(第1実施形態)
以下、図1〜図12を用いて、本発明の第1実施形態を説明する。本実施形態の蒸発器ユニット20は、図1の全体構成図に示すように、冷媒減圧手段としてエジェクタを備える蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置、すなわちエジェクタ式冷凍サイクル10に適用されている。さらに、このエジェクタ式冷凍サイクル10は、車両用空調装置に適用されており、冷却対象空間である車室内へ送風される送風空気を冷却する機能を果たす。従って、本実施形態の蒸発器ユニット20の冷却対象流体は、送風空気である。
また、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、冷媒としてHFC系冷媒(具体的には、R134a)を採用しており、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界冷凍サイクルを構成している。もちろん、冷媒としてHFO系冷媒(具体的には、R1234yf)等を採用してもよい。さらに、冷媒には圧縮機11を潤滑するための冷凍機油が混入されており、冷凍機油の一部は冷媒とともにサイクルを循環している。
エジェクタ式冷凍サイクル10の構成機器のうち、圧縮機11は、冷媒を吸入して高圧冷媒となるまで圧縮して吐出するものである。具体的には、本実施形態の圧縮機11は、1つのハウジング内に固定容量型の圧縮機構、および圧縮機構を駆動する電動モータを収容して構成された電動圧縮機である。
この圧縮機構としては、スクロール型圧縮機構、ベーン型圧縮機構等の各種圧縮機構を採用することができる。また、電動モータは、図示しない空調制御装置から出力される制御信号によって、その作動(回転数)が制御されるもので、交流モータ、直流モータのいずれの形式のものを採用してもよい。
圧縮機11の吐出口には、放熱器12の凝縮部12aの冷媒入口側が接続されている。放熱器12は、圧縮機11から吐出された高圧側冷媒と冷却ファン12cから送風された車室外空気(外気)を熱交換させることによって、高圧冷媒を放熱させて冷却する放熱用熱交換器である。
より具体的には、放熱器12は、圧縮機11から吐出された高圧気相冷媒と冷却ファン12cから送風された外気とを熱交換させ、高圧気相冷媒を放熱させて凝縮させる凝縮部12a、および凝縮部12aから流出した冷媒の気液を分離して余剰液相冷媒を蓄えるレシーバ部12bを有して構成される、いわゆるレシーバ一体型の凝縮器である。
冷却ファン12cは、空調制御装置から出力される制御電圧によって回転数(送風空気量)が制御される電動送風機である。
放熱器12のレシーバ部12bの冷媒出口には、温度式膨張弁13の入口側が接続されている。温度式膨張弁13は、放熱器12のレシーバ部12bから流出した冷媒を減圧させる冷媒減圧手段である。さらに、本実施形態の温度式膨張弁13は、蒸発器ユニット20出口側冷媒の過熱度が予め定めた基準過熱度に近づくように冷媒流量を調整する。
この温度式膨張弁13としては、蒸発器ユニット20から流出した冷媒の温度と圧力とに応じて変位する変位部材(ダイヤフラム)を有する感温部を備え、この変位部材の変位に応じて蒸発器ユニット20出口側冷媒の過熱度が基準過熱度に近づくように機械的機構によって弁開度(冷媒流量)が調整されるもの等を採用することができる。
温度式膨張弁13の出口には、蒸発器ユニット20のジョイント部24に設けられた冷媒流入口24a側が接続されている。蒸発器ユニット20は、図1の破線で囲まれたサイクル構成機器を一体化(ユニット化)させたものである。より具体的には、蒸発器ユニット20は、分岐部14、エジェクタ15、流出側蒸発器17、吸引側蒸発器18、固定絞り19等を一体化させたものである。
まず、蒸発器ユニット20を構成する各構成機器について説明する。分岐部14は、冷媒流入口24aから流入した冷媒の流れを分岐し、分岐された一方の冷媒をエジェクタ15のノズル部15aの入口側へ流出させ、分岐された他方の冷媒を固定絞り19の入口側へ流出させるものである。
エジェクタ15は、分岐部14にて分岐された一方の冷媒を低圧冷媒となるまで減圧させる冷媒減圧手段の機能を果たすとともに、高速度で噴射される冷媒流の吸引作用によって冷媒を吸引(輸送)して循環させる冷媒循環手段(冷媒輸送手段)としての機能を果たすものである。
より具体的には、エジェクタ15は、ノズル部15aおよびボデー部15bを有して構成されている。ノズル部15aは、冷媒の流れ方向に向かって徐々に先細る略円筒状の金属(例えば、ステンレス合金、真鍮)等で形成されており、内部に形成された冷媒通路(絞り通路)にて冷媒を等エントロピ的に減圧膨張させるものである。
ノズル部15aの内部に形成された冷媒通路には、冷媒通路面積が最も縮小した喉部が形成され、さらに、この喉部から冷媒を噴射する冷媒噴射口へ向かって冷媒通路面積が徐々に拡大する末広部が形成されている。つまり、ノズル部15aは、ラバールノズルとして構成されている。
さらに、本実施形態では、ノズル部15aとして、エジェクタ式冷凍サイクル10の通常運転時に、冷媒噴射口から噴射される噴射冷媒の流速が音速以上となるように設定されたものが採用されている。もちろん、ノズル部15aを先細ノズルで構成してもよい。
ボデー部15bは、略円筒状の金属(例えば、アルミニウム合金)で形成されており、内部にノズル部15aを支持固定する固定部材として機能するとともに、エジェクタ15の外殻を形成するものである。より具体的には、ノズル部15aは、ボデー部15bの長手方向一端側の内部に収容されるように圧入にて固定されている。従って、ノズル部15aとボデー部15bとの固定部(圧入部)から冷媒が漏れることはない。
また、ボデー部15bの外周面のうち、ノズル部15aの外周側に対応する部位には、その内外を貫通してノズル部15aの冷媒噴射口と連通するように設けられた冷媒吸引口15cが形成されている。冷媒吸引口15cは、ノズル部15aから噴射される噴射冷媒の吸引作用によって、後述する吸引側蒸発器18の吸引側熱交換部18bから流出した冷媒をエジェクタ15の内部へ吸引する貫通穴である。
さらに、ボデー部15bの内部には、冷媒吸引口15cから吸引された吸引冷媒をノズル部15aの冷媒噴射口側へ導く吸引通路15e、および冷媒吸引口15cから吸引通路15eを介してエジェクタ15の内部へ流入した吸引冷媒と噴射冷媒とを混合させて昇圧させる昇圧部としてのディフューザ部15dが形成されている。
吸引通路15eは、ノズル部15aの先細り形状の先端部周辺の外周側とボデー部15bの内周側との間の空間によって形成されており、吸引通路15eの冷媒通路面積は、冷媒流れ方向に向かって徐々に縮小している。これにより、吸引通路15eを流通する吸引冷媒の流速を徐々に増加させて、ディフューザ部15dにて吸引冷媒と噴射冷媒が混合する際のエネルギ損失(混合損失)を減少させている。
ディフューザ部15dは、吸引通路15eの出口に連続するように配置されて、冷媒通路面積が徐々に拡大するように形成されている。これにより、噴射冷媒と吸引冷媒とを混合させながら、その流速を減速させて噴射冷媒と吸引冷媒との混合冷媒の圧力を上昇させる機能、すなわち、混合冷媒の速度エネルギを圧力エネルギに変換する機能を果たす。
