JP2016204168A - 無機酸化物微粒子分散液の製造方法 - Google Patents

無機酸化物微粒子分散液の製造方法 Download PDF

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Abstract

【解決手段】(I)体積基準の50%累計分布径(D50)が8〜50nmである無機酸化物微粒子ソリッド(A)を含む水分散液を準備する工程、(II)微粒子ソリッド(A)と有機ケイ素化合物を反応する工程、(III)必要に応じて希釈する工程、(IV)限外ろ過濃縮する工程、及び(V)限外ろ過溶媒置換する工程、を含む製造方法において、前記限外ろ過が、回転軸(4)に固定された1枚以上の無機セラミックディスク(6)を回転させ、外周面にろ過膜を有する前記ディスク(6)の表面に付着する微粒子ソリッド(A)を剥離しながらろ過するディスク回転式ろ過装置(10)を使用すること、を特徴とする無機酸化物微粒子分散液の製造方法。【効果】本発明の製造方法を用いることによって無機酸化物微粒子分散液が凝集することなく、かつ少ない置換溶媒量で効率的に製造できる。【選択図】図3

Description

本発明は、無機酸化物微粒子分散液の製造方法に関する。更に詳しくは、無機酸化物微粒子の有機溶剤分散液であって、無機酸化物微粒子の水性分散液から出発して有機溶剤分散液を製造する際に、凝集が発生せず、流動性を失わず、かつ、溶剤置換に要する有機溶剤の量を低減した方法であって、ディスク回転式膜ろ過装置を用いる方法に関する。
無機酸化物微粒子分散液は、コーティング剤や樹脂改質など多岐の用途を有しており、粒径や形状などが精密に制御された微粒子の分散液を簡便に製造できることが望まれている。微粒子分散液は、粉砕によって製造する方法と結晶成長によって製造する方法がある。粉砕法では粒子の粒径や形状が制御しづらいため、ファインケミカル分野では結晶成長法が好まれている。結晶成長法のもっとも一般的な手法である水熱合成法(ハイドロサーマル法)では、原理上、無機酸化物微粒子の水性分散液が得られる(非特許文献1)。しかしながら、水性分散液は、有機溶剤や有機樹脂との相溶性が悪く、その応用には制限があった。その他の結晶成長法として、気相法(特許文献1)及びソルボサーマル法(非特許文献2)が挙げられるが、対象化合物が特殊な例に限られたり、再分散化の問題があった。
水熱合成法の利点を活かしつつ、有機溶剤や有機樹脂との相溶性に優れた無機酸化物微粒子分散液を製造するためには、溶剤置換が重要となるが、表面処理剤が限定的であったり(特許文献2、特許文献3)、再分散工程が必要となる(特許文献4)、煩雑な操作が必要である(特許文献5)など製造上の問題があった。
限外ろ過による溶剤置換も提案されているが、ろ過メディアの閉塞、ろ過対象物の限定、及び生産物の保存安定性などの問題が考えられる(特許文献6)。溶剤置換方法は、微粒子ソリッドが溶媒に混合された混合液スラリーの場合、このスラリーの溶剤を新たな溶剤に置換する置換方法をいう。この溶剤置換により、濃縮スラリーの成分構成の調整や、微粒子の性質を変化させることができる。そのため、溶剤置換方法の改善により、大きなイノベーション(技術革新)が期待されている。
従来のリスラリー法では、一旦ろ過して濃縮後、濃縮スラリーをスラリータンクに取り出し、置換溶剤を供給して希釈して再度ろ過して濃縮し、この濃縮スラリーをスラリータンクに取り出して、置換溶剤を供給して希釈し、再度ろ過して濃縮する溶剤置換操作を繰り返す方法が採用されている。また、従来のリスラリー法では、分離膜自体は静止状態でバッチ処理が行われている。
従来のリスラリー法による溶剤置換操作は、ろ過膜にろ過障害となる微粒子が堆積してできるケーキ層を適宜に剥離する必要があった。そこで、クロスフロー方式では、このケーキ層を常時剥離するように、ろ過膜と平行に流れる流れ(ろ過液の流れとスラリーの流れが直交したクロスフロー)を作っているが、従来は、この流れをろ過装置外部で作るために、スラリータンクと、ポンプと、固定膜とを循環して濃縮するスラリーの循環システムを必要とする(例えば、特許文献7)。
このような従来のリスラリー法の問題点を解決するために、ディスク回転式膜ろ過装置(特許文献8)を用いる方法が提案されている。
特開2012−77267号公報 特開2007−246351号公報 特開2009−227500号公報 特許第3906933号公報 特開2010−143806号公報 特許第5255270号公報 特開平11−577710号公報(段落0002、0005) 特開2015−66495号公報 BulletIn of MaterIal ScIence、2000年、23巻、6号、453−460頁、Hydrothermal synthesIs of fIne oxIde powders Journal of crystal growth、2006年、297巻、1号、234−238頁
しかしながら、ディスク回転式膜ろ過装置(特許文献8)を用いる方法は、分散質の凝集がしばしば発生するという問題があった。分散質が凝集すると、溶剤置換の後に期待された特性(透明性、分散性など)が発揮されない場合があった。また、本発明者らが検討したところ、凝集を起こさない製造方法であっても、保存安定性に問題がある場合が存在した(特許文献6)。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、多量の置換溶剤を必要とせず、また占有スペースが小さいというディスク回転型膜ろ過装置の特徴を活かしつつ、分散液の凝集が発生せず、保存安定性に優れた、無機酸化物微粒子分散液の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、無機酸化物微粒子分散液の製造における上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、次の工程(I)〜工程(V)を含む製造方法を知見し、本発明をなすに至った。
〔1〕 (I)微粒子ソリッド(A)として、
レーザー光を用いた動的光散乱法で測定した体積基準の50%累計分布径(D50)が8〜50nmである無機酸化物微粒子
を含む水分散液を準備する工程、
(II)前記水分散液に対して、30質量%以上200質量%以下の下記一般式(1)で示されるシラン化合物及び/又は同シラン化合物の(部分)加水分解縮合物を添加、反応させ、スラリー(C)を得る工程、
1 p2 q3 rSi(OR44-p-q-r (1)
(式中において、R1は、炭素数1以上20以下のアルキル基、炭素数6以上20以下のアリール基、(メタ)アクリル基で置換された炭素数1以上20以下のアルキル基、オキシラニル基で置換された炭素数1以上20以下のアルキル基、水素原子で置換可能な炭素数1以上20以下のフルオロアルキル基、ケイ素数50以下のポリジメチルシロキシ基からなる群から選ばれる置換基であって、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に炭素数6以下のアルキル基である。pは1以上3以下の整数、qは0以上2以下の整数、rは0以上2以下の整数、p+q+rは1以上3以下の整数である。)
(III)必要に応じ前記スラリー(C)を有機溶剤で希釈して希釈スラリー(C')を得る工程、
(IV)工程(II)後又は工程(III)後の前記スラリー(C)又は前記希釈スラリー(C')を必要に応じて濃縮して濃厚スラリー(C'')を得る工程、
(V)有機溶剤(D)により前記スラリー(C)又は前記希釈スラリー(C')又は前記濃厚スラリー(C'')を溶媒置換する工程、
を含む無機酸化物微粒子有機溶剤分散液の製造方法であって、
工程(IV)では、
回転軸(4)に固定された1枚以上のディスク(6)を回転させ、外周面にろ過膜を有する前記ディスク(6)の表面に付着する前記微粒子ソリッド(A)を剥離しながらろ過するディスク回転式ろ過装置(10)を使用し、
前記微粒子ソリッド(A)と溶媒(B)を含む混合液のスラリー(C又はC')において、前記スラリー(C又はC')を必要に応じて濃縮する方法は、
ろ過室(3)内に前記スラリー(C又はC')を供給すると共に、このスラリー(C又はC')に対して新たなスラリー(C又はC')を前記ろ過室(3)に供給し、回転する前記1枚以上のディスク(6)によって、前記溶媒(B)を前記1枚以上のディスク(6)内にろ過液として抜き取り、前記溶媒(B)を新たなスラリー(C又はC')に置換することによって、前記ろ過室(3)内の前記微粒子ソリッド(A)の量を向上させるディスク回転式膜ろ過装置(10)を使用したろ過方法
を用い、
工程(V)では、
回転軸(4)に固定された1枚以上のディスク(6)を回転させ、外周面にろ過膜を有する前記ディスク(6)の表面に付着する微粒子ソリッド(A)を剥離しながらろ過するディスク回転式ろ過装置(10)を使用し、
微粒子ソリッド(A)と溶媒(B)を含む混合液のスラリー(C、C'又はC'')において、前記溶媒(B)を新たな有機溶剤(D)に溶媒置換する方法は、
ろ過室(3)内に前記スラリー(C、C'又はC'')を供給すると共に、このスラリー(C、C'又はC'')に対して前記新たな有機溶媒(D)を前記ろ過室(3)に供給し、回転する前記1枚以上のディスク(6)によって、前記溶媒(B)を前記1枚以上のディスク(6)内にろ過液として抜き取り、前記溶媒(B)を前記新たな溶媒(D)に置換するディスク回転式膜ろ過装置(10)を使用したろ過方法
を用いることを特徴とする、無機酸化物微粒子有機溶剤分散液の製造方法。
〔2〕 (I)微粒子ソリッド(A)として、
レーザー光を用いた動的光散乱法で測定した体積基準の50%累計分布径(D50)が8〜50nmである無機酸化物微粒子
を含む水分散液を準備する工程、
(II)前記水分散液に対して、30質量%以上200質量%以下の下記一般式(1)で示されるシラン化合物及び/又は同シラン化合物の(部分)加水分解縮合物を添加、反応させ、スラリー(C)を得る工程、
1 p2 q3 rSi(OR44-p-q-r (1)
(式中において、R1は、炭素数1以上20以下のアルキル基、炭素数6以上20以下のアリール基、(メタ)アクリル基で置換された炭素数1以上20以下のアルキル基、オキシラニル基で置換された炭素数1以上20以下のアルキル基、水素原子で置換可能な炭素数1以上20以下のフルオロアルキル基、ケイ素数50以下のポリジメチルシロキシ基からなる群から選ばれる置換基であって、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に炭素数6以下のアルキル基である。pは1以上3以下の整数、qは0以上2以下の整数、rは0以上2以下の整数、p+q+rは1以上3以下の整数である。)
(III)必要に応じ前記スラリー(C)を有機溶剤で希釈して希釈スラリー(C')を得る工程、
(IV)工程(II)後又は工程(III)後の前記スラリー(C)又は前記希釈スラリー(C')を必要に応じて濃縮して濃厚スラリー(C'')を得る工程、
(V)有機溶剤(D)により前記スラリー(C)又は前記希釈スラリー(C')又は前記濃厚スラリー(C'')を溶媒置換する工程、
を含む無機酸化物微粒子有機溶剤分散液の製造方法であって、
工程(IV)では、
回転軸(4)に固定された1枚以上のディスク(6)を回転させ、外周面にろ過膜を有する前記ディスク(6)の表面に付着する前記微粒子ソリッド(A)を剥離しながらろ過するディスク回転式ろ過装置(10)を使用し、
前記微粒子ソリッド(A)と溶媒(B)を含む混合液のスラリー(C又はC')において、前記スラリー(C又はC')を必要に応じて濃縮する方法は、
前記スラリー(C又はC')をろ過室内に供給すると共に、このスラリー(C又はC')を前記ディスク(6)の外周面のろ過膜から内部に浸透させ、ろ過して前記溶媒(B)をろ過室(3)外に排出し、前記微粒子ソリッド(A)の濃度を連続ろ過処理して高め、第一の濃厚スラリー(C''−1)を得る、濃縮機構(IV−1)と、
前記濃縮機構(IV−1)から前記第一の濃厚スラリー(C''−1)を排出すると共に、この第一の濃厚スラリー(C''−1)に対して前記混合液のスラリー(C又はC')を供給して希釈し、再び溶媒(B)をろ過室内からろ過室(3)外に排出し、前記微粒子のソリッド(A)の濃度を連続ろ過処理して高める再分散機構(IV−2)
を備えた方法によって、前記スラリー(C又はC')中の前記微粒子ソリッド(A)の量を連続的に向上させるディスク回転式膜ろ過装置(10)を使用したろ過方法
を用い、
工程(V)では、
回転軸(4)に固定された1枚以上のディスク(6)を回転させ、外周面にろ過膜を有する前記ディスク(6)の表面に付着する微粒子ソリッド(A)を剥離しながらろ過するディスク回転式ろ過装置(10)を使用し、
微粒子ソリッド(A)と溶媒(B)を含む混合液のスラリー(C、C'又はC'')において、前記溶媒(B)を新たな有機溶剤(D)に溶媒置換する方法は、
前記スラリー(C、C'又はC'')をろ過室内に供給すると共に、このスラリー(C、C'又はC'')を前記ディスク(6)の外周面のろ過膜から内部に浸透させ、ろ過して前記溶媒(B)をろ過室(3)外に排出し、前記微粒子のソリッド(A)の濃度を連続ろ過処理して高め、第2の濃厚スラリー(C''−2)を得る、濃縮機構(V−1)と、
前記濃縮機構(V−1)から前記第2の濃厚スラリー(C''−2)を排出すると共に、この第二の濃厚スラリー(C''−2)に対して前記有機溶剤(D)を供給して希釈し、再び溶媒(B)をろ過室内からろ過室(3)外に排出し、前記溶媒(B)の一部を前記新たな有機溶剤(D)に置換することを特徴とする再分散機構(V−2)
を備えた方法によって、前記スラリー(C、C'又はC'')中の前記溶媒(B)を前記新たな溶媒(D)に最終的に置換するディスク回転式膜ろ過装置(10)を使用したろ過方法
を用いることを特徴とする、無機酸化物微粒子有機溶剤分散液の製造方法。
〔3〕 ディスク(6)の外周面に有するろ過膜が無機セラミック製であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の無機酸化物微粒子有機溶剤分散液の製造方法。
〔4〕 ディスク(6)の外周面に有するろ過膜が、1nm以上20nm未満の平均細孔径を有することを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の無機酸化物微粒子有機溶剤分散液の製造方法。
