JP2016216754A - 合金化溶融亜鉛めっき鋼板、および合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

合金化溶融亜鉛めっき鋼板、および合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ボトムドロス抑制のために浴中Al濃度を高くしても、合金化処理性が低下しない合金化溶融亜鉛めっき鋼板、及びその製造方法の提案。
【解決手段】C:0.01%未満、Si:0.08%未満、Mn:0.05〜1.5%、P:0.06%未満、Ti:0.004〜0.1%及びNb:0.004〜0.1%の2種のうち1種または2種、Ni:0.025〜0.25%を含有し、残部がFe及び不純物からなる鋼板と、前記鋼板の表面上に位置し、0.20〜0.5質量%のAl、及び片面あたり0.0005g/m2以上のNiを含有し、残部がZn、Fe及び不純物からなる合金化溶融めっき層と、を有し、前記合金化溶融めっき層の片面あたりのNi含有量Ncg/m2は、前記合金化溶融めっき層のAl含有量Ac(質量%)に対して、式(1)を満たす、合金化溶融亜鉛めっき鋼板。Nc≧0.6×Ac2−0.25×Ac+0.033・・・式(1)
【選択図】図2

Description

本発明は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、および合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に関する。
合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、鋼板表面に溶融亜鉛をめっきした後、亜鉛の融点以上の温度で加熱および保持することによって、鋼板とめっきとの間でZnおよびFeを相互拡散させ、鋼板表面にZn−Fe合金層を形成した鋼板である。このような鋼板は、めっき密着性、めっき耐食性、溶接性(例えば、連続打点性)などの点で優れているため、自動車用鋼板として我が国および世界で広く使用されている。
近年、自動車用溶融亜鉛めっき鋼板をより安価に製造するため、自動車用合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造において、通板速度の高速化及び定速化のための技術開発が進められている。当該開発の主な対象となる鋼種は、例えば、極低炭素のNbおよびTiのうち少なくとも1種以上を添加した鋼板である。極低炭素Nb、Ti添加鋼板は、プレス成型性が高く、車体軽量化による燃費改善及び衝突時の乗員の安全確保に有用であるために広く用いられている。
ただし、製造ラインの通板速度を高速化した場合、亜鉛浴の浴底部に堆積したボトムドロスと呼ばれる沈降物が浴中に巻き上げられ、鋼板に付着することにより、ドロス起因の表面疵が発生しやすくなる。また、製造ラインの通板速度を高速化することにより、溶融亜鉛めっき後の合金化時間が不十分になり、鋼板とめっき間での未合金化が発生する懸念もある。
ボトムドロスの発生を抑制する解決手段としては、例えば、亜鉛浴中のAl濃度を増加させることが報告されている。しかし、亜鉛浴中のAl濃度を増加させた場合、鋼板とめっきとの界面に生成されたFe−Al系合金層により、めっき後の合金化時間が長くなってしまうため、合金化炉の長さが十分でない場合、未合金化が発生する恐れがある。また、めっき後の合金化時間を確保するため、通板速度を遅くした場合、生産性の低下につながり望ましくない。そこで、例えば、以下の特許文献に示すような対策が提案されている。
例えば、下記の特許文献1には、めっき前の焼鈍時における還元雰囲気中の露点を所要の範囲に調整することにより、鋼板表層にPを酸化物として濃化させ、合金化反応を促進させる方法が開示されている。また、下記の特許文献2には、無酸化炉の燃焼空気比と還元炉の雰囲気露点とを調整することにより、鋼板表面の酸化皮膜厚を制御し、合金化を促進させる方法が開示されている。また、下記の特許文献3にも、無酸化炉と還元炉とを用いて、鉄の酸化量と還元量とをバランスさせ、合金化を促進させる方法が開示されている。さらに、下記の特許文献4には、Si、Mn、およびPを含有する鋼板に対して、Ni、Co、Cu、Inの中から選ばれる少なくとも1種類の元素を含有するプレめっきを付与することで合金化を促進させる方法が開示されている。
