JP2016213507A - 化合物半導体装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】化合物半導体の結晶性を良好に保ち、電流コラプスの発生を抑制するも、オフリーク電流を抑えて高い耐圧を実現する、信頼性の高い化合物半導体装置を提供する。
【解決手段】Si基板1上に、AlNを材料とする第1のバッファ層2と、第1のバッファ層2の上方に形成されたAlGaNを材料とする第2のバッファ層3とを有する化合物半導体積層構造10を含み、第2のバッファ層3は、その下面から上面に向かうほど高濃度に炭素を含有する。
【選択図】図3

Description

本発明は、化合物半導体装置に関するものである。
窒化物半導体は、高い飽和電子速度及びワイドバンドギャップ等の特徴を利用し、高耐圧及び高出力の半導体デバイスへの適用が検討されている。例えば、窒化物半導体であるGaNのバンドギャップは3.4eVであり、Siのバンドギャップ(1.1eV)及びGaAsのバンドギャップ(1.4eV)よりも大きく、高い破壊電界強度を有する。そのためGaNは、高電圧動作且つ高出力を得る電源用の半導体デバイスの材料として極めて有望である。
窒化物半導体を用いた半導体デバイス(窒化物半導体デバイス)としては、電界効果トランジスタ、特に高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor:HEMT)についての報告が数多くなされている。例えばGaN系のHEMT(GaN−HEMT)では、GaNを電子走行層として、AlGaNを電子供給層として用いたAlGaN/GaN・HEMTが注目されている。AlGaN/GaN・HEMTでは、GaNとAlGaNとの格子定数差に起因した歪みがAlGaNに生じる。これにより発生したピエゾ分極及びAlGaNの自発分極により、高濃度の2次元電子ガス(2DEG)が得られる。そのため、高効率のスイッチ素子、電気自動車用等の高耐圧電力デバイスとして期待されている。
特開2012−9630号公報 特開2010−239034号公報 特開2007−251144号公報
廉価で高品質の窒化物半導体デバイスの実現には、例えば、汎用されているSi基板上にエピタキシャル成長法により窒化物半導体層を形成することが必要である。
しかしながら、Siと窒化物半導体との間では、格子不整合が大きく異なるだけでなく、熱膨張係数が大きく異なる。従って、高品質の窒化物半導体層を成長すべく、適切に設計されたバッファ層を用いる。
バッファ層は、Siと窒化物半導体との格子不整合及び熱膨張係数の相違を可及的に解消すべく、比較的厚く形成される。そのため、このバッファ層を含む窒化物半導体の積層構造を用いてHEMTを構成したときに、バッファ層、或いは電子走行層の下層領域を介して電流のリーク(オフリーク電流)が発生するという問題がある。この場合、残留キャリア濃度の制御が困難であることから、オフリーク電流を抑制することは極めて難しく、耐圧の低下を招来する。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、化合物半導体の結晶性を良好に保ち、電流コラプスの発生を抑制するも、オフリーク電流を抑えて高い耐圧を実現する、信頼性の高い化合物半導体装置を提供することを目的とする。
化合物半導体装置の一態様は、AlNを材料とする第1のバッファ層と、前記第1のバッファ層の上方に設けられ、AlGaNを材料とする第2のバッファ層と、前記第2のバッファ層の上方に設けられ、前記第2のバッファ層と接する面の近傍において炭素を含有した電子走行層とを有し、前記第1のバッファ層に含まれる炭素濃度は、前記第2のバッファ層に含まれる炭素濃度よりも低い。
化合物半導体装置の一態様は、AlNを材料とする第1のバッファ層と、前記第1のバッファ層の上方に設けられ、AlGaNを材料とする第2のバッファ層と、前記第2のバッファ層の上方に設けられた電子走行層とを有し、前記第1のバッファ層に含まれる炭素濃度は、前記電子走行層の上層側に含まれる炭素濃度よりも高い。
上記の諸態様によれば、化合物半導体の結晶性を良好に保ち、電流コラプスの発生を抑制するも、オフリーク電流を抑えて高い耐圧を実現する、信頼性の高い化合物半導体装置が得られる。
第1の実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTの製造方法を工程順に示す概略断面図である。 図1に引き続き、第1の実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTの製造方法を工程順に示す概略断面図である。 第1の実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTにおける各層の炭素(C)の濃度分布を示す特性図である。 第1のバッファ層となるAlNの成長時のV/III比と、化合物半導体積層構造のツイスト値との関係を示す特性図である。 第1の実施形態の変形例によるAlGaN/GaN・HEMTの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。 第2の実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTの製造方法を工程順に示す概略断面図である。 図6に引き続き、第2の実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTの製造方法を工程順に示す概略断面図である。 第3の実施形態による電源装置の概略構成を示す結線図である。 第4の実施形態による高周波増幅器の概略構成を示す結線図である。
(第1の実施形態)
本実施形態では、化合物半導体装置として、窒化物半導体のAlGaN/GaN・HEMTを開示する。
図1及び図2は、第1の実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTの製造方法を工程順に示す概略断面図である。なお、図示は省略するが、素子分離領域にはアルゴン(Ar)等の注入により素子分離構造が形成される。
