JP6364267B2 - 加飾成形体およびその製法 - Google Patents

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本発明は、成形面に、見る角度によって全く異なる印象を与えるように変化する、興趣に富む加飾成形体およびその製法に関するものである。
化粧料を収容したコンパクト容器や口紅容器等には、単に機能性だけでなく、見栄えがよい、商品イメージを反映したデザインである、といった意匠性も要求される。このため、容器表面に、奇抜なデザインの着色模様を付与したり、緻密な凹凸模様を付与したりして、アイキャッチ効果を高め、他社商品との差別化を図ることが重要な課題となっている。
このような、意匠性に優れたデザインを付与した成形体の一つとして、例えば、図10(a)に示すように、透明なプラスチック板50の表面に、多数の凹凸状の平行線を形成した小区画を、互いの線の向きが異なるように組み合わせた微細凹凸層51を形成し、裏面側に設けられた色模様52〔図10(b)を参照〕を、モザイク調に見せるようにした表示体があげられる(下記の特許文献1を参照)。上記微細凹凸層51は、その断面を拡大して模式的に示す図10(b)に示すように、平行線を構成する各線51aが、スクリーン印刷等によって、透明樹脂を凸状に盛り上げることによって形成されている。
上記表示体によれば、微細凹凸層51において、平行線を横切る方向に光が当たると、この部分で光が多く反射するため、その小区画が白っぽく見え、平行線に沿う方向に光が当たると、光の反射が少ないため、その小区画が暗く見える。したがって、見る角度によって、上記微細凹凸層51を透かして見える裏面側の色模様52が、濃淡のあるモザイク調となり、しかもその濃淡が見る角度によって変化するため、興趣に富むものとなる。
実用新案登録第3122463号公報
しかしながら、上記のものは、微細凹凸層51と裏面側の色模様52との重なり部分におけるモザイク調の濃淡が、見る角度によって変化する楽しさはあるものの、色模様自体が変化したり、消えたり現れたりするような、意外な変化をもたらすものではないため、すぐに飽きられてしまうおそれがある。このため、化粧料容器等の加飾成形体において、上記微細凹凸層によるモザイク調の見え方に加えて、さらにインパクトの強い、意外性のある見え方をするものが望まれているが、そのようなものは、未だ提案されていないのが実情である。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、見える角度によって色模様が消えたり現れたりする、インパクトの強い外観を有する加飾成形体およびその製法の提供を、その目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、透明部材からなる透明層を有し、その表面に、透明樹脂からなる多数の微細な平行線が凹凸状に設けられた小区画を組み合わせてなる微細凹凸模様層が形成され、その裏面に、上記透明層の裏面を部分的に露出させる透かし模様を有する金属光沢層が形成されているとともに、その金属光沢層表面の、少なくともその透かし模様と重なる部分に、透明着色層が形成されており、上記透かし模様が、幅10〜1000μmの線状もしくは点状の透かし部分によって構成され、上記透明層の表面側において見える模様が、見る角度によって、上記透明着色層によって着色された透かし模様が強調された態様と、上記微細凹凸模様層の微細凹凸模様が強調された態様の、少なくとも二通りの態様に変化するようになっている加飾成形体を第1の要旨とする。
また、本発明は、そのなかでも、特に、上記微細凹凸模様層における微細な平行線の線幅が10〜1000μm、凹凸の高低差が10〜1000μmに設定されている加飾成形体を第2の要旨とし、それらのなかでも、特に、上記金属光沢層の厚みが、0.01〜500μmに設定されている加飾成形体を第3の要旨とする。
