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濡れ性のある耐摩耗表面を有するカソードブロック
本発明は、アルミニウム電解槽用のカソードブロック、その製造方法、その使用、及びそれを備えたカソードに関する。
電解槽は、例えば、工業的にはホール・エルー法で通常行われる電気分解によるアルミニウムの生成に用いられる。ホール・エルー法では、酸化アルミニウム及び氷晶石で構成される溶融物を電気分解する。氷晶石Na[AlF]は、純粋な酸化アルミニウムについての2045℃の融点を、氷晶石、酸化アルミニウム及び添加物(フッ化アルミニウムやフッ化カルシウム)の混合物についての略950℃に下げる作用を有する。
この方法で用いられる電解槽は、カソードを形成する相互に隣接する複数のカソードブロックから構成され得るカソードベースを備える。電解槽の動作中に生じる熱的及び化学的条件に耐えるため、カソードは通常炭素含有材料で構成される。通常、カソードの各底面には溝が設けられ、各溝に少なくとも一つのバスバーが配置されて、アノードから供給される電流を、バスバーを通して散逸させる。アノード、特に個々の複数のアノードブロックから形成されるアノードは、通常、液体アルミニウム層の上方略3から5cmに位置し、液体アルミニウム層は、通常15から50cmの高さでカソードの頂面上に位置し、電解質、つまり酸化アルミニウム及び氷晶石を含む溶融物は、アノードとアルミニウム表面との間に位置する。略1000℃で行われる電気分解中において、生成されるアルミニウムは、その密度が電解質の密度よりも大きいので、電解質層の下方に堆積し、つまり、カソードの頂面と電解質層との間の中間層として堆積する。電気分解中において、溶融物中に溶けている酸化アルミニウムは、電流によってアルミニウムと酸素とに分けられる。電気化学的な観点からは、液体アルミニウム層こそが真のカソードであり、その表面上でアルミニウムイオンが元素アルミニウムに還元される。しかしながら、以下においては、カソードとの用語は、電気化学的な観点からのカソード、つまり液体アルミニウム層ではなくて、電解槽のベースを形成する一つ以上のカソードブロックで構成される構成要素を指称する。
ホール・エルー法の大きな欠点は、エネルギーの大量消費である。略12から15kWhの電気エネルギーが1kgのアルミニウムを生成するのに必要とされ、これは、生産コストの最大40%を占める。そこで、生産コストを下げるため、この方法のエネルギー原単位を可能な限り下げることが望まれている。
そのため、現在では、グラファイトカソード、つまり主成分としてグラファイト(黒鉛)を含有するカソードブロックで構成されたカソードが益々使用されるようになってきている。グラファイトを出発原料として製造されるグラファイトカソードブロックと、炭素含有グラファイト前駆体を出発原料として製造され、グラファイト化(黒鉛化)として知られる後続の2100から3000℃での熱処理によってグラファイトに変換されるグラファイト化カソードブロックとは区別される。アモルファスカーボンと比較して、グラファイトは、はるかに低い電気抵抗率とはるかに高い熱伝導率とを有し、これは、電気分解におけるグラファイトカソードの使用が、電気分解のエネルギー原単位を下げて、より高い電流強度での電気分解を可能にし、アルミニウムの生産性を上昇させることができることを意味する。しかしながら、グラファイト製のカソード又はカソードブロック、特にグラファイト化カソードブロックは、表面摩耗の結果として電気分解中に顕著な摩耗を受け、この摩耗は、アモルファスカーボン製のカソードブロックの摩耗よりもはるかに大きい。この点とは別に、アモルファスカーボン又はグラファイト製のカソード又はカソードブロックは、アルミニウムに対する濡れ性が比較的良くない。
アルミニウムに対するカソードブロック、特にグラファイト製のカソードブロックの濡れ性を増大させるため、また、グラファイト製のカソードブロックの耐摩耗性を増大させるため、例えば二ホウ化チタンを含有するグラファイト材料から、カソードブロックの使用中にその上面となるカソードブロックの面を少なくとも形成することがこれまで提案されている。例えば、特許文献1には、アルミニウム電解槽用のカソードブロックが、ベース層及びカバー層を備え、ベース層がグラファイトを含有し、カバー層が、1000℃以上の融点を有する硬質材料を1%から50%未満含有するグラファイト複合材料を含有する旨が開示されている。コークス、無煙炭(アンスラサイト)、煤、ガラス状炭素等の炭素を含有する材料、又は、非酸化物セラミック(好ましくは二ホウ化チタン)のいずれかを硬質材料として使用し得る。硬質材料の添加は、グラファイト製のカソードブロックの耐摩耗性を増大させることを目的とする一方、好ましくはホウ化チタンの使用は、アルミニウムの濡れ性を改善することを目的としている。
実験によると、例えば二ホウ化チタンの添加はグラファイト製のカソードブロックの濡れ性を増大させて、電解槽におけるアルミニウム層の厚さを減少させて、つまりは電解槽におけるアノードからカソードの距離を減少させて、電解槽のエネルギー原単位を低下させることが示されている。しかしながら、こうしたカソードブロックの耐摩耗性は改善を要する。耐摩耗性を改善させる必要があるため、このタイプのカソードブロックで構成されるカソードは、動作条件における寿命が短く、特に最大600kAの高い電流強度で動作する最新の電解槽には適さず、又は一部場合にのみ適したものとなる。
国際公開第2012/107400号 独国特許出願公開第2947005号明細書
J.Maire及びJ.Mehring、"Graphitization of soft carbons"、Chemistry and Physics of Carbon、(ニューヨーク)、Marcel Dekker、P.K.Walker Jr.編、1970年、第6号、p.125−190
