JP2016221246A - 医療用ガイドワイヤ - Google Patents

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剛 寺師
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Abstract

【課題】病変部以外の側枝への迷入等の防止手段として、ガイドワイヤの先端部を意図的にU字形状に屈曲変形させて血管病変部入口部へ迅速に到達させる為の易屈曲性と、血管病変部での高い通過性との双方を兼備したガイドワイヤを得る為の技術課題が存在する。【解決手段】芯線先端部が、先端から後端へ先端細径体と第1截頭円錐体を有し、又は第1截頭円錐体を含む連接截頭円錐体を有し、先端細径体の長手方向の長さと第1截頭円錐体の長手方向の長さとの長さ比(先端細径体の長さ/第1截頭円錐体の長さ)が一定の関係式を満たすことにより、先端部の易屈曲性を高め、かつ、先端から後端へ外径が徐変拡径する第1截頭円錐体の構造、又は、第1截頭円錐体の後端に1個以上の截頭円錐体を連接した連接截頭円錐体構造として先端側への高い回転伝達性等を備え、血管病変部へ迅速に到達させると共に、血管病変部での高い通過性を備えたガイドワイヤの提供ができる。【選択図】図9

Description

この発明は、血管病変部治療用等に用いられる医療用ガイドワイヤに関する。
従来血管の末梢部での狭窄部、及び、閉塞部等の血管病変部の治療に際して、末梢部での血管壁の穿孔を防止し、又は、病変部以外の側枝への迷入を防止し、並びに、迅速治療する為、術者は医療用ガイドワイヤ(以下ガイドワイヤという)の手元側(後端側)を回転させながら血管蛇行部等利用してガイドワイヤの先端部を意図的にU字形状に屈曲させて病変部の入口部へ到達させ、その後手元側を少し引いて先端部のU字形状を元の形状に回復させた後に血管閉塞部を通過させ、血管閉塞部の拡径治療を行う手技がある。
かかる場合において、ガイドワイヤの先端部をU字形状に屈曲変形させる為の易屈曲性と、血管閉塞部等を通過させる為に、後端側から先端側への高度の回転伝達性能と、繰り返し耐疲労特性が併せて要求される。
特許文献1には、先端部をプロラプス(Uの字に屈曲)させるガイドワイヤが記載されている。
特許文献2には、先端部のコイルスプリングよりも後端側の芯線について、曲げ剛性等の機械的特性に関するガイドワイヤが記載されている。
特開2012−5724号公報 特許第4623906号公報
特許文献1に記載のガイドワイヤは、コアシャフト(芯線)の先端を略半球体形の最先端部より離間し、柔軟な安全ワイヤを、コアシャフトの先端とコイル体とを最先端部よりも後端側で第1ロウ付け部として接合し、第1ロウ付け部の先端と後端との剛性差を利用してプロラプスさせる技術内容である。
特許文献2に記載のガイドワイヤは、芯線がステンレス鋼、又は、ニッケルチタンの超弾性合金から成り、先端部のコイルスプリングよりも後端側の芯線が長手方向に曲げ剛性が線形に変化して急激な抵抗感をなくし、術者の操作性を向上させる技術内容である。
そして、特許文献1、2のいずれについても本発明のようなコイル内の芯線先端部が、先端細径体と少なくとも1個以上の截頭円錐体を有して、先端細径体のねじり角と截頭円錐体のねじり角とのねじり角比から先端部をU字形状に屈曲させる好適条件を見つけ出し、さらに、截頭円錐体を連接した連接截頭円錐体構造との併用により、先端部をU字形状に屈曲変形させる易屈曲性と、血管閉塞部を通過させる為の回転伝達性と繰り返し耐疲労特性等とを併せて同上できる技術内容については、何ら記載されていない。これらの性能は、ガイドワイヤを用いて迅速に血管病変部へ到達させ、かつ、血管閉塞部の通過性を向上させる為の重要な技術課題である。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、迅速治療と血管病変部での通過性を飛躍的に向上させるガイドワイヤの提供を目的とする。
上記目的を達成する為、本発明のガイドワイヤは、後端側から先端側へ徐変縮径する部分を有する芯線の芯線先端部を外側コイル内へ貫挿する。芯線先端部は、先端から後端へ、先端細径体と第1截頭円錐体を有し、外側コイルの先端と先端細径体の先端とを接合して先端接合部とし、外側コイルの後端と芯線先端部の後端とを接合して外側コイル後端接合部とする。
第1截頭円錐体は、先端から後端へ外径が徐変拡径し、長手方向の長さをL1、後端の径大外径をD2、先端の径小外径をD1とし、先端細径体は、横断面の形状が矩形であり、長手方向の長さをL4、横断面の矩形の長辺の長さをa、短辺の長さをb、アスペクト比(a/b)によって決まる係数をkとし、D1 +D1×D2+D2 =N1、
D1 ×D2 =N2とすると、先端細径体の長手方向の長さL4と第1截頭円錐体の長手方向の長さL1との長さ比(L4/L1)は、
(L4/L1)>(32×k×a×b ×N1)/(3π×N2)
の関係式を満たすことを特徴とする。
先端細径体の横断面の形状は、長辺の長さaと短辺の長さbとのアスペクト比(a/b)が1.676以上3.958以下の矩形であり、
(32×k×a×b ×N1)/(3π×N2)=Qとすると、先端細径体の長手方向の長さL4と、第1截頭円錐体の長手方向の長さL1との長さ比(L4/L1)は、
1.210Q≦(L4/L1)≦2.706Qの関係式を満たす。
先端細径体は、横断面の形状が円形であり、長手方向の長さをL6、外径をd、
×N1)/(3×N2)=Rとすると、先端細径体の長手方向の長さL6と第1截頭円錐体の長手方向の長さL1との長さ比(L6/L1)は、
R<(L6/L1)≦2.706Rの関係式を満たす
外側コイルは、後端側から先端側へ向かって後端径大部と先端径小部とを備え、外側コイルの後端径大部の外径をB1、先端径小部の外径をB2とした場合に、第1截頭円錐体の後端の径大外径D2と先端の径小外径D1との外径比(D2/D1)は、外側コイルの外径比(B1/B2)よりも大きい{(D2/D1)>(B1/B2)}
側コイルは、後端側から先端側へ向かって、後端径大部と先端径小部を備える。
内側コイルを、芯線先端部の外側で、外側コイルの内側に、外側コイルよりも長手方向の長さが短く同心状に配置する。又、外側コイルの先端と内側コイルの先端(先端径小部の先端)と先端細径体の先端とを接合して先端接合部とし、内側コイルの後端(後端径大部の後端)と芯線先端部とを接合して内側コイル後端接合部とする。
第1截頭円錐体の後端に第2截頭円錐体を設け、第1截頭円錐体の少なくとも1部は内側コイル内へ配置され、第2截頭円錐体の後端の径大外径がD0、先端の径小外径がD内側コイルの後端径大部の外径をA1、先端径小部の外径をA2とした場合に、第1截頭円錐体の外径比(D2/D1)は、第2截頭円錐体の外径比(D0/D2)よりも大きく{(D2/D1)>(D0/D2)}、かつ、第1截頭円錐体の外径比(D2/D1)と、内側コイルの外径比(A1/A2)と、外側コイルの外径比(B1/B2)とは、
(D2/D1)>(A1/A2)>(B1/B2)の関係式を満たす
第1截頭円錐体は、少なくとも2個以上の截頭円錐体を長手方向に連接した連接截頭円錐体の先端の截頭円錐体で、連接截頭円錐体は、1個の截頭円錐体の長手方向の長さが後端側の截頭円錐体から先端側の截頭円錐体へ向かって徐変減少し、かつ、後端の径大外径と先端の径小外径との外径比(後端の径大外径/先端の径小外径)が、後端側の截頭円錐体から先端側の截頭円錐体へ向かって徐変増大する。
連接截頭円錐体の最大外径がD0、最小外径がD1、全長がL、最大外径D0の横断面の中心位置から先端へ、任意の位置Xにおける連接截頭円錐体の外径をDmとし、任意の位置Xが0<X<Lの関係にある場合に、連接截頭円錐体の外径Dmは、
Dm>{D0−(D0−D1)X/L}の関係式を満たす。
本発明のガイドワイヤは、外側コイル内を貫挿する芯線先端部は、先端から後端へ、先端細径体と第1截頭円錐体を有し、先端細径体は横断面が矩形で、第1截頭円錐体は先端から後端へ徐変拡径する。
横断面が矩形の先端細径体の長手方向の長さをL4、第1截頭円錐体の長手方向の長さをL1とすると、先端細径体の長手方向の長さL4と第1截頭円錐体の長手方向の長さL1との長さ比(L4/L1)は、一定の関係式を満たすことを特徴とする。
この理由は、以下である。
前記一定の関係式は、先端細径体のねじり角をθ1とし、第1截頭円錐体のねじり角をθoとした場合のねじり角比(θ1/θo)が1よりも大きい関係であることから導くことができる。前記ねじり角比(θ1/θo)が1よりも大きければ、先端細径体側でのU字形状の易屈曲性を高めることができると同様に、前記長さ比(L4/L1)の前記一定の関係式を満たすことにより、先端細径体側でのU字形状の易屈曲性を高める為である。
又、先端側から後端側へ外径が徐変拡径(又は、後端側から先端側へ徐変縮径)する第1截頭円錐体の構造とすることにより、外径が等径の場合よりも後端側が拡径している為、ねじり角比(θ1/θo)を増大させることができる。そして、先端側から後端側へ外径が徐変拡径(又は、後端側から先端側へ徐変縮径)する第1截頭円錐体の構造とすること により、外径が等径の場合よりも後端側が拡径している為、ねじり角比(θ1/θo)を増大させることができるのと同様に、前記長さ比(L4/L1)を増大させることができるからである。補足すれば、前記長さ比(L4/L1)を把握できれば、血管内径が異なった場合でも、血管内での芯線先端部の屈曲変形特性が把握でき、病変部に対応したガイドワイヤの選択が、術者にとって容易となって迅速治療に大きく寄与することができる。
先端細径体の横断面の形状は、長辺の長さaと短辺の長さbとのアスペクト比(a/b)が1.676以上3.958以下の矩形であり、先端細径体の長手方向の長さL4と、第1截頭円錐体の長手方向の長さL1との長さ比(L4/L1)は、一定の関係式を満たす。
