〔実施形態1〕
本発明の一実施形態について説明する。
(1−1.画像形成装置1の全体構成)
図1は、本実施形態にかかる画像形成装置1の概略構成を示すブロック図である。なお、本実施形態では、画像形成装置1が電子写真方式のデジタルカラー複写機である場合について説明するが、画像形成装置1の構成はこれに限るものではなく、原稿の画像データに対して画像処理を施す機能を有する装置であればよい。
画像形成装置1は、図1に示すように、カラー画像入力装置2、カラー画像処理装置3、カラー画像出力装置4、操作パネル5、および制御部6を備えている。また、カラー画像処理装置3は、A/D(アナログ/デジタル)変換部11、シェーディング補正部12、原稿特徴判別部13、入力階調補正部14、領域分離処理部15、色補正部16、黒生成下色除去部17、空間フィルタ処理部18、出力階調補正部19、階調再現処理部20を備えている。
カラー画像入力装置2は、原稿を読み取って原稿の画像データを生成し、生成した画像データをカラー画像処理装置3に出力する。なお、カラー画像入力装置2の構成は、原稿の画像データを生成することができる構成であれば特に限定されるものではなく、従来から公知の種々の画像入力装置を用いることができる。例えば、CCD(Charge Coupled Device )を備えたスキャナ部(図示せず)を有し、原稿からの反射光像をCCDで読み取ってRGB(R:赤、G:緑、B:青)のアナログ信号から成る画像データを生成する構成のものを用いてもよい。
カラー画像処理装置3は、カラー画像入力装置2から入力される画像データを、A/D変換部11、シェーディング補正部12、原稿特徴判別部13、入力階調補正部14、領域分離処理部15、色補正部16、黒生成下色除去部17、空間フィルタ処理部18、出力階調補正部19、および階調再現処理部20の順に送り、最終的にCMYK(C:シアン、M:マゼンタ、Y:イエロ、K:ブラック)のそれぞれに対応するデジタルカラー信号で表される画像データをカラー画像出力装置4へ出力する。
A/D変換部11は、RGBのそれぞれに対応するアナログ信号の画像データをデジタル信号の画像データに変換する。
シェーディング補正部12は、A/D変換部11から送られてきたRGBに対応するデジタル信号の画像データに対して、カラー画像入力装置2の照明系、結像系、撮像系で生じる各種の歪みを取り除く処理を施す。また、シェーディング補正部12は、カラーバランスの調整を行う。
原稿特徴判別部13は、シェーディング補正部12にて各種の歪みが取り除かれ、カラーバランスの調整がなされたRGB信号(RGBの反射率信号)を濃度信号に変換する。また、原稿特徴判別部13は、(i)原稿が文字原稿、印刷写真原稿、あるいは文字と印刷写真が混在した文字印刷写真原稿のいずれであるかを判別する原稿種別判定処理、および(ii)下地除去処理を行うべき原稿である否かを判別する下地判定処理を行う。また、原稿特徴判別部13は、原稿種別判定処理の結果を示す原稿特徴判定信号を生成し、入力階調補正部14、色補正部16、黒生成下色除去部17、空間フィルタ処理部18、および階調再現処理部20に出力する。なお、原稿特徴判別部13の詳細については後述する。
入力階調補正部14は、下地濃度の除去、およびコントラストなどの画質調整処理を行う。
すなわち、原稿の下地(文字などが印刷された用紙)の色はさまざまであり、下地の色によっては白地部分(下地部分)を白(あるいは無色)として扱わないと、記録材(トナーあるいはインク)が余分に使用されてしまう場合がある。例えば、わら半紙のように黄色っぽいものや、下地に色がついている原稿をモノクロモードで画像形成する場合、下地の色を白として扱わないと、画像出力時に白地部分(下地部分)にも記録材が使われてしまう。このため、余分な記録材が使用されることを抑制するために、入力階調補正部14は、下地濃度の除去処理(すなわち下地の濃度を白色の濃度にする処理)を行うとともに、コントラストの調整処理を行う。
また、入力階調補正部14は、RGBの濃度信号(以下、特に断らない限り、RGB信号は濃度信号(画素値を表す信号)を表すものとする。)から成る画像データを領域分離処理部15に出力する。
領域分離処理部15は、入力画像データにおける各画素を、RGB濃度信号に基づいて、下地領域、写真領域(連続階調領域)、文字領域、および網点領域のいずれに属するのか判定する領域分離処理を行う。また、領域分離処理部15は、領域分離処理の結果に基づいて、各画素がどの領域に属しているかを示す領域識別信号を生成し、色補正部16、黒生成下色除去部17、空間フィルタ処理部18、および階調再現処理部20へと出力するとともに、入力階調補正部14から入力されたRGB信号をそのまま後段の色補正部16に出力する。
色補正部16は、領域分離処理部15から入力されるRGB信号(入力信号)を、領域分離処理部15から入力される領域識別信号に応じて、CMY信号に変換する。また、色補正部16では、色再現の忠実化実現のために、不要吸収成分を含むCMY色材の分光特性に基づいた色濁りを取り除く処理を行う。また、色補正部16は、原稿特徴判別部13から入力される原稿特徴判定信号に基づいて色変換処理を行う。
黒生成下色除去部17は、色補正部16による色補正後のCMY信号から黒(K)信号を生成する黒生成処理と、元のCMY信号から黒生成処理で得たK信号を差し引いて新たなCMY信号を生成する下色除去処理とを行う。これによって、CMY信号はCMYKの4色の信号(以下、CMYK信号という)に変換される。