従って、本発明の課題は、アルミニウム電解槽での使用に特に適していて、低い電気抵抗率及びアルミニウム溶融物に対する高い濡れ性を有するだけではなく、特に例えば600kAといった高い電流強度における溶融流れでの電気分解工程中に生じる摩耗性の化学的及び熱的条件に対する高い耐摩耗性によって特徴付けられるカソードブロックを提供することである。
本発明によると、この課題は、2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算されるグラファイト化度(黒鉛化度)が0.50以下である少なくとも一種の炭素含有材料と、少なくとも一種の非酸化物セラミックとを含有する混合物を焼成させることによって得ることができる材料で少なくとも一部が構成されているアルミニウム電解槽用カソードブロックによって達成される。
本発明に係るカソードブロックは、好ましくはベース層及びカバー層から形成され、上記混合物を含む少なくとも一部はカバー層の部分である。本発明に関して、この部分は、カバー層全体に広がるか、又はカバー層の一部のみを形成し得る。
この解決策は、比較的又は全くグラファイト化可能ではない炭素含有材料、具体的には、2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算されるグラファイト化度(黒鉛化度)が0.50以下である炭素含有材料と、非酸化物セラミックとを組み合わせて、カソードブロックの少なくとも一部が製造される原料に添加することが、カソードブロックの耐摩耗性を顕著に増大させて、また、これに、アルミニウムに対するカソードブロックの優れた濡れ性、カソードブロックの優れた電気伝導率及び熱伝導率が伴うという知見に基づくものである。二ホウ化チタン等の非酸化物セラミックの添加は、グラファイト化に対するその触媒活性のため、カソードブロックの電気伝導率及び熱伝導率を両方とも増大させ、また、アルミニウムに対するカソードブロックの濡れ性を増大させる。一方、比較的又は全くグラファイト可能ではない炭素含有材料の添加は、カソードブロックの耐摩耗性を大幅に増大させる。従って、本発明に係るカソードブロックは、例えば600kAの高電流強度においても使用可能であり、このタイプの動作条件においても長い寿命を有することができる。一方、炭素含有材料の比較的良くないグラファイト化性能は、非酸化物セラミックのみを添加するとカソードブロックに生じ得る過度に高い電気伝導率を許容可能な範囲内に調整することからも有利である。原理的には、カソードに対して可能な限り高い電気伝導率が望まれるが、過度の高い電気伝導率は、例えばカソードブロック中の不均一な電流分布をもたらし得て、これが、炭化アルミニウムの形成に起因する電気化学的に誘発される腐食や、液体アルミニウム中の水平電流の増大に起因するエネルギー効率の減少、つまりは電解槽の安定性の減少をもたらし得るので、望ましくない。全般的には、比較的又は全くグラファイト化可能ではない炭素含有材料、具体的には、2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算されるグラファイト化度(黒鉛化度)が0.50以下である炭素含有材料と、非酸化物セラミックとを組み合わせて、カソードブロックの少なくとも一部が製造される原料に添加することの結果として、本発明に係るカソードブロックは、低い電気抵抗率と、アルミニウム溶融物に対する優れた濡れ性とを有するだけではなく、溶融流れでの電気分解、特に例えば600kAの高電流強度を含む電気分解中に生じる摩耗性の化学的及び熱的条件に対する高い耐摩耗性によって特徴付けられる。
本発明に関して、炭素材料とは、60重量%よりも多く、好ましくは70重量%よりも多く、特に好ましくは80重量%よりも多く、より好ましくは90重量%よりも多く炭素、特にコークスを含有する材料を特に意味する。
上記特性及び利点の結果として、本発明に係るカソードブロックは、好ましくはグラファイトベースのカソードブロック、つまり、カソードブロックが製造される材料の焼成及びその後のグラファイト化によって得ることができるカソードブロックである。本発明に従って使用される炭素含有材料の、2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算されるグラファイト化度が0.50以下であるという比較的良くないグラファイト化性能又はグラファイト化性能が全くないことの結果として、グラファイト化中には非常に限られたグラファイト構造への変換が生じて、非酸化物セラミックには全く何も生じず、以下で詳述するように、本実施形態におけるカソードブロックのグラファイトの割合は、事実上独占的に、材料の他の成分に起因したものとなる。
比較的又は全くグラファイト化可能ではない炭素含有材料の添加に関して上述した利点を大いに得るため、本発明のアイディアの発展として、2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算されるグラファイト化度が0.40以下、好ましくは0.30以下である炭素含有材料を、カソードブロックの少なくとも一部を構成する材料に提供することが提案される。これは、カソードブロックの特に優れた耐摩耗性をもたらし、電気伝導率を特に確実に制御可能なものにする。本発明に関して、グラファイト化度(黒鉛化度)は、非特許文献1に開示されているようなMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って決定される。要約すると、非特許文献1では、格子間隔が(002)面の回折ピークから決定されて、グラファイト化度が、g=[0.3440−d(002)]/0.0086という式から計算されて、ここで、gはグラファイト化度(黒鉛化度)であり、d(002)は、nm単位での(002)面の回折ピークからの格子間隔である。
