JP2016211292A - 建物の制振構造及び制振装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】構造体の剛性の低下を防止し、ダンパー部による振動吸収効果を向上させる。
【解決手段】建物の制振構造は、一対の柱材1、2及び一対の横架材3、4と、柱材2に設けられるダンパー部5と、ダンパー部5と柱材1の上端部及び下端部との間にそれぞれ延在する一対のブレース材6、7と、柱材1の下端部に取り付けられ、ブレース材7に接続されるホールダウン部20と、ホールダウン部20に固定されるホールダウンアンカー11とを備える。ブレース材7は、アンカー軸線11aを含み下横架材4の長手方向軸線L4と直交する第1仮想平面T1まで延びることなく、ホールダウン部20に接続される。
【選択図】図1

Description

本発明は、建物に生じた振動を抑制する建物の制振構造に関する。本発明はまた、建物の制振構造に用いられる制振装置に関する。
互いに平行に立設する一対の柱材と、一対の柱材の上端部及び下端部に横架される一対の横架材とを有する建物の構造体に適用される制振構造として、従来、一方の柱材の高さ方向中間部にダンパー部を取り付けるとともに、ダンパー部から他方の柱材の上端部及び下端部にかけて一対のブレース材を延設するようにした制振構造が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1記載の制振構造では、ダンパー部から延びる下側のブレース材の端部に、他方の柱材に取り付ける柱材取付け部が設けられるとともに、柱材取付け部の下端に、ホールダウンアンカーを挿入固定するホールダウン部が一体的に設けられる。ホールダウン部に固定されたホールダウンアンカーは、下側の横架材(土台材)を貫通して建物基礎に打ち込まれる。
特開2006−207292号公報(段落0011、0013)
上記した従来の制振構造において、ダンパー部による振動吸収効果を向上させるためには、ダンパー部を接続した部材(ブレース材や柱材)の剛性を高め、振動発生時の構造体の変形をダンパー部に集中させることが好ましい。しかしながら、上記特許文献1記載の制振構造では、ブレース材の端部に柱材取付け部が設けられるとともに柱材取付け部の下端にホールダウン部が設けられるため、振動発生時にブレース材に作用する力を含む合力とその反力とにより柱材に発生する曲げモーメントが増大し、構造体(すなわち建物の層)の局所的な剛性が低下して制振効果が減少することが懸念される。
そこで、建物の制振構造、又は建物の制振構造に用いられる制振装置において、制振構造を適用した構造体(建物の層)の剛性を高め、ダンパー部による振動吸収効果を向上できるようにすることが望まれている。
本発明の一態様は、互いに間隔を空けて立設される第1柱材及び第2柱材と、第1柱材と第2柱材との間にそれぞれ横架され、互いに間隔を空けて配置される一対の横架材と、第2柱材に設けられるダンパー部と、ダンパー部と第1柱材の上端部及び下端部との間にそれぞれ延在する一対のブレース材と、第1柱材の上端部及び下端部の少なくとも一方に取り付けられ、少なくとも一方のブレース材に接続されるとともに少なくとも一方の横架材に隣接して配置されるホールダウン部と、ホールダウン部に固定されるホールダウンアンカーであって、長手方向のアンカー軸線を有するホールダウンアンカーとを備え、少なくとも一方のブレース材は、アンカー軸線を含み少なくとも一方の横架材の長手方向軸線と直交する第1仮想平面まで延びることなく、ホールダウン部に接続される、建物の制振構造である。
本発明の他の態様は、互いに間隔を空けて立設される第1柱材及び第2柱材と、第1柱材と第2柱材との間にそれぞれ横架され、互いに間隔を空けて配置される一対の横架材とを具備する構造体に設置される制振装置であって、ダンパー部と、ダンパー部から延設される一対のブレース材と、少なくとも一方のブレース材に接続されるホールダウン部と、ホールダウン部に固定されるホールダウンアンカーであって、長手方向のアンカー軸線を有するホールダウンアンカーとを備え、少なくとも一方のブレース材は、アンカー軸線を含む第1仮想平面まで延びることなく、ホールダウン部に接続され、ダンパー部が第2柱材に取り付けられ、ホールダウン部が第1柱材の上端部及び下端部の少なくとも一方に取り付けられるとともに少なくとも一方の横架材に隣接して配置され、第1仮想平面が少なくとも一方の横架材の長手方向軸線と直交するように配置された状態で、構造体の振動を抑制することができる、制振装置である。
一態様に係る建物の制振構造によれば、少なくとも一方のブレース材が、アンカー軸線を含み少なくとも一方の横架材の長手方向軸線と直交する第1仮想平面まで延びることなく、ホールダウン部に接続されるので、振動発生時に当該少なくとも一方のブレース材に作用する引張力を含む合力とその反力とにより第1柱材に発生する曲げモーメントを低減でき、以て、制振構造を適用した構造体におけるダンパー部接続部材(ブレース材や柱材)の剛性を高めて、ダンパー部による振動吸収効果を向上させることができる。
他の態様に係る制振装置によれば、建物の制振構造の上記した効果と同等の効果が奏される。
本発明の実施形態に係る建物の制振構造及び制振装置を示す正面図。 図1のA部拡大図。 図2の矢印IIIA方向に見た側面図。 図2の線IIIB−IIIBに沿った断面図。 図2のホールダウン部単体の斜視図。 図1の線V−Vに沿った断面図。 本発明の実施形態に係る制振構造及び制振装置の効果を説明する図。 図6Aの構成に対する比較例を示す図。