この理由は、先端細径体のねじり角θ1と第1截頭円錐体のねじり角θoとのねじり角比(θ1/θo)が、1を下回れば、先端細径体のねじり角θ1が第1截頭円錐体のねじり角θoを下回ることになるのと同様に、第1截頭円錐体のほうが先端細径体よりも屈曲し易くなり、先端細径体側での易屈曲性を確保することはできなくなる。
又、前記関係式の上限値を上回れば、後述する先端細径体の横断面が矩形の長辺と短辺の対角線の長さが外側コイルの内径よりも大きくなって組付け不可能となるか、或いは屈曲変形時に外側コイルの内壁と干渉、又は拘束されて蛇行形状となって屈曲蛇行血管内での挿入操作は困難となり易く、これらを避ける為である。従って、好ましくは前記上下限値の範囲である。
先端細径体は、横断面の形状が円形であり、先端細径体の長手方向の長さL6と、第1截頭円錐体の長手方向の長さL1との長さ比(L6/L1)は、一定の関係式を満たす
この理由は、先端細径体の横断面の形状が矩形の場合の、先端細径体の長手方向の長さL4と第1截頭円錐体の長手方向の長さL1との長さ比(L4/L1)が一定の関係式を満たす場合と同様である。尚、手元側を回転させてラジアル方向に円滑な回転性が必要な場合には、横断面が矩形よりも円形の先端細径体を用いることが好ましい。
外側コイルは、後端側から先端側へ向かって後端径大部と先端径小部とを備え、外側コイルの後端径大部の外径をB1、先端径小部の外径をB2とした場合に、第1截頭円錐体の後端の径大外径D2と先端の径小外径D1との外径比(D2/D1)は、外側コイルの外径比(B1/B2)よりも大きい{(D2/D1)>(B1/B2)}。
この理由は、外側コイルの先細り形状が、後端側から先端側への回転伝達性を高め、第1截頭円錐体の外径が外側コイルの外径比よりも大きくすることにより、芯線先端部の第1截頭円錐体による後端側から先端側へのねじり力を補完し、先端細径体と第1截頭円錐体とのねじり角比(θ1/θo)を高める為であるのと同様に、前記長さ比(L4/L1、L6/L1)を高めることができるからである。
これにより、芯線先端部の第1截頭円錐体の構造と先細り形状の外側コイルとの併用により、曲げ剛性と耐座屈強度等を高めると同時に先端側へのねじりモーメント増大を図り、先端側への回転伝達性をより高めることができる。
外側コイルと内側コイルは、後端側から先端側へ向かって、後端径大部と先端径小部を備える。この内側コイルを芯線先端部の外側で、外側コイルの内側に、外側コイルよりも長手方向の長さが短く同心状に配置する。又、外側コイルの先端径小部の先端と内側コイルの先端径小部の先端と芯線先端部の先端とを接合して先端接合部とし、内側コイルの後端径大部の後端と芯線先端部とを接合して内側コイル後端接合部とする。
第1截頭円錐体の後端に第2截頭円錐体を設け、第1截頭円錐体の少なくとも1部は内側コイル内へ配置され、第2截頭円錐体の後端の径大外径がD0、先端の径小外径がD2、内側コイルの後端径大部の外径をA1、先端径小部の外径をA2とした場合に、第1截頭円錐体の外径比(D2/D1)は、第2截頭円錐体の外径比(D0/D2)よりも大きく{(D2/D1)>(D0/D2)}、かつ、第1截頭円錐体の外径比(D2/D1)と、内側コイルの外径比(A1/A2)と、外側コイルの外径比(B1/B2)とは、
(D2/D1)>(A1/A2)>(B1/B2)の関係式を満たす。
この理由は、内側コイルと外側コイルの先細り形状が、後端側から先端側へ回転伝達性をより高め、第1截頭円錐体の外径比が、外側コイルの外径比と内側コイルの外径比よりも大きくすることにより、芯線先端部の連接截頭円錐体の後端側から先端側へのねじり力をより補完し、先端細径体と第1截頭円錐体とのねじり角比(θ1/θo)をより高める為であるのと同様に、前記長さ比(L4/L1、L6/L1)を高めることができるからである。
これにより、芯線先端部の第1、2截頭円錐体の構造と先細り形状の外側コイルと内側コイルとの併用により、曲げ剛性と耐座屈強度等をより高めると同時に、先端側へのねじりモーメントのより増大を図り、先端側への回転伝達性をより高めることができる。
第1截頭円錐体は、少なくとも2個以上の截頭円錐体を長手方向に連接した連接截頭円錐体の先端の截頭円錐体で、連接截頭円錐体は、1個の截頭円錐体の長手方向の長さが後端側の截頭円錐体から先端側の截頭円錐体へ向かって徐変減少し、かつ、後端の径大外径と先端の径小外径との外径比(後端の径大外径/先端の径小外径)が、後端側の截頭円錐体から先端側の前記截頭円錐体へ向かって徐変増大する。連接截頭円錐体の外径は、一定の関係式を満たす。
この理由は、以下である。
先端の第1截頭円錐体の外径比を後端側の截頭円錐体の外径比よりも高い値とすることにより、手元側を回転操作した場合に、細径の芯線でありながら先端の第1截頭円錐体のねじり角θoを、より減少させることができる。
そして、第1截頭円錐体を含む連接截頭円錐体を先端細径体の後端に配置することにより、第1截頭円錐体の後端に截頭円錐体を連接した連接截頭円錐体の構造により、ねじり角θoを減少させた第1截頭円錐体と、先端細径体のねじり角θ1とのねじり角比(θ1/θo)をさらに増大させるのと同様に、前記長さ比(L4/L1、L6/L1)を増大させて、先端細径体側での易屈曲性をさらに高める為である。
これにより、先端部でのU字形状の屈曲変形を容易にさせて血管病変部の入口部へ迅速に到達させることができ、さらに、連接截頭円錐体の構造による芯線先端部の先端側への 回転伝達性と曲げ剛性と耐座屈強度と繰り返し耐疲労特性とを向上させて、血管閉塞部での通過性をより向上させることができ、血管病変部の入口部への迅速な到達性と血管閉塞部でのより高い通過性を兼備することにより、血管病変部の治療に大きく貢献できるガイドワイヤを提供することができる。
本発明の第1実施形態のガイドワイヤの全体を示す一部切欠き側面図である。 先端細径体と2個の截頭円錐体が連接する連接截頭円錐体を有する先端部を示す一部切欠き側面図である。 図2における先端細径体の横断面図を示す。 3個の截頭円錐体が連接する第2実施形態の連接截頭円錐体を示す側面図である。 2個の截頭円錐体が連接する連接截頭円錐体の外径比と、仮想の単一截頭円錐体の外径との関係式を示す説明図である。 本発明の第3実施形態のガイドワイヤの先端部を示す一部切欠き側面図である。 本発明の第4実施形態のガイドワイヤの先端部を示す一部切欠き側面図である。 本発明の外側コイルと内側コイルの他の実施形態を示す。 本発明の第5実施形態のガイドワイヤの全体を示す一部切欠き側面図である。
以下本発明のガイドワイヤの実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態のガイドワイヤ1を示し、図1は全体図、図2は先端部の要部、図3は図2におけるC−C断面図を示している。
ガイドワイヤ1は、芯線2と、外側コイル3と、ふっ素樹脂被膜6と、親水性樹脂被膜7を有する。芯線2は、芯線後端部2Aと芯線先端部2Bとを有し、後端側から先端側へ徐変縮径する部分を有している。
外側コイル3は、芯線先端部2Bが貫挿し、接合部材を用いて外側コイル3の先端と芯線先端部2Bの先端とを接合して先丸形状の先端接合部5Aを形成し、外側コイル3の後端と芯線先端部2Bの後端とを接合して外側コイル後端接合部5Bを形成している。
ふっ素樹脂被膜6は、後端側の太径の芯線後端部2Aの外周に形成されている。親水性樹脂被膜7は、外側コイル3の外周に形成されている。尚、本発明のガイドワイヤ1は、長さに比べて直径が極めて小さな値となっている。この為、本発明のガイドワイヤ1は、縦横の縮尺率を同じにすると所定のエリアに図示することが困難となる為、一部を誇張したり、省略したりして図示している。
芯線2は、後端側から先端側へ向かって、第1等径部21、第1テーパ部22、第2等径部23、第2テーパ部24、第3等径部25、第1截頭円錐体26Aと第2截頭円錐体26Bとを連接させた連接截頭円錐体26、境界部29、先端細径体27から成り、境界部29は第1截頭円錐体26Aと先端細径体27との間に存在する。
第1等径部21から第1截頭円錐体26Aまでは、外径が0.3556mm(0.014インチ)から0.054mmへ徐変縮径する。又、先端細径体27は、横断面の形状が後述する長辺aと短辺bとの長さ比(a/b)が所定の範囲の矩形である。
連接截頭円錐体26は、径大側の後端の外径が0.180mmから径小側の先端の外径0.054mmへ徐変縮径する。外側コイル3の外側コイル後端接合部5Bは、第2截頭円錐体26Bの径大側の後端の外径0.180mmと、ろう材等の接合部材を用いて接合されている。又、外側コイル後端接合部5Bは、外径が0.180mmの第3等径部25と接合部材を用いて接合されていてもよい。
芯線2は、ステンレス鋼線、Ni−Ti合金線等が用いられる。例えば、特開平11−6037に示すように伸線加工と焼きなまし処理を繰り返した高強度のステンレス鋼線が用いられる。又は、特開2002−69555に示すように所定条件下で熱処理を施して製造されるNi−Ti合金線等が用いられる。好ましくは、引張強さが2200MPa以上3500MPa以下のオーステナイト系ステンレス鋼線が用いられる。
この理由は、縮径伸線加工により引張強さを容易に向上できるとともに、後述する連接截頭円錐体26の形状のセンターレス研削加工が容易になるからである。尚、ここでいう連接截頭円錐体26とは、1本の線材を用いて研削加工等を行い、截頭円錐体の形状を複数個長手方向へ設けた構造体のことをいう。又、芯線先端部2Bと芯線後端部2Aとは、異なる線材を溶接接合した芯線2としてもよく、例えば前記芯線の材質等の組合せ(具体的には、芯線後端部2Aがステンレス鋼線で、芯線先端部2BがNi−Ti合金線)等である。