成長用基板として、例えばSi基板を用意する。Si基板の代わりに、SiC基板、サファイア基板、GaAs基板等を用いても良い。また、基板の導電性としては、半絶縁性、導電性を問わない。
図1に示すように、Si基板1上に、例えば有機金属気相成長(MOVPE:Metal Organic Vapor Phase Epitaxy)法により、各化合物半導体を順次成長し、化合物半導体積層構造10(図1(c))を形成する。化合物半導体積層構造10は、第1のバッファ層2、第2のバッファ層3、電子走行層4、及び電子供給層5を有しており、これらが順次積層されて構成される。MOVPE法の代わりに、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法等を用いても良い。
先ず、図1(a)に示すように、Si基板1上に第1のバッファ層2を形成する。
詳細には、上面が(111)面とされたSi基板1上に、初期層としてAlNを200nm程度の厚みに成長する。AlNの成長条件としては、原料ガスとしてトリメチルアルミニウム(TMA)ガス及びアンモニア(NH3)ガスの混合ガスを用いる。成長条件としては、原料ガスにおけるV/III比(NH3ガスに対するTMAの比率)を1000〜2000程度、成長温度を1000℃程度、圧力を5kPa程度とする。これにより、Si基板1上に第1のバッファ層2が形成される。第1のバッファ層2は、後述するようにその原料ガスがTMAガスを含むことから、若干の炭素(C)を含有するが、V/III比を大きくすることでC濃度を低く抑えることができる。第1のバッファ層2のC濃度は、例えば5×1017/cm3程度とされる。
次に、図1(b)に示すように、第1のバッファ層2上に第2のバッファ層3を形成する。第2のバッファ層3は、多層、例えば3層のAlGaN層3a,3b,3cの積層構造に形成される。
詳細には、AlGaNを、その下面から上面に向かうほどAl組成比が低値となると共に、その下面から上面に向かうほど高濃度に炭素(C)を含有するように成長する。ここでは、AlxGa1-xN、AlyGa1-yN、AlzGa1-zNを、0<z<y<x<1を満たし、この順にC濃度が高くなるように、順次成長する。但し、AlxGa1-xNのC濃度は、第1のバッファ層2のC濃度よりも高い有意な値とされる。
AlGaNの原料ガスには、TMAガス、トリメチルガリウム(TMG)ガス、及びNH3ガスの混合ガスを用いる。TMAガスのTMGガスとの流量比を調節することで、AlGaNにおけるAl組成比を制御する。TMAガスのTMGガスに対する流量比を大きくするほど、Al組成比は低下する。原料ガスにおけるV/III比(NH3ガスに対するTMAガス及びTMGガスの比率)を調節することで、AlGaNのC濃度を制御する。TMAガス及びTMGガスはメチル基を有することから、特に炭素(C)をドーピングすることなく、V/III比の制御によりC濃度が調節される(Cのオートドーピング)。V/III比を小さくするほど、AlGaNのC濃度が高くなる。C濃度の制御は、成長温度或いは圧力を調節しても良い。成長温度を低くするほど、或いは圧力を低くするほど、AlGaNのC濃度が高くなる。
本実施形態では、AlxGa1-xN、AlyGa1-yN、AlzGa1-zNのAl組成比及びC濃度を、以下のようにそれぞれ調節する。成長条件としては、V/III比を100〜600程度、成長温度を1000℃程度、圧力を5kPa程度とする。
AlxGa1-xNは、200nm程度の厚みで、0.8≦x≦0.9程度(例えばx=0.9程度)で、C濃度が5×1017/cm3程度〜3×1018/cm3程度(例えば1×1018/cm3程度)に成長する。
AlyGa1-yNは、200nm程度の厚みで、0.6≦y≦0.7程度(例えばy=0.6程度)で、C濃度3×1018/cm3程度〜6×1018/cm3程度(例えば5×1018/cm3程度)に成長する。
AlzGa1-zNは、200nm程度の厚みで、0.2≦z≦0.3程度(例えばz=0.2程度)で、C濃度が6×1018/cm3程度〜2×1019/cm3程度(例えば1×1019/cm3程度)に成長する。
以上のように、AlxGa1-xN、AlyGa1-yN、AlzGa1-zNを順次成長することにより、第1のバッファ層2上に、AlGaN層3a,3b,3cが積層された第2のバッファ層3が形成される。
次に、図1(c)に示すように、第2のバッファ層3上に電子走行層4を形成する。電子走行層4は、下層領域4a及び上層領域4bで形成される。
詳細には、GaNを、その下層領域4aが炭素(C)を高濃度に含有するように、AlGaN層3cよりもC濃度が高くなるように成長し、これに対して上層領域4bが極めて低いC濃度となるように、第1のバッファ層2よりも低いC濃度となるように成長する。
GaNの原料ガスには、TMGガス及びNH3ガスの混合ガスを用いる。原料ガスにおけるV/III比(NH3ガスに対するTMGガスの比率)を調節することで、GaNの下層領域のC濃度を制御する。TMGガスはメチル基を有することから、特に炭素(C)をドーピングすることなく、V/III比の制御によりC濃度が調節される(Cのオートドーピング)。V/III比を小さくするほど、GaNのC濃度が高くなる。C濃度の制御は、成長温度或いは圧力を調節しても良い。成長温度を低くするほど、或いは圧力を低くするほど、GaNのC濃度が高くなる。
本実施形態では、先ず、GaNの下層領域4aを200nm程度の厚みに成長する。成長条件としては、C濃度がAlGaN層3cよりも高くなるように、V/III比を30〜100程度、成長温度を1000℃程度、圧力を10kPa程度とする。下層領域4aのC濃度は、2×1017/cm3程度〜1×1020/cm3程度(例えば5×1019/cm3程度)となる。