より具体的には、ディフューザ部15dを形成するボデー部15bの内周壁面の断面形状は、複数の曲線を組み合わせて形成されている。そして、ディフューザ部15dの冷媒通路断面積の広がり度合が冷媒流れ方向に向かって徐々に大きくなった後に再び小さくなっていることで、冷媒を等エントロピ的に昇圧させることができる。
ディフューザ部15dの冷媒出口には、流出側蒸発器17の冷媒入口側が接続されている。流出側蒸発器17は、送風ファン20aから車室内へ向けて送風された送風空気とディフューザ部15dから流出した低圧冷媒とを熱交換させ、低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させることによって送風空気を冷却する吸熱用熱交換器である。
送風ファン20aは、空調制御装置から出力される制御電圧によって回転数(送風空気量)が制御される電動送風機である。流出側蒸発器17の冷媒出口には、蒸発器ユニット20のジョイント部24に設けられた冷媒流出口24bを介して、圧縮機11の吸入口側が接続されている。
固定絞り19は、分岐部14にて分岐された他方の冷媒を低圧冷媒となるまで減圧させる減圧手段である。本実施形態では、固定絞り19として、オリフィスを採用している。固定絞り19の出口には、吸引側蒸発器18の冷媒入口側が接続されている。
吸引側蒸発器18は、送風ファン20aから車室内へ向けて送風されて流出側蒸発器17を通過した送風空気と固定絞り19から流出した低圧冷媒とを熱交換させ、低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させることによって送風空気を冷却する吸熱用熱交換器である。吸引側蒸発器18の冷媒出口には、エジェクタ15の冷媒吸引口15c側が接続されている。
つまり、蒸発器ユニット20では、流出側蒸発器17および吸引側蒸発器18が、送風空気の空気流れに対して直列的に配置されており、吸引側蒸発器18は、流出側蒸発器17に対して送風空気の空気流れの風下側に配置されている。そして、流出側蒸発器17は、エジェクタ15のディフューザ部15dから流出した冷媒を蒸発させる。さらに、吸引側蒸発器18は、固定絞り19から流出した冷媒を蒸発させ、蒸発させた冷媒をエジェクタ15の冷媒吸引口15c側へ流出させている。
次に、図2〜図9を用いて、蒸発器ユニット20を構成する各構成機器の一体化について説明する。なお、図2、図3における上下の各矢印は、本実施形態の蒸発器ユニット20を車両に搭載した状態における上下の各方向を示している。
本実施形態の流出側蒸発器17および吸引側蒸発器18は、いわゆるタンクアンドチューブ型の熱交換器で構成されている。つまり、流出側蒸発器17は、冷媒を流通させる複数の流出側チューブ71、および複数の流出側チューブ71の両端部に接続されて流出側チューブ71を流通する冷媒の集合あるいは分配を行う一対の流出側タンク72、73を有している。
流出側チューブ71は、伝熱性に優れる金属(本実施形態では、エジェクタ15のボデー部15bと同じアルミニウム合金)で形成されている。さらに、流出側チューブ71は、内部を流通する冷媒の流れ方向(流出側チューブ71の長手方向)に垂直な断面形状が扁平形状に形成された扁平チューブで構成されている。
それぞれの流出側チューブ71は、外表面の平坦面(扁平面)同士が互いに平行となるように、一定の間隔を開けて積層配置されている。これにより、隣り合う流出側チューブ71同士の間に、送風空気が流通する空気通路が形成される。つまり、流出側蒸発器17では、複数の流出側チューブ71が積層配置されることによって、冷媒と送風空気とを熱交換させる熱交換部(熱交換コア部)が形成されている。
さらに、隣り合う流出側チューブ71同士の間に形成される空気通路には、冷媒と送風空気との熱交換を促進するフィン74が配置されている。フィン74は、流出側チューブ71と同じ材質の薄板材を波状に曲げ成形することによって形成されたコルゲートフィンであり、その頂部が流出側チューブ71の平坦面にろう付け接合されている。
流出側タンク72、73は、流出側チューブ71と同じ材質の有底筒状部材で形成されている。流出側タンク72、73は、流出側チューブ71の積層方向に延びる形状に形成されている。流出側タンク72、73の内部には、各流出側チューブ71に対して冷媒を分配するための分配空間、および各流出側チューブ71から流出した冷媒を集合させるための集合空間が形成されている。
以下の説明では、説明の明確化のため、流出側タンクのうち、鉛直方向上方側に配置されるものを上部流出側タンク72と記載し、鉛直方向下方側に配置されるものを下部流出側タンク73と記載する。
吸引側蒸発器18の基本的構成は、流出側蒸発器17と同等である。従って、吸引側蒸発器18は、冷媒を流通させる複数の吸引側チューブ81、フィン74、並びに、複数の吸引側チューブ81の両端部に接続されて吸引側チューブ81を流通する冷媒の集合あるいは分配を行う一対の吸引側タンク(具体的には、鉛直方向上方側に配置される上部吸引側タンク82、鉛直方向下方側に配置される下部吸引側タンク83)を有している。
ここで、本実施形態では、吸引側チューブ81として、流出側チューブ71と同じ扁平チューブが採用されている。本実施形態の蒸発器ユニット20では、このような部品の共通化により、蒸発器ユニット20全体としての製造コストの低減を図っている。
また、本実施形態の上部流出側タンク72および上部吸引側タンク82は、図3、図5〜図7に示すように、共通するプレートヘッダ91およびタンクヘッダ92を接合することによって、一体的に形成されている。
プレートヘッダ91には、その表裏を貫通する複数のスリット穴が形成されている。このスリット穴は、プレートヘッダ91の長手方向に2列に配置されている。そして、送風空気流れ上流側に配置された一方の列のスリット穴には流出側チューブ71が接続され、送風空気流れ下流側に配置された他方の列のスリット穴には吸引側チューブ81が接続されている。
このため、プレートヘッダ91は、上部流出側タンク72および上部吸引側タンク82のチューブ側の部位(図3では、上部流出側タンク72および上部吸引側タンク82の下方側の部位)を形成している。
タンクヘッダ92は、プレートヘッダ91に組み合わされることによって、内部に分配空間および集合空間を形成するものである。さらに、タンクヘッダ92は、上部流出側タンク72および上部吸引側タンク82のチューブから離れた側である反チューブ側の部位(図3では、上部流出側タンク72および上部吸引側タンク82の上方側の部位)を形成している。
下部流出側タンク73および下部吸引側タンク83も同様に、共通部材であるタンクヘッダおよびプレートヘッダによって形成されている。そして、流出側チューブ71、吸引側チューブ81、流出側タンク72、73、吸引側タンク82、83(具体的には、プレートヘッダ91、タンクヘッダ92)、フィン74等をろう付け接合することによって、流出側蒸発器17および吸引側蒸発器18が一体化されている。
