以下、本発明を壁掛型の空気調和機を実施の形態にして、説明する。
なお、本明細書において、日射領域や色温度に関する実施の形態は、参考形態である。
先ず、その全体構成について図1、図2を用いて説明する。図1は本発明の実施の形態の空気調和機の外観図である。図2は空気調和機の室内機の断面図である。
図1、図2において、1は空気調和機、2は室内機、5はリモコン、6は室外機、110は撮像素子である。
なお、実施の形態では壁掛型の空気調和機について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、天井埋込形や壁埋込形、あるいはウインド形の空気調和機にも容易に適用でき、同様の効果を発揮できることは勿論のことである。
空気調和機1は、室内機2と室外機6を接続配管8でつなぎ、室内を空気調和する。室内機2は、筐体ベース21にユニット枠22を取付け、ユニット枠22の周りを化粧枠23、下パネル24、露受皿35で覆い、前方に化粧パネル25をユニット枠22に着脱可能に取付けて構成される。
室内機2の上方には室内空気を吸い込む吸込み口27が設けられ、室内機2の下方には調和空気を室内機2から室内に吹き出す吹出し口29が設けられる。吹出し口29は、ケーシング290a、290bに取付けられた上側風向板291、下側風向板292の回動により、開閉自在である。これらの上側風向板291、下側風向板292は、室内機2から吹き出す気流を上下に風向制御して室内に送風する。
室内機2の化粧パネル25と上面の吸込み口27の内方には、フィルター231、231’が設置され、ユニット枠22に着脱自在に取付けられる。フィルター231、231’の内方には、伝熱管331とフィンで構成された熱交換器33が配置される。熱交換器33は、水平方向の長さが略等しい送風ファン311を囲むように配置される。送風ファン311は、前ケーシング290aと後ケーシング290bの間に配置され、送風ファン311の回転軸は送風モータに連結される。
送風ファン311と吹出し口29の間に吹出し風路290が前ケーシング290a、後ケーシング290bによって形成され、吹出し風路290内に、左右方向に所定間隔で左右風向板295が配置される。
このように、室内機2の外筐は、筐体ベース21、ユニット枠22、化粧枠23、下パネル24等からなる筐体によって形成され、筐体に化粧パネル25、送風ファン311、フィルター231,231’、熱交換器33、露受皿35、左右風向板295、吸込みパネル251、上側風向板291、下側風向板292等の基本的な構造体が取付けられ室内機2を構成する。
化粧パネル25の奥には、電気部品ユニットの電装部が設けられる。また、電気部品ユニットの制御基板には、マイコンが設けられており、リモコン5から送られてきた信号を受光部396を介して受信し、信号に応じて空気調和機を運転制御する。この時、運転モードに合わせて表示部のランプを点灯および消灯させることで、運転モードを確認出来る。
運転が開始されると、化粧パネル25の吸込みパネル251は、下部を支点にして前方へ回動して所定角度傾き、室内機2の前面上部および側部が開口する。上側風向板291、下側風向板292は、マイコンによって制御されて回動し、室内機2の吹出し口29を開閉する。室内機2が、リモコン5からの運転信号を受信すると、室外機6も作動する。
室外機6から送られた冷媒は、接続配管8を介して熱交換器33を循環する。送風ファン311に連結する送風モータは、マイコン制御により、運転状態に合わせて駆動される。
次に、空気の吸込みから吹出しまでの流れについて説明する。送風ファン311が図2において右回りに回転すると、上面の上側吸込み口27と化粧パネル25の開口部(前側吸込み口27’)から室内空気が吸込まれる。そして、吸込まれた気流はフィルター231、231’を通過する際、フィルター231、231’の網目により埃等が取り除かれ、室内機2の内部に流れる。
気流はさらに熱交換器33へ流入し、熱交換された後、送風ファン311へ吸込まれる。送風ファン311からの吹出した気流は、ケーシング290a、290bの下流に設けられた左右風向板295、上側風向板291、下側風向板292を通過して、風向制御されて室内に送風される。一方、運転を停止する時は、送風ファン311の駆動を停止しし、化粧パネル25の吸込みパネル251を回動させて前面の開口を閉ざし、上側風向板291、下側風向板292を回動させて、吹出し口29を閉ざす。