引き続き、GaNの上層領域4bを1000nm程度の厚みに成長する。成長条件としては、C濃度が第1のバッファ層2よりも低くなるように、V/III比を3000〜8000程度、成長温度を1000℃程度、圧力を20kPa程度とする。上層領域4bのC濃度は、1×1016/cm3程度〜1×1017/cm3程度(例えば2×1016/cm3程度)となる。
以上のように、GaNを成長することにより、第2のバッファ層3上に、下層領域4a及び上層領域4bを有するGaNからなる電子走行層4が形成される。
次に、図1(d)に示すように、電子走行層4上に電子供給層5を形成する。
詳細には、電子走行層4上にAlGaNを20nm程度の厚みに成長する。AlGaNの成長条件としては、原料ガスとしてTMAガス、TMGガス、及びNH3ガスの混合ガスを用いる。成長条件としては、原料ガスにおけるV/III比(NH3ガスに対するTMA及びTMGの比率)を1000程度、成長温度を1000℃程度、圧力を10kPa程度とする。これにより、電子走行層4上に電子供給層5が形成される。
以上により、第1のバッファ層2、第2のバッファ層3、電子走行層4、及び電子供給層5が順次積層された化合物半導体積層構造10が形成される。
化合物半導体積層構造10では、電子走行層4の電子供給層5との界面近傍に2次元電子ガス(2DEG)が発生する。この2DEGは、電子走行層4の化合物半導体(ここではGaN)と電子供給層5の化合物半導体(ここではAlGaN)との格子定数の相違に基づいて生成される。
続いて、図2(a)に示すように、ソース電極6及びドレイン電極7を形成する。
詳細には、先ず、ソース電極及びドレイン電極を形成するためのレジストマスクを形成する。ここでは、蒸着法及びリフトオフ法に適した例えば庇構造2層レジストを用いる。このレジストを電子供給層5上に塗布し、ソース電極及びドレイン電極の各形成予定部位を露出させる開口を形成する。以上により、当該開口を有するレジストマスクが形成される。
このレジストマスクを用いて、電極材料として、例えばTi/Alを、例えば蒸着法により、開口内を含むレジストマスク上に堆積する。Tiの厚みは100nm程度、Alの厚みは300nm程度とする。リフトオフ法により、レジストマスク及びその上に堆積したTi/Alを除去する。その後、Si基板1を、例えば窒素雰囲気中において400℃〜1000℃程度の温度、例えば600℃程度で熱処理し、残存するTi/Alを電子供給層5とオーミックコンタクトさせる。Ta/Alの電子供給層5とのオーミックコンタクトが得られるのであれば、熱処理が不要な場合もある。以上により、電子供給層5上にソース電極6及びドレイン電極7が形成される。
続いて、図2(b)に示すように、ゲート電極8を形成する。
詳細には、先ず、ゲート電極を形成するためのレジストマスクを形成する。ここでは、蒸着法及びリフトオフ法に適した例えば庇構造2層レジストを用いる。このレジストを電子供給層5上に塗布し、ゲート電極の形成予定部位を露出させる開口を形成する。以上により、当該開口を有するレジストマスクが形成される。
このレジストマスクを用いて、電極材料として、例えばNi/Auを、例えば蒸着法により、開口内を含むレジストマスク上に堆積する。Niの厚みは50nm程度、Auの厚みは300nm程度とする。リフトオフ法により、レジストマスク及びその上に堆積したNi/Auを除去する。以上により、電子供給層5上のソース電極6とドレイン電極7との間の所定位置でショットキー接触するゲート電極8が形成される。
しかる後、ソース電極6、ドレイン電極7、ゲート電極8と接続される配線の形成等の諸工程を経て、本実施形態によるショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTが形成される。
本実施形態では、AlGaN/GaN・HEMTを構成する化合物半導体積層構造10において、Si基板1とGaNからなる電子走行層4との間のバッファが、AlNからなる第1のバッファ層2と、AlGaNからなる第2のバッファ層3との積層構造とされる。第1のバッファ層2は、Si基板1と第2のバッファ層3との間におけるSiとGaとの反応を抑止し、SiとAlGaNとの格子定数の相違等の緩衝機能を果たす。
図3は、本実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTにおける各層の炭素(C)の濃度分布を示す特性図である。
第1のバッファ層2では、C濃度は極めて低濃度、例えば5×1017/cm3程度とされる。
第2のバッファ層3では、その下面から上面に向かうほど、即ちAlGaN層3a,3b,3cの順でC濃度が高く、例えば1×1018/cm3程度、5×1018/cm3程度、1×1019/cm3程度とされる。
電子走行層4では、その下層領域4aでC濃度がAlGaN層3cよりも高く、例えば5×1019/cm3程度とされる。これに対して、上層領域4bでC濃度が第1のバッファ層2よりも低く、例えば2×1016/cm3程度とされる。
このAlGaN/GaN・HEMTでは、第2のバッファ層3の全体で比較的多くの炭素(C)を含有している。また、電子走行層4の下層領域4aで極めて高濃度にCを含有している。Cの有する電子捕獲機能により、第2のバッファ層3及び電子走行層4の下層領域4aにおける残留キャリア濃度が大幅に低減し、オフリーク電流が抑制されて耐圧が向上する。
ここで、AlGaNバッファ層、及びGaN電子走行層の下層領域のC濃度を有意に高くした場合、電流コラプスの発生を惹起し、また電子走行層及び電子供給層を含む化合物半導体積層構造の結晶性を悪化させる懸念がある。
電流コラプスは、化合物半導体積層構造のC含有量(Cのシート濃度)が多いほど大きくなる。本実施形態では、電子走行層のオフリーク電流の発生箇所が下層領域であることから、電子走行層4の下層領域4aのみのC濃度を高くすると共に、下層領域4a以外(上層領域4b)では可及的にC濃度を低くする。この構成により、電子走行層4における残留キャリア濃度の発生を十分に抑止するも、電子走行層4のC含有量は総量では抑えられているために電流コラプスの発生が抑制される。