本発明によれば、無機酸化物微粒子の凝集を伴うことなく、かつ溶剤置換に用いる溶剤量を低減することができる。更に、得られる無機酸化物微粒子分散液は保存安定性に優れる。
ディスク回転式膜ろ過装置の一例を示す斜視図である。 同装置のろ過室の一部を破断した状態の拡大斜視図である。 ディスクの拡大縦断面図である。 図2のIV−IV線に沿ったディスク及びバックル部材の一部省略拡大横断面図である。 合成例3のスラリーのTEM画像である。 比較例1の工程(D),(E)を説明する説明図である。
以下に本発明のディスク回転式膜ろ過装置を用いる無機酸化物微粒子分散液の製造方法を詳細に説明する。
工程(I)
工程(I)は、微粒子ソリッド(A)として、レーザー光を用いた動的光散乱法で測定した体積基準の50%累計分布径(D50)が8〜50nmである無機酸化物微粒子を含む水分散液を準備する工程である。
本発明に利用可能な微粒子ソリッド(A)は、金属酸化物であることが好ましく、金属酸化物を構成する元素としては、13族元素、14族元素(炭素を除く)、第1系列遷移元素、第2系列遷移元素、第3系列遷移元素、ランタノイド等が挙げられる。13族元素では、特にアルミニウム、ホウ素、ガリウム、インジウム等から誘導される酸化物が好適であり、アルミナゾルが一般的に知られている。14族元素(炭素を除く)では、ケイ素、スズ等から誘導される酸化物が好適であり、シリカゾルが一般的である。第1系列遷移元素では、チタン、マンガン、亜鉛、バナジウム、鉄等から誘導される酸化物が好適である。これらの酸化物は、特定波長の光吸収材料として用いられることが多い。第2系列遷移元素では、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン等から誘導される酸化物が好適である。これらの酸化物は、特定波長の光吸収及び蛍光材料として用いられることが多い。第3系列遷移元素では、ハフニウム、タンタル、タングステン等から誘導される酸化物が好適である。ランタノイドでは、ランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジウム、テルビウム、ジスプロシウム、イッテルビウム等から誘導される酸化物が好適である。これらの酸化物は、特定波長の光吸収及び蛍光材料として用いられることが多い。
本発明で用いるコロイド溶液の分散質は、前記の金属酸化物の群から選ばれるものであれば、1種単独で又は2種以上を複合したものを用いることができる。ここで述べる複合とは、広義の意味であり、単純混合及び化学結合を介して複合化されたものであればよい。化学結合を介した複合とは、下記一般式(2)で表されるような形態をいう。
(M1xm(M2yn (2)
ここで、M1は、Al、B、Ga、In、Si、Ge、Sn、Ti、Mn、Zn、V、Fe、Y、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、La、Ce、Pr、Nd、Tb、Dy、Ybの元素記号で表されるいずれか1種である。M2は、Al、B、Ga、In、Si、Ge、Sn、Ti、Mn、Zn、V、Fe、Y、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、La、Ce、Pr、Nd、Tb、Dy、Ybの元素記号で表されるいずれか1種であり、M1で選択されたものと同一ではない元素である。x、yは、M1の価数をaとすればx=a/2、M2の価数をbとすればy=b/2で表すことができる。m、nは、m+n=1を満たす実数であって、かつ0<m<1及び0<n<1を満たす。即ち、構造中において、M1とM2が酸素を介して結合した単位を有している。M1とM2は、構造中において散在していてもよく、また偏在していてもよい。M1とM2が構造中において散在しているものは、複数種の金属アルコキシドの共加水分解物において見られる構造である。M1とM2が構造中において偏在しているものは、コアシェル粒子(金属酸化物微粒子を核とし、この核の外側に他の金属酸化物の殻を有する粒子)において見られる構造であり、例えば、複数種の金属アルコキシドを種類に応じて段階的に加水分解することで形成される。
本発明で用いられる金属酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化スズ、酸化ホウ素、酸化インジウム等及びこれらの複合物が挙げられる。これらの無機酸化物微粒子分散液としての化学工学上の様態は類似したものであり、従って、限外ろ過を考える場合には、ここに挙げた金属酸化物を1種単独又は2種以上を複合したものについて、一群として取り扱うことが可能である。
本発明で用いられる微粒子ソリッド(A)のレーザー光を用いた動的光散乱法で測定した体積基準の50%累計分布径(D50)は8〜50nmであることが好ましい。より好ましくは10〜40nm、更に好ましくは15〜30nmである。体積基準の50%累計分布径(D50)が8nmより小さいと、以降の工程で用いるろ過メディアの選択が難しくなるため好ましくない場合がある。50nmより大きいと、得られる微粒子分散液の透明性が低くなり、好ましくない場合がある。
無機酸化物微粒子を含む水分散液を準備する方法は、特に限定されず、バルク固体の粉砕及び結晶成長法が挙げられるが、水熱合成法を経て合成されることがより好ましい。また、市販の水分散液を用いてもよい。本発明に好適に用いることができる市販の水分散液としては、水分散シリカゾル(日産化学製、「スノーテックス」シリーズ)、水分散セリアゾル(日産化学製、「ナノユースCE」)、水分散ジルコニアゾル(日産化学製、「ナノユースZR」)、水分散チタニアゾル(多木化学製、「タイノック」)、水分散酸化スズゾル(多木化学製、「セラメース」)、水分散セリアゾル(多木化学製、「ニードラール」)、水分散ゾル(多木化学製、「バイラール」シリーズ)等を例示することができる。
無機酸化物微粒子を含む水分散液の微粒子ソリッド(A)の濃度は、好ましくは1〜40%(質量%、以下同じ)、より好ましくは5〜30%、更に好ましくは10〜20%である。微粒子ソリッド(A)の濃度が1%より小さいと化学プロセスとして非効率である場合がある。微粒子ソリッド(A)の濃度が40%より大きいと分散液がゲル化又は凝集するおそれがある。微粒子ソリッド(A)の濃度は、発明の好適な範囲に入るように適宜、希釈又は濃縮して用いることができる。
微粒子ソリッド(A)として、以下に述べる酸化チタン系の固溶体を含む分散液は産業上の利用可能性の観点から特に好ましい。以下に、異元素を含む酸化チタン系の固溶体を含む分散液の製造方法を詳述する。
異元素を固溶したコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体水分散液の製造方法は、次の工程(α)、(β)からなる。
・工程(α)
この工程では、先ず、異元素成分が正方晶系酸化チタンに固溶している正方晶系酸化チタン固溶体微粒子の水分散体を用意する。この水分散体を得る方法は、特に限定されないが、原料となるチタン化合物、異元素化合物、塩基性物質及び過酸化水素を水性分散媒中で反応させて、一旦、異元素を含有したペルオキソチタン酸溶液を得た後、これを水熱処理して異元素を固溶した正方晶系酸化チタン微粒子分散液を得る方法が好ましい。
前段の異元素を含有したペルオキソチタン酸溶液を得るまでの反応は、水性分散媒中の原料チタン化合物に塩基性物質を添加して水酸化チタンとし、含有する不純物イオンを除去し、過酸化水素を添加してペルオキソチタン酸とした後に異元素化合物を添加して、異元素を含有したペルオキソチタン酸溶液とする方法でも、水性分散媒中の原料チタン化合物に異元素化合物を添加した後に塩基性物質を添加して異元素を含有した水酸化チタンとし、含有する不純物イオンを除去し、過酸化水素を添加して異元素を含有したペルオキソチタン酸溶液とする方法でもよい。
ここで、原料のチタン化合物としては、例えば、チタンの塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩等の無機酸塩、蟻酸、クエン酸、蓚酸、乳酸、グリコール酸等の有機酸塩、これらの水溶液にアルカリを添加して加水分解することにより析出させた水酸化チタン等が挙げられ、これらの1種単独で又は2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
異元素化合物としては、異元素塩、特に異元素塩化物が、それぞれ所用の固溶量となるように使用される。また、水性分散媒、塩基性物質も、それぞれ前述のものが、前述の配合となるように使用される。
異元素化合物としてスズ及びマンガンを正方晶系酸化チタンに固溶させる場合、スズ成分の固溶量が、チタンとのモル比(Ti/Sn)で10〜1,000、より好ましくは20〜200であり、マンガン成分の固溶量が、チタンとのモル比(Ti/Mn)で10〜1,000、より好ましくは20〜200である。スズ成分、マンガン成分の固溶量が、チタンとのモル比(Ti/Sn)、(Ti/Mn)で10よりも少ないとき、スズ及びマンガンに由来する可視領域の光吸収が顕著となり、一方、1,000を超えると、光触媒活性が充分に失活しないことがあるため好ましくない。固溶質としてのスズ成分は、スズ塩から誘導されるものであればよく、酸化スズ、硫化スズ等のスズカルコゲナイドが挙げられ、酸化スズであることが好ましい。スズ塩としては、フッ化スズ、塩化スズ、臭化スズ、ヨウ化スズ等のスズハロゲン化物、シアン化スズ、イソチオシアン化スズ等のスズ擬ハロゲン化物、又は硝酸スズ、硫酸スズ、燐酸スズ等のスズ鉱酸塩等や酸化スズを用いることができるが、安定性と入手の容易さから塩化スズを用いることが好ましい。また、スズ塩におけるスズは2価から4価の原子価のものから選択できるが、4価のスズを用いることが特に好ましい。固溶質としてのマンガン成分は、マンガン塩から誘導されるものであればよく、酸化マンガン、硫化マンガン等のマンガンカルコゲナイドが挙げられ、酸化マンガンであることが好ましい。マンガン塩としては、フッ化マンガン、塩化マンガン、臭化マンガン、ヨウ化マンガン等のマンガンハロゲン化物、シアン化マンガン、イソチオシアン化マンガン等のマンガン擬ハロゲン化物、硝酸マンガン、硫酸マンガン、燐酸マンガン等のマンガン鉱酸塩等や酸化マンガンを用いることができるが、安定性と安全性の面から酸化マンガンを用いることが好ましい。また、マンガン塩におけるマンガンは2価から7価の原子価のものから選択できるが、2価のマンガンを用いることが特に好ましい。
スズ成分及びマンガン成分の固溶様式は、置換型であっても侵入型であってもよい。ここでいう、置換型とは、酸化チタンのチタン(IV)イオンのサイトにスズ及びマンガンが置換されて形成される固溶様式のことであり、侵入型とは、酸化チタンの結晶格子間にスズ及びマンガンが存在することにより形成される固溶様式のことである。侵入型では、着色の原因となるF中心が形成されやすく、また金属イオン周囲の対称性が悪いため金属イオンにおける振電遷移のフランク−コンドン因子も増大し、可視光を吸収し易くなる。そのため、置換型であることが好ましい。
異元素化合物としてガリウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、アルミニウムからなる群から選ばれる元素(M0)の1種以上、及びスズを固溶させる場合、スズ成分の固溶量が、チタンとのモル比(Ti/Sn)で10〜1,000、より好ましくは20〜200であり、(M0)成分の固溶量が、チタンとのモル比(Ti/M0)で10〜1,000、より好ましくは20〜200である。スズ成分、(M0)成分の固溶量が、チタンとのモル比(Ti/Sn)、(Ti/M0)で10よりも少ないとき、スズ及び(M0)に由来する可視領域の光吸収が顕著となり、一方、1,000を超えると、光触媒活性が充分に失活しないことがあるため好ましくない。固溶質としてのスズ成分は、スズ化合物から誘導されるものであればよく、酸化スズ、硫化スズ等のスズカルコゲナイドが挙げられ、酸化スズであることが好ましい。スズ塩としては、フッ化スズ、塩化スズ、臭化スズ、ヨウ化スズ等のスズハロゲン化物、シアン化スズ、イソチオシアン化スズ等のスズ擬ハロゲン化物、又は硝酸スズ、硫酸スズ、燐酸スズ等のスズ鉱酸塩等を用いることができるが、安定性と入手の容易さから塩化スズを用いることが好ましい。また、スズ塩におけるスズは2価から4価の原子価のものから選択できるが、4価のスズを用いることが特に好ましい。固溶質としての(M0)成分は、(M0)化合物から誘導されるものであればよく、(M0)カルコゲナイドが挙げられる。
スズ成分及び(M0)成分の固溶様式は、置換型であっても侵入型であってもよい。ここでいう、置換型とは、酸化チタンのチタン(IV)イオンのサイトにスズ及び(M0)が置換されて形成される固溶様式のことであり、侵入型とは、酸化チタンの結晶格子間にスズ及びマンガンが存在することにより形成される固溶様式のことである。侵入型では、着色の原因となるF中心が形成されやすく、また金属イオン周囲の対称性が悪いため金属イオンにおける振電遷移のフランク−コンドン因子も増大し、可視光を吸収し易くなる。そのため、置換型であることが好ましい。
本発明で用いるスズ及び(M0)を固溶した正方晶系酸化チタンには、必要に応じて更に別種の元素を添加してもよい。添加できる元素は、13族元素、14族元素(炭素を除く)、第1系列遷移元素、第2系列遷移元素、第3系列遷移元素、ランタノイド等の群から選ばれる元素の何れか1種以上である。
過酸化水素は、上記原料チタン化合物又は水酸化チタンをペルオキソチタン、つまりTi−O−O−Ti結合を含む酸化チタン系化合物に変換させるためのものであり、通常、過酸化水素水の形態で使用される。過酸化水素の添加量は、チタン及び異元素の合計モル数の1.5〜10倍モルとすることが好ましい。また、この過酸化水素を添加して原料チタン化合物又は水酸化チタンをペルオキソチタン酸にする反応における反応温度は、5〜60℃とすることが好ましく、反応時間は、30分〜24時間とすることが好ましい。
