JP2016210706A - 抗酸化・抗炎症剤、及び該抗酸化・抗炎症剤を含有するコルチゾール分泌抑制剤 - Google Patents

抗酸化・抗炎症剤、及び該抗酸化・抗炎症剤を含有するコルチゾール分泌抑制剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2016210706A
JP2016210706A JP2015093763A JP2015093763A JP2016210706A JP 2016210706 A JP2016210706 A JP 2016210706A JP 2015093763 A JP2015093763 A JP 2015093763A JP 2015093763 A JP2015093763 A JP 2015093763A JP 2016210706 A JP2016210706 A JP 2016210706A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cherry
extraction
extract
antioxidant
inflammatory agent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015093763A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6169641B2 (ja
Inventor
清二 塩田
Seiji Shioda
清二 塩田
紫 川人
Murasaki Kawahito
紫 川人
和恵 佐藤
Kazue Sato
和恵 佐藤
康文 福本
Yasufumi Fukumoto
康文 福本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Gosen City
FEC Inc
Shioda Life Science Inc
Original Assignee
Gosen City
FEC Inc
Shioda Life Science Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Gosen City, FEC Inc, Shioda Life Science Inc filed Critical Gosen City
Priority to JP2015093763A priority Critical patent/JP6169641B2/ja
Publication of JP2016210706A publication Critical patent/JP2016210706A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6169641B2 publication Critical patent/JP6169641B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Medicines Containing Plant Substances (AREA)

Abstract

【課題】桜に含まれる成分を、より多く又は効率よく抽出された桜の抽出液又はその抽出工程で生じた抽出残渣物を含有する抗酸化・抗炎症剤を提供すること。
【解決手段】桜の抽出液又はその抽出残渣物を有効成分として含有する抗酸化・抗炎症剤であり、抽出溶媒を加えずに、桜の花弁又は葉を撹拌羽根で破砕しながら撹拌し、該破砕・撹拌下に外部から熱を加えつつ減圧して抽出する工程を有する抽出法により抽出された桜の抽出液又はその抽出残渣物を有効成分として含有することを特徴とする抗酸化・抗炎症剤により上記課題を解決した。
【選択図】図17