図1〜図6Bを参照して、本発明の実施形態に係る建物の制振構造、及び本発明の実施形態に係る制振装置を説明する。本発明の実施形態に係る制振構造及び制振装置は、例として木造建物の壁の一部を構成する構造体に適用される。なお、本発明に係る制振構造及び制振装置は、木造建物以外の建物にも適用できる。図1は、本発明の実施形態に係る木造建物の制振構造、及び同制振構造に用いられる制振装置を示す正面図である。以下では説明の便宜上、壁の高さ方向、幅方向及び奥行方向を、それぞれ上下方向、左右方向及び前後方向と定義する。
図1に示すように、構造体100は、柱材1、2と横架材3、4とを備え、木造建物の単層分の矩形状の骨組みを形成する。すなわち、構造体100は、互いに左右方向に間隔を空けて立設される一対の柱材(第1の左柱材1、第2の右柱材2)と、左柱材1と右柱材2との間にそれぞれ横架され、互いに上下方向に間隔を空けて配置される一対の横架材(第1の上横架材3、第2の下横架材4)とを備える。上横架材3は、左柱材1の上端部と右柱材2の上端部との間に配置され、下横架材4は、左柱材1の下端部と右柱材2の下端部との間に配置される。柱材1、2及び横架材3、4はそれぞれ断面矩形状、すなわち直方体形状の木材である。左柱材1の右面1aは右柱材2の左面2aに対向し、上横架材3の下面3aは下横架材4の上面4aに対向する。この実施形態では、左柱材1と右柱材2とは互いに略平行に配置され、上横架材3と下横架材4とは互いに略平行に配置される。しかし、左柱材1と右柱材2とは互いに平行でなくてもよく、上横架材3と下横架材4とは互いに平行でなくてもよい。また、各横架材3、4が接続される各柱材1、2の上端部及び下端部は、各柱材1、2の長手方向の両端に隣接する任意長さの領域を意味する。
柱材1、2の長手方向両端にはそれぞれ、ほぞ1b、2bが加工され、横架材3、4には、ほぞ1b、2bに対応してほぞ穴3b、4bが加工される。ほぞ穴3b、4bにほぞ1b、2bが嵌合し、構造体100が組み立てられる。柱材と横架材との接合部がほぞとほぞ穴とから構成される木造の構造体は、振動発生時に横架材に対して柱材が回動する構造体としてモデル化できる。柱材1、2の長さは例えば約2730mmであり、一対の柱材1、2の間隔は、例えば約910mmである。すなわち、構造体100の縦横比は、例えば約3:1であることができる。
右柱材2の高さ方向中間部には、ダンパー部5が設けられ、ダンパー部5と左柱材1の上端部及び下端部との間に、それぞれ上下一対のブレース材(第1の上ブレース材6、第2の下ブレース材7)が延設される。ブレース材6、7は、例えば筒状の金属製部材により構成され、それぞれの中心を通る長手方向軸線L1、L2は、水平線に対し所定角度で斜め上方及び斜め下方に向けて延在する。ブレース材6、7の一端部はダンパー部5に接続され、他端部はブレース材支持部8、9に接続される。
左柱材1の右側方には、上横架材3及び下横架材4を貫通してそれぞれホールダウンアンカー10、11が配置され、右柱材2の左側方には、下横架材4を貫通してホールダウンアンカー12が配置される。ホールダウンアンカー10〜12は、例えば金属等の所定の剛性を有する素材からなる棒状部材である。この実施形態では、ホールダウンアンカー10〜12は、横架材3、4から突出する突出部分の先端に雄ねじを有するアンカーボルトとして構成される。ホールダウンアンカー10の上端部は、上横架材3に固定されて支持され、先端の下端部は、上横架材3の下面3aよりも下方に突出して配置される。ホールダウンアンカー11、12の下端部は、下横架材4の下面に隣接する基礎G(図2)に固定されて支持され、先端の上端部は、下横架材4の上面4aよりも上方に突出して配置される。なお、下横架材4が基礎Gに載せられていない場合(例えば多層建物の上層階の壁の場合)は、ホールダウンアンカー11、12の下端部は下横架材4に固定される。
左柱材1の上端部の右側には、ホールダウンアンカー10が固定されるホールダウン部19が設けられ、下端部の右側には、ホールダウンアンカー11が固定されるホールダウン部20が設けられる。右柱材2の下端部の左側には、ホールダウンアンカー12が固定されるホールダウン部15が設けられる。ホールダウン部19は上横架材3に隣接して配置され、ホールダウン部20、15は下横架材4に隣接して配置される。ホールダウン部19、20にそれぞれホールダウンアンカー10、11を挿入し、ホールダウンアンカー10、11の先端をホールダウン部19、20に引き付けながら固定することで、左柱材1が上横架材3及び下横架材4に引き寄せられ、上下横架材3、4からの左柱材1の抜けが防止される。ホールダウン部15にホールダウンアンカー12を挿入し、ホールダウンアンカー12の先端をホールダウン部15に引き付けながら固定することで、右柱材2が下横架材4に引き寄せられ、下横架材4からの右柱材2の抜けが防止される。この実施形態では、ホールダウンアンカー10、11、12の先端の雄ねじにナット26(図2)を所定トルクで締結することで、ホールダウンアンカー10、11、12がホールダウン部19、20、15に引き付けられて固定される。
図2は、図1のA部の拡大図であり、主にホールダウン部20の構成を示す。図3Aは、図2の矢印IIIA方向に見た側面図(ホールダウン部20を右方から見た図)であり、図3Bは、図2の線IIIB−IIIBに沿った断面図(ホールダウン部20の横断面図)である。図4は、ホールダウン部20の単体の斜視図である。なお、ホールダウン部19、20の構造は互いに同一であり、下側のホールダウン部20を上下反転すると上側のホールダウン部19となる。したがって、以下では下側のホールダウン部20の構成を説明し、上側のホールダウン部19の構成については説明を適宜省略する。
