JP2016225020A - 非水電解質二次電池用正極及び非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池用正極及び非水電解質二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】電極における内部抵抗を減少できる非水電解質二次電池用正極及び非水電解質二次電池を得ること。【解決手段】本発明の非水電解質二次電池用正極は、アルミニウムよりなる正極集電体20と、正極集電体の表面にもうけられた正極活物質を含む正極活物質層21と、を備えた非水電解質二次電池用正極2であって、正極集電体の表面は、表面粗さ(Ra)が0.5μm以上であり、かつ111面のX線回折(XRD)のピーク強度(I111)と200面のピーク強度(I200)との比(I111/I200)が1.0以上であり、正極活物質は、拡散係数が1.0×10−11以下であることを特徴とする。本発明の非水電解質二次電池は、この正極を用いてなることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、非水電解質二次電池用正極及び非水電解質二次電池に関する。
ノート型コンピュータ、携帯電話、デジタルカメラ等の普及に伴い、これら小型の電子機器を駆動するための二次電池の需要が拡大している。そして、これら電子機器には、高容量化が可能であることから、非水電解質二次電池(特に、リチウムイオン二次電池)の使用が進められている。
非水電解質二次電池は、小型の電子機器への利用に加えて、車両(EV,HV,PHV)や家庭用電源(HEMS)等の大電力が求められる用途への適用も検討されている。この場合、非水電解質二次電池の電極板の大型化,多数の電極板を積層させて電極体を形成する,多数の電池セルを組み合わせて組電池とすること等の手段により、大電力を得られるようにしている。
非水電解質二次電池は、通常、正極板及び負極板の間にセパレータを介した状態で積層し、非水電解質とともにケースに収容している。電極板(正極板、負極板)は、導電性の金属よりなる集電体(金属集電板,金属集電箔)の表面に、電極活物質(正極活物質、負極活物質)を含む合材を塗布・乾燥し、所定の形状に成形して電極活物質層をもうけて製造される。
正極活物質としては、その構造が安定していることから、結晶構造中にMO四面体を含むポリアニオン構造を備えた複合酸化物の利用が進められている。ポリアニオン構造の正極活物質は、例えば、LiFePOなどのオリビン構造の複合酸化物を挙げることができる。
しかしながら、オリビン構造の複合酸化物は、電気伝導率(酸化物表面での導電性)や拡散係数(Liイオン等の電解質イオンが酸化物内で拡散するし易さ)が低い。このため、オリビン構造の複合酸化物は、正極の内部抵抗が高くなるという問題があった。
このような問題に対して、粒子径の微細化(ナノサイズの微粒化)や、正極活物質の表面に炭素複合あるいはカーボン被覆をなす技術が知られている。
さらに、この複合酸化物を正極活物質として用いてなる正極においては、正極活物質粒子を結着する結着材(バインダ)の量を低減することで、正極自身の抵抗を下げる技術も知られている。結着材を減らすと、正極(合材から形成される活物質層)の強度が低下する。また、正極活物質層(正極活物質)と正極集電体との密着性が低下する。これらの強度及び密着性の低下に対し、集電体の表面を粗面化することが行われている。
例えば、特許文献1には、正極活物質としてオリビン型リン酸リチウムを含有する正極活物質含有層が正極集電体上に形成され正極と、負極と、非水電解質とを備えた非水電解質電池において、正極集電体は厚みが20μm未満であるとともに、正極活物質含有層に接する面の平均表面粗さRaが0.026μmを超えている非水電解質電池が記載されている。そして、正極集電体は、平均表面粗さRaが0.20未満であるとともに、粗面化処理をブラスト法での研磨により行うことが記載されている。
国際公開第2005/086260号
しかしながら、特許文献1に記載の非水電解質電池では、正極の内部抵抗が依然として高いという問題があった。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、電極における内部抵抗を減少できる非水電解質二次電池用正極及び非水電解質二次電池を得ることを課題とする。
上記課題を解決するために本発明者らはアルミニウムよりなる正極集電体表面の配向性が導電性に影響を及ぼすことに着目して検討を重ねた結果、本発明を完成させた。
本発明の非水電解質二次電池用正極は、アルミニウムよりなる正極集電体と、正極集電体の表面にもうけられた正極活物質を含む正極活物質層と、を備えた非水電解質二次電池用正極であって、正極集電体の表面は、表面粗さ(Ra)が0.5μm以上であり、かつ111面のX線回折(XRD)のピーク強度(I111)と200面のピーク強度(I200)との比(I111/I200)が1.0以上であり、正極活物質は、拡散係数が1.0×10−11以下であることを特徴とする。
本発明の非水電解質二次電池用正極は、ピーク強度比が1.0以上であることから、111面の配向性の強い表面を有している。111面の表面は、200面の表面よりも電子伝導性が高いため、電気伝導率や拡散係数の低い正極活物質を用いても、高い電池性能を発揮できる。また、表面粗さ(Ra)が0.5μm以上と大きくなることで、正極活物質(正極活物質層)と強固に密着できる。
すなわち、本発明の非水電解質二次電池用正極は、内部抵抗が減少した非水電解質二次電池用正極となっている。
また、本発明の非水電解質二次電池は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用正極を用いてなることを特徴とする。
