JP2016530545A - 卵巣がんに関するバイオマーカー - Google Patents

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Abstract

卵巣がんアセスメントを行う、例えば、卵巣がんを診断する、卵巣がん治療に対する卵巣がんの応答性を予測する、および卵巣がんをモニタリングするためのバイオマーカーおよびバイオマーカーパネルが提供される。患者は、分類に従ってさらに処置されてもよい。卵巣がんアセスメントを行うことにおけるこれらのバイオマーカーの使用のための方法、試薬、デバイスおよびキットも提供される。卵巣がんバイオマーカーとして、卵巣がん表現型において差次的に表示されるタンパク質およびそれらの対応する遺伝子配列、すなわちmRNA、DNAなどが挙げられる。

Description

本発明は、卵巣がんアセスメントの実施における使用のためのバイオマーカーに関する。
卵巣がんは、北アメリカの女性において婦人科がんでは最も多い死亡原因で、がんでは5番目に多い死亡原因であり、これは主に、初期症状がなく、効果的なスクリーニング法もないことによる。卵巣がんの早期検出により、5年生存率が30%未満から70%〜90%に増加するが、早期に診断されているのは症例の20%未満である。前立腺、肺、結腸直腸、および卵巣がんスクリーニング試験(PLCO)の結果から、現在の標準治療であるCA−125タンパク質に関する血液検査および経腟超音波検査では卵巣がん早期検出率も生存率も改善されないという決定的な証拠が得られた。近年、いくつかの新しい早期検出マーカーが提案されているが、現在まで、全て検証に失敗している。本発明は、これらの問題に取り組む。
卵巣がんアセスメントを行う、例えば、卵巣がんを診断する、卵巣がん治療に対する卵巣がんの応答性を予測する、および卵巣がんをモニタリングするためのバイオマーカーおよびバイオマーカーパネルが提供される。アセスメントについてのレポートが患者に提供されてもよい。卵巣がんアセスメントを行うことにおけるこれらのバイオマーカーの使用のための方法、試薬、デバイスおよびキットも提供される。患者は、応答性のアセスメントに従って、さらに処置され得る。
本発明は、添付の図面と共に読まれた場合、以下の詳細な説明から最もよく理解される。特許または出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含有する。カラー図面を有するこの特許または特許出願公報のコピーは、要求に応じておよび必要な手数料の支払いで官庁によって提供される。慣例に従って、図面の様々な特色は、正確な縮尺ではないことが強調される。それどころか、様々な特色の寸法は、明瞭さのために任意に拡大または縮小されている。以下の図が図面に含まれる。
図1は、卵巣がんに最も関連しているヒトゲノムの160の遺伝子を同定するために使用した方法を示す。A.高悪性度漿液性卵巣がんおよび対照の両方の遺伝子発現を含有する7つのデータセットをGene Expression Omnibusからダウンロードした。B.単一遺伝子(単なる方法の概要であるので、この場合、遺伝子は特定しない)に関する(A)におけるメタ分析からのアウトプットを代表するフォレストプロット。y軸は、試験IDを列挙する一方、x軸は、発現におけるLog2倍数変化をプロットする(0は、その試験における症例と対照との間の差がないことを意味し、1は、対照と比較して症例において2倍多い発現を意味するなど)。青い四角のサイズは、試験における患者の数に比例し、その試験に関する平均log倍数変化に中心がある。水平線は、この単一の試験に関するこの推定の95%信頼区間を示す。次いで、要約統計量は、黄色いひし形によって示されている。これは、全ての個々の試験の加重平均である(したがって、より小さい信頼区間を有するより大規模の試験は、その最終要約統計量に及ぼす効果がより大きい)。ひし形の幅は、その要約統計量に関する95%信頼区間を示す。測定された各遺伝子は、かかるプロットによって表され、遺伝子は、要約統計量(エフェクトサイズとも称される)および統計的有意さに基づいてランク付けされる。有意に過剰発現された(log倍数変化>.75、p値<.001、FDR<.001)何かを考慮するために適用したフィルターに基づいて、検討した7つの研究全てにわたって過剰発現される160の遺伝子を同定した。
図2は、独立のコホートでは、図1に記載された手法によって同定された最上位の候補が、当技術分野で認められているバイオマーカーパネルよりもがん症例と対照とを良好に区別することを実証している。A.最上位の候補遺伝子は、591の卵巣がん症例および8つの対照からのCancer Genome Atlas(TCGA)マイクロアレイデータを使用して検証した。4つの遺伝子の組み合わせの発現は、がんを対照群から区別する。B.比較のために、OvaSureは、卵巣がんの早期検出のために2008年に一時的に市販された血液に基づくバイオマーカーパネルである。OvaSureは、がん症例の血清中で上昇する4つのタンパク質を含有する。各緑のドットは、患者であり、y軸に沿った位置は、4つの遺伝子全てに基づいたその人の組み合わせられたスコアを示す。4つの遺伝子の値の幾何平均をマイクロアレイ実験からのアウトプットとして使用した(4つの値を掛け合わせ、次いで4乗根をとる)。
図3は、どのように早期検出に関して最上位にランク付けされたバイオマーカーが正常な個体から早期段階卵巣がん症例(段階Iまたは段階II)を明確に区別するのかを実証している。候補バイオマーカーの最初のリストは、どれだけよくバイオマーカーが初期段階がんから正常な対照を分離するか、およびどれだけよくそれらがTCGAコホートにおける患者生存と相関するかに基づいて優先順位を付けられた。最適なパネルは、リスト上の上位5つのバイオマーカーからなる。匹敵する結果が後期段階卵巣がん症例で取得された。
図4は、早期検出バイオマーカー候補は別のコホートにおいてOvaSureをしのぐことを実証している。早期検出バイオマーカーパネルが、32の卵巣漿液性腺癌症例および32の正常または良性対照からなる第2の独立のコホート(GSE4122)において検証された。このコホートにおいて測定された3つの候補バイオマーカーは、3つのOvaSure遺伝子よりも高いAUCを達成した。
図5は、ヒト血漿中の2つの新規な早期検出バイオマーカーのパイロット検証試験の結果を示す。メタ分析からの候補バイオマーカーのリストをプロテオームデータベースに対してフィルタリングした後、2つのタンパク質(PRKDCおよびRAD45L)を12の事前処置卵巣がん患者、ならびに12の年齢、ジェンダーおよび民族性が一致した対照の血漿におけるパイロット検証研究のために選択した。廃止されたOvaSureパネルにおける6つのバイオマーカーのうち4つ(CA125、OPN、LEP、ILGF2)を正の対照として試験した。各ドットは、単一患者に関するELISA値を表す。青の矢印は、段階I試料の結果をマークしており、赤い矢印は、段階II試料の結果をマークしている。残りの試料は、段階IIIまたはIVである。各パネルにおいて、右のプロットは、がん症例に関する値を示し、左のプロットは、年齢、人種、およびジェンダーが一致した対照に関する値を示す。
卵巣がんアセスメントを行う、例えば、卵巣がんを診断する、卵巣がん治療に対する卵巣がんの応答性を予測する、および卵巣がんをモニタリングするためのバイオマーカーが提供される。アセスメントについてのレポートが患者に提供されてもよい。卵巣がんアセスメントを行うことにおけるこれらのバイオマーカーの使用のための方法、試薬、デバイスおよびキットも提供される。患者は、応答性のアセスメントに従って、さらに処置され得る。本発明のこれらのならびに他の目的、利点、および特色は、以下でより完全に記載された組成物および方法の詳細を読めば、当業者に明らかとなる。
本方法および組成物が記載される前に、本発明は、記載された特定の方法または組成物に限定されず、そのため、当然、変わり得ることを理解されたい。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、本明細書で使用する用語法は、特定の実施形態を記載することのみを目的とし、限定的であることを意図していないことも理解されたい。
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限値と下限値との間の介在している各値も、文脈が明確にそうでないと指示しない限り下限値の単位の10分の1まで、具体的に開示されていることが理解される。記載の範囲における任意の記載の値または介在している値と、記載の範囲における任意の他の記載のまたは介在している値との間のより小さい各範囲は、本発明内に包含される。これらのより小さい範囲の上限値および下限値は、独立して、その範囲に含まれていてもよいし除外されていてもよく、各範囲(そのより小さい範囲にいずれかの限界または両方の限界が含まれるか、あるいはいずれの限界も含まれない)も、記載の範囲における任意の具体的に除外された限界を条件として本発明内に包含される。記載の範囲が限界の1方または両方を含む場合、それらの含まれた限界のいずれかまたは両方を除外した範囲も、本発明に含まれる。
他に定義されない限り、本明細書で使用する全ての技術および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって通例理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で記載されたものと類似したまたは同等である任意の方法および材料が本発明の実施または試験において使用され得るが、一部の可能性のあるかつ好ましい方法および材料がここで記載される。本明細書で言及する全ての刊行物は、その刊行物の引用に関する方法および/または材料を開示および記載するために参照により本明細書に組み込まれている。本開示は、矛盾がある範囲では組み込まれた刊行物のいずれかの開示に取って代わることが理解される。
本開示を読めば当業者には明らかとなるように、本明細書で記載され、図解された個々の実施形態のそれぞれは、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特色と容易に分離または組み合わせられ得る別々の構成要素および特色を有する。任意の記載の方法は、記載の事象の順序でまたは論理的に可能である任意の他の順序で行われ得る。
本明細書、および添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に指示しない限り、複数の参照対象を含むことに留意されなければならない。したがって、例えば、「細胞」への言及は、複数のかかる細胞を含み、「ペプチド」への言及は、1つまたは複数のペプチドおよび当業者に公知であるその同等物、例えばポリペプチドなどへの言及を含む。
本明細書で考察される刊行物は、本出願の出願日の前に単にそれらの開示のために提供されている。本明細書で何も、本発明が、先の発明のためにかかる刊行物に先行する権利がないという自認として解釈されない。さらに、提供された刊行物の日付は、独立して確認される必要があり得る実際の刊行日とは異なり得る。
上記で概要を述べたように、本発明の態様は、卵巣がんアセスメントを提供すること、例えば対象における卵巣がんを診断、予後評価、モニタリングおよび/または処置することにおいて有用である、組成物、方法、システムおよびキットを含む。本発明の記載において、卵巣がんアセスメントを提供するのに有用な組成物が最初に記載され、次いで、それらの使用のための方法、システムおよびキットが記載される。
卵巣がんバイオマーカーおよびバイオマーカーパネル
本発明の一部の態様では、卵巣がんバイオマーカーが提供される。「バイオマーカー」または「マーカー」は、試料中のその表示が疾患表現型と関連している分子実体を意味する。「卵巣がん」は、当技術分野で公知のまたは本明細書で記載される、卵巣から生じる任意のがん性増殖、例えば、表面上皮−間質性腫瘍(例えば、乳頭漿液性嚢胞腺癌、子宮内膜性腫瘍、漿液性嚢胞腺癌、乳頭、粘液性嚢胞腺癌、明細胞卵巣腫瘍、粘液性腺癌、嚢胞腺癌などを含めた腺癌)、癌腫(例えば、性索−間質性腫瘍、他の癌腫)、胚細胞腫瘍(例えば、テラトーマ、未分化胚細胞腫など)、ミューラー腫瘍、類表皮腫瘍(扁平上皮癌)、ブレンナー腫瘍などを意味する。したがって、卵巣がん「バイオマーカー」または「卵巣がんマーカー」は、試料中のその表示が卵巣がん表現型、例えば、卵巣がんの存在、卵巣がんの段階、卵巣がんと関連する予後、治療に応答性である卵巣がんの予測可能性などと関連している分子実体を意味する。換言すれば、マーカーは、卵巣がん表現型を有する試料中で差次的に表示されると言われてもよい。