外側コイル3は、外径B1が0.330mmの等径で、長手方向の長さが160mm、コイル線の線直径t1は0.060mm、1本又は複数本の線材を巻回成形したコイルである。先端側の外側第1コイル31は、金、白金、又は金、白金にニッケル等を含む放射線不透過の線材を巻回成形したコイルから成り、長手方向の長さが40mmである。又、外側第1コイル31は、後端側が密巻きで先端側を疎巻きに巻回成形したコイルとしてもよいが、先端細径体27側での易屈曲性を補完する為、境界部29の外側に配置された外側第1コイル31を、境界部29を基準として先端側と後端側とを併せた長手方向の長さが少なくとも5mmの範囲に亘って疎巻きとした疎巻き部8を設けることが好ましい。尚、疎巻き部8の線間間隙は線直径t1の0.07倍以上1.90倍以下である。
又、後端側の外側第2コイル32は、ステンレス鋼線の放射線透過の線材から成り、長手方向の長さが120mmの密巻きに巻回成形したコイルである。
外側第1コイル31と外側第2コイルと32は、コイル線をねじ込み、中間接合部5Dにて、ろう材等の手段を用いて接合している。又、ねじ込み接合の代わりに、コイル線どうしを溶接等の手段を用いて接合させてもよい。尚、外側第2コイル32のコイル線の材質は、ステンレス鋼線のうち、引張強さが2200MPa以上3500MPa以下のオーステナイト系ステンレス鋼線を用いることが望ましい。この理由は、高強度の引張強さを有するコイル線を得て密巻きに巻回成形することにより、高いねじり応力と高い初張力により耐疲労特性を向上させることができるからである。又、外側コイル3は、金、白金、並びに金にニッケル等、又は白金にニッケル等を含む放射線不透過の材質の線材を1本、又は複数本用いてもよい。
図2は、先端細径体27と2個の截頭円錐体が連接する連接截頭円錐体26を有する第1実施形態の芯線先端部2Bを示し、図3は第1実施形態の図2における先端細径体27の横断面図を示している。
又、図4は截頭円錐体が3個の第2実施形態の芯線先端部2Cを示している。尚、芯線先端部2Cを除き、他の仕様は第1実施形態と同様であり、同一構成部材には同一符号が付してある。又図4は、図2に示す先端細径体27、境界部29は省略している。
図2において、芯線先端部2Bは、先端から後端へ先端細径体27と連接截頭円錐体26を有し、先端細径体27と連接截頭円錐体26との間には、連接截頭円錐体26(又は先端細径体27)から先端細径体27(又は連接截頭円錐体26)へ遷移する長手方向の長さが約2mm以下の境界部29を有する。先端細径体27は、長手方向の長さL4が12mmで、図3に示すように横断面の形状は矩形で、長辺の長さaと短辺の長さbとのアスペクト比(a/b)については、後述する。尚、第1実施形態における先端細径体27は、外径が0.054mm(第1截頭円錐体26Aの径小外径D1の外径0.054mmと等径)の横断面が円形の線材を用いて、押圧加工によって形成され、横断面の形状が矩形である。又、切削加工等の機械的加工で矩形としてもよい。又、ここでいう境界部29とは、第1截頭円錐体の径小外径D1から先端側の先端細径体27へ遷移する部位のことをさす。
連接截頭円錐体26は、長手方向の長さL2が100mm、径大外径D0が0.180mm、径小外径D2が0.120mmの第2截頭円錐体26Bと、長手方向の長さL1が40mm、第1截頭円錐体26Aからみて径大外径D2が0.120mm、径小外径D1が0.054mmの第1截頭円錐体26Aの2個の截頭円錐体から成る。
第2截頭円錐体26Bの長手方向の長さL2は100mm、第1截頭円錐体26Aの長手方向の長さL1は40mm、後端側から先端側へ減少し(L2>L1)、かつ、第2截頭円錐体26Bの外径比D0/D2は1.50で、第1截頭円錐体26Aの外径比D2/D1は約2.22で、後端側から先端側へ増大する{(D0/D2)<(D2/D1)}。
次に、先端細径体27のねじり角θ1と第1截頭円錐体のねじり角θoとのねじり角比(θ1/θo)と、ねじり角比(θ1/θo)から求められる先端細径体と第1截頭円錐体との長手方向の長さ比(先端細径体の長手方向の長さ/第1截頭円錐体の長手方向の長さ)について説明する。
先端細径体27は、長手方向の長さL4が12mm、横断面の形状は長辺aが0.0654mm、短辺bが0.035mmで、アスペクト比(a/b)が約1.868の矩形である(図3)。
この矩形横断面の先端細径体27のねじりモーメントをM、長さがL4、長辺の長さaと短辺の長さbとのアスペクト比(a/b)によって決まる係をk、横弾性係数をG、ねじり角をθ1(rad)とすると、先端細径体27のねじり角θ1(rad)は、
θ1=M×L4/(k×a×b×G) ・・・(1)
関係式(1)によって求められる。又、アスペクト比(a/b)によって決まる係数kは、
k≒1/3−0.2×(b/a)×{1−b/(12×a)}・・・(2)
関係式(2)によって決まる。
又、第1截頭円錐体26Aは、ねじりモーメントをM、長手方向の長さをL1、径大外径をD2、径小外径をD1、横弾性係数をG、ねじり角をθo(rad)とすると、第1截頭円錐体26Aのねじり角θo(rad)は、
θo=32×M×L1×N1/(3π×G×N2) ・・・(3)
関係式(3)によって求められる。但し、N1=D1+D1×D2+D2
N2=D1×D2である。
そして、先端細径体27のねじり角θ1(rad)と第1截頭円錐体26Aのねじり角θo(rad)とのねじり角比(θ1/θo)は、
θ1/θo=3π×N2×L4/(32×k×a×b×N1×L1)・・・(4)
関係式(4)によって求められる。但し、N1=D1+D1×D2+D2
N2=D1×D2である。
ここで、先端細径体27は、長手方向の長さL4が12mm、長辺の長さaが0.0654mm、短辺の長さbが0.035mmであり、第1截頭円錐体26Aは、長手方向の長さL1が40mm、径大外径D2が0.120mm、径小外径D1が0.054mmであることから、これらの値を関係式(4)へ代入すると、先端細径体27のねじり角θ1(rad)と第1截頭円錐体26Aのねじり角θo(rad)とのねじり角比(θ1/θo)は、約1.586となる。
このことは、第1截頭円錐体26Aのねじり角θo(rad)よりも先端細径体27のねじり角θ1(rad)のほうが約1.586倍大きいことを示している。従って、手元側を回転させた場合に、第1截頭円錐体26Aよりも先端細径体27側のほうが大きくねじれ変形しやすく、その結果、先端部をU字状に屈曲変形させることができる。
そして、先端細径体27側でねじれてU字状に屈曲変形させる易屈曲性の下限値と、ねじれてU字状に屈曲変形させた場合に、外側コイル3の内径と先端細径体27の矩形横断面の長辺aと短辺bの対角線の長さとの非干渉寸法、及びクリアランスを考慮した上限値を、数多くの実験の中から見出した。その結果、先端細径体27の矩形横断面の上下限値のアスペクト比(a/b)は、1.676以上3.958以下である。
又、前記アスペクト比(a/b)の上下限値の範囲に基づいて先端細径体27のねじり角θ1(rad)と第1截頭円錐体26Aのねじり角θo(rad)とのねじり角比(θ1/θo)は、1.210以上2.706以下となる。
そして又、本発明の第1実施形態は、先端細径体27の矩形横断面のアスペクト比(a/b)は約1.869であり、先端細径体27のねじり角θ1(rad)と第1截頭円錐体26Aのねじり角θo(rad)とのねじり角比(θ1/θo)は、約1.586となって、前記ねじり角比(θ1/θo)の上下限値の範囲内である。
先端細径体27のねじり角θ1(rad)と第1截頭円錐体26Aのねじり角θo(rad)とのねじり角比(θ1/θo)が、1を下回れば、先端細径体27のねじり角θ1(rad)が第1截頭円錐体26Aのねじり角θo(rad)を下回ることとなって、第1截頭円錐体26Aのほうが先端細径体27よりも屈曲し易くなる。第1截頭円錐体26Aのほうが先端細径体27よりも屈曲し易くなれば、屈曲位置が少なくとも先端細径体27の長さを超える為に先端接合部5Aからの距離が長くなり、血管径が小さい末梢血管内の病変部入口部手前で元の形状に復元することは不可能となる。この為、先端細径体27側での易屈曲性を確保することが必要である。好ましいねじり角比(θ1/θo)の下限値は、1.210である。
前記上限値を上回れば、先端細径体27の横断面の形状が矩形の長辺aと短辺bとの対角線の長さが外側コイル3の内径よりも大きくなって組付け不可能となるか、或いは、屈曲変形時に外側コイル3の内壁と干渉、又は拘束されて先端部が蛇行形状となって屈曲蛇行血管内での挿入操作は不可能となる。
これを防ぐ為、外側コイル3の内径と先端細径体27の矩形断面の対角線の長さとの非干渉寸法、及びクリアランスを数多くの実験の中から見出したからである。
従って、先端細径体27のねじり角θ1(rad)と第1截頭円錐体26Aのねじり角θo(rad)との好ましいねじり角比(θ1/θo)は、前記1.210以上2.706以下である。
そして、より好ましくは、先端細径体27の矩形断面のアスペクト比(a/b)が1.778以上3.680以下で、ねじり角比(θ1/θo)は、1.525以上2.706以下である。
これにより、先端細径体27側でねじれてU字状に屈曲変形させる易屈曲性を、より高めることができる。
前記のように、先端細径体27の横断面が矩形の場合のねじり角比(θ1/θo)が1よりも大きい{(θ1/θo)>1}ことから、前記関係式(4)は、
(3π×N2×L4)/(32×k×a×b ×N1×L1)>1 ・・・(41)
関係式(41)となり、前記関係式(41)より、長さ比(L4/L1)の関係を求めると、
(L4/L1)>(32×k×a×b ×N1)/(3π×N2) ・・・(42)
関係式(42)となる。
又、前記のように、好ましいねじり角比(θ1/θo)は、1.210以上2.706以下(1.210≦(θ1/θo)≦2.706)であることから、前記関係式(42)において、(32×k×a×b ×N1)/(3π×N2)=Qとすると、長さ比(L4/L1)の関係式は、
1.210Q≦(L4/L1)≦2.706Q ・・・(43)
関係式(43)となる。