図2〜図4に示すように、ホールダウン部20は、略L字形状のベース板部21と、ホールダウンアンカー11が挿入される空間24を形成する側壁部22とを有し、例えば全体が金属により構成されている。ベース板部21は、左柱材1の右面1aに当接する第1板部211と、下横架材4の上面4aに当接する第2板部212とを有し、板厚一定かつ前後方向の長さが一定の平板を、L字状に折り曲げて構成されている。第1板部211と第2板部212には、それぞれ複数の貫通孔213が開口され、貫通孔213を貫通するビス(図示せず)により、ベース板部21が左柱材1と下横架材4とに固定される。さらに、第2板部212の中央部には、空間24に挿入されるホールダウンアンカー11が通過する開口部215が設けられている。図3Bに示すように、開口部215は、左右方向に細長い長孔である。
図3A及び図3Bに示すように、ベース板部21の幅(前後方向長さ)は、左柱材1及び下横架材4の前後方向長さよりも短い。したがって、左柱材1の前後方向中央部及び下横架材4の前後方向中央部にベース板部21を取り付けると、ベース板部21の前後方向両側にパネル等の壁構成部材を取り付けるための領域214が生じる。このため、ベース板部21と干渉することなく、左柱材1及び下横架材4にパネル等の壁構成部材を容易に取り付けることができる。
側壁部22は、互いに対向するとともに第1板部211及び第2板部212の双方に交差して配置される前後一対の側板221、222と、第1板部211に対向して側板221、222の右端部に配置される支持板223とを有する。側板221、222の左端部は、第1板部211の右面に例えば溶接により接合され、側板221、222の下端部は、第2板部212の上面に例えば溶接により接合される。また支持板223は、側板221、222の右端部に例えば溶接により接合されて、それら側板221、222を互いに接続する。側壁部22(側壁221、222及び支持板223)とベース板部21とにより、上方が開口された略ボックス状の空間24が形成され、この空間24に、基礎Gに支持されたホールダウンアンカー11が開口部215を通して挿入される。
図2及び図3Aに示すように、側壁部22(側板221、222及び支持板223)の上端には、上壁部25が配置される。上壁部25の中央部には、ホールダウンアンカー11の上端部が通過する貫通孔(図示せず)が設けられる。この実施形態では、貫通孔を通過したホールダウンアンカー11の上端部の雄ねじにナット26を締結し、上壁部25の上面に対してナット26を所定トルクで締め付けることにより、ホールダウンアンカー11がホールダウン部20(特に上壁部25)に固定される。つまりこの実施形態では、ホールダウンアンカー11は、ホールダウン部20に隣接する下横架材4から突出する突出部分111を有し、ホールダウン部20とホールダウンアンカー11との固定部(ナット26の締結部)は、突出部分111に設けられる。ホールダウンアンカー11をホールダウン部20に固定することにより、左柱材1が、ホールダウン部20、下横架材4及びホールダウンアンカー11を介して基礎Gに固定される。
図2及び図4に示すように、各側板221、222の右端縁と下端縁とが交差する角部には、略円弧状の切り欠き部224が設けられる。支持板223の下面は、第2板部212の上面よりも所定距離だけ上方に位置し、切り欠き部224は支持板223の下面の位置から開始される。したがって、支持板223の下方には、第2板部212との間に、切り欠き部224によって空隙224aが形成される。
支持板223の右面には、ブレース材支持部9が設けられる。図2に示すように、ブレース材支持部9は、側壁部22(支持板223)から側方かつ斜め上方へ延設される平板からなり、ブレース材7の長手方向軸線L2に沿って延在する。ブレース材支持部9の左端部は、支持板223の右面に直交して支持板223の前後方向中央部に、例えば溶接により接合される。ブレース材支持部9の左端部の上下方向長さと支持板223の上下方向長さとはほぼ等しく、ブレース材支持部9は支持板223に対し上下方向に段差なく接合される。ブレース材7の左端部とブレース材支持部9の右端部とは、複数のボルト225により互いに固定して接続される。つまりこの実施形態では、ホールダウン部20とブレース材7との接続部(ボルト225の固定部)は、側壁部22とブレース材7との間に設けられる。
図2に示すように、ホールダウン部20に固定されるホールダウンアンカー11は、長手方向のアンカー軸線11aを有し、ホールダウンアンカー11の突出部分111は、アンカー軸線11aに沿って配置される。アンカー軸線11aは、下横架材4の長手方向軸線L4と略直交する。ホールダウン部20に接続される下ブレース材7は、ブレース材7の左端部で複数のボルト225によりブレース材支持部9の右端部に固定して接続されることで、アンカー軸線11aまで延びないように配置されている。他方、ホールダウン部20とホールダウンアンカー11との固定部(図2ではナット26の締結部)は、アンカー軸線11aの線上に配置される。そして、ホールダウン部20とブレース材7との接続部(図2ではボルト225の固定部)は、アンカー軸線11aの側方であって、図2でアンカー軸線11aの右側(つまりアンカー軸線11aと右柱材2(図1)との間の領域)に配置される。換言すると、下ブレース材7は、アンカー軸線11aを含み下横架材4の長手方向軸線L4と直交する第1仮想平面T1(図2及び図3B)まで延びることなく、ホールダウン部20に接続される。この配置形態で、ブレース材7の長手方向軸線L2は、ホールダウン部20に向かって延長したときに、ホールダウン部20とホールダウンアンカー11との固定部を含みアンカー軸線11aに直交する第2仮想平面T2(図2)から、突出部分111が突出している下横架材4に向かう領域(図2では第2仮想平面T2と基礎Gとの間の領域)において、第1仮想平面T1と交差する。
