作業用ゴンドラ10Aの一例を示す斜視図である図1等の添付の図面を参照し、本発明にかかる作業用ゴンドラの詳細を説明すると、以下のとおりである。なお、図2は、作業用ゴンドラ10Aの正面図であり、図3は、作業用ゴンドラ10Aの背面図である。図4は、一例として示す第1および第2支持支柱と真空グリッパーとの側面図であり、図5は、図4の第1および第2支持支柱と真空グリッパーとの正面図である。図6は、他の一例として示す第1および第2支持支柱と真空グリッパーとの側面図であり、図7は、図6の第1および第2支持支柱と真空グリッパーとの正面図である。
図1では、ネットカバーの図示を一部省略している。図1〜図3では、真空ホース89の図示を省略している。図4,5では、真空グリッパーの吸着面にシーリングフォームが取り付けられ、図6,7では、真空グリッパーの吸着面に複数の真空パッドが取り付けられている。図1では、上下方向を矢印Aで示し、幅方向の矢印Bで示すとともに、前後方向を矢印Cで示す。図4,6では、前後方向前方を矢印C1で示し、前後方向後方を矢印C2で示す。作業用ゴンドラ10A(ゴンドラ10B,10Cを含む)では、建造物とし
てビル11を例として説明する。なお、建造物には、ビル11の他に、橋梁やダム、高速道路等がある。
作業用ゴンドラ10Aは、ビル11(建造物)に対する各種工事を行う場合において、高所作業における安全な足場を確保するために使用される。作業用ゴンドラ10Aは、ビル11の外壁12の外側に配置され、昇降装置によってビル11の屋上から上下方向へ昇降可能に吊り下げられる。作業用ゴンドラ10Aでは、それに作業者が乗り、作業者がゴンドラ10Aの前部(前面開口)からビル11の外壁12とゴンドラ10Aとの間のスペース13に手を伸ばし、ビル11に対して各種の工事を行う。建造物に対する各種の工事には、超高層ビル工事、一般ビル工事、吹付塗装工事、外壁補修工事、クリーニング工事、サッシ工事、ガラス工事、看板工事、コンクリートプレハブ工事、橋梁工事、ダム工事、高速道路工事等がある。
昇降装置の一例としては、ビルの屋上に着脱可能に設置された吊り具(図示せず)と、吊り具から地上に向かって延びる2本の吊りワイヤーロープ14と、それら吊りワイヤーロープ14を巻き上げるエンドレスワインダー方式の2つの巻上機15とから形成されている。吊り具には、自在フック式やU型フック式、傾斜突りょう型、バランスアーム型、レール・台車型等の現在知られているあらゆる吊り具を使用することができる。巻上機15には、ビル11の屋上に設置したドラムを利用して吊りワイヤーロープを巻き上げるドラム方式を使用することもできる。
作業用ゴンドラ10Aは、幅方向へ長い略長方形の外観形状を有し、ビル11の外壁12に対向する前部16と、前部16の反対側に位置してビル11の外壁12に非対向の後部17と、ビル11の屋上側に位置する頂部18と、地上側に位置する底部19と、頂部18および底部19の間に位置する中央部20と、両側部21とを有する。ゴンドラ10Aは、底部19に設置されて幅方向へ長い所定面積の床材22と、床材22を支持する底フレーム23(床材支持板)と、床材21の上方(ゴンドラ10Aの中央部20)に位置して幅方向へ延びるフロント手摺24(前手摺)(角柱パイプ)およびリア手摺25(後手摺)(角柱パイプ)と、底フレーム23やフロント手摺24、リア手摺25に連結されて上下方向や幅方向、前後方向へ延びる複数本の補強支柱26(角柱パイプ)とから作られている。
床材22は、木板や鋼材、鉄、アルミ、真鍮、合金等の金属板から作られ、または、木板の外周面を金属で被覆した複合材から作られている。床材22は、底フレーム23に載置固定されている。底フレーム23やフロント手摺24、リア手摺25、補強支柱26は、鋼材や鉄、アルミ、真鍮、合金等の金属から作られている。底フレーム23やフロント手摺24、リア手摺25、補強支柱26は、溶接によって連結されている。ゴンドラ10Aには、床材22や底フレーム23、フロント手摺24、リア手摺25、補強支柱26に囲繞された作業空間が画成されている。なお、作業用ゴンドラ10Aの形状は図示のそれに限定されず、あらゆる形状のゴンドラを使用することができる。
底フレーム23の各角部の下方には、キャスター27が取り付けられている。ゴンドラ10Aの両側部21における床材22には、吊りワイヤーロープ14がつながる巻上機15が設置固定され、ゴンドラ10Aの一方の側部21における床材22には、ゴンドラ用制御盤28が載置固定されている。ゴンドラ用制御盤28にはビル11の屋上から垂下する電源ケーブル29が接続され、制御盤28から電源ケーブル(図示せず)によって各巻上機15に電力が供給される。補強支柱26には、ケーブルを介してゴンドラ用制御盤28につながるペンダントスイッチ30が掛けられている。前部16には、ビル11の外壁12に吸着しつつゴンドラ10Aをビル11に連結(固定)する(ゴンドラ10Aを空中で静止させる)吸着装置63(吸着手段)が設置されている。
吸着装置63は、ゴンドラ10Aの前部16から前後方向へ延びる2本の第1支持支柱31(角柱パイプ)と、ゴンドラ10Aの前部16に設置されて幅方向へ延びる1本の第2支持支柱32(角柱パイプ)と、第1支持支柱32の先端部33に取り付けられた2台の真空グリッパー34と、それら真空グリッパー34に接続された真空ポンプ35とから形成されている。なお、真空グリッパー34の台数に制限はなく、ゴンドラ10Aの大きさ(幅寸法や上下寸法)によってゴンドラ10Aに1台の真空グリッパー34または3台以上の真空グリッパー34が設置される場合がある。
第1および第2支持支柱31,32は、鋼材や鉄、アルミ、真鍮、合金等の金属から作られている。第1支持支柱31は、旋回ロッド36と、旋回ロッド36から前後方向へスライド可能なスライドロッド37とから形成されている。第2支持支柱32は、連結金具(図示せず)によって床材21とフロント手摺24との間に延びる補強支柱26に着脱可能に連結されている。それら第1支持支柱31は、旋回ロッド36の基端部38が継手39(ユニバーサルジョイントやボールソケット継手等)によって第2支持支柱32に着脱可能に設置され、第2支持支柱32に対して上下方向や幅方向へ旋回可能かつ幅方向へスライド可能に連結されている。
第1支持支柱31は、旋回ロッド36を幅方向へスライド(移動)させた後、旋回ロッド36の基端部38を継手39によって第2支持支柱32に固定することで、第2支持支柱32に対する幅方向の設置位置を決めることができる。第1支持支柱31の旋回ロッド36は、第2支持支柱32に固定された後であっても継手39によって第2支持支柱32に対して上下方向と幅方向とへ旋回する。第1支持支柱31は、スライドロッド37を旋回ロッド36の所定の位置で固定し、スライドロッド37のスライド(伸縮)を不能にするスライドストッパー(スライド固定機構)(図示せず)を備えている。
第1支持支柱31では、スライドロッド37を前後方向前方へスライドさせることで、第1支持支柱31を前後方向前方へ伸長させることができ、第1支持支柱31の前後方向の長さ寸法を長くすることができる。逆に、スライドロッド37を前後方向後方へスライドさせることで、第1支持支柱31を前後方向後方へ縮めることができ、第1支持支柱31の前後方向の長さ寸法を短くすることができる。
スライドロッド37を前後方向前方へスライドさせた後、スライドストッパー(スライド固定機構)によってスライドロッド37を旋回ロッド36に固定することで、第1支持支柱31が前後方向前方へ伸長した状態を維持することができ、スライドロッド37を前後方向後方へスライドさせた後、スライドストッパー(スライド固定機構)によってスライドロッド37を旋回ロッド36に固定することで、第1支持支柱31が前後方向後方へ縮んだ状態を維持することができる。スライドロッド37を利用して第1支持支柱31を前後方向へ伸縮させることで、第1支持支柱31の長さ寸法をスペース13の距離に応じて調節することができる。
真空グリッパー34は、アルミから作られた角柱状のグリッパー筐体40と、柔軟性を有する所定面積かつ所定厚みのシーリングフォーム41(シーリングスポンジ)または弾性変形可能な複数の真空パッド42(吸着パッド)とから形成されている。グリッパー筐体40は、所定面積の四角形の吸着面43を有する。真空グリッパー34は、グリッパー筐体40の後面(後部)が継手44(ユニバーサルジョイント、ボールソケット継手等)によってスライドロッド37(第1支持支柱31)の先端部(先端部33)に上下方向や幅方向へ旋回可能に連結されている。
