JP2016219180A - 膜−電極接合体の製造方法および膜−電極接合体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】固体高分子電解質膜10と、固体高分子電解質膜10の上下面に粘着層を介して貼合され、上下面側に平滑面を形成し、固体高分子電解質膜10の中央に少なくとも1つの開口部111を有する第1の多層構成プラスチックフィルム11および開口部111に設けられる第2の多層構成プラスチックフィルム12と、を有する電解質膜基材1から、第2の多層構成プラスチックフィルム12を除去し、第2の多層構成プラスチックフィルム12を除去した後、電解質膜基材1を加熱しながら、固体高分子電解質膜10の第2の多層構成プラスチックフィルム12が貼合されていた領域に触媒インク3を塗布し、触媒インク3の揮発成分を除去することで触媒層31を形成する。
【選択図】図1
Description
例えば、特許文献1には、膜−電極接合体の製造方法として、熱ラミネートロールを用いる方法およびホットプレスを用いる方法が開示されている。特許文献1に記載の熱ラミネートロールを用いる方法では、長尺の固体高分子電解質膜と、固体高分子電解質膜の両面側に配され、所望の形状を有する触媒層が付与された転写基材と、を接触させ、一対の熱ラミネートロールで熱圧着することによって、固体高分子電解質膜と触媒層とを一体的に接合する。その後、転写基材から基材のみを一対の剥離ロールを用いて触媒層から剥離する。
また、特許文献1に記載のホットプレスを用いる方法では、ホットプレスを用いて固体高分子電解質膜に触媒層担持基材上に担持された触媒層を転写する。特許文献1に記載の2つの手法を比べると、熱ラミネートロールを用いて転写する方法の方では、固体高分子電解質膜への触媒層の転写が連続的に行えるため、ホットプレスを用いて転写する方法に比べ製造速度を向上させることができる。
また、本発明の一態様によれば、上記に記載の膜−電極接合体製造方法により製造されることを特徴とする膜−電極接合体が提供される。
図1は、本発明の一実施形態に係る膜−電極接合体4の製造方法を説明するための概略図である。まず、本実施形態に係る膜−電極接合体4の製造方法では、図1(A)に示すように、電解質膜基材1を、平滑に保持した状態で加熱部2に積載する。電解質膜基材1は、固体高分子電解質膜10と、第1の多層構成プラスチックフィルム11と、第2の多層構成プラスチックフィルム12とからなり、固体高分子電解質膜10の上下面に、第1および第2の多層構成プラスチックフィルム11,12が不図示の粘着層を介して貼合されることで形成される。なお、第1の多層構成プラスチックフィルム11は、固体高分子電解質膜10の上下面にそれぞれ設けられ、固体高分子電解質膜10の各面の中央には少なくとも1つの開口部111が形成される。第2の多層構成プラスチックフィルム12は、第1の多層構成プラスチックフィルム11の少なくとも1つの開口部111に嵌合して、固体高分子電解質膜10の上下面にそれぞれ設けられる。さらに、第1および第2の多層構成プラスチックフィルム11,12は、第1および第2の多層構成プラスチックフィルム11,12で形成される電解質膜基材1の上下面側がそれぞれ平滑となるように設けられる。さらに、電解質膜基材1の上下面は、第1の多層構成プラスチックフィルム11と第2の多層構成プラスチックフィルム12とが隙間なく、重ならずに設けられるため、不連続な平面が形成される。
さらに、図1(C)に示すように、電解質膜基材1を加熱部2で加熱しながら、不図示の塗布装置にて液状の触媒インク3を、少なくとも固体高分子電解質膜10の第2の多層構成プラスチックフィルム12が貼合されていた領域に、露出した開口部111を介して塗布する。そして、図1(D)に示すように、加熱部20の熱により揮発成分を除去することで、電解質膜基材1の上面に触媒層31を形成する。
次いで、図1(F)に示すように、電解質膜基材1の下面に貼合された第2の多層構成プラスチックフィルム12を除去する。この際、第2の多層構成プラスチックフィルム12の除去は、図1(B)での処理と同様に行われる。
