以上の異なる分析物(例えば、標的核酸又はタンパク質)を検出する方法である場合、相対的であってもよい。したがって、検体中の標的分析物(例えば、核酸又はタンパク質)を定量するという文脈で使用される場合、用語「定量」とは、絶対的又は相対的定量を意味することができる。絶対的定量は、既知の濃度の1種類又は複数種の対照分析物を含み、既知の対照分析物による(例えば、検量線の作製による)標的分析物の検出レベルを参照することによって、達成されることができる。あるいは、相対的定量は、2種類又はそれ以上の異なる標的分析物間の検出レベル又は量の比較によって、2種類又はそれ以上の異なる分析物のそれぞれの相対的定量を提供することによって、達成されることができる。
1つ以上の子癇前症マーカーのレベルが決定されると、その測定値を、複数の方法のいずれかで解析するにより、子癇前症マーカーレベル表示を取得することができる。
例えば、1つ以上の子癇前症マーカーの測定値を単独で解析して子癇前症発現プロファイルを開発することができる。ここで使用される場合、「子癇前症発現プロファイル」は、患者検体中の1種類又は複数種の子癇前症マーカーの正規化レベルであり、例えば患者検体中の血清学タンパク質濃度の正規化レベルである。発現プロファイルは、当分野で公知のいくつかの方法のいずれかによって作製されることができる。例えば、各マーカーのレベルは、log変換され、選択されたハウスキーピング遺伝子の発現に対して、又はパネル全体にわたるシグナルに対して、正規化されることができる。子癇前症発現プロファイルを算出する他の方法は、当業者にとって容易に知られる。
別の例として、子癇前症マーカーパネルの測定値をまとめて解析して単一の子癇前症スコアを取得することができる。「子癇前症スコア」とは、子癇前症パネルにおける子癇前症マーカーの各々の加重レベルを表す単一のメトリック値を意味する。したがって、いくつかの実施形態では、本発明の方法は、検体中の子癇前症パネルのマーカーのレベルを検出し、子癇前症マーカーの加重レベルに基づいて子癇前症スコアを計算することを含む。当分野で公知のマーカースコアを計算するためのいくつかの方法及びアルゴリズムのいずれかによって、患者検体についての子癇前症スコアを計算することができる。例えば、加重マーカーレベル(例えば、加重log2変換及び正規化されたマーカーレベル、例えば、各正規化されたマーカーレベルを加重係数に乗算する)を合計し、いくつかの場合に平均することにより、解析された子癇前症マーカーパネルを表す単一の値を得ることができる。
いくつかの場合では、加重係数、又はパネル内の各マーカーに「加重」することは、検体中の分析物レベルの変化を反映することができる。例えば、各子癇前症マーカーの分析物レベルは、log変換され、1(子癇前症においてレベルが増加するマーカーの場合)又は−1(子癇前症においてレベルが低下するマーカーの場合)に加重し、低下マーカーに対する合計の増加マーカーの比は、子癇前症特徴の取得と判定する。他の場合では、重みは、診断、予測、又はモニタリング評価を行う際のマーカーパネルの特異性、感度及び/又は精度に対する各マーカーの重要性を反映することができる。このような重みは、例えば、検体のデータセットを得る主成分解析PCA、線形回帰、サポートベクトルマシン(SVM)、及び/又はランダムフォレストなどのような、任意の適宜な統計的機械学習方法によって決定されることができる。いくつかの場合では、各マーカーの重みは、得られた患者検体のデータセットによって定義される。他の場合では、各マーカーの重みは、参照データセット又は「訓練データセット」によって定義される。
例えば、本明細書の実施例に開示されているように、アクチビンA、ENG、EPCR及びPlGFを含む子癇前症マーカーパネルにおいて、ENG及びPlGFのレベルが最も重要であり、アクチビンAのレベルが中程度に重要であり、EPCRのレベルがあまり重要でない。したがって、子癇前症スコアを取得するためのアルゴリズムの一例は、ENG及びPlGFのレベルを最も優先的に考慮し、その次アクチビンAのレベルを考慮し、最後にEPCRを考慮するアルゴリズムである。
当業者にとって、これらの解析方法は、コンピュータベースのシステムを使用することにより、例えば、当分野で知られているような任意のハードウェア、ソフトウェア及びデータ記憶媒体を使用し、そのような解析に適する任意のアルゴリズムを使用することによって、容易に実施され得る。例えば、「クラウドコンピューティング」、スマートフォンベース又はクライアントサーバベースのプラットフォームなどにより、データマイニングアルゴリズムを適用することができる。
特定の実施形態では、1種類のマーカーのみの発現(例えば、ポリペプチドレベル)を評価してマーカーレベルを生成する。他の実施形態では、2種類又はそれ以上(即ち、パネル)のマーカー、例えば3種類又はそれ以上、4種類又はそれ以上、5種類又はそれ以上のマーカーの発現が評価される。したがって、本発明の方法では、検体中の少なくとも1種類のマーカーの発現が評価される。特定の実施形態では、行われる評価は、当分野で使用されているように、プロテオームの評価と見なされることができる。
いくつかの場合では、子癇前症マーカー表示(例えば、子癇前症発現プロフィール又は子癇前症スコア)を決定又は取得する本発明の方法は、前記子癇前症マーカー表示を報告として提供することをさらに含む。したがって、いくつかの場合では、本発明の方法は、検体中の子癇前症マーカー評価の結果を提供する報告を生成又は出力する工程をさらに含むことができ、当該報告は、電子媒体(例えば、コンピュータモニタ上の電子表示)の形態でも、有形の媒体(例えば、紙又は他の有形の媒体上に印刷された報告)の形態でも提供されることができる。報告は、任意の形態、例えば、当分野で知られている又は以下でより詳細に説明するように提供することができる。
有効性
このように得られた子癇前症マーカーレベル表示は、多くの用途を有する。例えば、マーカーレベル表示は、子癇前症を診断するために用いられ、つまり、対象が子癇前症の影響を受けるか否か、子癇前症の種類、子癇前症の重症度等を判定するができる。いくつかの場合では、対象は、例えば血圧上昇(例えば、140/90mm/Hg以上)、タンパク尿、突然の体重増加(1〜2日間以上又は毎週2ポンド超え)、水分保持(浮腫)、肝臓酵素上昇、及び/又は血小板減少症(抑制された血小板数が100,000未満)のような、子癇前症の臨床症状を示す。他の場合では、対象は、子癇前症に無症状であるが、子癇前症に関連するリスク因子、例えば、妊娠糖尿病、I型糖尿病、肥満、慢性高血圧、腎疾患、血栓形成傾向などの医学的状態、アフリカ系米国人又はフィリピン人の血統、35歳超え又は20歳未満の年齢、子癇前症の家族歴、妊娠歴なし、先の妊娠における子癇前症、及び/又はストレスを有する。さらに他の場合では、対象は、子癇前症に無症状であり、かつ子癇前症に関連するリスク因子を有しない。
別の例として、子癇前症マーカーレベル表示を用いて、子癇前症を予測することができ、つまり、子癇前症の予測を提供することができる。例えば、子癇前症マーカーレベル表示は、対象が子癇前症に発展する感受性又はリスクの予測のために用いられる。「個体が子癇前症に発展するかを予測する」とは、個体が次の1週間、次の2週間、次の3週間、次の5週間、次の2ヶ月間、次の3ヶ月間、妊娠の残りの期間内に子癇前症に発展する可能性を判定することを意味する。子癇前症マーカーレベル表示は、疾患の進行経過及び/又は疾患の結果の予測、例えば子癇前症の発症の予測、子癇前症の持続期間の予測、子癇前症が子癇に発展するかについての予測に用いられる。子癇前症マーカーレベル表示は、子癇前症の治療に対する対象の応答性、例えば、陽性応答、陰性応答、全く応答なしを予測するために用いられる。
別の例として、子癇前症マーカーレベル表示を用いて、子癇前症をモニタリングすることができる。子癇前症を「モニタリングする」とは、一般的に、対象の状態をモニタリングすることを意味し、例えば、子癇前症の診断の知らせ、子癇前症の予測の知らせ、子癇前症の治療の効果や有効性に関する情報の提供などがある。
ここで使用される用語「治療」、「処理」などは、一般的に、所望の薬理学的及び/又は生理学的効果を得ることを意味する。この効果は、疾患又はその症状を完全に又は部分的に予防する点で予防的であってもよく、及び/又は、疾患及び/又は当該疾患に起因する副作用を部分的又は完全に治癒する点で治療的であってもよい。ここで使用される「治療」は、哺乳類の疾患に対するいずれの治療を含み、(a)疾患にかかりやすいが未だ診断されていない対象において疾患が発生することを予防すること;(b)疾患を抑制する、即ち、その進行を阻止すること;又は(c)疾患を緩和する、即ち、疾患の退行を引き起こすこと、を含む。治療剤は、疾患又は損傷の発症前、発症中又は発症後に投与されることができる。患者の望ましくない臨床症状を安定化又は減少させる進行中の疾患の治療は、特に関心である。本発明の療法は、疾患の症状段階の前に施すことができ、場合によって疾患の症状段階の後に施すことがある。用語「個体」、「対象」、「宿主」及び「患者」は、ここで互換的に使用され、診断、治療又は療法が需要される任意の哺乳類対象、特にヒトを意味する。子癇前症の治療は当分野で周知であり、ベッドでの安静、多くの飲水、低塩食、血圧制御薬、コルチコステロイド、妊娠誘導などを含んでもよい。
いくつかの実施形態では、本発明の子癇前症の評価(例えば、子癇前症の診断、子癇前症の予測、子癇前症のモニタリング、子癇前症の治療など)を提供する方法は、得られた子癇前症マーカーレベル表示を子癇前症表現型決定要素と比較することによって、表現型決定要素との類似性又は相違を同定し、その後同定された類似性又は相違を用いて子癇前症の評価(例えば、子癇前症の診断、子癇前症の予測、子癇前症のモニタリング、子癇前症の治療など)を提供することを含むことができる。「表現型決定要素」とは、例えば、組織検体、マーカー発現プロファイル、値(例えば、スコア)、値の範囲などのような、表現型(ここで、子癇前症表現型)を示し、かつ対象が健康であるか子癇前症を受けているか、対象が子癇に発展しうる子癇前症を患うか、対象が治療に応答する子癇前症を患うかなどのような、対象の表現型を判定するために用いられる、要素を意味する。
