JP2011089063A - 金属粉末が高充填されたエポキシ樹脂硬化物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属粉末を高充填させることにより高い熱伝導率を有する放熱部材を与えることが可能で、かつボイドの発生が抑えられた樹脂硬化物を提供する。
【解決手段】エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、分散剤(C)及び金属粉末(D)を含有するエポキシ樹脂組成物を硬化させてなるエポキシ樹脂硬化物であって、該金属粉末(D)が、0.2%耐力が400MPa以下である金属粉末であり、かつ、エポキシ樹脂硬化物中の該金属粉末(D)の体積充填率が65〜95体積%である、エポキシ樹脂硬化物。
【選択図】なし
【解決手段】エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、分散剤(C)及び金属粉末(D)を含有するエポキシ樹脂組成物を硬化させてなるエポキシ樹脂硬化物であって、該金属粉末(D)が、0.2%耐力が400MPa以下である金属粉末であり、かつ、エポキシ樹脂硬化物中の該金属粉末(D)の体積充填率が65〜95体積%である、エポキシ樹脂硬化物。
【選択図】なし
Description
本発明は、エポキシ樹脂硬化物及びその製造方法に関し、より詳しくは、金属粉末高充填エポキシ樹脂硬化物及びその製造方法に関する。本発明のエポキシ樹脂硬化物を加熱加圧成形することにより例えば成形品及び放熱部材を得ることができる。
電子機器の小型軽量化及び高性能化に伴い、半導体の高密度実装化が求められている。しかし、LSI、CPU等の高密度実装化に伴い、動作時における素子からの発熱が外部へ逃げにくくなり、素子が不具合を生じるという問題があり、放熱対策が不可欠なものになっている。また、近年需要が拡大しているLEDに関しても、特徴である長寿命を実現するためには、チップの温度を一定水準以下に下げる必要があり、放熱設計や高熱伝導性材料の利用等の放熱対策がなされている。
従来、放熱が必要な部分には、金属やセラミックス等の熱伝導率が高い材料が用いられてきたが、設計の自由度が高く軽量化が可能なことから、樹脂系材料の需要が高まってきている。しかし、一般的に樹脂の熱伝導率は金属及びセラミックスと比較すると低いため、金属やセラミックス等の熱伝導率の高い充填材を樹脂に配合することで、熱伝導率を向上させている。例えば、特許文献1では、エポキシ樹脂にアルミニウム粉を充填した高熱伝導性接着剤が、特許文献2ではエポキシ樹脂に銅粉を充填した封止用材料が、それぞれ提案されている。
しかし、上記2つの特許文献に記載の導電性接着剤又は封止用材料においては、高熱伝導性充填材であるアルミニウム粉又は銅粉の充填量が低いことから、熱伝導率の大幅な向上は見られていない。また、充填材の充填量を増加させると、硬化物中にボイドが生じやすくなるという問題がある。本発明は、金属粉末を高充填させることにより高い熱伝導率を有する放熱部材を与えることが可能で、かつボイドの発生が抑えられた樹脂硬化物を提供することを目的とする。
本発明者らは、エポキシ樹脂に金属粉末を充填させてなるエポキシ樹脂硬化物において、0.2%耐力が400MPa以下の金属粉末を用いることにより、また、分散剤を添加し、金属粉末とエポキシ樹脂との親和性を向上させることにより、硬化物中のボイドの発生を抑えつつ金属粉末を樹脂硬化物中に65体積%〜95体積%という高充填率で充填可能であることを見出し、本発明を完成させた。すなわち本発明は以下の通りである。
(1)エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、分散剤(C)及び金属粉末(D)を含有するエポキシ樹脂組成物を硬化させてなるエポキシ樹脂硬化物であって、
該金属粉末(D)が、0.2%耐力が400MPa以下である金属粉末であり、かつ、
エポキシ樹脂硬化物中の該金属粉末(D)の体積充填率が65〜95体積%である、エポキシ樹脂硬化物。
該金属粉末(D)が、0.2%耐力が400MPa以下である金属粉末であり、かつ、
エポキシ樹脂硬化物中の該金属粉末(D)の体積充填率が65〜95体積%である、エポキシ樹脂硬化物。
(2)エポキシ樹脂硬化物中の上記金属粉末(D)の体積充填率が70〜90体積%である、上記(1)に記載のエポキシ樹脂硬化物。
(3)上記(1)又は(2)に記載のエポキシ樹脂硬化物を製造する方法であって、
上記エポキシ樹脂組成物を硬化させてエポキシ樹脂硬化物を得る工程を含み、
上記硬化の際に、上記エポキシ樹脂組成物中の上記金属粉末(D)の体積充填率(a)に対する、上記エポキシ樹脂硬化物中の上記金属粉末(D)の体積充填率(b)の比(b)/(a)が、(b)/(a)≧1.05を満足するように、上記エポキシ樹脂組成物を圧縮成形する、エポキシ樹脂硬化物の製造方法。
上記エポキシ樹脂組成物を硬化させてエポキシ樹脂硬化物を得る工程を含み、
上記硬化の際に、上記エポキシ樹脂組成物中の上記金属粉末(D)の体積充填率(a)に対する、上記エポキシ樹脂硬化物中の上記金属粉末(D)の体積充填率(b)の比(b)/(a)が、(b)/(a)≧1.05を満足するように、上記エポキシ樹脂組成物を圧縮成形する、エポキシ樹脂硬化物の製造方法。
本発明によれば、硬化物中のボイドの発生を抑えつつ金属粉末が高充填されたエポキシ樹脂硬化物を製造することが可能であり、更には、本発明のエポキシ樹脂硬化物を用いることにより、高い熱伝導率を有する放熱部材の提供が可能である。
以下、本発明の内容を詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で実施することが出来る。
[エポキシ樹脂組成物]
