JP2016222049A - 始動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】入力軸クラッチ25を完全係合したときに入力軸クラッチ25よりもエンジン10側にて共振が生じる周波数に応じた回転速度帯を、共振帯RN1とする。クラッチ制御部65は、エンジン回転数Neが、共振帯RN1の下限値よりも下側に設定される第1閾値N1より小さい場合、入力軸クラッチ25を完全係合状態とする。クラッチ制御部65は、エンジン回転数Neが第1閾値N1以上となった場合、入力軸クラッチ25を解放状態とした後に、エンジン回転数Neが共振帯RN1の上限値より大きく、かつ、共振体RN2の下限値より小さい始動回転数Nsとなるまでの間、入力軸クラッチ25をスリップ状態とする。これにより、始動初期において、大きいトルクでのクランキングが可能であるので、クランキング時間を短縮することができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、エンジンの共振を抑制しつつ、クランキング時間を短縮可能な始動制御装置を提供することにある。
動力伝達システムは、エンジンと、モータと、断続部と、を備える。モータは、エンジンを始動可能に設けられる。断続部は、エンジンとモータとの間に設けられる。
始動制御装置は、信号取得部と、断続制御部と、を備える。信号取得部は、エンジンの回転速度であるエンジン回転速度を取得する。断続制御部は、断続部のモータ側とエンジン側とが独立して回転する解放状態、断続部のモータ側とエンジン側とが同期して回転する完全係合状態、または、解放状態と完全係合状態との中間状態であるスリップ状態となるように、断続部の係合状態を制御する。
断続制御部は、エンジン回転速度が、始動制御断続部を完全係合状態としたときに始動制御断続部よりエンジン側にて共振が生じる回転速度帯である完全係合時共振帯の下限値よりも小さい値に設定される判定閾値より小さい場合、始動制御断続部を完全係合状態とする。また、断続制御部は、エンジン回転速度が判定閾値以上となった場合、始動制御断続部を解放状態とした後に、エンジン回転速度が完全係合時共振帯の上限値よりも大きく、かつ、始動制御断続部をスリップ状態としたときに始動制御断続部よりエンジン側にて共振が生じる回転速度帯であるスリップ制御時共振帯の下限値より小さい始動回転速度となるまでの間、始動制御断続部をスリップ状態とする。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態を図1〜図11に示す。
図1に示すように、動力伝達システム1は、エンジン10、第1モータ11、第2モータ12、動力伝達装置20、および、始動制御装置としての制御装置60等を備え、エンジン10、第1モータ11および第2モータ12の動力を駆動源として用いるハイブリッド車両である車両90に適用される。
第1モータ11および第2モータ12は、車両90に搭載された図示しないバッテリから供給される電力により回転する電動モータである。また、第1モータ11および第2モータ12は、モータ軸にトルクが入力されることにより発電し、バッテリを充電可能なジェネレータとしても機能する。すなわち、第1モータ11および第2モータ12は、所謂「モータジェネレータ」であるが、本明細書中では単にモータと呼ぶことにする。また、図中では、第1モータ11を「MG1」、第2モータ12を「MG2」と記載する。
本実施形態では、第1モータ11の回転数を第1回転数Nm1、第2モータ12の回転数を第2回転数Nm2とする。本実施形態では、例えば単位[rpm]で表される単位時間あたりの回転数が「回転速度」に対応する。
入力軸21は、エンジン入力軸22、および、モータ入力軸23を有する。
エンジン入力軸22は、一端がエンジン10のクランクシャフトに接続され、他端がモータ入力軸23に対向するように設けられる。エンジン入力軸22には、周知のトーションダンパ15が設けられる。本実施形態では、トーションダンパ15は、エンジン10と後述の第1動力伝達ギア31との間に設けられる。
第1動力伝達ギア31は、第1ドライブギア32および第1ドリブンギア33を有する。
第1ドライブギア32は、モータ入力軸23に対して同軸かつ相対回転不能に固定される。第1ドリブンギア33は、第1ドライブギア32に噛み合い、出力軸29に対して相対回転可能に設けられる。第1ドリブンギア33には、第1係合部34が設けられる。第1係合部34は、後述する第1出力軸クラッチ51と係合可能に形成される。
