JP6123092B2 - 医療用ガイドワイヤ - Google Patents
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Description
外側コイルは、先端側が放射線不透過性の線材を螺旋状に巻回した外側第1コイルと、後端側が放射線透過性の線材を螺旋状に巻回した外側第2コイルから成る。
外側第1コイルの先端と芯線先端部の先端とを接合して先端接合部とし、外側第2コイルの後端と芯線先端部の後端とを接合して外側第2コイル後端接合部とする。
0.62τ2≦τ1≦1.02τ2
の関係式を満たす。
外側コイルは、後端径大等径部の外側第2コイルと、中間テーパ部と先端径小等径部との外側第1コイルから成る。又は、後端径大等径部と中間テーパ部の後端側との外側第2コイルと、中間テーパ部の先端側と先端径小等径部との外側第1コイルから成る。
又、外側コイルの先端と内側コイルの先端径小等径部の先端と芯線先端部の先端とを接合して先端接合部とし、内側コイルの後端径大等径部の後端と芯線先端部とを接合して内側コイル後端接合部とする。
内側コイルは、ステンレス鋼から成る放射線透過性の線材を用いて、後端径大等径部と中間テーパ部は密巻きで、先端径小等径部の先端側が疎巻きに巻回する。
外側第1コイルと外側第2コイルは、ばね指数が2.8以上6.8以下で、外側第1コイルの密巻きの初張力によるねじり応力をτ1とし、外側第2コイルの密巻きの初張力によるねじり応力をτ2とした場合に、外側第1コイルのねじり応力τ1は、
0.62τ2≦τ1≦1.02τ2
の関係式を満たす。
この理由は、外側コイルに、放射線不透過性の線材と放射線透過性の線材との異種金属線を巻回して一体化したコイルは、異種金属のそれぞれの線材のもつ機械的強度特性の差から屈曲変形させた場合に、一体化した接合部を境にして曲率半径が異なり、均一な円弧を描くことができない。又、手元側を回転させた場合に、異種金属の線材のもつねじり応力の差から、一体化した接合部を境にしてねじり溜まりが発生し、先端側への回転伝達性能が劣ることとなる。
密巻きコイルの巻回成形によって発生する初張力の強弱から初張力によるねじり応力を制御し、外側第1コイルのねじり応力τ1と外側第2コイルのねじり応力τ2とを前記一定範囲とすることにより、屈曲変形させた場合に接合部での異なる曲率半径の発生を低減させて均一な円弧形状を描く為と、接合部でのねじり溜まりを防いで、先端側への回転伝達性能の向上を図る為である。
芯線先端部の第1截頭円錐体の外側に、外側コイルの中間テーパ部を配置する。
第1截頭円錐体の外径が、後端から先端へ徐変減少するのに伴って、外側コイルの中間テーパ部の密巻きの初張力が、後端から先端へ徐変増大する。
これにより、外径が先端から後端へ徐変拡径する第1截頭円錐体の構造により、先端側への回転伝達性能を高めることができる。又、後端から先端へ初張力が徐変増大する外側コイルの中間テーパ部は、後端から先端へコイル線間の密着力(圧縮力)が増大する。
そして、後端から先端へコイル線間の密着力(圧縮力)が徐変増大する中間テーパ部を後端から先端へ外径が徐変減少する第1截頭円錐体の外側へ配置することにより、第1截頭円錐体の外径が先端側へ細径化するのに伴って、中間テーパ部のコイル線間の密着力(圧縮力)が先端側へ高められることとなり、細径の第1截頭円錐体でありながら先端側への回転伝達性能の向上を、コイルに作用する初張力により、より補完することができる。
これにより、外側コイルを先細り形状とすることによって外側コイル内の芯線先端部の細径に伴うねじり力の低下分を補完し、細径の芯線先端部でありながら先端の第1截頭円錐体の外径比を高めることにより、先端側へのねじりモーメントの増大を図り、先細り形状の外側コイルとの併用により、先端側への回転伝達性をより高めることができる。
内側コイルは、ステンレス鋼から成る放射線透過性の線材を用いて後端径大等径部と中間テーパ部は密巻きで、先端径小等径部は先端側が疎巻きを有して巻回して成る。