Description

本発明は、抗酸化・抗炎症剤、及び該抗酸化・抗炎症剤を含有するコルチゾール分泌抑制剤に関する。
桜、梅等のバラ科サクラ属に属する植物からの抽出物が、抗酸化作用(特許文献1)、抗炎症作用(非特許文献1)、一酸化窒素産生抑制作用(特許文献2)、メラニン産生抑制作用(特許文献3)、美白作用(非特許文献2)、保湿作用(特許文献4)等を有することは既に知られている。
一方、植物から該植物に含まれる成分を抽出し分離する方法としては、水蒸気蒸留法を用いて抽出して2層に分かれた上層(油相)を分離する方法;水に直接浸漬させて加熱しその2層に分かれたものから上層(油相)を分離する直接抽出法;有機溶媒を用いて抽出する溶媒抽出法;油性成分を加えて圧搾することにより抽出する圧搾法;超臨界流体を用いて抽出する超臨界抽出法;等、種々の方法が知られている。
しかしながら、これらの抽出方法は、水相を主な目的物として分離するものではなかった。また、これらの抽出方法によって生じた抽出残渣物は、抽出溶媒の残留によって使用することができない等、有効利用することができなかった。
また、有機溶媒、水、水蒸気等の抽出溶媒を使用せず、低温で減圧して直接抽出する低温真空抽出法も知られている。
特許文献5には、植物を破砕及び撹拌しながら加熱及び減圧して植物由来の蒸気を生成させる香気成分の抽出方法が記載されている。そして、この方法を用いれば、ハーブ、果物、花又は野菜から香気成分を抽出できるとされている。
しかしながら、上記した通り、これまでに桜等のバラ科サクラ属に属する植物に含まれる成分を、該植物からより多く又は効率よく抽出する抽出方法は開示されていない。
更に、桜等のバラ科サクラ属に属する植物を原料とし、未同定分子を含む複数の有効成分を効率的に水相として抽出する抽出方法や、該植物の細胞水を含んだままの該抽出液の製造方法についても開示されていない。
特開2006−166726号公報 特開2012−229170号公報 特開2011−016727号公報 特開2002−020225号公報 特開2012−062374号公報
Lee J.,BMC Complement Altern Med.,2013 Apr;13:92 Murata K.,Nat Prod Commun.,2014 Feb;9(2):185-8
本発明は上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、前記問題点を解決し、桜に含まれる成分を、より多く又は効率よく抽出された桜の抽出液又はその抽出工程で生じた抽出残渣物を提供すること、桜に含まれる成分を含有する新たな剤を提供すること等にある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の抽出方法を用いることによって、従来の桜の抽出液と比べて、より多くの有効成分を含み、抗酸化・抗炎症作用がある又は増強された桜抽出液を得ることができることを見出した。
また、該特定の抽出方法で生じた抽出残渣物も、少量で十分に抗酸化・抗炎症作用を発揮することを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、桜の抽出液又はその抽出残渣物を有効成分として含有する抗酸化・抗炎症剤であり、抽出溶媒を加えずに、桜の花弁又は葉を撹拌羽根で破砕しながら撹拌し、該破砕・撹拌下に外部から熱を加えつつ減圧して抽出する工程を有する抽出法により抽出された桜の抽出液又はその抽出残渣物を有効成分として含有することを特徴とする抗酸化・抗炎症剤を提供するものである。
以下、「撹拌羽根で破砕しながら撹拌し、該破砕・撹拌下に外部から熱を加えつつ減圧して抽出する工程を有する抽出法」を、単に「低温真空抽出法」と略記する。
また、本発明は、上記抗酸化・抗炎症剤を含有することを特徴とするコルチゾール分泌抑制剤を提供するものである。
本発明によれば、新たな抗酸化・抗炎症剤、及び新たなコルチゾール分泌抑制剤を提供することができる。また、従来の他の抽出方法では得ることができなかった大量の抽出液を水相として得ることができ、抗酸化・抗炎症効果や、コルチゾール分泌抑制効果を確認することができる。
本発明の抗酸化剤・抗炎症化剤に含まれる桜の抽出液は、水又は有機溶媒と言った抽出溶媒を使用する必要がないので、植物由来の(細胞水を含む)成分を、水溶液として高濃度で収率良く回収することができ、得られた抽出液は、抽出溶媒由来の物質を含有させないことが可能であるため、水を含め天然由来の成分だけで構成させることができ、極めて安全であり、また安心して提供ができ、また抽出溶媒臭がない。
また、従来の桜の抽出物にはなかった「成分」又は「成分比率」を有することにより、桜由来の、高品質及び新規性のある抽出液を提供することができる。低温真空抽出法は、桜の花弁又は葉に加わる熱を抑制できるので、従来品にはなかった「成分」又は「成分比」の抽出物を含有する抗酸化・抗炎症剤及びコルチゾール分泌抑制剤を提供することができる。
また、本発明の抗酸化・抗炎症剤は、優れたスーパーオキシドアニオンラジカル消去活性、一重項酸素消去活性、ヒドロキシラジカル消去活性、一酸化窒素消去活性を有し、ストレスホルモンであるコルチゾールの量を抑制することができる。
また、本発明によれば、上記抽出工程により生じた抽出残渣物にも、抗酸化・抗炎症効果や、コルチゾール分泌抑制効果を確認することができるので、抗酸化・抗炎症剤やコルチゾール分泌抑制剤として利用することができる。
該抽出残渣物は、抽出溶媒由来の物質を含有させないことが可能であるため、天然由来の成分だけで構成させることができ、極めて安全であり、また安心して提供ができ、また抽出溶媒臭がない。また、低温真空抽出法は、桜の花弁又は葉に加わる熱を抑制できるので、従来品にはなかった成分又は成分比の抽出残渣物を提供することができる。
本発明における抽出工程に用いられる装置の一形態を示す概略図である。 本発明における抽出工程に用いられる装置の容器の一形態を示す拡大断面図である。 本発明における抽出工程に用いられる装置の容器内の撹拌羽根の構成の一形態を示す斜視図である。 桜の抽出液のスーパーオキシドアニオンラジカル消去活性を測定した結果を示すグラフである。 桜の抽出液の一重項酸素消去活性を測定した結果を示すグラフである。 桜の抽出液のヒドロキシラジカル消去活性を測定した結果を示すグラフである。 桜の抽出液の一酸化窒素消去活性を測定した結果を示すグラフである。 桜の花から抽出した抽出残渣物のスーパーオキシドアニオンラジカル消去活性を測定した結果を示すグラフである。 桜の花から抽出して得られた抽出残渣物の一重項酸素消去活性を測定した結果を示すグラフである。 桜の花から抽出して得られた抽出残渣物のヒドロキシラジカル消去活性を測定した結果を示すグラフである。 桜の花から抽出して得られた抽出残渣物の一酸化窒素消去活性を測定した結果を示すグラフである。 桜の葉から抽出して得られた抽出残渣物のスーパーオキシドアニオンラジカル消去活性を測定した結果を示すグラフである。 桜の葉から抽出して得られた抽出残渣物の一重項酸素消去活性を測定した結果を示すグラフである。 桜の葉から抽出して得られた抽出残渣物のヒドロキシラジカル消去活性を測定した結果を示すグラフである。 桜の葉から抽出して得られた抽出残渣物の一酸化窒素消去活性を測定した結果を示すグラフである。 桜の抽出液を気化して被験者に嗅がせたときの、唾液量(μL)(A)、唾液のpH(B)、唾液中のスーパーオキシドアニオンラジカル消去活性(%)(C)の変化を測定した結果を示すグラフである。 桜の抽出液を気化して被験者に嗅がせたときの、唾液の抗酸化能(μmol/L)(A)、唾液中のコルチゾール量(μg/dL)(B)の変化を測定した結果を示すグラフである。
