JP2016221030A - 加飾成形体およびその製法 - Google Patents

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Abstract

【課題】あたかも透明な立体片が埋め込まれて模様の一部になっているかのように見え、しかもその模様が耐久性に優れている加飾成形体およびその製法を提供する。【解決手段】蓋板8の透明層8aの一方の面に、不透明な着色層8bが形成され、その着色層8bの一部がレーザ照射によって溶融除去されて凹状透かし模様Pが形成されている。そして、上記透明層8aの他方の面に、その他方の面側から見て、上記凹状透かし模様Pを構成する少なくとも一部の透かし部分と略重なる形状の厚盛部9が、透明インクによって形成されており、上記厚盛部9が形成された透明層8aを通して、上記透明層8aの反対側の面の、凹状透かし模様Pが形成された着色層8bが視認可能になっている。【選択図】図2

Description

本発明は、樹脂成形面に、あたかも透明な立体片が埋め込まれて模様の一部になっているかのように見える加飾成形体およびその製法に関するものである。
化粧料を収容したコンパクト容器や口紅容器等には、単に機能性だけでなく、見栄えがよい、商品イメージを反映したデザインである、といった意匠性も要求される。このため、容器表面に、奇抜なデザインの着色模様を付与したり、緻密な凹凸模様を付与したりして、アイキャッチ効果を高め、他社商品との差別化を図ることが重要な課題となっている。
ところで、最近、例えば図8に示すように、基材31上に印刷された文字や模様32の上に、紫外線(UV)硬化型透明インク33を厚肉に盛り上げて硬化することにより、文字等32を強調するようにしたもの(特許文献1)や、図9に示すように、基材31上に離形剤34を特定の印刷パターンで印刷し、離形剤34が印刷されていない部分に樹脂インク35を厚盛印刷することにより、厚盛印刷部分の輪郭を鮮明にして、そのレンズ効果を高めたもの(特許文献2)が提案されている。
実開昭62−116873号公報 特開2002−205452号公報
そこで、化粧料容器等の加飾成形体においても、表面に着色模様を付与し、その上に厚盛印刷を重ねることにより、着色模様を立体的に見せて、その印象を強調することが検討されているが、着色模様を構成する部分の材質によっては、厚盛印刷の透明樹脂と、その下の着色部分とが充分に接着一体化しない場合がある。このため、繰り返し手で触れたり他の容器と一緒にバッグに入れて携帯したりする化粧料容器に、上記厚盛印刷技術をそのまま適用して加飾を施すことには、問題があることが判明した。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、樹脂成形面に、あたかも透明な立体片が埋め込まれて模様の一部になっているかのように見え、しかもその模様が耐久性に優れている加飾成形体およびその製法の提供を、その目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、透明部材からなる透明層を有し、上記透明層の一方の面に、不透明な着色層が形成され、その着色層の一部がレーザ照射によって溶融除去され透明層が露出して凹状透かし模様が形成され、上記透明層の他方の面に、その他方の面側から見て、上記凹状透かし模様を構成する少なくとも一部の透かし部分と略重なる形状の厚盛部が、透明インクによって形成されており、上記厚盛部と透明層を通して、上記凹状透かし模様が形成された着色層が視認可能になっている加飾成形体を第1の要旨とする。
また、本発明は、そのなかでも、特に、上記不透明な着色層がインクジェット印刷による着色インク層によって構成されている加飾成形体を第2の要旨とし、それらのなかでも、特に、上記凹状透かし模様において、その少なくとも一部の、厚盛部と略重なる透かし部分が、浅い面状の溶融除去部と、その面状の溶融除去部より深い、輪郭線もしくは稜線となる線状の溶融除去部とで構成されている加飾成形体を第3の要旨とする。