第1截頭円錐体の外側に、内側コイルの密巻きの中間テーパ部と外側第1コイルの密巻きの中間テーパ部とを共に配置する。
そして、第1截頭円錐体の外径が、後端側から先端側へ徐変減少するのに伴って、外側第1コイルの中間テーパ部の密巻きの初張力と内側コイルの密巻きの中間テーパ部の初張力とが共に、後端側から先端側へ徐変増大する。
これにより、後端から先端へ初張力が徐変増大する外側コイルの中間テーパ部と内側コイルの中間テーパ部は、後端から先端へコイル線間の密着力(圧縮力)が増大する。
そして、後端から先端へコイル線間の密着力(圧縮力)が徐変増大する2つの中間テーパ部を、後端から先端へ外径が徐変減少する第1截頭円錐体の外側へ配置することにより、第1截頭円錐体の外径が先端側へ細径化するのに伴って、2つの中間テーパ部のコイル線間の密着力(圧縮力)が先端側へ高められることとなり、細径の第1截頭円錐体でありながら先端側への回転伝達性能の向上を、2つの中間テーパに作用する初張力によってさらに補完することができる。
外側コイル3は、先端側が放射線不透過性の線材を螺旋状に巻回した外側第1コイル31と、後端側が放射線透過性の線材を螺旋状に巻回した外側第2コイル32から成り、外側第1コイル31の後端部のコイル線と外側第2コイルの先端部のコイル線とをねじ込んだ後に、ろう材を用いて中間接合部5Dにて接合する。又、特開2002−336360、特開平9−38210の公開特許公報に示すような溶接接合手段を用いて接合してもよい。又、中間接合部5Dは、外側コイルと共に芯線先端部と接合されていてもよい。
外側コイル3は、芯線先端部2Bが貫挿し、接合部材を用いて外側第1コイル31の先端と芯線先端部2Bの先端とを接合して先丸形状の先端接合部5Aを形成し、外側第2コイル32の後端と芯線先端部2Bとを接合して外側コイル後端接合部5Bを形成している。
ふっ素樹脂被膜6は、後端側の太径の芯線後端部2Aの外周に形成されている。親水性樹脂被膜7は、外側コイル3の外周に形成されている。尚、本発明のガイドワイヤ1は、長さに比べて直径が極めて小さな値となっている。この為、本発明のガイドワイヤ1は、縦横の縮尺率を同じにすると所定のエリアに図示することが困難となる為、一部を誇張したり、省略したりして図示している。
連接截頭円錐体26は、先端に第1截頭円錐体26Aを有し、第1截頭円錐体26Aの後端に第2截頭円錐体26Bを連接させた2つの截頭円錐体から成り、径大側の後端の外径0.180mmから径小側の先端の外径0.060mmへ徐変縮径する。外側コイル3の外側コイル後端接合部5Bは、第2截頭円錐体26Bの径大側の後端の外径0.180mmと、ろう材等の手段を用いて接合されている。又、外側コイル後端接合部5Bは、外径が0.180mmの第3等径部25と接合部材を用いて接合されていてもよい。
この理由は、縮径伸線加工により引張強さを容易に向上できるとともに、後述する連接截頭円錐体26の形状のセンターレス研削加工が容易になるからである。尚、ここでいう連接截頭円錐体26とは、1本の線材を用いて研削加工等を行い、截頭円錐体の形状を複数個長手方向へ設けた構造体のことをいう。又、芯線先端部2Bと芯線後端部2Aとは、異なる線材を溶接接合した芯線2としてもよく、例えば前記芯線の材質等の組合せ(具体的には、芯線後端部2Aがステンレス鋼線で、芯線先端部2BがNi−Ti合金線)等である。
先端側の外側第1コイル31は、引張強さが1200MPa以上2000MPa以下で白金が90重量%以上99重量%以下で残部がニッケルの白金とニッケルの合金線で、線直径t1が0.060mmの放射線不透過性の合金線を巻回したコイルから成り、長手方向の長さが40mmで後端側の25mmは初張力が作用する密巻きで先端側の15mmは線間間隙が線直径t1の0.07倍以上1.90倍以下の疎巻きである。
後端側の外側第2コイル32は、引張強さが1400MPa以上3500MPa以下のオーステナイト系ステンレス鋼線で、線直径t2が0.060mmの放射線透過性の金属線を巻回したコイルから成り、長手方向の長さが120mmの初張力が作用する密巻きである。
