<第1実施形態>
本発明を適用する実施形態(以下、「本実施形態」という。)の一例を示す第1実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、本発明の技術的範囲は本実施形態に限定しない。本実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々に変更できる。
図1は、本実施形態に係る組立式の筐体1を沈下防止用として使用する場合の全体斜視図である。
筐体1は、例えば量水器等の地下構造物(図示せず)を保護する地下構造物保護箱(量水器ボックス)である。筐体1は、蓋体2と上側枠3と側壁である組立枠体4と底板5とで構成する。組立枠体4は、前後左右の4側面を有する平面視矩形環状で上下面が開口する四角筒状をなすもので、筐体1の側壁として機能する。また、組立枠体4の上側には、上側枠3を設置する。上側枠3は、開口部6(図2参照)を有する平面視矩形環状の枠体である。上側枠3の開口部6には、この開口部6を開閉可能な板状の蓋体2を着脱可能でかつ回動可能に取り付ける。組立枠体4の下側には、その組立枠体4側を開放して底部に底面を有する底板(底蓋)5を設置する。底板5は、筐体1の下側を塞ぐ役割を果たす。
図2は、筐体1を沈下防止用に使用する場合の分解斜視図である。沈下防止とは、地中に埋没設置する筐体1の地中への沈み込みを防止することである。
蓋体2には、この蓋体2を上側枠3に対して回動させるときの支軸となる凹部11を形成する。蓋体2の凹部11は、上側枠3に形成する凸部12と係脱可能に係合する。蓋体2の凹部11と上側枠3の凸部12との係合によって、蓋体2は、上側枠3の開口部6に対して開閉可能となる。上側枠3と組立枠体4とは、組立枠体4の上側に複数形成する組立突起7と上側枠3の下側に複数形成する組立凹部(図示せず)との嵌合によって取り外し可能に組み立てる。組立枠体4と底板5とは、底板5の上側に複数形成する組立突起8と組立枠体4の下側に複数形成する組立凹部(図示せず)との嵌合によって取り外し可能に組み立てる。なお、組立枠体4及び底板5に設ける組立突起7、8と上側枠3及び組立枠体4に設ける図示しない組立凹部とは、それぞれ逆に形成しても良い。また、組立突起7、8と組立凹部(図示せず)との形状は他でも良い。例えば、組立突起7、8を係止片として組立凹部(図示せず)を係合部として形成しても良い。
底板5の側壁15には、例えば図示しない量水器(地下構造物)の上流と下流を挿通可能な切欠状の挿通部16を有する板状のスペーサ19を係脱可能(取り付け可能)な嵌合口(孔部)14を形成する。なお、嵌合口14は、組立枠体4および底板5の両方に形成して組み合わせて構成しても良い。
スペーサ19は、組立枠体4や底板5とは別の部材で構成し、挿通部16の数が異なる複数種類を用意する(図2参照)。そして、これら複数種類のスペーサ19の中から、筐体1内に収容する地下構造物(収容物)の数に応じて選択した一のスペーサ19を使用することによって、容易に筐体1内に収容する地下構造物の数に対応できる。
なお、図1や図2では、嵌合口14は、底板5の側壁15の短辺側に設けているが長辺側に設けても良い。また、嵌合口14は、底板5の側壁15の短辺側と長辺側との双方に設けて、使用しない側の嵌合口14を挿通部16が無いスペーサで塞いでも良い。更に嵌合口14は、縦壁21や横壁41に設けたり、縦壁21や横壁41と底板5とに設けて組み合わせても良い。
筐体1は、スペーサ19を交換するのみで、挿通部16の数を変更できる。また、挿通部16を必要としない収容物を筐体1内に収容する場合は、挿通部16を有しない板状のスペーサ19を使用する。つまり、筐体1は、スペーサ19を交換するのみで、筐体1内に収容する量水器等の地下構造物の数の変更に容易に対応できる。
また、底板5の底面17には、複数の長孔18を形成する。長孔18は、例えば筐体1内に収容する量水器の土台を固定する取付孔としても使用できる。また、長孔18は、筐体1に流れ込む水を筐体1の外部に排出する。
組立枠体(側壁)4は、例えばそれぞれ複数の長板状の縦壁21と横壁41とを互いに連結して組み立てて構成する。つまり、筐体1の側壁である組立枠体4の左右2面を互いに離間対向する縦壁21で構成し、組立枠体4の前後2面を互いに離間対向する横壁41で構成する。縦壁21は、横壁41よりも長手方向の寸法を短く形成する。横壁41は、縦壁21よりも長手方向の寸法を長く形成する。
しかし、縦壁21および横壁41の寸法は他でも良く、例えば縦壁21および横壁41の寸法は同じ寸法にしても良い。言い換えると、組立枠体4は、縦壁21か横壁41かのみで構成しても良い。
また、縦壁21の寸法は、筐体1に収容する量水器の数に応じて横壁41よりも長い寸法でも良い。横壁41の寸法は、筐体1に収容する量水器の寸法に応じる寸法でも良い。筐体1の蓋体2と上側枠3と底板5とは、組立枠体4に合わせた寸法のものを使用する。
<縦壁>
図3(a)に示すように、縦壁(短側壁)21は、長板状の部材である。縦壁21の長手方向の一方の端部22aには、平面視T字状をなす複数、例えば上下2つの突起部23を形成する。また、縦壁21の長手方向の他方の端部22bには、横壁41の突起部43と係合する孔部26を形成する。孔部26は、側面視逆凸字状をなす複数、例えば上下2つの孔部26を縦壁21の表裏面に貫通して形成する。