化合物半導体積層構造の結晶性は、化合物半導体積層構造のC含有量(Cのシート濃度)が多いほど悪くなる。本実施形態では、化合物半導体積層構造の結晶性について、例えば全体のC含有量は略同等でも、化合物半導体積層構造の初期に成長する部分、即ち、化合物半導体積層構造のより下層の部分のC濃度が高いほど、当該結晶性に与える悪影響が強いことを見出した。
化合物半導体積層構造の初期層、ここでは第1のバッファ層となるAlNの化合物半導体積層構造の結晶性に与える影響について調べた。図4は、第1のバッファ層となるAlNの成長時のV/III比と、化合物半導体積層構造のツイスト値との関係を示す特性図である。V/III比が低いほど、膜中のC濃度が高くなる。ツイスト値は、結晶の捩れの度合いを示す値であり、結晶性の判断指標とされている。ツイスト値が低いほど結晶性が優れている。結晶の捩れは、ポテンシャルの局所的な揺らぎを起こすため、電子走行層を走行する2DEGの電子にとって散乱因子となる。更に、結晶捩れに起因してトラップ準位が発生し、電流コラプス特性の悪化にもつながるため、デバイス作製においては、高い結晶性を保つことが望まれる。
図4に示すように、V/III比が低いほど、即ち初期層である第1のバッファ層のC濃度が高いほど、ツイスト値が高く、化合物半導体積層構造の結晶性が悪化することが判った。化合物半導体積層構造では、その成長初期に近い層であるほど、不純物である炭素(C)の結晶性に対する悪影響が大きい。バッファ層をAlN及びAlGaNの積層構造とする場合、第2のバッファ層となるAlGaNに着目すれば、同様に、化合物半導体積層構造で初期に成長する部分、即ち当該AlGaNの初期成長部分(下層部分)のC濃度が高いほど、ツイスト値が高く、化合物半導体積層構造の結晶性が悪化する。
ここで、バッファ層の含有するCの総量を低減させるべく、その下面でC濃度を高くして、下面から上面に向かうほどC濃度が低くなるようにバッファ層を形成する場合について考察する。このとき、バッファ層のC濃度が適度に保たれるならば、オフリーク電流を抑制することは可能である。ところが、このようにバッファ層を形成すれば、その初期成長部分(下層部分)におけるC濃度が高いため、結晶性の著しく劣る化合物半導体積層構造が形成されることになる。
本実施形態では、第2のバッファ層3は、その下面から上面に向かうほど高濃度に炭素(C)を含有する。即ち、第2のバッファ層3の最下層の初期成長部分(下層部分)であるAlGaN層3aでは低いC濃度で、AlGaN層3bではAlGaN層3aよりもC濃度が高く、AlGaN層3cではAlGaN層3bよりもC濃度が高い。電子走行層4の下層領域4aは、第2のバッファ層3の最上層であるAlGaN層3cよりも高い高濃度にCを含有する。この構成を採ることにより、化合物半導体積層構造10の優れた結晶性を維持した状態で、第2のバッファ層3及び電子走行層4の下層領域4aにおける残留キャリア濃度が大幅に低減し、オフリーク電流が抑制されて耐圧が向上する。更に、第1のバッファ層2は、第2のバッファ層3の最下層であるAlGaN層3aよりもC濃度が低い。これにより、化合物半導体積層構造10の優れた結晶性がより確実に担保される。
更に本実施形態では、第2のバッファ層3が、これを構成するAlGaN3a,3b,3cにおいて、この順でAl組成比が小さくなるように形成されている。AlGaNのバッファ層において、Al組成比が下面から上面に向かうほど低値とすることで、化合物半導体積層構造10の結晶性が更に向上する。
本実施形態では、電子走行層4が、その下層領域4aでは上記のように高いC濃度とされる一方で、その他の領域(上層領域4b)ではC濃度は極めて低い(第1のバッファ層2のC濃度よりも低い)。この場合、第2のバッファ層3で実現されている上記のC濃度分布により化合物半導体積層構造10の全体のC含有量が比較的低値に抑えられることに加え、電子走行層4がその上部ではC濃度が急峻に低値に抑えられる。この構成を採ることにより、電流コラプスの発生が確実に抑制される。
以上説明したように、本実施形態によれば、化合物半導体積層構造10の結晶性を良好に保ち、電流コラプスの発生を抑制するも、オフリーク電流を抑えて高い耐圧を実現する、信頼性の高いショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTが得られる。
(変形例)
ここで、第1の実施形態の変形例について説明する。本実施形態では、ショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTを例示したが、本例では、ゲート電極がゲート絶縁膜を介して形成される、いわゆるMIS型のAlGaN/GaN・HEMTを例示する。
図5は、第1の実施形態の変形例によるAlGaN/GaN・HEMTの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
本例では、先ず第1の実施形態と同様に、図1(a)〜(d)及び図2(a)の各工程を実行する。化合物半導体積層構造10上にソース電極6及びドレイン電極7が形成された様子を図5(a)に示す。
続いて、図5(b)に示すように、ゲート絶縁膜11を形成する。
詳細には、化合物半導体積層構造10上に絶縁材料として例えばAl23を堆積する。Al23は、例えば原子層堆積法(Atomic Layer Deposition:ALD法)により膜厚2nm〜200nm程度、ここでは10nm程度に堆積する。これにより、ゲート絶縁膜11が形成される。
なお、Al23の堆積は、ALD法の代わりに、例えばプラズマCVD法又はスパッタ法等で行うようにしても良い。また、Al23を堆積する代わりに、Alの窒化物又は酸窒化物を用いても良い。それ以外にも、Si,Hf,Zr,Ti,Ta,Wの酸化物、窒化物又は酸窒化物、或いはこれらから適宜に選択して多層に堆積して、ゲート絶縁膜を形成しても良い。
続いて、図5(c)に示すように、ゲート電極12を形成する。
