JP2016211586A - 高負荷伝動用vベルト及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高負荷伝動用Vベルトにおけることにより張力帯の熱膨張を小さく抑える。
【解決手段】高負荷伝動用VベルトBは、ベルト長さ方向に延びるように設けられたエンドレスの張力帯10と、張力帯10に沿って配設され、各々、嵌合部21を有すると共に、嵌合部21に張力帯10が圧入されていることにより張力帯10に係止された複数のブロック20とを備えている。張力帯10は、ゴム組成物で形成された保形ゴム層13を有し、且つ保形ゴム層13を形成するゴム組成物はセルロース系微細繊維を含む。
【選択図】図1
【解決手段】高負荷伝動用VベルトBは、ベルト長さ方向に延びるように設けられたエンドレスの張力帯10と、張力帯10に沿って配設され、各々、嵌合部21を有すると共に、嵌合部21に張力帯10が圧入されていることにより張力帯10に係止された複数のブロック20とを備えている。張力帯10は、ゴム組成物で形成された保形ゴム層13を有し、且つ保形ゴム層13を形成するゴム組成物はセルロース系微細繊維を含む。
【選択図】図1
Description
本発明は、高負荷伝動用Vベルト及びその製造方法に関する。
ベルト長さ方向に延びるように設けられたエンドレスの張力帯に沿って複数のブロックが配設され、それらの複数のブロックのそれぞれが張力帯に係止された高負荷伝動用Vベルトが知られている。そして、かかる高負荷伝動用Vベルトでは、各ブロックは、ブロックに形成された嵌合部に張力帯が圧入され、それらが嵌合することにより張力帯に係止されている。
特許文献1には、ブロックの嵌合部に凹陥部を設け、熱膨張した張力帯の膨張分をその凹陥部に逃がすことによりブロックに過大な力が作用するのを回避することが開示されている。
特許文献2には、各ブロックの嵌合部に圧入された張力帯の熱膨張によるベルト厚さ方向の増加量が、ブロックの嵌合部のベルト厚さ方向のベルト走行に伴う変化量以下となるように設定することが開示されている。
張力帯に複数のブロックが係止された高負荷伝動用Vベルトでは、張力帯は、ブロックの嵌合部による拘束を受けるため、熱膨張するとブロックから作用する力が高まって圧縮の永久変形を生じる。そして、張力帯にそのような圧縮の永久変形が生じると、張力帯とブロックとの嵌合が緩んでブロックの自由度が高まり、高速でのベルト走行時において、走行開始から早期にブロックが破損する、また、大きな騒音を発する、といった問題が生じる。
本発明の課題は、高負荷伝動用Vベルトにおける張力帯の熱膨張を小さく抑えることである。
本発明は、ベルト長さ方向に延びるように設けられたエンドレスの張力帯と、前記張力帯に沿って配設され、各々、嵌合部を有すると共に、前記嵌合部に前記張力帯が圧入されていることにより前記張力帯に係止された複数のブロックとを備えた高負荷伝動用Vベルトであって、前記張力帯は、ゴム組成物で形成された保形ゴム層を有し、且つ前記保形ゴム層を形成するゴム組成物は、セルロース系微細繊維を含む。
本発明の高負荷伝動用Vベルトの製造方法は、前記保形ゴム層を形成するための未架橋ゴム組成物を調製する際に、ゴム成分として不飽和カルボン酸金属塩で強化された水素添加アクリロニトリルゴムを用い、且つ前記ゴム成分にセルロース系微細繊維を分散させる際に、セルロース系微細繊維を水に分散させた分散体に不飽和カルボン酸金属塩を混合したものを用いる。
本発明によれば、張力帯の保形ゴム層を形成するゴム組成物がセルロース系微細繊維を含むことにより、張力帯の熱膨張を小さく抑えることができる。
以下、実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
(高負荷伝動用VベルトB)
図1〜3は、実施形態に係る高負荷伝動用VベルトBを示す。実施形態に係る高負荷伝動用VベルトBは、例えば自動車、農業機械、汎用機械等のベルト式無段変速装置における動力伝達部材として用いられる。
図1〜3は、実施形態に係る高負荷伝動用VベルトBを示す。実施形態に係る高負荷伝動用VベルトBは、例えば自動車、農業機械、汎用機械等のベルト式無段変速装置における動力伝達部材として用いられる。
実施形態に係る高負荷伝動用VベルトBは、一対のエンドレスの張力帯10と複数のブロック20とを備えている。一対の張力帯10は、ベルト幅方向の両側に、ベルト長さ方向に並行に延びるように設けられている。複数のブロック20は、ベルト長さ方向に沿って、従って、一対の張力帯10に沿って一定ピッチで配設されていると共に、各々が一対の張力帯10のそれぞれに係止されている。実施形態に係る高負荷伝動用VベルトBは、例えば、ベルト長さが480〜750mm、ベルトピッチ幅W(心線埋設位置中心におけるベルト幅)が20〜30mm、及びベルト最大厚さが9.0〜17.0mm、並びにブロック20の数が96〜375個、ブロック20の配設ピッチが2〜5mm、ブロック20間の間隔が0.01〜0.5mmである。
図4(a)及び(b)は張力帯10を示す。
各張力帯10は、エンドレスの平帯状に形成されている。各張力帯10の一方の側面は、上側及び下側のそれぞれが傾斜面に面取り加工されており、且つ他方の側面は傾斜面に形成されている。各張力帯10の上側面には、ベルト幅方向に延びるように形成された断面略コの字溝の上側嵌合凹部11がベルト長さ方向に一定ピッチで配設されていると共に、下側面には、上側嵌合凹部11に対応するように、ベルト幅方向に延びるように形成された断面円弧溝の下側嵌合凹部12がベルト長さ方向に一定ピッチで配設されている。各張力帯10は、例えば、長さが480〜750mm、最大幅が6〜13mm、及び最大厚さが1.0〜5.0mmである。特に上側嵌合凹部11と下側嵌合凹部12との底部間の最も薄い部分の厚さt1は例えば0.606〜3.0mmである。
各張力帯10の本体は保形ゴム層13で構成されている。保形ゴム層13のベルト厚さ方向の中央部には、ベルト幅方向にピッチを有する螺旋を形成するように心線14が埋設されている。保形ゴム層13には、外周側表面を被覆するように上側補強布15が貼設されている。保形ゴム層13には、内周側表面を被覆するように下側補強布16が貼設されている。なお、張力帯10は、上側補強布15及び下側補強布16が設けられずに、保形ゴム層13及び心線14のみで構成されていてもよい。
保形ゴム層13は、ゴム成分にセルロース系微細繊維に加えて各種のゴム配合剤が配合されて混練された未架橋ゴム組成物が加熱及び加圧されて架橋剤により架橋したゴム組成物で形成されている。