また、熱交換器33の下方には、露受皿35が配置されており、冷房運転時や除湿運転時に熱交換器33に発生する凝縮水を受け止める。露受皿33に集められた凝縮水は、ドレン配管37を通して室外に排出される。このように、気流の流路が形成され、送風ファン311を駆動させることで、室内空気が吸込み口27、27’から吸込まれ、フィルター231、231’を通過して、熱交換器33において熱交換された後、吹出し口29から室内に吹出される。
次に、実施の形態の空気調和機が搭載する撮像素子の撮像範囲について図3〜図6を用いて説明する。図3は室内機に搭載された撮像素子の撮像領域区分図である。図4は撮像素子で捉えた日射領域の検知図である。図5は撮像素子で捉えた日射領域と人在領域が異なる場合の検知図である。図6は撮像素子で捉えた日射領域と人在領域が重なる場合の検知図である。
図3〜図6において、901は室、64は左領域、65は中央領域、66は右領域、68は日射領域、920は人体である。
実施の形態の空気調和機1は、撮像素子110で室内を撮像し、撮像データから撮像素子に入射する光の色温度を検知する機能と、明るさを検知する機能を有し、更に撮像画像から人体の在、不在を検出する人検知機能を有している。色温度を検知する機能、明るさを検知する機能、人検知機能については、カメラのホワイトバランス制御や、自動絞り制御や、空気調和機の省エネ運転制御に広く採用されているので、本明細書での詳述は避ける。
撮像素子110は、撮像できる範囲が限定されているため、本実施の形態では撮像素子110の撮像方向を変更可能にするため、撮像素子回動機構111を設け、撮像方向を3方向に変更できるようにした。図3の64は撮像方向を左に向けた場合の撮像領域であり、この撮像方向で、室内の左側の領域の撮像データを取得する。65は撮像方向を中央に向けた場合の撮像領域、66は撮像方向を右に向けた場合の撮像領域であり、各々、室内の中央および右側の領域の撮像データを取得する。
次に、室内への日射の有無の検知方法について図4、図7を用いて説明する。図7は撮像素子のデータから光源の種類を識別する区分図である。
図4、図7において、71は光源の色温度指標が太陽の色温度指標より大きい領域、72は光源が太陽であると識別する領域、73は光源が蛍光灯であると識別する領域、74は光源が白熱電球であると識別する領域、75は光源の色温度指標が白熱灯の色温度指標より低い領域、81は光源を太陽光と識別する色温度指標の上限、82は光源を蛍光灯と識別する色温度指標の上限、83は光源を白熱灯と識別する色温度指標の上限、84は光源を白熱灯と識別する色温度指標の下限である。
図4は、左領域64の多くの部分と中央領域65の一部分に日差しが有る場合の例であり、この場合、空気調和機1は撮像方向が左領域64の画像データから、撮像素子110に入射する光の色温度を検知し、その色温度が太陽光の色温度に近い時に、光源の種類を太陽光であると識別する。
具体的には、図7に示す、撮像素子110に入射する光の色温度に正の相関を持つ色温度指標を設け、色温度指標が光源を蛍光灯と識別する色温度指標の上限82と光源を太陽光と識別する色温度指標の上限81の間にある場合に、光源の種類を太陽光であると識別する。
次に、日射が有る場合の輻射の大小の判定方法について図8を用いて説明する。図8は撮像素子のデータから輻射の大小を判別する区分図である。
図8において、77は輻射大と判定される明るさ指標の範囲、78は輻射小と判定される明るさ指標の範囲、79は輻射無しと判定される明るさ指標の範囲、87は輻射大と判定される明るさ指標の下限値、88は輻射小と判定される明るさ指標の下限値である。
太陽からの日差しを受けると室内は明るくなり、太陽が雲に隠れると暗くなるのは、良く経験することである。このとき、日差しを受ける範囲が広いとより明るく感じ、日差しを受ける範囲が狭いとより暗く感ずる。また、このとき、日差しが明るいと当然、日差しを受けている部分からの輻射は大きくなり、日差しが暗いと輻射は小さくなる。
このことから、発明者らは、光源が太陽である場合いは、撮像素子110が検知する室内の明るさと、輻射の大小には、相関性があると考え、撮像素子110の撮像データから明るさ指標を求め、同時に、人検知機能の撮像データから、その時の輻射の大きさを知り、図8に示すような、明るさ指標と輻射の大小との関係を見出した。
図8のように、輻射の大小を輻射大、輻射小、輻射無しの3段階に分け、明るさ指標が輻射大と判定される明るさ指標の下限値87を超えるときは太陽光による輻射が大とし、明るさ指標が輻射小と判定される明るさ指標の下限値88と輻射大と判定される明るさ指標の下限値87の間のときは太陽光による輻射が小とし、明るさ指標が輻射小と判定される明るさ指標の下限値88より小さいときは太陽光による輻射は無いとする。
