JP2016204202A - 焼成治具及び焼成治具の製造方法 - Google Patents

焼成治具及び焼成治具の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016204202A
JP2016204202A JP2015087828A JP2015087828A JP2016204202A JP 2016204202 A JP2016204202 A JP 2016204202A JP 2015087828 A JP2015087828 A JP 2015087828A JP 2015087828 A JP2015087828 A JP 2015087828A JP 2016204202 A JP2016204202 A JP 2016204202A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
container
silicon carbide
coat layer
firing jig
firing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015087828A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6476047B2 (ja
Inventor
正俊 奥田
Masatoshi Okuda
正俊 奥田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ibiden Co Ltd
Original Assignee
Ibiden Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ibiden Co Ltd filed Critical Ibiden Co Ltd
Priority to JP2015087828A priority Critical patent/JP6476047B2/ja
Publication of JP2016204202A publication Critical patent/JP2016204202A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6476047B2 publication Critical patent/JP6476047B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Ceramic Products (AREA)
  • Chemical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

【課題】 炭化ケイ素からなるコート層が、収容体から剥がれにくいハニカム成形体焼成用焼成治具を提供する。
【解決手段】 炭化ケイ素を主成分とする柱状のハニカム成形体を載置するための収容体と、上記収容体の少なくとも上記ハニカム成形体を載置する載置面側に形成されたコート層とからなるハニカム成形体焼成用焼成治具であって、上記収容体は黒鉛からなり、上記コート層は炭化ケイ素から構成され、上記コート層を構成する上記炭化ケイ素は、上記収容体の内部に浸透しており、上記コート層を構成する上記炭化ケイ素が、上記収容体の内部に浸透している浸透幅は、200μm以上であることを特徴とする焼成治具。
【選択図】 図1

