JP2016222613A - オキセタンイミド化合物およびそれを用いたインク - Google Patents

オキセタンイミド化合物およびそれを用いたインク Download PDF

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Abstract

【課題】 これまでポリイミド膜を形成する上でイミド化に必要であった高温焼成を省くことができ、より低温かつ短時間で、耐熱性、絶縁性および密着性に優れたポリイミド膜を形成することができる新規化合物を提供すること。
【解決手段】式(1)で表されるオキセタンイミド化合物(A)。
【化100】
Figure 2016222613

[式(1)中、Xは炭素数2〜100の四価の有機基であり、複数あるYはそれぞれ独立に炭素数1〜100の二価の有機基であり、複数あるZ1はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキレン基であり、複数あるZ2はそれぞれ独立に水素、メチルまたはエチルである。]
【選択図】なし

Description

本発明は、新規なオキセタンイミド化合物、例えば電子部品製作において絶縁膜を形成するために用いられるインク、該インクから得られるポリイミド膜およびその製造方法、フィルム基板またはシリコンウエハー基板、ならびに電子部品に関する。
ポリイミドは、耐熱性および電気絶縁性に優れるため、電子通信分野で広く用いられている(例えば、特許文献1〜3参照)。ポリイミド膜は、通常、ポリアミド酸などのポリイミド前駆体を溶媒に溶解させたインクを支持体に塗布した後に、加熱処理をすることによりポリイミド前駆体のイミド化を行い、得ることができる。
イミド化を行う時の加熱温度は通常、150℃以上必要であり、加熱時間も30分以上必要である。ポリイミド前駆体をフィルム基板などに塗布した場合、フィルム基板の耐熱性およびポリイミド膜を有する電子部品の製造にかかる時間短縮の観点から、イミド化を行う温度は低温で時間を短くすることが求められる。
感光性ポリイミドは各種提案されているが(例えば、特許文献4〜6参照)、その多くはポリアミド酸などのポリイミド前駆体を用いており、イミド化のための加熱処理が必要である。また、有機溶媒に可溶なポリイミドも提案されているが、ポリイミドを含む化合物間に架橋を形成するために加熱処理が必要となる。
特開2000−039714号公報 特開2003−238683号公報 特開2004−094118号公報 特開2014−177642号公報 特開2014−145957号公報 特開2014−137523号公報
本発明は、これまでポリイミド膜を形成する上でイミド化に必要であった高温焼成を省くことができ、より低温かつ短時間で、耐熱性、絶縁性および密着性に優れたポリイミド膜を形成することができる新規化合物を提供することを課題とする。
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討した。その結果、特定構造を有するオキセタンイミド化合物(A)、ならびに前記化合物(A)を含むインクにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、以下の通りである。
[1]式(1)で表されるオキセタンイミド化合物(A)。
Figure 2016222613
[式(1)中、Xは炭素数2〜100の四価の有機基であり、複数あるYはそれぞれ独立に炭素数1〜100の二価の有機基であり、複数あるZ1はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキレン基であり、複数あるZ2はそれぞれ独立に水素、メチルまたはエチルである。]
[2]式(1)中、複数あるYがそれぞれ独立に式(1−1)で表される、前記[1]に記載のオキセタンイミド化合物(A)。
Figure 2016222613
[式(1−1)中、mは1〜11の整数であり;mが1のときR1は水素、炭素数1〜30のアルキルまたは炭素数6〜10のアリールであり、前記アルキルにおける少なくとも一つの水素は、ヒドロキシル基、ヒドロキシフェニル基、チオール基、インドール基またはイミダゾール基で置き換えられてもよく、前記アルキルにおける少なくとも一つの−CH2−は−S−で置き換えられてもよく;mが2〜11の整数のときR1は水素である。]
[3]式(a1)で表されるテトラカルボン酸二無水物(a1)と、式(a2)で表されるアミノ酸(a2)と、式(a3)で表されるオキセタン含有化合物(a3)とを反応させて得られる、前記[1]または[2]に記載のオキセタンイミド化合物(A)。
Figure 2016222613
[式(a1)中、Xは炭素数2〜100の四価の有機基であり;式(a2)中、Yは炭素数1〜100の二価の有機基であり;式(a3)中、Z1は炭素数1〜10のアルキレン基であり、Z2は水素、メチルまたはエチルである。]
[4]アミノ酸(a2)が、式(a2−1)で表されるアミノ酸である、前記[3]に記載のオキセタンイミド化合物(A)。
Figure 2016222613
[式(a2−1)中、mは1〜11の整数であり;mが1のときR1は水素、炭素数1〜30のアルキルまたは炭素数6〜10のアリールであり、前記アルキルにおける少なくとも一つの水素は、ヒドロキシル基、ヒドロキシフェニル基、チオール基、インドール基またはイミダゾール基で置き換えられてもよく、前記アルキルにおける少なくとも一つの−CH2−は−S−で置き換えられてもよく;mが2〜11の整数のときR1は水素である。]
[5]テトラカルボン酸二無水物(a1)が、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン二無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、エタンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−5−イソベンゾフランカルボン酸,[2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチリデン]ジ−4,1−フェニレンエステル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−5−イソベンゾフランカルボン酸オキシジ−4,1−フェニレンエステル、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビシクロへキシルテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物および4,4’−[(イソプロピリデン)ビス(p−フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物からなる群から選ばれる1種以上であり、アミノ酸(a2)が、グリシン、アラニン、β−アラニン、フェニルアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、システイン、メチオニン、セリン、トレオニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、4−アミノ酪酸、6−アミノヘキサン酸および12−アミノラウリン酸からなる群から選ばれる1種以上であり、オキセタン含有化合物(a3)が、3−エチル−3−オキセタンメタノールである、前記[3]または[4]に記載のオキセタンイミド化合物(A)。
[6]前記[1]〜[5]のいずれか1項に記載のオキセタンイミド化合物(A)と、溶媒(B)とを含むインク。
[7]オキセタンイミド化合物(A)の含有量が、インク全量に対して、5〜99.9重量%である、前記[6]に記載のインク。
[8]さらに、オキセタン硬化剤、エポキシ硬化剤、重合性モノマー、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、界面活性剤、ポリアミド酸、ポリアミド酸のイミド化重合体、可溶性ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアミド酸エステル、ポリエステル、アクリル酸ポリマー、アクリレートポリマー、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、アルケニル置換ナジイミド化合物、シリコンアミド酸化合物、帯電防止剤、カップリング剤およびラジカル重合開始剤からなる群から選ばれる1種以上を含む、前記[6]または[7]に記載のインク。
[9]前記[6]〜[8]のいずれか1項に記載のインクから得られるポリイミド膜。
[10]前記[6]〜[8]のいずれか1項に記載のインクを基板上に塗布して塗膜を形成した後、前記塗膜を硬化処理して得られるポリイミド膜。
[11]フィルムと、該フィルム上に形成された前記[9]または[10]に記載のポリイミド膜とを有するフィルム基板。
[12]前記[11]に記載のフィルム基板を有する電子部品。
[13]シリコンウエハーと、前記シリコンウエハー上に形成された前記[9]または[10]に記載のポリイミド膜とを有するシリコンウエハー基板。
[14]前記[13]に記載のシリコンウエハー基板を有する電子部品。
本発明によれば、これまでポリイミド膜を形成する上でイミド化に必要であった高温焼成を省くことができ、より低温かつ短時間で耐熱性、絶縁性および密着性に優れたポリイミド膜を形成することができる新規化合物を提供することができる。