なお、明るさ指標は撮像データから導出した照度、輝度、光束、光度または光量に正の相関を有するものであれば良いのは言うまでも無い。
このように、実施の形態の空気調和機は、撮像素子を搭載し、該撮像素子に入射する光の色温度を検知して光源の種類を識別すると共に、明るさの段階を判定する機能を有する。
一般に、色を物理的な数値で表現する手段として色温度が用いられている。これは、黒体を熱したときに発する色をその時の黒体の温度で表すものであり、蝋燭の炎で1,800K、白熱電球で2,800K、昼白色蛍光灯で5,200K、日中の太陽光で5,500K、晴天の日陰で7,500K、晴天の青空で12,000Kと言われている。
近年、デジタルカメラでは撮像素子を使用して光源の概略色温度を求め、自動的にホワイトバランスを修正し、画像の色調を調整する機能が備わり、素人が撮影しても適正な色調に写るようになってきている。この場合、求めた色温度は正しい色温度からずれている場合が多いが、画像をプリントするときに適正な色になっていれば良いので、色温度自体の正確性よりも、求めた概略色温度とプリントの際の発色との相関が重要であり、色温度の正確性は重要ではない。
また、デジタルカメラではAE機能を内蔵しているものが多く、この場合、撮像素子で捉えた明るさの情報を基にして露出を決めている。
実施の形態の空気調和機では、前述したようにデジタルカメラに多用されている撮像素子を使用して概略の色温度を検知する。また、AE機能を利用して、明るさの度合いを複数の段階に分け、観測された明るさがどの段階に属するかを判定する。
直射日光の色温度は5,500K位であり、これは冬でも夏でも大きな変化は無い。また、1日の中では、朝日や夕日で1,900〜2,500K、昼でも曇天の場合は6,500Kとなる。また、最近普及の兆しが見えてきた白色LED電球では5,200Kとなる。
室内を暖房または冷房するときに、窓から直射日光が差し込んでいるか、差し込んでいないか、は暖房又は冷房負荷に大きな影響を及ぼす。直射日光の色温度は前述したように5,500K位であり、暖房又は冷房負荷に大きな影響を及ぼさない朝夕ではこの値より低く、直射日光が当たっていない日陰や曇りのときはこの値より高くなる。
また、人工光である白熱電球や蛍光灯、LED電球の色温度はこの値より低い。これらのことから、室内で色温度を測ることで、測っている方向の室内に直射日光が差し込んでいるか差し込んでいないかを知ることができる。さらに、明るさを測ることで直射日光が差し込んでいる度合いを知ることができるので、太陽光が暖房又は冷房負荷に及ぼす影響を考慮した空気調和機の制御が可能となる。
この場合、直射日光と日陰、曇天、人工光との識別が可能であれば色温度を正確に求める必要は無く、それらとの間の明瞭な関係を実験的に求めておくことで十分である。
このため、日差しの影響を考慮した制御ができる空気調和機を提供することができる。
次に、室内に日差しがあり、日陰に人が居る場合の制御方法について図5、図8を用いて説明する。図5は撮像素子で捉えた日射領域と人在領域が異なる場合の検知図である。
実施の形態では、人が日陰に居る場合、太陽光による輻射が大のときは、設定温度を若干下げて、暖房の場合は省エネを図り、冷房の場合は、体感温度を維持する制御を行う。
太陽光による輻射が小のときは、設定温度を僅かに下げて、暖房の場合は省エネを図り、冷房の場合は、体感温度を維持する制御を行う。太陽光による輻射は無いときは、設定温度の変更は行わない。
次に、室内に日差しがあり、日差しに人が居る場合の制御方法について図6、図8を用いて説明する。図6は撮像素子で捉えた日射領域と人在領域が重なる場合の検知図である。
実施の形態では、太陽光が差込んでいる室内の位置と人が検された位置が同じである場合、人が日差しの中に居るとして、太陽光による輻射が大のときは、設定温度を下げて、暖房の場合は省エネを図り、冷房の場合は、体感温度を維持する制御を行う。太陽光による輻射が小のときは、設定温度を若干下げて、暖房の場合は省エネを図り、冷房の場合は、体感温度を維持する制御を行う。太陽光による輻射は無いときは、設定温度の変更は行わない。
このように、実施の形態の空気調和機は、前記識別した光源の種類と前記判定した明るさの段階に応じて空気調和機を制御する。
