JP2016501196A - Rsvf融合前三量体 - Google Patents

Rsvf融合前三量体 Download PDF

Info

Publication number
JP2016501196A
JP2016501196A JP2015542299A JP2015542299A JP2016501196A JP 2016501196 A JP2016501196 A JP 2016501196A JP 2015542299 A JP2015542299 A JP 2015542299A JP 2015542299 A JP2015542299 A JP 2015542299A JP 2016501196 A JP2016501196 A JP 2016501196A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rsv
seq
polypeptide
ectodomain
region
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015542299A
Other languages
English (en)
Inventor
カルフィ,アンドレア
スワンソン,カート
Original Assignee
グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム
グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム, グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム filed Critical グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム
Publication of JP2016501196A publication Critical patent/JP2016501196A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K39/12Viral antigens
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/12Antivirals
    • A61P31/14Antivirals for RNA viruses
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/005Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from viruses
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2319/00Fusion polypeptide
    • C07K2319/70Fusion polypeptide containing domain for protein-protein interaction
    • C07K2319/73Fusion polypeptide containing domain for protein-protein interaction containing coiled-coiled motif (leucine zippers)
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2760/00MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA ssRNA viruses negative-sense
    • C12N2760/00011Details
    • C12N2760/18011Paramyxoviridae
    • C12N2760/18511Pneumovirus, e.g. human respiratory syncytial virus
    • C12N2760/18522New viral proteins or individual genes, new structural or functional aspects of known viral proteins or genes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2760/00MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA ssRNA viruses negative-sense
    • C12N2760/00011Details
    • C12N2760/18011Paramyxoviridae
    • C12N2760/18511Pneumovirus, e.g. human respiratory syncytial virus
    • C12N2760/18534Use of virus or viral component as vaccine, e.g. live-attenuated or inactivated virus, VLP, viral protein

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Mycology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Communicable Diseases (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Plant Pathology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Pulmonology (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

RSV Fエクトドメインポリペプチドを含有する複合体および該複合体を作製するための方法が開示される。RSV Fエクトドメインポリペプチドは、融合前形態であり得る。【選択図】なし

