<第1実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態に係るタイヤについて説明する。図1には、本実施形態に係る空気入りタイヤ10(以下、単に「タイヤ10」と記載する。)の側面図が示されている。本実施形態では、タイヤ周方向をU、タイヤ径方向をRで示す。
図1に示されるように、タイヤ10のタイヤサイド部12の表面12Aには、平滑面で形成された標章14と、この標章14を構成する各構成要素14Aを囲む装飾用のパターン部20が形成されている。なお、これらの標章14及びパターン部20は、タイヤ10のタイヤ最大幅の位置よりもタイヤ径方向外側に配置することが好ましい。
標章14は、例えば「ABCDEFGH」の文字で構成されている。なお、本実施形態では、標章14を構成する各文字が構成要素14Aである。また、構成要素14Aは、本発明における平滑部の一例である。
パターン部20は、タイヤサイド部12の表面12A、特に標章14と比べて、光の反射が低い低反射部として構成されている。このパターン部20は、図1に示されるように、タイヤ10を側方から見て、帯をタイヤ周方向に沿って円弧状に湾曲させた形状とされている。また、パターン部20は、凹部22と、凹部22の底面22A(図4参照)に突設された突起24(図3及び図4参照)、突起28(図3及び図5参照)及び突起32(図3及び図6参照)を含んで構成されている。
なお、本実施形態における突起24は、本発明における第1突起の一例であり、本実施形態における突起28及び突起32は、それぞれ本発明における第2突起の一例である。
凹部22は、タイヤ側面視でパターン部20と同様に、帯をタイヤ周方向に沿って円弧状に湾曲させた形状とされている。
図2及び図3に示されるように、突起24は、パターン部20の平面視(以下、単に「平面視」と記載する。)で第1の方向(図2において矢印Fで示す方向)に延びている。また、突起24は、第1の方向と直交する第2の方向(図2において矢印Sで示す方向)に間隔をあけて複数配置されている。なお、本実施形態では、隣り合う突起24間の間隔(第2の方向に沿った間隔)が一定とされている。
突起24は、平面視で第2の方向に振幅を有する形状とされている。なお、本実施形態では、突起24を平面視で振幅及び波長λを一定とした正弦波形状としているが、本発明はこの構成に限定されない。また、図3では、突起24の振幅部を符号24Vで示している。
図4に示されるように、突起24は、延在方向と直交する方向の断面で見て、両側の壁面24A間の間隔W1が頂部24Bから基部24Cにかけて漸増するように壁面24Aが突出方向(図4では、Y1で示す方向)に対して傾斜している。具体的には、突起24は、延在方向と直交する方向の断面で見て、両側の壁面24Aが頂部24Bよりも基部24Cにおいて突出方向Y1と直交する方向にそれぞれ張り出している。また、本実施形態では、突起24の壁面24Aが頂部24Bから基部24Cに亘って連続して直線状に延びている。なお、ここでいう「基部24C」とは、第1突起24と底面22Aとの境界部分を指している。
また、本実施形態では、突起24の頂部24Bが平坦状とされている。このため、突起24は、例えば、突起24の頂部24Bを尖端形状とする構成と比べて、頂部24Bの剛性を確保でき、耐久性が向上する。
また、突起24は、延在方向と直交する方向の断面で見て、突出方向に沿った長さ(突出方向の高さ(以下、適宜「突出高さ」と記載する。))H1が、基部24Cにおける両側の壁面24A間の間隔W1の0.8〜6倍の範囲内に設定されている。
さらに、突起24は、延在方向と直交する方向の断面で見て、突出方向に対する壁面24Aの鋭角側の角度θ1が5〜30度の範囲内に設定されている。なお、角度θ1は、15〜25度の範囲内で設定することがより好ましい。また、本実施形態では、両側の壁面24Aの角度θ1がそれぞれ同じ値に設定されているが、本発明はこの構成に限定されず、両側の壁面24Aの角度θ1がそれぞれ異なる値に設定されていてもよい。
図3に示されるように、突起24の配置ピッチL1は、0.5〜1mmの範囲内に設定されている。また、配置ピッチL1は、0.6〜0.8mmの範囲内で設定することがより好ましい。
図2及び図3に示されるように、突起28は、隣り合う突起24間に第1の方向Fに間隔をあけて複数配置されている。また、突起28の配置ピッチL2は、突起24の正弦波形状の波長λと同じ長さに設定されている。
また、突起28は、両側の突起24からそれぞれ離間して配置されている。
図3に示されるように、突起28は、平面視で第1の方向と交差する方向に屈曲する屈曲部29と、屈曲部29からそれぞれ別々の方向でかつ第1の方向と交差する方向に延出する延出部30,31と、を有している。具体的には、突起28は、平面視で屈曲部29の一端から延出部30が矢印D1で示す方向に延出し、他端から延出部31が矢印D2で示す方向に延出する形状(略二股形状)とされている。なお、矢印D1は、延出部30の延出方向を示し、矢印D2は、延出部31の延出方向を示している。
また、本実施形態では、平面視で延出部30,31がそれぞれの延出方向に沿って直線状に延出する構成としているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、平面視で延出部30,31がそれぞれの延出方向に湾曲しながら(曲線状に)延出する構成としてもよい。
図5に示されるように、延出部30は、延在方向と直交する方向の断面で見て、両側の壁面30A間の間隔W2aが頂部30Bから基部30Cにかけて漸増するように壁面30Aが突出方向(図5では、Y2で示す方向)に対して傾斜し、かつ、両側の壁面30Aが頂部30Bよりも基部30Cにおいて突出方向Y2と直交する方向にそれぞれ張り出している。また、本実施形態では、延出部30の壁面30Aが頂部30Bから基部30Cに向けて連続して直線状に延びている。なお、ここでいう「基部30C」とは、延出部30と底面22Aとの境界部分を指している。
また、本実施形態では、延出部30を延在方向と直交する方向の断面で見て、頂部30Bが平坦状とされている。
