JP2016221471A - 酸素発生反応用ペロブスカイト酸化物触媒 - Google Patents

酸素発生反応用ペロブスカイト酸化物触媒 Download PDF

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Abstract

【課題】酸素発生反応用触媒として、従来からのRuOやIrO等の高価な貴金属酸化物触媒に較べて高い触媒活性と長い使用寿命を有する酸素発生触媒を提供する。
【解決手段】費用対効果に優れた酸素発生反応触媒としての、Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒(CaCuFe12やCaMnMn12等)である。貴金属酸化物触媒に較べて高い触媒活性を有し、且つ酸化的な触媒反応条件下でも安定性が高く繰返し使用寿命が長い酸素発生反応用触媒である。金属−空気電池の充電反応及び太陽光による直接的水分解反応時の陽極酸素発生反応等の、重要なエネルギー変換反応への利用が期待される。
【選択図】図10

Description

本発明は、酸素発生反応用のペロブスカイト酸化物触媒に関するものである。更に詳しくは、酸素発生効率が非常に高いAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒に関するものである。
酸素発生反応(以下、「OER」と略すことあり。)は水の酸化過程で生じる反応であって、金属−空気電池の充電反応や太陽光による直接的水分解反応に於ける重要なエネルギー変換反応である(Fabbri、E.等の非特許文献1、及び、Subbaraman、R.等の非特許文献2を参照せよ。)。以下、これらの反応を例に、本明細書で云う酸素発生反応(OER)、及び「酸素発生反応用触媒(OER用触媒とも云う)」について説明する。
例えば、太陽光による直接的水分解反応は以下の反応式(I)及び(II)で表される。
(陰極)2H+2e→H(I)
(陽極)2HO→O+4H+4e(II)
即ち、陰極では水素が発生し、陽極で酸素発生反応が起きる。この酸素発生反応を促進する触媒が酸素発生反応用触媒である。
また、金属−空気電池の放電反応を、金属として2価金属(Zn)の場合で示せば、以下の反応式(III)〜(V)で表される。
(負極)Zn+2OH→ZnO+HO+2e (III)
(正極)O+2HO+4e→4OH (IV)
(放電の全反応)Zn+1/2O→ZnO (V)
一方、充電反応はこれらの逆反応として、以下の反応式(VI)〜(VIII)で表される。
(負極)ZnO+HO+2e→Zn+2OH (VI)
(正極)4OH→O+2HO+4e (VII)
(充電の全反応)ZnO→Zn+1/2O (VIII)
即ち、放電時は酸素還元反応(IV)となり、充電時には酸素発生反応(VII)となる。従って、本発明に係る酸素発生反応(OER)は前記反応式(VII)で表され、充電時の正極に於ける反応であることが判る。この様に、金属−空気電池の充電効率を上げるためには、反応式(VII)の酸素発生反応効率を上げる触媒(酸素発生反応用触媒)の開発にかかっている。
更に、酸素発生極(以下、「空気極」と称することもある。)は、充電中に高電位で酸素雰囲気に曝されるため、触媒や電極材料には高い耐酸化性が求められる。
従来から、これらの要求に応え得る酸素発生反応用触媒として、RuOやIrO等の貴金属酸化物触媒が用いられており、更にその性能向上のためにナノ粒子化等も試みられている(例えば、Lee、Y.等の非特許文献3を参照せよ。)。
しかしながら、従来既知の貴金属酸化物触媒の性能を凌駕する様な費用対効果に優れた酸素発生反応用触媒開発への要求は未だ達成されていない。
この要求に対する試みの一つがペロブスカイト酸化物触媒の使用である。ペロブスカイト酸化物触媒は、OERに対して比較的高い触媒活性を有することから、費用対効果に優れた素材になる可能性があるとして、多くの検討が為されてきた(例えば、総説としては、Fabbri、E.等の非特許文献1を参照せよ。また、金属空気電池に於ける空気極触媒材料としてのペロブスカイト酸化物La0.7Sr0.3CoOに関する特許文献1及び同じく酸素発生電極材料としてのペロブスカイト酸化物La1−xSrFeO(但し、x=0.1〜0.2)に関する特許文献2を参照せよ。)。しかしながら、図1及び図2に示した通りこれらのペロブスカイト酸化物触媒のOER反応活性及び繰り返し使用に対する安定性は未だ十分ではなく、更なる改良が望まれている。
一方、本発明者の山田等は高圧法を用いることにより、新規構造であるAサイト秩序型のペロブスカイト酸化物CaCuFe12を世界で初めて合成することに成功した(I.Yamada等の非特許文献6を参照せよ。)。また、特許文献3は、近年に於ける光学部品等の高密度大容量化に対応する為に、熱膨張の防止又は抑制を課題として検討を進め、実用的な温度領域で体積が減少する金属酸化物材料として、LaCuFe12及びBiCuFe12の組成を有するAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物を開示している。しかしながら、これ等二つの文献には、Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物の酸素発生反応用触媒としての使用に関する教示も示唆も無い。
特開2012−099266号公報 特開平08−067997号公報 再公表(A1)WO2010/101153号
Fabbri、E.、et al.、Developments and perspectives of oxide−based catalysts for the oxygen evolution reaction、 Catal.Sci.Tecnol.4、3800−3821(2014). Subbaraman、R.、et al.、Trends in activity for the water eletrolyser reactions on 3d M(Ni、Co、Fe、M)hydr(oxy)oxide catalysts.、 Nat.Mater.11、550−557(2012). Lee、Y.、et al.、Synthesis and activities of rutile IrO2 and RuO2 nanoparticles for oxygen evolution in acid and alkaline solutions、 J.Phys.Chem.Lett.3、399−404(2012). Grimaud、A.、et al.、Double perovskites as a family of highly active catalysts for oxygen evolution in alkaline solution、 Nat.Commun.、4、2439−2445(2013). Jung、J.−I.、et al.、Bifunctional Perovskite Catalyst for Oxygen Reduction and Evolution、 Angew.Chem.Int.Ed.、53、4582−4586(2014). I.Yamada、et al.、A perovskite containing quadrivalent iron as a charge−disproportionated ferrimagnet、 Angew.Chem.Int.Ed.、47、7032-7035(2008). Jung、J.−I.、et al.、Fabrication of Ba0.5Sr0.5Fe0.2O3-δ Catalysts with Enhanced Electrochemical Performance by Removing Inherent Heterogeneous Surface Film Layer、 Advanced Materials、27、266−271(2015). M.Kakihana、M.Yoshimura、Synthesis and Characteristics of Complex Multicomponent Oxides by Polymerized Complex Method、 Bull.Chem.Soc.Jpn.、72、1427−1443(1999). Shannon、 Acta Crystallographica、A32、751−767(1976)より;http://abulafia.mt.ic.ac.uk/shannon/ptable.php
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、酸素発生反応用触媒として従来からのRuOやIrO等の高価な貴金属酸化物触媒に較べて、それらと同等若しくはそれ以上の高い触媒活性を有し、且つ触媒反応条件下で安定性が高く使用寿命が長い酸素発生反応用触媒を提供することを目的とする。その結果として費用対効果に優れた酸素発生反応用触媒を提供することを目的とする。
