以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるレーザビームプリンタ(LBP)の全体構成を示す図である。
図1において、100はレーザビームプリンタ、101はレーザビームプリンタ本体(以下、プリンタ本体という)である。そして、このプリンタ本体101は、画像形成部102を備えると共に、プリンタ本体101の下部には給紙カセット6に積載収納された記録紙等のシートSを画像形成部102に給送するシート給送装置103等を具備している。
ここで、画像形成部102は、感光体ドラム2、帯電ローラ3、現像ローラ4、クリーニングブレード5等を備えたプロセスカートリッジ104を備えている。また、感光体ドラム2の表面を露光して感光体ドラム2上に静電潜像を形成する露光手段であるレーザ光学系1を備えている。また、このプリンタ本体101は、感光体ドラム2と当接し、感光体ドラム2と共に転写部Tを構成する転写ローラ14、転写部Tにて転写されたトナー画像をシートSに定着させる定着装置105等を備えている。
シート給送装置103は、シート収納部である給紙カセット6に積載されたシートSを最上側より送り出すピックアップローラ(給送ローラ)7を備えている。また、シート給送装置103は、シート搬送方向に回転するフィードローラ7aと、フィードローラ7aに圧接してフィードローラ7aとの間でシートを1枚ずつ分離する分離ニップ部を形成するリタードローラ7bとを備えている。
なお、図1において、150はプリンタ本体101の画像形成動作及びシート給送装置103のシート給送動作を制御する制御部である。9はシートの通過を検知する搬送センサ、12aはプリンタ本体周囲の温度(環境温度)を検知する温度センサ、12bはプリンタ本体周囲の湿度(環境湿度)を検知する湿度センサである。そして、搬送センサ9、温度センサ12a及び湿度センサ12bからの情報は制御部150に入力される。
次に、このように構成されたレーザビームプリンタ100における画像形成動作について説明する。画像形成動作が開始されると、まずシート給送装置103のピックアップローラ7が回転し、給紙カセット6上の最上位のシートS1を送り出す。そして、このようにピックアップローラ7により送り出されたシートS1は、分離ローラ対7a,7bにより分離搬送された後、搬送ローラ8により、停止しているレジストレーションローラ対11に搬送され、先端位置合わせ(斜行補正)が行われる。
先端位置合わせを行った後、レジストレーションローラ対11が回転し、レジストレーションローラ対11によりシートS1が搬送される。そして、シートS1がトップセンサ13まで搬送されると、制御部150は、外部PCにより入力された画像情報に基づき、帯電ローラ3により帯電された感光体ドラム2に対してレーザ光学系1からレーザを発光する。これにより、感光体ドラム上には静電潜像が形成される。次に、この静電潜像は、現像ローラ4の回転に伴い適度の帯電を受けたトナーが感光体ドラム2上に供給されて静電潜像に付着することにより、現像されてトナー画像として可視化される。
次に、レジストレーションローラ対11により搬送されたシートS1が転写部Tに達し、転写ローラ14により感光体ドラム2の画像がシートS1に転写される。なお、トナー像が転写された感光体ドラム2はクリーニングブレード5によりクリーニングされ、残トナーが除去される。この後、トナー画像が転写されたシートS1は、定着装置105に搬送され、定着装置105を通過する際、加熱・加圧されてシート上の未定着トナー像がシート表面に定着される。なお、このようにしてトナー像が定着された後のシートS1は、排紙ローラ106により排紙トレイ120上に排出される。
ところで、定着装置105は、図2に示すように、定着手段105Aを構成する加熱部材である定着フィルム15、定着ヒータ16、加圧ローラ17を備えている。また、定着装置105は、カール矯正手段105Bを構成するデカールローラ18と、デカールローラ18が接離可能に圧接してデカールニップ18aを形成するデカール対向ローラ19を備えている。そして、トナー像が転写されたシートは、定着フィルム15、定着ヒータ16、加圧ローラ17で形成される定着ニップ17aを通過する際、加熱及び加圧されてトナー像が定着される。また、トナー像が定着されたシートは、この後、デカールニップ18aに搬送され、デカールニップ18aを通過する際、シートのカールが矯正される。
なお、本実施の形態において、デカールローラ18の材質はアスカーC硬度約30度の発泡シリコンゴム、デカール対向ローラ19の材質は鉄である。そして、このように硬度の低い弾性体ローラであるデカールローラ18が、硬度の高い非弾性体ローラであるデカール対向ローラ19により加圧されることで、デカール対向ローラ19の外径に沿ったデカールニップ18aが形成される。これにより、シートがデカールニップ18aにて搬送される際、定着ニップ17aでシートに形成されたカールが矯正される。
図3は、定着装置105の側方斜視図である。なお、図3の(a)はシート搬送方向上流側を視点とする側方斜視図、図3の(b)はシート搬送方向下流側を視点とする側方斜視図である。
図3において、22は加圧ローラ17を駆動回転する定着駆動ギア、24はデカールローラ18を駆動回転するデカールギアである。そして、定着駆動ギア22が駆動回転されると、定着駆動ギア22の駆動がアイドラギア23を介してデカールギア24に伝達され、デカールローラ18が回転する。なお、定着フィルム15は駆動回転する加圧ローラ17に従って従動回転し、デカール対向ローラ19はデカールローラ18に従って従動回転する。なお、本実施の形態において、デカールローラ18を駆動側にしてデカール対向ローラ19を従動側としているが、これは定着ニップとデカールニップでのシートの搬送速度を合わせやすくするためである。