こうして得られる異元素を含有したペルオキソチタン酸溶液は、pH調整等のため、塩基性物質又は酸性物質を含んでいてもよい。ここでいう、塩基性物質としては、例えば、アンモニア等が挙げられ、酸性物質としては、例えば、硫酸、硝酸、塩酸、炭酸、リン酸、過酸化水素等の無機酸及び蟻酸、クエン酸、蓚酸、乳酸、グリコール酸等の有機酸が挙げられる。この場合、得られた異元素を含有したペルオキソチタン酸溶液のpHは1〜7、特に4〜7であることが取り扱いの安全性の点で好ましい。
次いで、後段の異元素を固溶した正方晶系酸化チタン微粒子コロイド溶液を得るまでの反応は、上記異元素を含有したペルオキソチタン酸溶液を、圧力0.01〜4.5MPa、好ましくは0.15〜4.5MPa、温度80〜250℃、好ましくは120〜250℃、反応時間1分〜24時間の条件下での水熱反応に供される。その結果、異元素を含有したペルオキソチタン酸は、異元素を固溶した正方晶系酸化チタン微粒子に変換されていく。
本発明においては、こうして得られる異元素を固溶した正方晶系酸化チタン微粒子分散液に、一価アルコール、アンモニア、及びテトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシランを配合する。
一価アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、及びこれらの任意の混合物が使用され、特に好ましくはエタノールが使用される。このような一価アルコールの配合量は、上記酸化チタン微粒子分散液100質量部に対して、100質量部以下、好ましくは30質量部以下で使用される。特に、一価アルコールの配合量を変えることによって、次工程において、異元素を固溶した正方晶系酸化チタン微粒子からなる核の外側に形成する酸化ケイ素の殻の厚さを制御することが可能になる。一般に、一価アルコールの配合量を増やせば、テトラアルコキシシラン等のケイ素反応剤の反応系への溶解度が増大する一方で酸化チタンの分散状態には悪影響を与えないので、該殻の厚さは厚くなる。即ち、次工程において得られる異元素を固溶したコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体水分散液は、製造工程中で粉砕や分級等の機械的単位操作を経ていないにもかかわらず、上記特定の累積粒度分布径の範囲にすることができ、可視部における透明性を付与し得る。一価アルコールの配合量は、30質量部以下であることが好ましいが、これ以上のアルコールを含有する場合であっても、濃縮の工程でアルコールを選択的に取り除くことも可能であるため、適宜必要な操作を追加することができる。
アンモニアは、アンモニア水であり、異元素を固溶した正方晶系酸化チタン微粒子分散液中にアンモニアガスを吹き込むことによってアンモニア水の添加に代えても良く、更に該分散液中でアンモニアを発生し得る反応剤を加えることによってアンモニア水の添加に代えても良い。アンモニア水の濃度は、特に限定されるものではなく、市販のどのようなアンモニア水を用いてもよい。本発明の工程においては、例えば、5%のアンモニア水を用いて、異元素を固溶した正方晶系酸化チタン微粒子分散液のpHを7〜12、より好ましくは8〜10となる量までアンモニア水を添加することが好ましい。
テトラアルコキシシランとしては、テトラエトキシシランが好ましい。テトラエトキシシランには、それ自体の他、テトラエトキシシランの(部分)加水分解物も用いることができる。このようなテトラエトキシシラン又はテトラエトキシシランの(部分)加水分解物としては、市販のどのようなものでも良く、例えば、商品名「KBE−04」(テトラエトキシシラン:信越化学工業株式会社製)、商品名「シリケート35」,「シリケート45」(テトラエトキシシランの部分加水分解縮合物:多摩化学工業(株)製)、商品名「ESI40」,「ESI48」(テトラエトキシシランの部分加水分解縮合物:コルコート(株)製)等を使用してもよい。これらのテトラエトキシシラン等は、1種を用いても、複数種を用いてもよい。
テトラアルコキシシランの配合量は、加水分解後の酸化ケイ素を含有する酸化チタンに対して5〜50%、好ましくは10〜45%、より好ましくは20〜40%となるように用いる。5%よりも少ないとき、殻の形成が不十分となり、50%よりも多いとき、該粒子の凝集を促進し、分散液が不透明となることがあるため好ましくない。
異元素を固溶した正方晶系酸化チタン微粒子分散液に、一価アルコール、アンモニア、及びテトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシランを加えて混合する方法は、どのような方法で実施してもよく、例えば、磁気攪拌、機械攪拌、震盪攪拌等を用いることができる。
工程(β)
ここでは、上記(α)の工程で得られた混合物を急速加熱することにより、異元素を固溶した正方晶系酸化チタン微粒子を核とし、該核の外側に酸化ケイ素の殻を有するコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体の微粒子を形成させる。
工程(β)で得られた混合物を急速加熱する方法は、既存のどのようなものであってもよく、マイクロ波による加熱、高い熱交換効率を達成できるマイクロリアクター、及び大きな熱容量を持った外部熱源との熱交換等を用いることができる。特に、マイクロ波を用いた加熱方法は、均一且つ急速に加熱することができるため好ましい。なお、マイクロ波を照射して加熱する工程は、回分工程であっても連続工程であってもよい。
急速加熱法は、室温から分散媒の沸点直下(通常、10〜80℃程度)に達するまでの時間が10分以内であることが好ましい。これは、10分を超える加熱方法のとき、該粒子が凝集することとなり、好ましくないからである。
このような急速加熱法にマイクロ波加熱を用いるときは、例えば、その周波数が300MHz〜3THzの電磁波の中から適宜選択することができる。日本国内においては、電波法によって、通常使用可能なマイクロ波周波数帯域が、2.45GHz、5.8GHz、24GHz等に決められているが、なかでも2.45GHzは、民生用にも多く使用されており、この周波数の発振用マグネトロンは設備価格上有利である。しかしながら、この基準は特定の国や地域の法律や経済状況に依存したものであり、技術的には周波数を限定するものではない。マイクロ波の出力は100W〜24kW、好ましくは100W〜20kWの定格を有する限り、市販のどのような装置を用いてもよい。例えば、μReactorEx(四国計測工業(株)製)、Advancer(バイオタージ(株)製)等を用いることができる。
マイクロ波加熱のとき、加熱に要する時間を10分以内とするためには、マイクロ波の出力を調節するか、回分反応の場合は反応液量を、連続反応の場合は反応流量を適宜調節して行うことができる。
このようにして得られた異元素を固溶したコアシェル型正方晶系酸化チタン固溶体コロイド溶液は、本発明に用いることができる。
工程(II)
工程(II)は前記工程(I)で準備した前記水分散液に対して、30質量%以上200質量%以下の下記一般式(1)で示されるシラン化合物及び/又は同シラン化合物の(部分)加水分解縮合物を添加、反応させ、スラリー(C)を得る工程である。
1 p2 q3 rSi(OR44-p-q-r (1)
(式中において、R1は、炭素数1以上20以下のアルキル基、炭素数6以上20以下のアリール基、(メタ)アクリル基で置換された炭素数1以上20以下のアルキル基、オキシラニル基で置換された炭素数1以上20以下のアルキル基、水素原子で置換可能な炭素数1以上20以下のフルオロアルキル基、ケイ素数50以下のポリジメチルシロキシ基からなる群から選ばれる置換基であって、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に炭素数6以下のアルキル基である。pは1以上3以下の整数、qは0以上2以下の整数、rは0以上2以下の整数、p+q+rは1以上3以下の整数である。)
一般式(1)で示されるシラン化合物の具体例としては、p=1、q=r=0の場合では、ハイドロジェントリメトキシシラン、ハイドロジェントリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、イソシアネート基同士が結合したトリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、メチルトリメトキシシランの部分加水分解縮合物(商品名「KC−89S」、「X−40−9220」信越化学工業株式会社製)、メチルトリメトキシシランとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの部分加水分解縮合物(商品名「X−41−1056」信越化学工業株式会社製)などを挙げることができる。
一般式(1)で示されるシラン化合物として、p=1、q=r=0の場合で、R1がポリジメチルシロキサンである具体例として、下記一般式(3)で表される化合物を挙げることができる。一般式(3)中において好ましくはn=0以上50以下の整数であり、より好ましくはn=5以上40以下の整数であり、更に好ましくはn=10以上30以下の整数である。nが50より大きくなると、シリコーンオイルとしての性質が強くなり、表面処理されたオルガノゾルの各種樹脂への溶解性が限定されることがある。一般式(8)中において、平均構造がn=30の化合物は、商品名「X−24−9822」(信越化学工業株式会社製)として入手することができる。
Figure 2016204168
一般式(1)で示されるシラン化合物の具体例としては、p=1、q=1、r=0の場合では、メチルハイドロジェンジメトキシシラン、メチルハイドロジェンジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、メチルプロピルジメトキシシラン、メチルプロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシランなどを挙げることができる。
一般式(1)で示されるシラン化合物の具体例としては、p=1、q=1、r=1の場合では、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、n−プロピルジメチルメトキシシラン、n−プロピルジエチルメトキシシラン、iso−プロピルジメチルメトキシシラン、iso−プロピルジエチルメトキシシラン、プロピルジメチルエトキシシラン、n−ブチルジメチルメトキシシラン、n−ブチルジメチルエトキシシラン、n−ヘキシルジメチルメトキシシラン、n−ヘキシルジメチルエトキシシラン、n−ペンチルジメチルメトキシシラン、n−ペンチルジメチルエトキシシラン、n−ヘキシルジメチルメトキシシラン、n−ヘキシルジメチルエトキシシラン、n−デシルジメチルメトキシシラン、n−デシルジメチルエトキシシランなどを挙げることができる。
工程(II)において添加するケイ素化合物の添加量は、工程(I)における無機酸化物コロイド水分散液に対して、30%以上200%以下であり、好ましくは50%以上150%以下であり、より好ましくは60%以上120%以下である。添加量が200%よりも多いとゲル化が発生し、添加量が30%よりも少ないと凝集が起こる。
工程(II)におけるケイ素化合物の添加方法は、液中滴下、液外滴下、ポーション添加などを実施することができ、液中滴下であることが好ましい。
工程(II)におけるケイ素化合物添加時の液温は、好ましくは0℃以上45℃以下であり、より好ましくは5℃以上40℃以下であり、更に好ましくは10℃以上35℃以下である。液温が0℃より低くなると、無機酸化物コロイド水分散液が凍結による状態変化を経て変質する可能性があるため好ましくない。液温が45℃より大きくなると、添加したシランが予期せぬ加水分解縮合反応を起こすことがあるため好ましくない。工程(II)では加水分解縮合による結果反応液の温度が70℃を超えない程度に達することがある。この工程(II)では適切な反応触媒を用いて実施することもできる。
工程(II)における反応触媒は均一系触媒及び不均一系触媒からなる群の何れか1種以上を用いることができる。均一系触媒としては、アンモニア、ヒドラジン等の窒素化合物類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化セシウム、水酸化タリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ(土類)水酸化物類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等のアルキルアンモニウム化合物類;酢酸、ギ酸、シュウ酸、プロピオン酸等の有機カルボン酸類;トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸類;塩酸、硝酸、硫酸、りん酸、硼酸等の鉱酸類;等を挙げることができる。不均一系触媒としては、ビニル系芳香族化合物とスルホニル基含有ビニル系芳香族化合物の(共)重合体、ビニル系芳香族化合物とアニリン系化合物の(共)重合体、官能基担持シリカ、官能基担持ゼオライト等の固体酸及び/又は固体塩基を挙げることができる。不均一系触媒は反応系中からの除去が容易であるため特に好ましい。工程(II)における反応触媒の量は、一般式(1)で示されるシラン化合物及び/又は同シラン化合物の(部分)加水分解縮合物の0.1〜20%、好ましくは0.5〜10%、更に好ましくは1〜5%用いることができる。反応触媒の量が0.1%未満であると、反応に時間を要することがある。反応触媒の量が20%を超えると、産業上の効率が悪いことがある。また、シラン化合物の重合を過度に促進しゲル化が発生する場合もある。
工程(III)
工程(III)は必要に応じ前記スラリー(C)を有機溶剤で希釈して希釈スラリー(C')を得る工程である。有機溶剤は、好ましくはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等の1価アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、グリム、ジグリム等のエーテル類;アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類;ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の反応性エステル類;を用いることができ、特に、エタノール、イソプロピルアルコールが好ましい。希釈は次工程(IV)及び次々工程(V)のソルベントショックを避けるために実施することが好ましいが、必須であるとは限らない。希釈倍率は好ましくは2〜20倍、より好ましくは3〜15倍、更に好ましくは5〜10倍である。2よりも小さいと意図したソルベントショック緩和の効果が十分でない場合がある。20よりも大きいと工程(IV)及び(V)で多くの処理時間を要する場合がある。