以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の具体的形態に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。
本発明は、桜の抽出液又はその抽出残渣物を有効成分として含有する抗酸化・抗炎症剤であり、抽出溶媒を加えずに、桜の花弁又は葉を撹拌羽根で破砕しながら撹拌し、該破砕・撹拌下に外部から熱を加えつつ減圧して抽出する工程を有する抽出法により抽出された桜の抽出液又はその抽出残渣物を有効成分として含有することを特徴とする抗酸化・抗炎症剤である。
本発明では、桜の花弁又は葉を原料として使用する。桜の種類は、例えば、ソメイヨシノ(Prunus yedoensis);穂先彼岸八重桜(Prunus subhirtella)、関山(Prunus yedoensis cv. Sekiyama)等の八重桜;等が挙げられる。八重桜であることが、上記点、及び、特に花弁の数が多い又は花弁の体積が大きい等の点から特に好ましい。
桜の抽出は、該桜の何れの組織から抽出してもよく、桜の葉;茎;花弁等の花冠;萼;果実;種子;仁;樹皮等の樹木;根等から抽出されるが、優れたスーパーオキシドアニオンラジカル消去活性、一重項酸素消去活性、ヒドロキシラジカル消去活性、一酸化窒素消去活性等を得られるという点で、花弁、葉又は仁から抽出することが好ましく、花弁又は葉から抽出することがより好ましく、花弁から抽出することが特に好ましい。また、桜の複数の組織から同時に抽出してもよい。
抽出に用いられるものは、乾燥をしないもの(生のままのもの)、ある程度乾燥したものの何れでもよいが、好ましくは、乾燥をしないもの(実質的に生のままのもの)が、細胞水を十分に含有し、変質もないために好ましい。
また、本発明においては水を含め抽出溶媒を使用しないことが好ましい。
なお、本明細書において、「細胞水」とは、植物細胞に含まれる細胞内液のことである。
本発明で使用する桜の抽出液は、桜から低温真空抽出法を用いて抽出した抽出液である。すなわち、桜を、「撹拌羽根で破砕しながら撹拌し、該破砕・撹拌下に外部から熱を加えつつ減圧して抽出する工程を有する抽出法」(低温真空抽出法)により抽出された桜の抽出液のことである。
また、本発明で使用する桜の抽出残渣物は、桜から低温真空抽出法を用いて抽出液を抽出した残渣物のことである。
ここで、低温真空抽出法に供する桜の形態、すなわち、桜を撹拌羽根で破砕しながら撹拌する前の形態については、低温真空抽出法に用いる装置に投入し易く、該装置に適応する形態であれば特に限定はないが、適度に切断されていることも好ましい。
花弁を用いる場合は、雄しべ、雌しべ、がく片等を取り除いてから装置に投入することが好ましい。葉を用いる場合は、切断後の葉の面積として、0.2cm〜50cmが好ましく、1cm〜40cmがより好ましく、2cm〜30cmが特に好ましい。
低温真空抽出法では、有機溶媒、水、水蒸気、液体二酸化炭素等の抽出媒体を実質的に使用せず、低温で減圧して直接抽出することが、溶媒が残留し得ないので天然成分だけの抽出液や抽出残渣物が製造できる、溶媒の臭いが残らない、含有成分が熱分解しない、含有成分が散逸しない、細胞水が散逸しないので大量の抽出液が得られる、抽出残渣物も前記効果を示すので有効利用することができる等の点から好ましい。
ここで「低温」とは、減圧しないで溶媒抽出するときの一般的温度より低い温度のことを言い、本発明の場合は、具体的には、(抽出容器の温度でも抽出器内の気体の温度でもなく)、桜自体の温度が90℃以下の温度であることが好ましい。抽出温度については後で詳述する。
<破砕、撹拌、外部から熱を加えつつ減圧して抽出>
本発明における桜の抽出液の製造方法では、桜を、撹拌羽根で破砕しながら撹拌し、該破砕・撹拌下に外部から熱を加えつつ減圧して抽出する工程を有する。
<<抽出装置>>
図1は、本発明における桜の抽出液の製造方法において、抽出工程に用いられる装置の一形態を示す概略図である。本発明の趣旨の範囲内であれば、図に示された装置で抽出されたものには限定されない。
容器1は、桜を収容し、撹拌羽根6で破砕しながら撹拌し、該破砕・撹拌下に外部から熱を加えつつ減圧して抽出する容器であり、冷却槽2は、容器1から出る蒸気を冷却する装置である。
容器1は、撹拌羽根6を収容した下部半円筒部7と、その上に形成された上部角形部8とからなる。下部半円筒部7の周囲には、容器1の内部に熱を加える蒸気室9がある。
下部半円筒部7の最下部の中央には、抽出後の桜の破砕物を取り出す排出口10が設けられている。
前記上部角形部8の上部には、吸引される蒸気の排気口14が設けられ、この排気口14には、前記冷却槽2につながる配管16が接続されている。
前記上部角形部8の上部には、桜の投入口17を設けると共に、その投入口17を塞ぐ蓋18を設けている。
本発明における桜の抽出液の製造方法においては、桜を撹拌羽根で破砕しながら撹拌し、該破砕・撹拌下に抽出を行うことが必須である。このようにしながら、抽出することで、新鮮な破砕面ができたらそこから直ぐに抽出が可能になるので、有効成分の熱分解、酸化等による変性を防ぐことができ、本発明で使用する抽出装置に投入する前に破砕してしまった場合の破砕面からの、有効成分の蒸発等による散逸を防ぐことができる。
上記破砕・撹拌は、可動刃及び/又は固定刃を備えた抽出装置内で行うことが、上記効果を得るために特に好ましい。
例えば、図3は、前記撹拌羽根6の構成を示す斜視図であり、撹拌羽根6は、容器1の外部に設けられたモータにより回転されるものであり、容器1の端壁20、21に回転可能に支持される左右の端板22、23と、その先端間に両端が固定された、ほぼ「く」の字形をなす羽根体24、25とによって構成することにより、中心軸を有しない構造に構成されている。
26は下部半円筒部7の内面に固着された複数の固定刃であり、羽根体24、25における固定刃26に対応する箇所には、羽根体24、25における固定刃26の部分を通過するための溝24a、25aが形成され、その溝の両側に、固定刃26との間で桜31を切断するための可動刃24b、25bが形成されている。
なお、図3では、固定刃26と可動刃24b、25bとは、噛み合いが時間をずらして順次行なわれるように、周方向に位置をずらして配設し、これにより撹拌羽根6の駆動モータの動力の瞬間的増大が起こらないようにしている。
図2に示すように、下部半円筒部7の片側上部には、この上に載る桜31が円滑に落ちるように、傾斜面30がある。
32は前記容器1内の真空度を計測する真空計、33、34は温度計であり、これらは抽出工程における容器内の圧力(減圧度)と温度を測定し、抽出時の桜31の温度も間接的に測定するために設けられたものであり、また、抽出の開始と終了を判定するために設けられたものである。
<<抽出工程>>
この真空乾燥装置の操作・動作は、例えば、下記のように行なわれる。
まず、作業開始に当り、冷却槽2に冷却水が充填される。次いで、桜31を投入口17から容器1内に投入して蓋18を閉じる。そして、撹拌羽根6は、図1〜図3の矢印Rの方向に回転させ、容器1内の桜を撹拌しながら、可動刃24b、25bと固定刃26との間で桜31を小さく破砕する。
