JP2016207804A - 熱伝導ペースト及び電気・電子部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱伝導率の向上と接続信頼性の向上という、相反する特性を両立させ、熱放散性が良好で、かつ、接続信頼性も高い硬化物を得られる熱伝導ペースト及びそれを用いた電気・電子部品を提供する。
【解決手段】樹脂成分と、樹脂成分中に分散された、熱伝導率が100W/(m・K)以上であり、かつ、熱膨張係数が10×10−6/℃以下である高熱伝導低熱膨張金属からなるフィラーと、を含有する。
【選択図】なし
【解決手段】樹脂成分と、樹脂成分中に分散された、熱伝導率が100W/(m・K)以上であり、かつ、熱膨張係数が10×10−6/℃以下である高熱伝導低熱膨張金属からなるフィラーと、を含有する。
【選択図】なし
Description
本発明は、高い熱放散性と電気的に高い接続信頼性を併せ持つ接続部を形成可能な熱伝導ペースト及びそれを用いた電気・電子部品に関する。
近年、電気・電子部品は高性能化してきており、それに伴い電気・電子部品の発熱密度は年々上昇している。これらの電気・電子部品を安定的に動作させるためには、電気・電子部品を動作させることで発生した熱を外部に効率的に放散させることが求められている。
とりわけ、ICチップ等で発生する熱を効率的に放散させるには、1次ヒートシンクとしてチップからの熱を放散させる熱伝導ペーストの熱伝導率が重要視されている。このようなICチップを接合する材料は、使用勝手とコストの面から一般的に樹脂材料からなる熱伝導ペーストが使用されている。
このような樹脂材料からなる熱伝導ペーストにおいては、熱伝導率を向上させるために、樹脂の内部に高い熱伝導率を有する粒子を均一に分散させ、熱伝導ペースト全体としての熱伝導率を向上させる方法が広く普及している。
熱伝導率を向上させるには、熱伝導率の高い粒子を高密度で充填させる必要がある。このような粒子としては熱伝導率が高い銀が好ましいため、樹脂材料でありながら高い熱伝導率を有する材料としては銀ペーストが広く使用されている。なお、銀粒子を用いる場合、高い熱伝導率を実現するために、一般に質量含有率で90%を超える程度の高密度で粒子を充填している(例えば、特許文献1参照)。
また、熱伝導率をより向上させる目的で、鱗片状、楕球状、棒状の高熱伝導粒子を組み合わせて樹脂材料に充填し、各粒子を配向させることにより、熱のパスを構築する熱伝導シートが開発されている(例えば、特許文献2参照)。
また、高熱伝導のグラファイト片を表面近辺では面方向に、内部領域では厚さ方向に配向することで熱伝導率を向上させる熱伝導シートが公開されている(例えば、特許文献3参照)。
これらのいずれの方法においても、高い熱伝導率を実現するためには、高熱伝導の粒子を高密度で充填する必要があり、このことにより、熱伝導率向上の課題は達成している。しかし、硬い粒子を高密度充填するため、硬化した後の熱伝導ペーストのヤング率が高くなり、そのチップと熱伝導ペーストとの熱膨張差によりチップとペースト間で発生する熱応力が増大してしまい、剥離やクラックが生じるという問題があった。
この問題は、チップが小型の場合は、発生応力も小さく、クラックや剥離は生じず顕在化しない場合も多かったが、大型のチップに対しては、致命的な欠点として顕在化するようになってきて、接続信頼性が損なわれる場合も増えてきた。
本発明は、電気・電子部品中の部材間の接合において、熱伝導率の向上と接続信頼性の向上という、相反する特性を両立させ、熱放散性が良好でかつ接続信頼性も高い硬化物を得られる熱伝導ペースト及びそれを用いた電気・電子部品を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、樹脂中に含有させるフィラーとして、所定の特性を有するフィラーを使用することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の熱伝導ペーストは、(A)樹脂成分と、(B)前記(A)樹脂成分中に分散された、熱伝導率が100W/(m・K)以上であり、かつ、熱膨張係数が10×10−6/℃以下である高熱伝導低熱膨張金属からなるフィラーと、を含有してなることを特徴とする。
