JP2016223208A - 杭基礎構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 掘削孔に中空既製杭を建て込む杭基礎施工を行う中で巨大地震等による前記中空既製杭の急激な耐力低下の防止を図ってできた杭基礎構造を提供する。【解決手段】 杭基礎における杭の少なくとも一部が、中空既製杭の外杭1と中空既製杭の内杭6からなる二重環状の二重杭構造となっている。外杭1と内杭6との間にはスペーサ7が設置され、一定間隔の隙間が設けられている。また、この隙間を含む掘削孔内は、杭周固定液と掘削土砂との混合物4で満たされ、外杭1と内杭6とが一体化した杭基礎構造となっている。【選択図】 図1

Description

本発明は、掘削孔に中空既製杭を建て込んでなる杭基礎構造であって、巨大地震等による前記中空既製杭の急激な耐力低下を防止した杭基礎構造に関する。
従来から、ビルディング等の大型構造物を建造する際、上部の構造物を支持する基礎構造の一環として、該構造物の直下の地盤にPC杭、RC杭、PHC杭、PRC杭、SC杭などの中空既製杭を建て込んで杭基礎を構築することが行われている。
中でも、SC杭は外殻鋼管内に高強度コンクリートや膨張コンクリートによる円筒層(コンクリート層)を形成してなるものであり、大きな曲げ荷重やせん断荷重が生じてもコンクリートが外殻鋼管の局部座屈を防止するとともに、コンクリートは外殻鋼管により拘束されて大きな靱性を発揮し小口でも大きな耐力を持つことから、概して、杭基礎における上杭として使用されてきている。
しかし、東日本大震災のような巨大地震により高軸力下での繰り返し曲げ荷重やせん断荷重を受けた場合は、中空既製杭の中でも耐力が大きいSC杭であっても、SC杭が最大荷重に達した時に外殻鋼管が座屈し、それによって圧縮側のコンクリート層の一部が外殻鋼管から剥離して外殻鋼管との間に隙間を作るとともに、内側のコンクリートが杭周固定液や掘削土砂で満たされた杭中空部内に移動して杭の耐力が急激に減少し、杭が急激に折れ曲がって軸力が保持できなくなる恐れがある。
しかし、これまでは、このような問題に直面したことがなかったため、SC杭における耐力の急激な減少による杭の変形については十分に検討されてきていないが、幾つかの特許が公開されている。例えば、特許文献1には、鋼管の内面に突条を設けることにより、コンクリートにひび割れが発生してもその拡大が抑制される高弾性SC杭が記載されている。
また、中空既製杭を二重管構造にして該中空既製杭の耐力を高める方法が知られている。例えば、特許文献2には、土中にねじ込まれた鋼管製外管の管内に間隙を介して内管を挿入し、外管と内管の間隙にモルタルまたはセメントを打設する方法が記載されている。
特許文献3には、外側鋼管と内側鋼管とを同一軸線に沿って互いに同心円状に配置し、これらの間の環状間隙内にコンクリートを充填して二重管構造にした二重管式鋼管杭が記載されている。特許文献4には、既設鋼管杭の杭頭から補強鋼管を内部に挿入し、既設鋼管杭の内面と補強鋼管杭の外面との間に膨脹モルタルによる充填材を充填して一体化することにより既設鋼管杭を補強する既設鋼管杭の補強工法が記載されている。
特開昭61−207716号公報 特開昭59−173419号公報 特開平8−184037号公報 特開2004−60155号公報
しかし、東日本大震災のような巨大地震が発生した場合には、特許文献1のように鋼管の内面に突条を設けただけでは鋼管の座屈を防ぐことができず、コンクリート層におけるひび割れの拡大や剥離の進行を遅らせることができても、最終的にはコンクリート層の一部が外殻鋼管から剥離して外殻鋼管との間に隙間を作るとともに、内側のコンクリートが杭周固定液や掘削土砂で満たされた杭中空部内に移動して杭の耐力が急激に低下し、杭が急激に折れ曲がって軸力が保持できなくなる恐れがある。
また、特許文献2〜4に示されるような鋼管杭を二重管式にする方法は、既設鋼管杭の補強、土留めのための杭支持力の向上、単なる大型構造物の基礎などを想定したものであり、巨大地震により高軸力下での繰り返し曲げ荷重やせん断荷重を受けた場合の杭耐力の低下を考慮したものでないため、巨大地震等による杭の急激な耐力低下を必ずしも防止できるものではない。
