JP2016222830A - 防舷材用ゴム組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】緩衝性能に優れ、小型化しても高い反力を有する上、特に高温環境下で長期間に亘って使用し続けても、経時変化による緩衝性能の低下やクラック等を生じにくい防舷材を形成しうる、新規な防舷材用ゴム組成物を提供する。【解決手段】天然ゴムを含むゴム分、前記ゴム分の総量100質量部あたり、0.5〜2質量部の硫黄、0.5〜5質量部の架橋促進剤、カーボンブラック、および老化防止剤を含み、なおかつ前記硫黄と架橋促進剤の質量比(硫黄)/(架橋促進剤)を0.1〜0.85とした防舷材用ゴム組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は、例えば岸壁等に設置されて、船舶の接岸時や係留時に緩衝材として機能する防舷材の形成材料としての、防舷材用ゴム組成物に関するものである。
岸壁等に設置されて、船舶等の接岸時や係留時に緩衝材として機能する防舷材としては、その全体を弾性材料、特にゴムの架橋物によって一体に形成したものが、構造が簡単でしかも壊れにくいため、広く普及している。
かかる防舷材は、架橋性のゴム分にカーボンブラックなどの充填剤、ゴム分を架橋させるための架橋成分、および各種添加剤等を配合して調製したゴム組成物を、所定の防舷材の立体形状に成形するとともに、ゴム分を架橋させて製造される(例えば特許文献1等)。
架橋性のゴム分としては、架橋物のゴム硬さや切断時伸び、引張強さなどの、ゴムとしての物性(ゴム物性)を適度にバランスさせて、当該架橋物からなる防舷材に良好な緩衝性能を付与することを考慮して、あるいは入手のしやすさ等の観点から、天然ゴムが好適に使用される。
天然ゴムは単独で使用してもよいし、例えばスチレンブタジエンゴム等の他のゴムと併用してもよい。
また、上記天然ゴムを含むゴム分を架橋させるための架橋剤分としては、硫黄(架橋剤)と、当該硫黄によるゴム分の架橋を促進する作用を有する架橋促進剤とを含む、硫黄系の架橋成分が好適に採用される。
防舷材には、設置場所でスペースを取らずに良好な緩衝性能を発現したり、使用材料を少なくして生産コストを低減したりするために、小型化しても高い反力を有することが求められる。
また防舷材には、特に高温(酷暑)環境下で長期間に亘って使用し続けても、経時変化による緩衝性能の低下やクラック等を生じにくいことも求められる。
すなわち防舷材は、通常は屋外に設置されるものであり、設置される地域や季節等によっては、例えば常時40℃以上といった高温環境下で使用され続ける場合がある。
また、例えば設置場所によっては、直射日光を受ける等して防舷材の表面温度が80℃以上といった高温に達する場合すらある。
しかも防舷材は、一度設置すると数年ないし数十年といった長期間に亘って、同一場所で使用し続けられるものでもある。
ところがゴム製の防舷材は、経時変化によってゴム物性のバランスが崩れて、比較的短期間で良好な緩衝性能を維持できなくなったり、クラックを生じたりしやすいという問題がある。
経時変化は、環境温度が高いほど急速に進行するため、特に防舷材を高温環境下で使用し続けた際に、より短期間で上記の問題を生じやすい。
特許文献2では、ゴム製の防舷材に、高温環境下でも常温環境下と大差ない緩衝性能を発現させるべく、温度23℃での最大反力R23と、温度60℃での最大反力R60との比R60/R23で表される圧縮性能変化率を0.90より大きくすることが提案されている。
しかし特許文献2に記載の発明では、経時変化による緩衝性能の低下やクラックの発生等を抑制することまでは考慮されておらず、特に高温環境下で使用し続けた際に、短期間でこれらの問題を生じやすいことには変わりはない。
特開2013−194155号公報 特開2002−13120号公報
本発明の目的は、緩衝性能に優れ、小型化しても高い反力を有する上、特に高温環境下で長期間に亘って使用し続けても、経時変化による緩衝性能の低下やクラック等を生じにくい防舷材を形成しうる、新規な防舷材用ゴム組成物を提供することにある。
本発明は、天然ゴムを含むゴム分、前記ゴム分の総量100質量部あたり、0.5質量部以上、2質量部以下の硫黄、0.5質量部以上、5質量部以下の架橋促進剤、カーボンブラック、および老化防止剤を含み、前記硫黄および前記架橋促進剤の質量比(硫黄)/(架橋促進剤)は、0.1以上、0.85以下である防舷材用ゴム組成物である。
本発明によれば、緩衝性能に優れ、小型化しても高い反力を有する上、特に高温環境下で長期間に亘って使用し続けても、経時変化による緩衝性能の低下やクラック等を生じにくい防舷材を形成しうる、新規な防舷材用ゴム組成物を提供できる。
本発明の防舷材用ゴム組成物において、硫黄および架橋促進剤の配合割合、ならびに両者の質量比が、それぞれ前述した範囲に限定されるのは、下記の理由による。
すなわち硫黄の配合割合が、ゴム分の総量100質量部あたり0.5質量部未満では、架橋物の架橋密度が小さすぎて、当該架橋物のゴム硬さや引張強さが小さくなりすぎるため、かかる架橋物からなる防舷材に、良好な緩衝性能を付与することができない。
特に、防舷材を小型化した際に反力が不足して、十分な緩衝性能を確保することができない。
一方、硫黄の配合割合が、ゴム分の総量100質量部あたり2質量部を超える場合には、架橋物の架橋密度が大きすぎて、当該架橋物の切断時伸びが小さくなりすぎるため、やはり上記架橋物からなる防舷材に、良好な緩衝性能を付与することができない。