保形ゴム層13を形成するゴム組成物のゴム成分としては、例えば、水素添加アクリロニトリルゴム(H−NBR)、不飽和カルボン酸金属塩で強化された水素添加アクリロニトリルゴム(H−NBR)、エチレン・プロピレンコポリマー(EPR)、エチレン・プロピレン・ジエンターポリマー(EPDM)、エチレン・オクテンコポリマー、エチレン・ブテンコポリマーなどのエチレン−α−オレフィンエラストマー、クロロプレンゴム(CR)、及びクロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)等が挙げられる。保形ゴム層13を形成するゴム組成物のゴム成分は、これらのうちの1種又は2種以上のブレンドゴムであることが好ましい。
ゴム成分は、特に、不飽和カルボン酸金属塩で強化されたH−NBRを含むことが好ましい。ゴム成分におけるその含有量は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上であり、更に好ましくは90質量%以上、最も好ましくは100質量%である。不飽和カルボン酸金属塩における不飽和カルボン酸としては、例えば、メタクリル酸、アクリル酸等が挙げられ、また、金属としては、例えば、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム等が挙げられる。ゴム成分には、不飽和カルボン酸金属塩として、これらの組み合わせのうち1種又は2種以上が含まれることが好ましく、耐水性の観点から、メタクリル酸亜鉛及び/又はアクリル酸亜鉛が含まれることがより好ましく、メタクリル酸亜鉛及びアクリル酸亜鉛の両方が含まれることが更に好ましい。
ゴム成分にメタクリル酸亜鉛及びアクリル酸亜鉛の両方で強化されたH−NBRが含まれる場合、ゴム成分におけるH−NBRを除いたメタクリル酸亜鉛及びアクリル酸亜鉛の含有量は、好ましくは15質量%以上、より好ましくは30質量%以上であり、また、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。ゴム成分におけるメタクリル酸亜鉛の含有量は、好ましくは14質量%以上、より好ましくは25質量%以上であり、また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下である。ゴム成分におけるアクリル酸の含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下である。ゴム成分におけるメタクリル酸亜鉛の含有量は、アクリル酸の含有量よりも多いことが好ましい。ゴム成分におけるメタクリル酸亜鉛の含有量のアクリル酸の含有量に対する質量比(メタクリル酸亜鉛の含有量/アクリル酸の含有量)は、好ましくは0.7以上、より好ましくは1.7以上であり、また、好ましくは50以下、より好ましくは9以下である。
セルロース系微細繊維は、植物繊維を細かくほぐすことで得られる植物細胞壁の骨格成分で構成されたセルロース微細繊維を由来とする繊維材料である。ここで、本願における「微細繊維」とは、繊維径が1.0μm以下の繊維を意味する。保形ゴム層13を形成するゴム組成物がセルロース系微細繊維を含むことにより、その熱膨張を抑制することができる。
セルロース系微細繊維の原料植物としては、例えば、木、竹、稲(稲わら)、じゃがいも、サトウキビ(バガス)、水草、海藻等が挙げられる。これらのうち木が好ましい。
セルロース系微細繊維は、セルロース微細繊維自体であっても、また、疎水化処理された疎水化セルロース微細繊維であっても、どちらでもよい。また、セルロース系微細繊維として、セルロース微細繊維自体と疎水化セルロース微細繊維とを併用してもよい。分散性の観点からは、セルロース系微細繊維は、疎水化セルロース微細繊維を含むことが好ましい。疎水化セルロース微細繊維としては、セルロースの水酸基の一部又は全部が疎水性基に置換されたセルロース微細繊維、及び表面処理剤によって疎水化表面処理されたセルロース微細繊維が挙げられる。
セルロースの水酸基の一部又は全部が疎水性基に置換されたセルロース微細繊維を得るための疎水化としては、例えば、エステル化(アシル化)(アルキルエステル化、複合エステル化、β−ケトエステル化など)、アルキル化、トシル化、エポキシ化、アリール化等が挙げられる。これらのうちエステル化が好ましい。具体的には、エステル化された疎水化セルロース微細繊維は、セルロースの水酸基の一部又は全部が、酢酸、無水酢酸、プロピオン酸、酪酸等のカルボン酸、若しくは、そのハロゲン化物(特に塩化物)によりアシル化されたセルロース微細繊維である。表面処理剤によって疎水化表面処理されたセルロース微細繊維を得るための表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤等が挙げられる。
セルロース系微細繊維は、保形ゴム層13を形成するゴム組成物の熱膨張を抑制する観点から、その繊維径の分布の下限は、好ましくは10nm以上、より好ましくは20nm以上である。上限は、好ましくは1μm以下、より好ましくは700nm以下、更に好ましくは500nm以下である。セルロース系微細繊維の繊維径の分布範囲は、20nm〜1μmを含むことが好ましく、20〜700mmを含むことがより好ましく、20〜500nmを含むことが更に好ましい。
保形ゴム層13を形成するゴム組成物に含まれるセルロース系微細繊維の平均繊維径は、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下である。また、保形ゴム層13を形成するゴム組成物に含まれるセルロース系微細繊維の平均繊維径は、好ましくは3nm以上である。
セルロース系微細繊維の繊維径の分布は、保形ゴム層13を形成するゴム組成物の試料を凍結粉砕した後、その断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察すると共に、50本のセルロース系微細繊維を任意に選択して繊維径を測定し、その測定結果に基づいて求められる。また、セルロース系微細繊維の平均繊維径は、その任意に選択した50本のセルロース系微細繊維の繊維径の数平均として求められる。
セルロース系微細繊維は、機械的解繊手段によって製造された高アスペクト比のものであっても、また、化学的解繊手段によって製造されたものであっても、どちらでもよい。これらのうち、化学的解繊手段によって製造されたものが好ましい。また、セルロース系微細繊維として、機械的解繊手段によって製造されたものと化学的解繊手段によって製造されたものとを併用してもよい。機械的解繊手段に用いる解繊装置としては、例えば、二軸混練機などの混練機、高圧ホモジナイザー、グラインダー、ビーズミル等が挙げられる。化学的解繊手段に用いる処理としては、例えば、酸加水分解処理等が挙げられる。
保形ゴム層13を形成するゴム組成物におけるセルロース系微細繊維の含有量は、保形ゴム層13を形成するゴム組成物の熱膨張を抑制する観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上であり、また、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。
ゴム配合剤としては、可塑剤、補強材、老化防止剤、共架橋剤、及び架橋剤等が挙げられる。