本発明のエポキシ樹脂硬化物は、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、分散剤(C)及び金属粉末(D)を含有するエポキシ樹脂組成物を硬化させてなるエポキシ樹脂硬化物であって、該金属粉末(D)は、0.2%耐力が400MPa以下である金属粉末であり、かつ、エポキシ樹脂硬化物中の該金属粉末(D)の体積充填率は65〜95体積%である。以下、各成分について説明する。
本発明のエポキシ樹脂硬化物は、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、分散剤(C)及び金属粉末(D)を含有するエポキシ樹脂組成物を硬化させてなるエポキシ樹脂硬化物であって、該金属粉末(D)は、0.2%耐力が400MPa以下である金属粉末であり、かつ、エポキシ樹脂硬化物中の該金属粉末(D)の体積充填率は65〜95体積%である。以下、各成分について説明する。
(エポキシ樹脂(A))
本発明において用いるエポキシ樹脂(A)は、硬化可能な構造を有するもの、すなわち1分子中にエポキシ基を少なくとも2個有するものであればいずれのエポキシ樹脂も使用可能である。使用可能なエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルルメタン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール―クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール―フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン―フェノール付加反応型エポキシ樹脂等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂、芳香族アミン型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒドロフタル酸型エポキシ樹脂、ダイマー酸型エポキシ樹脂等のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は、単独又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
本発明において用いるエポキシ樹脂(A)は、硬化可能な構造を有するもの、すなわち1分子中にエポキシ基を少なくとも2個有するものであればいずれのエポキシ樹脂も使用可能である。使用可能なエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルルメタン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール―クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール―フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン―フェノール付加反応型エポキシ樹脂等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂、芳香族アミン型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒドロフタル酸型エポキシ樹脂、ダイマー酸型エポキシ樹脂等のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は、単独又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
エポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂(A)の配合量は、取り扱い性及び成形性の観点から、20体積%以上であることが好ましく、熱伝導率の観点から70体積%以下であることが好ましい。上記配合量は、より好ましくは25体積%以上60体積%以下であり、更に好ましくは35体積%以上50体積%以下である。
(硬化剤(B))
本発明において用いる硬化剤(B)としては、エポキシ樹脂の硬化剤として作用するものであればいずれも使用可能である。使用可能な硬化剤としては、例えば、ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、メタフェニレンジアミン等のアミン系硬化剤、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール系硬化剤、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物等の酸無水物系硬化剤、フェノールノボラック樹脂、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、ナフタレン型フェノール樹脂、ビスフェノールA型フェノール樹脂、ビスフェノールF型フェノール樹脂等のフェノール系硬化剤等が挙げられる。硬化剤は、単独又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