また特に高温環境下で、経時変化による防舷材の緩衝性能の低下やクラック等を生じやすくなる。
すなわち硫黄による架橋系では、周知のようにゴム分子間が、当該硫黄による、式(1):
−S− (1)
〔式中、nは1以上の数を示す。〕
で表されるスルフィド結合によって主に架橋されて、架橋物が形成される。
また上記スルフィド結合は、1箇所の架橋に関与する硫黄原子の数に応じて、式(1)中のnが1であるモノスルフィド結合(−S−)、nが2であるジスルフィド結合(−S−S−)、およびnが3以上であるポリスルフィド結合に分類される。
後述する架橋促進剤との質量比にもよるが、ゴム分に対する硫黄の割合が多いほど、個々の架橋に係わる硫黄原子の数が多くなって、ポリスルフィド結合の割合が多くなったり、当該ポリスルフィド結合の鎖長が長くなったりする。
ポリスルフィド結合の割合が多いほど、また個々のポリスルフィド結合の鎖長が長いほど、架橋物は柔軟で、切断時伸びが大きくなる傾向がある。
ところがポリスルフィド結合は、鎖長が長いほど化学的に不安定でもあり、架橋後の経時変化によって徐々に鎖長が短くなっていって、最終的には柔軟性の乏しいジスルフィド結合やモノスルフィド結合に変化する。そして、この経時変化に伴って架橋物の切断時伸び、ひいては防舷材の緩衝性能が低下したり、当該防舷材が硬くかつ脆くなってクラックを生じたりしやすくなる。
この変化は、ポリスルフィド結合の割合が多いほど、また鎖長が長いほど顕著であり、経時変化による緩衝性能の低下の度合いも大きくなる。
また経時変化は、環境温度が高いほど急速に、短期間で進行する。
そのため、硫黄の配合割合が上記2質量部以下の範囲を超える場合には、特に高温環境下で、経時変化による緩衝性能の低下やクラック等を生じやすくなる。
これに対し、硫黄の配合割合を、ゴム分の総量100質量部あたり0.5質量部以上、2質量部以下の範囲とすることにより、架橋物の架橋密度を適度な範囲に調整して、当該架橋物のゴム物性、すなわちゴム硬さや切断時伸び、引張強さなどを好適にバランスさせて、かかる架橋物からなる防舷材に、良好な緩衝性能を付与できる。
また、ポリスルフィド結合の割合が過剰に多くなったり、当該ポリスルフィド結合の鎖長が過剰に長くなったりするのを抑制して、特に高温環境下で、経時変化による緩衝性能の低下やクラック等を生じにくくできる。
なお、かかる効果をより一層向上することを考慮すると、硫黄の配合割合は、上記の範囲でも、ゴム分の総量100質量部あたり0.8質量部以上であるのが好ましく、1.1質量部以下であるのが好ましい。
架橋促進剤は、前述したように、硫黄によるゴム分の架橋を促進する作用をする。具体的には、スルフィド結合によるゴム分子間の架橋箇所を増加させて、架橋物の架橋密度を上昇させたり、架橋時間を短縮したりする。
ところが架橋促進剤の配合割合が、ゴム分の総量100質量部あたり0.5質量部未満では、上記の効果が得られない。
そのため架橋物の架橋密度が小さすぎて、当該架橋物の引張強さが小さくなりすぎるため、かかる架橋物からなる防舷材に、良好な緩衝性能を付与することができない。
また、架橋に長時間を要して防舷材の生産性が低くなるおそれもある。
一方、架橋促進剤の配合割合が、ゴム分の総量100質量部あたり5質量部を超える場合には、当該架橋促進剤による、架橋を促進する効果が過剰になり、架橋物の架橋密度が大きすぎて、当該架橋物の切断時伸びが小さくなりすぎるため、やはり上記架橋物からなる防舷材に、良好な緩衝性能を付与することができない。
また、過剰の架橋促進剤が防舷材の表面にブルームするおそれもある。
これに対し、架橋促進剤の配合割合を、ゴム分の総量100質量部あたり0.5質量部以上、5質量部以下の範囲とすることにより、ブルームの発生を抑制しながら、架橋物の架橋密度を適度な範囲に調整して、当該架橋物からなる防舷材に、良好な緩衝性能を付与できる。また、架橋時間を短縮して防舷材の生産性を向上できる。
なお、かかる効果をより一層向上することを考慮すると、架橋促進剤の配合割合は、上記の範囲でも、ゴム分の総量100質量部あたり1質量部以上、特に1.2質量部以上であるのが好ましく、2.2質量部以下、特に2質量部以下であるのが好ましい。
さらに、硫黄および架橋促進剤の配合割合がそれぞれ上記の範囲であっても、両者の質量比(硫黄)/(架橋促進剤)が0.1未満では、硫黄に対する架橋促進剤の量が多すぎるため、前述したスルフィド結合によるゴム分子間の架橋箇所は多くなるが、その分、個々の架橋に係わる硫黄原子の数は少なくなる。
そのため全架橋中に占める、柔軟性の低いモノスルフィド結合やジスルフィド結合の割合が過剰に増加して、架橋物の切断時伸びが小さくなりすぎるため、当該架橋物からなる防舷材に、良好な緩衝性能を付与することができない。
一方、上記質量比が0.85を超える場合には、硫黄に対する架橋促進剤の量が少なすぎて、当該架橋促進剤による、ゴム分子間の架橋箇所を増加させる効果が得られない分、個々の架橋に係わる硫黄原子の数が多くなるため、全架橋中に占めるポリスルフィド結合の割合が過剰に多くなったり、当該ポリスルフィド結合の鎖長が過剰に長くなったりする。
そのため特に高温環境下で、先述したメカニズムによって、経時変化による緩衝性能の低下やクラック等を生じやすくなる。
これに対し、硫黄と架橋促進剤の質量比(硫黄)/(架橋促進剤)を0.1以上、0.85以下の範囲とすることにより、全架橋中に占めるポリスルフィド結合の割合や鎖長を適度な範囲に調整して、防舷材に良好な緩衝性能を付与するとともに、経時変化による緩衝性能の低下やクラック等を生じにくくできる。