例えば、子癇前症表現型決定要素は、所定の対象のマーカーレベル表示の実験的決定における参照/対照として使用され得る、子癇前症を患っている個体又は子癇前症を患ていない個体由来の検体であってもよい。別の例として、子癇前症表現型決定要素は、例えば子癇前症状態を示し、所定の対象のマーカーレベル表示を解釈するための参照/対照として使用され得る、マーカー発現プロフィール又はスコアのようなマーカーレベル表示であってもよい。表現型決定要素は、陽性参照/対照であってもよく、例えば、子癇前症を患っている妊娠女性、又は子癇前症に発展する妊娠女性、又は既知の治療によって管理可能な子癇前症を患っている妊娠女性、又は子癇前症が新生児の分娩にのみ反応すると判断される妊娠女性からの検体又はそのマーカーレベル表示であってもよい。あるいは、表現型決定要素は、陰性参照/対照であってもよく、例えば、子癇前症を発症していない妊娠女性、又は妊娠していない女性からの検体又はそのマーカーレベル表示であってもよい。表現型決定要素は、好ましくは、同じタイプの検体であるか、又はマーカーレベル表示である場合、モニターされる個体のマーカーレベル表示を生成するために使用された検体と同じタイプの検体から得られる。例えば、個体の血清が評価されている場合、表現型決定要素は好ましくは血清である。
特定の実施形態では、得られたマーカーレベル表示を、単一の表現型決定要素と比較して、被験個体の子癇前症に関する情報を得る。特定の実施形態では、得られたマーカーレベル表示は、2種類又はそれ以上の表現型決定要素と比較する。例えば、得られたマーカーレベル表示を、陰性対照と陽性対照と比較して、個体が子癇前症を発症するかどうかに関する確認情報を得ることができる。別の例として、得られたマーカーレベル表示は、治療に応答する子癇前症を代表する参照と比較し、また、治療に応答しない子癇前症を代表する参照と比較し、患者が治療に反応するかどうかに関する情報を得ることができる。
得られたマーカーレベル表示と1種類又は複数種類の表現型決定要素との比較は、当業者にとって既知の任意の簡便な方法を使用することにより行われる。例えば、ELISAの当業者は、ELISAデータを、例えば、標準曲線の正規化、正規化値の比較などにより、比較することができると理解する。比較工程は、得られたマーカーレベル発現プロフィールと対照/参照プロフィールとの間にどれほど類似しているか又は類似していないかに関する情報を生成し、類似性/非類似性情報が、子癇前症の発症の予測、子癇前症の診断、子癇前症患者のモニタリングなどのために用いられる。同じように、アレイ分野の当業者は、発現プロファイルのデジタル画像を比較すること、発現プロファイルのデータベースを比較することなどによって、アレイプロファイルを比較することができると理解する。発現プロファイルを比較する方法を記載している特許は、米国特許第6,308,170号及び第6,228,575号を含むが、これらに限定されるものではなく、それらの開示内容が参照としてここで組み込まれる。以上において、マーカーレベル発現プロファイルを比較する方法も記載される。類似性は、相対的マーカーレベル、絶対的マーカーレベル又は両方の組み合わせに基づくことができる。特定の実施形態では、対象(例えば、ユーザ)から得られたマーカーレベル発現結果の入力を受信し、1つ又は複数の参照プロファイル又は参照スコアとの類似性を決定し、ユーザ(例えば、実験室技術者、医師、妊娠している個体など)に子癇前症の予測を戻すように設計される、プログラムを記憶したコンピュータを使用して類似性判定が行われる。本開示のコンピュータ実装の態様についてのさらなる説明は、以下に記載される。特定の実施形態では、類似性の判定は、例えば一連の子癇前症スコアのような一連の表現型決定要素に対する、子癇前症スコアのようなマーカーレベル表示の視覚的比較に基づき、例えば、対象と最も類似する参照子癇前症スコアを決定することができる。取得されたマーカーレベル発現プロファイルと比較する表現型決定要素の種類及び性質によって、上記比較工程は、検定される細胞/体液に関する種々の異なる種類の情報を生成する。したがって、上記比較工程は、子癇前症の発症の陽性/陰性予測、子癇前症の陽性/陰性診断、子癇前症の特徴づけ、子癇前症の治療応答性に関する情報等を生成することができる。
他の実施形態では、マーカーレベル表示は、子癇前症の予測、子癇前症の診断、又は子癇前症の検出を行うために、直接的に、即ち表現型決定要素と比較せずに用いられる。例えば、患者の血清中のアクチビンAの濃度が約5.5ng/ml以上であり、患者の血清中のENGの濃度が約17ng/ml以上である場合、患者が子癇前症を発症すると予測することができる。
いくつかの実施形態では、本発明の子癇前症の評価(例えば、子癇前症の診断、子癇前症の予測、子癇前症のモニタリング、子癇前症の治療など)を提供する方法は、対象マーカーレベル表示と併用される追加評価を含むことができる。例えば、本発明の方法は、血圧、尿タンパク質、体重変化、水分保持(浮腫)、肝臓酵素レベル、及び血小板数のような、子癇前症に関連する1つ以上の臨床パラメータ/因子を測定することをさらに含むことができる。例えば、対象の1つ以上の臨床症状(例えば、高血圧、タンパク尿)は、妊娠14週目又はそれ以降、例えば、15週目、16週目、17週目、18週目、19週目、20週目、21週目、22週目、23週目、24週目、25週目、26週目、27週目、28週目、29週目、30週目、31週目、32週目、33週目、34週目、35週目、36週目、37週目、38週目、39週目、40週目又はそれ以降において評価されることができ、ここでの臨床評価(即ち、子癇前症に関連する1つ以上の症状の検出)の陽性結果がマーカーレベル表示を併用されて、子癇前症の診断、子癇前症の予測、子癇前症のモニタリングなどを提供する。いくつかの場合では、臨床パラメータは、子癇前症マーカーレベル表示を取得する前に測定し、例えば、子癇前症を診断又は確認するように、技術者に子癇前症マーカーレベル表示が得られるべきか否かについて知らせることができる。いくつかの場合では、臨床パラメータは、子癇前症マーカーレベル表示を取得した後に測定し、例えば、子癇前症をモニタリングすることができる。
別の例として、子癇前症の評価を提供する本発明の方法は、子癇前症の発症リスクに関連する1つ以上の因子を評価することをさらに含む。子癇前症リスク因子の非限定的な例としては、例えば、妊娠糖尿病、肥満、慢性高血圧、腎疾患、血栓形成傾向などのような医学的状態、35歳超え又は20歳未満の年齢、子癇前症の家族歴、妊娠歴なし、先の妊娠における子癇前症、及びストレスを含む。例えば、初回妊娠を確認する際に又はその後に、対象の医学的状態、家族歴などのような1つ以上のリスク因子を評価し、そのリスク評価(即ち、子癇前症に関連する1つ以上リスク因子)の陽性結果が、マーカーレベル表示と併用されて、子癇前症の診断、子癇前症の予測、子癇前症のモニタリングなどを提供することができる。
本発明の方法は、様々な異なるタイプの対象に適用することができる。複数の実施形態では、対象は、肉食動物(例えば、イヌ及びネコ)、齧歯目(例えば、マウス、モルモット及びラット)、ウサギ目(例えば、ウサギ)及び霊長目(例えば、ヒト、チンパンジー及びサルなど)を含む哺乳類に属する。特定の実施形態では、動物又は宿主(即ち、対象(ここで患者ともいう))はヒトである。
いくつかの実施形態では、子癇前症の評価を提供する本発明の方法は、診断、予測、又は結果のモニタリングを含む。いくつかの実施形態では、本開示の子癇前症の評価は、当業者による評価の書面報告を提供(即ち、生成)することにより、提供されることができ、例えば、当業者による患者が子癇前症の影響を受けているか、対象子癇前症の種類、段階又は重症度などの決定(「子癇前症の診断」)、当業者による患者の子癇前症が発症する感受性、疾患進行程度、治療に対する患者の応答度など(即ち、当業者による「子癇前症の予測」)、又は当業者による子癇前症のモニタリング結果である。したがって、本発明の方法は、当業者による評価の結果を提供する報告を生成又は出力する工程を含んでもよく、当該報告が、電子媒体(例えば、コンピュータモニタ上の電子表示)の形態で提供されてもよく、又は有形の媒体(例えば、紙又は他の有形の媒体に印刷された報告)の形態で提供されてもよい。報告は、任意の形態で提供することができ、例えば、当該技術分野で知られているように、又は以下でより詳細に説明するように提供することができる。
報告
本明細書に記載されるような「報告」とは、対象評価及びその結果に関する関心の情報を提供する報告要素を含む、電子的又は有形の文書である。いくつかの実施形態では、対象報告は、少なくとも子癇前症マーカー表示、例えば上記で詳細に説明したような子癇前症発現プロフィール又は子癇前症スコアを含む。いくつかの実施形態では、対象報告は、少なくとも当業者による子癇前症の評価、例えば、子癇前症の診断、子癇前症の予測、子癇前症のモニタリング解析、治療意見などを含む。対象報告は、完全に又は部分的に電子的に生成することができる。対象報告は、1)試験施設に関する情報、2)サービスプロバイダ情報、3)患者データ、4)検体データ、5)a)使用される参照値とb)例えばタンパク質レベル決定を含む試験データを含む評価報告、6)他の特徴のうち、1つ又は複数を含む。