第1ドライブギア32の歯数をNt32、第1ドリブンギア33の歯数をNt33とすると、第1動力伝達ギア31のギア比である第1ギア比ρ1は、式(1)で表される。すなわち、第1ギア比ρ1は、第1ドライブギア32の歯数に対する第1ドリブンギア33の歯数、といえる。
ρ1=Nt33/Nt32 ・・・(1)
第2ドライブギア42は、モータ入力軸23に対して同軸かつ相対回転不能に固定される。第2ドリブンギア43は、第2ドライブギア42に噛み合い、出力軸29に対して相対回転可能に設けられる。第2ドリブンギア43には、第2係合部44が設けられる。第2係合部44は、後述する第2出力軸クラッチ52と係合可能に形成される。
第2ドライブギア42の歯数をNt42、第2ドリブンギア43の歯数をNt43とすると、第2動力伝達ギア41のギア比である第2ギア比ρ2は、式(2)で表される。すなわち、第2ギア比ρ2は、第2ドライブギア42の歯数に対する第2ドリブンギア43の歯数、といえる。
ρ2=Nt43/Nt42 ・・・(2)
第1出力軸クラッチ51は、第1係合部34と係合可能に設けられる。第1出力軸クラッチ51と第1係合部34とが係合することで、第1動力伝達ギア31を介して入力軸21と出力軸29との間で、動力伝達が可能となる。
第2出力軸クラッチ52は、第2係合部44と係合可能に設けられる。第2出力軸クラッチ52と第2係合部44とが係合することで、第2動力伝達ギア41を介して入力軸21と出力軸29との間で、動力伝達が可能となる。
第1出力軸クラッチ51および第2出力軸クラッチ52は、エンジン10とモータ11、12との間に設けられ、エンジン10とモータ11、12とを断接可能である、といえる。
Nm5=Nm2×ρ1 ・・・(3)
信号取得部61は、アクセル開度α、車両90の走行速度である車速V、第1回転数Nm1、第2回転数Nm2、エンジン10の回転数であるエンジン回転数Ne、入力軸クラッチ25の油圧Pa、第1出力軸クラッチ51の油圧Pb、第2出力軸クラッチ52の油圧Pc、および、バッテリのSOC(State Of Charge)等を取得する。取得された信号は、制御装置60における各種演算に用いられる。
モータ制御部64は、第1モータ11および第2モータ12の駆動を制御する。
クラッチ制御部65は、入力軸クラッチ25、第1出力軸クラッチ51、および、第2出力軸クラッチ52の係合状態を制御する。
図2に示すように、エンジンメインモードは、主にエンジン10の駆動力を用いて走行するモードであって、車速Vおよび要求される駆動トルクに応じ、用いる駆動源およびギアを選択する。図2中では、「_H」は、第1出力軸クラッチ51を係合することでHギアである第1動力伝達ギア31を動力伝達に用いることを意味し、「_L」は、第2出力軸クラッチ52を係合することで、Lギアである第2動力伝達ギア41を動力伝達に用いることを意味する。図3も同様である。
領域R12では、駆動源として、エンジン10および第2モータ12が用いられる。エンジン10の動力伝達には、第2動力伝達ギア41が用いられる。
領域R13では、駆動源として、エンジン10、第1モータ11および第2モータ12が用いられる。エンジン10および第1モータ11の動力伝達には、第2動力伝達ギア41が用いられる。
領域R14では、駆動源として、エンジン10、第1モータ11および第2モータ12を用いる。エンジン10および第1モータ11の動力伝達には、第1動力伝達ギア31が用いられる。
すなわち、エンジンメインモードでは、車両走行中は、常にエンジン10が駆動している。そのため、エンジンメインモードでは、車両停止中(以下適宜、「停車中」という。)以外には、本実施形態の始動制御処理が行われない。停車中にエンジン10を始動する始動パターンを始動パターンP0とする(図7参照。)。
領域R21では、駆動源として、第2モータ12が用いられる。
領域R22では、駆動源として、第1モータ11が用いられる。第1モータ11の動力伝達には、第2動力伝達ギア41が用いられる。
領域R24では、駆動源として、エンジン10、第1モータ11および第2モータ12が用いられる。エンジン10の動力伝達には、第1動力伝達ギア31が用いられ、第1モータ11の動力伝達には、第2動力伝達ギア41が用いられる。
