発明の詳細な説明
本発明の一実施形態は、ヒトに存在する固形腫瘍の作用を処置または改善するための方法である。この方法は、該ヒトに、薬学的に許容され得る担体または溶液中に懸濁させた約1×103〜約1×107 CFUを含むC.novyiコロニー形成単位(CFU)の単位用量を腫瘍内投与することを含むものである。
本明細書で用いる場合、用語「処置する」、「処置すること」、「処置」およびその文法的語尾変化形は、個体被検体(例えば、ヒト患者)をプロトコル、レジメン、方法または改善措置に供することを意味し、この場合、該被検体、例えば患者において生理学的応答または転帰を得ることが所望される特に、本発明の方法および組成物は、疾患の症状の発現を遅滞させるため、もしくは疾患あるいは病状の発症を遅延させるため、または疾患の発病の進行を停止させるために使用され得る。しかしながら、処置されるどの被検体もが具体的な処置プロトコル、レジメン、方法または改善措置に応答するとは限らないため、処置は、所望の生理学的応答または転帰が1人1人の被検体または被検体、例えば患者、集団において得られることを必要とするものではない。したがって、所与の被検体または被検体、例えば患者、集団は、処置に対して応答しないか、または処置に対する応答が不充分であってもよい。
本明細書で用いる場合、用語「改善する」、「改善すること」およびその文法的語尾変化形は、被検体において疾患の症状の重症度を低下させることを意味する。
本明細書で用いる場合、「固形腫瘍」は異常な細胞増殖塊状物を意味する。固形腫瘍は体内のどこにでも発生し得る。固形腫瘍は、がん性(悪性)であっても非がん性(良性)であってもよい。本発明による固形腫瘍の例としては、副腎皮質癌、肛門腫瘍/がん、膀胱腫瘍/がん、骨の腫瘍/がん(骨肉腫など)、脳腫瘍、乳房の腫瘍/がん、カルチノイド腫瘍、癌、頸部腫瘍/がん、結腸腫瘍/がん、子宮内膜腫瘍/がん、食道腫瘍/がん、肝外胆管腫瘍/がん、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、頭蓋外胚細胞腫瘍、目の腫瘍/がん、胆嚢腫瘍/がん、胃の腫瘍/がん、胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛腫瘍、頭頸部腫瘍/がん、下咽頭腫瘍/がん、島細胞癌、腎臓腫瘍/がん、喉頭腫瘍/がん、平滑筋肉腫、白血病、唇および口腔腫瘍/がん、肝臓腫瘍/がん(肝細胞癌など)、肺腫瘍/がん、リンパ腫、悪性中皮腫、メルケル細胞癌、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄増殖障害、鼻咽頭腫瘍/がん、神経芽細胞腫、口腔腫瘍/がん、口腔咽頭腫瘍/がん、骨肉腫、卵巣上皮腫瘍/がん、卵巣胚細胞腫瘍、膵臓腫瘍/がん、副鼻腔および鼻腔腫瘍/がん、副甲状腺腫瘍/がん、陰茎腫瘍/がん、下垂体腫瘍/がん、形質細胞新生物、前立腺腫瘍/がん、横紋筋肉腫、直腸腫瘍/がん、腎細胞腫瘍/がん、腎盂および尿管の移行上皮腫瘍/がん、唾液腺腫瘍/がん、セザリー症候群、皮膚腫瘍(皮膚t細胞リンパ腫、カポジ肉腫、肥満細胞腫および黒色腫など)、小腸の腫瘍/がん、軟部組織肉腫、胃の腫瘍/がん、精巣腫瘍/がん、胸腺腫、甲状腺腫瘍/がん、尿道腫瘍/がん、子宮腫瘍/がん、膣腫瘍/がん、外陰腫瘍/がん、ならびにウィルムス腫瘍が挙げられる。好ましくは、固形腫瘍は、軟部組織肉腫、肝細胞癌、乳がん、膵臓がんおよび黒色腫からなる群より選択される。より好ましくは、固形腫瘍は平滑筋肉腫、例えば後腹膜平滑筋肉腫である。
本明細書で用いる場合、「単位用量」は、被検体、例えばヒトに単回用量で投与される投薬物量を意味する。
本明細書で用いる場合、「C.novyi」は、Clostridium novyiの種に属する細菌または該種から誘導される細菌を意味する。Clostridium novyiは、例えばATCC(#19402)から市販品として入手され得、グラム陽性の嫌気性細菌である。Clostridium novyiから誘導される細菌は、例えば、天然のClostridium novyiの特定の特徴を有するクローンについてスクリーニングすることにより作製され得る。好ましいC.novyi細菌は、被検体(哺乳動物(例えばヒト)など)に対して無毒性であるか、または毒性が最小限であるものである。例えば、好ましいC.novyiであるC.novyi NTは、天然のClostridium novyiから誘導された、例えば遺伝子操作プロセスまたは選択手順によってその単一の全身毒素(α−毒素)遺伝子が失われた細菌である。C.novyi NTは、例えば、Dangら,2001および米国特許第7,344,710号に開示された手順を用いて作製され得る。したがって、本発明はC.novyiならびにC.novyi NT細菌を包含している。
薬物動態試験により、C.novyi NT芽胞は、静脈内注射した場合、循環系から速やかに除去され(99%より多くの芽胞が1時間以内に除去される)、細網内皮系内に隔離されることが示されている。長期分布試験では、この芽胞は最終的に、すべての組織から1年以内に排出されることが明らかになっている。芽胞形態(休眠期)で送達すると、C.novyi NTは、腫瘍の低酸素領域に曝露されると発芽する(芽胞から栄養性状態への移行)。したがって、C.novyi NTの毒性は、健常患者よりも担腫瘍患者においてより大きいことが予測される。
健常なマウスおよびウサギでは、C.novyi NTを静脈内注射した場合、処置用量に関係なく毒性の明白な臨床徴候(疾病率、死亡率または臨床症状)は示されなかった。しかしながら、検死時の組織検査により、肉眼および顕微鏡の両方で炎症変化が明らかになり、この変化は処置用量依存性のようであった。主に肝臓、脾臓および副腎におけるこのような所見は5×108芽胞/kgまたはそれより高い用量でみとめられた。低用量を受けた健常動物では、検死時に肉眼または顕微鏡で異常は示されなかった。高用量を受けた動物では、炎症の消散が28日目に既に明白であり、炎症の徴候はすべて、投与後1年までにすべての動物において非存在であった。C.novyi NT芽胞が非腫瘍低酸素組織内で発芽し得るかどうかを調べるため、アテローム斑および実験的心筋梗塞を有する高齢マウスでの試験においてC.novyi NTで処理した。このような血管病変部内に芽胞の局在または発芽の形跡はなかった。試験終了時、これらのマウスには、臨床的または病理学的異常(既に存在している心血管病変部以外)はみとめられなかった。このような試験により、C.novyi NTは健常動物において明白な臨床的毒性を引き起こさず、病理学的毒性は最小限であることが示された。
免疫適格担腫瘍マウスへの芽胞の静脈内(IV)注射により、腫瘍の溶解および強力な炎症応答がもたらされる。マウスでは、3つの転帰のうちの1つが典型的に観察される:1つのサブセット(25〜35%)のマウスは治癒し(1年間の観察後、腫瘍の再発なし)、元の腫瘍に対して長期免疫を発現する(Agrawalら,2004)。別のサブセット(65〜75%)では完全な臨床応答がみられるが、元の腫瘍の再増殖を伴う再発が起こる。最後に、残りのサブセット(実験にもよるが0〜20%)では腫瘍の破壊が起こるが、治療の開始後、2〜5日間で有意な臨床毒性が発現される。この毒性を低減させるには比較的単純な手段、例えば水分補給で充分であり、多くの場合、このような徴候は完全に解消される。より大型の動物(ウサギ)での試験では、C.novyi NT療法で同じ治癒率および再発率が示されるが、マウスのサブセットで観察された生命にかかわる臨床毒性は示されない。処置関連死は、C.novyi NT芽胞で処置した担腫瘍マウスでは観察されたが、ウサギでは観察されなかった(Diazら,2005)。この試験において、毒性は芽胞の用量および腫瘍サイズの両方と関連していた。瀕死の状態のマウスでは、特定の臨床検査的または病理学的終末器官損傷はみとめられず、唯一の有意な所見は肝脾腫大であった。治癒したマウスは、稀に肝臓および脾臓に炎症変化の名残を有していたが、その他の点では未処置動物と異ならなかった。このような試験は、担腫瘍動物における毒性が大きな腫瘍を有するマウスにおいて顕著であり得る(死亡)が、より大型の動物(ウサギ)では最小限であったこと、およびマウスでは水分補給または抗生物質により管理可能であったことを示す。
担腫瘍イヌに単独薬剤として静脈内注射されたC.novyi NT芽胞(1×109芽胞/m2)を用いた先の研究では生命にかかわる毒性はもたらされなかった。イヌは、処置後、輸液療法(2〜4ml/kg/時)に数日間維持し、これによって毒性が低下したのかもしれない。残念ながら、処置に対する測定可能な腫瘍応答はみられなかった。
本明細書で用いる場合、「コロニー形成単位」(「CFU」)は、菌体凝集塊(またはコロニー)をもたらす細菌のバイアブルな形態を意味する。かかるバイアブルな形態としては栄養型および芽胞型が挙げられ、本発明は、別々におよび組み合わせて使用される両方の形態を包含している。コロニー形成単位アッセイは当該技術分野で知られている。例えば、Breedら,1916を参照のこと。C.novyiの増殖を補助するために培地は市販されており、例えば、Reinforced Clostridial Medium(RCM)(Difco(BD,Franklin Lakes,NJ)製)である。上記に示したように、単位用量は約1×103〜約1×107、例えば約1×103〜約1×104、約1×104〜約1×105、約1×105〜約1×106または約1×106〜約1×107 C.novyi CFUを含む。
この実施形態の一態様において、単位用量は約1×106〜約1×107 C.novyi CFUを含む。この実施形態の別の態様では、単位用量は約1×104 C.novyi CFUを含む。驚くべきことに、ヒトの処置のための本明細書に開示した用量は予想外なことに、腫瘍学適応症に対する治療開始用量として典型的な非齧歯類で重篤な毒性が発現しない最大投与量(does)(HNSTD)の1/6を用いた本発明者らの非齧歯類モデルからの単純な外挿により予測され得るものよりも少ない。例えば、Senderowicz,A.M.,“Information needed to conduct first−in human oncology trials in the United States:a view from a former FDA medical reviewer.”Clin.Cane.Res.,2010,16:1719−25を参照のこと。
好ましくは、本発明において、C.novyiはC.novyi NTである。
この実施形態の別の態様では、単位用量は約1×106〜約1×107 C.novyi NT芽胞を含む。この実施形態のさらなる一態様では、単位用量は約1×104 C.novyi NT芽胞を含む。
この実施形態の更なる一態様では、該投与工程は、単位用量を単一の箇所で腫瘍内に注射することを含む。この実施形態の別の態様では、該投与工程は、単位用量を複数の独自の箇所で、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10または10より多くの独自の箇所で腫瘍内に注射することを含む。好ましくは、該投与工程は、単位用量を1〜5つの独自の箇所で腫瘍内に、例えば図13に示す構成で注射することを含む。別の好ましい実施形態では、該投与工程は、単位用量を5つまたはそれより多くの独自の箇所で腫瘍内に注射することを含む。多部位注射は本明細書に開示のとおりに、好ましくは、多枝型(multi−tined)の針、例えばQuadra−Fuse(登録商標)(Rex−Medical,Conshohocken,PA)を用いて行なわれ得る。本発明において、該投与工程は、上記のように腫瘍内への直接の注射を含むが、活性薬剤、例えばC.novyiまたはC.novyi NTを腫瘍に投与するための他の方法もまた想定される。かかる方法としては、埋込み、経皮送達および経粘膜送達が挙げられる。
この実施形態の別の態様では、該方法は、さらに、複数回の処置サイクル、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30回または30回より多くのサイクルを該ヒトに施与することを含み、各処置サイクルは、C.novyi CFUの1単位用量、例えばC.novyi NT芽胞の1単位用量を固形腫瘍内に注射することを含むものである。好ましくは、1〜10回の処置サイクルが施与される。より好ましくは、2〜4回の処置サイクルが施与される。各処置サイクル間の間隔はさまざまであり得る。好ましい一実施形態では、各処置サイクル間の間隔は約5〜約100日間である。別の好ましい実施形態では、各処置サイクル間の間隔は約7日間である。
この実施形態の更なる一態様では、該方法はさらに、静脈内(IV)輸液を該ヒトに、C.novyi CFU、例えばC.novyi NT芽胞の各投与の前、各投与中および/または各投与後に投与することを含む。患者に水分補給するためのIV輸液は本明細書に開示しており、当該技術分野でよく知られている。かかる輸液は、血液と等張性である輸液、例えば、0.9%塩化ナトリウム溶液または乳酸加リンゲル液などであり得る。
この実施形態の別の態様では、該方法はさらに、該ヒトに、第1クールの抗生物質を、C.novyi CFU、例えばC.novyi NT芽胞によって引き起こされる有害な副作用が処置または緩和されるのに有効な期間および投薬量で施すことを含む。本発明において、有害な副作用(または有害事象、これは有害な副作用と互換的に用いている)としては、限定されないが、感染症(開放創によって引き起こされるものなど)、嘔吐、血便および発熱が挙げられ得る。
好ましい一実施形態では、該抗生物質はC.novyiの投与後、2週間投与される。かかる抗生物質の非限定的な例としては、アモキシシリン、クラブラネート、メトロニダゾールおよびその組合せが挙げられる。
別の好ましい実施形態では、該方法はさらに、該ヒトに、第2クールの抗生物質をC.novyiによって引き起こされる有害な副作用が処置または緩和されるのに有効な期間および投薬量で施すことを含む。第2クールの抗生物質は第1クールの抗生物質の終了後に開始され得、1〜6ヶ月間、例えば3ヶ月間行なわれる。好ましくは、第2クールで使用される抗生物質はドキシサイクリンであるが、医療専門家によって承認される任意の抗生物質が使用され得る。
この実施形態のさらなる一態様では、該方法はさらに、例えば、該ヒトに化学療法、放射線治療、免疫療法およびその組合せからなる群より選択される治療を施与することによる共処置プロトコルを使用することを含む。
共処置療法で使用されるC.novyi、例えばC.novyi NT芽胞と抗がん剤(1種類または複数種)は該ヒトに、医師が最も適切と判断するとおりに同時または異なる時点のいずれかで投与され得る。C.novyi、例えばC.novyi NT芽胞と該他の抗がん剤(1種類または複数種)が異なる時点で、例えば連続投与によって投与される場合、C.novyi、例えばC.novyi NT芽胞は該ヒトに該他の抗がん剤の前に投与され得る。あるいはまた、該他の抗がん剤(1種類または複数種)を該ヒトにC.novyi、例えばC.novyi NT芽胞の前に投与してもよい。
本明細書で用いる場合、「化学療法」は、本発明のC.novyi、例えば、C.novyi NTでの処置と適合性であり、がん細胞またはがん細胞と関連している細胞もしくはがん細胞を支持する細胞に対する細胞毒性剤および/または細胞増殖抑制剤が使用される任意の治療レジメンを意味する。好ましい一実施形態では、化学療法は、該ヒトに、代謝拮抗薬、微小管阻害薬、DNA傷害性薬剤、抗生物質、抗血管新生剤、血管破壊剤、分子標的剤およびその組合せからなる群より選択される薬剤を投与することを含む。
本明細書で用いる場合、「代謝拮抗薬」は、通常の代謝の一部である化学物質を細胞が使用することを低減または阻害する物質である。本発明による代謝拮抗剤またはその類縁体の非限定的な例としては、葉酸代謝拮抗薬、プリン阻害薬、ピリミジン阻害薬およびその組合せが挙げられる。
本明細書で用いる場合、「葉酸代謝拮抗薬」は、細胞が葉酸(ビタミンB9)を使用するのを改変、低減または阻害する物質である。葉酸代謝拮抗薬の非限定的な例としては、メトトレキサート(DuraMed Pharmaceuticals,Inc.)、ペメトレキセド(Eli Lilly)、プララトレキサート(Spectrum Pharmaceuticals)、アミノプテリン(Sigma Aldrich)、その薬学的に許容され得る塩およびその組合せが挙げられる。
本明細書で用いる場合、「プリン」は、六員の含窒素環と五員の含窒素環の縮合体を含む化合物である。細胞内代謝に重要なプリンの非限定的な例としては、アデニン、グアニン、ヒポキサンチンおよびキサンチンが挙げられる。「プリン阻害薬」は、細胞によるプリンの産生またはプリンの使用を改変、低減または抑制する物質である。プリン阻害薬の非限定的な例としては、メトトレキサート(DuraMed Pharmaceuticals,Inc.)、ペメトレキセド(Eli Lilly)、ヒドロキシ尿素(Bristol−Myers Squibb)、2−メルカプトプリン(Sigma−Aldrich)、6−メルカプトプリン(Sigma−Aldrich)、フルダラビン(Ben Venue Laboratories)、クロファラビン(Genzyme Corp.)、ネララビン(GlaxoSmithKline)、プララトレキサート(Spectrum Pharmaceuticals)、6−チオグアニン(Gate Pharmaceuticals)、フォロデシン(BioCryst Pharmaceuticals)、ペントスタチン(Bedford Laboratories)、サパシタビン(Cyclacel Pharmaceuticals,Inc.)、アミノプテリン(Sigma Aldrich)、アザチオプリン(GlaxoSmithKline)、その薬学的に許容され得る塩およびその組合せが挙げられる。
本明細書で用いる場合、「ピリミジン」は、六員の含窒素環を含む化合物である。細胞内代謝に重要なピリミジンの非限定的な例としては、ウラシル、チミン、シトシンおよびオロト酸が挙げられる。「ピリミジン阻害薬」は、細胞によるピリミジンの産生またはピリミジンの使用を改変、低減または抑制する物質である。ピリミジン阻害薬の非限定的な例としては、5−フルオロウラシル(Tocris Bioscience)、テガフール(LGM Pharma)、カペシタビン(Xeloda)(Roche)、クラドリビン(LGM Pharma)、ゲムシタビン(Eli Lilly)、シタラビン(Bedford Laboratories)、デシタビン(Eisai Inc.)、フロクスウリジン(Bedford Laboratories)、5−アザシチジン(Pharmion Pharmaceuticals)、ドキシフルリジン(Cayman Chemicals)、チアラビン(Access Pharmaceuticals)、トロキサシタビン(SGX Pharmaceuticals)、ラルチトレキセド(AstraZeneca)、カルモフール(Santa Cruz Biotechnology,Inc.)、6−アザウラシル(MP Biomedicals,LLC)、その薬学的に許容され得る塩およびその組合せが挙げられる。
本発明の好ましい一態様では、代謝拮抗剤が、5−フルオロウラシル(Tocris Bioscience)、テガフール(LGM Pharma)、カペシタビン(Xeloda)(Roche)、クラドリビン(LGM Pharma)、メトトレキサート(DuraMed Pharmaceuticals,Inc.)、ペメトレキセド(Eli Lilly)、ヒドロキシ尿素(Bristol−Myers Squibb)、2−メルカプトプリン(Sigma−Aldrich)、6−メルカプトプリン(Sigma−Aldrich)、フルダラビン(Ben Venue Laboratories)、ゲムシタビン(Eli Lilly)、クロファラビン(Genzyme Corp.)、シタラビン(Bedford Laboratories)、デシタビン(Eisai Inc.)、フロクスウリジン(Bedford Laboratories)、ネララビン(GlaxoSmithKline)、プララトレキサート(Spectrum Pharmaceuticals)、6−チオグアニン(Gate Pharmaceuticals)、5−アザシチジン(Pharmion Pharmaceuticals)、ドキシフルリジン(Cayman Chemicals)、フォロデシン(BioCryst Pharmaceuticals)、ペントスタチン(Bedford Laboratories)、サパシタビン(Cyclacel Pharmaceuticals,Inc.)、チアラビン(Access Pharmaceuticals)、トロキサシタビン(SGX Pharmaceuticals)、ラルチトレキセド(AstraZeneca)、アミノプテリン(Sigma Aldrich)、カルモフール(Santa Cruz Biotechnology,Inc.)、アザチオプリン(GlaxoSmithKline)、6−アザウラシル(MP Biomedicals,LLC)、その薬学的に許容され得る塩およびその組合せからなる群より選択される。