また、延出部30は、延在方向と直交する方向の断面で見て、突出方向に沿った長さ(突出方向の高さ(以下、適宜「突出高さ」と記載する。))H2aが、基部30Cにおける両側の壁面30A間の間隔W2aの0.8〜6倍の範囲内に設定されている。
さらに、延出部30は、延在方向と直交する方向の断面で見て、突出方向に対する壁面30Aの鋭角側の角度θ2aが5〜30度の範囲内に設定されている。なお、角度θ2aは、15〜25度の範囲内で設定することがより好ましい。また、本実施形態では、両側の壁面30Aの角度θ2aをそれぞれ同じ値に設定しているが、本発明はこの構成に限定されず、両側の壁面30Aの角度θ2aをそれぞれ異なる値に設定してもよい。
図5に示されるように、延出部31は、延在方向と直交する方向の断面の形状が延出部30の延在方向と直交する方向の断面と同じ形状とされている。このため、延出部31は、延出部30と同じ方向に突出している。また、本実施形態では、延出部30,31の各頂部30B,31Bがそれぞれ屈曲部29の頂部29Aにそれぞれ連なっている。
また、延出部31は、延在方向と直交する方向の断面で見て、突出方向に沿った長さ(突出方向の高さ(以下、適宜「突出高さ」と記載する。))H2bが、基部31Cにおける両側の壁面31A間の間隔W2bの0.8〜6倍の範囲内に設定されている。なお、ここでいう「基部31C」とは、延出部31と底面22Aとの境界部分を指している。
さらに、延出部31は、延在方向と直交する方向の断面で見て、突出方向に対する壁面31Aの鋭角側の角度θ2bが5〜30度の範囲内に設定されている。なお、角度θ2bは、15〜25度の範囲内で設定することがより好ましい。また、本実施形態では、両側の壁面31Aの角度θ2bをそれぞれ同じ値に設定しているが、本発明はこの構成に限定されず、両側の壁面31Aの角度θ2bをそれぞれ異なる値に設定してもよい。
また、本実施形態における延出部31は、延在方向と直交する方向の断面の大きさが、延出部30の延在方向と直交する方向の断面と同じ大きさとされている。すなわち、延出部31は、間隔W2b、突出高さH2b及び角度θ2bがそれぞれ延出部30の間隔W2a、突出高さH2a及び角度θ2aと同じ値に設定されている。
図2及び図3に示されるように、突起32は、隣り合う突起24間に第1の方向Fに間隔をあけて複数配置されている。具体的には、突起32は、隣り合う突起28間に配置されている。言い換えると、突起28と突起32は、第1の方向に隣り合う突起24間に第1の方向に交互に配置されている。また、突起32の配置ピッチL3は、突起24の正弦波形状の波長λと同じ長さに設定されている。
また、突起32は、両側の突起24からそれぞれ離間して配置されている。
図3に示されるように、突起32は、平面視で第1の方向と交差する方向に屈曲する屈曲部33と、屈曲部33からそれぞれ別々の方向でかつ第1の方向と交差する方向に延出する延出部34,35,36と、を有している。具体的には、突起32は、平面視で屈曲部33の一端から延出部34が矢印E1で示す方向に延出し、屈曲部33の屈曲内側から延出部35が矢印E2で示す方向に延出し、屈曲部33の他端から延出部36が矢印E3で示す方向に延出する形状(略三股形状)とされている。なお、矢印E1は、延出部34の延出方向を示し、矢印E2は、延出部35の延出方向を示し、矢印E3は、延出部36の延出方向を示している。
また、本実施形態では、平面視で延出部34,35,36がそれぞれの延出方向に沿って直線状に延出する構成としているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、平面視で延出部34,35,36がそれぞれの延出方向に湾曲しながら(曲線状に)延出する構成としてもよい。
図6に示されるように、延出部34は、延在方向と直交する方向の断面で見て、両側の壁面34A間の間隔W3aが頂部34Bから基部34Cにかけて漸増するように壁面34Aが突出方向(図6では、Y3で示す方向)に対して傾斜し、かつ、両側の壁面34Aが頂部34Bよりも基部34Cにおいて突出方向Y3と直交する方向にそれぞれ張り出している。また、本実施形態では、延出部34の壁面34Aが頂部34Bから基部34Cに亘って連続して直線状に延びている。なお、ここでいう「基部34C」とは、延出部34と底面22Aとの境界部分を指している。
また、本実施形態では、延出部34を延在方向と直交する方向の断面で見て、頂部34Bが平坦状とされている。
また、延出部34は、延在方向と直交する方向の断面で見て、突出方向に沿った長さ(突出方向の高さ(以下、適宜「突出高さ」と記載する。))H3aが、基部34Cにおける両側の壁面34A間の間隔W3aの0.8〜6倍の範囲内に設定されている。
さらに、延出部34は、延在方向と直交する方向の断面で見て、突出方向に対する壁面34Aの鋭角側の角度θ3aが5〜30度の範囲内に設定されている。なお、角度θ3aは、15〜25度の範囲内で設定することがより好ましい。また、本実施形態では、両側の壁面34Aの角度θ3aをそれぞれ同じ値に設定しているが、本発明はこの構成に限定されず、両側の壁面34Aの角度θ3aをそれぞれ異なる値に設定してもよい。
図6に示されるように、延出部35は、延在方向と直交する方向の断面の形状が延出部34の延在方向と直交する方向の断面と同じ形状とされている。このため、延出部35は、延出部34と同じ方向に突出している。
また、延出部35は、延在方向と直交する方向の断面で見て、突出方向に沿った長さ(突出方向の高さ(以下、適宜「突出高さ」と記載する。))H3bが、基部35Cにおける両側の壁面35A間の間隔W3bの0.8〜6倍の範囲内に設定されている。なお、ここでいう「基部35C」とは、延出部35と底面22Aとの境界部分を指している。
さらに、延出部35は、延在方向と直交する方向の断面で見て、突出方向に対する壁面35Aの鋭角側の角度θ3bが5〜30度の範囲内に設定されている。なお、角度θ3bは、15〜25度の範囲内で設定することがより好ましい。また、本実施形態では、両側の壁面35Aの角度θ3bをそれぞれ同じ値に設定しているが、本発明はこの構成に限定されず、両側の壁面35Aの角度θ3bをそれぞれ異なる値に設定してもよい。