外側第1コイル31は、ばね指数C1が2.8以上6.8以下のとき、密巻きのねじり応力τ1(N/mm2)は、
−17.2C1+165.7≦τ1≦−35.3C1+341.2 ・・(1)
の関係式(1)を満たすことが好ましい(図示符号ロとニ)。
より好ましくは、
−22.1C1+224.3≦τ1≦−35.3C1+341.2 ・・(2)
の関係式(2)を満たすことである(図示符号ロとハ)。
−11.2C1+111.7≦τ2≦−38.7C2+370.6 ・・・(3)
の関係式(3)を満たすこととしている(図示符号イとホ)。
従って、外側第1コイル31のねじり応力τ1(N/mm2)と外側第2コイル32のねじり応力τ2(N/mm2)は、
−22.1C1+224.3≦τ1≦−38.7C1+370.6 ・・(4)
−22.1C2+224.3≦τ2≦−38.7C2+370.6 ・・(5)
の関係式(4)(5)を満たすことが好ましい(図示符号イとハ)。
この理由は、前記範囲であれば、放射線不透過性の線材と放射線透過性の線材との異種金属を巻回して一体化した外側コイルを屈曲させた場合に、接合部での異なる曲率半径の発生を低減させて均一な円弧形状を描くことができ、さらに、接合部でのねじり溜まりを防いで、先端側への回転伝達性能の向上を図ることができるからである。
従って、外側第1コイル31のねじり応力τ1(N/mm2)と外側第2コイル32のねじり応力τ2(N/mm2)は、
−22.1C1+224.3≦τ1≦−35.3C1+341.2 ・・(6)
−22.1C2+224.3≦τ2≦−35.3C2+341.2 ・・(7)
の関係式(6)(7)を満たすことが、より好ましい(図示符号ロとハ)。
尚、密巻きコイルの初張力Fは、コイル平均径をD,コイル線の線直径をt、密巻きのねじり応力をτとすると、
F=πt3τ/(8D) ・・・(8)
の関係式(8)で表すことができる。図2は、試験品の初張力を測定し、前記関係式(8)から密巻きのねじり応力τを算出し、コイル平均径と密巻きコイルのねじり応力τとの相関関係を整理し、多くの試験結果から導き出した相関関係を図に表したものである。
一体接合する外側第1コイル31と外側第2コイル32のばね指数C1とC2は、共に2.8以上6.8以下の範囲内で、接合する部位のコイルの外側第1コイル31のコイル平均径と、外側第2コイル32のコイル平均径との差が10%以内で、外側第1コイル31のねじり応力τ1(N/mm2)と外側第2コイル32のねじり応力τ2(N/mm2)との関係は、
0.62τ2≦τ1≦1.02τ2 ・・・(9)
の関係式(9)を満たすことが好ましい。
より好ましくは、
0.65τ2≦τ1≦1.02τ2 ・・・(10)
の関係式(10)を満たすことである。
従って、ねじり応力τ1の外側第1コイル31と、ねじり応力τ1よりも大きなねじり応力τ2の外側第2コイル32とを一体接合した場合には、一般的には、外側第1コイル31のねじり応力τ1が下限の値を示し、外側第2コイル32のねじり応力τ2が上限の値を示すこととなる。
具体例として、第1実施形態の外側コイル3の外側第1コイル31のばね指数C1と外側第2コイル32のばね指数C2とは、共に4.5であることから、双方の好ましい範囲の前記関係式(4)(5)を用いると、下限値は、外側第1コイル31のねじり応力τ1である為、ばね指数C1を関係式(4)へ代入すると、外側第1コイル31のねじり応力τ1は、約124.9N/mm2となる。上限値は、外側第2コイル32のねじり応力τ2である為、ばね指数C2を関係式(5)へ代入すると、外側第2コイル32のねじり応力τ2は、約196.5N/mm2となる。
そして、外側第1コイルのねじり応力τ1(N/mm2)と外側第2コイル32のねじり応力τ2(N/mm2)とのねじり応力比(τ1/τ2)は、約0.64となり、前記関係式(9)を満たしている。
前記同様に、より好ましい範囲の前記関係式(6)(7)を用いると、外側第1コイル31のねじり応力τ1(N/mm2)と外側第2コイル32のねじり応力τ2(N/mm2)とのねじり応力比(τ1/τ2)は、約0.68となり、前記関係式(9)(10)を満たしている。
