JP2016211396A - 内燃機関 - Google Patents

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Abstract

【課題】オイル消費発生のメカニズムを考慮してオイル消費を抑制することができる内燃機関を提供する。
【解決手段】シリンダブロック2内の円筒状のシリンダライナ5と、シリンダライナ内で摺動可能なピストン6と、を具備する内燃機関1であって、ピストンが、その外周にトップランド15に隣接してリング溝14を有し、リング溝内にピストンリング18が配置され、シリンダライナは、ピストンが上死点にあるときにピストンのトップランドと対向する内周面の少なくとも一部に、内周面が拡径された拡径部30を有し、拡径部の内周面の半径は、シリンダライナの拡径されていない内周面の半径よりも、シリンダの径方向外側に100μmから1000μmだけ大きい、内燃機関による。
【選択図】図4

Description

本発明は、内燃機関に関する。
従来から、内燃機関のピストンでは、その外周面に形成されたリング溝内にピストンリングが配置されている。斯かるピストンリングのうち最も下方に配置されたオイルリングは、ピストンの下降時にシリンダライナ壁面に付着した余剰のオイルを掻き落とすのに用いられる。しかしながら、多くの内燃機関においては、斯かるオイルリングを用いても、ピストンの往復運動に伴ってクランクケース内のオイルがピストン外周面に沿って、特にリング溝内を介して、燃焼室内へと流入することが知られている。このように、クランクケース内のオイルが燃焼室内に流入すると、燃焼室における燃焼に伴ってオイルが燃焼し、オイル消費が増大してしまう。
そこで、特許文献1では、ピストンリングの下面に全周に亘って凹部を形成するようにしている。特許文献1によれば、これにより、上死点においてピストンの運動方向が反転した際に、ピストンリングがリング溝下面に貼り付くことなくリング溝上面へと移動するため、リング溝内部のオイルが燃焼室内へと流入するのを防止することができるとされている。
特開2012−241861号公報 特開2006−112360号公報 特開2010−106710号公報 特開平6−229315号公報
ところで、本願の発明者の研究により、オイル消費が発生するメカニズムが解明された。具体的には、オイル消費は以下のメカニズムで生じていると考えられる。まず、ピストンのトップランドの外周面と、これに対向するシリンダライナの内周面は、燃焼室内での混合気の燃焼時に火炎の伝播し難い領域に面する。このため、内燃機関の運転に伴ってこれらトップランドの外周面上及びこれに対向するシリンダライナの内周面上にはデポジットが堆積する。このようなデポジットの堆積量が多くなると、ピストンが上死点にあるときに、これらトップランドの外周面上及びこれに対向するシリンダライナの内周面上に堆積したデポジット同士が接触するようになる。
一方、上述したように、内燃機関においては、ピストンの往復運動に伴ってクランクケース内のオイルがピストン外周面に沿って燃焼室側へと移動する。燃焼室側へ移動したオイルは、ピストンのトップランドの外周面上に堆積したデポジットに付着する。その後、オイルは、デポジット同士が接触したときに、ピストンのトップランドの外周面上に堆積したデポジットからトップランドに対向するシリンダライナの内周面上に堆積したデポジットへと移動する。トップランドに対向するシリンダライナの内周面上に堆積したデポジットに付着したオイルは、ピストンが下降したときに燃焼室内での混合気の燃焼による高温に曝され、蒸発せしめられ、これによりオイルが消費されることになる。
そこで、本発明の目的は、このようなオイル消費発生のメカニズムを考慮して、オイル消費を抑制することができる内燃機関を提供することにある。
上記課題を解決するために、第1の発明では、シリンダブロック内の円筒状のシリンダライナと、シリンダライナ内で摺動可能なピストンと、を具備する内燃機関であって、ピストンが、その外周にトップランドに隣接してリング溝を有し、リング溝内にピストンリングが配置され、シリンダライナは、ピストンが上死点にあるときにピストンのトップランドと対向する内周面の少なくとも一部に、内周面が拡径された拡径部を有し、拡径部の内周面の半径は、シリンダライナの拡径されていない内周面の半径よりも、シリンダの径方向外側に100μmから1000μmだけ大きい、内燃機関が提供される。
また、上記課題を解決するために、第2の発明では、シリンダブロック内の円筒状のシリンダライナと、シリンダライナ内で摺動可能なピストンと、を具備する内燃機関であって、ピストンが、その外周にトップランドに隣接してリング溝を有し、リング溝内にピストンリングが配置され、シリンダライナは、ピストンが上死点にあるときにピストンのトップランドと対向する内周面の少なくとも一部に内周面が拡径された拡径部を有し、拡径部の内周面は、拡径部の内周面にデポジットが付着しても、付着したデポジットがシリンダライナの拡径されていない内周面よりも径方向内側にまで成長しないように拡げられている、内燃機関が提供される。
さらに、第3の発明では、第1又は第2の発明において、拡径部が、拡径された内周面と、拡径された内周面の下端からシリンダの径方向内側に延びる底面とによって画成され、底面は、ピストンが上死点にあるときに、シリンダの軸線方向においてピストンリングの上面と等しい位置又はピストンリングの上面よりも上方の位置にある、内燃機関が提供される。