突起部23は、後述の横壁41の他方の端部42bに形成する孔部46と係脱可能に係合する。また、突起部23を形成する端部22aの上側には、縦壁21の上面24から延出する板状の突出板部である延出部25を形成する。孔部26を形成する端部22bの上側には、後述の横壁41の一方の端部42aに形成する延出部45と係合する切欠部27を形成する。延出部25は、後述の横壁41の他方の端部42bに形成する凹状の切欠部47と係合する。組立枠体4は、縦壁21が延出部25と切欠部27とを有し、横壁41が延出部45と切欠部47とを有してそれぞれ係合するので、縦壁21の上面24と横壁41の上面44との上面を同一面にして組立できる。そして、図1に示すように、上側枠3は、縦壁21および横壁41のそれぞれに形成する組立突起7に係合する。なお、縦壁21および横壁41に形成する突起部23および孔部46の数は、1つでも良く2以上の複数でも良い。
<縦壁の詳細>
縦壁21は、図3(b)に示すような表面31と図3(c)に示すような裏面36とを有する。縦壁21の表面31には、複数のリブ構造32を形成する。リブ構造32は、薄壁33とこの薄壁33によって囲まれた凹部である窪部34とで構成する。つまり、縦壁21の表面31は、縦壁21の長手方向に互いに間隔をおいて並ぶ複数の窪部34を有する。
縦壁21の裏面36には、補強のための薄い凹部37と薄い凸部38とを形成して、表面31のようなリブ構造32を形成しない。つまり、縦壁21の裏面36は、表面31とは異なる形状である。薄い凹部37と薄い凸部38とは、筐体1を寒冷地に用いるときに凍上による影響を受けない方向と程度とに形成する。なお、裏面36には、凹部37および凸部38を形成せずに平滑な平面に形成しても良い。
<横壁>
図4(a)に示すように、横壁(長側壁)41は、長板状の部材である。横壁41の長手方向の一方の端部42aには、平面視T字状をなす複数、例えば上下2つの突起部43を形成する。突起部43は、縦壁21の孔部26と係脱可能に係合する。また、横壁41の長手方向の他方の端部42bには、縦壁21の突起部23と係合する孔部46を形成する。孔部46は、側面視逆凸字状をなす複数、例えば上下2つの孔部46を横壁41の表裏面に貫通して形成する。孔部46は、前述の縦壁21の突起部23と係合して、複数の長板状の縦壁21と複数の横壁41とで構成する組立枠体4を枠状に保持する。言い換えると、横壁41の突起部43と縦壁21の孔部26とは、縦壁21と横壁41とを互いに連結して、組立枠体4を枠状に保持する連結部30を構成する。
また、孔部46を形成する端部42bの上側には、横壁41の上面44を一部切り欠いて凹状の切欠部47を形成する。切欠部47は、縦壁21に形成する延出部25と係合する。これにより、縦壁21の上面24と横壁41の上面44とが同一の高さの面になり、図1に示すように上側枠3は、縦壁21と横壁41とのそれぞれに形成する組立突起7に係合する。
横壁41は、図4(b)に示すような表面51と図4(c)に示すような裏面56とを有する。横壁41の表面51には、縦壁21と同様に複数のリブ構造52を形成する。リブ構造52は、薄壁53とこの薄壁53によって囲まれた窪部54とで構成する。つまり、横壁41の表面51は、横壁41の長手方向に互いに間隔をおいて並ぶ複数の窪部54を有する。
横壁51の裏面56には、縦壁21と同様に補強のための薄い凹部57と薄い凸部58とを形成して、表面51のようなリブ構造52を形成しない。つまり、横壁41の裏面56は、表面51とは異なる形状である。薄い凹部57と薄い凸部58とは、筐体1を寒冷地に用いるときに凍上による影響を受けない方向と程度とに形成する。なお、裏面56には、凹部57と凸部58とを形成せずに平滑な平面に形成しても良い。
<組立枠体>
第1実施形態の組立枠体4を構成する2枚の縦壁21と2枚の横壁41とは、それぞれ表面(凹凸面)31,51と裏面(平坦面)36,56とを有する。そして、組立枠体4は、縦壁21および横壁41のそれぞれの表面31,51同士と裏面36,56同士とを組み合わせて組み立てて使用する。言い換えると、すべての表面31,51を外側に向けて構成する組立枠体4は沈下防止用として使用できる。また、すべての裏面36,56を外側に向けて構成する組立枠体4は寒冷地用として使用できる。
<沈下防止>
沈下防止用に使用する筐体1は、図1に示すように、縦壁21の表面31と横壁41の表面51とを外側に向けて組立枠体4を組み立てる。そして、縦壁21の表面31と横壁41の表面51とを外側にする組立枠体4に、蓋体2と上側枠3と底板5とを組み立てて筐体1を使用する。
そして、沈下防止用に使用する筐体1の組立枠体4は、リブ構造32,52を有する表面31,51が筐体1の外側を向き、組立枠体4の外面となる。このリブ構造32,52の薄壁33,53と窪部34,54とは、筐体1を埋設する地中と広い面積で接触して筐体1の沈下を防止する。つまり、筐体1は、表面積が広いリブ構造32,52を筐体1の外側に向けることによって、筐体1を埋没する地中との接触面積を大きくして地中への沈下を防止できる。
<凍上防止>
図5(a)は、筐体1を寒冷地用として使用する場合の筐体1の全体斜視図を示す。寒冷地用とは、例えば冬季において水が氷る地域において筐体1内に収容する量水器の水の凍結を防止することである。また、寒冷地用とは、冬場の冷え込み等によって土中の水分が凍結する凍上が起こるときに、筐体1の浮き上がりを防止することである。寒冷地用に使用する筐体1は、図5(b)に示すように、縦壁21の裏面36と横壁41の裏面56とを筐体1の外側に向けて組立枠体4を組み立てる。そして、縦壁21の裏面36と横壁41の裏面56とを外側にする組立枠体4に、蓋体2と上側枠3と底板5を組み付けて図5(a)に示すように筐体1を使用する。