当該報告は、検体採取及び/又はデータ生成が行われた病院、診療所、又は実験室に関連する検査施設に関する情報を含むことができる。検体採取は、対象から、血液、唾液、尿などのような液体検体;組織生検などのような組織検体を得ることを含むことができる。データ生成は、子癇前症患者と健康な個体(即ち、子癇前症を患っていない及び/又は子癇前症を発症しない個体)におけるマーカー濃度を測定すること含んでもよい。当該情報は、例えば、試験施設の名称及び位置、検定及び/又は入力データの登録を実施した実験室技師の身分証明、検定が実施/解析された日付と時間、検体及び/又は結果データを保存する場所、検定に使用される試薬(例えば、キットなど)のロット番号などを含んでもよい。当該情報を含む報告フィールドは、一般的にユーザが提供する情報を使用して入力されることができる。
当該報告は、ユーザ所在の医療施設の外又は内にあるサービスプロバイダに関する情報を含んでもよい。そのような情報の例は、サービスプロバイダの名称と場所、査読者の名前、及び必要又は希望に応じて検体採取及び/又はデータ生成を行った個ヒトの名前を含んでもよい。当該情報を含む報告フィールドは、一般的にユーザが提供する情報を使用して入力されることができ、当該データが、予め編集された選択肢から(例えば、ドロップダウンメニューを使用して)選択されることができる。報告中の他のサービスプロバイダ情報は、結果及び/又は解釈的報告に関する技術情報の連絡先情報を含むことができる。
当該報告は、患者の病歴(例えば、年齢、種族、血清型、先の子癇前症エピソード、及びその他の妊娠に関するいずれの特徴を含んでもよい)と、患者を識別する情報(例えば、名前、患者の生年月日(DOB)、性別、郵送先及び/又は住所、医療記録番号(MRN)、医療施設における部屋及び/又はベッド番号、保険情報など)のような管理的患者データ、モニタリング評価を指令した患者の医師又は他の医療従事者の名前、及び指令医師と異なる場合、患者のケアを担当するスタッフ医師の名前(例えば、初級保健医)、を含む患者データ部を含んでもよい。
当該報告は、患者から得られた生物検体の供給源(例えば、血液、唾液、又は組織のタイプなど)、如何に検体を取り扱ったこと(例えば保存温度、準備プロトコル)、及び採取の日付と時間のような、モニタリング評価で解析された生物検体に関する情報を提供する、検体データ部を含んでもよい。当該情報を含む報告フィールドは、一般的にユーザが提供する情報を使用して入力されることができ、そのうちの一部が、予め編集された選択肢から(例えば、ドロップダウンメニューを使用して)提供されることができる。当該報告は、結果部分を含むことができる。例えば、当該報告は、タンパク質レベル測定解析結果を報告する部分(例えば、「血清中の5.0ng/mlアクチビンA」)、又は子癇前症スコアを算出する部分含むことができる。
当該報告は、ここで記載されているデータの処理後に生成される情報を含む、評価報告部分を含んでもよい。解釈的報告は、対象が子癇前症を発症する可能性の予測を含んでもよい。解釈的報告は、子癇前症の診断を含んでもよい。解釈的報告は、子癇前症の特徴付けを含んでもよい。報告の評価部分は、さらに任意に推奨意見を含んでもよい。例えば、結果が子癇前症であり得ることを示す場合、推奨意見は、当分野で推奨されるように、食事の変更と、血圧治療薬の投与などを含んでもよい。
なお、報告は、追加の要素又は修正された要素を含むことができることも容易に理解される。例えば、電子的である場合、報告は、内部又はの外部のデータベースに指向するハイパーリンクを含むことができ、これらのデータベースは、報告の選択された要素に関するより詳細な情報を提供する。例えば、報告の患者データ要素は、電子患者レコードへのハイパーリンク、又は機密データベースに保持されている患者レコードにアクセスするためのサイトを含むことができる。後者の実施形態では、病院内システム又は臨床環境において関心である。電子フォーマットである場合、報告は、コンピュータ可読媒体、例えば、コンピュータメモリ、zipドライブ、CD、DVDなどのような適切な物理的媒体に記録される。
なお、報告は、前記報告が一般的にユーザが要求する解析を提供するのに十分な要素(例えば、計算された子癇前症マーカーレベル表示、子癇前症の予測、診断又は特徴付け)を含む限り、上記の要素の全て又は一部を含むことができることが容易に理解される。
試薬、システム及びキット
さらに、上記の1種類又は複数種の方法を実施するための試薬、システム及びキットが提供される。本発明の試薬、システム及びそれらのキットは、大きく異なる場合がある。関心の試薬は、タンパク質の検出のための抗体又はペプチド、核酸の検出のためのオリゴヌクレオチドなどのような、検体から子癇前症マーカーのマーカーレベル表示を産生するために特別に設計される試薬、例えば、1種類又は複数種の決定要素を含む。いくつかの場合では、検出要素は、単一の子癇前症マーカーの発現を検出するための試薬を含む。例えば、検出要素は、一種又は複数種の子癇前症マーカーの発現を同時に検出するために使用する、1つ以上の検出要素を含むディップスティック、プレート、アレイ、又はカクテルであってもよく、例えば1以上の抗体、1以上のオリゴヌクレオチド、1組以上のPCRプライマー等を含むことができる。
マーカーレベル表示(例えば、子癇前症マーカーレベル表示)を生成するために特異的に調製された試薬の一タイプは、例えばELISAフォーマットで、xMAP(登録商標)ミクロスフェアフォーマットで、プロテオームアレイで、フローサイトメトリー、ウェスタンブロッティング、ドットブロッティング又は免疫組織化学による解析のために、懸濁液において、タンパク質に特異的に結合する抗体のコレクションである。当分野において十分に理解されている。これらの抗体は、溶液として提供されることができる。あるいは、それらは、予め固体マトリックス(例えば、マルチウェルディッシュのウェル又はxMAPマイクロスフェアの表面)に結合されて提供されることができる。
そのような試薬の他のタイプは、目的の遺伝子を示すプローブ核酸のアレイである。当分野では、様々な異なるプローブ構造、基質組成及び付着技術(例えば、ドットブロットアレイ、マイクロアレイなど)を持つ、様々な異なるアレイフォーマットが知られる。代表的な目的のアレイ構造は、米国特許第5,143,854号、第5,288,644号、第5,324,633号、第5,432,049号、第5,470,710号、第5,492,806号、第5,503,980号、第5,510,270号、第5,525,464号、第5,547,839号、第5,580,732号、第5,661,028号、第5,800,992号、ならびにWO95/21265;WO96/31622;WO97/10365;WO97/27317、EP373203、及びEP785280に記載されるものがあり、その開示内容が参照としてここで組み込まれる。
遺伝子(例えば、子癇前症遺伝子)のマーカーレベル表示を生成するために特別に調製される別のタイプの試薬は、これらの遺伝子を(例えば、リアルタイムRT−PCRのようなPCRベースの技術により)選択的に増幅するように設計された遺伝子特異的プライマーのコレクションである。遺伝子特異的プライマー及びそれを使用する方法は、米国特許第5,994,076号に記載され、その開示が参照としてここで組み込まれる。
プローブアレイ、プライマー又は抗体のコレクションは、特に興味あるものであり、アクチビンA、ENG、EPCR、PlGF、及びsFlt−1からなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子/タンパク質、場合によってこれらの遺伝子/タンパク質のうちの複数(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8又はそれ以上の遺伝子/ポリペプチド)に特異的なプローブ、プライマー又は抗体(試薬とも呼ばれる)、又は補因子/補欠分子族ヘムに特異的な生化学的基質を含む。いくつかの実施形態では、プローブアレイ、プライマー又は抗体のコレクションは、アクチビンA、ENG、EPCR、PlGF、及びsFlt−1に特異的な試薬と、ヘムに特異的な生化学的基質を含む。本発明のプローブ、プライマー、又は抗体のコレクション又は試薬は、以上に挙られた遺伝子/タンパク質/補因子のみに特異的な試薬を含んでもよく、あるいは、当分野で発現パターンが早産に関連することが知られている遺伝子/タンパク質/補因子、例えば、sFlt−1(VEGF−RI)とPIGFに特異的なプローブ、プライマー、又は抗体のような、以上に挙られていない他の遺伝子/タンパク質/補因子に特異的な試薬を含んでもよい。
いくつかの場合では、システムを提供することができる。本明細書で使用されるように、用語「システム」とは、試薬のコレクションを意味するが、例えば同じ又は異なる供給源から試薬のコレクションを購入することによって集められたものを意味する。いくつかの場合では、キットを提供することができる。本明細書で使用されるように、用語「キット」とは、一緒に提供(例えば販売)される、試薬のコレクションを意味する。例えば、検体核酸又はタンパク質の核酸又は抗体による検出は、それぞれ電気化学バイオセンサープラットフォームと結合されることができ、前記電気化学バイオセンサープラットフォームが、これらのバイオマーカーを個人化された子癇前症治療の多重決定に用いられる。
本発明のシステム及びキットは、上記アレイ、遺伝子特異的プライマーコレクション、又はタンパク質特異的抗体コレクションを含んでもよい。前記システム及びキットは、例えば、プレミックス又は単独としての標的核酸を生成するためのプライマー、dNTP及び/又はrNTP;ビオチン化又はCy3又はCy5標識dNTPのような、1種類又は複数種の一意的に標識されたdNTP及び/又はrNTP;異なる散乱スペクトルを有する金又は銀の粒子、又は蛍光染料の化学的活性な誘導体のような他の合成後標識試薬;逆転写酵素、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼなどのような酵素;ハイブリダイゼーション及び洗浄緩衝液のような種々の緩衝液;予め調製されたプローブアレイ、スピンカラムなどのような標識されたプローブ精製試薬及び部材;例えば、標識された二次抗体、ストレプトアビジン−アルカリホスファターゼ接合体、化学蛍光又は化学発光基質などのようなシグナル生成及び検出試薬などのような、様々な方法で用いられる1種類又は複数種の他の試薬をさらに含んでもよい。