また、連続してプリントジョブを行うと材質がアスカーC硬度約50度のシリコンゴムである加圧ローラ17の温度は上昇し、熱膨張により外径が大きくなる。デカールローラ18は定着ニップの近傍にあるので、定着直後で高温なシートと接触することにより、同様に熱膨張により外径が大きくなる。これにより、熱膨張の小さい鉄のデカール対向ローラ19を駆動するよりも加圧ローラ17と同様に熱膨張の大きいデカールローラ18を駆動する方が搬送速度を合わせやすい。そして、このように定着ニップとデカールニップでのシートの搬送速度を合わせることにより、シートにしわ、折れなどの搬送不具合が生じることを防止しやすい。
また、図3において、25は後述する図7に示すモータMにより回転する圧制御ギアであり、26は圧制御ギア25の圧制御ギア軸32に固着されたカム部材である圧制御カムである。なお、この圧制御カム26は、後述する図5に示すように、シート搬送方向と直交する幅方向(軸方向)に異なる形状のカム形状26a,26bを有している。なお、図4において、27は圧制御カム26の外側のカム形状26aにより不図示の回動軸を支点として上下方向に回動する定着加圧レバーである。28は圧制御カム26の内側のカム形状26bにより、回動軸28aを支点として上下方向に回動する矯正加圧レバーであるデカール加圧レバーである。
また、図3において、29は定着フィルム15を回転可能に支持する定着フランジであり、30は定着加圧レバー27を下方に付勢する定着加圧バネである。そして、この定着加圧バネ30により、定着フランジ29を上方より付勢して定着フランジ29を上方から付勢することにより、定着フィルム15を加圧ローラ17に圧接させる。なお、後述する図4において、36はデカール対向ローラ19を回転可能に支持するデカール対向ローラ軸受、31はデカール対向ローラ軸受36とデカール加圧レバー28の間に設けられたデカール加圧バネである。そして、この付勢部材であるデカール加圧バネ31により、デカール対向ローラ軸受36は、デカール対向ローラ19がデカールローラ18に圧接する方向に付勢される。
ここで、圧制御カム26は、外側のカム形状26aにより定着加圧レバー27を介して定着フィルム15が加圧ローラ17に付与する加圧力を切り換える。また、圧制御カム26は、内側のカム形状26bによりデカール加圧レバー28を介してデカール対向ローラ19がデカールローラ18に付与する加圧力を切り換える。このように、本実施の形態においては、圧制御カム26の外側のカム形状26aと、定着加圧レバー27と、定着加圧バネ30とにより、定着ニップの加圧力を可変とする定着ニップ圧可変機構105Cが構成される。また、図5に示すように、圧制御カム26の内側のカム形状26bと、デカール加圧レバー28と、デカール加圧バネ31とにより、矯正ニップであるデカールニップの加圧力を可変とするデカールニップ圧可変機構105Dが構成される。
ところで、図4の(a)は、輸送時及びジャム処理時の定着ニップ圧可変機構105C及びデカールニップ圧可変機構105Dの状態を示している。このとき、圧制御カム26の外側のカム形状26aにより定着加圧レバー27が、定着加圧バネ30に抗して上方回動し、定着フランジ29から離間する。したがって、定着加圧バネ30による加圧力が定着フィルム15に付与されず、定着ニップ圧は、定着フランジ29と定着フィルム15の自重のみで、ほぼ0になる。即ち、定着ニップ圧は「弱」となる。一方、このとき圧制御カム26の内側のカム形状26bがデカール加圧レバー28と離間しており、これによりデカール加圧バネ31は伸びた状態となり、矯正ニップ圧であるデカールニップ圧は「弱」状態となる。つまり、輸送時及びジャム処理時において、定着ニップ圧は「弱」、デカールニップ圧は「弱」状態となる。
図4の(b)は、図4の(a)から圧制御カム26が140°時計回りに回転したときの定着ニップ圧可変機構105C及びデカールニップ圧可変機構105Dの状態を示している。なお、この状態は温度、又は湿度が低く、空気中の水分量が少ない、すなわち、シートに含有される水分量が少なく、定着ニップでシートに形成されるカールが小さい状態でプリントするときに選択される状態である。このとき、圧制御カム26の外側のカム形状26aが定着加圧レバー27から離間し、定着加圧バネ30により定着加圧レバー27が下方回動する。この結果、定着加圧バネ30による加圧力が、定着加圧レバー27及び定着フランジ29を介して定着フィルム15に付与され、定着ニップ圧は「強」の状態になる。なお、圧制御カム26の内側のカム形状26bとデカール加圧レバー28は離間しているので、デカールニップ圧は「弱」の状態のままである。つまり、温度、又は湿度が低く、空気中の水分量が少ない状態のとき、すなわち定着ニップでシートに形成されるカールが小さい状態のとき、定着ニップ圧は「強」、デカールニップ圧は「弱」の状態となる。
図4の(c)は、図4の(b)から圧制御カム26が80°時計回りに回転したときの定着ニップ圧可変機構105C及びデカールニップ圧可変機構105Dの状態を示す図である。なお、この状態は、温度、湿度が高く、空気中の水分量が多い、すなわちシートに含有される水分量が多く、定着ニップでシートに形成されるカールが大きい状態でプリントするときに、選択される状態である。