そして、寒冷地用に使用する場合の組立枠体4は、図6(a)に示すように、リブ構造32,52を有する表面31,51が組立枠体4の内側を向き、組立枠体4の内面となる。そこで、リブ構造32,52の窪部34,54には、図6(b)に示すように、例えば発泡樹脂等の断熱材80を収容して断熱材80を保持する。リブ構造32,52が保持する断熱材80は、少なくとも組立枠体4の内面全体を覆い、この断熱材80の断熱効果によって寒冷地用として用いる筐体1内の温度低下を防ぎ、この筐体1内に収容する量水器内の水の凍結を防止する。また、断熱材80は、一体構造として複数のリブ構造32,52を覆う。断熱材80は、それぞれのリブ構造32,52ごとに別体で収容しても良いが、一体構造の断熱材80とすれば、薄壁33を超えて複数のリブ構造32,52を一体的に閉塞するので更に断熱効果が高い。
筐体1を寒冷地用に用いる場合は、温度変化が少ない地域に筐体1を埋設するよりも深い位置に筐体1を埋設する。これは、地表から深い位置の温度変化が地表の温度変化よりも少ないためである。この場合、筐体1の組立枠体4を図7に示すように、上下方向に複数段(例えば2段)積み重ねて埋設できる。
また、例えば、それぞれの横壁41の下面には、組違い防止突起(組違い防止凸部)13bを1か所形成し、底板5には、組違い防止突起13bを嵌合収容する組違い防止孔13aを形成する。横壁41の組違い防止突起13bは、組立枠体4が表面31,51を揃える場合と裏面36,56を揃える場合とで非対称関係な位置に形成する。
底板5の組違い防止孔13aは、表面31,51を揃える組立枠体4の組違い防止突起13bと適合する2か所と裏面36,56を揃える組立枠体4の組違い防止突起13bと適合する2か所との合計4か所に形成する。これにより、底板5には、組立枠体4の表面31,51を揃えても裏面36,56を揃えても組立できる。
横壁41の組違い防止突起13bを設ける面と反対の上面44には、組違い防止突起13bと嵌合可能な組違い防止孔(組違い防止凹部)13cを1か所形成する。つまり、組立枠体4は、上下方向に複数段積み重ねる場合に上下の各組立枠体4同士が同じ向きでなければ組立できない。このため、組立枠体4は、上下方向に複数段積み重ねる場合にも組立枠体4同士の向きを間違えない。なお、組違い防止凹凸は、互いに嵌脱可能に嵌合する組違い防止突起13bと組違い防止孔13cとからなる。
また、上下に互いに隣接する組立枠体4同士は、下側の組立枠体4の組立突起7と上側の組立枠体4の組立凹部(図示せず)との嵌合によって取り外し可能に組み立てる。なおこの場合、積み重ねて組み立てる組立枠体4に用いる断熱材80は、複数段の組立枠体4を一体に断熱できる一体構造であれば、複数段の組立枠体4を一体的に閉塞できて、更に断熱効果が高い。
このように、リブ構造32,52を有する表面31,51が内側を向く組立枠体4は、リブ構造32,52に断熱材80を設けて保温性を高めて、筐体1を寒冷地用として使用できる。
<連結構造>
次に、組立枠体4の連結部30の構造の詳細を説明する。
図8(a)は、筐体1を沈下防止用とする場合の連結部30の係合状態を示す。図8(a)に示すように、沈下防止用として使用する場合の組立枠体4は、縦壁21の表面31と横壁41の表面51とを外側に向けて組み立てる。言い換えると、筐体1を沈下防止用とする場合は、縦壁21の表面31と横壁41の表面51とに形成するリブ構造32,52を外側に配置する。
なお、第1実施形態では、縦壁21の一方の端部22aに突起部23を、他方の端部22bに孔部26を形成して、横壁41の一方の端部42aに突起部43を、他方の端部42bに孔部46を形成しているが他でも良い。つまり、縦壁21の一方の端部22aに孔部26を、他方の端部22bに突起部23を形成して、横壁41の一方の端部42aに孔部46を、他方の端部42bに突起部43を形成しても良い。すなわち、縦壁21と横壁41とは、端部の一方同士に突起部および孔部のいずれか一方を形成し、端部の他方同士に突起部および孔部のいずれか他方を形成する。これにより、縦壁21と横壁41とを組み立てて構成する組立枠体4は、表面か裏面を間違うことなく表面か裏面かを揃えて組立できる。
<突起部の詳細>
突起部の詳細について突起部23を例に説明する。図8(b)に示すように、縦壁21の突起部23は、縦壁21の長手方向の一方の端部22aに突出して形成する。突起部23は、縦壁21の端部22aから突出する根元部61と、この根元部61よりも細い幅で形成し根元部61から外側方向に伸びる首部62と、首部62の先端で縦壁21の厚み方向(表面31から裏面36への方向)に首部62よりも太い幅で形成する頭部である先端部63とを有する。突起部23は、根元部61と首部62と先端部63とまでの高さ方向の寸法(縦壁21の上下である高さ方向)を同一寸法で形成する。
そして、突起部23を形成する近傍には、図8に示すように、第一の逆付防止部である逆付防止凹部65を段状に形成する。具体的には、逆付防止凹部65は、例えば突起部23の根元部61にこの根元部61の一部を切り欠いて形成する。逆付防止凹部65は、例えば縦壁21の裏面36側にのみ形成する。言い換えると、逆付防止凹部65は、縦壁21の一方の面側にのみ形成する。なお、突起部23を例にして説明したが、突起部43も同様に形成する。
<孔部の詳細>
一方、横壁41の孔部46は、横壁41の長手方向の他方の端部42bに、横壁41の厚さ方向に貫通して形成する。孔部46は、図4(b)にも示すように、横壁41の厚み方向(表面51から裏面56への方向)に連通する大孔部66を上側に、小孔部67を下側に有する。大孔部66は、横壁41の表面51と裏面56とから、縦壁21の突起部23の根元部61を収容可能な寸法で形成する。