例えば、黒生成下色除去部17では、黒生成処理として、スケルトンブラックによる黒生成を行う。このスケルトンブラックによる黒生成処理では、スケルトンカーブの入出力特性をy=f(x)、入力されるC,M,Yのそれぞれに対応する濃度をそれぞれC,M,Yとし、出力されるC,M,Y,Kのそれぞれに対応する濃度をそれぞれC',M',Y',K'とし、UCR(Under Color Removal)率をα(0<α<1)とすると、
K´=f{min(C,M,Y)}
C´=C−αK´
M´=M−αK´
Y´=Y−αY´
によってCMYの3色の濃度信号をCMYKの4色の濃度信号に変換する。
空間フィルタ処理部18は、黒生成下色除去部17から入力されるCMYK信号の画像データに対して、空間周波数特性を補正することにより、出力画像のぼやけ、および粒状性劣化を防ぐために、領域分離処理部15から入力される領域識別信号に応じて、領域の種別毎に予め設定されるデジタルフィルタによる空間フィルタ処理を行う。
出力階調補正部19は、空間フィルタ処理部18から入力されるCMYK信号の画像データに対して、カラー画像出力装置4の出力特性に基づく出力階調補正処理を行う。
階調再現処理部20は、出力階調補正部から入力されるCMYK信号の画像データに対して、領域分離処理部15から入力される領域識別信号に応じて、領域の種別毎に予め定められた処理を施す。
例えば、領域分離処理部15によって文字領域に分離された領域に関しては、特に黒文字あるいは色文字の再現性を高めるために、空間フィルタ処理部18は鮮鋭強調処理により高周波数の強調量を大きくし、階調再現処理部20は高域周波数の再現に適した高解像度のスクリーンでの二値化または多値化処理を行う。
また、領域分離処理部15によって網点領域に分離された領域に関しては、空間フィルタ処理部18は入力網点成分を除去するためのローパス・フィルタ処理を施し、階調再現処理部20はそれぞれの画素の階調を再現できるように処理する階調再現処理(中間調生成)を施す。
また、領域分離処理部15によって写真領域に分離された領域に関しては、階調再現処理部20は階調再現性を重視したスクリーンでの二値化または多値化処理を行う。
階調再現処理部20から出力される画像データ、すなわち前述した各処理が施された画像データは、記憶部(図示せず)に一旦記憶され、所定のタイミングで読み出されてカラー画像出力装置4に出力される。
カラー画像出力装置4は、画像データに応じた画像を記録媒体(例えば紙などのシート体)に出力する。カラー画像出力装置4は、2色以上(本実施形態ではC,M,Y,Kの4色)の記録材を用いて記録媒体に画像を形成する。なお、本実施形態では、カラー画像出力装置4として、電子写真方式のプリンタ装置を用いている。ただし、カラー画像出力装置4の構成はこれに限るものではなく、例えばインクジェット方式などの他の方式のプリンタ装置を用いてもよい。
操作パネル5は、ユーザからの指示入力を受け付けて制御部6に伝達する。操作パネル5は、例えば、液晶ディスプレイなどの表示部とユーザの操作入力を受け付ける操作キーとを含んで構成される。あるいは、操作パネル5はタッチパネルであってもよい。
制御部6は、CPUや専用プロセッサなどの演算処理部、および、RAM、ROM、HDDなどの記憶部(いずれも図示せず)などにより構成されるコンピュータ装置である。制御部6は、上記記憶部に記憶されている各種情報および各種制御を実施するためのプログラム、操作パネル5を介して入力されるユーザからの指示入力、および画像形成装置1に備えられる各種センサの検知結果などに応じて、カラー画像入力装置2、カラー画像処理装置3、カラー画像出力装置4、および操作パネル5の動作を制御する。
(1−2.原稿特徴判別部13の構成)
図2は原稿特徴判別部13の構成を示すブロック図であり、図3は原稿特徴判別部13における処理の流れを示すフローチャートである。
図2に示すように、原稿特徴判別部13は、画素判定部31、領域画素カウント部32、データ選択部33、ヒストグラム生成部34、下地判定部35、原稿種別判定部36、および下地除去部37を備えている。
原稿特徴判別部13では、図3に示すように、まず、画素判定部31が、シェーディング補正部12から入力されるRGB信号(画像データ)の各画素を下地画素、写真画素、文字画素、網点画素の何れかに分類する領域画素判定処理を行う(S1)。なお、以降の説明では、下地画素、写真画素、文字画素、および網点画素に分類された画素を領域画素と称する。
領域画素に分類するためのアルゴリズムは、特に限定されるものではなく、既存の領域分離方法を用いることができる。例えば、特許文献2に記載の方法を用いてもよい。特許文献2の方法では、以下の(1)〜(8)の処理により領域画素判定処理を行う。
(1)注目画素を含むn×m(たとえば、7画素×15画素)の画素ブロックにおける最小濃度値および、最大濃度値を算出する。
(2)算出された最小濃度値及び最大濃度値を用いて最大濃度差を算出する。
(3)注目画素に隣接する画素の濃度差の絶対値の総和である総和濃度繁雑度(たとえば、主走査方向と副走査方向について算出した値の和)を算出する。
(4)算出された最大濃度差と最大濃度差閾値との比較及び算出された総和濃度繁雑度と総和濃度繁雑度閾値との比較を行う。
(5)最大濃度差<最大濃度差閾値および総和濃度繁雑度<総和濃度繁雑度閾値のとき、注目画素は下地・写真領域に属すると判定する。
(6)上記条件を満たさないときは、注目画素は文字・網点領域に属すると判定する。
(7)下地・写真領域に属すると判定された画素について、注目画素が、最大濃度差<下地・印画紙判定閾値を充たすとき、下地画素であると判定し、この条件を充たさないときは、写真画素であると判定する。
(8)文字・網点領域に属すると判定された画素について、注目画素が、総和濃度繁雑度<(最大濃度差に文字・網点判定閾値を掛けた値)の条件を満たすとき、文字画素であると判定し、この条件を満たさないときは、網点画素であると判定する。