そして、本発明は、上記第1の要旨である加飾成形体を製造する方法であって、透明部材からなる透明層を有する成形体を準備する工程と、上記透明層の一方の面に不透明な着色層を形成する工程と、上記着色層にレーザ照射を行うことにより、着色層の一部を溶融除去してその溶融除去跡から透明層を露出させて凹状透かし模様を形成する工程と、上記透明層の他方の面に、その他方の面側からみて、上記凹状透かし模様を構成する少なくとも一部の透かし部分と略重なる形状の厚盛部を、透明インクによって形成する工程とを備え、上記厚盛部と透明層を通して、上記凹状透かし模様が形成された着色層が視認されるようにした加飾成形体の製法を第4の要旨とする。
また、本発明は、そのなかでも、特に、上記不透明な着色層を形成する工程が、透明層の所定面に、インクジェット印刷によって着色インク層を形成する工程である加飾成形体の製法を第5の要旨とし、それらのなかでも、特に、上記レーザ照射により透かし模様を形成する工程において、その透かし模様の少なくとも一部の、厚盛部と略重なる透かし部分を形成するための領域を面状に浅く溶融除去し、その透かし部分の輪郭線もしく稜線となる部分を、上記面状の溶融除去部より深く線状に除去するようにした加飾成形体の製法を第6の要旨とする。
本発明は、透明層の一方の面(裏面)に、不透明な着色層を形成し、さらにその着色層にレーザ照射を行い、部分的に着色層を除去するだけでなく、着色層が形成された、透明層の裏面も凹状に除去して、凹状透かし模様を形成したものである。そして、透明層の他方の面(表面)に、その他方の面から透明層を通して見える裏面側の凹状透かし模様の透かし部分と略重なる形状の、透明インクによる厚盛部を形成している。したがって、この構成によれば、透明層の厚み分だけ離れた裏面側にある凹状透かし模様の透かし部分に対し、その透かし部分の形状と略重なる厚盛部が表面側に形成されており、この厚盛部のレンズ効果によって、透明層の裏面側にある透かし部分の凹み面が、表面側の厚盛部において盛り上がっているかのように見えて、その部分に、あたかも透明な立体片を埋め込んで細工したかのような、不思議な印象を与えるものとなる。
しかも、上記厚盛部は、直接不透明な着色層と接しておらず、透明層の樹脂面と接しているため、着色層の材料との接着性に左右されることなく、透明層の樹脂面と強固に接着一体化する。したがって、透明層の表面から厚盛部が部分的に剥がれたり脱落したりすることがなく、長期にわたって、その美麗な外観が維持されるという利点を有する。
そして、本発明の加飾成形体のなかでも、特に、上記不透明な着色層がインクジェット印刷による着色インク層によって構成されているものは、凹状透かし模様を付与する際の「地」の部分が、着色インク層によって構成されるため、微細な模様やグラデーションのある模様等、様々な色合いやデザインの図柄が鮮明に形成され、非常に美麗な外観となる、という利点を有する。
また、本発明の加飾成形体のなかでも、特に、上記凹状透かし模様において、その少なくとも一部の透かし部分が、浅い面状の溶融除去部と、その面状の溶融除去部より深い、輪郭線もしくは稜線となる線状の溶融除去部とで構成されているものは、凹状透かし模様の透かし部分に、輪郭線や稜線が加えられることによって、その部分の立体感が強調されるため、厚盛部におけるレンズ効果と相俟って、その厚盛部と重なって見える透かし部分が、例えば結晶のような、より美麗な立体片を埋め込んでいるかのように見えて、一層強い印象を与えるものとなる。
そして、本発明の加飾成形体の製法によれば、上記加飾成形体を、効率よく製造することができる。
特に、本発明の製法では、凹状透かし模様の形成を、レーザ照射によって行うため、その少なくとも一部の透かし部分と略重なる形状の厚盛部を形成する際、上記レーザ照射時の加工データを、厚盛印刷の加工データに利用することができる。したがって、透かし部分に対し、殆どずれを生じることなく、これと重なる配置で厚盛部を形成することができるため、厚盛部によるレンズ効果によって透かし部分を立体的に見せる効果が、互いのずれによって曖昧になるようなことがなく、その部分を鮮明に見せることができ、強い印象を与えることができる。