Description

本発明は、焼成治具及び焼成治具の製造方法に関する。
バス、トラック等の車両や建設機械等の内燃機関から排出される排気ガス中に含有されるパティキュレートが環境や人体に害を及ぼすことが最近問題となっている。
この排気ガスを多孔質セラミックに通すことにより、排気ガス中のパティキュレートを捕集して排気ガスを浄化するセラミックフィルタが種々提案されている。
セラミックフィルタでは、例えば、多孔質セラミック体であるハニカム焼成体がシール材層を介して複数個結束され、その周囲にシール材層が形成されている。また、このハニカム焼成体では、長手方向に多数のセルが形成されており、これらセル同士を隔てるセル壁がフィルタとして機能するようになっている。
このようなハニカム焼成体を製造する一般的な手順としては、まず、炭化ケイ素粉末とバインダと分散媒液とを混合して成形体製造用の混合物を調製した後、この混合物の押出成形等を行うことにより、ハニカム成形体を作製することになる。
次に、熱風乾燥機等を用いて得られたハニカム成形体を乾燥させることにより、一定の強度を有し、取り扱いが容易なハニカム成形体の乾燥体を製造することになる。
この乾燥工程の後、酸素含有雰囲気下、乾燥したハニカム成形体を加熱して、バインダ中の溶剤を揮発させ、樹脂成分を分解消失させる脱脂工程を行うことになる。次いで、不活性ガス雰囲気下、上記ハニカム成形体中の炭化ケイ素粒子を焼結させる焼成工程を経て、焼結体であるハニカム焼成体を製造することができる。
このようなハニカム焼成体の製造では、一度に多くのハニカム成形体を同時に焼成させる目的で、炭素製の焼成治具の底板にハニカム成形体を載置して、該焼成治具を多段重ねて焼成を行うことが一般的に行われている。
また、近年、高気孔率のハニカム焼成体が求められており、ハニカム焼成体を高気孔率にするために、ハニカム成形体に多量の造孔材を加えるということがされている。このように多量に加えられた造孔材は、脱脂工程において完全に分解されていることが望ましい。そのため、脱脂工程における脱脂温度が約450〜650℃とされることがある。このような高温で脱脂を行うと、脱脂工程における雰囲気は酸素を含有しているので、焼成治具を構成する炭素が酸化してしまい、焼成治具の劣化が激しくなるという問題があった。
そのため、焼成治具の劣化を防ぐために焼成治具にコート層を形成することが行われてきた。
例えば、特許文献1には、炭化ケイ素を主成分とする柱状のハニカム成形体を載置するための収容体と、前記収容体の少なくとも前記ハニカム成形体を載置する載置面に形成されたコート層とからなるハニカム成形体焼成用治具であって、前記コート層の主成分は、炭化ケイ素であり、前記コート層のJIS B 0601(2001)に準拠して求められる算術平均高さRaは10μm以下であることを特徴とする焼成用治具が記載されている。
特開2009−13047号公報
特許文献1の焼成用治具には、表面に凹凸が生じないようにコート層を形成し、凹凸の存在による局所的な応力の発生を抑制し、局所的な応力による微細なひびや割れ等の発生を抑制することが記載されている。しかし、特許文献1には収容体とコート層との密着性については言及されておらず、また、特許文献1の焼成用治具では、収容体とコート層との密着性が不充分であった。収容体とコート層との密着性が不充分であると、焼成治具を繰り返し使用する際に、コート層が、収容体から剥がれやすくなる。コート層が収容体から剥がれると、上記脱脂工程においてコート層と収容体との間に酸素が入りこみ、収容体を構成する炭素と酸素とが反応してしまい収容体が劣化するという問題があった。
すなわち、特許文献1の焼成用治具には、コート層と収容体との密着性に改良の余地があった。
本発明は、上記のような問題点を踏まえてなされたものであり、本発明の目的は、炭化ケイ素からなるコート層が、収容体から剥がれにくいハニカム成形体焼成用焼成治具を提供することである。
本発明者らは上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、コート層を構成する炭化ケイ素を、黒鉛からなる収容体の内部に浸透させることによりコート層が収容体から剥がれにくくなることを見出し本発明を完成させた。
すなわち、本発明の焼成治具は、炭化ケイ素を主成分とする柱状のハニカム成形体を載置するための収容体と、上記収容体の少なくとも上記ハニカム成形体を載置する載置面側に形成されたコート層とからなるハニカム成形体焼成用焼成治具であって、上記収容体は黒鉛からなり、上記コート層は炭化ケイ素から構成され、上記コート層を構成する上記炭化ケイ素は、上記収容体の内部に浸透しており、上記コート層を構成する上記炭化ケイ素が、上記収容体の内部に浸透している浸透幅は、200μm以上であることを特徴とする。
本発明の焼成治具では、収容体にコート層が形成されている。従って、本発明の焼成治具を用いてハニカム成形体を焼成する際に行われる脱脂工程において、収容体が劣化することを抑制することができる。
本発明の焼成治具では、コート層を構成する炭化ケイ素は、収容体の内部に浸透しており、コート層を構成する炭化ケイ素が、収容体の内部に浸透している浸透幅は、200μm以上である。
このように、コート層を構成する炭化ケイ素が、収容体の内部深くに浸透していると、アンカー効果が高まるので、コート層と収容体との密着性が向上する。そのため、コート層が収容体から剥がれることを抑制することができる。
なお、浸透幅が200μm未満であると、コート層と収容体との密着性が不充分となる。そのため、コート層が収容体から剥がれることを抑制しにくくなる。
本発明の焼成治具では、上記浸透幅は、1000μm以下であることが望ましい。
浸透幅が1000μmを超えると、コート層と収容体との密着性を向上させる効果が上限に近づき、費用対効果が悪くなりやすい。また、その形成に手間がかかる。
本発明の焼成治具では、上記コート層の露出面から上記収容体までの幅は、20〜500μmであることが望ましい。
コート層の露出面から収容体までの幅が20μm未満であると、コート層が薄すぎるため物理的に弱くなる。そのため、僅かな衝撃でコート層が剥がれ収容体が剥き出しになり易くなる。
コート層の露出面から収容体までの幅が500μmを超えると、収容体の劣化を抑制する効果が向上しにくくなり、費用対効果が悪くなる。また、その形成に手間がかかる。
本発明の焼成治具では、上記収容体の気孔率は、5〜40%であることが望ましく、10〜30%であることがより望ましい。
収容体の気孔率が5%未満であると、コート層を構成する炭化ケイ素が、収容体の内部に浸透しにくくなる。そのため、炭化ケイ素が、収容体の内部に浸透している浸透幅を、200μm以上にすることが困難になる。
収容体の気孔率が40%を超えると、収容体の強度が弱くなり、ハニカム成形体用焼成治具として適した強度となりにくくなる。
本発明の焼成治具では、上記コート層は、有機シランガスを用いて化学気相蒸着を行うことにより形成されていることが望ましい。
化学気相蒸着法は、コート層を構成する炭化ケイ素を収容体に浸透させる手段として好適である。
本発明の焼成治具の製造方法は、上記本発明のハニカム成形体焼成用焼成治具の製造方法であって、黒鉛からなる収容体を準備する収容体準備工程と、上記収容体に炭化ケイ素から構成されるコート層を形成する成膜工程とを含み、上記成膜工程は、第1有機シランガスを用いて上記収容体に化学気相蒸着を行う成膜第1工程と、上記成膜第1工程で用いる上記第1有機シランガスよりも濃度が高い第2有機シランガスを用いて上記収容体に化学気相蒸着を行う成膜第2工程とを含むことを特徴とする。
本発明の焼成治具の製造方法では、収容体に炭化ケイ素から構成されるコート層を形成する成膜工程において、まず、濃度の低い第1有機シランガスを用いて収容体に化学気相蒸着を行う。
