JP2016219640A - 熱硬化性樹脂組成物、キャリア付樹脂膜、プリント配線基板、および半導体装置 - Google Patents
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Abstract
Description
そのため、加熱時にPOPの上下の半導体パッケージは、半導体素子と半導体素子が搭載されるプリント配線基板との熱膨張の差が非常に大きいため、大きく反ってしまう場合があった。
しかしながら、特許文献1の樹脂組成物は、得られる半導体装置の反りの抑制効果は十分満足いくものではなかった。
プリント配線基板における絶縁層を形成するために用いられる熱硬化性樹脂組成物であって、
熱硬化性樹脂と、無機充填材と、(メタ)アクリル系ブロック共重合体とを含み、
当該熱硬化性樹脂組成物を230℃、2時間加熱処理して得られる硬化物のガラス転移温度が180℃以上である熱硬化性樹脂組成物が提供される。
ここで、上記ガラス転移温度は、昇温速度5℃/min、周波数1Hzの条件での動的粘弾性測定により得られる曲線おいて、150℃以上の領域に存在する損失正接tanδのピーク値に対応する温度である
キャリア基材と、
上記キャリア基材上に設けられ、かつ、上記熱硬化性樹脂組成物により構成される樹脂膜と、
を備えるキャリア付樹脂膜が提供される。
本実施形態においては、例えば、樹脂組成物(P)を用いて形成される熱硬化性樹脂膜を回路層上に積層し、これを熱硬化させることによりビルドアップ層やソルダーレジスト層における絶縁層が形成される。
一方で、樹脂組成物(P)は、フィルム状であってもよい。この場合、例えば、ワニス状の樹脂組成物(P)を塗布して得られる樹脂膜に対し溶剤除去処理を行うことにより、フィルム状の樹脂組成物(P)を得ることができる。なお、フィルム状の樹脂組成物(P)は、キャリア基材上に積層されてキャリア付樹脂膜を構成することができる。
熱硬化性樹脂(A)としては、特に限定されないが、低線膨張率および高弾性率を有し、熱衝撃性の信頼性に優れたものであることが好ましい。また、熱硬化性樹脂(A)のガラス転移温度は、好ましくは160℃以上350℃以下であり、さらに好ましくは180℃以上300℃以下である。このようなガラス転移温度を有する熱硬化性樹脂(A)を用いることにより、鉛フリー半田リフロー耐熱性がさらに向上するという効果が得られる。
アラルキル型エポキシ樹脂は、例えば、下記(1)式で表される。
また、ベンゼン環に比べナフタレン環のπ−πスタッキング効果が高いため、特に、ナフタレン型エポキシ樹脂は低熱膨張性、低熱収縮性に優れる。さらに、多環構造のため剛直効果が高く、ガラス転移温度が特に高いため、リフロー前後の熱収縮変化が小さい。ナフトール型エポキシ樹脂としては、例えば下記一般式(VII−1)、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂としては下記式(VII−2)、2官能ないし4官能ナフタレン型エポキシ樹脂としては下記式(VII−3)(VII−4)(VII−5)、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、下記一般式(VII−6)で示すことができる。
樹脂組成物(P)中に含まれる熱硬化性樹脂(A2)の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物(P)の全固形分(すなわち、溶媒を除く成分)を100質量%としたとき、1.0質量%以上25.0質量%以下が好ましく、3.0質量%以上20.0質量%以下がより好ましい。熱硬化性樹脂(A2)の含有量が上記範囲内であると、得られるプリプレグの硬化物や樹脂基板の低熱収縮性および耐薬品性のバランスをより一層向上させることができる。
分子内に少なくとも2つのマレイミド基を有するマレイミド化合物としては、例えば、4,4'−ジフェニルメタンビスマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、p−フェニレンビスマレイミド、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス−(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、N,N'−エチレンジマレイミド、N,N'−ヘキサメチレンジマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)エーテル、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド等の分子内に2つのマレイミド基を有する化合物、ポリフェニルメタンマレイミド等の分子内に3つ以上のマレイミド基を有する化合物等が挙げられる。