本発明の非水電解質二次電池は、上記した本発明の非水電解質二次電池用正極を用いてなるものであり、上記した効果を発揮する。
実施形態1のリチウムイオン二次電池1の構成を模式的に示した図である。 実施形態2のリチウムイオン二次電池1の構成を示した斜視図である。 実施形態2のリチウムイオン二次電池1の構成を示した断面図である。
以下、本発明の非水電解質二次電池用正極及び非水電解質二次電池を、リチウムイオン二次電池用正極及びそれを用いたリチウムイオン二次電池で実施した形態として、図面を参照しながら具体的に説明する。
[実施形態1]
本形態の二次電池は、図1にその構成を模式的に示したリチウムイオン二次電池1である。リチウムイオン二次電池1は、正極2,負極3,非水電解質4を有する。
[正極]
正極2は、アルミニウムよりなる正極集電体20の表面に、正極活物質を含む正極活物質層21を有する。正極活物質層21は、正極活物質と導電材と結着材とを混合して得られた正極合材を正極集電体20の表面に塗布、乾燥して形成される(塗工して形成される)。導電材と結着材は任意であり、混合しなくとも良い。正極合材は、適当な溶媒によりペースト状(スラリー状)をなしている。
(正極活物質)
正極活物質は、拡散係数が1.0×10−11以下である複合酸化物を有する。本形態での拡散係数は、Liイオンが正極活物質(複合酸化物)粒子内を拡散するLiイオンの拡散係数を示す。すなわち、拡散係数は、電池(非水電解質二次電池)を形成したときの非水電解質の電解質イオンの拡散係数である。
拡散係数が1.0×10−11以下の正極活物質(複合酸化物)は、その粒子内部へのLiイオンの拡散が律速である。このため、正極における電極反応の反応量を多くするために、その粒子径が小さくなる。そして、粒子径が小さくなると、正極集電体20との接触面積(接触部位)を増やすことができ、電子の移動が素早く行われることとなる。
拡散係数は、その測定方法が限定されるものではないが、例えば、後述のPITT法を用いて求めることができる。
複合酸化物は、拡散係数が上記の範囲であるものであれば、具体的な組成は限定されるものではない。例えば、ポリアニオン構造を有する複合酸化物を挙げることができる。
ポリアニオン構造を有する複合酸化物は、例えば、Liαβη4−γγとすることができる。(なお、M:Mn,Co,Ni,Fe,Cu,Cr,Mg,Ca,Zn,Tiより選ばれる1種以上、X:P,As,Si,Mo,Geより選ばれる1種以上、Z:Al,Mg,Ca,Zn,Tiより選ばれる1種以上を任意で含有可能、0<α≦2.0、0≦β<1.5、1≦η≦1.5、0≦γ≦1.5)これらのうち、オリビン構造のLiFePO(以下、LFPと称する)、LiMn1−xFePO(0≦x<0.5,Mn>Fe)(以下、LMFPと称する)であることが好ましい。
本形態の複合酸化物は、上記した組成式に示された範囲内で、2種以上の異なる組成を有する複合酸化物から形成されていてもよい。なお、組成の異なる複合酸化物から形成する(混合する)場合には、拡散係数の差が小さいことが好ましい。拡散係数の差が二桁より小さいことが好ましい。
複合酸化物は、比表面積が9m/g以上の、Mnを含有するオリビン構造の複合酸化物であることが好ましい。すなわち、比表面積が9m/g以上のLMFPであることがより好ましい。本形態での比表面積は、BET比表面積である。
複合酸化物は、比表面積が9m/g以上となることで、正極集電体20との接触面積(接触部位)を増やすことができ、より好ましい比表面積は14m/g以上がより好ましく、22m/g以上が更に好ましい。
複合酸化物の比表面積の上限は、限定されるものではない。比表面積が過剰に大きくなると、活物質が凝集体を形成し接触面積の低下が起こることにより、複合酸化物粒子や正極活物質層21の強度が低下する。比表面積は、50m/g未満が好ましく、40m/g未満がより好ましい。
正極2は、上記した複合酸化物のみを正極活物質として含有していても、他の正極活物質と混合していても、いずれでもよい。他の正極活物質は、従来のリチウムイオン二次電池で正極活物質として使用されている物質である。従来のリチウムイオン二次電池で正極活物質としては、例えば、種々の酸化物、硫化物、リチウム含有酸化物、導電性高分子などを挙げることができる。リチウム−遷移金属複合酸化物であることが好ましい。
リチウム−遷移金属複合酸化物は、上記した組成式中において、(0≦α≦2.0、0≦β≦1.5、1≦η≦1.5、0≦γ≦1.5)を満たす複合酸化物を挙げることができる。
ここで、他の正極活物質については、ポリアニオン構造であっても、ポリアニオン構造以外の構造であっても、いずれでもよい。例えば、LiNi1/3Co1/3Mn1/3で表される層状構造の酸化物をあげることができる。
正極2が、上記した複合酸化物と、他の正極活物質と、の混合物を含有する場合、その混合割合が限定されるものではない。上記した複合酸化物がリッチな状態、すなわち、正極活物質のLi原子の合計数を100%としたときに、上記した複合酸化物のLi原子数が50%以上であることが好ましい。また、正極活物質の合計の質量を100mass%としたときに、上記した複合酸化物の質量が50mass%以上であることが好ましい。
正極活物質において、上記した複合酸化物及び他の正極活物質は、その製造方法が限定されるものではなく、従来公知の製造方法を用いて製造することができる。これらの複合酸化物及び他の正極活物質は、一次粒子が凝集した二次粒子を形成していてもよい。一次粒子は、その形状が限定されるものではなく、鱗片状、球状、ポテトライク状を挙げることができる。また、一次粒子は、短径が1μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましい。一次粒子は、粒径(平均粒子径、D50)が1μm以下の略球状の粒子であることがより好ましく、粒径が0.5μm(500nm)以下であることが更に好ましい。