本発明の一実施の形態を示す斜視図である。 図1のX−X′断面図である。 上記実施の形態における蓋体の分解斜視図である。 (a)は上記蓋体に用いられる蓋板の製造方法の説明図、(b)はその蓋板の平面図である。 (a)は上記蓋板の製造方法の説明図、(b)はその蓋板の平面図である。 (a)は上記蓋板の製造方法の説明図、(b)はその蓋板の平面図である。 (a)、(b)はともに上記蓋板の製造方法の変形例の説明図、(c)、(d)はともに上記製造方法の変形例によって得られる凹状透かし模様の説明図である。 従来技術の一例を示す説明図である。 従来技術の他の例を示す説明図である。
つぎに、本発明を実施するための形態について説明する。ただし、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施の形態であるコンパクト容器の斜視図であり、図2は、そのX−X′断面図である。すなわち、このコンパクト容器は、本体部1の内側の、向かって左側に設けられた凹部2に、ファンデーション等の化粧料が収容保持され、向かって右側に設けられた凹部3に、化粧料を肌に塗布するためのパフが収容保持されるようになっている。
そして、上記本体部1の後端部には、本体部1の上部開口を蓋する蓋体4が、本体部1とのヒンジ連結(図示せず)によって回動自在に取り付けられており、図1において鎖線で示すように、上方に開くようになっている。なお、蓋体4の内側面には、鏡5が貼着されている。
上記蓋体4は、その分解斜視図である図3に示すように、後端部にヒンジ部6aが突設された蓋枠体6と、その上面に嵌合一体化される蓋板8と、その間に挟み込まれる金属光沢シート7とで構成されている。そして、上記蓋板8は、透明アクリル樹脂成形体からなる透明層8aをベースとし、その裏面に、不透明な着色層8bが形成されている。上記着色層8bは部分的に除去され、さらに、その除去部分における透明層8aの裏面が凹状に除去されて、比較的小さい5個の六角形と3個の十字形が散らばった凹状透かし模様Pが形成されている。なお、図1および図3において、透明層8aの表面側から透けて見える、不透明な着色層8bが形成されている部分を、粗い斜線で示す。
そして、透明層8aの表面側において、透けて見える上記凹状透かし模様Pのうち、一部の透かし部分[この例では、比較的小さい2個の六角形と3個の十字形、図6(b)において細かい斜線を付した部分を参照]に重なるように、その上に透明インクからなる厚盛部9が設けられている。
この蓋体4を、上から見たり斜めから見たりすると、上記厚盛部9が形成された部分において、その下に重なる、透明層8aを隔てた裏面側の凹状透かし模様Pの透かし部分が、厚盛部9のレンズ効果によって、透明層8aの表面側に突出しているかのように見え、しかもその透かし部分と厚盛部9の輪郭部分が互いに重なって一致しているため、そこで仕切りがあるかのような陰影が生じて、この部分に、あたかも六角形や十字形に切り取った透明なガラス片を埋め込んだかのように見える。したがって、非常に意匠を凝らした細工物のような印象となり、アイキャッチ効果が高いものになる。
しかも、この表面側から見える模様は、厚盛部9を除けば、透明層8aを通して見える、裏面側に形成された凹状透かし模様Pと着色層8bによるものであり、その模様が剥げたり欠けたりすることがない。また、上記厚盛部9も、直接着色層8bに重ねたものではなく、透明層8aの樹脂面に強固に接着した状態で形成されているため、この厚盛部9が脱落することもない。したがって、上記の、印象的な表面模様は、長期にわたって耐久性を有し、携帯品として持ち歩いても、その外観が損なわれることがない。
上記蓋体4に用いられる蓋板8は、例えばつぎのようにして得ることができる。すなわち、まず、蓋板8となる透明層8aを賦形するための金型を用意し、透明層8aの形成材料である透明アクリル樹脂材料を射出成形することにより、図4(a)に示すように、所定形状が付与された透明層8aを得ることができる。そして、上記透明層8aの裏面に、インクジェット印刷によって、所望の図柄を有する不透明な着色層8bを形成する。この着色層8bを、透明層8aを透かして表面側から見ると、図4(b)に示すように、地色となる白色の部分(図において横縞模様で示す)に、赤〜黄色のグラデーションのついた色調の、大きさの異なる六角形模様(図において縦縞模様で示す)が、ランダムに配置された模様になっている。