小孔部67は、大孔部66より下側に切り欠く形状で形成する。小孔部67は、突起部23の首部62と係合(嵌合)する幅と長さと深さとで形成する。言い換えると、小孔部67は、突起部23の首部62のみと係合する幅と長さと深さとを有するように、大孔部66の略中間位置に突出して対をなす突出部68を設けて形成する。つまり、大孔部66の下方には、同じ大きさで対をなす突出部(膨出部)68を設けて小孔部67を形成する。突出部68は孔部46内にて横壁41の中央側へ突出して、また、横壁41の中央側から突出して2箇所に設ける。つまり、首部62を嵌入する小孔部67は、互いに離間対向する両突出部68間に位置する。
また、それぞれの突出部68の近傍には、縦壁21の突起部23の逆付防止凹部65と係合する第二の逆付防止部である逆付防止凸部70を形成する。逆付防止凸部70は、横壁41の中央側へと突出する突出部68の表面51側と、横壁41の中央側から突出する突出部68の裏面56側との2箇所に形成する。言い換えると、2つの逆付防止凸部(表面側逆付防止凸部および裏面側逆付防止凸部)70は孔部46内に設ける小孔部67を挟んで対面突出する突出部68の、横壁41の厚さ方向に対角線上に対向した位置に形成する。つまり、孔部43の表面側および裏面側に、逆付防止凹部65と係合可能な逆付防止凸部70をそれぞれ形成する。なお、孔部46を例にして説明したが、孔部26も同様に形成する。
<使用例>
筐体1を沈下防止用として使用する場合は、縦壁21の表面31と横壁41との表面51とを外側に向けて組立枠体4を組み立てる。具体的には、縦壁21の複数の突起部23を横壁41の複数の孔部46における大孔部(上側孔部)66に端部22aが裏面56に当接するまで挿入した後、下側の小孔部(下側孔部)67へ押圧する。すると、縦壁21の突起部23の首部62が、横壁41の孔部46における小孔部67に入り込み、また、横壁41の突起部43の首部62が、縦壁21の孔部26における小孔部67に入り込み、縦壁21と横壁41とが係合する。このとき、縦壁21の突起部23に形成する逆付防止凹部65と横壁41の孔部43に形成する逆付防止凸部70とは、互いに鍵と鍵穴とのような凹凸に噛み合って互いに干渉しない。つまり、互いの表面31,51を同じ側に揃えて組み立てる場合、縦壁21と横壁41とはなんら障害なく組み立てできる。
しかし、例えば組立枠体4を組み立てるときに、図8(c)に示すように、誤って縦壁21か横壁41かの一枚を逆向きに取り付けようとした場合、つまり縦壁21および横壁41のいずれか一方をいずれか他方に対して逆付しようとした場合には、横壁41の孔部46に形成した逆付防止凸部70が、縦壁21の突起部23の根元部61のうち逆付防止凹部65側と反対側の角部61aと当接する。言い換えると、縦壁21および横壁41のいずれか一方をいずれか他方に対して逆付しようとする場合、突起部23(43)は孔部46(26)へ完全に挿入できない。このため、首部62は小孔部67へ嵌入できない。つまり、逆付防止凸部70は、縦壁21と横壁41とを表面31,51に組み立てる場合に縦壁21や横壁41を逆に組み付けることを防止(逆付防止)できる。これにより、筐体1は、表面31,51を外側に組み付けて使用する場合に組立枠体4を間違うことなく組み付けできる。
本実施形態の筐体1は、縦壁21と横壁41とは、それぞれ一方の端部(22a、42a)に突起部(23,43)および孔部(26,46)のいずれか一方を有し、それぞれ他方の端部(22b,42b)に突起部(23,43)および孔部(26,46)のいずれか他方を有して形成する。また、突起部(23,43)は根元部61と首部62と先端部63とを有し、孔部(26,46)は大孔部66と小孔部67と突出部68とを有する。また、縦壁21と横壁41とは、一方の端部(22a、42a)に延出部(25,45)を有し、他方の端部(22b,42b)に切欠部(27,47)を有する。このため、本実施形態の筐体1は、縦壁21や横壁41の方向を間違えて逆付することはない。
一方、筐体1を図5(a)のように寒冷地用として組み立てる場合は、縦壁21の裏面36と横壁41との裏面56とを外側に向けて組立枠体4を組み立てる。具体的には、縦壁21と横壁41との複数の突起部23、43を縦壁21と横壁41との複数の孔部26,46における大孔部66に端部22a、42aが表面51に当接するまで挿入した後、下側の小孔部67へ押圧する。すると、縦壁21の突起部23と横壁41の突起部43の首部62が、縦壁21と横壁41の孔部26、46とにおける小孔部67に入り込み、縦壁21と横壁41とが係合する。縦壁21と横壁41とは、それぞれ一方の端部(22a,42a)に突起部(23,43)か孔部(26,46)かの一方を、それぞれ他方の端部(22b、42b)に突起部(23,43)か孔部(26,46)かの他方を形成する。このため、組立枠体4を組み立てるときに、縦壁21および横壁41のいずれか一方をいずれか他方に対して逆付することがない。これにより、筐体1は、裏面36,56を外側に組み付けて使用する場合にも組立枠体4を間違うことなく組み付けできる。
<断熱材の記載>