ここで、次の工程(IV)及び後述する工程(V)では、ディスク回転式ろ過装置を用いたろ過方法を採用する。そこで、まずディスク回転式ろ過装置について、図1〜4を参照して説明する。
図1は、ディスク回転式膜ろ過装置の斜視図を示し、図2は同装置のろ過室の一部を破断して内部を露出させた状態の拡大斜視図を示し、図3はディスクの拡大縦断面図、図4はディスク及びバックル部材の一部省略拡大横断面図を示す。また、図1において、10はディスク回転式膜ろ過装置を示し、1はベース、2はコラム、3はろ過室であり、7はモータ、8は回転駆動機構(手段)、9は制御装置である。
更に、本発明に係るディスク回転式膜ろ過装置10の主要部を説明する。
<ろ過室3の構成>
図2に示すように、ろ過室3は立形の円筒状に形成されており、ステンレススチールの板製の外筒3aと内筒3bの二重構造になっている。
なお、ろ過室3は立形に限らず、横型としてもよい。また、円筒状を多角柱、その他の形状にしてもよい。更に、材質は加圧と腐食に耐えられれば、ステンレス材に代わる材質、例えば、鋼板、Al等でもよく、鋳物の削り出しでもよい。また、二重構造は加温又は冷却ができるようにジャケット構造になっているが、必須ではない。
回転軸4は、ろ過室3内に回転自在に支持された中空管の回転軸である。
回転軸4は、ろ過室3の中心寄り(図4参照)に位置しており、複数枚のディスク6が例えば毎分1,000回転の高速回転を行う。
回転軸の中央には、ろ過液(浸透液)が流通する貫通穴4gが設けられている。回転軸4の貫通穴4gは、ディスク6の浸透液の流路となる中空部6d(図3参照)に連通している。なお、該貫通穴4gの上部はろ過液排出口として構成されている。
上部ケーシング3eのフランジ部3fには、加圧したスラリーを白抜きの矢印αから供給するスラリー供給口3mが配設されている。
下フランジ部3dの下部ケーシング3gの下端部には、白抜きの矢印θからろ過室3内の濃縮液を排出する濃縮液排出口3nが配設されている。
<バッフル部材5の構成>
図2に示すように、複数のバッフル部材5はポスト5pに固定されている。バッフル部材5の働きの一つ目は、バッフル部材5の縁5aにスラリーの固形物kを衝突させ、スラリーを攪拌してスラリーの濃縮を均一にする。
二つ目は、この衝突による固形物kの飛散によりディスク6の表面に付着する微粒子の付着を低減(軽減)し、ディスク6のろ過機能を高く維持する。
図4は、回転軸4、ディスク6、バッフル部材5の配置を示し、図2に示すIV−IV線の断面図である。図4に示すように回転軸4の中心は、内筒3bの中心から、L1だけ右側にずらして偏心させている。これにより、内筒3bとディスク6の左側に広いスペースが生まれる。この広いスペースには、ポスト5pが配置され、スリーブ法のボス5cを介して37枚のバッフル部材5がボルト5bによってポスト5pに固定されている。なお、1枚のバッフル部材5と1個のスリーブ上のボス5cとは一体になっている。
バッフル部材5は、ディスク6とディスク6の隙間に配置されている。バッフル部材5は、円形の中心とポスト5pの中心とはL2の間隔を確保することにより、ディスク6と干渉なく好適な配置になっている。
バッフル部材5の材質は、軽金属、高分子のプラスチック等からなり、形状は前記した2つの働きの効果が大きい円形とするが、多角形、楕円等その他の形状でもよい。
<ディスク6の構成>
図3は、ディスク回転式膜ろ過装置のディスクを示す断面図の模式図である。
図3に示すように、ディスク6は、回転自在の回転軸4に装着されている。ディスク6は、多孔質セラミック焼成体からなる中空の円盤状又は皿状のろ過部材である。ディスク6の多孔質セラミック焼成体には、無数の微細孔6cが形成されている。
ディスク6の微細孔6cは、微粒子ソリッド(A)として、レーザー光を用いた動的光散乱法で測定した体積基準の50%累計分布径(D50)が好ましくは8〜50nmである無機酸化物微粒子が処理可能な微細孔の大きさを選択することができる。微細孔の大きさは、走査型電子顕微鏡(SEM)法、ガス吸着法、水銀圧入法等の方法で計測することができる。微細孔の大きさの物理的意味は計測方法によって多少異なるため、実際の処理物(A)をろ過して、そのろ液中に含まれる微粒子ソリッド(A)の成分の有無を分析する湿式実測法を用いることも有効である。湿式実測法では、予め複数水準のD50を有する微粒子ソリッド(A)を準備しておき、D50の大きなものから順次(あるいは混合して同時に)実用に供していき、微粒子ソリッド(A)がろ液側に観測された時点のD50を微細孔6cの湿式実測径とすればよい。微細孔6cの大きさは分布を有していてもよい。微細孔6cの大きさは1nm以上20nm未満の平均細孔径を有することが好ましく、2nm以上18nm未満であることがより好ましく、5nm以上15nm未満であることが特に好ましい。予め準備する微粒子ソリッド(A)の粒子径はレーザー光を用いた動的光散乱法や透過型電子顕微鏡(TEM)法などで求めることができる。ディスク6は、公知の方法(特開2014−8627号公報)によって製造してもよく、市販の無機セラミック膜(ANDRITZ KMPT GmbH製など)の公称径を参考にして選択して用いてもよい。ディスク6の材質は強度の点から無機セラミック製であることが好ましいが、有機膜であって適切な支持体で補強されたものを使用に供してもよい。
<回転駆動機構8の構成>
図2に示すように、立形のろ過室3の上部から突出する回転軸4にはプーリ8bが固定されている。図1に示すように、回転駆動機構(回転駆動手段)8は、モータ7のモータ軸に固定されたプーリ8a(図示せず)と、ろ過室3の回転軸4に固定されたプーリ8bとは、図示しない歯付きベルトにより連結されている。なお、これらの回転駆動機構8は、その他の構成を採用しても構わない。
<制御装置9の構成>
制御装置9は、ディスク6が装着された回転軸4を回転させるモータ7を制御する。
図1に示すように、コラム2の左側には、制御装置9が載置されている。制御装置9は、回転軸4の回転を制御するために、図示しない制御回路が設けられている。モータ7の回転数は、プーリ8bにより減速されており、ディスク6の回転数は、好ましくは毎分1,000回転で制御されている。なお、8cは安全カバーである。
所定の溶媒置換運転等を実行した後、ディスク6のメンテナンスとしては、好ましくは2〜4秒の短時間で、好ましくは1〜3回の自己ろ過液を使用した断続的なパルス逆洗浄を定期的に実施してもよい。これにより、ディスク6の微細孔を塞ぐ微粒子が除去され、ろ過部材のリフレッシュができる。
<ディスク回転式膜ろ過装置10の動作>
制御装置9から、ディスク回転式膜ろ過装置10の起動信号が送信されると、モータ7の起動により回転駆動機構8を介して、ろ過室3内の回転軸4が回転し、回転軸4に固定された複数のディスク6が回転を開始する。
図3に示すように、スラリー供給口3m(図2参照)から加圧したスラリーが供給されると、ディスク6の上ディスク6a、下ディスク6b、外縁部6eでろ過され(矢印α1参照)、微細孔6cから矢印α2方向に浸透を開始し、ディスク6の中空室6dに浸透液がろ過液となって押し出され集液される。
ろ過液(浸透液)は、ディスク6と回転軸4のスリーブ4a、カラー4bによって形成された回収溝(図示せず)に回収され(矢印α3参照)、図4に示すように、スリーブ4aに形成された縦溝4eを経由して、回転軸4の小孔の連通孔4fを通り、連通孔4fから回転軸4の貫通孔4gに流入して、貫通孔4gを通過して(矢印α4参照)ろ過室3の外部へ回収される。
一方、図3に示すように、ディスク6の上ディスク6a、下ディスク6b、及び外縁部6eに付着しかけた固形物kは、ディスク6の高速回転により、遠心力f2により飛ばされ、また、せん断力f1により、掻き取られる。更に、固形物kを含むスラリーは、ディスク6の高速回転とバッフル部材5により、攪拌される。なお、せん断力f1は、図3の紙面の垂直に働くが見易くするため、横向きの白抜き矢印で示している。
このようにして、ディスク回転式膜ろ過装置10において、スラリーからろ過液が高効率、かつ、エネルギの消費が少なく、回収される。
ディスク回転式膜ろ過装置10を使用したろ過方法は、コンパクトなろ過室3内で、中空の回転軸4に多段に固定され配列された多孔質セラミック焼成体のディスク6を高速回転させ、ろ過室3内にスラリーを、加圧供給口3m(図2参照)から加圧して供給することで、動的なクロスフローを形成させる、言わば、ダイナミック(動的な)クロスフロー方式としている。
本方式により、ディスク6の膜表面のケーキ層(固形物)を剥離しつつ、ろ過液(浸透液)の回収が可能となる。また、従来と異なり、ろ過室3内の攪拌装置は不要となり、装置構成が簡素化でき、省電力運転も可能である。
なお、本発明で用いるディスク回転式膜ろ過装置は、その技術的思想の範囲内で種々の改造、変更が可能である。ディスク回転式膜ろ過装置は、ダイナフィルター(三菱化工機株式会社製、装置名)、Krauss−Maffei DCF crossflow filter(ANDRITZ社製、装置名)等の市販の限外ろ過装置を用いることができる。ディスク回転式膜ろ過装置は、このように市販され、その構造が知られているものの、本発明のように特定の量の有機ケイ素化合物で処理された無機酸化物微粒子への適用性と有効性はこれまでに知られていなかった。
ろ過室は横型でもよく、円筒状以外の形状であっても構わない。
ディスク6のろ過膜は、セラミック膜とするが、有機膜、その他の膜であっても構わない。
更に、有機ケイ素化合物で処理された無機酸化物微粒子分散液は、引火性や分解性を有する場合があり、これに対応するため、不活性ガス置換機構、電気伝導性グラスライニング処理、接地処理、局所排気設備等からなる群から選ばれる1種以上を付帯したディスク回転式膜ろ過装置を用いることが好ましい。
工程(IV)
工程(IV)は、工程(II)後又は工程(III)後の前記スラリー(C)又は前記希釈スラリー(C')を必要に応じて濃縮して濃厚スラリー(C'')を得る工程である。工程(IV)では、
回転軸(4)に固定された1枚以上(好ましくは1〜50枚、より好ましくは1〜36枚)のディスク(6)を回転させ、外周面にろ過膜を有する前記ディスク(6)の表面に付着する前記微粒子ソリッド(A)を剥離しながらろ過する前記ディスク回転式ろ過装置(10)を使用して濃縮する方法であって、
前記微粒子ソリッド(A)と溶媒(B)を含む混合液のスラリー(C又はC')において、前記スラリー(C又はC')を必要に応じて濃縮する方法は、
ろ過室(3)内の前記スラリー(C又はC')に対して、新たなスラリー(C又はC')を前記ろ過室(3)に供給し、回転する前記1枚以上のディスク(6)によって、前記溶媒(B)を前記1枚以上のディスク(6)内にろ過液として抜き取り、前記溶媒(B)を新たなスラリー(C又はC')に置換することによって、前記ろ過室(3)内の前記微粒子ソリッド(A)の量を向上させるディスク回転式膜ろ過装置(10)を使用したろ過方法
を用いることを特徴としている。
前段落で述べた本発明の「ろ過方法」を詳述する前に、「従来のろ過方法」について説明する。
従来のろ過方法の代表例として、リスラリー法を説明する。従来のリスラリー法において、例えば、初期濃度2%のスラリー(C又はC')「1」(量を示す、以下、同様)を10%の濃厚スラリー(C'')「1」に濃縮する際の手順を説明する。例えば、1バケット分のスラリー(C又はC')の量をMで表し、「1」バケット分のスラリー(C又はC')を濃縮して得られる濃厚スラリー(C'')をNで表した場合、5倍濃縮となるために、スラリーの量は5分の1となる。濃厚スラリー(C'')を容量「1」(NNNNN)得るためには、大きなスラリータンクに5倍の初期スラリー(C又はC')(M×5)を準備すればよい。しかしながら、大きな容量のスラリータンクに有機溶剤を含むスラリーを導入することは安全対策上問題がある。そこで、濃厚スラリーと初期スラリーを混合攪拌リスラリー(N+M)し、再度、初期スラリー(M)の1/5の容量まで濃縮して中間濃厚スラリー(NN)を得る。次に、同様に濃厚スラリーと初期スラリーを混合攪拌(NN+M)して、再度、初期スラリー(M)の1/5の容量まで濃縮して同様に中間濃厚スラリー(NNN)を得る。同様に繰り返して、最後に(NNNN+M)を初期スラリー(M)と同じ容量「1」まで濃縮して濃厚スラリー(C'')を「1」(NNNNN)得る。このようにリスラリー法では、スラリータンク容量を必要以上に大きくすることなく、所望の濃厚スラリーを得ることができるが、再分散化(リスラリー)を行うための回分操作と設備が必要となる。一般にスラリーをn倍に濃縮する操作が必要な場合、リスラリー法による必要最小限のスラリータンク容量は1+1/nとなる。このように従来のろ過方法では、スラリー導入タンクの容量を大きくするか、リスラリー処理を行うか、何れかの対策が必要であった。
リスラリー法では、必要最小限のリスラリー回分操作でもって、所望の濃縮倍率まで濃縮する際に、使用可能なスラリー導入タンクの容量には表1で例示するような関係があった(5倍濃縮の場合)。即ち、使用可能なスラリータンクの容量が小さいほど、リスラリーのために中間体として得られる中間濃厚スラリー(NN〜NNNN)の微粒子ソリッド(A)の濃度は高くなる傾向がある。これは、追加する初期スラリー(M)の量は「1」で変化しないのに対してリスラリー(NN+M〜NNNN+M)の量がスラリータンクに収まるようにするためには、中間濃厚スラリーをより高濃度にしなければならないからである。
Figure 2016204168