卵巣がんバイオマーカーとして、卵巣がん表現型において差次的に表示されるタンパク質およびそれらの相当する遺伝子配列、すなわちmRNA、DNAなどが挙げられる。「遺伝子」または「組換え遺伝子」は、タンパク質をコードするオープンリーディングフレームを含む核酸を意味する。コード配列の境界は、5’(アミノ)末端の開始コドンおよび3’(カルボキシ)末端の翻訳終止コドンによって決定される。転写終結配列が、コード配列の3’に位置していてもよい。さらに、遺伝子は、その天然のプロモーター(すなわち、それがあれば遺伝子のエキソンおよびイントロンが、非組換え細胞、すなわち、自然発生の細胞において作動可能に連結しているプロモーター)、および関連制御配列を任意選択で含んでもよく、AUG開始部位の上流にある配列を有してもまたは有さなくてもよく、非翻訳リーダー配列、シグナル配列、下流非翻訳配列、転写開始および終止配列、ポリアデニル化シグナル、翻訳開始および終止配列、リボソーム結合部位などを含んでもまたは含まなくてもよい。「遺伝子産物」または「発現産物」という用語は、mRNAを含めた遺伝子のRNA転写産物(転写物)、およびかかるRNA転写物のポリペプチド翻訳産物、すなわち遺伝子によってコードされるアミノ酸産物を指すために本明細書で使用する。遺伝子産物は、例えば、遺伝子のRNA転写物、例えばスプライシングされていないRNA、mRNA、スプライスバリアントmRNA、マイクロRNA、断片化したRNAなど、または例えば、全長ポリペプチド、全長ポリペプチドのスプライスバリアント、翻訳後修飾されたポリペプチド、および遺伝子産物の断片、例えばペプチドなどを含めた遺伝子によってコードされるアミノ酸産物であり得る。一部の例では、マーカーまたはマーカー活性の上昇したレベルは、卵巣がん表現型と関連し得る。他の例では、マーカーまたはマーカー活性の低下したレベルは、卵巣がん表現型と関連し得る。
本開示の実施例において実証されるように、本発明者らは、卵巣がんのサブタイプの血液試料中で上昇したレベルで表示され、したがって、卵巣がんアセスメントを提供すること、例えば卵巣がんを診断すること、卵巣がんを予後診断すること、卵巣がんに罹患している対象のための処置を決定すること、卵巣がんを有する対象をモニタリングすることなどにおけるバイオマーカーとして有用である2つのタンパク質、PrkdcおよびRad54Lを同定した。「タンパク質キナーゼ、DNA活性化、触媒ポリペプチド」、DNA−PKcs、HYRC、p350、DNAPK、DNPK1、HYRC1、およびXRCC7としても公知であるPRKDC遺伝子は、DNA依存性タンパク質キナーゼ(DNA−PK)の触媒サブユニットをコードする。それは、DNA二本鎖切断修復および組換えにおいてKu70/Ku80ヘテロ二量体タンパク質と共に機能する。コードされるタンパク質は、PI3/PI4キナーゼファミリーのメンバーである。PRKDCに関するcDNAおよびタンパク質配列は、Genbank受託番号NM_006904.6で見出され得る。「RAD54様」、HR54、hHR54、RAD54A、およびhRAD54としても公知であるRAD54L遺伝子は、DEAD様ヘリカーゼスーパーファミリーに属するタンパク質をコードし、相同組換えおよびDNA二本鎖切断修復を含めたDNAの修復に関与することが公知であるタンパク質であるSaccharomyces cerevisiae Rad54と類似性を共有する。二本鎖DNAへのこのタンパク質の結合は、DNAの形態的変化を誘導し、これは、相同DNAペアリングを促進し、DNA組換えを刺激すると考えられている。RAD54Lに関するcDNAおよびタンパク質配列は、Genbank受託番号NM_003579.3で見出され得る。
PrkdcおよびRad54Lは、DNA修復の決定的なメディエーターであるので、例えば、血液中のPrkdcもしくはRad54Lタンパク質またはタンパク質活性の上昇したレベルを有する卵巣がん患者は、がんを有さない個体における血液中のPrkdcまたはRad54Lレベルとより密接に相関するPrkdcまたはRad54Lレベルを有する卵巣がん患者よりも、DNA損傷剤であるがん治療薬に抵抗性が高くかつ応答性が低くなる。「DNA損傷剤」は、例えば当技術分野で公知のまたは以下に記載された、例えばDNAをアルキル化またはメチル化して、ミスマッチを誘導すること、トポイソメラーゼ2を阻害すること、DNAにおける破壊を誘導することなどによってDNAを損傷する化学療法剤または放射線を意味する。例えば、がんを有さない個体よりも血液中において1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、もしくは10倍またはそれを超えるPrkdcまたはRad54Lタンパク質を有する卵巣がん患者は、非罹患個体のレベルと類似する血液中のPrkdcまたはRad54Lタンパク質のレベルを有する卵巣がん患者よりも、DNA損傷剤に応答性が低い。がん治療に対して「応答性」であることは、対象への薬剤の有効量の投与が卵巣がん細胞の増殖の速度を、例えば70%、80%、90%、または100%減少させる、すなわち卵巣がん細胞の増殖を停止させ、一部の場合では、卵巣がん腫瘍または転移のサイズの退縮を誘導し、例えば腫瘍サイズの10%またはそれを超える減少、例えば、腫瘍サイズの20%減少、30%減少、40%減少、50%減少、または60%減少、場合によって、サイズの70%、80%または90%減少を誘導し、一部の場合では、卵巣がん細胞の可視の兆候を対象から根絶し、卵巣がんの寛解を誘導することを意味する。「応答性がより低い」ことは、対象への薬剤の有効量の投与が卵巣がん細胞の増殖の速度を30%、40%、50%、60% 70%、80%、90%または100%減少させ得る、すなわち卵巣がん細胞の増殖を停止させるが、卵巣がん腫瘍または転移のサイズの退縮を典型的に誘導しないことを意味する。一部の場合では、上昇したPrkdcまたはRad54Lタンパク質レベルを有する卵巣がん患者は、DNA治療に実質的に非応答性である。がん治療に対して非応答性、または非感受性であることは、対象への薬剤の有効量の投与が、卵巣がん細胞の増殖および卵巣がん腫瘍のサイズに対する効果を実質的に有さないことを意味する。したがって、対象の卵巣がんバイオマーカーは、DNA損傷剤を卵巣がんの増殖を低下させるために使用することができるかどうかを決定するための方法において使用することができる。本方法は、本発明の方法によって対象がかかる薬剤に応答性であると決定された場合、DNA損傷剤で対象を処置するのに有用である。
本発明の態様では、卵巣がんバイオマーカーのパネルも提供される。「卵巣がんバイオマーカーパネル」または「卵巣がんマーカーパネル」は、試料中のその表示が卵巣がん表現型と関連している、2つまたはそれを超える分子実体、例えば2、3、4、5または5を超える実体の収集物または組合せを意味する。一部の例では、パネルにおけるバイオマーカーの表示(タンパク質のレベル、タンパク質活性のレベル、RNAのレベルなど)は、卵巣がんアセスメントを行うために個々に考慮されてもよい。他の例では、バイオマーカーの表示は、卵巣がんアセスメントを行うことにおいて、組合せで、例えば一緒におよび/または当技術分野で公知のまたは発見された卵巣がんバイオマーカーと共に考慮されてもよい。したがって、本例では、Prkdcは、卵巣がんアセスメントを行うために単独でまたはRad54Lもしくは当技術分野で公知の他の卵巣がんバイオマーカーと組み合わせて使用してもよい。同様に、Rad54Lは、卵巣がんアセスメントを行うために単独でまたはPrkdcもしくは当技術分野で公知の他の卵巣がんバイオマーカーと組み合わせて使用してもよい。任意の好都合な卵巣がんバイオマーカー、例えば、アルデヒド脱水素酵素1(ALDH1)、アポC1、アポAII、アポCII、βヘモグロビン、カルサイクリン、カルグラニュリンA、カルグラニュリンC、クローディン3、結合組織増殖因子(CTGF)、好酸球由来ニューロトキシン、繊維芽細胞増殖因子2(塩基性)(FGF2)、葉酸受容体1(FOLR1)、グリコデリン、GPCR49、グルタチオンS転移酵素シータ1(GSTT1)、ヘプシン、ヘプシジン、インスリン様増殖因子−II、インターαトリプシン阻害剤重鎖H4、カリクレイン関連ペプチダーゼ6(KLK6/7)、カリクレイン10、レプチン、マクロファージ阻害因子、ムチン−16(CA125)、オステオポンチン、プロラクチン、プロテアーゼセリン8(PRSS8)、プロテインC阻害剤、溶質輸送体ファミリー39(亜鉛トランスポーター)メンバー4(SLC39A4)、小MBL関連タンパク質C末端断片、角質層キモトリプシン(chymotrytic)酵素、トランスフェリン、トランスサイレチン、WAP4ジスルフィドコアドメイン2(HE4)、リン酸化Src相同2ドメイン含有形質転換タンパク質1(Shc)、リン酸化Src相同2ドメイン含有E(She)、およびカゼインキナーゼ1イプシロンに特異的な自己抗体に関する遺伝子産物を対象の卵巣がんバイオマーカーパネルにおいてPrkdcおよびRad54Lと組み合わせて使用してもよい。特定の目的のバイオマーカーとして、例えば、その完全な開示が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第7,470,509号に開示されているような、DNA損傷薬に対する卵巣がんの応答性の見込みを決定することを目的とするものが挙げられる。
方法
対象の卵巣がんバイオマーカーは、患者、または「対象」に関する卵巣がんアセスメントを行うことにおいて有用である。「卵巣がんアセスメント」は、卵巣がんに対する対象の敏感性の予測、対象が現在卵巣がんに罹患しているかどうかの決定、卵巣がんに罹患している対象の予後診断(例えば、卵巣がん状況、卵巣がんの段階の同定、治療および/または介入に対する応答性の予測、例えば、化学療法、放射線、または外科手術に対する感受性または抵抗性、患者が卵巣がんで死亡する見込みなど)、および治療測定学の使用(例えば、対象の状態をモニタリングして、卵巣がんに対する治療の効果または有効性に関する情報を提供すること)を一般的に意味する。したがって、例えば、対象の卵巣がんバイオマーカーおよびバイオマーカーパネルは、卵巣がんを診断する、卵巣がんを有する患者に予後診断を提供する、医学的治療に対する卵巣がんを有する患者の応答性の予測を提供する、卵巣がんを有する患者をモニタリングする、卵巣がんを有する患者を処置するためなどに使用してもよい。
当該方法の実施において、患者に関する卵巣がんバイオマーカーシグネチャーが取得される。「卵巣がんバイオマーカーシグネチャー」またはより簡単に「卵巣がんシグネチャー」は、目的の卵巣がんバイオマーカーまたはバイオマーカーパネルの測定されたレベル/活性(例えば、タンパク質レベル、タンパク質活性レベル、RNAレベルなど)の表示を意味する。バイオマーカーシグネチャーは、典型的には、これらの1つまたは複数の目的のバイオマーカーのバイオマーカーレベル/活性に関する定量的データを含む。バイオマーカーシグネチャーの例として、測定されたタンパク質、タンパク質活性、および/またはRNAレベルの収集物が挙げられる。例えば、「タンパク質バイオマーカーシグネチャー」は、1つまたは複数の疾患バイオマーカーによってコードされるポリペプチドの量に関する定量的データを含む。「活性バイオマーカーシグネチャー」は、1つまたは複数の疾患バイオマーカーによって提示される、タンパク質活性(例えば、アッセイによって決定される酵素活性)の量に関する定量的データを含む。「RNAバイオマーカーシグネチャー」は、1つまたは複数の疾患バイオマーカーによって転写されるRNAの量に関する定量的データを含む。本明細書で使用する場合、「バイオマーカーシグネチャー」という用語は、「タンパク質シグネチャー」および「活性シグネチャー」、ならびに「RNAシグネチャー」を包含する。バイオマーカーシグネチャーの例として、バイオマーカープロファイルおよびバイオマーカースコアが挙げられる。「バイオマーカープロファイル」は、患者試料中の1つまたは複数の目的のバイオマーカー、すなわち目的のバイオマーカーのパネルの基準化された表示を意味する。「バイオマーカースコア」は、患者試料中の1つまたは複数の目的のバイオマーカー、より一般には、2つまたはそれを超える目的のバイオマーカー、すなわち目的のバイオマーカーのパネルの加重された表示の和を表す単一計量値を意味する。バイオマーカープロファイルおよびスコアは、以下でより詳細に考察される。