以下、本発明のオキセタンイミド化合物(A)およびその製造方法、それを用いたインク、該インクから得られるポリイミド膜の製造方法、フィルム基板またはシリコンウエハー基板、ならびに電子部品について説明する。
1 オキセタンイミド化合物(A)
本発明のオキセタンイミド化合物(A)は、式(1)で表される。
Figure 2016222613
式(1)中、Xは炭素数2〜100の四価の有機基であり、複数あるYはそれぞれ独立に炭素数1〜100の二価の有機基であり、複数あるZ1はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキレン基であり、複数あるZ2はそれぞれ独立に水素、メチルまたはエチルである。複数あるZ1はメチレンであり、複数あるZ2は、エチルであることが好ましい。
Xは、後述する式(a1)で表されるテトラカルボン酸二無水物の残基であることが好ましい。テトラカルボン酸二無水物の残基とは、後述する式(a1)中のXを意味する。
Yは、式(1−1)で表される二価の基であることが好ましい。
Figure 2016222613
式(1−1)中、mは1〜11の整数、好ましくは1または2〜6の整数であり;mが1のときR1は水素、炭素数1〜30のアルキルまたは炭素数6〜10のアリールであり、前記アルキルにおける少なくとも一つの水素は、ヒドロキシル基、ヒドロキシフェニル基、チオール基、インドール基またはイミダゾール基で置き換えられてもよく、前記アルキルにおける少なくとも一つの−CH2−は−S−で置き換えられてもよく;mが2〜11の整数のときR1は水素である。
上記アルキルは、直鎖状であっても分岐状であってもよい。上記アルキルとしては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチルなどが挙げられる。上記アルキルの炭素数は、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4である。上記アリールとしては、フェニル、ベンジル、トリル、キシリル、ナフチルなどが挙げられる。
上記ヒドロキシル基で置き換えられたアルキルとしては、例えば上記アルキルが有する少なくとも1つの水素がヒドロキシル基(−OH)に置き換えられた基が挙げられ、具体的にはヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、s−ヒドロキシブチルなどが挙げられる。
上記ヒドロキシフェニル基で置き換えられたアルキルとしては、例えば上記アルキルが有する少なくとも1つの水素をヒドロキシフェニル基(−C65(OH))に置き換えられた基が挙げられ、具体的には4−ヒドロキシベンジルなどが挙げられる。
上記チオール基で置き換えられたアルキルとしては、例えば上記アルキルが有する少なくとも1つの水素をチオール基(−SH)に置き換えられた基が挙げられ、具体的にはメルカプトメチルなどが挙げられる。
上記−S−で置き換えられたアルキルとしては、例えば上記アルキルが有する少なくとも1つのメチレンを−S−に置き換えられた基が挙げられ、具体的にはメチルチオエチルなどが挙げられる。
上記インドール基またはイミダゾール基で置き換えられたアルキルとしては、上記アルキルが有する少なくとも1つの水素をインドール基(インドール環)またはイミダゾール基(イミダゾール環)に置き換えられた基が挙げられ、具体的には(3−インドリル)メチル、(5−イミダゾリル)メチルなどが挙げられる。
本発明のオキセタンイミド化合物(A)は既にイミド化されているために、アミック酸をイミドにするための加熱処理が不要であり、低温かつ短時間でポリイミド膜を形成することができる。オキセタンイミド化合物(A)はイミド骨格を有しているため、耐熱性に優れ、また、末端にオキセタンを有しているため、硬化性および密着性に優れたポリイミド膜を得ることができる。
2 オキセタンイミド化合物(A)の製造方法
本発明のオキセタンイミド化合物(A)は、例えば、式(a1)で表されるテトラカルボン酸二無水物(以下「テトラカルボン酸二無水物(a1)」ともいう。)と、式(a2)で表されるアミノ酸(以下「アミノ酸(a2)」ともいう。)と、式(a3)で表されるオキセタン含有化合物(以下「化合物(a3)」ともいう。)とを反応させて得ることができる。
Figure 2016222613
式(a1)中、Xは炭素数2〜100の四価の有機基であり;式(a2)中、Yは炭素数1〜100の二価の有機基であり;式(a3)中、Z1は炭素数1〜10のアルキレン基であり、複数あるZ2は水素、メチルまたはエチルである。Z1はメチレンであり、Z2は、エチルであることが好ましい。
2.1 テトラカルボン酸二無水物(a1)
テトラカルボン酸二無水物(a1)は上記式(a1)で表され、具体的にはピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン二無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、エタンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−5−イソベンゾフランカルボン酸,[2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチリデン]ジ−4,1−フェニレンエステル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−5−イソベンゾフランカルボン酸オキシジ−4,1−フェニレンエステル、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビシクロへキシルテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物などが挙げられる。また、4,4’−[(イソプロピリデン)ビス(p−フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物、エチレンジアミン四酢酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレン琥珀酸二無水物および下記式a1−1〜a1−56で表される化合物などが挙げられる。
Figure 2016222613
Figure 2016222613
Figure 2016222613
Figure 2016222613
Figure 2016222613
Figure 2016222613
Figure 2016222613
テトラカルボン酸二無水物(a1)の上記具体例の中でも、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビシクロへキシルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−[(イソプロピリデン)ビス(p−フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物を用いることが好ましい。
2.2 アミノ酸(a2)
アミノ酸(a2)は上記式(a2)で表される。アミノ酸(a2)は、得られる化合物の溶媒(B)への溶解性の観点から、式(a2−1)で表されるアミノ酸が好ましい。
Figure 2016222613
式(a2−1)中、mは1〜11の整数であり、好ましくは1または2〜6の整数であり;mが1のときR1は水素、炭素数1〜30のアルキルまたは炭素数6〜10のアリールであり、前記アルキルは、ヒドロキシル基、ヒドロキシフェニル基、チオール基、−S−、インドール基またはイミダゾール基を含んでいてもよく;mが2〜11の整数のときR1は水素である。式(a2−1)中のR1の好ましい基および例示は、上記式(1−1)で説明した基および例示と同様である。
アミノ酸(a2)としては、具体的にはグリシン、アラニン、β−アラニン、フェニルアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、システイン、メチオニン、セリン、トレオニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、4−アミノ酪酸、6−アミノヘキサン酸、12−アミノラウリン酸などが挙げられる。
2.3 化合物(a3)
化合物(a3)は上記式(a3)で表される。具体的には3−エチル−3−オキセタンメタノールなどが挙げられる。
2.4 オキセタンイミド化合物(A)の合成条件
オキセタンイミド化合物(A)は、例えば、テトラカルボン酸二無水物(a1)と、アミノ酸(a2)と、化合物(a3)とを反応させて得ることができる。具体的には、オキセタンイミド化合物(A)は、テトラカルボン酸二無水物(a1)とアミノ酸(a2)とを用いて合成されたアミド酸化合物をイミド化し、得られたオキセタンイミド中間体と化合物(a3)とを反応させて得ることができる。
Figure 2016222613
〈アミド酸化合物の合成〉
アミド酸化合物は、テトラカルボン酸二無水物(a1)およびアミノ酸(a2)を混合して、穏やかな反応条件下で合成することができる。穏やかな反応条件とは、例えば、常圧下、温度5〜60℃、反応時間0.2〜20時間で、好ましくは温度5〜30℃、反応時間0.2〜3時間で、触媒を使用することなく、テトラカルボン酸二無水物(a1)の酸無水物基の反応により開環して生じたカルボキシル基を活性化させることなく反応させる、という条件である。カルボキシル基の活性化とは、例えば、酸クロリドへの変換である。