(導電材,結着材,合材)
導電材は、正極2の電気伝導性を確保する。導電材としては、黒鉛の微粒子,アセチレンブラック(AB),ケッチェンブラック,カーボンナノファイバーなどのカーボンブラック,ニードルコークスなどの無定形炭素の微粒子などを使用できるが、これらに限定されない。
正極合材の結着材は、正極活物質粒子や導電材を結着する。結着材としては、例えば、PVDF,EPDM,SBR,NBR,フッ素ゴムなどを使用できるが、これらに限定されない。
正極合材の溶媒としては、通常は結着材を溶解する有機溶媒を使用する。例えば、NMP,ジメチルホルムアミド,ジメチルアセトアミド,メチルエチルケトン,シクロヘキサノン,酢酸メチル,アクリル酸メチル,ジエチルトリアミン,N−N−ジメチルアミノプロピルアミン,エチレンオキシド,テトラヒドロフランなどを挙げることができるが、これらに限定されない。また、水に分散剤、増粘剤などを加えてPTFEなどで正極活物質をスラリー化する場合もある。
(正極集電体)
正極集電体20は、アルミニウムよりなる。そして、正極集電体20は、表面粗さ(Ra)が0.5μm以上であり、かつ111面のX線回折(XRD)のピーク強度(I111)と200面のピーク強度(I200)との比(I111/I200)が1.0以上である。
正極集電体20の表面粗さ(Ra)が0.5μm以上となることで、正極活物質の複合酸化物との接触面積が大きなものとなる。正極集電体20の表面粗さ(Ra)が0.5μm未満では、十分な接触面積を確保できなくなるだけでなく、XRDのピーク強度比が小さくなる。好ましいRaは、1.0μm以上である。
正極集電体20の表面粗さ(Ra)の上限は、限定されるものではない。Raが過剰に大きくなると、正極集電体20の表面の強度が低下し、正極活物質層21との密着性が低下する。好ましくは、Raが3μm以下である。
正極集電体20は、111面のX線回折(XRD)のピーク強度(I111)と200面のピーク強度(I200)との比(I111/I200)が1.0以上である。正極集電体20のピーク強度比(I111/I200)が1.0以上となることで、集電体表面の電気伝導性が向上する。すなわち、電気伝導性の低下が抑えられる。
アルミニウムは、インゴットや粉末等の成形前の状態では、(111)面や(200)面等の多面配向をしている。そして、一般的な正極集電体は、圧延等の加工を行い、箔状(シート状)に形成される。アルミニウムに加圧処理(圧延)を行うと、結晶構造の面配向が変化し、(111)面から(200)面配向に変化する。(111)面に配向した表面は、(200)面に配向した表面と比較して、導電性に優れていることが知られている(Thin Solid Films, 75 (1981)253-259)。
本形態の正極集電体20は、ピーク強度比(I111/I200)が1.0以上であり、(111)面の特性が強く発揮される。すなわち、本形態の正極集電体20は、正極活物質層21との接触面における電気伝導性に優れたものとなっている。本形態の正極集電体20は、正極活物質層21との接触面における電気伝導性の低下が抑えられている。
本形態の正極集電体20のピーク強度比(I111/I200)は、大きいほど好ましく、2.0以上であることがより好ましく、2.5以上であることが更に好ましい。
本形態の正極集電体20のピーク強度比(I111/I200)の上限は、限定されるものではない。ピーク強度比(I111/I200)の上限は、正極集電体20の厚さにより変化する。
正極集電体20の厚さは、限定されるものではない。従来から用いられている正極集電体と同様な厚さとすることができる。正極集電体20の厚さは、20μm以下であることが好ましい。例えば、15μm程度の厚さの箔を用いることが好ましい。なお、正極集電体20の厚さは、最も厚い部分の厚さとする。
ここで、従来の二次電池に用いられる正極集電体は、圧延されて形成されている。この従来の正極集電体は、圧延により、表面が(200)面に配向をしている。この表面のピーク強度比(I111/I200)は、ゼロ(1.0未満)となる。
本形態の正極集電体20は、上記の特性を有するように形成できる製造方法であれば、その製造方法が限定されない。例えば、所定の厚さよりもわずかに厚い集電体を圧縮する高圧縮部と、高圧縮部よりも低い圧力で圧縮する低圧縮部と、を有する加圧を行う方法を挙げることができる。
高圧縮部及び低圧縮部が集電体を加圧することで、集電体が所望の厚さに成形される。高圧縮部は、低圧縮部よりも高い圧力で集電体を加圧する。高圧縮部で加圧された集電体の表面は、(200)面に配向する。しかし、低圧縮部で加圧された集電体の表面は、(200)面に配向せず、(111)面に配向したままとなる。これにより、本形態の正極集電体20は、上記のピーク強度比をもつことができる。
より具体的には、本形態の正極集電体20の製造は、まず、アルミニウムよりなる原料体を、所望の厚さよりもわずかに厚く成形する。この成形は、加圧(圧延)や、切削等の手段を用いることができる。
そして、成形体を、高圧縮部と低圧縮部とを有する加圧を行うことで、所定のピーク強度比をもつ表面を形成するとともに、所望の厚さの正極集電体20が得られる。
高圧縮部と低圧縮部とを有する加圧は、具体的には、加圧面に微細な凹凸が形成された成形型(例えば、ローラ)を用いて行う方法や、平面状の加圧面を持つ成形型を用いて圧延油等の加圧体を介して加圧する方法、を挙げることができる。
これらの場合、成形型の凹凸の凸の先端部や圧延油に含まれる添加剤と当接する部分が高圧縮部となり、それ以外の部分が低圧縮部となる。