表1は例示のための理論的な計算結果であるが、濃厚スラリー(C'')において到達可能な微粒子ソリッド(A)の濃度には上限があり、ある閾値を超えた段階でスラリーの流動性が著しく損なわれるなどの適用限界がある。従って、リスラリー法といえども、必要最小限の回分操作で実施することは難しく、実際にはスラリー導入タンクの容量を初期スラリーバケット分「1」に対して、濃縮倍率の倍数に限りなく近づけるか、あるいは追加する初期スラリー(M)の量を「1以下」にする等して多数の回分操作を行う必要があった。スラリー導入タンクの容量とリスラリー回分操作の回数はトレードオフの関係にあった。また、安全上衛生上の配慮が整い、スラリー導入タンクの容量を大きくできたとしても、循環設備など大掛かりな装置になることは避けられなかった。
これに対して、従来のリスラリー法によるバッチ処理を、本発明のディスク回転式膜ろ過装置10を使用してろ過工程と連続処理による初期スラリー(C又はC')供給を行うと、大きな技術革新を図ることができる。例えば、初期濃度2%のスラリー(C又はC')「1」(量を示す、以下、同様)を10%の濃厚スラリー(C'')「1」に濃縮する際の手順を説明する。ろ過装置10として、スラリー導入タンクの容量を「1」とし、ろ過室3の容量を「1」とした装置を準備すれば、濃縮とリスラリーを同時に行うことができる。例えば、1バケット分のスラリー(C又はC')の量をPで表し、「1」バケット分のスラリー(C又はC')をろ過室3に導入して得られる濃厚スラリー(C'')をQで表した場合で説明する。
<第1工程>
先ずスラリー導入タンクに初期スラリー(C又はC')Pを導入する。これを、ろ過装置10に備えられた任意の機構によってろ過室3に導入する。ろ過室3に初期スラリー(C又はC')が全て導入されれば、スラリー導入タンクは空になり、この際のろ過室3内に導入して得られるQ「1」の微粒子ソリッド(A)の濃度は初期スラリーPと等しく2%である。
<第2工程>
続いて、第1工程で空になったスラリー導入タンクに初期スラリー(C又はC')Pを導入する。これを、ろ過装置10に備えられた任意の機構によってろ過室3に導入する。初期スラリー(C又はC')のろ過室3への導入に伴い、ろ過室3内からスラリーの溶剤(B)が徐々にろ過され、微粒子ソリッド(A)の濃度も徐々に上昇する。最終的にスラリー導入タンクが空になった際には、微粒子ソリッド(A)の濃度として4%になった濃厚スラリー(C'')QQが「1」得られる。
<第3工程>
続いて、第2工程で空になったスラリー導入タンクに初期スラリー(C又はC')Pを導入する。これを、ろ過装置10に備えられた任意の機構によってろ過室3に導入する。初期スラリー(C又はC')のろ過室3への導入に伴い、ろ過室3内からスラリーの溶剤(B)が徐々にろ過され、微粒子ソリッド(A)の濃度も徐々に上昇する。最終的にスラリー導入タンクが空になった際には、微粒子ソリッド(A)の濃度として6%になった濃厚スラリー(C'')QQQが「1」得られる。
<第4工程>
続いて、第3工程で空になったスラリー導入タンクに初期スラリー(C又はC')Pを導入する。これを、ろ過装置10に備えられた任意の機構によってろ過室3に導入する。初期スラリー(C又はC')のろ過室3への導入に伴い、ろ過室3内からスラリーの溶剤(B)が徐々にろ過され、微粒子ソリッド(A)の濃度も徐々に上昇する。最終的にスラリー導入タンクが空になった際には、微粒子ソリッド(A)の濃度として8%になった濃厚スラリー(C'')QQQQが「1」得られる。
<第5工程>
続いて、第3工程で空になったスラリー導入タンクに初期スラリー(C又はC')Pを導入する。これを、ろ過装置10に備えられた任意の機構によってろ過室3に導入する。初期スラリー(C又はC')のろ過室3への導入に伴い、ろ過室3内からスラリーの溶剤(B)が徐々にろ過され、微粒子ソリッド(A)の濃度も徐々に上昇する。最終的にスラリー導入タンクが空になった際には、微粒子ソリッド(A)の濃度として10%になった濃厚スラリー(C'')QQQQQが「1」得られる。
<第1工程>〜<第5工程>で示すように、本発明の方法ではスラリー導入タンクの容量を大きくすることなく、スラリーの濃度を連続的に向上することができる。また、ろ過室3において、「ろ過」と「リスラリー」を同時に行うことができるため効率的である。更に「リスラリー」に資することのできるディスク6の回転はディスク6の表面に付着しようとする前記微粒子ソリッド(A)を剥離する作用もあるため、ろ過効率が低下しにくい。
従来のクロスフローろ過システムでは、スラリーを循環させるために大掛かりなポンプ装置を要し、循環システム中の配管でスラリーが沈着しやすいという問題があった。しかしながら、本発明の手法では、スラリーの循環をさせなくともろ過メディア表面に付着する前記微粒子ソリッド(A)を剥離する作用があるため、簡便な仕組みで実施することができる。本発明においてスラリーの循環は必須要素ではないものの、処理すべき初期スラリー(C又はC')が多量に存在するなど、プロセスの連続化を指向した場合、スラリーの循環を行うことが好ましい場合もある。
プロセスの連続化に際しては、前記スラリー(C又はC')を前記ディスク(6)の外周面のろ過膜から内部に浸透させ、ろ過して前記溶媒(B)をろ過室(3)外に排出し、前記微粒子のソリッド(A)の濃度を連続ろ過処理して高め、第一の濃厚スラリー(C''−1)を得る、濃縮機構(IV−1)と、前記濃縮機構(IV−1)から排出された前記第一の濃厚スラリー(C''−1)に対して前記混合液のスラリー(C又はC')を供給して希釈し、再び溶媒(B)をろ過室3内よりろ過室(3)外に排出し、前記微粒子のソリッド(A)の濃度を連続ろ過処理して高める再分散機構(IV−2)を備えた方法によって、前記スラリー(C又はC')中の前記微粒子ソリッド(A)の量を連続的に向上させる機構(装置)をそれぞれ備えることで達成してもよい。
工程(IV)では得られる濃厚スラリー(C'')中の無機酸化物微粒子ソリッド(A)の濃度が、好ましくは1〜30%、より好ましくは5〜25%、更に好ましくは10〜20%まで濃縮する。濃度が1%より小さいと得られる無機酸化物微粒子分散液の産業上の利用可能性が十分でない場合がある。濃度が30%より大きいとゲル化しやすくなる場合がある。
工程(V)
工程(V)は、有機溶剤(D)により前記スラリー(C)又は前記希釈スラリー(C')又は前記濃厚スラリー(C'')を溶剤置換する工程である。工程(V)では、
回転軸(4)に固定された1枚以上のディスク(6)を回転させ、外周面にろ過膜を有する前記ディスク(6)の表面に付着する微粒子ソリッド(A)を剥離しながらろ過するディスク回転式ろ過装置(10)を使用し、
微粒子ソリッド(A)と溶媒(B)を含む混合液のスラリー(C、C'又はC'')において、前記溶媒(B)を新たな有機溶剤(D)に溶媒置換する方法は、
ろ過室(3)内の前記スラリー(C、C'又はC'')に対して、前記新たな有機溶媒(D)を前記ろ過室(3)に供給し、回転する前記1枚以上のディスク(6)によって、前記溶媒(B)を前記1枚以上のディスク(6)内にろ過液として抜き取り、前記溶媒(B)を前記新たな溶媒(D)に置換するディスク回転式膜ろ過装置(10)を使用したろ過方法
を用いることを特徴とする。
本発明のディスク回転式膜ろ過装置10を使用した「ろ過方法」を説明する前に、「従来のろ過方法」から説明する。
従来のろ過方法の代表例として、リスラリー法を説明する。工程(IV)では、初期濃度2%の初期スラリー(C又はC')を10%に濃縮(C'')する工程を例に詳述した。この工程において製造したスラリー(C、C'又はC'')に、例えば、濃度10%の水「1」(量を示す、以下、同様)が存在していたとする。この濃縮液を濃度1/8に希釈して有機溶剤(D)の一例としてエタノールで溶剤置換する場合、例えば、水「1」バケット分の総量を黒塗りの四角■で表し、1バケット分のエタノール(置換溶剤)量を白抜きの四角□で表すと、大きなスラリータンクに7バケット分のエタノール□を入れて、この中に1バケット分の濃縮液■を入れて攪拌することにより、希釈して水「1」の濃度を1/8に希釈できる。その後、ろ過・濃縮を繰り返すことにより、水を含んだ溶剤をエタノールに置換することができる。つまり、水「1」の濃度を1/8に希釈し、エタノールに溶剤置換するには、水「1」に対して7倍のエタノール「7」バケットの分量(■+□+□+□+□+□+□+□)を用意すれば可能である。
これに対して、従来のリスラリー法によるバッチ処理を、本発明のディスク回転式膜ろ過装置10を使用してろ過工程と連続処理による溶剤置換をすると、大きな技術革新を図ることができる。例えば、10%の水「1」を含有するスラリーに溶剤を供給して濃度を1/8に希釈し、溶剤置換する前記した同じ条件の場合を比較例として説明する。
<溶剤置換方法の比較例>
本発明のダイナフィルターと呼ばれるディスク回転式膜ろ過装置10を使用して溶剤置換する方法を説明する。なお、黒の■を1バケット分の水の量とし、白の□を1バケット分のエタノール量とする。
<第1工程>
■+□=濃度1/2
スラリー(C、C'又はC'')■に同量のエタノール□を加えて希釈し、その後、ろ過・濃縮し、溶媒(B)の半分を排出すると、濃度は1/2になる。
<第2工程>
次に、濃度が1/2になった水を■で示す。
■+□=濃度1/4
スラリー(C、C'又はC'')■に同量のエタノール□を加えて希釈し、その後、ろ過・濃縮し、溶媒(B)の半分を排出すると、濃度は1/4になる。
<第3工程>
次に、濃度が1/4になった水を■で示す。
■+□=濃度1/8
スラリー(C、C'又はC'')■に同量のエタノール□を加えて希釈し、その後、ろ過・濃縮し、溶媒(B)の半分を排出すると、濃度は1/8になる。
このように、本発明のディスク回転式膜ろ過装置10を使用して連続処理すると、エタノールが少なくとも3バケットの分の量があれば、濃度を1/8に希釈し、水「1」の溶媒をエタノール「1」に溶剤置換することができる。
本発明のディスク回転式膜ろ過装置10を使用した溶剤置換の方法は、ろ過・濃縮、希釈・置換をろ過室内で連続的に循環させることを繰り返してリスラリー法によるバッチ処理よりはるかに少ない容量で溶剤置換ができる。
従来のクロスフローろ過システムでは、スラリーを循環させるために大掛かりなポンプ装置を要し、循環システム中の配管でスラリーが沈着しやすいという問題があった。しかしながら、本発明の手法では、スラリーの循環をさせなくともろ過メディア表面に付着する前記微粒子ソリッド(A)を剥離する作用があるため、簡便な仕組みで実施することができる。本発明においてスラリーの循環は必須要素ではないものの、処理すべき初期スラリー(C又はC')が多量に存在するなど、プロセスの連続化を指向した場合、スラリーの循環を行うことが好ましい場合もある。
プロセスの連続化に際しては、回転軸(4)に固定された1枚以上のディスク(6)を回転させ、外周面にろ過膜を有する前記ディスク(6)の表面に付着する微粒子ソリッド(A)を剥離しながらろ過するディスク回転式ろ過装置(10)を使用し、微粒子ソリッド(A)と溶媒(B)を含む混合液のスラリー(C、C'又はC'')において、前記溶媒(B)を新たな有機溶剤(D)に溶媒置換する方法は、前記スラリー(C、C'又はC'')を前記ディスク(6)の外周面のろ過膜から内部に浸透させ、ろ過して前記溶媒(B)をろ過室(3)外に排出し、前記微粒子のソリッド(A)の濃度を連続ろ過処理して高め、第2の濃厚スラリー(C''−2)を得る、濃縮機構(V−1)と、前記濃縮機構(V−1)から排出された前記第2の濃厚スラリー(C''−2)に対して前記有機溶剤(D)を供給して希釈し、再び溶媒(B)をろ過室(3)内よりろ過室(3)外に排出し、前記溶媒(B)の一部を前記新たな有機溶剤(D)に置換することを特徴とする再分散機構(V−2)を備えた方法によって、前記スラリー(C、C'又はC'')中の前記溶媒(B)を前記新たな溶媒(D)に最終的に置換するディスク回転式膜ろ過装置(10)を使用したろ過方法によって達成してもよい。
工程(V)で利用可能な有機溶剤としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、イコサン、エイコサン、ドコサン、トリイコサン、テトライコサン、ペンタイコサン、ヘキサイコサン、ヘプタイコサン、オクタイコサン、ノナイコサン、トリアコンタン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、及びこれらを含む混合物である石油エーテル、ケロシン、リグロイン、ヌジョール等の炭素数5以上30以下の炭化水素化合物;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、シクロペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、β−チアジグリコール、ブチレングリコール、グリセリン等の単価及び多価アルコール類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ブチレングリコールモノメチルエーテル、ブチレングリコールモノエチルエーテル、ブチレングリコールモノプロピルエーテル、ブチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸ブチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、蓚酸ジメチル、蓚酸ジエチル、蓚酸ジプロピル、蓚酸ジブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジプロピル、マロン酸ジブチル、エチレングリコールジフォルメート、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジプロピオネート、エチレングリコールジブチレート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジプロピオネート、プロピレングリコールジブチレート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ブチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、ブチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;アセトン、ダイアセトンアルコール、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルノルマルブチルケトン、ジブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン等のケトン類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラアセチルエチレンジアミド、テトラアセチルヘキサメチレンテトラミド、N,N−ジメチルヘキサメチレンジアミンジアセテート等のアミド類;をそれぞれ挙げることができる。