本発明において用いる硬化剤(B)としては、エポキシ樹脂の硬化剤として作用するものであればいずれも使用可能である。使用可能な硬化剤としては、例えば、ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、メタフェニレンジアミン等のアミン系硬化剤、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール系硬化剤、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物等の酸無水物系硬化剤、フェノールノボラック樹脂、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、ナフタレン型フェノール樹脂、ビスフェノールA型フェノール樹脂、ビスフェノールF型フェノール樹脂等のフェノール系硬化剤等が挙げられる。硬化剤は、単独又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
エポキシ樹脂組成物中の硬化剤(B)の配合量は、使用する硬化剤によって異なるが、硬化剤(B)の反応基の総数の、エポキシ樹脂組成物中に存在するエポキシ基の総数に対する比が、(硬化剤(B)の反応基の総数)/(エポキシ樹脂組成物中に存在するエポキシ基の総数)=0.1〜5.0であることが好ましい。樹脂の硬化速度の観点から、上記比は0.1以上であることが好ましく、樹脂硬化物特性の観点から、上記比は5.0以下であることが好ましい。上記比としては、0.3〜3.0がより好ましく、0.8〜1.5が更に好ましい。なお硬化剤(B)の上記反応基は、例えばアミノ基、フェニル基、水酸基、酸無水物基等である。
(分散剤(C))
本発明において用いる分散剤(C)は、樹脂と無機粉末との親和性を向上させる作用を有するもの全般を包含し、エポキシ樹脂硬化物中のボイドの発生を抑える、あるいは、エポキシ樹脂と金属粉末との界面の親和性を良好にする効果を奏する。分散剤(C)としては、エポキシ樹脂(A)と後述の金属粉末(D)との親和性を向上させる効果を有するものであればいずれも使用可能であり、例えば界面活性剤、表面処理剤等が挙げられる。使用可能な分散剤としては、例えば、ポリエチレンアルキルエーテル類、ポリエチレンアルキルエステル類、アセチレンアルコール類、アセチレングリコール類の非イオン性分散剤、アルキルアミン塩、アルキル及びベンジル第四級アンモニウム塩、塩化セチルトリメチルアンモニウム、ポリオキシエチレン−アルキルアミン塩、ポリエチレンアルキル第四級アンモニウム塩、ポリエチレンポリアミン誘導体、アルキルピリジニウム塩、アルキルイミダゾリウム塩等のカチオン性分散剤、脂肪族カルボン酸塩、アルカンスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、枝分かれしたアルキベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、モノアルキルリン酸エステルの塩、ジアルキルリン酸エステルの塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、不飽和ポリカルボン酸−ポリシロキサンコポリマー、部分的に鹸化されたスチレン−無水マレイン酸コポリマー、部分的に鹸化されたオレフィン−無水マレイン酸コポリマー、リン酸基を有する飽和ポリエステル系コポリマー等のアニオン性分散剤、トリメチルモノエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ジアセチルアセトンジノルマルブチルチタネート等のチタネートカップリング剤、アルミニウムイソプロピレート、エチルアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等のアルミニウムカップリング剤が挙げられる。分散剤(C)として使用できる市販品としては、BYK−W940、BYK−W9010、BYK−W968、BYK−W985(ビックケミージャパン株式会社製)、KBM−303、KBM−403、KBE−402、KBE−403、KBM−04、KBE−04、KBM−13、KBE−13(信越化学工業株式会社製)、Z−6040、Z−6043、Z−6011、Z−6020、Z−6094、Z−6062(東レ・ダウコーニング株式会社製)等が挙げられる。
本発明において用いる分散剤(C)は、樹脂と無機粉末との親和性を向上させる作用を有するもの全般を包含し、エポキシ樹脂硬化物中のボイドの発生を抑える、あるいは、エポキシ樹脂と金属粉末との界面の親和性を良好にする効果を奏する。分散剤(C)としては、エポキシ樹脂(A)と後述の金属粉末(D)との親和性を向上させる効果を有するものであればいずれも使用可能であり、例えば界面活性剤、表面処理剤等が挙げられる。使用可能な分散剤としては、例えば、ポリエチレンアルキルエーテル類、ポリエチレンアルキルエステル類、アセチレンアルコール類、アセチレングリコール類の非イオン性分散剤、アルキルアミン塩、アルキル及びベンジル第四級アンモニウム塩、塩化セチルトリメチルアンモニウム、ポリオキシエチレン−アルキルアミン塩、ポリエチレンアルキル第四級アンモニウム塩、ポリエチレンポリアミン誘導体、アルキルピリジニウム塩、アルキルイミダゾリウム塩等のカチオン性分散剤、脂肪族カルボン酸塩、アルカンスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、枝分かれしたアルキベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、モノアルキルリン酸エステルの塩、ジアルキルリン酸エステルの塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、不飽和ポリカルボン酸−ポリシロキサンコポリマー、部分的に鹸化されたスチレン−無水マレイン酸コポリマー、部分的に鹸化されたオレフィン−無水マレイン酸コポリマー、リン酸基を有する飽和ポリエステル系コポリマー等のアニオン性分散剤、トリメチルモノエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ジアセチルアセトンジノルマルブチルチタネート等のチタネートカップリング剤、アルミニウムイソプロピレート、エチルアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等のアルミニウムカップリング剤が挙げられる。分散剤(C)として使用できる市販品としては、BYK−W940、BYK−W9010、BYK−W968、BYK−W985(ビックケミージャパン株式会社製)、KBM−303、KBM−403、KBE−402、KBE−403、KBM−04、KBE−04、KBM−13、KBE−13(信越化学工業株式会社製)、Z−6040、Z−6043、Z−6011、Z−6020、Z−6094、Z−6062(東レ・ダウコーニング株式会社製)等が挙げられる。