本明細書で用いる場合、「微小管阻害薬」は、微小管の機能発揮、例えば個々の微小管単位の重合または解重合を破壊する物質である。本発明の一態様では、微小管阻害薬は、微小管不安定化剤、微小管安定化剤およびその組合せからなる群より選択され得る。また、本発明の微小管阻害薬は、タキサン、ビンカアルカロイド、エポチロンおよびその組合せからなる群より選択され得る。本発明による微小管阻害薬の非限定的な例としては、BT−062(Biotest)、HMN−214(D.Western Therapeutics)、エリブリンメシル酸塩(Eisai)、ビンデシン(Eli Lilly)、EC−1069(Endocyte)、EC−1456(Endocyte)、EC−531(Endocyte)、ビンタホリド(vintafolide)(Endocyte)、2−メトキシエストラジオール(EntreMed)、GTx−230(GTx)、トラスツズマブエムタンシン(Hoffmann−La Roche)、クロリブリン(crolibulin)(Immune Pharmaceuticals)、D1302A−メイタンシノイドコンジュゲート(ImmunoGen)、IMGN−529(ImmunoGen)、ロルボツズマブ(lorvotuzumab)メルタンシン(ImmunoGen)、SAR−3419(ImmunoGen)、SAR−566658(ImmunoGen)、IMP−03138(Impact Therapeutics)、トポテカン/ビンクリスチンの組合せ(LipoCure)、BPH−8(Molecular Discovery Systems)、ホスブレタブリン(fosbretabulin)トロメタミン(OXiGENE)、エストラムスチンリン酸エステルナトリウム(Pfizer)、ビンクリスチン(Pierre Fabre)、ビンフルニン(Pierre Fabre)、ビノレルビン(Pierre Fabre)、RX−21101(Rexahn)、カバジタキセル(Sanofi)、STA−9584(Synta Pharmaceuticals)、ビンブラスチン、エポチロンA、パツピロン(Novartis)、イキサベピロン(Bristol−Myers Squibb)、エポチロンD(Kosan Biosciences)、パクリタキセル(Bristol−Myers Squibb)、ドセタキセル(Sanofi−Aventis)、HAIアブラキサン、DJ−927(第一三共)、ディスコデルモリド(CAS番号:127943−53−7)、エレウテロビン(CAS番号:174545−76−7)、その薬学的に許容され得る塩およびその組合せが挙げられる。
本発明のDNA傷害性薬剤としては、限定されないが、アルキル化剤、白金系薬剤、インターカレーション剤、およびDNA複製阻害薬が挙げられる。
本明細書で用いる場合、「アルキル化剤」は、核酸に1つまたはそれより多くのアルキル基(CnHm,ここで、nおよびmは整数である)を付加する物質である。本発明において、アルキル化剤は、ナイトロジェンマスタード、ニトロソウレア、アルキルスルホネート、トリアジン、エチレンイミンおよびその組合せからなる群より選択される。ナイトロジェンマスタードの非限定的な例としては、メクロレタミン(Lundbeck)、クロラムブシル(GlaxoSmithKline)、シクロホスファミド(Mead Johnson Co.)、ベンダムスチン(Astellas)、イホスファミド(Baxter International)、メルファラン(Ligand)、メルファランフルフェナミド(Oncopeptides)、およびその薬学的に許容され得る塩が挙げられる。ニトロソウレアの非限定的な例としては、ストレプトゾシン(Teva)、カルムスチン(Eisai)、ロムスチン(Sanofi)、およびその薬学的に許容され得る塩が挙げられる。アルキルスルホネートの非限定的な例としては、ブスルファン(Jazz Pharmaceuticals)およびその薬学的に許容され得る塩が挙げられる。トリアジンの非限定的な例としては、ダカルバジン(Bayer)、テモゾロミド(Cancer Research Technology)、およびその薬学的に許容され得る塩が挙げられる。エチレンイミンの非限定的な例としては、チオテパ(Bedford Laboratories)、アルトレタミン(MGI Pharma)、およびその薬学的に許容され得る塩が挙げられる。他のアルキル化剤としては、ProLindac(Access)、Ac−225 BC−8(Actinium Pharmaceuticals)、ALF−2111(Alfact Innovation)、トロホスファミド(Baxter International)、MDX−1203(Bristol−Myers Squibb)、チオウレイドブチロニトリル(CellCeutix)、ミトブロニトール(Chinoin)、ミトラクトール(Chinoin)、ニムスチン(第一三共)、グルホスファミド(Eleison Pharmaceuticals)、HuMax−TACとPBD ADCの組合せ(Genmab)、BP−C1(Meabco)、トレオスルファン(Medac)、ニフルチモックス(Metronomx)、イムプロスルファントシル酸塩(田辺三菱製薬)、ラニムスチン(田辺三菱製薬)、ND−01(NanoCarrier)、HH−1(Nordic Nanovector)、22P1G細胞とイホスファミドの組合せ(Nuvilex)、エストラムスチンホスフェート(Pfizer)、プレドニムスチン(Pfizer)、ルールビネクテジン(lurbinectedin)(PharmaMar)、トラベクテジン(PharmaMar)、アルトレタミン(altreatamine)(Sanofi)、SGN−CD33A(Seattle Genetics)、ホテムスチン(Servier)、ネダプラチン(Shionogi)、ヘプタプラチン(Sk Holdings)、アパジクオン(Spectrum Pharmaceuticals)、SG−2000(Spirogen)、TLK−58747(Telik)、ラロムスチン(Vion Pharmaceuticals)、プロカルバジン(Alkem Laboratories Ltd.)、およびその薬学的に許容され得る塩が挙げられる。
本明細書で用いる場合、「白金系薬剤」は、金属白金およびかかる物質の類似体を含む抗がん物質である。白金は任意の酸化状態であり得る。本発明の白金系薬剤としては、限定されないが、1,2−ジアミノシクロヘキサン(DACH)誘導体、フェナントロイミダゾールPt(II)錯体、白金IV化合物、二核および三核の白金化合物、デメチルカンタリジン一体化白金錯体、白金共役化合物、シスプラチンナノ粒子およびポリマーミセル、立体障害性白金錯体、オキサリプラチン(Debiopharm)、サトラプラチン(Johnson Matthey)、BBR3464(Novuspharma S.p.A.)、ZD0473(Astra Zeneca)、シスプラチン(日本化薬)、JM−11(Johnson Matthey)、PAD(シス−ジクロロビスシクロペンチルアミン白金(II))、MBA((トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン)ビスブロモアセタト白金(II))、PHM((1,2−シクロヘキサンジアミン)マロナト白金(II))、SHP((1,2−シクロヘキサンジアミン)スルファト白金(II))、ネオ−PHM((トランス−R,R−1,2−シクロヘキサンジアミン)マロナト白金(II))、ネオ−SHP((トランス−R,R−1,2−シクロヘキサンジアミン)スルファト白金(II))、JM−82(Johnson Matthey)、PYP((1,2−シクロヘキサンジアミン)ビスピルバト白金(II))、PHIC((1,2−シクロヘキサンジアミン)イソシトラト白金(II))、TRK−710((トランス−R,R−1,2−シクロヘキサンジアミン)[3−アセチル−5−メチル−2,4(3H,5H)−フランジオナト]白金(II))、BOP((1,2−シクロオクタンジアミン)ビスブロモアセタト白金(II))、JM−40(Johnson Matthey)、エンロプラチン(UnionPharma)、ゼニプラチン(LGM Pharma)、Cl−973(Parke−Davis)、ロバプラチン(Zentaris AG/Hainan Tianwang International Pharmaceutical)、シクロプラタン(LGM Pharma)、WA2114R(ミボプラチン/ロバプラチン)(Chembest Research Laboratories,Ltd.)、ヘプタプラチン(SKI2053R)(SK Chemicals)、TNO−6(スピロプラチン)(Haihang Industry Co.,Ltd.)、オルマプラチン(テトラプラチン)(LGM Pharma)、JM−9(イプロプラチン)(Johnson Matthey)、BBR3610(Novuspharma S.p.A.)、BBR3005(Novuspharma S.p.A.)、BBR3571(Novuspharma S.p.A.)、BBR3537(Novuspharma S.p.A.)、アロプラチン(L−NDDP)(BOC Sciences)、Pt−ACRAMTU({[Pt(en)CI(ACRAMTU−S)](NO3)2(en=エタン−1,2−ジアミン,ACRAMTU=1−[2−(アクリジン−9−イルアミノ)エチル]−1,3−ジメチルチオ尿素)})、シスプラチン負荷リポソーム(LiPlasomes)、SPI−077(Alza)、リポプラチン(Regulon)、リポキサル(lipoxal)(Regulon)、カルボプラチン(Johnson Matthey)、ネダプラチン(Shionogi Seiyaku)、ミリプラチン水和物(大日本住友製薬)、オルマプラチン(LGM Pharma)、エンロプラチン(Lederle Laboratories)、CI973(Parke−Davis)、PEG化シスプラチン、PEG化カルボプラチン、PEG化オキサリプラチン、トランスプラチン(トランス−ジアミンジクロロ白金(II);混合型Z:トランス−[PtCI2{Z−HN=C(OMe)Me}(NH3)])、CD−37(エストラジオール−白金(II)ハイブリッド分子)、ピコプラチン(Poniard Pharmaceuticals)、
AH44(Komedaら,2006;Harrisら,2005;Quら,2004)、トリプラチンNC(Harrisら,2005;Quら,2004)、ProLindac(Access)、その薬学的に許容され得る塩ならびにその組合せが挙げられる。
本明細書で用いる場合、「インターカレーション剤」としては、限定されないが、ドキソルビシン(Adriamycin)、ダウノルビシン、イダルビシン、ミトザントロン、その薬学的に許容され得る塩、プロドラッグおよびその組合せが挙げられる。
DNA複製阻害薬の非限定的な例としては、限定されないがトポイソメラーゼ阻害薬が挙げられる。本明細書で用いる場合、「トポイソメラーゼ阻害薬」はトポイソメラーゼの発現または活性を低減させる物質である。本発明によるトポイソメラーゼ阻害薬は、トポイソメラーゼI、トポイソメラーゼII、またはトポイソメラーゼIとトポイソメラーゼIIの両方を阻害し得るものである。本発明によるトポイソメラーゼI阻害薬の非限定的な例としては、イリノテカン(Alchemia)、APH−0804(Aphios)、カンプトセシン(Aphios)、コシテカン(cositecan)(BioNumerik)、トポテカン(GlaxoSmithKline)、ベロテカン塩酸塩(Chon Kun Dang)、フィルテカン(firtecan)ペゴール(Enzon)、HN−30181A(Hanmi)、hRS7−SN−38(Immunomedics)、ラベツズマブ−SN−38(Immunomedics)、エチリノテカン(etirinotecan)ペゴール(Nektar Therapeutics)、NK−012(日本化薬)、SER−203(Serina Therapeutics)、シムミテカン(simmitecan)塩酸塩プロドラッグ(Shanghai HaiHe Pharmaceuticals)、ギマテカン(Sigma−Tau)、ナミテカン(namitecan)(Sigma−Tau)、SN−38(Supratek Pharma)、TLC−388塩酸塩(Taiwan Liposome Company)、ラメラリンD(PharmaMar)、その薬学的に許容され得る塩およびその組合せが挙げられる。本発明によるトポイソメラーゼII型の阻害薬の非限定的な例としては、Adva−27a(Advanomics)、ゾプタレリン(zoptarelin)ドキソルビシン(Aeterna Zentaris)、バルルビシン(Anthra Pharmaceuticals)、ラゾキサン(AstraZeneca)、ドキソルビシン(Avena Therapeutics)、アムサクリン(Bristol−Myers Squibb)、エトポシドリン酸塩(Bristol−Myers Squibb)、エトポシド(Novartis)、デクスラゾキサン(Cancer Research Technology)、シタラビン/ダウノルビシンの組合せ(Celator Pharmaceuticals)、CAP7.1(CellAct Pharma)、アルドキソルビシン(CytRx)、アムルビシン塩酸塩(大日本住友製薬)、ボサロキシン(大日本住友製薬)、ダウノルビシン(Gilead Sciences)、ミラツズマブ/ドキソルビシンの組合せ(Immunomedics)、アクラルビシン(協和発酵キリン)、ミトザントロン(Meda)、ピラルビシン(Meiji)、エピルビシン(Pfizer)、テニポシド(Novartis)、F−14512(Pierre Fabre)、酢酸エリプチニウム(Sanofi)、ゾルビシン(Sanofi)、デクスラゾキサン(TopoTarget)、ソブゾキサン(Zenyaku Kogyo)、イダルビシン(Pfizer)、HU−331(Cayman Chemical)、オーリントリカルボン酸(Sigma Aldrich)、その薬学的に許容され得る塩およびその組合せが挙げられる。
本発明による化学療法用抗生物質としては、限定されないが、アクチノマイシン、アントラサイクリン、バルルビシン、エピルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン、マイトマイシン、その薬学的に許容され得る塩、プロドラッグおよびその組合せが挙げられる。
本明細書で用いる場合、用語「抗血管新生剤」は、既に存在する血管からの生成途中の血管形成を抑制または遅延させる任意の化合物を意味する。本発明において、抗血管新生剤の例としては、限定されないが、ペガプタニブ、ラニビズマブ、ベバシズマブ(アバスチン)、カルボキシアミドトリアゾール、TNP−470、CM101、IFN−α、IL−12、血小板因子4、スラミン、SU5416、トロンボスポンジン、VEGFR拮抗薬、血管新生抑制性ステロイドおよびヘパリン、軟骨由来血管新生阻害因子、マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害薬、アンギオスタチン、エンドスタチン、2−メトキシエストラジオール、テコガラン(tecogalan)、プロラクチン、αvβ3阻害薬、リノミド、VEGF−Trap、アミノステロール、コルチゾン、チロシンキナーゼ阻害薬、抗血管新生性siRNA、補体系の阻害薬、血管破壊剤およびその組合せが挙げられる。好ましくは、抗血管新生剤はベバシズマブである。
本発明のVEGFR拮抗薬としては、限定されないが、パゾパニブ、レゴラフェニブ、レンバチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、アキシチニブ、バンデタニブ、カボザンチニブ、バタラニブ、セマキサニブ、ZD6474、SU6668、AG−013736、AZD2171、AEE788、MF1/MC−18F1、DC101/IMC−1C11、ラムシルマブ、およびモテサニブが挙げられる。また、VEGFR拮抗薬としては、VEGF阻害薬、例えばベバシズマブ、アフリベルセプト、2C3、r84、VEGF−Trap、およびラニビズマブも挙げられ得る。
本発明の血管新生抑制性ステロイドには、血管新生もしくは新血管形成を阻害する、減弱させる、抑制する、または病理学的血管形成の退縮を引き起こす任意のステロイドが包含される。本発明の血管新生抑制性ステロイドとしては、欧州特許出願EP1236471A2に開示されたもの、ならびに米国特許第4,599,331号に開示された20置換ステロイド、米国特許第4,771,042号に開示された21−ヒドロキシステロイド、国際特許出願WO1987/02672に開示されたC11官能化ステロイド、6α−フルオロ17α,21−ジヒドロキシ−16α−メチルプレグナ−4,9(11)−ジエン−3,20−ジオン21−アセテート、6α−フルオロ−17α,21−ジヒドロキシ−16β−メチルプレグナ−4,9(11)−ジエン−3,20−ジオン、6α−フルオロ−17α,21−ジヒドロキシ−16β−メチルプレグナ−4,9(11)−ジエン−3,20−ジオン21−ホスホノオキシおよびその薬学的に許容され得る塩、ヒドロコルチゾン、テトラヒドロコルチゾール、17α−ヒドロキシ−プロゲステロン、11α−エピヒドロコルチゾン、コルテキソロン、コルチコステロン、デスオキシコルチコステロン、デキサメタゾン、コルチゾン21−アセテート、ヒドロコルチゾン21−ホスフェート、17α−ヒドロキシ−6α−メチルプレグン−4−エン−3,20−ジオン17−アセテート、6α−フルオロ−17α,21−ジヒドロキシ−16α−メチルプレグナ−4,9(11)−ジエン−3,20−ジオン、およびΔ9(11)−エチアン酸エステル(すべて国際特許出願WO1990/015816A1に開示)が挙げられる。
軟骨由来血管新生阻害因子としては、限定されないが、ペプチドトロポニンおよびコンドロモジュリンIが挙げられる。
本発明のマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害薬としては、限定されないが、ヒドロキサム酸スクシニル、例えばマリマスタットおよびSC903、ヒドロキサム酸スルホンアミド、例えばCGS27023A、ヒドロキサム酸ホスフィンアミド、カルボキシレート阻害薬、例えばBAY12−9566、チオール阻害薬、例えば化合物B、アミノメチルベンゾイミダゾール類縁化合物、ペプチド、例えばレガセピン(regasepin)、およびテトラサイクリン、例えばミノサイクリンが挙げられる。
αvβ3阻害薬としては、限定されないが、IS20I、P11ペプチド、EMD 85189、および66203、RGDペプチド、RGD模倣物、例えばS 36578−2、エチスタチン、αvβ3インテグリンに対する抗体または抗体断片、例えばVitaxin(これは、該二量体の細胞外ドメインを標的化する)、シレンジタイドならびにペプチド模倣物、例えばS247が挙げられる。
抗血管新生性siRNAとしては、限定されないが、血管新生中に上方調節されるmRNAを標的化するsiRNA、VEGFまたはVEGFR mRNAを標的化する任意選択的にPEG化されたsiRNA、ならびにUPR(アンフォールドタンパク質応答)−IRE1α、XBP−1およびATF6 mRNAを標的化するsiRNAが挙げられる。さらに、最低21ヌクレオチド長であるsiRNAは、標的化配列に関係なく新血管形成を抑制することが示されており(Kleinmanら,2008)、本発明の抗血管新生性siRNAに包含され得る。
補体系の阻害薬としては、限定されないが、修飾型天然補体成分、例えば可溶性補体受容体1型、長相同反復配列−Aがない可溶性補体受容体1型、可溶性補体受容体1型−Sialyl Lewisx、補体受容体2型、可溶性崩壊促進因子、可溶性膜補因子タンパク質、可溶性CD59、崩壊促進因子−CD59ハイブリッド、膜補因子タンパク質−崩壊促進因子ハイブリッド、C1阻害薬、およびC1q受容体、補体−阻害性抗体、例えば抗C5モノクローナル抗体および抗C5一本鎖Fv、補体活性化の合成阻害薬、例えばC5a受容体を標的化する拮抗性ペプチドおよび類縁体、ならびに補体活性化をブロックする天然に存在する化合物、例えばヘパリンおよび関連グリコサミノグリカン化合物が挙げられる。補体系のさらなる阻害薬はMakrides(Makrides,1998)に開示されている。
本明細書で用いる場合、用語「血管破壊剤」は、既に存在している血管構造、例えば腫瘍の血管構造を標的化する、前記血管構造を損傷させる、もしくは破壊する、および/または腫瘍の中心壊死を引き起こす任意の化合物を意味する。本発明において、血管破壊剤の例としては、限定されないが、ABT−751(Abbott)、AVE8062(Aventis)、BCN105(Bionomics)、BMXAA(Antisoma)、CA−4−P(OxiGene)、CA−1−P(OxiGene)、CYT997(Cytopia)、MPC−6827(Myriad Pharmaceuticals)、MN−029(MediciNova)、NPI−2358(Nereus)、Oxi4503(Oxigene)、TZT−1027(Daichi Pharmaceuticals)、ZD6126(AstraZenecaおよびAngiogene)、その薬学的に許容され得る塩ならびにその組合せが挙げられる。
本明細書で用いる場合、「分子標的剤」は、被検体に投与すると単一の分子または分子群の機能に干渉する物質、好ましくは、腫瘍の増殖および進行に関与するものである。本発明の分子標的剤の非限定的な例としては、シグナル伝達阻害薬、遺伝子発現および他の細胞機能の調節因子、免疫系調節薬、抗体−薬物コンジュゲート(ADC)ならびにその組合せが挙げられる。
本明細書で用いる場合、「シグナル伝達阻害薬」は、例えば細胞外シグナル伝達分子によって細胞表面受容体が活性化されると細胞間の連絡を破壊する物質である。本発明のシグナル伝達阻害薬の非限定的な例としては、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害薬、B−Raf阻害薬、上皮成長因子阻害薬(EGFRi)、ERK阻害薬、ヤヌスキナーゼ阻害薬、MEK阻害薬、ラパマイシンの哺乳動物標的(mTor)阻害薬、ホスホイノシチド3−キナーゼ阻害薬(PI3Ki)、およびRas阻害薬が挙げられる。