すなわち、本形態の正極集電体20は、加圧されてなる箔よりなり、加圧は、集電体20を圧縮する高圧縮部と、高圧縮部よりも低い圧力で圧縮する低圧縮部と、を有する状態で行われることが好ましい。
本形態の正極集電体20は、箔状であることが好ましいが、網状やパンチドメタル状等の形状であってもよい。
[負極]
負極3は、負極活物質を含有する。負極3は、負極集電体30の表面に負極活物質層31を有する。負極活物質層31は、負極活物質と結着材とを混合して得られた負極合材を負極集電体30の表面に塗布、乾燥して形成される。負極合材は、適当な溶媒によりペースト状(スラリー状)をなしている。
負極3の負極活物質は、従来の負極活物質を用いることができる。Sn,Si,Sb,Ge,Cの少なくともひとつの元素を含有する負極活物質を挙げることができる。これらの負極活物質のうち、Cは、リチウムイオン二次電池の電解質イオンを吸蔵・脱離可能な(Li吸蔵能がある)炭素材料であることが好ましく、グラファイトであることがより好ましい。
また、これらの負極活物質のうち、Sn、Sb、Geは、特に、体積変化の多い合金材料である。これらの負極活物質は、Ti−Si、Ag−Sn、Sn−Sb、Ag−Ge、Cu−Sn、Ni−Snなどのように、別の金属と合金をなしていてもよい。
負極3の導電材としては、炭素材料、金属粉、導電性ポリマーなどを用いることができる。導電性と安定性の観点から、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンブラックなどの炭素材料を使用することが好ましい。
負極3の結着材としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素樹脂共重合体(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体)SBR、アクリル系ゴム、フッ素系ゴム、ポリビニルアルコール(PVA)、スチレン・マレイン酸樹脂、ポリアクリル酸塩、カルボキシルメチルセルロース(CMC)などを挙げることができる。
負極3の合材の溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの有機溶媒、又は水などを挙げることができる。
負極集電体30は、従来の集電体を用いることができ、銅、ステンレス、チタンあるいはニッケルなどの金属を加工したもの、例えば板状に加工した箔,網,パンチドメタル,フォームメタルなどを用いることができるが、これらに限定されない。
[非水電解質]
非水電解質4は、その材料構成で特に限定されるものではなく、公知の材料構成のものを用いることができる。本形態の非水電解質4(非水電解液とも称される)は、従来公知の非水電解質と同様に、支持塩が有機溶媒に溶解してなるものであることが好ましい。
非水電解質の支持塩は、その種類が特に限定されるものではなく、例えば、LiPF,LiBF,LiClO及びLiAsFから選ばれる無機塩,これらの無機塩の誘導体,LiSOCF,LiC(SOCF及びLiN(SOCF,LiN(SO,LiN(SOCF)(SO),から選ばれる有機塩、並びにこれらの有機塩の誘導体の少なくとも1種であることが好ましい。これらの支持塩は、電池性能を更に優れたものとすることができ、かつその電池性能を室温以外の温度域においても更に高く維持することができる。支持塩の濃度についても特に限定されるものではなく、支持塩及び有機溶媒の種類を考慮して適切に選択することが好ましい。
支持塩が溶解する有機溶媒(非水溶媒)は、通常の非水電解質に用いられる有機溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えば、カーボネート類,ハロゲン化炭化水素,エーテル類,ケトン類,ニトリル類,ラクトン類,オキソラン化合物等を用いることができる。特に、プロピレンカーボネート,エチレンカーボネート(EC),1,2−ジメトキシエタン,ジメチルカーボネート(DMC),ジエチルカーボネート(DEC),エチルメチルカーボネート(EMC),ビニレンカーボネート(VC)等及びそれらの混合溶媒が好ましい。これらの有機溶媒のうち、特にカーボネート類,エーテル類からなる群より選ばれた1種以上の非水溶媒を用いることが、支持塩の溶解性、誘電率及び粘度において優れ、リチウムイオン二次電池1の充放電効率が高くなるため好ましい。
本形態のリチウムイオン二次電池1において、最も好ましい非水電解質は、支持塩が有機溶媒に溶解したものである。
[その他の構成]
本形態の非水電解質二次電池1は、正極2及び負極3を、正極活物質層21と負極活物質層31とが対向した状態で、セパレータ5を介した状態で非水電解質4とともに、電池ケース6内に収容する。
(セパレータ)
セパレータ5は、正極2及び負極3を電気的に絶縁し、非水電解質4を保持する役割を果たす。セパレータ5は、例えば、多孔性合成樹脂膜、特にポリオレフィン系高分子(ポリエチレン、ポリプロピレン)の多孔膜を用いることが好ましい。
(電池ケース)
電池ケース6は、正極2及び負極3を、セパレータ5を介した状態で非水電解質4とともに、その内部に収容(封入)する。
電池ケース6は、内部と外部との間で水分の透過を阻害する材質よりなる。このような材質としては、金属層を有する材質を挙げることができる。
[効果]
上記したように、本形態のリチウムイオン二次電池1は、正極集電体20の表面の表面粗さ(Ra)が0.5μm以上であり、かつ111面のX線回折(XRD)のピーク強度(I111)と200面のピーク強度(I200)との比(I111/I200)が1.0以上であり、正極活物質は、拡散係数が1.0×10−11以下である。
本形態の正極集電体20は、ピーク強度比がこの構成となることで、正極活物質層21との接触面における電気伝導性に優れたものとなっている。すなわち、本形態の正極2及びリチウムイオン二次電池1は、正極2の内部抵抗の上昇が抑えられる効果を発揮する。
