JP2016216651A - 防汚塗料組成物、防汚塗膜、防汚基材、および防汚基材の製造方法 - Google Patents

防汚塗料組成物、防汚塗膜、防汚基材、および防汚基材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】長期防汚性、長期耐水性および長期間日光に曝された際の耐クラック性に優れる防汚塗膜を形成するための防汚塗料組成物を提供すること。
【解決手段】トリイソプロピルシリルメタクリレート(i)から誘導される構造単位(1)と、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート(ii)から誘導される構造単位(2)と、重合性二重結合を有する他のモノマー(ただし、トリイソプロピルシリルメタクリレートおよび2−メトキシエチル(メタ)アクリレートを除く。)(iii)から誘導される構造単位(3)とを含むシリルメタクリル系共重合体(A)と、トリメチルイソブテニルシクロヘキセンカルボン酸(B)とを含むことを特徴とする防汚塗料組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、防汚塗料組成物およびその用途に関し、より詳細には、水中に曝される基材表面の防汚に有効な防汚塗料組成物、ならびに該防汚塗料組成物を用いた防汚塗膜、防汚基材、および防汚基材の製造方法に関する。
船舶、水中構造物、魚網など、水中に長期間曝される基材の表面には、カキ、イガイ、フジツボ等の動物類、ノリ等の植物類、およびバクテリアなど各種水棲生物が付着しやすい。これらの水棲生物が基材表面で繁殖すると、様々な不具合が生じる。たとえば、基材が船舶である場合には、船舶の喫水線から船底にかけて表面粗度が増加してしまい、その結果、船舶の速度低下および燃費の増加を招来してしまう。また、基材が養殖網や定置網等の魚網である場合、水棲生物によって網目が閉塞されて、養殖生物や漁獲生物の酸欠致死などの重大な問題を生じることがある。さらに、基材が火力発電所や原子力発電所等の海水の給排水管である場合、海水(冷却水)の給排水管が閉塞したり、流速が低下したりして、循環システムに支障を来すこともある。
このような不具合に対して、各種基材への水棲生物の付着を防止するために、基材に塗布される防汚塗料(防汚塗料組成物)の研究開発が進められている。
従来の防汚塗料組成物として、樹脂成分(バインダー成分)として加水分解性樹脂を含む塗料組成物が知られている。その代表例として、トリオルガノシリル基を含有する加水分解性樹脂を含む塗料組成物が開発されており、該塗料組成物は、船舶の船底部等に水棲生物の付着を防止するために塗装される。
トリオルガノシリル基を含有する加水分解性樹脂としては、一般に、トリイソプロピルシリルアクリレートおよび/またはトリイソプロピルシリルメタクリレートを含むモノマー成分を(共)重合してなるものが知られている。この加水分解性樹脂を含む防汚塗料組成物には、防汚力向上のためにロジン化合物などのモノカルボン酸を併用することが一般的である(特許文献1〜8)。
特許文献7には、さらに、トリイソプロピルシリルアクリレート共重合体とトリメチルイソブテニルシクロヘキセンカルボン酸とを含む防汚塗料組成物から形成される防汚塗膜が開示され、その静置防汚性ならびに消耗性および状態(ワレの有無)が良好である旨が記載されている(実施例5〜8、11〜13、16〜18、20、22〜24)。また、特許文献8にも、トリイソプロピルシリル(メタ)アクリレート共重合体とトリメチルイソブテニルシクロヘキセンカルボン酸とを含有する防汚塗料組成物から形成される防汚塗膜が開示され、その長期耐久性等が優れている旨が記載されている。
特開2001−226440号公報 特開2005−82725号公報 国際公開第2010/071180号 特開平10−30071号公報 国際公開第2009/001619号 国際公開第2009/066632号 特開2005−179345号公報 国際公開第2013/073580号
しかしながら、本発明者らが検討したところ、トリイソプロピルシリル(メタ)アクリレートの(共)重合体とロジン化合物とを含む防汚塗料組成物から形成された防汚塗膜には、長期間日光に曝されるとクラックが発生するという問題があることがわかった。たとえば、新造船時に防汚塗料で塗装されたブロックが長期間日光に曝された場合にクラックが発生したり、運航中に積荷の量またはバラスト水との関係で船舶表面の防汚塗膜が長時間日光に曝された場合にクラックが発生したりする。前者の場合には、防汚塗膜の補修が必要となり、造船の工程が増加してしまう。また、後者の場合には、防汚塗膜の運航中の防汚性が低下したり、クラックの発生により船底塗膜面に凹凸が発生し水流摩擦抵抗が増大したりする危険性がある。ロジンまたはその金属塩の硬度が高いため、これらを含む塗膜が日光に曝されると、経時的に塗膜の乾燥が進行し、塗膜の硬度が上昇するため最終的にクラックが発生するものと考えられる。さらに、ロジンは、天然物であり、品質の安定性および将来にむけての安定供給の面で不安がある。
また、特許文献7に記載された、トリイソプロピルシリルアクリレート共重合体とトリメチルイソブテニルシクロヘキセンカルボン酸とを含む防汚塗料組成物から形成された塗膜は、長期での耐水性の面で改善の余地があることがわかった。
さらに特許文献8に開示されたトリ−i−プロピルシリル(メタ)アクリレート共重合体とトリメチルイソブテニルシクロヘキセンカルボン酸とを含有する防汚塗料組成物から形成された防汚塗膜にも、長期間日光に曝された場合のクラックの発生を抑えるという点で改善の余地があった。
したがって本発明は、長期防汚性(特に、静置防汚性)、長期耐水性(水中、特に海水中に長期的に浸漬された場合における塗膜の、基材への付着性、耐クラック性および耐磨耗性)および長期間日光に曝された際の耐クラック性(以下「長期耐暴露性」ともいう。)に優れる防汚塗膜、ならびに該防汚塗膜を形成するための防汚塗料組成物、該防汚塗膜を備える防汚基材およびその製造方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、上述の課題に鑑み鋭意研究したところ、トリイソプロピルシリルメタクリレートと2−メトキシエチル(メタ)アクリレートとが共重合されたシリルエステル共重合体とトリメチルイソブテニルシクロヘキセンカルボン酸とを含む防汚塗料組成物から形成された防汚塗膜により上述の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明に係る防汚塗料組成物は、たとえば以下の[1]〜[12]に関する。
[1]
トリイソプロピルシリルメタクリレート(i)から誘導される構造単位(1)と、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート(ii)から誘導される構造単位(2)と、重合性二重結合を有する他のモノマー(ただし、トリイソプロピルシリルメタクリレートおよび2−メトキシエチル(メタ)アクリレートを除く。)(iii)から誘導される構造単位(3)とを含むシリルメタクリル系共重合体(A)と、トリメチルイソブテニルシクロヘキセンカルボン酸(B)とを含むことを特徴とする防汚塗料組成物。
