《実施の形態1》
〈電子写真プリンタの制御系100の要部構成及び動作〉
図1は、本発明の実施の形態1に係る発光素子駆動システムを含む、電子写真プリンタの制御系100の要部構成を示すブロック図である。
以下の説明において、LED素子をLED、モノリシック集積回路をIC、NチャネルMOSトランジスタをNMOSトランジスタ、PチャネルMOSトランジスタをPMOSトランジスタと略称することがある。また、信号レベルの“High”を論理値“1”に、信号レベルの“Low”を論理値“0”に対応させて記載することがある。さらに、信号の論理を明確にする必要のある場合には、信号名の末尾に“−P”を付して正論理信号であることを示し、信号名の末尾に“−N”を付して負論理信号であることを示す。
以下、被駆動素子の群を、画像形成装置としての電子写真プリンタ(以下、「プリンタ」とも称する。)に用いられるLED素子の列とした場合を例として説明する。
図1において、データ信号発生源としての印刷制御部1(プリンタ制御部)は、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、入出力ポート、及びタイマ等によって構成され、プリンタ内部に備えられる。
印刷制御部1は、画像処理部からの制御信号SG1、ビデオ信号SG2(ドットマップデータを一次元的に配列したもの)等によってプリンタ全体をシーケンス制御し、印刷動作を行う。
LEDヘッド19には、複数のLED素子を直線状に配列することができる。1個のLED素子は、画像の1ドット(ピクセル)に対応する。LEDヘッド19に備えられるLED素子の数は、例えば、7680個とすることができるが、この数に限定されるものではない。
LEDヘッド19は、後述するように2つのデータ入力ポート(第1のデータ入力ポート及び第2のデータ入力ポート)を備えており、第1のデータ入力ポートに対応するデータ信号としての印刷データ信号HD−DATA1(第1の印刷データ信号)及びデータ信号としての印刷データ信号HD−DATA2(第2の印刷データ信号)を含む。
LEDヘッド19に備えられた2つのポートは、後述するようにそれぞれ4本の信号(信号線)を備えており、より具体的に記せば、第1のデータ入力ポートは、印刷データ信号HD−DATA13〜HD−DATA10を含み、第2のデータ入力ポートは、印刷データ信号HD−DATA23〜HD−DATA20を含む。
以下、煩雑さを避けるため、印刷データ信号HD−DATA13〜HD−DATA10を「印刷データ信号HD−DATA1」と称することがあり、印刷データ信号HD−DATA23〜HD−DATA20を「印刷データ信号HD−DATA2」と称することがある。さらに、印刷データ信号HD−DATA1,HD−DATA2をまとめて「印刷データ信号HD−DATA」又は単に「印刷データ」と称することがある。
次に、図1に示される、電子写真プリンタの制御系100による動作について説明する。
印刷制御部1は、制御信号SG1によって印刷指示を受信すると、定着器温度センサ23によってヒータ22aを内蔵した定着器22が使用可能な温度範囲にあるか否かを検出し、使用可能な温度範囲になければヒータ22aに通電し、使用可能な温度まで定着器22を加熱する。次に、ドライバ2を介して現像・転写プロセス用モータ3(PM)を回転させ、同時にチャージ信号SGCによって帯電用高圧電源25をオンにし、現像部としての現像器27に含まれる帯電装置に電圧を印加する。
そして、用紙の有無を用紙残量センサ8によって検出され、用紙の種類を用紙サイズセンサ9によって検出され、セットされている用紙に合った用紙送りが開始される。
ここで、用紙送りモータ5(PM)には遊星ギア機構が接続されており、ドライバ4を介して双方向に回転させることが可能である。なお、用紙送りモータ5の回転方向を変えることにより、プリンタ内部の異なる紙送りローラを選択的に駆動することができる。
1ページの印刷開始毎に、用紙送りモータ5を最初に逆回転させて、セットされた用紙を用紙吸入口センサ6が検知するまで、予め設定された量だけ送る。続いて、正回転させて用紙をプリンタ内部の印刷機構内に搬送する。
印刷制御部1は、用紙が印刷可能な位置まで到達した時点において、図示しない画像処理部に対してタイミング信号SG3(主走査同期信号、副走査同期信号を含む)を送信し、ビデオ信号SG2を受信する。上位コントローラにおいてページ毎に編集され、印刷制御部1に受信されたビデオ信号SG2は、印刷データ信号HD−DATA1,HD−DATA2としてLEDヘッド19に転送される。