桜を破砕しながら抽出することで、新鮮な破砕面からの抽出が可能になり、成分や細胞水の「変性」や「散逸による減量」を防ぐことができる。
上記撹拌・破砕と同時に、蒸気室9内に加熱用蒸気を供給することにより、外部から熱を加える。容器1に加えられた熱は、桜31に伝達され、桜31が撹拌羽根6によって撹拌されることにより、抽出が促進される。この抽出は、桜31が、可動刃24b、25bと固定刃26とによって破砕されて小さくなることによって更に促進される。
その際、蒸気室9内に送り込む加熱用蒸気の温度や量を調節して、桜31自体の温度を、後記する好ましい範囲にする。
エゼクタ、真空ポンプ等の減圧装置46で吸引することにより、容器1内の気体、すなわち、抽出液の蒸気及び空気は、配管16を通じて吸引され、容器1内の桜31に含まれている成分と細胞水の蒸発が始まる。
その際、減圧装置46で吸引する量や吸引力を調節して、抽出時の圧力(減圧度)を、後記する好ましい範囲にする。
容器1内の「桜に含まれる成分の蒸気」及び「細胞水の主成分である水の蒸気」(水蒸気)は、配管16を通して吸引され、冷却槽2に導入・液化されて、回収液となって回収槽41内に溜まる。
回収槽41内に、回収液(油層50及び水層51)が所定量まで貯まったら、減圧装置46での吸引を停止し、バルブ45を閉じ、弁49を開いて、回収液を回収する。回収液は、要すれば静置して分液をして油層50を取り除き、水層51を抽出液(桜の抽出液)として回収する。
回収液を回収後、容器1内に残った残渣物を、桜の抽出残渣物として回収する。
本発明においては、水系の用途に幅広く使用できること、特に経鼻投与の用途において好適な装置であるディフューザー(芳香拡散器)を用いて霧化させるために好適であること(ディフューザー適合性が高いこと)、桜の花弁からは主に水層が採れること等より、抽出液としては、水層(水相、水性画分)を使用することが特に好ましい。
<<抽出条件>>
本発明で用いられる抽出液の製造方法においては、上記抽出の温度は特に限定されないが、桜自体が90℃以下であることが好ましく、55℃以下の温度を維持するように行うことがより好ましい。特に好ましくは、上記抽出を桜自体が20℃以上50℃以下の温度を維持するように行うことであり、更に好ましくは、25℃以上45℃以下であり、最も好ましくは、30℃以上40℃以下である。
下限が上記範囲の値であると、熱分解が起こらず、また抽出時間を短くできるので、有効成分の分解・逸失が抑制され、また、不必要な時間のロスがなく経済的である。また、有効成分を十分に抽出可能である。
本発明における桜の抽出液の製造方法では、桜を撹拌羽根で破砕しながら撹拌し、該破砕・撹拌下に抽出を行うので、新鮮な破砕面ができた時点で早く抽出してしまうことができるが、温度の下限が上記範囲の値であると抽出時間を短くできることと相まって効果がより相乗される。
一方、上限が上記範囲の値であると、有効成分の熱による変性・分解を防止しつつ有効成分を抽出できる。
本発明における桜の抽出残渣物の製造方法では、新鮮な破砕面ができた時点で早く抽出してしまうことができ、温度の下限が上記範囲の値であると抽出時間を短くできることと相まって効果がより相乗される。
一方、上限が上記範囲の値であると、有効成分の熱による変性・分解を防止しできる。
本発明においては(低温真空抽出法においては)、「破砕・撹拌下に外部から熱を加えつつ減圧して抽出する」が、その際の「外部から加える熱」は、主に蒸発熱による桜の過度の温度低下を避けるために加えるものである。
上記桜の抽出液の製造方法においては、上記抽出の減圧度は特に限定されないが、101.3kPa(1気圧)に対し、80kPa以上低い圧力を維持しつつ行うことが好ましい。より好ましくは、101.3kPa(1気圧)に対し、85kPa以上低い圧力を維持しつつ行うことであり、特に好ましくは、90kPa以上低い圧力であり、更に好ましくは、95kPa以上低い圧力である。
圧力が上記値であると(減圧度が上記であると)、低い温度での有効成分の抽出が可能になるので、有効成分の熱による変性・分解が防止でき、十分に有効成分を抽出できる。また、抽出時間を短くできるので、有効成分の分解・逸失が抑制され、また、不必要な時間のロスがなく経済的である。
上記桜の抽出液の製造方法では、桜を撹拌羽根で破砕しながら撹拌し、該破砕・撹拌下に抽出を行うので、新鮮な破砕面ができた時点で早く抽出してしまうことができるが、減圧度が上記値のように低いと、抽出速度が速いという点で、有効成分の分解・逸失が抑制される効果がより相乗される。
<他の抽出方法との比較>
前記した通り、抽出方法には、上記の低温真空抽出法以外にも、水蒸気蒸留法、直接抽出法、溶媒抽出法、圧搾法、超臨界抽出法等、種々の方法が知られている。
このうち、水蒸気蒸留法や直接抽出法では、桜を高温加熱するため有効成分が変性する、有効成分が散逸する等で、有効成分を豊富に含む抽出液や抽出残渣物が十分に得られなかった。
また、水蒸気蒸留法では、抽出に用いた水蒸気が液化した水が細胞水に混合することで、全て天然由来の桜の抽出液であると言う本発明の効果がなくなるし、抽出残渣物にも外部からの水が混入することになる。
また、溶媒抽出法では、水溶性成分が抽出され難い、抽出溶媒が抽出液中に残留することにより抽出残渣物を有効活用することが困難になり、また、その溶媒を除去する際に有効成分も除去されてしまった。また、溶媒抽出法では、溶媒を使用することが必須であるため、植物由来の高濃度の細胞水を得ることが難しかった。
更に、抽出液の収量も少なかった。抽出溶媒として水を用いる場合でも、抽出のために加えた水が残留するので、全て天然由来の桜の抽出液や抽出残渣物であると言う本発明の効果がなくなる。
圧搾法でも、抽出溶媒として用いた油性成分が抽出液中に残留し、抽出残渣物を有効活用することが困難であり、また、その油性成分を完全に除去することが不可能であった。また、抽出溶媒を使用するため、植物由来の高濃度の細胞水を得ることが難しかった。
超臨界抽出法では、高圧を要するので高価な設備を必要とする等の問題点があった。
また、桜を破砕・撹拌をしながらではなく、すなわち低温真空抽出法ではなく、一旦破砕・撹拌をした後に抽出する方法では、複数の有効成分が効率的に抽出できない場合があった。通常の減圧抽出法等のように、破砕・撹拌をしながらではなく加熱・減圧して抽出する方法では、複数の有効成分を十分に抽出できない場合があった。
また、桜を「破砕しつつではなく」加熱・減圧して抽出する通常の減圧抽出法を含め、上記他の抽出方法では、桜の組織や細胞の中に含まれている種々の成分を効率的に利用できない場合があった。
<抽出後の操作>
低温真空抽出法によると、水性画分(水層、水相)からは均一な桜の抽出液が得られ、油性画分(油層、油相)からは精油が得られる。
本発明においては、抽出後の操作は特に限定はされないが、同時に液体として回収される不要成分は分離して除去することが好ましい。分離には、比重の違い等を利用した、デカンテーション、分液操作等が用いられる。
本発明においては、抽出物が、植物由来ではない成分を含有しない「桜の抽出液」、「桜の抽出残渣物」として得られるという特長がある。
桜の抽出液であれば、汎用の噴霧器(例えば、加湿器等)を利用して室内等に容易に噴霧させることができ、フィルター等が汚れないため、フィルター交換等のメンテナンスを頻繁にする必要がないという効果を有する。
また、水溶性の抽出液は、油溶性の抽出液に比べて、1回の抽出工程でより多くの量を回収することができる。また、油溶性の抽出液に比べて匂いが薄いが、比較的心地よく感じるレベルの匂いの強度であり、医療現場や家庭で使い易い。更に、容器や部品等の洗浄が容易である点で、油溶性の抽出液より優れている。