[2]
前記他のモノマー(iii)がエステル類またはカルボン酸類であることを特徴とする上記[1]に記載の防汚塗料組成物。
[3]
前記シリルメタクリル系共重合体(A)中の前記構造単位(1)の割合が30〜70重量%であることを特徴とする上記[1]または[2]に記載の防汚塗料組成物。
[4]
前記シリルメタクリル系共重合体(A)中の前記構造単位(2)の割合が5〜40重量%であることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれか一つに記載の防汚塗料組成物。
[5]
前記シリルメタクリル系共重合体(A)の含有量(WA)と前記トリメチルイソブテニルシクロヘキセンカルボン酸(B)の含有量(WB)との比(WA/WB)が重量基準で99/1〜40/60であることを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれか一つに記載の防汚塗料組成物。
[6]
さらにロジン類および/またはモノカルボン酸化合物(ただし、トリメチルイソブテニルシクロヘキセンカルボン酸を除く。)(C)を含有することを特徴とする上記[1]〜[5]のいずれか一つに記載の防汚塗料組成物。
[7]
さらに、無機銅化合物(D)、有機防汚剤(E)、着色顔料(F)、体質顔料(G)、顔料分散剤(H)、可塑剤(I)、タレ止め剤(J)、沈降防止剤(K)、脱水剤(L)、および溶剤(M)からなる群から選択される少なくとも1種の成分を含有することを特徴とする上記[1]〜[6]のいずれか一つに記載の防汚塗料組成物。
[8]
上記[1]〜[7]のいずれか一つに記載の防汚塗料組成物から形成されることを特徴とする防汚塗膜。
[9]
基材と、該基材の表面に設けられた上記[8]に記載の防汚塗膜とを有することを特徴とする防汚基材。
[10]
海水または真水と接触することを特徴とする上記[9]に記載の防汚基材。
[11]
前記基材が、水中構造物、船舶外板または漁具であることを特徴とする上記[9]または[10]に記載の防汚基材。
[12]
基材の表面に、上記[1]〜[7]のいずれか一項に記載の防汚塗料組成物を塗布するかもしくは含浸させる工程と、該工程により前記基材に塗布された、もしくは含浸された前記防汚塗料を硬化させる工程とを備えるか、または前記防汚塗料組成物から塗膜を形成し、この塗膜を硬化させて防汚塗膜を形成する工程と、前記防汚塗膜を基材に貼付する工程とを備えることを特徴とする防汚基材の製造方法。
本発明に係る防汚塗膜は、長期防汚性(特に、静置防汚性)、長期耐水性(水中、特に海水中に長期的に浸漬された場合における塗膜の付着性、耐クラック性および耐磨耗性)および長期耐曝露性に優れている。また、本発明に係る防汚塗料組成物により、このような効果を発揮する防汚塗膜を形成することができる。さらに、本発明に係る防汚基材の製造方法によれば、このような効果を発揮する防汚基材を製造することができる。
以下、本発明に係る防汚塗料組成物、防汚塗膜、防汚基材、および防汚基材の製造方法について詳細に説明する。
[防汚塗料組成物]
本発明の防汚塗料組成物(防汚塗料)は、特定のシリルメタクリル系共重合体(A)とトリメチルイソブテニルシクロヘキセンカルボン酸(B)を含有しており、目的に応じてさらに任意成分を含んでいてもよい。
1.シリルメタクリル系共重合体(A)
シリルメタクリル系共重合体(A)は、トリイソプロピルシリルメタクリレート(i)(以下「モノマー(i)」ともいう。)から誘導される構造単位(「構成単位」、「繰り返し単位」などともいう。)(1)と、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート(ii)(以下「モノマー(ii)」ともいう。)から誘導される構造単位(2)と、重合性二重結合を有する他のモノマー(ただし、トリイソプロピルシリルメタクリレート(i)および2−メトキシエチル(メタ)アクリレート(ii)を除く。)(iii)(以下「モノマー(iii)」ともいう。)から誘導される構造単位(3)とを有するシリルメタクリル系共重合体(A)である。なお“Xから誘導される構造単位”とは、XをA12C=CA34(C=Cは、重合性炭素−炭素二重結合である。)と表すならば、たとえば下式で表される構造単位である。
Figure 2016216651
モノマー(ii)は、長期に亘りより安定した消耗性を有する防汚塗膜を製造する観点からは、好ましくは2−メトキシエチルメタクリレートを50重量%以上含む、2−メトキシエチルメタクリレートと2−メトキシエチルアクリレートとの混合物であり、より好ましくはメトキシエチルメタクリレートである。
重合性二重結合を有する他のモノマー(ただし、トリイソプロピルシリルメタクリレート(i)および2−メトキシエチル(メタ)アクリレート(ii)を除く。)(iii)は、トリイソプロピルシリルメタクリレート(i)および2−メトキシエチル(メタ)アクリレート(ii)と共重合する。前記重合性二重結合を有する基としては、たとえば、ビニル基およびや(メタ)アクリロイル基が挙げられる。
モノマー(iii)としては、重合性二重結合を有するエステル類、および重合性二重結合を有するカルボン酸類が好ましい。モノマー(iii)がこれらの化合物であると、モノマー(iii)は、トリイソプロピルシリルメタクリレート(i)および2−メトキシエチル(メタ)アクリレート(ii)との良好な相溶性を有し、かつトリイソプロピルシリルメタクリレート(i)および2−メトキシエチル(メタ)アクリレート(ii)に対して同程度の反応性を有するために、モノマー(i)、(ii)および(iii)に由来する構造単位が均等に(ランダムに)組み込まれ、シリルメタクリル系共重合体(A)を調製できる。
すなわち、各モノマー間の重合反応性が極端に異なり各モノマー同士が共重合し難い場合には、得られる重合体は単独重合体または構造単位の分布が不均一な共重合体であるといった不具合が発生するが、モノマー(iii)が上記の化合物であると、このような不具合を低減し、安定的にシリルメタクリル系共重合体(A)を調製することができる。
モノマー(iii)として用いられる上記エステル類およびカルボン酸類としては、上記トリイソプロピルシリルメタクリレート(i)および2−メトキシエチル(メタ)アクリレート(ii)を除く、(メタ)アクリル酸エステル類、モノカルボン酸類、ジカルボン酸類ならびにこれらのハーフエステル(モノエステル)およびジエステル、ビニルエステル類、金属エステル基含有(メタ)アクリレート、ならびにオルガノシロキサン基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。また、エステル類およびカルボン酸類以外のモノマー(iii)としては、スチレン類が挙げられる。