このとき、圧制御カム26の外側のカム形状26aが定着加圧レバー27から離間し、定着加圧バネ30による加圧力が、定着加圧レバー27及び定着フランジ29を介して定着フィルム15に付与され、定着ニップ圧は「強」状態のままである。また、圧制御カム26の内側のカム形状26bがデカール加圧レバー28と接触し、デカール加圧レバー28を時計回りに回転させる。これにより、デカール加圧バネ31のバネ長さが短くなり、デカールニップ圧は「強」状態となる。つまり、温度、湿度が高く、空気中の水分量が多い状態のとき、すなわち定着ニップでシートに形成されるカールが大きい状態のとき、定着ニップ圧は「強」、デカールニップ圧は「強」の状態となる。
なお、図6に示すように、圧制御ギア25及び圧制御カム26が取り付けられた圧制御ギア軸32には、センサフラグ33が固定されている。そして、圧制御ギア軸32が回転すると、定着ニップ圧及びデカールニップ圧の状態を検知するフォトセンサである状態検知センサ34がセンサフラグ33によって遮光される。これにより、制御部150は、圧制御カム26の回転位相、すなわち定着ニップ圧及びデカールニップ圧の状態を検知できる。
図7は、レーザビームプリンタ100の制御ブロック図である。搬送センサ9、温度センサ12a、湿度センサ12b及び状態検知センサ34からの情報は制御手段である制御部150に入力される。この制御部150は、後述するように温度センサ12a、湿度センサ12bからの温度情報及び湿度情報と、温度及び湿度に基づいて空気中の水分量を求める不図示のテーブルに基づいて空気中の水分量を求めるようにしている。
また、制御部150は、電源が「OFF」から「ON」になったとき、圧制御カム26を回転させるモータMを駆動し、圧制御カム26を少なくとも1回転させて、圧制御カム26の回転位相、すなわち、定着ニップ圧、デカールニップ圧の状態を設定する。なお、151は外部のPC152からの信号を制御部150に入力するコントローラである。
ここで、例えば空気中の水分量が19.1g/m2は温度28℃、湿度70%に相当する。そして、空気中の水分量が多い高温高湿環境では、シートに含有される水分量も多くなり、この場合、定着ニップでシートに付与される熱量が、シートの表裏に均一に伝導しにくくなるために、カールは大きくなる。また、逆に常温常湿、または低温低湿環境では、シートに含有される水分量も小さくなり、この場合、定着ニップでシートに付与される熱量が、シートの表裏に均一に伝導しやすくなるために、カールは小さくなる。
そこで、本実施の形態においては、圧制御カム26と定着加圧レバー27、デカール加圧レバー28により、定着ニップ圧とデカールニップ圧を、以下の3つの状態に制御するようにしている。即ち、定着ニップ圧が「弱」で、デカールニップ圧が「弱」のA状態、定着ニップ圧が「強」で、デカールニップ圧が「弱」のB状態及び定着ニップ圧が「強」で、デカールニップ圧が「強」のC状態に制御する。つまり、本実施の形態においては、定着ニップ圧とデカールニップ圧を、圧制御カム26と定着加圧レバー27、デカール加圧レバー28による簡単で小型な構成で制御することができる。
次に、制御部150によりプリントジョブを実行するときの定着ニップ圧及びデカールニップ圧の制御について図8に示すフローチャートを用いて説明する。外部のPCよりコントローラにプリントジョブが入力されると(S102)、制御部150は、環境センサを構成する温度センサ12aと湿度センサ12bにより温度情報、湿度情報を取得する(S103)。そして、制御部150は、取得した温度情報及び湿度情報と、不図示のテーブルに基づき空気中の水分量を求め、空気中の水分量が19.1g/m2以上かを判断する(S104)。
ここで、空気中の水分量が19.1g/m2以上であれば(S104のY)、制御部150は、モータMを駆動して圧制御カム26を回転させる。そして、このように圧制御カム26を回転させることにより、制御部150は、定着ニップ圧可変機構105C及びデカールニップ圧可変機構105Dを、定着ニップ圧が「強」、デカールニップ圧が「強」の状態(C状態)に設定する(S105)。なお、このように定着ニップ圧が「強」、かつデカールニップ圧が「強」のC状態に設定することで、定着しやすいものの、カールしやすい高温高湿環境においても、良好な定着性と低カールを両立することができる。
また、水分量が19.1g/m2未満であれば(S104のN)、制御部150は、定着ニップ圧可変機構105C及びデカールニップ圧可変機構105Dを、定着ニップ圧が「強」、デカールニップ圧が「弱」の状態(B状態)に設定する(S106)。なお、このように定着ニップ圧が「強」、かつデカールニップ圧が「弱」のB状態に設定することで、カールの少ない状態のシートのカールを適切に矯正することができる。この後、制御部150は、シートの搬送及び画像形成動作を開始してプリントジョブを行う(S107)。
なお、定着装置内にシートが残留している状態でジャムが発生した場合、制御部150は、図4の(a)で示す定着ニップ圧が「弱」、デカールニップ圧が「弱」のA状態になるように制御する。例えば、高温高湿環境でプリントジョブを実行している際にジャムが発生した場合、制御部150は、圧制御カム26を140°時計回りに回転させ、図4の(b)で示す定着ニップ圧が「強」、デカールニップ圧が「強」のC状態からA状態に設定する。
このように、本実施の形態においては、制御部150は、温度情報、湿度情報に基づき、定着ニップ圧可変機構105C及びデカールニップ圧可変機構105Dを温度及び湿度に応じて良好な定着性と低カールを両立することができる適切な状態に制御する。例えば、既述したようにシートの温度が高くなっているために定着しやすいものの、シートに含まれる水分量は大きいためにカールしやすい高温高湿環境下においては、定着ニップ圧を弱く、デカールニップ圧を強くする。