これらの中の1種類を単独で用いることもできるし、2種類以上を併用することもできる。これらのマレイミド化合物の中でも、低吸水率である点等から、4,4'−ジフェニルメタンビスマレイミド、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス−(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、ポリフェニルメタンマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミドが好ましい。
さらに、上記式(1a)において、Yは芳香族環を有する炭素数6以上30以下の炭化水素基であり、n2は0以上の整数である。
このようなマレイミド化合物としては、1,6'−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、ヘキサメチレンジアミンビスマレイミド、N,N'−1,2−エチレンビスマレイミド、N,N'−1,3−プロピレンビスマレイミド、N,N'−1,4−テトラメチレンビスマレイミド等の脂肪族マレイミド化合物;イミド拡張型ビスマレイミド等を挙げることができる。これらの中でも1,6'−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、イミド拡張型ビスマレイミドが特に好ましい。マレイミド化合物は、単独で使用しても良く、二種類以上を併用してもよい。
イミド拡張型ビスマレイミドとしては、例えば、以下の式(a1)により示されるマレイミド化合物、以下の式(a2)により示されるマレイミド化合物、以下の式(a3)により示されるマレイミド化合物等が挙げられる。式(a1)により示されるマレイミド化合物の具体例のとしてはBMI−1500(デジグナーモレキュールズ社製、分子量1500)等が挙げられる。式(a2)により示されるマレイミド化合物の具体例のとしてはBMI−1700(デジグナーモレキュールズ社製、分子量1700)、BMI−1400(デジグナーモレキュールズ社製、分子量 1400)等が挙げられる。式(a3)により示されるマレイミド化合物の具体例のとしてはBMI−3000(デジグナーモレキュールズ社製、分子量3000)等が挙げられる。
樹脂組成物(P)は、熱硬化性樹脂(A)としてシアネート樹脂を含むことにより、得られる絶縁層の線膨張係数を小さくすることができる。さらに、シアネート樹脂を用いることにより、得られる絶縁層の電気特性(低誘電率、低誘電正接)、機械強度等を向上できる。
ノボラック型シアネート樹脂としては、例えば、下記一般式(I)で示されるものを使用することができる。
これらの中でも、タルク、アルミナ、ガラス、シリカ、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが好ましく、シリカが特に好ましい。無機充填材(B)としては、これらの中の1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
無機充填材(B)の平均粒子径は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(HORIBA社製、LA−500)により、粒子の粒度分布を体積基準で測定し、そのメディアン径(D50)を平均粒子径とすることができる。
なお、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(C)の重合体ブロック(S)を構成するポリマーのTgは、特に限定されないが、30℃未満が好ましい。また、重合体ブロック(H)を構成するポリマーのTgは、特に限定されないが、30℃以上が好ましい。(メタ)アクリル系ブロック共重合体(C)が複数の重合体ブロック(H)を有する場合には、それぞれの重合体ブロック(H)が同じ組成を有していてもよいし、異なっていてもよい。同様に、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(C)が複数の重合体ブロック(S)を有する場合も、それぞれの重合体ブロック(S)が同じ組成を有していてもよいし、異なっていてもよい。
上記重合体ブロック(S)を構成するモノマー成分としては特に限定されないが、例えば、ホモポリマーのTgが30℃未満であるモノマーが挙げられる。このようなモノマーとしてはアクリル酸ブチルやアクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸C2−10アルキルエステル、ブタジエン(1,4−ブタジエン)等が挙げられる。