上記の穏やかな反応条件では、テトラカルボン酸二無水物(a1)の酸無水物基とアミノ酸(a2)のアミノ基とが反応して生じたカルボキシル基が、アミノ酸(a2)のアミノ基と反応することがないため、遊離のカルボキシル基を有するオキセタンアミド酸化合物を得ることができる。
上記アミド酸化合物の合成において、反応原料の反応系への添加順序は特に限定されない。例えば、(1)テトラカルボン酸二無水物(a1)およびアミノ酸(a2)を同時に反応溶媒に加える方法、(2)アミノ酸(a2)を反応溶媒中に溶解させた後に、前記反応溶媒にテトラカルボン酸二無水物(a1)を添加する方法、(3)テトラカルボン酸二無水物(a1)を反応溶媒中に溶解させた後に、前記反応溶媒にアミノ酸(a2)を添加する方法など、いずれの方法も用いることができる。
テトラカルボン酸二無水物(a1)およびアミノ酸(a2)の仕込み量としては、テトラカルボン酸二無水物(a1)1モルに対して、アミノ酸(a2)を0.5〜4.0モル用いることが好ましく、0.7〜3.0モル用いることがより好ましく、1.0〜2.4モル用いることがさらに好ましい。
〈オキセタンイミド中間体の合成〉
オキセタンイミド中間体は、上記アミド酸化合物をイミド化することにより得ることができる。イミド化は、熱的方法または脱水触媒および脱水剤を用いた化学的方法により進めることができるが、精製処理を行わないで使用できる熱的方法により進めることが好ましい。
上記アミド酸化合物のイミド化は、熱的方法、具体的には加熱還流により進めることが好ましい。還流条件は、使用する反応溶媒により異なるが、温度が通常70〜230℃、好ましくは140〜230℃で、反応時間が通常1.5〜10時間、好ましくは2〜4時間である。温度が70℃以上であると膜を形成可能なオキセタンイミド化合物(A)が得られやすい。温度が140℃以上であるとイミド化が充分に進み、より強固な膜を形成可能なオキセタンイミド化合物(A)が得られやすい。温度が230℃以下であると比較的沸点の高い反応溶媒を用いても還流可能である。加熱還流後には、通常、反応溶媒、ならびに反応で生じた水などを留去する。
また、アミド酸化合物の合成における上記の緩やかな反応条件に代えて、アミド酸化合物の合成およびイミド化を上記還流条件下で進めることにより、オキセタンイミド中間体を得てもよい。
〈オキセタンイミド化合物(A)の合成〉
オキセタンイミド化合物(A)は、上記オキセタンイミド中間体と化合物(a3)とを反応させることにより得ることができる。前記反応では、上記オキセタンイミド中間体のカルボン酸部と化合物(a3)のアルコール部とが反応する。
このとき、オキセタンイミド中間体のカルボン酸部を活性化させることにより反応を進めることが好ましい。例えば、塩化チオニルなどを用いてオキセタンイミド中間体のカルボン酸部を酸塩化物へ変換した後に化合物(a3)と反応させる方法、ジシクロヘキシルカルボジイミドなどのアミド縮合剤を用いてオキセタンイミド中間体と化合物(a3)とを反応させる方法が挙げられる。
反応条件は、例えば、塩基の存在下、温度0〜80℃、反応時間0.2〜30時間である。塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジンなどが挙げられる。
化合物(a3)の仕込み量としては、オキセタンイミド中間体1モルに対して、化合物(a3)を2.0〜10.0モル用いることが好ましく、2.0〜5.0モル用いることがより好ましく、2.0〜3.0モル用いることがさらに好ましい。
〈反応溶媒〉
オキセタンイミド化合物(A)を合成する際、より詳しくはアミド酸化合物、オキセタンイミド中間体およびオキセタンイミド化合物(A)を合成する際には、反応溶媒を用いることができる。
反応溶媒としては、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、γ−ブチロラクトン、4−メチル−2−ペンタノン、アニソール、エチルラクテート、トルエン、キシレン、安息香酸メチル、安息香酸エチル、ジクロロメタン、クロロホルム、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、1−ビニル−2−ピロリドン、1−ブチル−2−ピロリドン、1−エチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N−メチル−ε−カプロラクタム、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどが挙げられる。
これらの反応溶媒の中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、γ−ブチロラクトン、4−メチル−2−ペンタノン、トルエン、ジクロロメタンが溶解性の面で好ましい。
反応溶媒は1種で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、上記反応溶媒以外の他の溶媒を、反応溶媒と混合して用いることもできる。
反応溶媒は、反応をスムーズに進行させる観点から、テトラカルボン酸二無水物(a1)、アミノ酸(a2)および化合物(a3)などの反応原料の合計100重量部に対して、100重量部以上用いることが好ましい。
3 インク
本発明のインクは、上述のオキセタンイミド化合物(A)と、溶媒(B)とを含む。前記インクは、さらにその他の添加剤(C)を含んでもよい。なお、本発明のインクは、有色または無色のどちらであっても構わない。
3.1 オキセタンイミド化合物(A)
オキセタンイミド化合物(A)およびその好適態様については、上述したとおりである。本発明のインクにおける(メタ)アクリルイミド化合物(A)の含有量は、インク全量に対して5〜99.9重量%が好ましく、インクとしての取り扱いを考慮すると、5〜70重量%がより好ましい。
3.2 溶媒(B)
溶媒(B)は、オキセタンイミド化合物(A)を溶解することができる溶媒であれば特に制限されない。また、単独ではオキセタンイミド化合物(A)を溶解しない溶媒であっても、他の溶媒と混合することによってオキセタンイミド化合物(A)を溶解することができる混合溶媒となるのであれば、前記混合溶媒を溶媒(B)として用いることが可能である。
溶媒(B)の1気圧における沸点は、通常100〜300℃、好ましくは150〜250℃である。
溶媒(B)としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラメチレングリコールモノビニルエーテル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、γ−ブチロラクトン、アニソール、エチルラクテート、安息香酸メチル、安息香酸エチル、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素、2−ピロリドン、1−メチル−2−ピロリドン、1−エチル−2−ピロリドン、1−ブチル−2−ピロリドン、1−ビニル−2−ピロリドン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドン、1−アセチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチル−ε−カプロラクタム、カルバミド酸エステル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、トルエンが挙げられる。
溶媒を用いる場合、塗布方法によって使用する溶媒は異なるが、硬化処理時に低温かつ短時間で行うことが好ましいことから、揮発しやすい溶媒が好ましい。具体的には、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、トルエンが好ましい。
溶媒(B)は、本発明のインク100重量%中、好ましくは80重量%以下、より好ましくは60重量%以下の量で用いられる。
3.3 添加剤(C)
添加剤(C)としては、例えば、オキセタン硬化剤、エポキシ硬化剤、重合性モノマーが挙げられる。添加剤(C)としては、さらに、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、界面活性剤、ポリアミド酸、ポリアミド酸のイミド化重合体、可溶性ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアミド酸エステル、ポリエステル、アクリル酸ポリマー、アクリレートポリマー、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、アルケニル置換ナジイミド化合物、シリコンアミド酸化合物、帯電防止剤、カップリング剤、ラジカル重合開始剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、水溶性ポリマー、顔料、染料等が挙げられる。添加剤(C)は1種で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
3.3.1 オキセタン硬化剤およびエポキシ硬化剤