また、寒冷地用として使用する場合の組立枠体4は、リブ構造32,52を有する表面31,51が組立枠体4の内側を向く状態になる。そこで、図6(b)に示すように、リブ構造32,52の窪部34,54には、断熱材80を収容する。断熱材80は、組立枠体4の組立前か組立後かの適宜のときに収容できる。断熱材80は、断熱効果を有するので筐体1内の温度低下を防ぎ筐体1内に収容する量水器内の水の凍結を防止する。なお、断熱材80は、ウレタンフォーム、フェノールフォーム、ポリスチレンフォーム、ビーズ法ポリスチレン、或いは発泡ゴム等の発泡系断熱材、ロックウールやグラスウール等の繊維系断熱材、エアロゲル等を適宜使用する。
また、断熱材80は、図6(b)に示すように、一体構造として形成して複数のリブ構造32,52を覆っても良い。一体構造の断熱材80は、組立枠体4を形成する縦壁21と横壁41との隙間を塞ぐので、筐体1内の温度低下を効果的に防止できる。つまり、一体構造の断熱材80は、薄壁33を超えて複数のリブ構造32,52を一体的に閉塞するので断熱効果がより高い。また、一体構造の断熱材80は、リブ構造32,52の窪部34,54に嵌め込むだけで取り付けできて施行性が良い。このように、リブ構造32,52を有する表面31,51が組立枠体4の内側を向く組立枠体4は、リブ構造32,52に設ける断熱材80によって筐体1を寒冷地用として使用できる。
<まとめ>
筐体1は、使用目的に応じて、組立枠体4を構成する縦壁21と横壁41との表面31,51または裏面36,56の一方を外側に向けて組み立てできる。筐体1の縦壁21と横壁41とは、互いの表面31,51か裏面36,56かを揃えて組み立てる場合、なんら障害なく組み立てできる。そして、筐体1は、組み付け間違いを防止できる。つまり、筐体1は、組立枠体4の縦壁21と横壁41との表面31,51または裏面36,56の一方を間違うことなく揃えて組立できるので、沈下防止や寒冷地用等の用途に応じて複数の機能を確実に発揮できる。
リブ構造32,52の窪部34,54に収容する断熱材80は、断熱材80の断熱効果によって、筐体1内の温度低下を防ぎ筐体1内に収容する地下構造部が量水器の場合、量水器内の水の凍結を防止できる。また、筐体1は、リブ構造32,52の窪部34,54の空間を活用して断熱材80を収容するので、筐体1内に張り出すことが無く、筐体1内のスペースを狭くしない。つまり、リブ構造32,52の窪部34,54に収容する断熱材80は、筐体1内での作業の邪魔にならない。
<変形例1>
次に、連結部30に押圧部である案内リブ49を形成する変形例1について説明する。
図9(a)や図10(a)に示すように、横壁41の孔部46には、突起部23を案内しながら内側に押圧する膨出状の案内部である案内リブ49を形成する。具体的には、案内リブ49は、孔部46の小孔部67に、横壁41の長手方向外側から横壁41の長手方向中心方向へ突出して形成する。案内リブ49は、大孔部66側を起点に小孔部67の底(奥)へ向かって傾斜するよう突出部68に形成する。つまり、案内リブ49は、両突出部68のうちの一方の突出部68に、上端から下端に向かって徐々に他方の突出部68に接近するように傾斜状に形成する。
そして、図9(b)に示すように、縦壁21の複数の突起部23を横壁41の複数の孔部46における大孔部66に挿入した後、下側の小孔部67へ押圧すると、縦壁21の突起部23の首部62が、横壁41の孔部46の小孔部67に入り込み、縦壁21と横壁41とが係合する。このとき、案内リブ49は、縦壁21の突起部23に形成する首部62を横壁41の中心方向へ押圧し、この案内リブ49と対向する突出部68とで首部62を堅固に挟持する。案内リブ49による首部62の押圧は、縦壁21と横壁41とで構成する組立枠体4の内側の隙間を減少する。つまり、案内リブ49を備える筐体1は、組立枠体4の隙間を減少できるので、筐体1の密閉性を向上できる。
案内リブ49を備える筐体1を沈下防止用として使用する場合は、縦壁21の表面31と横壁41との表面51とを外側に向ける組立枠体4の連結部30からの筐体1内への土砂の侵入を効果的に防止できる。また、筐体1を寒冷地用として使用する場合は、縦壁21の裏面36と横壁41との裏面56とを外側に向ける組立枠体4の連結部30からの筐体1内への冷気の侵入を効果的に防止できる。そして、案内リブ49を備える筐体1は、断熱材80による断熱効果と相まって筐体1の内部の凍結を効果的に防止できる。
<変形例2>
次に、案内リブ49を形成する連結部30に、更に外れ防止部(ズレ防止部)としての外れ防止突起71,76を形成する変形例2について説明する。
図10(a)および(b)に示すように、突起部23には第一の外れ防止部(第一の外れ防止突起71)を形成し、孔部46には第一の外れ防止突起71と係合可能な第二の外れ防止部(第二の外れ防止突起76)を形成して突起部23と孔部46との係合状態を維持する。
すなわち、横壁41の孔部46に形成する第二の外れ防止突起76は、孔部46の突出部68から、横壁41の厚み方向外側へ向かって表面51と裏面56とからそれぞれ突出して形成する。つまり、第二の外れ防止突起76は、1つの孔部46の、表面51側に2箇所と裏面56側に2箇所との計4箇所突出する。第二の外れ防止突起76は、第一の外れ防止突起71と係脱可能に係合して連結部30の係合を強化する。
一方、縦壁21の突起部23には、第一の外れ防止突起71を形成する。第一の外れ防止突起71は、突起部23の先端部63の縦壁21の表面31側と裏面36側とから、縦壁21の長手中心方向へ突出して形成する。つまり、第一の外れ防止突起71は、1つの突起部23の先端部63の首部62側の面において、表面31側に1箇所と裏面36側に1箇所との計2箇所から突出する。