このように、本実施の形態においては、定着ニップ圧とデカールニップ圧を、必ずしも連動させることなく変化させることができるので、環境にかかわらず、良好な定着性と低カールを両立することができる。また、デカールニップ圧可変機構105Dは、簡単で小型な構成であるために、定着ニップ下流側近傍にデカールローラ18を配置することができるので、装置の小型化と良好なカール矯正能力を両立することができる。
ところで、本実施の形態では、図9に示すように、定着装置105内に残留したシートを除去するために、ドアであるジャム処理ドア35が定着装置本体を構成する筐体105Eに開閉可能に支持されている。そして、このジャム処理ドア35には、第2ローラであるデカールローラ18が回転自在に支持されている。つまり、本実施の形態では、ジャム処理ドア35を開閉可能に設けると共に、このジャム処理ドア35により、デカールローラ18を回転自在に支持している。
なお、図9の(a)は、ジャム処理ドア35を閉じた状態を示しており、図9の(b)はジャム処理ドア35を、開き角度が90度で開いた状態を示している。そして、ジャム処理ドア35を90度開くと、デカールローラ18が第1ローラであるデカール対向ローラ19から大きく離間するため、デカールローラ18とデカール対向ローラ19との間に、ジャム処理をするために手を入れる十分なスペースを確保できる。
既述した図5は、図9の(a)で示したジャム処理ドア35を閉じた場合の、ジャム処理ドア35と定着ニップ圧可変機構105C及びデカールニップ圧可変機構105Dの状態を示している。なお、図5において、37はジャム処理ドア35と一体に設けられ、シートを定着ニップ17aにガイドする搬送ガイドであり、この搬送ガイド37のシート搬送方向と直交する幅方向の両側面にはカム形状37aが形成されている。また、図5において、40はドア付勢部材の一例としてのネジリコイルバネであり、このネジリコイルバネ40は、ジャム処理ドア35を閉じる方向に付勢する。
図10の(a)は、ジャム処理のため、ジャム処理ドア35を開く前のジャム処理ドア35と定着ニップ圧可変機構105C及びデカールニップ圧可変機構105Dの状態を示している。なお、このとき、既述した図4の(a)で示すように定着ニップ圧が「弱」、デカールニップ圧が「弱」のA状態であるので、ユーザはジャム処理ドア35を小さい操作力で開くことができる。
図10の(b)は、図9の(b)で示したジャム処理ドア35を90度開いたときのジャム処理ドア35と定着ニップ圧可変機構105C及びデカールニップ圧可変機構105Dの状態を示している。このとき、デカールローラ18とデカール対向ローラ19が離間し、かつ、デカールローラ18とデカール対向ローラ19との間にはジャム処理する際に十分なスペースが確保されている。なお、図10の(b)に示すように、デカール対向ローラ19を筐体に移動可能に保持する保持手段であるデカール対向ローラ軸受36の底面にはカムフォロア形状36aが形成されている。
図11の(a)は、図9の(b)及び図10の(b)で示したジャム処理ドア35を90度開いた状態から65度閉じた状態のジャム処理ドア35と定着ニップ圧可変機構105C及びデカールニップ圧可変機構105Dの状態を示している。ここで、ジャム処理ドア35を65度閉じると、ジャム処理ドア35と一体の搬送ガイド37に設けられたカム形状37aが、デカール対向ローラ軸受36に設けられたカムフォロア形状36aに接触する。なお、搬送ガイド37のカム形状37aは、ジャム処理ドア35を閉じる際、搬送ガイド37よりも先にカムフォロア形状36aに当接し、この後、カムフォロア形状36aに接しながら移動するように構成されている。
図11の(b)は、ジャム処理ドア35を90度開いた状態から70度閉じた状態のジャム処理ドア35と定着ニップ圧可変機構105C及びデカールニップ圧可変機構105Dの状態を示している。このとき、搬送ガイド37のカム形状37aがデカール対向ローラ軸受36のカムフォロア形状36aに接触している。これにより、この後、さらにジャム処理ドア35を閉じる方向に移動させると、搬送ガイド37のカム形状37aに押圧されてデカール対向ローラ軸受36がデカール加圧バネ31の付勢力に抗して上方に移動する。
このようにデカール対向ローラ軸受36が上方に移動することにより、搬送ガイド37のシート搬送方向上流側の上面37bがデカール対向ローラ19に接触することなく、ジャム処理ドア35を閉じることができる。つまり、ジャム処理ドア35を閉じる際、デカール対向ローラ軸受36のカムフォロア形状36a及び搬送ガイド37のカム形状37aにより構成される退避手段105Fにより、デカール対向ローラ軸受36が上方に移動する。
そして、ジャム処理ドア35を閉じる際、デカール対向ローラ軸受36が移動することにより、デカール対向ローラ19も、デカール対向ローラ19がジャム処理ドア35と接触しない位置まで上昇する。言い換えれば、ジャム処理ドア35を閉じる際、デカール対向ローラ軸受36が移動することにより、デカール対向ローラ19は、既述した図10の(b)に示すジャム処理ドア35(の搬送ガイド37)の回動軌跡Oから外れた位置まで上昇する。この結果、ジャム処理ドア35を閉じる際、搬送ガイド37及びデカール対向ローラ19の表面に傷が付くのを防ぐことができる。なお、ネジリコイルバネ40を設けることにより、ユーザがジャム処理ドア35から手を放すと、搬送ガイド37、デカール対向ローラ19が接触することなく、ジャム処理ドア35が閉まるようになるので、ジャム処理ドア35を閉め忘れることは無い。