なお、特許文献5に開示された技術は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板において、めっき層中にSi、Mn、またはAlの層状酸化物を含有させることにより、表面外観およびめっき密着性を向上させるものである。
特開2012−241211号公報 特開平5−306446号公報 特開平4−232241号公報 特開2010−265525号公報 特開2007−270176号公報
しかしながら、浴中Al濃度を増加させた場合の合金化遅延および未合金化の対策として、特許文献1に開示された焼鈍炉内の露点を上げる方法では、極低炭素鋼板に対して生成される酸化物の量が不十分なため、十分な合金化促進効果が得られなかった。また、特許文献2および3に開示された酸化および還元を順次行う方法では、操業範囲が狭く、いったん酸化および還元のバランスが崩れた場合、未合金化の発生や、酸化鉄のハースロールへのピックアップによるめっき表面疵等の不具合発生が懸念される。また、特許文献4に開示された技術では、新たにプレめっき設備の導入が必要となるため、大幅なコストアップにつながってしまう。さらに、特許文献5では、鋼中に強度向上のためにCr、Ni、Cuを添加する旨が開示されているが、Niが合金化速度に及ぼす影響や、Ni添加量と浴中Al濃度との関係については一切検討されていない。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、ボトムドロスの抑制のために浴中Al濃度を上昇させた場合でも、合金化処理性が低下しない、新規かつ改良された合金化溶融亜鉛めっき鋼板、および該合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記の課題認識のもと、高Al濃度の亜鉛めっき浴に鋼板を浸漬する工程を前提にして、鋼中にNiを添加した鋼板の合金化処理性について鋭意検討を行った。焼鈍還元を経た鋼板を亜鉛めっき浴に浸漬した場合、初期に鋼板に対して親和力の高いAlとFeとが反応し、Fe−Al系合金層が形成される。このFe−Al系合金層が厚く形成されるほど合金化速度が遅くなる。このような場合、設備能力が変わらなければ、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造ラインの速度を低下させざるを得ない。
本発明者らは、合金化の遅延対策として鋼中にNiを添加した場合、Ni添加量の増加に伴い、Fe−Al系合金層の合金化速度が向上するという知見を得た。原因を調査するために、合金化溶融亜鉛めっき鋼板において、初期界面合金層の同定を行ったところ、合金化溶融亜鉛めっき鋼板には、Fe−Al系合金層に加え、Ni−Al系合金層が同時に形成されていることが明らかとなった。初期界面合金層中のNiは、鋼中から供給されたものであり、合金化速度を遅延させるFe−Al系合金層の一部がNi−Al合金層に置き換わることによって、合金化が促進されたものと推定される。
本発明は、このような新たな知見に基づいて完成されたものであって、下記に記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板、および合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法である。
本発明は以下の(1)〜(2)よりなる。
(1)質量%でC:0.01%未満、Si:0.08%未満、Mn:0.05〜1.5%、P:0.06%未満、Ti:0.004〜0.1%及びNb:0.004〜0.1%の2種のうち1種または2種、ならびにNi:0.025〜0.25%を含有し、残部がFe及び不純物からなる鋼板と、前記鋼板の表面上に位置し、0.20〜0.5質量%のAl、及び片面あたり0.0005g/m以上のNiを含有し、残部がZn、Fe及び不純物からなる合金化溶融めっき層と、を有し、前記合金化溶融めっき層の片面あたりのNi含有量N(g/m)は、前記合金化溶融めっき層のAl含有量A(質量%)に対して、式(1)を満たす、合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