つぎに、図5(a)に示すように、この着色層8bのうち、凹状透かし模様Pをつくろうとする部分[この例では、比較的小さい六角形が5個、星のきらめきのような十字形が3個、ランダムに散らばった模様となる部分、図5(b)を参照]に、COレーザを照射し、この部分の着色層8bを除去加工し、さらにその下(図では上)の透明層8aの裏面部分も凹状に除去加工することにより、所望の凹状透かし模様Pを形成する。この凹状透かし模様Pが形成された状態を、透明層8aを透かして表面側から見ると、図5(b)に示すようになる。このとき、上記凹状透かし模様Pの透けた部分は、COレーザの照射跡によって、やや荒れてざらついた粗面となる。
つぎに、図6(a)に示すように、上記透明層8aの、凹状透かし模様Pが形成された面と反対側、すなわち表面側の、上記凹状透かし模様Pに対峙する部分のうち、特定の透かし部分(この例では、比較的小さい2個の六角形と、3個の十字形)に対して、その透かし部分の略全面に重なる形状の厚盛部9を、透明インクを用いた厚盛印刷によって形成する。この厚盛部9が形成された部分(図において細かい斜線で示す)を上から見た状態を図6(b)に示す。
このようにして、透明層8aの裏面側に着色層8bと凹状透かし模様Pとが形成され、表面側に厚盛部9が形成された蓋板8を得ることができる。そして、この蓋板8を、上面に金属光沢シート7が載置された蓋枠体6上に重ねて嵌合することにより、図1に示すコンパクト容器の蓋体4を得ることができる。
上記製法によれば、凹状透かし模様Pの形成を、レーザ照射によって行うため、その少なくとも一部の透かし部分と略重なる形状の厚盛部9を形成する際、上記レーザ照射時の加工データを、厚盛印刷の加工データに利用することができる。したがって、透かし部分に対し、殆どずれを生じることなく、これに重なる配置で厚盛部9を形成することができるため、厚盛部9によるレンズ効果によって透かし部分を立体的に見せる効果が、互いのずれによって曖昧にならず、その部分をくっきりした立体片のように見せることができ、強い印象を与えることができる。
なお、上記の例では、厚盛部9が完全に、その下の透かし部分の輪郭を覆うように、やや大きめに厚盛部9を形成しているが、必ずしも厚盛部9を透かし部分より大きめに設定する必要はなく、視覚的な効果の上では、できるだけ両者の輪郭線が重なるようにすることが好ましい。
また、上記の例において、蓋板8の透明層8aを構成する透明部材は、従来から容器等の成形品に用いられる透明部材であれば、どのようなものであってもよく、アクリル樹脂の他、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)等があげられる。なかでも、硬さと透明性の点で、アクリル樹脂、PET樹脂が好適である。そして、上記透明層8aは、厚盛部9が形成された面と反対側の面に形成された着色層8bと凹状透かし模様Pとを、その反対側から透かして見せるために透明でなければならないが、必ずしも無色である必要はなく、多少着色されていても、反対側が透けて見えていれば問題ない。以下に述べる「透明」も、特に断らない限り、着色の有無を問わず、その反対側が透けて見える程度に透明であればよい。
そして、上記透明層8aの厚みは、この加飾成形体の用途や要求される強度等に応じて、適宜に設定されるが、例えば、上記の例のように、コンパクト容器の蓋体4に用いる場合、0.5〜5mmに設定することが好適である。すなわち、上記透明層8aの厚みが厚すぎると、加飾成形体全体が嵩張って好ましくないとともに、透明層8aの裏面側に設けられる着色層8bおよび凹状透かし模様Pと、表面側の厚盛部9との距離が大きくなりすぎて、厚盛部9のレンズ効果による凹状透かし模様Pの立体的な浮き上がり方が弱くなり、透明な立体片を埋め込んだかのような印象が弱くなるおそれがあるからである。また、透明層8aの厚みが薄すぎると、この透明層8aに形成する凹状透かし模様Pの凹部の深さが浅くならざるを得ず、やはり見え方の印象が弱くなるおそれがあり、好ましくない。