また、本発明の電気・電子部品は、上記熱伝導ペーストを介して、半導体チップを基体と接合させたことを特徴とする。
本発明の熱伝導ペーストは、熱放散性が良好でかつ接続信頼性も高い優れた硬化物を得ることができる。したがって、この熱伝導ペーストを使用して得られる電気・電子部品は、電気・電子部品内部で発生した熱を効率的に外部に放出でき、クラックや剥離等が生じにくく接続信頼性が良好なものである。
以下、本発明の一実施形態である熱伝導ペースト及び電気・電子部品について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
<熱伝導ペースト>
上記したように、本実施形態の熱伝導ペーストは、(A)樹脂成分と、(B)該樹脂成分中に分散された、熱伝導率が100W/(m・K)以上であり、かつ、熱膨張係数が10×10−6/℃以下である高熱伝導低熱膨張金属からなるフィラーと、を含有してなるものである。以下、各成分について説明する。
上記したように、本実施形態の熱伝導ペーストは、(A)樹脂成分と、(B)該樹脂成分中に分散された、熱伝導率が100W/(m・K)以上であり、かつ、熱膨張係数が10×10−6/℃以下である高熱伝導低熱膨張金属からなるフィラーと、を含有してなるものである。以下、各成分について説明する。
(A)樹脂成分
まず、(A)樹脂成分について説明する。
本実施形態において用いる(A)樹脂成分は、一般に、電気・電子部品に用いる部材、例えば、ICチップ等の電子部品と基板、の接着用途に用いられる樹脂成分であれば公知の樹脂成分が使用でき、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれでもよい。
まず、(A)樹脂成分について説明する。
本実施形態において用いる(A)樹脂成分は、一般に、電気・電子部品に用いる部材、例えば、ICチップ等の電子部品と基板、の接着用途に用いられる樹脂成分であれば公知の樹脂成分が使用でき、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれでもよい。
この(A)樹脂成分として、例えば、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等、が挙げられ、特に限定されるものではない。このうち、比較的低温で部材間の接合ができ、電子部品間の熱ストレスを低減しやすく、かつ、強固な接着強度が得られる点からエポキシ樹脂が好ましい。以下、エポキシ樹脂を例に説明する。
エポキシ樹脂は、1分子中にエポキシ基を2個以上有する化合物であれば、特に限定されず使用でき、例えば、ビフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、場合によっては、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、その他の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂を併用してもよい。
なかでも、(A)樹脂成分は液状樹脂であることが好ましく、室温(25℃)で液状である樹脂がより好ましい。例えば、液状エポキシ樹脂を用いることで、ペースト作製時におけるフィラーとの混練工程が飛躍的に容易になるだけでなく、樹脂析出、フィラーとの分離といった保存安定性にも大きな効果が得られる。
また、使用する樹脂に応じて硬化剤を含有させる。(A)樹脂成分としてエポキシ樹脂を使用する場合、その硬化剤としては公知のエポキシ樹脂用の硬化剤を使用できる。この硬化剤としては、例えば、アミン系硬化剤が好ましいものとして挙げられる。
アミン系硬化剤としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、ジシアンジアミド、ジヒドラジド化合物等のアミン系硬化剤が挙げられ、さらに具体的にはジシアンジアミド、エチレンジアミン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン及びジエチレントリアミン等が挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。このアミン系硬化剤の配合量は、適度の硬化性を得る点から、エポキシ樹脂100質量部に対して、通常0.05〜20質量部が好ましく、1〜15質量部がより好ましい。