そして、本発明は、上記第1の要旨である加飾成形体を製造する方法であって、透明部材からなる透明層を有する成形体を準備する工程と、上記透明層の裏面に、この透明層の裏面を部分的に露出させる透かし模様を有する金属光沢層を形成する工程と、上記金属光沢層表面の、少なくともその透かし模様と重なる部分に、透明着色層を形成する工程と、上記透明層の表面に、透明樹脂からなる多数の微細な平行線が凹凸状に設けられた小区画を組み合わせてなる微細凹凸模様層を形成する工程とを備え、上記透かし模様を、幅10〜1000μmの線状もしくは点状の透かし部分によって構成し、上記透明層の表面側において見える模様が、見る角度によって、上記透明着色層によって着色された透かし模様が強調された態様と、上記微細凹凸模様層の微細凹凸模様が強調された態様の、少なくとも二通りの態様に変化するようにした加飾成形体の製法を第4の要旨とする。
また、本発明は、そのなかでも、特に、上記金属光沢層における透かし模様を、レーザ照射によって金属光沢層を部分的に除去することによって形成するようにした加飾成形体の製法を第5の要旨とし、上記透明着色層を、インクジェット印刷により透明着色インクを印刷することによって形成するようにした加飾成形体の製法を第6の要旨とする。
さらに、本発明は、それらのなかでも、特に、上記微細凹凸模様層における微細な平行線の線幅が10〜1000μm、凹凸の高低差が10〜1000μmとなるよう設定した加飾成形体の製法を第7の要旨とし、上記金属光沢層の厚みが、0.01〜500μmとなるよう設定した加飾成形体の製法を第8の要旨とする。
本発明は、透明層の表面に、特殊な微細凹凸模様層を形成し、透明層の裏面に、特殊な透かし模様を有する金属光沢層を形成し、さらにその透かし模様と重なるように透明着色層を形成することにより、透明層の表面側において見える模様が、その見る角度によって、着色された透かし模様が強調された態様となって、表面側の微細凹凸模様があたかも消失したかのように見えたり、表面側の微細凹凸模様が強調された態様となって、本来表面側に透けて見えている透かし模様が、あたかも消失したかのように見えたりする、非常に不思議な、興趣に富む外観を呈する加飾成形体としたものである。
このように、本来見えるはずの、着色された透かし模様が、見る角度によって見えたり見えなかったりするのは、<微細凹凸模様層→透明層→金属光沢層の透かし模様に入り込んだ透明着色層>という経由で光が通過する際、微細凹凸模様層の微細な凹凸によって複雑に屈折した光が、周囲が金属光沢層で囲まれた透かし模様の、線状もしくは点状の狭い隙間部分の内側で、さらに複雑に反射して、その反射光の大半が、再度表面側から出射される場合があり、このような光の反射が、透明着色層の色を全く見えなくしたり、場合によっては、透かし模様全体を見えなくしたりする、と考えられる。ちなみに、透かし模様の隙間幅を1mmより広くして、その隙間部分を透明着色層で着色した場合は、他の構成を本発明と同様にしても、この透かし模様を、見る角度によって消失させることはできない。
そして、本発明の加飾成形体によれば、上記のような視覚的な効果だけでなく、この加飾成形体の表面となる微細凹凸模様層の表面が、細かい凹凸を有しているため、平滑な面に比べて、指の指紋等による汚れが目立ちにくいという利点を有している。また、加飾成形体の表面側から色模様として見える、透かし模様とこれを着色する透明着色層とが、ともに透明層の裏面側に設けられているため、上記色模様が、経時的に擦れて薄くなったり脱落して模様が崩れたりするようなことがない。したがって、興趣に富む美麗な外観を、長期にわたって維持することができる。
そして、本発明の加飾成形体のなかでも、特に、上記微細凹凸模様層における微細な平行線の線幅が10〜1000μm、凹凸の高低差が10〜1000μmに設定されているものは、とりわけ、表面側において見える模様の視覚的な変化が鮮明となり、好適である。
また、本発明の加飾成形体のなかでも、特に、上記金属光沢層の厚みが、0.01〜500μmに設定されている場合も、とりわけ、表面側において見える模様の視覚的な変化が鮮明となり、好適である。
そして、本発明の加飾成形体の製法によれば、上記加飾成形体を、効率よく製造することができる。