同じ理由で、更に好ましい実施形態では、2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算されるグラファイト化度が0.50以下である少なくとも一種の炭素含有材料は、コークス、特に、X線回折干渉によって決定される平均層間隔c/2が0.339nm以上であるコークスであることが好ましい。このタイプのコークスは、適度に低いグラファイト化性能を有し、特に、X線回折干渉によって決定される平均層間隔c/2が0.340から0.344nmであるコークスでは、非常に優れた結果が得られる。
好ましくは、2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算されるグラファイト化度が0.50以下である粒子状炭素材料が使用され、炭素材料の粒子のBET比表面積は、好ましくは10から40m/g、特に好ましくは20から30m/gである。
上記タイプの低いグラファイト化性能を有するコークスの好ましい一例は、不飽和炭化水素、特にアセチレンの生成における副産物として蓄積するコークスであり、以下、生成中に蓄積する不飽和炭化水素の性質に関わらずアセチレンコークスと称する。不飽和炭化水素、特にアセチレンの合成中に反応ガスを急冷する際に用いられる水蒸気分解残留物又は原油留分から得ることができるアセチレンコークスが、この目的に特に適していることが分かっている。このコークスを生成するため、急冷油又は煤混合物を、略500℃に加熱したコーカーに通す。コーカー内において、急冷油の液体成分が蒸発する一方、コークスがコーカーの底部に集まる。これに対応する方法は例えば特許文献2に記載されている。このようにして、微粒子の玉ねぎの皮状のコークスが得られ、好ましくは、このコークスは、96重量%以上の炭素含有量と、0.05重量%以下、好ましくは0.01重量%以下の灰含有量とを有する。
好ましくは、アセチレンコークスは、X線回折干渉によって決定される平均層間隔c/2が0.34nm以上のものであり、c方向の結晶子サイズLは好ましくは20nm未満であり、a方向の結晶子サイズLは好ましくは50nm未満、特に好ましくは40nm未満である。
また、好ましくは、アセチレンコークスは、0.2mmよりも大きい、好ましくは0.5mmよりも大きい粒径を有する球状粒子の形状である。
特に、アセチレンコークスが20から40m/gのBET比表面積を有する場合に、優れた結果が得られる。
アセチレンコークスに加えて又は代わりに使用可能なコークスの更に好ましい例は、流動床法で生成されるコークスである。この方法では、球形から楕円体形のコークスが得られ、また、玉ねぎの皮状の構造のものとなる。
上記アセチレンコークス及び/又はフレキシコーキング法によって得られるコークスに加えて又は代わりに使用可能なコークスの他の好ましい例は、ディレードコーキングによって生成されるショットコークスである。このコークスの粒子は球状のものである。好ましくは、このコークスは、X線回折干渉によって決定される平均層間隔c/2が0.339nmであり、c方向の結晶子サイズLが30nm未満のものである。
2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算されるグラファイト化度が0.50以下である少なくとも一種の炭素含有材料が、0.2mmから3mm、好ましくは0.5mmから2mmの粒径を有する粒子で構成される場合に、特に優れた結果が得られる。
本発明のアイディアの発展として、2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算されるグラファイト化度が0.50以下である炭素含有材料が、混合物において、球状形態、つまり球形から楕円体形を有する粒子で構成されることが提案される。このタイプの粒子で構成される炭素材料は、その流動性が高いため、高いかさ密度を有する材料をもたらし、これが、耐摩耗性の増大に寄与する。好ましくは、炭素材料の粒子は、1から5、特に好ましくは1から3の長さ対直径比を有する。その理由は、炭素材料の流動性、つまりはカソードブロックのかさ密度及び耐摩耗性が、粒子の形状が理想的な球形に近づくほど、増大するからである。
本発明の更に好ましい実施形態では、2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算されるグラファイト化度が0.50以下である炭素含有材料の個々の粒子が、玉ねぎの皮構造を有し、これは本発明に関しては、球形又は楕円体形の粒子の内側層が、少なくとも中間層及び外側層によって完全に又は少なくとも部分的に覆われている多層構造を意味する。
比較的又は全くグラファイト化可能ではない炭素含有材料の添加に関して上述した利点を大いに得るため、本発明のアイディアの発展では、2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算されるグラファイト化度が0.50以下である炭素含有材料を、カソードブロックを少なくとも部分的に構成する材料が少なくとも焼成及び好ましくはグラファイト化によって得られる混合物において、1〜25重量%、特に好ましくは10〜25重量%、最も好ましくは10〜20重量%の量で提供することを提案する。結果として、アルミニウムに対する優れた濡れ性及び十分に高い電気伝導率及び熱伝導率と共に、カソードブロックの特に高い耐摩耗性が得られる。
本発明の好ましい実施形態では、非酸化物セラミックは、元素周期表の4族から6族の少なくとも一種の遷移金属と、13族又は14族の少なくとも一種の元素とから成る非酸化物セラミックである。
このタイプのセラミックの特に好ましい例は、二ホウ化チタン、二ホウ化ジルコニウム、二ホウ化タンタル、炭化チタン、炭化ホウ素、炭窒化チタン、炭化ケイ素、炭化タングステン、炭化バナジウム、窒化チタン、窒化ホウ素、窒化ケイ素、これらの化合物のうち二種以上の望ましい化学結合物及び/又は混合物である。
少なくとも一種の非酸化物セラミックが二ホウ化チタン及び/又は二ホウ化ジルコニウム、特に二ホウ化チタンである場合に、特に優れた結果が得られる。
本発明のアイディアの発展では、カソードブロック中に含まれる少なくとも一種の非酸化物セラミックが、単峰性(単一ピーク)の粒径分布を有し、国際規格ISO13320‐1に準拠したランダム光散乱によって決定される体積平均粒径(d3,50)が10から20μmであることが提案される。