これにより、光源の種類が太陽光の場合で、明るさの段階が所定のレベルより明るいときは、室内への日差しが強いと推定し、日差しによって体感温度が上がっているとして、室温を設定温度より下げて、暖房時は省エネを図り、冷房時は快適性を維持する制御を行うことができる。このとき、明るさに応じて、室温の下げ幅を調節して、よりきめ細かに省エネを図ったり、快適性維持に要するエネルギーを最小にすることもできる。
このため、暖房時の省エネと、冷房時の快適性維持を少ないエネルギで実現できる空気調和機を提供することができる。
また、実施の形態の空気調和機は、前記光源の種類が太陽光と識別された場合に、前記明るさの段階に応じて空気調和機を制御する。
これにより、明るさの段階が所定のレベルより明るいときは、室内への日差しが強いと推定し、日差しによって体感温度が上がっているとして、冷房時は空気調和機からの吹出し風速を増して、室内空気の循環を強め、体感温度を下げたり、暖房時は日だまりとなった日差しの強い場所の空気を室内に拡散させて省エネを図ったり、また、吹出し風速を弱めて、日だまり部の暖かさをそっと静かに包み込むように維持し、快適性を保持しつつ、省エネを図ったりすることができる。
このため、暖房時、冷房時とも快適性と省エネを兼ね備えた制御ができる空気調和機を提供することができる。
また、実施の形態の空気調和機は、前記撮像素子の撮像方向を複数の方向に変更可能な機構を搭載し、各撮像方向で、前記光源の種類の識別と明るさの段階の判定を行うことで、前記光源の種類が太陽光と識別された場合に、室内への太陽光の差込位置を特定する。
これにより、日差しが強い場所に向けて吹出し空気を送ったり、あるいは、その場所を避けて送風したりすることができ、よりきめ細かに快適性と省エネを図った運転を行うことができる。
このため、よりきめ細かに快適性と省エネを図った運転を行うことができる空気調和機を提供することができる。
また、実施の形態の空気調和機は、前記撮像素子の撮像画像から人の在不在を検出する人検知機能を有し、前記光源の種類が太陽光と識別された場合に、前記特定された太陽光の差込位置に、人が在か不在かに応じて空気調和機を制御する。
これにより、例えば、暖房運転時に、太陽光の差込位置に、人が居る場合、室内機からの吹出し空気の風速を弱め、あるいは、風向を変えて、風を当てないように室内機の送風機を制御し、太陽光の差込位置の日だまり状態をそっと静かに包み込むように維持する。
また、日だまりに居る人はぽかぽかした暖かさの中で体感温度が上がっているので、若干室温を設定温度より下げて、省エネを測っても良い。
太陽光の差込位置に、人が居ない場合、室内機からの吹出し空気の風速を強め、あるいは、風向を変えて、風が太陽光の差込位置に届くように室内機の送風機を制御し、日だまり位置の暖かさを、部屋中に押し広げる。この場合、太陽光が差し込んでいる窓は、太陽熱を吸収して温まっているので、室内の窓から離れた位置に居る人は、窓からの輻射を受け、体感温度が少し上がるので、その分、室温を設定より低めに調節して省エネを図ることができる。
冷房運転時は、太陽光の差込位置に、人が居る場合、室内機からの吹出し空気の風速を強め、あるいは、風向を変えて、風が太陽光の差込位置に居る人に届くように室内機の送風機を制御し、日差しの中に居る人の体感温度を下げるようにする。また、日差しの中に居る人はぎらぎらした太陽光を受けて体感温度が上がっているので、太陽光が差込んでいる度合いを撮像素子が捉えた明るさの段階で判断し、この明るさの段階に応じて、室温を設定温度より下げて、快適性を維持しつつ、省エネを測っても良い。
太陽光の差込位置に、人が居ない場合、室内機からの吹出し空気の風速を弱め、あるいは、風向を変えて、風を当てないように室内機の送風機を制御し、日差しの位置の暑い空気が室内に広がらないようにする。この場合、太陽光が差し込んでいる窓は、太陽熱を吸収して温まっているので、室内の窓から離れた位置に居る人は、窓からの輻射を受け、体感温度が少し上がるので、その分、室温を設定より低めに調節して快適性を維持しても良い。
このため、太陽光の差込位置に人が居る場合、居ない場合に応じて、快適性維持しながらも極力省エネ運転することができる空気調和機を提供することができる。
次に、就寝時の騒音防止について説明する。
空気調和機には、暖冷房の機能以外に、操作の煩わしさを避けるために、種々の自動機能が付加されている。例えば、フィルター231、231’には空気調和機の運転に伴って、室内の塵埃が捕集されるので、定期的に清掃してやらなければならない。これを自動化し、自動的にフィルター231、231’を清掃する機能を組込んだ自動清掃機能付きの空気調和機も各社から市場に提供されている。