上記PMMA−b−PBA−b−PMMAやPMMA−b−PBAは、耐熱性、耐光性、及び耐クラック性向上の点で好ましい。なお、上記PMMA−b−PBA−b−PMMAやPMMA−b−PBAは、必要に応じて、熱硬化性樹脂(A)等に対する相溶性向上を目的として、親水性基(例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基等)を有するモノマー、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸等を、PMMAブロック及び/又はPBAブロックに共重合させたものであってもよい。
また、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(C)としては、例えば、商品名「ナノストレングス M52N」、「ナノストレングス M22N」、「ナノストレングス M51」、「ナノストレングス M52」、「ナノストレングス M53」、「ナノストレングス M22」(アルケマ社製、PMMA−b−PBA−b−PMMA)、商品名「ナノストレングスD51N」(アルケマ社製、PMMA−b−PBA)、商品名「ナノストレングス E21」、「ナノストレングス E41」(アルケマ社製、PSt(ポリスチレン)−b−PBA−b−PMMA)等の市販品を使用することもできる。
これにより、無機充填材(B)と各樹脂との界面の濡れ性を高くすることができ、得られる絶縁層の耐熱性をより向上させることができる。
カップリング剤の含有量が上記下限値以上であると、無機充填材(B)を十分に被覆することができ、得られる絶縁層の耐熱性を向上させることができる。また、カップリング剤の含有量が上記上限値以下であると、反応に影響を与えるのを抑制でき、得られる絶縁層の曲げ強度等の低下を抑制することができる。
樹脂ワニス(I)の固形分は、特に限定されないが、40質量%以上80質量%以下が好ましく、特に50質量%以上70質量%以下が好ましい。これにより、樹脂ワニス(I)の作業性や成膜性をさらに向上させることができる。
樹脂組成物(P)の全固形分(すなわち、溶媒を除く成分)を100質量%としたとき、好ましくは、熱硬化性樹脂(A)の割合が8.0質量%以上40.0質量%以下であり、無機充填材(B)の割合が50.0質量%以上90.0質量%以下であり、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(C)の割合が0.1質量%以上10.0質量%未満である。
より好ましくは、熱硬化性樹脂(A)の割合が10.0質量%以上30.0質量%以下であり、無機充填材(B)の割合が55.0質量%以上80.0質量%以下であり、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(C)の割合が1.0質量%以上8.0質量%以下である。
また、上記硬化物において、動的粘弾性測定によるガラス転移温度が上記範囲を満たすと、得られるプリント配線基板の剛性が高まり、実装時のプリント配線基板の反りを低減できる。その結果、得られる半導体装置について、半導体素子のプリント配線基板に対する位置ずれを抑制でき、半導体素子とプリント配線基板との間の接続信頼性を高めることができる。
このようなガラス転移温度を達成するためには、熱硬化性樹脂(A)、無機充填材(B)、(メタ)アクリル系ブロック共重合体(C)、硬化促進剤等の種類や配合量等をそれぞれ適切に制御することが重要である。
上記硬化物において、X1/X2が上記上限値以下であると、得られる絶縁層の応力をより一層緩和させたり、回路層等の他の部材との密着性をより一層向上させたりすることができる。下限については、例えば、0.15以上が好ましい。
本実施形態において、平均線膨張係数α1およびα2とは、TMA(熱機械分析)装置(TAインスツルメント社製、Q400)を用いて、温度範囲30℃〜260℃、昇温速度10℃/min、荷重10g、圧縮モードの条件で測定される、平面方向(XY方向)の線膨張係数(CTE)の平均値である。
上記硬化物において、(α2−α1)が上記上限値以下であると、得られるプリント配線基板において、環境温度に大きな変化が生じても、回路層と絶縁層との間の線膨張係数差に起因して発生する応力の変化を低減することができる。そのため、得られるプリント配線基板や半導体装置において、温度変化が激しい状況に長期間置かれても、回路層と絶縁層との密着性を維持することができる。以上から、このような樹脂組成物(P)を用いることにより、得られるプリント配線基板の高温高湿下での絶縁信頼性を高めることができると考えられる。
