JP2016510818A - フッ素化オレフィンの製造プロセス - Google Patents

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Abstract

ある特定の側面において、本発明はフッ素化オレフィンの水素化の費用効果および安全性を高めるために反応条件およびパラメータを制御する方法に関する。更なる側面では、水素化反応を2段階の反応で行い、そこでは転換率、選択率、および反応パラメータがすべて商業的に許容可能な水準内となるよう反応物の量、温度および他のパラメータを制御する。【選択図】図1

Description

[0001]本発明はハロアルケン、限定されないが、特に、2,3,3,3−テトラフルオロプロパン(HFO−1234yf)および/または1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225ye)の製造プロセスに関する。
[0002]クロロフルオロカーボン(CFC)類などの塩素含有化合物は冷媒、発泡剤、洗浄剤、溶媒、伝熱媒体、滅菌剤、エアゾール噴射剤、誘電体、消火剤、および動力サイクル作動流体として用いられている。この様な塩素含有化合物は地球のオゾン層に有害であることが判明している。CFCの代替として使用されるハイドロフルオロカーボン(HFC)類の多くが地球温暖化の一因となることが分かっている。これらの理由から、より環境に優しいと同時に効果的な、また効率の観点から、より効果的な新規化合物の開発努力が世界的になされてきた。
[0003]出願人らは、1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225ye)および1,1,1,2−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)のそれぞれが上記応用例の1つ以上において有用であると認識するに至った。よって、フッ素化オレフィンのいずれかまたは両方を含有する組成物はその様な用途で開発されている材料のうちの一つとなる。
[0004]HFO−1234yfおよびHFO−1225yeの製造方法は周知である。一例として、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)を水素化して、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236ea)を生成できることが知られている。次いで、HFC−236eaを脱水素反応の反応剤として用いて、HFO−1225yeを生成する。更に、HFO−1225yeを水素化して、1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245eb)を生成し、次いで、HFC−245ebを脱フッ化水素化して、HFO−1234yfを生成できることが知られている。
[0005]米国特許第8,013,194号(その内容を参照により本明細書に組み込む)には、更にHFO−1225yeおよびHFO−1234yfが単一の設備で製造できることが示されている。最も注目すべきは、HFPの水素化でHFC−236eaおよびHFC−245ebの両方を生成でき、かつこれら2つの製品を同時に脱フッ化水素化して、HFO−1225yeおよびHFO−1234yfをそれぞれ生成できることが分かったことである。処理条件を、ある1つのハイドロフルオロオレフィンが他のものよりも選択的に転換されるように調製できることが開示されている。この様な反応に使用できる触媒として教示されたものには金属触媒、より一層好ましくは1種以上の遷移金属系触媒(ある特定の好ましい態様では遷移金属ハロゲン化物触媒を含む)、例えば、FeCl、オキシフッ化クロム、Ni(Niメッシュを含む)、NiCl、CrF、およびこれらの混合物(担持またはバルクで)が含まれる。その他の触媒としては、炭素担持触媒、アンチモン系触媒(例えば、SbCl)、アルミニウム系触媒(例えば、AlF、Al、およびフッ素化Al)、パラジウム系触媒、白金系触媒、ロジウム系触媒、およびルテニウム系触媒(これらの組み合わせを含む)が挙げられる。
[0006]HFO−1225yeおよびHFO−1234yfのその他の製造方法例は、少なくとも、米国特許第7,560,602号(本発明の譲受人に譲渡され、参照により本明細書に組み込む)に記載されている。この特許には同様の脱ハロゲン化水素処理が開示されており、1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパン(245eb)および1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236ea)を触媒により脱フッ化水素化して、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)および1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225ye)をそれぞれ製造する。好ましい脱ハロゲン化水素触媒としては、フッ素化酸化クロム触媒、フッ化アルミニウム触媒、フッ化鉄触媒、フッ化マグネシウムとフッ化アルミニウムの混合触媒、ニッケル系触媒、炭素系触媒、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
[0007]このような脱ハロゲン化水素反応の代替剤も周知である。米国特許出願公開第20100029997号は、例えば、ヒドロフルオロオレフィン(HFO−1234yfなど)の製造を教示しており、これはHFC−245ebを水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、Ca(OH)、CaO、およびこれらの組み合わせに接触させて脱ハロゲン化水素化して製造する。ある特定の態様では、脱ハロゲン化水素剤はKOHを含むが、代替剤はLiOH、Mg(OH)、およびNaOHも含む。
[0008]出願人らは、フルオロカーボン類(例えば、HFO−1234yfおよびHFO−1225ye)の商業生産や大規模生産における、水素を利用する反応には重要な課題があると認識するに至った。水素化反応は通常、非常に発熱し、それが大規模な反応器システム、特に商業規模や大規模製造での熱管理に課題を生じさせる。また、水素を効率的に利用して出発材料の高転換を実現できることは経済的なプロセスに重要である。反応温度はたやすく非常に高い危険なレベルに達するので、水素化プロセスに対処する上で安全性も重要である。
[0009]本発明は、少なくとも部分的に、フッ素化オレフィン出発試薬を用いてハロゲン化するフッ素化アルカン製造の費用効果を高める方法および安全性を改善する方法に関し、また更なる態様では、その様なアルカン類を所望のフッ素化オレフィン製品の製造に使用することに関する。
[0010]ある特定の非限定的な態様において、本発明は少なくとも1種のハロゲン化アルカンを製造する方法に関し、式(I):
(CX3−n)(CR CX=CH2−m
に従う少なくとも1種のハロゲン化アルケン、および式(II):
(CX3−n)(CR CHXCHm+12−m
に従う少なくとも1種のハロゲン化アルカン
[式中、Xはそれぞれ独立してCl、F、I、またはBrであり、但し、少なくとも2個のXはFであり;Yはそれぞれ独立してH、Cl、F、I、またはBrであり;Rはそれぞれ独立してH、Cl、F、I、Br、または非置換かハロゲン置換のメチル基もしくはエチル基であり;Rはそれぞれ独立してH、Cl、F、I、Br、または非置換かハロゲン置換のメチル基もしくはエチル基であり;nは1、2、または3であり;aおよびbはそれぞれ0、1、または2であり、但し、a+b=2であり;mは0、1、または2であり;およびzは0、1、2、または3である]を含む出発材料流を先ず準備することで製造する。ある特定の非限定的な側面では、出発材料供給流のハロゲン化アルケンとハロゲン化アルカンの比率は約1:3〜約1:25であり、更なる側面では、約1:6〜約1:22であり、また更なる側面では、約1:8〜約1:20である。