領域R25では、駆動源として、エンジン10、第1モータ11および第2モータ12が用いられる。エンジン10および第1モータ11の動力伝達には、第2動力伝達ギア41が用いられる。
領域R27では、駆動源として、エンジン10、第1モータ11および第2モータ12が用いられる。エンジン10および第1モータ11の動力伝達には、第1動力伝達ギア31が用いられる。
EVメインモードでは、車両停止中におけるエンジン10の始動に加え、車両走行中において、車速Vおよび駆動トルク等に応じ、停止しているエンジン10を始動することがある。車両走行中のエンジン始動パターンは、図3中に矢印で示す5つの始動パターンP1〜P5がある。
S12では、クラッチ制御部65は、現在の走行モードを読み込む。
S14では、クラッチ制御部65は、エンジン10の始動時にスリップ制御するクラッチ(以下適宜、「始動制御クラッチ」という。)を入力軸クラッチ25とする。
S15では、停車時始動制御を行う。
S151では、クラッチ制御部65は、図示しない記憶部に記憶されている閾値マップ(図7参照。)を参照し、第1閾値N1、第2閾値N2を読み込み、第3閾値推定マップMa、Mbを選択する。
第1閾値N1は、始動制御クラッチを完全係合状態したとき、始動制御クラッチよりもエンジン10側にて共振が生じる周波数に応じた回転数である共振帯RN1の下限値の下側に設定される値である。第2閾値N2は、始動制御クラッチを完全係合したとき、共振帯RN1の上限値の上側に設定される値である。
S153では、モータ制御部64は、第1モータ11を駆動し、第1モータ11からトルクを出力させる。
S156では、クラッチ制御部65は、始動制御クラッチである入力軸クラッチ25の係合状態が、所定の係合力で係合されるスリップ状態となるように、入力軸クラッチ25を制御する。また、モータ制御部64は、第1モータ11の出力トルクを、入力軸クラッチ25を解放する前の状態に戻す。
第3閾値推定マップMa、Mbを図8に示す。図8(a)は、始動制御クラッチの油圧と始動制御クラッチの係合力とが関連づけられたマップMaであり、図8(b)は、始動制御クラッチの係合力と第3閾値N3とが関連づけられたマップMbである。図8(a)に示すように、本実施形態のクラッチ25、51、52は、いずれもノーマルクローズであるので、油圧が小さくなるほど、係合力が大きくなる。また、図8(b)に示すように、係合力が大きくなるほど、共振帯RN2が低回転側にシフトするので、第3閾値N3は小さくなる。
S161では、エンジン制御部63は、図示しないインジェクタからの燃料噴射を開始し、エンジン10を点火する。
S162では、モータ制御部64は、第1モータ11のトルク出力を停止し、始動制御処理を終了する。
S17では、クラッチ制御部65は、車速および駆動トルクに基づき、図3に示すマップを参照し、始動パターンを始動パターンP1〜P5のいずれかに決定する。
始動パターンP2では、第1出力軸クラッチ51が解放から係合に切り替わる。また、入力軸クラッチ25は解放状態が維持され、第2出力軸クラッチ52は係合状態が維持される。クラッチ制御部65は、始動パターンP2での始動制御クラッチを第1出力軸クラッチ51とする。
始動パターンP3では、入力軸クラッチ25および第1出力軸クラッチ51が解放から係合に切り替わり、第2出力軸クラッチ52が係合から解放に切り替わる。クラッチ制御部65は、始動パターンP3での始動制御クラッチを第1出力軸クラッチ51とする。なお、第1出力軸クラッチ51に替えて、入力軸クラッチ25を始動制御クラッチとしてもよい。
始動パターンP4では、第1出力軸クラッチ51が解放から係合に切り替わり、第2出力軸クラッチ52が係合から解放に切り替わる、また、入力軸クラッチ25は解放状態が維持される。クラッチ制御部65は、始動パターンP4での始動制御クラッチを第1出力軸クラッチ51とする。
始動パターンP5では、第1出力軸クラッチ51が解放から係合に切り替わる。また、入力軸クラッチ25および第2出力軸クラッチ52は、解放状態が維持される。クラッチ制御部65は、始動パターンP5での始動制御クラッチを第1出力軸クラッチ51とする。
走行中始動制御を図6に示す。
S191では、クラッチ制御部65は、図7に示す閾値マップを参照し、第2閾値N2を読み込み、第3閾値推定マップMa、Mbを選択する。図7に示すように、始動パターンP1〜P5のとき、クラッチ制御部65は、第2閾値N2として、対応する値N21〜N25を読み込む。また、始動パターンP1〜P5のとき、クラッチ制御部65は、第3閾値推定マップMa、Mbとして、対応するマップMa1〜Ma5、Mb1〜Mb5を選択する。