さらに、第4の発明では、第3の発明において、底面は、ピストンが上死点にあるときに、シリンダの軸線方向においてリング溝の上面と等しい位置にある、内燃機関が提供される。
さらに、第5の発明では、第3の発明において、底面は、ピストンが上死点にあるときに、シリンダの軸線方向においてリング溝の上面より500μm上方の位置よりも下方に位置する、内燃機関が提供される。
さらに、第6の発明では、第1から第5の発明のいずれかにおいて、ピストンが上死点にあるときの、ピストンとシリンダブロックとのシリンダの軸線方向における相対位置を変化させることによって機械圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構を更に具備する内燃機関であって、ピストンが上死点にあるときとは、シリンダブロックに対するピストンの相対位置が最も燃焼室側に位置する状態でピストンが上死点にあるときである、内燃機関が提供される。
さらに、第7の発明では、第3から第5の発明のいずれかにおいて、拡径部がシリンダライナの上面まで延びており、拡径された内周面の上縁部、拡径された内周面と底面との接続部、及び、底面と拡径されていない内周面との接続部の少なくとも1つが、R形状とされた、内燃機関が提供される。
本発明によれば、オイル消費発生のメカニズムを考慮してオイル消費を抑制することができる内燃機関を提供することができる。
図1は、内燃機関の部分断面図である。 図2(A)は、従来の内燃機関においてピストンが上死点にあるときのピストン及びシリンダライナの上部を示した断面図であり、図2(B)は、図2(A)の内燃機関においてピストンが上死点よりも下方にあるときの図2(A)と同様な断面図である。 図3は、運転時間の経過に伴いシリンダライナの内周面上に堆積するデポジットの高さを、内燃機関の種類ごとに示した図である。 図4は、本発明の第一実施形態に係る内燃機関においてピストンが上死点にあるときのピストン及びシリンダライナの上部を示した断面図である。 図5(A)は、ピストン上及びシリンダライナ上にデポジットが堆積した状態において、ピストンが上死点にあるときのピストン及びシリンダライナの上部を示す、図4と同様な断面図であり、図5(B)は図5(A)で示したピストンが上死点よりも下方にあるときの断面図である。 図6は、第一実施形態の第一変形例に係る内燃機関の図4と同様な断面図である。 図7は、第一実施形態の第二変形例に係る内燃機関の図4と同様な断面図である。 図8は、可変圧縮比機構を有する本発明の第二実施形態に係る内燃機関の、図1と同様な断面図である。 図9は、図8の可変圧縮比機構の分解斜視図である。 図10は、図解的に表した図8の内燃機関の側面断面図である。 図11(A)は、機械圧縮比を最大にした状態において、ピストンが上死点にあるときの図4と同様な断面図であり、図11(B)は、図11(A)の内燃機関のピストン上及びシリンダライナ上にデポジットが堆積した状態を示した断面図である。 図12は、図10(A)で示した状態、すなわち可変圧縮比機構による圧縮比が最小となる状態における、ピストンが上死点にあるときの断面図である。 図13は、可変長コンロッドを概略的に示す断面側面図である。 図14は、本発明の第三実施形態に係る内燃機関の、図4と同様な断面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。全図面に亘り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
<内燃機関の構成>
図1は本願発明に係る内燃機関1の部分断面図を示す。内燃機関1は、シリンダブロック2及びシリンダヘッド3を有する。シリンダヘッド3は、ガスケット(図示せず)を介してシリンダブロック2に固定されている。シリンダブロック2はその内部に円筒状のシリンダライナ5を有しており、シリンダライナ5の内周面は、シリンダ4を画成する。シリンダ4内には、ピストン6が摺動可能に配置される。ピストン6、シリンダライナ5及びシリンダヘッド3によって燃焼室7が形成され、燃焼室7の頂面中央部には点火プラグ8が配置される。燃焼室7には吸気ポート10が連通しており、燃焼室7と吸気ポート10との間には吸気弁9が設けられる。同様に、燃焼室7には排気ポート12が連通しており、燃焼室7と排気ポート12との間には排気弁11が設けられる。吸気ポート10内には、燃料を噴射するための燃料噴射弁13が配置される。
ピストン6の外周面には、その周方向に延びる複数のリング溝が設けられており、各リング溝内にはピストンリングが配置される。本実施形態では、ピストン6の外周面にはピストン6の軸線方向に離間した三つのリング溝が設けられ、よってピストン6周りには三つのピストンリングが配置される。これらピストンリングは、一般に、上からトップリング18、セカンドリング19、オイルリング20とそれぞれ称される。また、本明細書では、ピストン6のうち、トップリング18が配置されるリング溝よりも上の部分をトップランド15と称する。同様に、ピストン6のうち、トップリング18が配置されるリング溝とセカンドリング19が配置されるリング溝との間の部分をセカンドランド16と称する。加えて、ピストン6のうち、セカンドリング19が配置されるリング溝とオイルリング20が配置されるリング溝との間の部分をサードランド17と称する。なお、本明細書では、シリンダ4の軸線方向において、燃焼室7側方向を上とし、燃焼室7側とは反対の方向を下として説明するが、内燃機関は必ずしもシリンダ4の軸線が鉛直に延びるように配置される必要は無い。
<オイル消費のメカニズム>
