JP2016500077A - 治療的使用のためのリポソーム封入ビンクリスチンの調製のための改良法 - Google Patents

治療的使用のためのリポソーム封入ビンクリスチンの調製のための改良法 Download PDF

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Abstract

誤操作および汚染の危険性が減少した静脈内注射(VSLI)のためにリポソーム封入ビンクリスチンを効率的に構成するための改良法を開示する。【選択図】なし

Description

関連出願
本願は、2012年11月20日に出願され、その全体が参照により本明細書中で援用される、米国特許仮出願第61/728378号、表題「治療的使用のためのリポソーム封入ビンクリスチンの調製のための改良法」の優先権を吸長する。
リポソームは、薬物の血漿分布および薬物動態を非封入形態よりも改善することによって、治療効果のある薬物の有効性を増強できる、充分確立されたナノ粒子である(例えば、Weinstein, Liposomes: From Biophysics to Therapeutics, (Ostro, M. J., ed.), Marcel Dekker, Inc., N.Y., pp. 277−338, (1987)。例えば、硫酸ビンクリスチンリポソーム注射(VSLI)は、標準的硫酸ビンクリスチン注射USP(VSI)よりも高い有効性を提供するスフィンゴミエリン−コレステロールリポソーム中に封入された抗ガン治療用硫酸ビンクリスチンのリポソーム配合物である。臨床試験は、非封入ビンクリスチンと比較してビンクリスチンの循環半減期を有意に延長することによってVSLIは薬剤投与量の増加を容易にすることも示す。リポソームは遅延型薬物放出のための機構を提供し、リポソームサイズは、薬物が溢出によってガン組織中に蓄積することを可能にする(Webb et al., Cancer Chemother. Pharmacol 42:461−470, 1998; Shan et al, Cancer Chemother. Pharmacol 58:245−255, 2006)。これらの特性は、標準的VSIよりも改善された臨床的利点になる。
硫酸ビンクリスチンのスフィンゴミエリン−コレステロールリポソーム中への封入は、典型的には、酸性リポソーム内pH(例えば、pH4)および中性pH(例えば、pH7)の外部媒体を使用することによって達成される。このpH勾配によって、弱塩基性ビンクリスチンがリポソーム内部に高効率で拡散することが可能になる(Cullis et al., Trends in Biotech 9: 268−272, 1991; Boman et al, Bioch Biophys Acta, 1152:253−258, 1993)。膜貫通pH勾配を有するリポソーム内部にビンクリスチンを蓄積させるために、リポソーム膜はビンクリスチンの立体的容積に対して一時的に透過性にならなければならない。したがって、多くの場合、リポソーム中に受動的に封入することができる中性またはアニオン性薬物とは異なって、スフィンゴミエリン−コレステロールリポソームの温度は、膜貫通pH勾配がビンクリスチンと機能するために上昇させなければならない。かみあったスフィンゴミエリンとコレステロール分子の配置であるリポソーム二重層は、サーモトロピック不規則遷移状態を創出するために独特の過渡熱パターンを必要とする。これらの遷移状態は、膜脂質間の弱い分子間結合を本質的に減弱させ、かみあった脂質にギャップを形成し、そしてリポソームバイオ層(biolayer)を一時的に透過性にする。封入プロセスは、周囲温度まで冷ますと起こるスフィンゴミエリン−コレステロール脂質の自発的自己再構成を利用し、これは膜完全性を回復させる。
薬物封入に関するこの加熱プロフィールは、熱への暴露に対するビンクリスチンの化学的不安定性とバランスを平衡させなければならない(Vendrig et al., Internatl. J. of Pharmaceutics 50: 189−196, 1989; Sethi et al, Cancer Res. 45:5386−5389, 1985)。ビンクリスチンは熱的に不安定であり、高温の存在下で容易にN−デスホルミルビンクリスチンに分解する。ビンクリスチンのこのホルムアミド加水分解は周知の分解経路であり、硫酸ビンクリスチン注射(VLSI)の安定性持続期間に影響を及ぼす。例えば、VLSI溶液はこの熱不安定性のために加熱滅菌できず、安定性の延長を実現するためには、冷蔵温度で保管し、輸送しなければならない。
したがって、現在、硫酸ビンクリスチンリポソーム注射(VSLI)はFDAで認可されたラベル上に提供される指示(www.accessdata.fda.gov;参照ID:3172211、2012)にしたがって、薬局で個々の成分から調製される。これらの指示には、スフィンゴミエリン−コレステロールリポソーム中のビンクリスチンの効率のよい封入を達成し、ビンクリスチンの化学的純度を維持するために、水浴の使用を必要とする加熱処置が含まれる。水の優れた熱伝達特性によって、薬物の感知され得る化学分解がなくビンクリスチンの95%を超える封入が可能になる。
VSLIは注射可能な薬物であるので、成分の製造および薬局調剤は無菌状態を維持するために厳密に規制される。したがって、VSLIの調製の間に開放型水浴(open water bath)を使用することは、さらなる資源、計画、および装置(例えば、浮き輪(floating ring))、たとえば無菌環境を維持するために無菌フードまたは「クリーン」ルームを必要とする。一部の薬局では、無菌環境の維持に関する制限のためにVSLIの構成を実施することができない。
したがって、現在必要とされるさらなる資源および装置なしで効率的かつ再現可能に実施できるVSLI調製の改良法が依然として必要とされている。
本発明は、少なくとも一つには、封入プロセス中に加熱した水浴の使用の必要性を回避するVSLI調製法の開発に基づく。したがって、本発明は効率のよい再現可能なVSLI調製法であって、意外にも容易かつ汚染のリスクが低く広く使用することができる方法を提供する。
1つの態様において、本発明は、実質的な分解生成物のないリポソーム封入ビンクリスチンを含む薬剤的に許容される液体組成物を調製する方法であって、(a)1つのバイアル中で、(i)約1mg/mL〜約5mg/mLの濃度で硫酸ビンクリスチンを含む第1溶液であって、約3.5〜約5.5のpHを有する第1溶液と、(ii)低pHでスフィンゴミエリン/コレステロールリポソームを含む第2溶液とを構成するステップ;(b)1つのバイアル中で構成溶液の約7.0〜7.5のpHを上昇させるステップ;(c)約75℃で平衡化された乾燥加熱ブロック中で構成溶液を含む1つのバイアルを少なくとも約13〜約18分加熱するステップであって、前記加熱ブロックが、構成されたリポソーム封入ビンクリスチンを含む溶液を製造するために1つのバイアルの平均長さまたは直径よりも約1〜5%大きな1以上の孔を含む、ステップ;(d)構成された溶液を室温に平衡化させるステップ;(e)約1.5〜約2.4mg/mの患者の用量のリポソーム封入ビンクリスチンを含む構成された溶液の体積を、静脈内投与に適した医薬希釈剤で希釈して、薬剤的に許容される液体組成物を製造するステップ;および(f)薬剤的に許容される液体組成物を患者に投与するステップであって、リポソーム封入ビンクリスチンを含む構成された溶液が(i)約2.5%未満の遊離ビンクリスチンと(ii)約1.5%未満のN−デスホルミルビンクリスチンとを含むステップを含む方法を特徴とする。