上記モノマー(iii)の具体例としては、たとえば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ラウリルエステル、(メタ)アクリル酸トリデシルエステル、(メタ)アクリル酸ステアリルエステル、(メタ)アクリル酸アリルエステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジルエステル、(メタ)アクリル酸イソボニルエステル、(メタ)アクリル酸メトキシエステル、(メタ)アクリル酸エトキシエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチルエステルなどの(メタ)アクリル酸エステル類;
(メタ)アクリル酸などのモノカルボン酸類;
イタコン酸、マレイン酸、コハク酸等のジカルボン酸類ならびにこれらのハーフエステル(モノエステル)およびジエステル;
スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン類;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;
などが挙げられ、これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
シリルメタクリル系共重合体(A)は、塗装作業性および長期保存安定性の向上の観点から、本発明の防汚塗料組成物中に、好ましくは5〜40重量%、さらに好ましくは、8〜30重量%の割合で含まれる。
また、シリルメタクリル系共重合体(A)は、塗装作業性、長期保存安定性、塗膜耐水性(機械的特性)、塗膜加水分解性(消耗性)、塗膜の静置防汚性、塗膜外観等を向上できることから、本発明の防汚塗料組成物の固形分100重量%中に、好ましくは10〜60重量%、さらに好ましくは12〜50重量%の割合で含まれる。ここで、防汚塗料組成物の固形分とは、防汚塗料組成物1.5gを、恒温槽内で、1気圧、108℃の条件下で3時間保持して揮発分を除去して得られた残渣である。
シリルメタクリル系共重合体(A)の重量平均分子量は、好ましくは5,000〜100,000であり、より好ましくは10,000〜60,000である。重量平均分子量がこのような範囲にあるシリルメタクリル系共重合体(A)を含む防汚塗料組成物から形成された塗膜は、加水分解性が良好であり、静置防汚性が一層向上されているとともに、より優れた長期機械的特性(水に長期的に浸漬された場合における、基材、下塗り塗膜等に対する本発明の防汚塗膜の付着性およびクラック等の外観特性など。)を発揮することができる。
なお、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定され、標準ポリスチレン検量線を用いて求められる値である。分子量測定のGPC条件は以下のとおりである。
〈GPC条件〉
装置: 「HLC−8120GPC」(東ソー(株)製)
カラム: 「SuperH2000+H4000」(東ソー(株)製、6mm(内径)、各15cm(長さ))
溶離液: テトラヒドロフラン(THF)
その他の条件
流速 :0.500ml/min.
検出器 :RI
カラム恒温槽温度 :40℃
標準物質 :ポリスチレン
サンプル調製法 :共重合体(A)を含む溶液に少量の塩化カルシウムを加えて脱水した後、メンブレムフィルターで濾過して得られた濾物をGPC測定サンプルとする。
シリルメタクリル系共重合体(A)において、構造単位(1)の重量と構造単位(2)および構造単位(3)の合計重量((2)+(3))との比((1)/[(2)+(3)])(以下「重量比(I)」ともいう。)は、好ましくは30/70〜70/30であり、さらに好ましくは40/60〜65/35であり、より好ましくは45/55〜65/35である。
重量比(I)の値が上記の範囲にあると、良好な塗膜加水分解性(消耗性)、静置防汚性、塗膜耐水性(機械的特性)を有する防汚塗料組成物を得ることができる。
構造単位(2)の重量と構造単位(1)および構造単位(3)の合計重量((1)+(3))との比((2)/[(1)+(3)])(以下「重量比(II)」ともいう。)は、好ましくは5/95〜40/60、さらに好ましくは5/95〜30/70、より好ましくは7/93〜29/71、特に好ましくは10/90〜28/72である。
重量比(II)の値が上記の範囲にあると、防汚塗料組成物から形成された防汚塗膜は、水、特に海水に浸漬した場合に、十分な塗膜消耗性(更新性)を発揮できるために、良好な静置防汚性などの長期防汚性を示し、長期間に亘ってクラックの発生を少なくすることができる。
シリルメタクリル系共重合体(A)は、トリイソプロピルシリルメタクリレート(i)と2−メトキシエチル(メタ)アクリレート(ii)と重合性二重結合を有する他のモノマー(iii)とを公知の重合方法によって共重合させて調製できる。重合方法としては、溶液重合、塊状重合、セミバッチ重合、懸濁重合、配位重合、リビング重合または乳化重合におけるラジカルまたはイオン重合等が挙げられる。中でも、シリルメタクリル系共重合体(A)の生産性および製造作業性を向上させ、低い粘度を有する共重合体(A)を調製できることを考慮すると、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン、酢酸n−ブチル等の汎用されている有機溶剤を用いて、前記モノマー(i)〜(iii)を溶液重合することが好ましい。
共重合体(A)の粘度が低い場合には、防汚塗料組成物の粘度を低下させるために添加される溶剤の量を低減することができ、以って防汚塗料組成物のVOC(Volatile Organic Compounds:揮発性有機化合物)量を低減することができる。また、防汚塗料組成物の粘度を低減できることに起因して、塗料組成物の塗装作業性、防汚塗膜の外観性(レベリング性)等も向上させることができる。
ラジカル重合に用いられる触媒としては、公知のものを広く使用でき、例えば、特開2001−151830号公報[0099]欄等に記載されているような、2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(AMBN)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス−イソブチロニトリルなどのアゾ化合物や、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシオクトエートなどの過酸化物が挙げられる。
共重合体(A)に含まれる構造単位(1)〜(3)の各含有量(重量)の比率は、それぞれ、重合反応に供されるモノマー(i)〜(iii)の仕込み量(重量)の比率と一致する傾向にある。したがって、重合反応に供されるモノマーの仕込み重量比に基づいて、前記「重量比(I)」および「前記重量比(II)」を所望の値に調整することができる。
2.トリメチルイソブテニルシクロヘキセンカルボン酸(B)
本発明の防汚塗料組成物は、該塗膜が長期間日光に曝された場合にクラックを生じさせないという観点、および該組成物が防汚剤を含む場合であれば該組成物から形成された防汚塗膜からの防汚剤の溶出を促進し、特に該塗膜の静置防汚性を向上させるという観点から、トリメチルイソブテニルシクロヘキセンカルボン酸を必須成分として含有する。