このような、機能は、通常の空気調和運転に比べて短時間で終わるものも多く、短時間の作動ということで、騒音が比較的大きいものが多い。このような機能が、人の就寝中に始まると、折角の睡眠が妨げられ、使用者に不快の念を抱かせてしまう。これを回避するため本実施の形態では、人が室内で就寝していることを撮像素子110の撮像データから検知し、室内の明るさが所定の明るさより暗かったときには、このような機能の開始を中止、又は延期して、在室者の睡眠が妨げられるのを防止する。
このような制御の対象となる機能としては、上述の自動清掃機能のように、就寝時に運転されている空気調和機の騒音レベルより大きい騒音を発する機能や騒音レベルは小さいが特定の周波数の音が際立つ耳障りのする音を発する機能などがある。
また、空気調和機には各種の表示灯が付いているが、表示灯自体の消費電力は比較的小さいものの、点灯時間が長いため、消費される電力は無視できない。このため、表示灯の明るさを室内の明るさに応じて、室内が明るいときには、表示が識別できるように表示も明るくし、室内の明るさが暗いときには表示灯の明るさも暗くする。これにより、表示に要する消費電力を下げることができる。
このように、実施の形態の空気調和機は、前記明るさの段階に応じて、駆動音が大なる内蔵機構の動作を中止または延期する。
これにより、判断された室内の明るさの段階が、夜間の暗さのときは、就寝中と判断し、例えば、フィルターの自動清掃機構の動作を、判断された室内の明るさの段階が、日中の明るさに変わるまで延期する。こうすることで、睡眠を妨げる駆動音が人の就寝中に空気調和機から発せられるのを防ぐことができる。
このため、夜間の睡眠を妨げることの無い空気調和機を提供することができる。
また、実施の形態の空気調和機は、前記明るさの段階に応じて、表示装置の明るさを調整する。
これにより、夜間の照明なしの時には、表示装置の明るさを、表示の内容が読み取り可能なレベルとし、室内の明るさが増すに従って、そのなかで読み取りが可能なレベルに表示装置の明るさを明るくする。このようにすることで、表示装置の省エネを図ることができる。
このため、表示装置の省エネを図ることができる空気調和機を提供することができる。
次に、実施の形態2の空気調和機(空気調和システム)について説明する。
実施の形態2の空気調和機は、運転の停止中にも人検知機能を働かせ、在室者が居て、室内の温度湿度が熱中症に罹る恐れのあるレベルに達しているにもかかわらず、空気調和機の運転が為されないときに、空調運転を勧めるメッセージを発するものである。メッセージは在室者に音声、ブザー、表示などで行い、更に、他室の同居人に伝えるものでも良く、更には、電話やインターネットを介して、訪問介護業者、ヘルパー、係り付けの病院に通報するものでも良い。
このようにすることで、都会地に多い、窓を開けても風が入らない住居、又は防犯上窓を開けられない住居に住む人の、熱中症に罹る恐れを少なくできる。また、人の居る位置と太陽光が差込む位置が一致している場合は、空気調和機の運転を勧める報知を行う室内の温湿度を前記のレベルより、低温側、低湿側に変更する。これにより、日差しの影響を緩和し、体感温度が高くならないように維持して、熱中症に罹る人を減らすことができる。
更に、室内の温度湿度が熱中症に罹る恐れのあるレベルから更に、所定の温度差、湿度差以上に高温高湿側に変化したときには、空気調和機を強制的に冷房又は除湿運転し、室内の温湿度を熱中症の恐れの少ないレベルまで下げる。また、室内の温度湿度が熱中症に罹る恐れのあるレベルに達してから所定の時間を経過しても空気調和機の運転が開始されないときにも、空気調和機を強制的に冷房又は除湿運転し、室内の温湿度を熱中症の恐れの少ないレベルまで下げる。
これにより、体が不自由で一人では位置を変えられない人や熟睡中で日差しの中に寝ていることに気が付かない場合でも、室内の温湿度の更なる高温高湿への変化や、所定時間にわたって熱中症に罹る恐れのある温度が続いた場合には、空気調和機が冷房又は、除湿運転を開始し、室内の温湿度を下げ、熱中症に罹る人を減らすことができる。
このように、実施の形態の空気調和機は、運転の停止時にも、光源の識別動作と明るさの段階の判定動作および人検知動作を行う制御を搭載し、前記特定された太陽光の差込位置以外に、人が在で、且つ、室内温度または/および室内湿度が所定の範囲から逸脱した場合、空気調和機の運転推奨を報知する。
一般に、高温、高湿のときに熱中症が起きやすい。近年、都会化の影響で窓を開けても、風が入らないとか、防犯上、窓を開けられないとか、の住宅事情を抱える人で、閉切った部屋の中で熱中症に罹る人が増えている。空気調和機を設置してあっても、節電意識の高まりや、電気代がもったいないとかの理由で、空気調和機の運転を躊躇する人もあり、問題は深刻化するばかりである。