Description

RSV Fエクトドメインポリペプチドを含有する複合体および該複合体を作製するための方法が開示される。RSV Fエクトドメインポリペプチドは、融合前形態であり得る。
関連出願
本出願は、2012年11月20日出願の米国特許出願第61/728,498号、および2013年10月11日出願の同第61/890,086号の利益を主張する。上記出願の教示全体が、参照により本明細書中に組み入れられる。
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出された配列表を含み、該配列表はその全体が参照により本明細書中に組み入れられる。2013年11月18日に作成された当該ASCIIコピーは、PAT055275-WO-PCT_SL.txtと名付けられ、76,359バイトのサイズである。
呼吸器合胞体ウイルス(RSV)は、パラミクソウイルス科ニューモウイルス属のエンベロープ型非分節性マイナス鎖RNAウイルスである。これは、生後1年の小児の細気管支炎および肺炎の最も一般的な原因である。RSVはまた、重篤な下気道疾患をはじめとする反復性感染症も引き起こし、このような感染症はいずれの年齢でも生じ、高齢者または心臓系、肺系統、もしくは免疫系の障害を有する者で特に生じ得る。
宿主細胞に感染するために、RSVなどのパラミクソウイルスは、インフルエンザウイルスおよびHIVなどの他のエンベロープ型ウイルスと同様に、宿主細胞の膜とのウイルス膜の融合を必要とする。RSVに関して、保存された融合タンパク質(RSV F)が、膜同士の並置を不可逆的なタンパク質の再フォールディングと組み合わせることにより、ウイルス膜と細胞膜とを融合させる。パラミクソウイルス研究に基づく現在のモデルでは、RSV Fタンパク質は最初に準安定「融合前」(pre-fusion)コンホメーションへとフォールディングする。細胞侵入の間に、融合前コンホメーションは再フォールディングおよびその安定な「融合後」(post-fusion)コンホメーションへのコンホメーション変化を受ける。
RSV Fタンパク質は、mRNAから、F0と表記される約574アミノ酸のタンパク質へと翻訳される。F0の翻訳後プロセシングは、小胞体でのシグナルペプチダーゼによるN末端シグナルペプチドの除去を含む。F0はまた、トランスゴルジにて、細胞のプロテアーゼ(特にフーリン(furin))によっても、2箇所で切断される(おおよそ109/110およびおおよそ136/137)。この切断は、短い介在配列の除去をもたらし、F1(約50kDa;C末端;おおよそ残基137〜574)およびF2(約20kDa;N末端;おおよそ残基1〜109)と表記される2つのサブユニットをつくり出し、これらは互いに結合したままである。F1は、そのN末端に疎水性融合ペプチドを含み、また2つの両親媒性7残基反復領域(heptad-repeat region)(HRAおよびHRB)も含む。HRAは融合ペプチド付近にあり、HRBは膜貫通ドメイン付近にある。3つのF1-F2ヘテロ二量体が、ビリオン中でF1-F2のホモ三量体として組み立てられる。
RSV感染に対するワクチンは、現在入手可能でないが、所望されている。ワクチンを生成するための1つの考えられるアプローチは、精製したRSV Fタンパク質に基づくサブユニットワクチンである。しかしながら、このアプローチのためには、精製されたRSV Fタンパク質が単一型かつ経時的に安定なコンホメーションにあり、ワクチンロット間で一定であり、好都合に精製されることが望ましい。
RSV Fタンパク質は、エクトドメイン(可溶性であり得る)としてのその発現を可能にするために、例えば、膜貫通ドメインおよび細胞質テイルの欠失により、末端切断することができる。また、RSV Fタンパク質は、最初は単量体として翻訳されるが、該単量体は切断され、三量体へとアッセンブルされる。RSV Fタンパク質が切断型三量体の形態にあるときに、疎水性融合ペプチドが露出される。異なる三量体(例えば、可溶性エクトドメイン三量体)上の露出された疎水性融合ペプチドは互いに結合することができ、これはロゼット(rosette)の形成を生じさせる。疎水性融合ペプチドはまた、例えば、組み換え可溶性RSV Fタンパク質を発現するために用いられる細胞由来の脂質およびリポタンパク質と結合することもできる。RSV Fタンパク質のプロセシング、構造および再フォールディングの複雑さゆえに、精製された均一な免疫原性調製物は、取得するのが困難である。
RSV Fの融合前形態は、融合後形態には存在しないエピトープを含む。例えば、Magro, M. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 109(8):3089-94 (2012)を参照されたい。つまり、ワクチンに関して、安定化された融合前形態は一般的に、抗原としてより望ましいと考えられる。数種類のRSV F構築物が、GCN安定化の一般的テーマを用いて作製されてきた。しかしながら、それぞれの場合で、HRBが、GCN、遺伝子操作されたジスルフィド結合または三量体HRB疎水性コア相互作用を強化するために設計された点突然変異を用いて安定化されたかにかかわらず、結果として得られたのは、効率的に細胞から発現および輸送されないタンパク質であった。融合ペプチド放出を防ぐためにそのフーリン切断部位への突然変異を有する融合後RSV Fを作製する試みは、十分に研究されたパラインフルエンザウイルスFで観察されたものと同様に、RSV Fの三量体形成の障害を生じさせた。
Magro, M. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 109(8):3089-94 (2012)
つまり、改良されたRSV Fタンパク質組成物およびRSV Fタンパク質組成物の製造方法に対する必要性がある。
本発明は、それぞれが内因性HRA領域を含む3つのRSV Fエクトドメインポリペプチド、および少なくとも1つのオリゴマー化ポリペプチドを含む呼吸器合胞体ウイルスF(RSV F)複合体に関し、3つのエクトドメインポリペプチドおよび少なくとも1つのオリゴマー化ポリペプチドは6ヘリックスバンドル(six-helix bundle)を形成し、但し、RSV Fポリペプチドの内因性HRA領域は、該6ヘリックスバンドルの一部を成さない。任意により、それぞれのRSV FエクトドメインポリペプチドはHRB領域を含むことができ、それぞれのオリゴマー化ポリペプチドはオリゴマー化領域を含むことができる。6ヘリックスバンドルは、各RSV FエクトドメインのHRB領域および各オリゴマー化ペプチドのオリゴマー化領域を含むことができる。オリゴマー化領域は、RSV F HRAアミノ酸配列を含むことができる。任意により、該複合体は、3つのRSV Fエクトドメインポリペプチドおよび3つのオリゴマー化ポリペプチドからなることができる。オリゴマー化ポリペプチドのうちの1つ以上が、オリゴマー化領域に作動可能に連結されている機能的領域を更に含むことができる。機能的領域は、免疫原性担体タンパク質、抗原、粒子形成性ポリペプチド、脂質、およびオリゴマー化ポリペプチドをリポソームまたは粒子と結合させることができるポリペプチドからなる群より独立に選択することができる。機能的領域は抗原であり得る。抗原はRSV Gであり得る。任意により、RSV Fエクトドメインポリペプチドのうちの1つ以上が未切断型RSV Fエクトドメインポリペプチドである。任意により、RSV Fエクトドメインポリペプチドのうちの1つ以上が切断型RSV Fエクトドメインポリペプチドである。任意により、RSV Fエクトドメインポリペプチドのそれぞれが、1箇所以上の改変型フーリン切断部位を含む。任意により、RSV Fエクトドメインポリペプチドのうちの1つ以上が、国際公開第2011/008974号(その全体で参照により本明細書中に組み入れられる)に以前に記載されているアミノ酸配列または突然変異を含むことができる。RSV Fエクトドメインポリペプチドのアミノ酸配列は、以下の配列からなる群より選択される配列を含むことができる:配列番号8(Del21 Furx)、配列番号3(Furmt)、配列番号4(Furdel)、配列番号5(Furx)、配列番号6(Furx R113Q、K123N、K124N)、配列番号7(Furx R113Q、K123Q、K124Q)、配列番号9(Delp23Furx)、配列番号10(Delp21 furdel)、配列番号11(Delp23 furdel)、配列番号12(N末端フーリン)、配列番号13(C末端フーリン)、配列番号14(第Xa因子)、配列番号15、配列番号26(融合ペプチド欠失1)、およびシグナルペプチドおよび/またはHISタグが省略された上記の配列のいずれか。RSV Fエクトドメインポリペプチドのうちの少なくとも1つが、C末端6ヘリックスバンドル形成性部分を含む組み換えポリペプチドであり得る。C末端6ヘリックスバンドル形成性部分は、エンベロープ型ウイルスの融合タンパク質の7残基反復領域を含む。7残基反復領域は、エンベロープ型ウイルスのI型融合タンパク質由来のHRAまたはHRBであり得る。例えば、7残基反復領域は、RSV F HRA、RSV F HRB、およびHIV gp41 HRAからなる群より選択することができる。任意により、6ヘリックスバンドルは、3つの組み換えRSV FエクトドメインポリペプチドのC末端6ヘリックスバンドル形成性部分および各オリゴマー化ペプチドのオリゴマー化領域を含む。RSV Fエクトドメインポリペプチドは、融合前コンホメーションであり得る。RSV F複合体は、ネガティブ染色電子顕微鏡写真で見た場合に、丸みを帯びた形状により特徴付けることができる。RSV F複合体は、RSV Fの融合後形態には存在しない融合前エピトープを含むことができる。
本発明はまた、内因性HRA領域および内因性HRB領域をそれぞれ含む3つのRSV Fエクトドメインポリペプチドを含み、該RSV Fエクトドメインポリペプチドのうちの少なくとも1つがC末端6ヘリックスバンドル形成性部分をさらに含む、呼吸器合胞体ウイルスF(RSV F)複合体にも関し、該複合体は、該C末端6ヘリックスバンドル形成性部分および内因性HRB領域により形成される6ヘリックスバンドルにより特徴付けられる。
本発明はまた、呼吸器合胞体ウイルスF(RSV F)複合体を生成するための方法であって、(a) RSV Fタンパク質エクトドメインポリペプチドおよび少なくとも1種のオリゴマー化ポリペプチドを提供するステップ、ならびに(b)該RSV Fエクトドメインポリペプチドと該少なくとも1種のオリゴマー化ポリペプチドとを、RSV F複合体の形成に好適な条件下で組み合わせ、それにより該RSV Fエクトドメインポリペプチドの3つと該オリゴマー化ポリペプチドの少なくとも1つが6ヘリックスバンドルを形成する、RSV F複合体を生成させるステップを含み、但し、RSV Fエクトドメインポリペプチドの内因性HRA領域は該6ヘリックスバンドルの一部を成さない、上記方法にも関する。(a)で提供されるRSV Fエクトドメインポリペプチドは、未切断型RSV Fエクトドメインポリペプチドであり得る。(a)で提供されるRSV Fエクトドメインポリペプチドは、1箇所以上の改変型フーリン切断部位を含み得る。(a)で提供されるRSV Fエクトドメインポリペプチドは、精製された単量体であり得る。任意により、該方法は、(c)プロテアーゼを用いて、生成された複合体中のRSV Fタンパク質エクトドメインポリペプチドを切断するステップ、をさらに含むことができる。(a)で提供されるRSV Fタンパク質エクトドメインポリペプチドは、昆虫細胞、哺乳動物細胞、鳥類細胞、酵母細胞、テトラヒメナ細胞、またはそれらの組み合わせで発現させることができる。各RSV FエクトドメインポリペプチドはHRB領域を含むことができ、各オリゴマー化ポリペプチドはオリゴマー化領域を含むことができる。各RSV FエクトドメインポリペプチドはHRB領域を含むことができ、各外来性オリゴマー化ポリペプチドはオリゴマー化領域を含むことができる。6ヘリックスバンドルは、各RSV FエクトドメインポリペプチドのHRB領域および各オリゴマー化ペプチドのオリゴマー化領域を含むことができる。各オリゴマー化領域は、RSV F HRAアミノ酸配列を含むことができる。複合体は、3つのRSV Fエクトドメインポリペプチドおよび3つのオリゴマー化ポリペプチドからなることができる。オリゴマー化ポリペプチドのうちの1つ以上は、オリゴマー化領域に作動可能に連結されている機能的領域をさらに含むことができる。ステップ(a)で提供されるRSV Fエクトドメインポリペプチドのアミノ酸配列は、以下の配列からなる群より選択される配列を含むことができる:配列番号8(Del21 Furx)、配列番号3(Furmt)、配列番号4(Furdel)、配列番号5(Furx)、配列番号6(Furx R113Q、K123N、K124N)、配列番号7(Furx R113Q、K123Q、K124Q)、配列番号9(Delp23Furx)、配列番号10(Delp21 furdel)、配列番号11(Delp23 furdel)、配列番号12(N末端フーリン)、配列番号13(C末端フーリン)、配列番号14(第Xa因子)、配列番号15、配列番号26(融合ペプチド欠失1)、およびシグナルペプチドおよび/またはHISタグが省略された上記の配列のいずれか。任意により、RSV Fエクトドメインポリペプチドのうちの少なくとも1つは、C末端6ヘリックスバンドル形成性部分を含む組み換えポリペプチドであり得る。任意により、C末端6ヘリックスバンドル形成性部分は、エンベロープ型ウイルスの融合タンパク質の融合領域の7残基反復領域を含むことができる。7残基反復領域は、エンベロープ型ウイルスのI型融合タンパク質由来のHRAまたはHRBであり得る。例えば、7残基反復領域は、RSV F HRA、RSV F HRB、またはHIV gp41 HRAであり得る。6ヘリックスバンドルは、3つの組み換えRSV FエクトドメインポリペプチドのC末端6ヘリックスバンドル形成性部分および各オリゴマー化ペプチドのオリゴマー化領域を含むことができる。生成される複合体中のRSV Fエクトドメインポリペプチドは、融合前コンホメーションであり得る。生成される複合体中のRSV Fエクトドメインポリペプチドは、ネガティブ染色電子顕微鏡写真で見た場合に、丸みを帯びた形状により特徴付けることができる。生成される複合体中のRSV Fエクトドメインポリペプチドは、RSV Fの融合後形態には存在しない融合前エピトープを含むことができる。
本発明はまた、呼吸器合胞体ウイルスF(RSV F)複合体を生成するための方法であって、(a) C末端6ヘリックスバンドル形成性部分を含むRSV Fタンパク質エクトドメインポリペプチドを提供するステップ、および(b) RSV F複合体の形成に好適な条件下で、該RSV Fエクトドメインポリペプチド同士を組み合わせ、それにより、3つのRSV Fエクトドメインポリペプチドを含みかつC末端6ヘリックスバンドル形成性部分および内因性HRB領域により形成される6ヘリックスバンドルにより特徴付けられるRSV F複合体が生成されるステップを含む、上記方法にも関する。
本発明はまた、本明細書中に記載される方法のいずれかにより生成される呼吸器合胞体ウイルス(RSV F)複合体にも関する。
本発明はまた、本明細書中に記載される呼吸器合胞体ウイルスF(RSV F)複合体を含む免疫原性組成物にも関する。
本発明はまた、被験体に免疫原性組成物を投与するステップを含む、被験体でRSV Fに対する免疫応答を誘導する方法にも関する。
野生型RSV Fタンパク質の模式図であり、シグナル配列またはシグナルペプチド(SP)、p27リンカー領域、融合ペプチド(FP)、HRAドメイン(HRA)、HRBドメイン(HRB)、膜貫通領域(TM)、および細胞質テイル(CT)を示す。エクトドメインのC末端境界は変化し得る。明確性のために、図1A、図1Bおよび図1C中の残基番号付けは、N末端シグナルペプチドで開始される野生型A2株RSV Fに関し、アミノ酸欠失を含む構築物中で変更していない。 RSV Fエクトドメイン構築物の概略模式図であり、該構築物中では膜貫通ドメインおよび細胞質テイルが除去され、任意的なHIS6タグ(配列番号41)がC末端に付加されている。図1Aの模式図と共通の特徴および任意的なHIS6タグ(HIS TAG)(配列番号41)を示す。フーリン切断部位は、アミノ酸位置109/110および136/137に存在する。明確性のために、図1A、図1Bおよび図1C中の残基番号付けは、N末端シグナルペプチドで開始される野生型A2株RSV Fに関し、アミノ酸欠失を含む構築物中で変更していない。 一方もしくは両方のフーリン切断部位および/または融合ペプチド領域が突然変異または欠失された、RSV F(野生型)(配列番号25)および数種類のタンパク質(Furmt-配列番号3;Furdel-配列番号4;Furx-配列番号5;Furx R113Q、K123N、K124N-配列番号6;Furx R113Q、K123Q、K124Q-配列番号7;Delp21 furx-配列番号8;Delp23 furx-配列番号9;Delp23 furdel-配列番号11;N末端フーリン-配列番号12;C末端フーリン-配列番号13;融合ペプチド欠失1-配列番号26;および第Xa因子-配列番号14)のアミノ酸100〜150のアミノ酸配列を示す図である。図中、記号「-」は、その位置のアミノ酸が欠失されていることを示す。明確性のために、図1A、図1Bおよび図1C中の残基番号付けは、N末端シグナルペプチドで開始される野生型A2株RSV Fに関し、アミノ酸欠失を含む構築物中で変更していない。 RSVの数種類のウイルス株由来のFタンパク質のアミノ酸配列のアライメントを示す図である。アライメントは、Corpet, Nucleic Acids Research, 1998, 16(22):10881-10890に開示されているアルゴリズムを用い、初期設定パラメータ(Blosum 62シンボル比較テーブル、ギャップオープンペナルティ:12、ギャップ伸長ペナルティ: )を用いて作成された。A2、A2株のFタンパク質(登録番号AF035006)(配列番号27);CP52、CP52株のFタンパク質(登録番号AF013255)(配列番号28);B、B株のFタンパク質(登録番号AF013254)(配列番号29);long、long株のFタンパク質(登録番号AY911262)(配列番号30)、および18537、18537株のFタンパク質(登録番号Swiss Prot P13843)(配列番号31)。Fタンパク質配列のコンセンサスもまた示され(配列番号24)、特別な記号に対しては以下の定義を用いる:「!」はIおよびVのいずれか一方、「$」はLおよびMのいずれか一方、「%」はFおよびYのいずれか一方、ならびに「#」はN、D、Q、E、B、およびZのいずれか1つ。これらの定義は、CorpetによるNucleic Acids Researchの参考文献にて言及されるMultAlinTMソフトウェアから取得した。 図2Aの続き。 図2Bの続き。 図2Cの続き。 in vitro三量体化プロセスを示す模式図であって、これにより、HRB(エクトドメインペプチド)を含むRSV F単量体溶液が発現および精製され、続いてHRAペプチド(オリゴマー化ペプチド)と混合され、RSV単量体/三量体「頭部」および人工的6ヘリックスバンドルの形態で、Fタンパク質由来のHRBおよびHRAペプチドを含む6分子複合体の形成が誘導される(A、BおよびC)。三量体を精製し、任意によりトリプシンを用いて切断可能単量体を切断し、これは融合前Fの球状頭部の形成を可能にし得る(DおよびE)。 HRAペプチドの存在下で三量体化されたRSV F単量体(融合前コンホメーション)の仮想的モデルを示す図である。左側では、本発明者らは、PIV5融合前構造の単鎖に倣ってモデル化される、単量体融合前前駆体の仮想的構造を明示する。分子の底部へ向かって延びるHRBヘリックスはおそらく構造化されないが、明確性のためにヘリックスとして本明細書中で描く。矢印は、RSV F単量体の質量の約5倍の過剰量で添加されるRSV F HRAペプチドの導入を示す。右側では、本発明者らは、三量体化された単量体の仮想的構造を明示する。三量体はおそらく、球状頭部(上側)中の鎖と、分子中の新規に形成された6ヘリックスバンドル(下側)との間の接触を介して維持される。
本発明者らは、ビリオン上に現われる通りにホモ三量体の形態で組み換えRSV Fポリペプチドを生成するには、RSV Fポリペプチドの切断が必要であること、およびポリペプチドが未切断である場合には、RSV Fポリペプチド単量体が形成されることを見出した。RSV Fエクトドメインがin vivoで切断される場合には、タンパク質は細胞残渣に結合する三量体を形成し、このことにより、精製が難しくなる。
本発明者らは、RSV F複合体を生成するために、オリゴマー化ペプチドまたは挿入されたオリゴマー化部分を用いるin vitroアプローチを開発しており、該複合体では、オリゴマー化ポリペプチドまたは挿入されたオリゴマー化部分のすべてまたは一部分が、RSV Fポリペプチド(例えば、HRB、HRA、および挿入された配列)の一部分と一緒に6ヘリックスバンドルを形成する。したがって、一部の態様では、本発明は、3つのRSV Fエクトドメインポリペプチドおよび3つのオリゴマー化ポリペプチドを含む可溶性RSV Fポリペプチド複合体に関する。本明細書中に記載される通り、複合体は安定であり、商業的規模で好都合に生成することができる。安定な複合体は、タンパク質が凝集または分解する傾向が弱まっている免疫原性組成物を生成することができ、これは、該組成物が被験体に投与される場合に、より予測可能な免疫応答をもたらす。一部の実施形態では、複合体中のRSV Fエクトドメインの構造は、融合前コンホメーションである。融合前コンホメーションのエピトープは、天然ビリオンを認識および中和することができる抗体を生起することがより可能である場合がある。本発明はまた、そのような複合体を生成するための方法、該複合体を含む免疫原性組成物ならびに該複合体および組成物を用いる方法にも関する。
定義
RSV Fタンパク質の「融合後コンホメーション」は、3つの内因性HRB領域および3つの内因性HRA領域を含む、6ヘリックスバンドルの存在を特徴とする三量体である。融合後コンホメーションは、ネガティブ染色電子顕微鏡写真で見た場合の円錐形により、および/または融合前エピトープの欠如により、さらに特徴付けられる。例えば、Magro, M. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 109(8):3089-94 (2012)を参照されたい。
RSV Fタンパク質の「融合前コンホメーション」は、内因性HRA領域が6ヘリックスバンドルを形成するために内因性HRB領域と相互作用していない三量体である。6ヘリックスバンドルは、内因性HRA領域が該6ヘリックスバンドルの一部でないという条件で、融合前コンホメーションで存在し得る。融合前コンホメーションは、PIV5融合前F構造で見られるのと同様に(例えば、Yin HS, et al. (2006) Nature 439(7072):38-44を参照されたい)、ネガティブ染色電子顕微鏡写真で見た場合の丸みを帯びた形状により、および/または融合後コンホメーションには存在しない融合前エピトープにより、さらに特徴付けられる。例えば、Magro, M. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 109(8):3089-94 (2012)を参照されたい。