一般的に、黒鉛からなる収容体に有機シランガスを用いてコート層を形成する場合、黒鉛の気孔内に有機シランガスが入り込んで、有機シランガスと黒鉛とが反応して炭化ケイ素となる、又は、有機シランガスが熱分解して炭化ケイ素が析出する。そして、黒鉛の気孔の壁から炭化ケイ素が成長することになる。この炭化ケイ素の成長が速いと、炭化ケイ素が黒鉛の気孔を早期に埋めてしまい、有機シランガスが収容体の奥深くに浸透しにくくなる。炭化ケイ素の成長の速度は、有機シランガスと黒鉛との反応の反応速度、又は、有機シランガスが熱分解して炭化ケイ素が析出する速度に依存する。有機シランガスの濃度が高い程、これらの速度が速くなり、炭化ケイ素の成長速度も速くなる。
本発明の焼成治具の製造方法では、第1有機シランガスは濃度が低い。そのため、炭化ケイ素の成長がゆっくり進む。従って、第1有機シランガスが収容体の奥深くまで浸透する。そのため、本発明の焼成治具の製造方法により製造された焼成治具において、炭化ケイ素が収容体の内部に浸透している浸透幅を200μm以上にすることができる。
本発明の焼成治具の製造方法では、その後、濃度が高い第2有機シランガスを用いて収容体に化学気相蒸着を行う。
第2有機シランガスは濃度が高いので、収容体に充分な厚さのコート層を形成することができる。
本発明の焼成治具の製造方法では、上記第1有機シランガスの濃度は、1.0〜6.5%であることが望ましい。
第1有機シランガスの濃度が、1.0%未満であると、第1有機シランガスの濃度が低すぎるため、収容体に充分な量の炭化ケイ素を浸透させにくくなる。
第1有機シランガスの濃度が、6.5%を超えると、第1有機シランガスの濃度が高すぎるので、収容体に第1有機シランガスが収容体に浸透する際、第1有機シランガスが収容体の奥深くに浸透する前に、第1有機シランガスと黒鉛とが反応した炭化ケイ素又は第1有機シランガスが分解して析出した炭化ケイ素が、黒鉛の気孔を埋めてしまい、第1有機シランガスを収容体の奥深くに浸透させにくくなる。そのため、コート層を構成する炭化ケイ素が収容体の内部に浸透している浸透幅を、200μm以上にしにくくなる。
本発明の焼成治具の製造方法では、上記第2有機シランガスの濃度は、5.0〜20.0%であることが望ましい。
第2有機シランガスの濃度が、5.0%未満であると、収容体に充分な厚さのコート層を形成しにくくなる
第2有機シランガスの濃度が、20.0%を超えると、第2有機シランガスの濃度が高すぎ、第2有機シランガスを構成する分子同士が互いに衝突して収容体への吸着速度が低下する。第2有機シランガスの収容体への吸着速度が、コート層を形成する反応の律速となるので、第2有機シランガスの濃度が20.0%を超えると、コート層形成速度が低下し生産性が悪化する。
図1は、本発明の焼成治具の一例を模式的に示す一部断面斜視図である。 図2は、図1の破線部Aの拡大図である。 図3(a)及び(b)は、濃度が高い有機シランガスを用いて収容体にコート層を形成する様子の一例を模式的に示す模式図である。 図4(a)及び(b)は、濃度が低い有機シランガスを用いて収容体にコート層を形成する様子の一例を模式的に示す模式図である。 図5は、ハニカム成形体の一例を模式的に示す斜視図である。 図6は、ハニカム成形体が搭載された本発明の焼成治具の一例を模式的に示す斜視図である。 図7(a)は、実施例1に係る焼成治具のEPMA画像である。図7(b)は、実施例2に係る焼成治具のEPMA画像である。図7(c)は、比較例1に係る焼成治具のEPMA画像である。図7(d)は、比較例2に係る焼成治具のEPMA画像である。図7(e)は、比較例3に係る焼成治具のEPMA画像である。 図8は、各実施例及び各比較例に係る焼成治具の密着強度と炭化ケイ素の浸透幅との相関関係を示すグラフである。
(発明の詳細な説明)
以下、本発明について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
本発明のハニカム成形体焼成用焼成治具の一例について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の焼成治具の一例を模式的に示す一部断面斜視図である。
図2は、図1の破線部Aの拡大図である。
図1に示すように、本発明の焼成治具の一例である焼成治具1は、上部が開放された箱状の収容体10と、収容体10の表面に形成されたコート層30とからなる。
また、図1に示すように、収容体10は、底部11と枠部12とから構成される。底部11と枠部12とは分離可能な形状である。
焼成治具1は、炭化ケイ素を主成分とする柱状のハニカム成形体を載置するために用いられ、収容体10の底部11には、スペーサー21を介してハニカム成形体を載置する載置面20がある。
また、焼成治具1では、収容体10は黒鉛からなり、コート層30は炭化ケイ素から構成されている。
焼成治具1は、ハニカム成形体を焼成する際にハニカム成形体が載置される。そして、焼成治具1は、ハニカム成形体が載置された状態で、乾燥工程、脱脂工程、焼成工程を経ることになる。脱脂工程では、ハニカム成形体に含まれる有機成分や造孔材を分解させるため酸素含有雰囲気下約450〜650℃で加熱されることになる。
焼成治具1に、コート層30がなく、収容体10が剥き出しの場合には、収容体10は黒鉛であるので、脱脂工程において酸化されることになる。しかし、焼成治具1では、収容体10にコート層30が形成されているので、焼成治具1を用いてハニカム成形体を焼成する際に行われる脱脂工程において、収容体10が劣化することを抑制することができる。
図2に示すように、焼成治具1では、コート層30を構成する炭化ケイ素31は、収容体10の内部に浸透している。そして、コート層30を構成する炭化ケイ素31が、収容体10の内部に浸透している浸透幅Dは、200μm以上である。
ここで、浸透幅Dの測定方法について説明する。
まず、電子線マイクロアナライザ(EPMA)を用いて、焼成治具1を構成する収容体10及びコート層30における黒鉛13及び炭化ケイ素31の存在位置を測定する。
載置面20に垂直な焼成治具1の断面の電子線マイクロアナライザ(EPMA)画像では、図2に示すように、コート層30の露出面35から収容体10にかけて炭化ケイ素31の層が形成されているのが観察され、その下に黒鉛13が存在することが観察される。なお、図2において、コート層30の露出面35と、載置面20とは一致する。
さらに、図2に示すように、炭化ケイ素31は、収容体10の内部にも浸透している。最もコート層30の露出面35側に観察される黒鉛13を含み、コート層30の露出面35に平行な面を、境界面15(図2中、破線で示す)とすると、収容体10の最も奥に観察された炭化ケイ素31から、境界面15までの最短距離が浸透幅Dである。
電子線マイクロアナライザ(EPMA)による測定条件として、電子線マイクロアナライザ(機種名:EPMA JXA−8500F、日本電子株式会社製)を用い、撮像倍率を75倍とし、コート層30の露出面35から収容体10の内部にむけて1200μmの深さを、幅250μmに渡ってマッピングをすることにより、収容体10及びコート層30における黒鉛13及び炭化ケイ素31の存在位置を測定することができる。
焼成治具1では、コート層30を構成する炭化ケイ素31は、収容体10の内部に浸透しており、コート層30を構成する炭化ケイ素31が、収容体10の内部に浸透している浸透幅Dは、200μm以上である。また、浸透幅Dは300μm以上であることが望ましく、400μm以上であることがより望ましい。
このように、コート層30を構成する炭化ケイ素が、収容体10の内部深くに浸透していると、アンカー効果が高まるので、コート層30と収容体10との密着性が向上する。そのため、コート層30が収容体10から剥がれることを抑制することができる。
なお、浸透幅Dが200μm未満であると、コート層30と収容体10との密着性が不充分となる。そのため、コート層30が収容体10から剥がれることを抑制しにくくなる。
また、焼成治具1では、浸透幅Dは、1000μm以下であることが望ましく、800μm以下であることがより望ましい。
浸透幅Dが1000μmを超えると、コート層30と収容体10との密着性を向上させる効果が上限に近づき、費用対効果が悪くなりやすい。また、その形成に手間がかかる。