ところで、上述したような構成を有する内燃機関では潤滑等に用いられるオイルが燃焼により消費されてしまうという問題があったが、そのメカニズムについては明確には解明されていなかった。本願の発明者は、これについて鋭意研究を行ったところ、オイル消費のメカニズムの一部を解明した。以下では、図2を参照して、オイル消費のメカニズムについて説明する。
図2(A)は、従来の内燃機関においてピストン106が上死点にあるときのピストン106及びシリンダライナ105の上部を示した断面図であり、図2(B)は、図2(A)の内燃機関においてピストン106が上死点よりも下方にあるときの図2(A)と同様な断面図である。
図2に示したような従来の内燃機関において、ピストン106の上部に位置するトップランド115の外周面及びこれに対向するシリンダライナ105の内周面は、燃焼室における燃焼時に火炎が伝播し難い領域に面する。このため、トップランド115の外周面上及びこれに対向するシリンダライナ105の内周面上にはデポジット121及びデポジット122がそれぞれ堆積する。なお、デポジットとは、燃焼室内の燃料の不完全燃焼によって発生する固形状の堆積物である。
一方、シリンダライナ105の内周面のうちピストン106が上死点にあるときのトップリング118の上面よりも下方に位置する内周面上にデポジットが付着しても、ピストン106の摺動により、デポジットはトップリング118によって掻き取られる。したがって、斯かるシリンダライナ105の内周面上にも基本的にデポジットは堆積しない。したがって、シリンダライナ105の内周面におけるデポジット122が堆積する位置は、図2(A)に示すように、ピストン106が上死点にあるときにトップランド115に対面する位置である。
トップランド115の外周面上に堆積するデポジット121は、内燃機関の運転に伴い、ピストン106の径方向外側へと徐々に成長する。同様に、シリンダライナ105の内周面上に堆積するデポジット122は、内燃機関の運転に伴い、シリンダライナ105の径方向内側へと成長する。このようなデポジット121、122の成長が続くと、やがてこれらデポジット121、122はピストン106が上死点にあるときに互いに接触することになる。
次に、シリンダ104内のオイルの移動について説明する。ピストン106が配置されるシリンダ104内には、摺動するピストンリングとシリンダライナ105との間の潤滑等のため、オイルが供給されている。特に、ピストン106の外周面上に付着したオイルは、ピストン106の往復動に伴って、ピストン106の外周面に沿って上方へと移動する。
具体的には、ピストン106のセカンドランド116の外周面上に付着したオイル(図2の123a)は、ピストン106の下降時に慣性によりピストン106の外周面に沿って上方に向かって移動する。このとき、トップリング118は、図2(B)に示したようにリング溝114の上面に接触するようにリング溝114内で移動するため、リング溝114の下面とトップリング118の下面との間には隙間ができる。このため、セカンドランド116の外周面上を上方に向かって移動してきたオイルは、123bで示すように、この隙間を通ってリング溝114内に侵入する。
その後、ピストン106が上昇すると、トップリング118は、図2(A)に示したようにリング溝114の下面と接触するようにリング溝114内で移動する。このため、リング溝114の上面とトップリング118の上面との間には隙間ができる。このため、リング溝114内に溜まっていたオイルはこの隙間を通ってトップランド115の外周面上へと移動する。トップランド115の外周面に移動したオイル123は、トップランド115の外周面上に堆積しているデポジット121に付着する(123c)。
なお、シリンダライナ105の内周面上に付着したオイル124は、基本的にピストン106の下降に伴ってピストンリングに掻き取られる。このため、シリンダライナ105に沿って上方に移動する量は極めて少なく、上述したピストン106の外周面に沿って上方に移動するオイル123の量と比較して無視できるものである。
上述したように、ピストン106のトップランド115の外周面上に堆積したデポジット121と、シリンダライナ105の内周面上に堆積したデポジット122とは、ピストン106が上死点に至る度に接触する。このようにデポジット121、122同士が互いに接触すると、トップランド115の外周面上に堆積したデポジット121に付着していたオイルの一部が、シリンダライナ105の内周面上に堆積したデポジット122上へ移動する。
その後、ピストン106が下降すると、図2(B)に示したように、シリンダライナ105の内周面上に堆積したデポジット122は、燃焼室に曝されることになる。このとき、このデポジット122は火炎には曝され難いものの高温の燃焼ガスに曝されることになる。このため、このデポジット122に付着していたオイル123dは蒸発し、消失せしめられる。一方、高温の燃焼ガスに曝されても、デポジット122自体は燃焼することなく、そのまま残る。これは、デポジット122に加えられた熱が比較的低温のシリンダライナ105に逃げるためであると考えられる。このため、デポジット121とデポジット122の接触は、ピストン106の摺動ごとに依然として繰り返されることとなり、オイル123は消失され続けることとなる。