[0011]出発材料は次いで、その出発材料流を還元剤(例えば、H)に接触させることで水素化し、式Iのアルケンの少なくとも一部が式IIのアルカンに転換されるような中間材料流を生成する。ある特定の非限定的な側面では、水素化工程での出発材料供給流中のアルケンの転換率は約25重量%〜約75重量%、ある特定の好ましい態様では、約35重量%〜約65重量%、更に好ましい態様では、約40重量%〜約60重量%、また更に好ましい態様では、約45重量%〜約55重量%となる。
[0012]中間生成物流は次に、少なくとも、式Iのアルケンおよび式IIのアルカンを含む第1の中間生成物流と、式Iのアルケンおよび式IIのアルカンを含む第2の中間生成物流に分離される。第1の中間生成物流はその後、第1反応器に再循環される。ある特定の態様では、再循環させる前に、第1の中間生成物流に追加の出発材料(即ち、追加のハロゲン化アルケン)を混合して、フッ素化アルケンとフッ素化アルカンの比率を調整する。ある特定の非限定的な側面では、追加の出発材料は第1の中間生成物流中のフッ素化アルケンとフッ素化アルカンの比率が約1:3〜約1:25となるように供給し、ある特定の好ましい態様では、その比率は約1:6〜約1:22、更に好ましい態様では、その比率は約1:8〜約1:20である。
[0013]次いで、第2の中間生成物流を第2の反応器で更に水素化して最終生成物流を生成する。ある特定の非限定的な態様では、最終生成物流は20ppm未満の式Iのフッ素化アルケン、ある特定の好ましい態様では、200ppm未満の式Iのフッ素化アルケン、および更に好ましい態様では、2,000ppm未満の式Iのフッ素化アルケンを含む。得られた生成物流は貯蔵してもよく、そうでなければ加工してもよい。ある特定の好ましい態様では、脱ハロゲン化水素化して、第2の式Iのフッ素化オレフィンを生成し、ここで、ある特定の側面では、第2の式Iのフッ素化オレフィンは出発フッ素化オレフィンよりも1個少ないフッ素原子を有する。
[0014]ある特定の非限定的な側面では、上記(そうでなければ、本明細書中)の水素化反応の1つ或いは両方を、少なくとも部分的に、液相で行う。その様な反応は触媒の存在下で行ってもよく、その触媒はパラジウム炭素、Pd/α−Al、Ni/C、およびNi/Alからなる群から選択できる。
[0015]更なる態様において、本発明はヘキサフルオロプロペンおよび1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパンを含む出発材料流を生成してフッ素化アルカンを製造する方法に関する。ある特定の非限定的な側面では、出発材料流中のヘキサフルオロプロペンと1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパンの比率は約1:3〜約1:25、ある特定の好ましい態様では、その比率は約1:6〜約1:22、更に好ましい態様では、その比率は約1:8〜約1:20である。
[0016]次いで、出発材料を還元剤(例えば、H)で水素化して、そのヘキサフルオロプロペンの少なくとも一部が1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパンに転換されるようにし、ヘキサフルオロプロペンおよび1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパンを含む中間流を生成する。ある特定の非限定的な側面では、水素化工程でのヘキサフルオロプロペンの転換率は約25重量%〜約75重量%、ある特定の好ましい態様では、約35重量%〜約65重量%、更に好ましい態様では、約40重量%〜約60重量%、また更に好ましい態様では、約45重量%〜約55重量%となる。
[0017]次いで、中間生成物流をヘキサフルオロプロペンおよび1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパンを含む第1の中間生成物流と、ヘキサフルオロプロペンおよび1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパンを含む第2の中間生成物流に分離する。第1の中間生成物流に追加のヘキサフルオロプロペンを、ヘキサフルオロプロペンとヘキサフルオロプロペンの比率が約1:3〜約1:25、更なる側面では、約1:6〜約1:22、また更なる側面では、約1:8〜約1:20となるように添加してもよい。第1の中間生成物はその後、水素化反応器に再循環される。
[0018]次いで、第2の中間生成物流を第2の水素化反応器で水素化して最終生成物流を生成する。ある特定の非限定的な態様では、最終生成物流は20ppm未満のヘキサフルオロプロペン、ある特定の好ましい態様では、200ppm未満のヘキサフルオロプロペン、および更に好ましい態様では、2,000ppm未満のヘキサフルオロプロペンを含む。この生成物流は貯蔵してもよく、またはある特定の態様では、脱ハロゲン化水素化して1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンを生成してもよい。
[0019]更なる側面において、本発明は1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよび1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパンを含む出発材料流を生成してフッ素化アルカンを製造する方法に関する。ある特定の非限定的な側面では、出発材料流中の1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンと1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパンの比率は約1:3〜約1:25、ある特定の好ましい態様では、その比率は約1:6〜約1:22、更に好ましい態様では、その比率は約1:8〜約1:20である。
[0020]次いで、出発材料を還元剤(例えば、H)で水素化して、その1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンの少なくとも一部が1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパンに転換されるようにし、1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンと1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパンを含む中間生成物流を生成する。ある特定の非限定的な側面では、水素化工程での1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンの転換率は約25重量%〜約75重量%、ある特定の好ましい態様では、約35重量%〜約65重量%、更に好ましい態様では、約40重量%〜約60重量%、また更に好ましい態様では、約45重量%〜約55重量%となる。
[0021]次いで、中間生成物流を1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよび1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパンを含む第1の中間生成物流と、1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよび1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパンを含む第2の中間生成物流に分離する。第1の中間生成物流に追加の1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンを、1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンと1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパンの比率が約1:3〜約1:25、更なる側面では、約1:6〜約1:22、また更なる側面では、約1:8〜約1:20となるように添加してもよい。第1の中間生成物はその後、水素化反応器に再循環される。