本発明のシステム及びキットは、1つ以上の子癇前症の表現型決定要素をさらに含んでもよく、複数の実施形態では、当該要素は、例えば、適切な実験又は計算手段によってマーカーレベル発現プロファイル(例えば、上記マーカー決定要素により決定された発現プロファイル)の「入力」に基づいて子癇前症を予測するために用いられる、参照又は対照の検体又はマーカーである。代表的な子癇前症表現型決定要素は、子癇前症を患っている又は患わないことが知られている個体由来の検体、上記のような参照又は対照発現プロファイルなどのようなマーカーレベル表示のデータベースを含む。
上記の成分に加えて、本発明のキットは、本方法を実施するための説明書をさらに含む。これらの説明書は、様々な形態で本発明のキット内に存在することができ、そのうちの1つ又は複数がキットにおいて存在することができる。これらの形態の一つは、キットの包装内に、添付文書において情報が印刷された1枚又は複数枚の紙などのような、適切な媒体又は基材に印刷された情報とする。別の形態は、磁気ディスク、CDなどのような、情報が記録されたコンピュータ可読媒体である。存在し得る別の形態は、インターネットを介してリモートサイトの情報にアクセスするために使用されるウェブサイトアドレスである。キットには、任意の便利な形式で存在し得る。
以下の実施例は、例示のためのものであり、限定するものではない。
以下の実施例は、本発明の完全な開示内容及び記載を如何に作成し使用する方法を当業者に提供するためのものであり、本発明者が本発明と見なす範囲を限定することを意図するものではなく、以下の実験が全て又は唯一の実験であることを示すことを意図するものでもない。使用される数字(例えば、量、温度など)に関して、正確性を保証する努力がなされてきたが、若干の実験誤差及び偏差が考慮されるべきである。特に断らない限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏度であり、圧力は大気圧又は大気圧に近いものである。
〔実施例1〕
母体の罹患率及び死亡率の主な要因として、子癇前症(PE)は、妊娠関連の血管障害であり、全妊娠の5%〜8%に影響を及ぼす(Bergら、Overview of maternal morbidity during hospitalization for labor and delivery in the United States: 1993-1997 and 2001-2005. Obstetrics and gynecology 2009;113:1075-81; Mackayら、Pregnancy-related mortality from preeclampsia and eclampsia. Obstetrics and gynecology 2001;97:533-8)。胎盤及び胎児の分娩によりPEを治療することができるが、PEは、よく退治の成長制限と早産、及び胎児の死亡率と罹患率に導く(Poweら、Preeclampsia,a disease of the maternal endothelium: the role of antiangiogenic factors and implications for later cardiovascular disease. Circulation 2011;123:2856-69)。PEの病因は、未だ完全に解明されていない。現在のPEの診断は、高血圧及び蛋白尿の兆候に基づくが(Gynecologists ACOOA ACOG practice bulletin. Diagnosis and management of preeclampsia and eclampsia. Number 33,January 2002. Obstetrics and gynecology 2002;99:159-67)、感受性及び特異性を欠いており、不良な母体的及び胎児的結果に対する予測が悪い(Zhangら、Prediction of adverse outcomes by common definitions of hypertension in pregnancy. Obstetrics and gynecology 2001;97:261-7)。したがって、明確的な診断を提供することができるPEバイオマーカーを同定する必要性があり、病床の進行をより良好にモニタリングする機会をもたらし、それにより、結果及び経済的利益を改善する。
病態生理学で依然として実現しにくいが、PEは、胎盤が肝要な役割を果たす妊娠のマルチシステム障害である。研究者は、遺伝、ゲノム及びプロテオミックの方法でPEと対象胎盤組織とを比較した。症例−対照検体の転写プロファイリングは、疾患特異的発現パターン、典型的経路及び遺伝子−遺伝子ネットワークを同定した(Lapaireら、Microarray screening for novel preeclampsia biomarker candidates. Fetal diagnosis and therapy 2012;31:147-53; Nishizawaら、Microarray analysis of differentially expressed fetal genes in placenta tissue derived from early and late onset severe preeclampsia. Placenta 2007;28:487-97; Losetら、transcriptional profile of the decidua in preeclampsia. American journal of obstetrics and gynecology 2011;204:84 e1-27; Johanssonら、Partial correlation network analyses to detect altered gene interactions in human disease: using preeclampsia as a model. Human genetics 2011;129:25-34; Sitrasら、Differential placental gene expression in severe preeclampsia. Placenta 2009;30:424-33; Tsaiら、Transcriptional profiling of human placentas from pregnancies complicated by preeclampsia reveals disregulation of sialic acid acetylesterase and immune signaling pathways. Placenta 2011;32:175-82; Winnら、Severe preeclampsia-related changes in gene expression at the maternal-fetal interface include sialic acid-binding immunoglobulin-like lectin-6 and pappalysin-2. Endocrinology 2009;150:452-62)。プロテオミックスに基づくバイオマーカー研究(Koliaら、Quantitative proteomic (iTRAQ) analysis of 1st trimester maternal plasma samples in pregnancies at risk for preeclampsia. Journal of biomedicine & biotechnology 2012;2012:305964; Maryら、Dynamic proteome in enigmatic preeclampsia: an account of molecular mechanisms and biomarker discovery. Proteomics Clinical applications 2012;6:79-90; Cartyら、Urinary proteomics for prediction of preeclampsia. Hypertension 2011;57:561-9)は、将来の検定のための候補バイオマーカーも明らかにした。PEの発症機構では、胎盤血管新生及び抗血管新生因子の不均衡、可溶性fms様チロシンキナーゼ(sFlt−1)の向上、及び胎盤成長因子(PlGF)の減少が示唆され(Shibataら、Soluble fms-like tyrosine kinase 1 is increased in preeclampsia but not in normotensive pregnancies with small-for-gestational-age neonates: relationship to circulating placental growth factor. The Journal of clinical endocrinology and metabolism 2005;90:4895-903; Maynardら、Excess placental soluble fms-like tyrosine kinase 1 (sFlt-1) may contribute to endothelial dysfunction,hypertension,and proteinuria in preeclampsia. The Journal of clinical investigation 2003;111:649-58; Wolfら、Circulating levels of the antiangiogenic marker sFLT-1 are increased in first versus second