また、縦壁21の突起部23の基端側には、根元部61の一部を切り欠いて突起収容部である収容凹部72を形成する。つまり、収容凹部72は、1つの突起部23の、表面31側に1箇所と裏面36側に1箇所との計2箇所を切り欠いて形成している。
収容凹部72は、突起部23と孔部46とが係合するときに組立枠体4の内側に位置する第二の外れ防止突起76を収容する。つまり、収容凹部72は、組立枠体4を組み立てるときに、第一の外れ防止突起71と係合しない第二の外れ防止突起76を収容する。また、収容凹部72は、突起部23と孔部46との係合のときに突起部23を孔部46に円滑に案内する機能を果たす。
これら第一の外れ防止突起71と第二の外れ防止突起76とは、連結部30の係合を強化する。図11(a)に示すように、縦壁21の複数の突起部23を横壁41の複数の孔部46における大孔部66に挿入した後、下側の小孔部67へ押圧すると、縦壁21の突起部23の首部62が、横壁41の孔部46における小孔部67に入り込み、縦壁21と横壁41とが係合する。
そして、突起部23の第一の外れ防止突起71は、図11(b)に示すように、孔部46の第二の外れ防止突起76を乗り越えてこの第二の外れ防止突起76に係合する。また、組立枠体4の内側に位置する第二の外れ防止突起76は、縦壁21の表面31と裏面36とに形成する収容凹部72に収容されて収まる。
この第一の外れ防止突起71と第二の外れ防止突起76とは、組立枠体4の連結部30を強固に連結して筐体1に例えば沈下や浮上等の力が働くときに、連結部30の係合外れ(つまり突起部23と孔部46との係合外れ)を防止する。また、この第一の外れ防止突起71と第二の外れ防止突起76とは、組立枠体4の外側で係合する。この第一の外れ防止突起71と第二の外れ防止突起76との係合は、組立枠体4の連結部30を外側から押圧して縦壁21と横壁41との係合ズレを防止する。また、第一の外れ防止突起71と第二の外れ防止突起76との係合は、縦壁21と横壁41とで構成する組立枠体4の内側の隙間を減少する。つまり、筐体1は、組立枠体4の隙間を減少できるので、筐体1の密閉性が向上する。
案内リブ49と外れ防止突起71,76とを備える筐体1を沈下防止用として使用する場合は、縦壁21の表面31と横壁41との表面51とを外側に向ける組立枠体4の連結部30からの筐体1内への土砂の侵入をより効果的に防止できる。
また、筐体1を寒冷地用として使用する場合は、縦壁21の裏面36と横壁41との裏面56とを外側に向ける組立枠体4の連結部30からの筐体1内への冷気の侵入を効果的に防止できる。そして、案内リブ49と外れ防止突起71,76とを備える筐体1は、断熱材80による断熱効果と相まって、筐体1の内部の凍結をより効果的に防止できる。
<変形例3>
次に、外れ防止突起71,76を形成する連結部30に、更に切欠溝73を形成する変形例3について説明する。
図12に示すように、突起部23の首部62には、下方に向かって開口する凹状部である切欠溝73を形成する。切欠溝73は、突起部23の首部62の下側の一部を切り欠いて形成する。切欠溝73は、第一の外れ防止突起71が第二の外れ防止突起76に当接するときに、突起部23が弾性変形容易となる弾性力を付与する。つまり、突起部23は、切欠溝73によって、第一の外れ防止突起71と第二の外れ防止突起76との当接時に弾性変形する。
切欠溝73を設ける組立枠体4は、図13(a)に示すように、突起部23を孔部46の大孔部66に挿入した後、下側の小孔部67へ押圧する。このとき、突起部23の首部62に形成する切欠溝73によって、突起部23が弾性変形する。つまり、突起部23は、第一の外れ防止突起71と第二の外れ防止突起76とが当接するときに、切欠溝73が拡開するように弾性変形する。このため、突起部23は、孔部46の小孔部67に円滑に入り込み図13(b)に示すような連結部30の係合ができる。
このように、第一の外れ防止突起71と第二の外れ防止突起76とが当接するときに、突起部23は弾性変形するので、組立枠体4を組み立てるときに、突起部23と孔部46とを円滑に連結できる。また、切欠溝73を設ける組立枠体4は、分解するときにも、第一の外れ防止突起71と第二の外れ防止突起76とが当接するときに突起部23が弾性変形するので、突起部23と孔部46とを円滑に解放できる。
また、第一の外れ防止突起71には、図11(c)に示すように、第一の外れ防止突起71の上面側に上側傾斜面81を形成し、第一の外れ防止突起71の下面側に下側傾斜面82を形成するようにしても良い。例えば、第二の外れ防止突起76の上側傾斜面83と下側傾斜面84とを上側傾斜面81と同じ傾斜で形成している場合、組立枠体4の組立時の組み立て易さと組立枠体4の不用意な外れ防止とを考慮すると、上側傾斜面81は急な傾斜面に形成し、下側傾斜面82は緩い傾斜面に形成する。
つまり、第一の外れ防止突起71の水平方向に対する上側傾斜面81の傾斜角度αが第二の外れ防止突起76の上面側と下面側との傾斜と略同一の傾斜角度の場合、水平方向に対する下側傾斜面82の傾斜角度βは、傾斜角度αよりも小さく形成する。これにより、傾斜角度βに形成する下側傾斜面82は、突起部23を孔部46に係合するときに第二の外れ防止突起76と当接すると接触面積が小さい状態で摺動する。このため、突起部23と孔部46とは、円滑に係合できる。