本発明において、オキセタンの開環重合反応を促進するために、オキセタン硬化剤を用いることが好ましい。また、添加剤としてエポキシ樹脂を用いる場合、エポキシ硬化剤も用いることが好ましい。オキセタン硬化剤およびエポキシ硬化剤は、公知の化合物、例えば有機酸ジヒドラジド化合物、イミダゾールおよびその誘導体、ジシアンジアミド、芳香族アミンなどのアミン、多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、カチオン重合開始剤を用いることができ、本発明のインク100重量%中、0.2〜5重量%の量で用いられることが好ましい。特にカチオン重合開始剤は種類によって、カチオン重合が光と熱のどちらで進むかを適宜選択することができ、硬化反応も早く好ましい。
カチオン重合開始剤は、活性エネルギー線照射や熱エネルギーによりカチオン重合を開始させる物質を放出することができる化合物であればよい。かかるカチオン重合開始剤としては、例えば、ルイス酸を放出するオニウム塩である複塩またはその誘導体が挙げられる。
上記のカチオン重合開始剤の代表的なものとしては、下記式(1)で示される陽イオンと陰イオンの塩を挙げることができる。
[A]m+[B]m- (1)
式(1)において、陽イオン[A]m+はオニウムイオンであることが好ましく、例えば下記式(2)で示される。
[(α)aQ]m+ (2)
式(2)において、αは炭素数が1〜60の有機基である。aは1〜5の整数である。a個のαは各々独立で、同一でも異なっていてもよい。また、少なくとも1つのαは、芳香環を有する有機基であることが好ましい。
前記αとしては、例えば、フェニル、4−メトキシフェニル、4−メチルフェニル、44−t−ブチルフェニル、4−チオフェノキシフェニル、4−フルオロフェニルが挙げられる。
Qは、S、N、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、I、Br、Cl、F、N=Nからなる群から選ばれる原子あるいは原子団である。また、陽イオン[A]m+中のQの原子価をqとしたとき、m=a−qである(但し、N=Nは原子価0として扱う)。
一方、陰イオン[B]m-は、ハロゲン化物錯体であるのが好ましく、例えば下記式(3)で示される。
[LXbm- (3)
式(3)において、Lはハロゲン化物錯体の中心原子である金属または半金属(Metalloid)であり、B、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Coなどである。Xはハロゲン原子である。bは3〜7なる整数である。また、陰イオン[LXbm-中のLの原子価をpとしたとき、m=b−pである。
式(3)で示される陰イオン[LXbm-の具体例には、テトラフルオロボレート(BF4)、ヘキサフルオロフォスフェート(PF6)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6)、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl6)などが含まれる。
また陰イオン[B]m-としては、下記式(4)で示されるものも好ましく用いることができる。L、X、bは上記と同様である。
[LXb-1(OH)]m- (4)
陰イオン[B]m-の例には、さらに過塩素酸イオン(ClO4-、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CF3SO3-、フルオロスルホン酸イオン(FSO3-、トルエンスルホン酸陰イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸陰イオンなども含まれる。
本発明におけるカチオン重合開始剤は、このようなオニウム塩の中でも、下記の(イ)〜(ハ)に例示される芳香族オニウム塩であることがさらに好ましい。これらの中から、その1種を単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
(イ)フェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メトキシフェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェートなどのアリールジアゾニウム塩。
(ロ)ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェートなどのジアリールヨードニウム塩。
(ハ)トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ビス(ジフェニルスルフォニオ)フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート、4,4’−ビス(ジフェニルスルフォニオ)フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ビス[ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート、4,4’−ビス[ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロホスフェート、4−[4’−(ベンゾイル)フェニルチオ]フェニル−ジ−(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−[4'−(ベンゾイル)フェニルチオ]フェニル−ジ−(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェートなどのトリアリールスルホニウム塩。
さらに、本発明におけるカチオン重合開始剤は、鉄アレーン錯体またはアルミニウム錯体と、トリフェニルシラノールなどのシラノール類との混合物であってもよい。
鉄アレーン錯体の例には、(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)〔(1,2,3,4,5,6−η)−(1−メチルエチル)ベンゼン〕−アイアン−ヘキサフルオロホスフェートなどが含まれ、アルミニウム錯体の例には、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム、トリス(エチルアセトナトアセタト)アルミニウム、トリス(サリチルアルデヒダト)アルミニウムなどが含まれる。
上記の中でも実用面の観点から、本発明の実施の形態における硬化反応開始剤は、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、鉄−アレーン錯体であることが好ましい。
紫外線照射によりカチオン種を発生するカチオン重合開始剤としては、例えば、ヘキサフルオロアンチモネート塩、ペンタフルオロヒドロキシアンチモネート塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアルゼネート塩が挙げられる。上記カチオン重合開始剤としては、例えば、UVACURE1590(商品名:ダイセル・サイテック(株)製)、CD−1010、CD−1011、CD−1012(いずれも商品名:米国サートマー製)、イルガキュア264(商品名:BASF製)、CIT−1682(商品名:日本曹達(株)製)などの市販品を使用することもできる。
加熱処理を施すことによりカチオン種を発生するカチオン重合開始剤としては、例えば、アリールジアゾニウム塩、アリールヨードニウム塩、アリールスルホニウム塩、アレン−イオン錯体が挙げられる。上記カチオン重合開始剤としては、例えば、PP−33、CP−66、CP−77(いずれも商品名:(株)ADEKA製)、FC−509(商品名:スリーエム製)、UVE1014(商品名:G.E.製)、サンエイドSI−60、サンエイドSI−80、サンエイドSI−100、サンエイドSI−110、サンエイドSI−150(いずれも商品名:三新化学工業(株)製)、CG−24−61(商品名:チバ・ジャパン製)等の市販品を好ましく使用することができる。さらに、アルミニウムやチタンなどの金属とアセト酢酸若しくはジケトン類とのキレート化合物とトリフェニルシラノール等のシラノールとの化合物、または、アルミニウムやチタンなどの金属とアセト酢酸若しくはジケトン類とのキレート化合物とビスフェノールS等のフェノール類との化合物であってもよい。
特に、サンエイドSI-60は硬化の際の加温温度を比較的低温(80℃〜150℃)にすることができ、かつ保存安定性に優れるため、成膜性に優れ好ましい。
3.3.2 重合性モノマー
本発明のインクは、さらにオキセタンイミド化合物(A)以外の重合性モノマーを含んでいてもよい。重合性モノマーとしては、例えば、単官能重合性モノマー、二官能(メタ)アクリレート、三官能以上の多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