本明細書で用いる場合、「未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害薬」は、(i)例えばALKに結合することによりALKと直接相互作用する、および(ii)ALKの発現または活性を低減させる物質である。本発明の未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害薬の非限定的な例としては、クリゾチニブ(Pfizer,New York,NY)、CH5424802(中外製薬株式会社,東京,日本)、GSK1838705(GlaxoSmithKline,United Kingdom)、Chugai 13d(中外製薬株式会社,東京,日本)、CEP28122(Teva Pharmaceutical Industries,Ltd.,Israel)、AP26113(Ariad Pharmaceuticals,Cambridge,MA)、Cephalon 30(Teva Pharmaceutical Industries,Ltd.,Israel)、X−396(Xcovery,Inc.,West Palm Beach、FL)、Amgen 36(Amgen Pharmaceuticals,Thousand Oaks,CA)、ASP3026(Astellas Pharma US,Inc.,Northbrook、Illinois)、およびAmgen 49(Amgen Pharmaceuticals,Thousand Oaks,CA)、その薬学的に許容され得る塩ならびにその組合せが挙げられる。
本明細書で用いる場合、本発明の「B−Raf阻害薬」は、(i)例えばB−Rafに結合することによりB−Rafと直接相互作用するおよび(ii)B−Rafの発現または活性を低減させる物質である。B−Raf阻害薬は、それぞれの結合様式によって2つの型に分類され得る。本明細書で用いる場合、「1型」B−Raf阻害薬は、活性なコンホメーションの該キナーゼのATP結合部位を標的化する阻害薬である。「2型」B−Raf阻害薬は、該キナーゼの不活性なコンホメーションに優先的に結合する阻害薬である。本発明の1型B−Raf阻害薬の非限定的な例としては:
ダブラフェニブ(GlaxoSmithKline)、GDC−0879(Genentech)、L−779450 B−Raf(Merck)、PLX3202(Plexxikon)、PLX4720(Plexxikon)、SB−590885(GlaxoSmithKline)、SB−699393(GlaxoSmithKline)、ベムラフェニブ(Plexxikon)、その薬学的に許容され得る塩およびその組合せが挙げられる。好ましくは、1型RAF阻害薬はダブラフェニブまたはその薬学的に許容され得る塩である。
本発明の2型B−Raf阻害薬の非限定的な例としては:
ソラフェニブ(Onyx Pharmaceuticals)、ZM−336372(AstraZeneca)、その薬学的に許容され得る塩およびその組合せが挙げられる。
他のB−Raf阻害薬としては、限定されないが、AAL881(Novartis);AB−024(Ambit Biosciences)、ARQ−736(ArQule)、ARQ−761(ArQule)、AZ628(Axon Medchem BV)、BeiGene−283(BeiGene)、BIIB−024(MLN 2480)(Sunesis & Takeda)、b raf阻害薬(Sareum)、BRAFキナーゼ阻害薬(Selexagen Therapeutics)、BRAF siRNA 313(tacaccagcaagctagatgca)および253(cctatcgttagagtcttcctg)(Liuら,2007)、CTT239065(Institute of Cancer Research)、DP−4978(Deciphera Pharmaceuticals)、HM−95573(Hanmi)、GW 5074(Sigma Aldrich)、ISIS 5132(Novartis)、LErafAON(NeoPharm,Inc.)、LBT613(Novartis)、LGX 818(Novartis)、パゾパニブ(GlaxoSmithKline)、PLX5568(Plexxikon)、RAF−265(Novartis)、RAF−365(Novartis)、レゴラフェニブ(Bayer Healthcare Pharmaceuticals,Inc.)、RO 5126766(Hoffmann−La Roche)、TAK 632(Takeda)、TL−241(Teligene)、XL−281(Exelixis)、その薬学的に許容され得る塩ならびにその組合せが挙げられる。
本明細書で用いる場合、「EGFR阻害薬」は、(i)例えばEGFRに結合することによりEGFRと直接相互作用する、および(ii)EGFRの発現または活性を低減させる物質である。本発明によるEGFR阻害薬の非限定的な例としては、(+)−Aeroplysinin−1(CAS番号28656−91−9)、3−(4−イソプロピルベンジリデニル)−インドリン−2−オン、ABT−806(Life Science Pharmaceuticals)、AC−480(Bristol−Myers Squibb)、アファチニブ(Boehringer Ingelheim)、AG 1478(CAS番号153436−53−4)、AG 494(CAS番号133550−35−3)、AG 555(CAS番号133550−34−2)、AG 556(CAS番号133550−41−1)、AG 825(CAS番号149092−50−2)、AG−490(CAS番号134036−52−5)、アントロキノノール(Golden Biotechnology)、AP−26113(Ariad)、ARRY334543(CAS番号845272−21−1)、AST 1306(CAS番号897383−62−9)、AVL−301(Celgene)、AZD8931(CAS番号848942−61−0)、BIBU 1361(CAS番号793726−84−8)、BIBX 1382(CAS番号196612−93−8)、BMS−690514(Bristol−Myers Squibb)、BPIQ−I(CAS番号174709−30−9)、カネルチニブ(Pfizer)、セツキシマブ(Actavis)、シパチニブ(Jiangsu Hengrui Medicine)、CL−387,785(Santa Cruz Biotech)、化合物56(CAS番号171745−13−4)、CTX−023(CytomX Therapeutics)、CUDC−101(Curis)、ダコミチニブ(Pfizer)、DAPH(CAS番号145915−58−8)、ダフネチン(Santa Cruz Biotech)、ドビチニブ乳酸塩(Novartis)、EGFR阻害薬(CAS番号879127−07−8)、エピチニブ(Hutchison China MediTech)、エルブスタチン類似体(CAS番号63177−57−1)、エルロチニブ(Astellas)、ゲフィチニブ(AstraZeneca)、GT−MAB 5.2−GEX(Glycotope)、GW 583340(CAS番号388082−81−3)、GW2974(CAS番号202272−68−2)、HDS 029(CAS番号881001−19−0)、ヒペリシン(Santa Cruz Biotech)、イコチニブ塩酸塩(Betapharma)、JNJ−26483327(Johnson & Johnson)、JNJ−28871063(Johnson & Johnson)、KD−020(Kadmon Pharmaceuticals)、ラパチニブジトシル酸塩(ditosylate)(GlaxoSmithKline)、Lavendustin A(Sigma)、Lavendustin C(Sigma)、LY−3016859(Eli Lilly)、MEHD−7945A(Hoffmann−La Roche)、MM−151(Merrimack)、MT−062(Medisyn Technologies)、ネシツムマブ(Eli Lilly)、ネラチニブ(Pfizer)、ニモツズマブ(Center of Molecular Immunology)、NT−004(NewGen Therapeutics)、パニツムマブ(pantiumumab)(Amgen)、PD 153035(CAS番号153436−54−5)、PD 161570(CAS番号192705−80−9)、PD 168393、PD 174265(CAS番号216163−53−0)、ピロチニブ(Sihuan Pharmaceutical)、ポジオチニブ(Hanmi)、PP 3(CAS番号5334−30−5)、PR−610(Proacta)、ピロチニブ(Jiangsu Hengrui Medicine)、RG−13022(CAS番号136831−48−6)、リンドペピムト(rindopepimut)(Celldex Therapeutics)、RPI−1(CAS番号269730−03−2)、S−222611(Shionogi)、TAK 285(CAS番号871026−44−7)、TAS−2913(Taiho)、テリアチニブ(Hutchison China MediTech)、チルホスチン47(RG−50864、AG−213)(CAS番号118409−60−2)、チルホスチン51(CAS番号122520−90−5)、チルホスチンAG 1478(CAS番号175178−82−2)、チルホスチンAG 183(CAS番号126433−07−6)、チルホスチンAG 528(CAS番号133550−49−9)、チルホスチンAG 99(CAS番号118409−59−9)、チルホスチンB42(Santa Cruz Biotech)、チルホスチンB44(Santa Cruz Biotech)、チルホスチンRG 14620(CAS番号136831−49−7)、バンデタニブ(AstraZeneca)、バルリチニブ(Array BioPharma)、バタラニブ(Novartis)、WZ 3146(CAS番号1214265−56−1)、WZ 4002(CAS番号1213269−23−8)、WZ8040(CAS番号1214265−57−2)、XL−647(Exelixis)、Z−650(HEC Pharm)、ZM 323881(CAS番号324077−30−7)、その薬学的に許容され得る塩およびその組合せが挙げられる。好ましくは、EGFR阻害薬は、パニツムマブ、エルロチニブ、その薬学的に許容され得る塩およびその組合せからなる群より選択される。
本明細書で用いる場合、「ERK阻害薬」は、(i)例えばERKに結合することによりERK、例えばERK1およびERK2と直接相互作用する、および(ii)ERKプロテインキナーゼの発現または活性を低減させる物質である。したがって、ERKの上流に作用する阻害薬、例えばMEK阻害薬およびRAF阻害薬は本発明によるERK阻害薬ではない。本発明のERK阻害薬の非限定的な例としては、AEZS−131(Aeterna Zentaris)、AEZS−136(Aeterna Zentaris)、SCH−722984(Merck & Co.)、SCH−772984(Merck & Co.)、SCH−900353(MK−8353)(Merck & Co.)、その薬学的に許容され得る塩およびその組合せが挙げられる。
本明細書で用いる場合、「ヤヌスキナーゼ阻害薬」は、(i)例えばヤヌスキナーゼに結合することによりヤヌスキナーゼと直接相互作用する、および(ii)ヤヌスキナーゼの発現または活性を低減させる物質である。本発明のヤヌスキナーゼとしては、Tyk2、Jak1、Jak2およびJak3が挙げられる。本発明のヤヌスキナーゼ阻害薬の非限定的な例としては、ルキソリチニブ(Incyte Corporation,Wilmington,DE)、バリシチニブ(Incyte Corporation,Wilmington,DE)、トファシチニブ(Pfizer,New York,NY)、VX−509(Vertex Pharmaceuticals,Inc.,Boston,MA)、GLPG0634(Galapagos NV,Belgium)、CEP−33779(Teva Pharmaceuticals,Israel)、その薬学的に許容され得る塩およびその組合せが挙げられる。
本明細書で用いる場合、「MEK阻害薬」は、(i)例えばMEKに結合することによりMEKと直接相互作用する、および(ii)MEKの発現または活性を低減させる物質である。したがって、MEKの上流に作用する阻害薬、例えばRAS阻害薬およびRAF阻害薬は本発明によるMEK阻害薬ではない。MEK阻害薬は、該阻害薬がATPと競合するかどうかに応じて2つの型に分類され得る。本明細書で用いる場合、「1型」MEK阻害薬は、MEKに対する結合に関してATPと競合する阻害薬である。「2型」MEK阻害薬は、MEKに対する結合に関してATPと競合しない阻害薬である。本発明による1型MEK阻害薬の非限定的な例としては、ベンタマピモド(Merck KGaA)、L783277(Merck)、RO092210(Roche)、その薬学的に許容され得る塩およびその組合せが挙げられる。好ましくは、1型MEK阻害薬はRO092210(Roche)またはその薬学的に許容され得る塩である。本発明による2型MEK阻害薬の非限定的な例としては、炭疽毒素、炭疽毒素の致死因子部分、ARRY−142886(6−(4−ブロモ−2−クロロ−フェニルアミノ)−7−フルオロ−3−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−エトキシ)−アミド)(Array BioPharma)、ARRY−438162(Array BioPharma)、AS−1940477(Astellas)、MEK162(Array BioPharma)、PD 098059(2−(2’−アミノ−3’−メトキシフェニル)−オキサナフタレン−4−オン)、PD 184352(CI−1040)、PD−0325901(Pfizer)、ピマセルチブ(pimasertib)(Santhera Pharmaceuticals)、レファメチニブ(AstraZeneca)、セルメチニブ(AZD6244)(AstraZeneca)、TAK−733(Takeda)、トラメチニブ(Japan Tobacco)、U0126(1,4−ジアミノ−2,3−ジシアノ−1,4−ビス(2−アミノフェニルチオ)ブタジエン)(Sigma)、RDEA119(Ardea Biosciences/Bayer)、その薬学的に許容され得る塩およびその組合せが挙げられる。好ましくは、2型MEK阻害薬はトラメチニブまたはその薬学的に許容され得る塩である。他のMEK阻害薬としては、限定されないが、アントロキノノール(Golden Biotechnology)、AS−1940477(Astellas)、AS−703988(Merck KGaA)、BI−847325(Boehringer Ingelheim)、E−6201(Eisai)、GDC−0623(Hoffmann−La Roche)、GDC−0973、RG422、RO4987655、RO5126766、SL327、WX−554(Wilex)、YopJポリペプチド、その薬学的に許容され得る塩およびその組合せが挙げられる。
本明細書で用いる場合、「mTOR阻害薬」は、(i)例えばmTORに結合することによりmTORと直接相互作用する、および(ii)mTORの発現または活性を低減させる物質である。本発明によるmTOR阻害薬の非限定的な例としては、ゾタロリムス(AbbVie)、ウミロリムス(Biosensors)、テムシロリムス(Pfizer)、シロリムス(Pfizer)、シロリムスNanoCrystal(Elan Pharmaceutical Technologies)、シロリムスTransDerm(TransDerm)、シロリムス−PNP(Samyang)、エベロリムス(Novartis)、バイオリムスA9(Biosensors)、リダホロリムス(Ariad)、ラパマイシン、TCD−10023(Terumo)、DE−109(MacuSight)、MS−R001(MacuSight)、MS−R002(MacuSight)、MS−R003(MacuSight)、Perceiva(MacuSight)、XL−765(Exelixis)、キナクリン(Cleveland BioLabs)、PKI−587(Pfizer)、PF−04691502(Pfizer)、GDC−0980(GenentechおよびPiramed)、ダクトリシブ(Novartis)、CC−223(Celgene)、PWT−33597(Pathway Therapeutics)、P−7170(Piramal Life Sciences)、LY−3023414(Eli Lilly)、INK−128(Takeda)、GDC−0084(Genentech)、DS−7423(第一三共)、DS−3078(第一三共)、CC−115(Celgene)、CBLC−137(Cleveland BioLabs)、AZD−2014(AstraZeneca)、X−480(Xcovery)、X−414(Xcovery)、EC−0371(Endocyte)、VS−5584(Verastem)、PQR−401(Piqur)、PQR−316(Piqur)、PQR−311(Piqur)、PQR−309(Piqur)、PF−06465603(Pfizer)、NV−128(Novogen)、nPT−MTOR(Biotica Technology)、BC−210(Biotica Technology)、WAY−600(Biotica Technology)、WYE−354(Biotica Technology)、WYE−687(Biotica Technology)、LOR−220(Lorus Therapeutics)、HMPL−518(Hutchison China MediTech)、GNE−317(Genentech)、EC−0565(Endocyte)、CC−214(Celgene)、およびABTL−0812(Ability Pharmaceuticals)が挙げられる。
本明細書で用いる場合、「PI3K阻害薬」は、ホスファチジルイノシトール−3キナーゼ(PI3K)または下流タンパク質、例えばAktの発現または活性を低減させる物質である。PI3Kは、活性化されると、イノシトールリン脂質内のイノシトール環の3’−OH基をリン酸化し、セカンドメッセンジャーホスファチジルイノシトール−3,4,5−三リン酸(PI−3,4,5−P(3))が生成する。Aktはリン脂質と相互作用し、それにより内膜に輸送され、そこでリン酸化され、活性化される。活性化されたAktは、細胞の生存、細胞周期の進行および細胞の成長の調節に関与している数多くの基質の機能を調節する。
本発明によるPI3K阻害薬の非限定的な例としては、A−674563(CAS番号552325−73−2)、AGL 2263、AMG−319(Amgen,Thousand Oaks,CA)、AS−041164(5−ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イルメチレン−チアゾリジン−2,4−ジオン)、AS−604850(5−(2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イルメチレン)−チアゾリジン−2,4−ジオン)、AS−605240(5−キノキシリン−6−メチレン−1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン)、AT7867(CAS番号857531−00−1)、ベンゾイミダゾール系列,Genentech(Roche Holdings Inc.,South San Francisco,CA)、BML−257(CAS番号32387−96−5)、CAL−120(Gilead Sciences,Foster City,CA)、CAL−129(Gilead Sciences)、CAL−130(Gilead Sciences)、CAL−253(Gilead Sciences)、CAL−263(Gilead Sciences)、CAS番号612847−09−3、CAS番号681281−88−9、CAS番号75747−14−7、CAS番号925681−41−0、CAS番号98510−80−6、CCT128930(CAS番号885499−61−6)、CH5132799(CAS番号1007207−67−1)、CHR−4432(Chroma Therapeutics,Ltd.,Abingdon,UK)、FPA 124(CAS番号902779−59−3)、GS−1101(CAL−101)(Gilead Sciences)、GSK 690693(CAS番号937174−76−0)、H−89(CAS番号127243−85−0)、ホオノキオール、IC87114(Gilead Science)、IPI−145(Intellikine Inc.)、KAR−4139(Karus Therapeutics,Chilworth,UK)、KAR−4141(Karus Therapeutics)、KIN−1(Karus Therapeutics)、KT 5720(CAS番号108068−98−0)、ミルテホシン、MK−2206二塩酸塩(CAS番号1032350−13−2)、ML−9(CAS番号105637−50−1)、ナルトリンドール塩酸塩、OXY−111A(NormOxys Inc.,Brighton,MA)、ペリホシン、PHT−427(CAS番号1191951−57−1)、PI3キナーゼδ阻害薬,Merck KGaA(Merck & Co.,Whitehouse Station,NJ)、PI3キナーゼδ阻害薬,Genentech(Roche Holdings Inc.)、PI3キナーゼδ阻害薬,Incozen(Incozen Therapeutics,Pvt.Ltd.,Hydrabad,India)、PI3キナーゼδ阻害薬−2,Incozen(Incozen Therapeutics)、PI3キナーゼ阻害薬,Roche−4(Roche Holdings Inc.)、PI3キナーゼ阻害薬,Roche(Roche Holdings Inc.)、PI3キナーゼ阻害薬,Roche−5(Roche Holdings Inc.)、PI3−α/δ阻害薬,Pathway Therapeutics(Pathway Therapeutics Ltd.,South San Francisco,CA)、PI3−δ阻害薬,Cellzome(Cellzome AG、Heidelberg,Germany)、PI3−δ阻害薬,Intellikine(Intellikine Inc.,La Jolla,CA)、PI3−δ阻害薬,Pathway Therapeutics−1(Pathway Therapeutics Ltd.)、PI3−δ阻害薬,Pathway Therapeutics−2(Pathway Therapeutics Ltd.)、PI3−δ/γ阻害薬,Cellzome(Cellzome AG)、PI3−δ/γ阻害薬,Cellzome(Cellzome AG)、PI3−δ/γ阻害薬,Intellikine(Intellikine Inc.)、PI3−δ/γ阻害薬,Intellikine(Intellikine Inc.)、PI3−δ/γ阻害薬,Pathway Therapeutics(Pathway Therapeutics Ltd.)、PI3−δ/γ阻害薬,Pathway Therapeutics(Pathway Therapeutics Ltd.)、PI3−γ阻害薬Evotec(Evotec)、PI3−γ阻害薬,Cellzome(Cellzome AG)、PI3−γ阻害薬,Pathway Therapeutics(Pathway Therapeutics Ltd.)、PI3K δ/γ阻害薬,Intellikine−1(Intellikine Inc.)、PI3K δ/γ阻害薬,Intellikine−1(Intellikine Inc.)、ピクチリシブ(GDC−0941)(Roche Holdings Inc.)、PIK−90(CAS番号677338−12−4)、SC−103980(Pfizer,New York,NY)、SF−1126(Semafore Pharmaceuticals,Indianapolis、IN)、SH−5、SH−6、テトラヒドロクルクミン、TG100−115(Targegen Inc.,San Diego,CA)、トリシリビン、X−339(Xcovery,West Palm Beach,FL)、XL−499(Evotech,Hamburg,Germany)、その薬学的に許容され得る塩、およびその組合せが挙げられる。好ましくは、PI3K/Akt経路の阻害薬はピクチリシブ(GDC−0941)またはその薬学的に許容され得る塩である。