なお、領域画素判定処理は、例えば、プレスキャンされた画像データを用いて行ってもよく、ハードディスク等の記憶手段に一旦格納された画像データを用いて行ってもよい。
次に、領域画素カウント部32が、画素判定部31での領域画素判定処理の結果に基づいて、領域種別毎に(下地画素、写真画素、文字画素、および網点画素の各領域毎に)、分類された画素(領域画素)の数をカウントする領域画素カウント処理を行う(S2)。
次に、データ選択部33が、シェーディング補正部12から入力されたRGB信号における原稿画像領域を、後述するヒストグラム生成処理の対象とする対象領域とヒストグラム生成処理の対象から除外する除外領域とに分離する領域選択処理を行う(S3)。すなわち、本実施形態では、ヒストグラム生成を入力画像の全画素を対象として行うのではなく、一部の画素を除外して行う。
図4は、原稿の画像データのうちヒストグラム生成の対象から除外する除外領域の設定方法を示す説明図である。
カラー画像入力装置2によって読み取られた画像データは、シェーディング補正部12においてカラー画像入力装置2の照明系、結像系、撮像系で生じる各種の歪みを取り除く処理を施すが、必ずしも画像データの全領域に対して適切な補正が行われるわけではない。例えば、カラー画像入力装置2での原稿読取時に、原稿における原稿台の端部に配置された領域(原稿の端部領域)は比較的暗めの信号となってしまう場合がある。
そこで、本実施形態では、図4に示したように、データ選択部33が、原稿の画像データのうち、画像読取時にカラー画像入力装置2における原稿台のガラス面の端部に位置していた所定範囲の領域の画像データをヒストグラム生成の対象領域から除外し、その他の領域をヒストグラム生成の対象領域とする。
上記所定範囲は特に限定されるものではなく、適宜設定すればよいが、例えば、原稿のボイド領域のうち、原稿読取時に原稿台のガラス面の端部に隣接していた箇所をヒストグラム生成の対象から除外するようにしてもよい。ボイド領域とは、プリンタで印刷あるいはコピーされた原稿における端部(周縁部)から数mm程度(例えば4mm程度)の幅で存在する、何も印刷されない領域である。
次に、ヒストグラム生成部34が、シェーディング補正部12から入力されたRGB信号のうち、領域画素判定処理において下地画素と判定され、かつ領域選択処理においてヒストグラム生成の対象領域と判定された領域に属する画素を注目画素として抽出し、ヒストグラム生成処理(最小値ヒストグラム生成処理)を行う(S4)。
具体的には、ヒストグラム生成部34は、注目画素についてプレーン毎(色成分毎)の比較を行い、当該注目画素の各色成分間での最小値を算出し、予め設定した複数の濃度区分のうち、算出した上記最小値が属する濃度区分の度数に1を加算する。なお、本実施形態では、ヒストグラムの濃度区分の数を、画素値(濃度値)の小さい方から順に第1濃度区分、第2濃度区分とし、画素値の最も大きい区分を第32濃度区分として32区分に設定している。本実施形態では、RGB信号を用いているので、画素値(濃度値)が「0」に近い方が(濃度値が小さい方が)実際の濃度は濃くなり、画素値(濃度値)が「255」に近い方が(濃度値が大きい方が)濃度は薄く(淡く)なる。
なお、色成分間の最小値を用いてヒストグラムを作成するのは、下地の最も濃い色成分(濃度値が最小値である色成分)の濃度値を下地濃度とし、その濃度値に対応する補正量テーブルを全色成分に対して適用して下地除去処理を行うことにより、最も濃い色成分以外の色成分についても下地除去を行うことができるからである。
その後、原稿特徴判別部13は、S1〜S4の処理を全ての画素について行ったか否かを判断し(S5)、未処理の画素が残っている場合にはS1の処理に戻って未処理の画素に対してS1〜S4の処理を行う。
一方、S5において全ての画素に対してS1〜S4の処理が完了したと判断した場合、下地判定部35が下地除去を行うべきか否かを判定する下地判定処理を行う(S6)。下地判定処理の詳細については後述する。
S6で下地判定処理を行った後、原稿種別判定部36は、原稿種別判定処理を行う(S7)。
具体的には、原稿種別判定部36は、領域画素カウント部32でカウントされた領域画素数と、予め定められている下地領域、写真領域、網点領域および文字領域にそれぞれ対応する閾値とを比較することにより、原稿全体の種別を判定する。
例えば、文字、網点、印画紙写真の順に検出精度が高い場合、文字領域の画素の比率が全画素数の30%以上の場合には文字原稿であると判定し、網点領域の画素の比率が全画素数の20%以上の場合には網点原稿(印刷写真原稿)であると判定し、印画紙写真領域の画素の比率が全画素数の10%以上の場合には印画紙写真原稿であると判定する。また、文字領域の比率と網点領域の比率とが、それぞれ閾値以上であるときは、文字/網点原稿(文字印刷写真原稿)であると判定する。
なお、原稿種別判定部36は、原稿種別の判定結果を示す原稿特徴判定信号を、下地除去部37、入力階調補正部14、色補正部16、黒生成下色除去部17、空間フィルタ処理部18、および階調再現処理部20に出力する。
次に、下地除去部37は、原稿種別判定部36による原稿種別の判定結果に基づいて、下地除去を行うべき原稿であるか否かを判定する(S8)。すなわち、下地除去部37は、原稿種別判定部36によって判定された原稿種別が、下地除去を行うべき原稿種別として予め設定された種別であるか否かを判断する。
例えば、下地除去を行う原稿として、文字原稿、写真領域を含まない原稿、文字/網点原稿(文字印刷写真原稿)で網点領域の比率が小さい原稿(例えば網点領域の比率が原稿全体に対して40%以下の原稿)などを設定してもよい。