先端細径体27の横断面が矩形の場合のねじり角比(θ1/θo)が1よりも大きく、又、好ましいねじり角比(θ1/θo)が一定範囲の場合、前記長さ比(L4/L1)についても前記同様に、前記長さ比(L4/L1)が前記関係式(42)、(43)を満たすことにより、先端細径体側でねじれてU字状に屈曲変形させる易屈曲性を高め、及び、より高めることができる。補足すれば、前記長さ比(L4/L1)を把握できれば、血管内径が異なった場合でも、血管内での芯線先端部の屈曲変形特性が把握でき、病変部に対応したガイドワイヤの選択が、術者にとって容易となって迅速治療に大きく寄与することができる。
前記第1実施形態において、横断面が矩形の先端細径体27と先端側から後端側へ徐変拡径する第1截頭円錐体26Aについて述べたが、横断面が円形の先端細径体27Aであっても同様である。説明上横断面が円形の先端細径体の符号を27Aとする。
つまり、横断面が円形の先端細径体27Aの外径をd、長手方向の長さをL6、ねじりモーメントM、横弾性係数をGとすると、断面二次極モーメントIpは、
(π/32)×dで表されることから、
先端細径体27Aのねじり角θ2(rad)は、
θ2=32×M×L6/(π×G×d) ・・・(5)
関係式(5)で表すことができる。
そして、先端細径体27Aのねじり角θ2(rad)と第1截頭円錐体26Aのねじり角θo(rad)とのねじり角比(θ2/θo)は、
θ2/θo=3×L6×N2/(d×L1×N1) ・・・(6)
関係式(6)で表すことができる。
但し、N1=D1+D1×D2+D2、N2=D1×D2である。
そして、横断面が円形の先端細径体27Aのねじり角θ2(rad)が、第1截頭円錐体26Aのねじり角θo(rad)を上回る為には、ねじり角比(θ2/θo)が1よりも大きくすればよい。
ここで、横断面が円形の先端細径体27Aの外径が第1截頭円錐体26Aの径小外径D1と同一のとき(D1は0.054mm)、先端細径体27Aのねじり角θ2(rad)と第1截頭円錐体26Aのねじり角θo(rad)とのねじり角比(θ2/θo)が、1よりも大きくする為の先端細径体27Aの長手方向の長さL6を、前記関係式(6)を用いて求めると、ねじり角比(θ2/θo)が1の場合のL6の長さは、約9.915mmとなる。
従って、横断面が円形で外径が第1截頭円錐体26Aの径小外径D1と同一(D1が0.054mm)の先端細径体27Aのねじり角θ2(rad)を、第1截頭円錐体26Aのねじり角θo(rad)よりも大きくする為には、長手方向の長さL6が9.915mmを超える寸法にすればよい。
さらに、横断面が矩形の先端細径体27のねじり角θ1(rad)と第1截頭円錐体26Aのねじり角θo(rad)とのねじり角比(θ1/θo)が、前記第1実施形態と同一の場合{ねじり角比(θ1/θo)が約1.586}、前記同様に横断面が円形の先端細径体27Aの長手方向の長さL6を前記関係式(6)を用いて求めると、L6の長さは、約15.725mmとなり、長手方向の長さL6が9.915mmを超え、さらに矩形横断面のL4の長さ12mmを超える寸法となっている。
このように、本発明は、横断面が円形の先端細径体27Aであっても長手方向の長さL6を矩形横断面を有する先端細径体27のL4の長さ(12mm)よりも長くすることにより適用することができ、本発明の範囲に含まれる。
そして、先端細径体27Aの長手方向の長さを短小化したい場合には、先端細径体は、横断面の形状が矩形の先端細径体27を用いることが好ましい(前記実施例では、3.725mm短小化できる)。又、手元側を回転させてラジアル方向の円滑な回転性が必要な場合には、先端細径体は横断面が円形な先端細径体27Aを用いることが好ましい{(横断面が矩形の場合には、回転ムラ(スティックスリップ状の回転)が発生する)}。
前記のように、先端細径体27Aの横断面が円形の場合のねじり角(θ2/θo)が1よりも大きい{(θ2/θo)>1}ことから、前記関係式(6)は、
(3×L6×N2)/(d ×L1×N1)>1 ・・・(61)
関係式(61)となり、前記関係式(61)より、長さ比(L6/L1)の関係を求めると、
(L6/L1)>(d ×N1)/(3×N2) ・・・(62)
関係式(62)となる。
又、前記のように、先端細径体27の横断面が矩形の場合のねじり角比(θ1/θo)の上限値が2.706であることから、先端細径体27Aの横断面が円形で、ねじり角比(θ2/θo)が1よりも大きく、ねじり角比(θ2/θo)の上限値が2.706の場合に、前記関係式(62)において、
(d ×N1)/(3×N2)=Rとすると、長さ比(L6/L1)の関係式は、
R<(L6/L1)≦2.706R ・・・(63)
関係式(63)となる。
先端細径体27Aの横断面が円形の場合のねじり角比(θ2/θo)が1よりも大きく、ねじり角比(θ2/θo)の上限値が横断面が矩形の場合と同じ2.706の場合に、前記長さ比(L6/L1)についても前記同様に、前記長さ比(L6/L1)が前記関係式(63)を満たすことにより、先端細径体側でねじれてU字状に屈曲変形させる易屈曲性を高め、及び、より高めることができる。さらに手元側を回転させてラジアル方向の円滑な回転性を得ることができる。補足すれば、前記長さ比(L6/L1)を把握できれば、血管内径が異なった場合でも、血管内での芯線先端部の屈曲変形特性は把握でき、病変部に対応したガイドワイヤの選択が、術者にとって容易となり、迅速治療に大きく寄与することができる。
図4において、芯線先端部2Cは、第1〜3截頭円錐体26A、26B、26Cを連接した連接截頭円錐体260を備える。第1截頭円錐体26Aは、長手方向の長さがL1(mm)、径大外径がD2(mm)、径小外径がD1(mm)である。第2截頭円錐体26Bは、長手方向の長さがL2(mm)、径大外径がD3(mm)、径小外径がD2(mm)である。第3截頭円錐体26Cは、長手方向の長さがL3(mm)、径大外径がD0(mm)、径小外径がD3(mm)である。尚、図2に示す先端細径体27と境界部29は省略している。
連接截頭円錐体260の各截頭円錐体26A、26B、26Cの長手方向の長さL1、L2、L3は、後端側から先端側へ徐変減少し(L3>L2>L1)、かつ、各截頭円錐体26A、26B、26Cの外径比(D2/D1)、(D3/D2)、(D0/D3)は、後端側から先端側へ徐変増大する{(D0/D3)<(D3/D2)<(D2/D1)}。
このように、本発明の芯線先端部2B、2Cは、先端細径体27の後端に続いて第1截頭円錐体26Aの後端に、少なくとも1個以上の截頭円錐体を連接して、第1截頭円錐体26Aを含む少なくとも2個以上の截頭円錐体を長手方向に連接した連接截頭円錐体26、260であり、1個の截頭円錐体の長手方向の長さは、第3截頭円錐体26Cから第2截頭円錐体26Bへ、さらに第1截頭円錐体26Aへ、後端側から先端側の截頭円錐体へ徐変減少し、かつ、1個の截頭円錐体の後端の径大外径と先端の径小外径との外径比(後端の径大外径/先端の径小外径)は、後端側の截頭円錐体から先端側の截頭円錐体へ向かって徐変増大することを特徴とする。
この理由は、先端の第1截頭円錐体26Aの外径比を後端側の截頭円錐体の外径比よりも高い値とすることにより、手元側を回転操作した場合に細径でありながら先端の第1截頭円錐体26Aのねじり角θo(rad)を、より減少させることができるからである。
そして、第1截頭円錐体26Aを含む連接截頭円錐体26、260を先端細径体27、27Aの後端に配置する。この理由は、第1截頭円錐体26Aの後端に截頭円錐体を連接した連接截頭円錐体26、260の構造により、ねじり角θo(rad)を減少させた第1截頭円錐体26Aと、先端細径体27、27Aのねじり角θ1、θ2(rad)とのねじり角比(θ1/θo、θ2/θo)をさらに増大させるのと同様に、先端細径体27、27Aと第1截頭円錐体26Aとの長さ比(L4/L1、L6/L1)をさらに増大させ、先端細径体27、27A側での易屈曲性をさらに高める為である。
図5は、本発明の芯線先端部2Bの連接截頭円錐体26の外径と、仮想の単一截頭円錐体100との外径の関係式を示す説明図である。
実線は、截頭円錐体が2個の場合の第1実施形態の連接截頭円錐体26を示し、二点鎖線は、関係式を説明する為の仮想の単一截頭円錐体100を示す。尚、先端細径体27と境界部29は省略している。
連接截頭円錐体25の最大外径がD0(mm)、最小外径がD1(mm)、全長がL(mm)である。又、連接截頭円錐体26の最大外径D0(mm)の横断面の中心位置から先端へ、任意の位置をX(mm)として、任意の位置X(mm)が0mmを超えてLmmを下回る関係(0<X<L)にある場合で、任意の位置X(mm)における連接截頭円錐体26の外径をDm(mm)とし、仮想の単一截頭円錐体100の外径をDx(mm)とした場合に、外径Dx(mm)は、
Dx=D0−(D0−D1)X/L ・・・(7)
の関係式(7)で表すことができる。
そして、任意の位置X(mm)における連接截頭円錐体26の外径Dm(mm)は、外径Dx(mm)よりも大きいことから(Dm>Dx)、
Dm>{D0−(D0−D1)X/L} ・・・(8)
の関係式(8)で表すことができる。
本発明は、先端細径体27、27Aの後端に続く第1截頭円錐体26Aを含む連接截頭円錐体26、260が、前記関係式(8)を満たすことを特徴とする。
この理由は、第1截頭円錐体26Aのねじり角θoと先端細径体27、27Aのねじり角θ1、θ2とのねじり角比(θ1/θo、θ2/θo)をさらに増大させるのと同様に、先端細径体27、27Aと第1截頭円錐体26Aとの長さ比(L4/L1、L6/L1)をさらに増大させ、先端細径体27、27A側での易屈曲性をさらに高める為である。
より詳しくは、ねじり角はねじり剛性が高い程減少し、ねじり剛性は横弾性係数と断面二次極モーメントの積で表すことができ、連接截頭円錐体26、260の構造のほうが、図4、及び図5において、二点鎖線で示した仮想の単一截頭円錐体100の構造よりも断面二次極モーメントが高く、断面二次極モーメントが高くなればねじり角は減少するからである。これにより、第1截頭円錐体26Aのねじり角θoの減少作用を補完し、先端細径体27、27Aとのねじり角比(θ1/θo、θ2/θo)をさらに増大させることができるのと同様に、先端細径体27、27Aと第1截頭円錐体26Aとの長さ比(L4/L1、L6/L1)をさらに増大させることができる