始めに段落0004の(VII)式の反応を速くする(右に進める)ことが触媒作用を強くするので、そのためには、活性点が多く含まれる物質に着目すればよいと考えた。ここで活性点とは分子が吸着して反応する場所のことである。
最初に、既存の非秩序型ペロブスカイトと、本発明者らが合成に成功した前記秩序型ペロブスカイトの結晶構造にある物質の活性点について考察した。その結晶構造を図3に例示する。ここで、組成を図13及び図14のCaFeO及びCaCuFe12とすると、図3左図の粒子はAサイト金属がCa、Bサイト金属がFe、その他の小さい粒子がOである。図3右図の粒子は同様にAサイト金属がCa、Bサイト金属がFeでその他の小さい粒子がOで、図3左図にない図3右図のA’サイト金属はCuである。
比較的最近の研究により、ペロブスカイト型酸素発生反応触媒における活性点はBサイトの遷移金属イオンの影響が大きいとされている。すなわち前述した活性点が多く含まれる物質はこの場合Bサイト金属となる。
ここで、図3で非秩序型と秩序型を比較すると、いずれも同数のBサイト金属のFeがある。Aサイト金属のCaは非秩序型CaFeOの方が多いが、秩序型CaCuFe12にはA’サイト金属のCuがあり、CaとCuの合計は非秩序型CaFeOのCaと同数である。よって、活性点が同じであり、秩序型CaCuFe12の触媒性能が非秩序型CaFeOに対して飛躍的に向上するとはすぐには考え難い。
さらに、Aサイト金属のCaは、水酸化Caを生成するとBサイト金属であるFe、すなわち活性点を覆って触媒作用を劣化させることが古くから知られている。単純に考えると、非秩序型CaFeOはもちろん、秩序型CaCuFe12においても、水酸化Caが、Feすなわち活性点を覆うことは変わらないと考えられ、この点からも秩序型CaCuFe12の触媒性能が飛躍的に向上するとはすぐには考え難い。
よって、秩序型CaCuFe12が触媒として有効かは当業者であっても容易に想到できるものではない。段落0009に述べた通り、先行技術で秩序型ペロブスカイトが触媒に応用できることを示していないことと一致する。
ところが、念のため実験した結果、組成を図13、図14に示す通り、秩序型CaCuFe12の触媒性能が極めて優れ、非秩序型CaFeOの触媒性能は劣ることがわかった。これについて鋭意研究した結果、次のことが分かった。
前記した通り、図3左図のCaFeOでは、Aサイト金属のCa及びBサイト金属のFeがOとのイオン結合をして並んでいる。これに対し、図3右図の秩序型ペロブスカイトではAサイト金属のCaがA’サイト金属のCuと交互に配列していることから、A’サイト金属のCuの結合状態を、SPring−8の放射光を用いて詳しく調べた結果、CuはOとイオン結合に加え電子軌道の重なりすなわち共有結合をしていることを発見した(S.Yagi、I.Yamada、H.Tsukasaki、A.Seno、M.Murakami、H.Fujii、H.Chen、N.Umezawa、H.Abe、N.Nishiyama and S.Mori、Covalency−reinforced oxygen evolution reaction catalyst(投稿中))。イオン結合では安定性が低く、OH等と反応してアモルファス化しやすい。しかし共有結合では、アモルファス化しにくくなるので、この場合のCuは活性点となる。
さらに、結果としてCuの共有結合は、結晶構造内で縦横無尽に張り巡らせている構造となっていることもあり、非常に安定性が高く、活性点が強固に維持され、かつ三次元で網羅的な共有結合ネットワークにより、電荷の移動がスムーズになり電気化学反応が早くなるという相乗効果もあると考えられる。すなわちCaCuFe12においてはFeに加えてCuも活性点となり、CaFeOよりも活性点が多く、かつ電荷の移動も速い。より効率的な触媒作用を有することをつきとめた。
なお、活性点のみに着目すると、Caを除いたCuFeでも一見よいと考えられ、触媒として有望であると予想されるが、実際にはスピネル構造になりFeは価数が3価と低く、結果として活性点が少なく、結果として触媒性能がよくなかった。逆に言うと、ペロブスカイト構造として、かつAサイト秩序型ペロブスカイトとすることで、初めて活性点が多く安定で効率のよい触媒効果が得られると言える。
次にイオン半径の効果についても考察した。ここで表1によるとAサイトのCa2+のイオン半径は1.34Åで、A’サイトのCu2+は0.57Åである。Cuのイオン半径が小さいため、AサイトとA’サイトが不規則な並びをすると歪を生じて安定しない。しかし、規則的に並ぶことで安定する。このことからも、秩序型のペロブスカイトでは、Aサイト金属がA’サイト金属と交互に規則的な配置となっており、化学的に安定になると考えてよい。
秩序型ペロブスカイトでは、図3右図のようにO原子の位置が格子の歪みにより正規のペロブスカイトのOの位置からずれている。これにより、電気分解中にOに生じるOHの位置関係が互いに近いものと遠いものとができる。この近いものによりOの発生が早くなるものと考えられる。
一方、非秩序型ペロブスカイトでは、図3左図のようにO原子は正規のペロブスカイトのOの位置にあり、互いの距離が同一であり秩序型のような近いものがない。これにより、非秩序型ペロブスカイトではOの発生が速くならず、Aサイト金属のCaが水酸化物になり、Bサイト金属を覆うような変化をする。しかし、規則型のCaCuFe12の場合は、水酸化物になりやすいCaの割合が少ないことに加えて、Oの発生が速いことから水酸化物の生成が抑えられ、この相乗効果により、Bサイト金属を覆うような変化をしにくい。
段落0020から0025で述べたことは、図13、図14の通り非秩序型のCaFeOは繰り返し使用するほど触媒性能が劣化し、秩序型のCaCuFe12は10回以上繰り返し使用しても触媒性能が劣化し難いことから裏付けられる。
なお、図13、図14において秩序型のCaCuFe12が10回までは、徐々に触媒性能が向上しているのは、通電により、初期はCaの水酸化物が生成するが、量が多くないのでしばらくすると終了し、触媒反応が優先されるためである。一方で非秩序型のCaFeOは繰り返し使用するほど触媒性能が劣化するのは、使用するにしたがって表面が水酸化物で覆われるためと考えられた。図4はこの結果を示す。
図4はこの目的で触媒の表面近傍の格子像を撮影したもので、点の不整合なものはアモルファス相を示す。これにより、表面にアモルファス相すなわち水酸化物が、CaFeOでは多く、CaCuFe12では少ないことを確かめた。
なお、表1は、秩序型ペロブスカイトとなる場合のAサイト金属、A’サイト金属、Bサイト金属のイオン半径を示したものである。出典は非特許文献9による。秩序型ペロブスカイトでは、図3右図に示す通り、配位数は、Aサイトは12配位、A’サイトは4s配位、Bサイトは6配位である。これらの内、Aサイト金属とA’サイト金属の半径差が大きいものがより安定し、触媒作用がより優れる。また、Aサイト金属イオンのイオン半径が、A’サイト金属イオンのイオン半径よりも0.37Å以上大きいことを特徴としている。
以上のように、秩序型ペロブスカイトは、A’サイトが共有結合し活性点となり、かつOの発生をしやすくし、Caの水酸化物を作りにくくするため、優れた触媒性能を発揮するということは、本発明者らが初めて見出した極めて重要な発見である。この考え方で、さらに研究を重ねた結果、以下の多くの、優れた触媒性能を有する秩序型ペロブスカイトを発見し、本発明を完成させた。
即ち、前記の目的を達成するためになされた本発明は、[1]Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物を含有する酸素発生反応用触媒である。
また、本発明は、[2]前記Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物が、化学式(1):AA’12(式中、AはNa、K、Ca、Sr、Ba、Ag、Pb、Bi、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuからなる群から選択された少なくとも一つの金属元素を表し、A’はCu、Mn、Fe、Co及びPdからなる群から選択された少なくとも一つの遷移金属元素を表し共有結合をしており、BはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ru、Rh、Re、Ir、Pt、Al、Ga、Ge、Sn、及びSbからなる群から選択された少なくとも一つの金属元素を表す。)で表される、[1]に記載の酸素発生反応用触媒である。
更に、本発明は、[3]前記Aサイト秩序型ペロブスカイトにおいて、Aサイト金属イオンのイオン半径が、A’サイト金属イオンのイオン半径よりも0.37Å以上大きいことを特徴とする、[2]に記載の酸素発生反応用触媒である。
更に、本発明は、[4]前記Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物が、化学式(2):ACuFe12(式中、AはCa、Sr、Y、La、及びCeからなる群から選択された少なくとも一つの金属元素を表し、このCuは共有結合を有する。)で表されるAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物である、[1]〜[3]のいずれか一つに記載の酸素発生反応用触媒である。