いくつかの実施形態において、硫酸ビンクリスチンを含む第1溶液は、約4.5〜約4.7のpHを有する。1つの実施形態では、第1溶液は約100〜200mg/mLの濃度でマンニトールをさらに含む。
いくつかの実施形態において、リポソームを含む第2溶液のpHは約4.0である。1つの実施形態では、第2溶液はクエン酸塩緩衝液をさらに含む。
いくつかの実施形態では、構成溶液のpHを、約9.0のpHの緩衝液を含む第3溶液の添加によって上昇させる。1つの実施形態では、第3溶液はリン酸ナトリウム緩衝液を含む。
いくつかの実施形態において、構成溶液は、約0.1/1.0〜約0.2/2.0の硫酸ビンクリスチン対脂質の濃度比を含む。
いくつかの実施形態において、構成された溶液中の硫酸ビンクリスチンの濃度は約0.1mg/mL〜約0.5mg/mLである。いくつかの実施形態では、構成された溶液中の硫酸ビンクリスチンの濃度は約0.15mg/mL〜約0.2mg/mL付近である。1つの実施形態では、構成された溶液中の硫酸ビンクリスチンの濃度は約0.16mg/mLである。
1つの実施形態では、第1溶液は硫酸ビンクリスチンUSP(5mg/5mL)(4.5mg/5mLのビンクリスチン遊離塩基に等しい)と500mg/5mLのマンニトールとを含み、第2溶液は73.5mg/mLのスフィンゴミエリンと29.5mg/mLのコレステロールと33.6mg/mLのクエン酸、35.4mg/mLのクエン酸ナトリウムとからなるスフィンゴミエリン/コレステロールリポソームを含み、そして第3溶液は355mg/25mLのリン酸水素ナトリウムと225mg/25mLの塩化ナトリウムとを含む。
いくつかの実施形態において、リポソーム中のスフィンゴミエリン対コレステロールの比は約75/25モル%/モル%スフィンゴミエリン/コレステロール〜30/50モル%/モル%スフィンゴミエリン/コレステロールである。いくつかの実施形態において、リポソームは約70/30モル%/モル%スフィンゴミエリン/コレステロール〜40/45モル%/モル%スフィンゴミエリン/コレステロールを含む。1つの実施形態では、リポソームは約55/45モル%/モル%スフィンゴミエリン/コレステロールを含む。別の実施形態では、約60/40モル%/モル%スフィンゴミエリン/コレステロールを含むリポソーム。
いくつかの実施形態において、リポソームは約0.05〜0.5ミクロンのサイズ範囲を有する。いくつかの実施形態において、リポソームは約50〜200nmの平均直径を有する。1つの実施形態では、リポソームは約90〜125nmの平均直径を有する。
いくつかの実施形態では、構成溶液は約20〜50mLの体積を有する。いくつかの実施形態では、構成溶液は30〜35mLの体積を有する。
いくつかの実施形態において、構成溶液を含むバイアルの挿入前に加熱ブロックを約15分間75±2℃に平衡化する。いくつかの実施形態において、構成溶液を75±2℃で平衡化したドライブロックのカリバー孔内で約13〜15分間加熱する。1つの実施形態では、構成溶液を75±2℃に平衡化させたドライブロックのカリバー孔内で14分±30秒間加熱する。
いくつかの実施形態において、加熱ブロック中の孔は構成溶液を含む1つのバイアルの平均長さまたは直径よりも約3%未満大きい。いくつかの実施形態において、構成溶液を含む1つのバイアルは約35.8〜約37.3mmの直径を有し、加熱ブロック中のカリバー孔は直径37.2〜37.8mmの円筒形である。
いくつかの実施形態において、構成された溶液を室温に少なくとも約30分間平衡化する。
いくつかの実施形態において、約1.5〜約2.4mg/mの患者のためのリポソーム封入ビンクリスチンの用量を含む構成された溶液の体積を静脈内投与に適した標準的医薬希釈剤で希釈して、薬剤的に許容される液体組成物を製造する。いくつかの実施形態において、患者の算出された用量の体積を注入容器から取り出し、構成されたVSLI溶液の算出された体積と置換する。
いくつかの実施形態において、リポソーム封入ビンクリスチンを含む薬剤的に許容される液体組成物を構成後24時間以内で患者に投与する。
本発明の方法にしたがって製造されるVSLIは典型的にはガンを有する患者に投与される。いくつかの実施形態において、ガンは、リンパ腫、白血病、骨髄腫、脳腫瘍または神経芽細胞腫である。
いくつかの実施形態において、リポソーム封入ビンクリスチンを含む薬剤的に許容される液体組成物を静脈内注入によって約30〜60分の期間にわたって投与する。いくつかの実施形態において、リポソーム封入ビンクリスチンを含む薬剤的に許容される液体組成物を静脈内注入によって7〜28日ごとに1回投与する。1つの実施形態では、リポソーム封入ビンクリスチンを含む薬剤的に許容される液体組成物を静脈内注入により7日ごとに1回投与する。
図1は、ドライブロックおよび水浴を使用した、硫酸ビンクリスチンおよびスフィンゴミエリン/コレステロールリポソームを含有する構成された溶液の内部熱プロフィールを示すグラフである。
本発明は、現在使用されているVLSI調製法での水浴の使用に関連する欠点を克服する。驚くべきことに、VSLIを構成するために使用される容器に適合するように設計された特注設計の挿入物を有する加熱ブロックの使用は、顕著な分解なしにビンクリスチンの均一な封入を達成するために必要な熱プロフィールを提供することが判明した。
加えて、本明細書中に記載されるVSLIの調製方法がパラメトリック放出を示す改善された能力が顕著である。VSLIの安定性は「ジャストインタイム(just in time)」の調製を保証するので、構成プロセスは非常に効率がよくなければならず、また薬剤師によって再現可能でなければならない。熱によって誘導されるプロセスは「構成プロセスの間に集められた情報の再検討およびパラメトリック放出に関連する特定のGMP要件の順守に基づいて、生成物が意図する品質のものであることを保証する放出系」を提供するので、これによって封入が達成されたことを薬剤師が知っている(すなわちパラメトリック的に)必要がある(Annex 17 EU guidance)。
本発明の加熱ブロック手順は、95%を超える封入効率でVSLIの構成を達成するための便利で柔軟なプロセスを提供する。関連するステップが少ないので、誤操作の可能性が減少する。プロセスは全体的により簡単であり、時間がかからず、使用する資源が少なく、そして日常的な薬剤業務に好都合である。さらに、VSLIの個々の調製は、水浴または加熱された水浴からの水蒸気中で増殖する微生物に由来する潜在的な微生物汚染に対応する必要がない。
定義
特に断りのない限り、本明細書中で使用する全ての技術および科学用語は、治療および薬剤科学の当業者には通常理解される標準的定義を有する。
単数形「a」、「an」、および「the」は文脈上明らかに別段の指示がない限り複数の参照物を包含する。
「含む(compriseおよびcomprising)」という語は、包括的で限定されない意味で使用して、さらなる要素が含まれ得ることを意味する。
「約」という語は、特に所与の量または数について言及する場合、±5パーセントの偏差を含むことを意味する。
「無菌」組成物または容器は、本明細書中で用いられる場合、USP無菌テストを用いて判定される生存可能な微生物がない。(“米国薬局方協会:2008を参照のこと)。
「リポソーム」「小胞」および「リポソーム小胞」は、水性内容物を封入する脂質含有膜を有する構造を指すと理解される。この構造は、別段の指示がない限り、1以上の脂質膜を有し得るが、一般的には膜を1つだけ有する。そのような単層リポソームを本明細書中では「ユニラメラ」と称する。多層リポソームを本明細書中では「マルチラメラ」と称する。