単官能重合性モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、5−テトラヒドロフルフリルオキシカルボニルペンチル(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールのエチレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシエチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロキシエチルオキセタン、p−ビニルフェニル−3−エチルオキセタ−3−イルメチルエーテル、2−フェニル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、2−トリフロロメチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、4−トリフロロメチル−2−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、クロルメチルスチレン、ビニルトルエン、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、(メタ)アクリルアミド、N−アクリロイルモルホリン、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、ケイ皮酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、コハク酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、マレイン酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、シクロヘキセン−3,4−ジカルボン酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]が挙げられる。
二官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジアクリレート、ビスフェノールAエチレンオキシド変性ジアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性ジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、1,4−ビス(アクリロイルオキシ)ブタン、1,6−ビス(アクリロイルオキシ)ヘキサン、1,9−ビス(アクリロイルオキシ)ノナン、1,10−ビス(アクリロイルオキシ)デカン、1,4−シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレートが挙げられる。
三官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、ウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。
重合性モノマーは1種で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
3.3.3 エポキシ樹脂およびオキセタン樹脂
本発明のインクは、さらにエポキシ樹脂およびオキセタンイミド化合物(A)以外のオキセタン樹脂から選ばれる少なくとも一種を含んでいてもよい。エポキシ樹脂としては、オキシラン環を有する化合物であれば特に限定されないが、オキシラン環を2つ以上有する化合物が好ましい。オキセタン樹脂としては、オキセタン環を有する化合物であれば特に限定されないが、オキセタン環を2つ以上有する化合物が好ましい。但し、上述の重合性モノマーに分類される化合物は除く。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、アルコキシシリルとオキシラン環とを有する化合物、オキシラン環を有するモノマーの重合体、オキシラン環を有するモノマーと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。
オキシラン環を有するモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
オキシラン環を有するモノマーと共重合を行う他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、クロルメチルスチレン、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミドが挙げられる。
オキシラン環を有するモノマーの重合体およびオキシラン環を有するモノマーと他のモノマーとの共重合体の好ましい具体例としては、ポリグリシジルメタクリレート、メチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、ベンジルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、n−ブチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、スチレン−グリシジルメタクリレート共重合体が挙げられる。
エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、商品名「エピコート807」、「エピコート815」、「エピコート825」、「エピコート827」、「エピコート828」、「エピコート190P」、「エピコート191P」、商品名「エピコート1004」、「エピコート1256」(以上、現在、三菱化学(株)のjER(商品名)として入手できる。)、商品名「アラルダイトCY177」、商品名「アラルダイトCY184」(日本チバガイギー(株)製)、商品名「セロキサイド2021P」、「セロキサイド3000」、「EHPE−3150」(ダイセル化学工業(株)製)、商品名「テクモアVG3101L」(三井化学(株)製)が挙げられる。
エポキシ樹脂およびオキセタン樹脂は1種で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
3.3.4 界面活性剤
界面活性剤は、本発明のインクの下地基板への濡れ性、レベリング性、または塗布性を向上させるために使用することができ、界面活性剤を用いる場合、本発明のインク100重量%中、0.01〜1重量%の量で用いられることが好ましい。
界面活性剤としては、例えば、商品名「メガファックF−556」(DIC株式会社製)商品名「DFX−18」、「フタージェント250」、「フタージェント251」((株)ネオス製)等のフッ素系界面活性剤;商品名「Byk−300」、「Byk−306」、「Byk−335」、「Byk−310」、「Byk−341」、「Byk−344」、「Byk−370」(ビックケミー(株)製)等のシリコン系界面活性剤;商品名「Byk−354」、「ByK−358」、「Byk−361」(ビックケミー(株)製)等のアクリル系界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤は1種で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
3.3.5 高分子化合物
本発明のインクは、ポリアミド酸、ポリアミド酸のイミド化重合体、可溶性ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアミド酸エステル、ポリエステル、(メタ)アクリル酸ポリマー、(メタ)アクリレートポリマー、ポリビニルアルコールおよびポリオキシエチレンから選択される添加剤(以下「高分子化合物」ともいう。)を含有しても良い。
インク中に前記高分子化合物を含有させることにより、インク中の高分子化合物の濃度を高くすることができ、インクを塗布して得られる塗膜の柔軟性および耐熱性を向上させることができる。
3.3.6 アルケニル置換ナジイミド化合物
アルケニル置換ナジイミド化合物は、分子内に少なくとも1つのアルケニル置換ナジイミド構造を有する化合物であれば特に限定されない。
3.3.7 シリコンアミド酸化合物
シリコンアミド酸化合物は、分子内にアミド酸構造を有するシリコンアミド酸化合物であれば特に限定されない。
3.3.8 帯電防止剤
帯電防止剤は、本発明のインクの帯電を防止するために使用することができ、帯電防止剤を用いる場合は、本発明のインク100重量%中、0.01〜1重量%の量で用いられることが好ましい。
帯電防止剤としては、公知の帯電防止剤を用いることができる。具体的には、酸化錫、酸化錫・酸化アンチモン複合酸化物、酸化錫・酸化インジウム複合酸化物などの金属酸化物;四級アンモニウム塩が挙げられる。
帯電防止剤は1種で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
3.3.9 カップリング剤
カップリング剤は、公知のカップリング剤を用いることができる。
カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、例えば、トリアルコキシシラン化合物、ジアルコキシシラン化合物が挙げられる。
トリアルコキシシラン化合物またはジアルコキシシラン化合物としては、例えば、γ−ビニルプロピルトリメトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−アミノエチル−γ−イミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシランが挙げられる。これらの中でも、γ−ビニルプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシランが特に好ましい。
カップリング剤は1種で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
3.3.10 ラジカル重合開始剤
ラジカル重合開始剤は、本発明のインクに(メタ)アクリル基などの付加重合性官能基を有する重合性モノマーなどが加えられている場合、重合性モノマーの重合を促進するために使用することができる。ラジカル重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤を用いる場合は、本発明のインク100重量%中、0.1〜15重量%の量で用いられることが好ましい。