さらに、イミダゾール系硬化促進剤が使用でき、例えば、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−デシル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノメチル−2−ウンデシルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−(2´−メチルイミダゾリル−(1´))−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール及び2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ(1,2−a)ベンズイミダゾール等が挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
このイミダゾール系硬化促進剤の配合量は、適度の硬化促進効果を得る点から、エポキシ樹脂100質量部に対して、通常0.05〜20質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。
(B)フィラー
次に、(B)フィラーについて説明する。
本実施形態に用いる(B)フィラーは、熱伝導率が100W/(m・K)以上であり、かつ、熱膨張係数が10×10−6/℃以下である特性を有する高熱伝導低熱膨張金属からなるものである。この(B)フィラーが、主として、硬化物としたときに硬化物内部に放熱の経路を形成する。
次に、(B)フィラーについて説明する。
本実施形態に用いる(B)フィラーは、熱伝導率が100W/(m・K)以上であり、かつ、熱膨張係数が10×10−6/℃以下である特性を有する高熱伝導低熱膨張金属からなるものである。この(B)フィラーが、主として、硬化物としたときに硬化物内部に放熱の経路を形成する。
金属による熱伝達は、原子の振動に加え、自由電子の運動も伝熱に寄与することができる。熱伝導率を高くするには、一般に、金属粒子を用いて、その自由電子の運動を利用することが重要である。より高い熱伝導率を実現するためには、そのような金属粒子を高密度で充填することが好ましく、それにより放熱効果を高くし、熱伝導ペースト全体としての熱伝導率を向上させることができる。
ただし、上記放熱の目的のみであれば、充填する金属粒子は熱伝導率の良好な公知の様々な金属を適用できるが、本実施形態においては、それに加えて熱伝導ペーストに求められる機械的な特性を同時に満足させようとするものである。したがって、その際には、金属粒子自体が低熱膨張であることも求められる。
金属粒子を含有した熱伝導ペーストを用いてチップを基体と接合する場合、チップの接合後に室温で発生する熱応力をσth、チップと熱伝導ペーストの熱膨張係数の差をΔα、熱伝導ペーストのヤング率をE、チップの長さをL、接合温度と室温の差をΔTとすれば、熱伝導ペーストに働く熱応力は次の(式1)で表される。
この(式1)から分かるように、発生する熱応力σthは、チップ寸法Lに比例するため大型のチップを適用する場合には高くなる。その場合、熱応力σthを低減するには、ヤング率Eを下げる、熱膨張係数の差Δαを小さくする、等が効果的である。
そこで、本実施形態で使用するフィラーは、熱伝導率が100W/(m・K)以上であり、かつ、熱膨張係数が10×10−6/℃以下である高熱伝導低熱膨張金属で形成することとした。このようなフィラーを用いることによりチップが大型化した場合、例えば、12mm角のチップ等を用いた場合、にも、熱放散性を確保しつつ、接続信頼性も良好なものとできる。
高熱伝導低熱膨張金属の熱伝導率が100W/(m・K)以上とすることで、チップで発生する熱の放散性を良好なものとできる。この熱伝導率は、120W/(m・K)以上が好ましく、140W/(m・K)以上がより好ましい。
また、高熱伝導低熱膨張金属の熱膨張係数が、10×10−6/℃より大きいと、フィラーを分散して含有する熱伝導ペーストにおいて熱膨張係数低減の効果が十分に得られず、大型チップの場合には、クラックや剥離が生じる可能性がある。この熱膨張係数は、8.0×10−6/℃以下が好ましく、5.0×10−6/℃以下がより好ましい。