「標準的」治療薬、または「遊離」治療薬とは、リポソーム封入されていない治療薬を指す。通常、薬物は、別段の定めがない限り「標準的」または「遊離」であると推定される。しかしながら、遊離形態の標準的ビンカ・アルカロイドはそれでも化学療法化合物、医薬担体、または錯化剤などの他の試薬との組み合わせで存在する可能性がある、すなわち、本明細書中で用いる場合、この語はビンカ・アルカロイドの脂質配合物を特に除外するだけである。
「ジャストインタイム」という語句は、製剤の品質を維持する(例えば、分解を最小限に抑える)ために、患者に投与する前に製剤(例えば、VSLI)の別個の成分をすぐに(例えば、24時間以内)組み合わせることを指す。
「全身性送達」は、本明細書中で用いられる場合、有機体内での化合物の広い生体内分布に至る送達を指す。全身性送達は、化合物の有用で、好ましくは治療量が身体のほとんどの部分に暴露されることを意味する。広い生体内分布を得るためには、概して、疾患部位に到達する前に化合物が(例えば初回通過器官(肝臓、肺など)によるか、または迅速な非特異的細胞結合により)急速に分解または一掃されないような導入経路を必要とする。リポソーム封入ビンカ・アルカロイドの全身性送達は、好ましくは静脈内送達によって得られる。
「治療有効量」という語句は、哺乳類における疾患または障害(例えば、ガン)を治療するために有効で、例えば不変疾患、ガン状態の部分寛解または完全寛解をもたらす薬物(例えば、VSLI)の量を指す。
「不変疾患」は、本明細書中で用いられる場合、薬物(例えば、VSLI)の投与によって標準的臨床的、放射線学的および/または生化学的手段によって測定される腫瘍またはガンの成長または有病率が停止するが、ガンのサイズまたは有病率の軽減または減少がない状態を指す。
「部分応答」または「部分寛解」は、治療に反応した、標準的臨床的、放射線学的および/または生化学的手段によって測定されるガン状態の改善を指す。典型的には、「部分応答」とは、腫瘍のサイズまたはガンを示す血液マーカーのレベルが治療に反応してベースラインレベルから(例えば、20%、30%、40%または50%)減少したことを意味する。例えば、血液ガンの治療に関して、応答を国際作業部会基準(International Working Group (IWS)基準;BD Cheson et al, J Clin Oncol 15:4642−4649)に基づいて評価する。
「完全応答」または「完全寛解」は、例えば、腫瘍サイズおよび/またはガンマーカーレベルによって測定されるようなガン状態が治療後に検出できないことを意味する。
「神経毒性」は、感覚麻痺、知覚過敏、錯感覚、反射低下、反射消失、神経痛、顎痛、振動感覚の低下、脳神経障害、腸閉塞、灼熱感、関節痛、筋肉痛、筋けいれん、虚弱、ならびに/または治療前および治療中の両方での起立性低血圧(hyptension)などの神経障害の症状を包含する。起立性低血圧が起こる可能性がある。神経毒性を、国立がん研究所(NCI)有害事象共通用語規準(CTCAE)バージョン4.03(http://ctep.cancer.gov/reporting/etc.html)に基づいてグレード1〜グレード3として評価する。
硫酸ビンクリスチン
硫酸ビンクリスチンは、ツルニチニチソウ(periwinkle plant(Catharanthus roseus))から最初に単離されたビンカ・アルカロイドファミリーのメンバーである。硫酸ビンクリスチンは、細胞周期特異的抗がん活性を有する。ビンカ・アルカロイドはチューブリンと結合し、チューブリン重合を変え、中期停止、細胞有糸分裂の阻害、および細胞死に至る。細胞周期特異的薬剤として、その治療反応は、拡張された薬物レベルを維持するリポソーム封入によって向上される。細胞のビンクリスチン(および他の細胞周期特異的薬物)への延長された暴露は、薬物のインビトロ細胞毒性を増強することが示されている(Bfurris et al, JNCI 84; 1816−1826, 1992; Georgiadis et al, Clin Cancer Res 3:449−454, 1997; Jackson and Bender, Cancer Res 39:4346−4349, 1979)。
硫酸ビンクリスチンは、通常、1:1硫酸塩として単離される。それは、吸湿性の白色から若干黄色がかった結晶性粉末であり、これは水中に可溶性である。それは、923.04(塩形態)/824.98(塩基形態)の分子量およびC465610・HSOの分子式を有する。硫酸ビンクリスチンの化学名は22−オキソビンカロイコブラスチンであり、以下の化学構造を有する:
Figure 2016500077
硫酸ビンクリスチンは、硫酸ビンクリスチン注射USPとして(例えば、1mg/mL溶液として)処方され、硫酸ロイコクリスチン、キオクリスチン、ビンコシド、ビンクレックス、オンコビン、Vincasar PFS(登録商標)としても知られ、多くの供給源から市販されている。
リポソーム
本発明のリポソーム担体成分は、スフィンゴミエリンおよびコレステロールリポソーム注射(SCLI)から構成される。リポソーム中に存在するスフィンゴミエリンとコレステロールの比は様々であり得るが、一般的には75/25モル%/モル%スフィンゴミエリン/コレステロール〜30/50モル%モル%スフィンゴミエリン/コレステロールの範囲内である。1つの実施形態では、リポソーム組成物は約70/30モル%/モル%スフィンゴミエリン/コレステロール〜40/45モル%モル%スフィンゴミエリン/コレステロールを含む。別の実施形態では、リポソーム組成物は約55/45モル%モル%スフィンゴミエリン/コレステロールを含む。さらに別の実施形態では、リポソーム組成物は約60/40モル%モル%スフィンゴミエリン/コレステロールを含む。
ある実施形態では、例えば脂質酸化を防止するため、またはリガンドをリポソーム表面上に結合させるために、さらなる脂質が配合物中に存在してもよい。一般的に、他の脂質を含めることにより、スフィンゴミエリン/コレステロール比が減少する。
本発明で使用するスフィンゴミエリン/コレステロールリポソームはマルチラメラまたはユニラメラであり得る。リポソームを調製するための好適な方法としては、限定されるものではないが、超音波処理、押出、高圧/均質化、顕微溶液化、界面活性剤透析法(detergent dialysis)、小リポソーム小胞のカルシウム誘発性融合、薄膜蒸発、およびエーテル注入法が挙げられ、これらはすべて当該技術分野で周知である。例えば、Szoka, et al, Ann. Rev. Biophys. Bioeng., 9:467 (1980)、米国特許第4,186,183号、同第4,217,344号、同第4,235,871号、同第4,261,975号、同第4,485,054号、同第4,501,728号、同第4,774,085号、同第4,837,028号、同第4,946,787号、同第5,543,152号、同第6,723,338号、国際公開第91/17424号、Deamer and Bangham, Biochim. Biophys. Acta, 443:629 634 (1976); Fraley, et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 76:3348 3352 (1979); Hope, et al, Biochim. Biophys. Acta, 812:55 65 (1985); Mayer, et al, Biochim. Biophys. Acta, 858: 161 168 (1986); Williams, et al, Proc. Natl. Acad. Sci., 85:242 246 (1988), the text Liposomes, Marc J. Ostro, ed., Marcel Dekker, Inc., New York, 1983, Chapter 1、およびHope, et al, Chem. Phys. Lip., 40:89 (1986)で記載されているような様々な方法がリポソームの調製のために利用可能であり、これらはすべて参照により本明細書中で援用される。