さらに、上記硬化物において、(α2−α1)が上記上限値以下であると、得られる半導体装置において、環境温度に大きな変化が生じても、プリント配線基板と半導体素子との間の線膨張係数差に起因して発生する応力の変化を低減することができる。その結果、半導体装置の反りがより一層抑制され、半導体素子のプリント配線基板に対する位置ずれをより一層抑制でき、半導体素子とプリント配線基板との間の高温での接続信頼性や温度サイクル信頼性をより一層高めることができる。
上記硬化物において、平均線膨張係数α2が上記範囲を満たすと、得られるプリント配線基板において、半田リフロー等の高い温度に曝された際に回路層と絶縁層との間の線膨張係数差に起因して発生する応力を低減することができる。そのため、得られるプリント配線基板や半導体装置において、温度変化が激しい状況に長期間置かれても、回路層と絶縁層との密着性を維持することができる。これにより、得られるプリント配線基板の高温高湿下での絶縁信頼性をより一層高めることができる。
また、上記硬化物において、平均線膨張係数α2が上記範囲を満たすと、得られる半導体装置において、半田リフロー等の高い温度に曝された際にプリント配線基板と半導体素子との間の線膨張係数差に起因して発生する応力を低減することができる。その結果、半導体装置の反りがより一層抑制され、半導体素子のプリント配線基板に対する位置ずれをより一層抑制でき、半導体素子とプリント配線基板との間の高温での接続信頼性や温度サイクル信頼性をより一層高めることができる。
上記硬化物において、250℃での貯蔵弾性率E'250が上記範囲を満たすと、得られるプリント配線基板の剛性や耐熱性、応力緩和能の性能バランスが向上し、実装時のプリント配線基板の反りをより一層低減できる。その結果、得られる半導体装置について、半導体素子のプリント配線基板に対する位置ずれをより一層抑制でき、半導体素子とプリント配線基板との間の接続信頼性をより一層高めることができる。
図1は、本実施形態におけるキャリア付樹脂膜100の構成の一例を示す断面図である。キャリア付樹脂膜100は、プリント配線基板のビルドアップ層またはソルダーレジスト層における絶縁層を形成するために用いられる。図1に示すように、キャリア付樹脂膜100は、例えば、キャリア基材12と、キャリア基材12上に設けられた樹脂膜10と、を備える。樹脂膜10は、本実施形態に係る樹脂組成物(P)により構成される。このため、上述したように、キャリア付樹脂膜100を用いて形成される絶縁層を備える半導体装置の信頼性を向上させることができる。
なお、本実施形態において、ビアホール307とは層間を電気的に接続するための孔であり、貫通孔および非貫通孔いずれでもよい。
ここで、本実施形態に係るプリント配線基板300において、ビルドアップ層317における絶縁層305およびソルダーレジスト層401から選択される少なくとも一層が本実施形態に係る樹脂組成物(P)の硬化物により構成されており、ビルドアップ層317における絶縁層305およびソルダーレジスト層401から選択されるすべての層が本実施形態に係る樹脂組成物(P)の硬化物により構成されていることが好ましい。
次いで、エッチング処理により、金属箔105の一部またはすべてを除去する。
なお、エッチング処理による金属箔105の除去前に、絶縁層301にビアホール307を形成してもよい。
薬液処理としては、特に限定されず、有機物分解作用を有する酸化剤溶液等を使用する方法等が挙げられる。また、プラズマ処理としては、対象物となるものに直接酸化作用の強い活性種(プラズマ、ラジカル等)を照射して有機物残渣を除去する方法等が挙げられる。
また、上記実施形態では、半導体素子407と、プリント配線基板300の回路層とを半田バンプ410で接続したが、これに限られるものではない。例えば、半導体素子407とプリント配線基板300の回路層とをボンディングワイヤで接続してもよい。
エポキシ樹脂1:アラルキル型エポキシ樹脂(NC3000、日本化薬社製)
エポキシ樹脂2:ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂(HP6000、DIC社製)
エポキシ樹脂3:4官能ナフタレン型エポキシ樹脂(エピクロンHP−4710、DIC社製)
エポキシ樹脂4:ナフトール型エポキシ樹脂(NC7000L、日本化薬社製)
エポキシ樹脂5:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(EPICLON 830S、DIC社製)