熱中症の起き易さの目安として、WBGT:湿球黒球温度(Wet−bulb globe temperature)が提唱されていて、これを、簡易的に気温と湿度で表すことも行われている。これに依れば、気温30℃の場合、湿度45%を超えると熱中症に警戒が必要となり、湿度65%を超えると、厳重な警戒が必要となる。更に、湿度85%を超えると危険な状態になるので、涼しくするなどの行動を起こす必要が出てくる。
同様に、湿度65%の場合、室温が27℃を超えると警戒が必要となり、室温が30℃を超えると、厳重な警戒が必要となる。更に、室温が33℃を超えると危険な状態になるので、涼しくするなどの行動を起こす必要が出てくる。
実施の形態の空気調和機では、空気調和機が使用者の意図的な停止、または、制御上の停止である場合も、例えば、室温が30℃で湿度が65%を超えたときに、空気調和機の運転を勧めるメッセージを使用者に報知する。報知の方法は、表示やブザー、音声などその方法は問わない。また、伝送線、無線により、他室に居る同居者に報知するようにするのも良く、更に、インターネットを介して、訪問介護業者などに報知することでも良い。
また、報知するときの室温、湿度のレベルは上記の1点にとどまらず、例えば、25℃100%、35℃30%などの点も記憶しておき、室温湿度がこれらの点を結ぶ線より高温高湿側になる場合に報知動作が開始するようにしても良い。このようにすることにより、使用者や同居者、訪問介護業者などに室内が厳重警戒が必要な温湿度状態になっていることが知らされ、使用者、同居者、または、駆けつけた訪問介護スタッフが空気調和機の運転を開始することで、熱中症の予防ができる。
このため、熱中症の予防を報知して熱中症に陥る人を少なくすることができる空気調和機を提供することができる。
また、実施の形態の空気調和機は、前記特定された太陽光の差込位置に、人が在で有る場合は、前記所定の範囲を低温側または/および低湿側に変更して空気調和機の運転推奨を報知する。
これにより、太陽光が差込む位置に人が居る場合は、熱中症予防の報知を行う室温湿度のレベルを、例えば、警戒レベルまで下げ、室温湿度が27℃60%、33℃30%を結ぶ線より高温高湿側になったときに前記の報知を開始するようにする。このようにすることにより、日差しの中で、冷房もせずに居る人が熱中症になるのを予防することができる。
このため、日差しの中に人が居る場合にも、熱中症に陥る人を少なくすることができる空気調和機を提供することができる。
また、実施の形態の空気調和機は、室内温度または/および室内湿度が前記所定の範囲または前記変更した所定の範囲から更に高温側または/および高湿側に所定温度差以上または/および所定湿度差以上逸脱した場合、または、前記所定の範囲または前記変更した所定の範囲からの逸脱が所定時間以上継続した場合、該空気調和機の冷房運転または除湿運転を開始する。
これにより、報知に誰も気づかなかった場合でも、その状態から、空気調和機が運転しない時間が、例えば、1時間以上続いた場合は、空気調和機の運転を強制的に開始する。
こうすることにより、使用者が、熱中症の危険な状態に陥るのを防ぐことができる。また、報知後も室温湿度の上昇が続き、室温湿度が、例えば、高温高湿側に所定温度差以上または/および所定湿度差以上逸脱した場合、空気調和機の運転を強制的に開始する。
このため、熱中症に陥る人を少なくすることができる空気調和機を提供することができる。
以上説明したように、本実施例の空気調和機によれば、撮像素子を搭載し、該撮像素子に入射する光の色温度を検知して光源の種類を識別すると共に、明るさの段階を判定する機能を有する。
これにより、前述したようにデジタルカメラに多用されている撮像素子を使用して概略の色温度を検知する。また、AE機能を利用して、明るさの度合いを複数の段階に分け、観測された明るさがどの段階に属するかを判定する。
直射日光の色温度は5,500K位であり、これは冬でも夏でも大きな変化は無い。また、1日の中では、朝日や夕日で1,900〜2,500K、昼でも曇天の場合は6,500Kとなる。また、最近普及の兆しが見えてきた白色LED電球では5,200Kとなる。
室内を暖房または冷房するときに、窓から直射日光が差し込んでいるか、差し込んでいないか、は暖房又は冷房負荷に大きな影響を及ぼす。直射日光の色温度は前述したように5,500K位であり、暖房又は冷房負荷に大きな影響を及ぼさない朝夕ではこの値より低く、直射日光が当たっていない日陰や曇りのときはこの値より高くなる。