加えて、いずれも外側鋼管と内側鋼管の間隙にはモルタルやコンクリートを充填するため、従来の杭基礎を構築するための杭周固定液を用いた杭施工の中では杭耐力の急激な低下防止を図り難い。
本発明は、上述のような課題の解決を図ったものであり、掘削孔に中空既製杭を建て込む杭基礎施工を行う中で巨大地震等による前記中空既製杭の急激な耐力低下の防止を図ってできた杭基礎構造を提供することを目的とする。
本発明の杭基礎構造は、「掘削孔に中空既製杭を建て込んでなる杭基礎構造であって、前記中空既製杭の内側に隙間をあけて中空既製杭の内杭が装填された外杭と内杭からなる二重杭構造となっており、前記隙間は杭周固定液と掘削土砂との混合物で満たされていることを特徴とする杭基礎構造」である。
本発明で用いる外杭としての中空既製杭は、PC杭、RC杭、PHC杭、PRC杭、SC杭など従来から用いられているコンクリート杭や合成杭でよく特に限定されない。中でも、SC杭は好ましい。前記外杭をSC杭にすることによって、本発明の前記目的が達成し易くなる。
本発明では、杭基礎構造を上記中空既製杭の内側に隙間をあけて中空既製杭の内杭が装填された外杭と内杭からなる二重杭構造とする。このような二重杭構造とすることによって杭の耐力(曲げ性能、せん断性能、鉛直保持性能など)向上が図れるとともに、急激な折れ曲がりを起こさず最大荷重を超えて変位がすすんでも、荷重が急激に低下しないといった変形性能の向上も図れるからして、今後発生が想定される巨大地震への対応が期待できる。
前記内杭も中空既製杭である。この中空既製杭はPC杭、RC杭、PHC杭、PRC杭などのコンクリート杭、鋼管杭、SC杭などの合成杭のいずれでもよく特に限定されないが、鋼管を用いた鋼管杭又はSC杭のいずれかであるのが好ましい。
内杭をこれらのいずれかにすれば、例えば、SC杭の外杭において、外殻鋼管の座屈によりコンクリートの外殻鋼管から剥離が発生したとしても圧壊した内側のコンクリートが杭周固定液や掘削土砂で満たされた杭中空部内への移動を防ぎ、それによって杭の急激な耐力低下による杭の急激な折り曲げりを起こさないようにできる。
中でも、外杭と内杭のいずれもSC杭とした、SC杭による二重杭構造は、本発明の前記目的を効果的に達成できるので好ましい。
前記内杭は、前記中空既製杭からなる前記外杭の内側に所定間隔の隙間をあけて装填される。
この隙間は20〜200mmであるのが好ましい。20mm未満では中空部径のばらつきがあり、中空部に鋼管やSC杭を設置するのが困難であり、200mmを超えるとコンクリートの拘束効果が低下する。
上記隙間、孔壁と前記外杭との間、前記内杭の内側など、杭孔(掘削孔)底部の根固め液が充填された箇所以外の杭孔内は、杭周固定液と掘削土砂との混合物で満たされる。
杭周固定液は、従来から使われているものであれば特に限定されない。例えば、W/C=60〜200%のセメントミルクであり、これを掘削体積に対し10〜50%程度混ぜて使う。
杭周固定液と掘削土砂との混合物は、前記外杭を建て込む際に製造される。該混合物の材齢28日での一軸圧縮強度は0.2〜5N/mm程度が好ましい。施工する地盤が砂質土や粘性土に関わらず、通常、掘削土砂と杭周固定液が混合することによってこの範囲の強度発現するので、この範囲にあればコンクリートの拘束効果も発揮できる。
本発明の杭基礎構造は、杭基礎の少なくとも一部が前記外杭と前記内杭からなる二重杭構造となっていればよく、必ずしも建て込んだ杭基礎の全長に渡って二重杭構造になっている必要はない。巨大地震等により杭の座屈、折れ曲がり、圧壊等の破壊が想定される箇所が二重杭構造になっていればよい。
前記外杭は、1本又は2本以上の複数本が継手部を介して接続されて建て込まれる。前記内杭は、1本の外杭の杭長と同じでも短くても長くてもよく、特に限定されない。外杭が2本以上の複数本が継手部を介して接続されて建て込まれる場合、前記内杭を前記継手部を跨いで隣接する前記外杭の両方に渡って設置するのは好ましい。このようにすれば、前記継手部が補強され、より強固な杭基礎構造が得られる。