例えば、一部の実施形態では、当該方法は、卵巣がんシグネチャーを取得するために使用してもよい。つまり、当該方法は、DNA損傷治療に非応答性である卵巣がんにおいて、上方または下方制御されている(すなわち、より高いまたはより低いレベルで発現される、より高いまたはより低いレベルの活性を呈示するなど)、1つまたは複数の卵巣がんバイオマーカー、例えばPrkdcまたはRad54Lのタンパク質、RNA、または活性レベルの表示を取得するために使用してもよい。ある特定の実施形態では、卵巣がんシグネチャーは、タンパク質シグネチャーであり、これは、1つまたは複数の卵巣がんバイオマーカーによってコードされるポリペプチドの量に関する定量的データを含む。ある特定の実施形態では、卵巣がんシグネチャーは、活性シグネチャーであり、これは、1つまたは複数の卵巣がんバイオマーカーによって呈示されるタンパク質活性(例えば、アッセイによって決定した場合の酵素活性)の量に関する定量的データを含む。ある特定の実施形態では、卵巣がんシグネチャーは、卵巣がんRNAシグネチャーであり、これは、1つまたは複数の卵巣がんバイオマーカーによって転写されるRNAの量に関する定量的データを含む。
卵巣がんシグネチャーを取得するために、1つまたは複数の目的の卵巣がんバイオマーカーのタンパク質レベル、タンパク質活性レベル、mRNAレベルなどが患者試料中で検出される。つまり、1つまたは複数の卵巣がんバイオマーカー、例えばPrkdcおよび/またはRad54L、ならびに一部の例では、当技術分野の他の卵巣がんバイオマーカー、例えばバイオマーカーのパネルの表示が患者試料に関して決定される。患者に関する「試料」という用語は、血液および生物学的起源の他の液体試料、生検標本または組織培養物またはこれに由来するもしくはこれから単離された細胞およびその子孫などの固体組織試料を包含する。定義は、獲得後に任意の方法で、例えば、試薬での処置によって操作された、洗浄された、またはある特定の細胞集団に関して濃縮された試料も含む。定義は、分子の特定の型、例えば、核酸、ポリペプチドなどに関して濃縮された試料も含む。「生物学的試料」という用語は、臨床試料を包含し、外科的切除によって取得された組織、生検によって取得された組織、培養下の細胞、細胞上清、細胞溶解物、組織試料、器官、骨髄、血液、血漿、血清なども含む。「血液試料」という用語は、血液試料(例えば、末梢血試料)および任意のその派生物(例えば、分画された血液、血漿、血清など)を包含する。
当該方法の実施において、バイオマーカーレベルは、典型的には、個体から取得される体液試料(例えば、血液、例えば、全血、分画された血液、血漿、血清などの試料)においてアセスメントされる。収集された試料は、新鮮にアッセイされてもよいし、またはそれは、保管され、後でアッセイされてもよい。後者の場合、試料は、遺伝子発現が後日アッセイされ得るように試料を保存する任意の好都合な手段によって保管されてもよい。例えば試料は、新鮮に凍結保存され、つまり、例えば4℃で、−20℃で、−60℃で、−80℃で、または液体窒素下で固定液での含浸なしに凍結保存されてもよい。あるいは、試料は、当技術分野で公知の多くの固定液のいずれか、例えばアルコール、メタノール、アセトン、ホルマリン、パラホルムアルデヒドなどを使用して、例えば室温で、4℃で、−20℃で、−60℃で、−80℃で、または液体窒素下で固定され、保存されてもよい。
試料は、全体試料として、例えば未精製の形態で、アッセイされてもよい。あるいは、例えば血液試料に関して、試料は、例えば、アッセイされるバイオマーカーが細胞内タンパク質、またはRNAである場合に白血球を精製するために、例えば、バイオマーカーが分泌されたポリペプチドである場合に血漿または血清を精製するために、分析前に分画されてもよい。さらなる分画も実施することができ、例えば、精製された白血球試料に関して、例えばパニング、磁気ビーズ選別、または蛍光活性化細胞選別(FACS)による分画を実施して、細胞の特定の型を濃縮し、それによって、分析のためのその細胞型の濃縮された集団に達してもよい、または、例えば、血漿または血清試料に関して、サイズ、電荷、質量、または他の物理的特徴に基づく分画を実施して、例えば、非変性形態が検出に必要であるかどうかに依存して、変性または非変性(「天然」)条件下で、特定の分泌されたポリペプチドを精製してもよい。次いで、1つまたは複数の画分が、1つまたは複数の目的の遺伝子の発現レベルを測定するためにアッセイされる。そのため、本明細書で使用する場合、「血液」という用語は、全血および任意の分画されたその一部(例えば、血液細胞画分、血漿、血清など)を含む。
1つまたは複数の目的のバイオマーカーの表示は、タンパク質レベル、タンパク質活性レベル、ポリヌクレオチド、すなわちmRNAレベルなどを測定するための当技術分野で公知の任意の好都合な方法によって測定されてもよい。例えば、PrkdcまたはRad54Lタンパク質/ポリペプチドの試料中の量またはレベルが決定されてもよい。アッセイする試料中の1つまたは複数のタンパク質のレベルが決定される、タンパク質レベルを評価するための任意の好都合なプロトコールを用いてもよい。タンパク質レベル決定の抗体に基づく方法に関して、意図されたバイオマーカー(例えば、Prkdc、Rad54L)に特異的に結合する任意の好都合な抗体を使用することができる。本明細書で使用する場合、「特異的に結合する」または「特異的な結合」という用語は、溶液または反応混合物中の他の分子または部分と比較して、ある分子への優先的な結合を表す(例えば、抗体が、他の利用可能なポリペプチドまたはエピトープと比較して、特定のポリペプチドまたはエピトープに特異的に結合する)。一部の実施形態では、ある分子が特異的に結合する別の分子に対するこのある分子の親和性は、10−5Mまたはそれ未満(例えば、10−6Mもしくはそれ未満、10−7Mもしくはそれ未満、10−8Mもしくはそれ未満、10−9Mもしくはそれ未満、10−10Mもしくはそれ未満、10−11Mもしくはそれ未満、10−12Mもしくはそれ未満、10−13Mもしくはそれ未満、10−14Mもしくはそれ未満、10−15Mもしくはそれ未満、または10−16Mもしくはそれ未満)のKD(解離定数)によって特徴付けられる。「親和性」は、結合の強さを意味し、結合親和性の増加はより低いKDと相関する。例えば、Prkdcレベルは、抗体MA5−15813(Pierce)、1B9(Abnova)、LS−B6857(LifeSpan BioSciences)、CIB1(Abgent)、Y393(Abgent)、または3H6(MyBioSource)を使用して検出されてもよく、一方、Rad54Lレベルは、LS−C9873(LifeSpan BioSciences)、LS−C110146(LifeSpan BioSciences)、Sbe62 5F4/2(Creative BioMart)、5H3(Creative BioMart)、または4G2(Novus Biologics)を使用して検出されてもよい。他の抗体は、当業者によって容易に特定され得る。
タンパク質レベルをアッセイするいろいろな異なる様式が当技術分野で公知であるが、タンパク質レベルをアッセイするためのプロトコールの1つの代表的かつ好都合な型は、ELISAである。ELISAおよびELISAに基づくアッセイでは、目的のタンパク質に特異的な1つまたは複数の抗体は、選択された固体表面、好ましくはポリスチレンマイクロタイタープレートのウェルなどのタンパク質親和性を示す表面上に固定化されてもよい。洗浄して、不完全に吸着した材料を除去した後、アッセイプレートウェルは、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼインまたは粉乳の溶液などの試験試料に関して、抗原性に中性であることが公知である非特異的「ブロッキング」タンパク質でコーティングされる。これは、固定化表面上の非特異的吸着部位のブロッキングを可能にし、それによって、表面への抗原の非特異的結合によって引き起こされるバックグラウンドを低下させる。洗浄して、結合していないブロッキングタンパク質を除去した後、固定化表面は、免疫複合体(抗原/抗体)形成に貢献する条件下で、試験される試料と接触される。かかる条件は、試料をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)/TweenまたはPBS/Triton−X 100中のBSAまたはウシガンマグロブリン(BGG)などの希釈液(これも、非特異的バックグラウンドの低下を助ける傾向がある)で希釈し、試料を約25℃〜27℃(他の温度を使用してもよいけれども)程度の温度で約2〜4時間インキュベートすることを含む。インキュベーション後、抗血清接触表面は、免疫複合体化していない材料を除去するために洗浄される。例示的な洗浄手順は、PBS/Tween、PBS/Triton−X 100、またはホウ酸緩衝液などの溶液で洗浄することを含む。次いで、免疫複合体形成の出現および量を、結合した免疫複合体を第1の抗体とは異なる標的に対して特異性を有する第2の抗体に供し、第2の抗体の結合を検出することによって決定してもよい。ある特定の実施形態では、第2の抗体は、適切な発色性基質とインキュベートした際に着色沈殿物を生成する、会合酵素、例えばウレアーゼ、ペルオキシダーゼ、またはアルカリホスファターゼを有する。例えば、ウレアーゼまたはペルオキシダーゼがコンジュゲートした抗ヒトIgGを、ある期間、免疫複合体形成の発生を支持する条件(例えば、PBS/TweenなどのPBS含有溶液中で室温で2時間のインキュベーション)下で用いてもよい。第2の抗体とのかかるインキュベーションおよび結合していない材料を除去するための洗浄後、例えばウレアーゼ標識の場合、尿素およびブロモクレゾールパープルなどのまたはペルオキシダーゼ標識の場合、2,2’−アジノ−ジ−(3−エチル−ベンズチアゾリン)−6−スルホン酸(ABTS)およびHなどの発色性基質を用いたインキュベーションによって、標識の量が定量化される。次いで、定量化が、例えば、可視スペクトル分光光度計を使用して発色の程度を測定することによって達成される。
先行するフォーマットは、アッセイプレートに試料を最初に結合させることによって改変されてもよい。次いで、一次抗体がアッセイプレートでインキュベートされ、その後一次抗体に対する特異性を有する標識された第2の抗体を使用して結合した一次抗体が検出する。
抗体が固定化される固体基質は、多種多様の材料かつ多種多様の形状で、例えば、マイクロタイタープレート、マイクロビーズ、ディップスティック、樹脂粒子などで作られ得る。基質は、シグナルノイズ比を最大化し、バックグラウンド結合を最小化するように、ならびに分離の容易さおよびコストのために選択されてもよい。洗浄は、例えば、ビーズまたはディップスティックをリザーバーから除去する、マイクロタイタープレートウェルなどのリザーバーを空にするまたは希釈する、または洗浄液または溶媒でビーズ、粒子、クロマトグラフィー(chromatograpic)カラムまたはフィルターをすすぐことによる、使用する基質に最も適切な様式で実施されてもよい。