なお、図2では、図示および説明の明確化のため、流出側蒸発器17の一部の構成(流出側チューブ71および上部流出側タンク72)については、吸引側蒸発器18の対応する構成に括弧付きの符号を付して示している。さらに、図2では、フィン74を吸引側蒸発器18の一部にのみ図示しているが、フィン74は、流出側蒸発器17においては隣り合う流出側チューブ71間の略全域に渡って配置されており、吸引側蒸発器18においては隣り合う吸引側チューブ81間の略全域に渡って配置されている。
また、本実施形態では、図3、図5〜図7に示すように、タンクヘッダ92とプレートヘッダ91との間に板状部材93が配置されている。板状部材93は、上部流出側タンク72および上部吸引側タンク82の内部空間を、各チューブ71、81に近い側のチューブ側の空間(図3では、下方側の空間)および各チューブ71、81に遠い側の反チューブ側の空間(図3では、上方側の空間)に仕切るものである。
板状部材93には、板状部材93からチューブ側あるいは反チューブ側へ突出して、上部流出側タンク72の内部空間および上部吸引側タンク82の内部空間を区画するセパレータ821a〜821c、721が設けられている。板状部材93および各セパレータ821a〜821c、721は、流出側チューブ72と同じ材質で形成されている。
より具体的には、板状部材93のうち、上部吸引側タンク82の内部に位置付けられる部位には、図3に示すように、上部吸引側タンク82の長手方向一端側から順に、反チューブ側に突出する第1セパレータ821a、チューブ側に突出する第2セパレータ821b、チューブ側に突出する第3セパレータ821cがろう付けにて接合されている。
さらに、図4に示すように、板状部材93のうち、上部吸引側タンク82の内部に位置付けられる部位であって、第1セパレータ821aよりも一端側の部位には、板状部材93の表裏を貫通する第1吸引側連通穴93aが形成されている。また、第3セパレータ821cよりも他端側の部位には、板状部材93の表裏を貫通する第2吸引側連通穴93bが形成されている。
このため、上部吸引側タンク82の内部空間は、図2、図3に示すように、実質的に、上部吸引側の一端側空間82a、チューブ側空間82b、反チューブ側空間82c、上部吸引側の他端側空間82dの4つの空間に区画されている。なお、反チューブ側空間82cおよび上部吸引側の他端側空間82dは、互いに直接的に連通している。
また、板状部材93のうち、上部流出側タンク72の内部に位置付けられる部位には、図3に示すように、上部流出側タンク72の略中央部に、チューブ側および反チューブ側の双方へ突出する流出側セパレータ721が設けられている。
さらに、図4に示すように、板状部材93のうち、上部流出側タンク72の内部に位置付けられる部位であって、流出側セパレータ721よりも一端側の部位には、板状部材93の表裏を貫通する第1流出側連通穴93cが形成されている。また、流出側セパレータ721よりも他端側の部位には、板状部材93の表裏を貫通する第2流出側連通穴93dが形成されている。
このため、上部流出側タンク72の内部空間は、実質的に、流出側集合空間72aおよび流出側分配空間72bに区画されている。
ここで、板状部材93に形成された複数の各連通穴93a〜93dについて説明する。図4に示すように、各連通穴93a〜93dは、それぞれ開口面積が同等の円形状に形成されている。さらに、第1吸引側連通穴93a、第2吸引側連通穴93b、第1流出側連通穴93cについては、それぞれ上部吸引側タンク82および上部流出側タンク72の長手方向に等間隔で配置されている。
これに対して、板状部材93のうち、流出側分配空間72bを仕切る部位に形成される第2流出側連通穴93dは、上部流出側タンク72の長手方向に不等間隔で配置されている。
さらに、上部吸引側タンク82の長手方向に垂直な方向から見たときに、エジェクタ15のディフューザ部15dに近い側に配置される第2流出側連通穴93dの間隔が、エジェクタタンク23の冷媒流れ下流側の端部に近い側に配置される第2流出側連通穴93dの間隔よりも狭くなっている。
従って、複数の第2流出側連通穴93dのうち、エジェクタ15のディフューザ部15dの冷媒出口から予め定めた基準距離KL内に配置される第2流出側連通穴93dの合計開口面積は、エジェクタタンク23の冷媒流れ下流側の端部から基準距離KL内に配置される第2流出側連通穴93dの合計開口面積よりも大きくなっている。
なお、基準距離KLは、上述した合計開口面積の関係を満たすように任意に決定することができる。つまり、全ての基準距離KLにおいて、上述した合計開口面積の関係を満たしているわけではない。
このため、流出側分配空間72bのうち、板状部材93に仕切られた反チューブ側の空間をエジェクタ側分配空間721と定義し、チューブ側の空間をチューブ側分配空間722と定義すると、エジェクタ側分配空間721側からチューブ側分配空間722側へ流れる冷媒は、ディフューザ部15dの冷媒出口に近い側に配置される第2流出側連通穴93dを流通しやすくなっている。
さらに、本実施形態では、図4に示すように、隣り合う第2流出側連通穴93dの中心点同士の間隔の最大値HLが、予め定めた基準本数(本実施形態では、4本)の流出側チューブ71の積層配置された際の積層距離以下となっている。ここで、積層距離とは、基準本数の流出側チューブ71が積層配置された際に、積層方向両端部に配置された流出側チューブ71の対応する部位同士の距離を意味している。
以上の説明から明らかなように、本実施形態の板状部材93のうち流出側分配空間72bを仕切る部位は、特許請求の範囲に記載された仕切板に対応しており、第2流出側連通穴93dは、特許請求の範囲に記載された連通穴に対応している。
次に、エジェクタ15は、上部流出側タンク72および上部吸引側タンク82の長手方向に延びる有底筒状部材で形成されたエジェクタタンク23の内部に収容されている。エジェクタタンク23は、上部流出側タンク72および上部吸引側タンク82と同じ材質で形成された断面半円弧状の2つの金属製の分割部材を組み合わせることによって筒状に形成されている。
エジェクタタンク23は、長手方向から見たときに、上部流出側タンク72および上部吸引側タンク82の間の谷部に配置されている。そして、エジェクタタンク23の外周側面が、上部流出側タンク72の外周側面および上部吸引側タンク82の外周側面にろう付け接合されていることによって、エジェクタ15およびエジェクタタンク23が、流出側蒸発器17および吸引側蒸発器18に一体化されている。
さらに、エジェクタ15の外周壁面がエジェクタタンク23の内周壁面にろう付け接合されることによって、エジェクタタンク23の内部空間は、図2、図3に示すように、エジェクタ入口側空間23a、エジェクタ吸引側空間23b、エジェクタ流出側空間23cの3つの空間に区画されている。
エジェクタ入口側空間23aは、ノズル部15aの冷媒流れ上流側に配置された空間であって、エジェクタ15のノズル部15aに対して、エジェクタタンク23の長手方向一端側に形成されている。また、エジェクタ入口側空間23aは、ジョイント部24に設けられた冷媒流入口24aに連通している。
エジェクタ流出側空間23cは、ディフューザ部15dから流出した冷媒を流入させる空間である。エジェクタ流出側空間23cは、エジェクタタンク23の長手方向他端側、すなわちディフューザ部15dの冷媒流れ下流側に配置されている。