[0022]ある特定の非限定的な態様では、最終生成物流は20ppm未満の1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、ある特定の好ましい態様では、200ppm未満の1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、および更に好ましい態様では、2,000ppm未満の1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンを含む。この生成物流は貯蔵してもよく、またはある特定の態様では、脱ハロゲン化水素化して、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを生成してもよい。
[0023]本発明の更なる態様および利点は、本明細書に記載の開示に基づき当業者は容易に理解することができる。
[0024]
本発明の一態様によるフルオロオレフィンからフルオロアルケンへの転換を示す工程系統図である。
[0025]水素化技術を利用するフルオロカーボン類の製造(例えば、HFC−134aの製造)の従来のプロセスでは、大規模な蒸気再循環流や大規模なシェルアンドチューブ型反応器を利用して水素化工程の熱管理の課題に対処している。この種の技術を用いると、設備のサイズが大きくなり、プロセスの制御が困難なために不経済である。本発明のプロセスは、少なくとも部分的に、主に液相で起こる反応を利用し、その結果、より小さくより経済的な大規模設備、より堅牢なプロセス制御、水素もほぼ完全な利用、さらに先に記載したプロセスよりも総体的により安全なプロセスとなる。
[0026]この目的を達成するために、ある特定の側面で、本発明は、少なくとも部分的に、フッ素化オレフィンの水素化の費用効果および安全性を高める方法で、好ましくは、商業的または大規模な製造環境において、反応条件およびパラメータを制御して行う方法に関する。本明細書で用いる「反応条件」または「反応パラメータ」という用語は、反応を操作する者が本明細書内の教示による供給材料の転換および/または選択性を生じさせる為に変更できる任意の1つ以上の処理パラメータ(反応槽や反応段を場合によって使用/不使用にすることを含む)の単一制御を含む。一例として、限定されないが、以下の任意の1つ以上のパラメータを制御または調節することで供給材料の転換を制御または調節してもよい:反応温度、反応物の流量、希釈剤の有無、反応槽内の触媒の量、反応槽の形状および大きさ、反応圧力、およびこれらの任意の組み合わせ、並びに本明細書内の開示に鑑みて当業者が利用でき、また当業者に周知のその他の処理パラメータ。
[0027]ある側面において、本発明はフッ素化オレフィン(例えば、ペンタフルオロプロペンおよび/またはヘキサフルオロプロペン)を水素化してフッ素化アルカン(例えば、ペンタフルオロプロパンおよび/またはヘキサフルオロプロパン)を形成することに関する。ここで、出発物質のフッ素化オレフィンは水素化の前にフッ素化アルカンで希釈され、好ましい側面では、フッ素化オレフィンは少なくとも水素化反応の対象となるフッ素化アルカン生成物で希釈される。反応条件を制御して、出発オレフィンの一部のみが転換された生成物流を生成するようにしてもよい。この生成物流から、第1の部分(フッ素化オレフィン出発反応物とフッ素化アルカン生成物の両方を含む)が分離され、反応器に戻し再循環される。水素化反応器に再循環される前に、この第1の部分に追加のフッ素化オレフィン出発材料を添加してもよい。生成物流の残りの部分(同様にフッ素化オレフィンおよびフッ素化アルカンを含む)は、その後、第2の反応器に供給され水素化を継続する。この第2の反応で水素の流量を制御して、フッ素化オレフィンの転換率、反応の温度および圧力を制御する。次に、第2の反応で生成された最終生成物を使用してもよいし、使用しない場合は必要に応じて更に加工してもよい。ある特定の好ましい態様では、次いで、脱ハロゲン化水素化して、所望のフッ素化オレフィン生成物または更に加工できる中間生成物を生成する。
[0028]ある特定の態様では、本発明のフッ素化オレフィンは1種以上のC3〜C6フルオロアルケン、好ましくは次式の化合物を含む:
CF3−Z
[式中、XはC2、C3、C4、またはC5の不飽和、置換もしくは非置換のアルキル基であり、Rはそれぞれ独立してCl、F、Br、I、またはHであり、Zは1〜3である]。この化合物の中で非常に好ましいのは3〜5のフッ素置換基を有するプロペン類およびブテン類で、これらの中でもテトラフルオロプロペン類(HFO−1234)およびペンタフルオロプロペン類(HFO−1225)が特に好ましい。
[0029]一態様において、本発明のフッ素化オレフィンの製造プロセスは、ハロゲン置換度がNの合成されるフッ素化オレフィン(1種以上)と実質的に同じ数の炭素原子を有するハロゲン置換度がN+1のフッ素化オレフィン出発材料を反応させることを含む。フッ素化オレフィン出発材料は、これに限定するものではないが、好ましくは、フッ素置換度がN+1であり、それを効果的な反応条件に曝して、最終オレフィンと同じ数の炭素原子を有する1種以上のフッ素化アルカンを含む反応生成物を生成する。このオレフィン転換工程は、本明細書で便宜上、還元または水素化工程と呼ぶこともある反応を含むが、必ずしもこれに限定されない。得られるフッ素化アルカンは次いで、フッ素置換度がNのフッ素化オレフィンに転換される。このアルカン転換工程は、本明細書で便宜上、脱ハロゲン化水素化反応、もしくは特にある態様では脱フッ化水素化反応または脱塩化水素化反応と呼ぶこともある反応を含むが、必ずしもこれに限定されない。
[0030]上記に基づき、本発明の一態様では、フルオロオレフィンの製造プロセスは以下の工程:
(a)式(I):
(CX3−n)(CR CX=CH2−m (I)
の化合物を、式(II):
(CX3−n)(CR CHXCHm+12−m (II)
の少なくとも1種のフッ素化アルカン
[式中、
Xはそれぞれ独立してCl、F、IまたはBrであり、但し、少なくとも2個のXはFであり;
Yはそれぞれ独立してH、Cl、F、I、またはBrであり;
はそれぞれ独立してH、Cl、F、I、Br、または非置換かハロゲン置換のメチル基もしくはエチル基であり;
はそれぞれ独立してH、Cl、F、I、Br、または非置換かハロゲン置換のメチル基もしくはエチル基であり;
nは1、2、または3であり;
aおよびbはそれぞれ0、1、または2であり、但し、a+b=2であり;
mは0、1、または2であり;および
zは0、1、2、または3である]
を生成するのに効果的な条件下で水素化する工程;および
(b)式(II)の化合物を、式(I)の化合物よりもフッ素置換度が低いフルオロオレフィン、好ましくは式(III):
(CX3−n)(CR CX=CHm+11−m (III)
[式中、nはそれぞれ式(I)の場合と同じ値であり、mは0または1である]
の化合物を生成するのに効果的な条件下で脱ハロゲン化水素化する工程を含む。
[0031]更なる非限定的な態様では、式(I)の反応物として、zが0である式(IA)、即ち:
CX3−nCX=CH2−m (IA)
の炭素数3のオレフィンを含んでもよく、この場合、次式(IIA):
(CX3−n)CHXCHm+12−m (IIA)
[式中、X、Y、n、およびmは全て上記の通りである]
の炭素数3のアルカンが生成され、この化合物を次いで、脱ハロゲン化水素化して、式(IIIA):