また、本実施形態における延出部35は、延在方向と直交する方向の断面の大きさが、延出部34の延在方向と直交する方向の断面と同じ大きさとされている。すなわち、延出部35は、間隔W3b、突出高さH3b及び角度θ3bがそれぞれ延出部34の間隔W3a、突出高さH3a及び角度θ3aと同じ値に設定されている。
図6に示されるように、延出部36は、延在方向と直交する方向の断面の形状が延出部34の延在方向と直交する方向の断面と同じ形状とされている。したがって、本実施形態では、延出部36は、延出部34,35と同じ方向に突出している。また、本実施形態では、延出部34,35,36の各頂部34B,35B,36Bが屈曲部33の頂部33Aにそれぞれ連なっている。
また、延出部36は、延在方向と直交する方向の断面で見て、突出方向に沿った長さ(突出方向の高さ(以下、適宜「突出高さ」と記載する。))H3cが、基部36Cにおける両側の壁面36A間の間隔W3cの0.8〜6倍の範囲内に設定されている。なお、ここでいう「基部36C」とは、延出部36と底面22Aとの境界部分を指している。
さらに、延出部36は、延在方向と直交する方向の断面で見て、突出方向に対する壁面36Aの鋭角側の角度θ3cが5〜30度の範囲内に設定されている。なお、角度θ3cは、15〜25度の範囲内で設定することがより好ましい。また、本実施形態では、両側の壁面36Aの角度θ3cをそれぞれ同じ値に設定しているが、本発明はこの構成に限定されず、両側の壁面36Aの角度θ3cをそれぞれ異なる値に設定してもよい。
また、本実施形態における延出部36は、延在方向と直交する方向の断面の大きさが、延出部34の延在方向と直交する方向の断面と同じ大きさとされている。すなわち、延出部36は、間隔W3c、突出高さH3c及び角度θ3cがそれぞれ延出部34の間隔W3a、突出高さH3a及び角度θ3aと同じ値に設定されている。したがって、本実施形態では、間隔W3a,W3b,W3cがすべて同じ値に設定され、突出高さH3a,H3b,H3cがすべて同じ値に設定され、角度θ3a,θ3b,θ3cがすべて同じに設定されている。なお、本発明は上記構成に限定されず、間隔W3a,W3b,W3cの少なくとも一つが異なる値に設定されてもよいし、突出高さH3a,H3b,H3cの少なくとも一つが異なる値に設定されてもよいし、角度θ3a,θ3b,θ3cの少なくとも一つが異なる値に設定されてもよいし、すべてが異なる値となるように設定されてもよい。
本実施形態では、突起24の突出方向(図4では矢印Y1方向)、延出部30,31の突出方向(図5では矢印Y2方向)及び延出部34,35,36の突出方向(図6では矢印Y3方向)がすべて同じ方向とされている。なお、本発明はこの構成に限定されない。
図3に示されるように、突起28の延出部30,31と突起32の延出部34,35,36は、平面視で第1の方向に対する角度がそれぞれ異なっている。具体的には、延出部30,31,34,35,36は、各々の第1の方向に対する角度α2a,α2b,α3a,α3b,α3cが、それぞれ異なる値に設定されている。言い換えると、第1の方向に隣り合う突起28と突起32は、平面視で各々の延出部の第1の方向に対する角度がそれぞれ異なっている。
突出高さH1,H2a,H2b,H3a,H3b,H3cは、それぞれ0.1〜1mmの範囲内に設定されている。なお、突出高さH1,H2a,H2b,H3a,H3b,H3cは、それぞれ0.2〜0.8mmの範囲内で設定することがより好ましい。
また、本実施形態では、突出高さH1,H2a,H2b,H3a,H3b,H3cをすべて同じ値に設定しているが、本発明はこの構成に限定されず、突出高さH1,H2a,H2b,H3a,H3b,H3cの少なくとも一つを異なる値に設定してもよい。
本実施形態では、タイヤサイド部12の表面12Aよりも頂部24B,30B,31B,34B,35B,36Bの突出方向の位置を低くしているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、表面12Aと頂部24B,30B,31B,34B,35B,36Bの突出方向の位置が同じ、又は、表面12Aよりも頂部24B,30B,31B,34B,35B,36Bの突出方向の位置を高くしてもよい。
また、本実施形態では、角度θ1,θ2a,θ2b,θ3a,θ3b,θ3cをすべて同じ値に設定しているが、本発明はこの構成に限定されず、角度θ1,θ2a,θ2b,θ3a,θ3b,θ3cの少なくとも一つを異なる値に設定してもよい。
また、本実施形態では、間隔W1,W2a,W2b,W3a,W3b,W3cをすべて同じ値に設定しているが、本発明はこの構成に限定されず、間隔W1,W2a,W2b,W3a,W3b,W3cの少なくとも一つを異なる値に設定してもよい。
次に、本実施形態のタイヤ10の作用並びに効果について説明する。
タイヤ10では、タイヤサイド部12の表面12Aに突起24、突起28及び突起32を含んで構成される装飾用のパターン部20を形成している。このパターン部20では、入射された光が各突起間で反射を繰り返しながら減衰されるため、光の反射が抑制される。すなわち、パターン部20は表面12Aや標章14よりも光の反射が低反射とされ、黒く見える。これにより、パターン部20と、このパターン部20に隣接する標章14との間でコントラストが大きくなり、パターン部20の視認性が向上する。
ここで、タイヤ10では、平面視で突起24を第1の方向に延ばしていることから、例えば、突起24を一方向に延ばさずに点在させる構成と比べて、モールド(図示省略)を用いたタイヤ成形時に、モールドの突起24を成形するための成形用ブレード間にゴムが流れ込みやすく(言い換えると、成形用ブレード間のエアが抜けやすく)、突起24(パターン部20)の成形性が確保される。
また、タイヤ10では、平面視で隣り合う突起24間に第1の方向に間隔をあけて突起28と突起32を交互に複数配置していることから、例えば、隣り合う突起24間に突起28と突起32を配置しない構成と比べて、パターン部20に特定の方向(一例として第2の方向と直交する方向)から光が入射されても、入射された光が突起28と突起32との間で反射を繰り返しながら減衰されるため、光の反射が抑制される。すなわち、パターン部20に対して各方向から光が入射されても、光の反射を抑制(均一に抑制)することができる。これにより、パターン部20を見る角度によって、パターン部20と標章14との間のコントラストが低下するのが抑制される。結果、パターン部20の視認性が向上する共に、パターン部20によって囲まれる構成要素14Aを有する標章14の視認性も向上する。