また、本発明の加飾成形体の製法のなかでも、特に、上記金属光沢層における透かし模様を、レーザ照射によって金属光沢層を部分的に除去することによって形成するようにしたものは、特定幅の線状もしくは点状の透かし部分からなる透かし模様を、短時間で美麗に形成することができ、好適である。
さらに、本発明の加飾成形体の製法のなかでも、特に、上記透明着色層を、インクジェット印刷により透明着色インクを印刷することによって形成するようにしたものは、線状もしくは点状の透かし部分からなる繊細な透かし模様に対し、簡単、かつ効率よく、求める色合いの透明着色層を形成することができ、好適である。
そして、透かし模様をレーザ照射によって形成し、透明着色層をインクジェット印刷で形成したものは、上記レーザ加工のための位置データを利用して、インクジェット印刷の印刷領域を設定することができるため、透かし模様と透明着色層とがずれることがなく、最小限のインクの量で、透かし模様を覆う美麗な透明着色層を得ることができるため、好適である。
本発明の一実施の形態を示す斜視図である。 図1のX−X′断面図である。 上記実施の形態における蓋体の分解斜視図である。 上記蓋体に形成される微細凹凸模様の説明図である。 (a)は上記微細凹凸模様の部分的な拡大説明図、(b)はその断面を模式的に示す説明図、(c)はその変形例を示す説明図である。 上記蓋体に形成される透かし模様の説明図である。 上記蓋体に形成される透明着色層の説明図である。 (a)〜(e)は、いずれも上記蓋体における模様の形成方法の説明図である。 上記蓋体の見え方の説明図である。 (a)は従来技術の一例である表示体の部分的な説明図、(b)はその断面を模式的に示す説明図である。
つぎに、本発明を実施するための形態について説明する。ただし、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施の形態であるコンパクト容器の斜視図であり、図2は、そのX−X′断面図である。これらの図において、1は本体部で、その内側の、向かって左側に設けられた凹部2には、ファンデーション等の化粧料が収容保持されるようになっている。また、向かって右側に設けられた凹部3には、化粧料を肌に塗布するためのパフが収容保持されるようになっている。
また、4は、上記本体部1の上部開口を蓋する蓋体で、上記本体部1の後端部に、本体部1とのヒンジ連結(図示せず)によって回動自在に取り付けられており、図1において鎖線で示すように、上方に開くようになっている。なお、蓋体4の内側面には、鏡5が貼着されている。
上記蓋体4は、その分解斜視図である図3に示すように、後端部にヒンジ部6aが突設された蓋枠体6と、その上面に嵌合一体化される蓋板8と、その間に挟み込まれる金属光沢シート7とで構成されている。そして、上記蓋板8は、透明アクリル樹脂成形体からなる透明層8aと、その表面に形成された微細凹凸模様層8bと、その裏面に形成された金属光沢層8cとを備え、上記金属光沢層8cには透かし模様Qが設けられ、その透かし模様Qに重ねて、透明着色層9が設けられている。
上記透明層8aの表面に形成された微細凹凸模様層8bは、その平面図である図4に示すように、小さな円形もしくは楕円形の小区画10が規則的に並んだ微細凹凸模様Pを有しており、それぞれの小区画10には、これを部分的に拡大した図5(a)に示すように、多数の微細な凹凸状の平行線11によって、筋状の陰影が付与されている。そして、各小区画10における平行線11の延びる方向は、小区画10ごとに、ランダムな方向を向いている。また、小区画10以外の「地」の部分12には、さらに細かい多数の微細な凹凸状の平行線13〔図5(a)において破線で示す〕が設けられている。したがって、光の当たり方によって、小区画10のうち、平行線11が光を多く反射するものは白っぽく輝き、逆に光をあまり反射しないものは暗く沈むため、例えば図9に示すように、陰影のある水玉模様が視認されるようになっている。そして、その水玉模様の輝く水玉の配置が、見る角度によって、ランダムに変化するようになっている。
なお、上記微細凹凸模様層8bの微細な平行線11、13は、その断面図である図5(b)に示すように、その根元部で互いにつながった状態で形成されていてもよいし、図5(c)に示すように、透明層8aの表面に、平行線11、13が、互いに独立した状態で、線状に形成されていてもよい。