エポキシ樹脂組成物中の分散剤(C)の配合量は、エポキシ樹脂組成物中の金属粉末(D)100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましい。上記配合量は、金属粉末(D)の分散性の観点から0.01質量部以上が好ましく、樹脂硬化物特性の観点から10質量部以下が好ましい。また、上記配合量は、より好ましくは0.5〜1.5質量部である。
(金属粉末(D))
本発明において用いる金属粉末(D)としては、0.2%耐力が400MPa以下の金属粉末であればいずれも使用可能である。使用可能な金属としては、金、銅、アルミニウム、銀、ニッケル、及びこれらを含有する合金等が挙げられるが、入手性、熱伝導率、比重等の観点より、アルミニウム粉末が好ましい。
本発明において用いる金属粉末(D)としては、0.2%耐力が400MPa以下の金属粉末であればいずれも使用可能である。使用可能な金属としては、金、銅、アルミニウム、銀、ニッケル、及びこれらを含有する合金等が挙げられるが、入手性、熱伝導率、比重等の観点より、アルミニウム粉末が好ましい。
本発明においては、金属粉末(D)として、0.2%耐力が400MPa以下の金属粉末を用いる。これにより、エポキシ樹脂組成物を用いてエポキシ樹脂硬化物を形成する際の成形時に金属粉末(D)が変形でき、エポキシ樹脂硬化物中に金属粉末(D)を密に充填することが可能である。この効果は、上記成形を加熱加圧成形(すなわち圧縮成形)により行なう場合に顕著である。本明細書において、0.2%耐力とは、0.2%の塑性ゆがみが残留する公称応力(引っ張り荷重を初期断面積で除したもの)を意味し、JISZ2241に規定されている試験方法に基づいて測定することが可能である。
エポキシ樹脂硬化物中の金属粉末(D)の体積充填率は、65〜95体積%である。上記体積充填率は、熱伝導率の観点から、65体積%以上であることが好ましく、成形性の観点から95体積%以下が好ましい。また、上記体積充填率は、より好ましくは70〜90体積%である。なお、本発明においては、後述するように、エポキシ樹脂(A)が硬化する前のエポキシ樹脂組成物中の金属粉末(D)の体積充填率が、硬化後に得られるエポキシ樹脂硬化物中の金属粉末(D)の体積充填率より小さくてもよい。エポキシ樹脂硬化物中の金属粉末(D)の体積充填率は、エポキシ樹脂硬化物の密度、金属粉末(D)の密度、及びエポキシ樹脂の密度により、下記の式により算出される。
Y=(x/100)×z+(1−x/100)×Z
x:エポキシ樹脂硬化物中の金属粉末(D)の体積充填率[体積%]
Y:エポキシ樹脂硬化物の密度[g/cm3]
z:金属粉末(D)の密度[g/cm3]
Z:エポキシ樹脂の密度[g/cm3]
Y=(x/100)×z+(1−x/100)×Z
x:エポキシ樹脂硬化物中の金属粉末(D)の体積充填率[体積%]
Y:エポキシ樹脂硬化物の密度[g/cm3]
z:金属粉末(D)の密度[g/cm3]
Z:エポキシ樹脂の密度[g/cm3]
エポキシ樹脂組成物中の金属粉末(D)の配合量(体積充填率)は、30〜80体積%であることが好ましい。上記体積充填率が30体積%以上である場合、得られるエポキシ樹脂硬化物中の金属粉末(D)の体積充填率を、上記した本発明の所望の範囲として良好な熱伝導率を得ることが容易であり、80体積%以下である場合、エポキシ樹脂組成物を低粘度化して取り扱い性を向上させることができる。エポキシ樹脂組成物中の金属粉末(D)の体積充填率は、より好ましくは40〜75体積%であり、更に好ましくは50〜65体積%である。エポキシ樹脂組成物中の金属粉末(D)の配合量(体積充填率)は、金属粉末とエポキシ樹脂の配合量および金属粉末とエポキシ樹脂の密度とから、エポキシ樹脂硬化物中の金属粉末(D)の体積充填率について上述したのと同様の方法で算出される値である。
金属粉末(D)の形状としては、真球状、板状、不定形等のいずれの形でも使用可能であるが、不定形粒子が好ましい。不定形粒子は例えば真球状粒子と比較すると粒子同士の接触点が多く、高熱伝導率化しやすいという利点を有する。また、不定形粒子は例えば板状粒子よりも充填性が良好であるため、エポキシ樹脂硬化物中への高充填が可能である。なお本明細書において不定形粒子とは、粒子全体で形状が統一されておらず、角ばった形状の粒子、楕円形粒子、球状粒子等の種々の形状の粒子が混在していることを意味する。
金属粉末(D)の表面は、樹脂、高熱伝導性のセラミックス等で被覆されていてもよい。被覆の厚さは特に限定はしないが、熱伝導率の観点から例えば0.1〜20μmが好ましい。上記樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられ、上記高熱伝導性のセラミックスとしては、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化ケイ素、窒化珪素等が挙げられる。