エジェクタ吸引側空間23bは、冷媒吸引口15cへ吸引される冷媒を流入させる空間である。エジェクタ吸引側空間23bは、エジェクタタンク23の長手方向中央部のエジェクタ15の外周側に配置されている。
従って、エジェクタ吸引側空間23bは、エジェクタタンク23の長手方向両端側からエジェクタ入口側空間23aおよびエジェクタ流出側空間23cに挟まれるように配置されている。さらに、エジェクタ15の冷媒吸引口15cは、エジェクタ吸引側空間23b内で開口している。
また、エジェクタタンク23、上部流出側タンク72、および上部吸引側タンク82内に区画された各空間は、エジェクタタンク23、上部流出側タンク72、および上部吸引側タンク82の接合部に形成された各冷媒連通路等を介して、互いに連通している。
具体的には、図5に示すように、エジェクタタンク23内の長手方向一端側に形成されるエジェクタ入口側空間23a、および上部吸引側タンク82内の長手方向一端側に形成される上部吸引側の一端側空間82aは、互いに連通している。
この際、本実施形態では、エジェクタタンク23のうちエジェクタ入口側空間23aを形成する部位に設けられた連通路の開口縁部にバーリング加工を施すことによって、上部吸引側タンク82へ向かって突出するバーリング部(突出部)を形成している。そして、このバーリング部を、上部吸引側タンク82のうち一端側空間82aを形成する部位に設けられた連通穴に嵌め込んだ状態で、ろう付け接合を行っている。
さらに、エジェクタ15のうち、エジェクタ入口側空間23aを形成する部位であって、上部吸引側タンク82の一端側空間82aに連通する部位には、オリフィスとして機能する固定絞り19が配置されている。
ここで、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10のように、分岐部14にて冷媒の流れを分岐するサイクルでは、分岐部14にて分岐される冷媒の流量比Ge/Gnozを適切な値に調整することによって、サイクルに高い成績係数(COP)を発揮させることができる。
そこで、本実施形態では、COPが極大値に近づくように、ノズル部15aおよび固定絞り19の流量特性を決定している。なお、Gnozは、分岐部14からエジェクタ15のノズル部15a側へ流入させる冷媒流量であり、Geは、分岐部から固定絞り19側へ流入させる冷媒流量である。
また、図6に示すように、エジェクタタンク23内の長手方向中央部に形成されるエジェクタ吸引側空間23b、および上部吸引側タンク82内の長手方向中央部に形成される反チューブ側空間82cは、吸引側連通路82fを介して、互いに連通している。従って、反チューブ側空間82cは、エジェクタ吸引側空間23bを介して、エジェクタ15の冷媒吸引口15cに連通している。
また、図7に示すように、エジェクタタンク23内の長手方向他端側に形成されるエジェクタ流出側空間23c、および上部流出側タンク72内の長手方向他端側に形成される流出側分配空間72bは、互いに連通している。より具体的には、エジェクタ流出側空間23cは、流出側分配空間72bの反チューブ側に形成されるエジェクタ側分配空間721に連通している。
エジェクタ流出側空間23cと流出側分配空間72b(エジェクタ側分配空間721)とを連通させる冷媒連通路72cは、図2、図3に示すように、複数(本実施形態では、5つ)設けられており、エジェクタタンク23および上部流出側タンク72の長手方向に並んで配置されている。
本実施形態では、それぞれの冷媒連通路72cの通路面積を略同等にしている。さらに、前述した第2流出側連通穴93dの合計開口面積は、複数の冷媒連通路72cの合計通路面積以上に設定されている。
また、図2に示すように、下部吸引側タンク83の内部の長手方向略中央部には、下部吸引側セパレータ831が配置されている。これにより、下部吸引側タンク83の内部空間は、下部吸引側の一端側空間83a、下部吸引側の他端側空間83bの2つの空間に区画されている。
次に、ジョイント部24について説明する。ジョイント部24は、温度式膨張弁13の出口側に接続される冷媒流入口24a、および圧縮機11の吸入口側に接続される冷媒流出口24bが設けられた接続用部材である。ジョイント部24は、各蒸発器17、18の構成部材と同じ材質で形成されており、エジェクタタンク23、上部流出側タンク72および上部吸引側タンク82の一端側の側面にろう付け接合されている。
また、このジョイント部24は、図8の分解斜視図に示すように、冷媒流入口24aおよび冷媒流出口24bが形成されたブロック部材241と、複数枚のプレート部材(本実施形態では、第1〜第4プレート部材242、243、244、245の4枚のプレート部材)とを積層することによって構成されている。
第1〜第4プレート部材242〜245には、各プレート部材242〜245を積層した際に、冷媒流入口24aから流入した冷媒をエジェクタタンク23のエジェクタ入口側空間23a側へ導く冷媒通路を形成する第1〜第4流入通路穴242a、243a、244a、245aが形成されている。
さらに、第1〜第4プレート部材242〜245には、各プレート部材242〜245を積層した際に、上部流出側タンク72の流出側集合空間72aから流出した冷媒を、冷媒流出口24bへ導く冷媒通路を形成する第1〜第4流出通路穴242b、243b、244b、245bが形成されている。
複数枚のプレート部材242〜245のうち、ブロック部材241からエジェクタタンク23側へ向かって2枚目に配置される第2プレート243の第2流入通路穴243aは、図9の拡大平面図に示すように、円弧状穴243cおよび円形状穴243dによって形成されている。この円弧状穴243cの冷媒流れ最下流部は、円形状穴243dの外周部の接線方向に延びる形状に形成されている。
これにより、第1プレート242の第1流入通路穴242aを介して、第2プレート243の第2流入通路穴243aへ流入した冷媒は、図9の実線矢印に示すように、円弧状穴243cに沿って流れて円形状穴243dへ流入する。さらに、円形状穴243dへ流入した冷媒は、円形状穴243dの外周側壁面に沿って旋回しながら、第3、第4プレート244、245の第3、第4流入通路穴244a、245aへ流入する。
第3、第4プレート244、245の第3、第4流入通路穴244a、245aへ流入した冷媒は、旋回流れの遠心力の作用によって、遠心分離方式の気液分離手段と同様に、旋回中心側に気相冷媒が偏在し、外周側に液相冷媒が偏在した二相分離状態となる。そして、二相分離状態となった冷媒が、エジェクタタンク23のエジェクタ入口側空間23aへ流入する。
次に、以上の如く一体化された蒸発器ユニット20内に形成される冷媒流路を、図10の説明図を用いて説明する。ジョイント部24の冷媒流入口24aから流入した冷媒は、図10の矢印R1に示すように、エジェクタタンク23のエジェクタ入口側空間23aへ流入する。
エジェクタ入口側空間23aへ流入した冷媒は、矢印R2に示すエジェクタ15のノズル部15aへ流入する冷媒流れ、矢印R12に示す固定絞り19を介して上部吸引側タンク82の一端側空間82aへ流入する冷媒流れに分流される。