本明細書中で用いる場合、「内因性HRA領域」との用語は、天然に存在するFタンパク質のF0型のアミノ酸配列中のHRA領域と実質的に同じ位置でFポリペプチド中に存在するHRA領域を意味する。RSV Fエクトドメインポリペプチドまたは組み換えRSV FエクトドメインポリペプチドなどのRSV Fタンパク質の場合には、内因性HRA領域は、おおよそアミノ酸154からおおよそアミノ酸206までである。アミノ酸番号付けは、シグナルペプチドを含むRSV Fの野生型A2株の配列(配列番号1)に基づき、アミノ酸位置は欠失される残基に割り当てられる。例えば、RSV Fの融合ペプチドが全体でまたは部分的に欠失される場合には、HRA領域のアミノ酸が野生型配列と同じ位置番号を有するように、欠失されるアミノ酸が番号付けされるであろう。
本明細書中で用いる場合、「挿入されたHRA領域」との用語は、天然に存在するFタンパク質のF0型のアミノ酸配列中のHRA領域とは異なる位置でFポリペプチド中に存在するHRA領域を意味する。例えば、RSV Fポリペプチドは、例えば、HRB領域に対してカルボキシ末端側に位置する挿入されたHRA領域、および内因性HRA領域を含むことができる。
本明細書中で用いる場合、「RSV Fエクトドメインポリペプチド」とは、シグナルペプチド(例えば、おおよそアミノ酸1〜おおよそアミノ酸524、またはおおよそアミノ酸22〜おおよそアミノ酸524)を含むかまたは含まずに、成熟RSV Fタンパク質の細胞外部分を実質的に含むが、天然に存在するRSV Fタンパク質の膜貫通ドメインおよび細胞質テイルを有しない、RSV Fポリペプチドを意味する。RSV Fエクトドメインポリペプチドは、HRBドメインを含む。
本明細書中で用いる場合、「切断型RSV Fエクトドメインポリペプチド」とは、おおよそ101/102からおおよそ160/161までの1箇所以上の位置で切断されて2つのサブユニットを生成しており、該サブユニットの一方がF1を含み、他方のサブユニットがF2を含む、RSV Fエクトドメインポリペプチドを意味する。
本明細書中で用いる場合、「C末端未切断型RSV Fエクトドメインポリペプチド」とは、おおよそ101/102からおおよそ131/132までの1箇所以上の位置で切断され、おおよそ132/133からおおよそ160/161までの1箇所以上で切断されず、それにより2つのサブユニットを生成し、該サブユニットの一方がF1を含み、他方のサブユニットがF2を含む、RSV Fエクトドメインポリペプチドを意味する。
本明細書中で用いる場合、「未切断型RSV Fエクトドメインポリペプチド」とは、おおよそ101/102からおおよそ160/161までの1箇所以上の位置で切断されていないRSV Fエクトドメインポリペプチドを意味する。未切断型RSV Fエクトドメインポリペプチドは、例えば、単量体または三量体であり得る。
本明細書中で用いる場合、「精製された」タンパク質またはポリペプチドとは、組み換え的にもしくは合成的に生成されるか、またはその天然の宿主により生成され、組成物中に存在する他の高分子構成成分と比較して、タンパク質の量が未精製(crude)調製物中に存在するよりも実質的に高くなるように、組み換えもしくは合成生成系または天然の宿主の他の構成成分から単離されている、タンパク質またはポリペプチドである。一般的に、精製されたタンパク質は、調製物中に、少なくとも約50%の該タンパク質を含み、より好ましくは調製物中に、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%の該タンパク質を含むであろう。
本明細書中で用いる場合、「脂質およびリポタンパク質を実質的に含まない」とは、タンパク質および/またはポリペプチド(例えば、RSV Fポリペプチド)純度をSDS-PAGEゲル上で観察し、総タンパク質含有量をUV280吸収またはBCA分析のいずれかを用いて測定し、かつ脂質およびリポタンパク質含有量をホスホリパーゼCアッセイ(Wako、コード番号433-36201)を用いて測定する場合に、質量基準で、少なくとも約95%、脂質およびリポタンパク質を含まない、組成物、タンパク質およびポリペプチドを意味する。
本明細書中で用いる場合、「改変型フーリン切断部位」とは、フーリンまたはフーリン様プロテアーゼにより認識および切断される天然に存在するRSV Fタンパク質中のおおよそ106〜109位およびおおよそ133〜136位のアミノ酸配列であるが、未切断型RSV Fタンパク質エクトドメインポリペプチドでは、1箇所以上のアミノ酸置換、1箇所以上のアミノ酸欠失、または1箇所以上のアミノ酸置換と1箇所以上のアミノ酸欠失との組み合わせを含み、それにより改変型フーリン切断部位を含むRSV Fエクトドメインポリペプチドが、改変型フーリン切断部位で未切断のものを生成する細胞から分泌されるようになる、アミノ酸配列を意味する。
本明細書中で用いる場合、「オリゴマー化ポリペプチド」とは、本明細書中に記載されるRSV Fポリペプチドとは別個の分子であり、オリゴマー化領域および任意により機能的領域を含む、ポリペプチドまたはポリペプチドコンジュゲートを意味する。オリゴマー化領域は、RSV Fエクトドメインポリペプチドに結合することができ、かつRSV Fエクトドメインポリペプチドの対応する部分と共に6ヘリックスバンドルを形成することができるアミノ酸配列を含む。例えば、オリゴマー化ポリペプチドがRSV F HRAアミノ酸配列を含む場合、これはRSV Fポリペプチドの内因性HRB領域と共に6ヘリックスバンドルを形成することができる。オリゴマー化ポリペプチドがオリゴマー化領域および機能的領域を含む場合、該2種類の領域が作動可能に連結されて、それにより、オリゴマー化領域がRSV Fエクトドメインポリペプチドと共に6ヘリックスバンドルを形成することができ、機能的領域は所望の機能的活性を保持する。
本明細書中で用いる場合、「C末端6ヘリックスバンドル形成性部分」とは、6ヘリックスバンドルを形成することができ、かつ(1)天然に存在するRSV Fタンパク質の内因性HRB領域のC末端に位置し、(2)天然に存在するRSV Fタンパク質ではその位置に見出されない、組み換えRSV Fエクトドメインポリペプチドの一部分を意味する。一例では、C末端6ヘリックスバンドル形成性部分は、リンカー配列を用いるかまたは用いずに、RSV Fの内因性HRB領域のC末端に挿入される、RSV FのHRA領域である。C末端6ヘリックスバンドル形成性部分は、1つ以上のオリゴマー化ポリペプチドと共に、または組み換えRSV Fポリペプチドの内因性部分と共に、6ヘリックスバンドルを形成することができる。
本発明での使用のために好適なRSV Fタンパク質エクトドメインの特徴は、A2株由来のRSV Fタンパク質の配列(配列番号1)中のアミノ酸の位置により特定される、個別のアミノ酸に対する参照を伴って、本明細書中に記載される。RSV Fタンパク質エクトドメインは、A2株またはいずれかの他の所望の株由来のFタンパク質のアミノ酸配列を有することができる。A2株以外の株由来のFタンパク質エクトドメインが用いられる場合、Fタンパク質のアミノ酸は、必要であればギャップを挿入して、A2株由来のFタンパク質のナンバリングを参照して番号付けされるべきである。これは、A2株、CP52株、B株、long株、および18537株由来のFタンパク質に関して本明細書中で示されている通り、A2株のFタンパク質と、いずれかの所望のRSV Fタンパク質の配列とをアライメントすることにより、達成することができる。図2を参照されたい。配列アライメントは、初期設定パラメータ(Blossum 62シンボル比較テーブル、ギャップオープンペナルティ:12、ギャップ伸長ペナルティ:2)を用いて、Corpet, Nucleic Acids Research, 1998, 16(22):10881-10890により開示されるアルゴリズムを用いて好ましく作成される。
RSV F糖タンパク質
RSVのF糖タンパク質は、ビリオンエンベロープと宿主細胞形質膜との融合による、ウイルス侵入を牽引する。これは、以下の4つのおおまかなドメインを有するI型1回貫通型内在性膜タンパク質である:N末端ER移行シグナル配列(SS)、エクトドメイン(ED)、膜貫通ドメイン(TM)、および細胞質テイル(CT)。CTは、単独のパルミトイル化システイン残基を含む。Fタンパク質の配列は、RSV分離株の間で非常によく保存されているが、絶えず進化している(Kim et al. (2007) J Med Virol 79: 820-828)。大部分のパラミクソウイルスとは異なり、RSVのFタンパク質は、他のウイルスタンパク質とは無関係に侵入および合胞体形成を仲介できる(他のパラミクソウイルスでは、Fに加えて、通常はHNが必要とされる)。
hRSV F mRNAは、F0と表記される574アミノ酸前駆体タンパク質へと翻訳され、F0は小胞体でシグナルペプチダーゼにより除去される、N末端にあるシグナルペプチド配列を含む。F0は、トランスゴルジにて細胞のプロテアーゼ(特にフーリン)によって2箇所(a.a.109/110および136/137)で切断され、短いグリコシル化介在配列が除去されて、F1(約50kDa;C末端;残基137〜574)およびF2(約20kDa;N末端;残基1〜109)と表記される2つのサブユニットが生成される(例えば、図1を参照されたい)。F1は、そのN末端に疎水性融合ペプチドを含み、2つの疎水性7残基反復領域(HRAおよびHRB)も含む。HRAは融合ペプチド付近にあり、HRBは膜貫通ドメイン付近にある(例えば、図1を参照されたい)。F1-F2ヘテロ二量体は、ビリオン中でホモ三量体として組み立てられる。
RSVは、単一の血清型として存在するが、2種類の抗原性亜群:AおよびBを有する。2つの群のF糖タンパク質は、アミノ酸配列で約90%同一である。A亜群、B亜群、または両者の組み合わせもしくはハイブリッドを、本発明で用いることができる。A亜群に対する配列例は配列番号1(A2株;GenBank GI: 138251;Swiss Prot P03420)であり、B亜群に対する配列例は配列番号2(18537株;GI: 138250;Swiss Prot P13843)である。配列番号1および配列番号2は、両方とも574アミノ酸の配列である。A2株でのシグナルペプチドはa.a.1〜21であるが、18537株ではa.a.1〜22である。両方の配列で、TMドメインはおおよそa.a.530〜550であるが、別に525〜548とも報告されている。
配列番号1
1 MELLILKANAITTILTAVTFCFASGQNITEEFYQSTCSAVSKGYLSALRTGWYTSVITIE 60
61 LSNIKENKCNGTDAKVKLIKQELDKYKNAVTELQLLMQSTPPTNNRARRELPRFMNYTLN 120
121 NAKKTNVTLSKKRKRRFLGFLLGVGSAIASGVAVSKVLHLEGEVNKIKSALLSTNKAVVS 180
181 LSNGVSVLTSKVLDLKNYIDKQLLPIVNKQSCSISNIETVIEFQQKNNRLLEITREFSVN 240
241 AGVTTPVSTYMLTNSELLSLINDMPITNDQKKLMSNNVQIVRQQSYSIMSIIKEEVLAYV 300
301 VQLPLYGVIDTPCWKLHTSPLCTTNTKEGSNICLTRTDRGWYCDNAGSVSFFPQAETCKV 360
361 QSNRVFCDTMNSLTLPSEINLCNVDIFNPKYDCKIMTSKTDVSSSVITSLGAIVSCYGKT 420
421 KCTASNKNRGIIKTFSNGCDYVSNKGMDTVSVGNTLYYVNKQEGKSLYVKGEPIINFYDP 480
481 LVFPSDEFDASISQVNEKINQSLAFIRKSDELLHNVNAGKSTTNIMITTIIIVIIVILLS 540
541 LIAVGLLLYCKARSTPVTLSKDQLSGINNIAFSN 574
配列番号2
1 MELLIHRSSAIFLTLAVNALYLTSSQNITEEFYQSTCSAVSRGYFSALRTGWYTSVITIE 60
61 LSNIKETKCNGTDTKVKLIKQELDKYKNAVTELQLLMQNTPAANNRARREAPQYMNYTIN 120
121 TTKNLNVSISKKRKRRFLGFLLGVGSAIASGIAVSKVLHLEGEVNKIKNALLSTNKAVVS 180
181 LSNGVSVLTSKVLDLKNYINNRLLPIVNQQSCRISNIETVIEFQQMNSRLLEITREFSVN 240
241 AGVTTPLSTYMLTNSELLSLINDMPITNDQKKLMSSNVQIVRQQSYSIMSIIKEEVLAYV 300
301 VQLPIYGVIDTPCWKLHTSPLCTTNIKEGSNICLTRTDRGWYCDNAGSVSFFPQADTCKV 360
361 QSNRVFCDTMNSLTLPSEVSLCNTDIFNSKYDCKIMTSKTDISSSVITSLGAIVSCYGKT 420
421 KCTASNKNRGIIKTFSNGCDYVSNKGVDTVSVGNTLYYVNKLEGKNLYVKGEPIINYYDP 480
481 LVFPSDEFDASISQVNEKINQSLAFIRRSDELLHNVNTGKSTTNIMITTIIIVIIVVLLS 540
541 LIAIGLLLYCKAKNTPVTLSKDQLSGINNIAFSK 574
本発明は、配列番号1もしくは2のアミノ酸配列、または配列番号1もしくは2に対する同一性を有する配列などの、いずれかの所望のRSV Fアミノ酸配列を用いることができる。典型的には、これは配列番号1または2に対して少なくとも75%の同一性、例えば、配列番号1または2に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の同一性を有するであろう。該配列は、RSVで天然に見出される場合がある。
好ましくはFタンパク質のエクトドメインを、全体でまたは部分的に用い、これは以下のポリペプチドを含み得る:
(i)配列番号1のおおよそアミノ酸22〜525を含むポリペプチド;
(ii)配列番号2のおおよそアミノ酸23〜525を含むポリペプチド;
(iii) (i)または(ii)に対して少なくとも75%の同一性(例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の同一性)を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;または
(iv) (i)、(ii)または(iii)の断片を含むポリペプチドであって、該断片が、少なくとも1つのFタンパク質エピトープを含むポリペプチド。該断片は、通常少なくとも約100アミノ酸長、例えば、少なくとも約150、少なくとも約200、少なくとも約250、少なくとも約300、少なくとも約350、少なくとも約400、少なくとも約450アミノ酸長であろう。
エクトドメインは、シグナルペプチドを含むかまたは含まないF0形態であることができ、または互いに結合している(例えば、サブユニット同士がジスルフィド架橋により連結されていることができる)2つの別個のペプチド鎖(例えば、F1サブユニットおよびF2サブユニット)を含むことができる。したがって、おおよそアミノ酸101からおおよそ161までのすべてまたは一部分(アミノ酸110〜136など)が、エクトドメインには不在であり得る。つまり、エクトドメインは、以下の分子を、全体または一部分で含むことができる:
(v)第1のペプチド鎖および該第1のポリペプチド鎖と結合している第2のペプチド鎖であって、該第1のペプチド鎖は、配列番号1のおおよそアミノ酸22からおおよそアミノ酸101まで、または配列番号2のおおよそアミノ酸23からおおよそアミノ酸101までに対して、少なくとも75%の同一性(例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の同一性、または100%の同一性でさえ)を有するアミノ酸配列を含み、該第2のペプチド鎖は、配列番号1のおおよそアミノ酸162からおおよそアミノ酸525まで、または配列番号2のおおよそアミノ酸162から525までに対して、少なくとも75%の同一性(例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の同一性、または100%の同一性でさえ)を有するアミノ酸配列を含む、第1のペプチド鎖および第2のペプチド鎖;
(vi) 第1のペプチド鎖および該第1のポリペプチド鎖と結合している第2のペプチド鎖であって、該第1のペプチド鎖は、配列番号1のおおよそアミノ酸22からおおよそアミノ酸101まで、または配列番号2のおおよそアミノ酸23からおおよそアミノ酸109までの断片を含むアミノ酸配列を含み、該第2のペプチド鎖は、配列番号1のおおよそアミノ酸162からおおよそアミノ酸525まで、または配列番号2のおおよそアミノ酸161からおおよそアミノ酸525までの断片を含む、第1のペプチド鎖および第2のペプチド鎖。該断片の一方または両方が、少なくとも1つのFタンパク質エピトープを含むであろう。第1のペプチド鎖の断片は、通常、少なくとも20アミノ酸長、例えば、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80アミノ酸長であろう。第2のペプチド鎖の断片は、通常、少なくとも100アミノ酸長、例えば、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、少なくとも450アミノ酸長であろう;または
(vii) (i)、(ii)、(iii)または(iv)のフーリン消化により取得できる分子。
つまり、本発明で用いるアミノ酸配列は、RSV Fタンパク質内で天然に見出すことができるか(例えば、TMおよびCTを有しない可溶性RSV Fタンパク質、配列番号1または2のおおよそアミノ酸522〜574)、かつ/または天然のRSV配列に対して1箇所以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30箇所)の一アミノ酸突然変異(挿入、欠失または置換)を有し得る。例えば、そのフーリン切断配列を除去するためにFタンパク質を突然変異させ、それにより細胞内プロセシングを防止することが公知である。一部の実施形態では、RSV Fタンパク質はTMおよびCTを有さず(配列番号1または2のおおよそアミノ酸522〜574)、かつ天然のRSV配列に対して1箇所以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30箇所)の一アミノ酸突然変異(挿入、欠失または置換)を含む。
RSV Fポリペプチドまたはタンパク質は、フーリン切断部位(すなわち、配列番号1および2のアミノ酸109および136)のうちの一方または両方での切断を防止するために、1箇所以上の突然変異を含むことができる。そのような突然変異を含むRSV Fエクトドメインポリペプチドは、該ポリペプチドを産生する細胞によりin vivoで切断されず、単量体として生成される。好適なフーリン切断突然変異の例としては、RARK(配列番号32)、RARQ(配列番号33)、QAQN(配列番号34)、またはIEGR(配列番号35)との配列番号1もしくは2のアミノ酸残基106〜109の置換が挙げられる。あるいは、またはさらに、配列番号1または2のアミノ酸残基133〜136は、RKKK(配列番号36)、ΔΔΔR、QNQN(配列番号37)、QQQR(配列番号38)またはIEGR(配列番号39)に置き換えることができる(Δは、アミノ酸残基が欠失されていることを示す)。所望であれば、全体または一部分でのp27領域の欠失をはじめとするp27領域(配列番号1または2のアミノ酸110〜136)での突然変異などの、本明細書中に記載されるかまたは当技術分野で公知の他の突然変異と、これらの突然変異を組み合わせることができる。
一般的に、未切断型RSV Fタンパク質エクトドメインのアミノ酸配列は、おおよそ109/110位およびおおよそ136/137位のフーリン切断部位での切断を防止するために変化させられるが、切断された際にF1サブユニットおよびF2サブユニットを生成する、天然に存在するかまたは挿入されたプロテアーゼ切断部位を含む。例えば、未切断型RSV Fタンパク質エクトドメインポリペプチドは、おおよそ109/110位およびおおよそ136/137位のフーリン切断部位での切断を防止するために変化させられるアミノ酸配列を有するが、おおよそ101位からおおよそ161位までに1箇所以上の天然に存在するかまたは挿入されたプロテアーゼ切断部位を含むことができる。
おおよそ109/110位およびおおよそ136/137位のフーリン切断部位で切断されないアミノ酸配列をはじめとする、宿主細胞によって未切断型RSV Fタンパク質エクトドメインポリペプチドが産生および発現されるのを可能にするであろう様々な個別のアミノ酸配列は、当業者が容易に設計および想起することができる。一般的に、おおよそ109/110位およびおおよそ136/137位のフーリン切断部位の一部であるかまたはその近傍に位置する1つ以上のアミノ酸が、独立に、置換または欠失される。RSV Fタンパク質エクトドメインポリペプチドの切断を防止するために好適な数種類のアミノ酸置換および欠失が公知である。例えば、109/110での切断を阻害する置換R108N、R109N、R108N/R109N、および136/137での切断を阻害する置換K131Qまたは131〜134位でのアミノ酸の欠失が記載されている(Gonzalez-Reyes et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 98:9859-9864 (2001))。アミノ酸置換R108N/R109N/ K131Q/R133Q/ R135Q/R136Qを含む未切断型RSV Fエクトドメインポリペプチドが記載されている(Ruiz-Arguello et al., J. Gen. Virol. 85:3677687 (2004))。本明細書中に記載される通り、RSV Fエクトドメインポリペプチドが未切断で宿主細胞から分泌されるという結果をもたらす追加のRSV Fタンパク質アミノ酸配列は、改変型フーリン切断部位(例えば、おおよそ106〜109位およびおおよそ133〜136位で改変されたアミノ酸配列)を含む。改変型フーリン切断部位は、おおよそ106〜109位での少なくとも1箇所のアミノ酸置換または欠失、およびおおよそ133〜136位での少なくとも1箇所のアミノ酸置換または欠失を含む。