更に、本発明は、[5]前記Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物が、化学式(3):CaCu 12(式中、Cuは共有結合を有し、BはTi、Mn、Fe、及びRuからなる群から選択された少なくとも一つの遷移金属元素を表す。)で表されるAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物である、[1]〜[3]のいずれか一つに記載の酸素発生反応用触媒である。
更に、本発明は、[6]前記Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物が、化学式(4):CaCuFe12で表され共有結合を有するAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物である、[1]〜[5]のいずれか一つに記載の酸素発生反応用触媒である。
更に、本発明は、[7]前記Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物が、化学式(5):AIICuII 12又は化学式(6):AIIMnII 12(前記二式中、AIIはCa、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群から選択された少なくとも一つの金属元素を表し、BIIはTi、Mn、Ru又は(Fe0.5+Sb0.5)を表す。)で表されるAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物である、[1]〜[3]のいずれか一つに記載の酸素発生反応用触媒である。
更に、本発明は、[8]前記化学式(5)で表されるAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物がCaCuTi12、CaCuRu12、CaCu(FeSb)O12又はCaCu(FeRe)O12であり、あるいは、前記化学式(6)で表されるAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物がCaMnMn12である、[7]に記載の酸素発生反応用触媒である。
更に、本発明は、[9]Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物が、1GPa〜20GPaの高圧合成法により製造されたものである、[1]〜[7]のいずれか一つに記載の酸素発生反応用触媒である。
更に、本発明は、[10]Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物が、常圧合成法により製造されたものである、[8]に記載の酸素発生反応用触媒である。
更に、本発明は、[11]酸素発生反応が、金属−空気電池及び直接的水分解に於ける酸素発生反応である、[1]〜[10]のいずれか一つに記載の酸素発生反応用触媒である。
更に、本発明は、[12] [1]〜[11]のいずれか一つに記載の酸素発生反応用触媒を用いる、酸素発生反応方法である。
更に、本発明は、[13] [1]〜[11]のいずれか一つに記載の酸素発生反応用触媒及び担体を含む酸素発生反応用触媒組成物である。
本発明のAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒は、酸素発生反応用触媒として従来からのRuOやIrO等の高価な貴金属酸化物触媒に較べて、それらと同等以上の高い触媒活性を有し、且つ触媒反応条件下で安定性が高く、繰返し使用寿命が長い。その結果、費用対効果に優れた実用性の高い触媒である。又、本発明は、この費用対効果に優れた触媒を含む組成物を提供する。更にこの費用対効果に優れた触媒を用いる酸素発生反応方法を提供し、金属-空気電池及び直接的水分解に於ける効率の良い酸素発生反応方法を提供する。
図1は、本発明を適用するAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒(CaCuFe12(略称:CCFO))の掃引電位に対する触媒単位表面積あたりのOER電流を測定した結果(OER電流・電位曲線:実施例1)と比較例としての単純ペロブスカイト酸化物触媒La0.7Sr0.3CoO(特許文献1を参照せよ。)のOER電流・電位曲線との比較を表す図である。 図2は、本発明を適用する前記CCFO触媒のOER電位・電流曲線と、単純ペロブスカイト酸化物触媒であるLa0.7Sr0.3CoO(特許文献1を参照せよ。)、J.−I.Jung等の(Ba0.5Sr0.5)Co0.8Fe0.23―δ(BSCFと略す:非特許引用文献5、7を参照せよ。)及びA.Grimaud等の(Pr0.5Ba0.5)CoO3−δ(PBCOと略す:非特許引用文献4を参照せよ。)、並びに、貴金属酸化物触媒であるRuO及びIrOのOER電位・電流曲線との比較を表す図である。 図3は、本発明を適用するAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物AA’12(右)と単純ペロブスカイト酸化物ABO(左)との結晶構造比較を表す図である。 図4は、SrFeO、CaFeO、及びCaCuFe12のそれぞれ合成直後、塗布直後及び100回OER測定後のHRTEM(高分解能透過電子顕微鏡)測定及びFFT(高速フーリエ変換)像を示す。結晶領域とアモルファス領域の境界は破線で示される。全てのFFT像は表面の約10×10nm領域で得られた。 図5は、本発明を適用するAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物CaCu12(B=Fe、Mn、Cr、V、Ti)にそれぞれ対応する粉末X線回折図である(Cu−Kα)。これらのAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物は、いずれも不純物の混入が無い単一相であることを確認した。 図6は、本発明で使用する高圧合成装置(例示として、Kawai型高圧合成装置)の炭化タングステン(WC)超硬アンビルで組んだセルを表す図である。MgO八面体が圧媒体である。このセル中に原料酸化物粉末を入れた試料部を入れ、例えば、1〜20GPa程度まで加圧し、700〜1000℃に加熱して数十分間保つ。 図7は、本発明で使用する回転リングディスク電極を表す図である。 図8は、本発明で使用する回転リングディスク電極を用いたOER測定のメカニズムを表す図である。 図9は、本発明を適用するAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒(CaCuFe12(略称:CCFO))の掃引電位に対する触媒単位質量あたりのOER電流を測定した結果(OER電流・電位曲線)(実施例1)である。従来触媒であるRuO及びIrOの電流・電位曲線の測定結果も比較例として表示してある。 図10は、本発明を適用するAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒(CaCuFe12(略称:CCFO))の掃引電位に対する触媒単位表面積あたりのOER電流を測定した結果(OER電流・電位曲線)(実施例1)である。従来触媒であるRuO及びIrOの電流・電位曲線の測定結果も比較例として表示してある。 図11は、本発明を適用するAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒ACuFe12(「ACFO」と略する。A=Ca、Sr、Y、La又はCeを表す。)の掃引電位に対する単位質量あたりのOER電流を測定した結果(OER電流・電位曲線)を表す図である。 図12は、本発明を適用するAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒ACuFe12(「ACFO」と略する。A=Ca、Sr、Y、La又はCeを表す。)の掃引電位に対す単位表面積あたりのOER電流を測定した結果(OER電流・電位曲線)を表す図である。 図13は、本発明を適用するAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒CaCuFe12(CCFO)と単純ペロブスカイト酸化物CaFeO触媒の、繰返し使用時の耐久性を比較した図であり、繰返し使用時(100回目まで)の電流・電位曲線を表す。 図14は、本発明を適用するAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒CaCuFe12(CCFO)と単純ペロブスカイト酸化物CaFeO触媒の、繰返し使用時の耐久性を比較した図であり、繰返し使用時(100回目まで)に於けるOER電流密度の変化を表す。 