この際、本実施形態では、エジェクタ入口側空間23aへ流入した冷媒が旋回しているので、エジェクタ入口側空間23aの外周側に偏在する液相冷媒を固定絞り19側へ優先的に流出させ、残余の気液二相冷媒をエジェクタ15のノズル部15aへ流入させることができる。
つまり、本実施形態の分岐部14は、エジェクタ入口側空間23aの内部に形成されている。さらに、本実施形態では、ジョイント部24の第2〜第4流入通路穴243a、244a、245aによって形成される冷媒通路が、分岐部14を形成するエジェクタ入口側空間23a内の冷媒に旋回流れを生じさせる旋回流発生手段を構成している。
エジェクタ15のノズル部15aへ流入した冷媒は、冷媒吸引口15cから吸引された吸引冷媒と合流して、ディフューザ部15dから流出する。ディフューザ部15dから流出した冷媒は、矢印R3に示すように、エジェクタタンク23のエジェクタ流出側空間23cへ流入する。
エジェクタ流出側空間23cへ流入した冷媒は、破線矢印R4に示すように、冷媒連通路72cを介して、流出側分配空間72bのエジェクタ側分配空間721へ流入する。さらに、エジェクタ側分配空間721へ流入した冷媒は、板状部材93の第2流出側連通穴93dを介して、チューブ側分配空間722へ流入する。
この際、エジェクタ側分配空間721側からチューブ側分配空間722側へ流れる冷媒は、ディフューザ部15dの冷媒出口に近い側に配置された第2流出側連通穴93dを流通しやすい。
チューブ側分配空間722へ流入した冷媒は、破線矢印R5に示すように、流出側分配空間72bに接続された流出側チューブ71群を上方側から下方側へ通過して、下部流出側タンク73へ流入する。下部流出側タンク73へ流入した冷媒は、下部流出側タンク73の長手方向他端側から一端側へ移動し、流出側集合空間72aに接続された流出側チューブ71群へ流入する。
流出側集合空間72aに接続された流出側チューブ71群へ流入した冷媒は、破線矢印R6に示すように、当該流出側チューブ71群を下方側から上方側へ通過して、上部流出側タンク72の流出側集合空間72aへ流入する。流出側集合空間72aへ流入した冷媒は、板状部材93に第1流出側連通穴93cが形成されていることにより、破線矢印R7に示すように、ジョイント部24の冷媒流出口24bから流出する。
この際、本実施形態では、温度式膨張弁13に作用よって蒸発器ユニット20出口側冷媒の過熱度が基準過熱度に近づくように調整されるので、流出側集合空間72a内の冷媒も、過熱度を有する気相冷媒となる。従って、流出側蒸発器17には、図10の斜線ハッチングで示すように、過熱度を有する気相冷媒が流通する風上側過熱度領域SH1が形成される。
また、エジェクタ入口側空間23aから固定絞り19を介して上部吸引側の一端側空間82aへ流入した冷媒は、板状部材93に第1吸引側連通穴93aが形成されていることにより、一端側空間82aに接続された吸引側チューブ81群へ流入する。そして、矢印R13→矢印R14→矢印R15→矢印R16の順にW字状に3回方向転換して、上部吸引側の他端側空間82dへ流入する。
より具体的には、上部吸引側の一端側空間82aへ流入した冷媒は、上部吸引側の一端側空間82a→吸引側チューブ81群(矢印R13)→下部吸引側の一端側空間83a→別の吸引側チューブ81群(矢印R14)→チューブ側空間82b→さらに別の吸引側チューブ81群(矢印R15)→下部吸引側の他端側空間83b→さらに別の吸引側チューブ81群(矢印R16)→上部吸引側の他端側空間82dの順に流れる。
上部吸引側の他端側空間82dへ流入した冷媒は、板状部材93に第2吸引側連通穴93bが形成されていることにより、矢印R17に示すように、反チューブ側空間82cを介して、エジェクタ15の冷媒吸引口15c側へ導かれる。
この際、本実施形態では、冷媒吸引口15cから吸引される冷媒が過熱度を有する気相冷媒となる。従って、吸引側蒸発器18には、図10の網掛ハッチングで示すように、過熱度を有する気相冷媒が流通する風下側過熱度領域SH2が形成される。このため、送風空気の流れ方向から見たときに、風上側過熱度領域SH1および風下側過熱度領域SH2は、重合しないように互いにずれて配置されている。
次に、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10の電気制御部について説明する。図示しない空調制御装置は、CPU、ROM、RAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成され、そのROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種制御対象機器11、12c、20a等の作動を制御する。
また、空調制御装置には、車室内温度を検出する内気温センサ、外気温を検出する外気温センサ、車室内の日射量を検出する日射センサ、蒸発器ユニット20から吹き出される吹出空気温度(蒸発器温度)を検出する蒸発器温度センサ等のセンサ群が接続され、これらの空調用センサ群の検出値が入力される。
さらに、空調制御装置の入力側には、図示しない操作パネルが接続され、この操作パネルに設けられた各種操作スイッチからの操作信号が空調制御装置へ入力される。操作パネルに設けられた各種操作スイッチとしては、空調を行うことを要求する空調作動スイッチ、車室内温度を設定する車室内温度設定スイッチ等が設けられている。
なお、本実施形態の空調制御装置は、その出力側に接続された各種の制御対象機器の作動を制御する制御手段が一体に構成されたものであるが、空調制御装置のうち、各制御対象機器の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)が各制御対象機器の制御手段を構成している。例えば、本実施形態では、圧縮機11の作動を制御する構成が、吐出能力制御手段を構成している。
次に、上記構成における本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10の作動について説明する。操作パネルの空調作動スイッチが投入(ON)されると、空調制御装置が、圧縮機11、冷却ファン12c、送風ファン20a等を作動させる。
これにより、圧縮機11が冷媒を吸入し、圧縮して吐出する。圧縮機11から吐出された高温高圧冷媒は、放熱器12へ流入する。放熱器12へ流入した冷媒は、凝縮部12aにて冷却ファン12cから送風された外気と熱交換して凝縮する。凝縮部12aにて冷却された冷媒は、レシーバ部12bにて気液分離される。
レシーバ部12bにて分離された液相冷媒は、温度式膨張弁13へ流入して減圧される。この際、温度式膨張弁13の弁開度は、蒸発器ユニット20出口側冷媒の過熱度が基準過熱度に近づくように調整される。温度式膨張弁13にて減圧された冷媒は、蒸発器ユニット20の冷媒流入口24aへ流入する。
蒸発器ユニット20へ流入した冷媒の流れは、エジェクタタンク23のエジェクタ入口側空間23a内に形成され 5る分岐部14にて分岐される。分岐された一方の冷媒は、エジェクタ15のノズル部15aへ流入して等エントロピ的に減圧されて噴射される。そして、この噴射冷媒の吸引作用によって、吸引側蒸発器18から流出した冷媒が、エジェクタ15の冷媒吸引口15cから吸引される。