S8において下地除去すべき原稿ではないと判断した場合、原稿特徴判別部13は、下地除去を行わずに処理を終了する。
一方、S8において下地除去すべき原稿であると判断した場合、下地除去部37は、下地除去処理を行い(S9)、処理を終了する。
下地除去処理の方法は特に限定されるものではなく、既存の下地除去方法を用いることができる。
例えば、特許文献3に記載されている方法を用いて下地除去を行ってもよい。この方法では、下地であると判定された場合、下地濃度値に対応する補正量テーブルを選択し、下地除去処理を行う。下地画素のプレーン毎(色成分毎)の最小値を用いてヒストグラムを作成した場合、全色成分について上記最小値に対応する補正量テーブルを選択して下地除去処理を行えばよい。
(1−3.下地判定部35の構成)
図5は下地判定部35の構成を示すブロック図である。図5に示したように、下地判定部35は、ピーク値算出部41、総和算出部42、および判定部43を備えている。
ピーク値算出部41は、ヒストグラム度数を薄い方(濃度値が大きい方)から調べていき、最初にヒストグラム度数が予め設定される下地判定閾値(第1閾値)T1(本実施形態ではT1=70万画素)を超え、かつ、ピーク値(極大値)となっている濃度区分を求める。なお、上述したように、RGB信号を用いた場合、画素値(濃度値)が「0」に近い方が(濃度値が小さい方が)実際の濃度は高く、画素値(濃度値)が「255」に近い方が(濃度値が大きい方が)濃度は低くなる。
具体的には、ピーク値算出部41は、各濃度区分の度数を濃度が薄い方(濃度値が大きい方)から順に見ていったときに、度数値が順次増加していき、その後に度数値が低下したことが検出された場合、度数が低下し始めた濃度区分の直前の濃度区分をピーク値とする。
なお、下地判定閾値T1の値は、下地濃度成分を適切に検出することができ、かつ下地濃度成分ではないノイズ成分を除外できるように適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが、原稿画像データにおけるヒストグラムの生成対象とする領域のうち、ボイド領域の画素数をP1としたときに、P2=P1×1/2の60%以上80%以下の範囲内に設定することが好ましい。ボイド領域の大きさは印刷を行うプリンタによって変動する。また、原稿の読み取り位置はスキャナによって変動し、原稿画像データにおいてヒストグラムの生成対象から除外される領域も変動する。また、ボイド領域から下地(紙色)を精度よく検出するためには、下地判定閾値T1は小さい値の方が好ましい。これらの点を考慮し、本実施形態においては、閾値T1をP2の60%以上80%以下の範囲に設定している。ただし、閾値T1の範囲はこれに限るものではない。閾値T1の最適な範囲は、上記したようにプリンタやスキャナにより変動するので、多くのプリンタやスキャナを用いて事前に測定試験を行うなどして適切な値に設定すればよい。
例えば、原稿サイズ:A4、解像度:600dpi、原稿画像データにおけるヒストグラムの生成対象から除外される領域(例えば原稿の左辺および上辺)のサイズが主走査方向、副走査方向とも3mmであり、ボイド領域のサイズが主走査方向、副走査方向とも(原稿の4辺とも)2mmである場合、原稿画像データのうちヒストグラムの生成対象のうちボイド領域に含まれる画素数P1はP1=553989画素になる。このボイド領域の各画素の濃度値は、全て同じではなく分布を有しているため、上記ボイド領域の各画素が隣接する2つの濃度区分に均等に振り分けられたと仮定した場合、それら各濃度区分の画素数P2はP2=276994.5画素になる。この場合、下地判定閾値T1を20万画素程度に設定しておくことにより、下地を適切に検出することができる。
また、原稿サイズ:A4、解像度:600dpi、原稿画像データにおけるヒストグラムの生成対象から除外される領域のサイズが主走査方向、副走査方向とも3mmであり、ボイド領域のサイズが主走査方向、副走査方向とも3mmである場合にはP1=823410画素、P2=411705画素になる。この場合、下地判定閾値T1を30万画素程度に設定しておくことにより、下地を適切に検出することができる。
また、原稿サイズ:A4、解像度:600dpi、原稿画像データにおけるヒストグラムの生成対象から除外される領域のサイズが主走査方向、副走査方向とも3mmであり、ボイド領域のサイズが主走査方向、副走査方向とも4mmである場合にはP1=1103560画素、P2=551780画素になる。この場合、下地判定閾値T1を40万画素程度に設定しておくことにより、下地を適切に検出することができる。
総和算出部42は、ピーク値算出部41によって特定されたピーク値の濃度区分がXである場合、濃度区分(X+i+1)から濃度区分32までのヒストグラム度数の総和値を算出する。なお、上記iは1以上の整数であり、本実施形態ではi=2としている。したがって、本実施形態では、総和算出部42は、濃度区分(X+3)から濃度区分32までのヒストグラム度数の総和値を算出する。
判定部43は、ピーク値算出部41によって特定されたピーク値および総和算出部42によって算出された総和値に基づいて、下地除去処理を行うべきか否かを判定する。
図6は下地判定部35における下地除去を行うか否かの判定処理の流れを示すフローチャートである。また、図7の(a)は下地判定部35において下地除去を行うべきであると判定されるヒストグラムの一例を示すグラフであり、(b)は下地判定部35において下地除去を行うべきではないと判定されるヒストグラムの一例を示すグラフである。なお、図7に示したヒストグラムは、横軸が濃度区分を示す濃度値(数字の小さい方が濃度が高い)、縦軸が各濃度区分に属する最小値の頻度である度数値を示す。また、濃度区分Xに対するヒストグラム度数をH(X)としている。