代わりに、試料中の1つまたは複数のタンパク質のレベルを測定するためのELISAに基づかない方法を用いてもよく、任意の好都合な方法を使用してもよい。当業者に公知の代表的な例は、質量分析、プロテオミクスアレイ、xMAPTMミクロスフェアテクノロジー、ウエスタンブロット法、免疫組織化学的検査、フローサイトメトリー、および電気化学センサーによる体液における検出を含むが、これらに限定されない。例えば、フローサイトメトリー方法では、1つまたは複数の目的の遺伝子の遺伝子産物の定量的レベルは、レーザーによって細胞懸濁液中の細胞上で検出される。ELISAおよび免疫組織化学的検査と同様に、目的の遺伝子によってコードされるポリペプチドを特異的に結合する抗体(例えば、モノクローナル抗体)をかかる方法において使用する。別の例として、電気化学センサーを用いてもよい。かかる方法では、標的タンパク質(「分析物」)に特異的な捕捉アプタマーまたは抗体は、電極上に固定化される。同様に標的タンパク質に特異的である第2のアプタマーまたは抗体が、例えば、ピロロキノリン(pyrroquinoline)キノングルコース脱水素酵素((PQQ)GDH)で標識される。体液の試料を、電極を体液に浸すまたは試料液体を試料室に加えることによって、センサーに導入し、分析物を標識されたアプタマー/抗体および固定化された捕捉アプタマー/抗体と相互作用させておく。次いで、グルコースを試料に供給し、(PQQ)GDHによって発生された電流を観察し、ここで、電気化学セルを通過する電流の量は、電極で捕捉された分析物の量に直接関連している。
別の例として、PRKDCまたはRAD54Lによってコードされる1つまたは複数のRNAの試料中の量またはレベルが決定される。試料中のmRNAレベルを測定するための任意の好都合な方法、例えばハイブリダイゼーションに基づく方法、例えばノーザンブロット法およびインサイチュハイブリダイゼーション(Parker & Barnes、Methods in Molecular Biology 106巻:247〜283頁(1999年))、RNAse保護アッセイ(Hod、Biotechniques 13巻:852〜854頁(1992年))、ならびにPCRに基づく方法(例えば逆転写PCR(RT−PCR)(Weisら、Trends in Genetics 8巻:263〜264頁(1992年))を使用してもよい。
mRNAレベルを測定するために、出発材料は、細胞の懸濁液、例えば末梢血試料から単離された、全RNA、すなわち分画されていないRNA、またはポリA+RNAであってもよい。mRNA抽出に関する一般的な方法は、当技術分野で周知であり、Ausubelら、Current Protocols of Molecular Biology、John Wiley and Sons(1997年)を含めた分子生物学の標準的な教科書において開示されている。RNA単離も、商業的製造者からの精製キット、緩衝液セットおよびプロテアーゼを製造者の説明書に従って使用して実施することができる。例えば、細胞懸濁液からのRNAは、Qiagen RNeasyミニカラムを使用して単離することができ、細胞懸濁液またはホモジナイズされた組織試料からのRNAは、TRIzol試薬に基づくキット(Invitrogen)、MasterPure(商標)Complete DNAおよびRNA Purification Kit(EPICENTRE(商標)、Madison、WI)、Paraffin Block RNA Isolation Kit(Ambion、Inc.)またはRNA Stat−60 kit(Tel−Test)を使用して単離することができる。
mRNAレベルは、任意の好都合な方法によって測定されてもよい。mRNAレベルを測定するための方法の例は、例えば、差次的遺伝子発現分析の分野で見出され得る。mRNAレベルを測定するためのプロトコールの1つの代表的かつ好都合な型は、アレイに基づく遺伝子発現プロファイリングである。かかるプロトコールは、生成されるプロファイルにおいてアッセイされる/プロファイルされる遺伝子のそれぞれに関する「プローブ」核酸を示す核酸が用いられるハイブリダイゼーションアッセイである。これらのアッセイでは、標的核酸の試料は、アッセイされる最初の核酸試料から最初に調製され、ここで、調製は、標識、例えば、シグナル産生系のメンバーでの標的核酸の標識化を含んでもよい。標的核酸試料調製後、試料は、ハイブリダイゼーション条件下でアレイと接触され、それによって複合体が、アレイ表面に結合しているプローブ配列に相補的である標的核酸間に形成される。次いで、ハイブリダイズした複合体の存在が定性的または定量的に検出される。
当該方法において用いられる発現シグネチャーを生成するために実行されてもよい特異的なハイブリダイゼーションテクノロジーとして、その開示が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第5,143,854号、第5,288,644号、第5,324,633号、第5,432,049号、第5,470,710号、第5,492,806号、第5,503,980号、第5,510,270号、第5,525,464号、第5,547,839号、第5,580,732号、第5,661,028号、第5,800,992号ならびにWO95/21265、WO96/31622、WO97/10365、WO97/27317、EP373203、およびEP785280に記載されているテクノロジーが挙げられる。これらの方法では、その発現がアッセイされている表現型決定遺伝子のそれぞれに関するプローブを含む「プローブ」核酸のアレイが上記の標的核酸と接触される。接触は、ハイブリダイゼーション条件、例えば、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で行われ、次いで結合していない核酸が除去される。本明細書で使用する場合、「ストリンジェントなアッセイ条件」という用語は、アッセイにおける特異性の望ましいレベルを提供するのに十分な相補性の核酸、例えば、表面結合および溶液相核酸の結合対を作製するために適合性である一方、望ましい特異性を提供するのに不十分な相補性の結合メンバー間の結合対の形成に適合性が低い条件を指す。ストリンジェントなアッセイ条件は、ハイブリダイゼーション条件および洗浄条件の両方の合計または組合せ(全体性)である。
ハイブリダイズした核酸の結果として生じるパターンは、プローブされた遺伝子のそれぞれについて発現に関する情報を提供し、ここで、発現情報は、遺伝子が発現されるかどうか(典型的には、どのようなレベルで発現されるか)に関するものであり、ここで、発現データ、すなわち、発現プロファイル(例えば、トランスクリプトソームの形態で)は、定性的かつ定量的の両方であってもよい。
さらにまたは代替的に、試料中の1つまたは複数の核酸のレベルを定量化するためのアレイに基づかない方法を用いてもよい。これらには、増幅プロトコールに基づくもの、例えば、定量的PCR、逆転写PCR(RT−PCR)、リアルタイムPCRなど、例えばTaqMan(登録商標)RT−PCR、MassARRAY(登録商標)System、BeadArray(登録商標)テクノロジー、およびLuminexテクノロジーを含めたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に基づくアッセイ、ならびにフィルターに対するプローブのハイブリダイゼーションに依存するもの、例えばノーザンブロット法およびインサイチュハイブリダイゼーションが挙げられる。
結果として生じるデータは、測定された卵巣がんバイオマーカーのそれぞれに関する発現および/または活性に関する情報を提供し、ここで、情報は、バイオマーカーが存在する(例えば発現されるかつ/または活性である)かどうか(典型的には、どのようなレベルで存在するか)に関するものであり、ここで、データは、定性的かつ定量的の両方であってもよい。
1つまたは複数のバイオマーカーの表示がいったん決定されると、測定値は、バイオマーカーシグネチャーを取得するためのいくつかの方法のいずれで分析されてもよい。
例えば、1つまたは複数の卵巣がんバイオマーカーの表示は、バイオマーカープロファイルを開発するために個々に分析されてもよい。本明細書で使用する場合、「バイオマーカープロファイル」は、患者試料中の1つまたは複数のバイオマーカーの基準化された表示、例えば、患者試料中の血清学的タンパク質濃度の基準化されたレベル、試料中のバイオマーカーの基準化された活性などである。プロファイルは、当技術分野で公知のいくつかの方法のいずれかによって生成されてもよい。例えば、各マーカーのレベルは、選択されたハウスキーピング遺伝子、例えばABL1、GAPDH、もしくはPGK1の発現に対してまたはパネル全体にわたるシグナルなどに対してlog変換および基準化されてもよい。バイオマーカーシグネチャーを計算する他の方法は、当業者に容易に公知である。ある特定の実施形態では、バイオマーカープロファイルは、「タンパク質バイオマーカープロファイル」、または単純に「タンパク質プロファイル」であってもよく、すなわちそれは、バイオマーカーによってコードされるタンパク質の量を測定することによって決定される場合の、患者試料中の1つまたは複数のバイオマーカーの基準化された発現レベルを含む。ある特定の実施形態では、バイオマーカープロファイルは、「タンパク質活性バイオマーカープロファイル」、または単純に「タンパク質活性プロファイル」であってもよく、すなわちそれは、試料中で呈示されるタンパク質活性の量を測定することによって決定される場合の、患者試料中の1つまたは複数のバイオマーカーの基準化された活性を含む。ある特定の実施形態では、バイオマーカープロファイルは、「RNAバイオマーカープロファイル」、または単純に「RNAプロファイル」であってもよく、すなわちそれは、1つまたは複数のバイオマーカーから転写されるRNAの量を測定することによって決定される場合の、患者試料中の1つまたは複数のバイオマーカーの基準化された発現レベルを含む。
別の例として、卵巣がんバイオマーカーまたはバイオマーカーパネルの測定値は、卵巣がんバイオマーカースコアに達するために集合的に分析されてもよく、したがって、卵巣がんバイオマーカーシグネチャーは、単一スコアである。「バイオマーカースコア」は、バイオマーカーパネルにおける目的のバイオマーカー、より一般には2つまたはそれを超える目的のバイオマーカーのそれぞれの加重された表示の和を表す単一計量値を意味する。そのため、一部の実施形態では、当該方法は、試料中の卵巣がんバイオマーカーパネルのマーカーの量/活性を検出すること、およびバイオマーカーの加重されたレベルに基づいて卵巣がんバイオマーカースコアを計算することを含む。ある特定の実施形態では、バイオマーカースコアは、「タンパク質バイオマーカースコア」、または単純に「タンパク質スコア」であってもよく、すなわちそれは、バイオマーカーによってコードされるアミノ酸産物の量を測定することによって決定される場合の、患者試料中の1つまたは複数のバイオマーカー、例えばバイオマーカーのパネルにおける各バイオマーカーの加重された発現レベルを含む。ある特定の実施形態では、バイオマーカースコアは、「タンパク質活性バイオマーカースコア」、または単純に「タンパク質活性スコア」であってもよく、すなわちそれは、試料中で示される活性の量を測定することによって決定される場合の、患者試料中の1つまたは複数のバイオマーカー、例えばバイオマーカーのパネルにおける各バイオマーカーの加重された活性を含む。ある特定の実施形態では、バイオマーカースコアは、「RNAバイオマーカースコア」、または単純に「RNAスコア」であってもよく、すなわちそれは、1つまたは複数のバイオマーカーから転写されるRNAの量を測定することによって決定される場合の、患者試料中の1つまたは複数のバイオマーカー、例えばバイオマーカーのパネルにおける各バイオマーカーの加重された発現レベルを含む。
患者試料に関する卵巣がんバイオマーカースコアは、バイオマーカースコアを計算するための当技術分野で公知のいくつかの方法およびアルゴリズムのいずれによって計算されてもよい。例えば、加重されたマーカーレベル、例えば、各基準化されたマーカーレベルを加重係数に掛けることによって加重された、log変換および基準化されたマーカーレベルを総計して、かつ一部の場合では、平均して、分析されたバイオマーカーのパネルを代表する単一値に達してもよい。
