JP2016216425A - カルベジロール含有錠剤 - Google Patents

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菊岡 広晃
Hiroaki Kikuoka
広晃 菊岡
芳之 小川
Yoshiyuki Ogawa
芳之 小川
悟 荻原
Satoru Ogiwara
悟 荻原
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Abstract

【課題】乳糖由来の類縁物質の生成及びホルミル体の生成を、ともに抑制するカルベジロール含有錠剤を提供する。【解決手段】本発明の一実施形態において、カルベジロールと、D−マンニトールと、を含むことを特徴とする、カルベジロール含有錠剤が提供される。本発明によると、乳糖由来の類縁物質の生成及びホルミル体の生成をともに抑制するカルベジロール含有錠剤が提供される。また、本発明によると、カルベジロールの類縁物質の生成が抑制されたカルベジロール含有錠剤の製造方法が提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、カルベジロール含有錠剤及びその製造方法に関する。特に、類縁物質の生成が抑制された安定なカルベジロール含有錠剤及びその製造方法に関する。
カルベジロール((2RS)-1-(9H-Carbazol-4-yloxy)-3-{[2-(2-methoxyphenoxy)ethyl]amino}propan-2-ol)は、高血圧症、狭心症、慢性心不全の治療に有効な薬剤であり、本邦ではカルベジロールを有効成分とするフィルムコート錠が、複数の会社から販売されている。
しかしながら、カルベジロール含有錠剤、特に低含有量のカルベジロール錠剤の安定性は、十分なものとは言い難い。本邦で販売されているカルベジロール錠剤の一つであるアーチスト(登録商標)錠のインタビューフォームには、高温多湿条件下で保管した場合、カルベジロールと賦形剤である乳糖が縮合した類縁物質I、II(両者はジアステレオマーであり、以降、それぞれ「乳糖付加体R」、「乳糖付加体S」ともいう。また、両者をあわせて「乳糖付加体」という)とカルベジロールがホルミル化された類縁物質III(以下、「ホルミル体」という)、そして構造不明の類縁物質IVが生じることが記載されている。
また、特許文献1には、類縁物質の発生を低減するために、カルベジロール含有固形製剤に抗酸化剤を配合することが記載されている。しかしながら、特許文献1の実施例においては、確かに抗酸化剤を配合することで、総類縁物質量をわずかに抑制しているものの、60℃、2日間という非常に短い期間にもかかわらず、総類縁物質量が6から10倍も増加する結果となっており、満足のいくものとは言い難い。また、特許文献1には、高温多湿条件下における安定性については一切記載されておらず、さらには、どのような類縁物質の生成が抑制されたかについても不明である。
従って、高温多湿条件下においても安定なカルベジロール含有錠剤、特に乳糖付加体とホルミル体をともに抑制したカルベジロール含有錠剤は今日まで知られていない。
特開2009−275041号公報
アーチスト錠 医薬品インタビューフォーム 2014年10月改訂(第13版)
本発明は、上述の課題を解決するものであり、乳糖付加体の生成及びホルミル体の生成をともに抑制したカルベジロール含有錠剤及びその製造方法を提供することを目的とする。また、後述の新たな知見に基づき、乳糖付加体及びホルミル体に加え、乳糖付加体の前駆体の生成も抑制したカルベジロール含有錠剤及びその製造方法を提供することを目的とする(以下、乳糖付加体と前駆体をあわせて、「乳糖由来の類縁物質」という)。
本発明の一実施形態によると、カルベジロールと、D−マンニトールと、を含有することを特徴とする、カルベジロール含有錠剤が提供される。
本発明によると、乳糖由来の類縁物質の生成及びホルミル体の生成をともに抑制するカルベジロール含有錠剤が提供される。また、本発明によると、カルベジロールの類縁物質の生成が抑制されたカルベジロール含有錠剤の製造方法が提供される。
以下、本発明に係るカルベジロール含有錠剤及びその製造方法について説明する。但し、本発明のカルベジロール含有錠剤及びその製造方法は、以下に述べる実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。