S193〜S195の処理は、第3閾値N3の算出に用いるマップが異なる点を除き、S157〜S159の処理と同様である。
S197では、クラッチ制御部65は、始動制御クラッチを完全係合する。なお、始動制御クラッチが第1出力軸クラッチ51の場合、クラッチ制御部65はエンジン回転数Neが出力軸29と同期可能な回転数となった場合、すなわちエンジン回転数Neと換算回転数Nm5とが一致した場合、第1出力軸クラッチ51を完全係合させるようにしてもよい。また、始動制御クラッチが入力軸クラッチ25の場合、エンジン回転数Neと第1回転数Nm1とが一致したときに、入力軸クラッチ25を完全係合させるようにしてもよい。
すなわち本実施形態では、停車中始動制御では、始動制御クラッチを完全係合した後に燃料噴射および点火を行い、走行中始動制御では、燃料噴射および点火後に、始動制御クラッチを完全係合する。
スリップ量SLを漸減させ、徐々に完全係合に近づけることで、スリップ量SLを漸減させない場合と比較し、クランキング時間をさらに短縮することができる。また、入力軸クラッチ25の摩耗や温度上昇を低減することができる。
走行中始動制御にてクランキングを開始する時刻t20以前には、第1出力軸クラッチ51が解放されている。また、換算回転数Nm5は、第1出力軸クラッチ51が解放されている状態における共振帯RN3よりも大きいものとする。共振帯RN3は、スリップ状態での共振帯RN2より高回転数側である。
時刻t23にて、エンジン回転数Neが換算回転数Nm5と一致し、エンジン入力軸22と出力軸29の回転を同期可能となると、第1出力軸クラッチ51の係合状態を完全係合状態に移行させるべくスリップ量SLを減少させる。そして、時刻t24にて、第1出力軸クラッチ51が完全係合状態となる。
動力伝達システム1は、エンジン10と、第1モータ11および第2モータ12と、クラッチ25、51、52と、を備える。
第1モータ11および第2モータ12は、エンジン10を始動可能に設けられる。
入力軸クラッチ25、第1出力軸クラッチ51および第2出力軸クラッチ52は、エンジン10とモータ11、12との間に設けられる。
信号取得部61は、エンジン10の回転速度であるエンジン回転数Neを取得する。
クラッチ制御部65は、入力軸クラッチ25のモータ11、12側とエンジン10側とが独立して回転する解放状態、入力軸クラッチ25のモータ11、12側とエンジン10側とが同期して回転する完全係合状態、または、解放状態と完全係合状態との中間状態であるスリップ状態となるように、入力軸クラッチ25の係合状態を制御する。第1出力軸クラッチ51および第2出力軸クラッチ52も同様に制御される。
始動制御クラッチを完全係合状態としたときに始動制御クラッチよりもエンジン10側にて共振が生じる回転速度帯を、共振帯RN1とする。また、始動制御クラッチをスリップ状態としたとしたときに始動制御クラッチよりもエンジン10側にて共振が生じる回転速度帯を共振帯RN2とする。
クラッチ制御部65は、エンジン回転数Neが、共振帯RN1の下限値よりも小さい値に設定される第1閾値N1より小さい場合、始動制御クラッチを完全係合状態とする。
また、クラッチ制御部65は、エンジン回転数Neが第1閾値N1以上となった場合、入力軸クラッチ25を解放状態とした後に、エンジン回転数Neが共振帯RN1の上限値よりも大きく、かつ、共振帯RN2の下限値より小さい始動回転数Nsとなるまでの間、始動制御クラッチをスリップ状態とする。
これにより、クランキング時間をさらに短縮することできる。また、入力軸クラッチ25の摩耗や温度上昇を抑制することができる。
第1出力軸クラッチ51をスリップ状態とする場合についても同様である。
また、動力伝達システム1には、入力軸クラッチ25、第1出力軸クラッチ51および第2出力軸クラッチ52が設けられる。入力軸クラッチ25は、入力軸のエンジン10側と第1モータ11側とを断接する。第1出力軸クラッチ51および第2出力軸クラッチ52は、動力伝達ギア31、41と出力軸29とを断接する。
これにより、複数のモータ、および、複数のクラッチ25、51、52を備える動力伝達システムにおいて、第1モータ11または第2モータ12の駆動力により、エンジン10を適切にクランキングすることができる。また、複数のクラッチを始動制御クラッチとする場合と比較し、スリップ状態とするで生じるロスを低減することができる。