本実施形態では、ブレース材7の長手方向軸線L2は、ホールダウン部20に向かって延長したときに、支持板223の上下方向のほぼ中間部、或いは支持板223の上下方向中間部と下端部との間を通って、かつ支持板223の前後方向のほぼ中央部を通って、上記領域においてアンカー軸線11aと交差する(図2及び図3B)。なお、上記実施形態の変形例として、ブレース材7が第1仮想平面T1まで延びることなくホールダウン部20に接続されることを前提とすれば、ブレース材支持部9を省略し、ブレース材7の左端部をホールダウン部20の側壁部22に直接、例えば溶接により接合することもできる。この変形例では、ブレース材7の左端部(つまりホールダウン部20との接続部)は、側壁部22の支持板223に接合されてもよいし、側壁部22の側板221又は側板222に接合されてもよい。また、ブレース材7を側板221又は側板222に接合した場合のように、ブレース材7の長手方向軸線L2は、ホールダウン部20に向かって延長したときに、アンカー軸線11aと交差しなくてもよい。
上方のホールダウン部19も、ホールダウン部20の上記構成と同様の構成を有する。要旨を記すと、図1に示すように、上方のホールダウン部19に固定されるホールダウンアンカー10は、長手方向のアンカー軸線10aを有し、ホールダウンアンカー10の突出部分101は、アンカー軸線10aに沿って配置される。ホールダウン部19に接続される上ブレース材6は、ブレース材6の左端部で複数のボルトによりブレース材支持部8の右端部に固定して接続されることで、アンカー軸線10aまで延びないように配置されている。他方、ホールダウン部19とホールダウンアンカー10との固定部(図1ではナット締結部)は、アンカー軸線10aの線上に配置される。そして、ホールダウン部19とブレース材6との接続部(図1ではボルト固定部)は、アンカー軸線10aの側方であって、図1でアンカー軸線10aの右側(つまりアンカー軸線10aと右柱材2との間の領域)に配置される。換言すると、上ブレース材6は、アンカー軸線10aを含み上横架材3の長手方向軸線(図示省略)と直交する第1仮想平面(図示省略)まで延びることなく、ホールダウン部19に接続される。この配置形態で、ブレース材6の長手方向軸線L1は、ホールダウン部19に向かって延長したときに、ホールダウン部19とホールダウンアンカー10との固定部を含みアンカー軸線10aに直交する第2仮想平面(図示省略)から、突出部分101が突出している上横架材3に向かう領域において、第1仮想平面と交差する。また、ブレース材6の長手方向軸線L1は、ホールダウン部19に向かって延長したときに、上記領域においてアンカー軸線10aと交差する。ホールダウン部19においても、前述したホールダウン部20の変形例と同様の変形例を構成できる。
次に、ダンパー部5の構成を説明する。図1に示すように、右柱材2の左面2aには、その高さ方向中間部に、補強材16を介して図示しないビスによりダンパー支持部51が取り付けられている。なお、補強材16は省略することができる。ダンパー支持部51の左方にはブレース材支持部52が配置されている。ブレース材支持部52の上端部及び下端部にはそれぞれボルト52aを介してブラケット53が取り付けられ、ブラケット53にブレース材6、7の右端部がボルト53aを介して結合されている。ダンパー支持部51、ブレース材支持部52及びブラケット53は例えば金属により構成される。
図5は、図1の線V−Vに沿った断面図である。図5に示すように、ダンパー支持部51は、左方向に突出する板部511を有する。ブレース材支持部52の前後両側には、前後一対の板部521が設けられ、板部521は、ダンパー支持部51の板部511の前後両側に配置されるように右方に向けて延在する。板部511と板部521との間には、振動エネルギー吸収材である摩擦材54が介在する。板部511と板部521と摩擦材54とにはそれぞれ貫通孔が開口される。これら貫通孔にはそれぞれボルト55が挿通され、ボルト55にナット56が螺合して、板部511と板部521と摩擦材54とが一体に締結される。
板部511の貫通孔は、上下方向に細長い長孔である。したがって、ブレース材支持部52は、摩擦材54と共に、板部511の長孔に沿ってダンパー支持部51に対し上下方向に相対移動可能である。ブレース材支持部52がダンパー支持部51に対し上下方向に移動すると、板部511が摩擦材54に沿って相対的に摺動する。このとき、摩擦材54が摺動に抵抗する摩擦力を生じることにより、振動が減衰される。すなわち、摩擦材54は振動減衰機能を有するダンパーとして機能し、これにより振動エネルギーを吸収することができる。この場合のダンパー性能(ダンパーの硬さ)は、ボルト55の軸力を調整することによって適宜変更することができる。ここで、摩擦材54としては、例えば、繊維材、充填材(摩擦調整材)及び熱硬化性樹脂(結合材)を含む組成物を用いることができる。繊維材としては、アラミド繊維、ガラス繊維、ビニロン繊維、カーボンファイバー等の耐熱有機繊維、セラミック繊維、鉱物繊維、金属繊維等が挙げられる。充填材としては、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、マイカ、三硫化アンチモン、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、黒鉛、シリカ等の無機充填材、カシューダスト、ゴムダスト、木粉等の有機充填材等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、ポリイミド樹脂、レゾルシノール樹脂、グアナミン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂又はこれらの変性樹脂等が挙げられ、これらの樹脂を、適宜組み合わせて使用することも可能である。