また、上記透明層8aの裏面に形成された金属光沢層8c(図2参照)は、後述するように、レーザ照射によってその一部が線状に溶融除去され、その除去跡からなる線状の透かし模様Qを有している。この透かし模様Qは、上記透明層8aを裏返して金属光沢層8cの表面側から見た平面図である図6に示すように、所定間隔で配置された花柄模様15と、この花柄模様15と花柄模様15との間の「地」の部分16に、丸みのある四角形を連続的に並べた、連続模様17とで構成されている。なお、図6において、透明着色層9の図示は省略している。
さらに、上記金属光沢層8cの表面には、上記透かし模様Qと重なる配置で、透明着色層9(図2参照)が設けられている。この透明着色層9は、この層9を上から見た平面図である図7に示すように、上記透かし模様Qを構成する線状の透かし部分よりやや太い幅の着色層からなり、複数の、色の異なる透明着色インクを用いて、透かし模様Qの部分部分が、複雑な色合いに着色されている。
上記蓋板8は、例えばつぎのようにして得ることができる。すなわち、まず、蓋板8のベースとなる透明層8aを賦形するための金型を用意し、透明層8aの形成材料である透明アクリル樹脂材料を射出成形することにより、図8(a)に示すように、所定形状が付与された透明層8aを得ることができる。
つぎに、上記透明層8aの裏面に、アルミニウム蒸着によって、金属光沢層8cを形成する。そして、図8(b)に示すように、この金属光沢層8cの表面側からCO2レーザを照射し、金属光沢層8cを線状に除去加工することにより、透かし模様Qを形成する(図6を参照)。
つぎに、図8(c)に示すように、上記透明層8aの、金属光沢層8cが形成された面と反対側の、透明層8aの表面に、無色透明の樹脂インクを用いてスクリーン印刷することによって、微細凹凸模様Pを有する微細凹凸模様層8bを形成する(図4、図5を参照)。
また、図8(d)に示すように、上記金属光沢層8cの透かし模様Qが形成された部分と重なるように、インクジェット印刷によって、透明着色層9を形成する。このとき、透明着色層9は、透かし模様Qの線幅よりもやや太い色模様となるよう設定される。これにより、金属光沢層8の、透かし模様Qを構成する線状の切欠き部分には、透明着色インクが完全に入り込んでおり、透明層8aの表面側から、微細凹凸模様層8bを通して、この、透明着色層9によって着色された透かし模様Qを、色模様として視認することができる。
このようにして、透明層8aの表裏に、微細凹凸模様層8bと、透かし模様Q付きの金属光沢層8cと、透明着色層9とが形成された蓋板8を、上面に金属光沢シート7が載置された蓋枠体6上に重ねて嵌合することにより、図1に示すコンパクト容器の蓋体4を得ることができる。
上記蓋体4は、微細凹凸模様層8bが形成された透明層8aの表面側において見える模様が、その見る角度によって、着色された透かし模様Qが強調された態様となって、表面側の微細凹凸模様Pがあたかも消失したかのように見えたり、表面側の微細凹凸模様Pが強調された態様となって、本来表面側に透けて見えている透かし模様Qが、あたかも消失したかのように見えたりするようになっている。例えば、微細凹凸模様Pが完全に消失して見える場合、蓋体4の表面は、図6に示すように、着色された透かし模様Qのみが見えて、地の部分は平滑面のように見える。また、着色された透かし模様Qが完全に消失したかのように見える場合、蓋体4の表面は、図9に示すように、微細凹凸模様P(図4を参照)に由来する、ランダムに輝く水玉模様が見える。
また、見る角度によっては、透かし模様Qが完全に消えるわけではないが、透明着色層9による色味が消えて、微細凹凸模様層8bの陰影と無彩色の透かし模様Qとが重なった、複雑な模様に見えたり、逆に、透かし模様Qの線は消失して、微細凹凸模様層8bの陰影と、漠然と見える透明着色層9による色味とが重なった、複雑で淡い色模様に見えたりする。