一部の例では、パネルにおける各マーカーに関する加重係数、または単純に「加重」は、試料中の分析物レベルの変化の反映であってもよい。例えば、各バイオマーカーの分析物レベルは、1(目的の卵巣がんのサブグループにおいてレベルが増加したマーカーなどに関して)または−1(目的の卵巣がんのサブグループにおいてレベルが減少したマーカーなどに関して)としてlog変換および加重されてもよく、減少したマーカーと比較した増加したマーカーの和間の比率が卵巣がんバイオマーカーシグネチャーに達するために決定される。他の例では、加重は、診断、予後診断、またはモニタリングアセスメントを行うことにおけるマーカーパネルの特異性、感度および/または正確さに対する各マーカーの重要性を反映していてもよい。かかる加重は、任意の好都合な統計的機械学習手法によって決定されてもよく、例えば主成分分析(PCA)、線形回帰、サポートベクターマシン(SVM)、および/または試料を取得したデータセットのランダムフォレストを使用してもよい。一部の例では、各マーカーに関する加重は、患者試料を取得したデータセットによって規定される。他の例では、各マーカーに関する加重は、参照データセット、または「トレーニングデータセット」に基づいて規定されてもよい。分析の方法は、コンピュータに基づくシステムを用いることによって、例えば、当技術分野で公知である任意のハードウェア、ソフトウェアおよびデータ記憶媒体を使用することによって、およびかかる分析に好都合な任意のアルゴリズムを用いることによって、当業者によって容易に行われ得る。例えば、データマイニングアルゴリズムが「クラウドコンピューティング」、スマートフォンに基づくまたはクライアントサーバに基づくプラットフォームなどを通して適用され得る。
したがって、一部の例では、卵巣がんバイオマーカーシグネチャーは、異なるバイオマーカーのレベルをそれぞれ反映している一連の値として(例えば、バイオマーカープロファイル、すなわち複数のバイオマーカーに関する基準化された発現値として)表されてもよく、一方、他の例では、卵巣がんバイオマーカーシグネチャーは、単一値(例えば、卵巣がんバイオマーカースコア)として表されてもよい。
一部の場合では、卵巣がん臨床スコアは、卵巣がんバイオマーカーシグネチャー(または卵巣がんバイオマーカースコア)が卵巣がん臨床データと組み合わせられた卵巣がんバイオマーカーデータを表すように、卵巣がんバイオマーカーシグネチャー(および/または卵巣がんバイオマーカースコア)に組み込まれ得る。これらの実施形態において使用してもよい臨床アセスメントおよび臨床スコアに関する詳細は、当技術分野で周知であり、以下でより詳細に記載されている。
上記のように、ある特定の実施形態では、唯一のマーカー、例えばPrkdc、Rad54Lの発現、例えばポリペプチドレベルが、バイオマーカーシグネチャーを生成するために評価される。さらに他の実施形態では、2つまたはそれを超えるバイオマーカー、例えば、Prkdcおよび/またはRad54Lならびに例えば本明細書に記載の1つまたは複数の当技術分野で公知の卵巣がんバイオマーカー、すなわちマーカーのパネル、例えば、3、4、5、もしくは6またはそれを超えるマーカー、例えば7、8、9、10またはそれを超えるマーカー、一部の場合では、12、15、18、もしくは20またはそれを超えるマーカーのレベルが評価される。したがって、当該方法では、試料中の少なくとも1つのマーカーの発現が評価される。ある特定の実施形態では、行われる評価は、プロテオーム(この用語が当技術分野で用いられるように)の評価とみなされ得る。
一部の例では、対象に関する卵巣がんバイオマーカーシグネチャーを取得または提供する当該方法は、卵巣がんバイオマーカーシグネチャーをレポートとして提供することをさらに含む。したがって、一部の例では、当該方法は、試料中の卵巣がんバイオマーカー評価の結果を提供するレポートを生成または出力するステップをさらに含んでもよく、このレポートは、電子媒体(例えば、コンピュータモニタ上の電子表示)の形態、または有形媒体(例えば、紙または他の有形媒体上に印刷されたレポート)の形態で提供され得る。例えば、当技術分野で公知のまたは以下でより詳細に記載される、任意の形態のレポートが提供されてもよい。
そのように取得される卵巣がんシグネチャーは、卵巣がんアセスメントを行うために用いてもよい。典型的には、当該卵巣がんアセスメントを行うことにおいて、卵巣がんシグネチャーは、それを参照または対照と比較し、その比較の結果(「比較結果」)を卵巣がんアセスメント、例えば処置に対する応答性の診断、予後診断、予測などを行うために使用することによって用いる。本明細書で使用する場合、「参照」または「対照」、例えば「参照シグネチャー」または「対照シグネチャー」、「参照プロファイル」または「対照プロファイル」、および「参照スコア」または「対照スコア」という用語は、標準化されたバイオマーカーシグネチャー、例えばバイオマーカープロファイルまたはバイオマーカースコアを意味し、これは、所与の患者の卵巣がんバイオマーカーシグネチャーを解釈し、そこに診断、予後、および/または応答性クラスを割り当てるために使用してもよい。参照または対照は、典型的に、特定の表現型、例えば、DNA損傷剤に対する感受性(すなわち負の対照、例えば健康な/非罹患個体、DNA損傷治療に感受性である卵巣がんを有する個体からの試料)またはDNA損傷剤に対する抵抗性(すなわち正の対照、例えばDNA損傷剤に抵抗性、すなわち非応答性または不応性である卵巣がんを有する固体からの試料)との公知の関連を有する試料(例えば、体液、例えば血液)から取得される卵巣がんバイオマーカーシグネチャーである。典型的には、卵巣がんシグネチャーと参照との間の比較は、卵巣がんシグネチャーが正の参照または負の参照とより密接に相関するかどうかを決定し、相関は、アセスメントを行うために用いる。「密接に相関する」は、参照の約40%内、例えば40%、35%、または30%、一部の実施形態では、25%、20%、または15%内、場合によっては、10%、8%、5%、またはそれ未満内を意味する。
例えば、患者に関するPrkdcまたはRad54Lに基づく卵巣がんバイオマーカーシグネチャーが、負の対照参照(例えば卵巣がんに罹患していない個体からの体液試料のバイオマーカーシグネチャーなど)におけるPrkdcまたはRad54Lに基づく卵巣がんバイオマーカーシグネチャーと比較して上昇していることを示す比較結果は、DNA損傷治療に対する患者における卵巣がんの非感受性を予測する。逆に、患者に関するPrkdcまたはRad54Lに基づく卵巣がんシグネチャーが負の対照参照のPrkdcまたはRad54Lに基づく卵巣がんバイオマーカーシグネチャーと密接に相関することを明らかにする比較結果は、DNA損傷治療に対する患者における卵巣がんの感受性を予測する。
ある特定の実施形態では、対象に関する取得された卵巣がんシグネチャーは、表現型に関する情報を取得するために単一参照/対照バイオマーカーシグネチャーと比較される。他の実施形態では、対象に関する取得されたバイオマーカーシグネチャーは、アッセイされた組織の表現型に関するより徹底的な情報を取得するために2つまたはそれを超える異なる参照/対照バイオマーカーシグネチャーと比較される。例えば、バイオマーカープロファイルは、正のバイオマーカープロファイルおよび負のバイオマーカープロファイルの両方と比較されてもよいし、またはバイオマーカースコアは、組織が目的の表現型を有するかどうかに関する確認された情報を取得するために正のバイオマーカースコアおよび負のバイオマーカースコアの両方と比較されてもよい。別の例として、バイオマーカープロファイルまたはスコアは、それぞれが特定の診断、予後診断または治療的応答性と相関する複数のバイオマーカープロファイルまたはスコアと比較されてもよい。
有用性
上記で言及したように、当該バイオマーカー、バイオマーカーパネル、方法、試薬およびキットは、いくつもの種類の卵巣がんアセスメントを行うことにおいて有用である。これらは、例えば、卵巣がんを診断すること、卵巣がんを分類すること(例えば段階I、段階II、段階III、または段階IV)、卵巣がんを予後診断すること、がん治療に対する卵巣がんの応答性を予測すること、卵巣がん患者に関する治療を決定すること、卵巣がんをモニタリングすることなどにおける有用性を含む。卵巣がんを「診断すること」、または「卵巣がん診断を提供すること」は、卵巣がん決定、例えば、対象(例えば卵巣がんの臨床症状を有する対象、卵巣がんに無症候性であるが、卵巣がんと関連しているリスク因子を有する対象、卵巣がんに無症候性であり、卵巣がんと関連しているリスク因子を有さない対象)が現在卵巣がんに罹患しているかどうかに関する決定;卵巣がんの亜型への対象の卵巣がんの分類;卵巣がんの重症度の決定などを提供することを一般的に意味する。卵巣がんを「予後診断すること」、または「卵巣がん予後診断を提供すること」は、卵巣がん予測、例えば対象の卵巣がんを発症する敏感性、またはリスクの予測;疾患進行および/または疾患転帰の経過の予測、例えば卵巣がんの予期される持続期間、個体ががんで死亡することになるかどうかの予期など;卵巣がんに関する処置に対する対象の応答性の予測、例えば、正の応答、負の応答、全く応答なしなどを提供することを一般的に意味する。卵巣がんを「モニタリングすること」は、例えば卵巣がん診断を知らせるために、卵巣がん予後を知らせるために、卵巣がん処置の効果または有効性に関する情報を提供するためになど、対象の状態をモニタリングすることを一般的に意味する。卵巣がんを「処置すること」は、哺乳動物における卵巣がんの任意の処置を処方するまたは提供することを意味し、(a)卵巣がんに罹りやすい可能性があるがそれを有するとまだ診断されていない対象において卵巣がんが生じるのを防ぐこと、(b)卵巣がんを阻害する、すなわち、その発生を抑止すること、または(c)卵巣がんを軽減する、すなわち、卵巣がんの退縮を引き起こすことを含む。「個体」、「対象」、「宿主」、および「患者」という用語は、本明細書で互換的に使用され、診断、処置、または治療が望まれる任意の哺乳動物対象、特にヒトを指す。
卵巣がんアセスメントは、当技術分野で公知または本明細書で記載されるような、卵巣から生じる任意のがん性増殖、例えば、表面上皮−間質性腫瘍(例えば、乳頭漿液性嚢胞腺癌、子宮内膜性腫瘍、漿液性嚢胞腺癌、乳頭、粘液性嚢胞腺癌、明細胞卵巣腫瘍、粘液性腺癌、嚢胞腺癌などを含めた腺癌)、癌腫(例えば、性索−間質性腫瘍、他の癌腫)、胚細胞腫瘍(例えばテラトーマ、未分化胚細胞腫など)、ミューラー腫瘍、類表皮腫瘍(扁平上皮癌)、ブレンナー腫瘍などから行われてもよい。卵巣がんは、任意の段階、例えば、当技術分野で公知であり、以下の表1に記載されているような、FIGOまたはAJCC病期分類システムによって定義される段階I、段階II、段階III、または段階IVのものであってもよい。
表1。International Federation of Gynecology and Obstetrics(FIGO)病期分類システムおよびAmerican Joint Committee on Cancer(AJCC)病期分類システムによる卵巣がんの分類。AJCCシステムでは、Tは、腫瘍の病態をカテゴリー化するために使用する(卵巣がんのT1カテゴリーは、卵巣に限定されており、それらの1つまたは両方を冒し得る卵巣腫瘍を説明している。下位−下位カテゴリーT1aは、嚢を無傷のままにし、骨盤から採取された液体中に見出すことができない、1つの卵巣のみにおいて見出されるがんを病期分類するために使用する。嚢を冒さず、卵巣の内部に限定され、骨盤から採取された液体中に見出すことができないが、両方の卵巣を冒したがんは、T1bとして病期分類される。T1cカテゴリーは、1つまたは両方の卵巣を冒し得る腫瘍の型であって、卵巣の嚢を通り抜けて増殖したまたは骨盤から採取された液体中に存在する腫瘍の型を説明している。T2は、より進行したがんの段階である。この場合、腫瘍は、1つまたは両方の卵巣中で増殖しており、子宮、ファロピウス管または他の骨盤組織に広がっている。段階T2aは、子宮またはファロピウス管(または両方)に広がったが、骨盤から採取された液体中に存在しないがん性腫瘍を説明するために使用する。段階T2bおよびT2cは、それぞれ、子宮およびファロピウス管以外の骨盤組織に転移し、骨盤から採取された液体中に見ることができないがん、骨盤組織(子宮およびファロピウス管を含めて)のいずれかに広がったが、骨盤から採取された液体中にも見出され得る腫瘍を表す。T3は、腹膜に広がったがんを説明するために使用する段階である。この段階は、転移性腫瘍(身体の他の領域に位置しているが、卵巣がんによって引き起こされている腫瘍)のサイズに関する情報を提供する。これらの腫瘍は、非常に小さい可能性があり、顕微鏡下でのみ可視(T3a)、可視であるが2センチメートル以下(T3b)および2センチメートルより大きい(T3c)であり得る)、Nは、局所リンパ節の病態を説明しており(N0は、がん性腫瘍がリンパ節を冒していないことを表し、N1は、腫瘍に近いリンパ節の併発を表す)、Mは、もしあれば、転移の程度を説明している(M0は、がんが離れた器官に広がらなかったことを表し、M1カテゴリーは、身体の他の器官に広がったがんに使用する)。対象のバイオマーカー、バイオマーカーパネル、方法、試薬およびキットは、任意の卵巣がんのアセスメントを行うことにおいて有用である。