可塑剤としては、例えば、アジピン酸エーテルエステル系、ポリエーテルエステル系、アジピン酸系ポリエステル、及びトリメリット酸イソノニルエステルのもの等が挙げられる。可塑剤は、これらのうちの1種又は2種以上であることが好ましい。可塑剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して例えば5〜15質量部である。
補強材としては、カーボンブラックでは、例えば、チャネルブラック;SAF、ISAF、N−339、HAF、N−351、MAF、FEF、SRF、GPF、ECF、N−234などのファーネスブラック;FT、MTなどのサーマルブラック;アセチレンブラック等が挙げられる。補強材としてはシリカも挙げられる。補強材は、これらのうちの1種又は2種以上であることが好ましい。補強材の含有量は、ゴム成分100質量部に対して例えば5〜100質量部である。
老化防止剤としては、例えば、アミン−ケトン系、ベンズイミダゾール系、芳香族第二級アミン系、キノリン系、ヒドロキノン誘導体、フェノール系、及び亜リン酸エステル系のもの等が挙げられる。老化防止剤は、これらのうちの1種又は2種以上であることが好ましい。老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して例えば0.1〜10質量部である。
共架橋剤としては、例えば、マレイミド系、TAIC、1,2−ポリブタジエン、オキシム類、グアニジン、及びトリメチロールプロパントリメタクリレートのもの等が挙げられる。共架橋剤は、これらのうちの1種又は2種以上であることが好ましい。共架橋剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して例えば0.5〜15質量部である。
架橋剤としては、例えば、硫黄、有機過酸化物が挙げられる。架橋剤として、硫黄のみを用いてもよく、また、有機過酸化物のみを用いてもよく、更には、それらの両方を併用してもよい。架橋剤は、硫黄の場合、ゴム成分100質量部に対する配合量が例えば0.1〜5質量部であり、有機過酸化物の場合、ゴム成分100質量部に対する配合量が例えば0.1〜10質量部である。耐熱性の観点からは、架橋剤は有機過酸化物であることが好ましい。有機過酸化物としては、例えば、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド(DCP)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン−3、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、及び1,1−ジブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等が挙げられる。
保形ゴム層13を形成するゴム組成物には、例えば、アラミド短繊維やナイロン短繊維等の繊維径が8〜30μmの短繊維が含まれていてもよい。短繊維は、これらのうちの1種又は2種以上であることが好ましい。短繊維の含有量は、ゴム成分100質量部に対して例えば1〜30質量部である。
保形ゴム層13を形成するゴム組成物におけるゴム硬さは、好ましくは85以上、より好ましくは90以上、また、好ましくは99以下、より好ましくは98以下である。このゴム硬さは、JIS K6253に基づいてタイプAデュロメータにより測定される。
保形ゴム層13を形成するゴム組成物におけるベルト長さ方向(反列理方向)の100℃での貯蔵弾性係数E’は、好ましくは70MPa以上、より好ましくは100MPa以上であり、また、好ましくは300MPa以下、より好ましくは200MPa以下である。この100℃での貯蔵弾性係数E’は、JISK6394に基づいて、試験温度100℃、静歪み3.0%、動歪み1.0%、及び振動数10Hzとして測定される。
保形ゴム層13を形成するゴム組成物におけるベルト厚さ方向の熱膨張係数は、好ましくは100ppm/℃以下、より好ましくは50ppm/℃以下である。この熱膨張係数は、保形ゴム層13を形成するゴム組成物のシート試料について、熱機械分析装置を用いて25〜150℃の温度範囲において5℃間隔で測定した熱膨張係数の測定値の平均として求められる。
心線14は、アラミド繊維、PBO繊維、カーボン繊維等の高強度繊維の撚り糸或いは組紐に接着処理が施されたもので構成されている。心線14は、例えば、800〜1200dtexのフィラメント束で構成され、外径が0.5〜1.4mmである。
上側及び下側補強布15,16のそれぞれは、アラミド繊維やナイロン繊維等の織布、編物、或いは不織布に接着処理が施されたもので構成されている。上側及び下側補強布15,16のそれぞれは、厚さが例えば0.2〜0.4mmである。
図5(a)及び(b)はブロック20を示す。
各ブロック20は、平面視で上底が下底よりも長い台形状の板状体であって、ベルト幅方向の両側部のそれぞれに側方に開口したスリット状の嵌合部21を有する「H」の文字を横にしたような形状に形成されている。各ブロック20は、側面視で嵌合部21より上側部分が均一厚さに形成されている一方、嵌合部21より下側部分が下方に向かうに従って厚さが薄くなるように形成されている。各ブロック20の各側面は、嵌合部21よりも上側が上側プーリ接触面22及び下側が下側プーリ接触面23にそれぞれ構成されている。各ブロック20の両側面のなす角度、つまり、ベルト角度は例えば20〜28°である。
各ブロック20の各嵌合部21は、中央側の奥部から側部の開口に向かって均一な間隔で水平に延びるように形成されている。各嵌合部21は、上側面にベルト幅方向に延びる断面略矩形状の突条からなる上側嵌合凸部24が形成されていると共に、下側面にベルト幅方向に延びる断面円弧状の突条からなる下側嵌合凸部25が形成されている。各嵌合部21は、奥部が上側面から連続して奥側に傾斜した面とその面に連続して外側に傾斜して下側面に続く面とによって構成されている。各嵌合部21は、例えば、ベルト厚さ方向の隙間の隙間t2が3.03〜3.10mm、及びベルト幅方向の奥行き、つまり、張力帯10の圧入幅wが6〜13mmである。
各ブロック20は、正面中央の両嵌合部21の間に円錐台形状の係合凸部26が突設されていると共に、対応する背面中央の両嵌合部21の間に係合凹部27が設けられている。
各ブロック20は、骨格をなす補強材28が中央に配され、その表面を被覆するように被覆層29が設けられた構成を有する。なお、補強材28の全体が被覆層29で被覆されている必要はなく、少なくともプーリ接触面を構成する両側面(上側及び下側プーリ接触面22,23)及び張力帯10との接触部分(上側及び下側嵌合凸部24,25)を形成するように被覆されていればよく、その他の部分では補強材28が露出していてもよい。