また、人工光である白熱電球や蛍光灯、LED電球の色温度はこの値より低い。これらのことから、室内で色温度を測ることで、測っている方向の室内に直射日光が差し込んでいるか差し込んでいないかを知ることができる。さらに、明るさを測ることで直射日光が差し込んでいる度合いを知ることができるので、太陽光が暖房又は冷房負荷に及ぼす影響を考慮した空気調和機の制御が可能となる。
この場合、直射日光と日陰、曇天、人工光との識別が可能であれば色温度を正確に求める必要は無く、それらとの間の明瞭な関係を実験的に求めておくことで十分である。
このため、日差しの影響を考慮した制御ができる空気調和機を得ることができる。
また、本実施例の空気調和機によれば、前記識別した光源の種類と前記判定した明るさの段階に応じて空気調和機を制御する。
これにより、光源の種類が太陽光の場合で、明るさの段階が所定のレベルより明るいときは、室内への日差しが強いと推定し、日差しによって体感温度が上がっているとして、室温を設定温度より下げて、暖房時は省エネを図り、冷房時は快適性を維持する制御を行うことができる。このとき、明るさに応じて、室温の下げ幅を調節して、よりきめ細かに省エネを図ったり、快適性維持に要するエネルギーを最小にすることもできる。
このため、暖房時の省エネと、冷房時の快適性維持を少ないエネルギで実現できる空気調和機を得ることができる。
また、本実施例記載の空気調和機によれば、前記光源の種類が太陽光と識別された場合に、前記明るさの段階に応じて空気調和機を制御する。
これにより、明るさの段階が所定のレベルより明るいときは、室内への日差しが強いと推定し、日差しによって体感温度が上がっているとして、冷房時は空気調和機からの吹出し風速を増して、室内空気の循環を強め、体感温度を下げたり、暖房時は日だまりとなった日差しの強い場所の空気を室内に拡散させて省エネを図ったり、また、吹出し風速を弱めて、日だまり部の暖かさをそっと静かに包み込むように維持し、快適性を保持しつつ、省エネを図ったりすることができる。
このため、暖房時、冷房時とも快適性と省エネを兼ね備えた制御ができる空気調和機を得ることができる。
また、本実施例の空気調和機によれば、前記撮像素子の撮像方向を複数の方向に変更可能な機構を搭載し、各撮像方向で、前記光源の種類の識別と明るさの段階の判定を行うことで、前記光源の種類が太陽光と識別された場合に、室内への太陽光の差込位置を特定する。
これにより、日差しが強い場所に向けて吹出し空気を送ったり、あるいは、その場所を避けて送風したりすることができ、よりきめ細かに快適性と省エネを図った運転を行うことができる。
このため、よりきめ細かに快適性と省エネを図った運転を行うことができる空気調和機を得ることができる。
また、本実施例の空気調和機によれば、前記撮像素子の撮像画像から人の在不在を検出する人検知機能を有し、前記光源の種類が太陽光と識別された場合に、前記特定された太陽光の差込位置に、人が在か不在かに応じて空気調和機を制御する。
これにより、例えば、暖房運転時に、太陽光の差込位置に、人が居る場合、室内機からの吹出し空気の風速を弱め、あるいは、風向を変えて、風を当てないように室内機の送風機を制御し、太陽光の差込位置の日だまり状態をそっと静かに包み込むように維持する。
また、日だまりに居る人はぽかぽかした暖かさの中で体感温度が上がっているので、若干室温を設定温度より下げて、省エネを測っても良い。
太陽光の差込位置に、人が居ない場合、室内機からの吹出し空気の風速を強め、あるいは、風向を変えて、風が太陽光の差込位置に届くように室内機の送風機を制御し、日だまり位置の暖かさを、部屋中に押し広げる。この場合、太陽光が差し込んでいる窓は、太陽熱を吸収して温まっているので、室内の窓から離れた位置に居る人は、窓からの輻射を受け、体感温度が少し上がるので、その分、室温を設定より低めに調節して省エネを図ることができる。
冷房運転時は、太陽光の差込位置に、人が居る場合、室内機からの吹出し空気の風速を強め、あるいは、風向を変えて、風が太陽光の差込位置に居る人に届くように室内機の送風機を制御し、日差しの中に居る人の体感温度を下げるようにする。また、日差しの中に居る人はぎらぎらした太陽光を受けて体感温度が上がっているので、太陽光が差込んでいる度合いを撮像素子が捉えた明るさの段階で判断し、この明るさの段階に応じて、室温を設定温度より下げて、快適性を維持しつつ、省エネを測っても良い。