さらに、図1(G)に示すように、塗布装置にて液状の触媒インク3を、図1(C)での処理と同様に、電解質膜基材1の下面側に塗布する。そして、図1(H)に示すように、加熱部2の熱により揮発成分を除去することで触媒層31を付与することにより、両面に触媒層を有する膜−電極接合体4を得ることができる。
以下、固体高分子電解質膜10、触媒層31、第1および第2の多層構成プラスチックフィルム11,12を構成する材料の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
また、上記実施形態において、触媒層31は、上述の材料を溶媒及び水に分散させて調合した触媒インク3を固体高分子電解質膜10上に塗布し乾燥させることで得られる。触媒インク3に用いる溶媒は材料を好適に分散させるために、1−プロパノール、2−プロパノールなどのアルコール類を用いていれば良い。また、触媒インク3には、水よりも低沸点の溶媒の乾燥が容易な溶媒を用いる方が好ましい。
さらに、上記実施形態において、第1および第2の多層構成プラスチックフィルム11,12の粘着層は、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、ゴム系などの粘着剤であればよい。なお、第1および第2の多層構成プラスチックフィルム11,12の粘着層は、第1および第2の多層構成プラスチックフィルム11,12の基材層ならびに固体高分子電解質膜10との密着性と、加熱部2に対する耐熱性とを考慮するとアクリル系であることがより好ましい。
さらに、上記実施形態において、電解質膜基材1上に触媒層31を形成する塗布装置は、触媒インク3を塗布することで、均一な厚みの触媒層31を形成することができればよく、ダイコーター方式、ロールコーター方式等の方式を用いることができる。
上記構成によれば、第1および第2の多層構成プラスチックフィルム11,12が固体高分子電解質膜10から、不用意に剥がれることを防止することができる。また、固体高分子電解質膜10への糊残りなく、固体高分子電解質膜10から第2の多層構成プラスチックフィルム12を剥離することができ、第2の多層構成プラスチックフィルム12が除去された第1の多層構成プラスチックフィルム11の粘着層への塗布した触媒インク3の染み込みを防止することができる。
上記構成によれば、製造効率を向上させることができる。
(4)電解質膜基材から第2の多層構成プラスチックフィルムを除去した後、膜−電極接合体製造方法は、全工程が不連続であることを特徴とする請求項2に記載の膜−電極接合体製造方法。
上記構成によれば、触媒層31の塗布工程における歩留まりを向上させることができる。
(5)また、本発明の一実施形態に係る膜−電極接合体4は、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の膜−電極接合体製造方法により製造される。
まず、第1および第2の多層構成プラスチックフィルム11,12の基となる、連続した多層構成プラスチックフィルムの基材として、ポリエチレンナフタレート(帝人デュポンフィルム製テオネックスQ51、厚み25μm)を用い、この連続した多層構成プラスチックフィルムの表面にアクリル系の粘着層(厚み10μm)を形成した。次いで、粘着層が形成された多層構成プラスチックフィルムを、セパレータでラミネートすることでフィルムを得た。さらに、得られたフィルムに、5cm×5cmの正方形形状の打抜き加工によりポリエチレンナフタレート側から粘着層まで切り込みを入れ、ポリエチレンナフタレート面に表面保護フィルム(サンエー化研製サニテクトPAC−3−60T)を貼合することで、第1および第2の多層構成プラスチックフィルム11,12を得た。更に、ロール・ツー・ロール方式で、第1および第2の多層構成プラスチックフィルム11,12のセパレータを剥離し、固体高分子電解質膜10である炭化水素系フィルム(厚み11μm)の両面に位置合わせしてそれぞれ貼合し、両面の表面保護フィルムを剥離することにより、電解質膜基材1のロールを得た。