なお、デポジット121、122同士が接触しても一部のオイルは移動せずにトップランド115の外周面上に堆積したデポジット121に付着したまま残る。しかしながら、残されたオイル123cは、ピストン106が下降する際に燃焼室の高温の燃焼ガスによってはほとんど蒸発されない。これは、トップランド115の外周面とシリンダライナ105の内周面との間の空間が狭く且つ低温のピストン106及びシリンダライナ105に囲まれているため、燃焼が起きてもこの空間内はオイル123cを蒸発させるほど高温にならないためと考えられる。また、下降しているピストン106のトップランド115の外周面は高温の燃焼ガスには曝され難いためオイル123cがほとんど蒸発されないと考えられる。したがって、オイル123の消失はもっぱらシリンダライナ105の内周面上に堆積したデポジット122から生じる。
<デポジットの成長>
ところで、上述したように、トップランド115の外周面上に堆積するデポジット121は、内燃機関の運転に伴ってピストン106の径方向外側へと徐々に成長していき、最大でシリンダライナ105の内周面に到達するまで成長する。このデポジット121がこれ以上成長することができないのは、デポジット121が成長してシリンダライナ105の内周面にまで到達すると、シリンダライナ105の内周面によって成長が阻まれるためである。
一方、シリンダライナ105の内周面上に堆積するデポジット122も、シリンダライナ105の径方向内側へと成長する。ここで、本願の発明者は、このデポジット122は一定の高さに至ると、ピストン106のトップランドの外周面に到達しなくともそれ以上は成長しなくなることを発見した。これは、以下のようなメカニズムによるものだと考えられる。
すなわち、シリンダライナ105は図示しないウォータージェケットを流れる冷却水により冷却されている。そのため、デポジット122の成長の初期段階においては、デポジット122は高温の燃焼ガスに曝されても、シリンダライナ105を介して冷却水により冷却されるため自己消滅するほど高温とはならない。しかしながら、デポジット122が成長していくと、デポジット122は熱伝導特性が低いため、デポジット122のシリンダライナから離れた部位はシリンダライナ105によって十分に冷却されなくなる。このため、デポジット122が一定の高さ以上にまで成長すると、この一定の高さ以上の領域では、デポジット122の表面温度が自己消滅するほど高温になる。このように、一定の高さ以上に堆積したデポジット122は燃焼室内の高温の燃焼ガスにさらされて自己消滅せしめられることになり、この結果、シリンダライナ105上に堆積したデポジット122は一定の高さ以上には成長しなくなると考えられる。
ここで、デポジット122が堆積する上記一定の高さは、条件により多少変化するものの、130〜250μmであることが本願の発明者の研究によって確認された。これについて、図3を用いて説明する。
図3は、運転時間の経過に伴いシリンダライナの内周面上に堆積するデポジットの高さについて、内燃機関の種類ごとに複数回試験した結果を示した図である。図中のポイントの形状の違い(三角形、四角形等)は内燃機関の種類が異なることを示すものである。図3からわかるように、シリンダライナの内周面上に堆積するデポジットは、ほとんどの場合、運転開始から短時間で100μm〜200μmほどの高さまで急速に成長する。その後、運転を継続して100時間が経過すると、デポジットの高さは、ほとんどの場合、130μm〜240μmほどの高さにまで成長する。しかしながら、それ以降は大きな変化がなく、デポジットの高さはほとんどの内燃機関においても約250μm以下に保持され、ほぼ全ての内燃機関において約300μm以下に保持される。
<第一実施形態におけるシリンダライナの構成>
そこで、上述したようなオイル消費のメカニズム及びデポジットの成長を考慮して、本発明の第一実施形態に係る内燃機関は、図4に示すように、シリンダライナ5の内周面5aが拡径された拡径部30を有する。図4は、本発明の第一実施形態に係る内燃機関1においてピストン6が上死点にあるときのピストン6及びシリンダライナ5の上部の断面図である。
拡径部30は、シリンダライナ5の拡径されていない内周面5aに対して拡径された内周面30aと、その拡径された内周面30aの下端からシリンダ4の径方向内側に延びる底面30bとによって画成される。本実施形態では、内周面30aはシリンダライナ5の上面まで延びる。拡径部30の内周面30aは、シリンダライナ5の拡径されていない内周面5aよりも、シリンダ4の径方向外側に半径が拡径寸法eだけ拡がっている。具体的には、本実施形態において、拡径寸法eは、100μm以上であって1000μm以下とされる。拡径寸法eは、好ましくは、200μm以上とされ、より好ましくは250μm以上とされ、さらに好ましくは300μm以上とされる。加えて、拡径寸法eは、好ましくは800μm以下とされ、より好ましくは600μm以下とされ、さらに好ましくは500μm以下とされる。
さらに、本実施形態において、拡径部30は、その底面30bが、ピストン6が上死点にあるときに、シリンダ4の軸線方向においてリング溝14の上面14aと等しい位置に位置するように構成される。
<第一実施形態の内燃機関における効果>
図5(A)は、図4のピストン6上及びシリンダライナ5上にデポジット21、22が堆積した状態を示した、ピストン6が上死点に位置するときの断面図であり、図5(B)はそのピストン6が上死点よりも下方に位置するときの断面図である。図5(A)に示されるように、本発明においては、シリンダライナ5側のデポジット22は、拡径部30の内周面30a上に堆積する。このデポジット22は、上述したように、一定の高さまで成長するとそれ以上は成長しない。したがって、一例として、デポジット22が最高で280μmまで成長するような内燃機関の場合、拡径寸法eを300μmとすれば、拡径部30の内周面30a上に堆積したデポジットは、拡径されてない内周面5aと同一平面まで径方向内側へは成長しない。