同様に、切断された際にF1を含む第1のサブユニットおよびF2を含む第2のサブユニットを生成するプロテアーゼ切断部位(例えば、天然に存在するかまたは挿入される)を含む未切断型RSV Fタンパク質エクトドメインポリペプチドの様々な個別のアミノ酸配列が、容易に設計および想起され得る。例えば、おおよそ101位からおおよそ161位までのRSV Fタンパク質のアミノ酸配列はトリプシン切断部位を含み、該トリプシン切断部位のうちの1箇所以上が、例えばin vitroで、トリプシンにより切断されて、F1サブユニットおよびF2サブユニットを生成することができる。所望であれば、1箇所以上の好適なプロテアーゼ認識部位を、未切断型RSV Fタンパク質エクトドメインポリペプチドの、例えば、おおよそ101位からおおよそ161位の間に挿入することができる。挿入されたプロテアーゼ認識部位は、適切なプロテアーゼを用いて切断されて、F1サブユニットおよびF2サブユニットを生成することができる。
特定の実施形態では、RSV Fポリペプチドもしくはタンパク質のアミノ酸残基100〜150の配列(配列番号1、配列番号2など)、またはその可溶性エクトドメインは、以下の通りである:
(Furmt) TPATNNRARKELPRFMNYTLNNAKKTNVTLSKKRKKKFLGFLLGVGSAIAS (配列番号3)
(Furdel) TPATNNRARQELPRFMNYTLNNAKKTNVTLSKK---RFLGFLLGVGSAIAS (配列番号4)
(Furx) TPATNNQAQNELPRFMNYTLNNAKKTNVTLSQNQNQNFLGFLLGVGSAIAS (配列番号5)
(Furx R113Q, K123N, K124N) TPATNNQAQNELPQFMNYTLNNANNTNVTLSQNQNQNFLGFLLGVGSAIAS (配列番号6)
(Furx R113Q, K123Q, K124Q) TPATNNQAQNELPQFMNYTLNNAQQTNVTLSQNQNQNFLGFLLGVGSAIAS (配列番号7)
(Delp21 Furx) TPATNNQAQN---------------------QNQNQNFLGFLLGVGSAIAS (配列番号8)
(Delp23 Furx) TPATNNQAQN-----------------------QNQNFLGFLLGVGSAIAS (配列番号9)
(Delp21 furdel) TPATNNRARQ---------------------QNQQQRFLGFLLGVGSAIAS (配列番号10)
(Delp23 furdel) TPATNNRARQ-----------------------QQQRFLGFLLGVGSAIAS (配列番号11)
(N末端フーリン) TPATNNRARRELPQFMNYTLNNAQQTNVTLSQNQNQNFLGFLLGVGSAIAS (配列番号12)
(C末端フーリン) TPATNNQAQNELPQFMNYTLNNAQQTNVTLSKKRKRRFLGFLLGVGSAIAS (配列番号13)
(第Xa因子) TPATNNIEGRELPRFMNYTLNNAKKTNVTLSKKIEGRFLGFLLGVGSAIAS (配列番号14);または
(国際公開第2010/077717号) TPPTNNRARRELPRFMNYTLNNAKKTNVTLSKKRKRR----------AIAS (配列番号15)
記号「-」は、当該位置のアミノ酸が欠失していることを示す。
RSV F複合体
該複合体は、RSV Fエクトドメイン三量体を含み、6ヘリックスバンドルにより特徴付けられ、但し、内因性HRAが該6ヘリックスバンドルの一部を成さない。
一態様では、複合体は、3つのRSV Fエクトドメインポリペプチドおよび少なくとも1つのオリゴマー化ポリペプチドを含む複合体の形態で、RSV Fエクトドメイン三量体を含むことができる。オリゴマー化ポリペプチドは、RSV Fエクトドメインポリペプチドの複数部分と結合して6ヘリックスバンドルを形成することができる、オリゴマー化領域またはオリゴマー化部分を含む。つまり、複合体は、RSV Fエクトドメインポリペプチドの一部分およびオリゴマー化ポリペプチドの全部または一部分により形成される6ヘリックスバンドルを含む。
RSV Fエクトドメインは、6ヘリックスバンドルを形成することが可能な部分を含む。例えば、RSV FエクトドメインポリペプチドのHRB領域は、RSV FのHRA領域のアミノ酸配列を含むオリゴマー化ポリペプチドと共に、6ヘリックスバンドルを形成することができる。
所望であれば、本明細書中に記載される複合体中に存在するRSV Fエクトドメインのうちの1種以上が、挿入されたC末端6ヘリックスバンドル形成性部分を含む組み換えRSV Fエクトドメインポリペプチドであり得る。そのような組み換えRSV Fエクトドメインポリペプチドは、当技術分野で慣用の方法を用いて調製することができる。C末端6ヘリックスバンドル形成性部分は、RSV F由来であり得るが、天然に存在するRSV Fで該部分が現われる位置とは異なる(またはそれに加えて)C末端位置に存在する。一例では、C末端6ヘリックスバンドル形成性部分は、RSV FのHRA領域である。そのような組み換えRSV Fエクトドメインポリペプチドは、RSV FのHRB領域のアミノ酸配列を含むオリゴマー化ポリペプチドと共に6ヘリックスバンドルを形成することができる。あるいは、C末端6ヘリックスバンドル形成性部分は、RSV F以外のタンパク質から取得される外来性部分であり得る(HIV gp41のHRA領域など)。多数の6ヘリックスバンドル形成性ポリペプチドが当技術分野で周知であり、RSV F、PIVなどのエンベロープ型ウイルスのI型融合タンパク質の7残基反復領域(例えば、HRAおよびHRB)などである。例えば、Weissenhorm et al., FEBS Letters 581: 2150-2155 (2007)、Table 1を参照されたい。
オリゴマー化ポリペプチドは、RSV Fポリペプチドのエクトドメインの一部分(例えば、HRBまたは挿入されたC末端6ヘリックスバンドル形成性部分)と結合することができるオリゴマー化領域を含み、それにより複合体の形成を引き起こすことができる。オリゴマー化領域としての使用のために好適な多数の好適なポリペプチド配列が当技術分野で周知であり、RSV F、PIVなどのエンベロープ型ウイルスの融合タンパク質の7残基反復領域(例えば、HRAおよびHRB)などである。
例えば、RSV FエクトドメインポリペプチドがHRBを含む場合、オリゴマー化領域は、RSV F HRAのアミノ酸配列を含むことができる。同様に、組み換えRSV Fエクトドメインポリペプチドが、RSV FのHRA領域またはHIV gp41のHRA領域であるC末端6ヘリックスバンドル形成性部分を含む場合、例えば、オリゴマー化領域は、それぞれRSV FのHRB領域またはHIV gp41のHRB領域であり得る。
所望であれば、オリゴマー化ポリペプチドは、オリゴマー化領域に作動可能に連結されている機能的領域をさらに含むことができる。ポリペプチド(すなわち、オリゴマー化領域)と所望の機能的領域(別のポリペプチド、脂質、合成ポリマーなど)との間の作動可能な連結をつくり出すために好適な方法は、当技術分野で周知である。例えば、オリゴマー化ポリペプチドは、オリゴマー化領域を含むアミノ酸配列および機能的領域を含むアミノ酸配列が、介在リンカー配列を含むかまたは含まずに、連続するポリペプチド鎖の構成要素である、ポリペプチドであることができる。一実施形態では、オリゴマー化ポリペプチドは、オリゴマー化ペプチドと追加の機能的領域との融合体として発現および精製することができる。例えば、オリゴマー化ポリペプチドはRSV F HRA領域を含むことができ、介在リンカー配列を含むかまたは含まずに、RSV G中央ドメインと融合していることができる。また、2つのポリペプチド同士またはポリペプチドと別の分子(例えば、脂質、合成ポリマー)とを、様々な公知のアプローチを用いて、直接的にまたはリンカーを介して、化学的にコンジュゲートすることができる。例えば、Hermanson, G. T., Bioconjugate Techniques, 2nd Edition, Academic Press, Inc. 2008を参照されたい。
好適な機能的領域としては、免疫原性担体タンパク質、抗原、粒子形成性ポリペプチド(例えば、ウイルス粒子または非感染性ウイルス様粒子)、脂質、およびリポソームまたは粒子とオリゴマー化ポリペプチドを結合させることができるポリペプチド(例えば、膜貫通領域などの疎水性ペプチド、またはコイルドコイルを形成するポリペプチド)の全体または一部分が挙げられる。機能的領域が免疫原性担体タンパク質、抗原、粒子形成性ペプチド、脂質、またはリポソームもしくは粒子とオリゴマー化ポリペプチドを結合させることができるポリペプチドの一部分を含む場合、含まれる該一部分は、所望の機能に十分である。例えば、オリゴマー化ポリペプチドが免疫原性担体タンパク質の一部分を含む場合、該一部分は、RSV F複合体の免疫原性を改善するのに十分である。同様に、オリゴマー化ポリペプチドが抗原の一部分を含む場合、該一部分は免疫応答を誘導するのに十分である。
好適な免疫原性担体タンパク質は当技術分野で周知であり、例えば、アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、CRM197、rEPA(非毒性緑膿菌エキソタンパク質A(Pseudomonas aeruginosa ExoProteinA))、分類不能インフルエンザ菌タンパク質D(NTHiD)、N19ポリエピトープなどが挙げられる。
好適な抗原は当技術分野で周知であり、病原体(例えば、ウイルス、細菌または真菌病原体)由来のいずれかの抗原が挙げられる。例示的抗原としては、例えば、RSV FおよびRSV GなどのRSVタンパク質、HIV gp41などのHIVタンパク質、ヘマグルチニンなどのインフルエンザタンパク質、およびhPIV5、hPIV3またはニューカッスル病ウイルスの融合タンパク質などのパラミクソウイルスタンパク質が挙げられる。
好適な粒子形成性ペプチドは当技術分野で周知であり、例えば、ウイルス粒子を形成するウイルスポリペプチド(ロタウイルス(VP4およびVP7)、ノダウイルス、ノロウイルス、ヒトパピローマウイルス(L1およびL2)、パルボウイルスB19(VP1およびVP2)、B型肝炎ウイルス(コアタンパク質)由来のカプシドタンパク質など)、ならびに自己集合性ペプチドナノ粒子の単量体(例えば、米国特許出願公開第2011/0020378号に記載されている)が挙げられる。一実施形態では、オリゴマー化ポリペプチドは、米国特許出願公開第2011/0020378号に記載されている自己集合性ペプチドナノ粒子の単量体に作動可能に連結されているオリゴマー化領域を含む。
好適な脂質は当技術分野で周知であり、例えば、脂肪酸、ステロール、モノ-、ジ-およびトリグリセリドおよびリン脂質が挙げられる。そのような脂質は、それらを含むRSV F複合体を、リポソーム、膜、水中油型エマルション滴および他の構造につなぎ止めることができる。オリゴマー化ポリペプチドの機能的領域として用いることができる例示的脂質としては、ミリストイル、パルミトイル、グリコホスファチジルイノシトール、PEG化脂質、中性脂質、およびナノディスクが挙げられる。有利には、ミリストイル、パルミトイル、およびグリコホスファチジルイノシトールを、好適な宿主細胞でのオリゴマー化ポリペプチドをコードする構築物の発現によりin vivoでオリゴマー化ポリペプチドへと組み込むことができる。
リポソームまたは粒子とオリゴマー化ポリペプチドを結合させることができる様々な好適なポリペプチドが、オリゴマー化ポリペプチドに含められることができ、当技術分野で周知である(例えば、国際公開第2010/009277号および同第2010/009065号を参照されたい)。例えば、リポソームもしくは脂質ナノ粒子と結合するかまたはこれに挿入される疎水性ポリペプチド(例えば、膜貫通領域または融合ペプチド)を用いることができる。コイルドコイルを形成するポリペプチドを、コイルドコイル形成性ペプチドを含む他の構造(例えば、合成ナノ粒子またはリポソーム;ウイルスポリペプチドまたはウイルス粒子)へとオリゴマー化ポリペプチドを連結させるために用いることができる。一実施形態では、オリゴマー化ポリペプチドは、米国特許出願公開第2011/0020378号に記載されている通りに、自己集合性ペプチドナノ粒子へと複合体を結合させることができるコイルドコイル形成性ペプチドに作動可能に連結されるオリゴマー化領域を含む。
一部の実施形態では、本発明は、3つのRSV Fエクトドメインポリペプチドおよび3つのオリゴマー化ポリペプチドを含むRSV F複合体である。該複合体は、該3つのRSV FエクトドメインポリペプチドのそれぞれのHRB領域および該3つのオリゴマー化ポリペプチドのそれぞれの全体または一部分(すなわち、オリゴマー化領域)により形成される6ヘリックスバンドルにより特徴付けられる。このタイプの複合体では、各オリゴマー化ペプチドのオリゴマー化領域は、好ましくは、RSV FのHRA領域のアミノ酸配列を含む。
特定の実施形態では、RSV Fエクトドメインポリペプチドは組み換えであり、C末端6ヘリックスバンドル形成性部分をそれぞれ含む。これらの実施形態の複合体は、該3つのRSV FエクトドメインポリペプチドのそれぞれのC末端6ヘリックスバンドル形成性部分および該3つのオリゴマー化ポリペプチドのそれぞれの全体または一部分(すなわち、オリゴマー化領域)により形成される6ヘリックスバンドルにより特徴付けられる。
他の態様では、複合体は、オリゴマー化ポリペプチドを含まない。この態様の複合体は、3つのRSV Fエクトドメインポリペプチドを含み、そのうちの少なくとも1つがC末端6ヘリックスバンドル形成性部分を含む。複合体は、C末端6ヘリックスバンドル形成性部分およびRSV Fエクトドメインポリペプチドの内因性部分により形成される6ヘリックスバンドルにより特徴付けられる。例えば、そのような複合体は、挿入されたRSV F HRAアミノ酸配列などの、C末端6ヘリックスバンドル形成性部分を含む1つ、2つまたは3つの組み換えRSV Fエクトドメインポリペプチドを含むことができる。C末端6ヘリックスバンドル形成性部分(例えば、挿入されたHRA配列)は、内因性(例えば、HRB)領域と共に6ヘリックスバンドルを形成することができる。いずれかの特定の理論に拘束されることを望むものではないが、C末端6ヘリックスバンドル形成性部分は、RSV Fポリペプチド上でフォールディングし直してポリペプチドの内因性部分と相互作用し、6ヘリックスバンドルを形成することができると考えられる。したがって、この態様では、C末端6ヘリックスバンドルがポリペプチドの内因性部分と相互作用して6ヘリックスバンドルを形成することを可能にするために、リンカー配列を含めることができる。
複合体中のRSV Fエクトドメインポリペプチドの1つ以上が未切断型RSV Fエクトドメインポリペプチドであり得、残りが切断型RSV Fエクトドメインポリペプチドであり得る。一部の特定の実施形態では、複合体中のRSV Fエクトドメインポリペプチドのそれぞれが、1箇所以上の改変型フーリン切断部位を含む。
特定の実施形態では、RSV Fエクトドメインポリペプチドのアミノ酸配列は、以下の配列からなる群より選択される配列を含む:配列番号8(Del21 Furx)、配列番号3(Furmt)、配列番号4(Furdel)、配列番号5(Furx)、配列番号6(Furx R113Q、K123N、K124N)、配列番号7(Furx R113Q、K123Q、K124Q)、配列番号9(Delp23Furx)、配列番号10(Delp21 furdel)、配列番号11(Delp23 furdel)、配列番号12(N末端フーリン)、配列番号13(C末端フーリン)、配列番号14(第Xa因子)、配列番号15、配列番号26(融合ペプチド欠失1)、およびシグナルペプチドおよび/またはHISタグが省略された上記の配列のいずれか。
さらに特定の実施形態では、RSV Fエクトドメインポリペプチドのアミノ酸配列は、以下の配列からなる群より選択される:配列番号8(Del21 Furx)、配列番号3(Furmt)、配列番号4(Furdel)、配列番号5(Furx)、配列番号6(Furx R113Q、K123N、K124N)、配列番号7(Furx R113Q、K123Q、K124Q)、配列番号9(Delp23Furx)、配列番号10(Delp21 furdel)、配列番号11(Delp23 furdel)、およびシグナルペプチドおよび/またはHISタグが省略された上記の配列のいずれか。
さらなる特定の実施形態では、配列番号1または配列番号2などの野生型RSV Fポリペプチドの残基100〜150に対応するRSV Fエクトドメインポリペプチドのアミノ酸配列は、以下の配列からなる群より選択される:配列番号8(Del21 Furx)、配列番号3(Furmt)、配列番号4(Furdel)、配列番号5(Furx)、配列番号6(Furx R113Q、K123N、K124N)、配列番号7(Furx R113Q、K123Q、K124Q)、配列番号9(Delp23Furx)、配列番号10(Delp21 furdel)、配列番号11(Delp23 furdel)、およびシグナルペプチドおよび/またはHISタグが省略された上記の配列のいずれか。
特定の実施形態では、オリゴマー化ポリペプチドのアミノ酸配列は、以下の配列からなる群より選択される:配列番号16(RSV HRA、HRAのオリゴマー化ペプチド)、配列番号17(HRA_short、RSV HRA、配列番号16よりも若干短いオリゴマー化ペプチド)、またはGST配列、切断配列および/またはリンカー配列が省略された上記の配列のいずれか。配列番号16〜17では、通常テキストの配列がグルタチオンS-トランスフェラーゼ(glutathione S-transferasse)(GST)であり、下線の配列が切断配列であり、二重下線の配列がリンカーであり、太字の配列がHRAである。
Figure 2016501196
特定の実施形態では、RSV F複合体は、RSV Fエクトドメインポリペプチドおよび抗原などの機能的領域を含むオリゴマー化ポリペプチドを含む。例えば、オリゴマー化ポリペプチドは、以下のアミノ酸配列を含むことができる:配列番号18(RSV Gb CC HRA short、HRAオリゴマー化配列がb株由来のRSV Gの中央ドメインに融合されている)、配列番号19(RSV Ga CC HRA short、HRAオリゴマー化配列がa株由来のRSV Gの中央ドメインに融合されている)、配列番号20(RSV Gb CC HRB、HRBオリゴマー化配列がb株由来のRSV Gの中央ドメインに融合されている)、配列番号21(RSV Ga CC HRB、HRBオリゴマー化配列がa株由来のRSV Gの中央ドメインに融合されている)、またはグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)配列、切断配列および/もしくはアミノ末端リンカー配列が省略されている上記の配列のいずれか。配列番号18〜21では、通常テキストの配列がGSTであり、下線の配列が切断配列であり、二重下線の配列がリンカーであり、点線下線の配列がGbまたはGa配列であり、太字の配列がHRAまたはHRBである。
Figure 2016501196
他の特定の実施形態では、RSV F複合体は、以下の配列からなる群より選択されるRSV Fエクトドメイン構築物を含む:配列番号22(RSV F delP23 furdel末端切断型HRA HIS)、配列番号23(RSV F delP23 furdel C509C510 C481C489 HRA HIS)またはHISタグおよび/もしくはリンカーが省略された上記の配列のいずれか1つ。配列番号22〜23では、通常テキストの配列がRSV Fエクトドメイン配列であり、下線の配列が挿入されたC末端HRA配列であり、二重下線の配列がリンカーであり、太字の配列がHISタグである。配列番号23はまた、481位、489位、509位および510位に導入されたシステインも含む。
Figure 2016501196
特定の実施形態では、複合体中のRSV Fエクトドメインポリペプチドは、融合前コンホメーションにある。いずれかの特定の理論に拘束されることを望むものではないが、オリゴマー化ポリペプチドが複合体形成を誘導し、RSV Fタンパク質のHRB領域およびHRA領域が相互作用するのを妨げるので、RSV F三量体の融合前形態が、本明細書中に記載される複合体中で安定化されると考えられる。RSV Fタンパク質のHRBおよびネイティブなHRA領域の相互作用は、融合後形態への再フォールディングをもたらす。
他の特定の実施形態では、複合体は、ネガティブ染色電子顕微鏡写真で見た場合に、丸みを帯びた形状により特徴付けられる。
他の特定の実施形態では、複合体は、RSV Fの融合後形態には存在しない融合前エピトープを含む。
任意により、追加のシステイン残基をHRB領域に挿入してジスルフィド結合を形成させ、本明細書中に記載されるRSV F複合体をさらに安定化することができる。
一部の実施形態では、RSV F複合体は、国際公開第2012/158613号(その全体で参照により本明細書中に組み入れられる)に開示されているものをはじめとする鎖間ジスルフィドを用いて、限定するものではないがウイルス様粒子(VLP)、アルブミンまたはRSV Gをはじめとするオリゴマー化物質とコンジュゲート化されたペプチドを用いて、または単量体をさらに安定化する他の突然変異を用いて、製剤化および免疫化に際してその融合前コンホメーションを保持できるように融合前形態でさらに安定化することができる。
複合体を調製する方法
本発明はまた、本明細書中に記載されるRSV F複合体を生成するための方法にも関する。一態様では、本発明は、3つのRSV Fエクトドメインポリペプチド、3つのオリゴマー化ポリペプチドを含み、6ヘリックスバンドルにより特徴付けられるRSV F複合体を生成するための方法に関する。該方法は、(a) RSV Fエクトドメインポリペプチドおよびオリゴマー化ポリペプチドを提供するステップ、ならびに(b) RSV Fエクトドメインポリペプチドとオリゴマー化ポリペプチドとを、RSV F複合体の形成に好適な条件下で組み合わせて、それにより、3つのRSV Fエクトドメインポリペプチド、3つのオリゴマー化ポリペプチドを含み、6ヘリックスバンドルにより特徴付けられるRSV F複合体が生成されるステップを含む。本明細書中に記載される通り、6ヘリックスバンドルは、RSV Fエクトドメインポリペプチドの一部分およびオリゴマー化ポリペプチドの全部または一部分により形成される。
所望であれば、RSV Fエクトドメインポリペプチドの1つ以上が、例えば、RSV FのHRA領域またはHIV gp41のHRA領域などの挿入されたC末端6ヘリックスバンドル形成性部分を含む組み換えRSV Fエクトドメインポリペプチドであり得る。該方法のこの実施では、オリゴマー化ポリペプチドは、RSV Fエクトドメインポリペプチドの一部分(例えば、HRBまたは挿入されたC末端6ヘリックスバンドル形成性部分)と結合することができ、それにより複合体の形成を引き起こすことができるオリゴマー化領域を含む。