例えば、後述する第3実施形態の外側第1コイル31の径大側のねじり応力τ1が約138.6N/mm2の場合、外側第2コイル32のコイル線の引張強さを低くして、コイル線の密巻き加工時の初張力を低く制御することにより、外側第1コイル31のコイル平均径と線直径が同一の、外側第2コイル32のねじり応力τ2を135.9N/mm2にすると、ねじり応力τ1とτ2のねじり応力比(τ1/τ2)は、約1.019となり、前記関係式(9)(10)を満たしている。尚、外側第2コイル32のねじり応力τ2の135.9N/mm2も前記関係式(5)(7)を満たしている。
そして、外側第1コイル31のねじり応力τ1と外側第2コイル32のねじり応力τ2とを前記関係式(9)(10)で示す一定範囲とすることにより、屈曲変形させた場合に、一体化した接合部を境にして異なる曲率半径の発生を低減させて均一な円弧形状を描く為と、接合部の近傍でのねじり溜まりを防いで、先端側への回転伝達性能を向上させる為である。
従って、密巻きコイルの巻回成形によって発生する初張力の大小(強弱)から初張力によるねじり応力を制御することにより、異種金属の線材から成るコイルであっても初張力によるねじり応力の範囲を、前記関係式(9)(10)で示す一定範囲とすることができる。又、異種金属の線材から成るコイルを一体化して屈曲変形させた場合に、一体化した接合部を境にした異なる曲率半径の発生を低減させることができ、さらに一体化した接合部の近傍でのねじり溜まりの発生を防いで、先端側への回転伝達性能を向上させるとができる。
図3について、芯線先端部2Bは、後端側から先端側へ連接截頭円錐体26と先端細径体27から成る。連接截頭円錐体26は、長手方向の長さL2が100mm、径大外径D0が0.180mm、径小外径D2が0.125mmの第2截頭円錐体26Bと、長手方向の長さL1が50mm、第1截頭円錐体26Aからみて径大外径D2が0.125mm、径小外径D1が0.060mmの第1截頭円錐体26Aの2個の截頭円錐体から成る。
先端細径体27は、長手方向の長さL4が15mm、外径が第1截頭円錐体26Aの径小外径D1と同じで0.060mmの横断面の形状が円形である。又、外径が0.060mmの横断面が円形の形状を、押圧加工又は切削加工によりアスペクト比(長辺/短辺)が、1.676以上3.958以下の横断面が矩形としてもよい。
そして、初張力が作用する密巻きと初張力が作用しない疎巻きとを有する外側第1コイル31を、先端細径体27の外側に配置することにより、後述する別段の作用効果を発揮する。
この理由は、後端側を回転させたとき、後端側の回転角度を減少させて先端側へのねじりモーメントの増大を図り、さらに初張力が作用する外側第1コイル31と外側第2コイル32との併用により、先端側への高度の回転伝達性能の向上を図ると共に、狭窄部、及び、完全閉塞病変部での穿孔性能を向上させる為である。
従って、長手方向に押し引き操作した場合に、特に横断面積が増大した節部28の存在により、連接截頭円錐体26、260の構造のほうが単一截頭円錐体100の構造よりも耐座屈強度を向上させることができるからである。
実線は、本発明の第1実施形態の截頭円錐体が2個の場合の連接截頭円錐体26を示し、二点鎖線は、関係式を説明する為の仮想の単一截頭円錐体100を示す。尚、先端細径体27は省略している。
連接截頭円錐体26の最大外径がD0(mm)、最小外径がD1(mm)、全長がL(mm)である。又、連接截頭円錐体26の最大外径D0(mm)の横断面の中心位置から先端へ、任意の位置をX(mm)として、任意の位置X(mm)が0mmを超えてLmmを下回る関係(0<X<L)にある場合で、任意の位置X(mm)における連接截頭円錐体26の外径をDm(mm)とし、仮想の単一截頭円錐体100の外径をDx(mm)とした場合に、外径Dx(mm)は、
Dx=D0−(D0−D1)X/L ・・・(11)
の関係式(11)で表すことができる。