焼成治具1では、コート層30の露出面35から収容体10までの幅Tは、20〜500μmであることが望ましく、100〜400μmであることがより望ましく、200〜300μmであることがさらに望ましい。
また、露出面35から収容体10までの幅Tとは、図2に示すように、露出面35のある一点から境界面15までの最小距離のことを意味する。
コート層30の露出面35から収容体10までの幅Tが20μm未満であると、コート層30が薄すぎるため物理的に弱くなる。そのため、僅かな衝撃でコート層30が剥がれ収容体10が剥き出しになり易くなる。
コート層30の露出面35から収容体10までの幅Tが500μmを超えると、収容体10の劣化を抑制する効果が向上しにくくなり、費用対効果が悪くなる。また、その形成に手間がかかる。
焼成治具1では、コート層30は、有機シランガス、並びに、ハロゲン化ケイ素及び炭化水素の混合ガスを用いて化学気相蒸着を行うことにより形成されていることができる。
なお、これらの中では有機シランガスを用いることが望ましい。
化学気相蒸着法は、コート層30を構成する炭化ケイ素31を収容体10に浸透させる手段として好適である。
焼成治具1では、収容体10とコート層30との密着強度は、40〜100MPaであることが望ましい。
収容体10とコート層30との密着強度が上記範囲であると、コート層30が収容体10から剥がれることを抑制することができる。
なお、収容体10とコート層30との密着強度は、セバスチャン法で測定することができる。
セバスチャン法による測定方法としては、まず、コート層30にスタットピン(型番:901106、QUAD GROUP社製)を接着して測定用サンプルを作製し、その後、密着強度測定機(機種名:AG−X、株式会社島津製作所製)を用いて密着強度を測定することができる。
焼成治具1では、収容体10の気孔率は、5〜40%であることが望ましく、10〜30%であることがより望ましい。
収容体10の気孔率が5%未満であると、コート層30を構成する炭化ケイ素31が、収容体10の内部に浸透しにくくなる。そのため、炭化ケイ素31が、収容体10の内部に浸透している浸透幅Dを、200μm以上にすることが困難になる。
収容体10の気孔率が40%を超えると、収容体10の強度が弱くなり、ハニカム成形体用焼成治具として適した強度となりにくくなる。
焼成治具1では、収容体10を構成する底部11の厚さは、3〜20mmであることが望ましい。また、収容体10を構成する枠部12の厚さは、5〜15mmであることが望ましい。
本発明の焼成治具では、収容体のハニカム成形体を載置する載置面側にコート層が形成されていれば、収容体の他の部分にコート層は形成されていてもよく、されていなくてもよい。
例えば、図1においては、枠部12の表面にコート層30が形成されているが、本発明の焼成治具では、枠部の表面にコート層が形成されていなくてもよい。
なお、本発明の焼成治具では、底部の表面及び枠部の表面のすべてがコート層で覆われていることが望ましい。
次に、本発明の焼成治具の製造方法について説明する。
本発明の焼成治具の製造方法には、(1)黒鉛からなる収容体を準備する収容体準備工程と、(2)収容体に炭化ケイ素から構成されるコート層を形成する成膜工程とを含む。
以下、各工程について説明する。
(1)収容体準備工程
まず、黒鉛からなる収容体を準備する。収容体としては、底部と枠部とが一体型になっていてもよく、底部と枠部とが分離可能なものであってもよい。また、底部と枠部とが分離可能である場合には、底部と枠部とを分離して後述する成膜工程を行ってもよく、底部と枠部とを組み合わせて後述する成膜工程を行ってもよい。
収容体の気孔率は、5〜40%であることが望ましく、10〜30%であることがより望ましい。
収容体の気孔率が5%未満であると、後述する(2)成膜工程において、炭化ケイ素が、収容体の内部に浸透しにくくなる。そのため、炭化ケイ素を充分に収容体に浸透させにくくなる。
収容体の気孔率が40%を超えると、収容体の強度が弱くなり、ハニカム成形体用焼成治具として適した強度となりにくくなる。
(2)成膜工程
成膜工程は、(2−1)第1有機シランガスを用いて収容体に化学気相蒸着を行う成膜第1工程と、(2−2)成膜第1工程で用いる第1有機シランガスよりも濃度が高い第2有機シランガスを用いて収容体に化学気相蒸着を行う成膜第2工程とを含む。
(2−1)成膜第1工程
成膜第1工程では、まず、濃度の低い第1有機シランガスを用いて収容体に化学気相蒸着を行う。
一般的に、黒鉛からなる収容体に有機シランガスを用いてコート層を形成する場合、黒鉛の気孔内に有機シランガスが入り込んで、有機シランガスと黒鉛とが反応して炭化ケイ素となる、又は、有機シランガスが熱分解して炭化ケイ素が析出する。そして、黒鉛の気孔の壁から炭化ケイ素が成長することになる。この炭化ケイ素の成長が速いと、炭化ケイ素が黒鉛の気孔を早期に埋めてしまい、有機シランガスが収容体の奥深くに浸透しにくくなる。炭化ケイ素の成長の速度は、有機シランガスと黒鉛との反応の反応速度、又は、有機シランガスが熱分解して炭化ケイ素が析出する速度に依存する。有機シランガスの濃度が高い程、これらの速度が速くなり、炭化ケイ素の成長速度も速くなる。
本発明の焼成治具の製造方法では、第1有機シランガスは濃度が低い。そのため、炭化ケイ素の成長がゆっくり進む。従って、第1有機シランガスが収容体の奥深くまで浸透する。
このことを図面を参照して詳しく説明する。
図3(a)及び(b)は、濃度が高い有機シランガスを用いて収容体にコート層を形成する様子の一例を模式的に示す模式図である。
図4(a)及び(b)は、濃度が低い有機シランガスを用いて収容体にコート層を形成する様子の一例を模式的に示す模式図である。
図3(a)及び(b)、並びに、図4(a)及び(b)において、符号32が付された黒円は有機シランガスであり、その数により有機シランガス32の濃度を示している。
図3(a)及び図4(a)に示すように、収容体10に有機シランガス32を用いてコート層を形成する場合、収容体10の黒鉛13の気孔14内に有機シランガス32が侵入する。有機シランガス32は、黒鉛13と反応し、炭化ケイ素31となる、又は、有機シランガス32が熱分解して炭化ケイ素31が析出する。そして、気孔14の壁14aから炭化ケイ素31が成長することになる。
図3(b)に示すように、有機シランガス32の濃度が高いと、炭化ケイ素31の成長が速くなり、炭化ケイ素31が黒鉛13の気孔14を早期に埋めてしまい、有機シランガス32が収容体10の奥深くに浸透しにくくなる。
一方、図4(b)に示すように、有機シランガス32の濃度が薄いと、炭化ケイ素31の成長がゆっくり進む。従って、有機シランガス32が、収容体10の奥深くにまで浸透することができる。
このように、成膜第1工程では、薄い濃度の第1有機シランガスを用いるので、第1有機シランガスを収容体の奥深くに浸透させることができる。そのため、本発明の焼成治具の製造方法により製造される焼成治具における炭化ケイ素の浸透幅を200μm以上にすることができる。
第1有機シランガスとしては、メチルシラン(methylsilane)、メチルクロロシラン(methylchlorosilane)、メチルジクロロシラン(methyldichlorosilane)、メチルトリクロロシラン(MTS:methyltrichlorosilane)、メチルブロモシラン(Methylbromosilane)、メチルジブロモシラン(Methyldibromosilane)、メチルトリブロモシラン(Methyltribromosilane)等を用いることができる。これらの中では、メチルトリクロロシラン(MTS:methyltrichlorosilane)を用いることが望ましい。これらは1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
第1有機シランガスの濃度は、特に限定されないが、1.0〜6.5%であることが望ましく、1.0〜3.0%であることがより望ましい。