本明細書で用いる場合、「RAS阻害薬」は、(i)例えばRASに結合することによりRASと直接相互作用する、および(ii)RASの発現または活性を低減させる物質である。本発明によるRAS阻害薬の非限定的な例としては、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害薬(例えば、チピファルニブおよびロナファルニブなど)、ファルネシル基含有小分子(例えば、サリラシブおよびTLN−4601など)、Maurer(Maurerら,2012)に記載のDCAI、Shima(Shimaら,2013)に記載のKobe0065およびKobe2602、ならびにHBS 3(Patgiriら,2011)、ならびにAIK−4(Allinky)、その薬学的に許容され得る塩ならびにその組合せが挙げられる。
本明細書で用いる場合、「遺伝子発現」は、DNAからの情報がポリペプチドの形成に使用されるプロセスである。「遺伝子発現および他の細胞機能の調節因子」は、遺伝子発現および細胞の他の働きに影響を及ぼす物質である。かかる調節薬の非限定的な例としては、ホルモン、ヒストンデアセチラーゼ阻害薬(HDACi)、およびサイクリン依存性キナーゼ阻害薬(CDKi)、ならびにポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害薬が挙げられる。
本発明において、「ホルモン」は、体内の別の部分の細胞に影響を及ぼす体内のある部分の細胞によって放出される物質である。本発明によるホルモンの非限定的な例としては、プロスタグランジン、ロイコトリエン、プロスタサイクリン、トロンボキサン、アミリン、抗ミュラー管ホルモン、アディポネクチン、副腎皮質刺激ホルモン、アンギオテンシノゲン、アンギオテンシン、バソプレシン、アトリオペプチン、脳性ナトリウム利尿ペプチド、カルシトニン、コレシストキニン、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン、エンセファリン、エンドセリン、エリスロポエチン、卵胞刺激ホルモン、ガラニン、ガストリン、グレリン、グルカゴン、性腺刺激ホルモン放出ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、ヒト胎盤性ラクトゲン、成長ホルモン、インヒビン、インスリン、ソマトメジン、レプチン、リプトロピン(liptropin)、黄体形成ホルモン、メラニン細胞刺激ホルモン、モチリン、オレキシン、オキシトシン、脾臓ポリペプチド、副甲状腺ホルモン、プロラクチン、プロラクチン放出ホルモン、レラキシン、レニン、セクレチン、ソマトスタチン(somatostain)、トロンボポエチン、甲状腺刺激ホルモン、テストステロン、デヒドロエピアンドロステロン、アンドロステンジオン、ジヒドロテストステロン、アルドステロン、エストラジオール、エストロン、エストリオール、コルチゾール、プロゲステロン、カルシトリオール、およびカルシジオールが挙げられる。
一部の化合物は特定のホルモンの活性に干渉する、または特定のホルモンの産生を停止させる。本発明によるホルモン干渉性化合物の非限定的な例としては、タモキシフェン(Nolvadex(登録商標))、アナストロゾール(Arimidex(登録商標))、レトロゾール(Femara(登録商標))、およびフルベストラント(Faslodex(登録商標))が挙げられる。かかる化合物もまた、本発明におけるホルモンの意味に含まれる。
本明細書で用いる場合、「HDAC阻害薬」は、(i)例えばHDACに結合することによりHDACと直接相互作用する、および(ii)HDACの発現または活性を低減させる物質である。本発明によるHDAC阻害薬の非限定的な例としては、4SC−201(4SC AG)、4SC−202(Takeda)、アベキシノスタット(abexinostat)(Celera)、AN−1(Titan Pharmaceuticals,Inc.)、Apicidine(Merck & Co.,Inc.)、AR−42(Arno Therapeutics)、ARQ−700RP(ArQule)、Avugane(TopoTarget AS)、アゼライン酸−1−ヒドロキサム酸−9−アニリド(AAHA)、ベリノスタット(TopoTarget)、ブチラート(Enzo Life Sciences,Inc.)、CG−1255(Errant Gene Therapeutics,LLC)、CG−1521(Errant Gene Therapeutics,LLC)、CG−200745(CrystalGenomics,Inc.)、チダミド(Shenzhen Chipscreen Biosciences)、CHR−3996(Chroma Therapeutics)、CRA−024781(Pharmacyclics)、CS−3158(Shenzhen Chipscreen Biosciences)、CU−903(Curis)、DAC−60(Genextra)、エンチノスタット(Bayer)、ヒアルロン酸酪酸エステル(HA−But)、IKH−02(IkerChem)、IKH−35(IkerChem)、ITF−2357(Italfarmaco)、ITF−A(Italfarmaco)、JNJ−16241199(Johnson & Johnson)、KA−001(Karus Therapeutics)、KAR−3000(Karus Therapeutics)、KD−5150(Kalypsys)、KD−5170(Kalypsys)、KLYP−278(Kalypsys)、KLYP−298(Kalypsys)、KLYP−319(Kalypsys)、KLYP−722(Kalypsys)、m−カルボキシ桂皮酸ビス−ヒドロキサミド(CBHA)、MG−2856(MethylGene)、MG−3290(MethylGene)、MG−4230(MethylGene)、MG−4915(MethylGene)、MG−5026(MethylGene)、MGCD−0103(MethylGene Inc.)、モセチノスタット(MethylGene)、MS−27−275(Schering AG)、NBM−HD−1(NatureWise)、NVP−LAQ824(Novartis)、OCID−4681−S−01(Orchid Pharmaceuticals)、オキサムフラチン((2E)−5−[3−[(フェニルスルホニル)アミノールフェニル]−ペント−2−エン−4−イノヒドロキサム酸)、パノビノスタット(Novartis)、PCI−34051(Pharmacyclics)、フェニルブチラート(Enzo Life Sciences,Inc.)、ピバロイルオキシメチルブチラート(AN−9,Titan Pharmaceuticals,Inc.)、ピバネックス(pivanex)(Titan Pharmaceuticals,Inc.)、プラシノスタット(pracinostat)(SBIO)、PX−117794(TopoTarget AS)、PXD−118490(LEO−80140)(TopoTarget AS)、ピロキサミド(スベロイル−3−アミノピリジンアミドヒドロキサム酸)、レスミノスタット(Takeda)、RG−2833(RepliGen)、リコリノスタット(ricolinostat)(Acetylon)、ロミデプシン(Astellas)、SB−1304(S*BIO)、SB−1354(S*BIO)、SB−623(Merrion Research I Limited)、SB−624(Merrion Research I Limited)、SB−639(Merrion Research I Limited)、SB−939(S*BIO)、Scriptaid(N−ヒドロキシ−1,3−ジオキソ−1H−ベンズ[デ]イソキノリン−2(3H)−ヘキサンアミド)、SK−7041(In2Gen/SK Chemical Co.)、SK−7068(In2Gen/SK Chemical Co.)、スベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)、スルホンアミドヒドロキサム酸、トリブチリン(Sigma Aldhch)、トリコスタチンA(TSA)(Sigma Aldrich)、バルプロ酸(VPA)(Sigma Aldhch)、ボリノスタット(Zolinza)、WF−27082B(藤沢薬品工業株式会社)、その薬学的に許容され得る塩およびその組合せが挙げられる。好ましくは、HDAC阻害薬はロミデプシン、その薬学的に許容され得る塩およびその組合せである。
本明細書で用いる場合、「CDK」は、細胞周期を調節するプロテインキナーゼファミリーの1つである。既知のCDKとしては、cdk1、cdk2、ckd3、ckd4、cdk5、cdk6、cdk7、cdk8、cdk9、cdk10、およびcdk11が挙げられる。「CDK阻害薬」は、(i)例えばCDKに結合することによりCDKと直接相互作用する、および(ii)CDKの発現または活性を低減させる物質である。本発明によるCDK阻害薬の非限定的な例としては、2−ヒドロキシボヘミン(bohemine)、3−ATA、5−ヨード−インジルビン−3’−モノオキシム、9−シアノパウロン(paullone)、アロイシンA、アルスターパウロン(Alsterpaullone)2−シアノエチル、アルボシジブ(Sanofi)、AM−5992(Amgen)、アミノプルバラノールA、アルシリアフラビンA、AT−7519(Astex Pharmaceuticals)、AZD 5438(CAS番号602306−29−6)、BMS−265246(CAS番号582315−72−8)、BS−181(CAS番号1092443−52−1)、ブチロラクトンI(CAS番号87414−49−1)、Cdk/Crk阻害薬(CAS番号784211−09−2)、Cdk1/5阻害薬(CAS番号40254−90−8)、Cdk2阻害薬II(CAS番号222035−13−4)、Cdk2阻害薬IV、NU6140(CAS番号444723−13−1)、Cdk4阻害薬(CAS番号546102−60−7)、Cdk4阻害薬III(CAS番号265312−55−8)、Cdk4/6阻害薬IV(CAS番号359886−84−3)、Cdk9阻害薬II(CAS番号140651−18−9)、CGP 74514A、CR8、CYC−065(Cyclacel)、ジナシクリブ(Ligand)、(R)−DRF053二塩酸塩(CAS番号1056016−06−8)、Fascaplysin、フラボピリドール、ヒグロリジン、インジルビン、LEE−011(Astex Pharmaceuticals)、LY−2835219(Eli Lilly)、ミルシクリブ(milciclib)マレイン酸塩(Nerviano Medical Sciences)、MM−D37K(Maxwell Biotech)、N9−イソプロピル−オロモウシン、NSC 625987(CAS番号141992−47−4)、NU2058(CAS番号161058−83−9)、NU6102(CAS番号444722−95−6)、オロモウシン、ON−108600(Onconova)、ON−123300(Onconova)、オキシインドールI、P−1446−05(Piramal)、P−276−00(Piramal)、パルボシクリブ(Pfizer)、PHA−767491(CAS番号845714−00−3)、PHA−793887(CAS番号718630−59−2)、PHA−848125(CAS番号802539−81−7)、プルバラノールA、プルバラノールB、R547(CAS番号741713−40−6)、RO−3306(CAS番号872573−93−8)、ロスコビチン、SB−1317(SBIO)、SCH 900776(CAS番号891494−63−6)、SEL−120(Selvita)、セリシクリブ(Cyclacel)、SNS−032(CAS番号345627−80−7)、SU9516(CAS番号377090−84−1)、WHI−P180(CAS番号211555−08−7)、その薬学的に許容され得る塩およびその組合せが挙げられる。好ましくは、CDK阻害薬は、ジナシクリブ、パルボシクリブ、その薬学的に許容され得る塩およびその組合せからなる群より選択される。
本明細書で用いる場合、「ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害薬」は、ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)または下流タンパク質の発現または活性を低減させる物質である。本発明のポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害薬の非限定的な例としては、PF01367338(Pfizer,New York,NY)、オラパリブ(AstraZeneca,United Kingdom)、イニパリブ(Sanofi−Aventis,Paris,France)、ベリパリブ(Abbott Laboratories,Abbott Park,IL)、MK 4827(Merck,White House Station,NJ)、CEP 9722(Teva Pharmaceuticals,Israel)、LT−673(Biomarin,San Rafael,CA)、およびBSI 401(Sanofi−Aventis,Paris,France)、その薬学的に許容され得る塩ならびにその組合せが挙げられる。
好ましい一実施形態では、化学療法が、該ヒトに、ゲムシタビン、タキソール、アドリアマイシン、イホスファミド、トラベクテジン、パゾパニブ、アブラキサン、アバスチン、エベロリムスおよびその組合せからなる群より選択される薬剤を投与することを含む。
本明細書で用いる場合、「放射線療法」は、本発明のC.novyi、例えばC.novyi NTでの処置と適合性であり、放射線が被検体に、例えばヒトにがんの処置のために送達される任意の治療レジメンを意味する。放射線療法は例えばヒト被検体に、例えば、体外の機械(体外照射放射線治療)または身体内部の放射性物質(近接照射療法、全身放射線治療)によって送達され得る。
体外照射放射線治療としては、限定されないが、三次元原体放射線治療、強度変調放射線治療、画像誘導放射線治療、トモセラピー、定位放射線手術、体幹部定位放射線治療、陽子線治療、および他の荷電粒子線治療、例えば電子線治療が挙げられる。体外照射放射線治療はがんの処置に広く使用されており、当業者によく知られている。
近接照射療法は、被検体の身体内に埋め込むこと、被検体の身体上に配置することによって送達する放射線療法を意味する。近接照射療法としては、限定されないが、組織内近接照射療法、腔内近接照射療法、および強膜上(episcleral)近接照射療法が挙げられる。近接照射療法手法もまた、がんの処置に広く使用されており、当業者によく知られている。
全身放射線治療は、被検体への注射または被検体による摂取によって送達される放射線療法を意味する。全身放射線治療の一例は放射性ヨウ素治療である。放射性ヨウ素は、被検体、例えばヒトなどにおける使用に安全で有効な放射性標識されたヨウ素分子である。本発明による放射性ヨウ素の非限定的な例は、123I、124I、125I、131Iおよびその組合せからなる群より選択され得る。好ましくは、放射性ヨウ素は131Iである。
本明細書で用いる場合、「免疫療法」は、本発明のC.novyi、例えばC.novyi NTでの処置と適合性であり、抗原を認識してこれと反応する抗体または感作細胞を免疫系が生成する能力を増大もしくは低減させることにより免疫応答を改変させる物質を使用する(該抗原は該生成を開始させたものである)任意の抗がん治療レジメンを意味する。免疫療法薬は、組換え、合成または天然の調製物であり得、サイトカイン、コルチコステロイド、細胞毒性薬剤、チモシン、および免疫グロブリンが挙げられる。一部の免疫療法薬は体内に天然に存在するものであり、特定のこのようなものは薬理学的調製物で入手可能である。免疫療法薬の例としては、限定されないが、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、インターフェロン、イミキモドおよび細菌由来の細胞膜画分、IL−2、IL−7、IL−12、CCL3、CCL26、CXCL7、ならびに合成シトシンリン酸−グアノシン(CpG)が挙げられる。
好ましい一実施形態では、免疫療法が、該ヒトに免疫チェックポイント阻害薬を投与することを含む。本明細書で用いる場合、「免疫チェックポイント阻害薬」は、免疫応答の減弱に関与している分子の活性をブロックする物質を意味する。かかる分子としては、例えば、細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA−4)およびプログラム細胞死タンパク質1(PD−1)が挙げられる。本発明の免疫チェックポイント阻害薬としては、限定されないが、イピリムマブ(Bristol−Myers Squibb)、トレメリムマブ(Pfizer)、MDX−1106(Medarex,Inc.)、MK3475(Merck)、CT−011(CureTech,Ltd.)、AMP−224(Amplmmune)、MDX−1105(Medarex,Inc.)、IMP321(Immutep S.A.)、およびMGA271(Macrogenics)が挙げられる。
この実施形態の更なる一態様では、本発明のC.novyi療法、例えばC.novyi NT療法は、例えば、化学療法、放射線治療、免疫療法およびその組合せからなる群より選択される治療に抵抗性の固形腫瘍に対して有効である。
この実施形態の別の態様では、固形腫瘍は標準治療に対して不応性であるか、または固形腫瘍に利用可能な標準治療がないものであるが、本発明のC.novyi療法、例えばC.novyi NT療法はかかる腫瘍に対して有効である。
本明細書で用いる場合、「抵抗性」および「不応性」は互換的に用いている。治療に対して「不応性」であるとは、以前の治療(1または複数)が、該治療に対して抵抗性になる前の同じ被検体と比べて、例えば、がんの処置またはがん細胞の死滅において有効性が低いことを意味する。
本明細書で用いる場合、用語「標準治療」は、具体的ながん、好ましくは具体的な固形腫瘍の処置に適切であると医療専門家によって一般的に認められている治療を意味する。標準治療は、異なる腫瘍型に対して同じものであっても異なるものであってもよい。標準治療は、典型的には、種々の規制機関、例えば米国食品医薬品局などによって承認されているものである。
この実施形態のさらなる一態様では、該方法は、該ヒトにおいて強力な局所炎症応答および適応免疫応答を誘導するものである。
本明細書で用いる場合、「炎症応答」は、細胞の損傷、病原体または刺激物に対する局所応答であり、限定されないが、毛細血管の拡張、白血球浸潤、腫脹、赤み、熱、痒み、痛み、機能低下およびその組合せが挙げられ得る。
本明細書で用いる場合、「適応免疫応答」は、被検体の免疫系のB細胞とT細胞が関与するものである。病原性物質、例えばがん細胞に曝露されると、B細胞は病原性物質上の病原性抗原に対する抗体を産生し得、T細胞は病原体を標的化して最終的に破壊することができるようになり得る。所与の抗原に特異的な特定のB細胞集団およびT細胞集団は免疫系によって保持され、その後、病原性抗原への曝露への事象の際に要求される。このように適応免疫応答は永続的であり、宿主被検体の免疫系に所与の病原性抗原提示病原体を認識して破壊する継続的能力をもたらす。
本発明の別の実施形態は、ヒトに存在する固形腫瘍の減量術を行なうための方法である。この方法は、該ヒトに、薬学的に許容され得る担体または溶液中に懸濁させた約1×103〜約1×107 CFUを含むC.novyi CFU、好ましくはC.novyi NT CFUの単位用量を腫瘍内投与することを含むものである。