pregnancies. American journal of obstetrics and gynecology 2005;193:16-22; Rajakumarら、Extra-placental expression of vascular endothelial growth factor receptor-1,(Flt-1) and soluble Flt-1 (sFlt-1),by peripheral blood mononuclear cells (PBMCs) in normotensive and preeclamptic pregnant women. Placenta 2005;26:563-73; Taylorら、Altered tumor vessel maturation and proliferation in placenta growth factor- producing tumors: potential relationship to post-therapy tumor angiogenesis and recurrence. International journal of cancer Journal international du cancer 2003;105:158-64; Tidewellら、Low maternal serum levels of placenta growth factor as an antecedent of clinical preeclampsia. American journal of obstetrics and gynecology 2001;184:1267-72; Torryら、Preeclampsia is associated with reduced serum levels of placenta growth factor. American journal of obstetrics and gynecology 1998;179:1539-44)、sFlt−1/PlGF比をPE診断及び治療の有用な指標とすることが提案された(Stepanら、[use of angiogenic factors (sflt-1/plgf ratio) to confirm the diagnosis of preeclampsia in clinical routine: First experience]. Zeitschrift fur Geburtshilfe und Neonatologie. 2010;214:234-238; Verlohrenら、An automated method for the determination of the sflt-1/pigf ratio in the assessment of preeclampsia. Am. J. Obst. And Gyn. 2010;202:161 e161-161 e111)。しかしながら、現在の通常の臨床実践において、広く適用され、感受的かつ特異的な分子PE検定が未だ存在しない。
これらの要因を考慮した上で、PEの診断及び予測のためのバイオマーカーを発見するための強力な理由及び必要性がある。本発明者らは、包括的な不偏マルチオミックスアプローチを採用し、マイクロアレイ多重メタ解析の結果を統合し、及び2次元(2D)ゲル解析によりプロテオーム同定を行った。本発明者らは、メタ解析に適用するパラメトリック方法(Morganら、Comparison of multiplex meta analysis techniques for understanding the acute rejection of solid organ transplants. BMC bioinformatics 2010;11 Suppl 9:S6; Chenら、Differentially expressed RNA from public microarray data identifies serum protein biomarkers for cross-organ transplant rejection and other conditions. PLoS computational biology 2010;6)が、下流の実験的検証のためのバイオマーカーを開発するように、実験中に一致かつ有意な差次的遺伝子発現を識別することを可能にする。血清タンパク質は、一般的に疾患を診断するために用いられるが、感受性で特異的なバイオマーカーの発見が困難であり、理由として、血清学的存在量が低く、存在量が高いタンパク質により容易に遮蔽されやすいためである。本発明の血清タンパク質マーカー発見方法(Lingら、Plasma profiles in active systemic juvenile idiopathic arthritis: Biomarkers and biological implications. Proteomics 2010)は、抗体による血清豊富タンパク質枯渇と2Dゲル比較プロファイリングを併用して、PEと対照血清との間の示差タンパク質ゲルスポットを発見し、その後のタンパク質質量解析に用いられる。本発明者らは、PE診断を可能にする差次的血清学的シグネチャが存在することを仮定した。本発明者らの知見を検証するために、利用可能なELISAアッセイ(より高いスループット法)を用いて、全ての候補を検定した。最も少ない数のタンパク質分析物を有する感受性で特異的バイオマーカーパネルを構築し、最適化するために、遺伝子アルゴリズムを使用した。比較的トランスクリプトミクスとプロテオミックス及びそれらの関連経路のバイオマーカーを細やかに検査することにより、PE病態生理学における役割について新しい仮説に導いた。
提示された結果は、感受性で特異的な血清学的バイオマーカーパネルがPEを診断するように構築され得るという仮説を検証した。本発明者らの知見によれば、PE識別において、マルチオミックスによるバイオマーカー方法を用いて、アクチビンA、ENG及びEPCRを含む新たなPEバイオマーカー(sFlt−1/PlGF比に匹敵する)についての初めての研究である。本発明者らは、これらのPEバイオマーカーの機能的意味及びそれらの関連経路が、疾患の発症機構に新しい見解を提供し、有効な新規な治療薬をもたらすと考えられる。
材料及び方法
研究デザイン
全ての検体割り当て、子癇前症バイオマーカー発見、検証、及び予測パネル構築工程を図1に示す。発明者らの研究は、(1)マイクロアレイデータセットのメタ解析(6つのデータセット、n=98のPE検体及びn=111の対照胎盤検体)、タンパク質アトラスのデータベースからの胎盤特異的タンパク質の抽出及びMGIデータベースからのマウスモデルにおける胎盤機能障害に関するヒトのオルソログ遺伝子の取得を含む、発見段階と;(2)独立したPE(n=100)及び対照(n=100)コホートの解析を含む、検証段階、という二段階で行われた。さらなる検証の候補は、メタ解析における倍率変化>1.5及び使用されるELISA検定キットによって選択された。PlGFを陽性バイオマーカーとして選択した。
臨床コホート設計及び検体採取
全ての血清検体は、R&D systems(MN 55413,https://www.rndsystems.com/)、Diagnostica Stago Inc.(NJ 07054,http://www.stago-us.com/)から購入した。すべての血清検体は、通知され同意が得られた後に収集され、詳細な症例報告書を含んだ。抗リン脂質症候群(APS)又は全身性エリテマトーデス(SLE)、又は他の併発の自己免疫疾患と診断され、又は長期間コルチコステロイド治療を受けている患者は、PEコホートから除外された。早産、又は子宮内成長遅延(IUGR)、HELLP症候群、及びPEを患う患者は、対照コホートから除外された。症例(PE)及び対照(正常妊娠)のコホートは、在胎齢、種族、及び出産回数に一致した。
PEと対照の胎盤を比較する発現のマルチプレックスメタ解析
以下の表1に示すように、6つのPE胎盤発現研究(Nishizawaら、Microarray analysis of differentially expressed fetal genes in placenta tissue derived from early and late onset severe preeclampsia. Placenta 2007;28:487-97; Sitrasら、Differential placental gene expression in severe preeclampsia. Placenta 2009;30:424-33; Tsaiら、Transcriptional profiling of human placentas from pregnancies complicated by preeclampsia reveals disregulation of sialic acid acetylesterase and immune signalling pathways. Placenta 2011;32:175-82; Nishizawaら、Comparative gene expression profiling of placentas from patients with severe preeclampsia and unexplained fetal growth restriction. Reproductive biology and endocrinology 2011;9:107; Blair JDら、Widespread DNA hypomethylation at gene enhancer regions in placentas associated with early-onset pre-eclampsia. Molecular Human Reproduction 2013;19:697-708; Jebbink JMら、Increased glucocerebrosidase expression and activity in preeclamptic placenta. Placenta 2013;36:160-169)を組み合わせ、これまでに開発した方法(Morganら、Comparison of multiplex meta-analysis techniques for understanding the acute rejection of solid organ transplants. BMC bioinformatics 2010;11 Suppl 9:S6; Chenら、Differentially expressed RNA from public microarray data identifies serum protein biomarkers for cross-organ transplant rejection and other conditions. PLoS computational biology 2010;6)により、マルチプレックスメタ解析を行った。被験の22,394遺伝子のそれぞれについて、すべての研究にわたってメタ倍率変化を計算した。5つ又はそれ以上の研究で測定され、メタ効果p値が0.05未満であり、メタ倍率変化が1.2より高い場合に、有意な遺伝子として選択された。