タイヤ10では、突起24を平面視で第2の方向に振幅を有する形状としているため、例えば、突起24が平面視で第1の方向に直線状に延びる形状としたものと比べて、パターン部20に入射された光が各突起24,28,32間で乱反射しやすく、光の反射がより抑制される。
また、タイヤ10では、突起24を平面視で正弦波形状としていることから、例えば、突起24を平面視で矩形波形状とする構成と比べて、突起24の壁面24Aが曲面を有するため、パターン部20に入射された光が各突起24,28,32間でさらに乱反射しやすく、より効果的に光が減衰され、光の反射がさらに抑制される。
さらにタイヤ10では、隣り合う突起24間の間隔を一定にしていることから、例えば、隣り合う突起24間の間隔が一定でないものと比べて、パターン部20に対して各方向から入射された光の反射をさらに抑制することができる。また、隣り合う突起24間の間隔を一定にしていることから、隣り合う突起24間に突起28及び突起32をそれぞれ配置しやすい、言い換えると、突起28及び突起32の成形性を確保しやすい。
また、タイヤ10では、突起28の延出部30,31を平面視で第1の方向と交差する方向にそれぞれ延ばしているため、例えば、突起28の延出部30又は延出部31を平面視で第1の方向に沿って延ばしているものと比べて、突起28によって異なる方向の突起成分が増える。
さらに、突起32の延出部34,35,36を平面視で第1の方向と交差する方向にそれぞれ延ばしているため、例えば、突起32の延出部34、延出部35又は延出部36を平面視で第1の方向に沿って延ばしているものと比べて、突起32によって異なる方向の突起成分が増える。
これにより、パターン部20に入射された光がより効果的に減衰されて、光の反射がさらに抑制される。
タイヤ10では、突起28が平面視で屈曲部29から延出する複数の延出部30,31を有するため、異なる方向に延びる突起成分が増え、パターン部20に入射された光がより効果的に減衰されて、光の反射がさらに抑制される。また、突起32が平面視で屈曲部33から延出する複数の延出部34,35,36を有するため、異なる方向に延びる突起成分がさらに増え、パターン部20に入射された光がより効果的に減衰されて、光の反射がさらに抑制される。
タイヤ10では、平面視において、第1の方向に隣り合う突起28と突起32の各々の延出部30,31,34,35,36の第1の方向に対する角度α2a,α2b,α3a,α3b,α3cがそれぞれ異なるため、例えば、第1の方向に隣り合う突起28と突起32の各々の延出部30,31,34,35,36の第1の方向に対する角度α2a,α2b,α3a,α3b,α3cがそれぞれ異ならない(一部が一致する)ものと比べて、第1の方向に隣り合う突起28と突起32とによって異なる方向の突起成分がさらに増え、パターン部20に入射された光がより効果的に減衰され、光の反射がさらに抑制される。
また、タイヤ10では、2つの延出部30,31を有する突起28と3つの延出部34,35,36を有する突起32を隣り合う突起24間に第1の方向に交互に配置している。言い換えると、第1の方向に隣り合う突起28と突起32の各々の延出部の数量がそれぞれ異なっている。このため、タイヤ10では、例えば、第1の方向に隣り合う突起28と突起32の各々の延出部の数量が同じものと比べて、パターン部20に入射された光が各突起24,28,32間でさらに乱反射しやすくなり、より効果的に光が減衰され、光の反射がさらに抑制される。
さらに、タイヤ10では、配置ピッチL1を0.5〜1mmの範囲内に設定し、かつ、突出高さH1,H2a,H2b,H3a,H3b,H3cを0.1〜1mmの範囲内に設定していることから、例えば、配置ピッチL1が0.5〜1mmの範囲内に設定されず、突出高さH1,H2a,H2b,H3a,H3b,H3cが0.1〜1mmの範囲内に設定されないものと比べて、パターン部20に入射された光が各突起24,28,32間で反射を繰り返しながら減衰されるため、光の反射がさらに抑制される。
なお、配置ピッチL1が0.5mm未満の場合、突起28と突起32がそれぞれ小さくなりすぎて、成形性を確保できないおそれがある。一方、配置ピッチL1が1mmを超えると、底面22Aでの光の反射が強くなるおそれがある。
また、突出高さH1,H2a,H2b,H3a,H3b,H3cが0.1mm未満の場合、突起24、突起28及び突起32の成形性を確保し難く、さらに、入射された光を十分に減衰できないおそれがある。一方、突出高さH1,H2a,H2b,H3a,H3b,H3cが1mmを超えると、突起24、突起28及び突起32が倒れやすくなるおそれがある。
タイヤ10では、突起24を延在方向と直交する方向の断面で見て、両側の壁面24A間の間隔W1が頂部24Bから基部24Cにかけて漸増するように壁面24Aを直線状に傾斜させているため、例えば、両側の壁面24A間の間隔W1が頂部24Bから基部24Cにかけて一定のものと比べて、突起24が倒れにくい。
また、突起24を延在方向と直交する方向の断面で見て、両側の壁面24Aを頂部24Bよりも基部24Cにおいて突出方向と直交する方向にそれぞれ張り出させているため、例えば、片側の壁面24Aのみが頂部24Bよりも基部24Cにおいて突出方向と直交する方向に張り出しているものと比べて、突起24が倒れにくく、パターン部20に入射された光の反射を抑制する効果を長期に亘って維持することができる。また、脱型時にモールドの突起24を成形するための成形用ブレード間から突起24を抜きやすい。
また、突起28の延出部30を延在方向と直交する方向の断面で見て、両側の壁面30A間の間隔W2aが頂部30Bから基部30Cにかけて漸増するように壁面30Aが傾斜しているため、例えば、両側の壁面30A間の間隔W2aが頂部30Bから基部30Cにかけて一定のものと比べて、延出部30が倒れにくい。