また、正極集電体20の表面の表面粗さ(Ra)がこの構成となることで、正極活物質層21と正極集電体20との密着性に優れたものとなっている。このことは、正極活物質層21において、正極活物質を結着する結着材の使用量の増加を抑えることが可能となることを示す。すなわち、結着材に由来する電池特性の低下(正極活物質量の減少に伴う電池容量の減少,結着材自身による内部抵抗の増加)が抑えられる。
本形態のリチウムイオン二次電池1は、比表面積が9m/g以上の、Mnを含有するオリビン構造の複合酸化物を正極活物質として有する。この構成によると、上記した効果をさらに発揮できる。
本形態のリチウムイオン二次電池1は、正極活物質層21が、正極活物質を含有する正極合材を正極集電体20の表面に塗工して形成される。この構成によると、正極活物質層21を形成するときに、正極集電体20の表面に大きな圧力が加わらない。このため、正極集電体20の表面の結晶の配向性が維持され、集電体20の表面の導電性の低下が抑えられる。
[実施形態2]
本形態は、実施形態1の二次電池1をラミネート型の電池に適用した形態であり、正極2,負極3,非水電解質4等の構成は、実施形態1と同様である。本形態の二次電池1の構成を、図2〜図3に示した。図2では二次電池1を斜視図で、図3では図2中のIII−III断面における断面図で、それぞれ構成を示した。
本形態のリチウムイオン二次電池1は、正極2及び負極3をラミネートケースよりなる電池ケース6に収容(封入)してなる。なお、本形態で特に限定されない構成は、実施形態1と同様とする。
正極2は、略方形状の正極集電体20の表面(両面)に、正極活物質層21を形成してなる。正極2は、方形状の1辺に、正極集電体20が露出した(正極活物質層21が形成されない)未塗布部22を有する。
負極3は、略方形状の負極集電体30の表面(両面)に、負極活物質層31を形成してなる。負極3は、方形状の1辺に、負極集電体30が露出した(負極活物質層31が形成されない)未塗布部32を有する。
負極3は、負極活物質層31が、正極2の正極活物質層21よりも広く形成される。負極3の負極活物質層31を正極活物質層21に重ねたときに、正極活物質層21を露出することなく完全に被覆できる大きさに形成されている。
正極2及び負極3は、セパレータ5を介して積層した状態で、非水電解質4とともにラミネートフィルムから形成される電池ケース6に収容(封入)される。
セパレータ5は、負極活物質層31よりも広い面積で形成される。
正極2及び負極3は、セパレータ5を介した状態で、正極活物質層21と負極活物質層31との中心が重なる状態で積層される。このとき、正極2の未塗布部22と、負極3の未塗布部32と、が反対方向(互いに背向する方向)に配される。
(電池ケース)
電池ケース6は、ラミネートフィルム60から形成される。ラミネートフィルムは、可塑性樹脂層601/金属箔602/可塑性樹脂層603をこの順で含む。電池ケース6は、予め所定の形状に曲成されたラミネートフィルム60を、熱や何らかの溶媒により可塑性樹脂層601,503を軟化させた状態で別のラミネートフィルムなどに押圧することにより接着される。
電池ケース6は、正極2及び負極3を収容可能な形状に予め成形(エンボス加工)されたラミネートフィルム60を重ね合わせ、外周の端縁部を全周にわたって接着して、正極2及び負極3を内部に封入して形成される。外周の接着により、封止部が形成される。本形態での外周の接着は、融着でなされた。
電池ケース6は、ラミネートフィルム60に、別のラミネートフィルム60を重ね合わせて形成される。ここで、別のラミネートフィルム60とは、接着(融着)されるラミネートフィルムを示すものである。すなわち、電池ケース6は、2枚以上のラミネートフィルム60から形成する態様だけでなく、1枚のラミネートフィルムを折り返して形成する態様も含む。
電池ケース6の外周の接着(組み立て)は、減圧雰囲気下(好ましくは真空)で行われる。これにより、電池ケース6内に大気(それに含まれる水分)が含まれることなく、電極体のみが封入される。
予め成形されたラミネートフィルム60は、図2〜図3に示したように、重ね合わされたときに別のラミネートフィルム60との間で封止部62を形成する平板部61と、平板部61の中央部に形成された正極2及び負極3を収容可能な槽状部63と、を有する。
ラミネートフィルム60,60は、図2〜図3に示したように、正極2及び負極3を収容可能な凹字状をなすように曲成(成形)されている。ラミネートフィルム60,60は、同一形状をなし、互いに対向した向きで重ね合わせたときに、平板部61,61が完全に重なり合う。
ラミネートフィルム60は、平板部61及び槽状部63の底部63A(リチウムイオン二次電池1の積層方向の端部を形成する部分)が平行に形成されている。平板部61と槽状部63の底部63Aとは、立設部63Bにより接続されている。立設部63Bは、平板部61及び底部63Aの平行な方向に対して交差する方向(傾斜した方向)に伸びている。底部63Aは、槽状部63の開口部(平板部61の内方の端部)よりも小さく形成されている。
電池ケース6において、平板部61,61の周縁部に封止部62が形成され、封止部62の内方(電極体に近接する方向)には、平板部61,61が重なり合った未接着の部分が形成されている。平板部61,61が重なり合った未接着の部分は、当接した状態であっても、隙間を形成した状態であっても、いずれでもよい。更に、電極板2,3の未塗布部22,32やセパレータ5が介在していてもよい。
ラミネートフィルム60,60は、図2〜図3に示された形状に予め成形されている。この形状への成形は、従来公知の成形方法が用いられる。