ラジカル重合開始剤は、特に限定しない。活性エネルギー線でラジカルを発生する開始剤であればよい。
活性エネルギー線重合開始剤として用いられる化合物としては、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、イソプロピルキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−4′−イソプロピルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、カンファーキノン、ベンズアントロン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1,4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4,4′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,4′−トリ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2−(4′−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3′,4′−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2′,4′−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2′−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4′−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)]−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2′−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4′−メトキシフェニル)−s−トリアジン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、3,3′−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、2−(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、3−(2−メチル−2−ジメチルアミノプロピオニル)カルバゾール、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−ドデシルカルバゾール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′−ジ(メトキシカルボニル)−4,4′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4′−ジ(メトキシカルボニル)−4,3′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4′−ジ(メトキシカルボニル)−3,3′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどである。これらの化合物は単独で使用してもよく、2つ以上を混合して使用することできる。
3.4 インクの調製方法
本発明のインクジェット用インクは、オキセタンイミド化合物(A)と溶媒(B)と必要に応じて添加剤(C)とを均一に混合することによって、調製することができる。
4 ポリイミド膜の製造方法
本発明のポリイミド膜の製造方法は、(1)本発明のインクを基板上に塗布して塗膜を形成する工程(塗膜形成工程)、および(2)前記塗膜を硬化処理する工程(硬化処理工程)を有する。
4.1 塗膜形成工程
塗布方法としては、インクジェット法、ディスペンサー法、浸漬法、スプレー法、スクリーン印刷法などが挙げられる。
4.2 硬化処理工程
硬化処理は、塗膜の耐熱性、耐薬品性、平坦性、さらには充分な機械的強度を得るために、例えばホットプレートまたはオーブンなどで行い、これにより、全面または所定のパターン状(例:ライン状)のポリイミド膜が形成される。
硬化処理は、通常50℃を超えて350℃以下、好ましくは100〜300℃で行う。本発明のインクは、低温かつ短時間でポリイミド膜を作成できるため、150℃以上での焼成を省くことも可能である。硬化処理時間(加熱時間)は、例えば、オーブンを用いた場合には1〜90分間、ホットプレートを用いた場合には1〜30分間である。また、硬化処理としては、加熱処理に限定されず、UV処理やイオンビーム、電子線、ガンマ線などの処理でもよい。以上のようにして、ポリイミド膜が形成される。
5.フィルム基板またはシリコンウエハー基板
本発明のフィルム基板は、フィルムと、前記フィルム上に形成された上述のポリイミド膜とを有する。本発明のシリコンウエハー基板は、シリコンウエハーと、前記シリコンウエハー上に形成された上述のポリイミド膜とを有する。
フィルム基板またはシリコンウエハー基板は、例えば、配線が形成されたフィルム(例:ポリイミドフィルム)またはシリコンウエハー上に、上述のポリイミド膜の製造方法に従ってポリイミド膜を形成することにより、製造することができる。
本発明では、ポリイミド膜の形成対象として、ポリイミドフィルムやシリコンウエハーの他、公知の基板を用いることができる。本発明に適用可能な基板としては、例えば、FR−1、FR−3、FR−4、CEM−3、またはE668等の各種規格に適合する、ガラスエポキシ基板、ガラスコンポジット基板、紙フェノール基板、紙エポキシ基板、グリーンエポキシ基板およびBTレジン基板が挙げられる。
本発明に適用可能な他の基板としては、例えば、銅、黄銅、リン青銅、ベリリウム銅、アルミニウム、金、銀、ニッケル、スズ、クロム、ステンレスなどの金属からなる基板(それらの金属を表面に有する基板であってもよい);酸化アルミニウム(アルミナ)、窒化アルミニウム、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、ジルコニウムのケイ酸塩(ジルコン)、酸化マグネシウム(マグネシア)、チタン酸アルミニウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛(PT)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、硫化カドニウム、硫化モリブデン、酸化ベリリウム(ベリリア)、酸化ケイ素(シリカ)、炭化ケイ素(シリコンカーバイト)、窒化ケイ素(シリコンナイトライド)、窒化ホウ素(ボロンナイトライド)、酸化亜鉛、ムライト、フェライト、ステアタイト、ホルステライト、スピネル、スポジュメンなどのセラミックスからなる基板(それらのセラミックスを表面に有する基板であってもよい);PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂、PCT(ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート)樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、テフロン(登録商標)、熱可塑性エラストマー、液晶ポリマーなどの樹脂からなる基板(それらの樹脂を表面に有する基板であってもよい);シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素などの半導体基板;ガラス基板;酸化スズ、酸化亜鉛、ITO(酸化インジウムスズ)、ATO(酸化アンチモンスズ)などの電極材料が表面に形成された基板;αGEL(アルファゲル)、βGEL(ベータゲル)、θGEL(シータゲル)、γGEL(ガンマゲル)(以上、(株)タイカの登録商標)などのゲルシートが挙げられる。
6.電子部品
本発明の電子部品は、上述のフィルム基板および/またはシリコンウエハー基板を有する電子部品である。このように本発明のフィルム基板を利用して、フレキシブルな電子部品が得られる。また、本発明のシリコンウエハー基板を利用して、半導体電子部品が得られる。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の例ではインクを便宜上スピンコート法等により塗布しているが、他の方法により塗布しても定性的に同様の結果が得られる。
実施例および比較例で用いる、テトラカルボン酸二無水物、溶媒および重合性モノマーの名称を略号で示す。以下の記述にはこの略号を使用する。
テトラカルボン酸二無水物
ODPA:3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物
BTDA:3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
TAHQ:p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)
BSAA:4,4’−[(イソプロピリデン)ビス(p−フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物
溶媒
EDM:ジエチレングリコールメチルエチルエーテル