工程(V)ではまた、有機溶剤として反応性有機低分子を用いることもできる。このような目的に利用可能な有機分子として、(メタ)アクリル酸と(多価)アルコールから形成された(メタ)アクリル酸エステルが挙げられ、具体例としては、メタクリル酸メチル(略称MMA)、アクリル酸メチル(略称MA)、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ヒドロキシエチル(略称HEA)、メタクリル酸ヒドロキシエチル(略称HEMA)、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシルブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸イソステアリル、アクリル酸イソノルボルニル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸(メトキシエチル)、アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、アクリル酸(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)、アクリル酸[{シクロヘキサンスピロ−2−(1,3−ジオキソラン−4イル)}メチル]、アクリル酸{(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル}等のモノエステル類;エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ペンタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ヘプタンジオールジアクリレート、オクタンジオールジアクリレート、ノナンジオールジアクリレート、デカンジオールジアクリレート、グリセリン−1,2−ジアクリレート、グリセリン−1,3−ジアクリレート、ペンタエリスリトースジアクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート等のジエステル類;グリセリントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、エトキシ化グリセリントリアクリエート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリスペンタエリスリトールオクタアクリレート、オクタ(3−アクリロキシプロピルシルセスキオキサン)、3−アクリロキシプロピルシルセスキオキサンオリゴマー、及びポリジメチルシロキサン鎖及び/又はパーフルオロ(オキシ)アルキル鎖で置換可能なアクリロキシプロピルシルセスキオキサンオリゴマー等の多価エステル類;をそれぞれ挙げることができる。
<溶剤置換方法の実施形態1>
例えば、2%の無機酸化物微粒子ソリッド(A)と、溶媒成分(B)からなる混合液のスラリー(C)において、溶媒成分(B)を別種の有機溶剤(D)に置き換えるディスク回転式膜ろ過装置10を使用した溶剤置換方法を具体的に説明する。
Figure 2016204168
<IV:濃縮工程>
ディスク回転式膜ろ過装置10(図1参照)が起動すると、モータ7の起動によりろ過室3のディスク6が装着された回転軸4が回転を開始する。
図2に示すように、スラリー供給口3m(矢印α)から好ましくは0.2MPaに加圧したスラリーCを所定量供給し、ソリッドAを10%、溶媒成分Bを90%までろ過して濃縮する。
また、ディスク6の毎分1,000回転により、ディスク6の上ディスク6a及び下ディスク6b及び外縁部に付着しかけた固形物k(図3参照)は、遠心力f2により飛ばされて剥離され、また、高速回転により発生した流れのせん断力f1により、ディスク6の上ディスク6a及び下ディスク6b及び外縁部に付着しかけた固形物kは付着し難くなる。
加圧したスラリーは、ディスク6の微細孔6cから矢印α2方向から浸透を開始し、ディスク6の中空部の流路6dにろ過液が押し出される。そして、ろ過液は、矢印α3の方向へ、図示しない回転軸4に形成された小孔の連通孔4fを通り、回転軸4の貫通孔4gを通過してろ過室3外へ回収される(矢印α4参照)。
また、ディスク6の近傍に設けたバッフル部材5の働きにより、スラリーは攪拌され、ディスク6の微細孔6cに付着した微粒子は剥離され、スラリーからろ液が高効率で回収される。
<V:溶剤置換工程>
図2に示すように、スラリー供給口3m(矢印α)から好ましくは0.2MPaに加圧した新たな有機溶剤Dを89%まで供給し、溶媒成分Bをろ過室外に排出し、溶媒成分の比率が90%から1%まで希釈する。
そうすると、溶剤置換操作によりソリッドAが10%、溶媒成分Bが1%、有機溶剤Dが89%の比率になる。
<VI:吸着工程>
この後、必要に応じて吸着工程を設ければ、例えば溶媒成分Bが主として水で構成されている場合、一例としてモレキュラーシーブ4A等で吸着操作が可能であり、当初98%あった溶媒成分Bを90%の有機溶剤Dに溶剤置換することができる。
つまり、本発明のディスク回転式膜ろ過装置10を使用した溶剤置換のろ過方法において、微粒子ソリッドAスラリー2%を10%に濃縮するということは、溶媒をろ過によって抜き取ることを意味するから、ろ過室3の容積の約80%が空になる。その空になった空間に新たに異なる溶剤を供給できる。そうすると、前の溶媒が薄まり、薄くなって外に排出される。この希釈、濃縮、希釈、濃縮を繰り返す。これにより、前の溶媒が薄まり、薄くなって外に排出される。これを連続的に繰り返すことにより、新たな溶媒が従来の1/2以下という少ない量で、かつ短い時間で前の溶媒と置き換えることができる。
≪ディスク回転式膜ろ過装置を使用した溶媒置換のろ過方法の効果≫
1.置換溶媒が有機溶剤のように価格が高い場合、必要とする溶媒は、従来の半分以下の容量で溶媒置換ができるためコストが低減できる。
2.ろ過性能が高いため、濃縮度を高めることができるので、置換溶媒の容量が少なくできる。
3.ろ過、濃縮から希釈、置換まで一貫して同一ろ過室内ででき、しかも希釈と濃縮を繰り返す操作がシンプルであり、置換する置換溶媒の容量も少ないため、ろ過の時間も短縮できる。
4.ろ過室内に設けたバッフル部材の作用である攪拌効果が付加され、より効率的に濃縮度を高めることができることから、従来のリスラリー法のように、濃縮液を外部のタンクに取り出して攪拌する攪拌装置が不要になり、大きな占有スペースが不要になり、ディスク回転式膜ろ過装置のような小さな装置にできる。
5.ディスクの回転とバッフル部材により、微粒子の付着を大幅に低減できるため、より長期間ろ過性能を高く維持することが可能である。
6.ろ過性能が高く、ろ過工程の時間が短いため、高効率である。
7.ろ過性能は従来に比べて大幅に改善されるため、膜ろ過分離装置の小型化、省スペース化が可能であり、モータの動力も小さくできるため、省エネが実現できる。
本発明の適用分野は、有価物ナノ粒子の分離分野として、電子材料用微粒子、レアメタル、化粧品用ピグメント、機能性樹脂用フィラー等の濃縮回収があり、更に、金属加工用クーラント、メッキ液のリサイクル、バイオ、食品、飲料分野での蛋白、菌体、細胞の分離精製、廃液・廃水・含油排水処理などの適用にも好適である。特に無機微粒子を含有する塗料原料に好適に用いることができる。
本発明によって製造された無機酸化物微粒子分散液は、保存安定性に優れており、なおかつ公知の手法によって製造された各種塗料のシンナーとして用いれば、塗料中の水分バランスを崩すことなく微粒子ソリッド(A)の量を増量することができる。
以下、合成例、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[合成例1]
・工程(α)
無機酸化物コロイド水分散液として、酸化チタン−スズ−マンガン複合酸化物を核とし酸化ケイ素を殻とするコアシェル微粒子を分散質とし、水を分散媒とするものを調製した。まず、核となる酸化チタン微粒子を含有する分散液を製造し、次いで、テトラエトキシシランを加水分解縮合することで、コアシェル微粒子を含有するコロイド溶液とした。
36質量%の塩化チタン(IV)水溶液(石原産業(株)製、製品名「TC−36」)66.0gに塩化スズ(IV)五水和物(和光純薬工業(株)製)2.2g、酸化マンガン(II)((株)高純度化学研究所)0.09gを添加し、よく混合した後、これをイオン交換水1,000gで希釈した。この金属塩水溶液混合物に5質量%のアンモニア水(和光純薬工業(株)製)250gを徐々に添加して中和、加水分解することによりスズとマンガンを含有する水酸化チタンの沈殿物を得た。このときの水酸化チタンスラリーのpHは8であった。得られた水酸化チタンの沈殿物を、イオン交換水の添加とデカンテーションを繰り返して脱イオン処理した。この脱イオン処理後のスズを含有する水酸化チタン沈殿物に30質量%過酸化水素水(和光純薬工業(株)製)100gを徐々に添加し、その後60℃で3時間攪拌して十分に反応させた。その後、純水を添加して濃度調整を行うことにより、半透明のスズ及びマンガン含有ペルオキソチタン酸溶液(固形分濃度1質量%)を得た。容積500mLのオートクレーブ(耐圧硝子工業(株)製、製品名「TEM−D500」)に、上記のように合成したペルオキソチタン酸溶液350mLを仕込み、これを200℃、1.5MPaの条件下、120分間水熱処理した。その後、オートクレーブ内の反応混合物を、サンプリング管を経由して、25℃の水浴中に保持した容器に排出し、急速に冷却することで反応を停止させ、酸化チタン分散液を得た。
・工程(β)
磁気回転子と温度計を備えたセパラブルフラスコに、得られた酸化チタン分散液1,000質量部、エタノール100質量部、アンモニア2.0質量部を室温(25℃)で加えて磁気攪拌した。このセパラブルフラスコを氷浴に浸漬し、内容物温度が5℃になるまで冷却した。ここに、テトラエトキシシラン18質量部(信越化学工業株式会社製、製品名「KBE−04」)を加えた後に、セパラブルフラスコをμReactorEx(四国計測工業(株)製)内に設置して、周波数2.45GHz・出力1,000Wのマイクロ波を1分間にわたって照射しながら磁気攪拌した。その間、温度計を観測して内容物温度が85℃に達するのを確認した。得られた混合物を定性ろ紙(Advantec 2B)でろ過して希薄コロイド溶液を得た。この希薄コロイド溶液を減圧加熱濃縮(50℃/10mmHg)によって10質量%まで濃縮し、金属酸化物微粒子水分散液(A−1)を得た。動的光散乱法(日機装株式会社製、装置名「ナノトラック」)によって体積平均の50%累計分布径を求めたところ、16nmであった。
[合成例2]
・工程(α)
無機酸化物コロイド水分散液として、酸化チタン−スズ−ガリウム複合酸化物を核とし酸化ケイ素を殻とするコアシェル微粒子を分散質とし、水を分散媒とするものを調製した。まず、核となる酸化チタン微粒子を含有する分散液を製造し、次いで、テトラエトキシシランを加水分解縮合することで、コアシェル微粒子を含有するコロイド溶液とした。
36質量%の塩化チタン(IV)水溶液(石原産業(株)製、製品名「TC−36」)66.0gに塩化スズ(IV)五水和物(和光純薬工業(株)製)2.2g、硫酸ガリウム(III)((株)高純度化学研究所製)0.33gを添加し、よく混合した後、これをイオン交換水1,000gで希釈した。この金属塩水溶液混合物に5質量%のアンモニア水(和光純薬工業(株)製)300gを徐々に添加して中和、加水分解することにより、スズとガリウムを含有する水酸化チタンの沈殿物を得た。このときの水酸化チタンスラリーのpHは8であった。得られた水酸化チタンの沈殿物を、イオン交換水の添加とデカンテーションを繰り返して脱イオン処理した。この脱イオン処理後のスズを含有する水酸化チタン沈殿物に30質量%過酸化水素水(和光純薬工業(株)製)100gを徐々に添加し、その後60℃で3時間攪拌して十分に反応させた。その後、純水を添加して濃度調整を行うことにより、半透明のスズ及びガリウム含有ペルオキソチタン酸溶液(固形分濃度1質量%)を得た。容積500mLのオートクレーブ(耐圧硝子工業(株)製、製品名「TEM−D500」)に、上記のように合成したペルオキソチタン酸溶液350mLを仕込み、これを200℃、1.5MPaの条件下、120分間水熱処理した。その後、オートクレーブ内の反応混合物を、サンプリング管を経由して、25℃の水浴中に保持した容器に排出し、急速に冷却することで反応を停止させ、酸化チタン分散液を得た。
・工程(β)
磁気回転子と温度計を備えたセパラブルフラスコに、得られた酸化チタン分散液1,000質量部、エタノール100質量部、アンモニア2.0質量部を室温(25℃)で加えて磁気攪拌した。このセパラブルフラスコを氷浴に浸漬し、内容物温度が5℃になるまで冷却した。ここに、テトラエトキシシラン18質量部(信越化学工業株式会社製、製品名「KBE−04」)を加えた後に、セパラブルフラスコをμReactorEx(四国計測工業(株)製)内に設置して、周波数2.45GHz・出力1,000Wのマイクロ波を1分間にわたって照射しながら磁気攪拌した。その間、温度計を観測して内容物温度が85℃に達するのを確認した。得られた混合物を定性ろ紙(Advantec 2B)でろ過して希薄コロイド溶液を得た。この希薄コロイド溶液を減圧加熱濃縮(50℃/10mmHg)によって10質量%まで濃縮し、金属酸化物微粒子水分散液(A−1)を得た。動的光散乱法(日機装株式会社製、装置名「ナノトラック」)によって体積平均の50%累計分布径を求めたところ、20nmであった。
[合成例3]
[合成例1]で製造したスラリー(C)に対して透過型電子顕微鏡(TEM)法によって計測される粒子径が1nmである酸化ケイ素微粒子を加え、ろ過メディア検査用のスラリーとした。スラリーのTEM画像を図5に示した。図5では、約16nmのシリカ被覆酸化チタン微粒子と約1nmの酸化ケイ素微粒子が混在している様子が観測された。