次に、本実施形態に係る木造建物の制振構造の動作について説明する。例えば振動発生時に、図1に示すように上横架材3に水平方向右向きの外力F(下横架材4に対する相対的な外力F)が作用すると、その外力Fが上ブレース材6を介して所定の比率で下向きの外力に変換され、ブレース材支持部52が下方に押される。これによりブレース材支持部52が下方に変位して摩擦材54がダンパー支持部51に沿って摺動し、摩擦材54により振動エネルギーを吸収することができる。
ブレース材支持部52が下方に変位すると、ダンパー部5に作用した外力が下ブレース材7、ホールダウン部20及びホールダウンアンカー11を介して基礎Gに伝達される。このとき、構造体100の剛性が十分に大きければ、上横架材3の水平方向への変位量に基づく振動エネルギーを効率よくダンパー部5で吸収することができる。すなわち、上横架材3が水平方向へ変位したときに、柱材1、2、横架材3、4、ブレース材6、7、ホールダウン部19、20、及びホールダウンアンカー10、11等が実質的に変形せずに、上横架材3の水平方向変位がダンパー部5におけるダンパー支持部51とブレース材支持部52との相対変位に効率よく変換されて、この相対変位の振動を摩擦材54が吸収するので、ダンパー部5による振動吸収効果が向上する。
図6Aは、ブレース材7の下端部における力の作用線を模式的に示す図である。図6Aに示すように、振動発生時には外力F(図1)の下で、ブレース材7の軸線L2に沿ってブレース材7に引張力F1aが作用する一方、左柱材1には、左柱材1の左右方向中心部を通る鉛直方向に延在する中心線L3に沿って上方へ引張力F1bが作用する。これら引張力F1aと引張力F1bとの合力F1は、軸線L2と中心線L3との交点P1から右斜め上方に向かう力と見なすことができ、この合力F1を、左柱材1に取り付けられたホールダウン部20が受けることになる。
他方、ホールダウン部20には、基礎Gに支持されたホールダウンアンカー11が固定されているので、合力F1に対抗する反力F2がホールダウンアンカー11からホールダウン部20に作用する。反力F2は合力F1と平行かつ反対向きの力であって、下横架材4に固定されたホールダウン部20の第2板部212に作用する左向きの力F2a(つまり引張力F1aの水平方向成分に対する反力)と、基礎Gに支持されたホールダウンアンカー11に作用する下向きの力F2b(つまり引張力F1aの垂直方向成分と引張力F1bとを合わせた力に対する反力)との合力である。反力F2は、アンカー軸線11aと下横架材4の上面4aとの交点P2から左斜め下方に向かう力と見なすことができ、この反力F2を、ホールダウン部20を介して左柱材1及び下横架材4が受けることになる。
本実施形態に係る制振構造では、ホールダウン部20に接続される下ブレース材7は、アンカー軸線11aまで延びないように配置され、かつ、ホールダウン部20と下ブレース材7との接続部は、アンカー軸線11aの側方に配置される。この構成により、図6Aに示すように、合力F1の作用線と反力F2の作用線との距離Δd(すなわちモーメントアーム)を短縮でき、左柱材1やホールダウンアンカー11等に生じる曲げモーメントを低減できる。特に本実施形態では、ホールダウンアンカー11の右方に配置された支持板223の右面にブレース材支持部9を設け、ブレース材7の左端部をブレース材支持部9の右端部に固定して接続するようにしたことで、ホールダウン部20と下ブレース材7との接続部がホールダウン部20とホールダウンアンカー11との固定部に対しアンカー軸線11aの側方へずれた位置に配置されるとともに、下ブレース材7の長手方向軸線L2がホールダウン部20とホールダウンアンカー11との固定部(ナット26の締結部)よりも下方(つまり下横架材4に近い位置)を通るように構成している。この構成により、上記した距離Δdの短縮効果、及び上記した曲げモーメントの低減効果を確保している。構造体100(すなわち建物の層)の構成要素(左柱材1等)の曲げモーメントを低減することにより、制振構造の適用に起因する構造体100の剛性の低下を防止することができ、その結果、振動発生時の上横架材3及び左柱材1の変位を効率よくダンパー部5に伝達でき、以て、ダンパー部5による振動吸収効果を向上させることができる。
これに対し、本実施形態の構成に対する比較例として図6Bに示す構成(既述の特許文献1に記載の構成に対応)では、ホールダウン部20′に接続される下ブレース材7は、アンカー軸線11aの線上を通るように配置される。この構成では、図6Aの構成と比較して、合力F1の作用線と反力F2の作用線との間の距離Δd(すなわちモーメントアーム)が長くなる。図6Bに示すように、下ブレース材7は、アンカー軸線11aを超えて左方に延び、その左端部は、ホールダウン部20′の上方に延長される柱材取付け部201に固定されるので、下ブレース材7の長手方向軸線L2は、アンカー軸線11aの線上であって、ホールダウン部20′とホールダウンアンカー11との固定部(ナット26)の上方を通るように配置される。この構成により、図6Aの構成と比較して、距離Δdが長くなり、左柱材1等に生じる曲げモーメントが大きくなる。その結果、構造体100の剛性が制振構造の適用により低下し、振動発生時の上横架材3及び左柱材1の変位を効率よくダンパー部5に伝達することが困難になり、ダンパー部5の振動吸収効果を十分に発揮させることが困難になることが懸念される。