ノズル部15aから噴射された噴射冷媒および冷媒吸引口15cから吸引された吸引冷媒は、エジェクタ15のディフューザ部15dへ流入する。ディフューザ部15dでは、冷媒通路面積の拡大により、冷媒の速度エネルギが圧力エネルギに変換される。これにより、噴射冷媒と吸引冷媒との混合冷媒の圧力が上昇する。
ディフューザ部15dから流出した冷媒は、流出側蒸発器17へ流入する。流出側蒸発器17へ流入した冷媒は、送風ファン20aによって送風された送風空気から吸熱して蒸発する。これにより、送風ファン20aによって送風された送風空気が冷却される。流出側蒸発器17から流出した冷媒は、蒸発器ユニット20の冷媒流出口24bを介して、圧縮機11へ吸入されて再び圧縮される。
一方、分岐部14にて分岐された他方の冷媒は、固定絞り19へ流入して等エンタルピ的に減圧され、吸引側蒸発器18へ流入する。吸引側蒸発器18へ流入した冷媒は、流出側蒸発器17通過後の送風空気から吸熱して蒸発する。これにより流出側蒸発器17通過後の送風空気がさらに冷却される。吸引側蒸発器18から流出した冷媒は、エジェクタ15の冷媒吸引口15cから吸引される。
以上の如く、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10によれば、蒸発器ユニット20にて、車室内へ送風される送風空気を冷却することができる。
さらに、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、流出側蒸発器17下流側の冷媒を冷媒流出口24bから流出させるので、圧縮機11にエジェクタ15のディフューザ部15dにて昇圧された冷媒を吸入させることができる。従って、エジェクタ式冷凍サイクル10では、蒸発器における冷媒蒸発圧力と吸入冷媒の圧力が同等となる通常の冷凍サイクル装置よりも、圧縮機11の消費動力を低減させて、サイクルの成績係数(COP)の向上を狙うことができる。
また、本実施形態の蒸発器ユニット20では、流出側蒸発器17における冷媒蒸発圧力をディフューザ部15dにて昇圧された冷媒圧力とし、エジェクタ15の冷媒吸引口15cに接続される吸引側蒸発器18における冷媒蒸発圧力をノズル部15aにて減圧された直後の低い冷媒圧力とすることができる。従って、風流れ方向から見たときに、各蒸発器における冷媒蒸発温度と送風空気との温度差を確保して、送風空気を効率的に冷却することができる。
この際、本実施形態の蒸発器ユニット20では、送風空気の流れ方向から見たときに、風上側過熱度領域SH1および風下側過熱度領域SH2が、重合しないように互いにずれて配置されている。従って、蒸発器ユニット20にて冷却された送風空気の温度分布の抑制を狙うことができる。
ところが、本実施形態の蒸発器ユニット20のように、エジェクタ流出側空間23cと流出側分配空間72bとを連通させる冷媒連通路72cが、エジェクタタンク23および上部流出側タンク72の長手方向に並んで複数箇所に設けられていると、エジェクタ15から流出した冷媒を、複数の冷媒連通路72cへ均等に流入させることが難しい。
その理由は、例えば、エジェクタ式冷凍サイクル10の熱負荷が高く、サイクル内を循環する循環冷媒流量が比較的多い時には、エジェクタ15から流出した冷媒の慣性力の作用によって、エジェクタ15から流出した冷媒がエジェクタ流出側空間23cのディフューザ部15dから離れた側、すなわちエジェクタタンク23の冷媒流れ下流側の端部に近い側(他端側)に偏在しやすいからである。
また、エジェクタ式冷凍サイクル10の熱負荷が低く、サイクル内を循環する循環冷媒流量が比較的少ない時には、筒状のエジェクタタンク23の底面側の部位が樋(とい)のように機能して、エジェクタ15から流出した冷媒を、ディフューザ部15dから離れた側へ導いてしまうからである。
さらに、エジェクタ流出側空間23cのディフューザ部15dから離れた側に偏在する冷媒は、ディフューザ部15dから離れた側に配置された冷媒連通路72cを介して、流出側分配空間72bへ流入する。このため、流出側分配空間72bへ流入した冷媒も、ディフューザ部15dから離れた側に偏在して、エジェクタタンク23の冷媒流れ下流側の端部の近くに接続された流出側チューブ71へ流入しやすくなってしまう。
従って、本実施形態の蒸発器ユニット20では、流出側分配空間72bから各流出側チューブ71へ均等な流量の冷媒を流入させることができず、流出側蒸発器17にて冷却された送風空気に温度分布を生じさせてしまうおそれがある。そのため、上記の如く、風上側過熱度領域SH1および風下側過熱度領域SH2をずらして配置しても、蒸発器ユニット20全体として、冷却された送風空気に温度分布を生じさせてしまうおそれがある。
これに対して、本実施形態の蒸発器ユニット20によれば、仕切板として機能する板状部材93を有しているので、流出側分配空間72bをエジェクタ側分配空間721およびチューブ側分配空間722に仕切ることができる。これにより、エジェクタタンク23のエジェクタ流出側空間23c内の冷媒を、一旦、エジェクタ側分配空間721へ流入させることができる。
従って、エジェクタ流出側空間23c内の冷媒がディフューザ部15dから離れた側に偏在していても、偏在した冷媒が、エジェクタタンク23の冷媒流れ下流側の端部の近くに接続された流出側チューブ71へ流入してしまうことを抑制することができる。
さらに、板状部材93に形成された第2流出側連通穴93dのうち、ディフューザ部15dの冷媒出口に近い側に配置される第2流出側連通穴93dの合計開口面積は、エジェクタタンク23の冷媒流れ下流側の端部に近い側に配置される第2流出側連通穴93dの合計開口面積よりも大きくなっている。従って、エジェクタ側分配空間721へ流入した冷媒を、チューブ側分配空間722のうちディフューザ部15dの冷媒出口に近い側に導きやすい。
つまり、エジェクタ側分配空間721に流入した冷媒がディフューザ部15dから離れた側に偏在していても、第2流出側連通穴93dを介して、エジェクタ側分配空間721内の冷媒をチューブ側分配空間722の全域に略均等に流入させやすい。これにより、チューブ側分配空間722から複数の流出側チューブ71へ略均等な流量の冷媒を流入させることができる。
その結果、本実施形態の蒸発器ユニット20によれば、冷却された送風空気に生じる温度分布を抑制することができる。
ここで、図11、図12を用いて、本実施形態の蒸発器ユニット20による温度分布抑制効果を、より具体的に説明する。まず、図11は、前述の図4に対応する図面であって、第2流出側連通穴93dを、他の連通穴(第1吸引側連通穴93a、第2吸引側連通穴93b、第1流出側連通穴93c)と同様に、等間隔に配置した場合の仮想的な第2流出側連通穴93d−1〜93d−4の位置を破線で示したものである。
なお、図11では、仮想的な第2流出側連通穴は、エジェクタタンク23の冷媒流れ下流側の端部に近い順に、それぞれ93d−1、93d−2、93d−3、93d−4の符号で示している。そして、以下の条件で、仮想的な第2流出側連通穴93d−1〜93d−4を開口あるいは閉塞させる。
条件1:第2流出側連通穴93d−1〜93d−4を閉塞させる(第2流出側連通穴93dの数=10個)。