詳細には、先ず、ゲート電極を形成するためのレジストマスクを形成する。ここでは、蒸着法及びリフトオフ法に適した例えば庇構造2層レジストを用いる。このレジストをゲート絶縁膜11上に塗布し、ゲート電極の形成予定部位を露出させる開口を形成する。以上により、当該開口を有するレジストマスクが形成される。
このレジストマスクを用いて、電極材料として、例えばNi/Auを、例えば蒸着法により、開口内を含むレジストマスク上に堆積する。Niの厚みは50nm程度、Auの厚みは300nm程度とする。リフトオフ法により、レジストマスク及びその上に堆積したNi/Auを除去する。以上により、ゲート絶縁膜11上において、ソース電極6とドレイン電極7との間の所定位置にゲート電極12が形成される。
しかる後、ソース電極6、ドレイン電極7、ゲート電極12と接続される配線の形成等の諸工程を経て、本実施形態によるMIS型のAlGaN/GaN・HEMTが形成される。
本例によれば、化合物半導体積層構造10の結晶性を良好に保ち、電流コラプスの発生を抑制するも、オフリーク電流を抑えて高い耐圧を実現する、信頼性の高いMIS型のAlGaN/GaN・HEMTが得られる。
なお、本例において、電子供給層5上のゲート電極12下に相当する部位のみにゲート絶縁膜11を形成しても良い。この場合、電子供給層5上の他の部分(ソース電極6−ゲート電極8間の部分及びゲート電極8−ドレイン電極7間の部分)には、例えばシリコン窒化物等を堆積してパッシベーション膜を形成するようにしても好適である。
(第2の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態と同様にショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTを開示するが、第2のバッファ層の構成が異なる点で第1の実施形態と相違する。
図6及び図7は、第2の実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
本例では、先ず第1の実施形態と同様に、図1(a)の工程を実行する。Si基板1上に第1のバッファ層2が形成された様子を図6(a)に示す。
続いて、図6(b)に示すように、第1のバッファ層2上に第2のバッファ層21を形成する。
詳細には、AlGaNを、その下面から上面に向かうほどAl組成比が漸減すると共に、その下面から上面に向かうほど炭素(C)濃度が漸増するように成長する。但し、AlGaNの下面におけるC濃度は、第1のバッファ層2よりも高い有意な値とされる。
AlGaNの原料ガスには、TMAガス、TMGガス、及びNH3ガスの混合ガスを用いる。TMAガスのTMGガスとの流量比を調節することで、AlGaNにおけるAl組成比を制御する。TMAガスのTMGガスに対する流量比を大きくするほど、Al組成比は低下する。原料ガスにおけるV/III比(NH3ガスに対するTMAガス及びTMGガスの比率)を調節することで、AlGaNのC濃度を制御する。TMAガス及びTMGガスはメチル基を有することから、特に炭素(C)をドーピングすることなく、V/III比の制御によりC濃度が調節される(Cのオートドーピング)。V/III比を小さくするほど、AlGaNのC濃度が高くなる。C濃度の制御は、成長温度或いは圧力を調節しても良い。成長温度を低くするほど、或いは圧力を低くするほど、AlGaNのC濃度が高くなる。
本実施形態では、AlGaNのAl組成比及びC濃度を、以下のようにそれぞれ調節する。成長条件としては、V/III比を100〜600程度、成長温度を1000℃程度、圧力を5kPa程度とする。
AlGaNのAl組成比は、下面で0.8程度〜0.9程度、例えば0.9程度とし、上面で0.2程度〜0.3程度、例えば0.2程度として、下面から上面に向かうほど漸減するように調節する。
AlGaNのC濃度は、下面で5×1017/cm3程度〜5×1018/cm3程度、例えば5×1018/cm3程度とし、上面で5×1018/cm3程度〜1×1020/cm3程度、例えば1×1019/cm3程度として、下面から上面に向かうほど漸増するように調節する。
以上のように、第1のバッファ層2上に、Al組成比(上方ほど小さい)及びC濃度(上方ほど高い)が調節されたAlGaNからなる第2のバッファ層21が形成される。
続いて、図6(c)に示すように、第2のバッファ層21上に電子走行層4を形成する。電子走行層4は、下層領域4a及び上層領域4bで形成される。
詳細には、GaNを、その下層領域が炭素(C)を高濃度に含有するように、C濃度が第2のバッファ層21の上面よりもC濃度が高くなるように成長し、これに対して上層領域が極めて低いC濃度となるように、第1のバッファ層2よりも低いC濃度となるように成長する。
GaNの原料ガスには、TMGガス及びNH3ガスの混合ガスを用いる。原料ガスにおけるV/III比(NH3ガスに対するTMGガスの比率)を調節することで、GaNの下層領域のC濃度を制御する。TMGガスはメチル基を有することから、特に炭素(C)をドーピングすることなく、V/III比の制御によりC濃度が調節される(Cのオートドーピング)。V/III比を小さくするほど、GaNのC濃度が高くなる。C濃度の制御は、成長温度或いは圧力を調節しても良い。成長温度を低くするほど、或いは圧力を低くするほど、GaNのC濃度が高くなる。
本実施形態では、先ず、GaNの下層領域4aを200nm程度の厚みに成長する。成長条件としては、C濃度が第2のバッファ層21の上面よりも高くなるように、V/III比を30〜100程度、成長温度を1000℃程度、圧力を10kPa程度とする。下層領域4aのC濃度は、1×1019/cm3程度〜1×1020/cm3程度(例えば5×1019/cm3程度)となる。
引き続き、GaNの上層領域4bを1000nm程度の厚みに成長する。成長条件としては、C濃度が第1のバッファ層2よりも低くなるように、V/III比を3000〜8000程度、成長温度を1000℃程度、圧力を20kPa程度とする。上層領域4bのC濃度は、1×1016/cm3程度〜1×1017/cm3程度(例えば2×1016/cm3程度)となる。