まず、ピーク値算出部41は、ピーク値であるか否かを判定する注目濃度区分をX=32(濃度値が最大である濃度区分。すなわち、実際の濃度が一番薄い濃度区分。)に設定する(S11)。
そして、ピーク値算出部41は、注目濃度区分Xのヒストグラム度数H(X)が下地判定閾値T1以上であるか否かを判断する(S12)。
S12においてH(X)が下地判定閾値T1未満であると判断した場合、ピーク値算出部41は、注目濃度区分をX=X−1(前回の注目濃度区分の次に濃度値が小さい濃度区分)に設定し(S13)、S12の処理に戻る。
S12においてヒストグラム度数H(X)が下地判定閾値T1以上であると判断した場合、ピーク値算出部41は、H(X)>H(X−1)であるか否かを判断する(S14)。すなわち、ピーク値算出部41は、現在の注目濃度区分Xのヒストグラム度数H(X)が、現在の注目濃度区分の次に濃度値が小さい濃度区分(X−1)のヒストグラム度数H(X−1)よりも大きいか否かを判断する。
S14においてH(X)>H(X−1)ではないと判断した場合、ピーク値算出部41は、S13の処理を行うとともに、S12の処理に戻る。
一方、S14においてピーク値算出部41がH(X)>H(X−1)であると判断した場合、判定部43は、H(X)/H(X+i)≧T2(iは1以上の整数。本実施形態ではi=2。)であるか否かを判断する(S15)。すなわち、判定部43は、H(X)を現在の注目濃度区分よりも濃度値がi段階大きい濃度区分(i濃度区分だけ薄い側の濃度区分)のヒストグラム度数で除算した比(H(X)/H(X+i))が、予め設定される下地有無判定閾値(第2閾値)T2以上であるか否かを判断する。
なお、下地有無判定閾値T2は、画像サンプルに基づいて予め設定しておく。例えば、新聞原稿の場合にはH(X)/H(X+2)の値は最小で500程度であり、プリント原稿の場合にはH(X)/H(X+2)の値は最大で13程度である。このため、下地有無判定閾値T2は、50以上300以下の範囲内に設定することが好ましい。本実施形態では下地有無判定閾値T2を100に設定している。下地有無判定行閾値T2は、新聞原稿や雑誌原稿と、背景となる部分がハイライト濃度で紙の全体に印字されているようなプリンタ出力原稿(プリント原稿)とを用いて予め測定試験を行い、両者を判別することができるように適切な値に設定すればよい。
また、本実施形態では、上記iの値を2に設定している。これは、下地濃度が本来は濃度区分Xに対応する濃度である場合であっても、画像読取時の誤差等により下地濃度が濃度区分X+1にも反映される可能性があるため、その影響を除外するためである。ただし、iの値は2に限るものではなく、濃度区分数等に応じて適宜設定すればよい。例えば、濃度区分数が32よりも多い場合、iを3以上の整数に設定してもよい。また、濃度区分数が32より少ない場合、iを1に設定してもよい。
S15においてH(X)/H(X+i)≧T2であると判断した場合、判定部43は、総和算出部42が算出した濃度区分(X+i+1)から濃度区分32までのヒストグラム度数の総和値{H(32)+・・・+H(X+i+1)}が予め設定された閾値(第3閾値)T3未満であるか否かを判断する(S16)。
閾値T3は、原稿画像が台紙に貼り付けた原稿の画像である場合に台紙の影響をどの程度考慮するかに応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが、原稿画像データにおけるヒストグラムの生成対象とする領域のうち、台紙に貼りつけた原稿から読み取られる台紙の領域の画素数をP3としたときに、P3の60%〜80%程度に設定することが好ましい。例えば、原稿サイズ:A4、解像度600dpi、ヒストグラムの生成から除外される領域:主走査方向=副走査方向=3mm、台紙と貼り付けた原稿との間隔:2mmである場合、ヒストグラムの生成対象領域のうち読み取られる台紙の領域の画素数P3はP3=553989画素になる。このため、本実施形態では、閾値T3を40万画素に設定している。
台紙に貼り付けた原稿の場合、どの程度台紙の領域が読み取られるのか、および、原稿の読み取り位置の変動などを考慮して上記閾値T3を設定すればよい。上記閾値T3の値を小さくすると、貼り付けた原稿の背景が下地として判定されるのを抑制することができる。このため、本実施形態においては、上記閾値T3を上記P3の60%〜80%程度の値に設定している。ただし、閾値T3の範囲はこれに限るものではなく、台紙と貼り付けられる原稿との間隔を変えるとともに台紙の色や濃度を変更した種々の画像サンプルを用いて予め測定試験を行うなどして適宜設定すればよい。
なお、上記閾値T1に乗算する係数として100%以上の値を設定するようにしてもよい。例えば、サイズがB5とA4の間である不定形の新聞の切り抜き原稿の読み取りを行う場合、マニュアル操作で出力する原稿サイズをA4に指定することができる。この場合、不定形の原稿サイズ以外の領域は原稿台の色が読み取られる。上記したように、上記閾値T1がP1×1/2の60%以上80%以下の範囲に設定されていると、不定形の原稿サイズ以外の領域が下地と判断され、新聞の下地が除去できなくなるおそれがある。このような場合、上記閾値T1をP1×1/2の100%以上に設定すればよい。例えば、操作パネルを用いて原稿サイズとして不定形が選択されたとき、上記閾値T1をP1×1/2の100%以上の値に切り換えるようにすればよい。この場合も、様々な不定形サイズの原稿を用いて測定試験を行うなどして、不定形原稿サイズ以外の領域が下地として検出されないように、上記P1×1/2に乗算する値を設定すればよい。