一般に、シリコン等の半導体チップは熱膨張係数が小さいため、上記のような高熱伝導低熱膨張金属製のフィラーを用いると、上記(式1)におけるΔαが低下し、その結果として、発生する熱応力σthを低減させることができ、大型のチップを用いても、クラックや剥離のない高い接続信頼性が確保できる熱伝導ペーストが得られる。
この(B)フィラーは、上記のように、熱伝導率が高く、かつ、熱膨張係数が低いという両方の特性を兼ね備えた高熱伝導低熱膨張金属からなるものである。この高熱伝導低熱膨張金属としては、例えば、モリブデン(熱伝導率 147W/(m・K)、熱膨張率 4.9×10−6/℃)、タングステン(熱伝導率 198W/(m・K),熱膨張率 4.3×10−6/℃)等が挙げられる。これらの高熱伝導低熱膨張金属は、一種を単独で用いても、二種以上を併用してもよい。
なお、熱伝導ペーストの熱伝導率を向上させるために金属粒子を高密度で充填することは、樹脂成分に由来する柔らかさを打消し、硬化後の熱伝導ペースト全体としてヤング率Eを高い値としてしまう。このことは、高熱伝導低熱膨張金属であっても同様である。しかし、高熱伝導低熱膨張金属を用いることで、従来よりも硬化後の熱伝導ペースト全体として熱膨張係数を低減することができ、その結果、大型のチップであっても高い信頼性を確保できる。
電気・電子部品における部材間の接合に用いる熱伝導ペーストとして好ましい特性を得るためには、熱伝導ペースト中に分散された(B)フィラーの体積含有率が30〜70%であることが好ましい。この体積含有率が30%未満であると、フィラーとフィラーの間に存在する樹脂が高熱抵抗となり、全体の熱抵抗が大きくなってしまう。すなわち、熱伝導率が低下してしまう。一方、この体積含有率が70%を超えると、樹脂との混合物がペースト状とならず、流体的な性質を失い、著しく加工性を損なう場合がある。また、この体積含有率が50%以上となるように比較的高充填とすると、良好な熱伝導性を奏する点でより好ましい。
また、(B)フィラーとしては、平均粒径が0.1μm〜50μmの範囲の粒子が好ましい。平均粒径が0.1μm未満であると熱伝導ペーストの粘度が上昇して流動性が悪化し、取り扱いが難しくなる場合があり、50μmを超えると熱伝導ペーストの硬化物の厚み寸法に対して、均一に分散させることが難しい場合がある。なお、電気・電子部品を製造する際の硬化物の厚み寸法は5μm〜150μm程度である。
ここで、(B)フィラーの平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、(株)堀場製作所製、商品名:LA−500等)などを用いて測定した粒度分布において積算体積が50%となる粒径(50%粒径D50)をいう。
なお、このとき(B)フィラーとして、異なる平均粒径のものを混合して使用することが好ましい。このように異なる平均粒径の粒子を混合して用いることで、樹脂中への充填が容易となり、またフィラー粒子間の接点が増えるため、より高い熱伝導率を得ることができる。
異なる平均粒径のフィラーを混合する場合、例えば、(b1)平均粒径が0.5μm〜50μmの範囲の第1のフィラーと、(b2)平均粒径が0.1μm〜10μmの範囲の第2のフィラーと、を混合することが好ましい。なお、このとき平均粒径は(b1)>(b2)の関係を満たすようにするもので、(b1)>3×(b2)が好ましい。
異なる平均粒径のフィラーを混合する場合には、(B)フィラー全体を100質量%とした場合、それぞれの含有割合は(b1)の第1のフィラーが30〜90質量%、(b2)の第2のフィラーが10〜70質量%の範囲であることが好ましい。すなわち、これら(b1)第1のフィラーと(b2)第2のフィラーとの混合割合[(b1)/(b2)]が30/70〜90/10であることが好ましい。
また、充填率が高くなると、熱伝導ペースト全体のヤング率は上昇する傾向にあるが、その分、熱伝導ペースト全体としての熱膨張率も低下するので発生する熱応力が上昇することはない。
なお、(B)フィラーの粒子形状は、公知のフィラー形状であれば特に限定されないが、球形であることが好ましい。(B)フィラーを球形とすることで、成型性が向上し、(B)フィラーを高密度充填した際の充填密度の分布も低減でき、より均一で加工性の良好な熱伝導ペーストが得られる。