以上のように、GaNを成長することにより、第2のバッファ層21上に、下層領域4a及び上層領域4bを有するGaNからなる電子走行層4が形成される。
次に、図6(d)に示すように、電子走行層4上に電子供給層5を形成する。
詳細には、電子走行層4上にAlGaNを20nm程度の厚みに成長する。AlGaNの成長条件としては、原料ガスとしてTMAガス、TMGガス、及びNH3ガスの混合ガスを用いる。成長条件としては、原料ガスにおけるV/III比(NH3ガスに対するTMA及びTMGの比率)を1000程度、成長温度を1000℃程度、圧力を10kPa程度とする。これにより、電子走行層4上に電子供給層5が形成される。
以上により、第1のバッファ層2、第2のバッファ層21、電子走行層4、及び電子供給層5が順次積層された化合物半導体積層構造20が形成される。
化合物半導体積層構造20では、電子走行層4の電子供給層5との界面近傍に2次元電子ガス(2DEG)が発生する。この2DEGは、電子走行層4の化合物半導体(ここではGaN)と電子供給層5の化合物半導体(ここではAlGaN)との格子定数の相違に基づいて生成される。
続いて、図7(a)に示すように、ソース電極6及びドレイン電極7を形成する。
詳細には、先ず、ソース電極及びドレイン電極を形成するためのレジストマスクを形成する。ここでは、蒸着法及びリフトオフ法に適した例えば庇構造2層レジストを用いる。このレジストを電子供給層5上に塗布し、ソース電極及びドレイン電極の各形成予定部位を露出させる開口を形成する。以上により、当該開口を有するレジストマスクが形成される。
このレジストマスクを用いて、電極材料として、例えばTi/Alを、例えば蒸着法により、開口内を含むレジストマスク上に堆積する。Tiの厚みは100nm程度、Alの厚みは300nm程度とする。リフトオフ法により、レジストマスク及びその上に堆積したTi/Alを除去する。その後、Si基板1を、例えば窒素雰囲気中において400℃〜1000℃程度の温度、例えば600℃程度で熱処理し、残存するTi/Alを電子供給層5とオーミックコンタクトさせる。Ta/Alの電子供給層5とのオーミックコンタクトが得られるのであれば、熱処理が不要な場合もある。以上により、電子供給層5上にソース電極6及びドレイン電極7が形成される。
続いて、図7(b)に示すように、ゲート電極8を形成する。
詳細には、先ず、ゲート電極を形成するためのレジストマスクを形成する。ここでは、蒸着法及びリフトオフ法に適した例えば庇構造2層レジストを用いる。このレジストを電子供給層5上に塗布し、ゲート電極の形成予定部位を露出させる開口を形成する。以上により、当該開口を有するレジストマスクが形成される。
このレジストマスクを用いて、電極材料として、例えばNi/Auを、例えば蒸着法により、開口内を含むレジストマスク上に堆積する。Niの厚みは50nm程度、Auの厚みは300nm程度とする。リフトオフ法により、レジストマスク及びその上に堆積したNi/Auを除去する。以上により、電子供給層5上のソース電極6とドレイン電極7との間の所定位置でショットキー接触するゲート電極8が形成される。
しかる後、ソース電極6、ドレイン電極7、ゲート電極8と接続される配線の形成等の諸工程を経て、本実施形態によるショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTが形成される。
本実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTでは、第2のバッファ層21の全体で比較的多くの炭素(C)を含有している。また、電子走行層4の下層領域4aで極めて高濃度に炭素(C)を含有している。Cの有する電子捕獲機能により、第2のバッファ層21及び電子走行層4の下層領域4aにおける残留キャリア濃度が大幅に低減し、オフリーク電流が抑制されて耐圧が向上する。
電流コラプスは、化合物半導体積層構造のC含有量(Cのシート濃度)が多いほど大きくなる。本実施形態では、電子走行層のオフリーク電流の発生箇所が下層領域であることから、電子走行層4の下層領域4aのみのC濃度を高くすると共に、下層領域4a以外(上層領域4b)では可及的にC濃度を低くする。この構成により、電子走行層4における残留キャリア濃度の発生を十分に抑止するも、電子走行層4のC含有量は総量では抑えられているために電流コラプスの発生が抑制される。
化合物半導体積層構造の結晶性は、化合物半導体積層構造のC含有量(Cのシート濃度)が多いほど悪くなる。本実施形態では、化合物半導体積層構造の結晶性について、例えば全体のC含有量は同等でも、化合物半導体積層構造の初期に成長する部分、即ち、化合物半導体積層構造のより下層の部分のC濃度が高いほど、当該結晶性に与える悪影響が強い。
本実施形態では、第2のバッファ層21は、その下面から上面に向かうほどC濃度が漸増し、電子走行層4の下層領域4aは、第2のバッファ層21の上面よりも高い高濃度にCを含有する。この構成を採ることにより、化合物半導体積層構造20の優れた結晶性を維持した状態で、第2のバッファ層21及び電子走行層4の下層領域4aにおける残留キャリア濃度が大幅に低減し、オフリーク電流が抑制されて耐圧が向上する。更に、第1のバッファ層2は、第2のバッファ層21の下面よりもC濃度が低い。これにより、化合物半導体積層構造20の優れた結晶性がより確実に担保される。
更に本実施形態では、第2のバッファ層21において、下面から上面に向かうほどAl組成比が漸減するように形成されている。AlGaNのバッファ層において、Al組成比が下面から上面に向かうほど低値とすることで、化合物半導体積層構造20の結晶性が更に向上する。