さらに、延出部30を延在方向と直交する方向の断面で見て、両側の壁面30Aを頂部30Bよりも基部30Cにおいて突出方向と直交する方向にそれぞれ張り出させているため、例えば、片側の壁面30Aのみが頂部30Bよりも基部30Cにおいて突出方向と直交する方向に張り出しているものと比べて、延出部30がより倒れにくい。
また、突起28の延出部31も延出部30と同じ構成のため、倒れにくい。
このため、突起28は全体として倒れにくく、パターン部20に入射された光の反射を抑制する効果を長期に亘って維持することができる。
またさらに、脱型時にモールドの突起28を成形するための成形用ブレード間から延出部30,31を抜きやすい。すなわち、突起28が脱型しやすい。
さらに、突起32の延出部34を延在方向と直交する方向の断面で見て、両側の壁面34A間の間隔W3aが頂部34Bから基部34Cにかけて漸増するように壁面34Aが傾斜しているため、例えば、両側の壁面34A間の間隔W3aが頂部34Bから基部34Cにかけて一定のものと比べて、延出部34が倒れにくい。
さらに、延出部34を延在方向と直交する方向の断面で見て、両側の壁面34Aを頂部34Bよりも基部34Cにおいて突出方向と直交する方向にそれぞれ張り出させているため、例えば、片側の壁面34Aのみが頂部34Bよりも基部34Cにおいて突出方向と直交する方向に張り出しているものと比べて、延出部34がより倒れにくい。
また、突起32の延出部35,36もそれぞれ延出部34と同じ構成のため、倒れにくい。
このため、突起32は全体として倒れにくく、パターン部20に入射された光の反射を抑制する効果を長期に亘って維持することができる。
またさらに、脱型時にモールドの突起32を成形するための成形用ブレード間から延出部34,35,36を抜きやすい。すなわち、突起32が脱型しやすい。
また、タイヤ10では、突起24の突出高さH1を基部24Cにおける間隔W1の0.8〜6倍の範囲内に設定しているため、例えば、突出高さH1が上記間隔W1の0.8〜6倍の範囲内に含まれないものと比べて、突起24の倒れとパターン部20に入射された光の反射を効果的に抑制することができる。
なお、突出高さH1が基部24Cにおける間隔W1の0.8倍未満の場合、壁面24Aによる光の反射が強くなるおそれがある。一方、突出高さH1が基部24Cにおける間隔W1の6倍を超える場合、突起24が倒れやすくなるおそれがある。
また、突起28の延出部30の突出高さH2aを基部30Cにおける間隔W2aの0.8〜6倍の範囲内に設定しているため、例えば、突出高さH2aが上記間隔W2aの0.8〜6倍の範囲内に含まれないものと比べて、延出部30の倒れとパターン部20に入射された光の反射を効果的に抑制することができる。
なお、突出高さH2aが基部30Cにおける間隔W2aの0.8倍未満の場合、壁面30Aによる光の反射が強くなるおそれがある。一方、突出高さH2aが基部30Cにおける間隔W2aの6倍を超える場合、延出部30が倒れやすくなるおそれがある。
また、突起28の延出部31も延出部30と同じ構成のため、延出部31の倒れとパターン部20に入射された光の反射を効果的に抑制することができる。
また、突起32の延出部34の突出高さH3aを基部34Cにおける間隔W3aの0.8〜6倍の範囲内に設定しているため、例えば、突出高さH3aが上記間隔W3aの0.8〜6倍の範囲内に含まれないものと比べて、延出部34の倒れとパターン部20に入射された光の反射を効果的に抑制することができる。
なお、突出高さH3aが基部34Cにおける間隔W3aの0.8倍未満の場合、壁面34Aによる光の反射が強くなるおそれがある。一方、突出高さH3aが基部34Cにおける間隔W3aの6倍を超える場合、延出部34が倒れやすくなるおそれがある。
また、突起32の延出部35,36もそれぞれ延出部34と同じ構成のため、延出部35,36の倒れとパターン部20に入射された光の反射を効果的に抑制することができる。
また、タイヤ10では、突起24の角度θ1を5〜30度の範囲内に設定しているため、例えば、角度θ1が5〜30度の範囲内に含まれないものと比べて、突起24の倒れとパターン部20に入射された光の反射を効果的に抑制することができる。
なお、角度θ1が5度未満の場合、突起24が倒れやすくなるおそれがある。一方、角度θ1が30度を超える場合、壁面24Aによる光の反射が強くなるおそれがある。
また、突起28の延出部30の角度θ2aを5〜30度の範囲内に設定しているため、例えば、角度θ2aが5〜30度の範囲内に含まれないものと比べて、延出部30の倒れとパターン部20に入射された光の反射を効果的に抑制することができる。
なお、角度θ2aが5度未満の場合、延出部30が倒れやすくなるおそれがある。一方、角度θ2aが30度を超える場合、壁面30Aによる光の反射が強くなるおそれがある。
また、突起28の延出部31も延出部30と同じ構成のため、延出部31の倒れとパターン部20に入射された光の反射を効果的に抑制することができる。
突起32の延出部34の角度θ3aを5〜30度の範囲内に設定しているため、例えば、角度θ3aが5〜30度の範囲内に含まれないものと比べて、延出部34の倒れとパターン部20に入射された光の反射を効果的に抑制することができる。
なお、角度θ3aが5度未満の場合、延出部34が倒れやすくなるおそれがある。一方、角度θ3aが30度を超える場合、壁面34Aによる光の反射が強くなるおそれがある。
また、突起32の延出部35,36もそれぞれ延出部34と同じ構成のため、延出部35,36の倒れとパターン部20に入射された光の反射を効果的に抑制することができる。
タイヤ10では、突起28を構成する延出部30の延在方向と直交する方向の断面の形状と延出部31の延在方向と直交する方向の断面の形状を同じ形状としている。また、突起32を構成する延出部34の延在方向と直交する方向の断面の形状、延出部35の延在方向と直交する方向の断面の形状、及び、延出部36の延在方向と直交する方向の断面の形状をそれぞれ同じ形状としている。このため、パターン部20に対して各方向から光が入射されても、光の反射を均一に抑制することができる。これにより、パターン部20を見る角度によって、パターン部20と標章14との間のコントラストが低下するのが効果的に抑制される。結果、パターン部20の視認性が向上する共に、パターン部20によって囲まれる構成要素14Aを有する標章14の視認性も向上する。