金属粉末(D)の粒径としては、例えば0.1μm〜100μmが好ましく、5μm〜40μmがより好ましい。上記粒径が0.1μm以上である場合、エポキシ樹脂硬化物の熱伝導性が良好であり、100μm以下である場合、金属粉末の入手性と金属粉末充填樹脂組成物の取り扱い性とが良好である。
金属粉末(D)としては、粒径の異なる2種以上を組み合わせて用いることも出来る。例えば粒径が異なる2種を組み合わせて用いる場合、大粒径粒子(粒径が大きい方の金属粉末)の粒径をrA[μm]、小粒径粒子(粒径が小さい方の金属粉末)の粒径をrB[μm]とすると、金属粉末充填樹脂組成物の取り扱い性及び金属粉末の充填性(すなわち充填量の増加が容易であること)の観点から、rA/rB=5〜20であることが好ましく、rA/rB=8〜11であることがより好ましい。さらに、大粒径粒子と、小粒径粒子との配合比(体積比)は、金属粉末充填樹脂組成物の粘度の観点から、大粒径粒子:小粒径粒子=9:1〜6:4であることが好ましく、大粒径粒子:小粒径粒子=8:2〜7:3であることがより好ましい。なお上記粒径は、例えば、電気抵抗試験方法、光散乱/回折法、顕微鏡法によって測定される値である。
金属粉末(D)として使用できる市販品としては、例えば−60、BAI13F、9F02A、8F02A、8F20CRS、BAI11、BAI10A、30A、30C、25A、25C、20A、20F、15A(エカ・グラニュラー・ジャパン株式会社製)、101、104、101T、120、120、1124、1202、1233、1235、1401/S2(1406)、1403、1404、1407、1401/S9(1409)、1125、4402、6401、7123、7124、7125,7401(Alcoa Inc.製)、FLQT5−M30、FLQT5−M30(双日株式会社製)等が挙げられる。
(その他の成分)
また、本発明において用いるエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)と硬化剤(B)との反応を促進する硬化促進剤を含有してもよい。硬化促進剤としては、前述の硬化剤(B)としても使用できるものを、他の種類の硬化剤(B)と組合せて用いることもできる。硬化促進剤としては、イミダゾール化合物、アミン類、3ふっ化ほう素類、有機ホスフィン類が挙げられる。イミダゾール化合物としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−イソプロピルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾールトリメリテート、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾールトリメリテート、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾールトリメリテート、1−シアノエチル−2−フェニル−4,5−ジ(シアノエトキシメチル)イミダゾール等が挙げられる。アミン類としては、ジメチルアミノメチルフェノール−2,4,6−トリ(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリ(ジメチルアミノメチル)フェノールのトリ−2−エチルヘキサン塩等が挙げられる。3ふっ化ほう素類としては、3ふっ化ほう素・モノエチルアミン錯化合物、3ふっ化ほう素・トリエチルアミン錯化合物、3ふっ化ほう素・ピペリジン錯化合物、3ふっ化ほう素・n−ブチルエーテル錯化合物、3ふっ化ほう素・アミン錯化合物等が挙げられる。有機ホスフィン類としては、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等が挙げられる。
また、本発明において用いるエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)と硬化剤(B)との反応を促進する硬化促進剤を含有してもよい。硬化促進剤としては、前述の硬化剤(B)としても使用できるものを、他の種類の硬化剤(B)と組合せて用いることもできる。硬化促進剤としては、イミダゾール化合物、アミン類、3ふっ化ほう素類、有機ホスフィン類が挙げられる。イミダゾール化合物としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−イソプロピルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾールトリメリテート、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾールトリメリテート、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾールトリメリテート、1−シアノエチル−2−フェニル−4,5−ジ(シアノエトキシメチル)イミダゾール等が挙げられる。アミン類としては、ジメチルアミノメチルフェノール−2,4,6−トリ(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリ(ジメチルアミノメチル)フェノールのトリ−2−エチルヘキサン塩等が挙げられる。3ふっ化ほう素類としては、3ふっ化ほう素・モノエチルアミン錯化合物、3ふっ化ほう素・トリエチルアミン錯化合物、3ふっ化ほう素・ピペリジン錯化合物、3ふっ化ほう素・n−ブチルエーテル錯化合物、3ふっ化ほう素・アミン錯化合物等が挙げられる。有機ホスフィン類としては、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等が挙げられる。