本実施形態では、電子走行層4が、その下層領域4aでは上記のように高いC濃度とされる一方で、その他の領域(上層領域4b)ではC濃度は極めて低い(第1のバッファ層2のC濃度よりも低い)。この場合、第2のバッファ層21で実現されている上記のC濃度分布により化合物半導体積層構造20の全体のC含有量が比較的低値に抑えられることに加え、電子走行層4がその上部ではC濃度が急峻に低値に抑えられる。この構成を採ることにより、電流コラプスの発生が確実に抑制される。
以上説明したように、本実施形態によれば、化合物半導体積層構造20の結晶性を良好に保ち、電流コラプスの発生を抑制するも、オフリーク電流を抑えて高い耐圧を実現する、信頼性の高いショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTが得られる。
なお、本実施形態においても、第1の実施形態の変形例と同様に、化合物半導体積層構造20とゲート電極8との間にゲート絶縁膜を形成し、MIS型のAlGaN/GaN・HEMTとすることも考えられる。
(第3の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態及び変形例、第2の実施形態から選ばれた1種のAlGaN/GaN・HEMTを適用した電源装置を開示する。
図8は、第3の実施形態による電源装置の概略構成を示す結線図である。
本実施形態による電源装置は、高圧の一次側回路31及び低圧の二次側回路32と、一次側回路31と二次側回路32との間に配設されるトランス33とを備えて構成される。
一次側回路31は、交流電源34と、いわゆるブリッジ整流回路35と、複数(ここでは4つ)のスイッチング素子36a,36b,36c,36dとを備えて構成される。また、ブリッジ整流回路35は、スイッチング素子36eを有している。
二次側回路22は、複数(ここでは3つ)のスイッチング素子37a,37b,37cを備えて構成される。
本実施形態では、一次側回路41のスイッチング素子36a,36b,36c,36d,36eが、第1の実施形態及び変形例、第2の実施形態から選ばれた1種のAlGaN/GaN・HEMTとされている。一方、二次側回路32のスイッチング素子37a,37b,37cは、シリコンを用いた通常のMIS・FETとされている。
本実施形態では、化合物半導体積層構造の結晶性を良好に保ち、電流コラプスの発生を抑制するも、オフリーク電流を抑えて高い耐圧を実現する、信頼性の高いAlGaN/GaN・HEMTを、高圧回路に適用する。これにより、信頼性の高い大電力の電源回路が実現する。
(第4の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態及び変形例、第2の実施形態から選ばれた1種のAlGaN/GaN・HEMTを適用した高周波増幅器を開示する。
図9は、第4の実施形態による高周波増幅器の概略構成を示す結線図である。
本実施形態による高周波増幅器は、ディジタル・プレディストーション回路41と、ミキサー42a,42bと、パワーアンプ43とを備えて構成される。
ディジタル・プレディストーション回路41は、入力信号の非線形歪みを補償するものである。ミキサー42aは、非線形歪みが補償された入力信号と交流信号をミキシングするものである。パワーアンプ43は、交流信号とミキシングされた入力信号を増幅するものであり、第1の実施形態及び変形例、第2の実施形態から選ばれた1種のAlGaN/GaN・HEMTを有している。なお図9では、例えばスイッチの切り替えにより、出力側の信号をミキサー42bで交流信号とミキシングしてディジタル・プレディストーション回路31に送出できる構成とされている。
本実施形態では、化合物半導体積層構造の結晶性を良好に保ち、電流コラプスの発生を抑制するも、オフリーク電流を抑えて高い耐圧を実現する、信頼性の高いAlGaN/GaN・HEMTを、高周波増幅器に適用する。これにより、信頼性の高い高耐圧の高周波増幅器が実現する。
(他の実施形態)
第1〜第4の実施形態及び変形例では、化合物半導体装置としてAlGaN/GaN・HEMTを例示した。化合物半導体装置としては、AlGaN/GaN・HEMT以外にも、以下のようなHEMTに適用できる。
・その他のHEMT例1
本例では、化合物半導体装置として、InAlN/GaN・HEMTを開示する。
InAlNとGaNは、組成によって格子定数を近くすることが可能な化合物半導体である。この場合、上記した第1〜第4の実施形態及び変形例では、第1のバッファ層がAlN、第2のバッファ層がAlGaN、電子走行層がGaN、電子供給層がInAlNで形成される。また、この場合のピエゾ分極が殆ど発生しないため、2次元電子ガスは主にInAlNの自発分極により発生する。
本例によれば、上述したAlGaN/GaN・HEMTと同様に、化合物半導体積層構造の結晶性を良好に保ち、電流コラプスの発生を抑制するも、オフリーク電流を抑えて高い耐圧を実現する、信頼性の高いInAlN/GaN・HEMTが実現する。
・その他のHEMT例2
本例では、化合物半導体装置として、InAlGaN/GaN・HEMTを開示する。
GaNとInAlGaNは、後者の方が前者よりも組成によって格子定数を小さくすることができる化合物半導体である。この場合、上記した第1〜第4の実施形態及び変形例では、第1のバッファ層がAlN、第2のバッファ層がAlGaN、電子走行層がGaN、電子供給層がInAlGaNで形成される。
本例によれば、上述したAlGaN/GaN・HEMTと同様に、化合物半導体積層構造の結晶性を良好に保ち、電流コラプスの発生を抑制するも、オフリーク電流を抑えて高い耐圧を実現する、信頼性の高いInAlGaN/GaN・HEMTが実現する。
以下、化合物半導体装置及びその製造方法、並びに電源装置及び高周波増幅器の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)AlNを材料とする第1のバッファ層と、
前記第1のバッファ層の上方に形成されたAlGaNを材料とする第2のバッファ層と
を有する化合物半導体積層構造を含み、
前記第2のバッファ層は、その下面から上面に向かうほど高濃度に炭素を含有することを特徴とする化合物半導体装置。