<ろ過メディアの選択>
ろ過メディアとして、FIlterkeramIkscheIbe(ANDRITZ KMPT GmbH製、公称径7nm)をディスク(6)として準備した。このディスク(6)をディスク回転式膜ろ過装置(10)に装着し、ディスク回転速度1000rpm、ろ過圧力0.2MPaで運転して[合成例3]のスラリーをろ過した。ろ液を分析したところ、約1nmの酸化ケイ素微粒子が通過していた。従って、本ディスクは2〜15nm程度の細孔分布を有することが示唆された。以下、本ディスクを7nmディスク(6−7nm)と称し、実施例及び比較例で用いることとした。なお、ろ過メディアは、本品に限らず同等の性能を有するものを用いてもよい。
[実施例1]
工程(I)
[合成例1]で合成したスラリーと同様のものを16.5kg準備した。
工程(II)
凝縮器、窒素導入管、温度計、機械攪拌羽を備えた4つ口50L反応器に、[合成例1]で合成したスラリー(16.5kg、固形分10質量%)を入れた、ここにメチルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、製品名「KBM−13」、12.4kg(スラリーに対して75質量%))を入れて激しく攪拌(200rpm)した。攪拌によって分散液とアルコキシシランが反応し、均一になる様子が観測された。その際、分散液の温度が25℃から52℃まで上昇する様子が観測された。その後50℃で2時間加熱熟成を行いスラリー(C)を得た。
工程(III)
工程(II)で得られたスラリー(C)を100L攪拌混合槽に移し、攪拌しながらエタノール(61.9kg)を添加し、希釈スラリー(C')を90.8kg得た。
工程(IV)
希釈スラリー(C')を7nmディスク(6−7nm)が36枚備えられたディスク回転式膜ろ過装置(10)(付帯設備として局所排気装置の設置とアース接地が行われた)のろ過室(3)(容量15L)にスラリー供給口(3m)から導入した。窒素ボンベの圧力によって、0.19MPaでスラリー(C')を加圧した。制御装置9から、ディスク回転式膜ろ過装置10の起動信号が送信されると、モータ7の起動により回転駆動機構8を介して、ろ過室3内の回転軸4が回転し、回転軸4に固定された複数のディスク6が1,000rpmで回転を開始した。ろ過液排出口(3k)を開きろ液を集液した。希釈スラリー(C')90.8kgの全量を供給しながら、ろ過室3内に送り込み、ろ過を行った。ろ過には約1.5時間を要した。ろ過室3内ではスラリーが濃縮され濃厚スラリー(C'')が得られた。
工程(V)
ろ過室3内に濃厚スラリー(C'')を保持したまま、スラリー供給口(3m)から引き続き新たな有機溶剤(D)として、エタノール(40kg)を供給しながらろ過を行った。ろ液には、水、メタノール、エタノール、工程(II)で加えたメチルトリメトキシシランの反応生成物であって表面処理に供されなかったオリゴマーが含まれていた。エタノール(40kg)全量のろ過には約1.5時間を要した。ろ過後、濃縮液排出口(3n)からエタノール置換酸化チタン微粒子分散液(13kg)を取り出した。得られた分散液の水分濃度(カールフィッシャー法)を測定したところ0.8質量%であった。この分散液は室温で1ヶ月保管してもゲル化が見られなかった。また、分散液の凝集は見られず1次粒径を保っていた。
[実施例2]
工程(I)
[合成例2]で合成したスラリーと同様のものを400g準備した。
工程(II)
ジムロート冷却管、窒素導入管、温度計、機械攪拌羽を備えた4つ口2Lセパラブルフラスコに、[合成例2]で合成したスラリー(400g、固形分10質量%)を入れた、ここにメチルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、製品名「KBM−13」、300g(スラリーに対して75質量%))を入れて激しく攪拌(200rpm)した。攪拌によって分散液とアルコキシシランが反応し、均一になる様子が観測された。その際、分散液の温度が25℃から52℃まで上昇する様子が観測された。その後50℃で2時間加熱熟成を行いスラリー(C)を得た。
工程(III)
工程(II)で得られたスラリー(C)を3L攪拌混合槽に移し、攪拌しながらエタノール(1.5kg)を添加し、希釈スラリー(C')を2.2kg得た。
工程(IV)
希釈スラリー(C')を7nmディスク(6−7nm)が1枚備えられたディスク回転式膜ろ過装置(10':シングルディスク型ディスク回転式膜ろ過装置、図示せず)(付帯設備として局所排気装置の設置とアース接地が行われた)のろ過室(3':図示せず)(容量0.25L)にスラリー供給口(3m':図示せず)から導入した。窒素ボンベの圧力によって、0.19MPaでスラリー(C')を加圧した。制御装置9'(図示せず)から、ディスク回転式膜ろ過装置10'の起動信号が送信されると、モータ7'(図示せず)の起動により回転駆動機構8'(図示せず)を介して、ろ過室3'内の回転軸4'(図示せず)が回転し、回転軸4に固定された1枚のディスク(6−7nm)が1,000rpmで回転を開始した。ろ過液排出口(3k':図示せず)を開きろ液を集液した。希釈スラリー(C')90.8kgの全量を供給しながら、ろ過室3'内に送り込み、ろ過を行った。ろ過には約1.5時間を要した。ろ過室3'内ではスラリーが濃縮され、濃厚スラリー(C'')が得られた。
工程(V)
ろ過室3'内に濃厚スラリー(C'')を保持したまま、スラリー供給口(3m')から引き続き新たな有機溶剤(D)として、エタノール(0.8kg)を供給しながらろ過を行った。ろ液には、水、メタノール、エタノール、工程(II)で加えたメチルトリメトキシシランの反応生成物であって表面処理に供されなかったオリゴマーが含まれていた。エタノール(0.8kg)全量のろ過には約1.5時間を要した。ろ過後、濃縮液排出口(3n':図示せず)からエタノール置換酸化チタン微粒子分散液(0.26kg)を取り出した。得られた分散液の水分濃度(カールフィッシャー法)を測定したところ、0.8質量%であった。この分散液は室温で1ヶ月保管してもゲル化が見られなかった。また、分散液の凝集は見られず1次粒径を保っていた。
[実施例3]
工程(I)
市販の酸化ケイ素微粒子水分散液(日産化学工業株式会社製、商品名「スノーテックスO」、固形分濃度30質量%、粒径10〜20nm)をイオン交換水で固形分濃度10質量%まで希釈したものを400g準備した。
工程(II)〜工程(V)
工程(II)〜工程(V)は[実施例2]と同様の操作を行い、エタノール置換酸化ケイ素微粒子分散液を得た。得られた分散液の水分濃度(カールフィッシャー法)を測定したところ0.8質量%であった。この分散液は室温で1ヶ月保管してもゲル化が見られなかった。また、分散液の凝集は見られず1次粒径を保っていた。
[実施例4]
工程(I)
市販の酸化セリウム微粒子水分散液(日産化学工業株式会社製、商品名「ナノユースCE−T20B」、固形分濃度30質量%、粒径10〜20nm)をイオン交換水で固形分濃度10質量%まで希釈したものを400g準備した。
工程(II)〜工程(V)
工程(II)〜工程(V)は[実施例2]と同様の操作を行い、エタノール置換酸化セリウム微粒子分散液を得た。得られた分散液の水分濃度(カールフィッシャー法)を測定したところ0.8質量%であった。この分散液は室温で1ヶ月保管してもゲル化が見られなかった。また、分散液の凝集は見られず1次粒径を保っていた。
[実施例5]
工程(I)
市販の酸化ジルコニウム微粒子水分散液(日産化学工業株式会社製、商品名「ナノユースZR−30BFN」、固形分濃度30質量%、粒径10〜20nm)をイオン交換水で固形分濃度10質量%まで希釈したものを400g準備した。
工程(II)〜工程(V)
工程(II)〜工程(V)は[実施例2]と同様の操作を行い、エタノール置換酸化ジルコニウム微粒子分散液を得た。得られた分散液の水分濃度(カールフィッシャー法)を測定したところ0.8質量%であった。この分散液は室温で1ヶ月保管してもゲル化が見られなかった。また、分散液の凝集は見られず1次粒径を保っていた。
[比較例1]
シリカ殻を有する酸化チタン固溶体(スズ5モル%、マンガン1モル%)エタノール分散液を以下の工程(A)〜工程(E)によって製造した。なお、工程(A)〜工程(E)は、実施例における工程(I)〜工程(V)にそれぞれ対応する工程である。
工程(A)
・工程(α)
無機酸化物コロイド水分散液として、酸化チタン−スズ−マンガン複合酸化物を核とし酸化ケイ素を殻とするコアシェル微粒子を分散質とし、水を分散媒とするものを調製した。まず、核となる酸化チタン微粒子を含有する分散液を製造し、次いで、テトラエトキシシランを加水分解縮合することで、コアシェル微粒子を含有するコロイド溶液とした。
36質量%の塩化チタン(IV)水溶液(石原産業(株)製、製品名「TC−36」)66.0gに塩化スズ(IV)五水和物(和光純薬工業(株)製)2.2g)、酸化マンガン(II)((株)高純度化学研究所)0.09gを添加し、よく混合した後、これをイオン交換水1,000gで希釈した。この金属塩水溶液混合物に5質量%のアンモニア水(和光純薬工業(株)製)250gを徐々に添加して中和、加水分解することによりスズとマンガンを含有する水酸化チタンの沈殿物を得た。このときの水酸化チタンスラリーのpHは8であった。得られた水酸化チタンの沈殿物を、イオン交換水の添加とデカンテーションを繰り返して脱イオン処理した。この脱イオン処理後のスズを含有する水酸化チタン沈殿物に30質量%過酸化水素水(和光純薬工業(株)製)100gを徐々に添加し、その後60℃で3時間攪拌して十分に反応させた。その後、純水を添加して濃度調整を行うことにより、半透明のスズ及びマンガン含有ペルオキソチタン酸溶液(固形分濃度1質量%)を得た。容積500mLのオートクレーブ(耐圧硝子工業(株)製、製品名「TEM−D500」)に、上記のように合成したペルオキソチタン酸溶液350mLを仕込み、これを200℃、1.5MPaの条件下、120分間水熱処理した。その後、オートクレーブ内の反応混合物を、サンプリング管を経由して、25℃の水浴中に保持した容器に排出し、急速に冷却することで反応を停止させ、酸化チタン分散液を得た。
・工程(β)
磁気回転子と温度計を備えたセパラブルフラスコに、得られた酸化チタン分散液1,000質量部、エタノール100質量部、アンモニア2.0質量部を室温(25℃)で加えて磁気攪拌した。このセパラブルフラスコを氷浴に浸漬し、内容物温度が5℃になるまで冷却した。ここに、テトラエトキシシラン18質量部(信越化学工業株式会社製、製品名「KBE−04」)を加えた後に、セパラブルフラスコをμReactorEx(四国計測工業(株)製)内に設置して、周波数2.45GHz・出力1,000Wのマイクロ波を1分間にわたって照射しながら磁気攪拌した。その間、温度計を観測して内容物温度が85℃に達するのを確認した。得られた混合物を定性ろ紙(Advantec 2B)でろ過して希薄コロイド溶液を得た。この希薄コロイド溶液を減圧加熱濃縮(50℃/10mmHg)によって10質量%まで濃縮し、金属酸化物微粒子水分散液(A−1)を得た。動的光散乱法(日機装株式会社製、装置名「ナノトラック」)によって体積平均の50%累計分布径を求めたところ、16nmであった。
工程(B)
ジムロート冷却管、窒素導入管、温度計、機械攪拌羽を備えた4つ口2Lセパラブルフラスコに、金属酸化物微粒子水分散液(A−1、400g、固形分10質量%)を入れた、ここにメチルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、製品名「KBM−13」、300g(水分散液に対して75質量%))を入れて激しく攪拌(200rpm)した。攪拌によって分散液とアルコキシシランが反応し、均一になる様子が観測された。その際、分散液の温度が25℃から52℃まで上昇する様子が観測された。
工程(C)
工程(B)を経た分散液にエタノール(1,500g)を攪拌(100rpm)しながら添加して希釈し、反応混合物(X)を得た。
工程(D)
反応混合物(X)の一部(10mL)を限外ろ過膜を有する遠心管(メルクミリポア株式会社製、商品名「アミコンウルトラ−15」、100,000NMWLメンブレン装用)の上部バケットに入れた。この遠心管を2,000rpmで15分間、遠心分離した。下部バケットには澄明な液体(ろ液−0)が(9mL)滲出しており、上部バケットには濃縮液が(1mL)残っていた(図6の工程(D))。
工程(E)
工程(D)で得られた濃縮液(1mL)に対して上部バケットからエタノール(9mL)を添加してリスラリー(再分散化)した。リスラリーした分散液(合計10mL)の入った遠心管を2,000rpmで15分間、遠心分離した。下部バケットには澄明な液体(ろ液−1)が(9mL)滲出しており、上部バケットには濃縮液が(1mL)残っていた。この濃縮液(1mL)に対して上部バケットからエタノール(9mL)を添加してリスラリー(再分散化)した。リスラリーした分散液(合計10mL)の入った遠心管を2,000rpmで15分間、遠心分離した。下部バケットには澄明な液体(ろ液−2)が(9mL)滲出しており、上部バケットには濃縮液が(1mL)残っていた。同様の操作を繰り返してろ液−3及びろ液−4を得た(図6の工程(E))。ろ液−0〜ろ液−4の固形分濃度及び水分量(カールフィッシャー法)を分析した。結果は表2にまとめて示した。実施例1〜5とは異なり、5回の煩雑な回分操作を要した。また、得られる分散液の量は1mLであり、実施例1のスケールと比較すると極めて少量であった。
Figure 2016204168
[比較例2]
[実施例2]における工程(II)のシラン処理を行わなかった他は同様の操作を行った。工程(V)のエタノール置換の工程において、エタノールを0.4kg程度導入した時点で著しい微粒子の凝集が発生し、1次粒径を保持できなかった。
[比較例3]
ろ過メディアとしてディスク6(三菱化工機株式会社製、公称径30nm)を用いて工程(IV)及び工程(V)を行った他は、[実施例2]と同様の操作を行った。無機酸化物微粒子ソリッド(A)の大部分がろ液側に透過する現象が見られ、実験を継続できなかった。
[比較例4]