リポソーム調製後、当該技術分野で周知の標準方法(例えば米国特許第6,723,338号を参照のこと)を使用してリポソームをサイズ分類して所望の粒子サイズ範囲を達成することができる。本明細書中で記載されるVSLI製剤で使用できる典型的なリポソームは、約0.05〜0.5ミクロン(50〜500nm)、0.2〜0.4ミクロン(200〜400nm)、約0.1〜0.4ミクロン(100〜400nm)、約0.05〜0.2(50〜200nm)または約0.5(500nm)〜約0.15ミクロン(150nm)のサイズ範囲を有する。ある実施形態では、リポソームは、約50nm、約60nm、約70nm、約80nm、約90nm、約100nm、約105nm、約110nm、約115nm、約120nm、約130nm、約140nm、約150nm、約160nm、170nm、約180nm、約190nm、または約200nmの平均粒子径を有する粒子サイズを有する。1つの実施形態では、平均粒子サイズは90〜125nmであり、好ましい平均粒子サイズは約107.5nmであって、粒子サイズ分布の25%は70nm以上であり、分布の90%は170nm以下の粒子サイズを有する。
スフィンゴミエリン/コレステロールリポソームは、本明細書中で記載するVSLI製材で使用されるリポソーム成分として機能し、リポソーム内部が低pHになるように製造される。構成プロセスの間、低pHを有するVSI、および低pHを有するSPLIを高pHの緩衝液中で希釈し、そのため、外部VSLI溶液の最終pHはほぼ生理学的に中性である。結果として、脂質膜内外でpH勾配が生じ、この場合、pHはリポソームの内側コア中では外側の周囲の溶液よりも低い。そのような勾配は、公知方法(例えば、US6,723,338)にしたがって達成される。例えば、勾配は、約2〜約6のpH、約3〜約5のpHを有する緩衝液の存在下でリポソームを配合し、続いてリポソームをより高いpH、例えば、約7.0〜約7.5のpHに移すことによって達成することができる。1つの実施形態では、リポソームは約4.0の内部pHを有する。リン酸ナトリウムなどの任意の数の希釈緩衝液を使用できる。1つの実施形態において、緩衝液は、最終的な希釈された外部リポソーム溶液がVSIおよびSPLIと混合された場合に生理的中性pHを有するように、8〜10、好ましくは9.0のpHを有する。
本明細書中で記載する方法にしたがってVSLIの調製で使用する前に、SPLIリポソームは、患者へ投与するためのVSLIの薬物封入および構成前の実質的な期間、冷蔵条件で保存することができる。別法として、リポソームを脱水し、保管し、周知方法にしたがって使用する前に再水和することができる(例えば、米国特許第5,077,056号または同第5,736,155号を参照のこと)。
VSLI調製
VSLIを厳格な無菌技術で、例えば生物学的安全キャビネット中、または無菌注射可能な配合物および有害薬物の調製のための確立された薬学的安全手順により、調製する。抗がん剤の取り扱いおよび廃棄の手順は厳格に守られなければならない(NIOSH Alert: Preventing occupational exposure to antineoplastic and other hazardous drugs in healthcare settings. 2004. U.S. Department of Health and Human Services, Public Health Service, Centers for Disease Control and Prevention, National Institute for Occupational Safety and Health, DHHS (NIOSH) Publication No. 2004− 16; OSHA Technical Manual, TED 1−0.15 A, Section VI: Chapter 2. Controlling Occupational Exposure to Hazardous Drugs. OSHA, 1999; American Society of Health−System Pharmacists. ASHP guidelines on handling Hazardous Drugs. Am J Health−Syst Pharm. (2006) 63: 1172−1193; Polovich M, White JM, Kelleher LO (eds.) 2005. Chemotherapy and biotherapy guidelines and recommendations for practice (2nd. ed.) Pittsburgh, PA: Oncology Nursing Society)
構成されたVSLIを調製するためのプロセスは、以下の一般的ステップを含む:
・約3.5〜約5.5、または約4.5〜約4.7のpHで約100〜約200mg/mLのマンニトール(硫酸ビンクリスチンが安定なままである他の薬剤的に許容される賦形剤も使用できる)を含有する緩衝液中、約1mg/mL、約2mg/mLまたは約5mg/mLを含有する硫酸ビンクリスチンの第1溶液と、低pH(例えば、約4.0)の緩衝液中に懸濁させたリポソームの第2溶液とを適切な濃度比、例えば、0.1/1.0〜0.2/1.0(重量硫酸ビンクリスチン対重量脂質)で混合することによって、構成溶液を調製する。
・硫酸ビンクリスチンおよびリポソームを含有する構成溶液のpHを次いで約7.0〜約7.5まで上昇させて、pH勾配を生じさせる。これは、例えば、より高いpH(例えば、約9.0)の緩衝液(例えば、リン酸ナトリウム)の添加によって達成することができる。
・構成溶液を次いで少なくとも約13〜約18分間、構成溶液を含む容器の平均長さまたは直径よりも約5%未満大きなカリバーウェルを含む約75℃に平衡化させたドライ加熱ブロック中で加熱して、構成された生成物VSLIを得る。
・構成された生成物を含む加熱された構成溶液を次いで少なくとも約30分間、少なくとも約45分間または少なくとも約60分間、室温(15℃〜30℃)に平衡化させる。
・患者に投与される構成されたVSLIの用量に相当する体積の構成溶液を次いで静脈内投与に適した溶液と混合して、約100mLの最終体積にする。
いくつかの実施形態において、硫酸ビンクリスチン、リポソームおよび高pH緩衝液の溶液を3つの別個の容器中で提供する。ある実施形態では、3つの溶液を、例えば、約20〜50mL、約25〜40mL、または約30〜35mLの溶液の総体積を含むような容量を有する1つの無菌容器中で構成する。
1つの実施形態では、別個の成分を3以上のバイアルを含むキットとして提供する。バイアルの少なくとも1つは、たとえば100または200mg/mLのマンニトール(薬剤的に許容され、ビンクリスチンが長時間安定なままである他の賦形剤も使用できる)を含む緩衝液中、たとえば1mg/mL、2mg/mL、または5mg/mLの硫酸ビンクリスチンを含み、pH3.5〜5.5、または好ましくはpH4.5〜pH4.7に調節した、ビンクリスチン溶液を含む。バイアルの1つは、たとえばpH4.0の300mMのクエン酸塩緩衝液中に懸濁されたスフィンゴミエリンおよびコレステロールリポソームを含む溶液を含む。別のバイアル(複数可)はリン酸水素ナトリウムなどのアルカリ性リン酸塩緩衝液(例えば、pH9.0)、14.2mg/mL(20ml/バイアル)を含む。