≧0.6×A −0.25×A+0.033 ・・・式(1)

(2)質量%でC:0.01%未満、Si:0.08%未満、Mn:0.05〜1.5%、P:0.06%未満、Ti:0.004〜0.1%及びNb:0.004〜0.1%の2種のうち1種または2種、ならびにNi:N%以上を含有し、残部がFe及び不純物からなる鋼板を、連続式溶融亜鉛めっき設備において再結晶温度以上で加熱焼鈍する工程と、前記鋼板をA質量%(0.15≦A≦0.20)のAlを含有する溶融亜鉛めっき浴に浸漬する工程と、前記溶融亜鉛めっき浴に浸漬した前記鋼板のめっき皮膜を凝固させずに合金化処理を行う工程と、を含み、前記鋼板のNi含有量N(質量%)は、前記溶融亜鉛めっき浴中のAl濃度A(質量%)に対して、式(2)を満たす、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
≧4.5×A−0.65 ・・・式(2)
以上説明したように本発明によれば、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法において、ボトムドロスを低減させるために浴中Al濃度を高くした場合でも、低Al濃度の亜鉛めっき浴と同等以上の合金化速度を得ることができる。これにより、合金化炉能力を増強したり、ライン速度を低下させたりすることなく、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を安定して生産することができる。
実施例において、浴中Al濃度Aに対して鋼中Ni含有量Nをプロットしたグラフ図である。 実施例において、めっき層中のAl含有量Aに対して、片面あたりのめっき層中のNi含有量Nをプロットしたグラフ図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
(A)母材となる鋼板の化学組成
まず、本発明に係る合金化溶融亜鉛めっき鋼板の鋼成分は下記の通りである。なお、以下では、特別の説明がない限り「%」は、「質量%」を表すものとする。
(C:0.01%未満)
本発明に係る合金化溶融亜鉛めっき鋼板の鋼成分は、TiおよびNbのうち少なくとも1種以上を含有する極低炭素鋼であり、加工性を重視するため、Cは、少ないほどよい。このため、Cの含有量は0.01%未満とする。ただし、Cは、鋼中に必然的に含有されるものであり、含有量を必要以上に低くすることは鋼中の介在物を増加させ、伸び性に悪影響を及ぼす。また、Cの含有量の低減には、製造上の限界がある。そのため、Cの含有量の下限は、例えば、0.0005%である。なお、Cの含有量は、好ましくは、0.005%未満である。
(Si:0.08%未満)
Siは、鋼の強度を高める元素である。ただし、鋼中のSi量が増加した場合、めっき層の合金化が遅延する。鋼中にSiが0.08%以上添加された場合、鋼中のNi濃度を本発明の範囲に調整しても十分な合金化の促進効果が得られない。このため、Siの含有量は、0.08%未満に調整する必要がある。より好ましくは、Siの含有量は、0.06%未満である。また、Siの含有量は、例えば、0.005%以上である。
(Mn:0.05〜1.5%)
Mnは、添加により固溶強化の作用を有する元素である。ただし、Mnは、含有量が多すぎる場合、伸び性の劣化や、TiC等の析出が微細になることによる降伏点の必要以上の上昇をもたらす。本発明に係る合金化溶融亜鉛めっき鋼板の鋼成分であるTiおよびNbのうち少なくとも1種以上を含有する極低炭素鋼では、加工性を重視するため、Mnの含有量は、1.5%以下とする。また、Mnの含有量が低すぎる場合、鋼が脆化することがあるので、Mnの含有量は、0.05%以上とする。より好ましくは、Mnの含有量は、0.2%以上とする。