本発明の抗酸化・抗炎症剤の有効成分である桜の抽出液は、実施例で示した通り、抗酸化作用を有する。また、活性酸素の一種であるスーパーオキシドアニオンラジカル(O ・−)、一重項酸素()、ヒドロキシラジカル(HO)の消去活性作用を有する。特に、スーパーオキシドアニオンラジカル及びヒドロキシラジカルに対しては優れた消去活性作用を有する。
桜の抽出液自体、該桜の抽出液を含有する飲食品又は、該桜の抽出液を気化したもの等を体内に取り入れることにより、活性酸素を消去し、抗酸化作用やアンチエイジング(抗加齢)効果を発揮することができる。
また、上記桜の抽出液は、実施例で示した通り、抗炎症作用を有する。また、一酸化窒素(NO)消去活性作用を有する。
また、「本発明の抗酸化・抗炎症剤」の有効成分である桜の抽出残渣物も、実施例で示した通り、抗酸化作用を有する。また、活性酸素の一種であるスーパーオキシドアニオンラジカル(O ・−)、一重項酸素()、ヒドロキシラジカル(HO)の消去活性作用を有する。
また、該桜の抽出残渣物は抗炎症作用を有する。また、一酸化窒素(NO)消去活性作用を有する。
上記桜の抽出残渣物は、桜の抽出液には含まれない成分等により、抗酸化作用・抗炎症作用を発揮するものと考えられる。
桜の抽出残渣物自体、又は、該桜の抽出残渣物を含有する飲食品等を体内に取り入れることにより、活性酸素を消去し、抗酸化作用やアンチエイジング(抗加齢)効果を発揮することができる。
上記桜の抽出液又はその抽出残渣物は、必要に応じて、水又は有機溶媒等で希釈して溶液として用いてもよく、また、必要に応じて、薬剤として配合が許容される添加剤を加えて種々の形態で使用できる。ただ、該桜の抽出液又はその抽出残渣物は、水を含め全て天然物でできていると言う特長を生かすために、そのままの形態で(又は天然成分を加えて)、例えば下記する種々の用途に使用することも好ましい。
上記桜の抽出液又はその抽出残渣物は、植物由来であり、抽出工程において抽出溶媒を使用する必要がないので、安全性が極めて高く、安心して使用できる。
また、該桜の抽出液又はその抽出残渣物は、医薬品、医薬部外品、気化吸引用剤、外用組成物、調合香料、飲食品、化粧品、浴剤、繊維等に利用できる。これらの用途に使用するときには、そこに、要すれば種々の添加剤を配合して用いることができる。
また、本発明における桜の抽出液や該桜の抽出液を含有する剤を実際にヒトに嗅いでもらったところ、唾液中の抗酸化能が使用後30分後で有意に向上したことから、本発明における桜の抽出液、該桜の抽出液を含有する剤を嗅がせる工程を有する方法は、唾液中の抗酸化能を向上させる方法として特に有効である。
本発明のコルチゾール分泌抑制剤は、上記抗酸化・抗炎症化剤を含有する。
本発明における桜の抽出液や該桜の抽出液を含有する剤を実際にヒトに嗅いでもらったところ、当該ヒトの唾液中のストレスホルモンであるコルチゾールが、使用後30分後で有意に下降したことから、本発明における桜の抽出液、該桜の抽出液を含有する剤を嗅がせる工程を有する方法は、唾液中のコルチゾールの含有量を抑制する方法として有効である。
前記抗酸化・抗炎症剤やコルチゾール分泌抑制剤における、上記「その他の成分」としては、特に制限はなく、本発明の効果を損なわない範囲内で、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、薬学的に許容され得る担体等が挙げられる。
かかる担体としては、特に制限はなく、例えば、後述する剤型等に応じて適宜選択することができる。また、前記抗酸化・抗炎症剤やコルチゾール分泌抑制剤中の前記「その他の成分」の含有量としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明の抗酸化・抗炎症剤やコルチゾール分泌抑制剤の剤型としては、特に制限はなく、例えば、経口固形剤(錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等)、経口液剤(内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤等)、注射剤(溶剤、懸濁剤等)、軟膏剤、貼付剤、ゲル剤、クリーム剤、外用散剤、スプレー剤、吸入散布剤等が挙げられる。
本発明の抗酸化・抗炎症剤又はコルチゾール分泌抑制剤中の有効成分である「桜の抽出液又はその抽出残渣物」の、抗酸化・抗炎症剤又はコルチゾール分泌抑制剤全体に対する含有量は、特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができるが、抗酸化・抗炎症剤全体又はコルチゾール分泌抑制剤全体を100質量部としたときに、「桜の抽出液又はその抽出残渣物」の合計量として、0.001〜100質量部の含量で配合することが好ましく、より好ましくは0.01〜99質量部、特に好ましくは0.1〜95質量部、更に好ましくは1〜90質量部の含量で配合することができる。
本発明の抗酸化・抗炎症剤又はコルチゾール分泌抑制剤の投与対象動物としては、特に制限はないが、例えば、ヒト;マウス;ラット;サル;ウマ;ウシ、ブタ、ヤギ、ニワトリ等の家畜;ネコ、イヌ等のペット;等が挙げられる。
また、前記抗酸化・抗炎症剤又はコルチゾール分泌抑制剤の投与方法としては、特に制限はなく、例えば、前記コルチゾール分泌抑制剤の剤型等に応じ、適宜選択することができ、経口投与、腹腔内投与、呼吸器への吸入、血液中への注射、腸内への注入等が挙げられる。
また、前記抗酸化・抗炎症剤又はコルチゾール分泌抑制剤の投与量としては、特に制限はなく、投与対象である個体の年齢、体重、所望の効果の程度等に応じて適宜選択することができるが、例えば、成人への1日の投与量は、有効成分の量として、1mg〜30gが好ましく、10mg〜10gがより好ましく、100mg〜3gが特に好ましい。
また、前記抗酸化・抗炎症剤又はコルチゾール分泌抑制剤の投与時期としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、予防的に投与されてもよいし、治療的に投与されてもよい。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
<桜の抽出液の製造>
五泉市で収穫した八重桜の花弁及び葉を各々、図1〜3に示した容器に入れて抽出を行った。
抽出条件は以下であった。
(1)八重桜(花弁又は葉)の温度:30〜40℃
(2)容器内の設定温度:30〜40℃
(3)圧力:101.3kPa(1気圧)に対し、93〜97kPa低い圧力
(4)撹拌羽根(可動刃)の回転数:4rpm(回転/分)
回収槽41に溜まった回収液のうち、水層(水相)51の液を目的の抽出液(桜の抽出液)とした。
収穫した八重桜の花弁10kgからは、約8kgの桜の抽出液及び約2kgの桜の抽出残渣物を回収した。
実施例2
<桜の抽出液の抗酸化作用及び抗炎症化作用の測定>
花弁から抽出した桜の抽出液1及び葉から抽出した桜の抽出液2の抗酸化作用及び抗炎症化作用を、電子スピン共鳴法(ESR法)を用いて測定した。
一定の濃度に調整したサンプル(桜の抽出液)、蒸留水、スピントラップ剤(2,2,6,6−テトラメチルピペリジノール;4−OH TEMP)、ラジカル発生剤を、その順番に加えて混合させた。