そして、任意の位置X(mm)における連接截頭円錐体26の外径Dm(mm)は、外径Dx(mm)よりも大きいことから(Dm>Dx)、
Dm>{D0−(D0−D1)X/L} ・・・(12)
の関係式(12)で表すことができる。
この理由は、後端側の回転角度を低減させ、先端の曲げ剛性と耐座屈強度を向上させ、先端のねじりモーメントを増大させて病変部での穿孔性能と耐疲労特性を向上させる芯線先端部2B、2Cの構造を得ることができるからである。
さらに、初張力が作用する外側第1コイル31と外側第2コイル32との併用により、先端側への高度の回転伝達性能の向上を図ると共に、狭窄部、及び完全閉塞病変部での穿孔性能を、より向上させることができるからである。
外側コイル30は、後端径大等径部311の外径B1が0.330mm、長手方向の長さが125mm、中間テーパ部312の外径が0.330mmから0.260mmへ徐変減少し、長手方向の長さが20mm、先端径小等径部313の外径B2が0.260mmで長手方向の長さが15mmである。
コイル線の線直径t1と材質は、前記第1実施形態と同様で、外側第2コイル320は放射線透過の線材で、外側第1コイル310は放射線不透過の線材であり、外側コイル30の後端径大等径部311と中間テーパ部312は密巻きで、先端径小等径部313は、前記第1実施形態の外側コイル3の外側第1コイル31と同様に、疎巻きに巻回したコイルである。尚、先端径小等径部313は、後端側が密巻きで先端側が疎巻きに巻回したコイルとしてもよい。
第3実施形態では、外側コイル30の外径比B1/B2が約1.27であり、第1截頭円錐体26Aの外径比D2/D1が約2.08であることから、第1截頭円錐体26Aの外径比D2/D1は、外側コイルの外径比B1/B2よりも大きい{(D2/D1)>(B1/B2)}。この理由は、以下である。
先端側へ先細り形状の外側コイル30とすることにより、外側コイル30内の芯線先端部2Bの細径に伴うねじり力の低下分を補完することができ、又、後端と先端の外径比D2/D1を外側コイル30の外径比B1/B2よりも大きくした第1截頭円錐体26Aを有する連接截頭円錐体26の構造とすることにより、先端側への回転伝達性能を向上させることができるからである。
さらに、後端から先端へ初張力が徐変増大する外側コイル30の中間テーパ部312は、後端から先端へコイル線間の圧縮力(密着力)が徐変増大する。
後端から先端へコイル線間の圧縮力が徐変増大する中間テーパ部312を、後端から先端へ外径が徐変減少する第1截頭円錐体26Aの外側へ配置することにより、第1截頭円錐体26Aの外径が先端側へ細径化するのに伴って、中間テーパ部312のコイル線間の圧縮力(密着力)が先端側へ高められることにより、細径の第1截頭円錐体26Aでありながら、先端側への回転伝達性能を、より補完することができるからである。
かかる場合のねじり応力τ1は、径大側から径小側へ約138.6N/mm2から約189.0N/mm2へ徐変増大する。
径大側のねじり応力τ1が約138.6N/mm2で、ばね指数C1が4.5であることから、前記関係式(4)へ代入すると、ねじり応力τ1の範囲は、約124.9N/mm2以上196.5N/mm2以下となり、前記関係式(6)へ代入すると、ねじり応力τ1の範囲は、約124.9N/mm2以上182.4N/mm2以下となり、いずれの場合も前記関係式(4)(6)を満たしている。
そして、径大側のねじり応力が約138.6N/mm2のときの初張力は、前記関係式(8)を用いると約4.35×10−2Nとなり、又径小側のねじり応力が約189.0N/mm2のときの初張力は前記関係式(8)を用いると約8.0×10−2Nとなる。
従って、第3実施形態の外側第1コイル310の中間テーパ部312は、第1截頭円錐体26Aの外径が先端側へ細径化するのに伴って、中間テーパ部312の初張力は、後端側から先端側へ約4.35×10−2Nから約8.0×10−2Nとなって、コイル線間の圧縮力(密着力)を後端側から先端側へ高めている。