本明細書で用いる場合、固形腫瘍の「減量術を行なうこと」とは、固形腫瘍においてがんのサイズまたは数を低減させることを意味する。かかる措置は待期療法的であり、処置、例えば放射線治療、化学療法または切断術の有効性を向上させるために使用され得る。この実施形態において、固形腫瘍は上記に示したとおりである。好ましくは、固形腫瘍は、軟部組織肉腫、肝細胞癌、乳がん、膵臓がんおよび黒色腫からなる群より選択される。より好ましくは、固形腫瘍は平滑筋肉腫、例えば後腹膜平滑筋肉腫である。
本発明の更なる実施形態は、ヒトに存在する固形腫瘍の減量術を行なうための方法である。この方法は、該ヒトに、サイクル1回あたり約1×104芽胞を含むC.novyi NT芽胞の単位用量を1〜4回のサイクルで腫瘍内投与することを含み、C.novyi NTの各単位用量が薬学的に許容され得る担体または溶液中に懸濁されているものである。この実施形態において、固形腫瘍の型は上記に示したとおりである。好ましくは、固形腫瘍は、軟部組織肉腫、肝細胞癌、乳がん、膵臓がんおよび黒色腫からなる群より選択される。
本発明のさらなる実施形態は、ヒトに存在する固形腫瘍の作用を処置または改善するための方法である。この方法は、該ヒトに、サイクル1回あたり約1×104芽胞を含むC.novyi NT芽胞の単位用量を1〜4回のサイクルで腫瘍内投与することを含み、C.novyi NT芽胞の各単位用量が薬学的に許容され得る担体または溶液中に懸濁されているものである。種々の型の固形腫瘍は上記に示したとおりである。好ましくは、固形腫瘍は、軟部組織肉腫、肝細胞癌、乳がん、膵臓がんおよび黒色腫からなる群より選択される。
本発明の別の実施形態は、ヒトに存在する固形腫瘍を除去するための方法である。この方法は、該ヒトに、薬学的に許容され得る担体または溶液中に懸濁させた約1×103〜約1×107 CFUを含むC.novyi CFU、好ましくはC.novyi NT CFUの単位用量を腫瘍内投与することを含み、該腫瘍が正常組織マージンを残して除去されるものである。
本明細書で用いる場合、固形腫瘍を「除去する」とは、該プロセスによって固形腫瘍がすべて除かれることを意味する。このプロセスでは、処置を行なった後、腫瘍がかつて存在していた領域の周囲に正常組織マージンが残る。この実施形態において、固形腫瘍の型は上記に示したとおりである。好ましくは、固形腫瘍は肉腫である。より好ましくは、固形腫瘍は平滑筋肉腫、例えば後腹膜平滑筋肉腫である。
本発明のさらなる実施形態はC.novyi CFU単位用量である。この単位用量は、薬学的に許容され得る担体または溶液中に、ヒトに存在する固形腫瘍の作用の処置または改善に有効な約1×103〜約1×107 CFUを含む。上記に示したように、C.novyi CFUは栄養型および芽胞型であり得る。
この実施形態の一態様では、C.novyiがC.novyi NTである。好ましくは、単位用量は、薬学的に許容され得る担体または溶液中に約1×104〜約1×107 C.novyi NT芽胞、例えば約1×106〜約1×107 C.novyi NT芽胞を含む。好ましくは、単位用量は、薬学的に許容され得る担体または溶液中に約1×104 C.novyi NT芽胞を含む。
本発明の更なる実施形態は、ヒトに存在する固形腫瘍の作用を処置または改善するためのキットである。このキットは、薬学的に許容され得る担体または溶液中に約1×103〜約1×107 CFUを含むC.novyi CFU単位用量およびキットの使用のための使用説明書を備えている。キットは、1つまたはそれより多くの区画に分かれていてもよく、種々の試薬のための1つまたはそれより多くの容器を有するものであってもよい。さらにキットを、各成分の保存および輸送が補助されるように適合させてもよい。
この実施形態の一態様では、キットはさらに、C.novyi CFUによって引き起こされる有害な副作用の処置または緩和に有効な1種類またはそれより多くの種類の抗生物質を備えている。CFUは栄養型であっても芽胞型であってもよい。好適な抗生物質は上記に示したとおりである。好ましくは、キットはさらに、1〜4回の処置サイクルを行なうための1〜4単位用量のC.novyiを備えている。
この実施形態の別の態様では、C.novyiがC.novyi NTである。好ましくは、単位用量は、薬学的に許容され得る担体または溶液中に約1×104〜約1×107 C.novyi NT芽胞、例えば約1×106〜約1×107 C.novyi NT芽胞または約1×104 C.novyi NT芽胞を含む。また、好ましくは、キットはさらに、1〜4回の処置サイクルを行なうための1〜4単位用量のC.novyi NT芽胞を備えている。
本発明の別の実施形態は、ヒトの腫瘍細胞の顕微鏡による正確な切除のための方法である。この方法は、該ヒトに、薬学的に許容され得る担体または溶液中に懸濁させた約1×103〜約1×107 CFUを含むC.novyi NT コロニー形成単位(CFU)の単位用量を腫瘍内投与することを含むものである。
本明細書で用いる場合、「顕微鏡による正確な切除」は、被検体内の標的組織、例えば病原性組織の排除を意味し、前記排除は、細胞レベルで病原性組織に本質的に特異的であるが、近隣の「健常」組織に引き起こされる害は最小限であるか、または全くない。標的組織の排除は、限定されないが、アポトーシス、壊死および細胞溶解であり得る。この実施形態は、例えばマルチプロング型送達デバイス、例えばマルチプロング型の針を用いたCTガイド腫瘍内注射による例えば本発明のC.novyi NT芽胞(sprore)の精密送達によって行なわれ得る。
本発明において、C.novyi芽胞、例えばC.novyi NT芽胞は被検体に、例えばヒト患者に、任意の医療的に適切な様式で腫瘍内送達される。例えば、C.novyi NT芽胞は、腫瘍の1つまたはそれより多くの部位で使用される単一の針によって送達され得る。あるいはまた、多枝型送達手段、例えば多枝型の針を用いて、例えばC.novyi NT芽胞を腫瘍に送達してもよい。例えば芽胞の送達は、腫瘍の1つまたはそれより多くの部位で同じ深さまでであっても多様な深さまでであってもよい。選択する送達手段は、手作業で操作するものであっても電子制御されるものであってもよい。送達手段は、腫瘍上または腫瘍内に手作業または遠隔制御デバイスで位置決めされ得る、および/または再度位置決めされ得、注射部位の可視化は当該技術分野で知られた種々のイメージング手法、例えばCTイメージングを用いて増大させてもよい。本発明に使用され得る多枝型の送達手段としては、例えば、McGuckin,Jr.ら,米国特許第6,905,480号および同第7,331,947号(これらは引用により本明細書に組み込まれる)に開示されたものが挙げられる。
本発明のさらなる実施形態は、ヒトの1つまたはそれより多くの部位に転移した固形腫瘍の作用を処置または改善するための方法である。この方法は、該ヒトに、薬学的に許容され得る担体または溶液中に懸濁させた少なくとも約1×103〜約1×107 CFUを含むC.novyi NT コロニー形成単位(CFU)の単位用量を腫瘍内投与することを含むものである。好ましくは、少なくとも1つの転移部位が元の固形腫瘍に対して遠位である。
本明細書で用いる場合、「転移」およびその文法的語尾変化形は、体内の元の原発領域から体内の二次領域への病原性細胞、すなわち腫瘍細胞の拡延を意味する。転移は、元の原発腫瘍部位からの距離に応じて限局性または遠位であり得る。転移が限局性であるか遠位であるかは医師によって決定され得る。例えば、脳に拡延した乳がんは遠位であるが、腋下リンパ節への乳がん細胞の拡延は限局性である。
本発明において、本明細書に開示した化合物または組成物の「有効量」または「治療有効量」は、被検体に投与したとき本明細書に記載の有益な結果または所望の結果がもたらされるのに充分なかかる化合物または組成物量である。有効な投薬形態、投与様式および投薬量は本明細書に開示したとおりであるか、または医療専門家によって修正されるとおりである。当業者には、投薬量は、投与経路、排出速度、処置の持続期間、投与される他の薬物(あれば)の実体、患者の年齢および体格、ならびに医療技術分野でよく知られた同様の要素に応じて異なることが理解されよう。一般に、本発明による組成物の好適な用量は、所望の効果がもたらされるのに有効な最低用量である該組成物の量である。本発明の組成物の有効な用量は先に記載している。さらに、本発明の組成物を他の処置と併用して投与してもよい。
本発明の組成物は、1種類またはそれより多くの活性成分を、1種類またはそれより多くの薬学的に許容され得る担体ならびに任意選択で1種類またはそれより多くの他の化合物、薬物、成分および/または物質と混合された状態で含むものである。選択される投与経路に関係なく、本発明の薬剤/化合物は、当業者に知られた慣用的な方法によって薬学的に許容され得る単位投薬形態に製剤化される。例えば、Remington,The Science and Practice of Pharmacy(第21版,Lippincott Williams and Wilkins,Philadelphia,PA.)を参照のこと。
薬学的に許容され得る担体または溶液は当該技術分野でよく知られており(例えば、Remington,The Science and Practice of Pharmacy(第21版,Lippincott Williams and Wilkins,Philadelphia,PA.)およびThe National Formulary(American Pharmaceutical Association,Washington,D.C.)参照)、糖類(例えば、ラクトース、スクロース、マンニトールおよびソルビトール)、デンプン、セルロース調製物、リン酸カルシウム(例えば、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウムおよびリン酸水素カルシウム)、クエン酸ナトリウム、水、水溶液(例えば、生理食塩水、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロースおよび塩化ナトリウム注射液、乳酸加リンゲル注射液)、アルコール(例えば、エチルアルコール、プロピルアルコールおよびベンジルアルコール)、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコール)、有機エステル(例えば、オレイン酸エチルおよびトリグリセリド)、生分解性ポリマー(例えば、ポリラクチド−ポリグリコリド、ポリ(オルトエステル)、ならびにポリ(無水物))、エラストマーマトリックス、リポソーム、ミクロスフィア、油(例えば、コーン、胚芽、オリーブ、ヒマシ、ゴマ、綿実およびラッカセイ)、ココアバター、ワックス(例えば、坐剤用ワックス)、パラフィン、シリコーン、タルク、サリチレート(silicylate)などが挙げられる。本発明による単位用量に使用される薬学的に許容され得る担体または溶液は各々、製剤のその他の成分と適合性であり被検体に対して有害でないという意味において「許容され得る」ものでなければならない。選択される投薬形態および意図される投与経路、例えばITに適した担体または溶液は当該技術分野でよく知られており、選択される投薬形態および投与方法に許容され得る担体または溶液は、当該技術分野の通常の技能を用いて決定され得る。
本発明の単位用量に任意選択で、医薬組成物に一般的に使用されている更なる成分および/または物質を含めてもよい。このような成分および物質は当該技術分野でよく知られており、(1)充填剤または増量剤、例えばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸;(2)結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スクロースおよびアカシア;(3)湿潤剤、例えばグリセロール;(4)崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のシリケート、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび炭酸ナトリウム;(5)溶解遅延剤、例えばパラフィン;(6)吸収促進剤、例えば第4級アンモニウム化合物;(7)浸潤剤、例えばセチルアルコールおよびグリセロールモノステアレート;(8)吸収剤、例えばカオリンおよびベントナイトクレイ;(9)滑沢剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコールおよびラウリル硫酸ナトリウム;(10)懸濁化剤、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微晶質セルロース、メタ水酸化(metahydroxide)アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカント;(11)緩衝剤;(12)賦形剤、例えばラクトース、乳糖、ポリエチレングリコール、動物性および植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、ココアバター、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、サリチレート、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末;(13)不活性希釈剤、例えば水または他の溶媒;(14)保存料;(15)表面活性薬剤;(16)分散化剤;(17)制御放出剤または吸収遅延剤、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、生分解性ポリマー、リポソーム、ミクロスフィア、モノステアリン酸アルミニウム、ゼラチンおよびワックス;(18)乳白剤;(19)佐剤;(20)浸潤剤;(21)乳化(emulsifying)剤および懸濁化剤;(22)可溶化剤および乳化剤(emulsifier)、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(特に、綿実、ラッカセイ、コーン、胚芽、オリーブ、ヒマシおよびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル;(23)噴射剤、例えばクロロフルオロハイドロカーボンおよび揮発性非置換炭化水素、例えばブタンおよびプロパン;(24)酸化防止剤;(25)製剤を意図されるレシピエントの血液と等張性にする薬剤、例えば糖類および塩化ナトリウム;(26)増粘剤;(27)コーティング物質、例えばレシチン;ならびに(28)甘味剤、フレーバー剤、着色剤、香料および保存剤が挙げられる。かかる成分または物質は各々、製剤のその他の成分と適合性であり被検体に対して有害でないという意味において「許容され得る」ものでなければならない。選択される投薬形態および意図される投与経路に適した成分および物質は当該技術分野でよく知られており、選択される投薬形態および投与方法に許容され得る成分および物質は、当該技術分野の通常の技能を用いて決定され得る。
液状投薬形態としては、薬学的に許容され得る乳剤、マイクロエマルジョン剤、液剤および懸濁剤が挙げられる。液状投薬形態には、当該技術分野で一般的に使用されている適当な不活性希釈剤が含有され得る。不活性希釈剤の他に、経口組成物にはまた佐剤、例えば浸潤剤、乳化剤および懸濁化剤、着色剤および保存剤を含めてもよい。懸濁剤には懸濁化剤が含有され得る。
腫瘍内投与のための投薬形態としては、液剤、分散剤、懸濁剤もしくは乳剤、または滅菌粉末剤が挙げられる。活性薬剤(1種類または複数種)/化合物(1種類または複数種)は、滅菌条件下で適当な薬学的に許容され得る担体と混合され得る。
本発明の単位用量は択一的に、1種類またはそれより多くの活性薬剤、例えば、C.novyi CFUもしくはC.novyi NT芽胞を、使用直前に滅菌注射用液剤または分散剤に再構成され得る滅菌粉末剤との組合せで含むものであってもよく、適当な酸化防止剤、バッファー、製剤を意図されるレシピエントの血液と等張性にする溶質、または懸濁化剤もしくは増粘剤を含有していてもよい。適正な流動性は、例えば、コーティング物質の使用によって、分散剤の場合は必要とされる粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって維持され得る。また、このような組成物に、適当な佐剤、例えば浸潤剤、乳化剤および分散化剤を含有させてもよい。また、等張剤を含めることが望ましい場合もあり得る。また、注射用医薬形態の長期吸収は、吸収を遅延させる薬剤を含めることによってもたらされ得る。
腫瘍内注射用デポー形態を、生分解性ポリマー中にマイクロカプセル封入した活性成分のマトリックスを形成することにより作製してもよい。ポリマーに対する活性成分の比および使用される具体的なポリマーの性質に応じて、活性成分の放出速度が制御され得る。また、デポー注射用製剤は、活性薬剤を、身体組織と適合性のリポソームまたはマイクロエマルジョン中にトラップすることによっても調製される。
上記のように、製剤は、単位用量で提示しても反復用量の密閉容器、例えばアンプルおよびバイアルで提示してもよく、滅菌液状担体、例えば注射用水を使用直前に添加するだけでよい凍結乾燥状態で保存してもよい。即時調製の注射液剤および懸濁剤は、上記の型の滅菌粉末剤、顆粒剤および錠剤から調製され得る。
以下の実施例は、本発明の方法をさらに説明するために示す。本実施例は例示にすぎず、本発明の範囲をなんら限定することを意図するものではない。
実施例1
C.novyi NTの静脈内(IV)投薬と放射線の併用
自然発生腫瘍を有するイヌにおいて、体外照射放射線での処置後、単回IV用量のC.novyi NT芽胞の試験を行なった。
C.novyi NT芽胞の製造および最終製剤化は、Johns Hopkins Development実験施設において以下の方法に従って行なわれた。Dangら,2001に従って作製したC.novyi NT芽胞を富栄養胞子形成培地中に播種し、嫌気性チャンバ内で37℃にて17〜19日間インキュベートした。芽胞を、逐次連続パーコール勾配遠心分離によって精製した後、リン酸緩衝生理食塩水で充分に洗浄した。芽胞を2〜8℃で保存した。芽胞は輸送の前に調製し、滅菌リン酸緩衝生理食塩水中に懸濁させ、50mlの0.9%塩化ナトリウムで希釈した。
C.novyi NT芽胞を50mlの生理食塩水バッグ中で再構成し、試験部位に一晩送達した。放射線の線量はおよそ54gyで、20回:C.novyi NTのIV注射前に11回および注射後に9回で送達した。C.novyi NT芽胞は、単回注射として体表面積に対して1×109芽胞/m2の用量で投与した。シリンジへの芽胞の移行は、不透過性の裏材を有する吸収パッド上で行なった。三方コックを取り付けた22ゲージ針をバッグ内に挿入した。密閉化学療法システム(ONGUARD(商標),TEVA Medical Ltd.)の雄型部分をコックのポートに取り付けた。内容物を完全にバッグから60立方センチメートル(cc)容シリンジ内に引き出し、シリンジには該密閉システムの雌型部分を取り付けた。芽胞を各被検体に15分間かけてIVカテーテルによって注射し、カテーテルには密閉化学療法システムの雄型端を取り付けた。この輸注の後、10ccの生理食塩水をフラッシングした。被検体を輸注後6時間、以下のとおりに厳密にモニタリングした:バイタルサイン、血圧および酸素飽和を、最初の60分間は15分毎にモニタリングし、続いて次の60分間は30分毎、次いで次の120分間は60分毎にモニタリングした。その後の確認は60分毎に合計6時間行なった。
試験被検体を、最初の処置のため3週間:放射線処置のため2週間およびC.novyi NT IV処置後に1週間入院させた。その後、処置後6ヶ月間まで1、2、3および6ヶ月目に追跡のため来院させた。サンプルの処置スケジュールについては表1および2を参照のこと。
2012年9月10日の時点で、5匹のイヌをこの様式で処置した。5匹のうち、2匹に膿瘍が発生し、1匹は疾患安定状態が維持され、2匹は死亡したか、または安楽死させた。膿瘍が発生した2例の試験被検体は、処置期間中、図1Aおよび1Bに示したとおりに写真撮影した。
図1Aは、処置過程において右橈骨/尺骨遠位端に存在したイヌ骨肉腫を示す。試験被検体Sashaは、3日目に発熱と腫脹および6日目に膿瘍破裂を示した。開放創のため8日目に抗生物質を開始し、後で壊死性の骨と組織を除去した。Sashaは19回の放射線処置のうち12回分を終了し、2012年9月10日の時点で治癒中であり疾患安定状態であった。
図1Bもまた、処置過程において右橈骨/尺骨遠位端に存在したイヌ骨肉腫を示す。試験被検体Sampsonは5日目に発熱と腫脹を示した。6日目、膿瘍を切開し、抗生物質を開始した。Sampsonは20回の放射線処置のうち14回分を終了し、2012年9月10日の時点で治癒中であり疾患安定状態であった。
その他の被検体Chipper、BaileyおよびRuskinはさまざまな結果を示した。Chipperは左下顎に扁平上皮癌を示していた。処置過程において、Chipperは腫瘍部位に腫脹を有し、20回の放射線処置のうち20回を受けた。2012年9月10日の時点で、Chipperは疾患安定状態を有していた。
別の被検体Baileyは、左腋窩部に軟部組織肉腫を示していた。処置中、Baileyは死亡し、敗血症、急性腎不全、おそらく播種性血管内凝固症候群、および心停止が起こっていた。しかしながら、検死では、腫瘍内部の組織はすべて死滅しており、腫瘍細胞はないことが示された。
残りの被検体Ruskinは右上腕骨近位端に骨肉腫を示していた。処置中、Ruskinは腫瘍部位の腫脹を有し、20/20回の放射線処置を終了した。しかしながら、30日目、腫瘍部位に大量の化膿性の物質が生成しており、Ruskinは腎不全を起こしていた。腎臓の状態が改善されなかった場合、飼い主は安楽死させることを決断した。2012年9月10日の時点で、検死の結果はまだ保留であった。
実施例2
IT注射したC.novyi−NT芽胞は腫瘍組織を特異的に標的化し、ラットの生存期間を長くする − 方法
細胞株および組織培養