トリメチルイソブテニルシクロヘキセンカルボン酸(B)としては、たとえば2,6−ジメチルオクタ−2,4,6−トリエンとメタクリル酸との反応生成物が挙げられ、これは1,2,3−トリメチル−5−(2−メチルプロパ−1−エン−1−イル)シクロヘキサ−3−エン−1−カルボン酸及び1,4,5−トリメチル−2−(2−メチルプロパ−1−エン−1−イル)シクロヘキサ−3−エン−1−カルボン酸を主成分(85%以上)としている。
また、本発明の防汚塗料組成物において、共重合体(A)の含有量(WA)とトリメチルイソブテニルシクロヘキセンカルボン酸の含有量(WB)との比(WA/WB)は、重量基準で好ましくは99/1〜40/60、より好ましくは95/5〜50/50、さらに好ましくは90/10〜55/45である。上記重量比がこの範囲にあると、防汚塗料組成物から形成された防汚塗膜における研掃性(塗膜消耗性)を高める効果があり、防汚性(特に、静置防汚性)、該塗膜が長期間日光に曝された際の耐クラック性を向上させることができる。
3.ロジン類および/またはモノカルボン酸化合物(C)
本発明の防汚塗料組成物は、防汚塗料組成物から形成される防汚塗膜の防汚性を更に向上させるために、ロジン類および/またはモノカルボン酸化合物(ただし、トリメチルイソブテニルシクロヘキセンカルボン酸を除く。)(C)を含有していてもよい。ロジン類としては、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等のロジン、水添ロジン、不均化ロジン等のロジン誘導体などが挙げられ、モノカルボン酸化合物としては、脂肪族または脂環式のモノカルボン酸、およびにこれらの金属塩などが挙げられる、モノカルボン酸化合物の具体例としては、ナフテン酸、バーサチック酸、ステアリン酸、サリチル酸およびこれらの塩などが挙げられる。
本発明の防汚塗料組成物において、ロジンおよび/またはモノカルボン酸化合物(C)の含有量は、塗膜消耗性、防汚性、更に塗膜物性の観点から、トリメチルイソブテニルシクロヘキセンカルボン酸(B)100重量部に対して、好ましくは1から200重量部、さらに好ましくは3から150重量部、より好ましくは5から100重量部である。
4.無機銅化合物(D)
本発明の防汚塗料組成物は、防汚塗料組成物から形成される防汚塗膜の防汚性を更に向上させるために、無機銅化合物(D)をさらに含有していてもよい。銅化合物としては、たとえば、亜酸化銅、チオシアン酸銅、キュプロニッケル等が挙げられる。
また、本発明の防汚塗料組成物において、無機銅化合物(D)の含有量は、防汚塗膜の長期防汚性の向上という観点からは、共重合体(A)100重量部に対して、好ましくは10〜800重量部さらに好ましくは100〜750重量部である。また、無機銅化合物(D)の含有量は、防汚塗料組成物100重量%に対して、通常0.1〜70重量%好ましくは0.1〜60重量%程度である。さらに、無機銅化合物(D)は、その総重量に基づいて2%以上の金属銅を不純物として含まない銅化合物であることが好ましい。
5.有機防汚剤(E)
本発明の防汚塗料組成物は、防汚塗料組成物から形成された防汚塗膜の防汚性を更に向上させるため、特に植物性の海洋生物に対する防汚効果を向上させるために、有機防汚剤(E)をさらに含有していてもよい。有機防汚剤(E)は、防汚塗膜に防汚性を付与する有機化合物であれば特に限定されない。
有機防汚剤(E)としては、たとえば、銅ピリチオンやジンクピリチオン等の金属ピリチオン類、4,5−ジクロロ−2−n−オクチルー4−イソチアゾリン−3−オン、4−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピロール−3カルボニトリル、ボラン−窒素系塩基付加物(ピリジントリフェニルボラン、4−イソプロピルピリジンジフェニルメチルボラン等)、N,N−ジメチル−N’−(3,4−ジクロロフェニル)尿素、N−(2,4,6−トリクロロフェニル)マレイミド、2−メチルチオ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4,5,6−テトラクロロイソフタルニトリル、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメート、クロロメチル−n−オクチルジスルフィド、N,N’−ジメチル−N’−フェニル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、テトラアルキルチラウムジスルフィド、ジンクジメチルジチオカーバメート、ジンクエチレンビスジチオカーバメート、2,3−ジクロロ−N−(2’,6’−ジエチルフェニル)マレイミド、2,3−ジクロロ−N−(2’−エチル−6’−メチルフェニル)マレイミドなどが挙げられる。
本発明の防汚塗料組成物において、有機防汚剤(E)の含有量は、防汚塗料組成物から形成された防汚塗膜の長期防汚性、塗膜耐水性維持(機械的特性維持)の向上という観点からは、共重合体(A)100重量部に対して、好ましくは0.1〜500重量部、さらに好ましくは0.5〜300重量部である。また、有機防汚剤(E)の含有量は、防汚塗料組成物100重量%に対して、通常0.1〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%程度である。
本発明の防汚塗料組成物は、さらに着色顔料(F)、体質顔料(G)、顔料分散剤(H)、可塑剤(I)、タレ止め剤(J)、沈降防止剤(K)、脱水剤(L)、溶剤(M)からなる群から選択される少なくとも1種類の添加剤を含有していてもよい。以下、これら(F)から(M)について詳細に説明する。
6.着色顔料(F)
本発明の防汚塗料組成物は、防汚塗料組成物から形成される防汚塗膜の色調を調節したり、任意の色調を付与したりするために、着色顔料(F)を含んでいてもよい。
着色顔料(F)としては、公知の有機系または無機系の各種着色顔料が挙げられる。有機系の着色顔料としては、カーボンブラック、ナフトールレッド、フタロシアニンブルー等が挙げられる。また、無機系の着色顔料としては、ベンガラ、バライト粉、チタン白、黄色酸化鉄等が挙げられる。
また、本発明の防汚塗料組成物には、着色顔料(F)とともに、あるいは着色顔料(F)のかわりに、染料などの、着色顔料(F)を除く着色剤が含まれていてもよい。
本発明の防汚塗料組成物において、着色顔料(F)の含有量は、防汚塗料組成物から形成された防汚塗膜の、着色性、隠蔽性、暴露変色性、防汚性、塗膜耐水性(機械的特性)の向上という観点からは、共重合体(A)100重量部に対して、好ましくは0.01〜100重量部、より好ましくは0.01〜10重量部である。
また、着色顔料(e4)の含有量は、防汚塗料組成物100重量%に対して、通常0.1〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%程度である。