例えば、対象の卵巣がんシグネチャーは、卵巣がんがDNA損傷剤に応答性であるかどうかを予測することにおいて有用である。本明細書で使用するとき、「薬剤」という用語は、腫瘍細胞を含めたがん細胞が治療的プロトコールにおいて曝露され得るいずれかのものとして広く定義される。本発明の文脈では、かかる薬剤として、代謝拮抗剤(例えば、Ara AC、5−FUおよびメトトレキサート)、有糸分裂阻害剤(例えば、TAXOL、ビンブラスチン(inblastine)およびビンクリスチン)、アルキル化剤(例えば、窒素マスタード、メルファンラン(melphanlan)、BCNU)、トポイソメラーゼII阻害剤(例えば、VW−26、トポテカン、ミトキサントロン(DHAD))、鎖切断剤(例えば、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プロカルバジン)、架橋剤(例えば、窒素マスタード、β−クロロ−ニトロソ尿素化合物、白金に基づく化合物などのアルキル化剤)などの化学療法剤、放射線、紫外線などが挙げられるが、これらに限定されない。「化学療法剤」は、その細胞または組織の増殖が望ましくない増殖細胞または組織の増殖を阻害する化学的試薬を含むことが意図されている。化学療法剤は、典型的には、当技術分野で周知であり(例えば、Gilman A. G.ら、The Pharmacological Basis of Therapeutics、8版、12節:1202〜1263頁(1990年)を参照されたい)、新生物疾患を処置するために使用される。「DNA損傷剤」は、例えばDNAをアルキル化またはメチル化することによって、トポイソメラーゼ2を阻害することによって、一本鎖または二本鎖DNA切断を誘導することによってなど、DNAを損傷する薬剤を意味する。DNA損傷剤の例として、化学療法薬および放射剤、例えば、窒素マスタード(例えばシクロホスファミド、メクロレタミン(「ムスチン」)、ウラムスチン(「ウラシルマスタード」)、メルファンラン、クロランブシル、イホスファミド、およびベンダムスチン)などのアルキル化剤、β−クロロ−ニトロソ尿素化合物(例えば、カルムスチン(「BCNU」)、ロムスチン、セムスチン、およびストレプトゾトシン、ならびにエチルニトロソ尿素(「ENU」))、アルキルスルホネート(例えばブスルファン)、チオテパおよびチオテパ類似体、白金に基づく化合物(例えばシスプラチン、カルボプラチン(CBDCA)、ネダプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、ピコプラチン、フェナントリプラチン、および四硝酸トリプラチン)、プロカルバジン、アルトレタミン、ダカルバジン、ミトゾロミド、およびテモゾロミド、トポイソメラーゼII阻害剤(例えば、アムサクリン、エトポシド、エトポシドホスフェート、テニポシド、ドキソルビシン、およびミトキサントロン);UV放射線およびUVミメティック(例えばN−アセトキシ−2−アセチルアミノフルオレン);電離放射線;ならびに放射線様剤(ドキソルビシン、ブレオマイシン、およびエンジイン、例えばネオカルチノスタチン)が挙げられる。
例えば、PrkdcおよびRad54Lは、DNA修復の決定的なメディエーターであるので、例えば、血液または腫瘍組織中にPrkdcまたはRad54Lタンパク質またはタンパク質活性の上昇したレベルを有する卵巣がん患者は、がんを有さない個体におけるPrkdcまたはRad54Lレベルとより密接に相関するPrkdcまたはRad54Lレベルを有する卵巣がん患者よりもDNAを損傷することによって働くがん治療薬に対する抵抗性が高く、応答性が低い。したがって、例えば、卵巣がん対象は、本開示の方法によって卵巣がんシグネチャーを取得し、そのシグネチャーを参照シグネチャーと比較することによって、DNA損傷剤を、卵巣がんの増殖を低下させるために使用することができるかどうかをアセスメントして決定することができる。卵巣がんシグネチャーが、DNA損傷剤に応答性である卵巣がんを有する1人または複数の患者の卵巣がん参照シグネチャー(例えば、応答性卵巣がんを有する患者のコホートにわたる中央値)と密接に相関する場合、目的の個体の卵巣がんがDNA損傷剤に応答性であると予測され得、DNA損傷剤を卵巣がんの増殖を低下させるために使用することができる。対照的に、卵巣がんシグネチャーが応答性卵巣がんの卵巣がん参照シグネチャーと比較して上昇している、例えば参照シグネチャーと比較して1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、もしくは10倍またはそれを超えて上昇しているか、あるいはDNA損傷剤に応答性ではない卵巣がんを有する1人または複数の患者の卵巣がん参照シグネチャー(例えば、非応答性卵巣がんを有する患者のコホートにわたる中央値)と密接に相関する場合、目的の個体の卵巣がんは、DNA損傷剤に応答性ではないと予測され得、DNA損傷剤を卵巣がんの増殖を低下させるために使用することができない。これらの予測的方法は、処置決定を行うことにおいて、例えば任意の特定の患者に関する最も適切な処置モダリティを選択することにおいて患者および医師を助けるために使用することができる。
そのように用いられた対象の卵巣がんシグネチャーは、卵巣がんを有する患者に予後診断を提供することにおいて有用である。例えば、患者は、卵巣がんバイオマーカーシグネチャーがDNA損傷治療に高度に抵抗性またはDNA損傷治療に高度に感受性である卵巣がんの形態を有する患者のコホートにわたる卵巣がんシグネチャー中央値とより密接に相関するかどうかに依存して、総体的な生存に関して高もしくは低リスクカテゴリー、または高、中もしくは低リスクカテゴリーに属すると考えられ得、卵巣がんのこれらの型を有する患者の総体的な生存率は、当技術分野で公知であるか、または例えば、卵巣がん個体のKaplan−Meier分析によって当業者によって容易に決定される。
当該卵巣がんシグネチャーは、患者の亜群が群全体または他の亜群よりも新しい薬物に対する応答を示す傾向がより強いまたはより弱いかどうかを決定するために、臨床試験において患者から採取された試料および患者の転帰とともに使用した試験の結果に使用してもよい。さらに、かかる方法は、治療から利益を得ることができる患者のサブセットを臨床データから同定するために使用することができる。さらに、試験の結果が、患者が医学的処置に応答性であるより高い見込みを示す場合、患者は、臨床試験に含まれる可能性がより高く、試験の結果が、患者が医学的処置に応答性であるより低い見込みを示す場合、患者は、臨床試験に含まれる可能性がより低い。
当該方法は、診断、予後診断、または治療に対する応答性の予測を提供するために、単独でまたは当技術分野で公知の患者層別化に関する他の臨床的方法と組み合わせて使用することができる。例えば、卵巣がんを診断する、卵巣がんの型を診断する、または卵巣がんを病期分類するための当技術分野で公知である臨床パラメーターが、当該方法での卵巣がんアセスメントに達するために当業者の分析に組み込まれてもよい。
例えば、一部の例では、卵巣がんアセスメントは、対象が卵巣がんと関連している1つまたは複数の症状、例えば、1ヶ月当たり12回を超える腹部膨満、腹部または骨盤痛、摂食困難、および/または泌尿器症状;腹部腫瘤、腹部膨満、背痛、便秘、疲労、貧血、異常な膣出血、直腸出血、閉経後出血、意図的でない体重減少、食欲喪失、および/または腹腔における液体(腹水)の蓄積を有するかどうかを決定することを含んでもよい。一部の例では、卵巣がんアセスメントを行うことは、対象が、例えば、上記または当技術分野で公知のような卵巣がんと関連している1つまたは複数の症状を有するかどうか決定するステップを含み、ここで、卵巣がんアセスメントは、卵巣がんシグネチャーおよび症状決定に基づいて行われる。
別の例として、一部の例では、卵巣がんアセスメントは、対象が、卵巣がんと関連している1つまたは複数のリスク因子、例えば、高齢(63歳またはそれを超える年齢);肥満(30またはそれを超える肥満度指数);卵巣がん、乳がんまたは大腸がんの家族歴(疾患を有する第1度または第2度近親者);乳がんを有する個人歴;出産歴(一度も出産していない女性と関連している増加リスク);卵巣がんと関連している遺伝子変異(例えば、BRCA1、BRCA2、遺伝性非ポリポーシス大腸がんに関する遺伝子におけるもの);不妊;子宮内膜症の病歴;および/または閉経後エストロゲン補充治療の使用の履歴を有するかどうかを決定することを含んでもよく、ここで、卵巣がんアセスメントは卵巣がんシグネチャーおよびリスク決定に基づいて行われる。
別の例として、一部の例では、卵巣がんアセスメントは、例えば、上記のFIJOまたはAJCC病期分類システムによって、腫瘍試料の組織化学的検査または免疫組織化学的検査によって、卵巣がんをアセスメントするための当技術分野で公知のバイオマーカーの使用によってなど、腫瘍を特徴付けることを含んでもよく、ここで、卵巣がんアセスメントは、卵巣がんシグネチャーおよび腫瘍特徴付けに基づいて行われる。ある特定の例では、卵巣がんアセスメントを行うために使用する卵巣がんシグネチャーとして、これらの他のバイオマーカーの表示が挙げられ、例えば、卵巣がんアセスメントが行われる卵巣がんシグネチャーは、対象の血液中の対象Prkdcおよび/またはRad54Lレベルならびに他の公知のバイオマーカーのレベルを反映している卵巣がんスコアである。例えば当技術分野で公知または本明細書で記載されるような任意の好都合な卵巣がんバイオマーカーを、卵巣がんシグネチャーを取得し、卵巣がんアセスメントを提供するためにPrkdcおよびRad54Lと組み合わせて使用してもよい。非限定的な例として、アルデヒド脱水素酵素1(ALDH1)、アポC1、アポAII、アポCII、β−ヘモグロビン、カルサイクリン、カルグラニュリンA、カルグラニュリンC、クローディン3、結合組織増殖因子(CTGF)、好酸球由来ニューロトキシン、線維芽細胞増殖因子2(塩基性)(FGF2)、葉酸受容体1(FOLR1)、グリコデリン、GPCR49、グルタチオンS転移酵素シータ1(GSTT1)、ヘプシン、ヘプシジン、インスリン様増殖因子−II、インターαトリプシン阻害剤重鎖H4、カリクレイン関連ペプチダーゼ6(KLK6/7)、カリクレイン10、レプチン、マクロファージ阻害因子、ムチン−16(CA125)、オステオポンチン、プロラクチン、プロテアーゼセリン8(PRSS8)、プロテインC阻害剤、溶質輸送体ファミリー39(亜鉛トランスポーター)メンバー4(SLC39A4)、小MBL関連タンパク質C末端断片、角質層キモトリプシン酵素、トランスフェリン、トランスサイレチン、WAP 4ジスルフィドコアドメイン2(HE4)、リン酸化Src相同2ドメイン含有形質転換タンパク質1(Shc)、リン酸化Src相同2ドメイン含有E(She)、およびカゼインキナーゼ1イプシロンに特異的な自己抗体に関する遺伝子産物が挙げられる。特定の目的のバイオマーカーとして、例えば、その完全な開示が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第7,470,509号に開示されているような、DNA損傷薬に対する卵巣がんの応答性の可能性を決定することを対象としているものが挙げられる。
レポート