(CX3−n)CX=CHm+11−m (IIIA)
[式中、nは式(IA)の場合と同じ値であり、mは0または1である]
の化合物を生成する。
[0032]また更なる態様において、本発明は式(I)または(IA)の化合物の飽和末端炭素が完全にフッ素で置換されている(例えば、飽和末端炭素のnが3であり、その炭素のXがそれぞれFである)ものを提供する。この様な態様では、式(I)または(IA)の化合物は、好ましくは、3〜6個のフッ素置換基および場合によっては他のハロゲン置換基を有するフルオロプロペンで、これには、例えば、ヘキサフルオロプロペン(即ち、Zは0であり、nは3であり、mは0であり、Xは全てFである)またはペンタフルオロプロペン(即ち、Zは0であり、nは3であり、mは1であり、Xは全てFである)が含まれる。式(II)または(IIA)で得られる化合物は、1種以上、以下のフッ素化アルカン類:ペンタフルオロプロパン(HFC−245)およびヘキサフルオロプロパン(HFC−236)(これらの各々の異性体を全て含む);しかし好ましくは、1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245eb)、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236ea)、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。ある特定の好ましい態様では、転換工程で生成されるフッ素化アルカンのフッ素置換度はN+1である。
[0033]上記反応のいずれでも、オレフィンをアルカンに転換する工程は、式(I)の転換率が少なくとも約40%、より好ましくは少なくとも約55%、更により好ましくは少なくとも約70%となる効果的な条件下で行う。ある特定の好ましい態様では、その転換率は少なくとも約90%、より好ましくは約99%である。更に、ある特定の好ましい態様では、式(II)の化合物を生成するための式(I)または(IA)の化合物の転換は、式(II)または(IIA)の選択率が少なくとも約60%、より好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、更により好ましくは約100%となる効果的な条件下で行う。
[0034]上記反応のいずれでも、アルカンをフッ素化度がNのフッ素化オレフィンに転換する工程は、式(II)の転換率が少なくとも約40%、より好ましくは少なくとも約55%、更により好ましくは少なくとも約70%となる効果的な条件下で行う。ある特定の好ましい態様では、その転換率は少なくとも約90%、より好ましくは約95%である。更に、ある特定の好ましい態様では、式(III)の化合物を生成するための式(II)の化合物の転換は、式(III)の選択率が少なくとも約60%、より好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、更により好ましくは約98%となる効果的な条件下で行う。
水素化工程
[0035]水素化または還元工程はバッチ操作で行ってもよいと考えられるが、水素化反応は実質的に連続操作として行われることが好ましい。更に、水素化反応は単一の反応槽で行ってもよいと考えられるが、ある特定の好ましい態様では、この反応工程は並列、直列、またはその双方に接続された2つ以上の反応器または反応段、もしくは反応器設計の任意の組み合わせで構成されてもよい。加えて、この反応工程は各用途の詳細に応じて、1つ以上の供給物予熱または予冷工程もしくは段階を含んでもよいと考えられる。
[0036]ある特定の態様において、この反応に液相反応、気相反応、または双方の組み合わせを含めることは可能であるが、ある特定の態様では、水素化反応は少なくとも液相反応段階を含み、またある特定の好ましい態様では、少なくとも2段階の液相反応を含めることが考えられる。
[0037]ある特定の非限定的な態様において図1を参照すると、水素化反応はシステム1(少なくとも第1の水素化反応器10および第2の水素化反応器20を含む)内で行われ、フッ素化オレフィンを水素化してフッ素化アルカンを生成する。出発供給流5は出発源、例えば、供給ドラム15から第1反応器10に供給される。第1反応器10に入る前に、フッ素化オレフィンの出発供給流をフッ素化アルカン生成物で希釈する。ある特定の好ましい態様では、その様なアルカンは出発フッ素化オレフィンを水素化して生成される目的のフッ素化アルカンを含む、本質的にからなる、または、からなる。
[0038]ある特定の側面では、例えば、反応の開始時点で、出発供給流にフッ素化アルカンで希釈済みのフッ素化オレフィンを供給してもよい。更なる態様では、しかしながら、フッ素化オレフィンは、図1の参照番号25で示され、以下でより詳細に述べるように、供給源(例えば、供給ドラム)から実質的に純粋な形で供給され、第1反応器10から再循環される生成物流で希釈される。非限定的な例として、出発供給流にヘキサフルオロプロペンが含まれる態様では、供給流は少なくとも1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236ea)で希釈する。出発供給流が1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225ye)の態様では、少なくとも1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245eb)で希釈する。
[0039]希釈された供給流中のフッ素化オレフィンとフッ素化アルカンの比率は、反応の1つ以上のパラメータ、例えば、これらに限定されないが、反応器内の温度、生成される生成物の選択率、生成物の転換率/転換割合などを制御するのに効果的な量であればよい。好ましくは、反応において水素化反応条件を制御して、本発明による所望のフッ素化オレフィン転換率および/または目的のフッ素化アルカンの選択率を得る。ある特定の非限定的な態様では、第1反応器に供給される供給流中のフッ素化オレフィンとフッ素化アルカンの比率は約1:3〜約1:25、ある特定の好ましい態様では、約1:6〜約1:22、更に好ましい態様では、約1:8〜約1:20の範囲である。なお、その比率は必ずしも限定されず、行う反応および所望の結果(例えば、転換率、選択率、反応生成量中の水素溶解の最大化[即ち、Hがあまり溶解しない場合、フッ素化アルカンを増加してHの溶解量を増加させる]等)に基づいて調整してもよい。
[0040]第1反応器に入る前に、希釈されたフッ素化オレフィン供給流を水素供給流35と混合する。水素供給量は、反応温度、反応器内の温度、生成される生成物の選択率、生成物の転換率/転換割合などの1つ以上を制御するのに効果的な量であればよい。ある特定の非限定的な態様では、水素供給は出発フッ素化オレフィンの量より多く供給する。即ち、ある特定の側面では、水素とフッ素化オレフィンの比率は1:1より大きい。フッ素化オレフィン供給と水素を反応の前に通常の手段、例えば、これに限定されないが、静的ミキサー36を用いて混合してもよい。他の態様では、水素とフッ素化オレフィンの比率は1:1未満である。なお、その比率は、しかしながら、必ずしも限定されず、行う反応および所望の結果(例えば、温度制御、転換率、選択率、第2反応器への供給物の状態など)に基づいて調整してもよい。
[0041]また、第1反応器に入る前に、希釈されたオレフィン/水素供給流は冷却要素30に通すことでその温度を必要に応じて制御してもよい。その冷却要素は、水素化反応が発熱反応であるため、再循環流50の温度が第1反応器の所望の入口温度よりも高温になると用いられ、第1反応器に入る反応物の温度を下げる。本発明の還元または水素化反応は一般に発熱反応であり、通常は実質的に発熱反応であるので、その冷却された材料を用いることは、反応器の温度を、他のプロセス条件をすべて同様に維持したとして、再循環されない場合に達するであろう温度より低く維持する好ましい態様において効果がある。