なお、第1支持支柱31の旋回ロッド36が第2支持支柱32に対して上下方向や幅方向へ旋回可能に連結され、真空グリッパー34のグリッパー筐体40の後面(後部)がスライドロッド37(第1支持支柱31)の先端部(先端部33)に旋回不能に固定されていてもよい。または、第1支持支柱31の旋回ロッド36が第2支持支柱32に対して上下方向や幅方向へ旋回不能に固定され、真空グリッパー34のグリッパー筐体40の後面(後部)がスライドロッド37(第1支持支柱31)の先端部(先端部33)に上下方向や幅方向へ旋回可能に連結されていてもよい。
真空グリッパー34としては、グリッパー筐体40に真空発生装置が内蔵されておらず、真空発生装置(真空ポンプ35または真空ブロア)に接続する接続タイプ、または、グリッパー筐体40に真空発生装置が内蔵されている内蔵タイプがある。図1のゴンドラ10Aでは、接続タイプの真空グリッパー34が使用されており、真空ポンプ35が床材21に載置固定されている。接続タイプの真空グリッパー34では、グリッパー筐体40の真空発生装置接続口(図示せず)と真空ポンプ35(または真空ブロア)とが真空ホース89によって接続される。真空ポンプ35には、制御盤28から電源ケーブル(図示せず)によって電力が供給される。真空グリッパー34(真空ポンプ35)のON,OFFは、ペンダントスイッチ30によって行われる。
なお、ゴンドラ10Aでは、内蔵タイプの真空グリッパー34を使用することもできる。内蔵タイプの真空グリッパー34では、圧縮空気を給気することで使用可能となる。内蔵タイプの真空グリッパー34を使用する場合、圧縮空気発生装置(エアーコンプレッサー)が床材22に載置固定され、グリッパー筐体40と圧縮空気発生装置(エアーコンプレッサー)とがエアーホース(図示せず)によって接続される。圧縮空気発生装置(エアーコンプレッサー)には、制御盤28から電源ケーブル(図示せず)によって電力が供給される。内蔵タイプの真空グリッパー34(圧縮空気発生装置)のON,OFFは、ペンダントスイッチ30によって行われる。
シーリングフォーム41は、グリッパー筐体40の吸着面43と略同形の四角形に成形され、複数の吸着穴45を有し、グリッパー筐体40の吸着面43に着脱可能に取り付けられている。グリッパー筐体40の吸着面43にシーリングフォーム41が取り付けられた場合、図5に示すように、真空グリッパー34には、吸着面43に存在しつつシーリングフォーム41の吸着穴45に対応した複数の吸着口46が形成される。グリッパー筐体40の吸着面43にシーリングフォーム41が取り付けられた真空グリッパー34は、真空ポンプ35を稼働(内蔵タイプでは圧縮空気を圧縮空気発生装置に給気)させると、ポンプ35(または圧縮空気発生装置)によってそれら吸着口46が真空状態になり、シーリングフォーム41(吸着面43)をビル11の外壁12に当接させることで、真空グリッパー34のそれら吸着口43が外壁12に吸い付き、真空グリッパー34が外壁12の外面に吸着する。
外壁12に平坦面のみならず凹面や凸面があった場合、それら吸着口43のうちの外壁12の平坦面に位置する吸着口43が平坦面に吸い付き、外壁12の凹面や凸面ではシーリングフォーム41が伸縮(変形)して外壁12の凹面や凸面の形状に追従しつつ、凹面や凸面に位置する吸着口43が凹面や凸面に吸い付く。したがって、シーリングフォーム41が取り付けられた真空グリッパー34は、外壁12に凹面や凸面があったとしても、グリッパー34が外壁12の外面にしっかりと吸着する。真空グリッパー34が外壁12の外面に吸着することで、作業用ゴンドラ10Aが吸着装置63を介してビル12の外壁11に連結固定される。
シーリングフォーム41が取り付けられた真空グリッパー34において、継手39によって第1支持支柱31の旋回ロッド36が第2支持支柱32に対して上下方向や幅方向へ旋回可能であり、継手44によってグリッパー筐体40がスライドロッド37(第1支持支柱31)の先端部34に対して上下方向や幅方向へ旋回可能である場合(第1支持支柱31の旋回ロッド36が第2支持支柱32に対して上下方向や幅方向へ旋回可能に連結され、グリッパー筐体40がスライドロッド37(第1支持支柱31)の先端部(先端部33)に旋回不能に固定されている場合、または、第1支持支柱31の旋回ロッド36が第2支持支柱32に対して上下方向や幅方向へ旋回不能に固定され、真空グリッパー34のグリッパー筐体40の後面(後部)がスライドロッド37(第1支持支柱31)の先端部(先端部33)に上下方向や幅方向へ旋回可能に連結されている場合を含む。)、空中に吊り下げられた作業用ゴンドラ10Aが風の影響や作業の影響によって揺れ動いた(揺動した)としても、その揺れが継手39や継手44によって吸収されるから、揺れが真空グリッパー34に直接作用することがなく、揺れがグリッパー34に作用することによるグリッパー34の吸着面43(シーリングフォーム41の吸着穴45)のビル11の外壁12からの不用意な剥離を防ぐことができる。
シーリングフォーム41が取り付けられた真空グリッパー34において、グリッパー34を外壁12に吸着させた後、第1支持支柱31の旋回ロッド36を固定金具(図示せず)によって第2支持支柱に旋回不能に固定し、旋回ロッド36を旋回不能な固定ロッドとし、グリッパー筐体40を固定金具(図示せず)によってスライドロッド37(第1支持支柱31)の先端部(先端部33)に旋回不能に固定する場合がある。この場合、真空グリッパー34の吸着力(吸引力)を強くしてグリッパー34の吸着面43(シーリングフォーム41の吸着穴45)をビル11の外壁12に強力に吸着させることにより、作業用ゴンドラ10Aが吸着装置63によって外壁12に搖動不能に連結されるから、風の影響や作業の影響があったとしても、ゴンドラ10Aが揺れ動くことはなく、ゴンドラ10Aの空中における静止状態が保持される。
それら真空パッド42は、ゴム素材から作られ、グリッパー筐体40の吸着面43に対して前後左右に伸縮(弾性変形)する。真空パッド42は、グリッパー筐体40の吸着面43に着脱可能に取り付けられている。グリッパー筐体40の吸着面43に複数の真空パッド42が設置された場合、図7に示すように、真空グリッパー34には、それら真空パッド43によって吸着面43に存在する複数の吸着口46が形成される。グリッパー筐体40の吸着面43に複数の真空パッド42が取り付けられた真空グリッパー34は、真空ポンプ35を稼働(内蔵タイプでは圧縮空気を圧縮空気発生装置に給気)させると、ポンプ35(または圧縮空気発生装置)によってそれら真空パッド42が真空状態になり、真空パッド42(吸着面43)をビル11の外壁12に当接させることで、それら真空パッド42(吸着口46)が外壁12に吸い付き、真空グリッパー34が外壁12の外面に吸着する。
外壁12に平坦面のみならず凹面や凸面があった場合、それら真空パッド42のうちの外壁12の平坦面に位置する真空パッド42が平坦面に吸い付き、外壁12の凹面や凸面ではそれら真空パッド42が前後左右に伸縮(弾性変形)して外壁12の凹面や凸面の形状に追従しつつ、凹面や凸面に位置する真空パッド42が凹面や凸面に吸い付く。したがって、複数の真空パッド42が取り付けられた真空グリッパー34は、外壁12に凹面や凸面があったとしても、それが外壁12の外面にしっかりと吸着する。真空グリッパー34(複数の真空パッド42)が外壁12の外面に吸着することで、作業用ゴンドラ10Aが吸着装置63を介してビル11の外壁12に連結固定される。
真空パッド42が取り付けられた真空グリッパー34は、継手39によって第1支持支柱31の旋回ロッド36が第2支持支柱32に対して上下方向や幅方向へ旋回可能であり、継手44によってグリッパー筐体40がスライドロッド37(第1支持支柱31)の先端部(先端部33)に対して上下方向や幅方向へ旋回可能である場合(第1支持支柱31の旋回ロッド36が第2支持支柱32に対して上下方向や幅方向へ旋回可能に連結され、グリッパー筐体40がスライドロッド37(第1支持支柱31)の先端部(先端部33)に旋回不能に固定されている場合、または、第1支持支柱31の旋回ロッド36が第2支持支柱32に対して上下方向や幅方向へ旋回不能に固定され、真空グリッパー34のグリッパー筐体40の後面(後部)がスライドロッド37(第1支持支柱31)の先端部(先端部33)に上下方向や幅方向へ旋回可能に連結されている場合を含む。)、空中に吊り下げられた作業用ゴンドラ10Aが風の影響や作業の影響によって揺れ動いた(揺動した)としても、その揺れが継手39や継手44によって吸収されるから、揺れが真空グリッパー34に直接作用することがなく、揺れがグリッパー34に作用することによるグリッパー34の吸着面43のビル11の外壁12からの不用意な剥離を防ぐことができる。