さらに、本実施形態の熱伝導ペーストには、以上の各成分の他、この種の組成物に一般に配合される、硬化促進剤、ゴムやシリコーン等の低応力化剤、カップリング剤、消泡剤、界面活性剤、着色剤(顔料、染料)、各種重合禁止剤、酸化防止剤、その他の各種添加剤を、その効果を阻害しない範囲で、必要に応じて配合することができる。これらの各添加剤はいずれも一種を単独で、または2種以上を混合して使用してもよい。
このような添加剤としては、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、クレイドシラン、ビニルシラン、スルフィドシラン等のシランカップリング剤やチタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、アルミニウム/ジルコニウムカップリング剤などのカップリング剤、カーボンブラックなどの着色剤、シリコーンオイル、シリコーンゴムなどの固形低応力化成分、ハイドロタルサイトなどの無機イオン交換体、などが挙げられる。
本実施形態の熱伝導ペーストは、まず、常法に従い上記した必須成分及び必要に応じて配合されるカップリング剤等の添加剤を十分に混合した後、さらに、ディスパース、ニーダー、3本ロール混練機等により混練処理を行い、その後減圧脱泡することで容易に調製することができる。
以上のように本実施形態における熱伝導ペーストでは、高熱伝導を実現する機能を高熱伝導低熱膨張金属からなるフィラーを充填することにより達成する。この高熱伝導低熱膨張金属からなるフィラーを含有させることにより、金属製のフィラーを充填したことによるヤング率の上昇を伴う熱応力の増加を従来よりも低減させることができる。これは、熱伝導ペーストの硬化物とチップとの熱膨張係数の差を減少させることができるためである。その結果として、高い熱放散性と接続信頼性を併せ持つ熱伝導ペーストを得ることができる。
<電気・電子部品>
次に、本実施形態の電気・電子部品及びその製造方法について説明する。
本実施形態の電気・電子部品は、上記した熱伝導ペーストを介してチップと基体とを接合させて得られるものである。
次に、本実施形態の電気・電子部品及びその製造方法について説明する。
本実施形態の電気・電子部品は、上記した熱伝導ペーストを介してチップと基体とを接合させて得られるものである。
本実施形態の電気・電子部品の製造にあたっては、上記した熱伝導ペーストを基体上に塗布した後、さらにチップを載置して焼結させることでフィラーによる伝熱経路を形成して接合すればよい。このとき、本実施形態においては、従来通りの加熱により焼結でき、そのときの焼結温度は、例えば、100〜300℃である。
ここで基体としては、シリコン基板、アルミナ基板、ガラスエポキシ基板、窒化アルミニウム基板等が挙げられ、チップとしては、Si製のICチップ、LSIチップ等の半導体チップ、SiCパワーデバイス、GaNパワーデバイス等が挙げられる。
以下に実施例により本発明の特徴をより具体的に説明する。なお、本発明は、実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
球状で平均粒径5μmのタングステン粒子(日本新金属株式会社製、商品名:タングステン粉(W−5))とエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名:YL983U)とを混合し、タングステン粒子が体積含有率で60%となるように混合し、熱伝導ペーストを作製した。
球状で平均粒径5μmのタングステン粒子(日本新金属株式会社製、商品名:タングステン粉(W−5))とエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名:YL983U)とを混合し、タングステン粒子が体積含有率で60%となるように混合し、熱伝導ペーストを作製した。
得られた熱伝導ペーストを、テフロン(登録商標)板上に厚さ1.0mmで、φ5.0mmの大きさに塗布し、これを200℃で1時間硬化させることで熱伝導性の硬化物を得た。この硬化物の熱伝導率は5W/(m・K)であった。