補強材28は、ブロック20と同様に「H」の文字を横にしたような形状に形成され、ベルト幅方向に延びる上側及び下側ビーム28a,28bの中央部間がセンターピラー28cで上下に連結されている。補強材28は、例えばアルミニウム等の金属材料で形成されている。
被覆層29は、例えば、マトリクス樹脂に短繊維及び樹脂配合剤が配合されて混練された短繊維補強樹脂組成物で形成されている。マトリクス樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。マトリクス樹脂は、これらのうち1種又は2種以上であることが好ましい。短繊維としては、ポリアクリロニトリル系カーボン短繊維やピッチ系カーボン短繊維などのカーボン短繊維、パラアラミド短繊維等が挙げられる。樹脂配合剤としては、例えば、グラファイト粉末等が挙げられる。
実施形態に係る高負荷伝動用VベルトBでは、各張力帯10が複数のブロック20の嵌合部21にそれらを連結するように嵌め入れられている。具体的には、張力帯10が、面取り加工された一方の側面の方から、各ブロック20の各嵌合部21に圧入され、張力帯10の上側面の上側嵌合凹部11とブロック20の嵌合部21の上側面の上側嵌合凸部24とが嵌合すると共に、張力帯10の下側面の下側嵌合凹部12とブロック20の嵌合部21の下側面の下側嵌合凸部25とが嵌合し、且つ張力帯10の一方の側面と嵌合部21の奥部とが当接するように、張力帯10がブロック20の嵌合部21に嵌め入れられている。そして、これによってベルト長さ方向に並行に延びるように設けられた一対の張力帯10に、複数のブロック20が一定ピッチで相互に間隔をおいて配設され、そして、一対の張力帯10に各ブロック20が係止された構造が構成されていると共に、複数のブロック20の各側面の上側プーリ接触面22及び下側プーリ接触面23並びに外側に露出した張力帯10の他方の側面がプーリ接触面に構成されている。また、相互に隣接するブロック20間においては、一方のブロック20の係合凸部26が他方のブロック20の係合凹部27に係合している。
実施形態に係る高負荷伝動用VベルトBでは、張力帯10の上側及び下側嵌合凹部11,12間の厚さt1よりもブロック20の嵌合部21の隙間t2が若干小さい。従って、張力帯10は圧縮状態でブロック20の嵌合部21に嵌め入れられている。ここで、その締め代t1−t2は例えば0.03〜0.10mmであり、ブロック20の嵌合部21の隙間の隙間t2に対する締め代t1−t2の割合である締め代率をα={(t1−t2)/t2}×100で表すとするとα=1.0〜3.3%であることが好ましい。
実施形態に係る高負荷伝動用VベルトBでは、張力帯10はブロック20からはみ出して突出した状態に設けられており、これによって高負荷伝動用VベルトBがプーリに進入する際の衝撃を張力帯10により緩和することができる。ここで、その突出量の出代Δdは例えば0.02〜0.25mmであり、一方、心線埋設位置中心における張力帯10の圧入幅wが例えば6〜13mmであり、心線埋設位置中心におけるブロック20の張力帯噛合位置での張力帯10の圧入幅wに対する出代Δdの割合である出代率をβ=(Δd/w)×100で表すとするとβ=0.3〜1.5%であることが好ましい。なお、この出代Δdは、高負荷伝動用VベルトBの側面をコントレーサ(輪郭形状測定器)で走査すれば容易に測定することができる。
以上の構成の実施形態に係る高負荷伝動用VベルトBでは、張力帯10の保形ゴム層13を形成するゴム組成物がセルロース系微細繊維を含むことにより、張力帯10の熱膨張を小さく抑えることができる。そのため、張力帯10に圧縮の永久変形が生じることによるブロック20の張力帯10への係止力の低下が抑制されることとなり、高速でのベルト走行時において、走行開始から早期にブロック20が破損する、また、大きな騒音を発する、といった問題を回避することができる。加えて、ベルト走行時における発熱を小さく抑えることもできる。そして、その結果、優れた耐久性を得ることができる。
このような作用効果が得られるのは、保形ゴム層13を形成するゴム組成物に含まれるセルロース系微細繊維がネットワークを形成してゴム組成物のベルト厚さ方向の熱膨張を抑え、そのために締め代の変化が小さく抑えられるためであると推測される。
図6(a)及び(b)は、実施形態に係る高負荷伝動用VベルトBを用いたベルト式無段変速装置30を示す。
このベルト式無段変速装置30は、駆動軸31とそれに平行に配置された従動軸33とを備え、駆動軸31上に駆動プーリ32が、また、従動軸33上に駆動プーリ32と略同径の従動プーリ34が、それぞれ設けられている。駆動プーリ32は、駆動軸31上に回転一体に且つ摺動不能に固定された固定シーブとそれに対向するように回転一体に且つ摺動可能に支持された可動シーブとを備えている。同様に、従動プーリ34は、従動軸33上に回転一体に且つ摺動不能に固定された固定シーブとそれに対向するように回転一体に且つ摺動可能に支持された可動シーブとを備えている。駆動プーリ32及び従動プーリ34のそれぞれは、固定シーブと可動シーブとの間にV溝が構成され、これらの駆動プーリ32及び従動プーリ34のV溝間に高負荷伝動用VベルトBが巻き掛けられている。駆動プーリ32及び従動プーリ34のそれぞれは、プーリピッチ径が例えば40〜150mmの範囲で可変に構成されている。
そして、このベルト式無段変速装置30では、ベルト伝動に要する動力が駆動軸31側で供給されて従動軸33側で消費され、また、駆動プーリ32のベルト巻き掛け径及び従動プーリ34の巻き掛け径が変化することにより高負荷伝動用VベルトBの走行速度が変化するように構成されている。具体的には、駆動プーリ32の可動シーブを固定シーブに接近させ、且つ従動プーリ34の可動シーブを固定シーブから遠ざけると、図6(a)に示すように、駆動プーリ32のベルト巻き掛け径の方が従動プーリ34のベルト巻き掛け径よりも大きくなり、その結果、高負荷伝動用VベルトBは高速で走行することとなる。逆に、駆動プーリ32の可動シーブを固定シーブから遠ざけ、且つ従動プーリ34の可動シーブを固定シーブに接近させると、図6(b)に示すように、駆動プーリ32のベルト巻き掛け径の方が従動プーリ34のベルト巻き掛け径よりも小さくなり、その結果、高負荷伝動用VベルトBは低速で走行することとなる。
(高負荷伝動用VベルトBの製造方法)
実施形態に係る高負荷伝動用VベルトBの製造方法について説明する。
実施形態に係る高負荷伝動用VベルトBの製造方法について説明する。
<未架橋ゴム組成物準備工程>
保形ゴム層13を形成するためのシート状の未架橋ゴム組成物を調製する。
保形ゴム層13を形成するためのシート状の未架橋ゴム組成物を調製する。
ゴム練り加工機にゴム成分を投入して素練りし、これにセルロース系微細繊維を投入して混練することにより分散させる。