太陽光の差込位置に、人が居ない場合、室内機からの吹出し空気の風速を弱め、あるいは、風向を変えて、風を当てないように室内機の送風機を制御し、日差しの位置の暑い空気が室内に広がらないようにする。この場合、太陽光が差し込んでいる窓は、太陽熱を吸収して温まっているので、室内の窓から離れた位置に居る人は、窓からの輻射を受け、体感温度が少し上がるので、その分、室温を設定より低めに調節して快適性を維持しても良い。
このため、太陽光の差込位置に人が居る場合、居ない場合に応じて、快適性維持しながらも極力省エネ運転することができる空気調和機を得ることができる。
また、本実施例の空気調和機によれば、前記明るさの段階に応じて、駆動音が大なる内蔵機構の動作を中止または延期する。
これにより、判断された室内の明るさの段階が、夜間の暗さのときは、就寝中と判断し、例えば、フィルターの自動清掃機構の動作を、判断された室内の明るさの段階が、日中の明るさに変わるまで延期する。こうすることで、睡眠を妨げる駆動音が人の就寝中に空気調和機から発せられるのを防ぐことができる。
このため、夜間の睡眠を妨げることの無い空気調和機を得ることができる。
また、本実施例の空気調和機によれば、前記明るさの段階に応じて、表示装置の明るさを調整する。
これにより、夜間の照明なしの時には、表示装置の明るさを、表示の内容が読み取り可能なレベルとし、室内の明るさが増すに従って、そのなかで読み取りが可能なレベルに表示装置の明るさを明るくする。このようにすることで、表示装置の省エネを図ることができる。
このため、表示装置の省エネを図ることができる空気調和機を得ることができる。
また、本実施例の空気調和機によれば、運転の停止時にも、光源の識別動作と明るさの段階の判定動作および人検知動作を行う制御を搭載し、前記特定された太陽光の差込位置以外に、人が在で、且つ、室内温度または/および室内湿度が所定の範囲から逸脱した場合、空気調和機の運転推奨を報知する。
これにより、空気調和機が使用者の意図的な停止、または、制御上の停止である場合も、例えば、室温が30℃で湿度が65%を超えたときに、空気調和機の運転を勧めるメッセージを使用者に報知する。報知の方法は、表示やブザー、音声などその方法は問わない。また、伝送線、無線により、他室に居る同居者に報知するようにするのも良く、更に、インターネットを介して、訪問介護業者などに報知することでも良い。
また、報知するときの室温、湿度のレベルは上記の1点にとどまらず、例えば、25℃100%、35℃30%などの点も記憶しておき、室温湿度がこれらの点を結ぶ線より高温高湿側になる場合に報知動作が開始するようにしても良い。このようにすることにより、使用者や同居者、訪問介護業者などに室内が厳重警戒が必要な温湿度状態になっていることが知らされ、使用者、同居者、または、駆けつけた訪問介護スタッフが空気調和機の運転を開始することで、熱中症の予防ができる。
このため、熱中症の予防を報知して熱中症に陥る人を少なくすることができる空気調和機を得ることができる。
また、本実施例の空気調和機によれば、前記特定された太陽光の差込位置に、人が在で有る場合は、前記所定の範囲を低温側または/および低湿側に変更して空気調和機の運転推奨を報知する。
これにより、太陽光が差込む位置に人が居る場合は、熱中症予防の報知を行う室温湿度のレベルを、例えば、警戒レベルまで下げ、室温湿度が27℃60%、33℃30%を結ぶ線より高温高湿側になったときに前記の報知を開始するようにする。このようにすることにより、日差しの中で、冷房もせずに居る人が熱中症になるのを予防することができる。
このため、日差しの中に人が居る場合にも、熱中症に陥る人を少なくすることができる空気調和機を得ることができる。
また、本実施例の空気調和機によれば、室内温度または/および室内湿度が前記所定の範囲または前記変更した所定の範囲から更に高温側または/および高湿側に所定温度差以上または/および所定湿度差以上逸脱した場合、または、前記所定の範囲または前記変更した所定の範囲からの逸脱が所定時間以上継続した場合、該空気調和機の冷房運転または除湿運転を開始する。
これにより、報知に誰も気づかなかった場合でも、その状態から、空気調和機が運転しない時間が、例えば、1時間以上続いた場合は、空気調和機の運転を強制的に開始する。
こうすることにより、使用者が、熱中症の危険な状態に陥るのを防ぐことができる。また、報知後も室温湿度の上昇が続き、室温湿度が、例えば、高温高湿側に所定温度差以上または/および所定湿度差以上逸脱した場合、空気調和機の運転を強制的に開始する。
このため、熱中症に陥る人を少なくすることができる空気調和機を得ることができる。