図1に示されるように、印刷制御部1は、印刷データ信号HD−DATA1,HD−DATA2を発光素子駆動システムに送信する。印刷データ信号HD−DATA1,HD−DATA2は、クロック信号HD−CLKと共にLEDヘッド19に入力され、例えばA3サイズの用紙に印刷可能であり1インチ当たり600ドットの解像度を持つプリンタにおいては、7680ドット分のビットデータが、後述するフリップフロップ回路から成るシフトレジスタ中に順次転送される。
次に、ラッチ信号HD−LOADがLEDヘッド19に入力され、7680ドット分のビットデータは、後述するラッチ回路にラッチされる。続いて、ビットデータと印刷駆動信号HD−STB−N(ストローブ信号)とによって、LED素子のうち、High(高)レベルであるドットデータに対応するLED素子が点灯する。
印刷制御部1は1ライン分のビデオ信号SG2を受信すると、LEDヘッド19にラッチ信号HD−LOADを送信し、印刷データ信号HD−DATAをLEDヘッド19内に保持させる。また、印刷制御部1は上位コントローラから次のビデオ信号SG2を受信している最中においても、LEDヘッド19に保持した印刷データ信号HD−DATAについて印刷することができる。
クロック信号HD−CLKは、印刷データ信号HD−DATAをLEDヘッド19に送信するための信号である。
ビデオ信号SG2の送受信は、印刷ライン毎に行われる。LEDヘッド19からの発光はマイナス電位に帯電させられた感光体ドラム上に照射される。これにより、印刷される情報は感光体ドラムにおいて電位の上昇したドットとして潜像化される。そして、現像器27において、マイナス電位に帯電させられた画像形成用のトナーが、電気的な吸引力によって各ドットに吸引され、トナー像が形成される。
感光体ドラムの表面に形成されたトナー像は転写部としての転写器28に送られる。
転写信号SG4によってプラス電位に転写用高圧電源26がオンになり、転写器28は、感光体ドラムと転写器28との間隔を通過する用紙上にトナー像を転写する。印刷制御部1は、用紙サイズセンサ9、及び用紙吸入口センサ6の検知に対応して、用紙が転写器28を通過している間だけ転写用高圧電源26からの電圧を転写器28に印加する。
トナー像が転写された用紙は、ヒータ22aを内蔵する定着器22に当接して搬送され、定着器22の熱によって用紙に定着される。
トナー像が定着された用紙は、更に搬送されてプリンタの印刷機構から用紙排出口センサ7を通過してプリンタの外部に排出される。
印刷が終了し、用紙が用紙排出口センサ7を通過すると、帯電用高圧電源25による現像器27への電圧の印加を終了し、同時に現像・転写プロセス用モータ3の回転を停止させる。以後、上記の動作を繰り返す。
〈LEDヘッド19の構成〉
次に、LEDヘッド19について、より具体的に説明する。
図2は、LEDヘッド19を構成する、発光素子としてのLEDアレイCHP1,CHP2,…,CHP40及びこれを駆動する駆動制御素子としてのドライバIC101_1,101_2,…,101_40の接続関係を示すブロック図である。
LEDヘッド19の内部構成は、ドライバIC101_1,101_2,…,101_20を含むブロック1と、ドライバIC101_21,101_22,…,101_40を含むブロック2とに区分され、図2では、ブロック1内の一部のドライバIC101_1,101_2の構成及びドライバIC101_1,101_2の周辺の構成が示されている。なお、LEDヘッド19におけるブロック1及びブロック2は、それぞれにデータ入力ポートが備えられている。
実施の形態1の説明においては、A3サイズの用紙に1インチ当たり600ドットの解像度で印刷可能なLEDヘッド19を例として説明する。
図2に示されるように、LEDヘッド19は、発光素子としてのLEDアレイCHP1,CHP2,…,CHP40(LEDアレイチップ)を有する。ただし、図2では、LEDアレイCHP3〜CHP40は省略されている。
なお、VDDは電源を示し、GNDはグランドを示し、VREFはLED駆動のための駆動電流値を指令するための基準電圧であって、LEDヘッド19内に備えられる基準電圧発生回路により発生される。
LEDヘッド19に備えられるLED素子の総数は7680ドットである。LED素子の総数を7680ドットとするために、40個のLEDアレイCHP1〜CHP40がLEDヘッド19に配列される。LEDアレイCHP1〜CHP40の各々は、LED素子L1,L2,…,L192を有する。すなわち、LEDアレイCHP1〜CHP40の各々が有するLED素子の総数は192ドットである。