したがって、上記蓋体4によれば、複雑な模様の変化を楽しむことができ、また、鮮明な透かし模様Qが、見えたり見えなかったりする意外性を楽しむことができる。そして、この蓋体4を用いることにより、非常に不思議な、興趣に富む外観のコンパクト容器を提供することができる。
そして、この構成によれば、蓋体4の表面となる微細凹凸模様層8bが、細かい凹凸を有しているため、平滑な面に比べて、指の指紋等による汚れが目立ちにくいという利点を有し、美麗な外観を長期にわたって維持することができる。また、蓋体4の表面から視認できる色模様を構成する透かし模様Qと透明着色層9とが、ともに透明層8aの裏面側に設けられ、これを表面側から透かしてみるようになっているため、上記色模様が、経時的に擦れて薄くなったり脱落して模様が崩れたりするようなことがない。
さらに、上記透明着色層9を形成するためのインクジェット印刷をする際、CO2レーザによる透かし模様Qを形成する際に用いられた、加工のための位置データを利用して、インクジェット印刷を行う印刷領域を設定することができるため、透かし模様Qと透明着色層9とがずれることがなく、透かし模様Qを、最小限の着色幅で覆うことができる。したがって、インクジェット印刷に用いる透明着色インクの使用量を低減することができ、材料コストを低く抑えることができる。
なお、上記の例において、蓋板8の透明層8aを構成する透明部材は、従来から容器等の成形品に用いられる透明部材であれば、どのようなものであってもよく、アクリル樹脂の他、例えばポリエステル(PET)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)等があげられる。なかでも、強度と透明性の点で、アクリル樹脂、ポリエテル樹脂が好適である。そして、上記透明層8aは、その裏面側に形成された透かし模様Qおよび透明着色層9を透かして見せる必要から、透明でなければならないが、必ずしも無色である必要はなく、多少着色されていても、反対側が透けて見えていれば問題ない。以下に述べる「透明」も、特に断らない限り、着色の有無を問わず、その反対側が透けて見える程度に透明であればよい。
そして、上記透明層8aの厚みは、この加飾成形体の用途や要求される強度等に応じて、適宜に設定されるが、例えば、上記の例のように、コンパクト容器の蓋体4に用いる場合、0.5〜5mmに設定することが好適である。すなわち、上記透明層8aの厚みが厚すぎると、蓋体4が嵩張って好ましくないとともに、反対側の金属光沢層8cに設けられる透かし模様Qとの距離が大きすぎて、微細凹凸模様層8bとの組み合わせによる模様の見え方の変化が、鮮明に見えなくなるおそれがある。また、上記厚みが薄すぎても、やはり、模様の見え方の変化が、鮮明に見えなくなるおそれがある。
一方、上記透明層8aの裏面に形成される金属光沢層8cは、上記の例では、アルミニウム蒸着層を用いたが、アルミニウムの他、薄膜として得ることができ、金属光沢を有するものであれば、どのような材質であっても差し支えない。例えば、金、銀、チタン、ニッケル等をあげることができる。そして、その形成方法は、蒸着以外に、スパッタリング、メッキ、ホットスタンプ、コーティング、貼付等、その材質に応じて適宜の方法が採用される。また、金属箔等の金属光沢層8cを、転写シートから転写させるものであってもよい。
上記金属光沢層8cの厚みは、その材質や全体の大きさにもよるが、例えば、上記の例のように、コンパクト容器の蓋体4に用いる場合、0.01〜500μmに設定することが好適である。すなわち、上記金属光沢層8cの厚みが上記の範囲を外れると、透明層8aの厚みの場合と同様、透明層8aの表面に設ける微細凹凸模様層8bとの兼ね合いから、見る角度によって透かし模様Qが見えたり見えなかったりする変化が不鮮明になるおそれがあり、好ましくない。また、金属光沢層8cの厚みが薄すぎると、層を均一に形成することが容易でなく、逆に厚すぎると、蓋体4が嵩高くなるとともに重くなって好ましくないという問題もある。
また、上記金属光沢層8cに透かし模様Qを形成する方法としては、上記の例のように、透かし模様Qを得ようとする部分にCO2レーザを照射して、その部分の金属光沢層8cを除去することが好適であるが、CO2レーザに代えて、YAGレーザ等を用いてもよい。また、予めレーザ照射等によって透かし模様Qが形成された金属光沢層付きの転写シートを用いても差し支えない。