[0042]図1に示すように、本発明は、しかしながら、予冷工程を含むものに限定されず、特に、供給流が所望の温度または所望の温度範囲内である場合は、反応器10に直接入る冷却要素のバイパス40を含めてもよい。
[0043]水素化反応は任意の水素化触媒、ある特定の態様では、液相水素化触媒を用いて触媒できる。本発明のある特定の好ましい態様によれば、炭素またはα−アルミナ担持金属触媒はフルオロオレフィンのハイドロフルオロカーボンへの水素化に用いられる。金属成分の非限定的な例としては、Pd、Ru、Pt、Rh、Ir、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Re、Os、Au、およびこれらの任意の組み合わせが挙げられる。金属充填量は広い範囲内で様々にすることができ、例えば、0.1〜10重量%である。しかし、Ru、Ph、Pd、Pt、Ir等の貴金属の場合、金属充填量は、好ましくは、約0.1〜約5重量%、より好ましくは、約0.1〜約1重量%である。約0.1重量%未満の金属濃度を有する担持触媒はフルオロオレフィンまたはヒドロフルオロオレフィンの水素化には高い効果を示さないことが分かった。限定するものではないが、好ましくは、水素化触媒はパラジウム炭素、Pd/α−Al、Ni/C、およびNi/Alからなる群から選択される。
[0044]水素化反応の温度は、使用する触媒や最も望ましい反応生成物などの関連要因によって広範囲にわたる温度を用いることができると考えられるが、反応が液相で行われるようにその条件を制御するのが一般的に好ましい。この目的のため、またある特定の非限定的な側面では、水素化工程の反応温度は約10℃〜約500℃、好ましくは、約25℃〜約400℃、更により好ましくは、約50℃〜約300℃である。
[0045]更に、広範囲にわたる反応圧力を用いることができると考えられる。本発明の側面では、しかし、第1反応器内の圧力は水素化反応が実質的に液相で行われるようにしてもよい。その圧力として、例えば、約100psig〜約1,500psig、ある特定の好ましい態様では、約200psig〜約1,000psigが挙げられる。
[0046]また、ある特定の好ましい態様では、第1反応器内のフッ素化オレフィンの水素化を制限して反応の発熱性を制御し、それによって反応器内の温度を制御する。水素化反応は本質的に非常に発熱する。これは、以下に負のエンタルピー値で示されるように、HFPからHFC−236eaへ、およびHFO−1225yeからHFC−245ebへの転換では特にそうである。
Figure 2016510818
従って、上記の1つ以上のパラメータに加えて、反応器内の温度はフッ素化オレフィン、H、および触媒の接触時間を制限することでも制御される。その接触時間として、約1〜約180秒、好ましくは、約5〜約60秒が挙げられるが、これらに限定されない。本発明は上記に限定されなく、またその時間は反応器を商業的に許容される温度範囲内に維持できる時間であればよい。
[0047]ある特定の非限定的な態様では、しかしながら、接触時間、温度、圧力、反応物の流れ/濃度などを制御して、フッ素化オレフィンの転換率が約25重量%〜約75重量%、ある特定の好ましい態様では、約35重量%〜約65重量%、更に好ましい態様では、約40重量%〜60重量%、また更に好ましい態様では、約45重量%〜約55重量%、また更に好ましい態様では、約50重量%となるようにする。
[0048]反応器10から出る生成物流は次いで分割され、その第1の部分45は更に加工するため第2反応器に供給され、残り(つまり第2)の部分50は再循環される。後者の流れ、再循環部分は純粋なフッ素化オレフィン供給流と接点25で混合されて、得られる希釈されたフッ素化オレフィンの水準が上記通りとなるように、有効量のフッ素化オレフィンおよびフッ素化アルカン生成物を含有するよう制御する。この目的のために、またある特定の好ましい態様では、再循環部分のフッ素化オレフィンの水準は、追加のフッ素化オレフィンと混合されて、得られる第1反応器に供給される供給流中のフッ素化オレフィンとフッ素化アルカンの比率が約1:3〜約1:25、ある特定の好ましい態様では、約1:6〜約1:22、更に好ましい態様では、約1:8〜約1:20の範囲となるような水準にする。
[0049]多種多様な他の要因も用いて、どれだけの生成物流を再循環45し、どれだけを更に水素化するため第2反応器に供給するかを決定してもよいが、ある特定の側面では、再循環される量は、システムが許容できる発熱の度合い(即ち、生成物流の温度)によって決定される。ある特定の非限定的な側面では、生成物流の温度を約200℃未満、ある特定の好ましい側面では、約100℃未満、更なる側面では、約50℃未満、また更なる側面では、約35℃未満に維持するのが望ましい。このため、再循環される生成物流の量は、得られる再循環の生成物をこれらの温度範囲内に維持できるような量である。
[0050]供給流の再循環されない部分45は次いで、更に水素化するため第2反応器20に供給され、残りのフルオロオレフィンが非常に低濃度レベルになるまで反応させる。ある特定の非限定的な態様では、第2反応器に供給される供給流中のフッ素化オレフィンとフッ素化アルカンの比率は約1:3〜約1:25、ある特定の好ましい態様では、約1:6〜約1:22、更に好ましい態様では、約1:8〜約1:20の範囲である。なお、その比率は、しかしながら必ずしも限定されず、行われる反応および所望の結果(例えば、転換率、選択率など)に基づいて調整してよい。
[0051]第2反応器20に入る前に、希釈されたフルオロオレフィン供給流45に水素供給流55を供給し、通常の手段、例えば、これに限定されないが、静的ミキサー66を用いて混合してもよい。水素の量は反応の温度、所望の転換率などを制御できる量であればよい。この目的のために、またある特定の好ましい態様では、水素の供給量、フッ素化オレフィンの量/希釈、反応パラメータ等を制御して、転換率が第1反応段階の転換率より高くなる、また好ましくは実質的に高くなるようにする。ある特定の好ましい態様では、例えば、第2反応段階の転換率は約20%〜約99%である。更に好ましい態様では、第2反応段階の転換率は、好ましくは95%より高く、また更に好ましくは約100%である。この目的のために、またある特定の好ましい態様では、第2反応器から出る生成物流は未反応のフッ素化オレフィンの濃度が20ppm未満、好ましくは200ppm未満、最も好ましくは2,000ppm未満であってもよい。
[0052]また、第2反応器に入る前に、希釈されたオレフィン/水素供給流は冷却要素65に通すことでその温度を必要に応じて制御してもよい。水素化反応が発熱反応であるため、その冷却要素は供給流45(第1反応器から直接流出)として第2反応器へ入る反応物の温度が第2反応器の所望の入口温度よりも高温になると用いられ温度を調整する。本発明の還元または水素化反応は一般に発熱反応であり、通常は実質的に発熱反応であるので、その冷却された材料を用いることは、反応器の温度を、他のプロセス条件をすべて同様に維持したとして、冷却要素を使用しない場合に達するであろう温度より低く維持する好ましい態様において効果がある。
[0053]図1に示すように、本発明はその様な側面に限定されず、特に、供給流が所望の温度または所望の温度範囲内である場合は、反応器20に直接入る冷却要素のバイパス70を含めてもよい。
[0054]第2反応器内の水素化反応は任意の水素化触媒を用いて触媒できる。本発明の好ましい態様によれば、炭素またはα−アルミナ担持金属触媒はフルオロオレフィンのハイドロフルオロカーボンへの水素化に用いられる。金属成分の非限定的な例としては、Pd、Ru、Pt、Rh、Ir、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Re、Os、Au、およびこれらの任意の組み合わせが挙げられる。金属充填量は広い範囲内で様々にすることができ、例えば、0.1〜10重量%である。しかし、Ru、Ph、Pd、Pt、Ir等の貴金属の場合、金属充填量は、好ましくは、約0.1〜約5重量%、より好ましくは、約0.1〜約1重量%である。約0.1重量%未満の金属濃度を有する担持触媒はフルオロオレフィンまたはヒドロフルオロオレフィンの水素化には高い効果を示さないことが分かった。限定されないが、好ましくは、水素化触媒はパラジウム炭素、Pd/α−Al、Ni/C、およびNi/Alからなる群から選択される。