また、閾値T1をP1×1/2の100%以上に設定する場合、上記閾値T3も上記P3の100%以上の値に設定し、図6のS16において、YESと判定されるようにしておくのが好ましい。このように閾値T3を上記P3の100%以上の値に設定することにより、不定形原稿サイズ以外の領域の度数が加算されて、S16の判定において下地無しとして誤判定されるのを防ぐことができる。この場合も、様々な不定形サイズの原稿を用いて測定試験を行うなどして、不定形の切り抜き原稿が下地無しとして誤判定されないように、上記P3に乗算する値を設定すればよい。
そして、S16において上記総和値がT3未満であると判断した場合、判定部43は、下地除去を行うべきであると判断し、下地濃度区分をXとする(S17)。
一方、S15においてH(X)/H(X+i)≧T2ではないと判断した場合、およびS16において上記総和値がT3以上であると判断した場合、判定部43は、下地除去を行うべきではないと判断し、下地濃度区分を32とする(S18)。すなわち、判定部43は、例えば図8のように下地部分の濃度と思われる濃度区分(X+i)よりも淡い濃度区分(X+i+1〜32)の度数の総和がT3より多い場合は、下地除去を行うべきでない(下地無し)と判定する。
なお、S15において、現在の注目濃度区分が所定の濃度区分閾値T4(本実施形態ではT4=31)未満であるか否かの判定を行うようにしてもよい。
以上のように、本実施形態では、ヒストグラム生成部34が原稿画像データにおける各画素の濃度値の所定の濃度区分毎の度数を示すヒストグラムを生成し、下地判定部35がヒストグラムに基づいて下地除去の要否を判定する。具体的には、下地判定部35は、ヒストグラムにおける度数の極大値のうち、所定の下地判定閾値T1以上であり、かつ最も濃度値が低い側(濃度が薄い側)に位置する極大値と、当該極大値に対応する濃度区分である第1濃度区分(X)に対して所定区分(本実施形態では2区分)だけ濃度値が低い側に位置する濃度区分である第2濃度区分(本実施形態ではX+2)の度数との比H(X)/H(X+2)が所定の下地有無判定閾値T2以上である場合に下地除去が必要であると判定し、下地有無判定閾値T2未満である場合に下地除去は不要であると判定する。
また、本実施形態では、下地判定部35が、第2濃度区分(X+2)よりも濃度値が低い各濃度区分(X+3〜32)についての度数の総和を算出する総和算出部42と、前記総和が所定の第3閾値T3よりも大きい場合には、前記比H(X)/H(X+2)と前記下地有無判定閾値T2との比較結果にかかわらず下地除去を行わないと判定する。
これにより、例えば新聞のように真っ白ではない紙にインクで印刷されている原稿の場合、下地(紙における印字されていない部分)の濃度分布が狭いので、図7の(a)に示したように、ヒストグラムの山が急峻になり、濃度区分Xの度数H(X)が下地判定閾値T1以上になり、H(X)/H(X+2)が下地有無判定閾値T2以上になり、上記総和値がT3未満になって下地除去を行うべきである(下地濃度区分=X)と判定される。また、ヒストグラムのピークとなる濃度区分(あるいはヒストグラムのピークとなる濃度区分とそれに隣接する濃度区分)を下地部分の濃度として下地除去処理が行われる。
また、背景となる部分がハイライト濃度で紙の全体に印字されているようなプリンタ出力原稿の場合、ハイライト濃度部分は下地画素に判別されることが多く、ハイライト濃度の背景部分の濃度分布は広いため、図7の(b)のようにヒストグラムの山が急峻ではなくなる。このため、H(X)/H(X+2)が下地有無判定閾値T2未満となり、下地無し、すなわち下地除去を行うべきでない(下地濃度区分=32)と判定される。このように、本実施形態では、濃度区分(X+2)の度数H(X+2)に対する度数H(X)を、下地候補を判断される領域のヒストグラムの広がり(分散)を示す指標として使用している。上記H(X)/H(X+2)により、真っ白ではない紙に印刷された原稿(下地除去を行う原稿)と下地(背景)が印刷されているプリンタ出力原稿(下地除去を行わない原稿)とを区別することが可能となる。上記閾値T2は、下地候補の領域の極大値と、下地候補領域のヒストグラムの広がりを表す濃度区分における度数とにより設定される値であるということができる。これにより、ハイライト濃度の背景部分は原稿を作る際に意図的に色付けされたものであるにもかかわらず、背景部分の色が誤判定により除去されてしまうという不具合を防止することができる。
また、例えば、淡い色の台紙に雑誌などから切り取った画像を貼りつけた原稿などの場合、貼りつけた画像のヒストグラムのピークよりも低濃度側に台紙の色に対応する度数が現れる。これに対して、上記の構成では、下地判定部35が、第2濃度区分(X+2)よりも濃度値が低い各濃度区分(X+3〜32)についての度数の総和を算出する総和算出部42と、前記総和が所定の第3閾値T3よりも大きい場合には、前記比H(X)/H(X+2)と下地有無判定閾値T2との比較結果にかかわらず下地除去を行わないと判定する。これにより、台紙の色が誤って除去されることを防止できる。
また、本実施形態では、領域画素中の下地画素と判定された画素についてヒストグラムを生成している。この場合、下地画素について生成したヒストグラムに基づいて、下地の判定(下地除去の要否の判定)を行うとともに、原稿種別の判別を行うことができる。例えば、ヒストグラムの濃度区分が32である場合、1/2以上の濃度区分において度数が所定値以上あれば、写真(連続階調写真)原稿であると判定することができる。ただし、下地画素についてのヒストグラムを生成する構成に限らず、他の領域画素も含めたヒストグラムを生成し、当該ヒストグラムに基づいて下地の判定を行うようにしてもよい。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