本発明に関して、上記単峰性の粒径分布を有する非酸化物セラミックは、アルミニウム表面に対するカソードブロック表面の非常に優れた濡れ性をもたらすだけではなく、2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算されるグラファイト化度が0.50以下である少なくとも一種の炭素含有材料と組み合わさって、耐摩耗性の優れたカソードブロックももたらすことが分かった。また、本発明に関して、驚くべきことに、この効果が、比較的少量の非酸化物セラミックの添加においても得られることが分かった。結果として、カソードブロック表面を脆くするカソードブロック中の高濃度の非酸化物セラミックを省くことができる。上記単峰性の粒径分布を有する非酸化物セラミックは、非常に優れた加工可能性によっても特徴付けられる。特に、このタイプの非酸化物セラミックの塵の形成は、例えば、混合容器への充填中や、このセラミックを含有する粉末の輸送中において十分に少なく、僅かな塊の形成が混合中に生じるだけである。更に、このタイプのセラミックを含有する粉末は、例えば従来のコンベアデバイスを用いて混合デバイスに運ぶのに十分高い流動性及び注入性を有する。
好ましくは、カソードブロック中の少なくとも一種の非酸化物セラミックは、単峰性の粒径分布を有し、上記のように決定される体積平均粒径(d3,50)は12から18μm、好ましくは14から16μmである。
上記実施形態の代替例として、カソードブロックに含まれる非酸化物セラミックは、単峰性の粒径分布を有し得て、国際規格ISO13320‐1に準拠したランダム光散乱によって決定される体積平均粒径(d3,50)は、3から10μm、好ましくは4から6μmである。この実施形態でも、好ましくは、上記単峰性の粒径分布を有する非酸化物チタンセラミック、最も好ましくは二ホウ化チタンが使用される。
本発明のアイディアの発展では、少なくとも一種の非酸化物セラミックが、上記のように決定される体積平均粒径d3,90が20から40μm、好ましくは25から30μmであるものとして提案される。好ましくは、非酸化物セラミックは、このタイプのd3,90を、上記d3,50の値と組み合わせて有する。この実施形態でも、非酸化物チタンセラミック、特に二ホウ化チタンが好ましい。結果として、上記実施形態についての利点及び効果は実際に大きく得られる。
上記実施形態の代替例として、カソードブロックに含まれる非酸化物セラミックは、上記のように決定される体積平均粒径d3,90が10から20μm、好ましくは12から18μmのものとなり得る。好ましくは、非酸化物セラミックは、このタイプのd3,90の値を、上記d3,50の値と組み合わせて有する。この実施形態でも、好ましくは、上記単峰性の粒径分布を有する非酸化物チタンセラミック、最も好ましくは二ホウ化チタンが使用される。
本発明の更に好ましい実施形態では、非酸化物セラミックは、上記のように決定される体積平均粒径d3,10が、2から7μm、好ましくは3から5μmのものである。好ましくは、非酸化物セラミックは、このタイプのd3,10の値を上記d3,90の値及び/又はd3,50の値と組み合わせて有する。この実施形態でも、非酸化物セラミックは、好ましくは非酸化物チタンセラミック、特に好ましくは二ホウ化チタンである。結果として、上記実施形態についての利点及び効果は実際に大きく得られる。
上記実施形態の代替例として、カソードブロックに含まれる非酸化物セラミックは、上記のように決定される体積平均粒径d3,10が1から3μm、好ましくは1から2μmのものであり得る。好ましくは、非酸化物セラミックは、このタイプのd3,10の値を、上記d3,90の値及び/又はd3,50の値と組み合わせて有する。この実施形態でも、特に好ましくは、上記単峰性の粒径分布を有する非酸化物チタンセラミック、最も好ましくは二ホウ化チタンが使用される。
また、好ましくは、非酸化物セラミック、特に非酸化物チタンセラミック、特に好ましくは二ホウ化チタンは、以下の式によって計算されるスパン値が0.65から3.80、特に好ましくは1.00から2.25であることを特徴とする粒径分布を有する:
スパン=(d3,90−d3,10)/d3,50
好ましくは、非酸化物セラミックは、このタイプのスパン値を上記d3,90の値、及び/又はd3,50の値、及び/又はd3,10の値と組み合わせて有する。結果として、上記実施形態の利点及び効果は実際に大きく得られる。
上述の利点、特に十分高い電気伝導率と、アルミニウムに対するカソードブロックの濡れ性を特に大きく得るため、本発明のアイディアの発展では、カソードブロックを少なくとも部分的に構成する材料が焼成及び好ましくはグラファイト化によって得られる混合物における1から45重量%の量で非酸化物セラミックを提供することが提案される。この点に関して、非酸化物セラミックの量が10から40重量%、特に好ましくは15から35重量%である場合に、特に優れた結果が得られる。
好ましくは、2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算されるグラファイト化度が0.50以下である炭素含有材料の量と、非酸化物セラミックの量との合計は、カソードブロックを少なくとも部分的に構成する材料が焼成及び好ましくはグラファイト化によって得られる混合物において、2から70重量%、好ましくは20から65重量%、特に好ましくは25から55重量%である。結果として、本発明に係るカソードブロックは、例えば600kAの高い電流強度を含む溶融流れでの電気分解工程中に生じる摩耗性の化学的及び熱的条件に対する特に優れた耐摩耗性を有すると共に、低い電気抵抗率及びアルミニウム溶融物に対する優れた濡れ性を有する。
本発明の更に好ましい実施形態では、非酸化物セラミックの割合は、2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算されるグラファイト化度が0.50以下である炭素含有材料と非酸化物セラミックとの合計に基づいて、20から95重量%、特に好ましくは50から75%重量である。