真空パッド42が取り付けられた真空グリッパー34において、グリッパー34を外壁12に吸着させた後、第1支持支柱31の旋回ロッド36を固定金具(図示せず)によって第2支持支柱32に旋回不能に固定し、旋回ロッド36を旋回不能な固定ロッドとし、グリッパー筐体40を固定金具(図示せず)によってスライドロッド37(第1支持支柱31)の先端部(先端部33)に旋回不能に固定する場合がある。この場合、真空グリッパー34の吸着力(吸引力)を強くしてグリッパー34の吸着面43(真空パッド42)をビル11の外壁12に強力に吸着させることにより、作業用ゴンドラ10Aが吸着装置63によってビル11の外壁12に搖動不能に連結されるから、風の影響や作業の影響があったとしても、ゴンドラ10Aが揺れ動くことはなく、作業用ゴンドラ10Aの空中における静止状態が保持される。
図8は、ビル11の外壁12に連結される前の作業用ゴンドラ10Aの側面図であり、図9は、ビル11の外壁12に連結された後の作業用ゴンドラ10Aの側面図である。図8は、真空グリッパー34をビル11の外壁12に吸着させる以前の状態を示し、図9は、真空グリッパー34をビル11の外壁12に吸着させた後の状態を示す。図8,9では、真空ホース90の図示を省略している。図8,9では、ビル11の屋上から地上に向かってネットカバー47が掛けられ、ゴンドラ10Aがネットカバー47とビル11との間に配置されている。ネットカバー47は、合成樹脂から作られた網ネットであり、ビル11の外壁12に対する工事によって発生したコンクリートガラやモルタルガラ、タイルガラ等の固形廃棄物の周囲への飛散を防止する。
作業用ゴンドラ10Aを使用してビルの外壁に対する各種工事を行う手順の一例は、以下のとおりである。なお、第2支持支柱32が連結金具によって既に補強支柱26に固定されているものとする。図8に示すように、ゴンドラ10Aが昇降装置(吊り具、吊りワイヤーロープ14、巻上機15)によってビル11の屋上から吊り下げられ、作業員(図示せず)が工事の準備をするものとする。地上に下降したゴンドラ10Aに作業員が乗り込み、ペンダントスイッチ30の上昇ボタンを押す(上昇ON)と、巻上機15が起動し、ゴンドラ10Aが地上からビル11の屋上に向かって次第に上昇する。
作業用ゴンドラ10Aをビル11の外壁12の工事箇所まで上昇させた後、ペンダントスイッチ30の停止ボタンを押してゴンドラ10Aを停止させる。次に、第1支持支柱31の旋回ロッド36を第2支持支柱32の幅方向へ移動させて第2支持支柱32に対する第1支持支柱31の位置を決めた後、第1支持支柱31の旋回ロッド36を第2支持支柱32に固定する。第1支持支柱31の旋回ロッド36を第2支持支柱32に固定した後、真空グリッパー34の吸着口46(シーリングフォーム41または真空パッド42)がビル11の外壁12に当接するまで、スライドロッド37を旋回ロッド36から前後方向前方へスライドさせて第1支持支柱31を伸長させる。真空グリッパー34の吸着口46(シーリングフォーム41または真空パッド42)を外壁12に当接させた位置でスライドストッパー(スライド固定機構)によってスライドロッド37を旋回ロッド36に固定し、第1支持支柱31の長さ寸法をスペース13の前後方向の距離に合わせる。
第1支持支柱31の長さ寸法をスペース13の距離に合わせた後、ペンダントスイッチ30の吸着開始ボタンを押す(吸着ON)。吸着開始ボタンを押すと、真空ポンプ35が起動(内蔵タイプでは圧縮空気を圧縮空気発生装置に給気)し、ポンプ35(または圧縮空気発生装置)によって真空グリッパー34の吸着口46(シーリングフォーム41の吸着穴46または真空パッド42)が真空状態になり、グリッパー34の吸着面46がビル11の外壁12に吸着し、吸着装置63によってゴンドラ10Aが外壁12に連結(固定)される。
なお、吸着装置63によってゴンドラ10Aがビル11の外壁12に連結固定された後、または、吸着装置63によってゴンドラ10Aがビル11の外壁12に連結される前に、第1支持支柱31を第2支持支柱32に旋回不能に固定し、真空グリッパー34のグリッパー筐体40をスライドロッド37に旋回不能に固定する場合がある。吸着装置63によってゴンドラ10Aがビル11の外壁12に連結固定される前に第1支持支柱31を第2支持支柱32に固定し、真空グリッパー34のグリッパー筐体40をスライドロッド37に固定する場合は、外壁12が垂直な垂直面である場合、または、外壁12が傾斜した傾斜面である場合、継手39を利用して第2支持支柱32に対して第1支持支柱31を旋回させるとともに、継手44を利用してグリッパー筐体40をスライドロッド37に対して旋回させ、真空グリッパー34の吸着面43をビル11の外壁12の垂直面や傾斜面に平行させた後、第1支持支柱31を第2支持支柱32に旋回不能に固定し、真空グリッパー34のグリッパー筐体40をスライドロッド37に旋回不能に固定する。
グリッパー筐体40がスライドロッド37の先端部に旋回不能に固定されている場合は、継手39を利用して第2支持支柱32に対して第1支持支柱31を旋回させ、真空グリッパー34の吸着面43をビル11の外壁12の垂直面や傾斜面に平行させた後、第1支持支柱31を第2支持支柱32に旋回不能に固定する。また、第1支持支柱31が第2支持支柱32に旋回不能に固定されている場合は、継手44を利用してスライドロッド37に対してグリッパー筐体40を旋回させ、真空グリッパー34の吸着面43をビル11の外壁12の垂直面や傾斜面に平行させた後、グリッパー筐体40をスライドロッド37に旋回不能に固定する。
吸着装置63によってゴンドラ10Aがビル11の外壁12に連結固定された後、または、吸着装置63によってゴンドラ10Aがビル11の外壁12に連結される前に、第1支持支柱31を第2支持支柱32に旋回不能に固定せず、継手39によって第2支持支柱32に対して第1支持支柱31を旋回可能にし、継手44によって真空グリッパー34のグリッパー筐体40をスライドロッド37に対して旋回可能にする場合がある。この場合、外壁12が垂直な垂直面である場合、または、外壁12が傾斜した傾斜面である場合、継手39によって第1支持支柱31が第2支持支柱32に対して旋回するとともに、継手44によってグリッパー筐体40がスライドロッド37に対して旋回することで、真空グリッパー34の吸着面43の外壁12の垂直面や傾斜面に対する平行状態が保持される。
グリッパー筐体40がスライドロッド37の先端部に旋回不能に固定されている場合は、継手39によって第1支持支柱31が第2支持支柱32に対して旋回することで、真空グリッパー34の吸着面43の外壁12の垂直面や傾斜面に対する平行状態が保持される。また、第1支持支柱31が第2支持支柱32に旋回不能に固定されている場合は、継手44によってグリッパー筐体40がスライドロッド37に対して旋回することで、真空グリッパー34の吸着面43の外壁12の垂直面や傾斜面に対する平行状態が保持される。
作業用ゴンドラ10Aは、ビル11(建造物)の外壁12(外面)に吸着する真空装置(真空グリッパー34)によってゴンドラ10Aが外壁12に連結固定されるから、風や作業の影響でゴンドラ10Aが揺れ動く(揺動する)ことはなく、空中においてゴンドラ10Aが静止し、空中におけるゴンドラ10Aの姿勢が安定する。真空グリッパー34でゴンドラ10Aとビル11の外壁12とを連結した状態で、作業者がゴンドラ10Aの前部16からビル11の外壁12とゴンドラ10Aとの間のスペース13に手を伸ばし、作業者が各種の電動工具や手動工具等を使用して外壁12に対する各種工事を行う。
ビル11の外壁12の工事箇所における工事が完了した後、ペンダントスイッチ30の吸着停止ボタンを押す(吸着OFF)。吸着停止ボタンを押すと、真空ポンプ35が停止(内蔵タイプでは圧縮空気の圧縮空気発生装置への給気が停止)し、外壁12に対する真空グリッパー34の吸着面43(シーリングフォーム41または真空パッド42)の吸着が解除される。旋回ロッド36に対するスライドロッド37の固定を解除し、スライドロッド37を旋回ロッド36の前後方向後方へスライドさせて第1支持支柱31を縮めた後、スライドストッパー(スライド固定機構)によってスライドロッド37を旋回ロッド36に固定する。ペンダントスイッチ30の上昇ボタンまたは下降ボタンを押し、ゴンドラ10Aを次の工事箇所まで上昇または下降させ、吸着手段を利用してその工事箇所において作業を行う。