7.体質顔料(G)
体質顔料(G)は、防汚塗料組成物から形成された防汚塗膜の耐クラック性などの塗膜物性を向上することができる。
体質顔料(G)としては、たとえば、タルク、シリカ(珪藻土、酸性白土等)、マイカ、クレー、カリ長石、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、カオリン、アルミナホワイト、ホワイトカーボン、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛等が挙げられる。これらの中でも、タルク、シリカ、マイカ、クレー、炭酸カルシウム、カオリン、硫酸バリウム、カリ長石、酸化亜鉛が好ましい。
本発明の防汚塗料組成物において、体質顔料(G)の含有量は、防汚塗料組成物から形成された防汚塗膜の塗膜耐水性(機械的特性)、防汚性、塗膜加水分解性(消耗性)の向上という観点からは、共重合体(A)100重量部に対して、好ましくは0.1〜500重量部、より好ましくは50〜300重量部である。また、体質顔料(G)の含有量は、防汚塗料組成物100重量%に対して、通常0.1〜50重量%、好ましくは0.1〜40重量%程度である。
8.顔料分散剤(H)
顔料分散剤(H)としては、公知の有機系または無機系の各種顔料分散剤が挙げられる。顔料分散剤としては、脂肪族アミンまたは有機酸類(たとえば、「デュオミンTDO」(LION(株)製)、「Disperbyk101」(BYK(株)製))が挙げられる。
本発明の防汚塗料組成物において、顔料分散剤(H)の含有量は、防汚塗料組成物の塗料粘度を低減する効果や防汚塗膜の色分かれ防止効果の向上という観点からは、共重合体(A)100重量部に対して、好ましくは0.01〜100重量部、より好ましくは0.01〜50重量部である。また、顔料分散剤(H)の含有量は、防汚塗料組成物100重量%に対して、通常0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%程度である。
9.可塑剤(I)
本発明の防汚塗料組成物は、得られる防汚塗膜の耐クラック性を向上させるために、可塑剤(I)を含むことが好ましい。可塑剤(I)としては、塩化パラフィン(塩素化パラフィン)、石油樹脂類、ケトン樹脂、TCP(トリクレジルフォスフェート)、ポリビニルエチルエーテル、ジアルキルフタレート等が挙げられる。防汚塗料組成物から形成された防汚塗膜の塗膜耐水性(機械的特性)、塗膜加水分解性(消耗性)の向上という観点からは、可塑剤(I)としては、これらの中でも、塩化パラフィン(塩素化パラフィン)、石油樹脂類およびケトン樹脂が好ましい。可塑剤(I)は、1種単独で使用されてもよいし、2種類以上組み合わせて使用されてもよい。
塩化パラフィンの具体例としては、「トヨパラックス150」や「トヨパラックスA−70」(何れも東ソー(株)製)等が挙げられる。
また、石油樹脂類としては、C5系、C9系、スチレン系、ジクロロペンタジエン系、およびこれらの水素添加物などが挙げられる。石油樹脂類の具体例としては、「クイントン1500」や「クイントン1700」(何れも日本ゼオン(株)製)などが挙げられる。
本発明の防汚塗料組成物において、可塑剤(I)の含有量は、防汚塗料組成物から形成された防汚塗膜の塗膜加水分解性(消耗性)、防汚性および塗膜耐水性(機械的特性)の向上という観点からは、共重合体(A)100重量部に対して、好ましくは0.1〜300重量部、より好ましくは0.1〜200重量部、さらに好ましくは0.1〜150重量部である。
また、可塑剤(I)の含有量は、防汚塗料組成物100重量%に対して、通常0.1〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%程度である。
10.タレ止め剤(J)
本発明の防汚塗料組成物は、防汚塗料組成物を用いて基材を塗装する際に、該塗料組成物によるタレの発生を低減できるという観点から、タレ止め剤(J)(流れ止め剤ともいう)を含んでいてもよい。
タレ止め剤(J)としては、アマイドワックス、水添ヒマシ油ワックスや、これらの混合物、合成微粉シリカ(アエロジル(登録商標)等)等が挙げられ、中でも、アマイドワックスまたは合成微粉シリカであることが好ましい。タレ止め剤(J)としてアマイドワックスまたは合成微粉シリカを用いると、防汚塗料組成物の貯蔵安定性を向上させることや、防汚塗膜を形成した後、該防汚塗膜上に同種塗料組成物(防汚塗料組成物)または異種塗料組成物からなる塗膜(上塗塗膜)を形成した場合、該防汚塗膜と上塗塗膜との間の密着性(層間密着性、塗り重ね性)の低下を防ぐことが可能になる。
なお、タレ止め剤(J)の市販品としては、「ディスパロンA630−20X」(楠本化成(株)製)や「ASAT−250F」(伊藤精油(株)製)が挙げられる。
本発明の防汚塗料組成物において、タレ止め剤(J)の含有量は、共重合体(A)100重量部に対して、好ましくは0.1〜100重量部、より好ましくは0.1〜50重量部である。また、タレ止め剤(J)の含有量は、防汚塗料組成物100重量%に対して、通常0.1〜20重量%、好ましくは、0.1〜10重量%程度である。タレ止め剤(J)の含有量をこのような範囲に設定すると、防汚塗料組成物の貯蔵安定性を向上させること、および防汚塗膜を形成した後、該防汚塗膜上に同種塗料組成物(防汚塗料組成物)または異種塗料組成物からなる塗膜(上塗塗膜)を形成した場合に、該防汚塗膜と上塗塗膜との間の密着性(層間密着性、塗り重ね性)の低下を防ぐことが可能になる。
11.沈降防止剤(K)
本発明の防汚塗料組成物は、貯蔵中の塗料組成物において沈殿物の発生を防止でき、攪拌性も向上できるという観点から、沈降防止剤(K)を含んでいてもよい。
沈降防止剤(K)としては、Al、CaまたはZnのステアート、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス等が挙げられ、中でも、酸化ポリエチレンワックスが好ましい。酸化ポリエチレンワックスの市販品としては、「ディスパロン4200−20X」(楠本化成(株)製)が挙げられる。
本発明の防汚塗料組成物において、沈降防止剤(K)の含有量は、共重合体(A)100重量部に対して、好ましくは0.1〜100重量部、より好ましくは0.1〜50重量部である。また、沈降防止剤(K)の含有量は、防汚塗料組成物100重量%に対して、通常0.1〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%程度である。沈降防止剤(K)の含有量をこのような範囲に設定すると、防汚塗料組成物の貯蔵安定性を向上させること、および防汚塗膜を形成した後、該防汚塗膜上に同種塗料組成物(防汚塗料組成物)または異種塗料組成物からなる塗膜(上塗塗膜)を形成した場合に、該防汚塗膜と上塗塗膜との間の密着性(層間密着性、塗り重ね性)の低下を防ぐことが可能になる。
12.脱水剤(L)
本発明の防汚塗料組成物は、貯蔵安定性が良好な共重合体(A)を含有しているために優れた貯蔵安定性を有するが、必要に応じて脱水剤(L)を添加することにより更に優れた長期貯蔵安定性を得ることが可能となる。脱水剤(L)としては、無機系脱水剤および有機系脱水剤が挙げられる。