[実施例2]における工程(IV)及び工程(V)を中空糸ろ過法(装置名「マイクローザ」、旭化成ケミカルズ株式会社)で実施した以外は同様の操作を行った。中空糸の閉塞が見られ、効率的なろ過が達成されなかった。また、中空糸ろ過法と同様の技術(例えば、特許第5255270号公報)で製造されている市販の酸化チタン分散液(オプトレイク1130Z)をサンプル瓶に入れて室温で保管したところ、ゲル化することが明らかとなった。
[比較例5]
[実施例2]における工程(II)で用いるメチルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、製品名「KBM−13」)の量を20g(スラリーに対して5質量%)に変更した以外は、実施例2と同様の操作を行った。工程(II)の後に凝集が発生し、動的光散乱法(日機装株式会社製、装置名「ナノトラック」)によって体積平均の50%累計分布径を求めたところ、150nmであった。
[比較例6]
[実施例2]における工程(II)で用いるメチルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、製品名「KBM−13」)の量を40g(スラリーに対して10質量%)に変更した以外は、実施例2と同様の操作を行った。工程(II)の後に凝集が発生し、動的光散乱法(日機装株式会社製、装置名「ナノトラック」)によって体積平均の50%累計分布径を求めたところ、160nmであった。
[比較例7]
[実施例2]における工程(II)で用いるメチルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、製品名「KBM−13」)の量を1,000g(スラリーに対して250質量%)に変更した以外は、実施例2と同様の操作を行った。工程(II)の後に凝集が発生し、動的光散乱法(日機装株式会社製、装置名「ナノトラック」)によって体積平均の50%累計分布径を求めたところ、250nmであった。
<実施例及び比較例の説明>
実施例1〜実施例5では、種々の無機酸化物微粒子分散液に本発明が適用可能であることが明らかとなった。実施例1では、産業利用を指向したスケールでの試作製造を行っているが、効率的に実施可能なことが明らかとなった。これは、比較例1の結果とは対照的である。比較例1では、多数の煩雑な回分操作を要し、得られる分散液の量も僅かなものであった。実施例2〜実施例5では、比較的小規模のシングルディスク機10'を用いて試験しているが、ディスクの枚数は1枚でも複数枚でも良好に実施できることが示された。このように、本発明は趣旨を損なわない範囲で自由に装置を改変することができる。
比較例2から、本発明におけるシラン処理の重要性が明らかとなった。このようなシラン処理を行ったスラリー(C)に好適に用いることのできるろ過メディアはこれまでに知られていなかった。比較例3は、異なる細孔径を有するディスク6をろ過メディアとして用いた例である。ナノレベルの微粒子分散液に適用可能な細孔径の範囲は十分に明らかにされてこなかった。特に、平均細孔径(公称)7nm程度のろ過メディアを効率的に利用可能とする機構を備えた装置10とスラリー(C)の適用範囲は知られていなかった。比較例4では、別のろ過方法について言及している。中空糸ろ過は一旦閉塞が発生すると回復が困難であった。特に本発明のように、保存安定性に優れた分散液を製造するためには多量の有機ケイ素化合物で処理することが有用であることを今回見出した(工程(II))が、このように多量の有機ケイ素化合物を含む処理物はろ過メディアへの負荷が大きく、適切なろ過メディアの選択はこれまでに知られていなかった。また、中空糸ろ過で処理できるような表面状態では室温での保存安定性に悪影響を及ぼすことが明らかとなった。比較例5〜比較例7は、工程(II)において添加するケイ素化合物の添加量が無機酸化物コロイド水分散液(スラリー)に対して、30質量%以上200質量%以下の範囲外のものであるが、この範囲外であると凝集が発生することが明らかとなった。従来、微粒子の表面処理剤(有機ケイ素化合物)は、微粒子の固形分に対して10質量%程度用いられることが一般的であり、表面処理剤の量をできるだけ少なくしながらも分散性を維持できるような反応条件を試行錯誤しながら調べるのが一般的であった。それに対して、本発明(実施例)では、表面処理剤(有機ケイ素化合物)を30質量%〜200質量程度の過剰に用いることと、特定の限外ろ過手法を組み合わせることで、このような試行錯誤が不要となり、かつ安定性にも優れた微粒子分散液が効率的に製造できることを明らかにした。
本発明によって、簡便かつ効率的に無機酸化物微粒子有機溶剤分散液を製造することができる。得られた無機酸化物微粒子分散液は各種コーティング剤(屈折率調整用、反射防止用、紫外線遮蔽用、CVD用プライマー、光触媒微粒子と混合可能な紫外線吸収剤等)に利用可能である。得られた無機酸化物微粒子分散液は、保存安定性に優れており、目的に応じて2液型の塗料として使うこともできる。塗料への適用性はシリコーン系に限らず、アクリルシリコーン塗料、アクリル塗料、メラミン塗料、ウレタン塗料、アクリルウレタン塗料、エポキシ塗料、パラフィン塗料、アルキッド塗料等への利用可能性を有する。
1 ベース
2 コラム
3 ろ過室
3k ろ過液排出口
3m スラリー供給口
3n 濃縮液排出口
4 回転軸
5 バッフル部材
5a 縁
5b ボルト
5c ボス
5p ポスト
6 ディスク
6d 中空部(流路)
7 モータ
8 回転駆動機構(回転駆動手段)
8a、8b プーリ
8c 安全カバー
9 制御装置(コントローラ)
10 ディスク回転式膜ろ過装置

Claims (4)

  1. (I)微粒子ソリッド(A)として、
    レーザー光を用いた動的光散乱法で測定した体積基準の50%累計分布径(D50)が8〜50nmである無機酸化物微粒子
    を含む水分散液を準備する工程、
    (II)前記水分散液に対して、30質量%以上200質量%以下の下記一般式(1)で示されるシラン化合物及び/又は同シラン化合物の(部分)加水分解縮合物を添加、反応させ、スラリー(C)を得る工程、
    1 p2 q3 rSi(OR44-p-q-r (1)
    (式中において、R1は、炭素数1以上20以下のアルキル基、炭素数6以上20以下のアリール基、(メタ)アクリル基で置換された炭素数1以上20以下のアルキル基、オキシラニル基で置換された炭素数1以上20以下のアルキル基、水素原子で置換可能な炭素数1以上20以下のフルオロアルキル基、ケイ素数50以下のポリジメチルシロキシ基からなる群から選ばれる置換基であって、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に炭素数6以下のアルキル基である。pは1以上3以下の整数、qは0以上2以下の整数、rは0以上2以下の整数、p+q+rは1以上3以下の整数である。)
    (III)必要に応じ前記スラリー(C)を有機溶剤で希釈して希釈スラリー(C')を得る工程、
    (IV)工程(II)後又は工程(III)後の前記スラリー(C)又は前記希釈スラリー(C')を必要に応じて濃縮して濃厚スラリー(C'')を得る工程、
    (V)有機溶剤(D)により前記スラリー(C)又は前記希釈スラリー(C')又は前記濃厚スラリー(C'')を溶媒置換する工程、
    を含む無機酸化物微粒子有機溶剤分散液の製造方法であって、
    工程(IV)では、
    回転軸(4)に固定された1枚以上のディスク(6)を回転させ、外周面にろ過膜を有する前記ディスク(6)の表面に付着する前記微粒子ソリッド(A)を剥離しながらろ過するディスク回転式ろ過装置(10)を使用し、
    前記微粒子ソリッド(A)と溶媒(B)を含む混合液のスラリー(C又はC')において、前記スラリー(C又はC')を必要に応じて濃縮する方法は、
    ろ過室(3)内に前記スラリー(C又はC')を供給すると共に、このスラリー(C又はC')に対して新たなスラリー(C又はC')を前記ろ過室(3)に供給し、回転する前記1枚以上のディスク(6)によって、前記溶媒(B)を前記1枚以上のディスク(6)内にろ過液として抜き取り、前記溶媒(B)を新たなスラリー(C又はC')に置換することによって、前記ろ過室(3)内の前記微粒子ソリッド(A)の量を向上させるディスク回転式膜ろ過装置(10)を使用したろ過方法
    を用い、
    工程(V)では、
    回転軸(4)に固定された1枚以上のディスク(6)を回転させ、外周面にろ過膜を有する前記ディスク(6)の表面に付着する微粒子ソリッド(A)を剥離しながらろ過するディスク回転式ろ過装置(10)を使用し、
    微粒子ソリッド(A)と溶媒(B)を含む混合液のスラリー(C、C'又はC'')において、前記溶媒(B)を新たな有機溶剤(D)に溶媒置換する方法は、
    ろ過室(3)内に前記スラリー(C、C'又はC'')を供給すると共に、このスラリー(C、C'又はC'')に対して前記新たな有機溶媒(D)を前記ろ過室(3)に供給し、回転する前記1枚以上のディスク(6)によって、前記溶媒(B)を前記1枚以上のディスク(6)内にろ過液として抜き取り、前記溶媒(B)を前記新たな溶媒(D)に置換するディスク回転式膜ろ過装置(10)を使用したろ過方法
    を用いることを特徴とする、無機酸化物微粒子有機溶剤分散液の製造方法。
  2. (I)微粒子ソリッド(A)として、
    レーザー光を用いた動的光散乱法で測定した体積基準の50%累計分布径(D50)が8〜50nmである無機酸化物微粒子
    を含む水分散液を準備する工程、
    (II)前記水分散液に対して、30質量%以上200質量%以下の下記一般式(1)で示されるシラン化合物及び/又は同シラン化合物の(部分)加水分解縮合物を添加、反応させ、スラリー(C)を得る工程、
    1 p2 q3 rSi(OR44-p-q-r (1)
    (式中において、R1は、炭素数1以上20以下のアルキル基、炭素数6以上20以下のアリール基、(メタ)アクリル基で置換された炭素数1以上20以下のアルキル基、オキシラニル基で置換された炭素数1以上20以下のアルキル基、水素原子で置換可能な炭素数1以上20以下のフルオロアルキル基、ケイ素数50以下のポリジメチルシロキシ基からなる群から選ばれる置換基であって、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に炭素数6以下のアルキル基である。pは1以上3以下の整数、qは0以上2以下の整数、rは0以上2以下の整数、p+q+rは1以上3以下の整数である。)
    (III)必要に応じ前記スラリー(C)を有機溶剤で希釈して希釈スラリー(C')を得る工程、
    (IV)工程(II)後又は工程(III)後の前記スラリー(C)又は前記希釈スラリー(C')を必要に応じて濃縮して濃厚スラリー(C'')を得る工程、
    (V)有機溶剤(D)により前記スラリー(C)又は前記希釈スラリー(C')又は前記濃厚スラリー(C'')を溶媒置換する工程、
    を含む無機酸化物微粒子有機溶剤分散液の製造方法であって、
    工程(IV)では、
    回転軸(4)に固定された1枚以上のディスク(6)を回転させ、外周面にろ過膜を有する前記ディスク(6)の表面に付着する前記微粒子ソリッド(A)を剥離しながらろ過するディスク回転式ろ過装置(10)を使用し、
    前記微粒子ソリッド(A)と溶媒(B)を含む混合液のスラリー(C又はC')において、前記スラリー(C又はC')を必要に応じて濃縮する方法は、
    前記スラリー(C又はC')をろ過室内に供給すると共に、このスラリー(C又はC')を前記ディスク(6)の外周面のろ過膜から内部に浸透させ、ろ過して前記溶媒(B)をろ過室(3)外に排出し、前記微粒子ソリッド(A)の濃度を連続ろ過処理して高め、第一の濃厚スラリー(C''−1)を得る、濃縮機構(IV−1)と、
    前記濃縮機構(IV−1)から前記第一の濃厚スラリー(C''−1)を排出すると共に、この第一の濃厚スラリー(C''−1)に対して前記混合液のスラリー(C又はC')を供給して希釈し、再び溶媒(B)をろ過室内からろ過室(3)外に排出し、前記微粒子のソリッド(A)の濃度を連続ろ過処理して高める再分散機構(IV−2)
    を備えた方法によって、前記スラリー(C又はC')中の前記微粒子ソリッド(A)の量を連続的に向上させるディスク回転式膜ろ過装置(10)を使用したろ過方法
    を用い、
    工程(V)では、
    回転軸(4)に固定された1枚以上のディスク(6)を回転させ、外周面にろ過膜を有する前記ディスク(6)の表面に付着する微粒子ソリッド(A)を剥離しながらろ過するディスク回転式ろ過装置(10)を使用し、
    微粒子ソリッド(A)と溶媒(B)を含む混合液のスラリー(C、C'又はC'')において、前記溶媒(B)を新たな有機溶剤(D)に溶媒置換する方法は、
    前記スラリー(C、C'又はC'')をろ過室内に供給すると共に、このスラリー(C、C'又はC'')を前記ディスク(6)の外周面のろ過膜から内部に浸透させ、ろ過して前記溶媒(B)をろ過室(3)外に排出し、前記微粒子のソリッド(A)の濃度を連続ろ過処理して高め、第2の濃厚スラリー(C''−2)を得る、濃縮機構(V−1)と、
    前記濃縮機構(V−1)から前記第2の濃厚スラリー(C''−2)を排出すると共に、この第二の濃厚スラリー(C''−2)に対して前記有機溶剤(D)を供給して希釈し、再び溶媒(B)をろ過室内からろ過室(3)外に排出し、前記溶媒(B)の一部を前記新たな有機溶剤(D)に置換することを特徴とする再分散機構(V−2)
    を備えた方法によって、前記スラリー(C、C'又はC'')中の前記溶媒(B)を前記新たな溶媒(D)に最終的に置換するディスク回転式膜ろ過装置(10)を使用したろ過方法
    を用いることを特徴とする、無機酸化物微粒子有機溶剤分散液の製造方法。
  3. ディスク(6)の外周面に有するろ過膜が無機セラミック製であることを特徴とする請求項1又は2に記載の無機酸化物微粒子有機溶剤分散液の製造方法。
  4. ディスク(6)の外周面に有するろ過膜が、1nm以上20nm未満の平均細孔径を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の無機酸化物微粒子有機溶剤分散液の製造方法。
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