前記内杭は、前記外杭を上杭となる箇所に設置する場合、前記内杭の上端を前記外杭の杭頭より突出させて設置しても良い。このようにすれば、内杭と固定治具の接する面積が多くなり、強固に取り付けることが可能である。
前記外杭は、上杭と下杭もしくは上杭と中杭と下杭からなる場合、少なくとも前記上杭をSC杭にするのが好ましい。前記外杭は、そのすべてをSC杭にすれば強固な杭基礎構造が得られるので好ましいが、概して、杭の前記破壊は杭基礎と上部構造物との境界付近で起こり易いので、前記上杭をSC杭にすれば、前記境界付近での杭の急激な耐力低下を防止できる。
本発明の杭基礎構造によれば、掘削孔に建て込んだ中空既製杭の少なくとも一部が外杭と内杭からなる二重杭構造となっているので、巨大地震等による杭の急激な耐力低下の防止が図れる。
また、本発明の杭基礎構造は、従来の杭基礎施工方法を大きく変えることなく施工でき、杭基礎施工を行う過程で鋼管やSC杭等の既存製品を組み合わせて用いるだけでも構築できるので簡便である。
本発明の杭基礎構造と従来の杭基礎構造との比較を示す図である。(a)と(b)は本発明の杭基礎構造の一例、(c)は従来の杭基礎構造の一例を示す図である。 本発明の杭基礎構造における内杭の設置パターン例を示す図である。(a)は、内杭の杭長が一つの外杭の杭長より短く、該内杭を上杭の杭上部に設置した例、(b)は、内杭を外杭の上杭に設置した例、(c)は、内杭を外杭の上杭と中杭に設置した例、(d)は、内杭を外杭の全長に渡って設置した例、(e)は、内杭を上杭と下杭に設置した例、(f)は内杭を中杭と下杭に設置した例、(g)は、内杭を下杭に設置した例、(h)は内杭を中杭に設置した例である。 本発明の杭基礎構造において、内杭を継手部を跨いで設置した例である。(a)は、外杭の上杭に設けた内杭を中杭の方まで延長した例、(b)は、内杭を継手部付近にのみ設け、内側固定金具を下杭側に取り付けた例、(c)は、内杭を継手部付近にのみ設け、内側固定金具を中杭側に取り付けた例である。 外杭の施工後に内杭を設置する施工方法例を示す図である。(a)は内杭の建て込み開始時、(b)は内杭の建て込み途中、(c)は内杭の建て込み終了時の図である。 図4に示す施工例において、内側固定治具の取付例を示す図である。(a)は、L型鉄製で、4方向に内杭の側面に溶接で固定したものであり、長さは外杭の端板に引掛るような長さである。(b)は、棒状鉄製で、内杭を跨いで内杭上端に溶接して固定したものであり、長さは外杭の端板に引掛る長さである。主に内杭の径や鋼管厚さが薄く重量が軽い場合に使用する。 外杭の施工途中で内杭を設置してしまう施工方法例を示す図である。(a)は内杭の外杭(上杭)へのセット、(b)は内杭の固定、(c)は内杭が取り付けられた外杭(上杭)のオーガ駆動装置へのセット、(d)はオーガ駆動装置による内杭が取り付けられた外杭(上杭)の建て込み、(e)は建込みが完了した本発明の杭基礎構造を示す図である。 予め外杭1と内杭6とを接続した二重杭構造の杭を上杭として用いる場合の施工方法例を示す図である。(a)は二重杭構造の杭のセット、(b)は該杭のオーガ駆動装置へのセット、(c)はオーガ駆動装置による該杭の建て込み、(d)は建込みが完了した本発明の杭基礎構造を示す図である。 予め外杭と内杭とを接続した二重杭構造の杭を作る際の外杭と内杭の接続構造を示す図である。(a)はL型の鉄製で、4方向に内杭の側面および外杭端板に溶接して固定したものである。内杭に取り付ける側面部はスペーサの役割も果たす、(b)は棒状鉄製で、内杭を跨いで、内杭上端に溶接して固定したものであり、(c)はL字型の鉄製で、4方向に内杭の側面に溶接して固定し、外杭端板にボルトで固定したものである。 中杭あるいは下杭として用いるのに好適な外杭と内杭を接続した二重杭構造の杭を示す図である。(a)は外杭と内杭の杭頭が同レベルにある場合の例であり、上図は平面図、下図は正面図である。(b)は内杭の杭頭が外杭より突出している場合の例である。
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の杭基礎構造と従来の杭基礎構造との比較を示す図である。(a)と(b)は本発明の杭基礎構造の一例、(c)は従来の杭基礎構造の一例を示す図である。