さらに、後端側を押し引き操作させる際に、第1截頭円錐体26Aを含む連接截頭円錐体26、260の曲げ剛性と耐座屈強度向上させることができる。
この理由は、曲げ剛性は、縦弾性係数と断面二次モーメントの積で表すことができ、第1截頭円錐体26Aを含む連接截頭円錐体26、260の構造のほうが、単一截頭円錐体100の構造よりも断面二次モーメントが高いからである。又、圧縮応力は、横断面の面積に反比例し、横断面の面積が増大すれば圧縮応力は低下する。連接截頭円錐体26、260の、特に節部28(芯線外径が他に比較して大きく変化する位置)の横断面積は、節部28と同一位置における単一截頭円錐体100の横断面積よりも大きく、圧縮応力は低い値となる。
従って、長手方向に押し引き操作した場合に、特に横断面積が増大した節部28の存在により、連接截頭円錐体26、260の構造のほうが単一截頭円錐体100の構造よりも耐座屈強度を向上させることができるからである。
これにより、芯線先端部2B、2Cの先端部でのU字形状の屈曲変形を容易にさせて、血管病変部の入口部へ迅速に到達させることができ、さらに、連接截頭円錐体26、260構造による芯線先端部2B、2Cの曲げ剛性と耐座屈強度と繰り返し耐疲労特性とを向上させて、血管病変部での通過性をより向上させることができ、血管病変部への迅速な到達性と血管病変部でのより高い通過性を兼備することにより、血管病変部治療に大きく貢献できるガイドワイヤを提供することができる。
次に、図6は第3実施形態のガイドワイヤ11を示し、第1実施形態のガイドワイヤ1と異なるところは、外側コイル30が後端側から先端側へ向かって先細り形状である。尚、ふっ素樹脂被膜6と親水性樹脂被膜7は省略している。
外側コイル30は、後端径大等径部(後端径大部)311の外径B1が0.330mm、長手方向の長さが125mm、中間テーパ部312の外径が0.330mmから0.260mmへ徐変減少し、長手方向の長さが20mm、先端径小等径部(先端径小部)313の外径B2が0.260mmで長手方向の長さが15mmである。
コイル線の線直径t1と材質は、前記第1実施形態と同様で、外側第2コイル320は放射線透過の線材で、外側第1コイル310は放射線不透過の線材であり、外側コイル30の後端径大等径部(後端径大部)311は密巻きで、中間テーパ部312は少なくとも後端側が密巻きで、先端径小等径部(先端径小部)313は、疎巻きに巻回成形したコイルである。尚、先端径小等径部(先端径小部)313は、後端側が密巻きで先端側を疎巻きに巻回成形したコイルとしてもよい。又、前記第1実施形態と同様に、先端細径体27側での易屈曲性を助長する為、図6に示すように境界部29の外側に配置された外側第1コイル310の先端径小等径部(先端径小部)313、又は中間テーパ部312と先端径小等径部(先端径小部)313の双方に、境界部29を基準として先端側と後端側とを併せた長手方向の長さが少なくとも5mmの範囲に亘って疎巻き部8を設けることが好ましい。
外側コイル30の後端径大等径部(後端径大部)311の外径B1と、先端径小等径部(先端径小部)313の外径B2との外径比B1/B2は、心臓血管治療用に用いられているガイドワイヤの外径0.3556mm(0.014インチ)を考慮した場合、
1.10から1.50で、又、下肢血管治療用に用いられているガイドワイヤの最大外径0.4572mm(0.018インチ)の場合を考慮すると、外径比B1/B2は1.10以上1.80以下である。
そして、心臓血管治療用と下肢血管治療用との双方を併せ考慮すると、外径比B1/B2は1.10以上1.80以下で、好ましくは1.15以上1.80以下である。第3実施形態の外側コイル30の外径比B1/B2は、約1.27である。
そして、連接截頭円錐体26の先端の第1截頭円錐体26Aの後端の径大外径D2と先端の径小外径D1との外径比D2/D1は、外側コイル30の外径比B1/B2よりも大きい{(D2/D1)>(B1/B2)}。第3実施形態では、外側コイル30の外径比B1/B2が約1.27であり、先端の第1截頭円錐体26Aの外径比D2/D1が約2.22であることから、先端の第1截頭円錐体26Aの外径比D2/D1は、外側コイル30の外径比B1/B2よりも大きい{(D2/D1)>(B1/B2)}。この理由は、先端側へ先細り形状の外側コイル30とすることにより、外側コイル30内の芯線先端部2Bの先端側へのねじり力を補完することができるからである。
そして又、先端の第1截頭円錐体26Aの後端と先端の外径比D2/D1を外側コイル30の外径比B1/B2よりも大きくすることにより、先端側へのねじりモーメント増大を図ると同時に、第1截頭円錐体26Aのねじり角θoと先端細径体27、27Aのねじり角θ1、θ2とのねじり角比(θ1/θo、θ2/θo)の増大化を補完するのと同様に、先端細径体27、27Aと第1截頭円錐体26Aとの長さ比(L4/L1、L6/L1)の増大化を補完し、さらに先細り形状の外側コイル30との併用により、先端側への回転伝達性をより高めることができるからである。
次に、図7は、第4実施形態のガイドワイヤ111を示し、前記第3実施形態のガイドワイヤ11と異なるところは、外側コイル30の内側に、長手方向の長さが短く、かつ、外側コイル30と同心状で、後端側から先端側へ向かって先細り形状の内側コイル4を配置していることである。尚、ふっ素樹脂被膜6と親水性樹脂被膜7は省略している。
内側コイル4は、芯線先端部2Bが貫挿し、接合部材等を用いて外側コイル30の先端と内側コイル4の先端と芯線先端部2Bの先端とを接合して先丸形状の先端接合部5Aを形成し、内側コイル4の後端と芯線先端部2Bとを接合して内側コイル後端接合部5Cを形成する。中間接合部5Eは、内側コイル4と外側コイル30と芯線先端部2Bとを一体接合している。尚、中間接合部5Eは、内側コイル4と芯線先端部2Bのみの接合、又は、内側コイル4と外側コイル30のみの接合のみとしてもよい。
内側コイル4は、後端径大等径部(後端径大部)411の外径A1は0.185mmで長手方向の長さが20mm、中間テーパ部412の外径は0.185mmから0.130mmへと先端側へ徐変縮径して長手方向の長さが20mm、先端径小等径部(先端径小部)413の外径A2は0.130mmで長手方向の長さは15mm、又、コイル線の線直径t2が0.030mmで、1本又は複数本の線材を用いて後端径大等径部(後端径大部)411は密巻きで、中間テーパ部412は少なくとも後端側が密巻きで、先端径小等径部(先端径小部)413は疎巻きに巻回成形したコイルである。尚、先端径小等径部(先端径小部)413は後端側が密巻きで先端側を疎巻きに巻回成形したコイルとしてもよい。又、前記第3実施形態と同様に、先端細径体27側での易屈曲性を助長する為、図7に示すように境界部29の外側に配置された外側第1コイル310と内側コイル4の先端径小等径部(先端径小部)313、413、又は中間テーパ部312,412と先端径小等径部(先端径小部)313、413の双方に、境界部29を基準として先端側と後端側とを併せた長手方向の長さが少なくとも5mmの範囲に亘って疎巻きとした疎巻き部8を設けることが好ましい。
内側コイル4の後端径大等径部(後端径大部)411の外径A1と、先端径小等径部(先端径小部)413の外径A2との外径比A1/A2は、心臓血管治療用に用いられている外径0.3556mm(0.014インチ)を考慮した場合、1.15以上1.70以下で、下肢血管治療用に用いられているガイドワイヤの最大外径0.4572mm(0.018インチ)の場合を考慮すると、外径比A1/A2は1.15以上2.80以下である。
そして、心臓血管治療用と下肢血管治療用との双方を併せ考慮すると、外径比A1/A2は1.15以上2.80以下で、好ましくは1.15以上2.75以下で、より好ましくは1.25以上2.75以下である。第4実施形態の内側コイル4の外径比A1/A2は約1.42である。
そして、連接截頭円錐体26の先端の第1截頭円錐体26Aの後端の径大外径D2と先端の径小外径D1の外径比D2/D1は、第2截頭円錐体26Bの外径比D0/D2よりも大きく{(D2/D1)>(D0/D2)}、かつ、第1截頭円錐体26Aの外径比D2/D1と、内側コイルの外径比A1/A2と、外側コイルの外径比B1/B2とは、
(D2/D1)>(A1/A2)>(B1/B2) ・・・(9)
の関係式(9)を満たす。
第4実施形態では、第1截頭円錐体26Aの外径比D2/D1が約2.22であり、第2截頭円錐体26Bの外径比D0/D2が1.50であることから、第1截頭円錐体26Aの外径比D2/D1は、第2截頭円錐体26Bの外径比D0/D2よりも大きく(約2.22>1.50)、かつ、内側コイル4の外径比A1/A2が約1.42であり、外側コイル30の外径比B1/B2が約1.27であることから、第1截頭円錐体26Aの外径比D2/D1と、内側コイル4の外径比A1/A2と、外側コイル30の外径比B1/B2とは、約2.22>約1.42>約1.27となって前記関係式(9)を満たしている。
このように関係式(9)を満たすこととする理由は、内側コイル4と外側コイル30とを共に先細り形状とし、外径比を外側コイル30から内側コイル4へ高めることにより、芯線先端部2Bの後端側から先端側へのねじり力を補完し、第1截頭円錐体26Aの外径比を最も高めることにより、第1截頭円錐体26Aのねじり角をより低減させて、第1截頭円錐体26Aのねじり角θoと先端細径体27、27Aのねじり角θ1、θ2とのねじり角比(θ1/θo、θ2/θo)をより高めるのと同様に、先端細径体27、27Aと第1截頭円錐体26Aとの長さ比(L4/L1、L6/L1)をより高める為である。