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
<化合物の構造確認>
ブルカー・バイオスピン(株)製の核磁気共鳴装置(DRX500)を用いて1H−NMRを測定し、化合物の構造を確認した。記載した数値はppmを表し、sはシングレット、dはダブレット、tはトリプレット、mはマルチプレットを表す。
〔オキセタンイミド1の合成〕
反応容器に8.13g(26.20mmol)のODPA、6.87g(52.40mmol)のイソロイシンおよび22mlのEDMを加え、170℃で3時間攪拌した。反応終了後、EDMおよび反応で生じた水を除去した。続けて、前記反応容器に、20mlのトルエンおよび10.62g(89.24mmol)の塩化チオニルを加え、70℃で3時間攪拌した。トルエンおよび塩化チオニルを除去することにより、酸塩化物を得た。別の反応容器に、6.30g(54.26mmol)の3−エチル−3−オキセタンメタノール、5.69g(56.28mmol)のトリエチルアミンおよび20mlのトルエンを混合し、これに先に調製した酸塩化物を滴下した。滴下終了後、さらに1時間攪拌した。反応溶液を分液ロートへ注ぎ、1M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液そして飽和食塩水の順に洗浄した。洗浄後、無水硫酸マグネシウムを加え溶液を乾燥した。乾燥後に、無水硫酸マグネシウムを濾別し、溶媒を取り除くことにより、18.14gのオキセタンイミド1を得た。
1H NMR(CDCl3,500MHz)δ:0.81−1.56(m,22H)、1.66(m,4H)、2.56(m,2H)、4.22−4.37(m,12H)、4.70(d,2H)、7.41(m,2H)、7.45(m,2H)、7.91(d,2H)
〔オキセタンイミド2の合成〕
反応容器に2.76g(8.55mmol)のBTDA、2.25g(17.11mmol)のイソロイシンおよび10mlのEDMを加え、170℃で3時間攪拌した。反応終了後、EDMおよび反応で生じた水を除去した。続けて、前記反応容器に、20mlのトルエンおよび4.38g(36.81mmol)の塩化チオニルを加え、70℃で3時間攪拌した。トルエンおよび塩化チオニルを除去することにより、酸塩化物を得た。別の反応容器に、2.09g(18.00mmol)の3−エチル−3−オキセタンメタノール、2.35g(23.24mmol)のトリエチルアミンおよび20mlのジクロロメタンを混合し、これに先に調製した酸塩化物を滴下した。滴下終了後、さらに1時間攪拌した。反応溶液を分液ロートへ注ぎ、1M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液そして飽和食塩水の順に洗浄した。洗浄後、無水硫酸マグネシウムを加え溶液を乾燥した。乾燥後に、無水硫酸マグネシウムを濾別し、溶媒を取り除くことにより、5.92gのオキセタンイミド2を得た。
〔オキセタンイミド3の合成〕
反応容器に2.64g(8.98mmol)のBPDA、2.36g(17.97mmol)のイソロイシンおよび10mlのEDMを加え、170℃で3時間攪拌した。反応終了後、EDMおよび反応で生じた水を除去した。続けて、前記反応容器に、20mlのトルエンおよび3.81g(32.01mmol)の塩化チオニルを加え、70℃で3時間攪拌した。トルエンおよび塩化チオニルを除去することにより、酸塩化物を得た。別の反応容器に、2.21g(19.05mmol)の3−エチル−3−オキセタンメタノール、2.18g(21.58mmol)のトリエチルアミンおよび20mlのトルエンを混合し、これに先に調製した酸塩化物を滴下した。滴下終了後、さらに1時間攪拌した。反応溶液を分液ロートへ注ぎ、1M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液そして飽和食塩水の順に洗浄した。洗浄後、無水硫酸マグネシウムを加え溶液を乾燥した。乾燥後に、無水硫酸マグネシウムを濾別し、溶媒を取り除くことにより、6.11gのオキセタンイミド3を得た。
〔オキセタンイミド4の合成〕
反応容器に3.18g(6.94mmol)のTAHQ、1.82g(13.88mmol)のイソロイシンおよび11mlのEDMを加え、170℃で3時間攪拌した。反応終了後、EDMおよび反応で生じた水を除去した。続けて、前記反応容器に、20mlのトルエンおよび3.51g(29.50mmol)の塩化チオニルを加え、70℃で3時間攪拌した。トルエンおよび塩化チオニルを除去することにより、酸塩化物を得た。別の反応容器に、1.76g(15.16mmol)の3−エチル−3−オキセタンメタノール、2.05g(20.28mmol)のトリエチルアミンおよび20mlのトルエンを混合し、これに先に調製した酸塩化物を滴下した。滴下終了後、さらに1時間攪拌した。反応溶液を分液ロートへ注ぎ、1M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液そして飽和食塩水の順に洗浄した。洗浄後、無水硫酸マグネシウムを加え溶液を乾燥した。乾燥後に、無水硫酸マグネシウムを濾別し、溶媒を取り除くことにより、5.80gのオキセタンイミド4を得た。
〔オキセタンイミド5の合成〕
反応容器に3.33g(6.39mmol)のBSAA、1.68g(12.77mmol)のイソロイシンおよび10mlのEDMを加え、170℃で3時間攪拌した。反応終了後、EDMおよび反応で生じた水を除去した。続けて、前記反応容器に、20mlのトルエンおよび3.11g(26.13mmol)の塩化チオニルを加え、70℃で3時間攪拌した。トルエンおよび塩化チオニルを除去することにより、酸塩化物を得た。別の反応容器に、1.57g(13.52mmol)の3−エチル−3−オキセタンメタノール、1.60g(15.83mmol)のトリエチルアミンおよび20mlのトルエンを混合し、これに先に調製した酸塩化物を滴下した。滴下終了後、さらに1時間攪拌した。反応溶液を分液ロートへ注ぎ、1M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液そして飽和食塩水の順に洗浄した。洗浄後、無水硫酸マグネシウムを加え溶液を乾燥した。乾燥後に、無水硫酸マグネシウムを濾別し、溶媒を取り除くことにより、6.76gのオキセタンイミド5を得た。
〔オキセタンイミド6の合成〕
反応容器に5.42g(17.47mmol)のODPA、4.58g(34.93mmol)のロイシンおよび25mlのEDMを加え、170℃で3時間攪拌した。反応終了後、EDMおよび反応で生じた水を除去した。続けて、前記反応容器に、20mlのトルエンおよび7.13g(59.92mmol)の塩化チオニルを加え、70℃で3時間攪拌した。トルエンおよび塩化チオニルを除去することにより、酸塩化物を得た。別の反応容器に、4.18g(35.60mmol)の3−エチル−3−オキセタンメタノール、3.93g(38.83mmol)のトリエチルアミンおよび20mlのトルエンを混合し、これに先に調製した酸塩化物を滴下した。滴下終了後、さらに1時間攪拌した。反応溶液を分液ロートへ注ぎ、1M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液そして飽和食塩水の順に洗浄した。洗浄後、無水硫酸マグネシウムを加え溶液を乾燥した。乾燥後に、無水硫酸マグネシウムを濾別し、溶媒を取り除くことにより、13.42gのオキセタンイミド6を得た。
〔オキセタンイミド7の合成〕
反応容器に2.42g(7.81mmol)のODPA、2.58g(15.61mmol)のフェニルアラニンおよび12mlのEDMを加え、170℃で3時間攪拌した。反応終了後、EDMおよび反応で生じた水を除去した。続けて、前記反応容器に、20mlのトルエンおよび3.81g(32.01mmol)の塩化チオニルを加え、70℃で3時間攪拌した。トルエンおよび塩化チオニルを除去することにより、酸塩化物を得た。別の反応容器に、1.89g(16.27mmol)の3−エチル−3−オキセタンメタノール、2.00g(19.80mmol)のトリエチルアミンおよび20mlのトルエンを混合し、これに先に調製した酸塩化物を滴下した。滴下終了後、さらに1時間攪拌した。反応溶液を分液ロートへ注ぎ、1M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液そして飽和食塩水の順に洗浄した。洗浄後、無水硫酸マグネシウムを加え溶液を乾燥した。乾燥後に、無水硫酸マグネシウムを濾別し、溶媒を取り除くことにより、6.33gのオキセタンイミド7を得た。
〔ビニルイミド1の合成〕
反応容器に2.71g(8.73mmol)のODPA、2.29g(17.47mmol)のイソロイシンおよび10mlのEDMを加え、170℃で3時間攪拌した。反応終了後、EDMおよび反応で生じた水を除去した。続けて、前記反応容器に、20mlのトルエンおよび3.69g(31.01mmol)の塩化チオニルを加え、70℃で3時間攪拌した。トルエンおよび塩化チオニルを除去することにより、酸塩化物を得た。別の反応容器に、2.38g(18.24mmol)のジエチレングリコールモノビニルエーテル、2.50g(24.75mmol)のトリエチルアミンおよび10mlのトルエンを混合し、これに先に調製した酸塩化物を滴下した。滴下終了後、さらに1時間攪拌した。反応溶液を分液ロートへ注ぎ、1M塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液そして飽和食塩水の順に洗浄した。洗浄後、無水硫酸マグネシウムを加え溶液を乾燥した。乾燥後に、無水硫酸マグネシウムを濾別し、溶媒を取り除くことにより、6.44gのビニルイミド1を得た。