中間テーパ部5Dは、中間テーパ部312の傾斜部に位置しており、外側第1コイル310と外側第2コイル320とが接合部材により一体接合されている。他は、前記第3実施形態と同様である。
内側コイル4は、芯線先端部2Bが貫挿し、接合部材等を用いて外側コイル30の先端と内側コイル4の先端と芯線先端部2Bの先端とを接合して先丸形状の先端接合部5Aを形成し、内側コイル4の後端と芯線先端部2Bとを接合して内側コイル後端接合部5Cを形成する。中間接合部5Eは、内側コイル4と外側コイル30と芯線先端部2Bとを一体接合している。尚、中間接合部5Eは、内側コイル4と芯線先端部2Bとの接合、又は、内側コイル4と外側コイル30との接合としてもよい。
内側コイル4のコイル線は、前記外側第1コイル31のコイル線と同様に放射線不透過の線材を用いてもよいが、前記外側第2コイル32のコイル線のオーステナイト系ステンレス鋼から成る放射線透過性の線材が好ましい。この理由は、オーステナイト系ステンレス鋼の線材のほうが白金とニッケルの合金線よりも横弾性係数が高く、ねじり応力を高く設定することができるからである。
第1截頭円錐体26Aの外側に、内側コイルの密巻きの中間テーパ部412と外側第1コイル310の密巻きの中間テーパ部312とを共に配置する。
そして、第1截頭円錐体26Aの外径が、後端側から先端側へ徐変減少するのに伴って、外側第1コイル310の中間テーパ部312の密巻きの初張力と内側コイル4の密巻きの中間テーパ部412の初張力とが共に後端側から先端側へ徐変増大する。
これにより、後端から先端へ徐変増大する外側コイル30の中間テーパ部312と内側コイル4の中間テーパ部412は、後端から先端へコイル線間の密着力(圧縮力)が徐変増大する。
そして、後端から先端へコイル線間の密着力(圧縮力)が徐変増大する2つの中間テーパ部312、412を、後端から先端へ外径が徐変減少する第1截頭円錐体26Aの外側へ配置することにより、第1截頭円錐体26Aの外径が先端側へ細径化するのに伴って、2つの中間テーパ部312、412のコイル線間の密着力(圧縮力)が先端側へ高められることとなり、細径の第1截頭円錐体26Aでありながら先端側への回転伝達性能の向上を、高めた初張力を用いてさらに補完することができる。
(D2/D1)>(A1/A2)>(B1/B2)・・・(13)
の関係式(13)を満たす。
このように関係式(13)を満たすこととする理由は、先細り形状の、内側コイル4と外側コイル30との併用により、内側コイル4内の芯線先端部2Bの第1截頭円錐体26Aの、細径に伴うねじり力の低下分を、より補完することができるからである。
そして、第1截頭円錐体26Aの外径比D2/D1を最も大きくすることにより、細径の第1截頭円錐体26Aでありながら先端側へのねじりモーメント増大を図ることができる。
さらに、外側コイル30と内側コイル4の密巻き中間テーパ部312、412は、後端から先端への初張力を増大させ、後端から先端へコイル線間の圧縮力(密着力)を徐変増大させる。後端から先端へコイル線間の圧縮力(密着力)を徐変増大させた中間テーパ部312、412を第1截頭円錐体26Aの外側に配置することにより、先端側へのねじりモーメントを増大させて、閉塞部、及び完全閉塞病変部での穿孔性能を飛躍的に向上させることができる。
つまり、近年の手技において、特開2012−5724号公報に記載されているように、病変部の入口部へ迅速にガイドワイヤを到達させる為、先端部を意図的にU字形状に屈曲させる手技がある。
かかる場合において、本発明は、第1截頭円錐体26Aが先端側へ徐変縮径する構造であり、第1截頭円錐体26Aの外側のコイルは先端側へ徐変増大する初張力を備えている構造である。又、先端細径体27の外側のコイルは初張力が作用しない疎巻き構造である。
先端側へ細径化する第1截頭円錐体26Aの構造と、先端側へ初張力が徐変増大する外側コイル構造と、初張力が作用しない先端細径体27の外側コイル構造との併用により、細径化と初張力が増大する第1截頭円錐体26Aの先端と、外側のコイルの初張力が働かない先端細径体27の後端の境界部近傍では、応力が集中する為にU字形状に屈曲させ易く、この結果、病変部の入口部へ迅速に到達できる別段の作用効果を発揮する。