これにより、芯線先端部2Bの連接截頭円錐体26の構造と、先細り形状の外側コイル30と内側コイル4との併用により、曲げ剛性と耐座屈強度等をより高めると同時に、先端側へのねじりモーメントのより増大を図り、先端側への回転伝達性をより高めることができる。
又、中間接合部5Eは、ろう材等の接合部材を用いて幅0.2mm以上1.5mm以下のリング状で、第1截頭円錐体26Aの後端側(第1截頭円錐体26Aの全長に対して1/2以下の長さの径大側)と、内側コイル4の径大側(内側コイル4の全長に対して1/2以下の長さの径大側)と、外側コイル30の径大側とを共に一体接合することが好ましい。
そして又、内側コイル4と外側コイル30は各コイルの後端から中間接合部5Eまでは、少なくとも密巻きが好ましい。
この理由は、先端側への回転伝達力は後端径大部と先端径小部の外径比(後端径大部の外径/先端径小部の外径)に比例する為、径大側の外側コイル30と、径大側の内側コイル4と、後端側の第1截頭円錐体26Aとを共に一体接合した中間接合部5Eを設けることにより、後端から中間接合部5Eまで共に密巻きにしたことにより、外側コイル30と内側コイル4と第1截頭円錐体26Aの先細り形状の一体化した回転力を先端側へ伝え、先端側への回転伝達性をさらに高めることができるからである。
そして又、第4実施形態で、さらに好ましくは、図7で示すように外側コイル30の中間テーパ部312と、内側コイル4の中間テーパ部412とを重複する位置に配置することである。この理由は、外側コイル30と内側コイル4とを重複する位置の中間テーパ部312、412で共に同軸上の先細りの概ね同形状とすることにより、外側コイル30と内側コイル4の双方の径大側から径小側への回転力を先端側へ集中させ、先端側への回転伝達性をより向上させ易い構造となるからである。
本発明の外側コイル3、30内の芯線先端部2Bは、先端から後端側へ、先端細径体27、27Aと連接截頭円錐体26、260とを有し、連接する截頭円錐体の個数は、外側コイル3、30の全長に影響されるが、外側コイル3、30の全長が20mm以上350mm以下の場合には、第1截頭円錐体26Aを含み、少なくとも2個以上20個以下であることが好ましい。
又、本発明の第3、4実施形態において、外側コイル30と内側コイル4の形状は、後端側から先端側へ後端径大等径部(後端径大部)311、411、中間テーパ部312、412、先端径小等径部(先端径小部)313、413として説明したが、後端側に外径が大きな後端径大部と先端側に外径が小さな先端径小部を備えていれば、いずれの形状であってもよい。
他の実施例として図8は、外側コイル30と内側コイル4の他の実施形態を示し、図示(イ)は、後端側が等径で外径が大きな後端径大部511と、先端側へ向かって外径が徐変減少する先端径小部512を備え、図示(ロ)は、後端側から先端側へ向かって大きな外径から徐変減少する後端径大部611と先端側が等径で外径が小さな先端径小部612を備え、図示(ハ)は、後端側から先端側へ向かって大きな外径から小さな外径へ徐変減少し、後端側の後端径大部711(全長の1/2の長さ)と先端側の先端径小部712(全長の1/2の長さ)とを備えた形状である。
外側コイル30と内側コイル4との組合せの形状は、前記第4実施形態を含む図示(イ)〜(ハ)のいずれの形状であってもよく、外側コイル30と内側コイル4の形状が先細りの概ね同形状であるのが好ましい。かかる場合の外側コイル30の外径比B1/B2は、後端側の最大の外径が後端径大部の外径B1で、先端の最小の外径が先端径小部の外径B2であり、又、内側コイル4の外径比A1/A2についても前記同様であり、後端側の最大の外径が後端径大部の外径A1で、先端側の最小の外径が先端径小部の外径A2である。
前記第1〜4実施形態において、芯線先端部2Bは、先端から後端へ先端細径27、27Aとこれに続く第1截頭円錐体26Aを含む連接截頭円錐体26、260として説明したが、本発明の内容は、芯線先端部2Bが先端から後端へ、先端細径体27、27Aとこれに続く截頭円錐体が複数個ではなく1個の場合(第1截頭円錐体26Aに相当する場合)であっても適用できる。
図9は、本発明の第5実施形態のガイドワイヤ112の全体を示す1部切欠き側面図を示し、前記第1実施形態と異なるところは、芯線先端部2Dが、先端から後端へ、先端細径体27、27Aと第1截頭円錐体26Aを有し、第1截頭円錐体26Aの後端には長手方向の長さを延長した第3等径部25(外径がD2)を備えることである。
又、前記第3〜4実施形態に相当するガイドワイヤについても前記同様であり、前記第3〜4実施形態に相当する他の実施形態のガイドワイヤの図面は省略している。
そして、前記第1実施形態と同様に、第1截頭円錐体は、先端から後端へ外径が徐変拡径し、先端細径体27、27Aの長手方向の長さL4、L6と第1截頭円錐体26Aの長手方向の長さL1との長さ比(L4/L1、L6/L1)は、前記一定の関係式を満たすことを特徴とする。
この理由は、前記ねじり角比(θ1/θo、θ2/θo)が1よりも大きい場合と同様に、前記長さ比(L4/L1、L6/L1)の一定の関係式を満たすことにより、先端細径体27、27A側での易屈曲性を高める為である。
又、先端細径体の横断面の形状は、長辺の長さaと短辺の長さbとのアスペクト比(a /b)が1.676以上3.958以下の矩形であり、先端細径体の長手方向の長さL4と、前記第1截頭円錐体の長手方向の長さL1との長さ比(L4/L1)は、前記一定の関係式を満たすことを特徴とする。
この理由は、前記ねじり角比(θ1/θo、θ2/θo)が一定の範囲を満たす場合と同様に、前記長さ比(L4/L1、L6/L1)が一定の関係式を満たすことにより、先端細径体27、27A側での易屈曲性を高める為である。
そして、先端細径体は、横断面の形状が円形であり、先端細径体の長手方向の長さL6と、第1截頭円錐体の長手方向の長さL1との長さ比(L6/L1)は、前記一定の関係式を満たすことを特徴とする。
この理由は、先端細径体の横断面の形状が矩形の場合の、先端細径体の長手方向の長さL4と第1截頭円錐体の長手方向の長さL1との長さ比(L4/L1)が一定の関係式を満たす場合と同様である。尚、手元側を回転させてラジアル方向に円滑な回転性が必要な場合には、横断面が矩形よりも円形の先端細径体を用いることが好ましい。
そして又、前記第3実施形態と同様に、第1截頭円錐体の後端の径大外径D2と先端の径小外径D1との外径比(D2/D1)は、外側コイルの外径比(B1/B2)よりも大きい{(D2/D1)>(B1/B2)}。
この理由は、先端側へ先細りの外側コイル30とすることにより、外側コイル30内の芯線先端部2Bの先端側へのねじり力を補完することができるからである。そして又、第1截頭円錐体26Aの後端と先端の外径比D2/D1を外側コイルの外径比B1/B2よりも大きくすることにより、先端側へのねじりモーメント増大を図ると同時に、第1截頭円錐体26Aのねじり角θoと先端細径体27、27Aのねじり角θ1、θ2とのねじり角比(θ1/θo、θ2/θo)の増大化を補完するのと同様に、前記長さ比(L4/L1、L6/L1)の増大化を補完し、さらに先細り形状の外側コイル30との併用により、先端側への回転伝達性を高めることができるからである。
さらに又、第4実施形態と同様に、第1截頭円錐体の外径比(D2/D1)と、内側コイルの外径比(A1/A2)と、外側コイルの外径比(B1/B2)とは、
(D2/D1)>(A1/A2)>(B1/B2)の関係式を満たすことを特徴とする。
この理由は、内側コイル4と外側コイル30とを共に先細り形状とし、外径比を外側コイル30から内側コイル4へ高めることにより、芯線先端部2Bの後端側から先端側へのねじり力を補完し、第1截頭円錐体26Aの外径比を最も高めることにより、第1截頭円錐体26Aのねじり力をより低減させて、第1截頭円錐体26Aのねじり角θoと先端細径体27、27Aのねじり角θ1、θ2とのねじり角比(θ1/θo、θ2/θo)を高めるのと同様に、前記長さ比(L4/L1、L6/L1)を高めることができるからである。
1、11、111、112 医療用ガイドワイヤ
2 芯線
2A 芯線後端部
2B、2C、2D 芯線先端部
3、30 外側コイル
4 内側コイル
26、260 連接截頭円錐体
26A 第1截頭円錐体
26B 第2截頭円錐体
26C 第3截頭円錐体
27 先端細径体
28 節部
29 境界部
第1截頭円錐体は、先端から後端へ外径が徐変拡径し、長手方向の長さをL1、後端の径大外径をD2、先端の径小外径をD1とし、先端細径体は、横断面の形状が矩形であり、長手方向の長さをL4、横断面の矩形の長辺の長さをa、短辺の長さをb、アスペクト比(a/b)によって決まる係数をkとし、D1+D1×D2+D2=N1、D1×D2=N2、(32×k×a×b ×N1)/(3π×N2)=Qとすると、先端細径体の長手方向の長さL4と第1截頭円錐体の長手方向の長さL1との長さ比(L4/L1)は、
1.210Q≦(L4/L1)≦2.706Qの関係式を満たすことを特徴とする。
先端細径体の横断面の形状は、長辺の長さaと短辺の長さbとのアスペクト比(a/b)が1.676以上3.958以下の矩形であ
第1截頭円錐体は、先端から後端へ外径が徐変拡径し、長手方向の長さをL1、後端の径大外径をD2、先端の径小外径がD1で、D1 +D1×D2+D2 =N1、D1 ×D2 =N2とし、
先端細径体は、横断面の形状が円形であり、長手方向の長さをL6、外径をd、
(d×N1)/(3×N2)=Rとすると、先端細径体の長手方向の長さL6と第1截頭円錐体の長手方向の長さL1との長さ比(L6/L1)は、R<(L6/L1)≦2.706Rの関係式を満たすことを特徴とする