無機系脱水剤としては、合成ゼオライト、無水石膏および半水石膏が好ましい。有機系脱水剤としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシランおよびトリメチルエトキシシラン等のアルコキシシラン類、ならびにその縮合物であるポリアルコキシシラン類、ならびにオルト蟻酸メチルおよびオルト蟻酸エチル等のオルト蟻酸アルキルエステル類が好ましい。
脱水剤(L)は、好ましくは共重合体(A)100重量部に対して0.1〜50重量部含まれる。
13.溶剤(M)
本発明の防汚塗料組成物は、共重合体(A)などの分散性を向上させたり、該組成物の粘度を調整したりするために、必要に応じて、水または有機溶剤等の溶剤(M)を含んでいてもよい。溶剤(M)は、共重合体(A)を調製する際に使用した溶剤であってもよく、共重合体(A)と必要に応じてその他の成分とを混合する際に、別途添加された溶剤であってもよい。
有機溶剤としては、キシレン、トルエン、エチルベンゼン等の芳香族系有機溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール等の脂肪族(炭素数1〜10、好ましくは2〜5程度)の1価アルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;等が挙げられる。
本発明の防汚塗料組成物の溶剤(M)の含有量は、防汚塗料組成物100重量%とした場合、通常、20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%である。
(防汚塗料組成物の製造方法)
本発明の防汚塗料組成物は、公知の方法を適宜利用して製造することができる。たとえば、共重合体(A)およびトリメチルイソブテニルシクロヘキセンカルボン酸(B)と、必要に応じて他の成分とを、一度にあるいは任意の順序で攪拌容器に添加し、公知の攪拌および混合手段で混合して製造することができる。
なお、各成分を混合した後、最後に、タレ止め剤(J)(アマイドワックス(たとえば、ディスパロンA630−20X等))を添加し、(たとえば、混合物を10〜20分間程度撹拌することにより)分散させて、防汚塗料組成物を調製することが好ましい。得られた防汚塗料組成物を基材に塗布した際に、タレの発生を低減できるためである。
攪拌および混合手段としては、ハイスピードディスパー、サンドグラインドミル、バスケットミル、ボールミル、三本ロール、ロスミキサー、プラネタリーミキサー、万能品川攪拌機などが挙げられる。
[防汚塗膜および防汚基材]
本発明の防汚塗膜は、本発明の防汚塗料組成物の固形分からなる。本発明の防汚塗膜は、本発明の防汚塗料組成物から形成され、たとえば防汚塗料組成物が溶剤(M)を含む場合であれば、基材上に塗布された本発明の防汚塗料組成物を、たとえば自然乾燥またはヒーター等の乾燥手段を用いて硬化させて(すなわち、前記溶剤(M)を除去して)、形成することができる。
また、本発明の防汚基材は、基材と、該基材の表面に形成された本発明の防汚塗膜とからなり、本発明の防汚塗料組成物を、基材(目的物、被塗装物)に、たとえばエアスプレー、エアレススプレー、刷毛、ローラー等の塗装手段を用いて塗布するか、または含浸させて、基材に塗布されたまたは含浸された塗料組成物を、たとえば自然乾燥(室温程度の温度)または、ヒーター等の乾燥手段を用いて乾燥、硬化させて、基材上に防汚塗膜を形成することにより製造できる。
あるいは、本発明の防汚基材は、本発明の防汚塗料組成物から仮の基材の表面に防汚塗膜を形成し、この防汚塗膜を仮の基材から剥がして防汚すべき基材に貼付することによっても製造できる。この際、接着剤層を介して基材上に防汚塗膜を貼付してもよい。
上記基材としては、特に限定されないが、好ましくは、海水または真水に接触する基材であり、具体的には、各種発電所(火力、原子力)の給排水口や、湾岸道路、海底トンネル、港湾設備または運河もしくは水路等の各種海洋または河川土木工事において使用される汚泥拡散防止膜等の水中構造物、船舶外板(特に船舶の喫水部から船底部分)、漁業資材(ロープ、魚網等の漁具、浮き子またはブイなど)が挙げられる。
それら基材の材質としては、特に船舶外板では、鋼、アルミニウム、木材、FRPなどが挙げられ、魚網等では、天然または合成繊維が挙げられ、また、浮き子、ブイ等では、合成樹脂製のものが挙げられ、水中にあって防汚性等が求められる基材である限り、その材質は、特に限定されない。
これらの基材の表面に、特に基材が船底等の場合には、通常、鋼製基材の表面に防錆塗料等のプライマーを下塗りした後のプライマー処理基材の表面に、上記のような方法で、1回または複数回、本発明の防汚塗料組成物(防汚塗料)を塗布し、塗布または含浸(特に、基材が魚網等の場合)させた防汚塗料組成物を硬化させて防汚塗膜を形成すると、アオサ、フジツボ、アオノリ、セルプラ、カキ、フサコケムシ等の水棲生物の付着を長期間に亘って防止する特性(防汚性、特に静置防汚性)に優れ、特に防汚塗膜に防汚成分(例:前記無機銅化合物(D)、前記有機防汚剤(E))が含まれる場合、長期に亘って防汚成分を徐放することができる。
また、基材が船舶外板(特にその船底)、水中構造物等の場合には(通常、基材表面は、プライマー処理されている場合や、各種バインダー塗料から形成された層を有する場合もある。)、その基材表面に、防汚塗料組成物を複数回塗布(厚塗り:乾燥膜厚100〜600μm程度)し、得られる防汚基材は、優れた防汚性とともに、適度な可撓性および優れた耐クラック性をバランスよく発揮する。
上記防汚基材を製造するに当たって、基材が劣化防汚塗膜付き鋼板や魚網等の場合には、その表面に本発明の防汚塗料組成物を直接塗布してもあるいは含浸させても(魚網等の場合)よく、また、基材が鋼板生地の場合には、基材表面に防錆剤やプライマーなどの下地材を予め塗布して下地層を形成した後に、該下地層の表面に本発明の防汚塗料組成物を塗布してもよい。また、本発明の防汚塗膜または従来の防汚塗膜が形成された基材の表面に、補修を目的として、本発明の防汚塗膜をさらに形成してもよい。
なお、1回の塗布操作で形成される本発明の防汚塗膜の厚さは、特に限定されないが、基材が船舶や水中構造物である場合、たとえば、30〜250μm程度である。
本発明の防汚塗膜を有する水中構造物は、長期間に亘って水棲生物の付着を防止できることに起因して、水中構造物の機能を長期間維持できる。また、本発明の防汚塗膜を有する魚網は、環境汚染のおそれが少ない上に、水棲生物の付着を防止できることに起因して網目の閉塞を防止できる。
以下、実施例に基づき、本発明について更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。
[評価方法]
後述する共重合体、塗料組成物、塗膜等の評価は以下のように行った。
(1)重合体溶液中の固形分の含有率