また、このように作成した熱伝導ペーストを用いて、アルミナ製パッケージにシリコンチップを接合した。シリコンチップは10mm角と12mm角の2種類を用い、接合は、200℃で1時間加熱して硬化させることで行った。各サンプルは、各々10個ずつ作成した。10mm角、12mm角のチップを接合したもののいずれもクラックや剥離がみられなかった。また、超音波探傷で硬化物の内部を調査したが、全てのサンプルでクラックや剥離等の異常はみられなかった。
(比較例1)
市販の銀ペースト(京セラケミカル製、商品名:CT285)を使用し、テフロン(登録商標)上に厚さ1.0mmで、φ5.0mmの大きさに塗布し、これを200℃で1時間硬化させることで熱伝導性の硬化物を得た。この硬化物の熱伝導率は20W/(m・K)であった。
また、実施例1と同様にして、アルミナ性パッケージにシリコンチップを接合した。接合は、200℃で1時間加熱して硬化させることで行った。実施例1と同様に、10mm角と12mm角の2種類のシリコンチップを接合したサンプルを各々10個ずつ作成した。
市販の銀ペースト(京セラケミカル製、商品名:CT285)を使用し、テフロン(登録商標)上に厚さ1.0mmで、φ5.0mmの大きさに塗布し、これを200℃で1時間硬化させることで熱伝導性の硬化物を得た。この硬化物の熱伝導率は20W/(m・K)であった。
また、実施例1と同様にして、アルミナ性パッケージにシリコンチップを接合した。接合は、200℃で1時間加熱して硬化させることで行った。実施例1と同様に、10mm角と12mm角の2種類のシリコンチップを接合したサンプルを各々10個ずつ作成した。
銀ペーストで接合したものについては、10mm角のものについては、クラックや剥離はみられなかったが、12mm角のものについては、10個中8個にペースト硬化物の端面からクラックが生じていた。
(実施例2)
球形で平均粒径が6.5μmのモリブデン粒子(日本新金属株式会社製、商品名:モリブデン粉(Mo−6))と平均粒径が1μmのモリブデン粒子(日本新金属株式会社製、商品名:モリブデン粉(Mo−1))を質量比で7:3の割合で混合したフィラーを用い、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名:YL983)と混合した。モリブデン粒子が体積含有率で35%、68%となるように混合し、フィラーの含有率を変化させた2種類の熱伝導ペーストを作製した。
球形で平均粒径が6.5μmのモリブデン粒子(日本新金属株式会社製、商品名:モリブデン粉(Mo−6))と平均粒径が1μmのモリブデン粒子(日本新金属株式会社製、商品名:モリブデン粉(Mo−1))を質量比で7:3の割合で混合したフィラーを用い、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名:YL983)と混合した。モリブデン粒子が体積含有率で35%、68%となるように混合し、フィラーの含有率を変化させた2種類の熱伝導ペーストを作製した。
得られた熱伝導ペーストを、実施例1と同様の操作により熱伝導性の硬化物を得た。
モリブデン粒子の体積含有率が35%の熱伝導ペーストの硬化物の熱伝導率は、3.4W/(m・K)であり、フィラーによる熱伝導率向上の効果がみられた。
モリブデン粒子の体積含有率が68%の熱伝導ペーストの硬化物の熱伝導率は、23W/(m・K)であり、熱伝導率が大きく向上した。
モリブデン粒子の体積含有率が35%の熱伝導ペーストの硬化物の熱伝導率は、3.4W/(m・K)であり、フィラーによる熱伝導率向上の効果がみられた。
モリブデン粒子の体積含有率が68%の熱伝導ペーストの硬化物の熱伝導率は、23W/(m・K)であり、熱伝導率が大きく向上した。
これら熱伝導ペーストを用いて、アルミナ製パッケージにシリコンチップを接合した。シリコンチップは10mm角と12mm角の2種類を用い、接合は、200℃で1時間加熱して硬化させることで行った。実施例1と同様に、10mm角と12mm角の2種類のシリコンチップを接合したサンプルを各々10個ずつ作成した。いずれのサンプルもクラックや剥離がみられなかった。また、超音波探傷で内部を調査したが、クラックや剥離等の異常はみられなかった。
(比較例2)