ここで、上記した実施形態や比較例の制振構造においては、振動発生時に下ブレース材7に曲げモーメントが生じる場合がある。この場合、本実施形態に係る制振構造では、ホールダウン部20の側壁部22が有する側板221、222の図で左右方向の長さや、支持板223から延設されるブレース材支持部9の右端部と下ブレース材7の左端部との接続位置等を適宜選択して、ホールダウン部20への下ブレース材7の接続部とホールダウンアンカー11との間の距離(図で左右方向の寸法)を調整することにより、左柱材1の曲げモーメントの低減効果を維持しつつ、下ブレース材7に生じる曲げモーメントを低減することができる。例えば図6Aに示すように、下ブレース材7の長手方向軸線L2がアンカー軸線11aと下横架材4の上面4aとの交点P2に可及的に近接するように、上記した距離を調整することで、左柱材1の曲げモーメントの負担を抑えたまま、下ブレース材7の曲げモーメントも低減することが可能になる。具体的には、支持板223の右面とホールダウンアンカー11との間の距離を、例えば120mm以下、又は100mm以下、又は50mm以下とすることができ、また例えば20mm以上とすることができる。これに対し、図6Bの比較例の構成では、ホールダウン部20′への下ブレース材7の接続部とホールダウンアンカー11との間の距離を調整することが困難であるから、下ブレース材7の曲げモーメントを低減することは困難である。
ホールダウンアンカー11は現場で施工されるため、基礎Gからのホールダウンアンカー11の上方への突出量(したがって下横架材4から突出する突出部分111の長さ)にはばらつきがある。このため、図6Bに示すように、ホールダウン部20の上方(つまりアンカー軸線11aの線上)にブレース材7が配置される場合、基礎Gからのホールダウンアンカー11の突出量が大きいと、ブレース材7とホールダウンアンカー11とが干渉するおそれがある。干渉しない場合であっても、ブレース材7とホールダウンアンカー11との間に十分な隙間を確保できず、ナット26の螺合等のアンカー固定作業が困難になるおそれがある。これに対し、本実施形態では、図6Aに示すように、ホールダウン部20とブレース材7との接続部をホールダウンアンカー11の右方に配置して、ブレース材7がアンカー軸線11aの線上に配置されないように構成しているので、ホールダウンアンカー11とブレース材7との干渉のおそれがなく、ナット26の螺合等のアンカー固定作業が容易になり、またホールダウン部20へのブレース材7の接続作業も容易になる。
上記実施形態による建物の制振構造においては、ブレース材7の長手方向軸線L2と水平面H(例えば下横架材4の上面4a)との成す角度θ(図2)を90°に近付けることにより、振動発生時にブレース材7に作用する引張力F1aを含む合力F1とその反力F2とにより第1柱材1に発生する曲げモーメントを低減することができる。しかし、角度θが90度に近付くほど、ブレース材7に作用する引張力F1aやダンパー部5に生じる摩擦力が大きくなる。
上記した実施形態では、ホールダウン部20の側板221、222の下端部に切り欠き部224を形成し、側板221、222及び支持板223と第2板部212との間に空隙224aを設けている。このため、左柱材1に右方への曲げが生じた場合に、支持板223の下端部が下横架材4の上面4aに当接することが防止され、下横架材4の上面4aに押圧痕が生じることを防ぐことができる。
また上記実施形態では、一対のブレース材6、7からの力が集中して作用するダンパー部5を右柱材2に設けているため、図1に示すように、右柱材2の左面2aに、右柱材2の剛性を高めるための幅(前後方向長さ)一定の金属性の補強材16を設けることができる。補強材16は、ダンパー部5から下横架材4にかけて延在した後、先端部がL字状に折り曲げられ、ビスにより右柱材2の左面2a及び下横架材4の上面4aに取り付けられる。ホールダウン部15は、補強材16の左面に一体に取り付けられる。
本実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)本実施形態に係る建物の制振構造は、互いに平行に立設する一対の柱材1、2と、一対の柱材1、2の上端部及び下端部にそれぞれ横架される一対の横架材3、4と、右柱材2に設けられるダンパー部5と、ダンパー部5と左柱材1の上端部及び下端部との間にそれぞれ延在する一対のブレース材6、7と、左柱材1の上端部及び下端部に取り付けられ、ブレース材6、7に接続されるホールダウン部19、20と、ホールダウン部19、20に固定されるホールダウンアンカー10、11であって、長手方向のアンカー軸線10a、11aを有するホールダウンアンカー10、11とを備え、ブレース材6、7は、アンカー軸線10a、11aまで延びないように配置され、ホールダウン部19、20とブレース材6、7との接続部は、アンカー軸線10a、11aの側方に配置される。
上記構成により、ブレース材7と左柱材1とに作用する引張力の合力F1の作用線と、これに対抗してホールダウン部20に作用する反力F2の作用線との間の距離(すなわちモーメントアーム)Δdが短くなり、構造体100に生じる曲げモーメントを低減することができる。その結果として、構造体100の剛性を高めることができ、振動発生時の上横架材3及び左柱材1の変位を効率よくダンパー部5に伝達できるから、ダンパー部5で摩擦材34が大きく摺動するようになり、以て、ダンパー部5における振動吸収効果を向上させることができる。例えば、図1に示す外力Fのように構造体100の頂部に地震荷重(12kN)を与えた場合の数値解析結果によれば、ある態様においては、左柱材1の最大曲げモーメントを、図6Bの比較例に対比して約半分以下に低減させることができる。そして、このように左柱材1の曲げが抑制されることにより、構造体100の水平変形が少なくなり、構造体100の水平剛性を約3割増加させることが可能になる。
(2)ブレース材7の左端部は、ホールダウン部20の側壁部22に接続されるので、ブレース材7とホールダウンアンカー11との干渉が回避され、ホールダウン部20へのアンカー固定作業が容易になる。また、ブレース材7を接続するブレース材支持部9をホールダウン部20の側壁部22に一体に設けることができ、限られたスペースにホールダウン部20とブレース材支持部9とを効率よく配置することができる。