図15は、本発明を適用するAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒CaCu12(B=Ti、Mn、Fe、又はRuを表す)によるOER電流・電位曲線の立ち上がり部分の拡大図である。 図16は、本発明を適用するAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒AMnMn12(式中、A=La又はCaを表す)のOER電流・電位曲線を表す。比較例として、通常型ペロブスカイト酸化物触媒AMnO(式中、Aは前記と同義)のOER電流・電位曲線も併記する。なお、LaMn12なる表記は、Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物LaMnMn12と同義である。同様に、CaMn12なる表記は、Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物CaMnMn12と同義である(以下、同じ)。 図17は、本発明を適用するAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒CaMnMn12(CaMn12と同義である)の粉末X線回折図(Cu−Kα)である。ここで、950℃は酸化物触媒の合成温度である。 図18は、本発明を適用するAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒LaMnMn12(LaMn12と同義である)の粉末X線回折図(Cu−Kα)である。図中、丸印はLaMnO由来の不純物ピークを表す。ここで、6.5GPa・900℃は、酸化物触媒の合成圧力・温度である。 図19は、本発明を適用するAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒CaMnMn12のOER触媒性能の繰返し使用耐性(OER電流・電位曲線)を表す(実施例6)。 図20は、比較例として、単純ペロブスカイト酸化物触媒CaMnOのOER触媒性能の繰返し使用耐性(OER電流・電位曲線)を表す。 図21は、本発明を適用するAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒LaMn12(LaMnMn12と同義である)のOER触媒性能の繰返し使用耐性(OER電流・電位曲線)を表す(実施例7)。 図22は、比較例として、単純ペロブスカイト酸化物であるLaMnO触媒のOER触媒性能の繰返し使用耐性(OER電流・電位曲線)を表す。 図23は、本発明を適用するAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒CaCuFe12(CCFOと略す)のOER電流・電位曲線(実施例1)と比較例の単純ペロブスカイト酸化物触媒のOER電流・電位曲線との比較を表す図である。ここに示す二種類の単純ペロブスカイト酸化物触媒:J.−I.Jung等の(Ba0.5Sr0.5)Co0.8Fe0.23―δ(BSCFと略す:非特許引用文献5、7を参照せよ。)及びA.Grimaud等の(Pr0.5Ba0.5)CoO3−δ(PBCOと略す:非特許引用文献4を参照せよ。)は、今までに論文として報告されたペロブスカイト酸化物触媒の中では、OERに対して最も活性が高いと云われるものである。 図24は、本発明を適用するCCFO触媒のOER電位・電流曲線と、BSCF、PBCO、RuO及びIrOのOER電位・電流曲線との比較を表す図である。
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
<本発明で触媒として使用するAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物>
本発明で触媒として使用するAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物の詳細は、以下の通りである。
本発明で使用するAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物は、単純ペロブスカイト構造(図3左図の化学式:ABO)のAサイトの1/4を金属元素Aが占有し、3/4を遷移金属元素A’が占有することによりAサイトが秩序化された酸化物(図3右図の化学式(1):AA’12)である。化学式(1)に於いて、AはNa、K、Ca、Sr、Ba、Ag、Pb、Bi、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuからなる群から選択された少なくとも一つの金属元素を表し、A’はCu、Mn、Fe、Co及びPdからなる群から選択された少なくとも一つの遷移金属元素を表し共有結合しており、BはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ru、Rh、Re、Ir、Pt、Al、Ga、Ge、Sn、及びSbからなる群から選択された少なくとも一つの金属元素を表す。ここで、前述の通り、A’サイト金属のCuはOとイオン結合に加え電子軌道の重なりすなわち共有結合をしていることが特徴の一つであり、イオン結合のみでは安定性が低く、OH等と反応してアモルファス化しやすいが、共有結合では、アモルファス化しにくくなるので、この場合のCuは安定な活性点となり得ると考えられる。即ち、結果としてCuの共有結合は、結晶構造内で縦横無尽に張り巡らせている構造となっていることもあり、非常に安定性が高く、活性点が強固に維持され、かつ三次元で網羅的な共有結合ネットワークにより、電荷の移動がスムーズになり電気化学反応が早くなるという相乗効果もあると考えられる。
化学式(1)中、化学式(2):ACuFe12(式中、AはCa、Sr、Y、La、及びCeからなる群から選択された少なくとも一つの金属元素を表す。)で表される銅鉄系Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物が酸素発生触媒効率の点で好ましく用いられる。前述のとおり、ACuFe12においてはFeに加えてCuも活性点となり、CaFeOよりも活性点が多く、かつ電荷の移動も速い。そのため、より効率的な触媒作用を発揮するものと考えられる。また、Pt、Ir等の希少金属を含まない点でも、費用対効果の点で好ましく用いられる。
化学式(1)中、化学式(3):CaCu 12(式中、Cuは共有結合を有し、BはTi、Mn、Fe、及びRuからなる群から選択された少なくとも一つの遷移金属元素を表す。)で表されるAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物が、前述のとおりCuの共有結合性のために活性点が多く、かつ電荷の移動も速い。そのため、酸素発生触媒効率の点で好ましく用いられる。また、Pt、Ir等の希少金属を含まない点でも、費用対効果の点で好ましく用いられる。
化学式(1)又は(2)中、化学式(4):CaCuFe12で表され、Cuは共有結合を有するAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物が、前述のとおりCuの共有結合性のために活性点が多く、かつ電荷の移動も速い。そのため、酸素発生触媒効率の点でより好ましく用いられる。また、Pt、Ir等の希少金属を含まない点でも、費用対効果の点で好ましく用いられる。
化学式(1)中、化学式(5):AIICuII 12又は化学式(6):AIIMnII 12(前記二式中、AIIはCa、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群から選択された少なくとも一つの金属元素を表し、BIIはTi、Mn、Ru又は(Fe0.5+Sb0.5)を表す。)で表されるAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物が、一様に高い酸素発生触媒効率を有する点で好ましく用いられる。また、Pt、Ir等の希少金属を含まない点でも、費用対効果の点で好ましく用いられる。
前記化学式(5)中、CaCuMn12、CaCuTi12、CaCuRu12、CaCu(FeSb)O12及びCaCu(FeRe)O12からなる群から選択された少なくとも一つのAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物、又は、前記化学式(6)中、CaMnMn12(CaMn12と同義である)のAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物が、一様に高い酸素発生触媒効率を有する点で好ましく用いられる。また、Pt、Ir等の希少金属を含まない点でも、費用対効果の点で好ましく用いられる。