LEDアレイCHP1〜CHP40の構成は、互いに共通するので、LEDアレイCHP1〜CHP40の構成については、以下、LEDアレイCHP1を例として説明する。
LEDアレイCHP1において、LED素子L1のカソード端子はグランドGNDに接続され、アノード端子は、ワイヤーボンディング配線等の手法により、LEDアレイCHP1と隣接して配置されたドライバIC101_1の駆動出力端子DO1と接続される。LEDアレイCHP1における他のLED素子L2〜L192についても同様に、それぞれグランドGND及び駆動出力端子DO2〜DO192と接続される。
図2に示されるように、LEDヘッド19は、ドライバIC101_1,101_2,…,101_40を有する。ドライバIC101_1〜101_40は、LEDアレイCHP1〜CHP40をそれぞれ駆動するドライバICである。ドライバIC101_1〜101_40は、同一回路により構成することができ、隣接するドライバICとカスケードに接続されている。ただし、図2では、ドライバIC101_3〜101_40は省略されている。
図2に示される印刷データ信号HD−DATA13〜10は、図1に示される印刷データ信号HD−DATA1に相当する。すなわち、印刷データ信号HD−DATA1は、4本の信号であるHD−DATA13,12,11,10を含み、4個分のLED素子のデータ(4画素)をクロック信号HD−CLK毎に同時に送出することができる。このため、印刷制御部1から出力される印刷データ信号HD−DATA13〜10は、クロック信号HD−CLKと共にLEDヘッド19に入力され、7680ドット分のビットデータが後述するフリップフロップ回路からなるシフトレジスタ中を順次転送される。なお、印刷データ信号HD−DATA2は、4本の信号である印刷データ信号HD−DATA23,22,21,20を含み、印刷データ信号HD−DATA13〜10と同様にLEDヘッド19に入力される。
次に、ラッチ信号HD−LOADがLEDヘッド19に入力され、7680ドット分のビットデータはフリップフロップ回路に対応して備えられたラッチ回路にラッチされる。続いて、印刷駆動信号HD−STB−NがLEDヘッド19に入力されると、複数のLED素子のうち、印刷データがHighレベルであるドットデータに対応するLED素子が点灯する。
また、後述するように、ドライバIC101_1〜101_40の内部には、それぞれ、LED素子を駆動する複数のLED駆動回路117と、LED駆動回路117によってLEDを駆動させる駆動電流が一定となるように指令電圧を発する、制御電圧発生回路119とを備える。制御電圧発生回路119へ入力する基準電圧は、VREF又はVREFとする。
ドライバIC101_1〜101_40において、LOAD、CLK、VREF、STB、及びGND端子は、それぞれ並列に接続されている。
図2において明らかなように、LEDヘッド19には多数のLEDアレイ(すなわち、LEDアレイCHP1〜40)が搭載されるため、これらのLEDアレイCHP1〜40に製造バラツキによる特性変動があると、各LEDアレイ間及び同一LEDアレイ内の各LED素子間において、発光パワーに変動を生じ、感光体ドラムへの露光エネルギー量が変動する。
この様な現象は、感光体ドラムを現像するときのドット面積の変動となって現れ、印刷濃度にムラを生じる原因となるため望ましくない。そのため、LED素子の各ドットの駆動電流を、発光パワーが一定になるように調整することが行われることが通例であり、図2に示されるドライバIC101_1〜101_40においても、発光パワーが一定になるように調整するための回路手段が備えられている。
抵抗体としての抵抗311は、4本の印刷データ信号HD−DATA13〜10が伝搬される配線(配線パターン)のそれぞれに備えられる。ただし、図2では、4本の印刷データ信号HD−DATA13〜HD−DATA10の配線の内、1本の配線のみを図示している。
〈ドライバICの構成〉
次に、ドライバIC101_1,101_2,…,101_40の構成について具体的に説明する。
図3は、図2に示されるドライバIC101_1の回路構成図である。ドライバIC101_1〜101_40は、互いに同じ構造であるので、ドライバIC101_1〜101_40の内、図3に示されるドライバIC101_1の構成を例として説明する。