また、タイヤ10では、上述のように突起24,28,32の成形性がそれぞれ確保されることから、各突起24,28,32の倒れ込みがそれぞれ抑制される。これにより、突起24,28,32の耐久性が向上し、装飾用のパターン部20に入射された光の反射を抑制する効果が長期に亘って維持される。
第1実施形態では、図6に示されるように、突起32の延出部34,35,36の各々の頂部34B,35B,36Bを各々の延在方向と直交する方向の断面で見て、平坦状としているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、図7に示される突起132のように、延出部134,135,136の各々の頂部134B,135B,136Bを各々の延在方向と直交する方向の断面で見て、尖端形状としてもよい。このように尖端形状とすることで、頂部134B,135B,136Bにおける光の反射を抑制することができる。なお、図7においては、延出部134,135,136のそれぞれの壁面を符号134A,135A,136Aで示し、延出部134,135,136のそれぞれの基部を符号134C,135C,136Cで示している。また、延出部の頂部を尖端形状とする構成については、突起24及び突起28の延出部30,31にそれぞれ適用してもよい。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係るタイヤについて説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、説明を適宜省略する。
図8及び図9に示されるように、本実施形態のタイヤ40は、装飾用のパターン部42を構成する各突起の延在方向に沿った断面形状を除いて第1実施形態のタイヤ10と同一の構成である。
パターン部42は、第1実施形態における凹部22と、突起44と、突起46と、突起50とを含んで構成されている。
なお、本実施形態における突起44は、本発明における第1突起の一例であり、本実施形態における突起46及び突起50は、それぞれ本発明における第2突起の一例である。
突起50は、平面視で屈曲部51と屈曲部51からそれぞれ延出する3つの延出部52,53,54を有している。延出部52,53,54は、各々の延在方向に沿った断面形状を除いて第1実施形態における延出部34,35,36とそれぞれ同じ構成である。
図9に示されるように、本実施形態における延出部52,53,54は、各々の延在方向に沿った断面形状が略半楕円形状とされている。このため、延出部52,53,54の各々の壁面52A,53A,54Aがそれぞれ円弧状に湾曲すると共に各々の頂部52B,53B,54Bがそれぞれ円弧状に湾曲している。なお、図8及び9においては、延出部52,53,54のそれぞれの基部を符号52C,53C,54Cで示している。
また、本実施形態では、延出部52,53,54の各頂部52B,53B,54Bが屈曲部51の頂部51Aにそれぞれ連なっている。
突起44は、延在方向に沿った断面形状を除いて第1実施形態における突起24と同じ構成である。本実施形態における突起44は、延在方向に沿った断面形状が突起50の延出部52と同様に略半楕円形状(図示省略)とされている。このため、突起44の壁面44Aが円弧状に湾曲すると共に頂部44Bが円弧状に湾曲している。なお、図8においては、突起44の基部を符号44Cで示し、突起44の振幅部を符号44Vで示している。
突起46は、平面視で屈曲部47と屈曲部47からそれぞれ延出する2つの延出部48,49を有している。延出部48,49は、各々の延在方向に沿った断面形状を除いて第1実施形態における延出部30,31とそれぞれ同じ構成である。本実施形態における延出部48,49は、各々の延在方向に沿った断面形状が突起50の延出部52と同様に略半楕円形状(図示省略)とされている。このため、延出部48,49の各々の壁面48A,49Aがそれぞれ円弧状に湾曲すると共に各々の頂部48B,49Bがそれぞれ円弧状に湾曲している。なお、図8においては、延出部48,49のそれぞれの基部を符号48C,49Cで示している。
また、本実施形態では、延出部48,49の各頂部48B,49Bが屈曲部47の頂部47Aにそれぞれ連なっている。
次に、本実施形態のタイヤ40の作用効果について説明する。なお、第1実施形態のタイヤ10と同様の構成で得られる作用効果については説明を省略する。
タイヤ40では、パターン部42を構成する突起50の延出部52,53,54の各頂部52B,53B,54Bを円弧状に湾曲させているため、例えば、各頂部52B,53B,54Bを尖端形状としたものと比べて、延出部52,53,54のそれぞれの体積が増え、延出部52,53,54の倒れを抑制できる。特に、延出部52,53,54の各々の延在方向に沿った断面形状を略半楕円状としているので、より延出部52,53,54の倒れを抑制できる。
同様に、パターン部42を構成する突起44及び突起46の延出部48,49もそれぞれ延在方向に沿った断面形状を略半楕円状としているので、各々の倒れを抑制できる。
これにより、装飾用のパターン部42に入射された光の反射を抑制する効果が長期に亘って維持される。
また、タイヤ40では、延出部52,53,54の各々の壁面52A,53A,54Aをそれぞれ円弧状に湾曲させている、すなわち、壁面52A,53A,54Aがそれぞれ曲面を有するため、パターン部42に入射された光が各突起間でさらに乱反射しやすく、効果的に光が減衰され、光の反射がさらに抑制される。この結果、パターン部42と標章14との間でコントラストが大きくなり、パターン部42の視認性が向上する。
第2実施形態では、図9に示されるように、突起50の延出部52,53,54の各々の延在方向に沿った断面形状をそれぞれ略半楕円状としているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、図10に示す突起150のように、突起150を構成する延出部156,157,158の各々の延在方向に沿った断面形状をそれぞれ略三角形状とし、各々の頂部156B,157B,158Bを円弧状に湾曲させる構成としてもよい。なお、図10においては、延出部156,157,158のそれぞれの壁面を符号156A,157A,158Aで示し、延出部156,157,158のそれぞれの基部を符号156C,157C,158Cで示している。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係るタイヤについて説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、説明を適宜省略する。