第1有機シランガスの濃度が1.0%未満であると、第1有機シランガスの濃度が低すぎるため、収容体に充分な量の炭化ケイ素を浸透させにくくなる。
第1有機シランガスの濃度が、6.5%を超えると、第1有機シランガスの濃度が高すぎるので、第1有機シランガスが収容体の奥深くに浸透する前に、第1有機シランガスと黒鉛とが反応した炭化ケイ素が、黒鉛の気孔を埋めてしまい、第1有機シランガスを収容体の奥深くに浸透させにくくなる。そのため、コート層を構成する炭化ケイ素が収容体の内部に浸透している浸透幅を200μm以上にしにくくなる。
成膜第1工程で用いる第1有機シランガスの温度は、特に限定されないが、1150〜1200℃であることが望ましい。
第1有機シランガスの温度が、1150℃未満であると炭化ケイ素生成の反応速度が極端に小さくなり、実質的に炭化ケイ素が析出しなくなる。
第1有機シランガスの温度が1200℃を超えると、第1有機シランガスと黒鉛との反応速度が速くなる、又は、有機シランガスが熱分解して炭化ケイ素が析出する速度が速くなる。その結果、炭化ケイ素の成長速度が速くなる。そのため、炭化ケイ素が黒鉛の気孔を早期に埋めてしまい、有機シランガスが収容体の奥深くに浸透しにくくなる。
成膜第1工程において第1有機シランガスを反応させる時間は、特に限定されないが、5〜120分間反応させることが望ましい。
(2−2)成膜第2工程
続いて、第1有機シランガスよりも濃度が高い第2有機シランガスを用いて収容体に化学気相蒸着を行う。
第2有機シランガスは濃度が高いので、収容体に充分な厚さのコート層を形成することができる。
第2有機シランガスとしては、メチルシラン(methylsilane)、メチルクロロシラン(methylchlorosilane)、メチルジクロロシラン(methyldichlorosilane)、メチルトリクロロシラン(MTS:methyltrichlorosilane)、メチルブロモシラン(Methylbromosilane)、メチルジブロモシラン(Methyldibromosilane)、メチルトリブロモシラン(Methyltribromosilane)等を用いることができる。これらの中では、メチルトリクロロシラン(MTS:methyltrichlorosilane)を用いることが望ましい。これらは1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、第1有機シランガスと、第2有機シランガスとは同じ種類の有機シランガスであってもよい。
第2有機シランガスの濃度は、特に限定されないが、5.0〜20.0%であることが望ましい。
第2有機シランガスの濃度が、5.0%未満であると、収容体に充分な厚さのコート層を形成しにくくなる
第2有機シランガスの濃度が、20.0%を超えると、第2有機シランガスの濃度が高すぎ、第2有機シランガスを構成する分子同士が互いに衝突して収容体への吸着速度が低下する。第2有機シランガスの収容体への吸着速度が、コート層を形成する反応の律速となるので、第2有機シランガスの濃度が20.0%を超えると、コート層形成速度が低下し生産性が悪化する。
成膜第2工程で用いる第2有機シランガスの温度は、特に限定されないが、1150〜1200℃であることが望ましい。
第2有機シランガスの温度が、1150℃未満であると炭化ケイ素生成の反応速度が極端に小さくなり、実質的に炭化ケイ素が析出しなくなる。
第2有機シランガスの濃度が、1200℃を超えると、析出する炭化ケイ素の粒子が大きくなり、成膜第1工程で析出した炭化ケイ素との間に明確な粒界ができることになる。その結果、コート層にかかる圧力や応力が偏在しやすくなり、コート層が破壊されやすくなる。
成膜第2工程において第2有機シランガスを反応させる時間は、特に限定されないが、5〜240分であることが望ましい。
以上の工程を経て、本発明の焼成治具を製造することができる。
次に、本発明の焼成治具の使用方法について説明する。
上記の通り、本発明の焼成治具は、炭化ケイ素からなるハニカム成形体を焼成し、ハニカム焼成体とする際に用いられる。
ハニカム成形体をハニカム焼成体にする工程としては、(a)炭化ケイ素を含む原料組成物を押出成形することにより、多数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設されたハニカム成形体とする成形工程と、(b)ハニカム成形体を本発明の焼成治具に搭載するハニカム成形体搭載工程と、(c)ハニカム成形体を乾燥させる乾燥工程と、(d)酸素含有雰囲気下でハニカム成形体を加熱し、ハニカム成形体に含まれる有機成分を分解させる脱脂工程と、(e)非活性ガス雰囲気下でハニカム成形体を焼成してハニカム焼成体にする焼成工程とを含む。
以下、各工程について図面を参照しながら説明する。
(a)成形工程
図5は、ハニカム成形体の一例を模式的に示す斜視図である。
まず、炭化ケイ素を含む原料組成物を押出成形することにより、図5に示す、多数の貫通孔111が隔壁112を隔てて長手方向に並設されたハニカム成形体110を形成する。
原料組成物としては、例えば、炭化ケイ素粉末とバインダと分散媒液とを混合した従来のハニカム成形体を形成する原料を用いることができる。
なお、原料組成物には、後の工程を経て作製されるハニカム焼成体の気孔率を向上させる目的で造孔材が含まれることが望ましい。
造孔材としては、特に限定されず、アクリル樹脂、デンプン、ビール粕、及び、クルミ殻等を用いることができる。
(b)ハニカム成形体搭載工程
図6は、ハニカム成形体が搭載された本発明の焼成治具の一例を模式的に示す斜視図である。
次に、図6に示すように、焼成治具1の載置面20のスペーサー21の上に複数のハニカム成形体110を搭載する。このように複数のハニカム成形体110を焼成治具1に搭載することにより、後の(c)乾燥工程、(d)脱脂工程及び(e)焼成工程において、一度に多くのハニカム成形体110を処理することができる。
(c)乾燥工程
次に、焼成治具1に搭載されたハニカム成形体110を乾燥する。
乾燥の条件は、特に限定されないが、70〜200℃で1〜5時間乾燥することが望ましい。
(d)脱脂工程
次に、ハニカム成形体110に含まれる有機成分有機成分や造孔材を分解させるため、酸素含有雰囲気下でハニカム成形体110を脱脂する。
脱脂の条件は、特に限定されないが、300〜650℃で1〜15時間加熱することが望ましい。
脱脂工程では、焼成治具1も加熱されることになる。焼成治具1に、コート層30がなく、収容体10が剥き出しの場合は、収容体10は黒鉛であるので、加熱中に酸化されることになる。しかし、焼成治具1では、収容体10にコート層30が形成されているので、焼成治具1を用いてハニカム成形体110を脱脂する際に、収容体10が劣化することを抑制することができる。
(e)焼成工程
次に、非活性ガス雰囲気下でハニカム成形体110を焼成してハニカム焼成体にする。
焼成の条件としては、特に限定されないが、窒素雰囲気下、又は、アルゴン雰囲気下、1800〜2300℃で1〜10時間焼成することが望ましい。
以上の工程を経て、ハニカム焼成体を作製することができる。
ハニカム成形体110を焼成する際に、ハニカム成形体110に含まれる炭化ケイ素が焼結することになる。この場合、下記式(1)で示される反応は焼結を促進する反応において重要となる。
通常、ハニカム成形体110に含まれる炭化ケイ素が焼結する際に、上記式(1)は自然に進行する。その原理を以下に説明する。
まず、(d)脱脂工程において、有機成分を分解させる際、有機成分が分解して炭素となりハニカム成形体110に残留することになる。この炭素が上記式(1)で示される反応のC源となる。
また、ハニカム成形体110は、原料組成物に起因して炭化ケイ素粉末中に約3%のSiOを含有している。そのため、(e)焼成工程においてハニカム成形体110からSiOが昇華して放出され、その一部がSiOガスとなる。このSiOが上記式(1)で示される反応のSiO源となる。