本発明で使用する前記Aサイト秩序型ペロブスカイトにおいて、Aサイト金属イオンのイオン半径が、A’サイト金属イオンのイオン半径よりも0.37Å以上大きいことを特徴とする。ここで例えば、本発明で使用するAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物CaCuFe12に於いて、AサイトのCa2+のイオン半径は1.34Åで、A’サイトのCu2+は0.57Åである。Cuのイオン半径が小さいため、AサイトとA’サイトが不規則な並びをすると歪を生じて安定しない。しかし、規則的に並ぶことで安定する。このことからも、秩序型のペロブスカイトでは、Aサイト金属がA’サイト金属と交互に規則的な配置となっており、化学的に安定になると考えてよい。Aサイト秩序型ペロブスカイトでは、図3右図のようにO原子の位置が格子の歪みにより正規のペロブスカイトのOの位置からずれている。これにより、電気分解中にOに生じるOHの位置関係が互いに近いものと遠いものとができる。この近いものによりOの発生が早くなるものと考えられる。
Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒の形状、大きさ等は特に限定されず、目的の部品等に応じて適宜設定すればよいが、部品の加工容易性等の観点から粒子状であることが好ましい。前記ペロブスカイト型酸化物が粒子状である場合、平均粒径は、1〜1000μm程度が好ましい。平均粒径の測定方法には、公知の方法を採用すればよい。例えば、透過型電子顕微鏡法(略称「TEM」)や走査型電子顕微鏡法(略称「SEM」)等が挙げられる。
Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒の結晶構造は、例えば、X線回折法(略称「XRD」)、メスバウアー分光法等によって確認できる。
<Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物の製造方法>
Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒(化学式(1):AA’12)は、例えば、Aの酸化物、A’の酸化物及びBの酸化物を混合後、通常は、高温高圧下で熱処理(焼成)することにより製造できる(高圧固相合成法)。一方、特定のAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物、例えば、CaCuTi12、CaCuRu12、CaCu(FeSb)O12、及びCaMnMn12は、常圧合成法により製造することも可能である。
固相合成法は固体間での化学反応であるため、反応速度は液相法等に比べて格段に遅くなる。酸化物粉末粒子の拡散律速となるからである。この問題を克服するためには、ボールミル等を使用して粒子のサイズを出来るだけ小さくすることが必要である。
Aの酸化物、A’の酸化物及びBの酸化物の配合割合は、特に限定されず、例えば、化学式(1)(AA’12)で示されるAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物が得られるよう適宜設定すればよい。例えば、CaCuFe12のAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物を製造する場合、CaO、CuO及びFeをモル比で1:3:2の割合で用いることにより、本発明で使用するペロブスカイト型酸化物触媒が好適に得られる。
前記熱処理は、公知の方法に従って行うことができる。例えば、白金カプセルに、Aの酸化物、A’の酸化物及びBの酸化物の混合物を充填後、得られたカプセルを、高圧が必要な場合には、高圧合成装置を用いて加圧及び加熱する。但し、例は少ないが、常圧合成が可能な酸化物(前記を参照せよ。)の場合には、加圧装置は必要ではない。公知の加圧装置としては、例えば、10GPa程度までの高圧発生が可能なマルチアンビル装置であるDIA型高圧発生装置が例示される。更に二段目のアンビルを入れることによって、逐次加圧が可能で25〜50GPaの高圧発生が可能なKawai型装置が例示される。これを図6に示す各酸化物の混合物を熱処理する際の圧力は、0.1〜50GPa、好ましくは0.5〜40GPa、より好ましくは1〜20GPa、例えば、10〜18GPa程度である。熱処理温度は、700℃以上程度が好ましく、1000〜1200℃程度がより好ましい。特に、10GPa程度以上の圧力(例えば、15GPa)及び1000℃以上の温度(例えば、1200℃)で行われることにより、本発明で使用するAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒が好適に得られる。
熱処理時間は、原料が十分に反応するよう熱処理温度等の熱処理条件に応じて適宜調整すればよいが、通常数分〜120分間程度、好ましくは、10分〜60分間、例えば、20分〜40分間である。
前記熱処理に先だって、前記混合物には公知の添加剤を含有させてもよい。公知の添加剤としては、例えばKClO等の酸化剤が挙げられる。
一方、固体粉末の拡散問題を回避するための方法として、クエン酸錯体重合法がある。このクエン酸錯体重合法によって均一反応状態で複合酸化物である前駆体を合成し、これによって原子レベルでの混合を可能にした前駆体粉末を得る。この粉末を高圧高温処理することにより、目的のAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒を製造する方法である。
より具体的には、クエン酸などのオキシカルボン酸を過剰に含むグリコール(エチレングリコールやプロピレングリコールなど)の溶液中に金属塩を溶解させ、金属オキシカルボン酸錯体を形成させる。この溶液を120〜150℃程度の温度で加熱してエステル反応を連鎖的に生じさせてポリエステル高分子ゲルを得る。このゲル中には金属イオンが均一に分散しているために金属元素が偏って析出する程度が低く抑えられる。これを400℃程度で熱分解させることにより、高純度な複合酸化物前駆体を得ることができる(非特許文献8を参照せよ。)。この複合酸化物前駆体を高圧高温条件で焼成することにより、Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒を得ることができる。焼成時圧力は、通常、1〜20GPaであり、焼成温度は、通常、600〜1,000℃、好ましくは、700〜900℃、例えば、850℃である。
なお、前記のとおり、このクエン酸錯体重合法を適用して常圧条件で合成できるAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物の種類は多くはなく、例えば、CaCuTi12、CaCuRu12、CaCu(FeSb)O12、及びCaMnMn12等が例示される。
<空気極触媒層>
本発明に於いて、Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物が触媒として、電池の酸素発生電極層に使用される。空気極触媒層は、好ましくは空気極触媒、及び空気極用電解質を含有する層である。空気極触媒層は、さらに、必要に応じて結着材を含有していても良い。
本発明に係る金属空気電池用空気極触媒は、従来の空気極触媒より耐酸化性に優れており、厳しい酸化環境下にさらされても劣化を受けにくいと云う特徴を有する。電極反応がよりスムーズに行われるという観点から、空気極触媒は導電性材料に担持されていることが望ましい。空気極触媒層に用いられる導電性材料としては、導電性を有するものであればよく、特に限定されるものではないが、例えば炭素材料、ペロブスカイト型導電性材料、多孔質導電性ポリマー及び金属多孔体等を挙げることができる。炭素材料は、多孔質構造を有するものであっても良く、多孔質構造を有しないものであってもよい。多孔質構造を有する炭素材料としては、具体的にはメソポーラスカーボン等を挙げることができる。一方、多孔質構造を有しない炭素材料としては、具体的にはグラファイト、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ及びカーボンファイバー等を挙げることができる。
<回転リングディスク触媒電極>
本発明に於いて、触媒電極特性の測定に用いる回転リングディスク用触媒電極の作成方法は、特に限定されるものではない。一例として、具体的な手順を以下に示す。
即ち、酸素発生触媒としてのAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物粉末、導電性材料としてのアセチレンブラック、溶存酸素の触媒表面への移動を妨げない固定化バインダーとしてのKイオン交換されたNafion(登録商標)分散液、及び分散媒としてのテトラヒドロフランを混合・撹拌し、触媒インクを作成する。得られた触媒インクを超音波撹拌した後、ディスク部のグラッシーカーボンディスク上に滴下し、その後、室温で一晩、真空乾燥させて、測定用の触媒電極を得る(図7、8を参照せよ。)。