[0055]水素化反応の温度は、関連要因、例えば、反応物のフルオロオレフィン、反応熱、使用する触媒や最も望ましい反応生成物などによって広範囲にわたる温度を用いることができると考えられるが、その条件を反応が液相で行われるよう制御するのが一般的に好ましい。この目的のため、またある特定の非限定的な側面では、水素化工程の反応温度は約10℃〜約500℃、好ましくは約25℃〜約400℃、更により好ましくは約50℃〜約300℃である。
[0056]更に、広範囲にわたる反応圧力を用いることができると考えられるが、また、本発明の側面では、第1反応器内の圧力は水素化反応が液相で行われるようにしてもよい。その反応圧力は、例えば、約100psig〜約1,500psig、ある特定の好ましい態様では、約200psig〜約1,000psigとすることができる。
[0057]次に、第2反応器20から出る生成物の蒸気は必要に応じて冷却要素80で冷却できる。ある特定の側面において、その蒸気は、追加加工、終了処理、貯蔵、もしくは反応中に生成される生成物のその他の任意の使用に好適な任意の最終温度まで必要に応じて冷却してもよい。ある特定の好ましい側面では、生成物流は約20℃〜約100℃、より好ましくは約20℃〜約90℃、最も好ましくは約20℃〜約70℃の温度(脱ハロゲン化水素化(後述)に最適な温度)まで冷却される。
[0058]反応槽(例えば、第1および第2反応器)の大きさや形状、およびその他の特徴は本発明の範囲で様々にすることができ、また各段階に伴う槽は、その上流および下流の反応段階に伴う槽と異なっていても、または同じであってもよいと考えられる。更に、転換の制御に必要な手段や手法は上記に従うとして、すべての反応段階を単一の槽内で行うことができると考えられる。例えば、ある特定の態様では、管状反応器全体にわたっての触媒の量および/または供給を慎重に選択することで転換を制御して、各反応段階に対して単一の管状反応器を利用するのが望ましいこともある。その場合、管状反応器の別の区画から除去または別の区間に付加される熱量を制御することで、同じ管状反応器の別の区画における転換を更に制御できる。熱を除去する手段は当技術分野において公知であり、それには流れの一部を段間で冷却し主流に戻すこと;ある量の反応生成物を中間流に注入するコールドショット液体(cold shot liquid)が含まれる。
脱ハロゲン化水素化
[0059]本発明のある特定の非限定的な態様では、第2反応器から出る最終のフッ素化アルカン生成物流を脱ハロゲン化水素化して、出発オレフィンよりも1個少ないフッ素原子を有するフッ素化オレフィンを生成する。この脱フッ化水素化工程は脱ハロゲン化水素剤(例えば、苛性溶液)の存在下の液相で、または脱フッ化水素化触媒の存在下の気相で行うことができる。この反応はバッチ式で、または連続して、或いはそれらの組み合わせで行ってもよいと考えられる。
[0060]一態様において、転換工程はフッ素化アルカン(例えば、HFC−245ebおよび/またはHFC−236ea)を脱ハロゲン化水素剤(例えば、KOH、NaOH、Ca(OH)、LiOH、Mg(OH)、CaO、およびこれらの組み合わせ)と接触させてフッ素化オレフィンを生成する反応を含む。一例として、KOHが用いられる場合、その反応は、例えば、以下の反応式(1)および(2):
CF−CHF−CHF+KOH→CFCF=CHF+KF+HO (1)
CF−CHF−CHF+KOH→CFCF=CH+KF+HO (2)
によって説明できるが、必ずしもこれらに限定するものではない。
[0061]脱ハロゲン化水素剤は約2重量%〜約100重量%、より好ましくは約10重量%〜約50重量%、更により好ましくは約10重量%〜約50重量%の脱ハロゲン化水素剤を含む苛性水溶液として供給してもよい。更なる態様では、苛性溶液、好ましくは脱ハロゲン化水素剤溶液を、約20℃〜約100℃、より好ましくは約20℃〜約90℃、最も好ましくは約20℃〜約70℃の温度にする。その態様における反応圧力は各用途の特定の処理パラメータに応じて様々であってよい。ある特定の態様では、反応圧力は大気圧から超大気圧、または真空下の範囲にわたる。真空圧を用いる場合、その真空圧は、ある特定の態様では、約5トル〜約760トルの範囲である。
[0062]脱ハロゲン化水素剤(または試薬)の使用量、または有機物に対する試薬のモル比は、各態様における特定のパラメータに応じて様々になると考えられる。ある特定の態様では、脱ハロゲン化水素剤とフッ素化アルカンのモル比は1〜3未満、好ましくは1〜1.5である。更なる態様では、接触時間(総供給流量(mL/秒)に対する試薬の体積(mL)の比率で表す)は、約0.1秒〜約1,000秒、好ましくは約2秒〜約120秒である。
[0063]脱ハロゲン化水素反応は任意の好適な槽または反応器を用いて行うことができる。その槽または反応器は腐食に耐性のある材料、例えば、ステンレス鋼、ニッケルおよびその合金(ハステロイ、インコネル、インコロイ、およびモネルを含む)で作られる。ある特定の態様において、この反応は、1つのまたは一連の連続撹拌タンク反応器(CSTR)を用いて行う。この型の反応器では、フッ素化アルカン供給流および脱ハロゲン化水素剤は連続して反応器に供給され、得られる生成された生成物流を凝縮器または蒸留塔に供給してフッ素化オレフィン生成物(例えば、1225yeおよび/または1234yf)を未反応のフッ素化アルカン、並びにその他の反応副生成物から分離する。
[0064]ある特定の態様では、使用済みの脱ハロゲン化水素剤は定期的に或いは連続して生成物流から取り除き、反応器に戻して再循環させ再利用する。前述のように、出願人らは、連続処理中にフッ素化アルカン反応物または脱ハロゲン化水素剤のいずれかが使い切られるまで反応が進行することを見出した。このため、反応が完了すると、塩および/または塩溶液を除去するため反応器を解体しなければならず、生産性費用が増大する。しかし、脱ハロゲン化水素剤および副生成物塩を再循環させることで、その費用を低減させることができ、システムがより効率的になる。
[0065]使用済みの脱ハロゲン化水素剤および副生成物塩(例えば、金属フッ化物塩)は1つ以上の公知の分離法を用いて、反応器から生成物流によって連続して或いは断続的に回収してもよい。このために、公知の任意の化合物分離法、例えば、限定されないが、蒸留、相分離などを用いて使用済みの脱ハロゲン化水素剤の分離を行ってもよい。ある特定の態様では、使用済みの脱ハロゲン化水素剤の回収は、有機物および脱ハロゲン化水素剤の分離を容易にするので成分分離には特に有益である。これによって、複雑化および高度に専門化した分離装置の設計および運用に関連する費用が更に低減される。
[0066]使用済みの脱ハロゲン化水素剤を含む生成物流は通常、幾らかの溶解フッ素化アルカンをそこに含んでいる。撹拌機を停止して攪拌が止まっている間に使用済みの脱ハロゲン化水素剤を取り除くことで、脱ハロゲン化水素剤およびその様なアルカンの分離が容易にできる。使用済みの脱ハロゲン化水素剤および溶解アルカンを容器に取り入れ、そこで更に脱ハロゲン化水素剤およびアルカンの分離を上記の1つ以上の分離法を用いて行うことができる。非限定的な一態様では、例えば、KOHは蒸留、即ち、アルカンをその沸点より少し高くまで加熱し、それによって使用済みのKOHから分画することで分離する。或いは、二相間分離用の相分離器を用いることもできる。有機物を含まないKOH単離物は直接、反応器に再循環させることができ、もしくは濃縮でき、かつその濃縮液を反応器に戻すことができる。