重合体溶液1.5g(X1(g))を、恒温槽内で、1気圧、108℃の条件下で3時間保持して揮発分を除去して固形分(不揮発分)を得た。次いで、残った固形分(不揮発分)の量(X2(g))を測定し、下記式に基づいて、重合体溶液に含まれる固形分の含有率(%)を算出した。
固形分の含有率(%)=X2/X1×100
(2)共重合体の平均分子量
共重合体の重量平均分子量(Mw)を下記条件でGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定した。
GPC条件
装置 :「HLC−8120GPC」(東ソー(株)製)
カラム :「SuperH2000+H4000」(東ソー(株)製、6mm(内径)、各15cm(長さ))
溶離液 :テトラヒドロフラン(THF)
流速 :0.500ml/min
検出器 :RI
カラム恒温槽温度 :40℃
標準物質 :ポリスチレン
サンプル調製法 :各製造例で調製された重合体溶液に少量の塩化カルシウムを加えて脱水した後、メンブレムフィルターで濾過して得られた濾物をGPC測定サンプルとした。
(3)重合体溶液の粘度
E型粘度計(東機産業(株)製)を用いて液温25℃の重合体溶液の粘度(単位:mPa・s)を測定した。
(4)塗膜促進劣化試験(塗膜外観および付着性の評価)
サンドブラスト板(150mm×70mm×1.6mm)上に、アプリケーターを用いて、エポキシ系塗料(エポキシAC塗料、商品名「バンノー500」、中国塗料(株)製)を乾燥膜厚で150μmになるように塗布し、硬化させて硬化塗膜を形成させ、次いで、該硬化塗膜上に、アプリケーターを用いて、ビニルバインダー塗料(商品名「シルバックスSQ−K」、中国塗料(株)製)を乾燥膜厚で40μmになるように塗布して試験板を作製した。
次いで、試験板上に(ビニルバインダー塗料から形成された乾燥塗膜表面に)、上記実施例および比較例の各塗料組成物を、アプリケーターを用いて、乾燥膜厚で150μmとなるように塗布して、23℃で1日間乾燥させて防汚塗膜を形成し、さらに、該防汚塗膜表面に、前記塗料組成物を乾燥膜厚で150μmとなるように塗布して、23℃で7日間乾燥させて防汚塗膜を形成して、防汚塗膜付試験板を作製した。
この防汚塗膜付試験板を50℃の人工海水に浸漬し、浸漬開始から1月毎に、下記評価基準に基づいて塗膜外観および付着性を調査した。
外観評価
防汚塗膜付試験板の防汚塗膜面を目視で割れの度合いを観察し、JIS K5600−8−4に準拠して、下表に示すように割れの量の等級付けを行った。
Figure 2016216651
付着性評価
NTカッターを使用し、防汚塗膜付試験板の防汚塗膜表面に、4mm間隔で縦横に各4本の切れ目を入れ9個の升目を作製し、その升目が作製された塗膜表面にセロテープ(登録商標)を圧着させた後、セロテープをすばやく剥離し、升目を観察した。次いで、9個の升目の面積を100%とした場合における、剥離操作後の升目において残存している塗膜の面積(以下「塗膜の残存面積」ともいう。)(%)を算出し、下記評価基準に基づいて付着性を評価した。
[付着性の評価基準]
0:塗膜の残存面積が95%以上である。
1:塗膜の残存面積が75〜95%未満である。
2:塗膜の残存面積が50〜75%未満である。
3:塗膜の残存面積が50%未満である。
(5)耐暴露試験(塗膜外観の評価)
サンドブラスト板(150mm×70mm×1.6mm)上に、アプリケーターを用いて、エポキシ系塗料(エポキシAC塗料、商品名「バンノー500」、中国塗料(株)製)を乾燥膜厚で150μmになるように塗布し、硬化させて硬化塗膜を形成させ、次いで、該硬化塗膜上に、アプリケーターを用いて、ビニルバインダー塗料(商品名「シルバックスSQ−K」、中国塗料(株)製)を乾燥膜厚で40μmになるように塗布し、室温で1日間乾燥させ試験板を作製した。
次いで翌日、その試験板上に(ビニルバインダー塗料から形成された硬化塗膜表面に)、上記実施例および比較例の各塗料組成物を、アプリケーターを用いて、乾燥膜厚で150μmとなるように塗布して、23℃で1日間乾燥させて防汚塗膜を形成し、さらに、該防汚塗膜表面に、前記塗料組成物を乾燥膜厚で150μmとなるように塗布して、23℃で7日間乾燥させて防汚塗膜を形成して、防汚塗膜付試験板を作製した。
この防汚塗膜付試験板を、広島県大竹市の中国塗料(株)の敷地内に設置した屋外曝露台に、防汚塗膜側を上に向け、南向けに地面に対して45°の角度で傾けて設置して暴露し、曝露開始から1、3、6か月後の塗膜の状態を観察した。
(6)静置防汚性試験
サンドブラスト板(300mm×100mm×3.2mm)上に、アプリケーターを用いて、エポキシ系塗料(エポキシAC塗料、商品名「バンノー500」、中国塗料(株)製)を乾燥膜厚で150μmになるように塗布し、硬化させて硬化塗膜を形成させ、次いで、該硬化塗膜上に、ビニルバインダー塗料(商品名「シルバックスSQ−K」、中国塗料(株)製)を乾燥膜厚で40μmになるように塗布し、室内で1日間乾燥させて試験板を作製した。
次いで翌日、試験板上に(ビニルバインダー塗料から形成された硬化塗膜表面に)、上記実施例および比較例の各塗料組成物を、アプリケーターを用いて、乾燥膜厚で150μmとなるように塗布して、23℃で1日間乾燥させて防汚塗膜を形成し、さらに、該防汚塗膜表面に、前記塗料組成物を乾燥膜厚で150μmとなるように塗布して、23℃で7日間乾燥させて防汚塗膜を形成して、防汚塗膜付試験板を作製した。
この防汚塗膜付試験板を、長崎県長崎湾内に静置浸漬し、浸漬開始から1月毎に、試験板の防汚塗膜の全面積を100%とした場合における、防汚塗膜上の水棲生物が付着している部分の面積(以下「付着面積」ともいう。)(%)を測定し、下記評価基準に基づいて静置防汚性を評価した。
[評価基準]
0:付着面積が0%である。
0.5:付着面積が0〜10%未満である。
1:付着面積が10〜20%未満である。
2:付着面積が20〜30%未満である。
3:付着面積が30〜40%未満である。
4:付着面積が40〜50%未満である。
5:付着面積が50〜100%である。
(7)塗膜消耗度試験
実施例および比較例で得られた各塗料組成物を、硬質塩化ビニル板(50mm×50mm×1.5mm)に乾燥膜厚150μmになるようにアプリケーターで塗布し乾燥させて試験板を作製した。得られた試験板を、回転ドラムに取り付け、該回転ドラムを海水中に浸漬して、海水温度25℃の条件下で周速15ノットで回転させ、浸漬開始から1ヶ月毎に12ヶ月間消耗膜厚を測定し、月平均塗膜消耗量を求めた。
[製造例A1]
攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導入管および滴下ロートを備えた反応容器に、キシレン53重量部を仕込み、窒素雰囲気下で、キシレンを攪拌機で攪拌しながら、常圧下に、反応容器内のキシレンの温度が85℃になるまで加熱した。反応容器内のキシレンの温度を85℃に維持しながら、TIPSMA(トリイソプロピルシリルメタクリレート) 60重量部、MEMA(2−メトキシエチルメタクリレート) 10重量部およびMMA(メチルメタクリレート) 20重量部、BA(ブチルアクリレート) 10重量部およびAMBN(2,2´-アゾビス(2−メチルブチロニトリル)) 1重量部からなるモノマー混合物を、滴下ロートを用いて2時間かけて反応容器内に添加した。