リチウムイオン二次電池1は、正極2と負極3のそれぞれが、電極端子(正極端子65,負極端子66)に接続される。
(電極端子)
正極端子65は、正極2の未塗布部22に電気的に接続されている。負極端子66は、負極3の未塗布部32に電気的に接続されている。本形態では、電極端子65,66のそれぞれには、電極2,3の未塗布部22,32が溶接(振動溶接)で接合されている。電極2,3の未塗布部22,32の幅方向の中央部が、電極端子65,66に接合される。
電極端子65,66のそれぞれは、電池ケース6を貫通する部分では、ラミネートフィルム60,60の可塑性樹脂層601と電極端子65,66とが密封状態を保つように、シーラント64を介して接合されている。
電極端子65,66はシート状(箔状)の金属よりなり、シーラント64は、シート状の電極端子65,66を被覆する樹脂よりなる。シーラント64は、電極端子65,66が平板部61と重なる部分を被覆する。電極端子65,66がシート状をなすことで、電池ケース6を貫通する部分で電極端子65,66が介在することによるラミネートフィルム60の変形の応力を低減できる。また、電極2,3の未塗布部22,32との溶接(振動溶接)を簡単に行うことができる。
本形態のラミネート型の二次電池1は、正極2と負極3が離反する方向に変移することを規制する拘束部材を有することが好ましい。拘束部材を有することで、正極2と負極3の積層方向の距離が長くなることを抑えることができる。正極2と負極3の距離が長くなると、電解質イオンの移動距離が長くなり、内部抵抗の上昇につながる。拘束部材は、この距離の増大を抑えることができる。
拘束部材は、たとえば、ラミネート型の二次電池1の積層方向の両外周面に当接する一対の治具を備えた部材を挙げることができる。拘束部材は、ラミネート型の二次電池1の外周面を圧縮する方向に加圧する部材であっても、一対の治具間の距離が固定されて厚さの増加のみを規制する部材であっても、いずれでも良い。拘束部材は、ラミネート型の二次電池1を収容する、剛性を備えた外装ケースであっても良い。
[効果]
本形態の二次電池1は、形状が異なること以外は、実施形態1と同様な構成であり、実施形態1と同様な効果を発揮する。
すなわち、本形態の二次電池1はラミネート型の電池に適用しているが、本発明はこの形態に限定されるものではない。例えば、本形態のラミネート型の不定形の二次電池1以外に、コイン型,円筒型,角型等、種々の形状の電池とすることができる。
さらに、二次電池1を直列及び/又は並列に組み合わせた組電池を形成してもよい。
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。
本発明を具体的に説明するための実施例として、実施形態2に示したリチウムイオン二次電池1を製造した。
(実施例1)
(正極)
本例の正極2は、表1に示した正極集電体20及び正極活物質を用いた。
正極活物質は、ポリアニオン構造(具体的には、オリビン構造)のLiMn0.8Fe0.2PO(表1中、LMFPと表記)を用いた。このLMFPは、拡散係数が4.1×10−13である。正極活物質のBET比表面積は、14m/gであった。拡散係数は、PITT法を用いて行われた。
正極集電体20は、厚さ15μmのアルミニウム箔が用いられた。正極集電体20は、押圧面に凹凸が形成された加圧ロールを用いて圧延することで、凹凸を転写する転写法により形成された。正極集電体20の表面粗さ(Ra)は、0.5μmである。また、正極集電体20の表面を下記の条件でXRDで観察したところ、111面のX線回折(XRD)のピーク強度(I111)と200面のピーク強度(I200)との比(I111/I200)が0.94であった。
(二次電池)
本例の二次電池1は、正極2,負極3を、セパレータ5を介して積層し、非水電解質4とともに電池ケース6に封入して組み付けられる。
正極2は、正極活物質85質量部,AB10質量部,PVDF5質量部を溶媒に混合して得られた正極合材を正極集電体20の表面に塗布、乾燥して正極活物質層21を形成したものを用いた。
負極3は、負極活物質98質量部,SBR1質量部,CMC1質量部を溶媒に混合して得られた負極合材を調製した。負極合材を厚さ0.01mmの銅箔よりなる負極集電体30の両面に塗布、乾燥して負極活物質層31を形成したものを用いた。負極活物質には、黒鉛が用いられた。
ここで、正極2と負極3は、(負極容量)/(正極容量)の値が1.3となるように形成されている。
非水電解質4には、EC:DECが30:70の割合(vol%)になるように混合した混合溶媒に、LiPFを1mol%となるように溶解させたものが用いられた。非水電解質4は、添加剤として、VCが、2mass%の割合で添加された。VCの添加割合は、VCを除いた非水電解質4の質量を100%としている。
二次電池1は、各要素が組み付けられた後、0.2Cで充放電を行い、電池ケース6内のガス抜きを行う(一次ガス抜き)。その後、40℃で1日保持してエージングを行い、再度ガス抜きを行う(二次ガス抜き)。組み付け後の各工程は、二次電池1の外部を積層方向に0.1MPaで加圧した状態(圧縮状態、拘束状態)で行われた。
二次ガス抜き後に、電池ケース6を本封止して、二次電池1が得られた。
(PITT法)
二次電池1に対して、10mV充電側へ変化させた際の電流変化を測定し、下記の(1)式に代入し算出する。
Figure 2016225020
なお、DLi:拡散係数、t:電流変化時間、L:正極活物質平均粒子径D50である。
(XRD)
XRD測定装置:株式会社リガク製、商品名:RINT−TTRIIのシステムを用いて、測定角度:10°−80°,サンプリング幅:0.01,スキャンスピード:5,電圧:50,電流:300,走査軸:2θ/θで連続測定を3回の積算回数で行った。