タンパク質アトラス解析
Uhlen Mら(Proteomics.Tissue-based map of the human proteome.Science.2015 Jan 23;347(6220):1260419.)に従って、組織富化、群富化、組織増強、全部に表現ある(FPKM>100)、混合という5つの組織カテゴリーから胎盤遺伝子を抽出した。(FPKM>100)。
MGIデータベースからのマウスモデルが有する胎盤機能障害に対するヒトのオルソログ遺伝子
妊娠障害における胎盤遺伝子の機能的意義を理解するために、MGIデータベースから、マウスオルソログ遺伝子が破壊される際に異常胎盤表現型に関連する、ヒトのオルソログ遺伝子を得た。異常胚外境界形態MP:0003836、異常胚外組織生理学MP:0004264及び異常胚外組織形態MP:0002086という3つのMGI表現型が含まれた。
PEのマーカー候補を確認するELISA検定
すべての検定はELISA検定であり、メーカーの指示に従って市販のキットを用いて行った。全ての検定は、可溶性fms様チロシンキナーゼ−1(sFlt−1),R&D system Inc.(MN,US);インヒビンβA(アクチビンA),R&D system Inc.(MN,US);エンドグリンCD105(ENG),R&D system Inc.(MN,US);内皮細胞プロテインC受容体(EPCR),Diagnostica Stago Inc.(NJ,US);胎盤成長因子(PlGF),R&D system Inc.(MN,US)という、選択された分析物の血清レベルを測定するように実施された。
統計解析
「疫学計算器」(R epicalcパッケージ)を用いて、患者の人口統計学的データ及び臨床データを解析した。連続変数のp値を計算するように、スチューデントt検定とマンホイットニーU検定を行い、フィッシャー確率検定とカイ二乗検定により、カテゴリー変数の比較解析を行った。子癇前症の臨床リスク因子群は、文献レビューによって決定され、単変量解析及び多変量解析によって、それらの子癇前症診断に対する影響を調査した。R rmetaパッケージによりフォレストプロットをし、胎盤発現メタ解析を表し、血清タンパク質ELISA結果を図式的にまとめるために用いられた。症例(PE)と対照検体はペアにならず、そのため、最初の血清タンパク質フォレストプロット解析を慎重に解釈する必要があった。ブートストラップ法により、症例群と対照群から「ペア」検体を作成し、その後のELISA結果のフォレストプロット解析のために用いられた。したがって、血清タンパク質フォレストプロット解析は、各分析物がPEと正常な妊娠対照対象を区別する能力の全体的な効果評価を提供した。スチューデントt検定(両側)とマンホイットニーU検定(両側)、及び局所FDR(Efronら Empirical bayes analysis of microarray experiment.J Am Stat Assoc 2001;96:1151 -60)により仮説検定を行い、多重仮説検定問題を修正した。遺伝的アルゴリズム(R genalgパッケージ)により、バイオマーカー特徴の選択及びパネル最適化を行った。各バイオマーカーパネル解析の予測性能は、ROC曲線解析(Zweigら Receiver- operating characteristic (ROC) plots: a fundamental evaluation tool in clinical medicine.Clinical chemistry 1993;39:561-77;Singら ROCR: visualizing classifier performance in R.Bioinformatics 2005;21:3940-1)により評価された。バイオマーカーパネルスコアは、母体循環中のそれぞれアップレギュレートとダウンレギュレートされたタンパク質バイオマーカーの幾何平均の間の比の自然対数として定義された。ランダムフォレストアルゴリズムにより、すべての有意義なバイオマーカーの複合パネルを開発し組み合わせ、ROC AUC性能によって評価した。
結果
マルチオミックスによるPEマーカー候補の発見
図1と2及び表2に示すように、マルチプレックスメタ解析、及びタンパク質アトラス解析とヒトオルソロガス遺伝子解析に用いられるように、従来の胎盤発現研究と組み合わせて、正常対照と比較するPEを診断するバイオマーカー候補を発見した。この努力は、アクチビンA、ENG、PROCR(EPCR)、及びsFlt−1を、PEの差次的胎盤バイオマーカーとして同定した。PlGFを参照バイオマーカーとして使用した。
検体の特性
血清学タンパク質バイオマーカーの検証に用いられるPEと対照は、第一期妊娠群(PE、n=60;対照、n=60、妊娠期34週目未満)、及び第三期妊娠群(PE、n=40;対照、n=40、妊娠期34週目又はそれ以降)に分けた。下記表3と表4にまとめるように、年齢(P値、第一期0.38、第三期0.81、合計0.59)、登録時の妊娠齢週(P値、第一期0.99、第三期0.99、合計0.99)、種族(P値、第一期0.99、合計0.99)、又は対照の併発の医学的状態及び他の臨床的特徴(P値、合計0.061)にわたって、有意的な差(P値<0.05)が観察されなかった。第一期段階では、PEの血液検体採取と分娩との間の間隔は、2.7±3.7週間であり、対照対象の場合、8.1±6.1週間であった;第三期段階では、PE―の場合、0.6±0.8週間であり、対照対象の場合、2.1±2.5週間であった。
PE患者は、高血圧及びタンパク尿の両方を特徴とする子癇前症と診断された。表5に示すように、100名のPE患者の内の100%と91%は、それぞれ高血圧及びタンパク尿を有し、そのうち、12%が頭痛を有し、59%が浮腫を有し、4%が他の症状を有した。他の特徴が表6に示すように、身体質量指数(BMI、妊娠前)、血圧(BP)、タンパク質/クレアチニン比(PCR)、妊娠履歴、タンパク尿、母体身長・体重、及び分娩結果を含んだ。
子癇前症リスク要因の解析
文献レビューにより、妊娠中のBMI、年齢、及び併発の糖尿病を含むリスク因子群を選択した。第一期、第三期及び全段階での単変量及び多変量解析によって、血液検体採取時の妊娠期間を調整する場合と調整しない場合、これらのリスク因子の影響を調査した(表7〜10)。オッズ比及びハザード比の結果は、BMIが子癇前症に有意的、積極的な影響を与えた(p<0.05)、と示した。
PE及び対照母体血清検体を用いたバイオマーカーの検証
PE血清学タンパク質パネルが、利用可能なELISA検定に基づいて即時実用的臨床ツールの開発を可能にするかどうかを判定するために、PE(n=100)及び妊娠期間の一致した対照検体(n=100)を使用して、利用可能な血清検定により、発現メタ解析と2Dゲル解析からのバイオマーカー候補を検証した。図4〜8の箱ひげ図及び散布図を用いて詳細に説明するように、ELISA検定(マンホイットニーU検定)によって5つのタンパク質を検証した。図4〜8は、さらに、血液検体採取、分娩、及びその間の期間の妊娠期間(週)にわたる各検証済みのタンパク質の母体血清存在量の分布を実証した。PEと対照検体において、各検証済みのバイオマーカーの母体血清存在量の中央値、平均値及び標準偏差を表11にまとめた。
フォレストプロット(図3)は、胎盤発現メタ解析及び第一期と第三期の母体血清解析にわたる21つのPEマーカーと対照との比率をまとめた。プロテオーム及び発現メタ−解析からのバイオマーカーは、PEと対照検体との間に、同じようなアップレギュレーション又はダウンレギュレーションの傾向を共有した。
検証済みのPEバイオマーカーの単変量と多変量解析
5つの検証済みのPEバイオマーカーの各々について単変量と多変量解析を行った(表12〜19)。単変量解析におけるオッズ比及びハザード比の結果は、全ての5つのバイオマーカー(第三期段階でEPCRを除く)が、子癇前症に有意な影響(p<0.05)を与えた、と示した。ハザード比の多変量解析は、アクチビンAとPlGFが有意な影響(p<0.05)を与えたと示し、これらのバイオマーカーからなるパネルは、PEと対照対象との最適な分類性能を達成することができる、と示した。
PEバイオマーカーパネル構築