硬化促進剤の配合量は、エポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂(A)と硬化剤(B)との合計100質量部に対して0.1〜5質量部であることが好ましい。上記配合量は、保存安定性の観点から、0.1質量部以上が好ましく、反応時間を短縮させる観点から、5質量部以下が好ましい。また、上記配合量は、より好ましくは、0.15〜1質量部である。硬化促進剤は、単独又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
また、本発明において用いるエポキシ樹脂組成物には、低粘度化又は樹脂を溶解させる目的で有機溶剤を添加してもよい。有機溶剤としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族溶剤、2−メトキシエタノ−ル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン等の非プロトン含窒素系溶剤が例示される。有機溶剤は、単独又は2種類以上を組み合わせて使用できる。
本発明のエポキシ樹脂硬化物は、上述のエポキシ樹脂組成物を当業者が通常用いる方法で硬化させることにより得ることができる。本発明のエポキシ樹脂硬化物は、金属粉末(D)を高充填率で含有するため優れた熱伝導率を有する。該熱伝導率は、例えば5W/mK〜50W/mKであることができ、より好ましくは20W/mK〜50W/mKである。上記熱伝導率は、レーザーフラッシュ法熱定数測定装置(例えばTC−7000、アルバック理工社製)を用い、熱拡散率α[m2/s]を測定し、比熱Cp[J/kg・K]及び密度σ[kg/m3]から下記式を用いて熱伝導率K[W/mK]として算出される値である。
K=α×Cp×σ
K=α×Cp×σ
[エポキシ樹脂硬化物の製造方法]
本発明は、上述した本発明のエポキシ樹脂硬化物を製造する方法であって、上記エポキシ樹脂組成物を硬化させてエポキシ樹脂硬化物を得る工程を含み、上記硬化の際に、上記エポキシ樹脂組成物中の上記金属粉末(D)の体積充填率(a)に対する、上記エポキシ樹脂硬化物中の上記金属粉末(D)の体積充填率(b)の比(b)/(a)が、(b)/(a)≧1.05を満足するように、上記エポキシ樹脂組成物を圧縮成形する、エポキシ樹脂硬化物の製造方法も提供する。
本発明は、上述した本発明のエポキシ樹脂硬化物を製造する方法であって、上記エポキシ樹脂組成物を硬化させてエポキシ樹脂硬化物を得る工程を含み、上記硬化の際に、上記エポキシ樹脂組成物中の上記金属粉末(D)の体積充填率(a)に対する、上記エポキシ樹脂硬化物中の上記金属粉末(D)の体積充填率(b)の比(b)/(a)が、(b)/(a)≧1.05を満足するように、上記エポキシ樹脂組成物を圧縮成形する、エポキシ樹脂硬化物の製造方法も提供する。
エポキシ樹脂組成物を硬化させる際の硬化温度は、加工時間を短縮するため、20℃以上であることが好ましく、エポキシ樹脂組成物の熱分解又は熱劣化を抑制するため、200℃以下であることが好ましい。また、硬化時間は、樹脂の硬化速度の観点から10秒以上24時間以下が好ましく、より好ましくは10分以上4時間未満である。
また、硬化時にはエポキシ樹脂組成物に加圧をしてもよく、また、加圧と同時に上述した温度範囲内で加熱を行ってもよい。加圧を行う場合の圧力は10〜150kgf/cm2が好ましい。圧力は、エポキシ樹脂硬化物の厚さが均一になりやすいという観点から10kgf/cm2以上が好ましく、クラックが生じにくいという観点から150kgf/cm2以下が好ましい。また、上記圧力は、より好ましくは20〜50kgf/cm2である。
上記硬化の際には、エポキシ樹脂組成物中の金属粉末(D)の体積充填率(a)に対する、エポキシ樹脂硬化物中の金属粉末(D)の体積充填率(b)の比(b)/(a)が、(b)/(a)≧1.05を満足するように、エポキシ樹脂組成物を圧縮成形してエポキシ樹脂硬化物を製造してもよい。(b)/(a)≧1.05の場合、エポキシ樹脂組成物中の金属粉末(D)の体積充填率(a)が低いことにより、エポキシ樹脂組成物が低粘度で良好な取り扱い性が得られる一方、エポキシ樹脂硬化物中には高充填率で金属粉末(D)が含まれることにより、良好な熱伝導率が得られる。より好ましくは、(b)/(a)≧1.1であり、更に好ましくは(b)/(a)≧1.2である。なお、エポキシ樹脂組成物中の金属粉末(D)の体積充填率(a)、及びエポキシ樹脂硬化物中の金属粉末(D)の体積充填率(b)は、それぞれ既述の方法で測定される値である。
以下に、実施例及び比較例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(試料作製方法)
[実施例1]
エポキシ樹脂(A)としてのビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(jER828EL、ジャパンエポキシレジン株式会社製)100質量部、硬化剤(B)としてのメチルシクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物(東京化成工業株式会社製)79質量部、硬化促進剤としての2−エチル−4−メチルイミダゾール(和光純薬工業株式会社製)2質量部、分散剤(C)としてのBYK−W940(ビックケミージャパン株式会社製)3.8質量部を混合し、金属粉末(D)としてのアルミニウム粉(−60、エカ・グラニュラージャパン株式会社製)760質量部(すなわちエポキシ樹脂組成物中の金属粉末(D)の体積充填率(a)が62体積%となる量)を加え乳鉢で混練し、ペースト状のエポキシ樹脂組成物を得た。ステンレス板(TFS、120mm×150mm×0.2mmt、日本パネルテスト株式会社製)上に、中心部に円状の穴を開けたブチルゴムを載せ、穴にペースト状の該エポキシ樹脂組成物を入れた。更に、上からステンレス板を重ね、加熱加圧を行うことによりエポキシ樹脂硬化物を得た。加熱加圧条件は下記の通りである。