該混合液をESR用セルに適量移し、マイクロ波を照射し、スーパーオキシドアニオンラジカル(O ・−)、一重項酸素()、ヒドロキシラジカル(HO)及び一酸化窒素(NO)の消去活性(%)をそれぞれ測定した。
図4にスーパーオキシドアニオンラジカルの消去活性を、図5に一重項酸素の消去活性を、図6にヒドロキシラジカルの消去活性を、図7に一酸化窒素の消去活性を測定した結果を示す。
図4〜7の縦軸は消去活性(%)を示し、コントロールとして純水を用いたときにESRセル中に存在する測定対象分子の量を100%とした。縦軸の消去活性の数字が低い程、消去活性作用が高いことを示す。
横軸の「花」は、花弁から抽出した桜の抽出液1、「葉」は、葉から抽出した桜の抽出液2を示す。
横軸の割合は、低温真空抽出法により抽出した桜の抽出液を蒸留水で希釈した時の原液の割合である。例えば、図4中、「花20%」とは、桜の抽出液1を蒸留水で5倍希釈したものを指す。
図4の結果より、桜の抽出液1及び2共に、スーパーオキシドアニオンラジカル(O ・−)消去活性を有することがわかった。特に、葉から抽出した桜の抽出液2は、花弁から抽出した桜の抽出液1よりも高いスーパーオキシドアニオンラジカル消去活性を有することがわかった。
図5の結果より、桜の抽出液1は一重項酸素()消去活性を有し、桜の抽出液2は一重項酸素消去活性を有さないことがわかった。また、桜の抽出液は、一重項酸素消去活性よりも、スーパーオキシドアニオンラジカル消去活性の方が優れていることがわかった。
図6の結果より、桜の抽出液1及び2共に、ヒドロキシラジカル(HO)消去活性を有することがわかった。また、桜の抽出液1及び2共に、抽出液原液を40倍希釈したもの(「2.5%」)でも十分にヒドロキシラジカル消去活性作用を発揮していることがわかった。
図4〜6の結果より、桜の抽出液1及び2共に抗酸化作用を有していることがわかった。
また、図7の結果より、桜の抽出液1及び2共に一酸化窒素(NO)消去活性を有していることがわかり、桜の抽出液1及び2共に抗炎症作用を有していることがわかった。
実施例3
<桜の抽出残渣物の抗酸化作用及び抗炎症化作用の測定>
実施例1で得られた八重桜の抽出残渣物を蒸留水に混和したもの(以下、「残渣水」と略記する)及び該残渣水を40℃で1時間加熱抽出した水溶液(以下、「熱処理抽出水」と略記する)について、それぞれ抗酸化作用及び抗炎症化作用を、実施例2と同様に電子スピン共鳴法(ESR法)を用いて測定した。
図8〜11は、八重桜の花弁を原料として使用したときの抽出残渣物の結果を示し、図12〜15は、八重桜の葉を原料として使用したときの抽出残渣物の結果を示す。
図8〜15において、左3つは残渣水の結果、右3つは熱処理抽出水の結果を示す。横軸の数値は、蒸留水に混和させた桜の抽出残渣物の量を示す。
図8及び12はスーパーオキシドアニオンラジカルの消去活性の測定結果を示すグラフである。図8及び12より、花弁又は葉由来の桜の残渣抽出物はスーパーオキシドアニオンラジカル(O ・−)消去活性を有することがわかった。
図9及び13は一重項酸素の消去活性の測定結果を示すグラフである。図9及び13より、花弁又は葉由来の桜の残渣抽出物は一重項酸素()消去活性を有していることがわかった。また、桜の残渣抽出物は、一重項酸素消去活性よりも、スーパーオキシドアニオンラジカル消去活性の方が優れていることがわかった。
図10及び14はヒドロキシラジカルの消去活性の測定結果を示すグラフである。図10及び14より、花弁又は葉由来の桜の残渣抽出物はヒドロキシラジカル(HO・)消去活性を有することがわかった。
図8〜10及び12〜14の結果より、花弁又は葉由来の桜の残渣抽出物は抗酸化作用を有していることがわかった。
図11及び15は一酸化窒素の消去活性の測定結果を示すグラフである。図11及び15より、花弁又は葉由来の桜の残渣抽出物は一酸化窒素(NO)消去活性を有していることがわかり、桜の抽出液1及び2共に抗炎症作用を有していることがわかった。
実施例4
<桜の抽出液の唾液に対する作用>
上記で得られた桜の抽出液1を蒸留水で希釈後、通常の市販のディフューザーを用いて被験者(健常者)に20分前後匂いを嗅いでもらい、匂いを嗅ぐ前後での該被験者の唾液を比較した。結果を図16及び図17に示す。
図16及び図17共に、グラフの横軸中、「実験前」は、桜の抽出液1の匂いを嗅ぐ前の被験者の唾液、「アロマ後」は、桜の抽出液1の匂いを嗅ぎ終わった直後の被験者の唾液、「30分後」は、桜の抽出液1の匂いを嗅ぎ終わってから30分後の被験者の唾液を示す。
また、図中の「*」は、p<0.05であることを示す。
図16Aは唾液量、図16Bは唾液のpH、図16Cは唾液中のスーパーオキシドアニオンラジカル(O ・−)残存量を測定した結果である。
図16A〜Cの結果より、桜の抽出液1の匂いを嗅いだことにより、唾液量、pH、及びスーパーオキシドアニオンラジカル(O ・−)残存量には変化が見られなかった。
図17AはBAPテスト(Biological Anti−oxidant Potential;抗酸化力測定)を行った結果を示す。測定値が大きい程、唾液中の抗酸化力が高いことを示す。
桜の抽出液1の匂いを嗅ぎ終わってから30分後の被験者の唾液は(「30分後」)、桜の抽出液1の匂いを嗅ぐ前(「実験前」)、及び匂いを嗅ぎ終わった直後の被験者の唾液(「アロマ後」)に比べて測定値が上昇していた。
図17Aの結果より、桜の抽出液1の匂いを嗅ぐことにより、ヒト唾液の抗酸化能を向上させることがわかった。また、図16Cの結果より、該抗酸化能は、スーパーオキシドアニオンラジカルの消去作用の向上が直接関与していないこともわかった。
桜の抽出液1と組成成分が類似している桜の抽出液2についても同様に、匂いを嗅がせることによりヒト唾液の抗酸化能を向上させる効果を有するものと示唆される。
図17Bは唾液中のストレスホルモンであるコルチゾール量を測定した結果を示す。
桜の抽出液1の匂いを嗅ぎ終わってから30分後の被験者の唾液は(「30分後」)、桜の抽出液1の匂いを嗅ぐ前(「実験前」)、及び匂いを嗅ぎ終わった直後の被験者の唾液(「アロマ後」)に比べてコルチゾール量が低下していた。
図17Bの結果より、桜の抽出液1の匂いを嗅ぐことにより、ストレスホルモンであるコルチゾール量を抑制することがわかった。
桜の抽出液1と組成成分が類似している桜の抽出液2についても同様に、匂いを嗅がせることにより唾液中のコルチゾール量を抑制させる効果を有するものと示唆される。
本発明の抗酸化・抗炎症剤に含まれる桜の抽出液は、今までの桜の抽出液とは異なる成分組成を有する。また、本発明における桜の抽出液は植物由来であり、抽出工程において抽出溶媒を使用する必要がないので、安全性が極めて高く、該抽出残渣物も有効活用することができる。
したがって、該桜の抽出液又はその抽出残渣物有効成分として含有する抗酸化・抗炎症剤、及びそれらを含有するコルチゾール分泌抑制剤は、医薬品の分野にはもちろんのこと、アロマセラピー用品、芳香剤、介護用品、化粧品、食品等の分野においても広く利用されるものである。
1 容器
2 冷却槽
6 撹拌羽根
7 下部半円筒部
8 上部角形部
9 蒸気室
10 排出口
14 排気口
16 配管
17 投入口
18 蓋
20 端壁
21 端壁
22 端板
23 端板
24 羽根体
24a 溝
24b 可動刃
25 羽根体
25a 溝
25b 可動刃
26 固定刃
30 傾斜面
31 桜
32 真空計
33 温度計
34 温度計
41 回収槽
45 バルブ
46 減圧装置
49 弁
50 油層
51 水層
R 回転方向