このように、通常のハニカム成形体110に含まれる炭化ケイ素が焼結する際、上記式(1)の反応は、自然と進行する。
ただ、ハニカム成形体110中の炭化ケイ素粉末中に含まれるSiOだけでは、SiO源としては不充分である。
しかしながら、炭化ケイ素を主成分とするコート層30を有する焼成治具1を用いると、以下の原理によりSiOガスを供給することができる。
(e)焼成工程において、焼成治具1にコート層30が形成されていると、コート層30で下記式(2)に記載した反応が起こる。なお、下記式(2)中、COは、上記式(1)の反応により生じた反応物である。
そして、上記式(2)により生じたSiOは、上記式(1)のSiO源となる。
そのため、ハニカム成形体110に含まれるSiOが枯渇したとしても、コート層30からSiOガスが供給されるので、ハニカム成形体110の焼成終了まで上記式(1)は、好適に進行することになる。
つまり、焼成治具1を用いると、ハニカム成形体110の焼成を好適に進行させることができる。
以下、本発明の焼成治具の作用効果を列挙する。
(1)収容体にコート層が形成されている。従って、本発明の焼成治具を用いてハニカム成形体を焼成する際に行われる脱脂工程において、収容体が劣化することを抑制することができる。
(2)本発明の焼成治具では、コート層を構成する炭化ケイ素は、収容体の内部に浸透しており、コート層を構成する炭化ケイ素が、収容体の内部に浸透している浸透幅は、200μm以上である。
このように、コート層を構成する炭化ケイ素が、収容体の内部深くに浸透していると、アンカー効果が高まるので、コート層と収容体との密着性が向上する。そのため、コート層が収容体から剥がれることを抑制することができる。
(実施例)
以下に実施例を掲げ本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(1)収容体準備工程
黒鉛(イビデン株式会社製「ES−90」)からなり底部及び枠部から構成される収容体を準備した。
収容体の気孔率は、17%であり、底部及び枠部の厚さは、10mmであった。
(2)成膜工程
(2−1)成膜第1工程
反応器内に収容体を置き、以下の条件で収容体に化学気相蒸着を行った。
ガスの種類:メチルトリクロロシシラン
ガスの濃度:2.1%
処理温度 :1200℃
(2−2)成膜第2工程
上記(2−1)成膜第1工程終了後、さらに以下の条件で各収容体に化学気層蒸着を行い、収容体にコート層を形成した。
ガスの種類:メチルトリクロロシシラン
ガスの濃度:6.4%
処理温度 :1200℃
以上の工程を経て、実施例1に係る焼成治具を製造した。
(実施例2)
実施例1の(2)成膜工程の条件を以下のように変更した以外は、実施例1と同様に実施例2に係る焼成治具を製造した。
(2)成膜工程
(2−1)成膜第1工程
ガスの種類:メチルトリクロロシシラン
ガスの濃度:4.2%
処理温度 :1200℃
(2−2)成膜第2工程
ガスの種類:メチルトリクロロシシラン
ガスの濃度:6.4%
処理温度 :1200℃
(比較例1)
(1)収容体準備工程
実施例1と同様に収容体を準備した。
(2)成膜工程
反応器内に収容体を置き、以下の条件で収容体に化学気相蒸着を行い、収容体にコート層を形成した。
ガスの種類:メチルトリクロロシシラン
ガスの濃度:6.4%
処理温度 :1200℃
以上の工程を経て、比較例1に係る焼成治具を製造した。
(比較例2)
比較例1において(2)成膜工程の条件を以下のように変更した以外は、比較例1と同様にして比較例2に係る焼成治具を製造した。
(2)成膜工程
ガスの種類:メチルトリクロロシシラン
ガスの濃度:6.4%
処理温度 :1300℃
(比較例3)
比較例1において(2)成膜工程の条件を以下のように変更した以外は、比較例1と同様にして比較例3に係る焼成治具を製造した。
(2)成膜工程
ガスの種類:メチルトリクロロシシラン
ガスの濃度:6.4%
処理温度 :1350℃
(炭化ケイ素の浸透幅及びコート層の幅の測定)
電子線マイクロアナライザ(EPMA)を用い、実施例1及び2、並びに、比較例1〜3に係る焼成治具の炭化ケイ素の浸透幅及びコート層の幅の測定をした。
測定条件としては、電子線マイクロアナライザ(機種名:EPMA JXA−8500F、日本電子株式会社製)を用い、撮像倍率を75倍とし、コート層の露出面から収容体の内部にむけて1200μmの深さを、幅250μmに渡ってマッピングした。
結果を表1に示す。各実施例及び各比較例の電子線マイクロアナライザ(EPMA)による画像を図7(a)〜(e)に示す。
図7(a)は、実施例1に係る焼成治具のEPMA画像である。
図7(b)は、実施例2に係る焼成治具のEPMA画像である。
図7(c)は、比較例1に係る焼成治具のEPMA画像である。
図7(d)は、比較例2に係る焼成治具のEPMA画像である。
図7(e)は、比較例3に係る焼成治具のEPMA画像である。
図7(a)〜(e)中、点線は、収容体とコート層との境界面を示している。
図7(a)及び(b)に示すように、実施例1及び2に係る焼成治具では黒鉛13からなる収容体10に炭化ケイ素31からなるコート層30が形成されており、さらに炭化ケイ素31は収容体10の内部に浸透していた。そして、炭化ケイ素の浸透幅は200μm以上であった。
一方、図7(c)及び(d)に示すように、比較例1及び2に係る焼成治具では、黒鉛13からなる収容体10に炭化ケイ素31からなるコート層30が形成されており、さらに炭化ケイ素31は収容体10の内部に浸透していたが、炭化ケイ素の浸透幅は200μm未満であった。
また、図7(e)に示すように、比較例3に係る焼成治具では、黒鉛13からなる収容体10に炭化ケイ素31からなるコート層30が形成されているものの、炭化ケイ素31は、ほとんど収容体10の内部に浸透していなかった。
(密着強度の測定)
実施例1及び2、並びに、比較例1〜3に係る焼成治具における収容体と、コート層との密着強度をセバスチャン法により測定した。
測定条件は以下の通りである。
まず、コート層にスタットピン(型番:901106、QUAD GROUP社製)を接着して測定用サンプルを作製した。
次に、密着強度測定機(機種名:AG−X、株式会社島津製作所製)を用いて、測定用サンプルの密着強度を測定した。
結果を表1に示す。
さらに、密着強度と炭化ケイ素の浸透幅との関係を図8に示す。
図8は、各実施例及び各比較例に係る焼成治具の密着強度と炭化ケイ素の浸透幅との相関関係を示すグラフである。
表1に示すように、実施例1及び2では、炭化ケイ素が収容体に充分浸透でき炭化ケイ素の浸透幅が200μm以上であった。
これは、成膜第1工程において濃度が低いメチルトリクロロシシランを用い、成膜第2工程において、成膜第1工程で用いたメチルトリクロロシシランよりも濃度が高いメチルトリクロロシシランを用いるという2段階に分けてコート層を成膜しているため、炭化ケイ素が収容体の奥深くに浸透したためと考えられる。
また、表1に示すように、実施例1及び2では、密着強度が充分に強かった。これは、実施例1及び2では、炭化ケイ素が収容体に充分浸透できたことが原因と考えられる。
表1に示すように、比較例1〜3では、炭化ケイ素が収容体に充分浸透できず炭化ケイ素の浸透幅が200μm未満であった。特に比較例3では、炭化ケイ素の浸透幅が5μmであった。これは、成膜工程において高温で処理されたために、メチルトリクロロシシランが収容体に浸透する前に、黒鉛と反応して炭化ケイ素化したため、又は、熱分解し炭化ケイ素化したためと考えられる。
また、表1に示すように、比較例1〜3では、密着強度が弱かった。これは、比較例1〜3では、炭化ケイ素が収容体に充分浸透できなかったことが原因と考えられる。
さらに、図8に示すように、炭化ケイ素の浸透幅が深くなるほど密着強度が向上していた。
1 焼成治具
10 収容体
11 底部
12 枠部
13 黒鉛
14 気孔
14a 気孔の壁
15 境界面
20 載置面
21 スペーサー
30 コート層
31 炭化ケイ素
32 有機シランガス
35 露出面