球形で平均粒径が3.8μmのニッケル粒子(株式会社ニューメタルケミカルズコーポレーション製、商品名:T123 Nickel Powder;熱伝導率 127W/(m・K)、熱膨張率 18×10−6/℃)と平均粒径が2.5μmのニッケル粒子(株式会社ニューメタルケミカルズコーポレーション製、商品名:T255 Nickel Powder)を質量比で7:3の割合で混合したフィラーを用い、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名:YL983)と混合した。ニッケル粒子が体積含有率で60%となるように混合した熱伝導ペーストを作製した。
球形で平均粒径が3.8μmのニッケル粒子(株式会社ニューメタルケミカルズコーポレーション製、商品名:T123 Nickel Powder;熱伝導率 127W/(m・K)、熱膨張率 18×10−6/℃)と平均粒径が2.5μmのニッケル粒子(株式会社ニューメタルケミカルズコーポレーション製、商品名:T255 Nickel Powder)を質量比で7:3の割合で混合したフィラーを用い、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製、商品名:YL983)と混合した。ニッケル粒子が体積含有率で60%となるように混合した熱伝導ペーストを作製した。
得られた熱伝導ペーストを、実施例1と同様の操作により熱伝導性の硬化物を得た。この硬化物の熱伝導率は4.6W/(m・K)であった。
この熱伝導ペーストを用いて、アルミナ製パッケージにシリコンチップを接合した。シリコンチップは10mm角と12mm角の2種類を用い、接合は、200℃で1時間加熱して硬化させることで行った。各サンプルは、各々10個ずつ作成した。10mm角のシリコンチップをこの熱伝導ペーストで接合したものについては、10個全てにペースト部にクラックが生じていた。12mm角のシリコンチップも同様であった。
以上の結果より、本実施形態における熱伝導ペーストは、熱伝導率が良好で、チップと基体との接合において、クラックや剥離等が生じにくく接続信頼性の優れたものである。これは、特に、チップのサイズが大きい場合に好ましい効果を発揮することがわかった。
Claims (9)
- (A)樹脂成分と、
(B)前記(A)樹脂成分中に分散された、熱伝導率が100W/(m・K)以上であり、かつ、熱膨張係数が10×10−6/℃以下である高熱伝導低熱膨張金属からなるフィラーと、
を含有してなることを特徴とする熱伝導ペースト。 - 前記熱伝導ペースト中における前記(B)フィラーの体積含有率が30%〜70%であることを特徴とする請求項1記載の熱伝導ペースト。
- 前記(B)フィラーが、モリブデン及びタングステンから選ばれる少なくとも一種以上を含有してなることを特徴とする請求項1又は2記載の熱伝導ペースト。
- 前記(B)フィラーの平均粒径が0.1μm〜50μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の熱伝導ペースト。
- 前記(B)フィラーが、異なる平均粒径のものを混合してなることを特徴とする請求項4記載の熱伝導ペースト。
- 前記(B)フィラーが、(b1)平均粒径が0.5〜50μmの第1のフィラーと(b2)平均粒径0.1〜10μmの第2のフィラーと、を混合してなり(ただし、前記(b1)第1のフィラーと前記(b2)第2のフィラーとは、その平均粒径が(b1)>(b2)の関係を満たす)、前記(b1)第1のフィラーと(b2)第2のフィラーとの混合割合[(b1)/(b2)]が30/70〜90/10である請求項5に記載の熱伝導ペースト。
- 前記(B)フィラーが、球形であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の熱伝導ペースト。
- 前記(A)樹脂成分が、液状エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の熱伝導ペースト。
- 請求項1〜8のいずれか1項記載の熱伝導ペーストを介して、半導体チップを基体と接合させたことを特徴とする電気・電子部品。
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