JP2016204711A - 高強度過共晶Al−Si合金及びこれを用いたダイカスト - Google Patents
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Abstract
【課題】過共晶Al-Si合金の耐摩耗性を損なうことなく、鋳造性のみならず、引張強さや硬さと言った機械的特性も向上させた高強度過共晶Al−Si合金と、当該合金からなるダイカストとを提供する。【解決手段】重量%で、2.0%≦Cu≦5.0%、13.5%≦Si<16.0%、0.1%≦Mg≦1.0%、Fe≦1.5%、Mn≦0.8%、0.2%<Ti≦0.4%、0.001%≦P≦0.03%を含有し、残部がAlと不可避不純物とからなることを特徴とする高強度過共晶Al−Si合金およびそのダイカスト。【選択図】なし
Description
本発明は、耐摩耗性を有する過共晶Al−Si合金および当該合金を利用したダイカストの改良に関する。
アルミニウム合金は、軽量であると共に、優れた熱伝導性および高い耐食性などの諸特性から、自動車や産業機械、航空機、家庭電化製品その他各種分野において、その構成部品素材として広く使用されている。このうち、耐摩耗性や機械的強度が求められる部品には、例えば、JIS規格のAD14のような過共晶Al−Si合金が用いられている。
ここで、この過共晶Al−Si合金は、必要とする耐摩耗性を確保するためにSiの含有割合が16.0〜18.0重量%と高くなっている。このようにアルミニウム合金中に多量のSiが添加されると、液相線温度が高くなり、通常の合金よりも高い温度で溶解、鋳造しなければならなくなる。このため、炉やダイカスト金型の寿命低下、燃料消費量の増加などの問題に加え、初晶Siの分布が不均質になってヒケ巣等の鋳造欠陥が発生し易くなると言った問題が生じ得る。
ここで、この過共晶Al−Si合金は、必要とする耐摩耗性を確保するためにSiの含有割合が16.0〜18.0重量%と高くなっている。このようにアルミニウム合金中に多量のSiが添加されると、液相線温度が高くなり、通常の合金よりも高い温度で溶解、鋳造しなければならなくなる。このため、炉やダイカスト金型の寿命低下、燃料消費量の増加などの問題に加え、初晶Siの分布が不均質になってヒケ巣等の鋳造欠陥が発生し易くなると言った問題が生じ得る。
そこで、合金の耐摩耗性を確保しつつSi含有量を低減させる技術として、例えば下記の特許文献1には、Cu4.0〜5.0%とMg0.5%以下とZn1.0%以下とFe1.3%以下とMn0.5%以下とP0.05〜0.1%を含有し、Si量を13.5〜16.0%にしてこれにNi0.5%以下と不純物としてSn0.3%以下で残部をAlにした耐摩耗性ダイカスト用アルミニウム合金が開示されており、下記の特許文献2には、Cu,Mg,Mn,Cr,Ti,P等の合金成分を総合的に規制することによって、耐摩耗性を損なうことなく、溶解性,鋳造性,切削性等を改良する技術が開示されている。
上記従来の技術によれば、合金の耐摩耗性を確保しつつSi含有量を低減させることができるので、溶解性、鋳造性及び鋳造欠陥等を改善することができる。
しかしながら、近年、従来材の鋳造性や耐摩耗性を損なうことなく、さらなる機械的特性の向上、とりわけ引張強さや硬さの向上を求めるニーズが顕在化してきている。
それゆえに、この発明の主たる課題は、過共晶Al-Si合金の耐摩耗性を損なうことなく、鋳造性のみならず、引張強さや硬さと言った機械的特性も向上させたダイカスト用アルミニウム合金と、当該合金からなるダイカストとを提供することである。
しかしながら、近年、従来材の鋳造性や耐摩耗性を損なうことなく、さらなる機械的特性の向上、とりわけ引張強さや硬さの向上を求めるニーズが顕在化してきている。
それゆえに、この発明の主たる課題は、過共晶Al-Si合金の耐摩耗性を損なうことなく、鋳造性のみならず、引張強さや硬さと言った機械的特性も向上させたダイカスト用アルミニウム合金と、当該合金からなるダイカストとを提供することである。
本発明における第1の発明は、「重量%で、2.0%≦Cu≦5.0%、13.5%≦Si<16.0%、0.1%≦Mg≦1.0%、Fe≦1.5%、Mn≦0.8%、0.2%<Ti≦0.4%、0.001%≦P≦0.03%を含有し、残部がAlと不可避不純物とからなる」ことを特徴とする高強度過共晶Al−Si合金である。