(付記2)前記第2のバッファ層は、そのAl組成比が下面から上面に向かうほど低値とされることを特徴とする付記1に記載の化合物半導体装置。
(付記3)前記化合物半導体積層構造は、前記第2のバッファ層の上方に形成された電子走行層を有しており、
前記電子走行層は、その下層領域に炭素を含有することを特徴とする付記1又は2に記載の化合物半導体装置。
(付記4)前記下層領域は、前記第2のバッファ層の上面よりも炭素濃度が高いことを特徴とする付記3に記載の化合物半導体装置。
(付記5)前記第1のバッファ層は、前記第2のバッファ層の下面よりも炭素濃度が低いことを特徴とする付記1〜4のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
(付記6)前記第2のバッファ層は、その炭素濃度が下面から上面に向かうほど階段状に高くなることを特徴とする付記1〜5のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
(付記7)前記第2のバッファ層は、その炭素濃度が下面から上面に向かうほど漸増することを特徴とする付記1〜5のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
(付記8)AlNを材料とする第1のバッファ層と、
前記第1のバッファ層の上方に形成されたAlGaNを材料とする第2のバッファ層と
を有する化合物半導体積層構造を形成するに際して、
前記第2のバッファ層を、その下面から上面に向かうほど高濃度に炭素を含有するように形成することを特徴とする化合物半導体装置の製造方法。
(付記9)前記第2のバッファ層は、そのAl組成比が下面から上面に向かうほど低値とされることを特徴とする付記8に記載の化合物半導体装置の製造方法。
(付記10)前記第2のバッファ層の上方に、下層領域に炭素を含有するように電子走行層を形成することを特徴とする付記8又は9に記載の化合物半導体装置の製造方法。
(付記11)前記下層領域は、前記第2のバッファ層の上面よりも炭素濃度が高いことを特徴とする付記10に記載の化合物半導体装置の製造方法。
(付記12)前記第1のバッファ層は、前記第2のバッファ層の下面よりも炭素濃度が低いことを特徴とする付記8〜11のいずれか1項に記載の化合物半導体装置の製造方法。
(付記13)前記第2のバッファ層は、その炭素濃度が下面から上面に向かうほど階段状に高くなることを特徴とする付記8〜12のいずれか1項に記載の化合物半導体装置の製造方法。
(付記14)前記第2のバッファ層は、その炭素濃度が下面から上面に向かうほど漸増することを特徴とする付記8〜12のいずれか1項に記載の化合物半導体装置の製造方法。
(付記15)変圧器と、前記変圧器を挟んで高圧回路及び低圧回路とを備えた電源回路であって、
前記高圧回路はトランジスタを有しており、
前記トランジスタは、
AlNを材料とする第1のバッファ層と、
前記第1のバッファ層の上方に形成されたAlGaNを材料とする第2のバッファ層と
を有する化合物半導体積層構造を含み、
前記第2のバッファ層は、その下面から上面に向かうほど高濃度に炭素を含有することを特徴とする電源回路。
(付記16)入力した高周波電圧を増幅して出力する高周波増幅器であって、
トランジスタを有しており、
前記トランジスタは、
AlNを材料とする第1のバッファ層と、
前記第1のバッファ層の上方に形成されたAlGaNを材料とする第2のバッファ層と
を有する化合物半導体積層構造を含み、
前記第2のバッファ層は、その下面から上面に向かうほど高濃度に炭素を含有することを特徴とする高周波増幅器。
1 Si基板
2 第1のバッファ層
3,21 第2のバッファ層
3a,3b,3c AlGaN層
4 電子走行層
5 電子走行層
6 ソース電極
7 ドレイン電極
8,12 ゲート電極
10,20 化合物半導体積層構造
11 ゲート絶縁膜
31 一次側回路
32 二次側回路
33 トランス
34 交流電源
35 ブリッジ整流回路
36a,36b,36c,36d,36e,37a,37b,37c スイッチング素子
41 ディジタル・プレディストーション回路
42a,42b ミキサー
43 パワーアンプ

Claims (5)

  1. AlNを材料とする第1のバッファ層と、
    前記第1のバッファ層の上方に設けられ、AlGaNを材料とする第2のバッファ層と、
    前記第2のバッファ層の上方に設けられ、前記第2のバッファ層と接する面の近傍において炭素を含有した電子走行層と
    を有し、
    前記第1のバッファ層に含まれる炭素濃度は、前記第2のバッファ層に含まれる炭素濃度よりも低いことを特徴とする化合物半導体装置。
  2. AlNを材料とする第1のバッファ層と、
    前記第1のバッファ層の上方に設けられ、AlGaNを材料とする第2のバッファ層と、
    前記第2のバッファ層の上方に設けられた電子走行層と
    を有し、
    前記第1のバッファ層に含まれる炭素濃度は、前記電子走行層の上層側に含まれる炭素濃度よりも高いことを特徴とする化合物半導体装置。
  3. 前記第2のバッファ層は、前記第1のバッファ層から離れるほど高濃度に炭素を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の化合物半導体装置。
  4. 前記第2のバッファ層のAl組成比は、前記第2のバッファ層の下面から上面に向かうにつれて連続的或いは段階的に小さくなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
  5. 前記第2のバッファ層に含まれる炭素濃度は、前記第2のバッファ層の下面から上面に向かうにつれて段階的に高くなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
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