[0067]副生成物塩もまた公知の方法を用いて単離して脱ハロゲン化水素剤に転換できる。KOHを脱ハロゲン化水素剤として使用する場合、例えば、副生成物塩としてKFが生成される。その塩をKOHに再転換して、脱ハロゲン化水素化反応に戻し再利用してもよい。例えば、以下の反応:
2KF+Ca(OH)→2KOH+CaF
によるKF転換にCa(OH)を使用できる。CaFは上記の反応で沈殿するが、KOHは単離され、反応器に戻して再利用される。使用済みの脱ハロゲン化水素剤を再利用することで、試薬の使用効率が向上する。更にまた、副生成物塩を再循環させて利用すると脱ハロゲン化水素剤の使用が低減され、試薬の費用や塩の処分および/または新たな原料の購入に伴う費用が低減される。
[0068]別の態様では、脱ハロゲン化水素化工程は、フッ素化アルカン(例えば、HFC−245ebおよび/またはHFC−236ea)を気相で脱ハロゲン化水素触媒と接触させる反応を含む。そのプロセスはHFC−245ebおよび/またはHFC−236eaを脱フッ化水素化するHFC−245ebまたはHFC−236eaで触媒転換してフッ素化オレフィンを生成する工程を含む。一例として、気相触媒が用いられる場合、その反応は、例えば、以下の反応式(1)および(2):
CF−CHF−CHF[触媒]→CFCF=CHF+HF (1)
CF−CHF−CHF[触媒]→CFCF=CH+HF (2)
によって説明できるが、必ずしもこれらに限定されない。
[0069]気相脱フッ化水素化反応は当技術分野では周知である。HFC−245ebおよびHFC−236eaの脱フッ化水素化は気相で行われるのが好ましく、気相において固定床反応器で行われることがより好ましい。脱フッ化水素化反応は任意の好適な反応槽または反応器で行うことができるが、好ましくは、フッ化水素の腐食作用に耐性のある材料、例えば、ニッケルおよびその合金(ハステロイ、インコネル、インコロイ、およびモネルを含む)、もしくはフルオロポリマーでコートされた槽で作られるものとする。これらは脱フッ化水素触媒を充填した単一管または多管であってよく、その触媒は1種以上のバルク型または担持型フッ素化金属酸化物、バルク型または担持型金属ハロゲン化物、並びに炭素担持の遷移金属、金属酸化物およびハロゲン化物でもよい。好適な触媒としては、限定するものではないが、フッ素化クロミア(フッ素化Cr)、フッ素化アルミナ(フッ素化Al)、金属フッ化物(例えば、CrF、AlF)、およびFe/C、Co/C、Ni/C、Pd/Cまたは遷移金属ハロゲン化物などの炭素担持遷移金属(ゼロ酸化状態)が挙げられる。HFC−245ebまたはHFC−236eaは純粋な形で、不純な形で、または必要に応じて窒素、アルゴンなどの不活性ガス希釈剤とともに反応器に導入される。本発明の好ましい態様では、HFC−245ebまたはHFC−236eaは反応器に装入されるのに先立ち、事前に気化または加熱される。或いは、HFC−245ebまたはHFC−236eaは反応器の内部で気化される。効果的な反応温度は約100℃〜約600℃の範囲であってよい。好ましい温度は約150℃〜約450℃の範囲であってよく、より好ましい温度は約200℃〜約350℃の範囲であってよい。反応は大気圧、超大気圧または真空下で行ってよい。真空圧は約5トル〜約760トルにできる。HFC−245ebまたはHFC−236eaと触媒との接触時間は約0.5秒〜約120秒の範囲であってよいが、それよりも長いまたは短い時間を用いることもできる。
[0070]得られる生成物は当該技術分野で公知の1つ以上の方法を用いて生成物流から単離し、状況に応じて精製してもよい。
[0071]上記水素化および脱ハロゲン化水素化反応のある特定の非限定的な態様では、出発試薬のヘキサフルオロプロペン(HFP)および/またはHFO−1225yeを水素化して、フッ素化アルカンのHFC−236eaおよびHFC−245ebをそれぞれ生成する。即ち、HFPおよび/またはHFO−122yeは本明細書に記載の2段階反応方法により水素化して、HFC−236eaおよび/またはHFC−245ebからなる反応生成物を生成する。次いで、HFC−236eaを脱ハロゲン化水素化してHFO−1225yeを生成し、またHFC−245ebを脱ハロゲン化水素化してHFO−1234yfを生成する。
[0072]更なる態様では、水素化および脱ハロゲン化水素化工程を連続して行い、HFPからHFO−1234yfへ転換してもよい。即ち、HFPを本明細書に記載の2段階反応方法によって水素化して、フッ素化アルカンのHFC−236eaを生成する。次いで、HFC−236eaを脱ハロゲン化水素化して、HFO−1225yeを生成し、これを次に、本明細書に記述の2段階反応方法によって単離しハロゲン化して、HFC−245ebを生成する。次いで、このアルカンを本明細書に記載の方法によって脱ハロゲン化水素化して、HFO−1234yfを生成する。
[0073]以下の実施例は本発明を例示するものであって、その特許請求の範囲を限定するものではない。
実施例1〜3:ヘキサフルオロプロペン−第1段階の反応の検討
[0074]反応器は並列する2本の1/2インチステンレススチール管で構成した。第1の管は予熱器であり、電気加熱テープで加熱して、断熱した。それをニッケルメッシュで充填して熱伝導と混合を容易にした。第2の管には触媒床の温度を監視するため、その内部の頂部から底部に1/8インチの深さ方向測温プローブ(profile probe)を挿入した。反応器に約21グラム(50cc)のアルドリッチ(Aldrich)社の1%Pd/C触媒を充填し、加熱のため、その周囲に電気加熱テープと断熱材を設けた。触媒は初始動前に、室温から開始して225℃の高温点まで加熱する触媒上に200mL/分でHを流して処理した。温度を8時間225℃に保った。
[0075]3つの実験は、希釈したヘキサフルオロプロペン(HFP)供給流を用いて、HFPの転換率約50%達成を目標に目的の生成物のヘキサフルオロプロパンに反応熱を管理しながら行った。各実験は約290psigおよび200℃で行った。実験1は約7.5GC面積%のHFPを含む供給流を用いた。12時間の実験で、HとHFPのモル比を0.55:1にすると、平均転換率は50.5%であった。所望の生成物の選択率は98.0%であった。実験2は約12.7GC面積%のHFPを含む供給流を用いた。10時間の実験で、HとHFPのモル比を0.55:1にすると、平均転換率は50.2%であった。所望の生成物の選択率は98.6%であった。実験3は約20.5GC面積%のHFPを含む供給流を用いた。12時間の実験で、HとHFPのモル比を0.6:1にすると、平均転換率は57.2%であった。所望の生成物の選択率は98.4%であった。約50%のHFP転換率の目標が達成されたときの反応器内の温度制御は問題にはならなかった。
[0076]実験データを以下の表1および2に記載する。
表1:実験1〜3に用いた様々な希釈したHFP供給材料のGC面積%
Figure 2016510818
表2:HFP水素化実験1〜3の概要
Figure 2016510818
実施例4:ヘキサフルオロプロペン−第1段階の反応の検討
[0077]実施例1からの反応器流出流を、供給流中のオレフィンの合計量に比べてHのわずかな化学量論的過剰量とともに第2水素化反応器に供給する。反応器の設計は実施例1〜3で用いたものと同じである。反応器に約23グラム(50cc)のアルドリッチ社の1%Pd/C触媒を充填し、加熱のため、その周囲に電気加熱テープと断熱材を設ける。触媒は実施例1〜3と同様に前処理する。有機物供給流は約3.25GC面積%のHFPを含み、0.75ポンド/時の速度で供給される。反応器は200℃の圧力および約300psigの圧力で作動させる。反応器流出物をGCによって分析し、わずか0.05%のHFPを含むことが分かる。所望のヘキサフルオロプロパン生成物への選択率は>98.5%である。