この発明では、Siの含有量をAD14の下限である16重量%未満に下げても、Cu,Mg,Fe,Mn,Ti及びPの配合割合を上記の通り特定することによって、初晶Siを微細化させると共にこれを均一分散させることができる。その結果、合金の耐摩耗性を損なうことなく鋳造性や機械的特性を向上させることができる。
以上のように、本発明では、7種類の元素成分を所定の割合で含有させるだけで、耐摩耗性のみならず鋳造性や機械的特性にも優れた高強度過共晶Al−Si合金のインゴットを安全且つ簡便に製造することができる。
この発明では、Siの含有量をAD14の下限である16重量%未満に下げても、Cu,Mg,Fe,Mn,Ti及びPの配合割合を上記の通り特定することによって、初晶Siを微細化させると共にこれを均一分散させることができる。その結果、合金の耐摩耗性を損なうことなく鋳造性や機械的特性を向上させることができる。
以上のように、本発明では、7種類の元素成分を所定の割合で含有させるだけで、耐摩耗性のみならず鋳造性や機械的特性にも優れた高強度過共晶Al−Si合金のインゴットを安全且つ簡便に製造することができる。
なお、本発明の高強度過共晶Al−Si合金では、さらにCrを0.05〜0.50重量%の範囲で添加するのが好ましい。こうすることにより、当該合金をダイカストする際に金型への焼付きをより一層効果的に防止することができるようになる。
本発明における第2の発明は、上記第1の発明に記載の高強度過共晶Al−Si合金からなることを特徴とするダイカストである。
本発明の高強度過共晶Al−Si合金からなるダイカストは、鋳造性よく量産できると共に、耐摩耗性のみならず引張強さや硬さと言った機械的特性にも優れているため、例えばコンプレッサーの構造材や内燃機関のシリンダーブロックなどの用途に最適である。
本発明の高強度過共晶Al−Si合金からなるダイカストは、鋳造性よく量産できると共に、耐摩耗性のみならず引張強さや硬さと言った機械的特性にも優れているため、例えばコンプレッサーの構造材や内燃機関のシリンダーブロックなどの用途に最適である。
本発明によれば、過共晶Al-Si合金の耐摩耗性を損なうことなく、鋳造性のみならず、引張強さや硬さと言った機械的特性も向上させた高強度過共晶Al−Si合金と、当該合金からなるダイカストとを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について具体例を示しながら詳述する。
本発明の高強度過共晶Al−Si合金(以下、単に「アルミニウム合金」とも云う。)は、重量%で、2.0%≦Cu(銅)≦5.0%、13.5%≦Si(ケイ素)<16.0%、0.1%≦Mg(マグネシウム)≦1.0%、Fe(鉄)≦1.5%、Mn(マンガン)≦0.8%、0.2%<Ti(チタン)≦0.4%、0.001%≦P(リン)≦0.03%を含有し、残部がAl(アルミニウム)と不可避不純物とで大略構成されている。以下、各元素の特性について説明する。
本発明の高強度過共晶Al−Si合金(以下、単に「アルミニウム合金」とも云う。)は、重量%で、2.0%≦Cu(銅)≦5.0%、13.5%≦Si(ケイ素)<16.0%、0.1%≦Mg(マグネシウム)≦1.0%、Fe(鉄)≦1.5%、Mn(マンガン)≦0.8%、0.2%<Ti(チタン)≦0.4%、0.001%≦P(リン)≦0.03%を含有し、残部がAl(アルミニウム)と不可避不純物とで大略構成されている。以下、各元素の特性について説明する。
Cu(銅)は、アルミニウム合金の耐摩耗性や機械的強度や硬さを向上させるために重要な元素である。
アルミニウム合金全体の重量に対するCuの含有割合は、上述したように2.0重量%以上で且つ5.0重量%以下の範囲であることが好ましい。Cuの含有割合が2.0重量%未満の場合には、上述の効果を十分に得ることができなくなり、逆に、Cuの含有割合が5.0重量%を超える場合には、耐食性の低下、比重の増大、原材料コストの増加、鋳造割れと言った問題が生じるようになるからである。
アルミニウム合金全体の重量に対するCuの含有割合は、上述したように2.0重量%以上で且つ5.0重量%以下の範囲であることが好ましい。Cuの含有割合が2.0重量%未満の場合には、上述の効果を十分に得ることができなくなり、逆に、Cuの含有割合が5.0重量%を超える場合には、耐食性の低下、比重の増大、原材料コストの増加、鋳造割れと言った問題が生じるようになるからである。
Si(ケイ素)は、アルミニウム合金溶融時における流動性を確保し、鋳造性を向上させる重要な元素である。