外側コイルは、後端側から先端側へ向かって後端径大部と中間テーパ部と先端径小部とを備え、外側コイルの後端径大部の外径をB1、先端径小部の外径をB2とした場合に、第1截頭円錐体の後端の径大外径D2と先端の径小外径D1との外径比(D2/D1)は、外側コイルの外径比(B1/B2)よりも大き{(D2/D1)>(B1/B2)}、かつ、第1截頭円錐体の先端と 先端細径体の後端との間の境界部の外側に配置された、外側コイルの中間テーパ部と先端径小部との双方に、境界部を基準として先端側と後端側とを併せた長手方向の長さが少なくとも5mmの範囲に亘って線間間隙が外側コイル線の線直径の0.07倍以上1.90倍以下の疎巻き部を設ける
内側コイルは、後端側から先端側へ向かって、後端径大部と中間テーパ部と先端径小部を備える。
内側コイルを、芯線先端部の外側で、外側コイルの内側に、外側コイルよりも長手方向の長さが短く同心状に配置する。又、外側コイルの先端と内側コイルの先端(先端径小部の先端)と先端細径体の先端とを接合して先端接合部とし、内側コイルの後端(後端径大部の後端)と芯線先端部とを接合して内側コイル後端接合部とする。
第1截頭円錐体の後端に第2截頭円錐体を設け、第1截頭円錐体の少なくとも1部は内側コイル内へ配置され、第2截頭円錐体の後端の径大外径がD0、先端の径小外径がD2、内側コイルの後端径大部の外径をA1、先端径小部の外径をA2とした場合に、第1截頭円錐体の外径比(D2/D1)は、第2截頭円錐体の外径比(D0/D2)よりも大きく{(D2/D1)>(D0/D2)}、かつ、第1截頭円錐体の外径比(D2/D1)と、内側コイルの外径比(A1/A2)と、外側コイルの外径比(B1/B2)とは、
(D2/D1)>(A1/A2)>(B1/B2)の関係式を満たし、第1截頭円錐体の先端と先端細径体の後端との間の境界部の外側に配置された、内側コイルの中間テーパ部と先端径小部との双方に、境界部を基準として先端側と後端側とを併せた長手方向の長さが少なくとも5mmの範囲に亘って疎巻き部を設ける
本発明のガイドワイヤは、外側コイル内を貫挿する芯線先端部は、先端から後端へ、先端細径体と第1截頭円錐体を有し、先端細径体は横断面が矩形で、第1截頭円錐体は先端から後端へ徐変拡径する。
横断面が矩形の先端細径体の長手方向の長さをL4、第1截頭円錐体の長手方向の長さをL1とすると、先端細径体の長手方向の長さL4と第1截頭円錐体の長手方向の長さL1との長さ比(L4/L1)は、一定の関係式を満たすことを特徴とする。
この理由は、以下である。
前記一定の関係式は、先端細径体のねじり角をθ1とし、第1截頭円錐体のねじり角をθoとした場合のねじり角比(θ1/θo)が1よりも大きい関係であることから導くことができる。前記ねじり角比(θ1/θo)が1よりも大きければ、先端細径体側でのU字形状の易屈曲性を高めることができると同様に、前記長さ比(L4/L1)の前記一定の関係式を満たすことにより、先端細径体側でのU字形状の易屈曲性を高める為である。
従って、好ましくは前記一定の関係式を満たす範囲である。
そして又、先端側から後端側へ外径が徐変拡径(又は、後端側から先端側へ徐変縮径)する第1截頭円錐体の構造とすることにより、外径が等径の場合よりも後端側が拡径している為、ねじり角比(θ1/θo)を増大させることができる。そして、先端側から後端側へ外径が徐変拡径(又は、後端側から先端側へ徐変縮径)する第1截頭円錐体の構造とすることにより、外径が等径の場合よりも後端側が拡径している為、ねじり角比(θ1/θo)を増大させることができるのと同様に、前記長さ比(L4/L1)を増大させることができるからである。補足すれば、前記長さ比(L4/L1)を把握できれば、血管内径が異なった場合でも、血管内での芯線先端部の屈曲変形特性が把握でき、病変部に対応したガイドワイヤの選択が、術者にとって容易となって迅速治療に大きく寄与することができる。
先端細径体の横断面の形状は、長辺の長さaと短辺の長さbとのアスペクト比(a/b)が1.676以上3.958以下の矩形であ
この理由は、先端細径体のねじり角θ1と第1截頭円錐体のねじり角θoとのねじり角比(θ1/θo)が、1を下回れば、先端細径体のねじり角θ1が第1截頭円錐体のねじり角θoを下回ることになるのと同様に、第1截頭円錐体のほうが先端細径体よりも屈曲し易くなり、先端細径体側での易屈曲性を確保することはできなくなる。
又、前記関係の上限値を上回れば、後述する先端細径体の横断面が矩形の長辺と短辺の対角線の長さが外側コイルの内径よりも大きくなって組付け不可能となるか、或いは屈曲変形時に外側コイルの内壁と干渉、又は拘束されて蛇行形状となって屈曲蛇行血管内での挿入操作は困難となり易く、これらを避ける為である。従って、好ましくは前記上下限値の範囲である。
外側コイルは、後端側から先端側へ向かって後端径大部と中間テーパ部と先端径小部とを備え、外側コイルの後端径大部の外径をB1、先端径小部の外径をB2とした場合に、第1截頭円錐体の後端の径大外径D2と先端の径小外径D1との外径比(D2/D1)は、外側コイルの外径比(B1/B2)よりも大き{(D2/D1)>(B1/B2)}、かつ、第1截頭円錐体の先端と先端細径体の後端との間の境界部の外側に配置された、外側コイルの中間テーパ部と先端径小部との双方に、境界部を基準として先端側と後端側とを併せた長手方向の長さが少なくとも5mmの範囲に亘って線間間隙が外側コイル線の線直径の0.07倍以上1.90倍以下の疎巻き部を設ける
この理由は、外側コイルの先細り形状が、後端側から先端側への回転伝達性を高め、第1截頭円錐体の外径比が外側コイルの外径比よりも大きくすることにより、芯線先端部の第1截頭円錐体による後端側から先端側へのねじり力を補完し、先端細径体と第1截頭円錐体とのねじり角比(θ1/θo)を高める為であるのと同様に、前記長さ比(L4/L1、L6/L1)を高めることができるからである。又、先端細径体側での易屈曲性を助長する為である。
これにより、芯線先端部の第1截頭円錐体の構造と先細り形状の外側コイルとの併用により、曲げ剛性と耐座屈強度等を高めると同時に先端側へのねじりモーメント増大を図り、先端側への回転伝達性をより高めることができる。
外側コイルと内側コイルは、後端側から先端側へ向かって、後端径大部と中間テーパ部と先端径小部を備える。この内側コイルを芯線先端部の外側で、外側コイルの内側に、外側コイルよりも長手方向の長さが短く同心状に配置する。又、外側コイルの先端径小部の先端と内側コイルの先端径小部の先端と芯線先端部の先端とを接合して先端接合部とし、内側コイルの後端径大部の後端と芯線先端部とを接合して内側コイル後端接合部とする。
第1截頭円錐体の後端に第2截頭円錐体を設け、第1截頭円錐体の少なくとも1部は内側コイル内へ配置され、第2截頭円錐体の後端の径大外径がD0、先端の径小外径がD2、内側コイルの後端径大部の外径をA1、先端径小部の外径をA2とした場合に、第1截頭円錐体の外径比(D2/D1)は、第2截頭円錐体の外径比(D0/D2)よりも大きく{(D2/D1)>(D0/D2)}、かつ、第1截頭円錐体の外径比(D2/D1)と、内側コイルの外径比(A1/A2)と、外側コイルの外径比(B1/B2)とは、
(D2/D1)>(A1/A2)>(B1/B2)の関係式を満たし、第1截頭円錐体の先端と先端細径体の後端との間の境界部の外側に配置された、内側コイルの中間テーパ部と先端径小部との双方に、境界部を基準として先端側と後端側とを併せた長手方向の長さが少なくとも5mmの範囲に亘って疎巻き部を設ける
この理曲は、内側コイルと外側コイルの先細り形状が、後端側から先端側へ回転伝達性をより高め、第1截頭円錐体の外径比が、外側コイルの外径比と内側コイルの外径比よりも大きくすることにより、芯線先端部の連接截頭円錐体の後端側から先端側へのねじり力をより補完し、先端細径体と第1截頭円錐体とのねじり角比(θ1/θo)をより高める為であるのと同様に、前記長さ比(L4/L1、L6/L1)を高めることができるからである。又、先端細径体側での易屈曲性を高める為である。
これにより、芯線先端部の第1、2截頭円錐体の構造と先細り形状の外側コイルと内側コイルとの併用により、曲げ剛性と耐座屈強度等をより高めると同時に、先端側へのねじりモーメントのより増大を図り、先端側への回転伝達性をより高めることができる。
外側第1コイル31と外側第2コイル32とは、コイル線をねじ込み、中間接合部5Dにて、ろう材等の手段を用いて接合している。又、ねじ込み接合の代わりに、コイル線どうしを溶接等の手段を用いて接合させてもよい。尚、外側第2コイル32のコイル線の材質は、ステンレス鋼線のうち、引張強さが2200MPa以上3500MPa以下のオーステナイト系ステンレス鋼線を用いることが望ましい。この理由は、高強度の引張強さを有するコイル線を得て密巻きに巻回成形することにより、高いねじり応力と高い初張力により耐疲労特性を向上させることができるからである。又、外側コイル3は、金、白金、並びに金にニッケル等、又は白金にニッケル等を含む放射線不透過の材質の線材を1本、又は複数本用いてもよい。
先端細径体27は、長手方向の長さL4が12mm、横断面の形状は長辺aが0.0654mm、短辺bが0.035mmで、アスペクト比(a/b)が約1.86の矩形である(図3)。
この矩形横断面の先端細径体27のねじりモーメントをM、長さがL4、長辺の長さaと短辺の長さbとのアスペクト比(a/b)によって決まる係をk、横弾性係数をG、ねじり角をθ1(rad)とすると、先端細径体27のねじり角θ1(rad)は、
θ1=M×L4/(k×a×b×G) ・・・(1)
関係式(1)によって求められる。又、アスペクト比(a/b)によって決まる係数kは、
k≒1/3−0.2×(b/a)×{1−b/(12×a)}・・・(2)
関係式(2)によって決まる。