なお、かかる効果をより一層向上することを考慮すると、上記質量比は、上記の範囲でも特に0.50以上であるのが好ましい。
〈架橋物のゴム物性〉
なお架橋物のゴム物性は、これに限定されるものではないが、例えばゴム硬さは、日本工業規格JIS K6253−3:2012「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム硬さの求め方−第3部:デュロメータ硬さ」において規定されたタイプAデュロメータで表して65以上、特に70以上であるのが好ましく、80以下、特に75以下であるのが好ましい。
また引張強さは、日本工業規格JIS K6251:2010「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」において規定された引張強さTS(MPa)で表して17MPa以上、特に20MPa以上であるのが好ましい。
さらに切断時伸びは、上記JIS K6251:2010において規定された切断時伸びE(%)で表して350%以上、特に400%以上であるのが好ましい。
〈ゴム分〉
ゴム分としては、少なくとも天然ゴムを用いる。また天然ゴムとしては、例えばTSR−20、RSS#3等の各種グレードの天然ゴムが、いずれも使用可能である他、脱蛋白天然ゴム等も使用可能である。
またゴム分としては、上記天然ゴムを単独で使用してもよいし、当該天然ゴムと他のゴムとを併用してもよい。
他のゴムとしては、例えばイソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エピクロルヒドリンゴム等の合成ゴムの1種または2種以上が挙げられる。
中でも、架橋物のゴム物性を適度にバランスさせて、当該架橋物からなる防舷材に良好な緩衝性能を付与する効果の点で、SBRが好ましい。
なおSBRとしては、伸展油を加えて柔軟性を調整した油展タイプのものと、加えない非油展タイプのものとがあるが、本発明ではいずれのタイプのSBRを使用してもよい。
非油展タイプのSBRとしては、例えばJSR(株)製のJSR(登録商標)1500〔結合スチレン量:23.5%〕、JSR1502〔結合スチレン量:23.5%〕、JSR1503〔結合スチレン量:23.5%〕、JSR1507〔結合スチレン量:23.5%〕等の1種または2種以上が挙げられる。
また油展タイプのSBRとしては、例えばJSR(株)製のJSR1732〔結合スチレン量:23.5%、油量:27.3%〕、JSR0122〔結合スチレン量:37%、油量:25.4%〕、JSR1778〔結合スチレン量:23.5%、油量:27.3%〕、JSR1778N〔結合スチレン量:23.5%、油量:27.3%〕等の1種または2種以上が挙げられる。
天然ゴムとSBRを併用する場合、ゴム分の総量100質量部中に占めるSBRの配合割合は10質量部以上、特に30質量部以上であるのが好ましく、50質量部以下、特に40質量部以下であるのが好ましい。
この範囲よりSBRが少ない場合には、当該SBRを併用することによる、前述した、防舷材の緩衝性能を向上する効果が十分に得られないおそれがある上、耐摩耗性が小さくなって、繰り返し使用した際に防舷材が損耗しやすくなるなど、防舷材の耐久性が不十分になるおそれもある。
一方、上記範囲よりSBRが多い場合には引裂き強度が小さくなって、例えば微小な傷などを生じた状態で防舷材を繰り返し使用した際に、クラックを生じやすくなるおそれがある。
なお油展タイプのSBRを使用する場合は、当該油展タイプのSBR中に含まれる固形分(ゴム分)としてのSBR自体の配合割合が、上記の範囲となるように設定すればよい。
〈架橋成分〉
架橋成分としては、架橋剤としての硫黄、および当該硫黄によるゴム分の架橋を促進する機能を有する架橋促進剤が挙げられる。
このうち硫黄としては、ゴム分の架橋剤として機能しうる種々の硫黄が使用可能である。
硫黄の配合割合は、前述したようにゴム分の総量100質量部あたり0.5質量部以上、2質量部以下とする。この理由は、先に説明したとおりである。
また架橋促進剤としては、遅効性のものを選択して用いるのが好ましい。
一般に防舷材は、当該防舷材の形状に対応した金型内に防舷材用ゴム組成物を充填して、例えば130〜160℃の温度で3〜20時間程度の時間をかけて架橋させることによって製造される。
そのため架橋促進剤として、上記のように遅効性のものを選択して用いると、金型充填時のスコーチ等を良好に抑制できる。
かかる遅効性の架橋促進剤としては、スルフェンアミド系促進剤が好ましい。
スルフェンアミド系促進剤としては、例えばN−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(NS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CZ)、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(MSA)等の1種または2種以上が挙げられる。
スルフェンアミド系促進剤は、単独(2種以上のスルフェンアミド系促進剤を併用する場合を含む。以下同様。)で使用してもよいし、他の架橋促進剤と併用してもよい。
スルフェンアミド系促進剤を単独で使用する場合、その配合割合は、前述したようにゴム分の総量100質量部あたり0.5質量部以上、5質量部以下とする。この理由は、先に説明したとおりである。
スルフェンアミド系促進剤と併用する他の架橋促進剤としては、前述したスコーチの発生を抑制しながら、なおかつスルフェンアミド系促進剤を活性化して架橋速度を上昇させ、架橋時間を短縮して防舷材の生産性を向上できる種々の架橋促進剤が挙げられる。