ここで、ゴム成分へのセルロース系微細繊維の分散方法としては、例えば、セルロース系微細繊維を水に分散させた分散体(ゲル)を、オープンロールで素練りしているゴム成分に投入し、それらを混練しながら水分を気化させる方法、セルロース系微細繊維を水に分散させた分散体(ゲル)とゴムラテックスとを混合して水分を気化させて得られたセルロース系微細繊維/ゴムのマスターバッチを、素練りしているゴム成分に投入する方法、疎水化したセルロース系微細繊維を溶剤に分散させた分散体とゴム成分を溶剤に溶解させた溶液を混合して溶剤を気化させて得られたセルロース系微細繊維/ゴムのマスターバッチを、素練りしているゴム成分に投入する方法、セルロース系微細繊維を水に分散させた分散体(ゲル)を凍結乾燥させて粉砕したものを、素練りしているゴム成分に投入する方法、疎水化したセルロース系微細繊維を素練りしているゴム成分に投入する方法等が挙げられる。
このとき、ゴム成分として不飽和カルボン酸金属塩で強化されたH−NBRを用いる場合には、セルロース系微細繊維を水に分散させた分散体(ゲル)に不飽和カルボン酸金属塩を混合してもよい。なお、不飽和カルボン酸金属塩は水溶液として混合してもよい。
次いで、ゴム成分とセルロース系微細繊維とを混練しながら、各種のゴム配合剤を投入して混練を継続することにより未架橋ゴム組成物を作製する。
そして、その未架橋ゴム組成物をカレンダー成形等によってシート状に成形する。
<心線準備工程>
撚り糸又は組紐に接着処理を施したものを心線14とする。
撚り糸又は組紐に接着処理を施したものを心線14とする。
心線14に施される接着処理としては、エポキシ溶液又はイソシアネート溶液の処理液に浸漬した後に加熱する下地接着処理、レゾルシン(R)及びホルマリン(F)の初期縮合物とゴムラテックス(L)とを混合したRFL水溶液に浸漬した後に加熱するRFL接着処理、並びにRFL接着処理の後に必要に応じて施されるゴム糊に浸漬した後に乾燥させるゴム糊接着処理が挙げられる。
<上側及び下側補強布準備工程>
織布、編物、或いは不織布に接着処理を施したものを上側及び下側補強布15,16とする。
織布、編物、或いは不織布に接着処理を施したものを上側及び下側補強布15,16とする。
上側及び下側補強布15,16に施される接着処理としては、エポキシ溶液又はイソシアネート溶液の処理液に浸漬した後に加熱する下地接着処理、RFL水溶液に浸漬した後に加熱するRFL接着処理、並びにRFL接着処理の後に必要に応じて施されるゴム糊に浸漬或いはゴム糊をコートした後に乾燥させるゴム糊接着処理が挙げられる。
<張力帯成形工程>
張力帯10の下側嵌合凹部12形状の金型軸方向に延びる突条が周方向に等ピッチで設けられた円筒金型を筒状に形成した下側補強布16で被覆し、その上にシート状に加工した未架橋ゴム組成物を所定層設ける。このとき、シート状の未架橋ゴム組成物の列理方向をベルト長さ方向に対応させてもよく、また、反列理方向をベルト長さ方向に対応させてもよいが、前者とすることが好ましい。
張力帯10の下側嵌合凹部12形状の金型軸方向に延びる突条が周方向に等ピッチで設けられた円筒金型を筒状に形成した下側補強布16で被覆し、その上にシート状に加工した未架橋ゴム組成物を所定層設ける。このとき、シート状の未架橋ゴム組成物の列理方向をベルト長さ方向に対応させてもよく、また、反列理方向をベルト長さ方向に対応させてもよいが、前者とすることが好ましい。
次いで、加熱加圧装置の中に円筒金型を入れ、未架橋ゴム組成物の架橋が半分程度進行するように、装置内を所定の温度及び圧力に設定して所定時間その状態を保持する。このとき、未架橋ゴム組成物の架橋が半分程度進行して保形ゴム層13の下側半分の形状が成形されると共に、未架橋ゴム組成物が流動して円筒金型に設けられた突条が下側補強布16を押圧し、下側嵌合凹部12が形成される。
続いて、加熱加圧装置の中から円筒金型を取り出し、半架橋したゴム組成物の上から心線14を等ピッチで螺旋状に巻き付け、その上に再びシート状に加工した未架橋ゴム組成物を所定層設け、その上から筒状に形成した上側補強布15を被せる。このとき、未架橋ゴム組成物は、列理方向をベルト長さ方向に対応させてもよく、また、反列理方向をベルト長さ方向に対応させてもよい。
次いで、内周面に上側嵌合凹部11形状の軸方向に延びる突条が周方向に等ピッチで設けられた筒状のスリーブを最外層に被せる。
そして、加熱加圧装置の中に材料をセットした円筒金型を入れ、装置内を所定の温度及び圧力に設定して所定時間その状態を保持する。このとき、未架橋ゴム組成物が流動してスリーブに設けられた突条が上側補強布15を押圧し、上側嵌合凹部11が形成され、また、半架橋及び未架橋ゴム組成物の架橋が進行して保形ゴム層13が形成される。更に、心線14表面の接着剤と保形ゴム層13とが相互拡散することにより、心線14が保形ゴム層13に一体に接着すると共に、上側及び下側補強布15,16に付着した接着剤と保形ゴム層13とが相互拡散することにより、上側及び下側補強布15,16がそれぞれ保形ゴム層13に一体に接着する。以上のようにして、円筒金型表面に円筒状のスラブが成形される。
最後に、加熱加圧装置から円筒金型を取り出し、その周面上に形成された円筒状のスラブを脱型し、これを所定幅の帯状に輪切りし、それに面取り加工等を施すことにより張力帯10を成形する。
<ブロック成形工程>
ブロック成形型に形成されたキャビティ内に補強材28をセットして型締めした後、そこに樹脂組成物を射出して冷却後に型開きし、補強材28が樹脂組成物の被覆層29内にインサートされた成形品であるブロック20を取り出す。そして、成形したブロック20に強度を高めるための熱処理等の必要な加工を施す。
ブロック成形型に形成されたキャビティ内に補強材28をセットして型締めした後、そこに樹脂組成物を射出して冷却後に型開きし、補強材28が樹脂組成物の被覆層29内にインサートされた成形品であるブロック20を取り出す。そして、成形したブロック20に強度を高めるための熱処理等の必要な加工を施す。
<組立工程>
一方の張力帯10の上側及び下側嵌合凹部11,12にブロック20の上側及び下側嵌合凸部24,25を対応させ、上側及び下側嵌合凹部11,12に上側及び下側嵌合凸部24,25がそれぞれ嵌め入れられるように、ブロック20の一方の嵌合部21に張力帯10を圧入し、ブロック20を張力帯10に係止させる。この操作を、相互に隣接するブロック20間において係合凸部26を係合凹部に係合させつつ、張力帯10の全周について行う。同様に、他方の張力帯10をブロック20の他方の嵌合部21に圧入し、それによって高負荷伝動用VベルトBが製造される。
一方の張力帯10の上側及び下側嵌合凹部11,12にブロック20の上側及び下側嵌合凸部24,25を対応させ、上側及び下側嵌合凹部11,12に上側及び下側嵌合凸部24,25がそれぞれ嵌め入れられるように、ブロック20の一方の嵌合部21に張力帯10を圧入し、ブロック20を張力帯10に係止させる。この操作を、相互に隣接するブロック20間において係合凸部26を係合凹部に係合させつつ、張力帯10の全周について行う。同様に、他方の張力帯10をブロック20の他方の嵌合部21に圧入し、それによって高負荷伝動用VベルトBが製造される。