なお、ジャム処理ドア35を開くときも、ジャム処理ドア35を閉じるときと同様、搬送ガイド37のカム形状37aに押圧されてデカール対向ローラ軸受36が上方に移動する。これにより、ジャム処理ドア35を開く際、搬送ガイド37及びデカール対向ローラ19の表面に傷が付くのを防ぐことができる。
以上説明したように、本実施の形態においては、ジャム処理ドア35を開閉する際、退避手段105Fによりデカール対向ローラ軸受36を、デカール対向ローラ19がジャム処理ドア35の回動軌跡(移動軌跡)から外れる位置に退避させるようにしている。これにより、搬送ガイド37及びデカール対向ローラ19を損傷させることなくジャム処理ドア35を開閉することができる。また、ジャム処理ドア35を開閉する際には、定着ニップ圧が「弱」、デカールニップ圧が「弱」のA状態とすることにより、ジャム処理ドア35を小さい操作力で開くことができ、ジャム処理性が向上する。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図12は、本実施の形態に係る画像形成装置に設けられた定着装置の構成を説明する図である。なお、図12において、既述した図4と同一符号は、同一又は相当部分を示している。図12において、27aは定着加圧レバー27の底面に設けられたフック形状であり、このフック形状27aは、デカール対向ローラ軸受36の軸受外周部に係止されている。
図12の(a)は、輸送時、及びジャム処理時の定着装置の状態を示している。このとき、圧制御カム26の外側のカム形状26aにより定着加圧レバー27が、定着加圧バネ30に抗して上方回動し、定着フランジ29から離間する。したがって、定着加圧バネ30による加圧力が定着フィルム15に付与されず、定着ニップ圧は、定着フランジ29と定着フィルム15の自重のみで、ほぼ0になる。即ち、定着ニップ圧が「弱」となる。
一方、定着加圧レバー27が上方回動すると、デカール対向ローラ軸受36と係止しているフック形状27aも上昇するので、デカール対向ローラ軸受36が上方に移動する。これにより、図13に示すようにデカール対向ローラ19はデカールローラ18から離間し、デカールニップ圧が「弱」状態となる。つまり、輸送時及びジャム処理時において、定着ニップ圧が「弱」のときに、離間手段であるフック形状27aにより、デカール対向ローラ19をデカールローラ18から離間させることができる。この結果、定着ニップ圧可変機構105C及びデカールニップ圧可変機構105Dにより、定着ニップ圧は「弱」、デカールニップ圧は「弱」の状態に設定される。
図12の(b)は、図12の(a)から圧制御カム26が140°時計回りに回転した時の定着装置の状態を示している。このとき、圧制御カム26の外側のカム形状26aが定着加圧レバー27から離間し、定着加圧バネ30により定着加圧レバー27が下方回動する。この結果、定着加圧バネ30による加圧力が、定着加圧レバー27及び定着フランジ29を介して定着フィルム15に付与され、定着ニップ圧は「強」の状態になる。
一方、定着加圧レバー27が下方回動すると、フック形状27aも下降し、これに伴いデカール対向ローラ軸受36が下降してデカールローラ18とデカール対向ローラ19が接触する。なお、このとき圧制御カム26の内側のカム形状26bとデカール加圧レバー28は離間しているので、デカールニップ圧は「弱」の状態のままである。つまり、温度、又は湿度が低く、空気中の水分量が少ない状態のとき、定着ニップ圧可変機構105C及びデカールニップ圧可変機構105Dにより、定着ニップ圧は「強」、デカールニップ圧は「弱」の状態に設定される。
図12の(c)は、図12の(b)から圧制御カム26が80°時計回りに回転した状態を示している。このとき、圧制御カム26の外側のカム形状26aが定着加圧レバー27から離間し、定着加圧バネ30による加圧力が、定着加圧レバー27及び定着フランジ29を介して定着フィルム15に付与されるので、定着ニップ圧は「強」状態のままである。一方、圧制御カム26が80°時計回りに回転すると、圧制御カム26の内側のカム形状26bがデカール加圧レバー28と接触し、デカール加圧レバー28を時計回りに回転させる。なお、このときフック形状27aはデカール対向ローラ軸受36から離間したままであるので、デカール加圧レバー28が時計回りに回転すると、デカール加圧バネ31のバネ長さが短くなり、デカールニップ圧が「強」の状態となる。つまり、温度、湿度が高く、空気中の水分量が多い状態のとき、定着ニップ圧可変機構105C及びデカールニップ圧可変機構105Dにより、定着ニップ圧は「強」、デカールニップ圧は「強」の状態に設定される。
図14の(a)は、図12の(a)で示すジャム処理時の状態において、ジャム処理ドア35を閉じたときのジャム処理ドア35と定着ニップ圧可変機構105C及びデカールニップ圧可変機構105Dの状態を示している。図14の(b)は、ジャム処理時において、ジャム処理ドア35を3度開いた場合、図14の(c)は、20度開いた場合のジャム処理ドア35と定着ニップ圧可変機構105C及びデカールニップ圧可変機構105Dの状態を示している。
ここで、ジャム処理ドア35を開くとき、既述したように定着ニップ圧がほぼ0であることに加えて、フック形状27aによりデカール対向ローラ19が上昇するのでデカールローラ18とデカール対向ローラ19が離間する。この結果、ジャム処理ドア35を開閉する際の操作力は、さらに小さくなる。
なお、停電や、ユーザが誤ってプリントジョブ実行中に電源を切った場合、図12の(b)及び(c)で示す、デカールローラ18とデカール対向ローラ19がニップしている状態でジャム処理ドア35を開閉する可能性がある。この場合も、既述した図10及び図11で示したように、搬送ガイド37に設けられたカム形状37aと、デカール対向ローラ軸受36に設けられたカムフォロア形状36aにより、搬送ガイド37、デカール対向ローラ19表面に傷が付くことを防止できる。