また、第一の外れ防止突起71の上側傾斜面81は、第二の外れ防止突起76の下面側と同じ傾斜の傾斜角度αに形成する。このため、第一の外れ防止突起71と第二の外れ防止突起76との係合が不用意に外れることがない。そして、第二の外れ防止突起76の下面側と同じ傾斜の傾斜角度αに形成する第一の外れ防止突起71の上側傾斜面81は、突起部23を孔部46から係合解除するときに、係合時より力が必要であるが、外れ方向に力を加えると第二の外れ防止突起76に摺動しながら当接変形して、突起部23と孔部46とを取り外しできる。言い換えると、上側傾斜面81と下側傾斜面82とを備える第一の外れ防止突起71は、容易に突起部23を孔部46に係合できると共に、突起部23と孔部46との不用意な係合解除を防止できる。そして、必要なときは、突起部23と孔部46との係合を解除できる。
なお、第二の外れ防止突起76の上面側および下面側を第一の外れ防止突起71の上側傾斜面81と同じ傾斜角度としたが他でも良い。
例えば、第一の外れ防止突起71の水平方向に対する上側傾斜面81の傾斜角度αと下側傾斜面82の傾斜角度βとを略同一の傾斜角度にする場合は、第二の外れ防止突起76の下面側傾斜面84を傾斜角度αおよび傾斜角度βと一致する傾斜角度に形成する。このように、第一の外れ防止突起71と第二の外れの防止突起76との傾斜面を設定しても、第一の外れ防止突起71と第二の外れ防止突起76とは、接触面積が小さな状態で摺動して円滑に係合できる。また、第一の外れ防止突起71と第二の外れ防止突起76との係合が不用意に外れることが無い。そして、必要なときは、突起部23と孔部46との係合を解除できる。
なお、筐体1の組み立てや分解を頻繁に行う場合には、係合し易いように第一の外れ防止突起71の下側傾斜面82の傾斜と第二の外れ防止突起76の上側傾斜面83の傾斜を異なる傾斜として、係合解除が容易なように第一の外れ防止突起71の上側傾斜面81の傾斜と第二の外れ防止突起76の下側傾斜面84の傾斜を異なる傾斜としても良い。
<変形例4>
前述の第1実施形態の筐体1は、図1や図7に示すように、長さが異なる縦壁21と横壁41とを組み合わせて組立枠体4を構成しているが、他でも良い。
すなわち、図14(a)に示すように、同一形状の縦壁21を4枚組み合わせて組立枠体4aとして使用したり、図14(b)に示すように、同一形状の横壁41を4枚組み合わせて組立枠体4bとして使用したりすることが可能である。
2枚の縦壁21と2枚の横壁41とを組み合わせて組立筐体4を構成する前記第1実施形態では、筐体1内に例えば、2つの地下構造物を収容する。縦壁21を4枚組み合わせる組立枠体4aは容積が小さいので、例えば1つの地下構造物を収容する場合に使用する。また、横壁41を4枚組み合わせる組立枠体4bは容積が大きいので、例えば3つ以上の地下構造物を収容する場合に使用する。
このように、本実施形態の組立枠体4は、長手方向の寸法が互いに異なる縦壁21と横壁41との組み合わせにより構成している。このため、縦壁21および横壁41の寸法を同じ寸法にしない場合においては、筐体1は、組立枠体4を3種類に構成できる。言い換えると、短辺の横壁と長辺の縦壁との2種類を所望枚数用意することによって、筐体1に収容する収容物に応じて組立枠体4を3種類に構成できる。
更に、例えば図15に示すように、横壁41(縦壁21でもよい)に底板5の側壁15の嵌合口14のような嵌合口(孔部)14aを形成しその嵌合口14aにスペーサ19aを取り付けて底板5のスペーサ19と組み合わせれば、収容物の数への対応が容易になる。このため、縦壁21や横壁41を射出成型で形成する場合は、型の種類が少なくて済む。
また、筐体1は組立式で構成する。このため、小型の部品として保管できるので、保管に必要な場所が少なくて済む。このため、筐体1は省スペースで保管が可能となる。また、筐体1は、分解可能なコンパクトな部品の状態で運搬できる。このため、従来の一体式の筐体を輸送するスペースでより多くの部品を輸送でき、輸送コストを削減できる。
本実施形態の筐体1は、筐体1を地中に設置する上下水道や電力や電気通信用の計測器や弁体等の構造物を内部に収容する例を説明したが他でも良い。例えば、筐体1は、物品を収納して運搬する場合にも使用できる。そして、物品を収納して運搬する場合、組立枠体4のリブ構造32,52を有する表面31,51が外側を向くように組み立てる筐体1は、外側を向くリブ構造32,52に手を掛けて運搬できる。
また、物品を収納して運搬する場合、組立枠体4のリブ構造32,52を有する表面31,51が内側を向くように組み立てる筐体1は、リブ構造32,52に断熱材80を保持させて収容する。このため、筐体1は断熱性を有するので、冷凍食品等の温度管理が必要な物を運搬できる。また、リブ構造32,52に収容する断熱材80を厚みが異なる断熱材80に交換すれば、筐体1の容量を調整できる。また、一体形成の断熱材80を複数のリブ構造32,52に跨って収容すれば、薄壁33を超えて複数のリブ構造32を一体的に閉塞するので断熱効果がより高い。
また、筐体1は、運搬するものに合わせて組立枠体4を上下方向に複数段積み重ねて筐体1の高さを変更できる(図7参照)。そして、冷凍食品等の温度管理が必要な物を運搬する場合は、複数段の組立枠体4を一体に断熱できる一体構造の断熱材80を用いれば、複数段の組立枠体4を一体的に閉塞できて断熱効果が高い。なお、物品を内部に収納して運搬する場合には、筐体1の蓋体2や上側枠3や底板5の内側にもリブ構造を形成して、そのリブ構造に断熱材を設けても良い。また、筐体1を運搬に用いる場合は、蓋体2や上側枠3を用いずに、組立枠体4の上側を閉塞してもよく、また組立枠体4の上面を開口させたままでも良い。また、筐体1を運搬に用いる場合は、底板5に車輪を取り付けて移動し易いようにしても良い。
<本実施形態が含む発明>
次に、本実施形態が含む発明について述べる。