作業用ゴンドラ10Aは、ビル11(建造物)の外壁12(外面)に吸着する真空グリッパー34によってゴンドラ10Aが外壁12に連結固定されるから、ゴンドラ10Aが揺れ動く(揺動する)ことはなく、空中においてゴンドラ10Aを静止させることができ、空中におけるゴンドラ10Aの姿勢を安定させることができる。ゴンドラ10Aは、吸着装置63によってそれを静止させた状態で作業者が所定の作業を行うことができるから、各種工事にともなう作業を正確かつ確実に行うことができる。ゴンドラ10Aは、それを使用した作業に危険が伴わず、作業を安全に進めることができるとともに、ゴンドラ10Aの揺れ(揺動)をその都度静止させる必要や作業者がゴンドラ10Aの静止状態を維持する操作を行う必要はなく、工事を迅速かつ効率的に進めることができる。
作業用ゴンドラ10Aは、真空ポンプ35(内蔵タイプでは圧縮空気)によって真空グリッパー34の吸着口46(シーリングフォーム41の吸着穴45または真空パッド42)が真空状態になるから、真空グリッパー34が強い吸着力を発揮し、真空グリッパー34によってゴンドラ10Aをビル11の外壁12に確実に固定することができる。
作業用ゴンドラ10Aは、複数の吸着穴45を有するとともに柔軟性を有する所定面積かつ所定厚みのシーリングフォーム41が真空グリッパー34の吸着面46に設置されている場合、ビル11の外壁12に凹凸面であったとしても、所定面積かつ所定厚みの柔軟なシーリングフォーム41がその凹凸に追従してその厚みが変化(弾性変形)するとともに、凹凸面に複数の吸着穴45が吸着するから、真空グリッパー34が外壁12の凹凸面に確実に吸着し、ゴンドラ10Aを外壁12の凹凸面に確実に固定することができる。
作業用ゴンドラ10Aは、弾性変形可能な複数の真空パッド42が真空グリッパー34の吸着面46に設置されている場合、ビル11の外壁12に凹凸面であったとしても、複数の真空パッド42がその凹凸に追従して弾性変形し、凹凸面にそれら真空パッド42が吸着するから、真空グリッパー34が外壁12の凹凸面に確実に吸着し、ゴンドラ10Aを外壁12の凹凸面に確実に固定することができる。
図10は、他の一例として示す作業用ゴンドラ10Bの斜視図であり、図11は、作業用ゴンドラ10Bの正面図である。図12は、作業用ゴンドラ10Bの背面図であり、図13は、伸長させる前のカバーシート53、スライドレール54、伸縮棒86の部分拡大側面図である。図14は、伸長させた後のカバーシート53、スライドレール54、伸縮棒86の部分拡大側面図であり、図15は、伸長させる前の落下防止プレート64の部分拡大斜視図である。図16は、伸長させた後の落下防止プレート64の部分拡大斜視図である。
図10では、ネットカバー62の図示を一部省略している。図10〜図12では、真空ホース89の図示を省略している。図11では、落下防止プレート64を伸長させた状態で示し、図12では、落下防止プレート64を垂下させた状態で示す。図10では、上下方向を矢印Aで示し、幅方向の矢印Bで示すとともに、前後方向を矢印Cで示す。図13〜図16では、前後方向前方を矢印C1で示し、前後方向後方を矢印C2で示す。
この作業用ゴンドラ10Bが図1のそれと異なるところは、フロントフレーム48およびリアフレーム49を有する点、フロントフレーム48にカバーシート53が取り付けられている点、カバーシート53を前後方向へ伸縮させるスライドレール54が設置されている点、落下防止プレート64および伸縮棒86が設置されている点にある。ゴンドラ10Bのその他の構成は図1のゴンドラ10Aのそれらと同一であるから、図1と同一の符号を付すとともに、図1のゴンドラ10Aの説明を援用することで、ゴンドラ10Bのその他の構成の詳細な説明は省略する。
作業用ゴンドラ10Bは、図1のそれと同様に、ビル11(建造物)に対する各種工事を行う場合において、高所作業における安全な足場を確保するために使用される。ゴンドラ10Bは、ビル11の外壁12の外側に配置され、昇降装置(吊り具、吊りワイヤーロープ14、巻上機15)によってビル11の屋上から上下方向へ昇降可能に吊り下げられる。ゴンドラ10Bは、前部16および後部17と、頂部18および底部19と、中央部20および両側部21とを有する。
作業用ゴンドラ10Bは、底部19に設置された所定面積の床材22と、床材22を支持する底フレーム23(床材支持板)と、前部16に設置されたフロントフレーム48(前フレーム)と、後部17に設置されたリアフレーム49(後フレーム)と、床材22の上方(頂部18)に位置して幅方向へ延びるフロント手摺24(前手摺)およびリア手摺25(後手摺)と、それらフレーム48,49やフロント手摺24、リア手摺25に連結された複数本の補強支柱26とから作られている。
床材22や底フレーム23、フロント手摺24、リア手摺25、補強支柱26は、図1のゴンドラ10Aのそれらと同一である。底フレーム23やフロントフレーム48、リアフレーム49、フロント手摺24、リア手摺25、補強支柱26は、溶接によって連結されている。ゴンドラ10Bには、床材22や床フレーム23、フロントフレーム48、リアフレーム49、フロント手摺24、リア手摺25、補強支柱26に囲繞された作業空間が画成されている。なお、作業用ゴンドラ10Bの形状は図示のそれに限定されず、あらゆる形状のゴンドラを使用することができる。
フロントフレーム48は、ゴンドラ10Bの頂部18に位置して幅方向へ延びる上フロントロッド50(上ロッド)(角柱パイプ)と、ゴンドラ10Bの底部19に位置して幅方向へ延びる下フロントロッド51(下ロッド)(角柱パイプ)と、ゴンドラ10Bの両側部21に位置して上下フロントロッド50,51の間を上下方向へ延びる両側フロントロッド52(両側ロッド)(角柱パイプ)とから形成されている。フロントフレーム48(上下フロントロッド50,51および両側フロントロッド52)には、カバーシート53が取り付けられている。両側フロントロッド52の上部および下部には、前後方向へ延びるスライドレール54が設置されている。なお、上下フロントロッド50,51の両側部にスライドレール54が設置されていてもよい。
リアフレーム49は、フロントフレーム48と略同形同大であり、ゴンドラ10Bの頂部18に位置して幅方向へ延びる上リアロッド55(上ロッド)(角柱パイプ)と、ゴンドラ10Bの底部19に位置して幅方向へ延びる下リアロッド56(下ロッド)(角柱パイプ)と、ゴンドラ10Bの両側部21に位置して上下リアロッド55,56の間を上下方向へ延びる両側リアロッド57(両側ロッド)(角柱パイプ)とから形成されている。フロントフレーム48やリアフレーム49の上下方向の高さ寸法は、ゴンドラ10B(床材)に乗った作業者の身長よりも高く、175cm〜200cmの範囲にあることが好ましい。
作業用ゴンドラ10Bの前部16には、フロントフレーム48に囲繞された所定面積の前面開口58が画成され、後部17には、リアフレーム49に囲繞された所定面積の後面開口59が画成されている。頂部18には、上フロントロッド50と上リアロッド55と補強支柱26とに囲繞された所定面積の頂面開口60が画成され、両側部21には、両側フロントロッド52と両側リアロッド57と補強支柱26とに囲繞された所定面積の両側開口61が画成されている。後面開口59全域と頂面開口60全域と両側開口61全域とにはネットカバー62が設置され、それら開口59〜61がネットカバー62によって包被されている。ネットカバー62には、合成樹脂から作られた網ネットが使用されている。
作業用ゴンドラ10Bの前部16には、ビル11の外壁12に吸着しつつゴンドラ10Bをビルに連結(固定)する(ゴンドラ10Bを空中で静止させる)吸着装置63が設置されている。吸着装置63は、図1のゴンドラ10Aに設置されたそれと同一であり、ゴンドラ10Bの前部16から前後方向へ延びる2本の第1支持支柱30(旋回ロッド36およびスライドロッド37)と、ゴンドラ10Bの前部に設置(フロントフレーム48の両側フロントロッド52に設置)されて幅方向へ延びる1本の第2支持支柱31と、第1支持支柱30(スライドロッド37)の先端部33に取り付けられた2台の真空グリッパー34と、それら真空グリッパー34に接続された真空ポンプ35(または圧縮空気発生装置)とから形成されている。真空グリッパー34と真空ポンプ35とは、真空ホース89を介して接続されている。
なお、真空グリッパー34の台数に制限はなく、ゴンドラ10Bの大きさ(幅寸法や上下寸法)によってゴンドラ10Bに1台の真空グリッパー34または3台以上の真空グリッパー34が設置される場合がある。第1および第2支持支柱30,31や真空グリッパー34、真空ポンプ35は図1のゴンドラ10Aのそれらと同一であるから、図1と同一の符号を付すとともに、図1の説明を援用することで、それらの説明は省略する。