具体的には、3.33wt%のKイオン交換されたNafion(登録商標)分散体を、5wt%のプロトンタイプNafion(登録商標)分散体と0.1M−KOH水溶液を2:1の体積比で混合して調製する。Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物の触媒インクは、当該酸化物50mg、アセチレンブラック(AB)10mg、及び3.33wt%Kイオン交換Nafion(登録商標)分散体0.3mlを混合して調製する。インクの体積はテトラヒドロフランを添加して10mlに調製する。直径0.4cmのグラッシーカーボンディスクと、外径0.7cm、内径0.5cmのPtリングからなる回転リングディスク電極が0.05μmのアルミナスラリーで研磨された後に、作動電極として用いられる。6.4μlの触媒インクがグラッシーカーボン(GC)電極部分(0.2×0.2×πcm)に滴下・展開される。グラッシーカーボン上の触媒層は、室温で一晩、真空乾燥され、以下の組成を有する:0.25mg酸化物cm−2 ディスク、0.05mgABcm−2 ディスク、及び、0.005mgNafioncm−2 ディスク
<OER触媒の電気化学特性の測定>
上記で得られた触媒電極を用いて、OER触媒の電気化学的特性を以下の手順で測定する。酸素飽和させた電解液(例えば、KOH溶液)に触媒を担持させたグラッシーカーボン電極を浸し、バイポテンショスタットを備えた回転リングディスク装置を用い、所定の電位掃引速度(例えば10mV/sec)で所定の電位まで(例えば、0.3〜0.9Vvs.Hg/HgOまで)掃引し、その後、同様の電位掃引速度で初期電位まで(例えば0.9〜0.3Vvs.Hg/HgOまで)掃引し、その間の電流密度(OER電流・電位曲線)を測定する(図1を参照せよ。)。測定は、Ptワイヤ電極を対極とし、0.10M−KOH水溶液で満たされたHg/HgO電極を参照電極として実施する。Hg/HgO電極基準の電位と可逆水素電極(RHE:Reversible Hydrogen Electrode)基準の電位の間には、0Vvs.Hg/HgO=+0.926Vvs.RHEの関係があり、これは電解液とHg/HgO電極の内部液のpHが同じであれば常に成り立つ。全ての測定は酸素飽和下、室温で行なわれ、O/HO酸化還元対の平衡電位を0.304Vvs.Hg/HgO(1.23Vvs.RHE)に固定して実施される。OER反応に対するペロブスカイト酸化物の触媒特性評価のために、触媒で修飾されたグラッシーカーボン部分の電位は、10mVs−1の電位掃引速度に於いて、0.3〜0.9Vvs.Hg/HgO(1.23〜1.83Vvs.RHE)に制御される。以下の実施例に於いて、全てのOER電流はペロブスカイト酸化物触媒の推定表面積当たりの相対的電流値として示され、電位は電解液の抵抗成分(交流インピーダンス法によりおよそ43Ωと決定)によるiRドロップの補正を行い、RHE基準の電位(E−iR/Vvs.RHE)として示されている。なお、比較のために、酸化物触媒重量当たりの相対的電流値として表示される場合もある。
アルカリ水溶液中に於けるディスクでのOER反応は以下の反応式(7)に沿って進行する:4OH→O+2HO+4e(7)(図8を参照せよ。)。
<OER触媒性能の評価指標>
触媒性能の評価指標を、電位を掃引して得られる電流・電位曲線で説明する。触媒表面で上記(7)のOERを進行させるとき、酸素発生に伴うエネルギー分の電圧を加える必要がある。この電圧は溶液のpHにより一定である。一方で、更に酸素発生反応の活性化エネルギー分の電圧を過剰にかける必要がある。これを過電圧と云い、過電圧が低いほど、即ち電流の立ち上がりが低電位であるほど、OER触媒性能が優れていることになる。加えて、電流の立ち上がりが急峻なほど、即ち、所定の電位に対する電流値の増加(電流勾配)が高いほど、OER触媒性能が優れていることになる。従って、電流・電位曲線に於いて、過電圧値及び電流・電位曲線の勾配の二つがOER触媒性能の評価指標となる。
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
触媒製造例1<Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒CaCuFe12の製造>
(1)クエン酸錯体重合法による前駆体の製造:
まず、クエン酸錯体重合法により、以下の手順でCaCuFe12の前駆体混合酸化物を調製した。即ち、CaCO:Cu(NO・3HO:Fe(NO・9HO:クエン酸=1:3:4:40(モル比)の割合となるように、各原料を用意する。ホットプレート付きマグネットスターラー上に蒸発皿をセットして、撹拌用マグネットを入れ、蒸留水5mlを添加した。次いで、0.775gのCaCO(和光純薬社品)を添加して混合撹拌を開始した。そこへ硝酸2mlを添加してCaCOを溶解し、次いで、0.561gのCu(NO・3HO(和光純薬社品)、1.25gのFe(NO・9HO(和光純薬社品)、及び5.95gの無水クエン酸(和光純薬社品)を添加して撹拌を継続し、若干加熱して全てを溶解させた。次いで、エチレングリコール2mlを加え、沸騰しない程度に加熱した。溶液の温度は赤外線放射温度計(AD−5611A)でチェックした。溶液の温度が90℃付近で褐色のNOが放出される。NOの放出が終わると、溶液の粘度が徐々に上がりだすので、マグネットを取り出し、溶液が乾燥するまで加熱し続ける。乾固した後に、電気炉で400℃、1時間の高温処理を行い、ポリマー錯体に含まれる有機物をある程度分解除去して、前駆体を得た。この前駆体をメノウ乳鉢で混合し、アルミナ坩堝に入れて、675℃で12時間の高温処理をすることで、有機物等を完全に除去して前駆体0.3gを得た。
(2)高圧合成法によるAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒の製造
次に、Kawai型高圧合成装置を用いて、前記で製造した前駆体からAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒の製造を以下の様に行なった。図6に示した炭化タングステン(WC)超硬アンビルで組んだセル(MgO八面体(1辺が10mm)が圧媒体である)の中に、前記(1)で得た前駆体酸化物粉末0.0285gとKClO(和光純薬社品)0.0040gを充填した試料部を入れ、15GPa及び1000℃で30分間、その状態を維持した。次いで、加熱電力を遮断することにより、数秒間で室温付近まで急冷(クエンチ)した。その後、12時間程度かけて、徐々に脱圧し、常圧に戻した。このクエンチ操作により、高圧での生成物(Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物)を準安定相として凍結することができる。得られた生成物を粉末X線回折(株式会社リガク製のUltimaIV:Cu−Kα線照射にて測定)することにより、Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物構造のCaCuFe12であることを確認した(図5を参照せよ。)。この物の走査型電子顕微鏡(SEM)像からの粒径分布を元に算出された比表面積は0.32m−1であり、BET吸着法により測定された比表面積は0.45m−1であった。
触媒製造例2<Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒CaCuMn12の製造>
(1)高圧合成法によるAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒の製造
CaO、CuO、及びMnO(共に、和光純薬社品)を1:3:4のモル比となるように混合してKawai型高圧合成装置を用いて、触媒製造例1(2)に準じてAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物の製造を行なった。合成条件は12GPa及び1000℃で30分間であった。得られた生成物の粉末X線回折により、Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物構造のCaCuMn12であることを確認した(図5を参照せよ。)。この物の走査型電子顕微鏡(SEM)像からの粒径分布を元に算出された比表面積は0.42m−1であった。
触媒製造例3<Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒CaCu12(B=Ti又はRu)の製造>
(1)常圧合成法によるAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒の製造
CaCO、CuO、及びBO(B=Ti又はRu)(共に、和光純薬社品)を1:3:4のモル比となるように混合して常圧・高温合成法によりAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒の製造を行なった。合成条件は空気中、1000℃で15時間であった。得られた生成物の粉末X線回折(XRD)により、それぞれ、Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物構造のCaCuTi12及びCaCuRu12であることを確認した(図5にはB=TiのXRDプロファイルを示した。)。この物の走査型電子顕微鏡(SEM)像からの粒径分布を元に算出された比表面積はそれぞれ、0.24m−1(B=Ti)及び0.12m−1(B=Ru)であった。