一部の実施形態では、卵巣がんシグネチャーを提供することまたは卵巣がんアセスメント、例えば、卵巣がんの診断、卵巣がんを有する患者に関する予後診断、がん治療に対する卵巣がんを有する患者の応答性の予測を提供することは、その卵巣がんシグネチャーおよび/または卵巣がんアセスメント、例えば、「診断アセスメント」、「予後診断アセスメント」、可能な処置レジメンの提案(「処置アセスメント」)などを含む書面のレポートを作成することを含む。したがって、当該方法は、卵巣がんバイオマーカーまたはバイオマーカーパネルの分析の結果、診断アセスメント、予後診断アセスメント、または処置アセスメントを提供するレポートを生成または出力するステップをさらに含んでもよく、このレポートは、電子媒体の形態(例えば、コンピュータモニタ上の電子表示)で、または有形媒体(例えば、紙または他の有形媒体上に印刷されたレポート)の形態で提供され得る。
本明細書に記載されるとき、「レポート」は、診断アセスメント、予後診断アセスメント、処置アセスメント、モニタリングアセスメントなどおよびその結果に関する目的の情報を提供するレポート要素を含む電子または有形の文書である。当該レポートは、完全にまたは部分的に電子的に生成され得る。当該レポートは、少なくとも卵巣がんアセスメント、例えば、対象がDNA損傷治療に抵抗性である卵巣がんを有する高い可能性を有するかどうかに関する診断、または予後診断アセスメント、例えばDNA損傷治療に対する患者の応答性の予測、および/または後に続く処置の経過の示唆を含む。当該レポートは、1)試験施設に関する情報、2)サービス提供者情報、3)対象データ、4)試料データ、5)アセスメントレポートの1つまたは複数をさらに含むことができ、これは、a)試験データであって、i)1つもしくは複数の卵巣がんバイオマーカーのバイオマーカーレベルおよび/またはii)1つもしくは複数の卵巣がんバイオマーカーに関するバイオマーカーシグネチャーを含むことができる試験データを含む様々な情報を含むことができる。
レポートは、試験施設に関する情報を含んでもよく、この情報は、試料集めおよび/またはデータ生成が行われた病院、診療所、または実験室に関連している。この情報は、例えば、試験施設の名称および位置、アッセイを行ったおよび/または入力データを入力した実験室技術者の身元、アッセイが行われたおよび/または分析された日時、試料および/または結果データが保管されている位置、アッセイにおいて使用された試薬(例えば、キットなど)のロットナンバーなどに関する1つまたは複数の詳細を含むことができる。この情報を有するレポートフィールドは、ユーザによって提供される情報を使用して一般的に入力され得る。
レポートは、ユーザが位置している医療施設の外または医療施設内に位置していてもよい、サービス提供者に関する情報を含んでもよい。かかる情報の例は、サービス提供者の名称および位置、校閲者の名称、ならびに必要または望ましい場合、試料集めおよび/またはデータ作成を行った個人の名称を含むことができる。この情報を有するレポートフィールドは、ユーザによって入力されたデータを使用して一般的に入力され得、前もって立案された選択項目の中から選択され得る(例えば、ドロップダウンメニューを使用して)。レポートにおける他のサービス提供者情報は、結果に関する、および/または解釈レポートに関する技術情報に関する接続情報を含むことができる。
レポートは、対象の病歴および対象を同定するための情報(例えば、名称、対象の生年月日(DOB)、ジェンダー、郵送および/または現住所、診療記録番号(MRN)、医療施設における部屋および/またはベッド番号)、保険情報など)などの管理上の対象データ(つまり、診断、予後診断、または処置アセスメントに必須ではないデータ)、敏感性予測を要求した対象の医師または他の医療専門家の名称および、要求している医師と異なる場合、対象のケアに責任があるスタッフ医師(例えば、プライマリケア医)の名称を含む対象データ区画を含んでもよい。
レポートは、試料データ区画を含んでもよく、これは、対象から取得された生物学的試料の供給源(例えば血液、例えば、全血、分画された血液、血漿、血清など)、いかに試料が取り扱われたか(例えば保管温度、予備プロトコール)および採取された日時などの分析される生物学的試料に関する情報を提供してもよい。この情報を有するレポートフィールドは、ユーザによって入力されたデータを使用して一般的に入力され得、その一部は、前もって立案された選択項目(例えば、ドロップダウンメニューを使用して)として提供されてもよい。
レポートが付加的要素または改変された要素を含むことができることも容易に理解される。例えば、電子的である場合、レポートは、レポートの選択された要素に関するより詳細な情報を提供する内部または外部データベースを指すハイパーリンクを含有することができる。例えば、レポートの患者データ要素は、電子患者記録、または患者記録が機密データベースにおいて維持される、かかる患者記録にアクセスするためのサイトへのハイパーリンクを含むことができる。この後者の実施形態は、院内システムまたは診療所内設定における目的のものであってもよい。電子フォーマットでの場合、レポートは、例えば、コンピュータメモリ、zipジップドライブ、CD、DVD、フラッシュドライブなどにおけるコンピュータ可読媒体などの適した物理的媒体に記録される。
レポートがユーザによって要求される分析を提供するのに十分な要素(例えば、診断、予後診断、または治療に対する応答性の予測)を少なくとも一般的に含むという条件で、レポートが上記の要素の全てまたは一部を含むことができることは容易に理解される。
試薬、デバイスおよびキット
上記の方法の1つまたは複数を実行するための試薬、デバイスおよびそのキットも提供される。当該試薬、デバイスおよびそのキットは、大きく異なり得る。目的の試薬およびデバイスは、遺伝子発現レベルをアッセイする方法に関する上記のものを含み、ここで、かかる試薬は、行われる特定の検出プロトコールに依存して、タンパク質またはRNA精製試薬、タンパク質活性を測定するための試薬、対象の卵巣がんバイオマーカータンパク質に対する抗体(例えば、基材上に固定化された、例えば、ディップスティック、すなわち、側方流動アッセイデバイスの形態のもの)、卵巣がんバイオマーカーRNAに特異的である核酸プライマー、核酸プローブのアレイ、シグナル産生系試薬などを含んでもよい。例えば、試薬は、PrkdcもしくはRad54Lに特異的である抗体、PrkdcもしくはRad54Lに特異的であるプローブを含むアレイ、または血液中のPrkdcもしくはRad54Lのレベルを検出するために使用され得る他の試薬を含んでもよい。
当該キットは、1つまたは複数のバイオマーカーシグネチャー参照、例えば卵巣がんシグネチャーに関する参照、患者試料から取得されるバイオマーカーシグネチャーを利用することにおける使用に関する参照も含んでもよい。例えば、参照は、既知の表現型、例えば非罹患個体、もしくは罹患個体の試料(例えば、患者試料と一緒にアッセイされ得る特定のリスク群からのもの)であってもよく、または参照は、当該卵巣がんバイオマーカーシグネチャーの1つまたは複数と相関することが公知である、疾患診断、疾患予後診断、もしくは治療に対する応答性のレポートであってもよい。
上記の構成要素に加えて、当該キットは、当該方法を実行するための説明書をさらに含んでもよい。これらの説明書は、いろいろな形態で当該キットに存在してもよく、その1つまたは複数が、キットに存在してもよい。これらの説明書が存在し得る1つの形態は、キットのパッケージにおける、パッケージの添付文書などにおける、適した媒体または基材、例えば、情報が印刷されている一枚または複数の紙上の印刷された情報としてである。さらに別の手段は、そこに情報が記録されたコンピュータ可読媒体、例えば、ディスケット、CD、DVDなどである。存在してもよいさらに別の手段は、離れたサイトにある情報にアクセスするためにインターネット経由で使用され得るウェブサイトアドレスである。任意の好都合な手段がキットに存在してもよい。
以下の実施例は、本発明を実施および使用する方法の完全な開示および説明を当業者に提供するために記載され、本発明者らが発明とみなすものの範囲を限定することが意図されていないし、以下の実験が行われる全てまたは唯一の実験であることを表すことも意図されていない。使用する数(例えば量、温度など)に関する正確さを保証するための努力が払われているが、一部の実験誤差および偏差が考慮されるべきである。他に示されない限り、部は、重量部であり、分子量は、重量平均分子量であり、温度は、セ氏温度であり、圧力は、大気またはこれに近いものである。
分子および細胞生化学における一般的な方法は、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、3版(Sambrookら、HaRBor Laboratory Press 2001年)、Short Protocols in Molecular Biology、4版(Ausubelら編、John Wiley & Sons 1999年)、Protein Methods(Bollagら、John Wiley & Sons 1996年)、Nonviral Vectors for Gene Therapy(Wagnerら編、Academic Press 1999年)、Viral Vectors(Kaplift & Loewy編、Academic Press 1995年)、Immunology Methods Manual(I. Lefkovits編、Academic Press 1997年)、およびCell and Tissue Culture: Laboratory Procedures in Biotechnology(Doyle & Griffiths、John Wiley & Sons 1998年)のような標準的な教科書において見出すことができ、その開示は、参照により本明細書に組み込まれている。本開示において参照された遺伝子操作に関する試薬、クローニングベクター、およびキットは、BioRad、Stratagene、Invitrogen、Sigma−Aldrich、およびClonTechなどの商業的ベンダーから入手可能である。
(実施例1)
材料および方法
データ収集、前処理、および基準化。7つのヒト卵巣がん研究に関する遺伝子発現データをNCBI GEO(表2)からダウンロードした。データセットを、正常および高悪性度漿液性卵巣がん試料のみを含むようにフィルターした。全てのデータセットを、gcRMAを使用して別々に基準化した。
メタ分析。2つのメタ分析手法を基準化されたデータに適用した。第1の手法は、各データセットからのエフェクトサイズをメタエフェクトサイズに組み合わせて、全てのデータセットにわたる発現の変化の量を推定する。各データセットにおける各遺伝子に関して、エフェクトサイズをHedges’adjusted gを使用して計算した。複数のプローブが遺伝子に位置づけられた場合、各遺伝子に関するエフェクトサイズを固定エフェクト逆分散モデルを使用して集約した。次に、研究特異的エフェクトサイズを組み合わせて、ランダムエフェクト逆分散技法を使用して、プールされたエフェクトサイズおよびその標準誤差を取得した。z統計値を各遺伝子に関してプールされたエフェクトサイズとその標準誤差との比として計算し、結果を標準正規分布と比較して、名目上のp値を取得した。p値をFDRを使用する複数仮説検定に関して補正した。
我々は、個々の実験からのp値を組み合わせて全てのデータセットにおいて有意な効果を有する遺伝子を同定する第2のノンパラメトリックメタ分析も適用した。t統計値を各研究における各遺伝子に関して計算した。各遺伝子に関する片側p値を計算した後、それらをFDRを使用した複数仮説に関して補正した。log方法のFisherの和を適用した。簡潔に述べると、この方法は、各遺伝子に関する全てのデータセットにわたるFDR補正p値の対数を合計し、この和を2k自由度でのカイ二乗分布に対して比較し、ここで、kは、分析において使用するデータセットの数である。
メタ分析結果に及ぼす単一の大きな実験の影響を制御するために、リーブワンアウトメタ分析を行った。1つの一時点でのデータセットを除外し、両方のメタ分析方法を残りのデータセットに適用した。7つのリーブワンアウト分析全てにおいて大きいエフェクトサイズで有意に過剰発現されたとして同定された遺伝子のみを、さらなる分析に考慮した。
表2。メタ分析に使用した研究。これらの研究を選択するために、本研究者は、正常試料と卵巣がん試料の両方を含むヒト試料に関する全ての卵巣がん実験についてGEOを探索した。Affyアレイを使用する研究のみを含めた。これらの基準を満たすと同定された8番目の研究を検証コホートとして使用した。