Figure 2016225020
(実施例2)
本例は、正極集電体20の表面のピーク強度比が異なること以外は、実施例1と同様な二次電池1である。
本例の正極集電体20のピーク強度比(I111/I200)は、表1に合わせて示したように、2.00であった。
(実施例3)
本例は、正極集電体20の表面の特性(表面粗さ及びピーク強度比)が異なること以外は、実施例1と同様な二次電池1である。
本例の正極集電体20の表面粗さ(Ra)は、表1に合わせて示したように、1.0μmであった。また、ピーク強度比(I111/I200)は、3.00であった。
(実施例4)
本例は、正極集電体20の表面の特性(表面粗さ及びピーク強度比)が異なること以外は、実施例1と同様な二次電池1である。
本例の正極集電体20の表面粗さ(Ra)は、表1に合わせて示したように、1.4μmであった。また、ピーク強度比(I111/I200)は、実施例3と同様に、3.00であった。
(比較例1)
本例は、正極集電体20の表面の特性(表面粗さ及びピーク強度比)が異なること以外は、実施例1と同様な二次電池1である。
本例の正極集電体20は、押圧面に凹凸が形成されていない加圧ロールを用いて圧延する圧延法で形成された。
本例の正極集電体20の表面粗さ(Ra)は、表1に合わせて示したように、0.1μmであった。また、ピーク強度比(I111/I200)は、0.0(111面のピークが不検出)であった。
(比較例2)
本例は、正極集電体20の表面の特性(表面粗さ及びピーク強度比)が異なること以外は、実施例1と同様な二次電池1である。
本例の正極集電体20の表面粗さ(Ra)は、表1に合わせて示したように、0.1μmであった。また、ピーク強度比(I111/I200)は、0.50であった。
(比較例3)
本例は、正極集電体20の表面の特性(表面粗さ及びピーク強度比)が異なること以外は、実施例1と同様な二次電池1である。
本例の正極集電体20の表面粗さ(Ra)は、表1に合わせて示したように、0.2μmであった。また、ピーク強度比(I111/I200)は、0.94であった。
(比較例4)
本例は、正極集電体20の表面の特性(表面粗さ及びピーク強度比)が異なること以外は、実施例1と同様な二次電池1である。
本例の正極集電体20の表面粗さ(Ra)は、表1に合わせて示したように、0.1μmであった。また、ピーク強度比(I111/I200)は、0.04であった。
本例の正極集電体20は、以下のように製造された。
まず、特開2013−26063号明細書の[0066]〜[0071]段落に記載の方法で、厚さ300μmの箔を製造した。得られた箔を、実施例1と同様に、押圧面に凹凸が形成された加圧ロールを用いて圧延する。
以上により、本例の正極集電体20が製造された。
(比較例5)
本例は、正極集電体20の表面の特性(表面粗さ及びピーク強度比)が異なること以外は、比較例4と同様な二次電池1である。
本例の正極集電体20の表面粗さ(Ra)は、表1に合わせて示したように、0.2μmであった。また、ピーク強度比(I111/I200)は、0.23であった。
(比較例6)
本例は、正極集電体20の表面の特性(表面粗さ及びピーク強度比)が異なること以外は、比較例4と同様な二次電池1である。
本例の正極集電体20の表面粗さ(Ra)は、表1に合わせて示したように、0.5μmであった。また、ピーク強度比(I111/I200)は、0.15であった。
(比較例7)
本例は、正極集電体20の表面の特性(表面粗さ及びピーク強度比)が異なること以外は、比較例4と同様な二次電池1である。
本例の正極集電体20の表面粗さ(Ra)は、表1に合わせて示したように、1.0μmであった。また、ピーク強度比(I111/I200)は、0.33であった。
(比較例8)
本例は、正極集電体20の表面の特性(表面粗さ及びピーク強度比)が異なること以外は、比較例4と同様な二次電池1である。
本例の正極集電体20の表面粗さ(Ra)は、表1に合わせて示したように、1.4μmであった。また、ピーク強度比(I111/I200)は、0.28であった。
(実施例5)
本例は、正極活物質の比表面積が異なること以外は、実施例3と同様な二次電池1である。
本例の正極活物質の比表面積は、表2に示したように、9m/gであった。
Figure 2016225020
(実施例6)
本例は、正極活物質の比表面積が異なること以外は、実施例3と同様な二次電池1である。
本例の正極活物質の比表面積は、表2に合わせて示したように、22m/gであった。
(実施例7)
本例は、正極活物質が異なること以外は、実施例3と同様な二次電池1である。
正極活物質は、オリビン構造のLiMnPO(表3中、LMPと表記)を用いた。このLMPは、拡散係数が6.8×10−14である。正極活物質のBET比表面積は、16m/gであった。
Figure 2016225020
(比較例9)
本例は、正極集電体20が異なること以外は、実施例7と同様な二次電池1である。
正極集電体20は、比較例1の正極集電体と同じである。
(実施例8)
本例は、正極活物質が異なること以外は、実施例3と同様な二次電池1である。
正極活物質は、オリビン構造のLiFePO(表3中、LFPと表記)を用いた。このLFPは、拡散係数が4.4×10−12である。正極活物質のBET比表面積は、21m/gであった。
(比較例10)
本例は、正極集電体20が異なること以外は、実施例8と同様な二次電池1である。
正極集電体20は、比較例1の正極集電体と同じである。
(比較例11)
本例は、表3に合わせて示した正極集電体20及び正極活物質を用いたこと以外は、実施例3と同様な二次電池1である。
正極集電体20は、比較例1の正極集電体と同じである。