筐体は、複数の板状の縦壁と複数の板状の横壁とで側壁を構成する筐体であって、前記縦壁の一方の端部に突起部および孔部のいずれか一方を形成し他方の端部に前記突起部および前記孔部のいずれか他方を形成し、前記横壁の一方の端部に前記縦壁の前記いずれか他方と係合する突起部および孔部のいずれか一方を形成し他方の端部に前記縦壁の前記いずれか一方と係合する前記突起部および前記孔部のいずれか他方を形成し、前記突起部と前記孔部との係合により前記縦壁と前記横壁とを互いに連結して前記側壁を構成し、前記突起部には第一の逆付防止部を形成し、前記孔部の表面側および裏面側には前記第一の逆付防止部と係合可能な第二の逆付防止部をそれぞれ形成する。
そして、筐体は、縦壁および横壁のそれぞれの各表面が側壁の外面となるように縦壁と横壁とを互いに連結する場合、突起部の第一の逆付防止部と孔部の表面側の第二の逆付防止部とが互いに係合する。また、筐体は、縦壁および横壁のそれぞれの各裏面が側壁の外面となるように縦壁と横壁とを互いに連結する場合、突起部の第一の逆付防止部と孔部の裏面側の第二の逆付防止部とが互いに係合する。つまり、縦壁および横壁のいずれか一方をいずれか他方に対して逆付しようとした場合には、第一の逆付防止部と第二の逆付防止部とが互いに噛み合わず係合できない。このため、筐体は、筐体の組み立てが容易で、表面側と裏面側とを組み付け間違いすることがなく筐体の沈下防止や寒冷地用の所望の性能を発揮できる。
また、突起部は、端部から突出する根元部とこの根元部よりも細く形成する首部とこの首部よりも太く形成する先端部とを有し、孔部は、根元部を収容可能な大孔部と首部を収容可能な小孔部とを有する。このため、突起部と孔部との係合が容易である。
また、第一の逆付防止部を根元部に、第二の逆付防止部を大孔部にそれぞれ形成する。このため、筐体は、表面側と裏面側とを組み付け間違いすることがない。
また、突起部に第一の外れ防止部を形成し、孔部に第一の外れ防止部と係合可能な第二の外れ防止部を形成する。このため、筐体は、組立枠体の不用意な係合解除を防止できる。また、突起部には、第一の外れ防止部と第二の外れ防止部との当接時に弾性変形する切欠溝を形成する。このため、突起部は、組立枠体を組み立てるときに弾性変形するので、組立枠体の組み立てが容易になる。
また、第二の外れ防止部は、孔部の表面側および裏面側にそれぞれ突出形成し、第一の外れ防止部は、突起部の基端側に向かって突出形成するとともに、突起部の基端側には第二の外れ防止部を収容する収容凹部を形成する。このため、筐体は、組立枠体の内側と外側とのいずれかを揃えて組み立てても、第一の外れ防止部と第二の外れ防止部とが係合して、組立枠体の不用意な係合解除を防止できる。
また、第一の外れ防止部には、組立時に第二の外れ防止部に当接する下側傾斜面と分解時に第二の外れ防止部に当接する上側傾斜面とをそれぞれ形成する。このため、筐体は、組立枠体の内側と外側とのいずれかを揃えて組み立てても、組み立てし易く、また、不用意な係合解除を防止できる。
また、孔部には、該孔部に係合する突起部を内側に押圧する押圧部を形成する。このため、筐体は、組立枠体の連結部にできる隙間を減少できる。つまり、筐体は、押圧部によって連結部の連結を強固にして、密閉性を向上できる。
また、縦壁および横壁は、表面と裏面とをそれぞれ異なる形状に形成する。また、表面および裏面のいずれか一方に断熱材を保持可能なリブ構造を形成する。このため、筐体は、沈下防止、寒冷地用や保冷用等の目的に応じて、組立枠体の表裏を間違えずに組立できて、筐体の沈下防止、凍上時の浮上防止や筐体内の保温、寒冷地用や保冷用の熱遮断性等の所望性能を発揮できる。
また、側壁は、上下方向(短辺方向)に積み重ね可能に形成する。このため、筐体を寒冷地用に用いる場合に、温度変化が少ない深い位置に筐体を埋設できる。そして、この場合、積み重ねて組み立てる組立枠体に用いる断熱材は、複数段の組立枠体を一体に断熱できる一体構造とすれば、複数段の組立枠体を一体的に閉塞できて断熱効果が高い。また、筐体を運搬用に用いる場合は、収容する物に合わせて組立枠体を積み重ねるだけで筐体の大きさを変更できる。また、側壁は、表裏を揃える前記側壁同士を積み重ね可能な組違い防止凹凸を有する。このため、積み重ねる側壁の向きを間違って組み立てることがない。
また、側壁の下側には、側壁側を開放して底部に底面を有する底板を有して、側壁の上側には、開閉可能な蓋体を有して収容物を収容する。このため、筐体は、筐体中に設置する上下水道や電力や電気通信用の計測器や弁体等の数に応じて組立枠体や底板、蓋体を変更できる。このため、筐体は、部品を共通化できると共に、保管や運搬時に場所を取らずに空間を有効利用できる。
また、底板は、収容物に応じて変更可能なスペーサを取り付け可能な孔部を有する。このため、筐体はスペーサを変更(交換)するのみで挿通部の数を変更でき、筐体内に収容する量水器等の地下構造物の数の変更に容易に対応できる。
なお、筐体は、縦壁(第1壁)および横壁(第2壁)を組み立てて側壁(組立枠体)を形成する。このため、筐体を構成する部品を運搬や保管する場所を最少にできる。また、側壁は、縦壁や横壁を交換して筐体の大きさを容易に変更できる。このため、地中に設置する上下水道や電力や電気通信用の計測器や弁体等の構造物を筐体の内部に収容する場合、構造物の数や大きさに応じて容易に筐体の大きさを変更できる。
以上、本発明の実施形態や変形例を説明したが、実施形態や変形例は、一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は、実施形態によって限定されない。