ELISA検定からのデータを使用し、本発明者らは、検定の様々なサブセットにより、異なるパネルを構築した(表20)。本発明者らは、最適な特徴数の、パネルサイズの必要性を均衡させ、分類の正確的な、クラス分離良好(PEvs対照)、及び十分な感受性及び特異性を有するバイオマーカーパネルを同定することを求めた。抗体によるマルチプレックスPE診断を開発することを目的として、PE評価におけるsFlt−1とPlGFとの比と比較して、本発明者らは、幾何学的平均法により、5つの検証済みのPEタンパク質バイオマーカーからバイオマーカーパネルを構築し、第一期及び第三期妊娠期PEに用いた。これらの選択されたバイオマーカーパネルは非冗長であり、非包括的な関係を示した。先行のマルチ機構試験検証(Verlohrenら、An automated method for the determination of the sFlt-1/PIGF ratio in the assessment of preeclampsia. American journal of obstetrics and gynecology 2010;202:161 e1-61 e11)によるsFlt−1/PlGF比のPE評価有効性(第一期発症、レシーバ動作特性曲線ROC曲線下面積が0.9581、p値が2.52×10−18;第三期発症、ROC AUCが0.8288、p値が5.09×10−8;合計、ROC AUCが0.9284、p値が6.17×10−26)は、本研究に検証され、ここでの新たに誘導されたバイオマーカーパネルの基準とした。
疾患発症によるPE疾患活性の分類器としてのバイオマーカーパネルの有効性を実証するために、バイオマーカーパネルスコアは、妊娠齢週の関数としてプロットされた(具体的に、図9に示される)。各パネルについてのROC AUC性能を、表21に示した。散乱プロット解析及びROC AUC解析によって、8つのパネル(パネル1、3、5、6、7、9、13、15)のROC AUCが全段階(第一期、第三期、及び全体)にわたって、sFlt−1/PlGFよりも高かった。パネル1は、2種類のタンパク質を有し、パネル3、5、6と9は、3種類のタンパク質を有し、パネル7と13は、4種類のタンパク質を有し、パネル15は、5種類のタンパク質を有した。妊娠齢週34週未満の対象では、10つのパネル(パネル1〜3、5〜7、9、12、13と15)は、第一期段階(妊娠齢週34週未満)におけるROC AUC性能が、sFlt−1/PlGF比よりも良好であった。妊娠齢週34週以上の対象では、パネル4、12以外の全てのパネルは、ROC AUC性能が、sFlt−1/PlGF比よりも良好であった。全体のROC AUC性能について、パネル1、5と7は、最大AUC値を有する3つのパネルであった(パネル: 0.9397、p値3.22×10−27;パネル5:0.9419、p値1.80×10−27;パネル7:0.9394、p値3.48×10−27)。アクチビンAは、これらの3つのパネルの全てに存在し、PEの診断及び病態生理学における重要な役割を示唆していた。
PEバイオマーカーの経路解析
本発明者らは、PathVisioソフトウェア(バージョン3.2.1、オープンソース経路解析及び描画ソフトウェア)を用いて、早産において複合体として有意に差次的に発現した検証済のバイオマーカーを解析した(Martijnら、Presenting and exploring biological pathways with PathVisio.BMC Bioinformatics 2008;9 (1): 399)。十分に研究されたPEバイオマーカーFLT1を含む血管新生及び焦点接着経路に加えて、本発明の経路解析は、PE病態生理学において重要な役割を果たす可能性がある、以下の統計学的に有意な古典的経路の判定に導いた:TGF−βシグナル伝達経路、分化経路、老化と自食、マトリックスメタロプロテアーゼの阻害、プロテインC経路及びインスリン様成長因子(IGF)の輸送調節、及びインスリン様成長因子結合タンパク質(IGFBPs)の摂取。TGF−βシグナル伝達経路は、最も重要な経路として判定された。これは、最近の発見(Yongら、Effects of normal and high circulating concentrations of Activin A on vascular endothelial cell functions and vasoactive factor production. Pregnancy Hypertens 2015; 5(4):346-53)と、炎症応答及び内皮機能障害となるTGFタンパク質の血漿レベルの上昇に導くPEが胎盤デブリの脱落増加に関連する、本発明者らの仮説を支持した。
考察
本発明者らは、マルチ「オミックス」方法を適用し、検証済みのPEバイオマーカーを開発して、胎盤mRNA発現メタ解析及び枯渇血清学的プロテオーム2Dゲル比較プロファイリングからの発見を統合した。市販のELISA検定によりPEと対照血清を比較することにより、本発明者らは、sFlt−1とPlGFを含む、5つのタンパク質マーカーを検証し、同定されたPEバイオマーカーがPEを予測する際に、sFlt−1/PlGF比に匹敵することが判明した。胎盤組織におけるトランスクリプトームのアプローチと血清中のプロテオームのアプローチを組み合わせる概念は、新規であった。病態生理学の焦点に近い組織研究の利点と臨床用途に適した血清研究の利点とを組み合わせた。発見段階から発見/予測されたタンパク質を、ELISAによる検証段階に取り入れることにより、の研究の知見が臨床的実施に転化することを可能にした。
子癇前症の発症機構が長年にわたって研究されてきた。原因は不明であるが、栄養芽層機能障害は、子癇前症中の主要な病態生理学的変化として最も広く受け入れられてきた(Redman,1991)。栄養芽層からの種々の因子の放出は、炎症性応答を誘発し、高血圧症、タンパク質尿、浮腫、及び他の器官機能障害のような母体の症状をもたらす。循環アクチビンAは、主に、第一期妊娠の間の胎児−胎盤ユニットから由来するものと確定された(Muttukrishnaら,1997)。アクチビンAは、FSH生合成及び分泌を刺激し(Muttukrishna and Knight,1991)、栄養芽層細胞の分化を調節する(Caniggiaら,1997)ことができる。アクチビン受容体タイプ2A(ACVR2A)多型が子癇前症の遺伝的リスク因子としてが示唆された(Fltzpatrickら,2009; Rotenら,2009)。栄養芽層機能障害中に誘導される酸化的ストレスは、アクチビンA分泌を増加させることができる(Mandangら,2007)。循環アクチビンAは、子宮動脈ドップラ超音波検査と併用する際に子癇前症を予測することが提案された(Spencerら,2006)。
子癇前症には、血管新生促進及び抗血管新生の関与も広く研究された(Levineら,2004)。sFlt−1と可溶性エンドグリン(sENG)は、2つの抗血管新生因子である。sFlt−1は可溶性VEGF受容体Iとしても知られ、子癇前症の重症度及び発症時間と相関する(Maynardら,2003)。可溶性エンドグリンは、母体内皮細胞と栄養層において高度に発現され、TGF−β1とβ3の共受容体である(Guら,2008)。PlGFは、胎盤血管新生促進因子であり、VEGFの効果を増強させる(Levineら,2006)。胎盤低酸素症及びそれに続く酸化的ストレスは、血管外栄養層におけるsFlt−1とsENGレベルの発現を増加させ、これらの抗血管新生因子は、栄養層の自食を阻害し、胎盤期間における栄養層の侵襲及び血管リモデリングに不可欠である(Nakashimaら,2013)。sFlt−1/PlGF比は、子癇前症の予測マーカーとして提案された(Levineら,2004;Zeislerら,2016)。
PAPPA2は、栄養層によって発現される大きなタンパク質複合体である(Bersingerら,2003)。PAPPA2のダウンレギュレーションが早期発症型子癇前症と関連することが報告された(Smithら,2002)。それ自体が子癇前症に特異的なバイオマーカーではない(Caniniら,2008)が、子宮動脈ドップラ超音波検査と併用する際に予測価値を有する(Spencerら,2008)。
従来のマルチセンター症例−対照研究(Verlohrenら、An automated method for the determination of the sFlt-1/PIGF ratio in the assessment of preeclampsia. American journal of obstetrics and gynecology 2010;202:161 e1 -61 e11)において、自動化検定を採用し、PE評価のためのsFlt−1とPlGFの有用性を証明し、sFlt−1(PE:12,981±965、及び、対照:2641±100.5pg/mL)とPIGF(PE:76.06±10.71、及び、対照:341.5±13.57pg/mL)の血清存在量が報告された。変動が比較的大きいが、異なる検体コホート又は検定プラットフォームによるものであると推定し、本発明者らの結果に反映される変動の傾向であるsFlt−1(PE:16,470±15,740、及び、対照:1660±1665pg/mL)とPIGF(PE:164.01±169.05、及び、対照:564.09±417.97pg/mL)は、それらの報告と一致していた。図4〜8に示しかつ表22(以下)にまとめるように、正常群において、全てのバイオマーカーのタンパク質存在量は、第一期と第三期の妊娠期検体の間で有意に異なる(p値<0.05)。PE群において、アクチビンAとEPCR(表22)が、第一期と第三期の妊娠の間で有意に異なることがない(p値>0.05)。本発明者らの結果は、PlGF、sFlt−1及びENGが、胎盤形成期間における、対照の妊娠期によって調節されると示し、かつPEと対照との間の差次的表示は、PE期間の胎盤適合に起因する可能性がある。この研究で見出された他のPEバイオマーカー(アクチビンA及びEPCR)は、PE血清中の第一期と第三期の妊娠の間で有意に異なることがない。したがって、PEにおけるそれらの差次的表示は、PEの発症機構及び疾患進行を直接的に評価し、又はその病態生理学に必ずしも関連しないが、発症機構の相当的に末期の段階で存在する特徴(例えば、タンパク尿及び高血圧)を反映することができる。