(P:0.06%未満)
Pは、鋼板の加工性、特に、伸び性を大きく損なうことなく、鋼板の強度を増加させることが可能な元素である。ただし、Pの含有量が0.06%以上である場合、合金化速度が低下し、所定量のNiを鋼中に添加しても本発明の効果が得られなくなる。そのため、Pの含有量は、0.06%未満とする。より好ましくは、Pの含有量は、0.04%未満とする。なお、Pの含有量は、例えば、0.005%以上である。
(Ti:0.004〜0.1%、Nb:0.004〜0.1%)
TiおよびNbは、任意添加元素であり、添加により鋼中にて炭化物の析出物を形成する。このような析出物により、鋼板において析出強化による強度向上を図ることができる。そのため、TiおよびNbは、強度向上を目的として添加される。
例えば、Tiの含有量が0.004%未満であり、かつNbの含有量が0.004%未満である場合、TiまたはNbの析出物の量が少なく、強度向上の効果が小さいため、TiおよびNbの含有量の下限値は、それぞれ0.004%とする。一方、TiまたはNbのいずれかの含有量が0.1%を超える場合、析出物の量が過剰となり、鋼板の延性が著しく低下するため、TiおよびNbの含有量の上限値は、それぞれ0.1%とする。TiおよびNbのそれぞれの含有量は、好ましくは0.01%以上であり、また、好ましくは0.05%以下である。
(Ni:4.5×溶融亜鉛めっき浴中のAl質量%−0.65%以上)
鋼中Niは、めっき浴浸漬時にFeと同時に溶出し、溶出したNiの一部は、浴中のAlと速やかに反応してNi−Al系合金層を形成する。形成されたNi−Al系合金層は、鋼中Feと浴中Alとの反応により形成されたFe−Al系合金層の一部を置き換え、合金化促進に寄与する。浴中Al濃度が上昇するほど、Fe−Al系合金層の形成量が増加するため、合金化が遅延することになるが、鋼中Niは、Ni−Al系合金層を形成することで遅延効果を相殺することができる。ここで、遅延効果の相殺に必要なNiの含有量N(質量%)は、浴中Al濃度A(質量%)に対して、以下の式(2)を満たす。
≧4.5×A−0.65 ・・・式(2)
例えば、浴中Al濃度Aを0.15%〜0.20%と設定した場合、Niの含有量Nの下限値は、例えば、0.025%となる。また、Niの含有量の上限は、製鋼コストの上昇を考慮して、0.25%とする。Niの含有量は、より好ましくは、0.05%〜0.20%である。
ここで、式(2)は、後述する実施例において、本発明例となる試験Noの浴中Al濃度Aに対して鋼中Ni含有量Nをプロットした場合、式(2)で定義される直線を境界として合金化OK、NGの範囲が明確に区分可能であることを根拠に設定した。なお、本発明例となる試験Noの浴中Al濃度Aに対して鋼中Ni含有量Nをプロットしたグラフ図を図1に示す。
なお、本発明に係る合金化溶融亜鉛めっき鋼板の鋼は、上述した元素の他に、S、sol.Al、N、O、Mo、Cr、Cu、Cu、V、B等の元素が少量含まれていてもよい。
(B)皮膜となるめっき層の化学組成
次に、本発明に係る合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき層の成分について説明する。
(Al:0.20〜0.50%)
皮膜となる亜鉛めっき層中のAlの含有量は、0.20〜0.50%である。Alの含有量が0.20%未満である場合、めっき浴中における合金層の発達を抑制する効果が不十分となるため、めっき付着量の制御が困難となる。したがって、Alの含有量の下限は、0.20%とする。また、Alの含有量の好ましい下限は、0.25%である。一方、Alの含有量が0.50%を超える場合、鋼中Niの濃度を上述した範囲に設定しても合金化速度が低下することから、Alの含有量は、0.50%以下とする。なお、Alの含有量は、好ましくは、0.45%以下である。
(Ni:0.0005g/m以上、めっき層中のAl含有量A(質量%)に対して、0.6×A −0.25×A+0.033以上)