実施形態1では、ヒストグラム生成部34が、領域画素中の下地画素と判定された画素について、各画素の色成分のうちの最小値の度数を示す最小値ヒストグラムを生成する構成について説明した。
これに対して、本実施形態では、ヒストグラム生成部34が、最小値ヒストグラムに代えて、L*値ヒストグラム(輝度値ヒストグラム)を生成する。
具体的には、ヒストグラム生成部34は、シェーディング補正部12から入力されたRGB信号をL*a*b*信号に色変換し、領域画素中の下地画素と判定された注目画素について、L*値ヒストグラム生成処理を行う。RGB信号からL*a*b*信号への色変換処理は、特に限定されるものではなく、従来から公知の方法を用いることができる。
ヒストグラムの濃度区分数は、例えば、L*値(信号値)が小さい方から第1濃度区分、第2濃度区分とし、L*値が最も大きい区分を第32濃度区分とする32区分を設ける。
L*値ヒストグラムを用いる場合、下地濃度値をL*値で求めることができ、L*値を用いて下地除去処理を行うことができる。すなわち、L*値ヒストグラムを作成した場合、下地除去部37は、L*値による下地濃度値に対応する補正量テーブルを選択し下地除去処理を行うことができる。
〔実施形態3〕
本発明のさらに他の実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
上述した各実施形態では、本発明を、カラー画像入力装置2、カラー画像処理装置3、およびカラー画像出力装置4を備えた画像形成装置1に適用する場合について説明した。これに対して、本実施形態では、本発明をフラットベッドスキャナなどの画像読取装置に適用する場合の例について説明する。
図9は、本実施形態にかかる画像読取装置1bの構成を示すブロック図である。
図9に示すように、画像読取装置1bは、カラー画像入力装置2とカラー画像処理装置3bとで構成される。カラー画像処理装置3bは、A/D変換部11、シェーディング補正部12、および原稿特徴判別部13を備えている。
カラー画像入力装置2は、原稿を読み取って原稿の画像データを生成し、生成した画像データをカラー画像処理装置3に出力する。なお、カラー画像入力装置2の構成は、原稿の画像データを生成することができる構成であれば特に限定されるものではなく、従来から公知の種々の画像入力装置を用いることができる。例えば、CCD(Charge Coupled Device )を備えたスキャナ部(図示せず)を有し、原稿からの反射光像をCCDで読み取ってRGB(R:赤、G:緑、B:青)のアナログ信号から成る画像データを生成する構成のものを用いてもよい。
カラー画像処理装置3bは、カラー画像入力装置2から入力される画像データを、A/D変換部11、シェーディング補正部12、原稿特徴判別部13の順に送る。
A/D変換部11は、RGBのそれぞれに対応するアナログ信号の画像データをデジタル信号の画像データに変換する。
シェーディング補正部12は、A/D変換部11から送られてきたRGBに対応するデジタル信号の画像データに対して、カラー画像入力装置2の照明系、結像系、撮像系で生じる各種の歪みを取り除く処理を施す。また、シェーディング補正部12は、カラーバランスの調整を行う。
画像読取装置40から出力された画像データおよび原稿特徴判別信号は、ネットワークを介してプリンタや複合機に、あるいは、コンピュータに送信される。
原稿特徴判別部13は、シェーディング補正部12にて各種の歪みが取り除かれ、カラーバランスの調整がなされたRGB信号(RGBの反射率信号)を濃度信号に変換する。また、原稿特徴判別部13は、(i)原稿が文字原稿、印刷写真原稿、あるいは文字と印刷写真が混在した文字印刷写真原稿のいずれであるかを判別する原稿種別判定処理、および(ii)下地除去処理を行うべき原稿である否かを判別する下地判定処理を行う。また、原稿特徴判別部13は、原稿種別判定処理の結果を示す原稿特徴判定信号を生成し、通信ネットワークを介して他の装置(例えばプリンタ、複合機、コンピュータ等)に送信する。なお、原稿特徴判別部13の構成は実施形態1と略同様なので、ここではその説明を省略する。
〔実施形態4〕
本発明のさらに他の実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
カラー画像処理装置3,3bの制御ブロック(特に原稿特徴判別部13)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、カラー画像処理装置3,3bは、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
これにより、原稿特徴判別部13の処理を実行するプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)を記録した記録媒体を持ち運び自在に提供することができる。また、記録媒体に記録させたプログラムを画像形成装置1、画像読取装置1b、あるいはコンピュータシステムに備えられるプログラム読取装置に読み取られせることにより、上記の原稿特徴判別処理を実行させることができる。
コンピュータシステムは、フラットベッドスキャナ、フィルムスキャナ、デジタルカメラなどの画像入力装置、所定のプログラムコードがロードされることにより上記画像処理方法など様々な処理が行われるコンピュータ、コンピュータの処理結果を表示するCRTディスプレイ、液晶ディスプレイなどの画像表示装置およびコンピュータの処理結果を紙などに出力するプリンタにより構成されていてもよい。また、ネットワークを介してサーバーなどに接続するための通信手段としてのネットワークカードやモデムなどを備えていてもよい。
〔まとめ〕