そして、上記金属光沢層8cに形成される透かし模様Qは、幅10〜1000μmの線状もしくは点状の透かし部分によって構成されていなければならない。すなわち、透かし部分の幅が、上記の範囲よりも狭いと、透かし模様Qが繊細になりすぎて、透明層8aの表面側から視認しにくいものとなり、透かし模様Qが見えたり見えなかったりする見え方の変化を楽しむことができない。逆に、透かし部分の幅が、上記の範囲よりも広いと、微細凹凸模様層8bと組み合わせても、透かし模様Qが見る角度によって変化することがなく、本発明の効果を得ることができない。なかでも、上記透かし部分の幅を、50〜500μmに設定することが、視覚的な効果を得る上で好適である。
また、上記透かし模様Qを有する金属光沢層8cが形成された面とは反対側の、透明層8aの表面側に形成される微細凹凸模様層8bは、透明インクを、スクリーン印刷等によって、ランダムな方向に平行線が延びる小区画10を組み合わせた模様(図5参照)を印刷することによって得ることができる。上記透明インクとしては、例えば、アクリレート系、メタクリレート系、不飽和ポリエステル系等のUV硬化型透明インク、アクリレート系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型透明インク等があげられる。とりわけ、UV硬化型透明インクを用いると、簡単かつ効率よく微細凹凸模様層8bを得ることができ、好適である。
上記微細凹凸模様層8bの厚み〔図5(b)においてHで示す〕は、10〜1000μmに設定することが好適である。すなわち、上記厚みHが厚すぎると、微細凹凸模様層8bの凹凸表面と、透明層8aを挟んで反対側の透かし模様Qとの距離が遠くなって、模様の見え方の変化が不鮮明になるおそれがあり、また、蓋体4が嵩張る点においても好ましくない。逆に、上記厚みHが薄すぎると、微細凹凸模様Pの凹凸が小さくなりすぎて、やはり模様の見え方の変化が不鮮明になるおそれがある。そして、上記微細凹凸模様層8bにおける凹凸の高低差は、この層の全体の厚みにかかわらず、10〜1000μmに設定することが、模様の見え方の変化を鮮明にする上で、好適である。
さらに、上記微細凹凸模様層8bと反対側の、透かし模様Qに重なる部分に設けられる透明着色層9は、上記の例ではインクジェット印刷によって形成したが、必ずしもインクジェット印刷である必要はなく、透かし模様Qの隙間部分に透明着色層9を入り込ませた形で形成することができれば、スクリーン印刷等の他の印刷方法やコーティング等を用いることができる。ただし、透明着色層9は、この部分に光が通る必要があるため、色味を有するものの、透明性を有していなければならない。
そこで、透明着色インクを用いるインクジェット印刷が最適である。インクジェット印刷によれば、これを重ねようとする透かし模様Qのデザインに応じた色(単色)や色模様を、その透かし模様Qの領域に合わせて、簡単な設定で迅速に形成することができ、好適である。しかも、上記透かし模様Qをレーザ照射によって形成した場合には、上記レーザ加工時の位置データを、インクジェット印刷の印刷領域のデータとして流用できるため、透かし模様Qに対してずれることなく、簡単かつ正確に色模様を印刷することができるという利点を有している。
また、上記の例では、まず、透明層8aの裏面に金属光沢層8cを形成し、その金属光沢層8cに、透かし模様Qを形成した後、透明層8aの表面に、上記微細凹凸模様層8bを形成したが、層を形成する順番は、この順に限らない。例えば、上記金属光沢層8cを形成するよりも先に、透明層8aの表面に微細凹凸模様層8bを形成し、つぎに、透明層8aの裏面に金属光沢層8cを形成するようにしてもよい。
あるいは、上記の例と同様にして、透明層8aの裏面に金属光沢層8cと透かし模様Qを形成した後、先に、上記透かし模様Qと重なるように透明着色層9を形成し、つぎに、透明層8aの表面に微細凹凸模様層8bを形成するようにしてもよい。