つまり、
後端側から先端側へ徐変縮径する部分を有する芯線の芯線先端部を外側コイルへ貫挿し、芯線先端部は、後端側から先端側へ徐変縮径する少なくとも1個の截頭円錐体を有し、
前記外側コイルは、先端側が放射線不透過性の線材を螺旋状に巻回した外側第1コイルと、後端側が放射線透過性の線材を螺旋状に巻回した外側第2コイルから成り、
前記外側第1コイルの先端と前記芯線先端部の先端とを接合して先端接合部とし、
前記外側第2コイルの後端と前記芯線先端部の後端とを接合して外側第2コイル後端接合部とした医療用ガイドワイヤであって、
前記外側第1コイルは、白金とニッケルの合金から成る放射線不透過性の線材を、後端側が密巻きで先端側が疎巻きに巻回し、
前記外側第2コイルは、ステンレス鋼から成る放射線透過性の線材を密巻きに巻回し、
前記外側第1コイルと前記外側第2コイルは、ばね指数が2.8以上6.8以下で、前記外側第1コイルの密巻きの初張力によるねじり応力をτ1とし、前記外側第2コイルの密巻きの初張力によるねじり応力をτ2とした場合に、前記外側第1コイルのねじり応力τ1は、
0.62τ2≦τ1≦1.02τ2
の関係式を満たし、前記芯線先端部の外側に、初張力が作用する前記外側第1コイルの密巻きと前記外側第2コイルの密巻きとを備えたことを特徴とする。
又、前記截頭円錐体の径大外径D2と径小外径D1との外径比D2/D1は、外側コイルの外径比B1/B2よりも大きい{(D2/D1)>(B1/B2)}。
そして又、前記截頭円錐体の外径比D2/D1と外側コイルの外径比B1/B2と内側コイルの外径比A1/A2とは、(D2/D1)>(A1/A2)>(B1>B2)の関係式を満たすことを特徴とする。
又、前記第2〜4実施形態に相当するガイドワイヤについても前記同様であり、前記第2〜4実施形態に相当する他の実施形態のガイドワイヤの図面は省略している。
この理由は、異種金属の接合部を有する外側コイル3を屈曲変形させた場合に、接合部でのねじり溜まりを防いで、先端側への回転伝達性能の向上を図る為である。
又、第1截頭円錐体26Aの外側に、先細り形状の外側コイル3の中間テーパ部312を配置し、第1截頭円錐体26Aの外径が、後端から先端へ徐変減少するのに伴って、外側コイル3の中間テーパ部312の密巻きの初張力が、後端から先端へ徐変増大する。
この理由は、第1截頭円錐体26Aの外径が先端側へ細径化するのに伴って、中間テーパ部312のコイル線間の密着力(圧縮力)が先端側へ高められることとなり、細径の第1截頭円錐体でありながら、先端側への回転伝達性能の向上を、コイルに作用する初張力により、より補完することができるからである。
又、第1截頭円錐体26Aの外径比(D2/D1)は、外側コイル3の外径比(B1/B2)よりも大きい{(D1/D2)/(B1/B2)}。
この理由は、細径の芯線先端部2Dでありながら先端の第1截頭円錐体26Aの外径比を高めることにより、先端側へのねじりモーメントの増大を図り、先細り形状の外側コイル3との併用により、先端側への回転伝達性をより高めることができるからである。
又、第1截頭円錐体26Aの外径が、後端側から先端側へ徐変減少するのに伴って、外側第1コイル31の中間テーパ部312の密巻きの初張力と内側コイル4の密巻きの中間テーパ部412の初張力とが共に、後端側から先端側へ徐変増大する。
この理由は、第1截頭円錐体26Aの外径が先端側へ細径化するのに伴って、2つの中間テーパ部312、412のコイル線間の密着力(圧縮力)が先端側へ高められることとなり、細径の第1截頭円錐体26Aでありながら先端側への回転伝達性能の向上を、2つの中間テーパ312、412に作用する初張力によってさらに補完することができるからである。
2 芯線
2A 芯線後端部
2B、2C、2D 芯線先端部
3、30 外側コイル
31、310 外側第1コイル
32、320 外側第2コイル