1つの実施形態では、(i)硫酸ビンクリスチンUSP(5mg/5mL)(4.5mg/5mLのビンクリスチン遊離塩基に等しい)、および500mg/5mLのマンニトール;(ii)73.5mg/mLのスフィンゴミエリン、29.5mg/mLのコレステロール、33.6mg/mLのクエン酸、35.4mg/mLのクエン酸ナトリウム、および0.1%以下のエタノールからなるスフィンゴミエリン/コレステロールリポソーム注射(SPLI);および(iii)355mg/25mLのリン酸水素ナトリウムおよび225mg/25mLの塩化ナトリウムを含むリン酸ナトリウム注射(SPI)(すべて注射用水で調製)を含有する3つのバイアル中でVSLIの構成のための成分を別々に提供する。
本発明の方法で使用される容器は、無菌であり、任意の薬剤的に許容される物質(例えば、ガラスまたはプラスチック)から構成される。多くの異なる製造業者(例えば、Wheaton Products、Thomas Scientific)によって市販されている多くの異なる種類、サイズのバイアルがある。1つの実施形態では、約36.5mmの平均直径、および約35.8〜約37.3mmの平均範囲を有する無菌バイアル中で成分を構成する。
安全な乾燥定温源を提供する好適なドライブロックヒーターは、多くの供給源(例えば、Bibby Scientific Ltd, V& P Scientific, Inc., Fisher Scientific Inc., VWR Scientific, Thermolyne Inc.)から市販されている。構成溶液の容器を受容するように適応させた口径の1以上の孔を有する熱伝導性挿入物は、金属(例えば、陽極酸化処理アルミニウム、銅)または他の好適な熱伝導性材料であってよい。適切なサイズの開口部の孔を含む挿入物を容易に得ることができる(例えば、V&P Scientific, Inc.)、または標準的方法を用いて製造することができる。ある実施形態では、加熱ブロックは、構成溶液を含む容器の平均長さまたは直径よりも約1〜5%、または約4.5%、4.2%、4.0%、3.8%、3.5%、3.3%、3.0%、2.8%、2.5%、2.2%、2.0%、1.8%、1.5%、1.2%もしくは1.0%大きな開口部を含む。いくつかの実施形態において、加熱ブロックは円筒形開口部を含む。1つの実施形態では、開口部は直径37.2〜37.8mm、または直径約37.4〜37.6mmである。
いくつかの実施形態では、構成溶液を約13分間、約14分間、約15分間、約16分間、約17分間、約75℃にて加熱する。1つの実施形態では、構成溶液を75℃で平衡化させた加熱ブロック中で約14分間加熱する。
構成されたVSLIを、例えば前もって充填された無菌容器(ガラスビン、プラスチックビンまたはプラスチックバッグ)中で提供してもよい、患者への静脈内投与に適した薬剤的に許容される希釈剤(例えば、デキストロース、塩化ナトリウム)と混合してもよい。いくつかの実施形態において、患者の計算された用量の体積を輸液バッグから取り出し、計算された体積の構成されたVSLI溶液と置換して輸液バッグ中に入れ、例えばこの場合、注入容器の最終容積は100mLである。1つの実施形態では、薬剤的に許容される希釈剤は5%デキストロース注射または0.9%塩化ナトリウム注射のものである。
VSLI
本明細書中で記載する方法にしたがって製造されるVSLIは、眼に見える異物および凝集物が本質的にない白色から灰白色の半透明懸濁液に見える。典型的には、硫酸ビンクリスチンの約95%超、約96%、約97%、約98%またはそれ以上がリポソーム中に封入される。
本明細書中で記載する方法にしたがって製造されるVSLIは、約4.0%未満、3.5%、3.4%、3.2%、3.1%または3.0%の全不純物を含む。いくつかの実施形態において、VSLIは、約2.0%未満、1.8%、1.7%、1.6%、1.5%、1.4%または1.3%のN−デスホルミルビンクリスチンを含む。
本明細書中で記載する方法にしたがって製造されるVSLIは、72時間以内で少なくとも約75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%または約85%の平均インビトロ放出速度(IVR)またはインビボ放出速度を有する。
ビンクリスチン封入レベル、不純物のレベルおよびリポソームからのビンクリスチンの放出速度を決定するためのアッセイは当該技術分野で公知である。例えば、米国特許第5543152号および同第5837282号;Zhigalstev et al. J. Controlled Release 104: 103−111, 2005);Puscalau et al. Am. J. Health−Syst. Pharm. 62: 1606−1612, 2005)を参照のこと。
一般的に、本明細書中で記載する方法にしたがって製造されるVSLIは硫酸ビンクリスチンを約0.1mg/mL〜約0.5mg/mLで含む。ある実施形態では、硫酸ビンクリスチンは約0.15mg/mL〜約0.2mg/mLで存在する。1つの実施形態では、硫酸ビンクリスチンは約0.16mg/mLで存在する。1つの実施形態では、VSLIは5mgの硫酸ビンクリスチン、500mgのマンニトール、73.5mgのスフィンゴミエリン、29.5mgのコレステロール、36mgのクエン酸ナトリウム、38mgのクエン酸、355mgのリン酸ナトリウム、および225mgの塩化ナトリウムを含む。
用量および投与
本明細書中で記載する方法にしたがって調製されるVSLIを使用して、原発性、再発性および難治性ガンをはじめとする任意の種類のがんを治療することができる。VLSIで治療される患者または対象は、ヒト、ヒト以外の霊長類、鳥類、ウマ種、イヌ種、ネコ種、ウシ種、ブタ、ウサギ目、げっ歯類、およびその他を含む様々な動物であってよい。ある実施形態では、VSLIを使用して、限定されるものではないが、リンパ腫、白血病および骨髄腫をはじめとする血液およびリンパ系のガンを治療する。ある実施形態では、VSLIを使用して、限定されるものではないが、神経芽細胞腫および脳腫瘍をはじめとする腫瘍を治療する。
VSLIを単剤として、またはシクロホスファミド、ドキソルビシンおよび/またはプレドニゾンなどの他の化学療法剤と組み合わせて使用できる。1つの実施形態では、VSLIを、リポソームCHOP配合物(“lipo−CHOP)としてシクロホスファミド、ドキソルビシンおよびプレドニゾンとともに投与する。別の実施形態では、VSLIを少なくとも1つのさらなる抗腫瘍剤と同時投与する。別の実施形態では、さらなる抗腫瘍剤は抗腫瘍モノクローナル抗体、例えばOncoly(商標)、Rituxan(商標)、またはBexxar(商標)である。別の実施形態では、さらなる抗腫瘍剤は、アンチセンス薬物または抗腫瘍ワクチンである。別の実施形態では、VSLIをガバペンチン(Neurontin(商標))などの神経毒性の予防または治療薬と同時投与する。
典型的には、VSLIを、患者への投与の約24時間以内に調製し、そして室温(15℃〜30℃)または冷蔵(2〜8℃)で保存する。
VSLIを静脈内送達によって患者に全身投与する。1つの実施形態では、VSLIを静脈内注入によって、例えば約30分、約45分、約60分、約90分またはそれ以上の期間にわたって投与する。
典型的には、VSLIを定期的に、例えば7〜28日ごとに1回投与する。ある実施形態では、VSLIを3、5、7、10、14、21または28日ごとに1回投与する。1つの実施形態では、VSLIを静脈内注入により14日ごとに投与する。別の実施形態では、VSLIを静脈内注入により7日ごとに投与する。本明細書中で用いられる場合、VSLIの各投与は、治療の1「コース」とみなされる。