図11及び図12に示されるように、本実施形態のタイヤ60は、装飾用のパターン部62を構成する突起64に突起66の一部と突起70の一部がそれぞれ接続されている点を除いて第1実施形態のタイヤ10と同一の構成である。
パターン部62は、第1実施形態における凹部22と、突起64と、突起66と、突起70とを含んで構成されている。
なお、本実施形態における突起64は、本発明における第1突起の一例であり、本実施形態における突起66及び突起70は、それぞれ本発明における第2突起の一例である。
突起64は、後述する突起66の屈曲部67と、突起70の屈曲部71とが接続される点を除いて第1実施形態における突起24と同じ構成である。なお、図12においては、突起64の壁面を符号64Aで示し、頂部を符号64Bで示し、基部を符号64Cで示し、振幅部を符号64Vで示している。
突起66は、平面視で屈曲部67と2つの延出部68,69を有している。この突起66は、屈曲部67が突起64の振幅部64Vに接続されている点を除いて第1実施形態における突起28と同じ構成である。なお、図12においては、延出部68,69の各壁面を符号68A,69Aで示し、各頂部を符号68B,69Bで示し、各基部を68C,69Cで示している。また、本実施形態では、延出部68,69の各頂部68B,69Bが屈曲部67の頂部67Aにそれぞれ連なっており、屈曲部67の頂部67Aが突起64の頂部64Aに連なっている。
突起70は、平面視で屈曲部71と3つの延出部72,73,74を有している。この突起70は、屈曲部67が突起64の振幅部64Vに接続されている点を除いて第1実施形態における突起32と同じ構成である。なお、図12においては、延出部72,73,74の各壁面を符号72A,73A,74Aで示し、各頂部を符号72B,73B,74Bで示し、各基部を符号72C,73C,74Cで示している。また、本実施形態では、延出部72,73,74の各頂部72B,73B,74Bが屈曲部71の頂部71Aにそれぞれ連なっており、屈曲部71の頂部71Aが突起64の頂部64Aに連なっている。
また、本実施形態では、図12に示されるように、1本の突起64の一方の壁面64A側(図12では左側)に突起66の屈曲部67が接続され、他方の壁面64A側(図12では右側)に突起70の屈曲部71が接続されている。言い換えると、隣り合う突起66及び突起70は、各々の屈曲部67,71が両側の突起64に別々に接続されている。なお、本発明は上記構成に限定されるものではない。
次に、本実施形態のタイヤ60の作用効果について説明する。なお、第1実施形態のタイヤ10と同様の構成で得られる作用効果については説明を省略する。
タイヤ60では、隣り合う突起64間に突起66及び突起70が配置され、突起66の屈曲部67を一方の突起64に接続し、突起70の屈曲部71を他方の突起64に接続しているため、モールド(図示省略)を用いたタイヤ成形時にモールドの突起64を成形するための成形用ブレード間から、突起66を成形するための成形用ブレード間、及び、突起70を成形するための成形用ブレード間にゴムが流れやすく(言い換えると、各成形用ブレード間のエアが抜けやすく)、突起64、突起66及び突起70の成形性が確保される。すなわち、パターン部62の成形性が確保される。これにより、装飾用のパターン部62に入射された光の反射が抑制される。
また、タイヤ60では、隣り合う突起66及び突起70の各々の屈曲部67,71を両側の突起64に別々に接続しているため、例えば、隣り合う突起66及び突起70の各々の屈曲部67,71を両側の突起64のうち一方の突起64にのみ接続するものと比べて、両側の突起64に対してバランスよく突起66及び突起70を配置できるため、パターン部62に対して各方向から光が入射されても、光の反射をさらに抑制することができる。
<その他の実施形態>
第1実施形態では、隣り合う突起24間の間隔が一定となるように、言い換えると、隣り合う突起24同士が第2の方向で同位相となるように、突起24を第2の方向に間隔をあけて複数配置しているが、本発明はこの構成に限定されず、突起24を第2の方向に位相をずらして配置する構成としてもよい。例えば、隣り合う突起24同士が第2の方向において逆位相となるように突起24を第2の方向に配置して、隣り合う突起24間の間隔が広い部分と狭い部分を形成し、広い部分に本発明における第2突起(一例として突起28、突起32)を配置する構成としてもよい。この場合には、異なる方向に延びる突起成分が増え、パターン部に入射された光がより効果的に減衰され、光の反射がさらに抑制される。これにより、パターン部20と標章14との間でコントラストが大きくなり、パターン部20の視認性が向上する。なお、上記構成については、第2実施形態及び第3実施形態に適用してもよい。
第1実施形態では、突起24を平面視で正弦波形状としているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、突起24を平面視で直線状、矩形波状としてもよい。なお、突起24を平面視で正弦波形状以外とする構成については、第2実施形態及び第3実施形態に適用してもよい。
第1実施形態では、隣り合う突起24間に突起28と突起32を交互に配置する構成としているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、隣り合う突起24間に突起28のみを間隔をあけて複数配置してもよいし、隣り合う突起24間に突起32のみを間隔をあけて複数配置してもよい。なお、上記構成については、第2実施形態及び第3実施形態に適用してもよい。