正極活物質は、層状構造のLiNi0.5Mn0.3Co0.2(表3中、NMCと表記)を用いた。このNMCは、拡散係数が4.9×10−11である。正極活物質のBET比表面積は、1.3m/gであった。
(比較例12)
本例は、正極集電体20が異なること以外は、比較例11と同様な二次電池1である。
正極集電体20は、実施例3の正極集電体と同じである。
[評価]
上記の各例の正極及び二次電池1の評価を行った。正極2の評価として、正極活物質層21の強度を、耐剥離性で求めた。また、二次電池1の評価として、電池抵抗を求めた。評価結果は、表1〜3に合わせて示した。
(耐剥離性)
各例の二次電池1から正極2を取り出し、正極活物質層21が上方(鉛直上方)を向いた状態で固定治具の表面に密着した状態で固定する。正極2の固定は、正極2がたわまないように、周縁部を全周でクランプ固定する。
φ15の円柱状の治具(金属製)の一方の端面に、両面粘着テープを貼り付ける。そして、粘着面を露出する。
円柱状の治具の一方の端面(両面粘着テープの露出した粘着面)を、正極2の正極活物質層21の中央部に、鉛直方向で150Nの力で10秒間押しつける。
その後、円柱状の治具を鉛直方向(正極2の表面に垂直な方向,正極2の表面から離反する方向)に引き上げ、円柱状の治具から正極2が剥離した瞬間の力を読み取る。このときの力を剥離強度とする。
読み取られた剥離強度から、圧延法で正極集電体20が形成された各比較例の剥離強度を基準とした剥離強度比を求める。得られた剥離強度比を、表1〜3に合わせて示す。
実施例1〜4,5〜6及び比較例2〜8,9の剥離強度比は、比較例1の剥離強度に対する比(百分率)で示した。同様に、実施例7は比較例9を、実施例8は比較例10を、比較例11は比較例12を、それぞれ基準として剥離強度比を求めた。
(電池抵抗)
各例の二次電池1を測定装置に接続し、SOC50%での電流と電圧の特性(I−V特性)を、1C、2C、3C、5Cのそれぞれの条件で行う。得られたI−V特性から、内部抵抗を算出する。
算出した内部抵抗から、圧延法で正極集電体20が形成された各比較例の内部抵抗を基準とした内部抵抗比を求める。内部抵抗比は、上記の剥離強度比と同様に基準と比較される。得られた内部抵抗比を、表1〜3に合わせて示す。
表1に示したように、正極集電体20の表面粗さ及びピーク強度比、並びに正極活物質の拡散係数が所定の範囲内にある実施例1〜4では、剥離強度比が460%以上とかなり大きな値となっている。つまり、正極活物質層21と正極集電体20との密着性に優れたものとなっている。
そして、実施例1〜4は、電池抵抗比も88%以下となっている。このことは、内部抵抗が大きく低下していることを示す。その上で、実施例2〜3に示したように、ピーク強度比が大きくなるとともに、電池抵抗比が75%以下となり、内部抵抗の低減の効果がより発揮されることが確認できる。
また、表2に示したように、正極活物質の比表面積が大きくなるほど、電池抵抗比が低下し、比表面積が最も大きな実施例6では電池抵抗比が66%まで低下している。すなわち、正極活物質の比表面積が大きくなるほど、電池抵抗比を低下する効果(内部抵抗を低下する効果)がより発揮できる。
正極集電体20の表面粗さとピーク強度比の少なくとも一方が所定の範囲から外れた比較例2〜8では、電池抵抗比の低下が確認できなかった。すなわち、これらの例では、内部抵抗の低減の効果が示されないことが確認できる。
表3に示したように、上記した所定の範囲内にある条件で正極活物質をLMFP以外のLMPやLFPに変更しても、実施例1〜6のときと同様な効果を発揮できることが確認できる。
以上に示したように、本発明を具体的に実施した各実施例では、正極2の強度(正極集電体20から正極活物質層21の耐剥離性)に優れるだけでなく、内部抵抗を低減する効果が発揮されたことが確認できる。
1:リチウムイオン二次電池
2:正極 20:正極集電体 21:正極活物質層
3:負極 30:負極集電体 31:負極活物質層
4:非水電解液
5:セパレータ
6:電池ケース 60:ラミネートフィルム 61:平板部
62:封止部 63:槽状部 64:シーラント
65:正極端子 66:負極端子

Claims (5)

  1. アルミニウムよりなる正極集電体(20)と、該正極集電体の表面にもうけられた正極活物質を含む正極活物質層(21)と、を備えた非水電解質二次電池用正極(2)であって、
    該正極集電体の該表面は、表面粗さ(Ra)が0.5μm以上であり、かつ111面のX線回折(XRD)のピーク強度(I111)と200面のピーク強度(I200)との比(I111/I200)が1.0以上であり、
    該正極活物質は、拡散係数が1.0×10−11以下であることを特徴とする非水電解質二次電池用正極。
  2. 前記正極活物質は、比表面積が9m/g以上の、Mnを含有するポリアニオン構造の複合酸化物を有する請求項1記載の非水電解質二次電池用正極。
  3. 前記正極活物質層は、前記正極活物質を含有する正極合材を前記正極集電体の前記表面に塗工して形成される請求項1〜2のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用正極。
  4. 前記正極集電体は、加圧されてなる箔よりなり、
    加圧は、該集電体を圧縮する高圧縮部と、該高圧縮部よりも低い圧力で圧縮する低圧縮部と、を有する状態で行われる請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用正極。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用正極(2)を用いてなることを特徴とする非水電解質二次電池(1)。
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