加熱温度:120℃
圧力:25kgf/cm2
雰囲気:大気圧
加熱加圧時間:1時間
[実施例1]
エポキシ樹脂(A)としてのビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(jER828EL、ジャパンエポキシレジン株式会社製)100質量部、硬化剤(B)としてのメチルシクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物(東京化成工業株式会社製)79質量部、硬化促進剤としての2−エチル−4−メチルイミダゾール(和光純薬工業株式会社製)2質量部、分散剤(C)としてのBYK−W940(ビックケミージャパン株式会社製)3.8質量部を混合し、金属粉末(D)としてのアルミニウム粉(−60、エカ・グラニュラージャパン株式会社製)760質量部(すなわちエポキシ樹脂組成物中の金属粉末(D)の体積充填率(a)が62体積%となる量)を加え乳鉢で混練し、ペースト状のエポキシ樹脂組成物を得た。ステンレス板(TFS、120mm×150mm×0.2mmt、日本パネルテスト株式会社製)上に、中心部に円状の穴を開けたブチルゴムを載せ、穴にペースト状の該エポキシ樹脂組成物を入れた。更に、上からステンレス板を重ね、加熱加圧を行うことによりエポキシ樹脂硬化物を得た。加熱加圧条件は下記の通りである。
加熱温度:120℃
圧力:25kgf/cm2
雰囲気:大気圧
加熱加圧時間:1時間
[実施例2]
実施例1において加圧時の圧力を35kgf/cm2に変更した以外は実施例1と同様にしてエポキシ樹脂硬化物を得た。
実施例1において加圧時の圧力を35kgf/cm2に変更した以外は実施例1と同様にしてエポキシ樹脂硬化物を得た。
[比較例1]
ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(jER828EL、ジャパンエポキシレジン株式会社製)100質量部、メチルシクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物(東京化成工業株式会社製)79質量部、2−エチル−4−メチルイミダゾール(和光純薬工業株式会社製)2質量部、BYK−W940(ビックケミージャパン株式会社製)4質量部を混合し、アルミニウム粉(−60、エカ・グラニュラージャパン株式会社製)760質量部(すなわちエポキシ樹脂組成物中の金属粉末(D)の体積充填率(a)が62体積%となる量)を加え乳鉢で混練し、ペースト状のエポキシ樹脂組成物を得た。ステンレス板(TFS、120mm×150mm×0.2mmt、日本パネルテスト株式会社製)上に、中心部に円状の穴を開けたブチルゴムを載せ、穴にペースト状の該エポキシ樹脂組成物を入れた。表面をステンレス製のへらで滑らかにした後、上からステンレス板を重ね、ホットプレートにて加熱することによりエポキシ樹脂硬化物を得た。加熱条件は下記の通りである。
加熱温度:120℃
雰囲気:大気圧
加熱加圧時間:1時間
ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(jER828EL、ジャパンエポキシレジン株式会社製)100質量部、メチルシクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物(東京化成工業株式会社製)79質量部、2−エチル−4−メチルイミダゾール(和光純薬工業株式会社製)2質量部、BYK−W940(ビックケミージャパン株式会社製)4質量部を混合し、アルミニウム粉(−60、エカ・グラニュラージャパン株式会社製)760質量部(すなわちエポキシ樹脂組成物中の金属粉末(D)の体積充填率(a)が62体積%となる量)を加え乳鉢で混練し、ペースト状のエポキシ樹脂組成物を得た。ステンレス板(TFS、120mm×150mm×0.2mmt、日本パネルテスト株式会社製)上に、中心部に円状の穴を開けたブチルゴムを載せ、穴にペースト状の該エポキシ樹脂組成物を入れた。表面をステンレス製のへらで滑らかにした後、上からステンレス板を重ね、ホットプレートにて加熱することによりエポキシ樹脂硬化物を得た。加熱条件は下記の通りである。
加熱温度:120℃
雰囲気:大気圧
加熱加圧時間:1時間
[比較例2]
実施例1においてBYK−W940を加えない以外は実施例1と同様にして、エポキシ樹脂硬化物を得た。
実施例1においてBYK−W940を加えない以外は実施例1と同様にして、エポキシ樹脂硬化物を得た。
[体積充填率(a)及び体積充填率(b)]
エポキシ樹脂組成物中の金属粉末(D)(アルミニウム粉)の充填量(体積充填率(a)は、アルミニウム粉の配合量とエポキシ樹脂の配合量、およびアルミニウム粉の密度[2.7g/cm3]とエポキシ樹脂の密度から算出した。なお、エポキシ樹脂の密度としては、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(jER828EL、ジャパンエポキシレジン株式会社製)100質量部、メチルシクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物(東京化成工業株式会社製)79質量部、2−エチル−4−メチルイミダゾール(和光純薬工業株式会社製)2質量部を混合し、120℃で1時間加熱硬化させた試料を1cm角に切り出し、体積と質量とから算出した値を用いた。