本発明の態様1にかかる画像処理装置(カラー画像処理装置3,3b)は、原稿画像データにおける各画素の信号値の所定の濃度区分毎の度数を示すヒストグラムを生成するヒストグラム生成部34と、前記ヒストグラムに基づいて下地除去の要否を判定する下地判定部35とを備え、前記下地判定部35は、前記ヒストグラムの極大値のうち、所定の第1閾値(下地判定閾値T1)以上であり、かつ最も濃度が薄い側に位置する極大値H(X)と、当該極大値H(X)に対応する濃度区分である第1濃度区分Xに対して所定濃度区分数iだけ濃度が薄い側に位置する濃度区分である第2濃度区分X+iの度数との比H(X)/H(X+i)が所定の第2閾値(下地有無判定閾値T2)以上である場合に下地除去が必要であると判定することを特徴としている。
上記の構成によれば、原稿の下地とプリンタで印刷された背景画像とを適切に識別することができる。すなわち、新聞などの真っ白ではない紙にインクで印刷されている原稿に対しては下地除去(紙色の除去)を適正に行い、背景部分が紙全体にハイライト濃度で印字した画像であるプリンタ出力原稿等に対してはハイライト濃度部分を下地と誤判定して除去してしまうことを防止できる。
本発明の態様2にかかる画像処理装置(カラー画像処理装置3,3b)は、上記態様1において、前記第2濃度区分X+iよりも濃度が薄い各濃度区分についての前記度数の総和を算出する総和算出部42を備え、前記下地判定部35は、前記総和が所定の第3閾値T3よりも大きい場合には下地除去を行わない構成である。
上記の構成によれば、例えば、原稿が台紙の一部に画像(雑誌等から切り取った画像など)を貼り付けた原稿の場合などに、台紙の色が誤って除去されることを防止できる。
本発明の態様3にかかる画像処理装置(カラー画像処理装置3,3b)は、上記態様1または2において、前記原稿画像データは、原稿台に載置された原稿を読み取る画像読取装置(カラー画像入力装置2)で原稿を読み取って生成された画像データであり、前記ヒストグラム生成部34は、前記原稿画像データのうち、前記原稿における前記画像読取装置(カラー画像入力装置2)で読み取るときに前記原稿台の端部に配置されていた領域の原稿画像データをヒストグラムの生成処理の対象から除外する構成である。
一般に、原稿台に載置された原稿を読み取る形式の画像読取装置では、原稿台の縁に近い部分では、原稿台との間で原稿を挟み込む原稿カバーが原稿の上に載らず、その部分が原稿カバーが載っている部分よりも暗めに読み込まれてしまうことがある。このため、本来は下地の濃度域が狭いはずなのに濃度域が広がってしまい、下地無しとして誤判定されてしまう場合がある。これに対して、上記の構成によれば、原稿画像データのうち、画像読取装置で読み取るときに原稿台の端部に配置されていた領域の原稿画像データをヒストグラムの生成処理の対象から除外する。これにより、原稿読取時に生じる誤差に起因して下地有無の誤判定が生じることを防止できる。
本発明の態様4にかかる画像処理装置(カラー画像処理装置3,3b)は、上記態様1から3のいずれかにおいて、前記ヒストグラム生成部34は、前記ヒストグラムとして、原稿画像データにおける各画素の色成分毎の濃度値のうち最も濃度が濃い濃度値のヒストグラムを生成する構成である。
上記の構成によれば、原稿の下地とプリンタで印刷された背景画像とを適切に識別することができる。
本発明の態様5にかかる画像処理装置(カラー画像処理装置3,3b)は、上記態様1から3のいずれかにおいて、前記ヒストグラム生成部34は、原稿画像データをL*a*b*信号に色変換し、前記ヒストグラムとして、各画素についてのL*のヒストグラムを生成する構成である。
上記の構成によれば、原稿の下地とプリンタで印刷された背景画像とを適切に識別することができる。
本発明の態様6にかかる画像形成装置1は、上記態様1から5のいずれかに記載の画像処理装置(カラー画像処理装置)3を備えている構成である。
上記の構成によれば、原稿の下地とプリンタで印刷された背景画像とを適切に識別し、その識別結果に応じた適切な画像形成を行うことができる。
本発明の態様7にかかる画像処理方法は、原稿画像データにおける各画素の信号値の所定の濃度区分毎の度数を示すヒストグラムを生成するヒストグラム生成工程と、前記ヒストグラムに基づいて下地除去の要否を判定する下地判定工程とを含み、前記下地判定工程では、前記ヒストグラムの極大値のうち、所定の第1閾値(下地判定閾値T1)以上であり、かつ最も濃度が薄い側に位置する極大値H(X)と、当該極大値H(X)に対応する濃度区分である第1濃度区分Xに対して所定濃度区分数iだけ濃度が薄い側に位置する濃度区分である第2濃度区分X+iの度数との比H(X)/H(X+i)が所定の第2閾値(下地有無判定閾値T2)以上である場合に下地除去が必要であると判定することを特徴としている。
上記の方法によれば、原稿の下地とプリンタで印刷された背景画像とを適切に識別することができる。すなわち、新聞などの真っ白ではない紙にインクで印刷されている原稿に対しては下地除去(紙色の除去)を適正に行い、背景部分が紙全体にハイライト濃度で印字した画像であるプリンタ出力原稿等に対してはハイライト濃度部分を下地と誤判定して除去してしまうことを防止できる。
本発明の各態様に係る画像処理装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記ヒストグラム生成部および前記下地判定部として動作させることにより前記画像処理装置をコンピュータにて実現させる画像処理プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も本発明の範疇に含まれる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。