一方、上述したように、トップランド15の外周面上のデポジット21は、シリンダライナ5の拡径されていない内周面5aよりも径方向外側へ成長することはない。このため、図5(A)に示したように、ピストン6が上死点にあるときであっても、トップランド15の外周面上のデポジット21は拡径部30の内周面30a上に堆積したデポジット22と接触しない。この結果、トップランド15の外周面上のデポジット21に付着したオイル23cは、拡径部30上のデポジット22には移動せず、オイルの消失が低減される。
ここで、上述したように、ピストン6側のデポジット21とシリンダライナ5側のデポジット21が接触しなければ、オイルの消失を低減することができる。したがって、本実施形態では、拡径された内周面30aにデポジット22が付着しても、付着したデポジット22の内面が拡径されていない内周面5aよりも径方向内側にまで成長しないように拡径部30の内周面30aが拡げられる。すなわち、拡径寸法eは、上述したような数値範囲内であって、デポジット22の最大成長高さよりも大きくされる。したがって、例えばシリンダライナ5の内周面上に堆積するデポジット22が成長できる最大高さが150μmである場合、拡径寸法eは150μmよりも大きな値とされる。
なお、ガソリンエンジンの場合、拡径部30に入り込んだ混合気は初期の燃焼に寄与し難いため、拡径部30を大きくするほど燃焼室7内での混合気の燃焼悪化を招く。このため、拡径部30の拡径寸法eは必要以上に大きくするべきではない。ディーゼルエンジンの場合においても、拡径部30は空気が入り込む無駄な容積となるため、拡径寸法eを必要以上に大きくするべきではない。したがって上述したように、本実施形態では、拡径寸法eは、1000μm以下、好ましくは800μm以下、より好ましくは600μm以下、さらに好ましくは500μm以下とされる。このため、拡径部30を設けることによる混合気の燃焼悪化を最小限に抑制することができる。
<第一変形例>
図6は、図4で示した第一実施例の第一変形例に係る内燃機関の図4と同様な断面図である。本変形例に係るピストン6及びシリンダライナ5の構成は、以下に説明する部分を除いて基本的に図4で説明した実施形態に係るピストン6及びシリンダライナ5の構成と同様である。
本変形例では、拡径部230は、その底面230bが、ピストン6が上死点にあるときに、シリンダ4の軸線方向においてトップリングの上面18aが等しい位置に位置するように構成される。このように構成されることによって、本変形例によれば、図6に示したように、シリンダライナ5の拡大されていない内周面5aの最上端までトップリング18が摺動することができる。これにより、シリンダライナ5の拡大されていない内周面5aの最上端近傍にデポジットが仮に堆積したとしても、トップリング18により完全に取り除くことが可能となる。
なお、図4を用いて示した第一実施形態では、拡径部30の底面30bの位置は、シリンダ4の軸線方向において、ピストン6が上死点にあるときのリング溝の上面14aの位置と等しい位置とされる。また、図6を用いて説明した本第一変形例では、拡径部230の底面230bの位置は、シリンダ4の軸線方向において、ピストン6が上死点にあるときのトップリングの上面18aの位置と等しい位置とされる。しかしながら、拡径部230の底面230bの位置は、これら両位置に限られず、これら図4に示した底面30bの位置と図6に示した底面230bの位置との間の任意の位置に設定されてもよい。したがって、拡径部230の底面230bの位置は、シリンダ4の軸線方向において、ピストン6が上死点にあるときのリング溝の上面14aの位置とトップリングの上面18aの位置との間の任意の位置とされる。さらに、底面230bの位置は、トップリングの上面18aの位置より多少下方に設定されてもよい。したがって、拡径部230の底面230bの位置は、シリンダ4の軸線方向において、ピストン6が上死点にあるときのリング溝の上面14aの位置より多少下方の位置とされてもよい。
<第二変形例>
図7は、図4で示した第一実施形態の第二変形例に係る内燃機関の図4と同様な断面図である。本変形例に係るピストン6及びシリンダライナ5の構成は、以下に説明する部分を除いて基本的に図4で説明した実施形態に係るピストン6及びシリンダライナ5の構成と同様である。
ところで、トップリング18が拡径部330の底面330bよりも上方に移動すると角部Eによってトップリング18が拡径部330に引っかかり損傷してしまうおそれがある。そこで、図7に示す本変形例では、シリンダライナ5の拡径部330は、その底面330bの位置が、ピストン6が上死点にあるときに、シリンダ4の軸線方向においてリング溝の上面14aの位置よりも上方に位置するように構成される。具体的には、拡径部330は、その底面330bの位置が、ピストン6が上死点にあるときに、シリンダ4の軸線方向においてリング溝の上面14aよりもマージンMだけ上方に位置するように構成される。このマージンMは、例えば、0〜1000μmの値とされ、好ましくは0〜500μmとされる。
本変形例によれば、トップリング18が拡径部330に入り込んで損傷するのを抑制することができる。