シアネート樹脂1:一般式(II)で表わされるp−キシレン変性ナフトールアラルキル型シアネート樹脂(ナフトールアラルキル型フェノール樹脂(東都化成社製「SN−485誘導体」)と塩化シアンの反応物)
アミン化合物1:2,2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(和歌山精化製BAPP アミン当量103)
アミン化合物2:両末端アミノ変性ジメチルシリコーン(信越化学社製、X22−161A(数平均分子量:1,600)
マレイミド化合物1:式(1)において、n1が0以上3以下、X1が「−CH2−」で表される基、aが0、bが0である化合物(BMI−2300、大和化成工業社製、Mw=750)
マレイミド化合物2::式(a1)により示されるビスマレイミド化合物(BMI−1500、デジグナーモレキュールズ社製、分子量1500)
ベンゾオキサジン化合物1:式(2−1)により示されるベンゾオキサジン化合物(P−d型ベンゾオキサジン、四国化成工業社製)
低応力材2:アクリル系ブロック共重合体(アクリルモノマーのブロック共重合体(PMMA−b−PBA−b−PMMA;b=ブロック)、数平均分子量:約16,000、アルケマ社製、ナノストレングスM52)
低応力材3:アクリル系ブロック共重合体(アクリルモノマーのブロック共重合体(PMMA−b−PBA−b−PMMA;b=ブロック)、数平均分子量:約19,000、アルケマ社製、ナノストレングスM22)
低応力材4:アクリル系ブロック共重合体(アクリルモノマーのブロック共重合体(PMMA−b−PBA;b=ブロック)、数平均分子量:約8,000、アルケマ社製、ナノストレングスD51N)
低応力材5:両末端エポキシ官能性シロキサンオリゴマー(TSL9906、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)
低応力材6:アクリル系ランダム共重合体(カルボン酸、ヒドロキシル基、およびアクリロニトリル基含有数平均分子量:約50万、SG−708−6、ナガセケムテックス社製)
無機充填材2:シリカ粒子(アドマテックス社製、SC4050KNT、平均粒径1.1μm)
硬化促進剤2:2−フェニルイミダゾール(四国化成社製、2PZ−PW)
表1に示す固形分割合で各成分を溶解または分散させ、メチルエチルケトンで不揮発分70質量%となるように調整し、高速撹拌装置を用い撹拌して樹脂ワニス1を調製した。
得られた樹脂ワニス1をキャリア基材であるPETフィルム上に塗布した後、140℃、2分間の条件で溶剤を除去して、厚さ30μmの熱硬化性樹脂膜を形成した。これにより、キャリア付樹脂膜を得た。
キャリア付樹脂膜2〜14は、樹脂ワニスの種類を表2のように変えた以外は、キャリア付樹脂膜1と同様にして製造した。
1.プリント配線板の製造
極薄銅箔(三井金属鉱業社製、マイクロシンEx、2.0μm)を使用した両面銅張積層板(住友ベークライト(株)製、LAZ−4785TH−G、絶縁層厚み0.2mm)の表面の極薄銅箔層に約1μmの粗化処理を施した後、炭酸ガスレーザーで、層間接続用のφ80μmのスルーホールを形成した。次いで、60℃の膨潤液(アトテックジャパン社製、スウェリングディップ セキュリガント P)に5分間浸漬し、さらに80℃の過マンガン酸カリウム水溶液(アトテックジャパン社製、コンセントレート コンパクト CP)に2分間浸漬後、中和してスルーホール内のデスミア処理を行った。次に、無電解銅メッキを厚さ0.5μmで行い、電解銅メッキ用レジスト層を厚さ18μm形成し、パターン銅メッキし、150℃、30分加熱してポストキュアした。次いでメッキレジストを剥離し全面をフラッシュエッチングして、L/S=15/15μmの両面に回路パターンを形成した。
回路パターンを形成した後の回路基板に対し、熱硬化性樹脂膜が回路パターンと対向するよう上記で得られたキャリア付樹脂膜1を両面に積層した後、2ステージ真空加圧式ラミネーター装置(名機製作所社製、MVLP−500)を用いて、30秒間減圧して10hPa以下で、1ステージ条件として温度120℃、圧力0.8MPa、30秒、2ステージ条件としてSUS鏡板で温度120℃、圧力1.0MPa、60秒にて真空加熱加圧成形した。次いで、キャリア付樹脂膜1からキャリア基材を剥離した後、回路パターン上の熱硬化性樹脂膜を230℃、2時間の条件で硬化した。次いで、セミアディティブ法で回路加工し、ソルダーレジストとして上記で得られたキャリア付き樹脂膜1を同様に両面に積層し、レーザー開口してプリント配線基板を得た。
得られたプリント配線基板の上に、10mm×10mm×100μm厚みの半田バンプ付半導体素子を実装し、アンダーフィル(住友ベークライト社製、CRP−4160G)で封止し、150℃で2時間硬化させた。最後に、15mm×15mmにダイシングし半導体装置を得た。