Claims (5)

  1. 桜の抽出液又はその抽出残渣物を有効成分として含有する抗酸化・抗炎症剤であり、抽出溶媒を加えずに、桜の花弁又は葉を撹拌羽根で破砕しながら撹拌し、該破砕・撹拌下に外部から熱を加えつつ減圧して抽出する工程を有する抽出法により抽出された桜の抽出液又はその抽出残渣物を有効成分として含有することを特徴とする抗酸化・抗炎症剤。
  2. 上記有効成分が桜の抽出残渣物である請求項1に記載の抗酸化・抗炎症剤。
  3. 上記有効成分が桜の抽出液である請求項1に記載の抗酸化・抗炎症剤。
  4. 上記桜が八重桜である請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の抗酸化・抗炎症剤。
  5. 請求項1ないし請求項4の何れかの請求項に記載の抗酸化・抗炎症剤を含有することを特徴とするコルチゾール分泌抑制剤。
JP2015093763A 2015-05-01 2015-05-01 抗酸化・抗炎症剤、及び該抗酸化・抗炎症剤を含有するコルチゾール分泌抑制剤 Active JP6169641B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015093763A JP6169641B2 (ja) 2015-05-01 2015-05-01 抗酸化・抗炎症剤、及び該抗酸化・抗炎症剤を含有するコルチゾール分泌抑制剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015093763A JP6169641B2 (ja) 2015-05-01 2015-05-01 抗酸化・抗炎症剤、及び該抗酸化・抗炎症剤を含有するコルチゾール分泌抑制剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016210706A true JP2016210706A (ja) 2016-12-15
JP6169641B2 JP6169641B2 (ja) 2017-07-26