本発明者らは、カルベジロール含有錠剤について鋭意検討していたところ、カルベジロールの乳糖付加体は、従来のカルベジロール含有錠剤に賦形剤として添加されている乳糖とカルベジロールが反応し、前駆体を経て、生成することを新たに見出した。そこで、本発明者らは、この新たな知見を踏まえ、乳糖付加体及びホルミル体に加え、乳糖付加体の前駆体の生成も抑制されたカルベジロール含有錠剤について、検討することとした。
本発明者らは、まずは乳糖由来の類縁物質に着目し、乳糖由来の類縁物質の生成が抑制されたカルベジロール含有錠剤について検討していたところ、賦形剤として乳糖に代えて特定の賦形剤を添加することによって、乳糖由来の類縁物質の生成を抑制可能であることを見出した。そして、驚くべきことに、特定の賦形剤を添加することによって、乳糖由来の類縁物質だけではなく、ホルミル体の生成すらも抑制可能であることを見出した。なお、ホルミル体の生成経路については、詳細は不明であるが、以下の実施例で説明するとおり、乳糖を含有しないカルベジロール含有錠剤においてもホルミル体が生成することから、ホルミル体は、乳糖由来の類縁物質とは別の生成経路を有するものと考えられる。そのような生成経路が不明のホルミル体の生成を特定の賦形剤を添加することによって抑制可能であることは、驚くべきことである。
本発明に係るカルベジロール含有錠剤は、カルベジロールと、D−マンニトールと、を含有する。本発明に係るカルベジロール含有錠剤におけるカルベジロールの含有量は、特に限定されるものではない。本実施形態において、カルベジロールの含有量は低含量であることが好ましい。カルベジロールの含有量は、1.25mg/錠以上2.5mg/錠以下であることが特に好ましく、1.25mg/錠であることがより一層好ましい。本発明の効果は、低含量のカルベジロール含有錠剤において顕著であり、1.25mg/錠のカルベジロール含有錠剤において特に顕著である。
本実施形態において、賦形剤として添加されるD―マンニトールの含有量は、特に限定されるものではない。例えば、従来から知られているカルベジロール含有錠剤の乳糖に置き換えて、同量を添加すれば良く、あるいは最終的な錠剤の性質に合わせて、適量を添加すれば良い。本実施形態において、賦形剤として乳糖を含有しないことが好ましい。
本実施形態において、カルベジロール含有錠剤は更なる賦形剤を含有しても良く、更なる賦形剤としては、トウモロコシデンプン、結晶セルロース、又は低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含有してもよい。
本実施形態において、カルベジロール含有錠剤における崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウムを含有してもよい。なお、本発明に係るカルベジロール含有錠剤の効果を奏する範囲において、他の慣用の崩壊剤を用いることもできる。また、本発明に係るカルベジロール含有錠剤の効果を奏する範囲において、崩壊剤の含有量を適宜調整してもよい。
本実施形態において、カルベジロール含有錠剤は、結合剤として、ヒドロキシプロピルセルロースを含有してもよい。なお、本発明に係るカルベジロール含有錠剤の効果を奏する範囲において、他の慣用の結合剤を用いることもできる。また、本発明に係るカルベジロール含有錠剤の効果を奏する範囲において、結合剤の含有量を適宜調整してもよい。
本実施形態において、カルベジロール含有錠剤は、滑沢剤として、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウムを含有してもよい。なお、本発明に係るカルベジロール含有錠剤の効果を奏する範囲において、他の慣用の滑沢剤を用いることもできる。また、本発明に係るカルベジロール含有錠剤の効果を奏する範囲において、滑沢剤の含有量を適宜調整してもよい。
本実施形態において、カルベジロール含有錠剤は、フィルムコーティングを施し、フィルムコーティング錠剤としても良い。
本実施形態のカルベジロール含有錠剤は、矯味矯臭剤などの添加剤をさらに含んでもよい。
(製造方法)