アルミニウム合金全体の重量に対するSiの含有割合は、上述したように13.5重量%以上で且つ16重量%未満の範囲であることが好ましい。Siの含有割合が13.5重量%未満の場合には、凝固した際に晶出する初晶Siが少なく、十分な耐摩耗性が得られず、逆に、Siの含有割合が16.0重量%以上の場合には、粗大化した初晶Siが偏析して組織が不均一になって疲労強度が低下するのに加え、液相線温度の上昇により鋳造性が低下するようになるからである。
アルミニウム合金全体の重量に対するSiの含有割合は、上述したように13.5重量%以上で且つ16重量%未満の範囲であることが好ましい。Siの含有割合が13.5重量%未満の場合には、凝固した際に晶出する初晶Siが少なく、十分な耐摩耗性が得られず、逆に、Siの含有割合が16.0重量%以上の場合には、粗大化した初晶Siが偏析して組織が不均一になって疲労強度が低下するのに加え、液相線温度の上昇により鋳造性が低下するようになるからである。
Mg(マグネシウム)は、主としてアルミニウム合金中のAl母材に固溶した状態又はMg2Siとして存在し、アルミニウム合金に耐力および引張強さを付与する一方で、過大量の含有により鋳造性や耐食性に悪影響を及ぼす成分である。
アルミニウム合金全体の重量に対するMgの含有割合は、上述したように0.1重量%以上で且つ1.0重量%以下の範囲であることが好ましい。Mgの含有割合が0.1重量%未満の場合には、上述の効果を十分に得ることができなくなり、逆に、Mgの含有割合が1.0重量%を超える場合には、合金の伸びが著しく低下し、かかる合金を用いて製造したアルミニウム合金ダイカストは品質が劣ったものとなる。
アルミニウム合金全体の重量に対するMgの含有割合は、上述したように0.1重量%以上で且つ1.0重量%以下の範囲であることが好ましい。Mgの含有割合が0.1重量%未満の場合には、上述の効果を十分に得ることができなくなり、逆に、Mgの含有割合が1.0重量%を超える場合には、合金の伸びが著しく低下し、かかる合金を用いて製造したアルミニウム合金ダイカストは品質が劣ったものとなる。
Fe(鉄)は、ダイカスト時の焼付き防止効果を有することが知られている。しかしながら、このFeは、Al-Si-Feからなる針状晶を晶出し、アルミニウム合金の靱性を低下させると共に、大量に添加すると適温での溶解を困難にする。このため、本発明では、アルミニウム合金全体の重量に対するFeの含有割合を1.5重量%以下に抑えている。なお、このFeの含有割合の下限については特に設定する必要はないが、上述したダイカスト時の焼付き防止効果を顕著に実感できるようにするためには、0.5重量%以上含有させるのが好ましい。
Mn(マンガン)は、上述したFeと同様に、主としてダイカスト時におけるアルミニウム合金と金型との焼付きを防止するためのものである。このMnもFeと同様に、大量に含有させると適温での溶解が困難になることから、本発明では、アルミニウム合金全体の重量に対するMnの含有割合を0.8重量%以下に抑えている。
Ti(チタン)は、結晶粒を微細化させる効果を有しており、鋳造割れの抑制や機械的性質のうち特に伸びの向上を図るため、アルミニウム合金全体の重量に対して0.01〜0.20重量%の範囲で含有させるのが一般的である。
しかしながら、本発明では、このTiを上記範囲を超えて過剰に含有させることにより、機械的性質、とりわけ引張強さと硬さの向上に効果が有ることを見出した。
したがって、本発明では、アルミニウム合金全体の重量に対するこのTiの含有割合は、0.2重量%より多く且つ0.4重量%以下、より好ましくは0.3重量%より多く且つ0.4重量%未満である。Tiの含有割合が0.2重量%以下の場合には、引張強さと硬さとを共に向上させることができず、逆に、Tiの含有割合が0.4重量%を超える場合には、通常の操業温度域での溶解が困難になるからである。
しかしながら、本発明では、このTiを上記範囲を超えて過剰に含有させることにより、機械的性質、とりわけ引張強さと硬さの向上に効果が有ることを見出した。
したがって、本発明では、アルミニウム合金全体の重量に対するこのTiの含有割合は、0.2重量%より多く且つ0.4重量%以下、より好ましくは0.3重量%より多く且つ0.4重量%未満である。Tiの含有割合が0.2重量%以下の場合には、引張強さと硬さとを共に向上させることができず、逆に、Tiの含有割合が0.4重量%を超える場合には、通常の操業温度域での溶解が困難になるからである。
P(リン)は、初晶Siを微細化し、合金組織を均一にするためのものである。