2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算されるグラファイト化度が0.50以下である少なくとも一種の炭素含有材料に加えて、また、少なくとも一種の非酸化物セラミックに加えて、混合物(その混合物から、カソードブロックを少なくとも部分的に構成する材料が燃料及び好ましくはグラファイト化によって得られる)は、2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算されるグラファイト化度が0.50よりも大きい、好ましくは0.60以上、特に好ましくは0.65以上、最も好ましくは0.70以上である少なくとも一種の炭素含有材料を含む。好ましくは焼成の後に行われるグラファイト化において、この炭素は、グラファイト構造を形成し、そのグラファイト構造が、本発明に係るカソードブロックの優れた電気伝導率及び熱伝導率に顕著に寄与することになる。
比較的高いグラファイト化性能を有する少なくとも一種の炭素含有材料に加えて又は代えて、混合物(その混合物から、カソードブロックを少なくとも部分的に構成する材料が燃料及び好ましくはグラファイト化によって得られる)は、好ましくは、少なくとも一種のバインダーを含む。バインダーは、例えば、ピッチ、特に、コールタールピッチ及び/又は石油ピッチ、タール、瀝青、フェノール樹脂、又はフラン樹脂であり得る。特に好ましいバインダーはピッチである。
本発明のアイディアの発展では、カソードブロックの少なくとも一部を構成する材料を、以下のものを含む混合物を焼成及び好ましくはその後グラファイト化させるによって得ることができることを提案する:
‐ 1から25重量%の、2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算されるグラファイト化度が0.50以下である少なくとも一種の炭素含有材料;
‐ 1から45重量%の少なくとも一種の非酸化物セラミック;
‐ 10から70重量%の、2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算されるグラファイト化度が0.50よりも大きい、好ましくは0.60以上、特に好ましくは0.65以上、最も好ましくは0.70以上である少なくとも一種の炭素含有材料;及び、
‐ 10から25重量%のバインダー、
2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算されるグラファイト化度が0.50以下である少なくとも一の炭素含有材料の量と、非酸化物セラミックの量との合計は好ましくは5から70重量%であり、各成分の合計は100重量%である。
特に好ましくは、カソードブロックの少なくとも一部を構成する材料を、以下のものを含む混合物を燃料及び好ましくはその後グラファイト化させることによって得ることができる:
‐ 10から25重量%、好ましくは10から20重量%の、2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算されるグラファイト化度が0.40以下、好ましくは0.30以下である少なくとも一種の炭素含有材料;
‐ 1から40重量%、好ましくは15から35重量%の少なくとも一種の非酸化物セラミック;
‐ 20から40重量%、好ましくは25から35重量%の、2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算されるグラファイト化度が0.60以上、好ましくは0.70以上である少なくとも一種の炭素含有材料;及び、
‐ 10から25重量%のバインダー、
2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算されるグラファイト化度が0.40以下である炭素含有材料の量と、非酸化物セラミックの量との合計は20から65重量%、特に好ましくは25から55重量%であり、各成分の合計は100重量%である。
上述のように、特に好ましくは、カソードブロックの少なくとも一部を構成する材料を、上記混合物の燃料及び後続のグラファイト化によって得ることができる。好ましくは、混合物のグラファイト化は、1800℃よりも高く3000℃まで、好ましくは2000から3000℃、特に好ましくは2200から2700℃の温度で行われる。
上述のように、カソードブロックは、好ましくは、ベース層及びカバー層を備え、カバー層が、上記混合物の焼成及び好ましくは後続のグラファイト化によって得ることができる材料で少なくとも部分的に構成されている。この点に関して、2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算されるグラファイト化度が0.50以下である炭素含有材料と、非酸化物セラミックとの添加は、カソードブロックのカバー層の少なくとも一部に限定される。カバー層は、電解槽の動作中にアルミニウム溶融物に晒される層である。
この点に関して、好ましくは、カバー層の厚さは、カソードブロックの全高の1から50%、好ましくは5から40%、特に好ましくは10から30%、最も好ましくは15から25%である。
この点に関して、2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算されるグラファイト化度が0.50以下である炭素含有材料と、非酸化物セラミックとをベース層に添加することは、無駄である。従って、本発明の好ましい実施形態では、ベース層が、高い電気伝導率及び熱伝導率を得る目的のため、グラファイト化した材料、グラファイト材料、又はグラファイト化可能な材料のみから成ることを提案する。好ましくは、ベース層は、80重量%以上、好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上、より好ましくは99重量%以上の、最も好ましくは完全にグラファイト及びバインダー、又は、その炭化及び/又はグラファイト化生成物から成る。