Claims (9)

  1. 炭化ケイ素を主成分とする柱状のハニカム成形体を載置するための収容体と、前記収容体の少なくとも前記ハニカム成形体を載置する載置面側に形成されたコート層とからなるハニカム成形体焼成用焼成治具であって、
    前記収容体は黒鉛からなり、
    前記コート層は炭化ケイ素から構成され、
    前記コート層を構成する前記炭化ケイ素は、前記収容体の内部に浸透しており、
    前記コート層を構成する前記炭化ケイ素が、前記収容体の内部に浸透している浸透幅は、200μm以上であることを特徴とする焼成治具。
  2. 前記浸透幅は、1000μm以下である請求項1に記載の焼成治具。
  3. 前記コート層の露出面から前記収容体までの幅は、20〜500μmである請求項1又は2に記載の焼成治具。
  4. 前記収容体の気孔率は、5〜40%である請求項1〜3のいずれかに記載の焼成治具。
  5. 前記収容体の気孔率は、10〜30%である請求項4に記載の焼成治具。
  6. 前記コート層は、有機シランガスを用いて化学気相蒸着を行うことにより形成されている請求項1〜5のいずれかに記載の焼成治具。
  7. 請求項1〜6に係るハニカム成形体焼成用焼成治具の製造方法であって、
    黒鉛からなる収容体を準備する収容体準備工程と、
    前記収容体に炭化ケイ素から構成されるコート層を形成する成膜工程とを含み、
    前記成膜工程は、
    第1有機シランガスを用いて前記収容体に化学気相蒸着を行う成膜第1工程と、
    前記成膜第1工程で用いる前記第1有機シランガスよりも濃度が高い第2有機シランガスを用いて前記収容体に化学気相蒸着を行う成膜第2工程とを含むことを特徴とする焼成治具の製造方法。
  8. 前記第1有機シランガスの濃度は、1.0〜6.5%である請求項7に記載の焼成治具の製造方法。
  9. 前記第2有機シランガスの濃度は、5.0〜20.0%である請求項7又は8に記載の焼成治具の製造方法。
JP2015087828A 2015-04-22 2015-04-22 焼成冶具の製造方法 Active JP6476047B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015087828A JP6476047B2 (ja) 2015-04-22 2015-04-22 焼成冶具の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015087828A JP6476047B2 (ja) 2015-04-22 2015-04-22 焼成冶具の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016204202A true JP2016204202A (ja) 2016-12-08
JP6476047B2 JP6476047B2 (ja) 2019-02-27