内側コイル4は、後端径大等径部(後端径大部)411の外径A1は0.185mmで長手方向の長さが20mm、中間テーパ部412の外径は0.185mmから0.130mmへと先端側へ徐変縮径して長手方向の長さが20mm、先端径小等径部(先端径小部)413の外径A2は0.130mmで長手方向の長さは15mm、又、コイル線の線直径t2が0.030mmで、1本又は複数本の線材を用いて後端径大等径部(後端径大部)411は密巻きで、中間テーパ部412は少なくとも後端側が密巻きで、先端径小等径部(先端径小部)413は疎巻きに巻回成形したコイルである。尚、先端径小等径部(先端径小部)413は後端側が密巻きで先端側を疎巻きに巻回成形したコイルとしてもよい。又、前記第3実施形態と同様に、先端細径体27側での易屈曲性を助長する為、図7に示すように境界部29の外側に配置された外側第1コイル310と内側コイル4の先端径小等径部(先端径小部)313、413、又は中間テーパ部312,412と先端径小等径部(先端径小部)313、413の双方に、境界部29を基準として先端側と後端側とを併せた長手方向の長さが少なくとも5mmの範囲に亘って疎巻きとした疎巻き部8を設けることが好ましい。
前記第1〜4実施形態において、芯線先端部2Bは、先端から後端へ先端細径体27、27Aとこれに続く第1截頭円錐体26Aを含む連接截頭円錐体26、260として説明したが、本発明の内容は、芯線先端部2Bが先端から後端へ、先端細径体27、27Aとこれに続く截頭円錐体が複数個ではなく1個の場合(第1截頭円錐体26Aに相当する場合)であっても適用できる。
図9は、本発明の第5実施形態のガイドワイヤ112の全体を示す1部切欠き側面図を示し、前記第1実施形態と異なるところは、芯線先端部2Dが、先端から後端へ、先端細径体27、27Aと第1截頭円錐体26Aを有し、第1截頭円錐体26Aの後端には長手方向の長さを延長した第3等径部25(外径がD2)を備えることである。
又、前記第3〜4実施形態に相当するガイドワイヤについても前記同様であり、前記第3〜4実施形態に相当する他の実施形態のガイドワイヤの図面は省略している。
そして、前記第1実施形態と同様に、第1截頭円錐体は、先端から後端へ外径が徐変拡径し、先端細径体27、27Aの長手方向の長さL4、L6と第1截頭円錐体26Aの長手方向の長さL1との長さ比(L4/L1、L6/L1)は、前記一定の関係式を満たすことを特徴とする。
この理由は、前記ねじり角比(θ1/θo、θ2/θo)が1よりも大きい場合と同様に、前記長さ比(L4/L1、L6/L1)の一定の関係式を満たすことにより、先端細径体27、27A側での易屈曲性を高める為である。
又、先端細径体の横断面の形状は、長辺の長さaと短辺の長さbとのアスペクト比(a/b)が1.676以上3.958以下の矩形であり、先端細径体の長手方向の長さL4と、前記第1截頭円錐体の長手方向の長さL1との長さ比(L4/L1)は、前記一定の関係式を満たすことを特徴とする。
この理由は、前記ねじり角比(θ1/θo、θ2/θo)が一定の範囲を満たす場合と同様に、前記長さ比(L4/L1、L6/L1)が一定の関係式を満たすことにより、先端細径体27、27A側での易屈曲性を高める為である。
そして、先端細径体は、横断面の形状が円形であり、先端細径体の長手方向の長さL6と、第1截頭円錐体の長手方向の長さL1との長さ比(L6/L1)は、前記一定の関係式を満たすことを特徴とする。
この理由は、先端細径体の横断面の形状が矩形の場合の、先端細径体の長手方向の長さL4と第1截頭円錐体の長手方向の長さL1との長さ比(L4/L1)が一定の関係式を満たす場合と同様である。尚、手元側を回転させてラジアル方向に円滑な回転性が必要な場合には、横断面が矩形よりも円形の先端細径体を用いることが好ましい。
そして又、前記第3実施形態と同様に、第1截頭円錐体の後端の径大外径D2と先端の径小外径D1との外径比(D2/D1)は、外側コイルの外径比(B1/B2)よりも大きい{(D2/D1)>(B1/B2)}。
この理由は、先端側へ先細りの外側コイル30とすることにより、外側コイル30内の芯線先端部2の先端側へのねじり力を補完することができるからである。そして又、第1截頭円錐体26Aの後端と先端の外径比D2/D1を外側コイルの外径比B1/B2よりも大きくすることにより、先端側へのねじりモーメント増大を図ると同時に、第1截頭円錐体26Aのねじり角θoと先端細径体27、27Aのねじり角θ1、θ2とのねじり角比(θ1/θo、θ2/θo)の増大化を補完するのと同様に、前記長さ比(L4/L1、L6/L1)の増大化を補完し、さらに先細り形状の外側コイル30との併用により、先端側への回転伝達囲を高めることができるからである。
さらに又、第4実施形態と同様に、第1截頭円錐体の外径比(D2/D1)と、内側コイルの外径比(A1/A2)と、外側コイルの外径比(B1/B2)とは、
(D2/D1)>(A1/A2)>(B1/B2)の関係式を満たすことを特徴とする。
この理由は、内側コイル4と外側コイル30とを共に先細り形状とし、外径比を外側コイル30から内側コイル4へ高めることにより、芯線先端部2の後端側から先端側へのねじり力を補完し、第1截頭円錐体26Aの外径比を最も高めることにより、第1截頭円錐体26Aのねじり力をより低減させて、第1截頭円錐体26Aのねじり角θoと先端細径体27、27Aのねじり角θ1、θ2とのねじり角比(θ1/θo、θ2/θo)を高めるのと同様に、前記長さ比(L4/L1、L6/L1)を高めることができるからである。

Claims (6)

  1. 後端側から先端側へ徐変縮径する部分を有する芯線の芯線先端部を外側コイルへ貫挿し、前記芯線先端部は、先端から後端へ、先端細径体と第1截頭円錐体を有し、
    前記外側コイルの先端と前記先端細径体の先端とを接合して先端接合部とし、前記外側コイルの後端と前記芯線先端部の後端とを接合して外側コイル後端接合部とした医療用ガイドワイヤであって、
    前記第1截頭円錐体は、先端から後端へ外径が徐変拡径し、長手方向の長さをL1、後端の径大外径をD2、先端の径小外径をD1とし、
    前記先端細径体は、横断面の形状が矩形であり、長手方向の長さをL4、横断面の矩形の長辺の長さをa、短辺の長さをb、アスペクト比(a/b)によって決まる係数をkとし、D1 +D1×D2+D2 =N1、D1 ×D2 =N2とすると、前記先端細径体の長手方向の長さL4と前記第1截頭円錐体の長手方向の長さL1との長さ比(L4/L1)は、
    (L4/L1)>(32×k×a×b ×N1)/(3π×N2)
    の関係式を満たすことを特徴とする医療用ガイドワイヤ。
  2. 請求項1記載の医療用ガイドワイヤであって、
    前記先端細径体横断面の形状、長辺の長さaと短辺の長さbとのアスペクト比(a/b)が1.676以上3.958以下の矩形であり、
    (32×k×a×b ×N1)/(3π×N2)=Qとすると、前記先端細径体の長手方向の長さL4と前記第1截頭円錐体の長手方向の長さL1との長さ比(L4/L1)は、
    1.210Q≦(L4/L1)≦2.706Q
    の関係式を満たすことを特徴とする医療用ガイドワイヤ。
  3. 請求項1に記載の医療用ガイドワイヤであって、
    前記先端細径体は、横断面の形状が円形であり、長手方向の長さをL6、外径をd、
    ×N1)/(3×N2)=Rとすると、前記先端細径体の長手方向の長さL6と前記第1截頭円錐体の長手方向の長さL1との長さ比(L6/L1)は、
    R<(L6/L1)≦2.706Rの関係式を満たすことを特徴とする医療用ガイドワイヤ。
  4. 求項1〜のいずれか一つに記載の医療用ガイドワイヤであって、
    前記外側コイルは、後端側から先端側へ向かって後端径大部と先端径小部とを備え、前記外側コイルの後端径大部の外径をB1、先端径小部の外径をB2とした場合に、前記第1截頭円錐体の後端の径大外径D2と先端の径小外径D1との外径比(D2/D1)は、前記外側コイルの外径比(B1/B2)よりも大きい{(D2/D1)>(B1/B2)}ことを特徴とする医療用ガイドワイヤ。
  5. 後端側から先端側へ向かって後端径大部と先端径小部とを備えた内側コイルを、前記芯線先端部の外側で前記外側コイルの内側に、前記外側コイルよりも長手方向の長さが短く同心状に配置して、
    前記外側コイルの先端と前記内側コイルの先端と前記先端細径体の先端とを接合して先端接合部とし、前記内側コイルの後端と前記芯線先端部とを接合して内側コイル後端接合部とした請項4に記載の医療用ガイドワイヤであって、
    前記第1截頭円錐体のに第2截頭円錐体を設け、前記第1截頭円錐体の少なくとも1部は前記内側コイル内へ配置され、
    前記第2截頭円錐体の後端の径大外径がD0、先端の径小外径がD2、前記内側コイルの後端径大部の外径をA1、先端径小部の外径をA2とした場合に、前記第1截頭円錐体の外径比(D2/D1)は、前記第2截頭円錐体の外径比(D0/D2)よりも大きく{(D2/D1)>(D0/D2)}、かつ、
    前記第1截頭円錐体の外径比(D2/D1)と、前記内側コイルの外径比(A1/A2)と、前記外側コイルの外径比(B1/B2)とは、
    (D2/D1)>(A1/A2)>(B1/B2)の関係式を満たすことを特徴とする医療用ガイドワイヤ。
  6. 請求項1〜5のいずれか一つに記載の医療用ガイドワイヤであって、
    前記第1截頭円錐体は、少なくとも2個以上の截頭円錐体を長手方向に連接した連接截頭円錐体の先端の截頭円錐体で、
    前記連接截頭円錐体は、1個の截頭円錐体の長手方向の長さが後端側の截頭円錐体から先端側の截頭円錐体へ向かって徐変減少し、かつ、後端の径大外径と先端の径小外径との外径比(後端の径大外径/先端の径小外径)が、後端側の前記截頭円錐体から先端側の前記截頭円錐体へ向かって徐変増大し、
    前記連接截頭円錐体の最大外径がD0、最小外径がD1、全長がL、最大外径D0の横断面の中心位置から先端へ、任意の位置Xにおける前記連接截頭円錐体の外径をDmとし、任意の位置Xが0<X<Lの関係にある場合に、前記連接截頭円錐体の外径Dmは、
    Dm>{D0−(D0−D1)X/L}の関係式を満たすことを特徴とする医療用ガイドワイヤ。
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