任意により、該方法は、(c)好適なプロテアーゼを用いて、生成された複合体中のRSV Fタンパク質エクトドメインポリペプチドを切断し、それにより、3つの切断型RSV Fエクトドメインポリペプチド、前記オリゴマー化ポリペプチドの3つを含み、6ヘリックスバンドルにより特徴付けられるRSV F複合体が形成されるステップ、をさらに含むことができる。
該方法により形成される複合体は、3つのRSV Fエクトドメインポリペプチドおよび3つのオリゴマー化ポリペプチドを含む。つまり、これらのポリペプチドの化学量論的量が、該方法中で用いられる。しかしながら、過剰量のオリゴマー化ポリペプチドを用いることができ、実際には10倍モル過剰またはそれ以上のオリゴマー化ポリペプチドを用いることができる。RSV Fエクトドメインポリペプチドおよび3つのオリゴマー化ポリペプチドは、RSV F複合体の形成に好適な条件下で組み合わせられる。一般的には、RSV Fエクトドメインポリペプチドおよびオリゴマー化ポリペプチドは、緩衝水溶液(例えば、pH約5〜約9)中で組み合わせられる。所望であれば、尿素、少量の有機溶媒またはRSV Fエクトドメインポリペプチドを弱く変性させるための加熱を含めることによるなどの、弱い変性条件を用いることができる。
ここでまた、いずれかの特定の理論に拘束されることを望むものではないが、本明細書中に記載される方法は、RSV Fエクトドメインポリペプチドが融合前コンホメーションにある安定な複合体を生成するために好適であると考えられる。
RSV Fエクトドメインポリペプチドおよびオリゴマー化ポリペプチドのいずれかの好適な調製物を、該方法中で用いることができる。例えば、所望のポリペプチドを含有する馴化細胞培養培地を、該方法で用いることができる。しかしながら、精製されたRSV Fエクトドメインポリペプチドおよびオリゴマー化ポリペプチドを該方法中で用いるのが好ましい。
該方法中での未切断型RSV Fエクトドメインポリペプチドの使用は、利点を提供する。本明細書中に記載される通り、天然のRSV Fエクトドメインのin vivoでのRSV Fポリペプチドの切断により、疎水性で、凝集し、精製するのが困難である融合後エクトドメインの生成がもたらされることが見出されている。融合前形態を安定化するために設計された遺伝子操作された特徴を有するRSV Fポリペプチドのin vivoでの切断は、低い収量または未プロセシング/ミスフォールディングしたRSV Fタンパク質を生じさせる。しかしながら、in vivoで切断されないRSV Fエクトドメインポリペプチドは、単量体として良好な収量で生成され、融合ペプチドがこれらのエクトドメインポリペプチド中で改変されている場合には、タンパク質は可溶性であり、凝集しないことができる。未切断型単量体は、好都合に精製することができ、RSV F複合体を生成するための方法で用いることができる。つまり、精製されたRSV Fエクトドメインポリペプチド単量体を、該方法で用いるのが好ましい。該方法で提供および使用されるRSV Fエクトドメインポリペプチドは、好ましくは未切断型RSV Fエクトドメインポリペプチドであり、より好ましくは、未切断型RSV Fエクトドメインポリペプチドは改変型フーリン切断部位を含む。特定の実施形態では、該方法で提供および使用されるRSV Fエクトドメインポリペプチドのアミノ酸配列は、以下の配列からなる群より選択される配列を含む:配列番号8(Del21 Furx)、配列番号3(Furmt)、配列番号4(Furdel)、配列番号5(Furx)、配列番号6(Furx R113Q、K123N、K124N)、配列番号7(Furx R113Q、K123Q、K124Q)、配列番号9(Delp23Furx)、配列番号10(Delp21 furdel)、配列番号11(Delp23 furdel)、配列番号12(N末端フーリン)、配列番号13(C末端フーリン)、配列番号14(第Xa因子)、配列番号15、配列番号26(融合ペプチド欠失1)、およびシグナルペプチドおよび/もしくはHISタグおよび/もしくは融合ペプチドが改変または省略されている上記の配列のいずれか。
さらに特定の実施形態では、該方法で提供および使用されるRSV Fエクトドメインポリペプチドのアミノ酸配列は、以下の配列からなる群より選択される:配列番号8(Del21 Furx)、配列番号3(Furmt)、配列番号4(Furdel)、配列番号5(Furx)、配列番号6(Furx R113Q、K123N、K124N)、配列番号7(Furx R113Q、K123Q、K124Q)、配列番号9(Delp23Furx)、配列番号10(Delp21 furdel)、配列番号11(Delp23 furdel)、およびシグナルペプチドおよび/もしくはHISタグおよび/もしくは融合ペプチドが改変または省略されている上記の配列のいずれか。
さらなる特定の実施形態では、配列番号1または配列番号2などの野生型RSV Fポリペプチドの残基100〜150に対応する、(該方法で提供および使用される)RSV Fエクトドメインポリペプチドのアミノ酸配列は、以下の配列からなる群より選択される:配列番号8(Del21 Furx)、配列番号3(Furmt)、配列番号4(Furdel)、配列番号5(Furx)、配列番号6(Furx R113Q、K123N、K124N)、配列番号7(Furx R113Q、K123Q、K124Q)、配列番号9(Delp23Furx)、配列番号10(Delp21 furdel)、配列番号11(Delp23 furdel)、およびシグナルペプチドおよび/もしくはHISタグおよび/もしくは融合ペプチドが改変または省略されている上記の配列のいずれか。
RSV Fエクトドメインポリペプチド(例えば、未切断型RSV Fエクトドメインポリペプチド)は、通常、好適な組み換え宿主細胞中でのエクトドメインをコードする組み換え構築物の発現による、組み換え宿主系での発現により調製されるであろうが、いずれの好適な方法でも用いることができる。好適な組み換え宿主細胞としては、例えば、昆虫細胞(例えば、ネッタイシマカ(Aedes aegypti)、オートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)、カイコガ(Bombyx mori)、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)、ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)、およびイラクサギンウワバ(Trichoplusia ni))、哺乳動物細胞(例えば、ヒト、非ヒト霊長類、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、およびげっ歯類(例えば、ハムスター))、鳥類細胞(例えば、ニワトリ、アヒル、およびガチョウ)、細菌(例えば、大腸菌、枯草菌(Bacillus subtilis)、およびストレプトコッカス属の種)、酵母細胞(例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・マルトサ(Candida maltosa)、ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenual polymorpha)、クルイベロミセス・フラジリス(Kluyveromyces fragilis)、クルイベロミセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)、ピキア・グイリエルモンディイ(Pichia guillerimondii)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)およびヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica))、テトラヒメナ細胞(例えば、テトラヒメナ・テルモフィラ(Tetrahymena thermophila))またはそれらの組み合わせが挙げられる。多数の好適な昆虫細胞および哺乳動物細胞が、当技術分野で周知である。好適な昆虫細胞としては、例えば、Sf9細胞、Sf21細胞、Tn5細胞、シュナイダーS2(Schneider S2)細胞、およびHigh Five細胞(親イラクサギンウワバBTI-TN-5B1-4細胞株由来のクローン性単離株(Invitrogen))が挙げられる。好適な哺乳動物細胞としては、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト胎児腎臓細胞(HEK293細胞、せん断型5型アデノウイルスDNAにより典型的に形質転換される)、NIH-3T3細胞、293-T細胞、Vero細胞、HeLa細胞、PERC.6細胞(ECACC受託番号96022940)、Hep G2細胞、MRC-5(ATCC CCL-171)、WI-38(ATCC CCL-75)、胎児アカゲザル肺細胞(ATCC CL-160)、メイディン・ダービーウシ腎臓(Madin-Darby bovine kidney)(「MDBK」)細胞、メイディン・ダービーイヌ腎臓(Madin-Darby canine kidney)(「MDCK」)細胞(例えば、MDCK(NBL2)、ATCC CCL34;またはMDCK 33016、DSM ACC 2219)、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞(BHK21-Fなど)、HKCC細胞等が挙げられる。好適な鳥類細胞としては、例えば、ニワトリ胚性幹細胞(例えば、EBx(登録商標)細胞)、ニワトリ胎児線維芽細胞、ニワトリ胎児生殖細胞、アヒル細胞(例えば、AGE1.CRおよびAGE1.CR.pIX細胞株(ProBioGen)(例えば、Vaccine 27:4975-4982 (2009)および国際公開第2005/042728号に記載されている))、EB66細胞等が挙げられる。
バキュロウイルス系などの好適な昆虫細胞発現系は、当業者に公知であり、例えば、Summers and Smith, Texas Agricultural Experiment Station Bulletin No. 1555 (1987)に記載されている。バキュロウイルス/昆虫細胞発現系(baculovirus/insert cell expression systems)のための材料および方法は、とりわけ、Invitrogen社(San Diego CA)からキットの形態で市販されている。鳥類細胞発現系もまた当業者に公知であり、例えば、米国特許第5,340,740号;同第5,656,479号;同第5,830,510号;同第6,114,168号;および同第6,500,668号;欧州特許第0787180B号;欧州特許出願第03291813.8号;国際公開第03/043415号;および同第03/076601号に記載されている。同様に、細菌および哺乳動物細胞発現系もまた当技術分野で公知であり、例えば、Yeast Genetic Engineering (Barr et al., eds., 1989) Butterworths, Londonに記載されている。
RSV Fタンパク質エクトドメインをコードする組み換え構築物は、慣用の方法を用いて好適なベクター中に作製することができる。昆虫細胞または哺乳動物細胞での組み換えタンパク質の発現のための多数の好適なベクターが、当技術分野で周知かつ慣用である。好適なベクターは、限定するものではないが以下の構成要素のうちの1つ以上を含む、多数の構成要素を含むことができる:複製起点;選択マーカー遺伝子;1種以上の発現調節エレメント(転写調節エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、ターミネーター)、および/または1種以上の翻訳シグナル);ならびに選択された宿主細胞での分泌経路へと向かわせるためのシグナル配列またはリーダー配列(例えば、哺乳動物由来のものまたは異種哺乳動物種もしくは非哺乳動物種由来)。例えば、昆虫細胞での発現のために、pFastBac(Invitrogen社)などの好適なバキュロウイルス発現ベクターが用いられ、それにより、組み換えバキュロウイルス粒子を生成させる。バキュロウイルス粒子を増幅し、昆虫細胞に感染させるために用いて、組み換えタンパク質を発現させる。哺乳動物細胞での発現のために、所望の哺乳動物宿主細胞での構築物の発現を駆動するであろうベクター(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞)が用いられる。
RSV Fタンパク質エクトドメインポリペプチドは、いずれかの好適な方法を用いて精製することができる。例えば、免疫アフィニティークロマトグラフィーによりRSV Fエクトドメインポリペプチドを精製するための方法が、当技術分野で公知である。Ruiz-Arguello et al., J. Gen. Virol., 85:3677-3687 (2004)。沈降および様々な種類のクロマトグラフィー(疎水性相互作用、イオン交換、アフィニティー、キレート作用およびサイズ排除など)をはじめとする、所望のタンパク質を精製するために好適な方法は、当技術分野で周知である。好適な精製スキームは、それらまたは他の好適な方法のうちの2種以上を用いて作成することができる。所望であれば、RSV Fタンパク質エクトドメインポリペプチドは、精製を促進するための「タグ」(エピトープタグまたはHISタグなど)を含むことができる。そのようなタグ付けされたポリペプチドは、例えば馴化培地から、キレート作用クロマトグラフィーまたはアフィニティークロマトグラフィーにより、好都合に精製することができる。
ポリペプチドは、RSV F配列に加えて、追加の配列を含むことができる。例えば、ポリペプチドは、精製を促進するための配列(例えば、ポリHis配列)またはC末端6ヘリックスバンドル形成性部分を含むことができる。同様に、発現の目的のために、Fタンパク質の天然のリーダーペプチドを、異なるものと置換することができる。
オリゴマー化ポリペプチドはオリゴマー化領域を含み、所望であれば、本明細書中に記載される通りの機能的領域をさらに含むことができる。オリゴマー化領域のための好適なアミノ酸配列(例えば、RSV FのHRA領域のアミノ酸配列)は、好適な機能的領域であるとして当技術分野で周知である。オリゴマー化ポリペプチドは、化学的合成、好適な宿主細胞での組み換え発現、化学的コンジュゲーション等によるなどのいずれかの好適な方法を用いて調製することができる。
他の態様では、本発明は、少なくとも1つがC末端6ヘリックスバンドル形成性部分を含む3つのRSV Fエクトドメインポリペプチドを含むが、オリゴマー化ポリペプチドを含まない、RSV F複合体を生成するための方法に関する。そのような複合体を生成するための方法は、オリゴマー化ポリペプチドを含む複合体を生成するための方法と実質的に同じであるが、オリゴマー化ポリペプチドを省く。特に、該方法は、(a) C末端6ヘリックスバンドル形成性部分を含むRSV Fエクトドメインポリペプチドを提供するステップ、および(b) RSV F複合体の形成に好適な条件下で該RSV Fエクトドメインポリペプチド同士を組み合わせて、それにより、3つのRSV Fエクトドメインポリペプチドを含み、かつC末端6ヘリックスバンドル形成性部分および内因性HRB領域により形成される6ヘリックスバンドルにより特徴付けられるRSV F複合体が生成されるステップ、を含む。
切断型RSV Fエクトドメインポリペプチドを含むRSV F複合体が望まれる場合には、任意のステップ(c)好適なプロテアーゼを用いて生成された複合体中のRSV Fタンパク質エクトドメインポリペプチドを切断するステップ、を用いることができる。好適なプロテアーゼとしては、RSV Fエクトドメインポリペプチド(好ましくは未切断型RSV Fエクトドメインポリペプチド)を切断してF1およびF2サブユニットを形成させることができるいずれかのプロテアーゼが挙げられる。通常、プロテアーゼは、おおよそ101位からおおよそ161位の間の天然のまたは挿入された切断部位を切断するであろう。用いることができる1種のプロテアーゼは、トリプシンである。一般的に、RSV F複合体のトリプシン消化は、重量基準で1:1000トリプシン:RSV F複合体、または1mgのRSV F複合体に対して10〜15BAEE単位のトリプシンを用いて行なわれる。典型的な反応では、ウシ血漿由来トリプシン(Sigma Aldrich社、T8802:10,000〜15,000BAEE単位/mgトリプシン)を、1mg/ml濃度(25mM Tris pH7.5、300mM NaCl中)に希釈して、RSV Fタンパク質エクトドメインポリペプチド(25mM Tris pH7.5、300mM NaCl中)を37℃にて1時間消化させる。切断反応は、トリプシン阻害剤を用いて停止することができる。
一部の実施形態では、該方法は、(a) RSV Fエクトドメインポリペプチドおよびオリゴマー化ポリペプチドを提供するステップ、ならびに(b)該RSV Fエクトドメインポリペプチドと少なくとも1種のオリゴマー化ポリペプチドとを、RSV F複合体の形成に好適な条件下で組み合わせて、それにより、該RSV Fエクトドメインポリペプチドの3つ、該オリゴマー化ポリペプチドの少なくとも1つを含み、かつ6ヘリックスバンドルにより特徴付けられるRSV F複合体が生成されるステップ、を含む。6ヘリックスバンドルは、各RSV FエクトドメインポリペプチドのHRB領域および各オリゴマー化ペプチドのオリゴマー化ドメインを含む。より具体的な実施形態では、オリゴマー化ペプチドのオリゴマー化ドメインはRSV FのHRA領域のアミノ酸配列を含み、6ヘリックスバンドルは各RSV FエクトドメインポリペプチドのHRB領域および各オリゴマー化ペプチドのHRA領域を含む。特定の実施形態では、オリゴマー化ペプチドの3つのオリゴマー化ドメインはRSV FのHRA領域のアミノ酸配列を含み、6ヘリックスバンドルは3つのRSV FエクトドメインポリペプチドのそれぞれのHRB領域および3つのオリゴマー化ペプチドのそれぞれのHRA領域を含む。
他の実施形態では、該方法は、(a) C末端6ヘリックスバンドル形成性部分を含む組み換えRSV Fエクトドメインポリペプチドおよびオリゴマー化ポリペプチドを提供するステップ、ならびに(b)該組み換えRSV Fエクトドメインポリペプチドとオリゴマー化ポリペプチドとを、RSV F複合体の形成に好適な条件下で組み合わせて、それにより、該RSV Fエクトドメインポリペプチドの3つ、該オリゴマー化ポリペプチドの3つを含み、かつ6ヘリックスバンドルにより特徴付けられるRSV F複合体が生成されるステップ、を含む。6ヘリックスバンドルは各組み換えRSV FエクトドメインポリペプチドのC末端6ヘリックスバンドル形成性部分および各オリゴマー化ペプチドのオリゴマー化ドメインを含む。より具体的な実施形態では、C末端6ヘリックスバンドル形成性部分はRSV FまたはHIV gp41のHRA領域であり、かつオリゴマー化ペプチドのオリゴマー化ドメインはそれぞれRSV FまたはHIV gp41のHRB領域のアミノ酸配列を含む。そのような実施形態では、6ヘリックスバンドルは、各RSV FエクトドメインポリペプチドのC末端6ヘリックスバンドル形成性部分(すなわち、挿入されたHRA領域)および各オリゴマー化ペプチドのHRB領域を含む。
本発明はまた、本明細書中に記載される方法を用いて生成されるRSV F複合体も含む。
免疫原性組成物
本発明は、本明細書中に開示されるRSV F複合体を含む免疫原性組成物を提供する。該組成物は、好ましくは、哺乳動物被験体(ヒトなど)に対する投与に好適であり、1種以上の製薬上許容される担体および/またはアジュバントをはじめとする賦形剤を含む。そのような構成成分の詳細な議論が、Gennaro (2000) Remington: The Science and Practice of Pharmacy. 20th edition, ISBN: 0683306472で入手可能である。組成物は、一般的には水性形態であろう。組成物が免疫原性組成物である場合、ヒトなどの哺乳動物に投与された際に免疫応答を惹起するであろう。免疫原性組成物は、哺乳動物を免疫化するためのワクチン製剤を調製するために用いることができる。
免疫原性組成物は、単一の活性免疫原性薬剤、または数種類の免疫原性薬剤を含み得る。例えば、組成物は、RSV F複合体および1種以上の他のRSVタンパク質(例えば、Gタンパク質および/またはMタンパク質)および/または他の病原体由来の1種以上の免疫源を含有することができる。免疫原性組成物は、3つのRSV Fエクトドメインおよび3つのHRAペプチドを含有する一価RSV F複合体を含むことができ、所望であれば、RSV Fまたは別の病原体由来の1種以上の追加の抗原を含有することができる。一例では、免疫原性組成物は二価であり、RSV Gタンパク質などの別のRSV F抗原も含有するRSV F複合体を含む。本明細書中に記載される通り、そのような多価複合体は、RSV Gの中央ドメイン由来のアミノ酸配列などの、RSV G由来のアミノ酸配列に作動可能に連結されているオリゴマー化領域を含むオリゴマー化ポリペプチドを用いて作製することができる。
組成物は、チオマーサルまたは2-フェノキシエタノールなどの保存料を含むことができる。しかしながら、好ましくは、ワクチンは水銀性物質を実質的に含まない(すなわち、5μg/mL未満)(例えば、チオマーサル不含である)べきである。水銀を含有しない免疫原性組成物がより好ましい。保存料不含免疫原性組成物が特に好ましい。
等張性を制御するために、ナトリウム塩などの生理学的塩を含むことが好ましい。塩化ナトリウム(NaCl)が好ましく、これは1〜20mg/mLで存在し得る。存在することができる他の塩としては、塩化カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二ナトリウム(無水)、塩化マグネシウム、塩化カルシウム等が挙げられる。
組成物は一般的に、200mOsm/kg〜400mOsm/kg、好ましくは240〜360mOsm/kgの浸透圧を有し、より好ましくは290〜310mOsm/kgの範囲内に入るであろう。
組成物は、1種以上の緩衝剤を含むことができる。典型的な緩衝剤としては、以下のものが挙げられる:リン酸緩衝剤;Tris緩衝剤;ホウ酸緩衝剤;コハク酸緩衝剤;ヒスチジン緩衝剤(特に、水酸化アルミニウムアジュバントを含むもの);またはクエン酸緩衝剤。緩衝剤は典型的には、5〜20mM範囲で含まれるであろう。組成物のpHは、一般的に、5.0〜8.1、より典型的には6.0〜8.0、例えば、6.5〜7.5、または7.0〜7.8であろう。したがって、本発明のプロセスは、パッケージ化の前にバルクワクチンのpHを調整するステップを含むことができる。