条件2:第2流出側連通穴93d−1を開口させ、第2流出側連通穴93d−2〜93d−4を閉塞させる(第2流出側連通穴93dの数=9個)。
条件3:第2流出側連通穴93d−1、93d−2を開口させ、第2流出側連通穴93d−3、93d−4を閉塞させる(第2流出側連通穴93dの数=8個)。
条件4:第2流出側連通穴93d−1〜93d−3を開口させ、第2流出側連通穴93d−4を閉塞させる(第2流出側連通穴93dの数=7個)。
条件5:第2流出側連通穴93d−1〜93d−4を開口させる(第2流出側連通穴93dの数=6個)。
従って、条件1〜条件5の順で、第2流出側連通穴93dの開口数が減少し、ディフューザ部15dの冷媒出口に近い側に配置される第2流出側連通穴93dの合計開口面積が、エジェクタタンク23の冷媒流れ下流側の端部に近い側に配置される第2流出側連通穴93dの合計開口面積よりも大きくなる。つまり、条件1は、従来技術の蒸発器ユニットに対応する条件であり、条件5は、本実施形態の蒸発器ユニット20に対応する条件である。
次に、図12では、条件1〜条件5における蒸発器ユニット20から吹き出される送風空気の最高温度から最低温度を減算した温度差ΔTを示している。
図12から明らかなように、条件1から条件5の順で温度差ΔTが縮小している。つまり、第2流出側連通穴93dの開口数が減少し、ディフューザ部15dの冷媒出口に近い側に配置される第2流出側連通穴93dの合計開口面積が、エジェクタタンク23の冷媒流れ下流側の端部に近い側に配置される第2流出側連通穴93dの合計開口面積よりも大きくなるに伴って、温度差ΔTが縮小している。
つまり、蒸発器ユニット20の板状部材93では、条件5の合計開口面積の関係を実現することができ、冷却された送風空気に温度分布が生じてしまうことを効果的に抑制することができる。
また、本実施形態の蒸発器ユニット20では、複数の第2流出側連通穴93dを、エジェクタタンク23および上部流出側タンク72の長手方向に互いに不等間隔で配置し、ディフューザ部15dの冷媒出口に近い側に配置される第2流出側連通穴93dの間隔を、エジェクタタンク23の冷媒流れ下流側の端部に近い側に配置される第2流出側連通穴93dの間隔よりも狭くすることによって、合計開口面積を調整している。
このような第2流出側連通穴93dの配置は、前述の図11および条件1〜条件5で説明したように、等間隔で配置される第2流出側連通穴93dの一部を閉塞することで容易に実現することができる。換言すると、複数の第2流出側連通穴93dを穴開け加工する際に、等間隔に配置される第2流出側連通穴93dの一部を間引きして加工することによって、容易に実現することができる。
また、本実施形態の蒸発器ユニット20では、第2流出側連通穴93dの合計開口面積が、エジェクタ流出側空間23cと流出側分配空間72bとを連通させる冷媒連通路72cの合計通路面積以上に設定されている。従って、一部の第2流出側連通穴93dを間引きしても、冷媒が蒸発器ユニット20内を流通する際に生じる圧力損失を不必要に増加させてしまうことがない。
また、本実施形態の蒸発器ユニット20では、隣り合う第2流出側連通穴93dの中心点同士の間隔の最大値HLが、予め定めた基準本数(本実施形態では、4本)の流出側チューブ71の積層配置された際の積層距離以下となっている。従って、隣り合う第2流出側連通穴93dが離れ過ぎて、一部の流出側チューブに冷媒が供給されなくなってしまうこと抑制することができる。
また、本実施形態の蒸発器ユニット20では、流出側蒸発器17および吸引側蒸発器18をタンクアンドチューブ型の熱交換器で構成し、上部流出側タンク72および上部吸引側タンク82を、共通するプレートヘッダ91およびタンクヘッダ92によって、形成している。さらに、板状部材93を、プレートヘッダ91とタンクヘッダ92とに挟み混むことによって、流出側分配空間72b内に固定している。
これによれば、板状部材93を流出側分配空間72b内に容易に固定することができ、流出側分配空間72bを板状部材93によってエジェクタ側分配空間721とチューブ側分配空間722とに容易に仕切ることができる。
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に対して、図13に示すように、板状部材93に形成される第2流出側連通穴93dを等間隔に配置するとともに、ディフューザ部15dの冷媒出口に近い側に配置される第2流出側連通穴93dの合計開口面積を、エジェクタタンク23の冷媒流れ下流側の端部に近い側に配置される第2流出側連通穴93dの合計開口面積よりも大きく形成している。
より詳細には、本実施形態では、ディフューザ部15dの冷媒出口に近い側から、エジェクタタンク23の冷媒流れ下流側へ向かって、複数の第2流出側連通穴93dの開口面積を徐々に小さく形成している。
なお、図13は、第1実施形態の図4に対応する図面であって、第1実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付している。このことは、以下の図面においても同様である。また、第2流出側連通穴93dを等間隔に配置するとは、各第2流出側連通穴93dの中心間の距離が同等になっていることを意味している。
その他の蒸発器ユニット20およびエジェクタ式冷凍サイクル10の構成および作動は、第1実施形態と同様である。従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10においても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
さらに、本実施形態のように第2流出側連通穴93dを形成しても、第1実施形態で説明した条件5と同様に合計開口面積を調整することができる。従って、本実施形態の蒸発器ユニット20においても、第1実施形態と同様に、冷却された送風空気に生じる温度分布を抑制することができる。
(第3実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に対して、図14に示すように、エジェクタ流出側空間23cと流出側分配空間72bとを連通させる複数の冷媒連通路72cのうち、エジェクタ15のディフューザ部15dの冷媒出口に最も近い側に配置される冷媒連通路72cの通路面積を、他の冷媒連通路72cの通路面積よりも大きくしている。
その他の蒸発器ユニット20およびエジェクタ式冷凍サイクル10の構成および作動は、第1実施形態と同様である。従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10においても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
さらに、本実施形態の蒸発器ユニット20では、複数の冷媒連通路72cのうち、ディフューザ部15dの冷媒出口に最も近い側に配置される冷媒連通路72cの通路面積が、他の冷媒連通路72cの通路面積よりも大きくなっているので、ディフューザ部15dの冷媒出口に最も近い側に配置される冷媒連通路72cから冷媒を流出させやすい。