(3)ホールダウン部20は、右柱材1の右面1aに固定される第1板部211と下横架材4の上面4aに固定される第2板部212とを有するL字状のベース板部21と、第1板部211と第2板部212とに固定され、ホールダウンアンカー11が通過する空間24を形成する側壁部22とを備え、第2板部212に、空間24に挿入されるホールダウンアンカー11が通過する開口部215が形成される。このため、ホールダウン部20の剛性を維持しつつ、ホールダウンアンカー11をホールダウン部20に容易に固定することができる。
(4)側壁部22は、互いに対向し、それぞれが第1板部211及び第2板部212に固定される一対の側板221、222と、第1板部211に対向して配置され、一対の側板221、222同士を接続する支持板223とを有し、一対の側板221、222は、第2板部212と支持板223との間に空隙224aを形成する切り欠き部224を有する。このため、左柱材1に右方向への曲げが生じた場合に側板221、222と支持板223との角部が下横架材4の上面4aに当接することを防ぐことができ、上面4aに押圧痕が生じることを防止できる。
(5)ベース板部21の幅(前後方向長さ)は、左柱材1の右面1aの幅及び下横架材4の上面4aの幅よりも短い。したがって、ベース板部21を左柱材1と下横架材4とに取り付けると、そのベース板部21の幅方向外側に所定の領域214が設けられる(図3A)。このため、ベース板部21と干渉することなく、領域214にパネル等を容易に配置することができる。
(6)ダンパー部5は、右柱材2に固定されるダンパー支持部51と、ブラケット53を介して一対のブレース材6、7の端部が上下方向に離間した状態で連結されるブレース材支持部52と、ダンパー支持部51とブレース材支持部52との間に介装された摩擦材54とを有し、ブレース材支持部52は、摩擦材54を介してダンパー支持部51に摺動可能に支持される。このようにダンパー部5を、摩擦材54の摩擦力によって振動を減衰させる摩擦ダンパーとして構成すると、図示は省略するが、ダンパー部5の荷重変位曲線が略平行四辺形状となり、ダンパー部5による振動エネルギーの吸収効果を高めることができる。
なお、上記実施形態では、互いに対向する上横架材3の下面3a、下横架材4の上面4aからそれぞれホールダウンアンカー10、11を突出させるようにしたが(図1)、いずれか一方の横架材3、4のみからホールダウンアンカー10、11を突出させるようにしてもよい。したがって、左柱材1の右面1aに、ホールダウン部19、20の一方のみを取り付けるようにしてもよい。上記実施形態では、下横架材4からホールダウンアンカー12を突出させ、ホールダウン部15を補強材16に取り付けるようにしたが、本発明においてこの構成は必須ではない。
上記実施形態(図1)では、ほぞ1b、2bとほぞ穴3b、4bとを用いて柱材1、2と横架材3、4とを組み立てるようにしたが、他の構成により柱材1、2と横架材3、4とを組み立ててもよい。互いに平行に立設し、互いに対向する対向面(右面1a、左面2a)を有するのであれば、第1柱材及び第2柱材としての左柱材1及び右柱材2の構成はいかなるものでもよい。一対の柱材1、2の上端部及び下端部にそれぞれ横架され、互いに対向する対向面(下面3a、上面4a)をそれぞれ有するのであれば、上横架材3及び下横架材4としての一対の横架材の構成はいかなるものでもよい。
上記実施形態では、ホールダウン部20の側壁部22にブレース材支持部9を取り付けるようにしたが、ブレース材7の長手方向軸線L2がホールダウン部20とホールダウンアンカー11との固定部よりも下横架材4に近接する位置に配置されるように構成されるのであれば、ブレース材支持部を他の位置に設けてもよく、ブレース材支持部の構成は上述したものに限らない。例えば、左柱材1とブレース材7に作用する引張力の合力F1の作用線とホールダウン部20に作用する反力F2の作用線とが一致するようにブレース材7を配置し、このブレース材7の端部をブレース材支持部で支持してもよい。上記実施形態(図2)では、ホールダウンアンカー11の先端部にナット26を螺合してホールダウンアンカー11をホールダウン部20に固定するようにしたが、固定部の構成はこれに限らない。
上記実施形態では、L字状に折り曲げられたベース板部21を左柱材1と下横架材4とにそれぞれ取り付けるようにしたが、ホールダウン部20のベース板部21の構成はこれに限らない。上記実施形態では、ベース板部21の第2板部212に、ホールダウンアンカー11が貫通する長孔形状の開口部215を設けたが(図3B)、開口部を長孔ではなく切り欠きによって構成してもよい。上記実施形態では、一対の側壁221、222と支持板223とによりホールダウンアンカー11が通過する空間部24を形成したが、側壁部22の構成はこれに限らない。上記実施形態では、ベース板部21を左柱材1と下横架材4の幅方向(前後方向)中間位置に配置し、ベース板部21の幅方向外側にパネルを配置する領域214を設けたが(図3A)、領域214には他の所定部材を配置することもできる。
上記実施形態では、摩擦材54の摩擦力によって振動エネルギーを吸収するようにしたが、摩擦材54の代わりに粘弾性体等の他の振動エネルギー吸収材を用いてもよく、ダンパー部5の構成は上述したものに限らない。すなわち、本発明は、種々のダンパー部を有する木造建物の制振構造に適用することができる。