フロント手摺24には、幅方向へ延びる落下防止プレート64が設置されている。底フレーム23の各角部の下方には、キャスター27が取り付けられている。ゴンドラ10Bの両側部21における床材22には、吊りワイヤーロープ14がつながる巻上機15が設置固定され、ゴンドラ10Bの一方の側部21における床材22には、ゴンドラ用制御盤28が載置固定されている。ゴンドラ用制御盤28にはビル11の屋上から垂下する電源ケーブル29が接続され、制御盤28から電源ケーブル(図示せず)によって各巻上機15に電力が供給される。補強支柱26には、ケーブルを介してゴンドラ用制御盤28につながるペンダントスイッチ30が掛けられている。
カバーシート53は、ゴンドラ10Bのフロントフレーム48全域(前面開口58全域)を囲繞し、ゴンドラ10Aの頂部18、底部19、両側部21に設置されている。カバーシート53は、ゴンドラ10Aがビル11の外壁12の外側に吊り下げられたときに、フロントフレーム48(前面開口58)とビル11の外壁12との間のスペース13に位置してフロントフレーム48から前後方向へ延びる。カバーシート53は、スペース13に位置して前後方向へ並ぶ複数の蛇腹枠65と、それら蛇腹枠65に取り付けられて前後方向へ延びる蛇腹シート66とから形成されている。
蛇腹枠65は、フロントフレーム48と略同形同大であり、合成樹脂または金属から作られている。蛇腹シート66は、所定の強度を有する無色透明の合成樹脂シートから作られているが、所定の強度を有する有色透明または有色の合成樹脂シートやスクリーンメッシュ、ステンレスメッシュ、布地等から作られていてもよい。なお、カバーシート53としては、蛇腹枠65や蛇腹シート66の他に、蛇腹に折り畳まれていない合成樹脂シートやスクリーンメッシュ、ステンレスメッシュ、布地等であってもよい。
蛇腹シート66は、上下フロントロッド50,51と両側フロントロッド52(フロントフレーム48)とに固定された固定部67と、固定部67から前後方向前方へ延びる伸縮部68とを有する。伸縮部68は、それら蛇腹枠65の間において前後方向へ蛇腹折りに折り畳まれ、スペース13において前後方向へ伸縮可能である。伸縮部68は、それを前後方向前方へ伸長しない非伸長状態と、それを前後方向前方へ伸長した伸長状態とを有する。
両側フロントロッド52の上部および下部に位置する蛇腹シート66の伸縮部68には、所定の間隔(等間隔)で前後方向へ並ぶ複数の金属製のランナーリング69が取り付けられている。蛇腹シート66の伸縮部68のビル11の外壁12に対向する前端部分70(前端部)には、金属製または合成樹脂製の当接フレーム71と、クッション性(柔軟性)を有する所定面積かつ所定厚みの当接部材72が取り付けられている。当接部材72は、ゴンドラ10Bのフロントフレーム48全域(前面開口58全域)を囲繞し、ビル11の外壁12に面接触する。当接部材72には、軟質ポリウレタンフォームやポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム、EVA架橋発泡体等の発泡プラスチック、または、シリコーン樹脂を使用することができる。
スライドレール54は、両側フロントロッド52の上部および下部と両側リアロッド57の上部および下部とに固定金具(図示せず)によって設置固定された固定レール73と、固定レール73から前後方向へスライド可能な第1移動レール74aと、第1移動レール74aから前後方向へスライド可能な第2移動レール74bとから形成されている。第1および第2移動レール74a,74bは、蛇腹シート66の伸縮部68に取り付けられたランナーリング69に挿通され、第2移動レール74bの先端部が蛇腹シート66の前端部分70に固定金具(図示せず)によって固定されている。
それらスライドレール54は、第1および第2移動レール74a,74bの伸長状態において第1移動レール74aを固定レール73の所定の位置で固定し、第1移動レール74abのスライド(伸縮)を不能にするとともに、第1および第2移動レール74a,74bの縮んだ状態において第1および第2移動レール74a,74bを固定レール73の所定の位置で固定し、第1および第2移動レール74a,74bのスライド(伸縮)を不能にするスライドストッパー(スライド固定機構)(図示せず)を備えている。
第1移動レール74aの先端部には、第1移動レール74aを前後方向へスライドさせる把持可能な取っ手75が取り付けられているとともに、前後方向へ延びるコイルバネ76が取り付けられている。コイルバネ76は、その後端部77が第1移動レール74aの先端部に設置されたバネ受け板78に固定され、バネ受け板78から前後方向前方へ延びている。第2移動レール74bの先端部には、第2移動レール74bを前後方向へスライドさせる把持可能な取っ手79が取り付けられているとともに、コイルバネ76の前端部80が当接するバネ当接板81が設置されている。
スライドレール54では、第1移動レール74aの取っ手75を把持して第1移動レール74aを前後方向前方へスライドさせると、コイルバネ76の前端部80が第2移動レール74bの先端部に設置されたバネ当接板81に当接し、コイルバネ76に押圧されて第2移動レール74bが前方へスライドし、図14に示すように、蛇腹シート66を前方へ伸長させることができ、蛇腹シート66の前後方向の長さ寸法を長くすることができる。逆に、第2移動レール74bの取っ手79を把持して第2移動レール74bを前後方向後方へスライドさせることで、図13に示すように、蛇腹シート66を後方へ縮めることができ、蛇腹シート66の前後方向の長さ寸法を短くすることができる。
第1および第2移動レール74a,74bを前後方向前方へスライドさせた後、スライドストッパー(スライド固定機構)によって第1移動レール74aを固定レール73に固定することで、蛇腹シート66の伸縮部68の前後方向前方へ伸長した状態を維持することができる。このとき、コイルバネ76によって第2移動レール74bが前後方向前方へ押圧(付勢)される。第1および第2移動レール74a,74bを前後方向後方へスライドさせた後、スライドストッパー(スライド固定機構)によって第1および第2移動レール74a,74bを固定レール73に固定することで、蛇腹シート66の伸縮部68の前後方向後方へ縮んだ状態を維持することができる。第1および第2移動レール74a,74bを利用して蛇腹シート66を前後方向へ伸縮させることで、蛇腹シート66の長さ寸法をスペース13の前後方向の距離に応じて調節することができる。
落下防止プレート64は、旋回プレート82と、スライドプレート83とから形成されている。旋回プレート82は、その基端部がフロント手摺24に取り付けられた取付リング(旋回機構)(図示せず)または蝶番(旋回機構)(図示せず)に設置されている。旋回プレート82は、取付リングまたは蝶番によってその基端部(フロント手摺24)を中心に上下方向へ旋回可能である。
スライドプレート83は、図16示すように、前後方向へ延びるスライドレール84によって旋回プレート82に連結されている。スライドプレート83は、スライドレール84を介して前後方向へスライド可能であり、旋回プレート82から前後方向へ伸縮可能である。スライドプレート83のビル11の外壁12に対向する前端部には、クッション性(柔軟性)を有する所定面積かつ所定厚みの当接部材85が取り付けられている。当接部材85は、蛇腹シート66の伸縮部68の前端部分70に取り付けられたそれと同一であり、ビル11の外壁12に面接触する。
落下防止プレート64(旋回プレート82およびスライドプレート83)は、それが未使用の場合、フロント手摺24に対して下方へ延びた垂下状態になっている。落下防止プレート64(旋回プレート82およびスライドプレート83)では、それを垂下状態から上方へ180°の範囲まで旋回させることができる。落下防止プレート64は、旋回プレート82の旋回角度を所定の角度で固定し、プレート64の旋回を不能にする旋回ストッパー(旋回(傾斜)固定機構)(図示せず)を備えている。落下防止プレート64では、旋回プレート82を旋回させることでプレート64の旋回角度(傾斜角度)を調節することができるとともに、旋回プレート82を上方へ旋回させ、落下防止プレート40を上り勾配に傾斜させた後、旋回ストッパー(旋回(傾斜)固定機構)によって旋回プレート82を固定することで、プレート64の所定角度の上り勾配の傾斜状態を維持することができる。