キャリア付樹脂膜の種類を表2に示すものに変えた以外は、実施例1と同様に半導体装置を作製した。
ガラス転移温度の測定は、動的粘弾性測定(DMA装置、TAインスツルメント社製、Q800))で行った。
得られたキャリア付樹脂膜からキャリア基材であるPETフィルムを剥離したものを3枚積層して、厚さ90μmの樹脂シートを作製した。次いで、当該樹脂シートを、230℃で2時間熱処理し、硬化物を得た。
得られた硬化物から8mm×40mmのテストピースを切り出し、そのテストピースに対し、昇温速度5℃/min、周波数1Hzで動的粘弾性測定をおこなった。
ここで、ガラス転移温度は、150℃以上の領域において損失正接tanδが最大値を示す温度とした。
また、X1/X2を算出した。ここで、X1は30℃以上180℃未満の領域において損失正接tanδが最大値を示す温度であり、X2は180℃以上の領域において損失正接tanδが最大値を示す温度である。
貯蔵弾性率E'の測定は、動的粘弾性測定(DMA装置、TAインスツルメント社製、Q800)で行った。
得られたキャリア付樹脂膜からキャリア基材であるPETフィルムを剥離したものを3枚積層して、厚さ90μmの樹脂シートを作製した。次いで、当該樹脂シートを、230℃で2時間熱処理し、硬化物を得た。
得られた硬化物から8mm×40mmのテストピースを切り出し、そのテストピースに対し、昇温速度5℃/min、周波数1Hzで、250℃での貯蔵弾性率測定をおこない、250℃での貯蔵弾性率E'250を算出した。
得られたキャリア付樹脂膜からキャリア基材であるPETフィルムを剥離したものを3枚積層して、厚さ90μmの樹脂シートを作製した。次いで、当該樹脂シートを、230℃で2時間熱処理し、硬化物を得た。
得られた硬化物から8mm×40mmのテストピースを切り出し、そのテストピースに対し、熱機械分析装置TMA(TAインスツルメント社製、Q400)を用いて、温度範囲30〜260℃、昇温速度10℃/min、荷重10g、圧縮モードの条件で熱機械分析(TMA)を2サイクル測定した。50℃から150℃の範囲における平面方向(XY方向)の線膨張係数の平均値α1および150℃から250℃の範囲における平面方向(XY方向)の線膨張係数の平均値α2を算出した。
なお、線膨脹係数は、2サイクル目の値を採用した。
得られた半導体装置の260℃での反りを温度可変レーザー三次元測定機(日立テクノロジーアンドサービス社製、形式LS220−MT100MT50)を用いて評価した。上記測定機のサンプルチャンバーに半導体素子面を下にして設置し、高さ方向の変位を測定し、変位差の最も大きい値を反り量とした。評価基準は以下の通りである。
◎ :反り量が30μm未満
〇 :反り量が30μm以上50μm未満
× :反り量が50μm以上
得られたプリント配線基板のL/S=15/15μmの微細回路パターンの絶縁信頼性評価を行った。温度130℃、湿度85%、印加電圧3.3Vの条件で連続湿中絶縁抵抗を評価した。なお、抵抗値106Ω以下を故障とした。評価基準は以下の通りである。
◎:500時間以上故障なし
〇:200〜500時間未満で故障あり(実質上問題なし)
×:200時間未満で故障あり
12 キャリア基材
100 キャリア付樹脂膜
105 金属箔
300 プリント配線基板
301 絶縁層
303 金属層
305 絶縁層
307 ビアホール
308 無電解金属めっき膜
309 電解金属めっき層
311 コア層
317 ビルドアップ層
400 半導体装置
401 ソルダーレジスト層
407 半導体素子
410 半田バンプ
413 封止材
Claims (17)
- プリント配線基板における絶縁層を形成するために用いられる熱硬化性樹脂組成物であって、
熱硬化性樹脂と、無機充填材と、(メタ)アクリル系ブロック共重合体とを含み、
当該熱硬化性樹脂組成物を230℃、2時間加熱処理して得られる硬化物のガラス転移温度が180℃以上である熱硬化性樹脂組成物。
ここで、前記ガラス転移温度は、昇温速度5℃/min、周波数1Hzの条件での動的粘弾性測定により得られる曲線おいて、150℃以上の領域に存在する損失正接tanδのピーク値に対応する温度である - 請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物において、
当該熱硬化性樹脂組成物を230℃、2時間加熱処理して得られる硬化物に対し、昇温速度5℃/min、周波数1Hzの条件での動的粘弾性測定をおこなったとき、
30℃以上180℃未満の領域に存在する損失正接tanδのピーク値をX1とし、