ELISA。血清試料をBioServeから購入した。ELISAキットを表3で特定した商業的ベンダーから購入した。各アッセイに関して製造者プロトコールに従った。簡潔に述べると、アッセイを開始する前に、全ての試薬および試料を室温にもっていき、試料を遠心分離した。100ulの試料血清またはキット標準を各ウェルに置いた(標準を二連で行った)。ウェルを37℃で2時間インキュベートした。液体を除去し、100ulのビオチン−抗体を各ウェルに加えた。ウェルを37℃で1時間インキュベートし、次いで3回洗浄した。100ulのHRP−アビジンを各ウェルに加え、37℃で1時間インキュベートし、6回洗浄した。90ulのTMB基質を各ウェルに加え、暗所で37℃で30分間インキュベートした。50ulの停止液を各ウェルに加え、450nmでの光学密度を15分内にマイクロタイタープレートリーダーで読んだ。
結果
高悪性度漿液性卵巣がんおよび対照の両方の遺伝子発現データを含有する7つのデータセット(表2)を、Gene Expression Omnibusからダウンロードした。遺伝子発現データを基準化し、要約統計量(エフェクトサイズとも称される)を計算し、統計的有意性を決定した。次いで遺伝子を要約統計量および統計的有意性に基づいてランク付けした。log倍数変化>.75、p値<.001、FDR<.001のフィルターに基づいて、検討した7つの研究全てにわたって統計的に有意に過剰発現された160の遺伝子を同定した(図1)。
これらの方法によって同定された候補バイオマーカーと卵巣がんとの間の関連を確認するために、4つの候補バイオマーカーの代表的パネルが卵巣がん症例と正常な例とを区別する能力を4つの過剰発現されたタンパク質のバイオマーカーパネルであるOvaSureの能力と比較した(図2)。分析を、46の症例が初期段階(段階IまたはII)であり、残りが後期段階である591の卵巣がん症例からの発現データを有するCancer Genome Atlas(TCGA)からのデータを使用して行った。我々の方法によって最も高いエフェクトサイズを有すると同定された4つの遺伝子を代表的パネルとして使用した。スコアに達するために、4つの遺伝子の発現値の幾何平均をTCGAマイクロアレイデータから計算した(4つの値を掛け合わせ、次いで4乗根をとった)。我々は、候補バイオマーカーの新しいパネルを使用して、OvaSure(正常な個体に関する中央値スコア=6.5、がん患者に関する中央値スコア=7)よりもよい正常な個体とがん患者との間の分離を観察した(正常な個体に関する中央値スコア=7、がん患者に関する中央値スコア=8.5)。
t検定を使用して、160の候補バイオマーカーを、いかによくそれらが正常な例と初期段階症例(すなわち段階Iまたは段階II)とを区別するかに基づいてランク付けした。<0.05のp値(複数仮説検定に関して調整した)を有する80の遺伝子のみを、潜在的初期卵巣がんバイオマーカーとしてさらに考慮した。次いで、生存と相関する遺伝子は、がんにおける機能的役割を有する可能性がより高く、したがって頑強なバイオマーカーである可能性がより高いという仮説の下で、いかによくそれらが生存と相関するかに基づいてそれらの80の早期検出候補をランク付けした。このランク付けした一覧からの上位5つの遺伝子のパネルは、初期段階および末期段階症例から正常な例を分離するのによく機能したが(図3)、これは、このパネルが初期段階卵巣がんおよび末期段階卵巣がんの両方の検出に使用され得ることを示している。
早期検出候補を32の卵巣漿液性腺癌症例および32の正常または良性対照からなる別々の独立的なデータセット(GSE4122)を使用して検証した。上位3つの候補のパネルは、3つのOvaSure遺伝子よりも高いAUCを達成したが(図4)、これは、我々の早期検出候補がOvaSureをしのぐことを示している。
メタ分析からの候補バイオマーカーの一覧をプロテオームデータベース、および2つのタンパク質(PRKDCおよびRAD45L)に対してフィルターし、12の事前処置卵巣がん患者および12の年齢、ジェンダー、および民族性が適合した対照の血漿におけるパイロット検証試験のために選択した。廃止されたOvaSureパネルにおける6つのバイオマーカーの4つ(CA125、OPN、LEP、ILGF2)を、正の対照として試験した。OvaSureパネルを含む個々のタンパク質の血清濃度は、症例および対照において以前報告されたものと類似していた(Vinistinら、2008年)。PRKDC血清濃度は、OvaSureタンパク質と類似した規模で症例と対照とを区別し、統計的に有意である(p=0.0055)。RAD45L血清濃度は、健康な対照において非常に低い。測定された他のタンパク質に関するがん試料内で観察された勾配と対照的に、がん症例内で、低いまたは上昇した血清レベルを有する2つの非常に明確な亜集団がある。
PRKDCおよびRAD45Lは、DNA二本鎖切断修復において重要であることが公知である。PRKDCは、BRCA1およびATMタンパク質の下流にある非相同末端結合(NHEJ)に関する重要なタンパク質である。化学療法剤シスプラチンに対する抵抗性における直接的な役割を果たすことも示されており、阻害剤は、初期臨床試験において試験されているところである。免疫組織化学的検査(IHC)によって測定されるPRKDCのレベルは、前立腺がんにおいて処置応答を予測するために使用され、このタンパク質のIHCレベルは、卵巣がんにおける転移および生存と相関することが示されている。我々は、上昇したPRKDCもELISAによって血清中で検出することができることを初めて示した。したがって、卵巣がんの早期検出に関する血清バイオマーカーパネル中に含むことに関する有望な候補であることに加えて、それは、処置応答を予測および/またはモニタリングするためにも使用してもよい。RAD54Lは、RAD51に直接結合し、BRCA1およびATRタンパク質の下流にある相同修復(HR)に関する重要なタンパク質である。RAD51の阻害剤は、初期臨床試験にあり、低下したRAD51は、PARP阻害剤に対する感受性を増加させ得る。我々は、高悪性度卵巣がん患者のサブセットのみがRAD54Lの上昇した血清レベルを有することを示すので、血液検査をどの患者がRAD51およびPARP阻害剤に関するよい候補であるかを決定するために処置計画の一部として使用することができる。患者がよい候補であると決定された場合、患者をRAD51またはPARP阻害剤でさらに処置することができる。
前述のものは、本発明の原則を単に例示している。当業者は、本明細書で明示的に記載または示されていないけれども、本発明の原則を具体化し、その精神および範囲に含まれている様々な配置を考案することができることが理解される。さらに、本明細書で記載した全ての例および条件的な用語は、本発明者らによって当技術を促進することに寄与された本発明の原則および概念を理解することにおいて読者を助けることを主に意図しており、かかる具体的に記載した例および条件への限定がないものとして解釈される。さらに、本発明の原則、態様、および実施形態ならびにその具体例を本明細書で記載している全ての言明は、その構造的同等物および機能的同等物の両方を包含することが意図されている。さらに、かかる同等物は、構造に関わらず、現在公知の同等物と将来開発される同等物、すなわち、同じ機能を行う開発される任意の要素との両方を含むことが意図されている。したがって、本発明の範囲は、本明細書で示し、記載した例示的実施形態に限定されることが意図されていない。むしろ、本発明の範囲および精神は、添付の特許請求の範囲によって具体化される。

Claims (20)

  1. 対象に関する卵巣がんシグネチャーを提供する方法であって、
    対象からの血液試料中の1つまたは複数の卵巣がんバイオマーカーのレベルを評価すること、および
    該血液試料中の該1つまたは複数の卵巣がんバイオマーカーのレベルに基づいて該卵巣がんシグネチャーを計算すること
    を含む方法。
  2. 前記1つまたは複数の卵巣がんバイオマーカーが、Prkdcタンパク質および/またはRad54Lタンパク質から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記対象が卵巣がんを有する、請求項1に記載の方法。
  4. 前記評価することが抗体の使用を含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記卵巣がんシグネチャーのレポートを作成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  6. Prkdcおよび/またはRad54Lを含む卵巣がんバイオマーカーパネル。
  7. 対象に関する卵巣がんアセスメントを行うための方法であって、
    該対象からの血液試料に基づいて対象に関する卵巣がんシグネチャーを取得すること、
    該対象に関する該卵巣がんシグネチャーを参照に関する卵巣がんシグネチャーと比較すること、および
    該比較に基づいて卵巣がんアセスメントを行うこと
    を含む方法。
  8. 前記卵巣がんシグネチャーが、
    Prkdcタンパク質および/またはRad54Lタンパク質から選択される1つまたは複数の卵巣がんバイオマーカーの前記血液試料中のレベルを評価すること、ならびに
    該血液試料中の該1つまたは複数の卵巣がんバイオマーカーのレベルに基づいて該卵巣がんシグネチャーを計算すること
    によって取得される、請求項7に記載の方法。
  9. 前記評価することが、前記1つまたは複数の卵巣がんバイオマーカーを、抗体を用いて検出することを含む、請求項8に記載の方法。
  10. 前記アセスメントがDNA損傷剤に対する前記対象の応答性の予測である、請求項7に記載の方法。
  11. 前記DNA損傷剤が放射線である、請求項10に記載の方法。
  12. 前記DNA損傷剤が白金に基づく化合物である、請求項10に記載の方法。
  13. 前記白金に基づく化合物が、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、ピコプラチン、フェナントリプラチン、および四硝酸トリプラチンから選択される、請求項12に記載の方法。
  14. 前記アセスメントが前記卵巣がんを分類することである、請求項7に記載の方法。
  15. 前記分類することが、前記卵巣がんをDNA損傷剤に対する感受性およびDNA損傷剤に対する抵抗性から選択されるクラスに分類することを含む、請求項14に記載の方法。
  16. 前記分類に従って患者を処置することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
  17. 卵巣がん対象をモニタリングする方法であって、
    該対象からの血液試料に基づいて該対象に関する第1の卵巣がんシグネチャーを取得すること、
    該がんを処置するために有効な量でDNA損傷剤を投与すること、
    該対象からの血液試料に基づいて該対象に関する第2の卵巣がんシグネチャーを取得すること、
    該第2の卵巣がんシグネチャーを該第1の卵巣がんシグネチャーと比較すること、および
    該比較に基づいて該対象をモニタリングすること
    を含む方法。
  18. 前記第1および第2の卵巣がんシグネチャーを取得することが、対象からの血液試料中のPrkdcタンパク質および/またはRad54Lタンパク質から選択される1つまたは複数の卵巣がんバイオマーカーのレベルを評価すること、ならびに
    該血液試料中の該1つまたは複数の卵巣がんバイオマーカーのレベルに基づいて該卵巣がんシグネチャーを計算すること
    を含む、請求項17に記載の方法。
  19. Prkdcタンパク質および/またはRad54Lタンパク質レベルの増加が、前記患者がDNA損傷治療に対して感受性でなくなってきていることを示す、請求項16に記載の方法。
  20. 対象に関する卵巣がんシグネチャーを取得するためのキットであって、
    Prkdcに特異的である結合要素またはRad54Lに特異的である結合要素、および
    卵巣がん参照
    を含むキット。
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