図1(c)に示すように、中空既製杭を用いた杭基礎構造では、従来は、掘削孔に鋼管杭やSC杭等の中空既製杭(本発明で言う外杭1)を建て込み、孔底部を根固め液5で満たすとともに、その上の孔内を杭周固定液と掘削土砂との混合物4で満たして杭を固定した単環状の杭基礎構造であった。
これに対し、本発明の杭基礎構造は、図1(a)、図1(b)に示すように、中空既製杭の外杭1と中空既製杭の内杭6からなる二重環状の二重杭構造となっている。外杭1と内杭6との間にはスペーサ7が設置され、一定間隔の隙間が設けられている。スペーサ7は従来から用いられているものでよく特に限定されない。
この隙間も杭周固定液と掘削土砂との混合物4で満たされ、外杭1と内杭6とが一体化している。外杭1、内杭6、杭周固定液と掘削土砂との混合物4については、課題を解決するための手段の欄で述べた通りである。
このような二重杭構造とすることによって杭の耐力(曲げ性能、せん断性能、鉛直保持性能など)向上が図れるとともに、急激な折れ曲がりを起こさず最大荷重を超えて変位がすすんでも、荷重が急激に低下しないといった変形性能の向上も図れるからして、今後発生が想定される巨大地震への対応が期待できる。
図1(a)、図1(b)の例では、内杭6の杭長を一つの外杭1の杭長と同じにしてあるが、これに限定されるものではなく、一つの外杭1の杭長より長くても短くてもよい。また、内杭6の設置位置を外杭1が上杭となる杭上部にしてあるが、これに限定されるものではなく、内杭6は図2に示すような様々なパターンで設置できる。
図1(a)は、内側固定治具9を内杭6の杭頭に設置する場合の図である。このような構造にすることによって、内側固定治具をL字型、内杭の側面に取り付けることができる。
図1(b)は、内側固定治具9を内杭6の側面に設置する場合の図である。この場合は、図に示すように、内杭6の杭頭は外杭1より突出する。キャップ内に収まる程度の突出量であれば、施工上問題ない。このような構造にすることによって、内側固定治具を杭の側面に溶接する面が図1(a)より多くなり、より強固に取り付けることができる。なお、内側固定治具9とは、内杭6を固定するためのものであり、通常、鉄製である。
図2は、本発明の杭基礎構造における内杭の設置パターン例を示す図である。(a)は、内杭の杭長が一つの外杭の杭長より短く、該内杭を上杭の杭上部に設置した例、(b)は、内杭を外杭の上杭に設置した例、(c)は、内杭を外杭の上杭と中杭に設置した例、(d)は、内杭を外杭の全長に渡って設置した例、(e)は、内杭を上杭と下杭に設置した例、(f)は内杭を中杭と下杭に設置した例、(g)は、内杭を下杭に設置した例、(h)は内杭を中杭に設置した例である。
前述の通り、本発明の目的は「巨大地震等による杭の急激な耐力低下の防止」である。したがって、内杭6は外杭1が座屈したり折れ曲がったり圧壊したりし易いと想定される箇所に設けられ、設置位置は特に限定されない。
図2の例では、外杭1は、上杭と中杭と下杭とが継手部2により接続されてなる。図2(a)では、内杭6は杭長が上杭となる外杭1の杭長より短く、上杭の杭上部のみに設置されている。良好な地盤の層厚が厚く、上杭の杭上部に大きな曲げモーメントが作用する場合は、このように上杭の杭上部のみに内杭6を設置しても良い。
図2(b)は、内杭6の杭長を外杭1の上杭の杭長と同じにした例である。杭の損壊が杭上部で起こることが想定される場合は、この例のように内杭6を上杭部に設けておけばよい。
図2(c)は、内杭6を外杭1の上杭から中杭に渡って設けた例である。軟弱な地盤の層厚が厚い場合や、杭頭接合方法が杭頭半剛接合の場合は、中杭まで大きな曲げモーメントが作用するため、この例のように内杭6を上杭から中杭に渡って設けておくのが好ましい。
図2(d)は、内杭6を外杭1の全長に渡って設けた例である。杭の損壊がどの箇所で起こるかわからない場合は、この例のように内杭6を外杭1の全長に渡って設けておけば、本発明の目的を効果的に達成できる。