Family

ID=57550542

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015093763A Active JP6169641B2 (ja) 2015-05-01 2015-05-01 抗酸化・抗炎症剤、及び該抗酸化・抗炎症剤を含有するコルチゾール分泌抑制剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6169641B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019006706A (ja) * 2017-06-23 2019-01-17 合同会社Matsu5 生姜抽出液
KR20200069616A (ko) * 2018-12-07 2020-06-17 제주대학교 산학협력단 올벚나무를 포함하는 항염증용 조성물
CN111448290A (zh) * 2017-12-20 2020-07-24 盐田生命科学株式会社 抗氧化剂或毛发生长促进剂的制造方法、以及利用该制造方法所制造的抗氧化剂或毛发生长促进剂
KR20200137428A (ko) * 2019-05-30 2020-12-09 주식회사 라피끄 염장된 벚꽃을 이용한 화장료 조성물 제조방법 및 이에 의해 제조된 화장료 조성물 및 화장료 조성물을 포함하는 화장품
KR20210041666A (ko) * 2019-10-07 2021-04-16 주식회사 멀블리스 진주 복합추출물을 유효성분으로 포함하는 피부 개선용 조성물

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003261454A (ja) * 2002-03-06 2003-09-16 Pias Arise Kk 抗炎症剤、PGE2産生抑制剤、IL−1α産生抑制剤及びIL−6産生抑制剤
JP2012229170A (ja) * 2011-04-25 2012-11-22 Oriza Yuka Kk 一酸化窒素産生抑制剤
JP2013203911A (ja) * 2012-03-28 2013-10-07 Kaori Renaissance Llc 香気成分含有抽出液
JP2014189512A (ja) * 2013-03-26 2014-10-06 Okinawa Tokusan Hanbai Co Ltd フローラルウォーター含有化粧料及びその生産方法
JP2015061827A (ja) * 2013-08-21 2015-04-02 Shiodaライフサイエンス研究所株式会社 経鼻的脳機能調整剤及び脳神経疾患を評価するためのデータを提供する方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003261454A (ja) * 2002-03-06 2003-09-16 Pias Arise Kk 抗炎症剤、PGE2産生抑制剤、IL−1α産生抑制剤及びIL−6産生抑制剤
JP2012229170A (ja) * 2011-04-25 2012-11-22 Oriza Yuka Kk 一酸化窒素産生抑制剤
JP2013203911A (ja) * 2012-03-28 2013-10-07 Kaori Renaissance Llc 香気成分含有抽出液
JP2014189512A (ja) * 2013-03-26 2014-10-06 Okinawa Tokusan Hanbai Co Ltd フローラルウォーター含有化粧料及びその生産方法
JP2015061827A (ja) * 2013-08-21 2015-04-02 Shiodaライフサイエンス研究所株式会社 経鼻的脳機能調整剤及び脳神経疾患を評価するためのデータを提供する方法

Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
「第22回全国桜サミット IN 五泉」会議録, JPN6017000590, June 2014 (2014-06-01), pages 4 - 12, ISSN: 0003479256 *
天然100%「桜アロマ」について, JPN6017000591, 17 March 2015 (2015-03-17), pages 1 - 5, ISSN: 0003479257 *
日本の香り日記〜アロマセラピー×日本の植物(和アロマについて), JPN6017000592, 6 November 2014 (2014-11-06), pages 1 - 8, ISSN: 0003479258 *

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019006706A (ja) * 2017-06-23 2019-01-17 合同会社Matsu5 生姜抽出液
CN111448290A (zh) * 2017-12-20 2020-07-24 盐田生命科学株式会社 抗氧化剂或毛发生长促进剂的制造方法、以及利用该制造方法所制造的抗氧化剂或毛发生长促进剂
KR20200069616A (ko) * 2018-12-07 2020-06-17 제주대학교 산학협력단 올벚나무를 포함하는 항염증용 조성물
KR102272637B1 (ko) 2018-12-07 2021-07-05 제주대학교 산학협력단 올벚나무를 포함하는 항염증용 조성물
KR20200137428A (ko) * 2019-05-30 2020-12-09 주식회사 라피끄 염장된 벚꽃을 이용한 화장료 조성물 제조방법 및 이에 의해 제조된 화장료 조성물 및 화장료 조성물을 포함하는 화장품
KR102248712B1 (ko) 2019-05-30 2021-05-06 주식회사 라피끄 염장된 벚꽃을 이용한 화장료 조성물 제조방법 및 이에 의해 제조된 화장료 조성물 및 화장료 조성물을 포함하는 화장품
KR20210041666A (ko) * 2019-10-07 2021-04-16 주식회사 멀블리스 진주 복합추출물을 유효성분으로 포함하는 피부 개선용 조성물
KR102270290B1 (ko) * 2019-10-07 2021-06-29 주식회사 멀블리스 진주 복합추출물을 유효성분으로 포함하는 피부 개선용 조성물

Also Published As

Publication number Publication date
JP6169641B2 (ja) 2017-07-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6169641B2 (ja) 抗酸化・抗炎症剤、及び該抗酸化・抗炎症剤を含有するコルチゾール分泌抑制剤
JP2013203911A (ja) 香気成分含有抽出液
JP2012062374A (ja) 天然香気成分の抽出方法
JP2014189512A (ja) フローラルウォーター含有化粧料及びその生産方法
JP6715007B2 (ja) 天然ベンズアルデヒド水の製造方法、該製造方法によって製造された天然ベンズアルデヒド水、及び、該天然ベンズアルデヒド水を含有する抗腫瘍剤
US11241468B2 (en) Method for extracting bioactive ingredient and bioactive ingredient obtained thereby
JP6786029B2 (ja) 香りオイルの製造方法
CN106619373A (zh) 一种大蒜素护手霜
JP2006116433A (ja) 竹の抽出方法、および抗菌剤、抗酸化剤
JP2006176436A (ja) Scf発現阻害剤
CN107927156A (zh) 一种用于草莓保鲜的天然保鲜剂及其制备方法和保鲜方法
CN105362140B (zh) 一种具有防腐功效的非化妆品防腐剂组合物及其应用
JP2015074757A (ja) イグサからの抽出液の製造方法及び嗅覚による認知症予防治療剤
KR102161338B1 (ko) 식물성 정유의 회수방법, 동 방법에 의한 정유 및 이를 포함하는 화장료조성물
CN111254017A (zh) 一种超临界二氧化碳流体萃取桂花油的提取工艺及应用
JP3936968B2 (ja) 天然物由来の抗菌剤、抗菌性香料および、それらを含有する化粧品
JP7246643B2 (ja) 抗酸化剤、該抗酸化剤を含有するチロシナーゼ活性阻害剤及び美白剤、並びに、該抗酸化剤及び該美白剤の製造方法
KR102267058B1 (ko) 녹나무 추출액을 포함하는 미용수 및 그 제조방법
CN108485845A (zh) 一种嘉宝果叶片手工皂及其制作方法
WO2018211742A1 (ja) 脳活性化用マスク及び認知症予防治療用マスク
JP5972732B2 (ja) 抗菌剤及び皮膚外用剤
JP5537352B2 (ja) 毛成長抑制剤
JP6386773B2 (ja) 育毛剤
JP7162848B2 (ja) 抗酸化剤又は育毛剤の製造方法、及び、該製造方法で製造された抗酸化剤又は育毛剤
EP2614830A1 (en) Alliacrae hydrolates for use as a medicament, food and aromatic ingredient for foods and food products

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170124

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170313

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170328

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170511

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170606

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170628

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6169641

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250