用量あたり投与されるVSLIの量は、患者の病歴、他の治療法の使用、および疾患の性質(例えば、第1、再発性または難治性ガン)などの多くの因子に左右されるであろう。典型的には、本明細書中で記載する方法にしたがって調製されるVSLIを約1.4〜約2.4mg/mの用量で投与する。ある実施形態では、VSLIを約1.5mg/m、約1.8mg/m、約2.0mg/mm、2.1mg/m、2.2mg/m、2.3mg/mまたは2.4mg/m(すなわち、体表面積1m当たりのビンクリスチンmg)の用量で投与する。1つの実施形態では、VSLIを2.25mg/mの用量で静脈内注入により約60分にわたって7日ごとに1回投与する。
他の実施形態において、VSLIの投与は、治療の間、一時的に中断および/または減少される可能性がある。例えば、1つの実施形態では、グレード3末梢神経障害または持続性グレード2末梢神経障害を呈する患者に投与されるVSLIの用量は、約7日まで中断してもよく、その後、グレード1または2に回復すると約2mg/mの用量まで減らしてもよい。別の実施形態では、持続性グレード2末梢神経障害を呈する患者に投与される用量は、減らした用量を受容した後でも、最高7日間中断してもよく、その後、1.825mg/mの用量、または1.5mg/mまで減らしてもよい。
周知方法にしたがって対象の体表面積(BSA)を計算することによって、VSLIの投与量を決定する。例えば、BSAは対象の体重(kg)と身長(cm)の積を3600で割ったものの平方根に等しいというモステラーの式にしたがう。ヒトにおいて「正常な」BSAは、一般的に1.7mであると考えられるが、個体の年齢および性別をはじめとする他の因子にも依存する。例えば:
・成人男性の平均BSA:1.9m
・成人女性の平均BSA:1.6m
・小児(9歳)の平均BSA:1.07m
・小児(10歳)の平均BSA:1.14m
・小児(12〜13歳)の平均BSA:1.33m
(Mosteller RD. Simplified calculation of body−surface area. N Engl J Med 1987;317: 1098)
実施例
実施例1
VSLIバイアル溶液の温度プロフィールをドライブロックでの加熱プロセス中に調査し、そしてMarqibo(登録商標)の認可された標識指示(FDA/cder Reference ID: 3172211, August 2012)にしたがって水浴で加熱した場合に観察される温度プロフィールと比較した。
装置および材料
・Marqibo(登録商標)キットで構成されたVSLI、ロットNT268035(部分的に使用したバイアルの内容物を1つのバイアルに合する
・直径1.480”のウェルおよび温度計ポケットを備えたTechne Dri−block(登録商標)DB−3ヒーター(Bibby Scientific Limited)。
・デジタル温度計;0℃〜100℃の範囲で±1℃の精度
・Isotemp 202 #00947水浴(Fisher Scientific)
・Fluke 726 #914002熱電対温度較正器(Fluke Corporation)
手順
温度プロフィール測定値は、加熱装置(すなわち、ドライブロックまたは水浴)中に入れた後のバイアル内部の溶液温度を記録することによって得られた。0時は、バイアルを加熱装置中に入れた時点であった。以下の手順を使用した:
1.成分VSIおよびSCLIを1つのSPIバイアル(Swiss Precision Instruments, Inc.)中に合わせた。デジタル熱電対を、バイアルの隔壁を通して挿入し、バイアルの底表面から約5mmで保持し、液体溶液の中央に配置した。
2.1.480インチのバイアル容器ホールを含むブロックを有するドライブロックヒーターを使用した。バイアル容器ホールに近接して配置されたブロックの温度計ホール中に温度計を入れることによってブロック温度をモニタリングした。ブロックヒーターを75℃の温度にセットし、ブロック温度計が75±2℃を表示するまで温めた。加熱されたブロックを最低15分間75±2℃で平衡化させた。バイアルを次いで75±2℃で平衡化されたブロックのウェル中に14分±15秒間挿入し、次いで取り出した。構成されたバイアルを約60分間周囲条件に置くことによって周囲温度にした。同じバイアルを用いてこの手順を2回繰り返した。
3.バイアル内側液体温度、およびブロック温度を1分間隔で(または表示どおりに)記録し、表1で一覧にした。
4.比較のために、水温が65±5℃になるまで水浴を加熱した。水浴を最低15分間平衡化させた。構成されたVSLIを含むバイアルを次いで水浴中に10分±1分間挿入し、次いで取り出した。構成されたバイアルを周囲温度にした。
5.バイアル内側液体温度、時間および水温を記録し、表1で一覧にした。
結果および考察
構成されたVSLIバイアルの液体内容物を75℃±2℃にて平衡化されたドライブロックで加熱する温度プロフィールは、65℃±5℃まで均一かつ緩徐な加熱速度を示す。表1および図1で示した結果は、4.21℃/分の平均速度でバイアル内容物を加熱した水浴に対して、ドライブロックは3.26℃/分の平均速度で液体バイアル内容物を加熱したことを示す。65℃±5℃の所望の温度は、水浴では10分かかったのに対して、ドライブロックでは14分で達成された。どちらの加熱装置でも、一旦バイアルを熱源から取り出すと、徐々に冷却された。温度はドライブロックから取り出した後3〜4分間、水浴から取り出した後1〜2分は、59〜65℃の範囲内のままであった。両方の装置で、バイアルは、ドライブロックでは50〜65℃に少なくとも20分間、水浴では15分間暴露された。いずれかの装置で加熱した後、溶液は視覚的に同じまま、すなわち目に見える異物および凝集物が本質的にない白色から灰白色半透明懸濁液のままであった。
Figure 2016500077
結論
この実験により、ドライブロックがVSLIバイアル内側液体温度を14分以内で65℃±5℃に到達させる好適な温度加熱プロフィールを示し、20分で50〜65℃の範囲内での熱への暴露を提供することが示された。これは、65℃±5℃の内部液体温度を10分で達成し、50〜65℃の範囲内で15分の全体的加熱暴露を達成する、水浴中でのバイアルの加熱に匹敵する。両方法についての加熱速度は緩徐かつ均一であった。75℃±2℃にセットされたドライブロックでは、1分につき3.26℃の加熱速度が得られ、65℃±5℃にセットされた水浴では、1分あたり4.21℃の速度が得られた。加熱は、水浴では横ばいになったが、一方で、ドライブロック中での加熱速度は75℃±2℃セットポイントに向かって引き続き一定速度であった。バイアルをいずれかの加熱装置から取り出すと、周囲温度への冷却は約60分かかった。これらの加熱プロフィールは、ビンクリスチンの定量的に近い封入が熱力学的プロセスであり、これはそれらの条件を達成する動力学よりもむしろ膜封入を促進する温度への全体的な暴露に左右される。
要約すれば、ドライブロックおよび水浴は、VSLIの効率的な調製のためにビンクリスチンのスフィンゴミエリンコレステロールリポソーム中への封入を可能にする熱力学的プロフィールを提供できる。
実施例2
乾燥加熱ブロックを用いて構成されるVSLIのビンクリスチン分解生成物のレベルを調査した。
装置および材料:
・480”直径ウェルおよび温度計ポケットを備えたTechne DB−3 Dri−Block(登録商標)。
・7mm以下の直径を有し、0℃〜100℃の範囲で±1℃の精度の温度計
・較正されたストップウォッチまたはタイマー
・マイクロメーター(0〜2”)または等価物。
・30 Marqibo(登録商標)Kits、ロット番号TTX0611(Talon Therapeutics, Inc.)