実施例5〜7:1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン−第1段階の反応の検討
[0078]反応器は並列する2本の1/2インチステンレススチール管で構成した。第1の管は予熱器であり、電気加熱テープで加熱して、断熱した。それをニッケルメッシュで充填して熱伝導と混合を容易にした。第2の管には触媒床の温度を注視するため、その内部の頂部から底部に1/8インチの深さ方向測温プローブを挿入した。
[0079]50cc(20.8グラム)のアルドリッチ社の未使用の1%Pd/Cを1/2インチOD×30インチL管反応器に充填した。触媒は初始動前に、室温から開始して225℃の高温点まで加熱する触媒上に200mL/分でHを流して処理した。温度を8時間225℃に保った。
[0080]3つの実験は、希釈した1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(1225ye)供給流を用いて、1225yeの転換率約50%達成を目標に目的の生成物の1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパン(245eb)に反応熱を管理しながら行った。3つの実験すべての供給流は約11.4%の混合した1225yeのZおよびE異性体を含んでいただけでなく、約2.5GC面積%の不飽和フッ素化オレフィンHFPも含んでいた。実験1は80℃の温度および395psigの圧力で行った。8時間の実験で、Hと1225ye/HFP混合のモル比を0.55:1にすると、平均転換率は、1225ye(混合したZおよびE異性体)が39.9%で、HFPが99.7%であった。これは供給されたHの約96.7%の活用であった。245ebの選択率は98.6%であった。実験2は200℃の温度および395psigの圧力で行った。9時間の実験で、Hと1225ye/HFP混合のモル比を0.55:1にすると、平均転換率は、1225ye(混合したZおよびE異性体)が36.2%で、HFPが96.6%であった。これは供給されたHの約90.6%の活用であった。245ebの選択率は98.9%であった。実験3は100℃の温度および395psigの圧力で行った。9時間の実験で、Hと1225ye/HFP混合のモル比を0.55:1にすると、平均転換率は、1225ye(混合したZおよびE異性体)が38.5%で、HFPが99.1%であった。これは供給されたHの約95.0%の活用であった。245ebの選択率は99.4%であった。約50%の1225ye転換率の目標が達成された際、反応器内の温度制御は問題にはならなかった。実験データを以下の表3および4に記載する。
表3:実験番号1225ye−1、1225ye−2、および1225ye−3の供給組成物
Figure 2016510818
表4:実験番号1225ye−1、1225ye−2、1225ye−3の実験データの概要
Figure 2016510818
実施例8:1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン−第2段階の反応の検討
[0081]実施例5からの反応器流出流を、供給流中のオレフィンの合計量に比べてHのわずかな化学量論的過剰量とともに第2水素化反応器に供給する。反応器の設計は実施例5〜7で用いたものと同じである。反応器に約23グラム(50cc)のアルドリッチ社の1%Pd/C触媒を充填し、加熱のため、その周囲に電気加熱テープと断熱材を設ける。触媒は実施例5〜7と同様に前処理する。有機物供給流は約6.8GC面積%のHFPを含み、0.55ポンド/時の速度で供給される。反応器は100℃の圧力および約400psigの圧力で作動させる。反応器流出物をGCによって分析し、わずか0.1%の1225yeEおよび1225yeZを含むことが分かる。所望の1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパン(245eb)生成物への選択率は>98.0%である。

Claims (10)

  1. 少なくとも1種のフッ素化アルカンの製造方法であって、
    (a)式(I):
    (CX3−n)(CR CX=CH2−m (I)
    に従う少なくとも1種のアルケン、および式(II):
    (CX3−n)(CR CHXCHm+12−m (II)
    に従う少なくとも1種のアルカン
    [式中、Xはそれぞれ独立してCl、F、I、またはBrであり、但し、少なくとも2個のXはFであり;
    Yはそれぞれ独立してH、Cl、F、I、またはBrであり;
    はそれぞれ独立してH、Cl、F、I、Br、または非置換かハロゲン置換のメチル基もしくはエチル基であり;
    はそれぞれ独立してH、Cl、F、I、Br、または非置換かハロゲン置換のメチル基もしくはエチル基であり;
    nは1、2、または3であり;
    aおよびbはそれぞれ0、1、または2であり、但し、a+b=2であり;
    mは0、1、または2であり;および
    zは0、1、2、または3である]
    を含む出発材料流を準備する工程;
    (b)前記出発材料流を還元剤に接触させることで前記出発材料流を水素化し、式Iのアルケンの少なくとも一部が式IIのアルカンに転換されるような中間材料流を生成する工程;
    (c)前記中間生成物流の一部を少なくとも、式Iのアルケンおよび式IIのアルカンを含む第1中間生成物流と、式Iのアルケンおよび式IIのアルカンを含む第2中間生成物流に分離する工程;
    (d)前記第1中間生成物流を工程(b)に再循環させる工程;および
    (e)前記第2中間生成物流を水素化して最終生成物流を生成する工程
    を含む製造方法。
  2. 前記還元剤がHである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記出発材料供給流のフッ素化アルケンとフッ素化アルカンの比率が約1:8〜約1:20である、請求項1に記載の方法。
  4. 工程(b)における前記出発材料供給流中のフッ素化アルケンの転換率が約35重量%〜約65重量%である、請求項1に記載の方法。
  5. 工程(b)に前記第1中間生成物流を再循環させる前に、その中の前記フッ素化アルケンと前記フッ素化アルカンの比率を調整する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記第1中間生成物のフッ素化アルケンとフッ素化アルカンの比率が約1:8〜約1:20である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記最終生成物流が20ppm未満の式Iのフッ素化アルケンおよび/または200ppm未満の式Iのフッ素化アルケンを含む、請求項1に記載の方法。
  8. 前記式Iのアルケンがヘキサフルオロプロピレンまたは1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンおよび前記式IIのアルカンが1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパンまたは1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパンを含む、請求項1に記載の方法。
  9. 前記最終生成物流を脱ハロゲン化水素化して、式Iの第2フッ素化オレフィンを生成する工程を更に含み、前記式Iの第2フッ素化オレフィンが前記工程(a)のフッ素化オレフィンよりも1個少ないフッ素原子を有する、請求項1に記載の方法。
  10. 前記水素化工程(a)および/または(e)が液相反応で、およびパラジウム炭素、Pd/α−Al、Ni/C、およびNi/Alからなる群から選択されるアルミニウム触媒の存在下で行われる、請求項1に記載の方法。
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