一方、上記透明層8aの裏面に形成される不透明な着色層8bは、上記の例では、インクジェット印刷による着色インク層であるが、これに限るものではなく、予め色や色模様が付与された着色層が形成された転写シートを転写して得られるものや、蒸着、スパッタリング、メッキ、ホットスタンプ、コーティング、貼付等によって得られる各種の着色層を用いることができる。ただし、上記の例のように、着色層8bを、インクジェット印刷によって形成すると、目的とするデザインに応じた色(単色)や色模様を、簡単な設定で迅速に形成することができ、好適である。
そして、上記着色層8bは、透明層8aとの対比から、不透明な着色層でなければならない。なお、「不透明」とは、上記着色層8bに凹状透かし模様Pを形成したとき、その透かし部分をそれ以外の部分から区別して認識できる程度に透明でないことをいい、必ずしも完全に不透明である必要はない。
上記着色層8bの厚みは、その材質や全体の大きさにもよるが、例えば、上記の例のように、コンパクトタイプの化粧料容器の蓋体4に用いる場合、0.04〜50μmに設定することが好適である。すなわち、上記着色層8bの厚みが薄すぎると、層を均一に形成することが容易でなく、逆に厚すぎると、加飾成形体全体が嵩高くなるとともに、この着色層8bに、レーザ照射して凹状透かし模様Pを形成する際、加工に時間を要し、好ましくない。
また、上記着色層8bに凹状透かし模様Pを形成する方法としては、上記の例のように、凹状透かし模様Pを得ようとする部分にCOレーザを照射して、その部分の着色層8bと透明層8aの裏面を部分的に除去することが好適であるが、COレーザ以外に、YAGレーザ、YVOレーザ等を用いることもできる。YAGレーザ、YVOレーザを用いた場合、溶融除去した樹脂面が、荒れた粗面にはならないため、上記の例のようにCOレーザを用いた場合とやや見た印象が異なるものとなる。
なお、上記レーザ照射による凹状透かし模様Pの凹部の深さは、着色層8bおよび透明層8aの厚みや加飾成形体全体の大きさにもよるが、例えば、上記の例のように、コンパクトタイプの化粧料容器の蓋体4に用いる場合、透明層8aに対する深さ(図5(a)においてDで示す)は、10〜300μmとなるよう設定することが好適である。すなわち、上記範囲よりも凹部が浅すぎると、厚盛部9を通して見ても、その印象が弱くなるおそれがあり、逆に、凹部が深すぎても、厚盛部9によるレンズ効果とのバランスがとれず、その部分が立体片を埋め込んだようには見えにくくなるおそれがあるからである。
また、上記凹状透かし模様Pを形成する際、例えば図7(a)に示すように、レーザ照射によって、目的とする模様形状の部分(この例では、十字形や六角形)全体の領域を、面状に浅く溶融除去するとともに、図7(b)に示すように、その透かし部分の輪郭線もしくは稜線となる部分を、面状に浅く溶融除去する部分よりも深く、線状に溶融除去するようにすると、厚盛部9を通して見える部分が、よりシャープな陰影を有するものとなり、好適である。ちなみに、凹状透かし模様Pのうち、十字形の透かし部分に輪郭線や稜線を入れると、図7(a)に示すように、この部分が、カットグラスのような輝きとなり、厚盛部9を通して見える部分が、カットグラスを埋め込んでいるかのように見える。また、六角形の透かし部分に輪郭線や稜線を入れると、図7(b)に示すように、この部分が水晶の結晶のように見え、厚盛部9を通して見える部分が、水晶の結晶を埋め込んでいるかのように見える。なお、上記透かし模様Pを面状に浅く溶融除去する加工と、その輪郭線や稜線となる部分を線状に深く溶融除去する加工とは、レーザの出力を調整しながら一回の加工動作で行うことができるが、それぞれの加工を別々に行っても差し支えない。
そして、上記着色層8bおよび凹状透かし模様Pの反対側の面、すなわち透明層8aの表面側に形成される厚盛部9は、厚盛用の透明インクを、スクリーン印刷等によって厚盛印刷することによって得ることができる。上記透明インクとしては、例えば、アクリレート系、メタクリレート系、不飽和ポリエステル系等のUV硬化型透明インク、アクリレート系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型透明インク等があげられる。とりわけ、UV硬化型透明インクを用いると、簡単かつ効率よく厚盛部9を得ることができ、好適である。