手順
最大および最小外径を有するSPIバイアルを有する30Marqibo(登録商標)キットからのバイアルを実験で使用した。SPIバイアルの直径を、最近傍0.001”まで測定し、記録した。結果を表2に示す。
Figure 2016500077
2つのバイアルを構成のために選択した。許容されるSPIバイアル直径の下端である1.41インチに近いかまたは等しい直径を有するバイアル(「バイアル1」)の直径の測定値は1.4305インチであった。許容されるSPIバイアル直径の上端である1.47インチに近いかまたは等しい直径を有するバイアル(「バイアル2」)の直径の測定値は1.4545インチであった。
選択されたキットを上述のように構成し、硫酸ビンクリスチン、関連する化合物ならびに粒子サイズおよび分布について適合硫酸ビンクリスチン注射USP法にしたがって試験した。
水浴の代わりに1.480インチのバイアル容器ホールを含むブロックを有するDri−Blockヒーターを使用したことを除いて、前記指示を用いて2つの実験キットを構成した。バイアル容器ホールの近くにあるブロックの温度計ホール中に温度計を入れることによってブロック温度をモニタリングした。ブロックヒーターを75℃の温度にセットし、ブロック温度計が75±2℃を表示するまで加熱した。加熱されたブロックを次いで最低15分間平衡化させた(時間を記録)。条件を表3に記載する。各バイアルを次いで75±2℃に加熱されたブロック中に14分±15秒間挿入し(時間を記録)、次いで取り出し、バイアルを約60分にわたって周囲条件に置くことによって周囲温度にした。
時間およびブロック温度は構成の間、表4で示すように記録された。分析結果を表5、6および7に記録した。
Figure 2016500077
Figure 2016500077
Figure 2016500077
Figure 2016500077
Figure 2016500077
結果および考察
VSLIの構成は、Dri−Blockヒーターを使用して1.4305および1.4545インチの直径を有する構成バイアルを使用して達成された。これらは、バイアル直径として許容される1.41インチの下限と1.47インチの上限にもっとも近いバイアルであった。加熱ブロック中でVSLIバイアルを14分間インキュベーションする間、ブロック温度は、ブロックウェル直径とバイアルのいずれかの直径との間隙間の温度平衡化のために1度以下降下した。熱伝達のこの動力学は、VSLIの調製に影響を及ぼさなかった。75℃で平衡化されたDri−Block熱に14分暴露させた後、両バイアルから結果として得られる構成されたVSLIは97%を超えるビンクリスチン封入を達成した。Dri−Blockを用いたインキュベーションの結果、平均2.175%の遊離ビンクリスチンの封入効率が得られた。Dri−Block加熱プロフィールで新しい不純物または不純物の増加は観察されなかった。主な分解物(degradant)であるN−デスホルミルビンクリスチンは平均1.33%で観察され、0.574%を超える他の不純物はなく、3.10%以下の総不純物であった。粒子サイズ分布は平均直径107.5nmならびに平均D2590.5nmおよびD90138.5nmのVSLI明細と一致し、Dri−Block加熱で調製されたVSLIはIVR分析によると72時間までにビンクリスチンの約84パーセントを放出した。
結論として、14分±15秒のインキュベーション期間で75±2°にて平衡化されたDri−Blockヒーターを用いて構成されたVSLIは、スフィンゴミエリン−コレステロールリポソーム中にビンクリスチンの99%以上を封入し、この実験中に異常は観察されなかった。データは、ビンクリスチンを効率的に封入する生成物をもたらし、ドライブロックヒーターがVSLIの構成において水浴と置換できることを示すドライブロック構成温度プロフィールを証明した。
実施例3
この試験で、ビンクリスチン分解生成物のレベルを測定して、ドライブロック手順を用いて様々な構成時間を提供した。
装置および材料
・1.476”(±0.004)直径のウェルおよび温度計ポケットを備えたDri−block(登録商標)
・7mm以下の直径を有し、0℃〜100℃の範囲内で±1℃の精度の温度計
・較正されたストップウォッチまたはタイマー
・Marqibo(登録商標)Kit、ロット番号TTX0611(Talon Therapeutics, Inc.)
手順
3つのMarqibo(登録商標)Kitをランダムに選択し、3つの異なる時間(それぞれ13、14および15分)で75℃にてドライブロック中で加熱することによって構成した。構成されたバイアルを全および遊離硫酸ビンクリスチン、関連化合物、粒子サイズおよび分布について、適合硫酸ビンクリスチン注射USP法を用いて試験した。
水浴の代わりに、1.476インチ(±0.004”)バイアル容器ホールを含むブロックを有するDri−block(登録商標)ヒーターを使用したことを除いては、上述の指示を用いて実験キットを構成した。バイアル容器ホールに近接して設置されたブロックの温度計ホール中に温度計を入れることによってブロック温度をモニタリングした。ブロックを75℃の温度にセットし、ブロック中の温度計が75±2℃を表示するまで加熱した。加熱されたブロックを次いで最低15分間平衡化させた。状態を表9に記録した。各バイアルを次いで75±2℃に加熱したブロック中に、それぞれ13分±15秒間、14分±15秒間、および15分±15秒間挿入した。バイアルを次いで取り出し、周囲温度に置いた。構成されたバイアルを試験前少なくとも60分間周囲温度まで冷却させた。
時間およびブロック温度は構成の間、表9および20で示されるように記録された。分析結果を表11、12およびl3に記録した。
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結果および考察
1つの構成されたキットを75℃の平衡化された加熱ブロック中にそれぞれ13、14および15分間入れた。すべてのサンプル時間で封入ビンクリスチンが得られ、3つのバイアル間で記録された試験結果において有意な差はなかった。97%を超えるビンクリスチン封入がDri−Blockを使用する3つのバイアルすべてで観察され、最大2.3%遊離ビンクリスチンの封入効率が得られた。Dri−Block加熱プロフィールで新しい不純物または不純物の増加は観察されなかった。主な分解物であるN−デスホルミルビンクリスチンは最大1.51%で観察され、0.59%を超える他の不純物はなく、総不純物は3.3%以下であった。粒子サイズ分布は、平均直径107nmならびに平均D2590nmおよびD90137nmのVSLI明細と一致した。
結論として、13〜15分(±15秒)のインキュベーション期間で75±2℃にて平衡化させたドライブロックで水浴を置換して構成されたVSLIは、ビンクリスチンを効率的に封入し、実験を実施する間、異常は記録されなかった。データは、効率のよいVSLI構成に至るDri−Block構成温度プロフィールを立証し、Dri−blockヒーターがVSLIの構成で水浴と置換できることを示す。
本明細書中で記載される実施例および実施形態は例示目的のためだけであり、当業者にはその点に関して様々な修飾および変更が示唆され、本出願の主旨および範囲ならびに添付の特許請求の範囲内に含まれると理解される。すべての刊行物、本明細書中で引用される特許および特許出願は、あらゆる目的のためにその全体が本明細書中で参照により援用される。

Claims (37)

  1. 実質的な分解生成物のないリポソーム封入ビンクリスチンを含む薬剤的に許容される液体組成物を調製する方法であって:
    (a)1つのバイアル中で、(i)約1mg/mL〜約5mg/mLの濃度で硫酸ビンクリスチンを含む第1溶液であって、約3.5〜約5.5のpHを有する第1溶液、および
    (ii)低pHでスフィンゴミエリン/コレステロールリポソームを含む第2溶液を構成すること、
    (b)前記1つのバイアル中の前記構成溶液のpHをpH約7.0〜7.5まで上昇させること、
    (c)前記構成溶液を含む前記1つのバイアルを約75℃で平衡化させたドライ加熱ブロック中で少なくとも約13〜約18分間加熱することであって、ここで、前記加熱ブロックは、構成されたリポソーム封入ビンクリスチンを含む溶液を製造するために1つのバイアルの前記平均長さまたは直径よりも約1〜5%大きな1以上の孔を含む、加熱すること;
    (d)前記構成された溶液を室温に平衡化すること;
    (e)約1.5〜約2.4mg/mの前記患者用のリポソーム封入ビンクリスチンの用量を含む前記構成された溶液の体積を静脈内投与に適した医薬希釈剤で希釈して、前記薬剤的に許容される液体組成物を製造すること;および
    (f)前記薬剤的に許容される液体組成物を前記患者に投与すること、
    を含み、ここで、リポソーム封入ビンクリスチンを含む前記構成された溶液は、(i)約2.5%未満の遊離ビンクリスチンと(ii)約1.5%未満のN−デスホルミルビンクリスチンとを含む、方法。