かかる他の架橋促進剤としては、例えばチウラム系促進剤、グアニジン系促進剤、チアゾール系促進剤、ジチオカルバミン酸系促進剤等の1種または2種以上が挙げられ、特にチウラム系促進剤が好ましい。
チウラム系促進剤は、上述したスルフェンアミド系促進剤を活性化する効果に優れる上、硫黄の供給源として、前述したように柔軟性は低いものの、化学的には安定なモノスルフィド結合の割合を増加させる効果も有している。
そのため、架橋促進剤としてチウラム系促進剤を併用して、全架橋中に占めるモノスルフィド結合の割合を増加させることにより、相対的にポリスルフィド結合の割合を少なくできることと相まって、特に高温環境下で、経時変化による緩衝性能の低下やクラック等を生じにくくできる。
チウラム系促進剤としては、例えばテトラメチルチウラムジスルフィド(TT)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TET)、テトラブチルチウラムジスルフィド(TBT)、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT−N)、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TS)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(TRA)等の1種または2種以上が挙げられる。
チウラム系促進剤の配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり0.5質量部以上であるのが好ましく、2質量部以下であるのが好ましい。
チウラム系促進剤の配合割合がこの範囲未満では、当該チウラム系促進剤を架橋促進剤として併用することによる、架橋速度を向上する効果や、全架橋中に占めるモノスルフィド結合の割合を多くして、特に高温環境下で、経時変化による緩衝性能の低下やクラック等を生じにくくする効果が十分に得られないおそれがある。
一方、チウラム系促進剤の配合割合が上記の範囲を超える場合には、全架橋中に占めるモノスルフィド結合の割合が過剰に増加して、防舷材の切断時伸びが小さくなる傾向があるため、防舷材に良好な緩衝性能を付与できないおそれがある。
これに対し、チウラム系促進剤の配合割合を上記の範囲とすることにより、全架橋中に占める、モノスルフィド結合、ジスルフィド結合、およびポリスルフィド結合の割合を適度にバランスさせて、防舷材に良好な緩衝性能を付与しながら、特に高温環境下で、経時変化による緩衝性能の低下やクラック等を生じにくくできる。また、架橋時間を短縮して防舷材の生産性を向上できる。
なお、かかる効果をより一層向上することを考慮すると、チウラム系促進剤の配合割合は、上記の範囲でも1.5質量部以下であるのが好ましい。
チウラム系促進剤を併用する場合は、当該チウラム系促進剤とスルフェンアミド系促進剤の合計の配合割合が、前述した、ゴム分の総量100質量部あたり0.5質量部以上、5質量部以下の範囲となるように、スルフェンアミド系促進剤の配合割合を調整すればよい。
〈カーボンブラック〉
カーボンブラックとしては、ゴム分の補強剤、充填剤として機能しうる種々のカーボンブラックが使用可能である。
ただしカーボンブラックとしては、ゴム分の総量に対する配合割合と補強効果との兼ね合い等を考慮して、当該ゴム分の総量より少量の配合で、架橋物のゴム硬さを大きくして、当該架橋物からなる防舷材の緩衝性能をより一層効率よく向上するために、比較的粒径が小さく、かつストラクチャが発達した、表面積の大きいグレードのものを用いるのが好ましい。
特に窒素吸着比表面積が90m/g以上、130m/g以下で、かつDBP吸油量が80cm/100g以上、130cm/100g以下であるカーボンブラックが好適に使用される。
窒素吸着比表面積が90m/g未満であるカーボンブラックは粒径が大きすぎ、またDBP吸油量が80cm/100g未満であるカーボンブラックはストラクチャの発達が不十分であるため、このいずれを使用した場合にも上述した補強効果が十分に得られず、架橋物のゴム硬さが小さくなりすぎて、当該架橋物からなる防舷材に、良好な緩衝性能を付与できないおそれがある。
一方、窒素吸着比表面積が130m/gを超えるカーボンブラックは粒径が小さすぎ、またDBP吸油量が130cm/100gを超えるカーボンブラックはストラクチャの発達が過剰であるため、このいずれを使用した場合にも上述した補強効果が強くなりすぎて、架橋物のゴム硬さが大きくなりすぎたり、切断時伸びが小さくなりすぎたりして、上記架橋物からなる防舷材に、良好な緩衝性能を付与できないおそれがある。
これに対し、窒素吸着比表面積およびDBP吸油量がともに前述した範囲であるカーボンブラックを選択的に使用することにより、適度の補強効果を確保して、防舷材に良好な緩衝性能を付与できる。
上記特性を満足するカーボンブラックとしては、例えば東海カーボン(株)製のシースト6〔ISAF、窒素吸着比表面積:119m/g、DBP吸油量:114cm/100g〕、シースト7HM〔N234、窒素吸着比表面積:126m/g、DBP吸油量:125cm/100g〕、シースト5H〔IISAF−HS、窒素吸着比表面積:99m/g、DBP吸油量:129cm/100g〕、シーストKH〔N339、窒素吸着比表面積:93m/g、DBP吸油量:119cm/100g〕等の1種または2種以上が挙げられる。