これにより、エンジン10が適切に始動され、始動後から十分なトルクを得ることができる。
また、本実施形態では、入力軸クラッチ25、第1出力軸クラッチ51および第2出力軸クラッチ52が「断続部」に対応し、クラッチ制御部65が「断続制御部」に対応する。さらにまた、入力軸クラッチ25が「入力軸断続部」に対応し、第1出力軸クラッチ51および第2出力軸クラッチ52が「出力軸断続部」に対応し、始動制御クラッチが「始動制御断続部」に対応する。
本実施形態では、例えば単位[rpm]等で表される回転数が「回転速度」に対応する。具体的には、エンジン回転数Neが「エンジン回転速度」に対応し、始動回転数Nsが「始動回転速度」に対応する。また、共振帯RE1が「完全係合時共振帯」に対応し、共振帯RE2が「スリップ制御時共振帯」に対応し、第1閾値N1が「判定閾値」に対応する。
本発明の第2実施形態を図12に示す。
本実施形態の動力伝達システム2は、動力伝達装置120が上記実施形態と異なる。動力伝達装置120は、入力軸121、入力軸クラッチ125、出力軸29、動力伝達機構30、および、変速機構50等を備える。
エンジン入力軸122は、一端がエンジン10のクランクシャフトに接続され、他端がモータ入力軸123に対向するように設けられる。
モータ入力軸123は、エンジン入力軸122と同軸に設けられ、一端が第1モータ11のモータ軸に接続される。第1モータ11にて発生した動力は、モータ入力軸23に伝達される。モータ入力軸123の他端は、エンジン入力軸122と対向するように設けられる。本実施形態では、第1動力伝達ギア31および第2動力伝達ギア41よりもエンジン10側のモータ入力軸123にトーションダンパ115が設けられる。
また、始動制御処理は、上記実施形態と同様であり、本実施形態では、入力軸クラッチ125が「入力軸断続部」に対応する。
このように構成しても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
(ア)モータ
上記実施形態では、動力伝達システムは、2つのモータを備える。他の実施形態では、動力伝達システムが備えるモータの数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
(イ)動力伝達ギア
上記実施形態では、動力伝達機構は、2つの動力伝達ギアを備える。他の実施形態では、動力伝達機構が備える動力伝達ギアの数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。また、動力伝達ギアのギア比は、適宜設定可能である。
上記実施形態では、断続部として、入力軸断続部である入力軸クラッチ、ならびに、出力軸断続部である第1出力軸クラッチおよび第2出力軸クラッチが設けられる。他の実施形態では、入力軸断続部または出力軸断続部の一方を省略してもよい。また、出力軸断続部は、動力伝達ギア毎に設けられることが好ましい。
上記実施形態では、クラッチの油圧に基づいて第3閾値を演算する。他の実施形態では、クラッチの油圧に替えて、例えば係合部材を押圧するシリンダ等の押圧部材の位置に基づいて第3閾値を演算してもよい。
上記実施形態では、車両停車中にエンジンを始動する場合、入力軸クラッチをスリップ制御し、第1モータの駆動力によりエンジンをクランキングする。他の実施形態では、入力軸クラッチに替えて、出力軸断続部である第1出力軸クラッチまたは第2出力軸クラッチをスリップ制御し、第2モータの駆動力にてエンジンをクランキングしてもよい。第1出力軸クラッチまたは第2出力軸クラッチをスリップ制御してクランキングすることで、完全係合時共振帯と、スリップ制御時共振帯との差が大きくなるので、モータおよびエンジン回転数の制御がより容易になる。
上記実施形態では、断続制御部は、スリップ制御する断続部をスリップ状態とした後、徐々にスリップ量を低減し、完全係合状態に近づける。他の実施形態では、断続制御部は、スリップ制御する断続部のスリップ量を一定としてもよい。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
10・・・エンジン
11・・・第1モータ(モータ) 12・・・第2モータ(モータ)
25、125・・・入力軸クラッチ(断続部、入力軸断続部)