なお、上記第一実施形態、第一変形例及び第二変形例をまとめると、拡径部は、その底面が、シリンダ4の軸線方向において、ピストン6が上死点にあるときのトップリング18の上面の位置とリング溝の上面14aからマージンMだけ上方の位置との間の任意の位置となるように構成される。しかしながら、拡径部は、ピストン6が上死点にあるときにピストン6のトップランド15と対向する内周面の少なくとも一部に設けられていればよい。拡径部がこのように設けられることによって、トップランド15上及びシリンダライナ5上に堆積するデポジット同士の接触面積を減少させることができる。
<第二実施形態>
次に、図8を参照して、本発明の第二実施形態に係る内燃機関について説明する。本実施形態に係る内燃機関401の構成は、以下に説明する部分を除いて基本的に図4で説明した第一実施形態に係る内燃機関1の構成と同様である。
図8は、可変圧縮比機構Aを有する本発明の第二実施形態に係る内燃機関401の、図1と同様な断面図である。図8を参照すると、440はクランクケース、402はシリンダブロックをそれぞれ示す。図8からわかるように、本実施形態の内燃機関401は、クランクケース440とシリンダブロック402との間の相対距離を変化させることによって機械圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構Aを有する。
<可変圧縮比機構>
図9は、図8の可変圧縮比機構Aの分解斜視図であり、図10は図解的に表した図8の内燃機関401の側面断面図を示している。可変圧縮比機構Aは、内燃機関401の負荷に応じて燃焼室7の容積を変化させて機械圧縮比を調整するための機構である。図9を参照すると、シリンダブロック402の両側壁の下方には互いに間隔を隔てた複数個の突出部50が形成されており、各突出部50内にはそれぞれ断面円形のカム挿入孔51が形成されている。一方、クランクケース440の上壁面上には互いに間隔を隔ててそれぞれ対応する突出部50の間に嵌合せしめられる複数個の突出部52が形成されており、これらの各突出部52内にもそれぞれ断面円形のカム挿入孔53が形成されている。
図9に示したように一対のカムシャフト54、55が設けられており、各カムシャフト54、55上には一つおきに各カム挿入孔53内に回転可能に挿入される円形カム58が固定されている。これらの円形カム58は各カムシャフト54、55の回転軸線と共軸をなす。一方、各円形カム58の両側には図10に示すように各カムシャフト54、55の回転軸線に対して偏心配置された偏心軸57が延びており、この偏心軸57上に別の円形カム56が偏心して回転可能に取付けられている。図9に示したようにこれら円形カム56は各円形カム58の両側に配置されており、これら円形カム56は対応する各カム挿入孔51内に回転可能に挿入されている。
図10(A)に示すような状態から各カムシャフト54、55上に固定された円形カム58を図10(A)において矢印で示したように互いに反対方向に回転させると偏心軸57が互いに離れる方向に移動するために円形カム56がカム挿入孔51内において円形カム58とは反対方向に回転し、図10(B)に示したように偏心軸57の位置が高い位置から中間高さ位置となる。次いで更に円形カム58を矢印で示した方向に回転させると図10(C)に示したように偏心軸57は最も低い位置となる。
なお、図10(A)〜図10(C)にはそれぞれの状態における円形カム58の中心aと偏心軸57の中心bと円形カム56の中心cとの位置関係が示されている。
図10(A)〜図10(C)を比較するとわかるようにクランクケース440とシリンダブロック402の相対位置は円形カム58の中心aと円形カム56の中心cとの距離によって定まり、円形カム58の中心aと円形カム56の中心cとの距離が大きくなるほどシリンダブロック402はクランクケース440から離れる。すなわち、可変圧縮比機構Aは回転するカムを用いたクランク機構によりクランクケース440とシリンダブロック402との相対位置を変化させていることになる。シリンダブロック402がクランクケース440から離れるとピストン6が圧縮上死点に位置するときの燃焼室7の容積は増大する。したがって各カムシャフト54、55を回転させることによってピストン6が圧縮上死点に位置するときの燃焼室7の容積を変更することができる。この結果、可変圧縮比機構によれば、ピストン6とシリンダブロック402とのシリンダ4の軸線方向における相対位置を変化させることが可能となり、内燃機関の圧縮比を変更することができる。
特に、図10(A)に示した状態では、上死点にあるときのピストン6の位置がシリンダブロック402に対して相対的に最も下方に位置する。このため、この状態では、圧縮比が最小となる。一方、図10(C)に示した状態では、上死点にあるときのピストン6の位置がシリンダブロック402に対して相対的に最も上方に位置する。このため、この状態では、圧縮比が最大となる。
図9に示したように各カムシャフト54、55をそれぞれ反対方向に回転させるために駆動モータ59の回転軸にはそれぞれ螺旋方向が逆向きの一対のウォーム61、62が取付けられており、これらウォーム61、62と噛合するウォームホイール63、64がそれぞれ各カムシャフト54、55の端部に固定されている。この実施形態では駆動モータ59を駆動することによってピストン6が圧縮上死点に位置するときの燃焼室7の容積を広い範囲に亘って変更することができる。なお、図9及び図10に示した可変圧縮比機構Aは一例を示すものであって、いかなる形式の可変圧縮比機構でも用いることができる。