ルシフェラーゼ構築物でレンチウイルスによってトランスフェクトしたラットF98神経膠腫細胞株を、10%ウシ胎仔血清(FBS)ならびに1%ペニシリンおよびストレプトマイシンを補給したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中に維持した。
ラットでの実験
6週齢の雌F344 Fisherラット(体重100〜150グラム)を米国立癌研究所から購入した。移植処置のため、雌F344 Fisherラットに、ケタミン塩酸塩(75mg/kg;100mg/mLのケタミンHCl;Abbot Laboratories)、キシラジン(7.5mg/kg;100mg/mLのXyla−ject;Phoenix Pharmaceutical,Burlingame,CA)およびエタノール(14.25%)の滅菌NaCl(0.9%)溶液の腹腔内(IP)注射によって麻酔した。F98神経膠腫細胞(2×104)を、前項の側方3mmおよび前方2mmに開けた穿頭孔から右前頭葉内に既報(Baiら,2011)のようにして定位的に移植した。腫瘍細胞の移植後12日目に8mg/ラットのD−ルシフェリンカリウム塩をIP注射し、腫瘍サイズをXenogen社の計測器によって評価した。続いて、既報(Dangら,2001、Bettegowdaら,2006)のようにして作製した300万のC.novyi−NT芽胞を頭蓋内腫瘍内に、上記のものと同じ座標を用いて定位的に注射し、ラットを10mg/kg/日のIPデキサメタゾンで最初の2日間処置した。動物を毎日、悪化、不活発、神経毒性または痛みの徴候(あれば)について、Johns Hopkins Animal Care and Use Guidelinesに従って観察した。苦痛の症状が存在した場合、水分補給およびドキシサイクリン(15mg/kg IPの後、維持のため12時間毎に10mg/kgの負荷用量)での支持療法を開始し、7日間継続した。症状が持続した場合および/または衰弱した場合、瀕死の状態の動物は安楽死させた。IT注射したC.novyi−NT芽胞の有効性を、カプラン・マイヤー(Meyer)生存率曲線ならびに脳セクションにおける残留腫瘍負荷量によって評価した。後者の場合、死後に脳を回収し、ホルムアルデヒド中に入れ、パラフィン中に包埋し、さらなる病理学的試験に備えた。サフラニンで対比染色したグラム染色スライドおよびH&E−スライドを標準手順ガイドラインに従って得た。
統計解析
カプラン・マイヤー生存率曲線を作成し、マンテル・コックス検定によりGraphPad Prism v.5.00(GraphPad Software,San Diego,CA)を用いて解析した。
実施例3
IT注射したC.novyi−NT芽胞は腫瘍組織を特異的に標的化し、ラットの生存期間を長くする − 結果
進行神経膠腫の完全な外科的切除は、ほぼ常に不可能であり、このような腫瘍は無情にも再発する。この腫瘍型は一般的には転移しないが、これを処置するために利用可能な高度に有効な医薬療法はない。したがって、神経膠腫は、C.novyi−NT芽胞の局所注射が治療的に有用であり得る腫瘍型なのではないかと思われた。この可能性を評価するため、F98ラット神経膠腫細胞を、6週齢のF433 Fisherラットに同所移植して局所浸潤性腫瘍をもたらし、これは急速に致死的になった(図2A)。これらのラット腫瘍内へのC.novyi−NT芽胞のIT注射により24時間以内にその発芽が起こり、24〜48時間で、腫瘍負荷量の指標であるルシフェラーゼ活性の急速な低下が起こった(図2Bおよび2C)。C.novyi−NTの発芽は該細菌の栄養型の出現によって示された。顕著なことに、C.novyi−NTは腫瘍に厳密に局在し、隣接する正常細胞とは数ミクロンしか離れていなかった(図3Aおよび3B)。さらに、このような栄養性状態の細菌は、正常脳実質内に埋もれた微小浸潤性腫瘍細胞の島内で特異的に増殖すると同時に破壊することが観察できた(図4Aおよび4B)。この細菌によるバイオサージェリーにより、この極めて侵攻性のマウスモデルにおいて有意な生存に関する利点がもたらされた。(図2A,P値<0.0001)。
実施例4
イヌ軟部組織肉腫はヒト腫瘍と類似している − 方法
シーケンシングのためのゲノムDNAの単離
IT C.novyi−NT芽胞の比較試験に参加したイヌからゲノムDNAを、末梢血リンパ球(PBL)およびホルマリン固定パラフィン包埋腫瘍組織から、QIAamp DNAミニキット(QIAGEN,Valencia,CA)を製造業者のプロトコルに従って用いて抽出した。
シーケンシングおよびバイオインフォマティクス解析
ゲノムの精製、ライブラリーの構築、エキソーム濃縮(capture)、次世代シーケンシングならびに腫瘍試料および正常試料バイオインフォマティクス解析は、Personal Genome Diagnostics(PGDx,Baltimore,MD)において行なわれた。簡単には、腫瘍試料および正常試料由来のゲノムDNAが断片化され、Illumina TruSeqライブラリーの構築に使用された(Illumina,San Diego,CA)。エキソン領域を溶液中で、Agilent Canine All Exonキットを製造業者の使用説明書(Agilent,Santa Clara,CA)に従って用いて濃縮した。ペアエンドシーケンシング(断片の各末端から100塩基が得られる)を、HiSeq 2000 Genome Analyzer(Illumina,San Diego,CA)用いて行なった。タグをイヌ参照配列(CanFam2.0)と、CASAVA 1.7ソフトウェアのElandアルゴリズム(Illumina,San Diego,CA)を用いてアラインメントした。IlluminaのBaseCallソフトウェアの純度フィルター(chastity filter)を使用し、後続の解析のための配列リードを選択した。次いで、CASAVA 1.7ソフトウェア(Illumina,San Diego,CA)のELANDアルゴリズムを適用し、点変異ならびに少数の挿入および欠失を同定した。dbSNP131(CanFam2.0)に記録された既知の多型は解析から除いた。潜在的体細胞変異を、既報(Jonesら,2010)のようにしてフィルタリングし、目視検査した。
実施例5
イヌ軟部組織肉腫はヒト腫瘍と類似している − 結果
抗がん剤の前臨床動物試験では、多くの場合、人間において観察される効果が再現されない。しかしながら、イヌでは、臨床的に使用される治療用薬剤により人間に対するものと同様の毒性および影響が誘導される(Paoloniら,2008)。イヌでの治験用治療薬の試験により、前臨床動物試験とヒト臨床試験間の非常に重要な橋絡が示され得る。特に、イヌ軟部組織肉腫は、イヌの多くの血統で一般的にみられ、ヒト軟部組織肉腫のものと顕著に近い臨床的および組織病理学的特色を有するため優れたモデルである(Paoloniら,2008,Vailら,2000)。しかしながら、ゲノミクスにおける最近の進歩により人間におけるがん遺伝学の知識は大きく広がったが、イヌのがんの遺伝的背景については比較するとほとんど知られていない。したがって、イヌ腫瘍がヒトのものと遺伝学的に類似しているかどうかを調べるため、比較試験に参加した11匹のイヌの腫瘍のエキソームとマッチ正常DNAを配列決定した(図5)。この解析は、32.9メガベース(Mb)のDNAを含む30,194の名目(nominal)遺伝子のインテロゲーションを伴うものであった。10匹のイヌは軟部組織肉腫を有し(6匹は、末梢神経鞘腫)、1匹は軟骨形成型骨肉腫を有した。平均すると、作成された配列の15.7ギガベース(Gb)(範囲:8.1〜23.3Gb)がゲノムにマッピングされ、標的化領域内の塩基の92.1%が腫瘍DNA内の少なくとも10のユニークリードに包含されていた。同様に、配列の平均16.3Gb(範囲:14.6〜19.7Gb)が正常DNAのゲノムにマッピングされ、標的化塩基の93.6%が少なくとも10のユニークリードに包含されていた。腫瘍内の各標的化塩基の平均包括度は153倍(範囲:73〜227倍)であり、マッチ正常試料では152倍(範囲:130〜178倍)であった。
厳格な解析基準を使用し、10例の軟部組織肉腫において156の体細胞変異および28の体細胞コピー数改変が同定された(表3および図6)。体細胞変異の範囲は0〜95であり、腫瘍1つあたり平均14であった。軟部組織肉腫での変異有病率は低く、平均0.47/Mb(範囲:0.00〜2.89/Mb)であった。95の体細胞改変を有する外れ値の1例の試料は除外し、平均有病率は0.21変異/Mb(範囲:0.00〜0.61/Mb)であり(図5)、ヒト小児ラブドイド腫瘍(Leeら,2012)および他の軟部組織肉腫(Josephら,2013)での変異率の推定値と同様であった。最も一般的な型の体細胞改変はミスセンス変異であり、CからT(45.5%)およびGからAへの転位が優位であった(34.0%;表4aおよび4b)。
増幅および欠失はあまり一般的でなく、腫瘍1つあたり平均3例(範囲:0〜17)であった(図5)。10例の軟部組織肉腫のうち7例が増幅および欠失を有していた。軟骨形成型骨肉腫エキソームは軟部組織肉腫のものと同様であった(14の体細胞変異および4の増幅)(表3および図6)。
一塩基置換が、ヒト腫瘍において高頻度で変異されている4つの腫瘍抑制遺伝子(NF1、MLL3、TP53およびPTCH1)において同定された。さらに、ヒトがんにおいて増幅されるが点変異されないことが示されている癌遺伝子MDM4は、1つのイヌ腫瘍において増幅される(が点変異されない)ことがわかった(Leeら,2012,Barretinaら,2010,Chmieleckiら,2013,Vogelsteinら,2013)。1つより多くの腫瘍において変異されていた遺伝子はATP7B(2つの腫瘍にミスセンス変異)とAIG1(2つの腫瘍で増幅)だけであった。興味深いことに、ATP7Bにおける変異はヒト脂肪肉腫にも見られた(Josephら,2013)。イヌ腫瘍における184の体細胞変異のうち22例は、ヒト軟部組織肉腫において変異されることが以前に示された遺伝子においてみられた(表5)。
両種の軟部組織肉腫のより大規模な試験には、これらが重要な保存された腫瘍発生経路を表すドライバー変異であるのかどうかを調べることが必要とされる。とはいえ、イヌ腫瘍の遺伝的背景は、遺伝子改変の数および変異の範囲の点ではヒトのものと同様であった。具体的には、イヌ腫瘍がヒトの同様の腫瘍型よりも免疫応答を起こし易くしているのではないかと思われる非常に大量数の変異を有しているという可能性が排除される。
実施例6
C.novyi NTの腫瘍内(IT)投与 − 試験1 方法
本発明の方法の安全性と有効性を調べるため、自然発生固形腫瘍を有する16匹のイヌでの比較試験を行なった(表6)。
イヌを、Animal Clinical Investigation腫瘍学ネットワーク(ACI,Washington,DC)に参加している複数施設に登録し、登録前に飼い主(1人または複数)から書面のインフォームドコンセントを得た。処置、マネージメントおよび試験評価は、認定専門医の獣医癌専門医の監視下で行なわれた。登録は、標準治療が効かなかったか、または飼い主(1人または複数)がかかる治療を断った自然発生固形腫瘍、優先的には軟部組織肉腫を有する飼い主クライアントのイヌにオファーした。参加は、1〜7センチメートルの最大直径を有する標的病変部を有する担腫瘍イヌに限定した。膿瘍発生が破局的であり得る領域内に存在する腫瘍(例えば、脳内にまで至る鼻の腫瘍または有意な肺転移性疾患)を有するイヌは試験から除外した。
C.novyi−NT芽胞処置で7日以内に抗生物質による全身療法または21日以内にがん治療(化学療法、放射線治療および免疫療法)が必要とされた活発な細菌感染の形跡を有するイヌは不適格とした。イヌには、0または1のパフォーマンススコアを有すること(表7)、および登録の全試験期間に対応可能であることを必要とした。抗がん剤の使用と他の臨床試験の参加の同時進行は禁止した。妊娠中のイヌまたは妊娠する可能性のあるイヌは試験に含めなかった。また、全試験期間に対応可能でないかもしれないイヌ、および治験担当医または医長によって試験登録に不適当とみなされたイヌは試験に含めなかった。
スクリーニング来院中、各イヌに、5桁の数字コードからなる独自の試験イヌ識別番号(これは、スクリーニングイヌ番号が順番に連続していない場合があり得る)を割り付けた。最初の2桁は試験施設を示し(01〜99)、真ん中の桁は試験「R」を示し、最後の2桁は試験施設(01〜99)内での試験イヌ番号を示した。例えば、施設9に11番目に登録されたイヌには試験イヌ番号09−R11が割り付けられた。試験イヌ番号は、イヌが所与の試験施設に登録された順に時系列で割り付けた。イヌは、組み入れ基準および除外基準を満足している場合、試験に登録されているとみなした。
肉眼病理学検査および組織病理学検査を、米食品医薬品局のCVM Guidance for Industry 185に従って行なった。検死時、以下の組織(表8)を肉眼病理学検査および組織病理学検査のために評価し、検死報告書に記載した。脳、心臓、肺、肝臓、脾臓、腎臓、筋肉、骨、小腸、大腸および肉眼で異常を有する組織(あれば)の試料を微生物学検査のために収集した。
すべてのイヌを0日目(D0)から4日目(D4)まで入院させ、次いで任意選択で後続の各処置後、臨床観察のために(医師の自由裁量で)24〜48時間入院させた。入院中、C.novyi NT処置後、すべての試験イヌに輸液を投与した。投薬日には、すべてのイヌに晶質液を4ml/kg/時で2時間静脈内(IV)投与した。C.novyi−NT芽胞の各IT注射後6時間、イヌを綿密にモニタリングした。次の来院時(4日後)、すべてのイヌに晶質液を20ml/kgで皮下(SQ)投与した。イヌを入院させ、SQ晶質液を投与すべき日にIV晶質液を受けた場合、SQ投与を行なう必要はなかった。
一例として4回用量処置レジメンの試験来院および事象を表9にまとめる。イヌを反復投薬で処置するはずであった場合、投薬間隔は週1回ベースにすることが提案された。試験過程中、有害事象または治験担当医の判断のため反復投薬では処置の遅延が生じた。
9匹の去勢した雄、1匹の完全な(そのままの)雄、および6匹の去勢した雌の16匹のイヌを試験に登録した(表6)。これらの個体群統計データおよび腫瘍の特徴を表6に示す。登録された症例は多様な血統、体重および年齢を示すものであった。症例は、組織学的起源がさまざまである天然に存在するがんを有すると事前に診断されたものであった:13匹のイヌは軟部組織肉腫(81.3%)、1匹は骨肉腫(6.3%)、1匹は黒色腫(6.3%)および1匹は肥満細胞腫(6.3%)の診断を有した。13例の軟部組織肉腫のうち11例について組織学的亜型が入手可能であり:4例の血管外皮腫(30.8%)、3例の末梢神経鞘腫(23.1%)、1例の滑膜細胞肉腫(7.7%)、1例の粘液肉腫(7.7%)、1例の横紋筋肉腫(7.7%)および1例の線維肉腫(7.7%)が含まれた。治験のイヌの平均体重は29.4kg(8.1〜44.3kgの範囲)であり、平均年齢は10.9歳(範囲:7.2〜14.3歳)であった。13匹のイヌは軟部組織肉腫の診断を有し、1匹ずつが骨肉腫、悪性黒色腫および肥満細胞腫の診断を有した。13例の軟部組織肉腫のうち、6例が免疫組織化学検査(IHC)に利用可能であった。6例はすべて、S100に対して陽性であり、平滑筋アクチンに対して陰性であり、末梢神経鞘腫と称される肉腫亜型の診断が示唆された。7例の腫瘍はグレードIであり、5例がグレードIIであり、4例がグレードIIIであった。8匹のイヌは、以前にそのがんの外科的治療を受けていた。
C.novyi−NT芽胞の調製および自然発生イヌ腫瘍へのIT注射
比較イヌ試験における使用のためのC.novyi−NT芽胞は、既報(Dangら,2001、Bettegowdaら,2006)のとおりに作製した。簡単には、細菌を胞子形成培地中で、最大収量の成熟芽胞が確実になるように少なくとも2週間培養した。成熟芽胞を、2回の逐次連続パーコール勾配によって精製した後、PBS中で4回の洗浄および再懸濁を行なった。最終生成物の無菌性試験は、生成物をソイビーン・カゼイン・ダイジェスト培地およびチオグリコレート培地中で、FDA 21CFR610.12ガイドライン(Nelson Laboratories,Salt Lake City,UT)に従って培養することにより行なった。発芽効率アッセイを嫌気性条件下、5%ウマ血液を加えたBrucella寒天上で、芽胞が事前に設定したバイアビリティ基準を満たすことが確実になるように行なった。芽胞を、Oリング密閉スクリューキャップを有する滅菌1.8mL容クライオバイアル(Simport,Beloeil,Canada)内に、1000μLの容量および1×109芽胞/mLの濃度でパッケージングした。C.novyi−NTのクライオバイアルを2〜8℃で保存した。投薬のため、ストック芽胞溶液の0.4mLアリコートを0.5mL容クライオバイアル内にパッケージングした。投薬後、クライオバイアルおよび未使用のC.novyi−NT芽胞を、バイオセーフティレベル2の物質の廃棄に対して適用可能な規定に従って廃棄した。IT注射の前に、芽胞を、最大速度で10秒間、合計3回ボルテックス混合により再懸濁させた後、1mL容シリンジ内に引き入れた。注射部位は無菌的に調製した。利用可能な場合は、超音波またはコンピュータ断層撮影(CT)を使用し、腫瘍の壊死性領域を同定した。壊死性領域が同定されなかった場合は、注射を腫瘍の中心に指向した。針を、事前に規定した領域内に1回挿入し、100μLの芽胞懸濁液(1×108 C.novyi−NT芽胞)を一様な圧力で施薬した。注射針をゆっくりと抜き、注射部位を消毒した。すべてのイヌに、100μLの生理食塩水中1×108芽胞のIT投薬(バイオサージェリー)を少なくとも1サイクル行ない:3匹のイヌに単回処置サイクルを行ない、13匹のイヌに1回より多く4回までの処置サイクルを行なった。イヌには、サイクル間に1週間の間隔をあけて4サイクルまでのバイオサージェリーを行なうことができた。処置したイヌは、最初のIT注射後、少なくとも90日間追跡した。入手可能な場合は疾患進行および生存率に関する追跡の延長に値するとした。試験の早期中止は毒性または進行性疾患に対して許容した。
試験の評価を表9に記載のようにして行なった。バイオサージェリーの最初のサイクルの前にプレスクリーニング評価を1〜14日間行なった。試験中、イヌを入院患者ベースおよび外来患者ベースの両方で定期的にモニタリングした。検査試料は、表9に規定したとおりに採取し、全血球計算値、血清生化学検査、プロトロンビン時間、部分トロンボプラスチン時間および尿検査を含めた。スクリーニング時にイメージングを行ない、局所CT、胸部レントゲン撮影および腹部超音波検査を含めた。試験中、治験担当医の判断で更なるイメージングを行なってもよい。
有害事象は、可能な場合、Veterinary Co−operative Oncology Group − Common Terminology Criteria for Adverse Events(VCOG−CTCAE)v1.0(Veterinary Co−operative Oncology Group,2004)を使用し、Veterinary Dictionary for Drug Related Affairs(VeDDRA)rev.4(European Medicines Agency,2012)の専門用語を用いて評価した。C.novyi−NTの発芽に関する有害事象(標的病変部の反応)の専門用語を表10に定義する。適切なVeDDRAまたは標的病変部の反応の専門用語がない臨床観察結果は非コード徴候として別途に分類した(表11)。C.novyi−NT療法との関連性は、報告する治験担当医が決定した。
標的(注射)病変部の最大直径腫瘍の測定を、処置後、0日目、7日目、14日目、21日目、60日目および90日目に行なった(表9)。非標的および新たな病変部は記録したが、測定しなかった。最良の全般的腫瘍応答を21日目の試験来院時またはその後に評価した:完全応答(CR)は、標的病変部の完全な消失と定義し;部分応答(PR)は、標的病変部の最大直径の少なくとも30%の低減と定義し;進行性標的疾患(PD)は、標的病変部の最大直径の少なくとも20%の増大または新たな非標的病変部の出現と定義した。疾患安定状態(SD)は、CR、PRまたはPDに適格とするには不充分な標的病変部の最大直径の低減または増大と定義した。C.novyi−NT関連膿瘍の場合、壊死組織の医療的または外科的病巣清掃は治験担当医の自由裁量にした。
外科試料および検死試料の評価は、認定専門医の獣医病理診断医が行なった。組織被検物を10%中性緩衝ホルマリン中で固定し、パラフィン中に包埋した。スライドをH&Eで染色およびまたはグラム染色し、スライドを標準手順ガイドラインによる評価のために調製した。免疫組織化学検査(IHC)のため、ホルマリン固定パラフィン包埋腫瘍組織を5μmの切片にし、キシレン中で脱パラフィンし、等級化アルコールによって再水和させた。アンマスキング液(Vector Laboratories,Burlingame,CA)を用いて抗原賦活化を行なった。一次抗体S100(DAKO,Carpinteria,CA)および抗平滑筋アクチン(DAKO,Carpinteria,CA)を1:100で使用した。DABで標識した二次抗体(Vector Laboratories,Burlingame,CA)を1:500で使用した、切片をABC試薬(Vector Laboratories,Burlingame,CA)とともにインキュベートし、ヘマトキシリンで対比染色した。各々に対し、既刊の基準(Dennisら,2011、Patnaikら,1984、Smedleyら,2011、Sabattiniら,2014)に基づいて腫瘍悪性度を割り付けた。
実施例7
C.novyi−NTの腫瘍内(IT)投与 − 試験1 結果
すべてのイヌに少なくとも1サイクルのバイオサージェリーを行ない、計画していた最大64回のうち53サイクルを行なった。ほとんどのイヌ(16匹中10匹)に、意図していた4サイクルを行なった。バイオサージェリーのサイクルは典型的には1週間、間をあけた。プラセボ対照またはマスキングは使用しなかった。