図2(e)は、内杭6を外杭1の上杭と下杭に設けた例である。地震によって杭頭に作用する水平力に加えて、地中部に作用する地盤変位も考慮する必要があるが、そのような場合は、この例のように内杭6を上杭と下杭に設けておくのが好ましい。
図2(f)は、内杭6を外杭1の中杭と下杭に設けた例である。地中部に作用する地盤変位のみを考慮すればよい場合は、この例のように内杭6を中杭と下杭に設けておくのが好ましい。
図2(g)は、内杭6を外杭1の下杭のみに設けた例である。ある程度深い地中部に作用する地盤変位も考慮すればよい場合は、この例のように内杭6を下杭のみに設けておけばよい。
図2(h)は、内杭6を外杭1の中杭のみに設けた例である。表層より少し深い地中部に作用する地盤変位を考慮すればよい場合は、この例のように内杭6を中杭のみに設けておけばよい。
図3は、本発明の杭基礎構造において、内杭を継手部を跨いで設置した例である。(a)は、外杭の上杭に設けた内杭を中杭の方まで延長した例、(b)は、内杭を継手部付近にのみ設け、内側固定金具を下杭側に取り付けた例、(c)は、内杭を継手部付近にのみ設け、内側固定金具を中杭側に取り付けた例である。
前述の通り、外杭1に対して内杭6の長さは限定されず、図3(a)に示すように、一つの内杭6の杭長が一つの外杭1の杭長より長いものを用いて設置しても良い。図3(a)のような杭基礎構造にすれば、外杭1の上杭だけでなく継手部も補強できるので、より強固な杭構造が得られる。
図3(b)、(c)は、内杭6を継手部2付近にのみ設けた例である。継手部2に大きな曲げモーメントが作用するような場合は、継手部2のみの補強を行っても良い。内杭6を固定する内側固定治具9の設置個所は、図3(b)のように外杭1の下側の杭、図3(c)のように外杭1の上側の杭のいずれでもよい。
次に、本発明の杭基礎構造の施工例について説明する。
図4は、外杭の施工後に内杭を設置する施工方法例を示す図である。(a)は内杭の建て込み開始時、(b)は内杭の建て込み途中、(c)は内杭の建て込み終了時の図である。
図4(a)に示すように、外杭1の施工後、掘削孔が杭周固定液と掘削土砂との混合物4で満たされた状態で、スペーサ7や内側固定治具9が備わった内杭6がオーガ駆動装置12にセットされる。そして、図4(b)に示すように、内杭6はオーガ駆動装置12により外杭1の上杭部分に建て込まれる。その後、内側固定治具9により内杭6は固定される。この施工方法は、杭頭レベルが地表面に近く、杭長が短い場合に用いる。なお、内杭6の建て込みはオーガ駆動装置に限定されるものではなく、クレーン等の他の機材を用いて行っても良い。
図5は、上記図4に示す施工例において、内側固定治具9の取付例を示す図である。(a)は、L型鉄製で、4方向に内杭6の側面に溶接で固定したものであり、長さは外杭1の端板3に引掛るような長さである。(b)は、棒状鉄製で、内杭6を跨いで内杭6の上端に溶接して固定したものであり、長さは外杭1の端板3に引掛るような長さである。主に内杭の径や鋼管厚さが薄く重量が軽い場合に使用する。
図6は、外杭の施工途中で内杭を設置してしまう施工方法例を示す図である。(a)は内杭の外杭(上杭)へのセット、(b)は内杭の固定、(c)は内杭が取り付けられた外杭(上杭)のオーガ駆動装置へのセット、(d)はオーガ駆動装置による内杭が取り付けられた外杭(上杭)の建て込み、(e)は建込みが完了した本発明の杭基礎構造を示す図である。
図6(a)に示すように、外杭1の上杭を杭受け治具23に取付ワイヤー24で取付け、スペーサ7や内側固定治具9を設けた内杭6をクレーンで吊り上げ、前記上杭内に装填する。図6(b)に示すように、内側固定治具9を上杭の端板3に溶接やボルトで取付け、装填した内杭6を固定する。次に、図6(c)に示すように、上杭の杭頭金具8に回転キャップ10を取付ワイヤー24は外す。図6(d)に示すように、オーガ駆動装置12により外杭1と内杭6同時に建込み、図6(e)に示す本発明の杭基礎構造を完成させる。
この施工方法は、杭頭レベルが地表面から深く、杭長が長い場合に用い、この施工方法を用いることにより内杭を設置する際に、外杭を押し付けないといったメリットが得られる。