カーボンブラックの配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり60質量部以上であるのが好ましく、80質量部以下であるのが好ましい。
カーボンブラックの配合割合がこの範囲未満では補強効果が十分に得られず、架橋物のゴム硬さが小さくなりすぎて、当該架橋物からなる防舷材に良好な緩衝性能を付与できないおそれがある。また特に高温環境下で、経時変化による防舷材の緩衝性能の低下やクラック等を生じやすくなるおそれもある。
一方、カーボンブラックの配合割合が上記の範囲を超える場合には、補強効果が過剰になり、架橋物の切断時伸びが小さくなりすぎて、当該架橋物からなる防舷材に良好な緩衝性能を付与できないおそれがある。
また、架橋物中で隣り合うカーボンブラック同士の距離が近すぎるため、防舷材を繰り返し変形させた際に当該カーボンブラックが摩耗しやすくなって、経時変化による防舷材の緩衝性能の低下やクラック等を生じやすくなるおそれもある。
これに対し、カーボンブラックの配合割合を上記の範囲とすることにより、当該カーボンブラックによる補強効果を適度の範囲に調整して、防舷材に良好な緩衝性能を付与するとともに、経時変化による緩衝性能の低下やクラック等を生じにくくできる。
なお、かかる効果をより一層向上することを考慮すると、カーボンブラックの配合割合は、上記の範囲でも、ゴム分の総量100質量部あたり65質量部以上であるのが好ましく、75質量部以下であるのが好ましい。
〈老化防止剤〉
老化防止剤としては、特に高温環境下での、経時変化による緩衝性能の低下やクラック等を良好に抑制することを考慮すると、かかる高温環境下で使用しても揮発しにくい2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体(224)が好適に使用される。
当該2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体の配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり1質量部以上であるのが好ましく、3質量部以下であるのが好ましい。
また老化防止剤としては、上記2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体とともに、例えば日光亀裂、オゾン亀裂、および屈曲亀裂などの防止効果に優れたN−フェニル−N′−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン等の他の老化防止剤を併用してもよい。
他の老化防止剤の配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり0.5質量部以上であるのが好ましく、1.5質量部以下であるのが好ましい。
〈その他の成分〉
本発明の防舷材用ゴム組成物には、さらに必要に応じて、架橋助剤、可塑剤、ワックス、粘着付与剤等を任意の割合で配合してもよい。
(架橋助剤)
架橋助剤としては、例えば酸化亜鉛等の金属化合物;ステアリン酸、オレイン酸、綿実脂肪酸等の脂肪酸その他、従来公知の架橋助剤の1種または2種以上が挙げられる。
架橋助剤の配合割合は、個別に、ゴム分の総量100質量部あたり0.5質量部以上であるのが好ましく、7質量部以下であるのが好ましい。
(可塑剤)
可塑剤としては、例えばオイルや液状ゴムが挙げられる。
このうちオイルとしては、例えば出光興産(株)製のダイアナ(登録商標)プロセスオイルPW、NP、NS、NR、NM、AC、AH等の各種グレードのオイルの1種または2種以上が挙げられる。
また液状ゴムとしては、例えば液状イソプレンゴム、水添液状イソプレンゴム、液状ブタジエンゴム、液状スチレンブタジエンゴム、あるいはこれらの末端変性物等の1種または2種以上が挙げられる。特に天然ゴムとの相溶性に優れた液状イソプレンゴムが好ましい。
液状イソプレンゴムとしては、例えば(株)クラレ製のクラプレン(登録商標)LIR−30(数平均分子量:28000)、LIR−50(数平均分子量:54000)等が挙げられる。
可塑剤の配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり10質量部以上であるのが好ましく、30質量部以下であるのが好ましい。
(ワックス)
ワックスとしては、例えば大内新興化学工業(株)製の精製特殊ワックスであるサンノック(登録商標)、サンノックN、サンノックP等が挙げられる。これらのワックスは老化防止剤との併用により、日光き裂、オゾン亀裂を防止するために機能する。
かかるワックスの配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり0.5質量部以上、3質量部以下であるのが好ましい。
本発明の防舷材用ゴム組成物は、例えば上記各成分のうち硫黄および架橋促進剤以外の各成分を、まずバンバリミキサ等を用いて混練したのち、さらに硫黄と架橋促進剤を加えて混練する等して調製できる。
調製した防舷材用ゴム組成物を用いて防舷材を製造する工程は従来同様でよい。すなわち製造する防舷材の大きさや形状に応じて成形、シート成形、組み立て、および架橋等の任意の工程を組み合わせて防舷材を製造することができる。
〈実施例1〉
ゴム分としては天然ゴム(TSR20品)を用いた。かかる天然ゴム100質量部を、下記表1に示す各成分のうち硫黄、および2種の架橋促進剤以外の各成分とともに、バンバリミキサを用いて150℃で5分間混練した後、さらに硫黄と2種の架橋促進剤とを加えて、2軸オープンロールを用いて70℃で5分間混練して、シート状の防舷材用ゴム組成物を調製した。