組成物は、好ましくは無菌である。組成物は、好ましくは非発熱性であり、例えば、1用量当たり1EU(内毒素単位、標準的指標)未満を含有し、好ましくは1用量当たり0.1EU未満を含有する。組成物は、好ましくはグルテン不含である。ヒトワクチンは、典型的には約0.5mLの投与体積で投与されるが、半分の用量(すなわち、約0.25mL)を小児に投与することができる。
本発明の免疫原性組成物はまた、1種以上の免疫調節剤も含むことができる。好ましくは、免疫調節剤のうちの1種以上が、1種以上のアジュバント(例えば、2、3、4種類以上のアジュバント)を含む。アジュバントは、下記でさらに論じられる、TH1アジュバントおよび/またはTH2アジュバントを含むことができる。
好ましくは、免疫原性組成物は、RSV-F糖タンパク質の融合前コンホメーションに存在するエピトープを提示する、RSV F複合体を含む。例示的組成物は、切断型RSV Fエクトドメインポリペプチドを含有するRSV F複合体を含む。別の例示的組成物は、未切断型RSV Fエクトドメインポリペプチドを含有するRSV F複合体を含む。
処置方法、および投与方法
本発明の組成物は哺乳動物への投与に好適であり、本発明は、哺乳動物に本発明の組成物(例えば、免疫原性組成物)を投与するステップを含む、哺乳動物で免疫応答を誘導する方法を提供する。組成物(例えば、免疫原性組成物)は、哺乳動物を免疫するためのワクチン製剤を作製するために用いることができる。哺乳動物は典型的にはヒトであり、RSV F複合体は典型的にはヒトRSV Fエクトドメインポリペプチドを含有する。しかしながら、哺乳動物は、ウシRSVに感染することができるウシなどの、RSVの感染に対して感受性であるいずれかの他の哺乳動物であり得る。
本発明はまた、医薬としての使用のための(例えば、RSV感染に対して患者を免疫化することでの使用のための)組成物も提供する。
特定の実施形態では、本発明は、被験体でRSV Fに対する免疫応答を誘導する方法での使用のための、上記で記載した通りのRSV F複合体を含む免疫原性組成物を提供し、該方法は、被験体に該免疫原性組成物を投与するステップを含む。
本発明はまた、患者での免疫応答を生起するための医薬の製造での、上記の通りのRSV F複合体の使用も提供する。
これらの方法および使用により生起される免疫応答は、一般的に、抗体応答、好ましくは防御抗体応答を含む。RSVワクチン接種後に抗体応答を評価するための方法は、当技術分野で周知である。
本発明の組成物は、筋内注入(例えば、腕または脚への注入)、皮下注入、鼻内投与、経口投与、皮内投与、経皮投与(transcutaneous administration、transdermal administration)などの、多数の好適な様式で投与することができる。適切な投与経路は、哺乳動物の年齢、健康状態および他の特性に依存するであろう。医師は、これらおよび他の因子に基づいて、適切な投与経路を決定することができるであろう。
免疫原性組成物、およびワクチン製剤は、小児および成人(妊婦を含む)を処置するために用いることができる。つまり、被験体は、1歳未満、1〜5歳、5〜15歳、15〜55歳、または少なくとも55歳であり得る。ワクチンを投与されるのに好ましい被験体は、高齢者(例えば、50歳超、60歳超、および好ましくは65歳超)および妊婦である。しかしながら、該ワクチンはこれらの群だけに好適なのではなく、人口の中でもっと一般的に用いることができる。
処置は、単回用量スケジュールまたは複数用量スケジュールによるものであり得る。複数用量は、一次免疫スケジュールおよび/または追加免疫スケジュールで用いることができる。複数用量スケジュールでは、種々の用量を、同じかまたは異なる経路により投与することができる(例えば、非経口投与での一次免疫および粘膜投与での追加免疫、粘膜投与での一次免疫および非経口投与での追加免疫等)。2回以上の用量(典型的には2用量)の投与は、免疫がない(immunologically naive)患者では特に有用である。複数用量は、典型的には、少なくとも1週間離して(例えば、約2週間、約3週間、約4週間、約6週間、約8週間、約10週間、約12週間、約16週間等)投与されるであろう。
本発明の組成物を用いて生成されるワクチン製剤は、他のワクチンと実質的に同時に(例えば、同じ診察または医療専門家もしくは予防接種センターへの受診の際に)、患者に投与することができる。
他のウイルス
ヒトRSVに用いられるのと同様に、本発明は、限定するものではないが、ウシ呼吸器合胞体ウイルス、1型パラインフルエンザウイルス、2型パラインフルエンザウイルス、3型パラインフルエンザウイルス、および5型パラインフルエンザウイルスをはじめとする、ニューモウイルス科(Pneumoviridae)およびパラミクソウイルス科の他の構成員に用いることができる。
つまり、本発明は、ニューモウイルス科またはパラミクソウイルス科のF糖タンパク質を含む免疫原性組成物であって、該F糖タンパク質が融合前コンホメーションである、上記免疫原性組成物を提供する。
本発明はまた、ニューモウイルス科またはパラミクソウイルス科のF糖タンパク質の融合前コンホメーションには存在するが、該糖タンパク質の融合後コンホメーションには存在しないエピトープを提示するポリペプチドを含む免疫原性組成物も提供する。
本発明はまた、免疫化等での使用のための、これらのポリペプチドおよび組成物も提供する。
通則
「含む」(comprising)との用語は、「含む」(including)ならびに「から構成される」(consisting)および「から本質的になる」(consisting essentially of)を包含し、例えば、Xを「含む」組成物は、まったくXのみからなることができ、または何か追加のものを含むことができる(例えば、X+Y)。
「実質的に」との単語は、「完全に」を排除せず、例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まないことができる。必要であれば、「実質的に」との単語は、本発明の定義からは省くことができる。
数値xとの関連での「おおよそ(約)」(about)との用語は、例えば、x±10%を意味する。
特に記載しない限り、2種以上の構成成分を混合するステップを含むプロセスは、混合のいずれかの具体的な順序を必要としない。つまり、構成成分は、いずれの順序でも混合することができる。3種類の構成成分がある場合、2種類の構成成分を互いに混合することができ、該組み合わせを第3の構成成分と合わせることなどができる。
動物(特にウシ)材料を細胞の培養に用いる場合、それらは感染性海綿状脳症(TSE)を有さず、特にウシ海綿状脳症(BSE)を有しない供給源から取得すべきである。全体としては、動物由来材料を完全に含ませずに細胞を培養するのが好ましい。
化合物を組成物の一部として身体に投与する場合、当該化合物は、好適なプロドラッグにより代替的に置換することができる。
細胞基質を遺伝子再集合(reassortment)または逆遺伝学手順に用いる場合、該細胞基質は好ましくは、例えば、欧州薬局方一般章5.2.3(Ph Eur general chapter 5.2.3)にある通り、ヒトワクチン製造での使用に関して承認されているものである。
ポリペプチド配列同士の同一性は、好ましくは、ギャップオープンペナルティ=12およびギャップ伸長ペナルティ=1のパラメータを用いるアフィンギャップ検索(affine gap search)を使用して、MPSRCHプログラム(Oxford Molecular)に実装されている通りのSmith-Waterman相同性検索アルゴリズムにより決定される。
例示
以下の実施例は、本発明の範囲を単に例示するものであり、したがって、いかようにも該範囲を限定することを意図しない。
実施例1−昆虫細胞からのRSV Fタンパク質のための精製プロトコール
RSV F構築物を発現するバキュロウイルスを、以下の通りに増殖させた:
100μLのP1ストックウイルスを、0.8×106個/mLに希釈した50mLのSF9細胞(Invitrogen社)(Sf500培地中で増殖)に加え、約5〜6日間、感染/増殖させた。感染は、Cedex装置を用いてモニタリングした。細胞生存率が50%未満となり、細胞直径が大部分は約13nm〜約16nmに増加した場合に、バキュロウイルス増殖が完了したとみなした。
1mLのP2ストックを0.8×106個/mLに希釈した1LのSf9細胞に加え、約5〜6日間増殖させた。感染は、Cedex装置を用いてモニタリングした。細胞生存率が50%未満となり、細胞直径が大部分は約13nm〜約16nmに増加した場合に、バキュロウイルス増殖が完了したとみなした。
発現は、Sf9細胞またはHiFive細胞(Invitrogen社)のいずれかの培養物中で実施し、ここで、試験発現を行なって適切なm.o.i.を決定しない限り、10mLのP3(3回目の継代)バキュロウイルスストックを、2×106個/mLでの細胞1L当たりに加えた。発現は、約72時間継続させた。
SDS-PAGE分析のために細胞/培地懸濁液のアリコートを取得した後に、3000rpmにて約30分間細胞を遠心分離することによって培地から細胞をペレット化することにより、細胞を回収した。
硫酸銅(II)を500μMの最終濃度まで培地に添加し、銅を含む培地1Lを、約15mLのキレート性IMAC樹脂(BioRad Profinity社)に添加した。
続いて、タンパク質結合樹脂を、重力カラムを用いてフロースルーから分離した。樹脂を少なくとも樹脂の10倍体積の平衡化バッファー(25mM Tris pH7.5、300mM NaCl)を用いて洗浄し、少なくとも樹脂の10倍体積の溶出バッファー(25mM Tris pH7.5、300mM NaCl、250mMイミダゾール)を用いてタンパク質を溶出させた。
溶出溶液にEDTA不含完全プロテアーゼ阻害剤(Pierce社)およびEDTAを最終濃度1mMまで添加した。続いて、16倍体積の平衡化バッファーに対して4℃にて少なくとも2回、溶出溶液を透析した。溶出溶液を、Ni++を予備ロードした1個または2個のHiTrapキレートカラムにロードした(1個の5mLカラムが、典型的には10Lの発現に十分である)。以下の勾配プロフィールを有する溶出バッファーの勾配をもたらすことが可能なFPLCを用いて、カラムからタンパク質を溶出させた(流速2mL/分):
a. 60mLにわたって0〜5%溶出バッファー
b. 120mLにわたって5〜40%溶出バッファー
c. 60mLにわたって40〜100%溶出バッファー。
RSV Fタンパク質を含有する画分を、クーマシー染色および/またはウエスタンブロットを用いるSDS-PAGE分析により評価し(典型的には、RSV Fは、約170mLで該勾配へと溶出する):物質を約0.5〜1mg/mLへと濃縮し;EDTAを1mMの最終濃度まで添加した。
FPLCを用いて、1mLの画分を収集した。RSV F材料(保持体積約75mL)を、移動相として平衡化バッファーを用いる16/60 Superdexカラム(GE Healthcare社)を使用するサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により、昆虫タンパク質混入物(保持時間約60mL)から分離した。
クーマシー染色を用いるSDS-PAGEを使用して画分を分析し、十分に純粋なRSV F材料をプールして、約1mg/mLまで濃縮した。
実施例2−RSV F切断不可能型単量体+HRAペプチドの設計
Anaspec社により合成されたHRAペプチド(オリゴマー化ポリペプチド)(RSV F HRAペプチド、RSV残基160〜207)をSECバッファー(25mM Tris pH7.5、300mM NaCl)へと再懸濁し、280nmでのUV吸光度(1mg/mL当たり1AU:推定値)を用いてタンパク質濃度を推定した。
RSV F切断不可能型エクトドメイン(Delp21Furx、エクトドメインポリペプチド)を、実施例1に記載されたRSV F昆虫精製プロトコールに従って精製した。約75mLの溶出体積で、SEC分取精製によりエクトドメインを精製し、この溶出体積は、エクトドメインが単量体であることと一致した。約0.75mg/mL(上記の通りにUVにより推定)溶液を、複合体形成のために用いた。
次に、0.5mLの約0.75mg/mL RSV F単量体を0.5mLペプチド溶液に加え、1mLの複合体溶液を、RSV F精製プロトコールに従ってSECカラムで分離した。結果を表1にまとめる。
Figure 2016501196
表1は、HRAペプチドの添加に際するRSV F単量体(Delp23 Furdel)の保持体積の変化を示す。未切断型単量体単独では約75mLの保持体積で溶出し、HRAペプチドが添加された単量体は約60mLの保持体積で溶出する。比較のために、公表されたRSV F三量体(融合ペプチド欠失)は、約65mLの保持体積で溶出する。RSV F単量体+HRAサンプルの保持体積は約60mLであり、これは、単量体よりも三量体溶出に、より一致する。保持体積のこのシフトは、ペプチド-Fタンパク質相互作用およびHRAペプチドとRSV F切断不可能型エクトドメインとの複合体の三量体(すなわち、3つのHRAペプチドおよび3つのF切断不可能型エクトドメインを含むヘテロ六量体)の形成を示唆する。
この切断不可能型エクトドメインF:HRAペプチド複合体を、(図3で予測されているように)三葉状分子種または融合前球状頭部が形成されているかを決定するために、電子顕微鏡(EM)により評価する。また、ペプチド複合体形成は、F1/F2分子種へとトリプシン消化できる切断可能型RSV Fエクトドメインを用いて繰り返す。融合前F球状頭部が形成され、この融合前RSV FがパラインフルエンザFと同様に振る舞うならば、本発明者らは、融合前形態を安定化することがロゼット形成を妨げるであろうと予測する。
実施例3−C末端6ヘリックスバンドル形成性配列の付加
追加のRSV HRAまたはHIV gp41 HRAなどの配列を実施例2に記載の複合体に付加してC末端6ヘリックスバンドルを形成させ、それぞれRSV HRBまたはHIV gp41 HRBを添加した三量体化を可能にする。これは、融合後様6ヘリックスバンドルではなく、単量体からそのネイティブな融合前HRB三量体茎状構造(stalk)へとRSV HRBを強制するという追加の利点を有し得る。
実施例4−HRBジスルフィドの付加
実施例2に記載されるHRBにHRBジスルフィドを付加する。つまり、単量体の三量体化が生じる際に、適切な位置にシステイン付加をして所望のジスルフィドを形成し、融合前安定性のレベルを追加する。
実施例5−ペプチドに融合されたコンジュゲート型タンパク質の付加
HRA、HRBまたはgp41ペプチドの付加(実施例3)に代わって、これらのペプチドと融合させたコンジュゲート型タンパク質(RSV G、アルブミンまたはKLFコンジュゲートタンパク質など)を付加する。例えば、HRAペプチド-RSV G中央ドメイン構築物を、F単量体タンパク質に付加する。HRAペプチドにより誘導される三量体化に際して、RSV G中央ドメインタンパク質はFに結合されてF/G複合体を生成させ、これにより、ワクチン接種に際してさらなる免疫原性を提供し得る。
実施例6−HRAペプチドを用いるRSV F単量体の三量体化
本実施例では、RSV F単量体(Delp23 Furdel切除型HIS構築物)を、実施例2に記載されたのと同じ方法を用いて、5倍質量のRSV HRA合成生成ペプチド(配列番号40)と混合した。
配列番号40:LEGEVNKIKSALLSTNKAVVSLSNGVSVLTSKVLDLKNYIDKQLLPIV
RSV HRAペプチドとの混合前および後のRSV F単量体について、移動相としてPBSを用い、Wyatt SECカラムおよびWaters HPLCを使用するMALS分析を行なった。結果を表2にまとめる。
Figure 2016501196
表2は、5倍質量のRSV HRAペプチドとの混合前および後でのRSV F単量体(Delp23 Furdel末端切断型HIS構築物)についての、移動相としてPBSを用い、Wyatt SECカラム(WTC-030S5)およびWaters HPLCを用いるSEC-MALS分析の保持時間および光散乱の結果を示す。RSV F単量体の主要ピークの保持時間は、HRAペプチドの添加により約11.5分から約10.5分へとシフトした。保持時間のシフトおよび質量の増加は、HRAペプチドがRSV F単量体の三量体形成を引き起こすというモデルに一致する。各分子種について観測された質量は、単量体またはペプチドを含む三量体化単量体のそれぞれに対して、合理的な誤差の範囲内である。
実施例7−BIAcore TM 分析を用いて実証される融合前特異的抗体D25 FabへのRSV F単量体結合性
McLellan, J.S.ら(Science, 340:1113-7 (2013))は、融合前コンホメーションに特有であるが融合後構造には存在しないエピトープに結合する抗体D25のFabへと結合した融合前コンホメーションのRSV Fの結晶構造を開示した。
D25 Fabへのタンパク質の結合性により、RSV F単量体が融合前前駆体(すなわち、融合前特異的抗体またはFabに結合することができるフォールディングされたタンパク質)であるかどうかを、試験することができる。これは、ELISA、表面プラズモン共鳴分析(BIAcoreTMなど)、ITC、サイズ排除クロマトグラフィー、ネイティブゲル電気泳動によるシフト、AUC、ウエスタンブロットまたはドットブロット等によるなどの当業者に公知のいずれかの実験を用いて行なうことができる。
McLellan, J.S. et al., 2013に開示されている配列を用い、慣用の実験方法を用いて、大腸菌細胞での精製のために用いられるHISタグおよびStrepタグを保持するD25 Fabを本研究のために作製した。
本実施例では、BIAcoreTM分析(表面プラズモン共鳴分析)を実施し、これにより、D25 FabによるRSV F単量体(未切断型F)の特異的結合を実証した。D25 Fabを、操作者マニュアル(BIAcoreTM/GE Healthscience)に記載されている通りに標準的なアミド化学を用いてCM5チップに固定化した。D25 Fabを、約75RUまでチップ表面上に載せた。RSV F単量体(未切断型RSV F Delp23 Furdel)を、30nM、20nM、15nM、10nM、7.5nM、5nM、3.75nM、5nMおよび0nM濃度まで、BIAcoreTM移動相(0.05%N20界面活性剤を含むPBS)中に希釈した。結合のセンサーグラムを、二重ブランクに対して記録した(初期センサーグラムはF2-F1チャネルを表わし、ここで、F2はD25固定化チャネルであり、F1はアミンカップリングを用いて処理されたタンパク質不含チャネルである。0nM初期センサーグラムは、下記で示す最終濃度センサーグラムを作成するために他のセンサーグラムのそれぞれから即時に減じられ、フィッティングのために用いられた)。結合定数および誤差は、BIAcoreTM Evaluationソフトウェアを用いて1:1結合モデルにフィッティングさせることにより決定した。
BIAcoreTM分析の結果を、表3にまとめる。
Figure 2016501196
算出された結合親和性(KD)を表3に示す。これはRSV F単量体が融合前特異的抗体D25に結合できることを実証する。また、緊密な結合データ(KD5.3×10-11M)は、融合前エピトープがタンパク質表面上に予め形成されていることを示唆する。D25は、融合前RSV Fに緊密に結合することが知られている(McLellan, J.S. et al., 2013)。RSV F単量体が融合前コンホメーションにある場合、mM範囲またはそれ以上に、結合親和性が非常に緊密であることが予測されるであろう。チップ上のD25 FabおよびRSV F単量体を用いるBIAcoreTM分析は、KD5.3×10-11Mの結合親和性を実証した。この緊密な結合は、RSV F単量体が融合前コンホメーションにある場合に予測される結合性と一致する。
RSV F未切断型サブユニット抗原(F単量体)は、まず、本研究で融合前コンホメーションにあることが実証される。この抗原は、以前に公表された融合後抗原に対する優れた免疫応答を惹起するはずである。
実施例8−SECを用いて実証されるD25 Fabに対するRSV F単量体結合性
サイズ排除クロマトグラフィーは、抗原と抗体との結合を実証するために有用である。これは、典型的には、分取クロマトグラフィー(すなわち、Superdex P200またはSuperdex 200 PC 3.2/30)または分析HPLC(Wyatt MALS SECカラムなど)のいずれかで行なわれる。
分析HPLC-SECを、1:1モル量のD25 Fab添加または未添加で、RSV F単量体について行なった。クロマトグラムは、PBSを移動相として用いて、実施例6に記載されている通りにWaters MALSシステムで作成し、結果を表4にまとめる。
Figure 2016501196
表4は、D25 Fabの添加に伴って、新たな減少した保持時間へとRSV F単量体がシフトしたことを示し、これは、ストークス半径およびMALS分析により実証される通りのD25 Fabに結合したRSV F単量体の質量と一致する。保持時間の減少は、D25がRSV F単量体に結合することを示す。また、新たな保持時間へのRSV F単量体ピークのシフトはほぼ完全であり、このことは、ほぼすべてのRSV F単量体が融合前特異的D25 Fabに結合する能力を有することを示し、RSV F単量体が、その融合前コンホメーションで極めて均一であることを示唆する。
実施例9−SECを用いて実証されるD25 FabへのRSV F単量体および三量体化単量体結合性
本実施例では、分取SECを行い、結果は、RSV F単量体およびHRAペプチドと共に三量体化した単量体の両方がD25 Fab(融合前特異的Fab)に結合することを実証する。
実験は、移動相として25mM Tris pH7.5および50mM NaClを使用するマイクロFPLC(GE Healthcare社)を用いて行なった。RSV F単量体(未切断型RSV F Delp23 Furdel)をSEC分取カラム(GE Healthcare社によるマイクロSuperdex 200)にかけ、結果を表5にまとめる。
Figure 2016501196
表5にまとめられている通り、RSV F単量体(Delp23 Furdel)単独では約1.4mLの保持時間を有するが、RSV F単量体+D25 Fabは約1.3mLの保持時間へとシフトし、このことは、単量体が融合前特異的D25 Fabに結合できることを示す。RSV F単量体+HRAペプチド(F単量体に対して約5倍質量の量)は1.2mLの新たな保持時間へとシフトし、このことは、ペプチド結合時のRSV F単量体のオリゴマー化(三量体化単量体)を示す。RSV F三量体化単量体+D25 Fabは1.1mLの保持時間へとシフトし、このことは、融合前特異的Fabが三量体化単量体に結合できることを示す。
本実施例は、RSV F単量体が融合前抗原であり、RSV F HRAペプチドを伴う三量体化に際して、タンパク質が融合前エピトープを保持し、それにより、当初予測された通りに融合前三量体抗原となることを実証する。
本明細書中に引用されるすべての文献の教示全体が、参照により本明細書中に組み入れられる。