アルミニウム合金全体の重量に対するPの含有割合は、上述したように0.001重量%以上で且つ0.03重量%以下の範囲であることが好ましい。Pの含有割合が0.001重量%未満の場合には、上述の効果を十分に得ることができなくなり、逆に、Pの含有割合が0.03重量%を超える場合には、アルミニウム合金中の初晶Siは十分に微細化されており、これ以上添加量を増やしても添加効果が上がらなくなるからである。
アルミニウム合金全体の重量に対するPの含有割合は、上述したように0.001重量%以上で且つ0.03重量%以下の範囲であることが好ましい。Pの含有割合が0.001重量%未満の場合には、上述の効果を十分に得ることができなくなり、逆に、Pの含有割合が0.03重量%を超える場合には、アルミニウム合金中の初晶Siは十分に微細化されており、これ以上添加量を増やしても添加効果が上がらなくなるからである。
以上の含有割合に従って、Cu,Si,Mg,Fe,Mn,Ti及びPの含有割合を調整すると、安全性の高い簡単な処方で有りながら、AD14と同等の耐摩耗性を有すると共に、機械的特性、とりわけ引張強さと硬さとに優れた高強度過共晶Al−Si合金地金を得ることができる。
なお、上述した各元素成分のほかに、Cr(クロム)を添加するようにしてもよい。このCrは、アルミニウム合金が溶融している時には溶融状態で存在し、固体の時にはAl相に固溶した状態或いはCr系化合物として晶出した状態で存在し、上述したFe及びMnと同様に、ダイカスト時におけるアルミニウム合金と金型との焼付きを防止するためのものである。
アルミニウム合金全体の重量に対するCrの含有割合は、上述したように0.05重量%以上で且つ0.50重量%以下の範囲であることが好ましい。Crの含有割合が0.05重量%未満の場合には、合金の焼付き防止効果が十分ではなく、逆に、Crの含有割合が0.50重量%より多い場合には、液相線温度が高くなり流動性が低下して鋳造性が悪化するようになるからである。
アルミニウム合金全体の重量に対するCrの含有割合は、上述したように0.05重量%以上で且つ0.50重量%以下の範囲であることが好ましい。Crの含有割合が0.05重量%未満の場合には、合金の焼付き防止効果が十分ではなく、逆に、Crの含有割合が0.50重量%より多い場合には、液相線温度が高くなり流動性が低下して鋳造性が悪化するようになるからである。
本発明の高強度過共晶Al−Si合金を製造する際には、まず、Al,Cu,Si,Mg,Fe,Mn,Ti,P及び必要に応じてCrの各元素成分が上述した所定の割合となるように含有させた原料を準備する。続いて、この原料を前炉付溶解炉や密閉溶解炉などの溶解炉に投入し、これらを溶解させる。溶解させた原料すなわち高強度過共晶Al−Si合金の溶湯は、必要に応じて脱水素処理および脱介在物処理などの精製処理が施される。そして、精製された溶湯を所定の鋳型などに流し込み、固化させることによって、高強度過共晶Al−Si合金の溶湯を合金地金インゴットなどに成形する。
また、本発明の高強度過共晶Al−Si合金を用いてアルミニウム合金ダイカスト(ダイカスト)を鋳造した後、必要に応じて溶体化処理及び時効処理などが施される。このようにアルミニウム合金ダイカストに溶体化処理および時効処理などを施すことによってアルミニウム合金鋳物の機械的特性を改良することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
なお、所定の実施例および比較例における各機械的特性(引張強さ,伸び,0.2%耐力)は、次の方法で測定した。すなわち、型締力250トンの通常のダイカストマシン(東芝機械(株)社製・DC250JMT)を用いて、射出速度2.0m/秒、鋳造圧力80MPaでダイカスト鋳造し、ASTM(American Society for Testing and Material)規格に準拠した丸棒試験片を作製した。そして、鋳放しの状態のかかる丸棒試験片について、(株)島津製作所社製の万能試験機(AG−IS 100kN)を用いて、引張強さ,伸び,0.2%耐力を測定した。
また、硬さについては、日本工業規格JIS Z2243に準拠したブリネル硬さ試験にて評価を行なった。すなわち、上述の条件で鋳造した平板試験片の表面を1mm切削後、研磨したものについてブリネル硬さ試験機で試験を行った。かかる試験機での測定を3回行い、その平均値をブリネル硬さ試験の測定値とした。