合金化促進のために必要な鋼中Ni含有量は、下限値が0.0025%であり、含有された鋼中Niは、合金化時にFeと同時にめっき皮膜との相互拡散を起こす。そのため、皮膜中には所定量のNiが含有される。Niの含有量が片面あたり0.0005g/m未満である場合、合金化の促進効果が発現しないため、めっき層中のNiの含有量は、片面あたり0.0005g/m以上とする。めっき層中のNiの含有量は、浴中Al濃度が上昇するにつれてより高くする必要がある。このため、片面あたりのめっき層中のNi含有量N(g/m)は、めっき層のAl含有量A(質量%)に対して、下記の式(1)を満足するように制御される。
≧0.6×A −0.25×A+0.033 ・・・式(1)
ここで、式(1)は、後述する実施例において、本発明例となる試験Noのめっき層中のAl含有量Aに対して、片面あたりのめっき層中のNi含有量Nをプロットした場合、式(1)で定義される曲線を境界として合金化OK、NGの範囲が明確に区分可能であることを根拠に設定した。なお、本発明例となる試験Noのめっき層中のAl含有量Aに対して、片面あたりのめっき層中のNi含有量Nをプロットしたグラフ図を図2に示す。
なお、めっき層中のFeの含有量は、8〜14%とすることが好ましい。従来から言われているように、めっき層中のFeの含有量が8%未満である場合、合金層表層部にη相が局所的に残存することがあり、摺動性が低下し、フレーキングや板破断が起こりやすくなることがあるため、好ましくない。また、めっき層中のFeの含有量が14%を超える場合、鋼板に曲げ加工を施した際に、曲げ部の内側で合金化溶融亜鉛めっき層が圧縮変形を受け、パウダリング剥離量が増加する。したがって、めっき層中のFeの含有量は、8〜14%が好ましく、9〜13%がより好ましい。
また、めっき層の付着量は、一般に使用されている範囲の付着量であってもよく、片面あたり20〜70g/mであってもよい。
(C)CGL製造条件
続いて、本発明に係る合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造条件について説明する。
(焼鈍条件:母材の再結晶温度以上)
母材は、還元性雰囲気中で、再結晶温度以上にて加熱される。ここで、焼鈍における加熱温度は、極低炭素のTiおよびNbのうち少なくとも1種以上を添加した鋼の再結晶温度以上、850℃以下であることが好ましく、780℃以上830℃以下の範囲がより好ましい。また、鋼板は、還元処理後、溶融亜鉛めっきを施すのに好適な温度域まで冷却される。なお、焼鈍時の雰囲気は、例えば、Hを3体積%〜8体積%含有し、残りがNである一般的なFeに対する還元雰囲気を維持すればよい。
(めっき浴中のAl濃度:0.15〜0.20%)
めっき浴中のAl濃度は、0.15〜0.20%である。めっき浴中のAl濃度が0.15%未満である場合、浴内のAl濃度の分布や浴内の温度変動によっては、ボトムドロスが発生する可能性があり、生成されたボトムドロスによりドロス欠陥が発生する可能性がある。また、浴中Al濃度が0.20%を超える場合、合金化の促進に必要な鋼中Niの含有量も高くする必要があり、製造コスト上昇につながるため、めっき浴中のAl濃度の上限は、より好ましくは0.18%である。
めっき浴への浸漬時間については、1s以上であれば性能および操業性を特に阻害しない。なお、上述した条件以外のめっき条件については、一般的に採用されている範囲の条件であってもよく、例えば、めっき浴温は450〜470℃であり、侵入板温は450〜480℃であれば、特に問題はない。めっき浴中には、Al以外の成分として、例えば、Fe、Pb、Cd、Sb、Cr、Ni、W、Ti、Mg、およびSiなどがそれぞれ0.1%以下で含有されていても、本発明の性能には影響を及ぼさない。めっきの付着量は、めっき浴から引き上げ後にワイピング等によって調整されるが、例えば、一般に製品として用いられている片面あたり25〜70g/mの範囲であればよい。また、鋼板の表面温度は、ワイピングによる奪熱によって低下する。ここで、鋼板の表面温度が420℃以下に低下した場合、めっき皮膜が凝固し、合金化の昇温時にエネルギーを再投入する必要が生じ、合金化を遅延させる原因となりうるため、溶融状態で合金化炉に挿入することが好ましい。また、合金化処理前にめっき皮膜が一旦凝固した場合、本発明における合金化促進効果が失われるため、好ましくない。