[実施例1]
1.02gのオキセタンイミド1、0.97gのEDMおよび0.03gのサンエイドSI-60(三新化学工業株式会社製)を混合し、室温で当該混合液を15分攪拌することにより、インク1を得た。
[実施例2〜7]
表1に記載の成分を表1に記載の量で混合し、室温で当該混合液を15分攪拌することにより、インク2〜7を得た。
[比較例1]
1.01gのビニルイミド1、0.96gのEDMおよび0.04gのサンエイドSI-60(三新化学工業株式会社製)を混合し、当該混合液を室温で15分攪拌することにより、インク8を得た。
スピンコートにより、ガラス基板にインク8を塗布し、120℃に設定したホットプレートに10分間、試料を静置したが、膜にべたつき感があったことから、硬化不良と判断した。
<物性>
実施例における各物性の測定方法は、以下の通りである。
(i)誘電率および体積抵抗率
スピンコートによりクロム基板上に上記実施例1〜7で得られたインク1〜7を塗布し、さらに120℃のホットプレート上に10分間基板を置いてポリイミド膜を作製した。その後、イミド化合物の膜上にアルミニウムを蒸着させ電極を作成した。
誘電率は、LCR METER E4980A Precision(アジレントテクノロジー株式会社製)を用いて測定した。体積抵抗率は、ディジタル超絶縁/微少電流計 DSM−8104(日置電機株式会社製)を用いて測定した。
(ii)碁盤目剥離試験
スピンコートによりガラス基板およびクロム基板上に上記実施例1〜7で得られたインク1〜7を塗布し、さらに120℃のホットプレート上に10分間基板を置いてポリイミド膜を作製した。それぞれの基板にカッターナイフを用いて、ガラスに達する11本の切り傷を1mm幅でつけ、前記切り傷に対して垂直方向に同様にガラスに達する11本の切り傷を1mm幅でつけることにより、1mm角の100個の碁盤目を作製した。碁盤目部分にスコッチ600(スリーエムジャパン株式会社製)を強く圧着させ、テープを一気に引き剥がし、碁盤目の状態を観察し、残った碁盤目の数を数えた。
(iii)残膜率
スピンコートによりガラス基板上にインクを塗布し、さらに120℃のホットプレート上に10分間基板を置いてポリイミド膜を作製した。その後、KLA−Tencor株式会社(旧Ambious社)製の触針式段差測定装置XP−200を使用し、膜厚を測定した(これを硬化後の膜厚とする)。続いて、そのガラス基板を250℃のオーブンに1時間入れた後の膜厚を測定した(これを加熱後の膜厚とする)。残膜率は、以下の式を用いて求めた。
残膜率={(加熱後の膜厚)/(硬化後の膜厚)}×100
残膜率は、大きいほど耐熱性が高いといえる。
Figure 2016222613
評価結果から明らかなように、本発明のインクを用いることにより、120℃10分の焼成で耐熱性・絶縁性の良好な膜を形成できる。また、オキセタンを有することにより、ガラス基板やクロム基板への密着が良好なポリイミド膜を形成できる。

Claims (14)

  1. 式(1)で表されるオキセタンイミド化合物(A)。
    Figure 2016222613
    [式(1)中、Xは炭素数2〜100の四価の有機基であり、複数あるYはそれぞれ独立に炭素数1〜100の二価の有機基であり、複数あるZ1はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキレン基であり、複数あるZ2はそれぞれ独立に水素、メチルまたはエチルである。]
  2. 式(1)中、複数あるYがそれぞれ独立に式(1−1)で表される、請求項1に記載のオキセタンイミド化合物(A)。
    Figure 2016222613
    [式(1−1)中、mは1〜11の整数であり;mが1のときR1は水素、炭素数1〜30のアルキルまたは炭素数6〜10のアリールであり、前記アルキルにおける少なくとも一つの水素は、ヒドロキシル基、ヒドロキシフェニル基、チオール基、インドール基またはイミダゾール基で置き換えられてもよく、前記アルキルにおける少なくとも一つの−CH2−は−S−で置き換えられてもよく;mが2〜11の整数のときR1は水素である。]
  3. 式(a1)で表されるテトラカルボン酸二無水物(a1)と、式(a2)で表されるアミノ酸(a2)と、式(a3)で表されるオキセタン含有化合物(a3)とを反応させて得られる、請求項1または2に記載のオキセタンイミド化合物(A)。
    Figure 2016222613
    [式(a1)中、Xは炭素数2〜100の四価の有機基であり;式(a2)中、Yは炭素数1〜100の二価の有機基であり;式(a3)中、Z1は炭素数1〜10のアルキレン基であり、Z2は水素、メチルまたはエチルである。]
  4. アミノ酸(a2)が、式(a2−1)で表されるアミノ酸である、請求項3に記載のオキセタンイミド化合物(A)。
    Figure 2016222613
    [式(a2−1)中、mは1〜11の整数であり;mが1のときR1は水素、炭素数1〜30のアルキルまたは炭素数6〜10のアリールであり、前記アルキルにおける少なくとも一つの水素は、ヒドロキシル基、ヒドロキシフェニル基、チオール基、インドール基またはイミダゾール基で置き換えられてもよく、前記アルキルにおける少なくとも一つの−CH2−は−S−で置き換えられてもよく;mが2〜11の整数のときR1は水素である。]
  5. テトラカルボン酸二無水物(a1)が、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン二無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、エタンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−5−イソベンゾフランカルボン酸,[2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチリデン]ジ−4,1−フェニレンエステル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−5−イソベンゾフランカルボン酸オキシジ−4,1−フェニレンエステル、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビシクロへキシルテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物および4,4’−[(イソプロピリデン)ビス(p−フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物からなる群から選ばれる1種以上であり、アミノ酸(a2)が、グリシン、アラニン、β−アラニン、フェニルアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、システイン、メチオニン、セリン、トレオニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、4−アミノ酪酸、6−アミノヘキサン酸および12−アミノラウリン酸からなる群から選ばれる1種以上であり、オキセタン含有化合物(a3)が、3−エチル−3−オキセタンメタノールである、請求項3または4に記載のオキセタンイミド化合物(A)。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のオキセタンイミド化合物(A)と、溶媒(B)とを含むインク。
  7. オキセタンイミド化合物(A)の含有量が、インク全量に対して、5〜99.9重量%である、請求項6に記載のインク。
  8. さらに、オキセタン硬化剤、エポキシ硬化剤、重合性モノマー、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、界面活性剤、ポリアミド酸、ポリアミド酸のイミド化重合体、可溶性ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアミド酸エステル、ポリエステル、アクリル酸ポリマー、アクリレートポリマー、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、アルケニル置換ナジイミド化合物、シリコンアミド酸化合物、帯電防止剤、カップリング剤およびラジカル重合開始剤からなる群から選ばれる1種以上を含む、請求項6または7のいずれか1項に記載のインク。
  9. 請求項6〜8のいずれか1項に記載のインクから得られるポリイミド膜。
  10. 請求項6〜8のいずれか1項に記載のインクを基板上に塗布して塗膜を形成した後、前記塗膜を硬化処理して得られるポリイミド膜。
  11. フィルムと、該フィルム上に形成された請求項9または10に記載のポリイミド膜とを有するフィルム基板。
  12. 請求項11に記載のフィルム基板を有する電子部品。
  13. シリコンウエハーと、前記シリコンウエハー上に形成された請求項9または10に記載のポリイミド膜とを有するシリコンウエハー基板。
  14. 請求項13に記載のシリコンウエハー基板を有する電子部品。
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