さらに、耐摩耗性については、日本工業規格JIS H8682に準拠し、上述の条件で鋳造した平板試験片を用い、試験面は1mm切削し、摺動式摩擦試験機にて評価を行なった。試験機は(株)東京試験機製作所製OAT−U大越式耐摩耗試験機を用いた。試験方式は乾式、相手材はFC25、耐摩耗速度4.36m/s、摩耗距離100m、最終荷重2.1kgf、潤滑油なしの条件で比摩耗量を求めた。
そして、ダイカスト用アルミニウム合金の鋳造性については、上述の条件での鋳造に際し、偏肉や鋳造割れの有無及び金型への焼付きの有無を目視で観察して評価した。
なお、各実施例及び比較例の合金成分は、固体発光分光分析機(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製 Thermo Scientific ARL4460)を用いて測定した。
なお、所定の実施例および比較例における各機械的特性(引張強さ,伸び,0.2%耐力)は、次の方法で測定した。すなわち、型締力250トンの通常のダイカストマシン(東芝機械(株)社製・DC250JMT)を用いて、射出速度2.0m/秒、鋳造圧力80MPaでダイカスト鋳造し、ASTM(American Society for Testing and Material)規格に準拠した丸棒試験片を作製した。そして、鋳放しの状態のかかる丸棒試験片について、(株)島津製作所社製の万能試験機(AG−IS 100kN)を用いて、引張強さ,伸び,0.2%耐力を測定した。
また、硬さについては、日本工業規格JIS Z2243に準拠したブリネル硬さ試験にて評価を行なった。すなわち、上述の条件で鋳造した平板試験片の表面を1mm切削後、研磨したものについてブリネル硬さ試験機で試験を行った。かかる試験機での測定を3回行い、その平均値をブリネル硬さ試験の測定値とした。
さらに、耐摩耗性については、日本工業規格JIS H8682に準拠し、上述の条件で鋳造した平板試験片を用い、試験面は1mm切削し、摺動式摩擦試験機にて評価を行なった。試験機は(株)東京試験機製作所製OAT−U大越式耐摩耗試験機を用いた。試験方式は乾式、相手材はFC25、耐摩耗速度4.36m/s、摩耗距離100m、最終荷重2.1kgf、潤滑油なしの条件で比摩耗量を求めた。
そして、ダイカスト用アルミニウム合金の鋳造性については、上述の条件での鋳造に際し、偏肉や鋳造割れの有無及び金型への焼付きの有無を目視で観察して評価した。
なお、各実施例及び比較例の合金成分は、固体発光分光分析機(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製 Thermo Scientific ARL4460)を用いて測定した。
表1は、本発明の対象となる高強度過共晶Al−Si合金の実施例1〜4と比較例1〜3の成分組成、各機械的特性(引張強さ,伸び,0.2%耐力),比摩耗量及びブリネル硬さを示したものである。
機械的特性とブリネル硬さ
表1より、Tiの含有割合が0.20重量%を超える実施例1〜3は、Tiの含有割合が0.20重量%以下の比較例1又は2に比べて、引張強さとブリネル硬さに優れることが窺える。
表1より、Tiの含有割合が0.20重量%を超える実施例1〜3は、Tiの含有割合が0.20重量%以下の比較例1又は2に比べて、引張強さとブリネル硬さに優れることが窺える。
耐 摩 耗 性
上記の耐摩耗性試験の結果、各実施例及び比較例共に、JIS規格のAD14と同程度の耐摩耗性を有していた。
上記の耐摩耗性試験の結果、各実施例及び比較例共に、JIS規格のAD14と同程度の耐摩耗性を有していた。
鋳 造 性
各実施例及び比較例共に、上述の条件での鋳造を行った際に、偏肉や鋳造割れは発生しておらず、又、金型への焼付きも無かったことから、鋳造性は良好であることが窺える。
各実施例及び比較例共に、上述の条件での鋳造を行った際に、偏肉や鋳造割れは発生しておらず、又、金型への焼付きも無かったことから、鋳造性は良好であることが窺える。
Claims (3)
- 重量%で、2.0%≦Cu≦5.0%、13.5%≦Si<16.0%、0.1%≦Mg≦1.0%、Fe≦1.5%、Mn≦0.8%、0.2%<Ti≦0.4%、0.001%≦P≦0.03%を含有し、残部がAlと不可避不純物とからなることを特徴とする高強度過共晶Al−Si合金。
- さらにCrを0.05〜0.50重量%の範囲で添加したことを特徴とする請求項1に記載の高強度過共晶Al−Si合金。
- 請求項1又は2に記載の高強度過共晶Al−Si合金からなることを特徴とする、ダイカスト。
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