5A 先端接合部
5B 外側コイル後端接合部
5C 内側コイル後端接合部
26、260 連接截頭円錐体
26A 第1截頭円錐体
26B 第2截頭円錐体
26C 第3截頭円錐体
Claims (4)
- 後端側から先端側へ徐変縮径する部分を有する芯線の芯線先端部を外側コイルへ貫挿し、
前記外側コイルは、先端側が放射線不透過性の線材を螺旋状に巻回した外側第1コイルと、後端側が放射線透過性の線材を螺旋状に巻回した外側第2コイルから成り、
前記外側第1コイルの先端と前記芯線先端部の先端とを接合して先端接合部とし、
前記外側第2コイルの後端と前記芯線先端部の後端とを接合して外側第2コイル後端接合部とした医療用ガイドワイヤであって、
前記芯線先端部は、先端側から後端側へ先端細径体と第1截頭円錐体を有し、前記第1截頭円錐体は、外径が後端から先端へ徐変減少し、
前記外側第1コイルは、白金とニッケルの合金から成る放射線不透過性の線材を、後端側が密巻きで先端側が疎巻きに巻回し、
前記外側第2コイルは、ステンレス鋼から成る放射線透過性の線材を密巻きに巻回し、
前記外側第1コイルと前記外側第2コイルは、ばね指数が2.8以上6.8以下で、前記外側第1コイルの密巻きの初張力によるねじり応力をτ1とし、前記外側第2コイルの密巻きの初張力によるねじり応力をτ2とした場合に、前記外側第1コイルのねじり応力τ1は、
0.62τ2≦τ1≦1.02τ2
の関係式を満たし、
前記芯線先端部の外側に、初張力が作用する前記外側第1コイルの密巻きと前記外側第2コイルの密巻きとを備えたことを特徴とする医療用ガイドワイヤ。 - 前記外側コイルは、後端側から先端側へ向かって後端径大等径部と中間テーパ部と先端径小部を備え、後端径大等径部と中間テーパ部は密巻きで、先端径小等径部は先端側に疎巻きを有し、
後端径大等径部の前記外側第2コイルと、中間テーパ部と先端径小等径部との前記外側第1コイルから成り、又は、
後端径大等径部と中間テーパ部の後端側との前記外側第2コイルと、中間テーパ部の先端側と先端径小等径部との前記外側第1コイルから成り、
前記第1截頭円錐体の外側に、前記外側コイルの中間テーパ部を配置し、
前記第1截頭円錐体の外径が、後端から先端へ徐変減少するのに伴って、前記外側コイルの中間テーパ部の密巻きの初張力が、後端から先端へ徐変増大したことを特徴とする請求項1記載の医療用ガイドワイヤ。 - 請求項2記載の医療用ガイドワイヤであって、
前記外側コイルの後端径大等径部の外径をB1、先端径小等径部の外径をB2、前記第1截頭円錐体の後端の径大外径をD2、先端の径小外径をD1とした場合に、
前記第1截頭円錐体の径大外径D2と径小外径D1との外径比(D2/D1)は、前記外側コイルの外径比(B1/B2)よりも大きい{(D2/D1)>(B1/B2)}ことを特徴とする医療用ガイドワイヤ。 - 後端側から先端側へ向かって後端径大等径部と中間テーパ部と先端径小等径部とを備えた内側コイルを、前記芯線先端部の外側で前記外側コイルの内側に、前記外側コイルよりも長手方向の長さが短く同心状に配置して、
前記外側コイルの先端と前記内側コイルの先端径小等径部の先端と前記芯線先端部の先端とを接合して先端接合部とし、前記内側コイルの後端径大等径部の後端と前記芯線先端部とを接合して内側コイル後端接合部とした請求項2〜3のいずれか一つに記載の医療用ガイドワイヤであって、
前記内側コイルは、ステンレス鋼から成る放射線透過性の線材を用いて、後端径大等径部と中間テーパ部は密巻きで、先端径小等径部の先端側が疎巻きに巻回し、
前記第1截頭円錐体の外側に、前記内側コイルの中間テーパ部と前記外側コイルの中間テーパ部とを配置し、
前記第1截頭円錐体の外径が、後端側から先端側へ徐変減少するのに伴って、前記外側第1コイルの中間テーパ部の密巻きの初張力と前記内側コイルの中間テーパ部の初張力とが共に、後端側から先端側へ徐変増大したことを特徴とする医療用ガイドワイヤ。
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