カバー層は複数の部分を備え得て、それら部分のうち二つ以上が、それぞれ異なる材料で構成される。このようにして、カソードブロックの各表面領域を、所望の耐摩耗性、電気伝導率、熱伝導率、及びアルミニウムに対する濡れ性に関して調整することができる。この実施形態では、特に高い摩耗を受ける表面部分を、2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算されるグラファイト化度が0.50以下である炭素の量をそれに応じた多い量で備える材料で選択的に構成し、一方で、低い摩耗を受ける他の表面部分を、2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算されるグラファイト化度が0.50以下である炭素をあまり含まない材料で構成するようにして、溶融流れでの電気分解中に、カソードブロックの各表面部分が他の部分よりも高い摩耗を受けるという事実を考慮することができる。
本発明の上記実施形態の変形例では、少なくとも二つの部分が、2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算されるグラファイト化度が0.50以下である少なくとも一種の炭素含有材料と、少なくとも一種の非酸化物セラミックとを含有する混合物を焼成させることによってそれぞれ得ることができる異なる材料から構成される。しかしながら、代わりに、少なくとも二つの部分のうち一つのみ又はそれ以上が、2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算されるグラファイト化度が0.50以下である少なくとも一種の炭素含有材料と、少なくとも一種の非酸化物セラミックとを含有する混合物を焼成させることによってそれぞれ得ることができる異なる材料から構成される一方、少なくとも二つの部分のうち少なくとも一つが、2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算されるグラファイト化度が0.50以下である炭素含有材料を含まない及び/又は非酸化物セラミックを含まない材料から構成されることも可能である。
原理的には、本発明に係るカソードブロックは、カバー層における異なる部分の数に関して制限されるものではない。しかしながら、本発明に係るカソードブロックのカバー層が、3から7つ、好ましくは3から5つ、特に好ましくは3から4つ、最も好ましくは3つの異なる部分を備え、好ましくは、それら部分のうち一つ又は二つがそれぞれ、2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算されるグラファイト化度が0.50以下である少なくとも一種の炭素含有材料と、少なくとも一種の非酸化物セラミックとを含む混合物を焼成させることによって得ることができる材料で構成されている場合に、優れた結果が得られる。
本発明の更なる主題は、上記のうち少なくとも一つに係るカソードブロックを製造するための方法であり、本方法は以下のステップを備える:
a)2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算されるグラファイト化度が0.50以下である少なくとも一種の炭素含有材料と、少なくとも一種の非酸化物セラミックとを含む混合物を生成するステップと、
b)カソードブロックの少なくとも一部を形成するように混合物を成形するステップと、
c)600から1500℃未満の温度で混合物を焼成させるステップ。
好ましくは、方法ステップa)において、以下のものを含む混合物が生成される:
‐ 10から25重量%の、2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算されるグラファイト化度が0.50以下である少なくとも一種の炭素含有材料と、
‐ 10から40重量%の少なくとも一種の非酸化物セラミックと、
‐ 20から40重量%の、2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算されるグラファイト化度が0.60以上である少なくとも一種の炭素含有材料と、
‐ 10から25重量%のバインダー、
2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算されるグラファイト化度が0.50以下である少なくとも一種の炭素含有材料の量と、非酸化物セラミックの量との合計は、好ましくは20から65重量%であり、各成分の合計は100重量%である。
特に好ましくは、方法ステップa)において、以下のものを含む混合物が生成される:
‐ 10から20重量%の、2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算されるグラファイト化度が0.40以下である少なくとも一種の炭素含有材料と、
‐ 15から35重量%の少なくとも一種の非酸化物セラミックと、
‐ 25から35重量%の、2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算されるグラファイト化度が0.70以上である少なくとも一種の炭素含有材料と、
‐ 10から25重量%のバインダー、
2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算されるグラファイト化度が0.40以下である少なくとも一種の炭素含有材料の量と、非酸化物セラミックの量との合計は、好ましくは30から50重量%であり、各成分の合計は100重量%である。
本発明のアイディアの発展では、方法ステップa)で生成される混合物を、振動法によって、好ましくは以下のものを含む第二混合物に加えることが提案される:
‐ 40から90重量%の、2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算されるグラファイト化度が0.50よりも大きい少なくとも一種の炭素含有材料と、