(D)合金化処理
合金化処理温度は、480〜530℃の範囲であればよく、より好ましくは、490〜520℃の範囲であればよい。合金化処理温度が480℃未満である場合、所定の合金化度を達成するための加熱時間が増大するため、合金化処理温度の下限は、480℃が好ましい。また、合金化処理温度の下限は、より好ましくは、490℃である。
一方、合金化処理温度が530℃を超える場合、同一の合金化度を達成できても、めっき下層にΓ相、Γ相などの硬質な合金層が形成されやすくなるため、合金化処理温度の上限は、530℃以下が好ましい。また、合金化処理温度の上限は、より好ましくは、520℃以下である。合金化処理における加熱手段は、輻射加熱、高周波誘導加熱、通電加熱等の公知のいずれの手段を用いてもよい。
(E)後処理
めっき後の鋼板の表面は、無処理であってもよいが、クロム酸処理、リン酸塩処理、樹脂皮膜塗布処理などの公知の後処理が施されてもよい。また、めっき後の鋼板の表面には、防錆油が塗付されてもよい。塗布される防錆油については、市販の一般的な防錆油を使用してもよく、極圧添加剤であるSやCaを含有させた高潤滑性防錆油を使用してもよい。
以下に、実施例を示しながら、本発明に係る合金化溶融亜鉛めっき鋼板について、さらに具体的に説明する。なお、以下に示す実施例は、本発明に係る合金化溶融亜鉛めっき鋼板のあくまでも一例に過ぎず、本発明が、以下に示す実施例に限定されるものではない。
本実施例で用いた供試材の成分含有量を表1に示す。なお、表1において、各成分の含有量の単位は、「質量%」であり、残部は、Feである。これらの成分を含有する鋼を実験室にて溶製、鋳造し、板厚30mmのスラブを作製した。作製したスラブを大気中で1250℃にて1時間保持し、粗圧延及び仕上げ圧延を施した。仕上げ圧延は、950℃で行い、さらに大気中にて650℃で巻き取った。熱延仕上げ厚みは、3.0mmとした。本熱延板を酸洗した後、板厚0.8mmまで冷間圧延を行い、供試材を作製した。
この供試材に対して、縦型溶融Znめっき装置を用いて、以下の条件でめっきを行った。
まず、板厚0.8mmの鋼板を75℃のNaOH溶液で脱脂洗浄し、雰囲気ガスがN+5体積%Hであり、露点が−40℃である雰囲気中で、800℃×30s焼鈍した。焼鈍後、浴温近傍まで鋼板を15℃/sで冷却し、浴中Al濃度が0.13〜0.23質量%であり、浴温455℃である各条件の溶融亜鉛めっき浴に1.5秒間浸漬した。その後、ワイピング方式により、めっき片面付着量を50g/mに調整した。さらに、めっき鋼板に通電加熱装置を用いて種々のヒートパターンによる合金化処理を行った。冷却は空冷方式を用いた。
1)試料片の採取
合金化処理後の試料から25mmφの試料片を採取し、0.5体積%インヒビター(商品名:朝日化学製「イビット710N」)を含有した10%HCl水溶液でめっき層を溶解した。溶解液をICP法で分析し、めっき層の組成を分析した。なお、合金化処理性と密接に関係する皮膜中のNi量については、1m当たりの片面付着量にて表記し、皮膜中のAl量については、皮膜中のAl濃度(質量%)で表記した。
2)合金化処理性
合金化処理性は、鋼種1の供試材を低Al濃度浴(Al濃度0.135質量%、Fe飽和浴)でめっきした場合(試験No.1)のGA(Galvanizing Annealing)材の合金化時間を基準として評価した。具体的には、各鋼種の供試材をそれぞれの高Al浴(Al濃度0.15質量%以上、Fe飽和浴)でめっきした後、熱処理を行った際にGA材の金属光沢がなくなった時点を合金化完了と判断した。この合金化完了までの時間を測定することでGA材の合金化時間とした。また、各試験NoのGA材の合金化時間は、試験No.1のGA材の合金化時間との比較により良否を判定した。判定条件を下記に示す。
◎:合金化完了時間が短縮
○:合金化完了時間が同等
×:合金化完了時間が延長