ところで、既述した図13に示すように、定着ニップ17aとデカールニップ18aの間には、定着ニップ17aを通過したシートをデカールニップ18aにガイドするガイド部材である分離搬送ガイド38が設けられている。ここで、分離搬送ガイド38の上流側は、シートが定着フィルム15に巻付く方向に搬送された場合に、シートの先端をガイドして巻付きを防止する機能を有する。このため、分離搬送ガイド38の上流端は定着フィルム15に接触しない範囲で、可能な限り近接させることが望ましい。また、分離搬送ガイド38の下流側は、デカールニップ18aにシートの先端を侵入させる機能を有する。このため、分離搬送ガイド38の下流端はデカールニップ18aと、近接した状態で、特に高さ方向の位置を等しくすることが望ましい。
図15は、このような分離搬送ガイド38を説明する上方斜視図であり、分離搬送ガイド38のシート搬送方向上流側端部(定着ニップ側端部)は分離搬送ガイドホルダ39に固定されている。この分離搬送ガイドホルダ39は、上流側に設けられた不図示の嵌合穴に定着フランジ29に設けられたボス29aが嵌合されることにより、定着フランジ29に回動自由に支持されている。つまり、分離搬送ガイドホルダ39のシート搬送方向上流側端部は、分離搬送ガイドホルダ39を介して定着フランジ29に回動可能に支持されている。
また、分離搬送ガイドホルダ39は、シート搬送方向下流側端部(矯正ニップ側端部)に設けられた不図示のU型溝がデカール対向ローラ軸受36に嵌合されている。これにより、デカール対向ローラ軸受36が移動すると、分離搬送ガイド38は、デカール対向ローラ軸受36、言い換えればデカール対向ローラ19と一体的に回動(移動)する。
なお、図16の(a)はデカール対向ローラ19が上方に移動し、デカールニップが離間された場合、すなわち図12の(a)で示した状態を示す図であり、図16(b)は、これ以外の場合の分離搬送ガイド38の状態を示す図である。そして、分離搬送ガイドホルダ39を定着フランジ29に回動自由に支持することにより、デカールニップが離間される場合においても、分離搬送ガイド上流端と定着フィルム15の距離精度を高めることができる。また、分離搬送ガイドホルダ39をデカール対向ローラ19と一体的に移動可能とすることにより、分離搬送ガイド下流端とデカールニップの高さ位置精度を高めることができる。これにより、シートが定着フィルム15に巻き付く、またはシート先端がデカールニップに進入しないことによって生じるジャムを防止できる。
ところで、これまでの説明においては、定着ニップ圧可変機構105C及びデカールニップ圧可変機構105Dの状態を切り換える水分量の閾値を19.1g/m2としていた。しかし、水分量の閾値が一定の場合、空気中の水分量が19.1g/m2付近のときに、プリントジョブ毎にデカールニップ圧が頻繁に切り換わるようになる。そして、このようにデカールニップ圧が頻繁に切り換わると、カール量が変わるようになって排紙積載性が低下する場合がある。そこで、排紙積載性の低下を防ぐため、水分量の閾値を変更させるようにしても良い。
次に、このような水分量の閾値を変更させるようにした本発明の第3の実施の形態に係る画像形成装置について説明する。ここで、本実施の形態においては、定着ニップ圧可変機構105C及びデカールニップ圧可変機構105Dの状態を切り換える閾値を、現在のデカールニップ圧によって変更させるようにしている。
図17は、本実施の形態に係る、定着ニップ圧可変機構105C及びデカールニップ圧可変機構105Dの状態を切り換える閾値を、現在のデカールニップ圧に応じて変更させる制御を説明するフローチャートである。ここで、本実施の形態において、現状のデカールニップ圧が「強」のとき、閾値を18.1g/m2、デカールニップ圧が「解除」、「不定」のときの閾値を19.1g/m2、デカールニップ圧が「弱」のときの閾値を20.1g/m2とする。なお、デカールニップ圧が「不定」とは、プリンタ本体101の電源が「OFF」から「ON」になったときの初期状態である。
外部のPCよりコントローラにプリントジョブが入力されると(S202)、制御部150は、温度センサ12aと湿度センサ12bにより温度情報、湿度情報を取得する(S203)。そして、制御部150は、取得した温度情報及び湿度情報から空気中の水分量を求めると共に、状態検知センサ34からの情報により現状のデカールニップ圧を判断する。
そして、制御部150は、現状のデカールニップ圧が「強」のとき(S204のY)、空気中の水分量が(19.1g/m2より小さい)18.1g/m2以下であるかを判断する(S205)。そして、空気中の水分量が18.1g/m2以下であると判断すると(S205のY)、制御部150は、カールが小さいと判断して定着ニップ圧を「強」、デカールニップ圧を「弱」に設定する(S208)。なお、空気中の水分量が18.1g/m2以下でないと判断すると(S205のN)、制御部150は、カールが大きいと判断してデカールニップ圧を「強」に維持する(S209)。つまり、空気中の水分量が18.1g/m2以下でないと、デカールニップ圧が「弱」の状態に切り換わらない。