触媒製造例4<Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒CaMn12の製造>
(1)クエン酸錯体重合法による前駆体の製造:
触媒製造例1(1)のクエン酸錯体重合法に準じ、CaCO:Mn(NO:クエン酸=1:7:40(モル比)混合物から前駆体酸化物を得た。
(2)常圧合成法によるAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒の製造
前記(1)で得た前駆体を用い、空気中、950℃で12時間、常圧合成を行なって、Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒CaMn12を製造した。生成物のX線回折プロファイルを図17に示す。このプロファイルより、不純物相の無いAサイト秩序型ペロブスカイト構造であることを確認した。SEM像から算出した比表面積は2.73m−1であった。
触媒製造例5<Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒LaMn12(以後、Aサイト秩序型であることを明示すべく、「LaMnMn12」と記載することあり。)の製造>
(1)高圧合成法によるAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒の製造
La及びMnO(共に、和光純薬社品)を1:14のモル比となるように混合し、Kawai型高圧合成装置を用いて、触媒製造例1(2)に準じて6.5GPa、700℃で30分間、高圧合成を行なった。得られた酸化物は粉末X線回折の結果、微量の不純物相(LaMnO)の混入は見られるものの、Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒LaMn12であることが確認された(図18)。SEM像から算出した比表面積は0.48m−1であった。
実施例1<Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒(CaCuFe12(略称:CCFO))の酸素発生触媒性能>
上記で得られたAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物の触媒電極を用いて、Ptワイヤ電極を対極とし、0.10M−KOH水溶液で満たされたHg/HgO電極を参照電極としてOER触媒の電気化学的特性が測定された。全ての測定は酸素飽和下、室温で行なわれ、O/HO酸化還元対の平衡電位を0.304Vvs.Hg/HgO(1.23Vvs.RHE)に固定して実施された。OER反応に対するAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物の触媒特性評価のために、触媒で修飾されたグラッシーカーボン部分の電位は、10mVs−1の電位掃引速度に於いて、Hg/HgOに対して0.3〜0.9Vvs.Hg/HgO(1.23〜1.83Vvs.RHE)に制御された。以下の実施例に於いて、全てのOER電流は、Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒の推定表面積当たりの相対的電流値を基本として示されている。補助的に、酸化物触媒重量当たりの相対的電流値を示している場合もある。また、電位は電解液の抵抗成分(交流インピーダンス法によりおよそ43Ωと決定)によるiRドロップの補正を行い、RHE基準の電位(E−iR/Vvs.RHE)として示されている。
図9及び図10は、本発明を適用するAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒(CaCuFe12(略称:CCFO))の掃引電位に対するOER電流を測定した結果(OER電流・電位曲線)(実施例1)である。従来触媒であるRuO及びIrOの電流・電位曲線を測定した結果も比較例として表示してある。図9は触媒単位質量あたりのOER電流・電位曲線を表す図であり、図10は触媒単位表面積あたりのOER電流・電位曲線を表す図である。触媒単位質量あたり、及び触媒単位表面積あたり共に、CCFOの触媒性能が、RuO及びIrOの性能を凌駕していることが分かる。
実施例2<Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒(ACuFe12(「A=Ca、Sr、Y、La又はCeを表す。)の酸素発生触媒性能>
図11及び図12は、本発明を適用するAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒であるACuFe12(「ACFO」と略する。A=Ca、Sr、Y、La又はCeを表す。)の掃引電位に対するOER電流を測定した結果を表す図である。この測定において、グラッシーカーボン上の触媒層は以下の組成を有する:0.25mg酸化物cm−2 ディスク、0.05mgABcm−2 ディスク、及び、0.05mgNafioncm−2 ディスク。図11は単位質量あたりの、及び、図12は単位表面積あたりのOER電流・電位曲線をそれぞれ表す。単位表面積あたりで比較すると、ACFO間で有意な触媒性能の差は無いことが分かる。
実施例3<Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒CaCuFe12(CCFO)の繰返し使用時の耐久性>
図13及び図14は、本発明を適用するAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒CaCuFe12(CCFO)のOERでの繰返し使用時の耐久性を測定した結果を示す。この測定では、電極ディスクへ付着した酸素バブルを取り除くためディスク回転数を毎分3200回とした。比較例として、単純ペロブスカイト酸化物CaFeO触媒の繰返し使用時の耐久性測定結果も図13及び図14に併記されている。図13は繰返し使用時(100回目)のOER電流・電位曲線を表し、図14は繰返し使用時(100回目)に於ける電流密度の変化を表す。Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒のCCFOは、単純プロブスカイト酸化物に比して高いOER触媒活性及び耐久性を有することが分かる。
実施例4<Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒CaCu12(B=Fe、Mn、Ru又はTiを表す)の酸素発生触媒性能>
図15は、本発明を適用するAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒CaCu12(B=Fe、Mn、Ru又はTiを表す)によるOERの電流・電位曲線の立ち上がり部分の拡大図である。Bサイトの遷移金属BがTi、Mn、Ru、Feの順に過電圧が単調に減少して行き、触媒性能が向上していることが分かる。
実施例5<Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒AMnMn12(式中、A=La又はCaを表す)のOER触媒性能>
図16は、本発明を適用するAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒AMnMn12(式中、A=La又はCaを表す)のOER電流・電位曲線を表す。比較例として、単純ペロブスカイト型酸化物であるLaMnO及びCaMnOのOER電流・電位曲線も併記してある。なお、図中、LaMn12及びCaMn12なる表記は、Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物LaMnMn12及びCaMnMn12と同義である。図16より、Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒のOER電流・電位曲線の立ち上がりが、単純ペロブスカイト酸化物触媒の立ち上がりより急峻であり、Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒のOER触媒性能が、単純ペロブスカイト酸化物触媒よりも優れていることが分かる。
実施例6<Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒CaMnMn12のOER触媒性能の繰返し使用時の耐久性>
図19は、本発明を適用するAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒CaMnMn12(CaMn12と同義である)のOERでの繰返し使用時の耐久性を測定した結果(OER電流・電位曲線)を示す。比較例として、単純ペロブスカイト酸化物CaMnO触媒の繰返し使用時の耐久性測定結果(OER電流・電位曲線)も図20に併せて示す。Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒CaMnMn12は、単純プロブスカイト酸化物触媒に比して高いOER触媒活性及び耐久性を有することが分かる。