エポキシ樹脂組成物中の金属粉末(D)(アルミニウム粉)の充填量(体積充填率(a)は、アルミニウム粉の配合量とエポキシ樹脂の配合量、およびアルミニウム粉の密度[2.7g/cm3]とエポキシ樹脂の密度から算出した。なお、エポキシ樹脂の密度としては、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(jER828EL、ジャパンエポキシレジン株式会社製)100質量部、メチルシクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物(東京化成工業株式会社製)79質量部、2−エチル−4−メチルイミダゾール(和光純薬工業株式会社製)2質量部を混合し、120℃で1時間加熱硬化させた試料を1cm角に切り出し、体積と質量とから算出した値を用いた。
エポキシ樹脂硬化物中の金属粉末(D)(アルミニウム粉)の充填量(体積充填率(b))
実施例1,2及び比較例1,2で得られたエポキシ樹脂硬化物の中心部を1cm角に切り出し、体積と質量とから密度を算出した。算出された密度から、下記式により、エポキシ樹脂硬化物中のアルミニウム粉の体積充填率x[体積%]を算出し、この値を体積充填率(b)とした。
Y=(x/100)×z+(1−x/100)×Z
x:エポキシ樹脂硬化物中のアルミニウム粉の体積充填率[体積%]
Y:エポキシ樹脂硬化物の密度[g/cm3]
z:アルミニウムの密度=2.7g/cm3
Z:樹脂の密度[g/cm3]=1.2g/cm3
実施例1,2及び比較例1,2で得られたエポキシ樹脂硬化物の中心部を1cm角に切り出し、体積と質量とから密度を算出した。算出された密度から、下記式により、エポキシ樹脂硬化物中のアルミニウム粉の体積充填率x[体積%]を算出し、この値を体積充填率(b)とした。
Y=(x/100)×z+(1−x/100)×Z
x:エポキシ樹脂硬化物中のアルミニウム粉の体積充填率[体積%]
Y:エポキシ樹脂硬化物の密度[g/cm3]
z:アルミニウムの密度=2.7g/cm3
Z:樹脂の密度[g/cm3]=1.2g/cm3
なお、上記樹脂の密度は、上述した方法により作製したエポキシ樹脂硬化物の体積と質量とから算出した。
[エポキシ樹脂硬化物の断面観察]
エポキシ樹脂硬化物を二液性のエポキシ樹脂で包埋し、研磨紙(♯100、♯220、♯500、♯1200)、ダイヤモンドペースト及びアルミナ研磨剤を用いて研磨し、断面を走査型電子顕微鏡(SX−40A、遠藤科学社製、倍率500倍)で観察した。300μm角の観察像中に3μm以上のボイドが1つもないものを○、3μm以上のボイドが1つ以上確認されたものを×とした。
エポキシ樹脂硬化物を二液性のエポキシ樹脂で包埋し、研磨紙(♯100、♯220、♯500、♯1200)、ダイヤモンドペースト及びアルミナ研磨剤を用いて研磨し、断面を走査型電子顕微鏡(SX−40A、遠藤科学社製、倍率500倍)で観察した。300μm角の観察像中に3μm以上のボイドが1つもないものを○、3μm以上のボイドが1つ以上確認されたものを×とした。
[熱伝導率測定]
上記断面観察によりボイドがないと判断したエポキシ樹脂硬化物のみ、下記の方法にて熱伝導率の評価を行った。
上記断面観察によりボイドがないと判断したエポキシ樹脂硬化物のみ、下記の方法にて熱伝導率の評価を行った。
エポキシ樹脂硬化物の中心部をφ10mmに切り出し、レーザーフラッシュ法熱定数測定装置(TC−7000、アルバック理工社製)にて熱拡散率α[m2/s]を測定し、比熱Cp[J/kg・K]及び密度σ[kg/m3]から下記式を用いて熱伝導率K[W/mK]を算出した。
K=α×Cp×σ
K=α×Cp×σ
上記の評価の結果を表1に示す。
本発明が提供する金属粉末高充填エポキシ樹脂硬化物は、例えば筐体、放熱シート、高熱伝導性基板等の放熱部材に有用である。
Claims (3)
- エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、分散剤(C)及び金属粉末(D)を含有するエポキシ樹脂組成物を硬化させてなるエポキシ樹脂硬化物であって、
前記金属粉末(D)が、0.2%耐力が400MPa以下である金属粉末であり、かつ、
エポキシ樹脂硬化物中の前記金属粉末(D)の体積充填率が65〜95体積%である、エポキシ樹脂硬化物。 - エポキシ樹脂硬化物中の前記金属粉末(D)の体積充填率が70〜90体積%である、請求項1に記載のエポキシ樹脂硬化物。
- 請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂硬化物を製造する方法であって、
前記エポキシ樹脂組成物を硬化させてエポキシ樹脂硬化物を得る工程を含み、
前記硬化の際に、前記エポキシ樹脂組成物中の前記金属粉末(D)の体積充填率(a)に対する、前記エポキシ樹脂硬化物中の前記金属粉末(D)の体積充填率(b)の比(b)/(a)が、(b)/(a)≧1.05を満足するように、前記エポキシ樹脂組成物を圧縮成形する、エポキシ樹脂硬化物の製造方法。
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CN104292767A (zh) * | 2014-01-13 | 2015-01-21 | 国家电网公司 | 一种电工绝缘件用真空浇注模具材料及模具的制备方法 |
JP2017179134A (ja) * | 2016-03-30 | 2017-10-05 | 旭化成株式会社 | 熱硬化性樹脂組成物 |
WO2023276814A1 (ja) * | 2021-06-29 | 2023-01-05 | ナミックス株式会社 | エポキシ樹脂組成物、半導体装置および半導体装置の製造方法 |
-
2009
- 2009-10-23 JP JP2009244791A patent/JP2011089063A/ja active Pending
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