51・・・第1出力軸クラッチ(断続部、出力軸断続部)
52・・・第2出力軸クラッチ(断続部、出力軸断続部)
60・・・制御装置(始動制御装置)
61・・・信号取得部
63・・・エンジン制御部
65・・・クラッチ制御部(断続制御部)
Claims (6)
- エンジン(10)と、
前記エンジンを始動可能に設けられるモータ(11、12)と、
前記エンジンと前記モータとの間に設けられる断続部(25、51、52)と、
を備える動力伝達システム(1、2)において前記エンジンの始動を制御する始動制御装置であって、
前記エンジンの回転速度であるエンジン回転速度を取得する信号取得部(61)と、
前記断続部の前記モータ側と前記エンジン側とが独立して回転する解放状態、前記断続部の前記モータ側と前記エンジン側とが同期して回転する完全係合状態、または、前記解放状態と前記完全係合状態との中間状態であるスリップ状態となるように、前記断続部の係合状態を制御する断続制御部(65)と、
を備え、
前記エンジンを始動する際に、前記エンジン回転速度に応じて係合状態を変更する前記断続部を始動制御断続部とすると、
前記断続制御部は、
前記エンジン回転速度が、前記始動制御断続部を前記完全係合状態としたときに前記始動制御断続部より前記エンジン側にて共振が生じる回転速度帯である完全係合時共振帯の下限値よりも小さい値に設定される判定閾値より小さい場合、前記始動制御断続部を前記完全係合状態とし、
前記エンジン回転速度が前記判定閾値以上となった場合、前記始動制御断続部を前記解放状態とした後に、前記エンジン回転速度が前記完全係合時共振帯の上限値よりも大きく、かつ、前記始動制御断続部を前記スリップ状態としたときに前記始動制御断続部より前記エンジン側にて共振が生じる回転速度帯であるスリップ制御時共振帯の下限値より小さい始動回転速度となるまでの間、前記始動制御断続部を前記スリップ状態とすることを特徴とする始動制御装置。 - 前記断続制御部は、前記スリップ制御時共振帯の下限値が前記始動回転速度より大きい範囲で、前記スリップ状態である前記始動制御断続部の係合状態を前記完全係合状態に徐々に近づけることを特徴とする請求項1に記載の始動制御装置。
- 前記動力伝達システムには、
前記モータとして、一側に前記エンジンが設けられる入力軸(21)の他側に設けられる第1モータ(11)、および、動力伝達ギア(31、41)を介して前記入力軸と接続される出力軸(29)に設けられる第2モータ(12)が設けられ、
前記断続部として、前記入力軸の前記エンジン側と前記第1モータ側とを断接する入力軸断続部(25)、および、前記動力伝達ギアと前記出力軸とを断接する出力軸断続部(51、52)が設けられ、
車両(90)が停止している状態にて前記エンジンを始動する場合、
前記断続制御部は、前記入力軸断続部または前記出力軸断続部のうちのいずれか1つを前記始動制御断続部として選択することを特徴とする請求項1または2に記載の始動制御装置。 - 前記エンジンの駆動を制御するエンジン制御部(63)をさらに備え、
前記車両が停止している状態にて前記エンジンを始動する場合、
前記断続制御部は、前記エンジン回転速度が前記始動回転速度以上となった場合、前記スリップ状態である前記始動制御断続部を前記完全係合状態とし、
前記エンジン制御部は、前記始動制御断続部を前記完全係合状態とした後に、前記エンジンを点火することを特徴とする請求項3に記載の始動制御装置。 - 前記車両が走行している状態にて前記エンジンを始動する場合、
前記断続制御部は、車速および駆動トルクに基づいて決定される始動パターンに応じて前記始動制御断続部を選択し、選択された前記始動制御断続部を前記解放状態から前記スリップ状態とすることを特徴とする請求項3に記載の始動制御装置。 - 前記エンジンの駆動を制御するエンジン制御部(63)をさらに備え、
前記車両が走行している状態にて前記エンジンを始動する場合、
前記エンジン制御部は、前記エンジン回転速度が前記始動回転速度以上となった場合、前記エンジンを点火し、
前記断続制御部は、前記エンジンの点火後、前記エンジン回転速度が、前記スリップ状態である前記始動制御断続部の前記モータ側の回転速度と同期可能となった場合、当該始動制御断続部を前記完全係合状態とすることを特徴とする請求項5に記載の始動制御装置。
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