最初のサイクル後、早期腫瘍応答、毒性または進行性疾患を示したイヌは、その後のサイクルを停止した。最も一般的な有害事象は、C.novyi−NT芽胞注射部位における局所感染と整合し:発熱(17例発生)、腫瘍炎症(12例発生)、腫瘍膿瘍(10例発生)、拒食(9例発生)、および不活発(6例発生)が含まれた(表12)。注射標的病変部位における炎症応答の臨床徴候が16匹のうち14匹のイヌ(87.5%)において観察され:腫瘍炎症(12/14)、腫瘍膿瘍(7/14)、腫瘍の痛み(5/14)、および腫瘍分泌物(4/14)が含まれた(表13)。
a試験の0日目またはそれより後でのC.novyi−NTの発芽の臨床的形跡,標的病変部の反応を含む(図5)。
b試験の21日目後、試験プロトコルで定義した標的病変部に対する最良応答:CR−完全応答;PR−部分応答;SD−疾患安定状態;PD−進行性疾患;NE−試験の21日目またはその後の応答に関して評価可能でない。
早期発生有害事象
早期発生有害事象は、最初の処置サイクル(13匹のイヌ)または単回処置サイクル(3匹のイヌ)後、最初の7日以内に発生する事象を示す。複数の症例においてさまざまな有害(AE)事象の所見がみとめられた。最初の処置サイクル後(複数回のサイクルを行なった13匹のイヌ)または単回処置サイクル後(1回のみのサイクルを行なった3匹のイヌ)のいずれかの7日以内に発生した早期発生有害事象を表14にまとめる。
一般的な早期発生有害事象の所見には:標的腫瘍病変部の反応、全身性徴候および症状の変化、ならびに血液およびリンパ系の異常が含まれた。早期発生有害事象のほとんどは軽度から中等度(グレードI〜II)であり、腫瘍炎症、拒食、腫瘍浮腫および発熱が最も一般的に観察された事象であった。グレードIIIの腫瘍膿瘍およびグレードIIIの腫瘍炎症が2つの症例(10−R02および16−R03)でみとめられた。早期発生有害事象の所見は、C.novyi−NT治療薬の作用機序に起因する予測された腫瘍炎症反応と整合しているようである。
後期発生有害事象
3匹のイヌのサブセットに1回のみの処置サイクルを行なった(2012年12月2日の時点で)。後期発生有害事象は、単回処置サイクル後7日以降に発生する事象を示し、3匹のイヌ(04−R04、10−R02および11−R01)について表15にまとめる。後期発生有害事象のほとんどは軽度から中等度(グレードI〜II)であり、12例の後期発生所見のうち11例が単一の被検体04−R04でみとめられた。このイヌは、ベースラインで94.5mmのLD測定値を有する右前肢に軟骨形成型骨肉腫を示した(CT測定値は入手不可能)。進行性疾患のため、C.novyi−NT芽胞注射の20日後に切断術を行なった。その他の2例の被検体は、単回処置サイクルに良好な耐容性を有する。後期発生AEは排他的に軽度の発熱(グレードI)に限定された。
要約すると、1×108芽胞のC.novyi−NT IT投与の1回の処置サイクル後に観察された安全性プロフィールにより好適な耐容性が示唆された。早期発生および後期発生有害事象は、C.novyi−NTの作用機序に起因する予測された腫瘍炎症反応と整合した。有害事象は、本明細書に開示したとおりにモニタリングし、効果的にマネージメントした。
イヌにIT投与によるC.novyi−NTの複数回の処置サイクルを行なった場合にみとめられた有害事象を、表9に任意のグレードの有害事象(AE)および表10に上記のグレードIIIのAEについてまとめる。
複数回の処置サイクル後のこの有害事象の所見の多様性および発生は、単回処置サイクル後に観察されたものと広く同様であった。同様に、事象の発生は、単回処置サイクル後に観察されたものと大きく整合しているようであった:すべての症例における169例の所見のうち、30例のみが事前の投与後7日以降にみとめられた。同様に、腫瘍炎症、拒食および発熱が最も一般的に観察された事象であった。1つより多くの症例で発生した有害事象には:標的病変部の反応、全身性徴候および症状の変化、血液およびリンパ系の異常、歩行困難、高血圧、リンパ節腫脹、下痢ならびに新たな塊状物が含まれた。ほとんど(約95%)の所見は強度が軽度から中等度(グレードI〜II)であった。
重度の有害事象
重度の有害事象(グレードIIIおよびそれより高い)が5つの症例でみとめられた(表16)。被検体04−R05ではグレードIIIの好中球数増加が発生した。被検体10−R01では、グレードIIIの貧血、不活発、筋衰弱、筋炎、痛みおよび横になる状態が発生した。広範な転移性疾患は、ベースラインでは観察されなかったが、60日目に症例10−R01の検死後に診断され;この症例では進行性疾患が有害事象の所見に影響を及ぼしたかもしれなかった。被検体10−R02ではグレードIIIの腫瘍膿瘍が発生した。被検体11−R01では、最初の処置サイクルの93日後にグレードIVの血小板数減少が発生し、これは介入なしで消散した。症状は、93日目の来院の21日後になんら医療処置なしで消散した。注目すべきことに、この被検体はまた、それぞれ、スクリーニング時およびベースライン時にグレードIおよびグレードIIIの症状の血小板減少症も示した。被検体16−R03ではグレードIIIの下痢、歩行困難および腫瘍炎症が発生し、これらは1週間以内に消散した。
2匹のイヌでは、試験中に新たな塊状物が記録された。直腸内塊状物が被検体04−R04で82日目に、T1の溶解性脊椎病変部が被検体10−R01で9日目に同定された。このような所見は、転移または第2の相違する病態を表し得る。どちらの症例も、C.novyi−NT療法との関連性は不明であった。
C.novyi−NT療法による応答
要約すると、処置サイクル1回あたり1×108芽胞の用量で4サイクルまでの愛玩動物のイヌにおけるC.novyi−NT IT処置は耐容性が良好である。場合によってはまたはおそらく薬物と関連しているグレードIIIより高いほとんどの有害事象は1週間以内に消散した。予測された有害事象は、主に腫瘍内治療後の局所炎症変化と関連しており、おおむね1週間以内に消散した。有害事象および深刻な有害事象は、本明細書に開示したとおりにモニタリングし、効果的にマネージメントした。
C.novyi−NT IT投与に広範な生物学的活性の形跡が随伴したことを考慮して、RECIST 1.1を用いて一次腫瘍応答の予備評価を行ない、以下の表17にまとめる。
イヌを、試験の21日目またはそれより後での最良応答について評価した。3匹は治療に対して完全応答(CR)を有し、3匹は部分応答(PR)を有し、5匹は疾患安定状態(SD)を有し、3匹は進行性疾患(PD)を有し、2匹のイヌ(04−R04および04−R08)は、注射した腫瘍を21日目より前に外科的に切除したため応答に関して評価可能でなかった。バイオサージェリーに対する客観的応答率は37.5%(16匹のうち6匹のイヌ;95パーセント信頼区間:15.2〜64.6%)であった。腫瘍膿瘍および応答は1〜4回のサイクルのバイオサージェリー後に発生した。イヌ11−R01では単回サイクル後にPRが発生し、04−R03は3サイクル後にCRを有し、イヌ04−R02と04−R05は、4サイクル後にPRを有したが、04−R01と04−R06は4サイクル後にCRを有した。図7A〜Fおよび図8A〜Fは、それぞれ、部分応答(11−R01)および完全応答(04−R03)を有するイヌにおける代表的な変化を示す。膿瘍の消散は病巣清掃を伴って起こり、2〜4週間後に完全に創傷は治癒した。しかしながら、客観的応答の前に常に明白な膿瘍形成が観察されるとは限らなかった。イヌ04−R01と04−R06には4サイクルのバイオサージェリーを行ない、21日目の試験来院まで腫瘍炎症は観察されたが膿瘍形成は観察されなかった。それでも、これらの2匹のイヌにおいて、それぞれ、42日目(予定外の来院)および60日目の試験来院時に完全応答がみとめられた。
個々の被検体を以下に、より詳細に論考する。
Andy(11−R01,図7A〜F)(10歳の去勢した雄のマルチーズ)は左耳翼にグレードIIの軟部組織肉腫を示していた。このイヌの処置歴には登録前において手術が含まれた。このイヌには、2012年6月18日に単回用量のC.novyi−NT芽胞を投与した。Andyには、1日目(2012年6月19日)にグレードIの腫瘍腫脹が発生した。膿瘍形成は腫瘍の潰瘍形成および化膿性壊死性物質の分泌に至った。生じた創傷は、合併症なく治癒した。延長追跡期間中、グレードIVの血小板減少症が93日目(2012年9月19日)に観察され、これは、数週間後のルーチン追跡来院時に消散していた。創傷治癒後、およそ8mmの肥厚皮膚領域が残った。(試験過程における腫瘍の測定値の時間的推移については図9を参照のこと)。これは瘢痕組織または残留腫瘍であったかもしれない。
Molly(11−R02)(12歳の去勢した雌のラブラドールレトリバー)は、左後膝関節にグレードIIの軟部組織肉腫を示していた。このイヌは登録前において処置歴を有していなかった。このイヌには、3サイクルのIT C.novyi−NT芽胞を投与した後、1回のIV用量の1×108 C.novyi−NT芽胞を3回目のIT投薬の7日後に投与した。このイヌの1回目、2回目および3回目のIT投薬は、それぞれ2012年7月11日、2012年7月18日および2012年7月25日。先のIT投薬でみられる生物学的活性の欠如のため、2012年8月1日に単回IV用量のC.novyi−NT芽胞を投与した。みとめられた唯一の有害事象は、3回目のIT投薬後のグレードIの高血圧であった。高血圧は一過性で自己制御的であり、1時間以内に消散した。Mollyの腫瘍は30日目(2012年8月10日)に組織学的解析のために外科的に除去した。塊状物は、壊死および炎症の領域を有する軟部組織肉腫であることが確認された。グラム染色において細菌は存在せず、この症例における生物学的活性の欠如が裏付けられた。
Ricky(10−R01)(13歳の去勢した雄のゴールデンレトリバー)は口腔内黒色腫を示していた。このイヌの処置歴には登録前において手術が含まれた。このイヌには2サイクルのIT C.novyi−NT芽胞を投与した。C.novyi−NT IT処置は2012年8月2日および2012年8月9日に投与した。9日目(2012年8月11日)、Rickyは2回目の処置サイクルの2日後、突然、頸部の痛みの発生と後肢の神経障害を発現した。また、グレードIIIの貧血もみとめられた。MRIを行ない、頸部脂肪組織炎の可能性および頸部脊髄圧迫が明らかになった。コルチコステロイドおよび胃腸保護薬を投与し、Rickyは3日後に回復した。口腔内黒色腫に変化はみとめられず、更なるC.novyi−NT処置薬は投与しなかった。21日目(2012年8月23日)、MRIを行ない、前述の脂肪組織炎に改善が示された;しかしながら、胸部のCTで転移性肺小結節がみとめられた。口腔内黒色腫の切除を行なった。ヒトチロシナーゼ黒色腫ワクチンを2012年8月30日に開始した。42日目(2012年9月13日)、Rickyは、(コルチコステロイドの中止の2週間後)黒色腫ワクチン投与の2週間後、再発性の頸部の痛みおよび前肢痛みを示した。4日後、鎮痛剤での与薬マネージメントで改善はもたらされず、そのため、コルチコステロイドを再開した。46日目、グレードIIIの貧血およびBUNの上昇がみとめられた。推定される胃腸管の出血を胃腸管保護薬で処置した。60日目、Rickyは倒れ、吐血した。人道的安楽死を行なった。検死により、顎下リンパ節、縦隔リンパ節、腸間膜リンパ節、腎臓、および頚椎領域内の脊椎周囲(perispinal)の脂肪を含む播種性転移性の黒色腫が明らかになった。胃内または腸内潰瘍形成の形跡はみられなかった。この2つの脊椎の痛みのエピソードの推定される原因は転移性黒色腫である。C.novyi−NTとの関連性は不確かである。
Finnegan(04−R02)(11歳の完全な雄のゴールデンレトリバー)は、右外側中手に軟部組織肉腫(血管外皮腫)を示していた。このイヌの処置歴には登録前において手術が含まれた。このイヌには4サイクルのIT C.novyi−NT芽胞を投与した。有害事象は軽度であり、耐容性は良好であった。4回の処置サイクル後、腫瘍部位の周囲に正常組織マージンを残して腫瘍の完全除去を行なった。Finneganには、それぞれ、2012年8月3日、2012年8月10日、2012年8月17日および2012年8月24日に1回目、2回目、3回目および4回目の処置サイクルを行なった。C.novyi−NTの投与に随伴したのは、1回目、2回目および3回目のサイクル後に報告されたグレードIの有害事象のみであった。4回目の投薬の48時間後にグレードIおよびIIの有害事象がみとめられた。腫瘍感染がみとめられ、発熱、白血球増加症、好中球増加症ならびに腫瘍関連の痛みおよび膿瘍形成からなるものであった。感染は膿瘍形成に進展し、最小限の病巣清掃を伴った全腫瘍の除去を4回目の投薬の96時間後に行なった。この来院での腫瘍の測定値を午前中に記録した後、後日、肉眼的腫瘍を完全除去した。25日目(2012年8月28日)、開放創マネージメントではなくこの肢部の切断術を行ない、抗生物質を投与した。このイヌの最初の処置から94日後(2012年11月05日)、Finneganは無事に手術から回復し、肉眼的腫瘍は存在していないままである。
Drake(04−R01,図10A)(7歳の去勢した雄のゴールデンレトリバー)は、右中上顎に軟部組織肉腫(線維肉腫)を示していた。このイヌは登録前において処置歴を有していなかった。このイヌには、4サイクルのIT C.novyi−NT芽胞を投与した。有害事象は軽度であり、耐容性は良好であった。4サイクル後、腫瘍部位の周囲に正常組織マージンを残して腫瘍の完全除去を行なった。Drakeには、それぞれ、2012年8月13日、2012年8月20日、2012年8月27日および2012年9月4日に1回目、2回目、3回目および4回目の処置を行なった。1回目、2回目および3回目の投薬間の間隔は7日間であった;が、3回目と4回目の投薬の間隔は、祝日を順守するため8日間となった。C.novyi−NTの投与には、1回目のサイクルの24〜48時間後に報告されたグレードIの不活発および食欲不振ならびにグレードIIの嘔吐および血便を含む軽度の有害事象が随伴した。これらのAEは、制吐薬と抗生物質で成功裡に処置された。グレードIの腫瘍の痛みおよび腫脹を含むAEが、4回目の投薬の24時間以内にみとめられた。腫瘍感染および膿瘍形成のさらなる形跡は観察されなかった。60日目(2012年10月12日)、腫瘍の除去は明白であり、腫瘍は測定可能でなくなった(試験過程における腫瘍の測定値の時間的推移については図10Bを参照のこと)。この領域は固く、若干腫脹したままであり、CTスキャンを行なった。1回目の投薬後86日目(2012年11月7日)、Drakeに腫瘍はないままである。
Baxter(04−R03,図8A〜F)(9歳の去勢した雄のBoxer)は、左内側前腕にグレードIIの軟部組織肉腫を示していた。このイヌは登録前において処置歴を有していなかった。このイヌには3サイクルのIT C.novyi−NT芽胞を投与した。有害事象は軽度であり、耐容性は良好であった。3回の注射後、腫瘍部位の周囲に正常組織マージンを残して腫瘍の完全除去を行なった。Baxterには、それぞれ、2012年8月17日、2012年8月24日および2012年8月31日にC.novyi−NT芽胞の1回目、2回目および3回目の投薬を行なった。C.novyi−NTの投与は耐容性が良好であり、1回目または2回目の投薬後、試験薬剤関連毒性は報告されなかった。3回目の投薬の24時間後、試験関連有害事象がみとめられた。この有害事象は、腫瘍感染が随伴し、発熱、拒食、不活発ならびに腫瘍関連の痛み、腫脹および出血からなるものであった。有害事象は軽度であり(グレードIIまたはそれより低い)、支持療法と鎮痛薬でマネージメントした。C.novyi−NT関連腫瘍感染は腫瘍全体に進展して膿瘍形成を伴った。2012年9月2日の腫瘍の外科的病巣清掃により、AEの急速な消散がもたらされた。創傷治癒は合併症を伴わず、2012年10月16日までに完治した。最初の処置後94日目(2012年11月19日)、Baxterには肉眼的腫瘍がないままである(試験過程における腫瘍の測定値の時間的推移については図11を参照のこと)。
Harley(26−R01)(7歳の去勢した雄のラブラドールレトリバー)は、右足にグレードIIの軟部組織肉腫(血管外皮腫)を示していた。このイヌは登録前において処置歴を有していなかった。このイヌには、4サイクルのIT C.novyi−NT芽胞を投与した。1回目、2回目、3回目および4回目の投薬は、2012年8月20日、2012年8月27日、2012年9月4日および2012年9月10日に行なった。投薬間の間隔は6〜8日であった。1回目と2回目の投薬時、高いベースライン体温がみとめられた。C.novyi−NT芽胞でのIT処置は耐容性が良好であり、有害事象は報告されなかった。治療に対する応答はなかった。
Ursula(04−R−04)(11歳の卵巣摘出された雌のセントバーナードミックス犬)は、右前肢に軟骨形成型骨肉腫を示していた。このイヌの処置歴には登録前において手術が含まれた。このイヌには単回IT投薬でのC.novyi−NT芽胞を投与した。登録時、転移性疾患は存在しなかった。2012年8月31日の最初の処置後、最初の24時間以内に腫瘍膿瘍形成および腫瘍周囲の炎症が明白になり、鎮痛剤、温湿布および静脈内晶質液で与薬マネージメントした。改善はみられず、2日目(2012年9月2日)に腫瘍/膿瘍を切開した。中程度の漿液が存在した。嫌気性培養物からC.novyiを単離した。抗生物質の投与を4日目(2012年9月4日)に開始した。切開部は開放創として20日目(2012年9月20日)までマネージメントし、この時点で進行性疾患の切断術を行なった。組織病理学検査により重度の壊死および出血とともに、まだ残っている軟骨形成型骨肉腫が明らかになった。切断術後、切開部位の感染がみとめられた。培養物にはC.novyiが示されなかった。切断術後、補助療法は行なわなかった。81日目(2012年11月21日)、Ursulaは直腸脱を示し、直腸ポリープを有することがわかった。この評価時点で行なった胸部レントゲン写真により肺転移が明らかになった。
Gabriel(16−R02)(9歳の去勢した雄のラブラドールレトリバー)は、左外側大腿にグレードIの軟部組織肉腫を示していた。このイヌの処置歴には登録前において手術が含まれた。このイヌには4サイクルのIT C.novyi−NT芽胞を投与した。C.novyi−NTのIT投与はおおむね耐容性が良好であり、与薬マネージメントに応答したグレードIIの下痢のため、1回目と2回目の投薬の間に1週間の遅れが生じた。Gabrielには、それぞれ、2012年9月12日、2012年9月26日、2012年10月3日、2012年10月10日に1回目、2回目、3回目および4回目の投薬を行なった。毒性は軽度であり、主に下痢と構成的症状からなるものであった。各投薬後にグレードIIの下痢がみとめられ、与薬マネージメントに良好に応答した。1回目の投薬後、投薬を1週間遅らせ、1回目と2回目の投薬の間隔は14日間になった。その後の投薬でのグレードIIの下痢の場合は投薬を遅らせなかった。さらに、4日目(2012年9月16日)にグレードIIの腫瘍腫脹が観察された。腫瘍サイズは、D0(2012年9月12日)から直近の試験来院のD63(2012年11月14日)まで安定なままであった。
Buddy(04−R05)(13歳の去勢した雄のシェットランドシープドッグ)は、右前腕に軟部組織肉腫(横紋筋肉腫)を示していた。このイヌの処置歴には登録前において手術、化学療法およびC.novyi−NT臨床試験の前歴が含まれた。試験登録時点で転移性疾患はみとめられなかった。このイヌには4サイクルのIT C.novyi−NT芽胞を投与した。C.novyi−NTに伴う臨床的に有意な有害事象は、3回目の治療サイクル後のグレードIIIの好中球減少症と発熱のみであった。この事象は静脈内抗生物質および輸液療法での与薬マネージメントの48時間以内に消散した。Buddyには、2012年9月20日、2012年9月27日、2012年10月5日および2012年10月12日に1回目、2回目、3回目および4回目の処置サイクルを行なった。軽度の腫瘍炎症(紅斑、熱っぽさ、腫脹)がみとめられ、4サイクルのうち2回に随伴した。4日目(2012年9月24日)に腫瘍サイズの一過性の低減がみとめられた。21日目(2012年10月12日)に、原発腫瘍部位の付近に新たな非標的病変部がみとめられた。61日目、原発標的腫瘍は安定状態であった。
Amber(16−R03)(10歳の去勢した雌のシェパード)は、左足の掌側面と背面にグレードIの軟部組織肉腫を示していた。このイヌの処置歴には登録前において手術が含まれた。このイヌには4サイクルのIT C.novyi−NT芽胞を投与した。1回目、2回目、3回目および4回目の投薬は、2012年9月26日、2012年10月3日、2012年10月15日および2012年10月24日に行なった。投薬間の間隔は7〜12日であった。Amberには、1回目と2回目の投薬後、グレードIIの腫瘍腫脹と痛みが発生した。2日目(2012年9月28日)にグレードIの食欲不振がみとめられた。8日目(2012年10月4日、2回目の投薬の1日後)、グレードIの発熱、グレードIIの腫瘍の熱っぽさおよびグレードIIIの歩行困難がみとめられた。このイヌの腫瘍を切開し、鎮痛薬を投与した。11日目(2012年10月7日)にグレードIIIの下痢がみとめられ、与薬マネージメントした。腫瘍関連有害事象および下痢のため、3回目の投薬を19日目(2012年10月15日)まで遅らせた。C.novyi−NTの3回目の投薬後の19日目に再度、グレードIIの腫瘍腫脹が観察され、これは鎮痛薬でマネージメントした。4回目の投薬後、有害事象はみとめられなかった。