(高負荷伝動用Vベルト)
以下の実施例1〜4及び比較例1〜3の高負荷伝動用Vベルトを作製した。それぞれの構成は表1にも示す。
以下の実施例1〜4及び比較例1〜3の高負荷伝動用Vベルトを作製した。それぞれの構成は表1にも示す。
<実施例1>
化学的解繊手段(TEMPO酸化処理)によって製造された木材を原料とするセルロース微細繊維の2質量%水分散体(第一工業製薬社製 商品名:レオクリスタC−2SP)と、アクリル酸亜鉛の30質量%水溶液(浅田化学工業社製 商品名:アクリル酸亜鉛30%水溶液)とを、固形分質量比が1:1となるように混合し、その混合液を凍結乾燥させて粉砕した。
化学的解繊手段(TEMPO酸化処理)によって製造された木材を原料とするセルロース微細繊維の2質量%水分散体(第一工業製薬社製 商品名:レオクリスタC−2SP)と、アクリル酸亜鉛の30質量%水溶液(浅田化学工業社製 商品名:アクリル酸亜鉛30%水溶液)とを、固形分質量比が1:1となるように混合し、その混合液を凍結乾燥させて粉砕した。
次いで、メタクリル酸亜鉛強化H−NBR(日本ゼオン社製 商品名:Zeoforte ZSC 2295CX H−NBR/メタクリル酸亜鉛の質量比=55/45)及びH−NBR(日本ゼオン社製 商品名:Zetpole2010)を素練りすると共に、そこにセルロース微細繊維及びアクリル酸亜鉛の粉砕物を投入して混練した。これらの混合割合は、メタクリル酸亜鉛強化H−NBRが70質量部、H−NBRが25質量部、及び粉砕物が10質量部とした。なお、これらのうちメタクリル酸亜鉛強化H−NBR、H−NBR、及び粉砕物中のアクリル酸亜鉛がゴム成分を構成する。ゴム成分において、メタクリル酸亜鉛及びアクリル酸亜鉛の含有量は36.5質量%(H−NBR:63.5質量%)、メタクリル酸亜鉛の含有量は31.5質量%、アクリル酸の含有量は5質量%、及びメタクリル酸亜鉛の含有量のアクリル酸の含有量に対する質量比(メタクリル酸亜鉛の含有量/アクリル酸の含有量)は6.3である。ゴム成分100質量部に対するセルロース微細繊維の含有量は5質量部である。
続いて、ゴム成分とセルロース微細繊維とを混練すると共に、そこに、ゴム成分100質量部に対し、ポリエーテルエステル系可塑剤(ADEKA社製 商品名:アデカサイザーRS700)を8質量部、補強材のシリカ(トクヤマ社製 商品名:トクシールU15)を10質量部、アミン−ケトン系老化防止剤(大内新興化学社製 商品名:ノクラック224)を0.5質量部、ベンズイミダゾール系老化防止剤(大内新興化学社製 商品名:ノクラックMB)を1質量部、芳香族第二級アミン系老化防止剤(大内新興化学社製 商品名:ノクラックCD)を1質量部、マレイミド系共架橋剤(大内新興化学社製 商品名:バルノックPM)を5質量部、及び架橋剤の有機過酸化物(日油社製 商品名:ペロキシモンF−40 純度40質量%)を5質量部(有効成分2質量部)それぞれ投入して混練を継続することにより未架橋ゴム組成物を作製した。
次いで、その未架橋ゴム組成物をカレンダー成形等によってシート状に成形した。
そして、そのシート状の未架橋ゴム組成物を、列理方向がベルト幅方向になるように用いて張力帯の保形ゴム層を形成し、実施形態と同様の構成の実施例1の高負荷伝動用Vベルトを作製した。
なお、張力帯の心線には、接着処理を施したアラミド繊維の組紐を用い、上側及び下側補強布には、接着処理を施したナイロン織布を用いた。ブロックには、ジュラルミン製の補強材をカーボン短繊維補強フェノール樹脂組成物の被覆層で被覆したものを用いた。
また、ベルト長さは660mm、ベルトピッチ幅Wは25mm、ベルト最大厚さは13mm、ベルト角度は26°、及びブロックの数は220個であった。
<実施例2>
張力帯の保形ゴム層を形成するための未架橋ゴム組成物を調製する際のメタクリル酸亜鉛強化H−NBR、H−NBR、及び粉砕物の混合割合を、メタクリル酸亜鉛強化H−NBR80質量部、H−NBR15質量部、及び粉砕物10質量部としたことを除いて実施例1と同様の構成の実施例2の高負荷伝動用Vベルトを作製した。未架橋ゴム組成物のゴム成分において、メタクリル酸亜鉛及びアクリル酸亜鉛の含有量は41質量%(H−NBR:59質量%)、メタクリル酸亜鉛の含有量は36質量%、アクリル酸の含有量は5質量%、及びメタクリル酸亜鉛の含有量のアクリル酸の含有量に対する質量比(メタクリル酸亜鉛の含有量/アクリル酸の含有量)は7.2である。ゴム成分100質量部に対するセルロース微細繊維の含有量は5質量部である。
張力帯の保形ゴム層を形成するための未架橋ゴム組成物を調製する際のメタクリル酸亜鉛強化H−NBR、H−NBR、及び粉砕物の混合割合を、メタクリル酸亜鉛強化H−NBR80質量部、H−NBR15質量部、及び粉砕物10質量部としたことを除いて実施例1と同様の構成の実施例2の高負荷伝動用Vベルトを作製した。未架橋ゴム組成物のゴム成分において、メタクリル酸亜鉛及びアクリル酸亜鉛の含有量は41質量%(H−NBR:59質量%)、メタクリル酸亜鉛の含有量は36質量%、アクリル酸の含有量は5質量%、及びメタクリル酸亜鉛の含有量のアクリル酸の含有量に対する質量比(メタクリル酸亜鉛の含有量/アクリル酸の含有量)は7.2である。ゴム成分100質量部に対するセルロース微細繊維の含有量は5質量部である。
<実施例3>
張力帯の保形ゴム層を形成するための未架橋ゴム組成物を調製する際のメタクリル酸亜鉛強化H−NBR、H−NBR、及び粉砕物の混合割合を、メタクリル酸亜鉛強化H−NBR80質量部、H−NBR10質量部、及び粉砕物20質量部としたことを除いて実施例1と同様の構成の実施例3の高負荷伝動用Vベルトを作製した。未架橋ゴム組成物のゴム成分において、メタクリル酸亜鉛及びアクリル酸亜鉛の含有量は46質量%(H−NBR:54質量%)、メタクリル酸亜鉛の含有量は36質量%、アクリル酸の含有量は10質量%、及びメタクリル酸亜鉛の含有量のアクリル酸の含有量に対する質量比(メタクリル酸亜鉛の含有量/アクリル酸の含有量)は3.6である。ゴム成分100質量部に対するセルロース微細繊維の含有量は10質量部である。
張力帯の保形ゴム層を形成するための未架橋ゴム組成物を調製する際のメタクリル酸亜鉛強化H−NBR、H−NBR、及び粉砕物の混合割合を、メタクリル酸亜鉛強化H−NBR80質量部、H−NBR10質量部、及び粉砕物20質量部としたことを除いて実施例1と同様の構成の実施例3の高負荷伝動用Vベルトを作製した。未架橋ゴム組成物のゴム成分において、メタクリル酸亜鉛及びアクリル酸亜鉛の含有量は46質量%(H−NBR:54質量%)、メタクリル酸亜鉛の含有量は36質量%、アクリル酸の含有量は10質量%、及びメタクリル酸亜鉛の含有量のアクリル酸の含有量に対する質量比(メタクリル酸亜鉛の含有量/アクリル酸の含有量)は3.6である。ゴム成分100質量部に対するセルロース微細繊維の含有量は10質量部である。
<実施例4>