図7は、予め外杭1と内杭6とを接続した二重杭構造の杭を上杭として用いる場合の施工方法例を示す図である。(a)は二重杭構造の杭のセット、(b)は該杭のオーガ駆動装置へのセット、(c)はオーガ駆動装置による該杭の建て込み、(d)は建込みが完了した本発明の杭基礎構造を示す図である。
図6に示す方法では、二重杭構造の上杭を施工現場で製作したが、図7に示す方法では予め外杭1と内杭6とを接続した二重杭構造の杭を上杭として用いるため、図6(a)に示す工程が省略できる。オーガ駆動装置による杭の建て込み工程(b)〜(d)は、図6の工程(c)〜(e)と同じである。
図8は、予め外杭と内杭とを接続した二重杭構造の杭を作る際の外杭と内杭の接続構造を示す図である。(a)はL字の鉄製金具を4方向、内杭6の側面に溶接したものである。外杭1の端板3に内側固定治具9を溶接したものである。内杭6と外杭1との隙間13の鋼材は、スペーサの役割も果たす。(b)は棒状金具を端板3に溶接したものである。主に内杭6の径や鋼管厚さが薄く重量が軽い場合に使用する、(c)はL字の鉄製金具を4方向、内杭6の側面に溶接し、内側固定治具9を外杭1の端板3にボルトで固定したものである。
図9は、中杭あるいは下杭として用いるのに好適な外杭と内杭を接続した二重杭構造の杭を示す図である。(a)は外杭と内杭の杭頭が同レベルにある場合の例であり、上図は平面図、下図は正面図である。(b)は内杭の杭頭が外杭より突出している場合の例である。
図2の(c)〜(h)に示すように、中杭や下杭を二重杭構造の杭にして用いる場合は、図9の(a)もしくは(b)に示すような杭を予め作製しておき、それを施工現場に持ち込んで使用するのが好ましい。
図9(a)に示すものは中杭または下杭として用いるものであって、外杭1と内杭6の高さが同じ場合に用い、図9(b)に示すものは中杭または下杭としてもちいるものであって、内杭6の高さが外杭1の高さより高い(継手部を跨ぐ)場合に用いる。本発明の杭基礎構造に用いるこの二重杭構造の杭は、外杭1の杭中空部に内杭6が隙間13をあけて装填されており、該隙間13には一定の隙間間隔になるようにスペーサ7が設けられている。また、内側固定治具9により内杭6は固定され、外杭1と内杭6とが一体化している。
この杭は、まず内杭6と内杭固定治具9を溶接し、さらに内杭固定治具9を外杭1の端板3の内側に溶接して作製される。
1…外杭、2…継手部、3…端板、4…杭周固定液と掘削土砂との混合物、5…根固め液、6…内杭、7…スペーサ、8…杭頭金具、9…内側固定治具、10…回転キャップ、11…ロッド、12…オーガ駆動装置、13…隙間、21…吊ワイヤー、22…クレーン用杭吊り治具、23…杭受け治具、24…取付ワイヤー、25…溶接部、26…ボルト

Claims (6)

  1. 掘削孔に中空既製杭を建て込んでなる杭基礎構造であって、前記中空既製杭の内側に隙間をあけて中空既製杭の内杭が装填された外杭と内杭からなる二重杭構造となっており、前記隙間は杭周固定液と掘削土砂との混合物で満たされていることを特徴とする杭基礎構造。
  2. 前記杭基礎構造は、前記外杭が複数の中空既製杭を継手部を介して接続してなるものであり、前記内杭は前記継手部を跨いで設置されていることを特徴とする請求項1に記載の杭基礎構造。
  3. 前記内杭は、外杭が上杭となる箇所に設置されており、前記内杭の上端は前記外杭の杭頭より突出していることを特徴とする請求項1又は2に記載の杭基礎構造。
  4. 前記隙間は20〜200mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の杭基礎構造。
  5. 前記外杭は、上杭と下杭もしくは上杭と中杭と下杭からなり、少なくとも前記上杭はSC杭であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の杭基礎構造。
  6. 前記内杭は、鋼管杭又はSC杭のいずれかであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の杭基礎構造。
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