本発明者らによる遺伝的アルゴリズムに基づくバイオマーカーパネル構築は、PE評価のための最終的な第一期と第三期の妊娠におけるバイオマーカーパネルに導いた。PE評価における基準であるsFlt−1/PlGF比と比較して、本発明のバイオマーカーパネルは、第一期と第三期妊娠期の両方において明らかに優れることがわかった。PE診断に使用されるsFlt−1とPlGFの不均衡が実証されたが、より多くの証拠は、正常なsFlt−1とPlGFの発現が実際に健康な妊娠の特徴である考えをサポートした(Daponteら、Soluble fms-like tyrosine kinase-1 (sFlt-1) and serum placental growth factor (PlGF) as biomarkers for ectopic pregnancy and missed abortion. The Journal of clinical endocrinology and metabolism. 2011;96:E1444-1451)。したがって、sFlt−1とPlGFは、確かに失敗した妊娠(例えば、子宮外妊娠、稽留流産)の一般的なマーカーである可能性があるが、PEに特異的マーカーではない。本発明によるマルチオミックス方法は、多数のバイオマーカーのパネルを発見し、PE病態生理学の多面的な態様を反映し、かつ、PE患者の明確な診断を提供し、リスクのある患者を識別し、疾患の進行をモニタリングするために使用することができる。
〔実施例2〕
子癇前症患者の血清中で、実施例1と2に記載された子癇前症マーカーパネルのタンパク質レベルを測定し、早期発症型子癇前症(例えば、子癇前症の発症が妊娠34週目以前)又は晩発型子癇前症(即ち、子癇前症の発症が妊娠34週目又はそれ以降)の診断におけるこれらの追加のパネルの正確さを判定した。特に関心のあるパネルは以下のものであった(表20参照)。
パネル1:アクチビンA、PlGF
パネル2:ENG、PlGF
パネル3:アクチビンA、ENG、PlGF
パネル4:EPCR、PlGF
パネル5:アクチビンA、EPCR、PlGF
パネル6:ENG、EPCR、PlGF
パネル7:アクチビンA、ENG、EPCR、PlGF
パネル8:sFlt−1、PlGF
パネル9:アクチビンA、sFlt−1、PlGF
パネル10:ENG、sFlt−1、PlGF
パネル11:アクチビンA、ENG、sFlt−1、PlGF
パネル12:EPCR、sFlt−1、PlGF
パネル13:アクチビンA、EPCR、sFlt−1、PlGF
パネル14:ENG、EPCR、sFlt−1、PlGF
パネル15:アクチビンA、ENG、EPCR、sFlt−1、PlGF
パネル8は、子癇前症を診断するための現在の標準を形成するマーカーを含んだ。他のパネルは、パネル8と、本明細書に開示された追加の子癇前症マーカーのマーカーを含んだ。
表23に示されているように、すべてのパネルは、第一期段階及び第三期段階で子癇前症を診断する際に、現在の標準よりも同等又はそれ以上の感度及び匹敵する特異性を有した。異なる特異性レベルでの感度値及び異なる感度レベルでの特異性値が表24と25に示された。実際に、図10AとBは、本明細書中に開示されたすべての5つの検証済みの子癇前症マーカー(アクチビンA、ENG、EPCR、PlGF、sFlt−1)を含むパネルの所定期間(第一期、第三期、及び全段階のAUC=1)において子癇前症を診断する際に、100%の精度を提供したことを示した。
〔実施例3〕
子癇前症マーカーパネル(アクチビンA、ENG、EPCR、PlGF、sFlt−1)のタンパク質レベルを統計的に評価して、当該パネルに基づく検体についての子癇前症スコアに対する各ポリペプチドの寄与をどのように評価するかを決定した。
ランダムフォレストアルゴリズムを使用して、EPCRレベルが最も有意でなく、アクチビンAレベルがEPCRよりも約1.2倍高く有意であり、ENGとPlGFレベルがEPCRよりも約1.6倍高く有意であり、sFlt−1レベルが最も有意であり、即ちEPCRよりも約2.3倍高く有意であったと判定された(表26参照)。
以上は、本発明の原理を単に例示するものである。なお、当業者は、本明細書に明示的に記載又は示されていないが、本発明の原理を反映し、かつその趣旨と範囲内に含まれる、様々な構成を考案することができることが理解される。また、本明細書に記載されるすべての実施例及び条件付き言語は、主に、読者に本発明の原理を理解させ、当分野を促進するように、発明者により提供された概念であり、これらの詳細に記載される実施例及び条件に限定しないと解釈すべきである。また、本明細書において本発明の原理、各態様と実施形態、及びその特定の実施例を記載する陳述は、その構造的及び機能的等価物の両方を含むことが意図される。また、このような等価物は、現在知られている等価物と将来開発される等価物の両方を含むこと、即ち、構造にかかわらず、同じ機能を発揮するように開発された任意の要素を含むことが意図される。したがって、本発明の範囲は、本明細書に示され記載された例示的な実施形態に限定されることを意図しない。むしろ、本発明の範囲及び趣旨は、添付の特許請求の範囲によって具体化される。
他に定義されない限り、ここで使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
本明細書に例示的に記載された開示は、本明細書に具体的に開示されていないいずれの1つ又は複数の要素や制限又は制限の非存在下で、適切に実施することができる。従って、例えば、「備える」、「含む」、「含有する」等の用語は、広義的かつ非限定的にみなされる。さらに、ここで使用される用語及び表現は、限定的ではなく、記載される用語として使用されており、そのような用語及び表現が表示及び記載された特徴のいずれの等価物又はその一部を除外する意図がないように用いられるが、請求の範囲内で様々な変更が可能であることを認識している。
従って、本開示は、好ましい実施形態及び任意の特徴によって具体的に開示されるが、ここで開示された開示の修正、改良、及び変形は、当業者によって採用されることができ、これらの改善及び変形は、本開示の範囲内にあるとみなされる。ここで提供される材料、方法及び実施例は、好ましい実施形態の代表であり、例示的なものであり、本開示の範囲を限定する意図がない。
本開示は、ここで広く一般的に記載されている。包括的な開示に含まれるより狭い種及び亜属のグループの各々も、開示の一部を構成する。これは、除かれた材料が本明細書に具体的に記載されるか否かにかかわらず、当該属からのいずれかの主題の付加条件又は否定的制限を除く本開示の包括的な説明を含む。
また、本開示の特徴又は態様がマーカッシュグループに準じて記載されている場合、当業者は、本開示がマーカッシュグループの任意の単独メンバー又はサブサブグループとして記載されることを認識する。
本明細書に言及された全ての刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献は、それぞれ単独に参照として組み込まれる程度で、それぞれが明示的に参照として組み込まれ、その全体が参照により明示的に組み込まれる。衝突する場合、本明細書(定義を含む)が支配する。
なお、本開示は、上記実施形態と合わせて記載されているが、前記説明及び実施例は説明的を意図するものであり、本開示の範囲を限定するものではないことが理解される。本開示の範囲内の他の態様、利点及び変更は、本開示が属する分野の当業者には明らかである。

Claims (8)

  1. 子癇前症診断を行うためのキットの使用であって、前記キットは、(a)検体における子癇前症マーカーパネルにおけるマーカーの量を測定するための1つ以上の検出要素を含み、前記子癇前症マーカーパネルが、インヒビンβA(アクチビンA)、エンドグリン(ENG)、内皮細胞プロテインC受容体(EPCR)、可溶性fms様チロシンキナーゼ−1(sFlt−1)及び胎盤成長因子(PlGF)を含む、キットの使用。
  2. 前記キットは、さらに(b)子癇前症表現型決定要素を含む、請求項1に記載のキットの使用。
  3. 前記1つ以上の検出要素は、前記マーカーのいずれか一種又は複数種に指す抗体、前記マーカーのいずれか一種又は複数種の遺伝子に指すプローブ核酸、又は前記マーカーのいずれか一種又は複数種の遺伝子をコードするフラグメントに指す遺伝子特異的プライマーである、請求項1に記載のキットの使用。
  4. 前記1つ以上の検出要素は、対象抗体以外に、7つ以下のマーカーに指す抗体を含む、請求項に記載のキットの使用。
  5. 前記子癇前症マーカーパネルは、ADAM12又はPAPPA2の何れかを含まない、請求項1に記載のキットの使用。
  6. 前記子癇前症マーカーパネルは、FSTL3、APLN、LEP、INHA、PIK3CB、SLC2A1、CRH、HSD17B1、SIGLEC6、PVRL4、HEXB、IL1RAP、MFAP5、HTRA1、EBI3、HTRA4の何れかを含まない、請求項1に記載のキットの使用。
  7. 子癇前症診断を行うためのキットであって、(a)検体における子癇前症マーカーパネルにおけるマーカーの量を測定するための1つ以上の検出要素を含み、前記子癇前症マーカーパネルが、インヒビンβA(アクチビンA)、エンドグリン(ENG)、内皮細胞プロテインC受容体(EPCR)、可溶性fms様チロシンキナーゼ−1(sFlt−1)及び胎盤成長因子(PlGF)を含む、キット。
  8. 前記1つ以上の検出要素は、前記マーカーのいずれか一種又は複数種に指す抗体、前記マーカーのいずれか一種又は複数種の遺伝子に指すプローブ核酸、又は前記マーカーのいずれか一種又は複数種の遺伝子をコードするフラグメントに指す遺伝子特異的プライマーである、請求項に記載のキット。
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