落下防止プレート64は、スライドプレート83を旋回プレート82の所定の位置で固定し、スライドプレート83のスライド(伸縮)を不能にするスライドストッパー(スライド固定機構)(図示せず)を備えている。落下防止プレート64では、スライドレール84を利用してスライドプレート83を前後方向前方へスライドさせることで、図16に示すように、落下防止プレート64(スライドプレート83)を前後方向前方へ伸長させることができ、プレート64の前後方向の長さ寸法を長くすることができる。逆に、スライドレール84を利用してスライドプレート83を前後方向後方へスライドさせることで、図15に示すように、落下防止プレート64(スライドプレート83)を前後方向後方へ縮めることができ、プレート64の前後方向の長さ寸法を短くすることができる。
スライドプレート83を前後方向前方へスライドさせた後、スライドストッパー(スライド固定機構)によってスライドプレート83を旋回プレート82に固定することで、落下防止プレート64(スライドプレート83)が前後方向前方へ伸長した状態を維持することができ、スライドプレート83を前後方向後方へスライドさせた後、スライドストッパー(スライド固定機構)によってスライドプレート83を旋回プレート82に固定することで、プレート64(スライドプレート83)が前後方向後方へ縮んだ状態を維持することができる。スライドプレート83を利用して落下防止プレート64を前後方向へ伸縮させることで、プレート64の長さ寸法をスペース13の前後方向の距離に応じて調節することができる。
伸縮棒86には、突っ張り棒が利用されているが、突っ張り棒の他に、アウターロッドとアウターロッドに伸縮可能に収容されたインナーロッドとから形成され、インナーロッドがアウターロッドに収容されたコイルバネによって前後方向前方へ付勢された伸縮棒86を利用することができる。伸縮棒86は、上フロントロッド50と両側フロントロッド52とが交差する第1角部と両側フロントロッド52の上下方向中央部とに着脱可能に配置され、第1角部と中央部とから前後方向へ延びている。なお、伸縮棒86が下フロントロッド51と両側フロントロッド52とが交差する第2角部に着脱可能に配置され、第2角部から前後方向へ延びていてもよい。
それら伸縮棒86は、その基端部87が上リアロッド55と両側リアロッド57とに固定金具(図示せず)によって設置固定されている。伸縮棒86は、それを前後方向前方へ伸長させたときに、図14に示すように、その先端部88が蛇腹シート66の伸縮部68の伸長時における前端部分70に当接し、伸縮部68の伸長時における前端部分70のビル11の外壁12への当接状態を維持する。
図17は、ビル11の外壁12に連結される前の作業用ゴンドラ10Bの側面図であり、図18は、ビル11の外壁12に連結された後の作業用ゴンドラ10Bの側面図である。図17は、真空グリッパー34を外壁12に吸着させる以前の状態を示し、図18は、真空グリッパー34を外壁12に吸着させた後の状態を示す。図17,18では、真空ホース89の図示を省略している。作業用ゴンドラ10Bを使用してビル11の外壁12に対する各種工事を行う手順の一例は、以下のとおりである。なお、第2支持支柱32が固定金具によって既に両側フロントロッド52に固定されているものとする。
作業用ゴンドラ10Bをビル11の外壁12の工事箇所まで上昇させた後、ペンダントスイッチ30の停止ボタンを押してゴンドラ10Bを停止させる。次に、第1支持支柱31の旋回ロッド36を第2支持支柱32の幅方向へ移動させて第2支持支柱32に対する第1支持支柱31の位置を決めた後、第1支持支柱31の旋回ロッド36を第2支持支柱32に固定する。第1支持支柱31の旋回ロッド36を第2支持支柱32に固定した後、真空グリッパー34の吸着口46(シーリングフォーム41または真空パッド42)がビル11の外壁12に当接するまで、スライドロッド37を旋回ロッド36から前後方向前方へスライドさせて第1支持支柱31を伸長させる。真空グリッパー34の吸着口46(シーリングフォーム41または真空パッド42)を外壁12に当接させた位置でスライドストッパー(スライド固定機構)によってスライドロッド37を旋回ロッド36に固定し、第1支持支柱31の長さ寸法をスペース13の距離に合わせる。
第1支持支柱31の長さ寸法をスペース13の距離に合わせた後、ペンダントスイッチ30の吸着開始ボタンを押す(吸着ON)。吸着開始ボタンを押すと、真空ポンプ35が起動(内蔵タイプでは圧縮空気を圧縮空気発生装置に給気)し、ポンプ35(または圧縮空気発生装置)によって真空グリッパー34の吸着口46(シーリングフォーム41の吸着穴45または真空パッド42)が真空状態になり、真空グリッパー34の吸着面43がビル11の外壁12に吸着し、吸着装置63によってゴンドラ10Bが外壁12に連結(固定)される。
なお、吸着装置63によってゴンドラ10Bがビル11の外壁12に連結固定された後、または、吸着装置63によってゴンドラ10Bが外壁12に連固定結される前に、第1支持支柱31を第2支持支柱32に旋回不能に固定し、真空グリッパー34のグリッパー筐体40をスライドロッド37に旋回不能に固定する場合がある。吸着手段によってゴンドラ10Bがビル11の外壁12に連結された前に第1支持支柱31を第2支持支柱32に固定し、真空グリッパー34のグリッパー筐体40をスライドロッド37に固定する場合は、外壁12が垂直な垂直面である場合、または、外壁12が傾斜した傾斜面である場合、継手39を利用して第2支持支柱32に対して第1支持支柱31を旋回させるとともに、継手44を利用してグリッパー筐体40をスライドロッド37に対して旋回させ、真空グリッパー34の吸着面43を外壁12の垂直面や傾斜面に平行させた後、第1支持支柱31を第2支持支柱32に旋回不能に固定し、グリッパー筐体40をスライドロッド37に旋回不能に固定する。
吸着装置63によってゴンドラ10Aがビル11の外壁12に連結固定された後、または、吸着装置63によってゴンドラ10Aが外壁12に連結固定される前に、第1支持支柱31を第2支持支柱32に旋回不能に固定せず、継手39によって第2支持支柱32に対して第1支持支柱31(旋回ロッド36)を旋回可能にし、継手44によって真空グリッパー34のグリッパー筐体40をスライドロッド37に対して旋回可能にする場合がある。この場合、外壁12が垂直な垂直面である場合、または、外壁12が傾斜した傾斜面である場合、継手39によって第1支持支柱31が第2支持支柱32に対して旋回するとともに、継手44によってグリッパー筐体40がスライドロッド37に対して旋回することで、真空グリッパー34の吸着面43の外壁12の垂直面や傾斜面に対する平行状態が保持される。
グリッパー筐体40がスライドロッド37の先端部に旋回不能に固定されている場合は、継手39によって第1支持支柱31が第2支持支柱32に対して旋回することで、真空グリッパー34の吸着面43の外壁12の垂直面や傾斜面に対する平行状態が保持される。また、第1支持支柱31が第2支持支柱32に旋回不能に固定されている場合は、継手44によってグリッパー筐体40がスライドロッド37に対して旋回することで、真空グリッパー34の吸着面43の外壁12の垂直面や傾斜面に対する平行状態が保持される。
次に、落下防止プレート64の旋回プレート82を把持してプレート64を垂下状態から上方へ旋回させ、プレート40を上り勾配の所定の角度(垂下状態から上り傾斜角度180°の範囲)に傾斜させた後、旋回ストッパー(旋回(傾斜)固定機構)によって旋回プレート82の旋回を不能にし(固定し)、プレート40の上り勾配の傾斜状態を維持する。
落下防止プレート64を所定角度の上り勾配に傾斜させた後、スライドレール84によってスライドプレート83をゴンドラ10Bからビル11の外壁12に向かって前後方向前方へスライドさせ、プレート64を前後方向前方へ伸長させる。スライドプレート83の前端部に取り付けられた当接部材85が外壁12に当接するまでスライドプレート83を前後方向前方へスライドさせ、当接部材85が外壁12に当接した後、スライドストッパー(スライド固定機構)によってスライドプレート83を旋回プレート82に固定する。スライドプレート83の前端部に取り付けられた当接部材85が外壁12に面接触し、ゴンドラ10Bのフロントフレーム48と外壁12との間のスペース13が落下防止プレート64によって塞がれる。落下防止プレート64では、当接部材85が外壁12に面接触するから、プレート64と外壁12との間に隙間が生じることはない。