張力帯の保形ゴム層を形成するための未架橋ゴム組成物を調製する際、ゴム成分100質量部に対してアラミド短繊維(帝人社製 商品名:テクノーラ 繊維径12μm、繊維長3mm)を10質量部投入したことを除いて実施例2と同様の構成の実施例4の高負荷伝動用Vベルトを作製した。未架橋ゴム組成物のゴム成分において、メタクリル酸亜鉛及びアクリル酸亜鉛の含有量は41質量%(H−NBR:59質量%)、メタクリル酸亜鉛の含有量は36質量%、アクリル酸の含有量は5質量%、及びメタクリル酸亜鉛の含有量のアクリル酸の含有量に対する質量比(メタクリル酸亜鉛の含有量/アクリル酸の含有量)は7.2である。ゴム成分100質量部に対するセルロース微細繊維の含有量は5質量部である。
張力帯の保形ゴム層を形成するための未架橋ゴム組成物を調製する際、ゴム成分100質量部に対してアラミド短繊維(帝人社製 商品名:テクノーラ 繊維径12μm、繊維長3mm)を10質量部投入したことを除いて実施例2と同様の構成の実施例4の高負荷伝動用Vベルトを作製した。未架橋ゴム組成物のゴム成分において、メタクリル酸亜鉛及びアクリル酸亜鉛の含有量は41質量%(H−NBR:59質量%)、メタクリル酸亜鉛の含有量は36質量%、アクリル酸の含有量は5質量%、及びメタクリル酸亜鉛の含有量のアクリル酸の含有量に対する質量比(メタクリル酸亜鉛の含有量/アクリル酸の含有量)は7.2である。ゴム成分100質量部に対するセルロース微細繊維の含有量は5質量部である。
<比較例1>
張力帯の保形ゴム層を形成するための未架橋ゴム組成物のゴム成分を、メタクリル酸亜鉛強化H−NBR80質量%及びH−NBR20質量%で構成し、また、ゴム成分100質量部に対してアラミド短繊維を15質量部投入したことを除いて実施例1と同様の構成の比較例1の高負荷伝動用Vベルトを作製した。
張力帯の保形ゴム層を形成するための未架橋ゴム組成物のゴム成分を、メタクリル酸亜鉛強化H−NBR80質量%及びH−NBR20質量%で構成し、また、ゴム成分100質量部に対してアラミド短繊維を15質量部投入したことを除いて実施例1と同様の構成の比較例1の高負荷伝動用Vベルトを作製した。
<比較例2>
張力帯の保形ゴム層を形成するための未架橋ゴム組成物のゴム成分をメタクリル酸亜鉛強化H−NBRのみで構成したことを除いて実施例1と同様の構成の比較例2の高負荷伝動用Vベルトを作製した。
張力帯の保形ゴム層を形成するための未架橋ゴム組成物のゴム成分をメタクリル酸亜鉛強化H−NBRのみで構成したことを除いて実施例1と同様の構成の比較例2の高負荷伝動用Vベルトを作製した。
<比較例3>
張力帯の保形ゴム層を形成するための未架橋ゴム組成物のゴム成分をメタクリル酸亜鉛強化H−NBRのみで構成したことを除いて比較例2と同様の構成の比較例3の高負荷伝動用Vベルトを作製した。
張力帯の保形ゴム層を形成するための未架橋ゴム組成物のゴム成分をメタクリル酸亜鉛強化H−NBRのみで構成したことを除いて比較例2と同様の構成の比較例3の高負荷伝動用Vベルトを作製した。
(試験評価方法)
<平均繊維径・繊維径分布>
実施例1〜4のそれぞれで張力帯の保形ゴム層に用いたゴム組成物について、凍結粉砕した後、その断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察すると共に、50本のセルロース微細繊維を任意に選択して繊維径を測定し、その数平均を求めて平均繊維径とした。また、50本のセルロース微細繊維のうち繊維径の最大値及び最小値を求めた。
<平均繊維径・繊維径分布>
実施例1〜4のそれぞれで張力帯の保形ゴム層に用いたゴム組成物について、凍結粉砕した後、その断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察すると共に、50本のセルロース微細繊維を任意に選択して繊維径を測定し、その数平均を求めて平均繊維径とした。また、50本のセルロース微細繊維のうち繊維径の最大値及び最小値を求めた。
<ゴム硬さ>
実施例1〜4及び比較例1〜3のそれぞれで張力帯の保形ゴム層に用いたゴム組成物の厚さ2mmのシート試料について、JIS K6253に基づいてタイプAデュロメータによりゴム硬さを測定した。
実施例1〜4及び比較例1〜3のそれぞれで張力帯の保形ゴム層に用いたゴム組成物の厚さ2mmのシート試料について、JIS K6253に基づいてタイプAデュロメータによりゴム硬さを測定した。
<貯蔵弾性係数>
実施例1〜4及び比較例1〜3のそれぞれで張力帯の保形ゴム層に用いたゴム組成物の厚さ1mmの短冊試料について、粘弾性測定装置(ユービーエム社製 Rheogel-E4000HP)を用いて、JIS K6394に基づいて、試験温度100℃、静歪み3.0%、動歪み1.0%、及び振動数10Hzとして反列理方向(ベルト長さ方向)の貯蔵弾性係数E’を測定した。
実施例1〜4及び比較例1〜3のそれぞれで張力帯の保形ゴム層に用いたゴム組成物の厚さ1mmの短冊試料について、粘弾性測定装置(ユービーエム社製 Rheogel-E4000HP)を用いて、JIS K6394に基づいて、試験温度100℃、静歪み3.0%、動歪み1.0%、及び振動数10Hzとして反列理方向(ベルト長さ方向)の貯蔵弾性係数E’を測定した。
<熱膨張係数>
実施例1〜4及び比較例1〜3のそれぞれで張力帯の保形ゴム層に用いたゴム組成物の厚さ2mmのシート試料について、熱機械分析装置(リガク社製 TMA8310)を用いて、引張モードにて設定荷重25Kpa、昇温速度5℃/分にて、25〜150℃の温度範囲において5℃間隔で測定した熱膨張係数の測定値を平均した。
実施例1〜4及び比較例1〜3のそれぞれで張力帯の保形ゴム層に用いたゴム組成物の厚さ2mmのシート試料について、熱機械分析装置(リガク社製 TMA8310)を用いて、引張モードにて設定荷重25Kpa、昇温速度5℃/分にて、25〜150℃の温度範囲において5℃間隔で測定した熱膨張係数の測定値を平均した。
<耐久性評価ベルト走行試験>
図7(a)及び(b)は、耐久性評価用ベルト走行試験機40の概略構成を示す。
図7(a)及び(b)は、耐久性評価用ベルト走行試験機40の概略構成を示す。
耐久性評価用ベルト走行試験機40は、耐熱ボックス41を有しており、その前面上部の左右中央位置に直径40mmの熱風入口42が、また、上面の左側端部に直径90mmの熱風出口43が、それぞれ開口している。耐熱ボックス41内の熱風出口43側には駆動軸44が設けられ、その駆動軸44にはプーリピッチ径126.4mmの駆動プーリ45が設けられている。耐熱ボックス41内の熱風出口43側とは反対側には、駆動軸44と平行で且つ駆動軸44との軸間距離が148.5mmとなるように従動軸46が設けられており、その従動軸46にはプーリピッチ径70.8mmの従動プーリ47が設けられている。駆動プーリ45及び従動プーリ47は、無電解ニッケルめっきが施されており、摺動面の表面粗さ(最大高さ)Rmaxが6.3μm以下、及びプーリ溝角度が26°である。