また、いずれの例においても、金属光沢層8cを、蒸着等によって透明層8aの裏面に直接形成する場合は、金属光沢層8cの形成に先立って、透明層8aの裏面にアンダーコート層を設けて、金属光沢層8cとの接合強度を高めることが好ましい。また、金属光沢層8cの形成後、その表面保護のために、ハードコート層を設けることが好ましい。
さらに、上記の例では、本発明の加飾成形体である蓋板8を、金属光沢シート7を挟み込んだ状態で蓋枠体6と嵌合して、コンパクト容器の蓋体4としたが、蓋板8の下に金属光沢シート7等の着色シートや、蓋枠体6を組み合わせる必要はなく、蓋板8と同様の構成のものを、そのまま単体として用いても差し支えない。
なお、これらの例は、本発明をコンパクト容器に適用したものであるが、本発明を適用する成形体は、容器に限らず、各種の樹脂成形体、あるいは樹脂成形体に他の部材を組み合わせた成形体等、特に限定するものではない。例えば、携帯電話、文房具、家電製品、各種ケース等に広く適用することができる。
本発明は、見る角度によって異なる模様が強調されて印象が変化する特殊な外観を備え、しかも長期にわたってその外観を維持することのできる加飾成形体およびその製法に利用することができる。
4 蓋体
8 蓋板
8a 透明層
8b 微細凹凸模様層
8c 金属光沢層
9 透明着色層
P 微細凹凸模様
Q 透かし模様

Claims (8)

  1. 透明部材からなる透明層を有し、その表面に、透明樹脂からなる多数の微細な平行線が凹凸状に設けられた小区画を組み合わせてなる微細凹凸模様層が形成され、その裏面に、上記透明層の裏面を部分的に露出させる透かし模様を有する金属光沢層が形成されているとともに、その金属光沢層表面の、少なくともその透かし模様と重なる部分に、透明着色層が形成されており、上記透かし模様が、幅10〜1000μmの線状もしくは点状の透かし部分によって構成され、上記透明層の表面側において見える模様が、見る角度によって、上記透明着色層によって着色された透かし模様が強調された態様と、上記微細凹凸模様層の微細凹凸模様が強調された態様の、少なくとも二通りの態様に変化するようになっていることを特徴とする加飾成形体。
  2. 上記微細凹凸模様層における微細な平行線の線幅が10〜1000μm、凹凸の高低差が10〜1000μmに設定されている請求項1記載の加飾成形体。
  3. 上記金属光沢層の厚みが、0.01〜500μmに設定されている請求項1または2記載の加飾成形体。
  4. 請求項1記載の加飾成形体を製造する方法であって、透明部材からなる透明層を有する成形体を準備する工程と、上記透明層の裏面に、この透明層の裏面を部分的に露出させる透かし模様を有する金属光沢層を形成する工程と、上記金属光沢層表面の、少なくともその透かし模様と重なる部分に、透明着色層を形成する工程と、上記透明層の表面に、透明樹脂からなる多数の微細な平行線が凹凸状に設けられた小区画を組み合わせてなる微細凹凸模様層を形成する工程とを備え、上記透かし模様を、幅10〜1000μmの線状もしくは点状の透かし部分によって構成し、上記透明層の表面側において見える模様が、見る角度によって、上記透明着色層によって着色された透かし模様が強調された態様と、上記微細凹凸模様層の微細凹凸模様が強調された態様の、少なくとも二通りの態様に変化するようにしたことを特徴とする加飾成形体の製法。
  5. 上記金属光沢層における透かし模様を、レーザ照射によって金属光沢層を部分的に除去することによって形成するようにした請求項4記載の加飾成形体の製法。
  6. 上記透明着色層を、インクジェット印刷により透明着色インクを印刷することによって形成するようにした請求項4または5記載の加飾成形体の製法。
  7. 上記微細凹凸模様層における微細な平行線の線幅が10〜1000μm、凹凸の高低差が10〜1000μmとなるよう設定した請求項4〜6のいずれか一項に記載の加飾成形体の製法。
  8. 上記金属光沢層の厚みが、0.01〜500μmとなるよう設定した請求項4〜7のいずれか一項に記載の加飾成形体の製法。
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