図11(A)は、図10(C)で示した状態、すなわち可変圧縮比機構Aによる圧縮比が最大となる状態における、ピストン6が上死点にあるときの図4と同様な断面図である。また、図11(B)は、図11(A)の内燃機関のピストン6上及びシリンダライナ5上にデポジットが堆積した状態を示した断面図である。
本実施形態では、図11(A)に示すように、拡径部430は、その底面430bの位置が、図10(C)で示した状態でピストン6が上死点にあるときに、シリンダ4の軸線方向においてリング溝の上面14aの位置と等しくなるように構成される。したがって、底面430bの位置は、可変圧縮比機構Aによる圧縮比が最小となる状態でピストン6が上死点にあるときに、シリンダ4の軸線方向においてリング溝の上面14aの位置と等しくなる。
拡径部430をこのように構成することで、可変圧縮比機構Aによる圧縮比が最大となっている限り、上述した図5(A)を用いて説明した第一実施形態と同様に、ピストン6側のデポジット21とシリンダライナ5側のデポジット22は接触しない。このため、デポジット21、22間でオイルは移動せず、オイルは消失が抑制される。
一方、例えば可変圧縮比機構Aによる圧縮比が継続的に最小となっている場合を図12に示す。図12は、図10(A)で示した状態、すなわち可変圧縮比機構Aによる圧縮比が最小となる状態における、ピストン6が上死点にあるときの断面図である。図12に示したように、可変圧縮比機構Aによる圧縮比が継続的に最小になっている場合には、デポジット25がシリンダライナ5の拡径されていない内周面5a上に堆積しうる。しかしながら、仮に図12に示したようにデポジット25がシリンダライナ5の内周面5a上に堆積したとしても、可変圧縮比機構Aによって圧縮比が大きくされると、上死点におけるピストン6の位置がシリンダライナ5に対して相対的に上昇する。この結果、シリンダライナ5の内周面5a上に堆積していたデポジット25はピストン6の上昇時にピストン6によって掻き取られる。したがって、ピストン6のトップランド15の外周面上のデポジット21が継続的にシリンダライナ5の内周面5a上のデポジットに接触することはなく、オイルの消失は抑制される。
なお、上記実施形態では、拡径部の底面430bの位置は、図11(A)に示すように、可変圧縮比機構Aによる圧縮比が最大の状態で、ピストン6が上死点にあるときにシリンダ4の軸線方向においてリング溝の上面14aと等しい位置とされる。しかしながら、底面430bの位置はこれに限定されるものではない。図6や図7に示した例のように、拡径部430は、その底面430bが、可変圧縮比機構Aによる圧縮比が最大の状態で、ピストン6が上死点にあるときのトップリング18の上面の位置とリング溝の上面14aからマージンMだけ上方の位置との間の任意の位置となるように構成されてもよい。或いは、拡径部430は、可変圧縮比機構Aによる圧縮比が最大の状態で、ピストン6が上死点にあるときにピストン6のトップランド15と対向する内周面の少なくとも一部に設けられていればよい。
なお、上記実施形態では、ピストンが上死点にあるときのピストンとシリンダブロックとの相対位置を変更する装置として、上述した可変圧縮比機構Aを用いている。しかしながら、斯かる装置は、これに限定されるものではなく、ピストンが上死点にあるときのピストンとシリンダブロックとの相対位置を変更することができれば如何なる装置を用いてもよい。
斯かる装置の例としては、例えば、図13に示したように、ピストンのコンロッドの有効長さを変更する機構が挙げられる。ここで、コンロッドの有効長さとは、クランクピンを受容するクランク受容開口の中心とピストンを受容するピストンピン受容開口の中心との間の距離を意味する。
図13に示したように、可変長コンロッドは、コンロッド本体の小径端部に回動可能に設けられた偏心部材32と、コンロッド本体に設けられた第1ピストン機構33と第2ピストン機構34と、これら両ピストン機構への作動油の流れの切換を行う流れ方向切換機構35とを具備する。偏心部材32にはピストンピンを受容する受容開口32dが設けられ、この受容開口32dは偏心部材32の回動軸線に対して偏心している。
このように構成された可変長コンロッドでは、流れ方向切換機構35により第2ピストン機構34から第1ピストン機構33へ流れるように作動油の流れが切り替えられると、図13(A)に示したように、偏心部材32が矢印で示した方向に回動せしめられる。この結果、コンロッドの有効長さが長くなり(図中のL1)、圧縮比が高められる。一方、流れ方向切換機構35により第1ピストン機構33から第2ピストン機構34へ流れるように作動油の流れが切り替えられると、図13(B)に示したように、偏心部材32が矢印で示した方向に回動せしめられる。この結果、コンロッドの有効長さが短くなり(図中のL2)、圧縮比が低下せしめられる。
<第三実施形態の説明>
図14は、本発明の第三実施形態に係る内燃機関の図4と同様な断面図である。本実施形態に係るピストン6及びシリンダライナ5の構成は、以下に説明する部分を除いて基本的に図4で説明した実施形態に係るピストン6及びシリンダライナ5の構成と同様である。
本実施形態においては、シリンダライナ5の上面5bと拡径された内周面30a(拡径された内周面30aの上方に拡径されていない内周面5aがある場合には、その拡径されていない内周面5a)との接続部、拡径された内周面30aと底面30bとの接続部、及び、底面30bと拡径されていない内周面5aとの接続部が、R形状とされている。これにより、ピストン6を、シリンダ4内に、シリンダ4の軸線方向下方へと挿入する製造工程において、ピストン6及びトップリング18の、シリンダライナ5の内部のエッジによる損傷が抑制され、組み立ても容易となる。図14においては、シリンダライナ5の拡径された内周面30aの上縁部、拡径された内周面30aと底面30bとの接続部、及び、底面30bと拡径されていない内周面5aとの接続部の全てがR形状とされている。しかしながら、これら全てがR形状とされている必要はなく、これらの少なくとも1つがR形状であれば上述した効果を得ることができる。