Figure 2016222830
表1中の各成分は下記のとおり。また表中の質量部は天然ゴム100質量部あたりの質量部を示す。
カーボンブラック:ISAF、前出の東海カーボン(株)製のシースト6、窒素吸着比表面積:119m/g、DBP吸油量:114cm/100g
オイル:前出の出光興産(株)製のダイアナ プロセスオイルNR26
ノクラック(登録商標)6C:N−フェニル−N′−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業(株)製
ノクラック224:2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、大内新興化学工業(株)製
ワックス:前出の大内新興化学工業(株)製のサンノック
酸化亜鉛2種:架橋助剤、三井金属鉱業(株)製
ステアリン酸:架橋助剤、日油(株)製の商品名つばき
硫黄:架橋剤、鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
スルフェンアミド系促進剤:N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業(株)製のノクセラー(登録商標)NS
チウラム系促進剤:テトラエチルチウラムジスルフィド、大内新興化学工業(株)製のノクセラーTET
ゴム分の総量100質量部あたりの配合割合は、硫黄が1.0質量部、2種の架橋促進剤の合計が2.0質量部で、かつ硫黄および架橋促進剤の質量比(硫黄)/(架橋促進剤)は0.5であった。
〈実施例2〉
スルフェンアミド系促進剤の配合割合を2.0質量部としてチウラム系促進剤を配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして、シート状の防舷材用ゴム組成物を調製した。
ゴム分の総量100質量部あたりの配合割合は、硫黄が1.0質量部、架橋促進剤としてのスルフェンアミド系促進剤が2.0質量部で、かつ硫黄および架橋促進剤の質量比(硫黄)/(架橋促進剤)は0.5であった。
〈実施例3〉
ゴム分として、実施例1で使用したのと同じ天然ゴム70質量部と、非油展タイプのSBR〔前出のJSR(株)製のJSR1502、結合スチレン量:23.5%〕30質量部とを併用するとともに、スルフェンアミド系促進剤の配合割合を2.0質量部としてチウラム系促進剤を配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして、シート状の防舷材用ゴム組成物を調製した。
ゴム分の総量100質量部あたりの配合割合は、硫黄が1.0質量部、架橋促進剤としてのスルフェンアミド系促進剤が2.0質量部で、かつ硫黄および架橋促進剤の質量比(硫黄)/(架橋促進剤)は0.5であった。
〈実施例4〉
スルフェンアミド系促進剤の配合割合を1.2質量部としたこと以外は実施例3と同様にして、シート状の防舷材用ゴム組成物を調製した。
ゴム分の総量100質量部あたりの配合割合は、硫黄が1.0質量部、架橋促進剤としてのスルフェンアミド系促進剤が1.2質量部で、かつ硫黄および架橋促進剤の質量比(硫黄)/(架橋促進剤)は0.83であった。
〈実施例5〉
硫黄の配合割合を0.5質量部、スルフェンアミド系促進剤の配合割合を5.0質量部としたこと以外は実施例3と同様にして、シート状の防舷材用ゴム組成物を調製した。
ゴム分の総量100質量部あたりの配合割合は、硫黄が0.5質量部、架橋促進剤としてのスルフェンアミド系促進剤が5.0質量部で、かつ硫黄および架橋促進剤の質量比(硫黄)/(架橋促進剤)は0.1であった。
〈実施例6〉
硫黄の配合割合を2.0質量部、スルフェンアミド系促進剤の配合割合を2.4質量部としたこと以外は実施例3と同様にして、シート状の防舷材用ゴム組成物を調製した。
ゴム分の総量100質量部あたりの配合割合は、硫黄が2.0質量部、架橋促進剤としてのスルフェンアミド系促進剤が2.4質量部で、かつ硫黄および架橋促進剤の質量比(硫黄)/(架橋促進剤)は0.83であった。
〈実施例7〉
硫黄の配合割合を0.5質量部、スルフェンアミド系促進剤の配合割合を0.7質量部としたこと以外は実施例3と同様にして、シート状の防舷材用ゴム組成物を調製した。
ゴム分の総量100質量部あたりの配合割合は、硫黄が0.5質量部、架橋促進剤としてのスルフェンアミド系促進剤が0.7質量部で、かつ硫黄および架橋促進剤の質量比(硫黄)/(架橋促進剤)は0.71であった。
〈実施例8〉
硫黄の配合割合を2.0質量部、スルフェンアミド系促進剤の配合割合を5.0質量部としたこと以外は実施例3と同様にして、シート状の防舷材用ゴム組成物を調製した。
ゴム分の総量100質量部あたりの配合割合は、硫黄が2.0質量部、架橋促進剤としてのスルフェンアミド系促進剤が5.0質量部で、かつ硫黄および架橋促進剤の質量比(硫黄)/(架橋促進剤)は0.4であった。
〈実施例9〉
カーボンブラックとして、東海カーボン(株)製のシースト3〔HAF、窒素吸着比表面積79m/g、DBP吸油量:101cm/100g〕70質量部を配合したこと以外は実施例3と同様にして、シート状の防舷材用ゴム組成物を調製した。
ゴム分の総量100質量部あたりの配合割合は、硫黄が1.0質量部、架橋促進剤としてのスルフェンアミド系促進剤が2.0質量部で、かつ硫黄および架橋促進剤の質量比(硫黄)/(架橋促進剤)は0.5であった。
〈実施例10〉
カーボンブラックとして、東海カーボン(株)製のシースト9〔SAF、窒素吸着比表面積142m/g、DBP吸油量:115cm/100g〕70質量部を配合したこと以外は実施例3と同様にして、シート状の防舷材用ゴム組成物を調製した。