  2. 硫酸ビンクリスチンを含む前記第1溶液が約4.5〜約4.7のpHを有する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第1溶液が約100〜200mg/mLの濃度でマンニトールをさらに含む、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
  4. 前記リポソームを含む前記第2溶液の前記pHが約4.0である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記第2溶液がクエン酸塩緩衝液をさらに含む、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 約9.0のpHの緩衝液を含む第3溶液の添加によって前記構成溶液の前記pHを上昇させる、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記第3溶液がリン酸ナトリウム緩衝液を含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記構成溶液が約0.1/1.0〜約0.2/2.0の硫酸ビンクリスチン対脂質の濃度比を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 前記構成された溶液中の硫酸ビンクリスチンの前記濃度が約0.1mg/mL〜約0.5mg/mLである、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 前記構成された溶液中の硫酸ビンクリスチンの前記濃度が約0.15mg/mL〜約0.2mg/mL付近である、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
  11. 前記構成された溶液中の硫酸ビンクリスチンの前記濃度が約0.16mg/mL付近である、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
  12. 前記第1溶液が硫酸ビンクリスチンUSP(5mg/5mL)(4.5mg/5mLのビンクリスチン遊離塩基に等しい)、および500mg/5mLのマンニトールを含み、前記第2溶液が73.5mg/mLのスフィンゴミエリン、29.5mg/mLのコレステロール、33.6mg/mLのクエン酸、35.4mg/mLのクエン酸ナトリウムからなるスフィンゴミエリン/コレステロールリポソームを含み、前記第3溶液が355mg/25mLのリン酸水素ナトリウムおよび225mg/25mLの塩化ナトリウムを含む、請求項6に記載の方法。
  13. 前記リポソーム中のスフィンゴミエリン対コレステロールの前記比が約75/25モル%/モル%スフィンゴミエリン/コレステロール〜30/50モル%/モル%スフィンゴミエリン/コレステロールである、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
  14. 前記リポソームが、約70/30モル%/モル%スフィンゴミエリン/コレステロール〜40/45モル%/モル%スフィンゴミエリン/コレステロールを含む、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
  15. 前記リポソームが約55/45モル%/モル%スフィンゴミエリン/コレステロールを含む、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
  16. 前記リポソームが約60/40モル%/モル%スフィンゴミエリン/コレステロールを含む、請求項13に記載の方法。
  17. 前記リポソームが約0.05〜0.5ミクロンのサイズ範囲を有する、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
  18. 前記リポソームが約50〜200nmの平均直径を有する、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
  19. 前記リポソームが約90〜125nmの平均直径を有する、請求項1〜18のいずれかに記載の方法。
  20. 前記構成溶液が約20〜50mLの体積を有する、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
  21. 前記構成溶液が30〜35mLの体積を有する、請求項1〜20のいずれかに記載の方法。
  22. 前記加熱ブロックを75±2℃に約15分間平衡化させる、請求項1〜21のいずれかに記載の方法。
  23. 前記構成溶液を75±2℃で平衡化されたドライブロックの前記カリバー孔内で約13〜15分間加熱する、請求項1〜22のいずれかに記載の方法。
  24. 前記構成溶液を75±2℃で平衡化されたドライブロックの前記カリバー孔内で14分±30秒間加熱する、請求項1〜23のいずれかに記載の方法。
  25. 前記加熱ブロック中の前記孔が、構成溶液を含む1つのバイアルの前記平均長さまたは直径よりも約3%未満大きい、請求項1〜24のいずれかに記載の方法。
  26. 構成溶液を含む1つのバイアルが約35.8〜約37.3mmの直径を有する、請求項1〜25のいずれかに記載の方法。
  27. 前記加熱ブロック中の前記カリバー孔が直径37.2〜37.8mmの円筒形である、請求項26に記載の方法。
  28. 前記構成された溶液を室温に少なくとも約30分間平衡化させる、請求項1〜27のいずれかに記載の方法。
  29. 約1.5〜約2.4mg/mの前記患者についてのリポソーム封入ビンクリスチンの用量を含む前記構成された溶液の体積を静脈内投与に適した標準的医薬希釈剤で希釈して前記薬剤的に許容される液体組成物を製造する、請求項1〜28のいずれかに記載の方法。
  30. 前記患者の計算された用量の前記体積を注入容器から取り出し、前記構成されたVSLI溶液の前記算出体積と置換する、請求項1〜29のいずれかに記載の方法。
  31. 前記リポソーム封入ビンクリスチンを含む薬剤的に許容される液体組成物をステップ(c)後24時間以内に前記患者に投与する、請求項1〜30のいずれかに記載の方法。
  32. 前記患者がガンを有する、請求項1〜31のいずれかに記載の方法。
  33. 前記ガンが、リンパ腫、白血病、骨髄腫、脳腫瘍および神経芽細胞腫からなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
  34. リポソーム封入ビンクリスチンを含む前記薬剤的に許容される液体組成物を約30〜60分にわたって静脈内注入によって投与する、請求項1〜33のいずれかに記載の方法。
  35. リポソーム封入ビンクリスチンを含む前記薬剤的に許容される液体組成物を、7〜28日ごとに1回静脈内注入によって投与することを含む、請求項1〜34のいずれかに記載の方法。
  36. リポソーム封入ビンクリスチンを含む前記薬剤的に許容される液体組成物を7日ごとに1回静脈内注入によって投与する、請求項1〜35のいずれかに記載の方法。
  37. 実質的な分解生成物を含まないリポソーム封入ビンクリスチンを含む薬剤的に許容される液体組成物を調製する方法であって、
    (a)1つのバイアル中で、(i)硫酸ビンクリスチンを約1mg/mLの濃度で、そしてマンニトールを約100mg/mLの濃度で含む第1溶液であって、約4.5〜約4.7のpHを有する第1溶液;(ii)pH約4.0でクエン酸塩緩衝液中60/40モル%/モル%のスフィンゴミエリン/コレステロールを有するリポソームを含む第2溶液;および(iii)pH約9.0のリン酸ナトリウム緩衝液を含む第3溶液を構成することであって、ここで、前記構成溶液の前記最終pHは約7.0〜約7.6であり、硫酸ビンクリスチンの前記濃度は約0.16mg/mLである、構成すること;
    (b)75℃±2℃で平衡化した乾燥加熱ブロック中構成溶液を含む前記1つのバイアルを14分±30秒間加熱して、構成されたリポソーム封入ビンクリスチンを含む溶液を製造することであって、ここで、1つのバイアルは約35.8mm〜約37.3mmの直径を有し、加熱ブロックは約37.2mm〜約37.8mmの直径を有する1以上の円筒形孔を含む、製造すること;
    (d)前記構成された溶液を室温に少なくとも30分間平衡化させること;
    (e)前記リポソーム封入ビンクリスチンを含む体積の前記構成された溶液を医薬希釈剤で希釈して、約1.5〜約2.4mg/mの投与量でのビンクリスチンの静脈内投与に好適な薬剤的に許容される液体組成物を製造することであって、ここで、リポソーム封入ビンクリスチンを含む前記構成された溶液は、(i)約2.5%未満の遊離ビンクリスチンと(ii)約1.5%未満のN−デスホルミルビンクリスチンとを含む、製造すること、
    を含む、方法。
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