<その他>
本明細書におけるシリンダライナは、シリンダを画成する面であって、ピストンに配置されたトップリングが摺動する面を有する部分を意味するものである。したがって、本明細書におけるシリンダライナとは、シリンダブロックに対して別体として鋳込まれた筒状体であってもよく、或いはシリンダブロックと一体の部分であって、溶射被膜が形成されたシリンダボアの内面を有する部分であってもよい。
なお、本明細書において、デポジットの高さとは、ピストンの外周面又はシリンダライナの内周面に対して垂直な方向におけるデポジットの寸法を意味する。したがって、ピストンの外周面に付着したデポジットの高さは、シリンダの径方向において、そのピストンの外周面から、デポジットの最も外側の位置までの寸法を意味する。同様に、シリンダライナの内周面に付着したデポジットの高さは、シリンダの径方向において、そのシリンダライナの内周面から、デポジットの最も内側の位置までの寸法を意味する。
3 シリンダヘッド
5 シリンダライナ
5a 拡径されていない内周面
6 ピストン
14 リング溝
14a リング溝の上面
15 トップランド
18 トップリング
30 拡径部
30a 拡径された内周面
30b 底面
e 拡径寸法
ここで、上述したように、ピストン6側のデポジット21とシリンダライナ5側のデポジット22が接触しなければ、オイルの消失を低減することができる。したがって、本実施形態では、拡径された内周面30aにデポジット22が付着しても、付着したデポジット22の内面が拡径されていない内周面5aよりも径方向内側にまで成長しないように拡径部30の内周面30aが拡げられる。すなわち、拡径寸法eは、上述したような数値範囲内であって、デポジット22の最大成長高さよりも大きくされる。したがって、例えばシリンダライナ5の内周面上に堆積するデポジット22が成長できる最大高さが150μmである場合、拡径寸法eは150μmよりも大きな値とされる。

Claims (7)

  1. シリンダブロック内の円筒状のシリンダライナと、該シリンダライナ内で摺動可能なピストンと、を具備する内燃機関であって、
    前記ピストンが、その外周にトップランドに隣接してリング溝を有し、
    前記リング溝内にピストンリングが配置され、
    前記シリンダライナは、前記ピストンが上死点にあるときに該ピストンの前記トップランドと対向する内周面の少なくとも一部に、内周面が拡径された拡径部を有し、
    前記拡径部の内周面の半径は、前記シリンダライナの拡径されていない内周面の半径よりも、前記シリンダの径方向外側に100μmから1000μmだけ大きい、内燃機関。
  2. シリンダブロック内の円筒状のシリンダライナと、該シリンダライナ内で摺動可能なピストンと、を具備する内燃機関であって、
    前記ピストンが、その外周にトップランドに隣接してリング溝を有し、
    前記リング溝内にピストンリングが配置され、
    前記シリンダライナは、前記ピストンが上死点にあるときに該ピストンの前記トップランドと対向する内周面の少なくとも一部に内周面が拡径された拡径部を有し、
    前記拡径部の内周面は、前記拡径部の内周面にデポジットが付着しても、該付着したデポジットが前記シリンダライナの拡径されていない内周面よりも径方向内側にまで成長しないように拡げられている、内燃機関。
  3. 前記拡径部が、前記拡径された内周面と、該拡径された内周面の下端から前記シリンダの径方向内側に延びる底面とによって画成され、
    前記底面は、前記ピストンが上死点にあるときに、前記シリンダの軸線方向において前記ピストンリングの上面と等しい位置又は前記ピストンリングの上面よりも上方の位置にある、請求項1又は2に記載の内燃機関。
  4. 前記底面は、前記ピストンが上死点にあるときに、前記シリンダの軸線方向において前記リング溝の上面と等しい位置にある、請求項3に記載の内燃機関。
  5. 前記底面は、前記ピストンが上死点にあるときに、前記シリンダの軸線方向において前記リング溝の上面より500μm上方の位置よりも下方に位置する、請求項3に記載の内燃機関。
  6. 前記ピストンが上死点にあるときの前記ピストンとシリンダブロックとの前記シリンダの軸線方向における相対位置を変化させることによって機械圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構を更に具備する内燃機関であって、
    前記ピストンが上死点にあるときとは、前記シリンダブロックに対する前記ピストンの前記相対位置が最も燃焼室側に位置する状態で前記ピストンが上死点にあるときである、請求項1から5のいずれか一項に記載の内燃機関。
  7. 前記拡径部が、前記シリンダライナの上面まで延びており、
    前記拡径された内周面の上縁部、前記拡径された内周面と前記底面との接続部、及び、前記底面と前記拡径されていない内周面との接続部の少なくとも1つが、R形状とされた、請求項3から5のいずれか一項に記載の内燃機関。
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