180℃以上の領域に存在する損失正接tanδのピーク値をX2としたとき、
X1/X2が0.40以下である熱硬化性樹脂組成物。 - 請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物において、
前記(メタ)アクリル系ブロック共重合体は、重合体ブロック(S)と前記重合体ブロック(S)よりも高いガラス転移温度(Tg)を有する重合体ブロック(H)とが並んだ構造のジブロック共重合体、前記重合体ブロック(S)と前記重合体ブロック(H)とが交互に並んだ共重合体、前記重合体ブロック(S)を中間に有し、その両端に前記重合体ブロック(H)を有するトリブロック共重合体から選択される一種または二種以上を含む熱硬化性樹脂組成物。 - 請求項3に記載の熱硬化性樹脂組成物において、
前記重合体ブロック(S)がブチルアクリレートにより構成された重合体であり、前記重合体ブロック(H)がメチルメタクリレートにより構成された重合体である熱硬化性樹脂組成物。 - 請求項1乃至4いずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物において、
前記(メタ)アクリル系ブロック共重合体の数平均分子量(Mn)が3,000以上500,000以下である熱硬化性樹脂組成物。 - 請求項1乃至5いずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物において、
前記プリント配線基板のビルドアップ層またはソルダーレジスト層における絶縁層を形成するために用いられる熱硬化性樹脂組成物。 - 請求項1乃至6いずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物において、
前記無機充填材はシリカ粒子を含む熱硬化性樹脂組成物。 - 請求項1乃至7いずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物において、
当該熱硬化性樹脂組成物を230℃、2時間加熱処理して得られる硬化物の面内方向における、50℃から150℃の範囲において算出した平均線膨張係数をα1とし、150℃から250℃の範囲において算出した平均線膨張係数をα2としたとき、
α2とα1との差(α2−α1)が20.0ppm/℃以下である熱硬化性樹脂組成物。 - 請求項8に記載の熱硬化性樹脂組成物において、
前記平均線膨張係数をα2が45.0ppm/℃以下である熱硬化性樹脂組成物。 - 請求項1乃至9いずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物において、
当該熱硬化性樹脂組成物を230℃、2時間加熱処理して得られる硬化物の250℃での貯蔵弾性率E'250が12GPa以下である熱硬化性樹脂組成物。 - 請求項1乃至10いずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物において、
前記(メタ)アクリル系ブロック共重合体の含有量が、前記熱硬化性樹脂組成物の全固形分を100質量%としたとき、10.0質量%未満である熱硬化性樹脂組成物。 - 請求項1乃至11いずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物において、
前記熱硬化性樹脂がマレイミド化合物、ベンゾオキサジン化合物、およびシアネート樹脂から選択される一種または二種以上を含む熱硬化性樹脂組成物。 - 請求項12に記載の熱硬化性樹脂組成物において、
前記熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂をさらに含む熱硬化性樹脂組成物。 - キャリア基材と、
前記キャリア基材上に設けられ、かつ、請求項1乃至13いずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物により構成される樹脂膜と、
を備えるキャリア付樹脂膜。 - 請求項1乃至13いずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物を含むビルドアップ層を備えるプリント配線基板。
- 請求項1乃至13いずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物を含むソルダーレジスト層を備えるプリント配線基板。
- 請求項15または16に記載のプリント配線基板の回路層上に半導体素子を搭載した半導体装置。
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