実施例1〜4及び比較例1〜3のそれぞれの高負荷伝動用VベルトBについて、この耐熱試験装置40の駆動プーリ45及び従動プーリ47間に巻き掛け、従動軸46に高負荷伝動用VベルトBに張力を与える方向に1764Nの軸荷重を負荷し、120±3℃の熱風を風速20±3m/秒で熱風入口42から耐熱ボックス41内に導入すると共に、耐熱ボックス41内から熱風出口43を介して排出しながら、駆動軸44及び駆動プーリ45を6000±60rpmの回転数で回転させることにより高負荷伝動用VベルトBを走行させた。
そして、高負荷伝動用VベルトBが破壊するまで走行を継続し、その走行時間を耐久寿命とした。なお、走行時間は1000時間を上限とした。
<騒音レベル評価ベルト走行試験>
図8(a)及び(b)は、騒音レベル評価用ベルト走行試験機50の概略構成を示す。
図8(a)及び(b)は、騒音レベル評価用ベルト走行試験機50の概略構成を示す。
騒音レベル評価用ベルト走行試験機50は、一方側には駆動軸51が設けられ、その駆動軸51にはプーリピッチ径50.7mmの駆動プーリ52が設けられている。他方側には、駆動軸51と平行で且つ駆動軸51との軸間距離が174.4mmとなるように従動軸53が設けられており、その従動軸53にはプーリピッチ径113.3mmの従動プーリ54が設けられている。駆動プーリ52及び従動プーリ54は、無電解ニッケルめっきが施されており、摺動面の表面粗さ(最大高さ)Rmaxが6.3μm以下、及びプーリ溝角度が26°である。駆動軸51の中心から従動軸53側に50mm及び手前側に100mmそれぞれ離れた測音位置Pに騒音測定用のマイクロフォン55が設けられている。
実施例1〜4及び比較例1〜3のそれぞれの高負荷伝動用VベルトBについて、この耐熱試験装置50の駆動プーリ52及び従動プーリ54間に巻き掛け、従動軸53に高負荷伝動用VベルトBに張力を与える方向に1470Nの軸荷重を負荷し、そして、25℃の温度雰囲気において、駆動軸51及び駆動プーリ52を2500±60rpmの回転数で回転させることにより高負荷伝動用VベルトBを走行させた。
そして、走行開始直後及び走行開始から100時間経過時のそれぞれの騒音レベルを測定すると共にそれらの変化量を求めた。また、走行開始から100時間経過後に走行を停止して高負荷伝動用VベルトBを取り外し、それを分解して締め代を測定し、それを平均すると共に初期締め代の平均からの変化量を求めた。
(試験評価結果)
試験結果を表2及び3に示す。
試験結果を表2及び3に示す。
表2によれば、実施例1〜4のセルロース微細繊維は、いずれも繊維径の分布が広いことが分かる。
ゴム硬さ及び100℃における反列理方向の貯蔵弾性係数E’については、実施例1〜4及び比較例1〜3のいずれも高く、差が見出せないが、熱膨張係数については、セルロース微細繊維を含む実施例1〜4は、それを含まない比較例1〜3の半分以下である、つまり、実施例1〜4は、比較例1〜3に比べて著しく熱膨張係数が小さいことが分かる。
ゴム成分における不飽和カルボン酸金属塩の含有量が実施例1よりも多い実施例2では、ゴム硬さ及び100℃における反列理方向の貯蔵弾性係数E’のいずれも実施例1よりも高いことが分かる。
ゴム成分におけるセルロース微細繊維の含有量が実施例2よりも多い実施例3では、熱膨張係数が実施例2の半分以下であることが分かる。
アラミド短繊維を含む比較例3では、熱膨張係数がアラミド短繊維を含まない比較例2よりも大きいことが分かる。これは、アラミド短繊維がベルト幅方向に配向するため、それによってベルト幅方向の熱膨張が抑制され、その結果、ベルト厚さ方向の膨張が大きくなったものであると考えられる。しかしながら、セルロース微細繊維を含めば、アラミド短繊維を含む実施例4でも、熱膨張係数がアラミド短繊維を含まない実施例2と同等の低い水準であることが分かる。
表3によれば、セルロース微細繊維を含む実施例1〜4は、それを含まない比較例1〜3よりも耐久性が優れることが分かる。また、セルロース微細繊維の含有量の多い実施例3では、特に優れた耐久性能を有することが分かる。
セルロース微細繊維を含む実施例1〜4は、それを含まない比較例1〜3よりも、走行開始直後及び走行開始から100時間経過時のいずれも、騒音レベルが低く、また、それらの間の騒音レベルの変化量も小さいことが分かる。また、セルロース微細繊維の含有量の多い実施例3では、特に騒音レベル及びその変化量が小さいことが分かる。
セルロース微細繊維を含む実施例1〜4では、走行開始から100時間経過後の締め代の変化量が小さく、締め代がプラスに維持されているのに対し、セルロース微細繊維を含まない比較例1〜3では、締め代の変化量が大きく、締め代がマイナスであることが分かる。つまり、実施例1〜4は、比較例1〜3よりも圧縮の永久変形が小さいということである。また、セルロース微細繊維の含有量の多い実施例3では、特に圧縮の永久変形が小さいことが分かる。
本発明は、高負荷伝動用Vベルト及びその製造方法の技術分野において有用である。
B 高負荷伝動用Vベルト
10 張力帯
12 保形ゴム層
20 ブロック
22 嵌合部
10 張力帯
12 保形ゴム層
20 ブロック
22 嵌合部
Claims (5)
- ベルト長さ方向に延びるように設けられたエンドレスの張力帯と、前記張力帯に沿って配設され、各々、嵌合部を有すると共に、前記嵌合部に前記張力帯が圧入されていることにより前記張力帯に係止された複数のブロックと、を備えた高負荷伝動用Vベルトであって、
前記張力帯は、ゴム組成物で形成された保形ゴム層を有し、且つ前記保形ゴム層を形成するゴム組成物は、セルロース系微細繊維を含む高負荷伝動用Vベルト。 - 請求項1に記載された高負荷伝動用Vベルトにおいて、
前記セルロース系微細繊維の繊維径の分布範囲が20nm〜1μmを含む高負荷伝動用Vベルト。 - 請求項1又は2に記載された高負荷伝動用Vベルトにおいて、
前記セルロース系微細繊維が化学的解繊手段によって製造されたものである高負荷伝動用Vベルト。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載された高負荷伝動用Vベルトにおいて、
前記保形ゴム層を形成するゴム組成物には、繊維径が8〜30μmの短繊維が含まれている高負荷伝動用Vベルト。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載された高負荷伝動用Vベルトの製造方法であって、
前記保形ゴム層を形成するための未架橋ゴム組成物を調製する際に、ゴム成分として不飽和カルボン酸金属塩で強化された水素添加アクリロニトリルゴムを用い、且つ前記ゴム成分にセルロース系微細繊維を分散させる際に、セルロース系微細繊維を水に分散させた分散体に不飽和カルボン酸金属塩を混合したものを用いる高負荷伝動用Vベルトの製造方法。
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