‐ 10から25重量%のバインダー、
各成分の合計は100重量%であり、方法ステップb)において、生成される混合物全体を、カソードブロックに成形し、第二混合物がカソードブロックのベース層を形成し、他の混合物がカバー層を形成し、その後、カソードブロックを方法ステップc)において焼成させて、その後好ましくはグラファイト化させる。
好ましくは、方法ステップc)における焼成は、600から1500℃未満、好ましくは800から1200℃、特に好ましくは900から1100℃の温度で行われる。
本発明のアイディアの発展では、方法ステップc)で焼成させた後のカソードブロックを、1800℃よりも高く3000℃までの温度、好ましくは2000から3000℃、特に好ましくは2200から2700℃の温度でグラファイト化させることを提案する。
本発明の更なる主題は、上記カソードブロックを少なくとも一つ含むカソードである。
本発明は、更に、金属を生成するため、特にアルミニウムを生成するための溶融流れでの電気分解を行うための上記カソードブロック又は上記カソードの使用に関する。
以下、単に例示目的で、添付図面を参照して、本発明の有利な実施形態を説明する。
本発明の第一実施形態に係るカソードブロックの概略的斜視図である。 本発明の第二実施形態に係るカソードブロックの概略的斜視図である。
図1は、本発明の第一実施形態に係るカソードブロック10の概略的斜視図である。カソードブロック10は、下部のベース層12と、そのベース層12の上に配置され堅く接続されたカバー層14とから成る。ベース層12とカバー層14との間の界面は平坦である。カソードブロック10のベース層12はグラファイト材料構造を有し、一方、カバー層14は、アセチレンコークス及び二ホウ化チタンを含有するグラファイト複合材料から成る。カソードブロック10は長さ3100mm、幅420mm、高さ400mmのものであり、ベース層12は高さ260mmのものであり、カバー層14は高さ140mmのものである。最後に、カソードブロック10は、その下面に、直角の、具体的には実質的に矩形断面の溝16を備える。
実際には、アルミニウム電解槽用のカソードは、このタイプの12から28個のカソードブロックから成り、直角の又は実質的に矩形断面の鋼鉄バスバー(図示せず)が各溝16に挿入される。溝16を画定する壁とバスバーとの間のギャップは、鋳鉄(図示せず)で充填されて、溝16を画定する壁にバスバーを接続する。
図2は、本発明の第二実施形態に係るカソードブロック10を示し、図1に示されるものとは、カバー層14が三つの異なる部分18、18’、18”から成る点が異なる。部分18、18”はそれぞれ同じ材料から成るが、その同じ材料は、部分18’を構成する材料及びベース層12を構成する材料とは異なる。部分18、18”は、20重量%のアセチレンコークス及び20重量%の二ホウ化チタンを含油するグラファイト複合材料から成り、部分18’は、10重量%のアセチレンコークス及び30重量%の二ホウ化チタンを含有するグラファイト複合材料から成り、ベース層12はグラファイト材料構造を有する。このようにして、個々の表面部分をカバー層14に適合させて、溶融流れでの電気分解工程中に他の部分よりも高い摩耗を受けるカソードブロック10の部分18、18’、18”が、対応する高い耐摩耗性を有するようにする。
以下、純粋に例示目的で、本発明の例を開示するが、これは本発明を限定するものではない。
[例]
図1に示されるようなカソードブロック10を、ベース層12を形成する混合物Aと、カバー層14を形成する混合物Bとを対応する寸法の振動金型に充填することによって、製造した。
混合物Aの組成は以下の通りであった:
‐ 80重量%の、2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算したグラファイト化度が0.7である石油コークスと、
‐ 20重量%の、90℃のKraemer‐Sarnow(クレーマー‐ザルノー)軟化点を有するバインダーとしてのコールタールピッチ。
混合物Bの組成は以下の通りであった:
‐ 24重量%の二ホウ化チタンと、
‐ 16重量%の、2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算したグラファイト化度が0.3であるアセチレンコークスと、
‐ 40重量%の、2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からMaire‐Mehring(メール‐メーリング)の式に従って計算したグラファイト化度が0.7である石油コークスと、
‐ 20重量%の、90℃のKraemer‐Sarnow(クレーマー‐ザルノー)軟化点を有する、バインダーとしてのコールタールピッチ。
10 カソードブロック
12 ベース層
14 カバー層
16 溝
18、18’、18” カバー層の部分

Claims (15)

  1. アルミニウム電解槽用のカソードブロック(10)であって、2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からメール‐メーリングの式に従って計算されるグラファイト化度が0.50以下である少なくとも一種の炭素含有材料と、少なくとも一種の非酸化物セラミックとを含む混合物を備える材料で少なくとも一部が構成されているカソードブロック(10)。
  2. 前記少なくとも一種の炭素含有材料の2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からメール‐メーリングの式に従って計算されるグラファイト化度が0.40以下であることを特徴とする請求項1に記載のカソードブロック(10)。