従って、ディフューザ部15dからエジェクタ流出側空間23cへ流出した冷媒が、ディフューザ部15dから離れた側に偏在していても、通路面積の異なる冷媒連通路72cを介して、エジェクタ流出側空間23c内の冷媒を流出側分配空間72bの全域に略均等に流入させやすい。これにより、流出側分配空間72bから複数の流出側チューブ71へ略均等な流量の冷媒を流入させることができる。
その結果、本実施形態の蒸発器ユニット20によれば、第1実施形態と同様に、冷却された送風空気に生じる温度分布を抑制することができる。
なお、本実施形態では、第1実施形態と同様の板状部材93の採用した例を説明したが、ディフューザ部15dの冷媒出口に最も近い側に配置される冷媒連通路72cの通路面積を拡大させることで、エジェクタ流出側空間23cへ流入した冷媒を均等に流出側分配空間72bへ流入させることができれば、板状部材93のうち、少なくとも流出側分配空間72bを仕切る部位(仕切板)を廃止してもよい。あるいは、第2流出側連通穴93dを、第1実施形態で説明した条件1と同様に配置してもよい。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
(1)上述の実施形態では、板状部材93に形成された各連通穴93a〜93dとして円形状に形成されたものを採用しているが、各連通穴93a〜93dの形状はこれに限定されない。例えば、楕円形状、長円形状(平行に延びる2辺の端部を円弧で接続した形状)、多角形状等に形成されていてもよい。
具体的には、第2実施形態において、ディフューザ部15dの冷媒出口に近い側に配置される第2流出側連通穴93dの形状を楕円形状や長円形状とすることで、ディフューザ部15dの冷媒出口に近い側に配置される第2流出側連通穴93dの開口面積を、エジェクタタンク23の冷媒流れ下流側の端部に近い側に配置される第2流出側連通穴93dの開口面積よりも容易に大きくすることができる。
さらに、上述の実施形態では、第2流出側連通穴93dを複数設けた例を説明したが、第2流出側連通穴93dは単数であってもよい。第2流出側連通穴93dが単数である場合には、例えば、図15に示すように、第2流出側連通穴93dのうち、ディフューザ部15dの冷媒出口に近い側の部位の開口形状とエジェクタタンク23の冷媒流れ下流側の端部に近い側の部位の開口形状とを異なる形状とすればよい。
そして、第2流出側連通穴93dのうち、流出側分配空間72bの長手方向中央部よりもディフューザ部15dの冷媒出口に近い側の部位(図15のDa領域)の開口面積を、長手方向中央部よりもエジェクタタンク23の冷媒流れ下流側の端部に近い側の部位(図15のDb領域)の開口面積よりも大きくすればよい。
(2)上述の第2実施形態では、図13に示すように、ディフューザ部15dの冷媒出口に近い側からエジェクタタンク23の冷媒流れ下流側へ向かって、複数の第2流出側連通穴93dの開口面積が徐々に小さく形成された例を図示したが、複数の第2流出側連通穴93dの開口面積はこれに限定されない。
ディフューザ部15dの冷媒出口に近い側に配置される第2流出側連通穴93dの合計開口面積をエジェクタタンク23の冷媒流れ下流側の端部に近い側に配置される第2流出側連通穴93dの合計開口面積よりも大きくすることができれば、例えば、ディフューザ部15dの冷媒出口に最も近い第2流出側連通穴93dの開口面積を最大とし、その他の第2流出側連通穴93dの開口面積は互いに同等としてもよい。
上述の第3実施形態では、図14に示すように、ディフューザ部15dの冷媒出口に最も近い側に配置される冷媒連通路72cの通路面積を最大とし、その他の冷媒連通路72cの通路面積は互いに同等とした例を図示したが、複数の冷媒連通路72cの通路面積はこれに限定されない。
ディフューザ部15dの冷媒出口に近い側に配置される冷媒連通路72cの合計通路面積をエジェクタタンク23の冷媒流れ下流側の端部に近い側に配置される冷媒連通路72cの合計通路面積よりも大きくすることができれば、例えば、ディフューザ部15dの冷媒出口に近い側からエジェクタタンク23の冷媒流れ下流側へ向かって、冷媒連通路72cの通路面積を徐々に小さく形成してもよい。
(3)上述の実施形態では、板状部材93によって、上部流出側タンク72および上部吸引側タンク82の内部空間の全域を、各チューブ71、81に近い側のチューブ側の空間と各チューブ71、81に遠い側の反チューブ側の空間に仕切った例を説明したが、上部流出側タンク72および上部吸引側タンク82の内部空間の全域を仕切る必要はない。
つまり、板状部材93のうち、上部吸引側タンク82の上部吸引側の一端側空間82a、上部吸引側の他端側空間82d、上部流出側タンク72の流出側集合空間72aを仕切る部位については必須の構成ではない。
従って、板状部材93として上部流出側タンク72の流出側分配空間72bのみを仕切るものを採用するとともに、上部吸引側タンク82を上部吸引側の一端側空間82a、チューブ側空間82b、反チューブ側空間82c、上部吸引側の他端側空間82dの4つの空間に区画する区画部材を配置してもよい。
(4)エジェクタ式冷凍サイクル10を構成する各構成機器は、上述の実施形態に開示されたものに限定されない。
例えば、上述の実施形態では、圧縮機11として、電動圧縮機を採用した例を説明したが、圧縮機11として、プーリ、ベルト等を介して車両走行用エンジンから伝達される回転駆動力によって駆動されるエンジン駆動式の圧縮機を採用してもよい。さらに、エンジン駆動式の圧縮機としては、吐出容量の変化により冷媒吐出能力を調整可能な可変容量型圧縮機、あるいは電磁クラッチの断続により圧縮機の稼働率を変化させて冷媒吐出能力を調整可能な固定容量型圧縮機を採用することができる。
また、上述の実施形態では、放熱器12として、レシーバ一体型の凝縮器を採用した例を説明したが、さらに、レシーバ部12bから流出した液相冷媒を過冷却する過冷却部を有して構成される、いわゆるサブクール型の凝縮器を採用してもよい。この他にも、凝縮部12aのみからなる放熱器12、および放熱器12から流出した冷媒の気液を分離して、分離された液相冷媒を下流側へ流出させる受液器(レシーバ)を採用してもよい。
また、上述の実施形態では、エジェクタ15として、冷媒通路面積が変化しない固定ノズル部を有するものを採用した例を説明したが、もちろん、冷媒通路面積を変更可能な可変ノズル部を有する可変エジェクタを用いてもよい。可変ノズル部の具体例としては、例えば、可変ノズル部の通路内にニードルを挿入し、このニードルの位置を電気的アクチュエータにより制御して通路面積を調整する機構とすればよい。
(5)上述の実施形態では、ろう付け接合することによって、各構成機器を一体化させた例を説明したが、各構成機器の一体化手段として、ねじ止め、かしめ、溶接、接着等の種々な手段を採用してもよい。さらに、各構成機器を一体化することなく、蒸発器ユニット20と同様に接続することで、エジェクタ式冷凍サイクルを構成することによるCOP向上効果を得ることもできる。
(6)上述の各実施形態では、本発明に係る蒸発器ユニット20を車両に搭載されるエジェクタ式冷凍サイクル10に適用した例を説明したが、蒸発器ユニット20の適用はこれに限定されない。例えば、定置用等のエジェクタ式冷凍サイクルに適用してもよい。