ゴム分の総量100質量部あたりの配合割合は、硫黄が1.0質量部、架橋促進剤としてのスルフェンアミド系促進剤が2.0質量部で、かつ硫黄および架橋促進剤の質量比(硫黄)/(架橋促進剤)は0.5であった。
〈実施例11〜14〉
カーボンブラックとしてのシースト6の配合割合を55質量部(実施例11)、65質量部(実施例12)、75質量部(実施例13)、および85質量部(実施例14)としたこと以外は実施例3と同様にして、シート状の防舷材用ゴム組成物を調製した。
なおいずれの実施例も、ゴム分の総量100質量部あたりの配合割合は、硫黄が1.0質量部、架橋促進剤としてのスルフェンアミド系促進剤が2.0質量部で、かつ硫黄および架橋促進剤の質量比(硫黄)/(架橋促進剤)は0.50であった。
〈実施例15〉
スルフェンアミド系促進剤の配合割合を0.5質量部とし、かつ実施例1で使用したのと同じチウラム系促進剤1.5質量部を配合したこと以外は実施例3と同様にして、シート状の防舷材用ゴム組成物を調製した。
ゴム分の総量100質量部あたりの配合割合は、硫黄が1.0質量部、2種の架橋促進剤の合計が2.0質量部で、かつ硫黄および架橋促進剤の質量比(硫黄)/(架橋促進剤)は0.5であった。
〈実施例16〉
スルフェンアミド系促進剤の配合割合を0.5質量部とし、かつ実施例1で使用したのと同じチウラム系促進剤2.5質量部を配合したこと以外は実施例3と同様にして、シート状の防舷材用ゴム組成物を調製した。
ゴム分の総量100質量部あたりの配合割合は、硫黄が1.0質量部、2種の架橋促進剤の合計が3.0質量部で、かつ硫黄および架橋促進剤の質量比(硫黄)/(架橋促進剤)は0.33であった。
〈実施例17〉
老化防止剤としての2−メルカプトベンズイミダゾールを配合しなかったこと以外は実施例3と同様にして、シート状の防舷材用ゴム組成物を調製した。
ゴム分の総量100質量部あたりの配合割合は、硫黄が1.0質量部、架橋促進剤としてのスルフェンアミド系促進剤が2.0質量部で、かつ硫黄および架橋促進剤の質量比(硫黄)/(架橋促進剤)は0.5であった。
〈比較例1〉
硫黄の配合割合を2.0質量部、スルフェンアミド系促進剤の配合割合を1.0質量部としたこと以外は実施例3と同様にして、シート状の防舷材用ゴム組成物を調製した。
ゴム分の総量100質量部あたりの配合割合は、硫黄が2.0質量部、架橋促進剤としてのスルフェンアミド系促進剤が1.0質量部で、かつ硫黄および架橋促進剤の質量比(硫黄)/(架橋促進剤)は2.0であった。
〈比較例2〉
硫黄の配合割合を2.0質量部、スルフェンアミド系促進剤の配合割合を6.0質量部としたこと以外は実施例3と同様にして、シート状の防舷材用ゴム組成物を調製した。
ゴム分の総量100質量部あたりの配合割合は、硫黄が2.0質量部、架橋促進剤としてのスルフェンアミド系促進剤が6.0質量部で、かつ硫黄および架橋促進剤の質量比(硫黄)/(架橋促進剤)は0.33であった。
〈比較例3〉
硫黄の配合割合を0.3質量部としたこと以外は実施例3と同様にして、シート状の防舷材用ゴム組成物を調製した。
ゴム分の総量100質量部あたりの配合割合は、硫黄が0.3質量部、架橋促進剤としてのスルフェンアミド系促進剤が2.0質量部で、かつ硫黄および架橋促進剤の質量比(硫黄)/(架橋促進剤)は0.15であった。
〈比較例4〉
硫黄の配合割合を2.5質量部、スルフェンアミド系促進剤の配合割合を5.0質量部としたこと以外は実施例3と同様にして、シート状の防舷材用ゴム組成物を調製した。
ゴム分の総量100質量部あたりの配合割合は、硫黄が2.5質量部、架橋促進剤としてのスルフェンアミド系促進剤が5.0質量部で、かつ硫黄および架橋促進剤の質量比(硫黄)/(架橋促進剤)は0.5であった。
〈比較例5〉
スルフェンアミド系促進剤の配合割合を0.3質量部としたこと以外は実施例3と同様にして、シート状の防舷材用ゴム組成物を調製した。
ゴム分の総量100質量部あたりの配合割合は、硫黄が1.0質量部、架橋促進剤としてのスルフェンアミド系促進剤が0.3質量部で、かつ硫黄および架橋促進剤の質量比(硫黄)/(架橋促進剤)は3.3であった。
〈サンプルの作製〉
上記各実施例、比較例で調製したシート状の防舷材用ゴム組成物を140℃で50分間プレス成形して、架橋させたシート状のサンプルを作製した。
〈引張試験〉
作製したシート状のサンプルを打ち抜いて、日本工業規格JIS K6251:2010「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に規定されたダンベル状3号形試験片を作製し、標準試験温度下で、同規格に規定された引張試験をして引張強さTS(MPa)、および切断時伸びE(%)を求めた。
引張強さTSは、17MPa未満を「×」、17MPa以上、20MPa未満を「○」、20MPa以上を「◎」と評価した。
また切断時伸びEは、350%未満を「×」、350%以上、400%未満を「○」、400%以上を「◎」と評価した。
〈ゴム硬さ測定〉
作製したシート状のサンプルのタイプAデュロメータ硬さを、標準試験温度下で、日本工業規格JIS K6253−3:2012「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム硬さの求め方−第3部:デュロメータ硬さ」に規定された測定方法によって測定した。
タイプAデュロメータ硬さは、65未満および80超を「×」、65以上、80以下を「○」、特に上記○の範囲のうち70以上、75以下を「◎」と評価した。