Family

ID=57486751

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015087828A Active JP6476047B2 (ja) 2015-04-22 2015-04-22 焼成冶具の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6476047B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019035397A1 (ja) * 2017-08-14 2019-02-21 Dowaサーモテック株式会社 珪炭窒化バナジウム膜、珪炭窒化バナジウム膜被覆部材およびその製造方法
JP2020026370A (ja) * 2018-08-10 2020-02-20 イビデン株式会社 反応装置

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06263569A (ja) * 1993-03-08 1994-09-20 Tokai Carbon Co Ltd 炭素質基材の耐酸化性被膜形成法
JPH11130565A (ja) * 1997-10-31 1999-05-18 Tokai Carbon Co Ltd SiC被覆炭素材料
JP2000302577A (ja) * 1999-04-22 2000-10-31 Tokai Carbon Co Ltd 炭化珪素被覆黒鉛部材
JP2000319080A (ja) * 1999-05-07 2000-11-21 Tokai Carbon Co Ltd 炭化珪素被覆黒鉛部材
JP2002003285A (ja) * 2000-06-20 2002-01-09 Tokai Carbon Co Ltd SiC被覆黒鉛部材およびその製造方法
WO2008149435A1 (ja) * 2007-06-06 2008-12-11 Ibiden Co., Ltd. 焼成用治具及びハニカム構造体の製造方法
JP2009013047A (ja) * 2007-06-06 2009-01-22 Ibiden Co Ltd 焼成用治具及びハニカム構造体の製造方法

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06263569A (ja) * 1993-03-08 1994-09-20 Tokai Carbon Co Ltd 炭素質基材の耐酸化性被膜形成法
JPH11130565A (ja) * 1997-10-31 1999-05-18 Tokai Carbon Co Ltd SiC被覆炭素材料
JP2000302577A (ja) * 1999-04-22 2000-10-31 Tokai Carbon Co Ltd 炭化珪素被覆黒鉛部材
JP2000319080A (ja) * 1999-05-07 2000-11-21 Tokai Carbon Co Ltd 炭化珪素被覆黒鉛部材
JP2002003285A (ja) * 2000-06-20 2002-01-09 Tokai Carbon Co Ltd SiC被覆黒鉛部材およびその製造方法
WO2008149435A1 (ja) * 2007-06-06 2008-12-11 Ibiden Co., Ltd. 焼成用治具及びハニカム構造体の製造方法
JP2009013047A (ja) * 2007-06-06 2009-01-22 Ibiden Co Ltd 焼成用治具及びハニカム構造体の製造方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019035397A1 (ja) * 2017-08-14 2019-02-21 Dowaサーモテック株式会社 珪炭窒化バナジウム膜、珪炭窒化バナジウム膜被覆部材およびその製造方法
JP2019035108A (ja) * 2017-08-14 2019-03-07 Dowaサーモテック株式会社 珪炭窒化バナジウム膜、珪炭窒化バナジウム膜被覆部材およびその製造方法
US11091367B2 (en) 2017-08-14 2021-08-17 Dowa Thermotech Co., Ltd. Vanadium silicon carbonitride film, vanadium silicon carbonitride film coated member, and method for manufacturing the same
JP2020026370A (ja) * 2018-08-10 2020-02-20 イビデン株式会社 反応装置
JP7093264B2 (ja) 2018-08-10 2022-06-29 イビデン株式会社 反応装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP6476047B2 (ja) 2019-02-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN1068573C (zh) 将熔融硅组合物渗入多孔基体内的方法
WO2007015550A1 (ja) 炭化珪素質焼成用治具及び多孔質炭化珪素体の製造方法
US20050079975A1 (en) Honeycomb structure body and method for manufacturing the same
US9636620B2 (en) Porous alpha-SiC-containing shaped body having a contiguous open pore structure
EP3700876B1 (fr) Matériau céramique composite particulaire, pièce le comprenant, et procédé de préparation de cette pièce.
WO2012105478A1 (ja) 炭化珪素質材料、ハニカム構造体及び電気加熱式触媒担体
JP6476047B2 (ja) 焼成冶具の製造方法
CN110423119A (zh) 一种耐烧蚀C/SiC陶瓷基复合材料的制备方法
CN110683853B (zh) 一种氮化硅结合碳化硅摩擦材料的制备方法
JP2011032163A (ja) 耐環境コーティングの表面粗度を向上させる方法及び表面粗度が向上した耐環境コーティングを有する部品
TWI816975B (zh) 燒成夾具
KR101808891B1 (ko) 단결정 인상 장치용 흑연 도가니 및 그 제조 방법
KR100776252B1 (ko) 탄소재 상에 내산화성 다층코팅을 형성하는 방법
CN113248272B (zh) 一种碳陶摩擦材料的制备方法和应用
JPH0543364A (ja) 耐酸化性炭素繊維強化炭素複合材料及びその製造方法
TWI751709B (zh) 耐火物
CN110713386B (zh) 一种C/SiC摩擦材料的制备方法
WO2019058069A1 (fr) Procede de fabrication d'une piece en cmc
JP5168451B2 (ja) 多孔質成形体の製造方法及び多孔質充填成形体の製造方法
JP2015171985A (ja) 複合耐火物およびその製造方法
EP1995226A1 (en) Porous object based on silicon carbide and process for producing the same
JP2007308731A (ja) 焼結用セッター材
RU2471707C2 (ru) Способ изготовления герметичных изделий из углерод-углеродного или углерод-карбидокремниевого композиционного материала
JP3844273B2 (ja) 耐酸化性c/c複合材及びその製造方法
JP6363909B2 (ja) マッフル、焼成炉、及び、マッフルの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180412

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180921

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181016

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181204

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190108

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190204

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6476047

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250