なお、合金化完了時、皮膜中のFe濃度は、おおよそ10質量%であった。合金化温度によって、合金化完了時の皮膜中のFe濃度の許容範囲は変動するため、各試験No.において、皮膜中のFe濃度は、厳密には一致していない。また、皮膜中のAl濃度、皮膜中のNi量は、皮膜中のFe含有量が10質量%近傍の試料を分析することで測定した。
上記評価結果を表2に示す。
また、本発明例となる試験Noの浴中Al濃度Aに対して鋼中Ni含有量Nをプロットしたグラフ図を図1に示し、本発明例となる試験Noのめっき層中のAl含有量Aに対して、片面あたりのめっき層中のNi含有量Nをプロットしたグラフ図を図2に示す。これらのグラフ図から、式(1)および式(2)を導出した。
なお、試験No.30は、合金化炉挿入前に、めっき皮膜を一旦凝固させてから、合金化処理を行った。
ここで、試験No.1は、浴中Al濃度が低いため、ボトムドロスが発生していた。一方、浴中Al濃度が0.15質量%である試験No.2〜30では、ボトムドロスが発生していなかった。
また、表2の結果からわかるように、本発明例では、0.15質量%以上の浴中Al濃度にもかかわらず、試験No.1と同等または短縮された合金化完了時間を実現することができた。一方、試験No.2、4、6、9、12、15、18は、浴中Al濃度に対して鋼中Ni濃度が低いため、合金化が遅延し、合金化処理性が低下していた。
また、試験No.19は、鋼中のNi含有量が本発明の範囲よりも高いため、製鋼コストが高くなりすぎていた。試験No.26は、鋼中のSi含有量が本発明の範囲よりも高いため、合金化が遅延し、合金化処理性が低下していた。試験No.29は、鋼中のP含有量が本発明の範囲よりも高いため、合金化が遅延し、合金化処理性が低下していた。
試験No.30は、合金化炉挿入前にめっき皮膜を一旦凝固させたため、本発明による合金化促進効果が得られず、合金化が遅延し、合金化処理性が低下していた。
したがって、本発明によれば、ボトムドロスを抑制しつつ、溶融亜鉛めっき浴中のAl濃度が低い場合と同等以上の合金化処理性を得ることができた。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

Claims (2)

  1. 質量%でC:0.01%未満、Si:0.08%未満、Mn:0.05〜1.5%、P:0.06%未満、Ti:0.004〜0.1%及びNb:0.004〜0.1%の2種のうち1種または2種、ならびにNi:0.025〜0.25%を含有し、残部がFe及び不純物からなる鋼板と、
    前記鋼板の表面上に位置し、0.20〜0.5質量%のAl、及び片面あたり0.0005g/m以上のNiを含有し、残部がZn、Fe及び不純物からなる合金化溶融めっき層と、を有し、
    前記合金化溶融めっき層の片面あたりのNi含有量N(g/m)は、前記合金化溶融めっき層のAl含有量A(質量%)に対して、式(1)を満たす、合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
    ≧0.6×A −0.25×A+0.033 ・・・式(1)
  2. 質量%でC:0.01%未満、Si:0.08%未満、Mn:0.05〜1.5%、P:0.06%未満、Ti:0.004〜0.1%及びNb:0.004〜0.1%の2種のうち1種または2種、ならびにNi:N%以上を含有し、残部がFe及び不純物からなる鋼板を、連続式溶融亜鉛めっき設備において再結晶温度以上で加熱焼鈍する工程と、
    前記鋼板をA質量%(0.15≦A≦0.20)のAlを含有する溶融亜鉛めっき浴に浸漬する工程と、
    前記溶融亜鉛めっき浴に浸漬した前記鋼板のめっき皮膜を凝固させずに合金化処理を行う工程と、を含み、
    前記鋼板のNi含有量N(質量%)は、前記溶融亜鉛めっき浴中のAl濃度A(質量%)に対して、式(2)を満たす、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
    ≧4.5×A−0.65 ・・・式(2)

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