実施例7<Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒LaMnMn12のOER触媒性能の繰返し使用時の耐久性>
図21は、本発明を適用するAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒LaMnMn12(LaMn12と同義である)のOERでの繰返し使用時の耐久性を測定した結果(OER電流・電位曲線)を示す。比較例として、単純ペロブスカイト酸化物触媒LaMnOの繰返し使用時の耐久性測定結果(OER電流・電位曲線)も図22に示す。Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒LaMnMn12は、単純プロブスカイト酸化物触媒に比してOER電流・電位曲線の立ち上がりが急峻であり、且つ、繰返し使用後も急峻性を維持している。このことから、Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒は、単純プロブスカイト酸化物触媒に比して、優れたOER触媒活性及び耐久性を有することが分かる。
性能比較1<Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒と単純ペロブスカイト酸化物触媒とのOER触媒性能の比較>
図23は、本発明のCaCuFe12触媒(CCFOと略す)のOER電流・電位曲線(実施例1)と、J.−I.Jung等(非特許文献5)の(Ba0.5Sr0.5)Co0.8Fe0.23―δ(BSCFと略す)及びA.Grimaud等(非特許文献4)の(Pr0.5Ba0.5)CoO3−δ(PBCOと略す)のOER電流・電位曲線との比較を表す図である。ここに示す二種類の単純ペロブスカイト酸化物は、今までに論文として報告されたペロブスカイト酸化物触媒の中では、OERに対して最も触媒活性が高いものと推定されている。従って、図23より、本発明のCCFO触媒が、これら既知の単純ペロブスカイト酸化物と比べて、優れたOER触媒性能を有することが分かる。
性能比較2<Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒と単純ペロブスカイト酸化物触媒及び貴金属酸化物触媒とのOER触媒性能の比較>
図24は、本発明を適用するCCFO触媒と、BSCF、PBCO、RuO及びIrO触媒とのOER電位・電流曲線の比較を表す図である。この図より、同じ電位値(縦軸)に於いて、CCFOでは他に比べて一桁〜数桁大きな電流(横軸)が流れ、酸素発生反応(OER)が効率的に生じていることが分かる。
性能比較3<特許文献1に示された触媒との性能比較>
特許文献1のLa0.7Sr0.3CoOと本発明のCaCuFe12との酸素発生触媒の性能の比較を図1及び図2に示す。本発明品の方が、はるかに良い性能を示した。
本発明に係るAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒(CaCuFe12等)は、酸素発生反応用触媒として、従来からのRuOやIrO等の高価な貴金属酸化物触媒に較べて高い触媒活性を有し、且つ酸化的な触媒反応条件下でも安定性が高く繰返し使用寿命が長い酸素発生反応用触媒である。その結果として費用対効果に優れた酸素発生反応触媒として、金属−空気電池の充電反応や太陽光による直接的水分解反応に於ける重要なエネルギー変換反応への利用が期待される。同様に、Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒を用いる酸素発生反応方法及びAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物触媒含有組成物は、従来からの貴金属酸化物触媒を用いる酸素発生方法や触媒組成物に比べて、より費用対効果に優れた酸素発生反応方法及び触媒組成物として、実用的なエネルギー変換反応への利用が期待される。

Claims (13)

  1. Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物を含有する酸素発生反応用触媒。
  2. 前記Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物が、化学式(1):AA’12(式中、AはNa、K、Ca、Sr、Ba、Ag、Pb、Bi、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuからなる群から選択された少なくとも一つの金属元素を表し、A’はCu、Mn、Fe、Co及びPdからなる群から選択された少なくとも一つの遷移金属元素を表し共有結合をしており、BはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ru、Rh、Re、Ir、Pt、Al、Ga、Ge、Sn、及びSbからなる群から選択された少なくとも一つの金属元素を表す。)で表される、請求項1に記載の酸素発生反応用触媒。
  3. 前記Aサイト秩序型ペロブスカイトにおいて、Aサイト金属イオンのイオン半径が、A’サイト金属イオンのイオン半径よりも0.37Å以上大きいことを特徴とする、請求項2に記載の酸素発生反応用触媒。
  4. 前記Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物が、化学式(2):ACuFe12(式中、AはCa、Sr、Y、La、及びCeからなる群から選択された少なくとも一つの金属元素を表し、このCuは共有結合を有する。)で表されるAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物である、請求項1〜3のいずれか一つに記載の酸素発生反応用触媒。
  5. 前記Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物が、化学式(3):CaCu 12(式中Cuは共有結合を有し、BはTi、Mn、Fe、及びRuからなる群から選択された少なくとも一つの遷移金属元素を表す。)で表されるAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物である、請求項1〜3のいずれか一つに記載の酸素発生反応用触媒。
  6. 前記Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物が、化学式(4):CaCuFe12で表され、Cuは共有結合を有するAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物である、請求項1〜5のいずれか一つに記載の酸素発生反応用触媒。
  7. 前記Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物が、化学式(5):AIICuII 12又は化学式(6):AIIMnII 12(前記二式中、AIIはCa、La、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群から選択された少なくとも一つの金属元素を表し、BIIはTi、Mn、Ru又は(Fe0.5+Sb0.5)を表す。)で表されるAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物である、請求項1〜3のいずれか一つに記載の酸素発生反応用触媒。
  8. 前記化学式(5)で表されるAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物がCaCuTi12、CaCuRu12、CaCu(FeSb)O12又はCaCu(FeRe)O12であり、あるいは、前記化学式(6)で表されるAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物がCaMnMn12である、請求項7に記載の酸素発生反応用触媒。
  9. Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物が、1GPa〜20GPaの高圧合成法により製造されたものである、請求項1〜7のいずれか一つに記載の酸素発生反応用触媒。
  10. Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物が、常圧合成法により製造されたものである、請求項8に記載の酸素発生反応用触媒。
  11. 酸素発生反応が、金属−空気電池及び直接的水分解に於ける酸素発生反応である、請求項1〜10のいずれか一つに記載の酸素発生反応用触媒。
  12. 請求項1〜11のいずれか一つに記載の酸素発生反応用触媒を用いる、酸素発生反応方法。
  13. 請求項1〜11のいずれか一つに記載の酸素発生反応用触媒及び担体を含む酸素発生反応用触媒組成物。
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