第1移動レール74aの取っ手75を把持して第1移動レール74aを前後方向前方へスライドさせ、それによってコイルバネ76に押圧された第2移動レール74bを前方へスライドさせ、蛇腹シート66の伸縮部68を前後方向前方へ伸長させ、当接部材72がビル11の外壁12に当接した後、スライドストッパー(スライド固定機構)によって第1移動レール74aを固定レール73に固定する。さらに、それら伸縮棒86を前後方向前方へ伸長させ、その先端部88を蛇腹シート66の伸縮部68の前端部分70(ビル11の外壁12)に当接させ、伸縮棒86によって蛇腹シート66の伸縮部68の前端部分70の外壁12への当接状態を維持する。
第2移動レール74bがコイルバネ76によって前後方向前方へ付勢(押圧)され、それによって蛇腹シート66の伸縮部68の前端部分70をビル11の外壁12に密着させることができるから、蛇腹シート66の伸縮部68の前端部分70と外壁12との間に隙間が生じることはない。蛇腹シート66の伸縮部68の前端部分70に取り付けられた当接部材72がビル11の外壁12に面接触し、ゴンドラ10Bのフロントフレーム48と外壁12との間のスペース13が蛇腹シート66の伸縮部68によって囲まれ、スペース13が蛇腹シート66の伸縮部68によって塞がれる。また、伸縮棒86によって蛇腹シート66の伸縮部68の前端部分70のビル11の外壁12への当接状態を維持することができるから、蛇腹シート66の伸縮部68の前端部分70と外壁12との間に隙間が生じることはない。
真空グリッパー34でゴンドラ10Bとビル11の外壁12とを連結固定し、落下防止プレート64の前端部(当接部材85)を外壁12に当接させ、蛇腹シート66の伸縮部68の前端部分70(当接部材72)を外壁12に当接させるとともに、伸縮棒86の先端部88を蛇腹シート66の伸縮部68の前端部分70(ビル11の外壁12)に当接させた状態で、作業者がゴンドラ10Bの前部16(前面開口58)から外壁12とゴンドラ10Bとの間のスペース13に手を伸ばし、作業者が各種の電動工具や手動工具等を使用して外壁12に対する各種工事を行う。
作業用ゴンドラ10Bは、ビル11(建造物)の外壁12(外面)に吸着する真空グリッパー34によってゴンドラ10Bが外壁12に連結固定されるから、風や作業の影響でゴンドラ10Bが揺れ動く(揺動する)ことはなく、空中においてゴンドラ10Bが静止し、空中におけるゴンドラ10Bの姿勢が安定する。たとえば、痛んだ外壁12を補修する外壁補修工事を行う場合、痛んだ外壁12をはつる(剥離する)が、外壁12をはつると、コンクリートガラやモルタルガラ、タイルガラ等の多数の固形廃棄物が発生する。工事中に発生したそれら固形廃棄物がゴンドラ10Bから四方に飛散したり、固形廃棄物がゴンドラ10Bから落下すると、工事における安全性を確保することができない。
しかし、このゴンドラ10Bは、固形廃棄物が落下防止プレート64の上に落下し、廃棄物が上り勾配に傾斜した落下防止プレート64を伝ってゴンドラ10B内(床材22)に落下するから、廃棄物がゴンドラ10B内に収容される。また、廃棄物が落下防止プレート64からスペース13に向かって飛散または落下したとしても、フロントフレーム48の内側のスペース13が蛇腹シート66に囲まれ、そのスペース13が蛇腹シート66によって塞がれているから、落下防止プレート64から飛散または落下した廃棄物が蛇腹シート66(下フロントロッド51に取り付けられた蛇腹シート66)に捕集される。
ビル11の外壁12の工事箇所における工事が完了した後、ペンダントスイッチ30の吸着停止ボタンを押す(吸着OFF)。吸着停止ボタンを押すと、真空ポンプ35が停止(内蔵タイプでは圧縮空気の圧縮空気発生装置への給気が停止)し、外壁12に対する真空グリッパー34の吸着面43(シーリングフォーム41または真空パッド42)の吸着が解除される。旋回ロッド36に対するスライドロッド37の固定を解除し、スライドロッド37を旋回ロッド36の前後方向後方へスライドさせて第1支持支柱31を縮めた後、スライドストッパー(スライド固定機構)によってスライドロッド37を旋回ロッド36に固定する。伸縮棒86を前後方向後方へ縮めてその先端部88を蛇腹シート66の伸縮部68の前端部分70(ビル11の外壁12)から後方へ離間させる。
次に、スライドストッパーを解除して固定レール73に対する第1移動レール74aの固定を解除し、第2移動レール74bの取っ手79を把持して第1および第2移動レール74a,74bを前後方向後方へスライドさせ、蛇腹シート66の伸縮部68を前後方向後方へ縮める。蛇腹シート66の伸縮部68を前後方向後方へ縮めると、下フロントロッド51に取り付けられた蛇腹シート66が地上に向かって垂下し、その部分の蛇腹シート66が廃棄物収容袋を形成し、蛇腹シート66によって形成された廃棄物収容袋に固形廃棄物が収容される。なお、工事が完了した後、蛇腹シート66の伸縮部68を前後方向後方へ縮める前に、蛇腹シート66に捕集された廃棄物をゴンドラ10Bの床材22に回収してもよい。
蛇腹シート66の伸縮部68を前後方向後方へ縮めた後、スライドストッパーによって第1および第2移動レール74a,74bを固定レール73に固定し、蛇腹シート66の伸縮部68を縮めた状態を維持する。次に、スライドストッパーを解除して旋回プレート82に対するスライドプレート83の固定を解除し、スライドプレート83を前後方向後方へスライドさせ、落下防止プレート64を前後方向後方へ縮める。落下防止プレート64を前後方向後方へ縮めた後、スライドストッパーによってスライドプレート83を旋回プレート82に固定し、落下防止プレート64を縮めた状態を維持する。次に、旋回ストッパー(旋回(傾斜)固定機構)を解除し、落下防止プレート64を上り勾配から下方へ旋回させて垂下状態にする。ペンダントスイッチ30の下降ボタンを押し、ゴンドラ10Bを地上に降ろした後、蛇腹シート66によって形成された廃棄物収容袋に収容された固形廃棄物やゴンドラ10B内(床材22)に収容した固形廃棄物を廃棄処分する。廃棄物を廃棄処分した後、ペンダントスイッチ30の上昇ボタンを押してゴンドラ10Bを次の工事箇所まで上昇させ、その工事箇所において作業を行う。
作業用ゴンドラ10Bは、図1の作業用ゴンドラ10Aが有する効果に加え、以下の効果を有する。作業用ゴンドラ10Bは、その頂底部18,19(フロントフレーム48の上下フロントロッド50,51)と両側部21(フロントフレーム48の両側フロントロッド52)とから前後方向へ延びる蛇腹シート66がゴンドラ10Bの頂底部18,19と両側部21とを取り囲み、蛇腹シート66の蛇腹折りされた前後方向へ伸縮する伸縮部68によってゴンドラ10Bの頂底部18,19および両側部21とビル11の外壁12との間のスペース13を塞ぐことができるから、外壁12に対する工事中に発生したコンクリートガラやモルタルガラ、タイルガラ等の固形廃棄物を蛇腹シート66で捕集することで廃棄物をゴンドラ10B内に留めることができ、蛇腹シート66によって廃棄物のゴンドラ10Bから四方への飛散やゴンドラ10Bからの廃棄物の落下を防ぐことができる。
作業用ゴンドラ10Bは、蛇腹シート66の伸縮部68を前後方向後方へ縮めると、下フロントロッド51に取り付けられた蛇腹シート66が地上に向かって垂下し、その部分の蛇腹シート66が廃棄物収容袋を形成するから、蛇腹シート66に捕集された固形廃棄物を蛇腹シート66によって形成された廃棄物収容袋に収容することができ、廃棄物を蛇腹シート66から床材22に回収する手間や時間を省くことができる。
作業用ゴンドラ10Bは、フロント手摺24とビル11の外壁12との間のスペース13を落下防止プレート64(旋回プレート82およびスライドプレート83)によって塞ぐことができるから、外壁12に対する工事中に発生した固形廃棄物を落下防止プレート64からゴンドラ10B内に収容することができ、プレート64によって廃棄物のゴンドラ10Bから四方への飛散やゴンドラ10Bからの廃棄物の落下を防ぐことができる。
作業用ゴンドラ10Bは、ビル11の外壁12に対する工事中に発生した固形廃棄物のゴンドラ10Bから四方への飛散やゴンドラ10Bからの廃棄物の落下を落下防止プレート64や蛇腹シート66によって防ぐことができるから、工事中におけるビル周辺の安全性を確保することができ、ビル周辺に防護ネットや仕切り板等の設置や警備員の配備等の各種の安全対策を施す必要はなく、安全対策にかかるコストや手間を省くことができ、ビル11の外壁12に対する各種工事を迅速かつ廉価に行うことができる。