Six(11−R04)(9歳の去勢した雄のハスキー)は、右足グレードIの軟部組織肉腫を示していた。このイヌは登録前において処置歴を有していなかった。このイヌには4サイクルのIT C.novyi−NT芽胞を投与した。Sixには、それぞれ、2012年10月1日、2012年10月8日、2012年10月15日および2012年10月22日に1回目、2回目、3回目および4回目の投薬を行なった。C.novyi−NTの投与芽胞は耐容性が良好であり、軽度の有害事象しか観察されなかった。1回目の投薬後、グレードIの高血圧と発熱がみとめられた。発熱と高血圧は自己制御的であり、それぞれ、投薬の1時間以内および2時間以内に消散した。4日目(2012年10月5日)、腫瘍は主観で柔らかくなっており、先の生検の部位の小領域に潰瘍形成(グレードI)が観察された。潰瘍形成は直近の試験来院の31日目(2012年11月1日)まで続いた。この潰瘍形成は、試験薬剤または試験登録に必要とされた生検の合併症のいずれかに随伴しているものであり得る。
Belle(04−R06)(11歳の卵巣摘出された雌のラブラドールレトリバー)は、右後ろ第3指に肥満細胞腫(最初は軟部組織肉腫として吸引)とともに膝窩リンパ節への転移を示していた。このイヌは登録前において処置歴を有していなかった。このイヌには4サイクルのIT C.novyi−NT芽胞を投与した。有害事象は軽度であり、グレードIの発熱およびグレードIの腫瘍炎症に限定された。Belleには、2012年10月19日、2012年10月26日、2012年11月2日および2012年11月9日に1回目、2回目、3回目および4回目の処置サイクルを行なった。C.novyi−NT処置に伴うグレードIの発熱および腫瘍炎症。発熱と炎症は自己消散的であり、プロトコル以外の与薬マネージメントの必要はなく、予定の試験来院時に皮下輸液の投与が必要とされた。21日目(2012年11月9日)に腫瘍の潰瘍形成がみとめられた。イヌの飼い主から治験担当医に送られた腫瘍の写真により、潰瘍形成の消散および塊状物の顕著な退縮が示された。46日目(2012年12月4日)の予定外の来院で腫瘍応答の評価を行なった。腫瘍の完全な退縮がみとめられた。
Frida(11−R01)(7歳の卵巣摘出された雌のジャーマンシェパードミックス犬)は、右後足に軟部組織肉腫(血管外皮腫)とともにリンパ節転移(CTに基づく)の可能性を示していた。このイヌの処置歴には登録前において手術が含まれた。このイヌは、飼い主とともにメキシコから移動してこの臨床試験に参加した。このイヌには3サイクルのIT C.novyi−NT芽胞を投与した。有害事象は48時間の漸増漸減の発熱に限定され、これは静脈内輸液とNSAIDにより消散した。Fridaには、2012年11月6日、2012年11月14日および2012年11月21日に1回目、2回目および3回目の治療サイクルを行なった。含まれた有意な有害事象はグレードIの発熱のみであり、入院と輸液(4日目(2012年11月10日)に開始)が必要とされ、5日目(2012年11月11日)にグレードIIの発熱に進展した。発熱は48時間後に消散した。18日目(2012年11月24日)の3回目の治療サイクル後にまたグレードIの発熱がみとめられた。腫瘍進行のため21日目(2012年11月27日)に即座に切断術を行なった。
Mhija(01−R02)(7歳の去勢した雄のBorder Collie)は、左胸部脇腹(thoracic flank)に軟部組織肉腫(末梢神経鞘腫)を示していた。このイヌは登録前において処置歴を有していなかった。このイヌには3サイクルのIT C.novyi−NT芽胞を投与した。有害事象は軽度であり、耐容性は良好であった。腫瘍炎症、熱および漿液性から粘液膿性の分泌物は、おそらくC.novyi−NT活性と関連している。第4サイクルのC.novyi−NT芽胞を計画する。Mhijaには、それぞれ、2012年11月12日、2012年11月20日および2012年11月27日に1回目、2回目および3回目の投薬を行なった。1回目と2回目の投薬の間隔は8日間であった;が、2回目と3回目の投薬の間隔は7日間であった。C.novyi−NTの投与には軽度(グレードI〜II)の毒性が随伴した。1回目の投薬後、グレードIの吐き気および吐き戻しがみとめられ、3回目の投薬後にグレードIの食欲不振および不活発がみとめられた。毒性は与薬マネージメントにより短期間で消散した。ほとんどの毒性は腫瘍部位に局在し、グレードIまたはグレードはIIであり(熱、炎症、掻痒、漿液性から粘液膿性の分泌物および紅斑)、C.novyi−NTの投与の2日以内に発生した。さらに、グレードI〜IIの1回目および3回目の投薬の2日後に腹部の浮腫が観察された。
Tank(10−R02)(10歳の去勢した雄の雑種)は、右脇腹に軟部組織肉腫(血管外皮腫)を示していた。このイヌの処置歴には登録前において手術が含まれた。このイヌには、1サイクルのIT C.novyi−NT芽胞を2012年11月12日に投与した。処置後、4日目(2012年11月16日)にグレードIの発熱、食欲低下、腫瘍の周囲にグレードIIの浮腫、およびグレードIIIの腫瘍膿瘍がみとめられた。鎮痛剤、IV輸液および広域抗生物質を含めた与薬マネージメントを使用して膿瘍をマネージメントした。腫瘍炎症および周囲の浮腫は11日目(2012年11月23日)に消散した。2012年12月3日、Tankに2回目の処置サイクルを行なった。サイクル間の間隔は21日であった。2回目の投薬は、抗生物質の休薬期間のため遅らせた。
8匹のイヌの腫瘍の測定値の時間推移を図12Aに示す。図12Bは、切断術またはデータのカットオフのため切り上げられた3例の時間的推移を示す。
要約すると、C.novyi−NTをIT注射によってサイクル1回あたり1×108芽胞の用量にて4回までの処置サイクルで投与すると、有意義な生物学的活性および抗腫瘍活性が示され、天然に存在する固形腫瘍を有する愛玩動物のイヌにおいて耐容性は良好なようである。腫瘍応答は速やかであり、有意な腫瘍壊死および注目に値する疾患退縮がC.novyi−NT投与の数日以内に起こる。ほとんどの有害事象はグレード1およびグレード2に限定され、C.novyi−NT治療薬で予測される機序ベースの腫瘍炎症反応と整合する。いくつかの症例は、現在、進行および生存率の評価について長期追跡中である。
実施例8
C.novyi−NTの腫瘍内(IT)投与 − 試験2 方法
固形腫瘍(骨肉腫または肥満細胞腫を除く)を有するイヌの処置のためのIT注射によるC.novyi−NT投与の用量と容量を特性評価する試験を行なう。
固形腫瘍(骨肉腫ならびに肥満細胞腫を除く)を有する任意の体重、血統、性別または年齢のイヌを、登録に関してスクリーニングした。組み入れ基準は、各イヌは骨肉腫または肥満細胞腫を除く任意のがんの細胞学的または組織学的診断を有すること、および各イヌは最大直径≧1cmの少なくとも1つの測定可能な腫瘍病変部を有すること以外は実施例6に示したものと同様とした。
最初のスクリーニング来院時、各イヌに、5桁の数字コードからなる独自の試験イヌ識別番号(これは、スクリーニングイヌ番号が順番に連続していない場合があり得る)を割り付けた。最初の2桁は試験施設を示し(01〜99)、真ん中の桁は試験「5」を示し、最後の2桁は試験施設(01〜99)内での試験イヌ番号を示した。例えば、施設9に11番目に登録されたイヌには試験イヌ番号09−511が割り付けられた。試験イヌ番号は、イヌが所与の試験施設に登録された順に時系列で割り付けた。イヌは、組み入れ基準および除外基準を満足している場合、試験に登録されているとみなした。
肉眼病理学検査、組織病理学検査および検死は実施例6に記載のとおりに行なった。
C.novyi−NT芽胞は、輸送の前に、上記に示したとおりに1×108芽胞/mLの濃度で調製し、2mL容クライオバイアル内の滅菌生理食塩水中に懸濁させた。C.novyi処置の各サイクルは、単一の標的病変部内に各注射で1mLの芽胞懸濁液(1×108芽胞)を5回までの注射で構成した。1×108芽胞を含む芽胞懸濁液を、各1mL注射のために個々のクライオバイアル内にパッケージングし、バイアル、シリンジおよび針は各注射後に廃棄した。
注射のためのスキームを図13に示す。腫瘍内に5つの1mL注射部位(四角で表している):中心、および腫瘍内に均等に割り振った4つの注射部位を分布させた。各1mL注射のための部位はさらに、5つの再指向(redirection)部位からなるものにした(図13において丸で表している)。各再指向部位に200μLの芽胞懸濁液を投与した。針をまず注射部位の中心に指向し、次いで、該注射部位の4つの角に針を抜かずに均等に再指向した。最初の1mL注射が終了したら針を抜き、シリンジを廃棄した。各注射の深さは、最良の分布が得られるような充分な分布であるのがよい。推奨されるシリンジサイズは各注射に対して1mLであり、推奨される針は22ゲージ〜25ゲージであった。腫瘍病変部の深さに基づいて充分な長さの針が選択されるのがよい。
すべてのイヌをD0からD2まで入院させ、次いで、後続の各処置後、臨床観察のために医師の自由裁量で24〜48時間入院させた。入院中、C.novyi−NT処置後、すべての試験イヌに輸液を投与した。投薬日には、C.novyi−NTでの処置後、すべてのイヌにIV晶質液を4ml/hg/時で2時間投与した。
一例として8サイクル処置レジメンの試験来院および事象を表18にまとめる。イヌを複数回の治療サイクルで処置することが意図されていた場合、投薬間隔は週1回が提案された。
*飼い主はイヌをクリニックにD0からD2まで預け、病院ではすべてのイヌにIV晶質液を投与する。その後のサイクルでは、治験担当医が試験時のD0からの日数に応じてDを記入する。
**イヌにIV晶質液を投与する。
***胸部レントゲン写真のみ。
† イヌは8サイクルを受けていない場合があり得る。この試験では、その後の投薬サイクルを継続する決断は症例ごとに個別に医長、治験担当医およびスポンサー間の協議によって行なわれる。
†† 試験終了後、有害事象のマネージメントのために全身性抗生物質が必要であった場合、ドキシサイクリンを5〜10mg/kg PO BIDでイヌに3ヶ月間投与することが推奨される。
実施例9
C.novyi−NTの腫瘍内(IT)投与 − 試験2 暫定結果
2012年12月2日の時点で、2匹の愛玩動物のイヌが試験において処置を受けていた。どちらの動物にも、処置サイクル1回あたり5×108芽胞の用量レベルが、5つの独自のIT注射部位に投与された。
第1のイヌBuddy(04−503)(9歳の去勢した雄のベルジアンマリノア)は、左手根にベースラインで69mmのLD測定値(CTでは4.4×3.3×0.7cm)を有する軟部組織肉腫を示していた。このイヌの処置歴には登録前において手術が含まれた。このイヌには、2サイクルのIT C.novyi−NT芽胞を投与した。有害事象は軽度であり、グレードIの発熱およびグレードIの腫瘍炎症に限定されていた。Buddyには、2012年11月21日および2012年11月28日に1回目および2回目の処置サイクルを行なった。最初の注射の6時間以内にグレードIの発熱および腫瘍の赤み、腫脹ならびに痛みの増大がみとめられた。発熱は、NSAIDカルプロフェンでの処置後、6時間以内に消散した。処置後2日目(2012年11月23日)、軽度の腫瘍潰瘍形成がみとめられた。7日目(2012年11月28日)、塊状物サイズのわずかな縮小がみとめられた(−12.0%)。各処置サイクルは耐容性が良好であり、グレードIより高い有害事象はなかった。
第2のイヌGuinness(04−502)(9歳の去勢した雄のウィートンテリア)は、左肩にベースラインで122mmのLD測定値(CTでは9.1×9.3×14.5cm)を有する扁平上皮癌、後肢に低悪性度の血管肉腫および肺転移の形跡(CTに基づく)を示していた。このイヌの処置歴には登録前において手術が含まれた。登録前に行なった心エコー検査に基づき、僧帽弁疾患が既に存在することが明白であった。このイヌには、単回用量のIT C.novyi−NT芽胞を2012年11月28日に投与した。処置の6時間以内にグレードIIIの発熱がみとめられ、IV輸液で与薬マネージメントした。1日目(2012年11月29日)、塊状物の膿瘍、化膿性分泌物および好中球増加症が認識された。IV輸液を継続し、鎮痛剤(NSAIDを含む)を開始した。2日目(2012年11月30日)、進行性の腫瘍腫脹および敗血症の形跡(発熱、好中球減少症、低血糖症、低アルブミン血症)のため、腫瘍の切開および灌流を早めた。広域抗生物質、ヘタスターチおよびヒトアルブミンを投与した。3日目(2012年12月1日)、進行性の状態の悪化がみとめられ、呼吸困難になった。安楽死液を投与した。検死を行なった。臨床的に有意な肉眼所見には、増殖性心内膜炎、化膿性肺結節ならびに全身の皮下出血および浮腫が含まれた。種々の組織および器官(肺、肝臓、心臓、腎臓、脾臓、胃腸管、胃)由来の死後好気性培養物により、複数の菌の細菌増殖(黄色ブドウ球菌、緑膿菌、大腸菌、連鎖球菌種)が明らかになり;すべての器官および組織由来の嫌気性培養物は腫瘍組織および膀胱を除いてC.novyi−NT増殖は陰性であった。罹患組織の組織病理学検査は保留である。敗血症性毒素血症ショックが最も可能性の高い死亡原因と考えられ、C.novyi−NT療法との関連性は、この時点では不明である。
実施例10
ヒトにおけるC.novyi−NTの腫瘍内(IT)投与 − 方法
C.novyi−NT芽胞のIT注射のフェーズIヒト臨床試験
C.novyi−NT芽胞の単回IT注射の非盲検非無作為多施設フェーズIの安全性試験が、現在、処置不応性の固形腫瘍を有する患者において継続中である。臨床試験プロトコルは、各参加施設の施設内治験審査委員会(IRB)によって検討および承認されたものであり、審査段階はすべて米食品医薬品局(FDA)のガイダンス(番号NCT01924689)の下で行なわれた。患者はすべて、試験への組み入れの前に書面の同意説明文書(ICF)に署名することが必要とされた。
このフェーズI試験の主目的は、IT注射するC.novyi−NTの安全性プロフィール、用量制限毒性(DLT)および最大耐用量(MTD)を調べることであった。また、該治療薬の抗腫瘍活性も検討した。
フェーズI試験におけるC.novyi−NT芽胞の調製およびIT注射
臨床的供給物のC.novyi−NT芽胞を、単回使用の2mL容滅菌パイロジェンフリーI型ホウケイ酸ガラスバイアル(ゴム栓およびアルミニウムシール部とともに毒物混入防止キャップ有する)内に、8.52×108芽胞/mL(滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に懸濁)の濃度で1.0mLの全容量でパッケージングした。バイアルを2〜8℃で、制御された温度環境内で定温モニタリング下にて保存した。Omnia Biologies,Inc.(Rockville,MD)においてGMP製品が製造され、製剤化された。
患者が治験に登録されたら、1本のバイアルが試験施設に輸送された。C.novyi−NTのさらなる調製が必要とされ、同日にIT注射が行なわれた。濃縮芽胞懸濁液の希釈を指定の生物学的安全キャビネット内で、割り付けコホートに基づいた必要用量が得られる適切なサイズの滅菌生理食塩水(0.9%)輸液バッグを用いて行なった。次いで、注射容量(3mL)を生理食塩水バッグから引き出し、ラジオグラフィーガイド(radiographic guidance)下で注射した。C.novyi−NT芽胞は、18ゲージマルチプロング型の針(Quadra−Fuse(登録商標),Rex−Medical,Conshohocken,PA)で注射した。
ヒト臨床試験の設計および実施
試験は、標準的な3+3用量漸増設計で行なった。患者は、進行した充実性悪性腫瘍を有すると診断された患者でなければならず、標的腫瘍は、超音波またはラジオグラフィーガイド下で測定可能、触知可能または明白に可能であり、C.novyi−NT芽胞の経皮注射に適したものであった。標的化病変部は、最大直径≧1cmを有し、RECIST 1.1基準による規定どおりに測定可能なものでなければならない。主な適格基準には、不応性悪性腫瘍の処置歴;少なくとも18歳という年齢;米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータス≦2;救急処置室の45分間のドライビングタイム(driving time)内に滞在でき、IT注射後、28日間、世話してくれる人がいることを含めた。主な除外基準は妊娠;原発脳悪性腫瘍または脳転移;臨床的に有意な腹水または門脈体静脈高血圧または肝硬変の臨床的形跡または既往歴;グラスゴー・コーマ・スケール(GCS)<15;血清クレアチニンレベル>1.5×正常値上限(ULN)、血液透析または腹膜透析が必要とされる慢性腎不全;酸素飽和(SpO2)<95%(室内空気);平均動脈血圧(BP)<70mmHg;血小板数≦100,000/mm3;ヘモグロビン<9.0g/dL;絶対好中球数(ANC)<1,000/mm3;心臓から1.0cmより離れた周囲の任意の箇所における臨床的に有意な胸水、心膜液、心外膜液または任意の液;免疫抑制剤での処置の継続の必要性;実質臓器の移植歴;全身性または局所感染であった。
適格患者を認定し、投薬コホートに登録した。プロトコル下では、芽胞投与後、患者を入院させたままにして8日間観察し、患者を臨床施設に戻し、12ヶ月間、ルーチンスケジュールで追跡来院させる。この間、安全性および有効性の評価を行なった。
臨床応答および進行を、RECIST version 1.1を用いて評価した。客観的応答を、注射した腫瘍の連続CTまたはMRIスキャンならびに遠位転移(5つまでの標的病変部)によって測定した。感染性合併症または他の処置関与有害事象に関する安全性のモニタリングを12ヶ月間、継続的に行なった。
実施例11
ヒトにおけるC.novyi−NTの腫瘍内(IT)投与 − 結果
C.novyi−NTは最初のヒト患者速やかな局所腫瘍破壊を引き起こす
比較イヌ治験におけるバイオサージェリーでの有望な転帰および好都合なリスク/便益プロフィールをラットで観察された結果と合わせると、ヒトにおいてバイオサージェリーを試みる理論的根拠が得られた。したがって、標準治療に不応性であるか、または利用可能な標準治療がないかのいずれかである固形腫瘍を有するヒト患者でのフェーズIの臨床試験を開始した(NCT01924689)。この治験に登録された最初の患者をここに報告する:2006年8月に後腹膜平滑筋肉腫を有すると診断された53歳の女性。この患者は、数回の外科的切除術を受け、複数回の化学療法および放射線療法の処置、例えば、2007年3月に右根治的腎摘出術および放射線治療、ゲムシタビン、タキソール、アドリアマイシンおよびイホスファミドでの化学療法、2008年11月肝臓転移部の切除、2009年12月に右側肺転移部の複数の楔切除術、2010年3月から2011年4月までトラベクテジン処置、2010年12月に左側の肺転移部の複数の楔切除術、2011年4月にパゾパニブ処置、2011年10月に左下肺葉切除、2012年2月から2013年1月までHAIアブラキサン、ゲムシタビンおよびアバスチン、2013年2月から2013年7月までエベロリムスおよびパゾパニブ、ならびに2013年8月と2013年9月に無菌性動脈肝動脈塞栓術を受けた。しかしながら、患者の肝臓、肺、腹膜、ならびに右肩および隣接する右上腕の軟部組織に存在する転移性疾患は進行した。
バイオサージェリーは、1×104 C.novyi−NT芽胞の計画開始用量を患者の右肩の転移性腫瘍に18ゲージのマルチプロング型の針で注射して行なった(0日目,2013年11月19日)。
三極針を用いたCTガイド腫瘍内注射
被検体をフェンタニルおよびベルセドで35分間、適度に鎮静させた。18ゲージQuadra−Fuseデバイス(Rex Medical)(図16A)を、CTガイド下での標的注射領域内への三極針(27g)の挿入による注射に使用した(図16Bおよび16C)。3つの枝部(各々、2つの貫通孔を有する,4液排出)(図16D)はその箇所で4、3および2cmに分配し(図16E)、段階的撤回プロセス中に1mlアリコートのC.novyi−NT芽胞液を注射した。分配された枝部が完全に針カニューレ内に撤回されたらデバイスを除き、手で押さえて止血した。
1日目、患者に軽度の右肩の痛みが発生して肩甲骨まで至り、これはトラマドールおよびアセトアミノフェンに応答した。2日目、この痛みには、患者がIVコントロールするヒドロモルホンでの鎮痛が必要とされ、白血球数が18,300/μLに増加し、発熱し、最高体温が39.2℃になった。3日目、患者の右肩と肩甲骨の痛みのコントロールは困難であった。最高体温は37.8℃であった。右上肢のCTスキャンにより広範な腫瘍破壊が示され、腫瘍の軟部組織および骨性成分内にガスを伴った(図14A)。上腕の壊死について考察した。腫瘍のCTガイド吸引物により、嫌気性培養条件下でのC.novyi−NT増殖が明らかになった。次いで、患者に対して抗生物質を開始すると、まもなく熱が下がった。4日目、右上肢のMRIにより、ベースラインと比べて著しいエンハンスメントの低減が腫瘍塊状物に限定されていることが示された(図14Bおよび14C)。腫瘍の生検により、多くのグラム陽性菌およびバイアブルな腫瘍細胞の非存在が示された。生検時、経皮ドレーンを腫瘍膿瘍内に配置し、液と残屑を排出した。患者は無熱のままであり、白血球数は徐々に正常になった。患者に対して抗生物質を継続し、IV鎮痛のため20日目まで入院させ、この時点で経口鎮痛薬に移行した。退院時、プロトコルどおりにメトロニダゾールとドキシサイクリンを経口投与した。29日目、追跡MRIにより、腫瘍エンハンスメントの低減が継続していることが示された(図14D)。55日目、患者は、患者の努力によって誘発された右上腕骨近位端の病的骨折の結果として局所の痛みを示していた。その後の上腕部分切除、病巣清掃および髄内釘とセメントスペーサーでの内固定により、痛みの有意な改善および可動範囲の増大がもたらされた。術中培養物により、嫌気性培養条件下でのC.novyi−NT増殖が明らかになった。組織病理学検査により、少数の残留腫瘍細胞病巣を伴う広範な腫瘍壊死が示された(図15A〜D)。患者は、モニタリングが継続されており、米国東海岸癌臨床試験グループスケール(ECOG)1のパフォーマンスステータスを有し、感染の臨床徴候はない。
本出願において挙げた文献はすべて、引用によりあたかも完全に本明細書に記載されているかのごとく本明細書に組み込まれる。
本発明の実例の実施形態を本明細書において記載したが、本発明は記載のものに限定されないこと、および種々の他の変更または修正が当業者により本発明の範囲または精神を逸脱することなくなされ得ることは理解されよう。