〈高温耐久性試験〉
作製したシート状のサンプルを打ち抜いて、引張試験と同じダンベル状3号形試験片を作製し、ギヤオーブン中で、100℃×15日間加熱した。
次いでデマッチャ屈曲試験機を用いて、温度80℃の環境下、試験周波数5Hz、伸長率30%の条件で伸長試験を繰り返した際に、上記試験片が破断に至る伸長の繰り返し回数を10回単位で、最多100×10回までカウントした。
そして30×10回未満の伸長によって破断したものを「×」、30×10回以上、100×10回未満の伸長によって破断したものを「○」、100×10回の伸長でも破断しなかったものを「◎」と評価した。
以上の結果を表2〜表5に示す。
Figure 2016222830
Figure 2016222830
Figure 2016222830
Figure 2016222830
前述した本発明の目的を達成するためには、表2〜表5の実施例1〜17、比較例3、4の結果より、硫黄の配合割合が、ゴム分の総量100質量部あたり0.5質量部以上、2質量部以下である必要があることが判った。
また実施例1〜17、比較例2、5の結果より、架橋促進剤の配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり0.5質量部以上、5質量部以下である必要があることが判った。
さらに実施例1〜17、比較例1、5の結果より、硫黄と架橋促進剤の質量比(硫黄)/(架橋促進剤)は、0.1以上、0.85以下である必要があることが判った。
また、特に実施例1〜4と実施例5〜8、15、16の結果より、硫黄の配合割合は、上記の範囲でも0.8質量部以上であるのが好ましく、1.2質量部以下であるのが好ましいこと、架橋促進剤の配合割合は、上記の範囲でも1質量部以上、特に1.2質量部以上であるのが好ましく、2.2質量部以下、特に2質量部以下であるのが好ましいこと、さらに両者の質量比(硫黄)/(架橋促進剤)は、上記の範囲でも0.50以上であるのが好ましいことが判った。
実施例1〜4と実施例15、16の結果より、架橋促進剤としては、スルフェンアミド系促進剤を単独で使用するか、当該スルフェンアミド系促進剤とチウラム系促進剤を併用するのが好ましいこと、チウラム系促進剤を併用する場合、その配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり0.5質量部以上、2質量部以下であるのが好ましいことが判った。
実施例1〜4と実施例9、10の結果より、カーボンブラックとしては、窒素吸着比表面積が90m/g以上、130m/g以下、DBP吸油量が80cm/100g以上、130cm/100g以下であるカーボンブラックを選択して用いるのが好ましいことが判った。
実施例1〜4と実施例11〜14の結果より、カーボンブラックの配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり60質量部以上であるのが好ましく、80質量部以下であるのが好ましいことが判った。
実施例1〜4と実施例17の結果より、老化防止剤としては、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体を選択して用いるのが好ましく、その配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり1質量部以上、3質量部以下であるのが好ましいことが判った。
さらに実施例1、2と実施例3、4の結果より、ゴム分としては、天然ゴムを単独で使用するか、当該天然ゴムとSBRを併用するのが好ましいことが判った。

Claims (6)

  1. 天然ゴムを含むゴム分、前記ゴム分の総量100質量部あたり、0.5質量部以上、2質量部以下の硫黄、0.5質量部以上、5質量部以下の架橋促進剤、カーボンブラック、および老化防止剤を含み、前記硫黄および前記架橋促進剤の質量比(硫黄)/(架橋促進剤)は、0.1以上、0.85以下である防舷材用ゴム組成物。
  2. 前記架橋促進剤は、スルフェンアミド系促進剤を少なくとも含む請求項1に記載の防舷材用ゴム組成物。
  3. 前記架橋促進剤は、前記スルフェンアミド系促進剤とチウラム系促進剤であり、前記チウラム系促進剤の配合割合は、前記ゴム分の総量100質量部あたり0.5質量部以上、2質量部以下である請求項1または2に記載の防舷材用ゴム組成物。
  4. 前記カーボンブラックは、窒素吸着比表面積が90m/g以上、130m/g以下、DBP吸油量が80cm/100g以上、130cm/100g以下のカーボンブラックであり、前記カーボンブラックの配合割合は、前記ゴム分の総量100質量部あたり60質量部以上、80質量部以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の防舷材用ゴム組成物。
  5. 前記老化防止剤は、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体であり、その配合割合は、前記ゴム分の総量100質量部あたり1質量部以上、3質量部以下である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の防舷材用ゴム組成物。
  6. 前記ゴム分は、前記天然ゴムとスチレンブタジエンゴムである請求項1ないし5のいずれか1項に記載の防舷材用ゴム組成物。
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