上記厚盛部9の厚み(図2においてHで示す)も、透明層8aの厚みや加飾成形体全体の大きさによって適宜に設定されるが、上記コンパクトタイプの化粧料容器の蓋体4として用いる場合、その厚みは、70〜200μmに設定することが好適である。すなわち、上記厚みHが厚すぎると、凹状透かし模様Pの部分が突出しすぎて見栄えが悪くなったり、突出先端に傷がついて美麗な外観が損なわれたりするおそれがあり、逆に、上記厚みHが薄すぎると、厚盛部9によるレンズ効果が不充分となり凹状透かし模様Pの凹部を立体片のように浮き立たせて見せる効果が乏しくなって、印象が弱くなるおそれがあるからである。
また、上記の例では、蓋板8と蓋枠体6とを組み合わせた構成において、金属光沢シート7を挟み込むようにしているが、蓋板8の裏面側の構成は、特に限定されない。例えば、上記金属光沢シート7に代えて、所望の色に着色したものや、マーブル調、幾何模様等の図柄が印刷されたシートを挟み込むようにしてもよいし、転写シートを用い、転写層を、蓋板8の裏面、すなわち着色層8bの裏面に直接形成してもよい。あるいは、上記転写層を、蓋枠体6の上面に形成してもよい。もちろん、このようなシートや転写層を必ずしも設ける必要はなく、上記蓋枠体6の上面部を、そのまま蓋板8に重ねてもよい。あるいは、蓋体4が単体で構成されたコンパクト容器において、その蓋体4そのものが、上記の例における蓋板8と同様の構成を有するものであっても差し支えない。
なお、これらの例は、本発明をコンパクト容器に適用したものであるが、本発明を適用する成形体は、容器に限らず、各種の樹脂成形体、あるいは樹脂成形体に他の部材を組み合わせた成形体等、特に限定するものではない。例えば、携帯電話、文房具、家電製品、各種ケース等に広く適用することができる。
本発明は、あたかも透明な立体片を埋め込んだかのような興趣に富む外観を備え、しかもその模様が耐久性に優れ、長期にわたってその外観を維持することのできる加飾成形体およびその製法に利用することができる。
4 蓋体
8 蓋板
8a 透明層
8b 着色層
9 厚盛部
P 凹状透かし模様

Claims (6)

  1. 透明部材からなる透明層を有し、上記透明層の一方の面に、不透明な着色層が形成され、その着色層の一部がレーザ照射によって溶融除去され透明層が露出して凹状透かし模様が形成され、上記透明層の他方の面に、その他方の面側から見て、上記凹状透かし模様を構成する少なくとも一部の透かし部分と略重なる形状の厚盛部が、透明インクによって形成されており、上記厚盛部と透明層を通して、上記凹状透かし模様が形成された着色層が視認可能になっていることを特徴とする加飾成形体。
  2. 上記不透明な着色層がインクジェット印刷による着色インク層によって構成されている請求項1記載の加飾成形体。
  3. 上記凹状透かし模様において、その少なくとも一部の、厚盛部と略重なる透かし部分が、浅い面状の溶融除去部と、その面状の溶融除去部より深い、輪郭線もしくは稜線となる線状の溶融除去部とで構成されている請求項1または2記載の加飾成形体。
  4. 請求項1記載の加飾成形体を製造する方法であって、透明部材からなる透明層を有する成形体を準備する工程と、上記透明層の一方の面に不透明な着色層を形成する工程と、上記着色層にレーザ照射を行うことにより、着色層の一部を溶融除去してその溶融除去跡から透明層を露出させて凹状透かし模様を形成する工程と、上記透明層の他方の面に、その他方の面側からみて、上記凹状透かし模様を構成する少なくとも一部の透かし部分と略重なる形状の厚盛部を、透明インクによって形成する工程とを備え、上記厚盛部と透明層を通して、上記凹状透かし模様が形成された着色層が視認されるようにしたことを特徴とする加飾成形体の製法。
  5. 上記不透明な着色層を形成する工程が、透明層の所定面に、インクジェット印刷によって着色インク層を形成する工程である請求項4記載の加飾成形体の製法。
  6. 上記レーザ照射により透かし模様を形成する工程において、その透かし模様の少なくとも一部の、厚盛部と略重なる透かし部分を形成するための領域を面状に浅く溶融除去し、その透かし部分の輪郭線もしく稜線となる部分を、上記面状の溶融除去部より深く線状に除去するようにした請求項4または5記載の加飾成形体の製法。
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