次いで、さらに反応容器内にt−ブチルパーオキシオクトエート 0.5重量部を加え、常圧下に、反応容器内の液温を85℃に保持しながら、攪拌機で反応容器内の液の攪拌を2時間続けた。さらに反応容器内の液温を85℃から110℃に上げて撹拌を1時間行い、次いで反応容器内にキシレン14重量部を加えて、反応容器内の液温を低下させ、液温が40℃になった時点で攪拌を止めて、シリルメタクリレート共重合体を含む重合体溶液A1を得た。
重合体溶液A1の各種物性を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2016216651
[製造例A2〜A9および製造例B1〜B2]
製造例A1において使用されたモノマー混合物のかわりに、表2または3に示される組成を有するモノマー混合物を使用したことを除いては、製造例A1と同様にして、シリル(メタ)アクリレート共重合体を含む重合体溶液を調製し、各種物性を測定した。結果を表2、3に示す。表2、3において、重合体溶液A2〜A9および重合体溶液B1〜B2は、それぞれ、製造例A2〜A9および製造例B1〜B2において得られた共重合体を含む溶液を表す。また、MEAおよびEAは、それぞれ2−メトキシエチルアクリレートおよびエチルアクリレートを表す。
Figure 2016216651
[実施例1]
<防汚塗料組成物の調製>
ポリ容器(容量:1000ml)に、溶剤としてのキシレン 17.8重量部、トリメチルイソブテニルシクロヘキセンカルボン酸(1,2,3−トリメチル−5−(2−メチルプロパ−1−エン−1−イル)シクロヘキサ−3−エン−1−カルボン酸および1,4,5−トリメチル−2−(2−メチルプロパ−1−エン−1−イル)シクロヘキサ−3−エン−1−カルボン酸を主成分(85%以上)とする、2,6−ジメチルオクタ−2,4,6−トリエンとメタクリル酸との反応生成物(50%キシレン溶液)) 6.4重量部、および重合体溶液A1 16重量部を添加して、各成分が均一に分散または溶解するまでペイントシェーカーを用いて混合した。その後、さらにポリ容器に、添加剤(1)(タルクFC−1 3重量部、酸化亜鉛(亜鉛華3号) 4重量部、亜酸化銅NC301 45重量部、ノバパームレッドF5RK 0.3重量部、チタン白R−5N 2重量部、カッパーオマジン(銅ピリチオン) 1重量部およびディスパロン4200−20X 2重量部)を添加して、1時間ペイントシェーカーを用いて攪拌してこれらの成分を分散させた。
分散後、さらにディスパロンA630−20X 2.5重量部を添加して、20分間ペイントシェーカーを用いて攪拌した後、混合物を濾過網(目開き:80メッシュ)で濾過して、残渣を除いて濾液(塗料組成物A1)を得た。なお、上記各種添加剤の製造元等については、表4に示す。
得られた塗料組成物A1の各種特性を評価した。結果を表7に示す。
[実施例2〜19および比較例1〜4]
配合成分の種類および量を表5〜6に示されるように変更したことを除いては実施例1と同様にして、塗料組成物を調製し、各種特性を評価した。結果を表7〜8に示す。
なお、表5〜8で示される塗料組成物A2〜A19および塗料組成物B1〜B4は、それぞれ、実施例2〜19および比較例1〜4で得られた塗料組成物を表す。
Figure 2016216651
Figure 2016216651
Figure 2016216651
Figure 2016216651
Figure 2016216651

Claims (12)

  1. トリイソプロピルシリルメタクリレート(i)から誘導される構造単位(1)と、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート(ii)から誘導される構造単位(2)と、重合性二重結合を有する他のモノマー(ただし、トリイソプロピルシリルメタクリレートおよび2−メトキシエチル(メタ)アクリレートを除く。)(iii)から誘導される構造単位(3)とを含むシリルメタクリル系共重合体(A)と、トリメチルイソブテニルシクロヘキセンカルボン酸(B)とを含むことを特徴とする防汚塗料組成物。
  2. 前記他のモノマー(iii)がエステル類またはカルボン酸類であることを特徴とする請求項1に記載の防汚塗料組成物。
  3. 前記シリルメタクリル系共重合体(A)中の前記構造単位(1)の割合が30〜70重量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の防汚塗料組成物。
  4. 前記シリルメタクリル系共重合体(A)中の前記構造単位(2)の割合が5〜40重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の防汚塗料組成物。
  5. 前記シリルメタクリル系共重合体(A)の含有量(WA)と前記トリメチルイソブテニルシクロヘキセンカルボン酸(B)の含有量(WB)との比(WA/WB)が重量基準で99/1〜40/60であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の防汚塗料組成物。
  6. さらにロジン類および/またはモノカルボン酸化合物(ただし、トリメチルイソブテニルシクロヘキセンカルボン酸を除く。)(C)を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の防汚塗料組成物。
  7. さらに、無機銅化合物(D)、有機防汚剤(E)、着色顔料(F)、体質顔料(G)、顔料分散剤(H)、可塑剤(I)、タレ止め剤(J)、沈降防止剤(K)、脱水剤(L)、および溶剤(M)からなる群から選択される少なくとも1種の成分を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の防汚塗料組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の防汚塗料組成物から形成されることを特徴とする防汚塗膜。
  9. 基材と、該基材の表面に設けられた請求項8に記載の防汚塗膜とを有することを特徴とする防汚基材。
  10. 海水または真水と接触することを特徴とする請求項9に記載の防汚基材。
  11. 前記基材が、水中構造物、船舶外板または漁具であることを特徴とする請求項9または10に記載の防汚基材。
  12. 基材の表面に、請求項1〜7のいずれか一項に記載の防汚塗料組成物を塗布するかもしくは含浸させる工程と、該工程により前記基材に塗布された、もしくは含浸された前記防汚塗料を硬化させる工程とを備えるか、または前記防汚塗料組成物から塗膜を形成し、この塗膜を硬化させて防汚塗膜を形成する工程と、前記防汚塗膜を基材に貼付する工程とを備えることを特徴とする防汚基材の製造方法。
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