このとき、固体高分子電解質膜10と第1および第2の多層構成プラスチックフィルム11,12との25℃における剥離力が0.07N/25mm、80℃における剥離力が1.0N/25mmとなるように粘着層を調整した。その後、得られたロール形態の電解質膜基材1を切り出し、加熱部2として80℃の吸着ステージ上で加熱した後、電解質膜基材1の上面の第2の多層構成プラスチックフィルム12を除去した。次いで、電解質膜基材1の上面の第2の多層構成プラスチックフィルム12が貼合されていた領域に、フッ素系高分子電解質膜分散溶液(旭化成イーマテリアルズ製SS700C/20)、白金触媒(田中貴金属製TEC10F50E−HT)、1−プロパノールおよび水からなる触媒インク3をダイコーターにて塗布し、10分間乾燥することで電解質膜基材1の上面に触媒層31を付与した。次いで、この電解質膜基材1を80℃の吸着ステージ上で表裏逆転して、電解質膜基材1の下面の第2の多層構成プラスチックフィルム12を除去した後、上面と同様にして触媒インク3を塗布・乾燥することで、両面に触媒層31が付与された膜−電極接合体4を得た。
また、実施例1の比較として、第2の多層構成プラスチックフィルム12を有しない電解質膜基材を作成し、この電解質膜基材を用いて膜−電極接合体を作成し、実施例1と同様の評価を行った(比較例1)。比較例1では、まず、実施例1と同様に連続した多層構成プラスチックフィルムの基材上に粘着層を形成し、これらをセパレータでラミネートすることでフィルムを得た。次いで、得られたフィルムを打抜き加工により貫通させ、第2の多層構成プラスチックフィルム12に相当する部分を除去することで、第1の多層構成プラスチックフィルム11を得た。さらに、第1の多層構成プラスチックフィルム11のセパレータを剥離し、固体高分子電解質膜10の両面に位置合わせしてそれぞれ貼合することで、第2の多層構成プラスチックフィルム12を有しない電解質膜基材のロールを得た。その後、この電解質膜基材のロールを用いて、実施例1と同様の方法で、電解質膜基材の両面に触媒層31を形成することで膜−電極接合体を得た。
10 固体高分子電解質膜
11 第1の多層構成プラスチックフィルム
111 開口部
12 第2の多層構成プラスチックフィルム
2 加熱部
3 触媒インク
31 触媒層
4 膜−電極接合体
Claims (5)
- 固体高分子電解質膜と、前記固体高分子電解質膜の上下面に粘着層を介して貼合され、前記上下面側に平滑面をそれぞれ形成し、前記固体高分子電解質膜の中央に少なくとも1つの開口部を有する第1の多層構成プラスチックフィルムおよび前記開口部に設けられる第2の多層構成プラスチックフィルムと、を有する電解質膜基材から、前記第2の多層構成プラスチックフィルムを除去し、
前記第2の多層構成プラスチックフィルムを除去した後、前記電解質膜基材を加熱しながら、前記固体高分子電解質膜の前記第2の多層構成プラスチックフィルムが貼合されていた領域に触媒インクを塗布し、前記触媒インクの揮発成分を除去することで触媒層を形成することを特徴とする膜−電極接合体の製造方法。 - 前記粘着層の25℃における剥離力を0.02N/25mm以上、70℃以上100℃以下における剥離力が0.2N/25mm以上3.0N/25mm未満とすることを特徴とする請求項1に記載の膜−電極接合体の製造方法。
- 前記電解質膜基材から前記第2の多層構成プラスチックフィルムを除去した後、前記触媒層を形成する処理を連続して行うことを特徴とする請求項1または2に記載の膜−電極接合体の製造方法。
- 前記電解質膜基材から前記第2の多層構成プラスチックフィルムを除去した後、前記触媒層を形成する処理を連続して行わないことを特徴とする請求項1または2に記載の膜−電極接合体の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の膜−電極接合体の製造方法により製造されることを特徴とする膜−電極接合体。
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