第1実施形態における突起32では、屈曲部33の屈曲内側から延出部35を延出させる構成としているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、屈曲部33の屈曲外側から延出部35を延出させる構成としてよい。なお、上記構成については、第2実施形態に適用してもよい。
第1実施形態では、隣り合う突起24間に突起28と突起32を配置する構成としているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、4つ以上の延出部を有する突起を隣り合う突起24間に配置してもよい。なお、上記隣り合う突起24間に配置する突起の突起形状については、第2実施形態及び第3実施形態に適用してもよい。
第1実施形態では、凹部22の底面22Aに突起24、突起28及び突起32をそれぞれ突設させる構成としているが、本発明はこの構成に限定されず、タイヤサイド部12の表面12Aに突起24、突起28及び突起32をそれぞれ突設させる構成としてもよい。上記タイヤサイド部12の表面12Aに突起24、突起28及び突起32を突設させる構成については、第2実施形態及び第3実施形態に適用してもよい。
第1実施形態では、図6に示されるように、突起32を構成する延出部34の壁面34Aが頂部34Bから基部34Cに亘って連続して直線状に延びる構成としているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、図13に示される変形例の突起160のように、延出部162の壁面162Aが頂部164Bから基部164Cに向かって直線状に延び、途中(図13では、基部164C近傍)で緩やかに湾曲して凹部22の底面22Aに連なる構成としてもよい。また、突起160では、延出部163,164も同様に、各々の壁面163A,164Aが各頂部163B,164Bから各基部163C,164Cに向かってそれぞれ直線状に延び、途中で緩やかに湾曲して凹部22の底面22Aにそれぞれ連なる構成としている。上記のように延出部162,163,164の各々の壁面162A,163A,164Aを緩やかに湾曲させることで、パターン部20に入射された光の反射を抑制することができる。さらに、上記延出部の壁面の基部側を緩やかに湾曲させる構成を突起24や突起28に適用した場合には、パターン部20に入射された光の反射が効果的に抑制され、パターン部20と標章14との間でコントラストが大きくなり、パターン部20の視認性がさらに向上する。上記延出部の壁面の基部側を緩やかに湾曲させる構成については、第2実施形態及び第3実施形態に適用してもよい。
第1実施形態のタイヤ10では、図1に示されるように、標章14の構成要素14Aを装飾用のパターン部20で囲む構成としているが本発明はこの構成に限定されない。例えば、図14に示されるように、パターン部20で標章の構成要素を形成し、このパターン部20に隣接する部分を平滑部15としてもよい。なお、上記パターン部20で標章の構成要素を形成する構成については、第2実施形態のタイヤ40及び第3実施形態のタイヤ60に適用してもよい。
第1実施形態では、タイヤサイド部12の表面12Aに装飾用のパターン部20を形成しているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、表面12Aに加え又は代わりに、トレッド表面に形成される図示しない排水用の溝の溝底面にパターン部20を形成してもよい。具体的には、タイヤ周方向に連続して延びる溝の溝底面にパターン部20を形成してもよい。なお、本発明における「タイヤ表面」は、タイヤを外側から見た場合の可視面を含む。したがって、トレッド表面に形成される溝の溝底面もタイヤ表面に含まれる。なお、上記トレッド表面に形成される溝の溝底面にパターン部を形成する構成については、第2実施形態及び第3実施形態に適用してもよい。
第1実施形態では、タイヤ10を空気入りタイヤとしているが、本発明はこの構成に限定されず、タイヤ10をソリッドタイヤとしてもよい。同様に、第2実施形態のタイヤ40及び第3実施形態のタイヤ60もソリッドタイヤとしてもよい。
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
<試験例>
本発明の効果を立証するために、本発明を適用した実施例1〜7のタイヤと、比較例1のタイヤを準備し、以下の試験1を実施した。
(試験条件)
供試タイヤとしては、いずれもサイズが205/55R16でタイヤ断面高さSHが114mmのタイヤを用いた。
実施例1〜7のタイヤは、本発明の第1実施形態に係るタイヤと同様の構造のタイヤであり、配置ピッチL1、突出高さH1,H2、角度θ1,θ2がそれぞれ異なる。
「配置ピッチL1」は、第1突起の配置ピッチであり、第1実施形態の配置ピッチL1に対応するものである。
「突出高さH1」は、第1突起の突出高さであり、第1実施形態の突出高さH1に対応するものである。
「突出高さH2」は、第2突起の突出高さであり、第1実施形態の突出高さH2aに対応するものである。なお、第1実施形態では、突出高さH2a,H2b,H3a,H3b,H3cがそれぞれ同じ値である。
「角度θ1」は、第1突起の突出方向に対する壁面の傾斜角度であり、第1実施形態の角度θ1に対応するものである。
「角度θ2」は、第2突起の突出方向に対する壁面の傾斜角度であり、第1実施形態の角度θ2に対応するものである。なお、第1実施形態では、角度θ2a,θ2b,θ3a,θ3b,θ3cがそれぞれ同じ値である。
比較例1のタイヤは、第2突起が有する延出部が第1の方向と同じ方向に延びているタイヤである。
(試験1)
試験1では、パターン部を各方向から見たときの視認性について評価した。
まず、それぞれの供試タイヤを適用リムに組み付け、その後、20人の看者が観察してパターン部の視認性が向上し、通常のタイヤよりもパターン部が黒く見えるかのアンケート調査を行った。その結果を「視認性」として表1に示す。なお、表1では、パターン部が通常のタイヤよりも黒く見えたと回答した看者の数が18人以上の場合をA、10〜17人の場合をB、9人以下の場合をCとして評価した。なお表1には、パターン部が黒く見えたと回答した看者の人数も併記した。
表1に示されるように、本発明を適用した実施例1〜7のタイヤは、比較例1のタイヤと比べて、視認性が向上していることが分かる。