Claims (29)

  1. それぞれが内因性HRA領域を含む3つのRSV Fエクトドメインポリペプチド、および
    少なくとも1つのオリゴマー化ポリペプチド
    を含む呼吸器合胞体ウイルスF(RSV F)複合体であって、該3つのエクトドメインポリペプチドおよび該少なくとも1つのオリゴマー化ポリペプチドが6ヘリックスバンドルを形成し、但し、該RSV Fポリペプチドの該内因性HRA領域が該6ヘリックスバンドルの一部を成さない、上記RSV F複合体。
  2. (i)各RSV FエクトドメインポリペプチドがHRB領域を含み、各オリゴマー化ポリペプチドがオリゴマー化領域を含み;かつ/または
    (ii)前記6ヘリックスバンドルが各RSV Fエクトドメインポリペプチドの該HRB領域および各オリゴマー化ペプチドの該オリゴマー化領域を含む、
    請求項1に記載のRSV F複合体。
  3. 各オリゴマー化領域がRSV F HRAアミノ酸配列を含む、請求項2に記載のRSV F複合体。
  4. 前記3つのRSV Fエクトドメインポリペプチドおよび3つのオリゴマー化ポリペプチドからなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のRSV F複合体。
  5. 前記オリゴマー化ポリペプチドのうちの1つ以上が、前記オリゴマー化領域に作動可能に連結されている機能的領域をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のRSV F複合体。
  6. 前記機能的領域が、免疫原性担体タンパク質、抗原、粒子形成性ポリペプチド、脂質、およびリポソームまたは粒子と前記オリゴマー化ポリペプチドとを結合させることができるポリペプチドからなる群より独立に選択される、請求項5に記載のRSV F複合体。
  7. 前記機能的領域が抗原であり、該抗原がRSV Gである、請求項6に記載のRSV F複合体。
  8. (i)前記RSV Fエクトドメインポリペプチドのうちの1つ以上が未切断型RSV Fエクトドメインポリペプチドであり;
    (ii)該RSV Fエクトドメインポリペプチドのうちの1つ以上が切断型RSV Fエクトドメインポリペプチドであり;かつ/または
    (iii)該RSV Fエクトドメインポリペプチドのそれぞれが1箇所以上の改変型フーリン切断部位を含む、
    請求項1〜7のいずれか1項に記載のRSV F複合体。
  9. 前記RSV Fエクトドメインポリペプチドのアミノ酸配列が、配列番号8(Del21 Furx)、配列番号3(Furmt)、配列番号4(Furdel)、配列番号5(Furx)、配列番号6(Furx R113Q、K123N、K124N)、配列番号7(Furx R113Q、K123Q、K124Q)、配列番号9(Delp23Furx)、配列番号10(Delp21 furdel)、配列番号11(Delp23 furdel)、配列番号12(N末端フーリン)、配列番号13(C末端フーリン)、配列番号14(第Xa因子)、配列番号15、配列番号26(融合ペプチド欠失1)、およびシグナルペプチドおよび/もしくはHISタグおよび/もしくは融合ペプチドが省略されるかまたは改変されている上記の配列のいずれかからなる群より選択される配列を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載のRSV F複合体。
  10. 前記RSV Fエクトドメインポリペプチドのうちの少なくとも1つが、C末端6ヘリックスバンドル形成性部分を含む組み換えポリペプチドである、請求項1〜9のいずれか1項に記載のRSV F複合体。
  11. 前記C末端6ヘリックスバンドル形成性部分が、エンベロープ型ウイルスの融合タンパク質の7残基反復領域を含む、請求項10に記載のRSV F複合体。
  12. 前記7残基反復領域が、RSV F HRA、RSV HRB、およびHIV gp41 HRAからなる群より選択される、請求項11に記載のRSV F複合体。
  13. 前記6ヘリックスバンドルが、3つの組み換えRSV FエクトドメインポリペプチドのC末端6ヘリックスバンドル形成性部分および各オリゴマー化ペプチドのオリゴマー化領域を含む、請求項10〜12のいずれか1項に記載のRSV F複合体。
  14. (i)前記RSV Fエクトドメインポリペプチドが融合前コンホメーションにあり;
    (ii)前記複合体が、ネガティブ染色電子顕微鏡写真で見た場合に、丸みを帯びた形状により特徴付けられ;かつ/または
    (iii)該複合体がRSV Fの融合後形態には存在しない融合前エピトープを含む、
    請求項1〜13のいずれか1項に記載のRSV F複合体。
  15. それぞれが内因性HRA領域および内因性HRB領域を含む3つのRSV Fエクトドメインポリペプチドを含み、該RSV Fエクトドメインポリペプチドのうちの少なくとも1つがC末端6ヘリックスバンドル形成性部分をさらに含む、呼吸器合胞体ウイルスF(RSV F)複合体であって、該C末端6ヘリックスバンドル形成性部分および該内因性HRB領域により形成される6ヘリックスバンドルにより特徴付けられる、上記RSV F複合体。
  16. (a) RSV Fタンパク質エクトドメインポリペプチドおよび少なくとも1種のオリゴマー化ポリペプチドを提供するステップ;および
    (b)該RSV Fエクトドメインポリペプチドと該少なくとも1種のオリゴマー化ポリペプチドとを、RSV F複合体の形成に好適な条件下で組み合わせて、それにより該RSV Fエクトドメインポリペプチドの3つと該オリゴマー化ポリペプチドの少なくとも1つが6ヘリックスバンドルを形成するRSV F複合体が形成されるステップであって、但し、該RSV Fエクトドメインポリペプチドの内因性HRA領域が該6ヘリックスバンドルの一部を成さない、上記ステップ
    を含む、呼吸器合胞体ウイルスF(RSV F)複合体を生成するための方法。
  17. (a)で提供される前記RSV Fエクトドメインポリペプチドが、
    (i)未切断型RSV Fエクトドメインポリペプチドであり;
    (ii) 1箇所以上の改変型フーリン切断部位をそれぞれ含み;
    (iii)精製された単量体であり;かつ/または
    (iv)昆虫細胞、哺乳動物細胞、鳥類細胞、酵母細胞、テトラヒメナ細胞またはそれらの組み合わせで発現される、
    請求項16に記載の方法。
  18. (c)プロテアーゼを用いて、前記生成された複合体中の前記RSV Fタンパク質エクトドメインポリペプチドを切断するステップ
    をさらに含む、請求項16または17に記載の方法。
  19. 各RSV FエクトドメインポリペプチドがHRB領域を含み、各外来性オリゴマー化ポリペプチドがオリゴマー化領域を含む、請求項16〜18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 前記6ヘリックスバンドルが、各RSV FエクトドメインポリペプチドのHRB領域および各オリゴマー化ペプチドのオリゴマー化領域を含む、請求項19に記載の方法。
  21. (i)前記少なくとも1種のオリゴマー化ポリペプチドがRSV F HRAアミノ酸配列を含み;
    (ii)前記複合体が前記3つのRSV Fエクトドメインポリペプチドおよび3つのオリゴマー化ポリペプチドからなり;
    (iii)該オリゴマー化ポリペプチドのうちの1つ以上が、前記オリゴマー化領域に作動可能に連結されている機能的領域をさらに含み;
    (iv)ステップ(a)で提供される該RSV Fエクトドメインポリペプチドのアミノ酸配列が、配列番号8(Del21 Furx)、配列番号3(Furmt)、配列番号4(Furdel)、配列番号5(Furx)、配列番号6(Furx R113Q、K123N、K124N)、配列番号7(Furx R113Q、K123Q、K124Q)、配列番号9(Delp23Furx)、配列番号10(Delp21 furdel)、配列番号11(Delp23 furdel)、配列番号12(N末端フーリン)、配列番号13(C末端フーリン)、配列番号14(第Xa因子)、配列番号15、配列番号26(融合ペプチド欠失1)、およびシグナルペプチドおよび/もしくはHISタグおよび/もしくは融合ペプチドが省略されるかまたは改変されている上記の配列のいずれかからなる群より選択される配列を含み;かつ/または
    (v)該RSV Fエクトドメインポリペプチドのうちの少なくとも1つが、C末端6ヘリックスバンドル形成性部分を含む組み換えポリペプチドである、
    請求項16〜20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 前記C末端6ヘリックスバンドル形成性部分が、エンベロープ型ウイルスの融合タンパク質の7残基反復領域を含む、請求項21に記載の方法。
  23. 前記7残基反復領域が、RSV F HRA、RSV F HRB、およびHIV gp41 HRAからなる群より選択される、請求項22に記載の方法。
  24. 前記6ヘリックスバンドルが、3つの組み換えRSV FエクトドメインポリペプチドのC末端6ヘリックスバンドル形成性部分および各オリゴマー化ペプチドのオリゴマー化領域を含む、請求項20〜23のいずれか1項に記載の方法。
  25. 生成される前記複合体中の前記RSV Fエクトドメインポリペプチドが、
    (i)融合前コンホメーションにあり;
    (ii)ネガティブ染色電子顕微鏡写真で見た場合に、丸みを帯びた形状により特徴付けられ;かつ/または
    (iii) RSV Fの融合後形態には存在しない融合前エピトープを含む、
    請求項16〜24のいずれか1項に記載の方法。
  26. (a) C末端6ヘリックスバンドル形成性部分を含有するRSV Fタンパク質エクトドメインポリペプチドを提供するステップ、および
    (b) RSV F複合体の形成に好適な条件下で該RSV Fエクトドメインポリペプチド同士を組み合わせて、それにより、3つのRSV Fエクトドメインポリペプチドを含み、C末端6ヘリックスバンドル形成性部分および内因性HRB領域により形成される6ヘリックスバンドルにより特徴付けられるRSV F複合体が生成されるステップ
    を含む、呼吸器合胞体ウイルスF(RSV F)複合体を生成するための方法。
  27. 請求項16〜26のいずれか1項に記載の方法により生成される呼吸器合胞体ウイルスF(RSV F)複合体。
  28. 請求項1〜15および27のいずれか1項に記載の呼吸器合胞体ウイルスF(RSV F)複合体を含む免疫原性組成物。
  29. 被験体に請求項28に記載の免疫原性組成物を投与するステップを含む、被験体でのRSV Fに対する免疫応答を誘導する方法。
JP2015542299A 2012-11-20 2013-11-19 Rsvf融合前三量体 Pending JP2016501196A (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201261728498P 2012-11-20 2012-11-20
US61/728,498 2012-11-20
US201361890086P 2013-10-11 2013-10-11
US61/890,086 2013-10-11
PCT/EP2013/074169 WO2014079842A1 (en) 2012-11-20 2013-11-19 Rsv f prefusion trimers