現状のデカールニップ圧が「強」でない場合(S204のN)、制御部150は、デカールニップ圧が「解除」、「不定」かを判断する(S2041)。そして、デカールニップ圧が「解除」、「不定」と判断すると(S2041のY)、制御部150は、空気中の水分量が19.1g/m2以上かを判断する(S206)。ここで、水分量が19.1g/m2以上と判断した場合は(S206のY)、制御部150は、定着ニップ圧を「強」とすると共に、カールが大きいと判断してデカールニップ圧を「強」に設定する(S210)。また、水分量が19.1g/m2以下と判断すると(S206のN)、制御部150は、定着ニップ圧を「強」とすると共に、カールが小さいと判断してデカールニップ圧を「弱」に設定する(S211)。つまり、デカールニップ圧が「解除」、「不定」の場合、空気中の水分量が19.1g/m2以上でないと、デカールニップ圧が「強」の状態に切り換わらない。
デカールニップ圧が「解除」、「不定」でない判断すると(S2041のN)、すなわちデカールニップ圧が「弱」と判断すると、制御部150は、空気中の水分量が(19.1g/m2より大きい)20.1g/m2以上かを判断する(S207)。そして、空気中の水分量が20.1g/m2以上と判断すると(S207のY)、制御部150は、定着ニップ圧を「強」とすると共に、カールが大きいと判断してデカールニップ圧を「強」に設定する(S212)。また、水分量が20.1g/m2以上でない判断すると(S207のN)、制御部150は、定着ニップ圧を「強」とすると共に、カールが小さいと判断してデカールニップ圧を「弱」に維持する(S213)。
つまり、カールニップ圧が「弱」の場合、空気中の水分量が20.1g/m2以上でないと、デカールニップ圧が「強」の状態に切り換わらない。そして、このようにデカールニップ圧に基づいて空気中の水分量を選択してデカールニップ圧及びカールニップ圧を設定した後、制御部150は、シートの搬送及び画像形成動作を開始してプリントジョブを行う(S214)。
以上、説明したように本実施の形態においては、デカールニップ圧に基づいて空気中の水分量(閾値)を選択してデカールニップ圧及びカールニップ圧を設定するようにしている。これにより、空気中の水分量が19.1g/m2付近のときに、プリントジョブ毎にデカールニップ圧が頻繁に切り換わり、カール量が変わることによって生じる排紙積載性の低下を防ぐことができる。
なお、本実施の形態は、デカールニップ圧に基づいて閾値を変更させる場合について説明したが、デカールニップ圧だけでなく、定着ニップ圧の情報も併せて用いて、閾値を変更させるようにしても良い。つまり、定着ニップ圧、デカールニップ圧の切り換えを実行する閾値を、現在の定着ニップ圧及びデカールニップ圧に基づいて変更させるようにしても良い。
図18は、このように定着ニップ圧、デカールニップ圧の切り換えを実行する閾値を、現在の定着ニップ圧及びデカールニップ圧によって変更させる本実施の形態に係る他の制御を説明するフローチャートである。この本実施の形態に係る他の制御において、現状の定着ニップ圧及びデカールニップ圧が「強」のとき、閾値は18.1g/m2とする。また、デカールニップ圧が「解除」、「不定」のときの閾値は19.1g/m2、デカールニップ圧が「弱」のときの閾値は20.1g/m2とする。なお、定着ニップ圧及びデカールニップ圧が「不定」とは、プリンタ本体101の電源が「OFF」から「ON」になったときの初期状態である。
外部のPCよりコントローラにプリントジョブが入力されると(S302)、制御部150は、温度センサ12aと湿度センサ12bにより温度情報、湿度情報を取得する(S303)。そして、制御部150は、取得した温度情報及び湿度情報と、不図示のテーブルから空気中の水分量を求めると共に、状態検知センサ34からの情報により現状の定着ニップ圧及びデカールニップ圧を判断する。
そして、現状の定着ニップ圧が「強」で、デカールニップ圧が「強」のとき(S304のY)、制御部150は、空気中の水分量が(19.1g/m2より小さい)18.1g/m2以下であるかを判断する(S305)。そして、空気中の水分量が18.1g/m2以下であると判断すると(S305のY)、制御部150は、定着ニップ圧を「強」、デカールニップ圧を「弱」に設定する(S308)。なお、空気中の水分量が18.1g/m2以下でないと判断すると(S305のN)、制御部150は、定着ニップ圧を「強」、デカールニップ圧を「強」に設定する(S309)。つまり、空気中の水分量が18.1g/m2以下でないと、定着ニップ圧が「強」で、デカールニップ圧が「弱」の状態に切り換わらない。
現状の定着ニップ圧が「強」で、デカールニップ圧が「強」でない場合(S304のN)、制御部150は、定着ニップ圧及びデカールニップ圧が「解除」、「不定」かを判断する(S3041)。そして、定着ニップ圧及びデカールニップ圧が「解除」、「不定」と判断すると(S3041のY)、制御部150は、空気中の水分量が19.1g/m2以上かを判断する(S306)。そして、空気中の水分量が19.1g/m2以上と判断した場合(S306のY)、制御部150は、定着ニップ圧を「強」、デカールニップ圧を「強」に設定する(S310)。また、水分量が19.1g/m2以下と判断すると(S306のN)、制御部150は、定着ニップ圧を「強」、デカールニップ圧を「弱」に設定する(S311)。
定着ニップ圧及びデカールニップ圧が「解除」、「不定」でない判断すると(S3041のN)、制御部150は、空気中の水分量が(19.1g/m2より大きい)20.1g/m2以上かを判断する(S307)。そして、空気中の水分量が20.1g/m2以上と判断すると(S307のY)、制御部150は、定着ニップ圧を「強」、デカールニップ圧を「強」に設定する(S312)。空気中の水分量が20.1g/m2以上でない判断すると(S307のN)、制御部150は、定着ニップ圧を「強」、デカールニップ圧「弱」に設定する(S313)。このように定着ニップ圧及びデカールニップ圧に基づいて空気中の水分量を選択してデカールニップ圧及びカールニップ圧を設定した後、この後、制御部150は、シートの搬送及び画像形成動作を開始してプリントジョブを行う(S314)。