本発明のカルベジロール含有錠剤は、湿式造粒法により製造され、特に流動層造粒法で製造されることが好ましい。例えば、カルベジロールとD―マンニトールと更なる賦形剤と崩壊剤とを含む混合物に、結合剤を含む溶液(例えば、水溶液)をスプレーしつつ流動層造粒を行うことにより、造粒物を得る。得られた造粒物を乾燥させた後、整粒して整粒物とし、崩壊剤及び滑沢剤を混合して常法により打錠することで、本発明に係るカルベジロール含有錠剤を得ることができる。
上述した本発明に係るカルベジロール含有錠剤の具体的な実施例及び試験結果を示して、より詳細に説明する。
(実施例1)
実施例1として、1錠中にカルベジロール1.25mgを有効成分として含有する錠剤を以下のように製造した。カルベジロール5.0gと、D−マンニトール(マンニットP、三菱商事フードテック株式会社)321gをポリエチレン袋で混合した後、ハンマーミルで粉砕した。得られた混合粉砕物326gとトウモロコシデンプン100g、クロスカルメロースナトリウム16gを流動層造粒機(MP−01型、株式会社パウレック)に投入し混合した。その後、ヒドロキシプロピルセルロース16gを精製水304gに溶かした水溶液をスプレーし、造粒を行った。得られた造粒物を篩22号で整粒した。この整粒物と、クロスカルメロースナトリウム16g、軽質無水ケイ酸2.0g及びステアリン酸マグネシウム4.0gをポリエチレン袋で混合し、打錠前粉末を得た。得られた打錠前粉末を、ロータリー打錠機(VELA 5、株式会社菊水製作所)を用いて打錠し、重量120mgの素錠を得た。さらに得られた素錠にフィルムコーティングを施して、重量125mgのフィルムコーティング錠を得た。
(比較例1)
比較例1として、従来のカルベジロール含有錠剤において賦形剤として用いられている乳糖を添加してカルベジロール錠剤を製造した。具体的には、カルベジロール5.0gと、乳糖水和物(Pharmatose200M、DFE Pharma)321gをポリエチレン袋で混合した後、ハンマーミルで粉砕した。得られた混合粉砕物326gとトウモロコシデンプン100g、クロスカルメロースナトリウム16gを流動層造粒機(MP−01型、株式会社パウレック)に投入し混合した。その後、ヒドロキシプロピルセルロース16gを精製水304gに溶かした水溶液をスプレーし、造粒を行った。得られた造粒物を篩22号で整粒した。この整粒物と、クロスカルメロースナトリウム16g、軽質無水ケイ酸2.0g及びステアリン酸マグネシウム4.0gをポリエチレン袋で混合し、打錠前粉末を得た。得られた打錠前粉末を、ロータリー打錠機(VELA 5、株式会社菊水製作所)を用いて打錠し、重量120mgの素錠を得た。さらに得られた素錠に実施例1と同様のフィルムコーティングを施して、重量125mgのフィルムコーティング錠を得た。
(安定性試験)
上述した実施例1及び比較例1のカルベジロール含有錠剤について安定性を評価した。安定性の評価は、初期状態(イニシャル)、40℃、75%RHの条件下で3か月保存後(加速試験3ヶ月(3M)、PTP包装品(アルミピロー))について、液体クロマトグラフィーを用いて純度試験を実施し、類縁物質量を算出した。実施例1及び比較例1の類縁物質の割合(%)を表1に示す。なお、表1には、本試験の類縁物質として、乳糖付加体Rと乳糖付加体S、その前駆体であるそれぞれ前駆体Rと前駆体S、及びホルミル体を示した。また、表中において−(バー)で示したものは、対応するピークが検出されなかったことを意味する。
Figure 2016216425
表1の結果から、乳糖を含有する比較例1のカルベジロール含有錠剤を40℃、75%RHの条件下で保存した場合、類縁物質が多く生成していた。他方、乳糖に替えてD−マンニトールを用いた実施例1のカルベジロール含有錠剤では、同じ保存条件下の比較例1に比して、乳糖由来の類縁物質はもちろんのこと、ホルミル体の生成も抑制されていた。
以上説明したように、本発明に係るカルベジロール含有錠剤は、D−マンニトールを添加することにより、乳糖由来の類縁物質の生成が有意に抑制され、また、ホルミル体の生成が有意に抑制され、安定性の向上を実現することができる。

Claims (1)

  1. カルベジロールと、D−マンニトールと、を含むことを特徴とする、カルベジロール含有錠剤。
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