  3. 前記2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からメール‐メーリングの式に従って計算されるグラファイト化度が0.50以下である少なくとも一種の炭素含有材料が、1から25重量%の量で前記混合物に含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載のカソードブロック(10)。
  4. 前記少なくとも一種の非酸化物セラミックが、二ホウ化チタン、二ホウ化ジルコニウム、二ホウ化タンタル、炭化チタン、炭化ホウ素、炭窒化チタン、炭化ケイ素、炭化タングステン、炭化バナジウム、窒化チタン、窒化ホウ素、窒化ケイ素、これらの化合物のうち二種以上の化学結合物及び/又は混合物から成る群から選択されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のカソードブロック(10)。
  5. 前記少なくとも一種の非酸化物セラミックが二ホウ化チタン及び/又は二ホウ化ジルコニウムであることを特徴とする請求項4に記載のカソードブロック(10)。
  6. 前記少なくとも一種の非酸化物セラミックが、1から45重量%の量で前記混合物に含まれることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のカソードブロック(10)。
  7. 前記2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からメール‐メーリングの式に従って計算されるグラファイト化度が0.50以下である少なくとも一種の炭素含有材料の量と、前記少なくとも一種の非酸化物セラミックの量との合計が、前記混合物中において2から70重量%であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のカソードブロック(10)。
  8. 前記カソードブロック(10)の少なくとも一部を構成する材料が、前記2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からメール‐メーリングの式に従って計算されるグラファイト化度が0.50以下である少なくとも一種の炭素含有材料と、前記少なくとも一種の非酸化物セラミックとに加えて、i)2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からメール‐メーリングの式に従って計算されるグラファイト化度が0.50よりも大きい少なくとも一種の炭素含有材料、及び/又は、ii)少なくとも一種のバインダーを含む混合物を備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のカソードブロック(10)。
  9. 前記カソードブロック(10)の少なくとも一部を構成する材料が、
    10から25重量%の、2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からメール‐メーリングの式に従って計算されるグラファイト化度が0.40以下である少なくとも一種の炭素含有材料と、
    10から40重量%の少なくとも一種の非酸化物セラミックと、
    20から40重量%の、2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からメール‐メーリングの式に従って計算されるグラファイト化度が0.60以上である少なくとも一種の炭素含有材料と、
    10から25重量%のバインダーとを含む混合物を備え
    前記2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からメール‐メーリングの式に従って計算されるグラファイト化度が0.40以下である少なくとも一種の炭素含有材料の量と、前記少なくとも一種の非酸化物セラミックの量との合計が20から60重量%であり、各成分の合計が100重量%であることを特徴とする請求項8に記載のカソードブロック(10)。
  10. 前記カソードブロック(10)がベース層(12)及びカバー層(14)を備え、前記カバー層(12)が前記混合物を備える材料で構成されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のカソードブロック(10)。
  11. 前記カバー層(14)の厚さが、前記カソードブロック(10)の全高の1から50%であることを特徴とする請求項10に記載のカソードブロック(10)。
  12. 前記カバー層(14)が複数の部分(18、18’、18”)を備え、前記部分(18、18’、18”)のうち少なくとも二つが、2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からメール‐メーリングの式に従って計算されるグラファイト化度が0.50以下である少なくとも一種の炭素含有材料と、少なくとも一種の非酸化物セラミックとを含む混合物をそれぞれ備える材料で構成されていることを特徴とする請求項10又は11に記載のカソードブロック(10)。
  13. 請求項1から12のいずれか一項に記載のカソードブロック(10)を製造するための方法であって、
    a)2800℃での熱処理後に平均層間隔c/2からメール‐メーリングの式に従って計算されるグラファイト化度が0.50以下である少なくとも一種の炭素含有材料と、少なくとも一種の非酸化物セラミックとを含む混合物を生成するステップと、
    b)カソードブロック(10)の少なくとも一部を形成するように前記混合物を成形するステップと、
    c)600℃から1500℃未満の温度で前記混合物を焼成させるステップとを備えた方法。
  14. ステップc)における焼成が、600から1500℃未満の温度で行われることを特徴とする請求項13に記載の方法。
  15. ステップc)の後に、焼成させた前記混合物を、1800℃よりも高く3000℃までの温度でグラファイト化させることを特徴とする請求項13又は14に記載の方法。
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