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016501196A true JP2016501196A (ja) 2016-01-18

Family

ID=49622826

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015542299A Pending JP2016501196A (ja) 2012-11-20 2013-11-19 Rsvf融合前三量体

Country Status (13)

Country Link
US (1) US20150329597A1 (ja)
EP (1) EP2922570A1 (ja)
JP (1) JP2016501196A (ja)
KR (1) KR20150085843A (ja)
CN (1) CN104853769A (ja)
AU (1) AU2013349778A1 (ja)
BR (1) BR112015011389A2 (ja)
CA (1) CA2890135A1 (ja)
EA (1) EA201590683A1 (ja)
IL (1) IL238520A0 (ja)
MX (1) MX2015006377A (ja)
SG (1) SG11201503369RA (ja)
WO (1) WO2014079842A1 (ja)

Families Citing this family (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9738689B2 (en) 2013-03-13 2017-08-22 The United States Of America, As Represented By The Secretary, Department Of Health And Human Services Prefusion RSV F proteins and their use
WO2014160463A1 (en) 2013-03-13 2014-10-02 The United States Of America, As Represented By The Secretary, Department Of Health & Human Services Prefusion rsv f proteins and their use
EP2974739A1 (en) * 2014-07-15 2016-01-20 Novartis AG RSVF trimerization domains
EP3888676A1 (en) * 2014-06-13 2021-10-06 GlaxoSmithKline Biologicals S.A. Immunogenic combinations
WO2016061149A1 (en) * 2014-10-14 2016-04-21 Medgenics Medical Israel Ltd. Genetically-modified micro-organ secreting a therapeutic peptide and methods of use thereof
US10744193B2 (en) 2015-03-30 2020-08-18 The United States Of America, As Represented By The Secretary, Department Of Health And Human Services Immunogenic RSV polypeptides
MX2017016105A (es) 2015-06-12 2018-05-15 Glaxosmithkline Biologicals Sa Polinucleotidos y polipeptidos de adenovirus.
JO3555B1 (ar) 2015-10-29 2020-07-05 Merck Sharp & Dohme جسم مضاد يبطل فعالية فيروس الالتهاب الرئوي البشري
AU2016379097C1 (en) 2015-12-23 2021-04-08 Pfizer Inc. RSV F protein mutants
CN106119287B (zh) * 2016-08-29 2019-10-11 广东华南疫苗股份有限公司 一种表达呼吸道合胞病毒f蛋白的重组载体及方法
TWI683826B (zh) * 2016-11-22 2020-02-01 國立臺灣大學 重組rsv抗原
CN106946994B (zh) * 2017-03-09 2019-11-26 中国医学科学院病原生物学研究所 一种抑制丙型肝炎病毒感染的蛋白及其应用
EA201991918A1 (ru) * 2017-03-23 2020-05-15 Альфа-О Пептидс Аг Самосборные белковые наночастицы со встроенными белками с шестиспиральным пучком
EP3601367A4 (en) 2017-03-30 2020-09-16 The University of Queensland CHEMERICAL MOLECULES AND ASSOCIATED USES
CN115947873A (zh) 2017-04-04 2023-04-11 华盛顿大学 显示副粘病毒和/或肺炎病毒f蛋白的自组装蛋白纳米结构及其用途
WO2021046207A1 (en) 2019-09-04 2021-03-11 University Of Washington Self-assembling protein nanostructures displaying paramyxovirus and/or pneumovirus f proteins and their use
WO2023187743A1 (en) * 2022-03-31 2023-10-05 The University Of Queensland Improved chimeric polypeptides and uses thereof
CN117304280B (zh) * 2023-11-28 2024-04-16 江苏瑞科生物技术股份有限公司 一种重组rsv f蛋白及其应用

Family Cites Families (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5149650A (en) * 1986-01-14 1992-09-22 University Of North Carolina At Chapel Hill Vaccines for human respiratory virus
US5340740A (en) 1992-05-15 1994-08-23 North Carolina State University Method of producing an avian embryonic stem cell culture and the avian embryonic stem cell culture produced by the process
FR2726003B1 (fr) 1994-10-21 2002-10-18 Agronomique Inst Nat Rech Milieu de culture de cellules embryonnaires totipotentes aviaires, procede de culture de ces cellules, et cellules embryonnaires totipotentes aviaires
FR2832423B1 (fr) 2001-11-22 2004-10-08 Vivalis Systeme d'expression de proteines exogenes dans un systeme aviaire
FR2836924B1 (fr) 2002-03-08 2005-01-14 Vivalis Lignees de cellules aviaires utiles pour la production de substances d'interet
EP1528101A1 (en) 2003-11-03 2005-05-04 ProBioGen AG Immortalized avian cell lines for virus production
EP3508505A1 (en) * 2007-12-24 2019-07-10 ID Biomedical Corporation of Quebec Recombinant rsv antigens
RU2540871C2 (ru) 2008-02-01 2015-02-10 Альфа-О Пептидес Аг Самоорганизующиеся пептидные наночастицы, полезные в качестве вакцин
WO2010009065A2 (en) 2008-07-15 2010-01-21 Novartis Ag Amphipathic peptide compositions
WO2010009277A2 (en) 2008-07-15 2010-01-21 Novartis Ag Immunogenic amphipathic peptide compositions
HUE051666T2 (hu) 2008-12-09 2021-03-29 Novavax Inc Módosított RSV F fehérjék és alkalmazásuk módszerei
SG176807A1 (en) * 2009-06-24 2012-01-30 Id Biomedical Corp Quebec Vaccine
WO2011008974A2 (en) 2009-07-15 2011-01-20 Novartis Ag Rsv f protein compositions and methods for making same

Also Published As

Publication number Publication date
BR112015011389A2 (pt) 2017-08-22
AU2013349778A1 (en) 2015-05-28
EP2922570A1 (en) 2015-09-30
SG11201503369RA (en) 2015-06-29
EA201590683A1 (ru) 2015-11-30
CN104853769A (zh) 2015-08-19
WO2014079842A1 (en) 2014-05-30
IL238520A0 (en) 2015-06-30
KR20150085843A (ko) 2015-07-24
CA2890135A1 (en) 2014-05-30
MX2015006377A (es) 2015-07-21
US20150329597A1 (en) 2015-11-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20140141037A1 (en) Rsv f prefusion trimers
JP2016501196A (ja) Rsvf融合前三量体
TWI707866B (zh) Rsv f蛋白突變體
ES2563730T3 (es) Composiciones de proteína RSV F y procedimientos de fabricación de las mismas
JP6069295B2 (ja) 免疫組成物、免疫組成物の製造方法、疾患の治療剤または予防剤、組み替えポリペプチド、核酸配列、ベクターおよび宿主細胞
JP6062245B2 (ja) 組換えrsv抗原
EP2974739A1 (en) RSVF trimerization domains
JP2011528222A (ja) キメラ呼吸器合胞体ウイルスポリペプチド抗原
JP2023534840A (ja) M2/bm2欠失インフルエンザベクターを使用したワクチン
TWI838685B (zh) Rsv f蛋白突變體
KR20240011134A (ko) Rsv 및 piv3 감염을 예방하기 위한 조성물 및 방법
NZ615721B2 (en) Immunogenic compositions in particulate form and methods for producing the same