図19は、他の一例として示す作業用ゴンドラ10Cの斜視図であり、図20は、作業用ゴンドラ10Cの正面図である。図21は、作業用ゴンドラ10Cの背面図であり、図22は、ビル11の外壁12に連結された後の作業用ゴンドラ10Cの側面図である。図19では、ネットカバー62の図示を一部省略している。図19〜図22では、真空ホース89の図示を省略している。図20では、落下防止プレート64を伸長させた状態で示し、図21では、落下防止プレート64を垂下させた状態で示す。図19では、上下方向を矢印Aで示し、幅方向の矢印Bで示すとともに、前後方向を矢印Cで示す。図22では、前後方向前方を矢印C1で示し、前後方向後方を矢印C2で示す。
この作業用ゴンドラ10Cが図10のそれと異なるところは、フロントフレーム48が落下防止プレート64の直下(フロント手摺り24の直下)から上方に設置され、そのフロントフレーム48にカバーシート53が取り付けられている点にあり、このゴンドラ10Cのその他の構成は図10のゴンドラ10Bのそれらと同一であるから、図10と同一の符号を付すとともに、図10のゴンドラ10Bの説明を援用することで、ゴンドラ10Cのその他の構成の詳細な説明は省略する。
作業用ゴンドラ10Cは、図1や図10のそれらと同様に、ビル12(建造物)に対する各種工事を行う場合において、高所作業における安全な足場を確保するために使用される。ゴンドラ10Cは、ビル11の外壁12の外側に配置され、昇降装置(吊り具、吊りワイヤーロープ14、巻上機15)によってビル11の屋上から上下方向へ昇降可能に吊り下げられる。ゴンドラ10Cは、前部16および後部17と、頂部18および底部19と、中央部20および両側部21とを有する。
作業用ゴンドラ10Cは、底部19に設置された所定面積の床材22と、床材22を支持する底フレーム23(床材支持板)と、前部16に設置されたフロントフレーム48(前フレーム)と、後部17に設置されたリアフレーム49(後フレーム)と、床材22の上方に位置して幅方向へ延びるフロント手摺24(前手摺)およびリア手摺25(後手摺)と、それらフレーム48,49やフロント手摺24、リア手摺25に連結された複数本の補強支柱26とから作られている。
床材22や底フレーム23、リアフレーム49、フロント手摺24、リア手摺25、補強支柱26は、図10のゴンドラ10Bのそれらと同一である。底フレーム23やフロントフレーム48、リアフレーム49、フロント手摺24、リア手摺25、補強支柱26は、溶接によって連結されている。ゴンドラ10Cには、床材22や床フレーム23、フロントフレーム48、リアフレーム49、フロント手摺24、リア手摺25、補強支柱26に囲繞された作業空間が画成されている。
フロントフレーム48は、ゴンドラ10Cの頂部18に位置して幅方向へ延びる上フロントロッド50(上ロッド)と、ゴンドラ10Cの中央部20であってフロント手摺り24の直下(落下防止プレート64の直下)に位置して幅方向へ延びる下フロントロッド51(下ロッド)と、ゴンドラ10Cの両側部21に位置して上下フロントロッド50,51の間を上下方向へ延びる両側フロントロッド52(両側ロッド)とから形成されている。フロントフレーム48は、フロント手摺り24の直下(ゴンドラ10Cの中央部20)から上方に位置する前面開口58を囲繞している。
両側フロントロッド52の上部および中央部には、前後方向へ延びるスライドレール54が設置されている。なお、上下フロントロッド50,51の両側部にスライドレール54が設置されていてもよい。フロント手摺24には、当接部材85が取り付けられた幅方向へ延びる落下防止プレート64が設置されている。上フロントロッド50と両側フロントロッド52とが交差する第1角部と両側フロントロッド52の上下方向中央部とには、伸縮棒88が着脱可能に設置され、伸縮棒88が第1角部と中央部とから前後方向へ延びている。スライドレール54や落下防止プレート64、伸縮棒88は、図10のゴンドラ10Bのそれらと同一である。
フロントフレーム48(上下フロントロッド50,51および両側フロントロッド52)には、カバーシート53が取り付けられている。カバーシート53は、図10のゴンドラ10Bのそれと同様に、スペース13に位置して前後方向へ並ぶ複数の蛇腹枠65と、それら蛇腹枠65に取り付けられて前後方向へ延びる蛇腹シート66とから形成されている。蛇腹シート66は、ゴンドラ10Bの前面開口58のうちのフロント手摺24の直下(ゴンドラ10Bの中央部20)から頂部18までを囲繞し、フロントフレーム48から前後方向へ延びている。
蛇腹シート66は、上下フロントロッド50,52と両側フロントロッド52(フロントフレーム22)とに固定された固定部67と、固定部67から前後方向前方へ延びる伸縮部68とを有する。伸縮部68は、それら蛇腹枠65の間において前後方向へ蛇腹折りに折り畳まれている。蛇腹シート66の伸縮部68の前端部分70(前端部)には、金属製または合成樹脂製の当接フレーム71と、クッション性(柔軟性)を有する所定面積かつ所定厚みの当接部材72とが取り付けられている。
後面開口59全域と頂面開口60全域と両側開口61全域とにはネットカバー62が設置され、それら開口59〜61がネットカバー62によって包被されている。ネットカバー62は、図10のゴンドラ10Bのそれと同一である。ゴンドラ10Cの前部16には、ビル11の外壁12に吸着しつつゴンドラ10Cを外壁12に連結(固定)する(ゴンドラ10Cを空中で静止させる)吸着装置63が設置されている。吸着装置63は、図1や図10のゴンドラ10A,10Bに設置されたそれと同一である。
底フレーム23の各角部の下方には、キャスター27が取り付けられている。ゴンドラ10Cの両側部21における床材22には、吊りワイヤーロープ14がつながる巻上機15が設置固定され、ゴンドラ10Cの一方の側部21における床材22には、ゴンドラ用制御盤28が載置固定されている。ゴンドラ用制御盤28にはビル11の屋上から垂下する電源ケーブル29が接続され、制御盤28から電源ケーブル(図示せず)によって各巻上機15に電力が供給される。補強支柱26には、ケーブルを介してゴンドラ用制御盤28につながるペンダントスイッチ30が掛けられている。作業用ゴンドラ10Cを使用してビル11の外壁12に対する各種工事を行う手順は、ゴンドラ10Bを使用してビル11の外壁12に対する各種工事を行う手順と同一であるから、その説明は省略する。
作業用ゴンドラ10Cは、図10のそれと同様に、図1の作業用ゴンドラ10Aが有する効果に加え、以下の効果を有する。作業用ゴンドラ10Cは、蛇腹シート66がゴンドラ10Cの頂部18と中央部20と両側部21とを取り囲み、蛇腹シート66の蛇腹折りされた前後方向へ伸縮する伸縮部68によってスペース13を塞ぐことができるから、外壁12に対する工事中に発生したコンクリートガラやモルタルガラ、タイルガラ等の固形廃棄物を蛇腹シート66で捕集することで廃棄物をゴンドラ10C内に留めることができ、蛇腹シート66によって廃棄物のゴンドラ10Cから四方への飛散やゴンドラ10Cからの廃棄物の落下を防ぐことができる。なお、蛇腹シート66の伸縮部68を前後方向後方へ縮めると、下フロントロッド51に取り付けられた蛇腹シート66が地上に向かって垂下し、その部分の蛇腹シート66が廃棄物収容袋を形成するから、蛇腹シート66に捕集された固形廃棄物を蛇腹シート66によって形成された廃棄物収容袋に収容することができ、廃棄物を蛇腹シート66から床材22に回収する手間や時間を省くことができる。
作業用ゴンドラ10Cは、フロント手摺24とビル11の外壁24との間のスペース13を落下防止プレート64によって塞ぐことができるから、外壁12に対する工事中に発生した固形廃棄物を落下防止プレート64からゴンドラ10C内に収容することができ、プレート64によって廃棄物のゴンドラ10Cから四方への飛散やゴンドラ10Cからの廃棄物の落下を防ぐことができる。ゴンドラ10Cは、ビル11の外壁12に対する工事中に発生した固形廃棄物のゴンドラ10Cから四方への飛散やゴンドラ10Bからの廃棄物の落下を蛇腹シート66や落下防止プレート64によって防ぐことができるから、工事中におけるビル周辺の安全性を確保することができ、ビル周辺に防護ネットや仕切り板等の設置や警備員の配備等の各種の安全対策を施す必要はなく、安全対策にかかるコストや手間を省くことができ、ビル11の外壁12に対する各種工事を迅速かつ廉価に行うことができる。
それらゴンドラ10A〜10Cでは、蛇腹シート66がゴンドラ10A〜10Cの頂部18に設置されておらず、ゴンドラ10A〜10Cの底部19または中央部20、両側部21のみに設置されていてもよい。この場合、フロントフレーム48は、ゴンドラ10A〜10Cの底部19または中央部20に位置して幅方向へ延びる下フロントロッド51(下ロッド)と、ゴンドラ10A〜10Cの両側部21に位置して上下方向へ延びる両側フロントロッド52(両側ロッド)とから形成される。