上記した建物の制振構造に用いられる本発明の実施形態による制振装置は、図1に示すように、互いに平行に立設する第1柱材1及び第2柱材2と、第1柱材1の上端部及び下端部と第2柱材2の上端部及び下端部との間にそれぞれ横架される上下一対の横架材3、4とを具備する構造体100に設置される制振装置であって、ダンパー部5と、ダンパー部5から延設される一対のブレース材6、7と、少なくとも一方のブレース材6、7に接続されるホールダウン部19、20と、ホールダウン部19、20に固定されるホールダウンアンカー10、11であって、長手方向のアンカー軸線10a、11aを有するホールダウンアンカー10、11とを備え、ホールダウン部19、20に接続される少なくとも一方のブレース材6、7は、アンカー軸線10a、11aまで延びないように配置され、ホールダウン部19、20と少なくとも一方のブレース材6、7との接続部は、アンカー軸線10a、11aの側方に配置されるように構成される。この制振装置は、ダンパー部5が第2柱材2に取り付けられ、ホールダウン部19、20が第1柱材1の上端部及び下端部の少なくとも一方に取り付けられた状態で、構造体100の振動を抑制することができる。この制振装置によっても、建物の制振構造が奏する前述した効果と同等の効果が奏される。
1、2 柱材
3、4 横架材
5 ダンパー部
6、7 ブレース材
10、11 ホールダウンアンカー
11a アンカー軸線
19、20 ホールダウン部
21 ベース板部
22 側壁部
26 ナット
L2 下ブレース材の長手方向軸線
L4 下横架材の長手方向軸線
T1 第1仮想平面
T2 第2仮想平面

Claims (9)

  1. 互いに間隔を空けて立設される第1柱材及び第2柱材と、
    前記第1柱材と前記第2柱材との間にそれぞれ横架され、互いに間隔を空けて配置される一対の横架材と、
    前記第2柱材に設けられるダンパー部と、
    前記ダンパー部と前記第1柱材の上端部及び下端部との間にそれぞれ延在する一対のブレース材と、
    前記第1柱材の前記上端部及び前記下端部の少なくとも一方に取り付けられ、少なくとも一方の前記ブレース材に接続されるとともに少なくとも一方の前記横架材に隣接して配置されるホールダウン部と、
    前記ホールダウン部に固定されるホールダウンアンカーであって、長手方向のアンカー軸線を有するホールダウンアンカーとを備え、
    前記少なくとも一方のブレース材は、前記アンカー軸線を含み前記少なくとも一方の横架材の長手方向軸線と直交する第1仮想平面まで延びることなく、前記ホールダウン部に接続される、
    建物の制振構造。
  2. 前記ホールダウンアンカーは、前記ホールダウン部に隣接する前記横架材から前記アンカー軸線に沿って突出する突出部分を有し、該突出部分に、前記ホールダウン部と前記ホールダウンアンカーとの固定部が設けられ、前記少なくとも一方のブレース材の長手方向軸線は、前記ホールダウン部に向かって延長したときに、前記固定部を含み前記アンカー軸線に直交する第2仮想平面から前記突出部分が突出する前記横架材に向かう領域において、前記第1仮想平面と交差する、請求項1に記載の建物の制振構造。
  3. 前記少なくとも一方のブレース材の前記長手方向軸線は、前記ホールダウン部に向かって延長したときに、前記領域において前記アンカー軸線と交差する、請求項2に記載の建物の制振構造。
  4. 前記ホールダウン部は、前記ホールダウンアンカーが挿入される空間を形成する側壁部を備え、前記接続部は、前記少なくとも一方のブレース材と前記側壁部との間に設けられる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の建物の制振構造。
  5. 前記ホールダウン部は、前記第1柱材に固定される第1板部と前記横架材に固定される第2板部とを有するL字状のベース板部をさらに備え、前記側壁部は前記第1板部と前記第2板部との双方に固定され、前記第2板部に、前記空間に挿入される前記ホールダウンアンカーが通過する開口部が形成される、請求項4に記載の建物の制振構造。
  6. 前記側壁部は、互いに対向するとともに前記第1板部及び前記第2板部の双方に交差して配置される一対の側板と、前記第1板部に対向して配置され、前記一対の側板同士を接続する支持板とを有し、前記一対の側板は、前記第2板部と前記支持板との間に空隙を形成する切り欠き部を有する、請求項5に記載の建物の制振構造。
  7. 前記ホールダウン部は、前記側壁部の上端に配置される上壁部をさらに備え、前記ホールダウンアンカーは、前記上壁部に固定される、請求項4〜6のいずれか1項に記載の建物の制振構造。
  8. 前記ダンパー部は、前記第2柱材に固定されるダンパー支持部と、前記一対のブレース材の長手方向端部が上下方向に離間した状態で連結されるブレース材支持部と、前記ダンパー支持部と前記ブレース材支持部との間に介在する振動エネルギー吸収材とを有し、前記ブレース材支持部は、前記振動エネルギー吸収材を介して前記ダンパー支持部に移動可能に支持される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の建物の制振構造。
  9. 互いに間隔を空けて立設される第1柱材及び第2柱材と、前記第1柱材と前記第2柱材との間にそれぞれ横架され、互いに間隔を空けて配置される一対の横架材とを具備する構造体に設置される制振装置であって、
    ダンパー部と、
    前記ダンパー部から延設される一対のブレース材と、
    少なくとも一方の前記ブレース材に接続されるホールダウン部と、
    前記ホールダウン部に固定されるホールダウンアンカーであって、長手方向のアンカー軸線を有するホールダウンアンカーとを備え、
    前記少なくとも一方のブレース材は、前記アンカー軸線を含む第1仮想平面まで延びることなく、前記ホールダウン部に接続され、
    前記ダンパー部が前記第2柱材に取り付けられ、前記ホールダウン部が前記第1柱材の上端部及び下端部の少なくとも一方に取り付けられるとともに少なくとも一方の前記横架材に隣接して配置され、前記第1仮想平面が前記少なくとも一方の横架材の長手方向軸線と直交するように配置された状態で、前記構造体の振動を抑制することができる、制振装置。
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