以上のような制御を行うことにより、空気中の水分量が19.1g/m2付近のときに、プリントジョブ毎にデカールニップ圧が頻繁に切り換わり、カール量が変わることによって生じる排紙積載性の悪化を防止できる。
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。図19は、本実施の形態に係る画像形成装置の一例であるレーザビームプリンタの全体構成を示す図である。なお、図19において、既述した図1と同一符号は、同一又は相当部分を示している。図19において、21は給紙カセット6の上方に配置され、シートSの坪量、表面性を検知する光学式センサであるメディアセンサである。そして、本実施の形態において、制御部150は、この検知手段であるメディアセンサ21からのシートSの坪量、表面性に関する情報に基づいて定着ヒータ16の通電を制御する。そして、このようにシートSの坪量、表面性に応じた適切な定着温調を設定した後に、併せて空気中の水分量の応じた定着ニップ圧、デカールニップ圧を設定する。
ここで、厚紙の場合は、定着しにくいため、定着温調が高く設定されるが、厚紙は剛性が高く、定着ニップによるカール量が小さいので、デカールニップ圧は弱に設定する必要がある。また、表面性の良好な薄紙の場合は、定着しやすいため、定着温調を低に設定されるが、薄紙は剛性が低く、定着ニップによるカール量が大きいためデカールニップ圧は「強」に設定する必要がある。表面性の悪い薄紙の場合は、定着しにくいため、定着温調は高に設定される。さらに、表面性の悪い薄紙の場合は、剛性が低く、定着ニップによるカール量が大きいのに加えて、定着温調を高くしているため、さらにカール量が大きくなる。
そこで、本実施の形態に係るシートSの坪量、表面性に応じたカールニップ圧の設定制御について図20に示すフローチャートを用いて説明する。外部のPCよりコントローラにプリントジョブが入力されると(S402)、制御部150は、温度センサ12aと湿度センサ12bにより温度情報、湿度情報を取得する(S403)。そして、制御部150は、取得した温度情報及び湿度情報と、不図示のテーブルから空気中の水分量を求めると共に現状のデカールニップ圧を判断する。
次に、制御部150は、メディアセンサ21からシートの坪量、表面性に関する情報を取得し(S404)、シートの坪量が≦90g/m2かを判断する(S405)。そして、シートが坪量≦90g/m2でないシートの場合、すなわちシートが厚紙の場合は、定着しにくいため、制御部150は、定着温調を「高」に設定する(S407)。また、厚紙は剛性が高く、定着ニップによるカール量が小さいので、制御部150は、定着ニップ圧を「強」、デカールニップ圧を「弱」に設定する(S410)。
また、シートの坪量が≦90g/m2であり、かつ、シートの表面性が所定の閾値以下かを判断する(S406)。そして、坪量が≦90g/m2であり、かつ表面性が閾値以下のシートの場合(S406のY)、すなわちシートが表面性の良好な薄紙の場合は、定着しやすいため、制御部150は定着温調を「低」に設定する(S408)。なお、薄紙は剛性が低く、定着ニップによるカール量が大きい。このため、制御部150は、次に空気中の水分量が19.1g/m2以上かを判断する(S411)。
そして、空気中の水分量が19.1g/m2以上の場合は(S411のY)、すなわち高温高湿の場合、制御部150は、定着ニップ圧を「強」、デカールニップ圧を「強」に設定する(S413)。また、空気中の水分量が19.1g/m2以上でない場合は(S411のN)、すなわち、常温常湿、または低温低湿環境では、制御部150は、定着ニップ圧を「強」、デカールニップ圧を「弱」に設定する(S414)。
また、シートの坪量≦90g/m2であり、かつシートの表面性が閾値以下でない場合(S406のN)、すなわち、シートが表面性の悪い薄紙の場合は、制御部150は、定着しにくいため定着温調を「高」に設定する(S409)。ここで、薄紙は剛性が低く、定着ニップによるカール量が大きいのに加えて、定着温調を高くしているため、さらにカール量が大きくなっている。
したがって、本実施の形態において、温度27℃、湿度70%に相当する「空気中の水分量が19.1g/m2」でなく、温度23℃、湿度40%に相当する「空気中の水分量が8.3g/m2」をデカールニップ圧の「強」、「弱」を切り換える閾値としている。このため、制御部150は、空気中の水分量が8.3g/m2以上であるかを判断し(S412)、空気中の水分量が8.3g/m2以上である場合(S412のY)、定着ニップ圧を「強」、デカールニップ圧を「強」に設定する(S415)。
また、空気中の水分量が8.3g/m2以上でない場合(S412のN)、すなわち低温低湿環境では、制御部150は、定着ニップ圧を「強」、デカールニップ圧を「弱」に設定する(S416)。そして、このようにシートSの坪量、表面性に応じてデカールニップ圧及びカールニップ圧を設定した後、この後、制御部150は、シートの搬送及び画像形成動作を開始してプリントジョブを行う(S417)。
以上説明したように、本実施の形態においては、シートの坪量、表面性に応じてデカールニップ圧及びカールニップ圧を設定するようにしている。これにより、シートの坪量、表面性に応じて、良好な定着性と低カールを両立する定着温調及びデカールニップ圧を自動的に設定することができる。