ドライバIC101_1は、フリップフロップ回路FFA1,FFA2,…,FFA49と、フリップフロップ回路FFB1,FFB2,…,FFB49と、フリップフロップ回路FFC1,FFC2,…,FFC49と、フリップフロップ回路FFD1,FFD2,…FFD49とを有する。フリップフロップ回路FFA1〜FFA49,FFB1〜FFB49,FFC1〜FFC49,FFD1〜FFD49は、シフトレジスタを構成する。
ドライバIC101_1は、ラッチ素子LTA1,LTB1,LTC1,LTD1,LTA2,LTB2,LTC2,LTD2,…,LTA48,LTB48,LTC48,LTD48を有する。ラッチ素子LTA1,LTB1,LTC1,LTD1,LTA2,LTB2,LTC2,LTD2,…,LTA48,LTB48,LTC48,LTD48は、全体でラッチ回路を構成する。
ドライバIC101_1は、さらに、複数のメモリ回路116(MEMブロック)、複数のLED駆動回路117(DRVブロック)、セレクタ回路118(SELブロック)、制御回路115(CTRLブロック)、及び制御電圧発生回路119(ADJブロック)を有する。
メモリ回路116(メモリセル回路)には、LEDの光量ばらつき補正の補正データ(ドット補正データ)、LEDアレイ毎の光量補正データ(チップ補正データ)、又はドライバIC毎の固有データが格納される。
LED駆動回路117は、LEDアレイCHP1〜40(具体的には、LED素子L1〜L192)を駆動させるための駆動電流をLEDアレイCHP1〜40に供給する駆動回路である。
制御回路115は、各補正データをメモリ回路116にデータ書き込みするときの書き込み指令信号を発生する。
制御電圧発生回路119は、VREF端子より入力された基準電圧値VREFを受けて、LEDを駆動させるための制御電圧(Vcontrol)を発生させる。基準電圧値VREFは、レギュレータ回路等により発生させられ、LEDの全点灯駆動時のように電源電圧が一瞬降下するような状況においても、基準電圧VREFは所定値に維持することができ、LED駆動電流の低下は発生しない。
ドライバIC101_1は、さらに、プルアップ抵抗111、ストローブ端子STBに接続されるインバータ回路112,113は、及びNAND回路114を有する。
ドライバIC101_1には、配線パターンにより伝搬される印刷データ信号HD−DATA1が入力される第2の入力端子としてのデータ入力端子DATAI0,DATAI1,DATAI2,DATAI3が備えられている。
フリップフロップ回路FFA1〜FFA49は、カスケード接続されている。ドライバIC101_1のデータ入力端子DATAI0は、フリップフロップ回路FFA1のデータ入力端子Dに接続される。フリップフロップ回路FFA48及びフリップフロップ回路FFA49のデータ出力は、セレクタ回路118に入力される。セレクタ回路118の出力端子Y0は、ドライバIC101_1のデータ出力端子DATAO0に接続されている。
同様に、フリップフロップ回路FFB1〜FFB49,FFC1〜FFC49,FFD1〜FFD49もそれぞれカスケード接続されている。ドライバIC101_1のデータ入力端子DATAI1,DATAI2,DATAI3は、フリップフロップ回路FFB1,FFC1,FFD1のデータ入力端子Dにそれぞれ接続されている。以下、第2の入力端子としてのデータ入力端子DATAI0,DATAI1,DATAI2,DATAI3をまとめて「データ入力端子DATAI」、「入力端子DATAI」「データ入力端子DATAI3〜0」、又は「入力端子DATAI3〜0」とも称する。
図3に示されるフリップフロップ回路FFB48,FFB49,FFC48,FFC49,FFD48,FFD49からの出力もセレクタ回路118に入力され、ドライバIC101_1のデータ出力端子DATAO1、DATAO2、DATAO3にそれぞれ接続されている。従って、フリップフロップ回路FFA1〜FFA49,FFB1〜FFB49,FFC1〜FFC49,FFD1〜FFD49は、それぞれ49段のシフトレジスタ回路を構成しており、セレクタ回路118によりシフトレジスタのシフト段数を48段と49段とに切り替えることができる。
これによりドライバIC101_1のデータ出力端子DATAO0〜DATAO3は、図2に示されるように、次段のドライバIC101_2のデータ入力端子DATAI0〜DATAI3にそれぞれ接続されることになる。従って、ドライバIC101_1〜101_20の全てにより構成されるシフトレジスタは、印刷制御部1から初段のドライバIC101_1に入力される印刷データ信号HD−DATA13〜HD−DATA10をクロック信号HD−CLKに同期してシフトさせる48×20段又は49×20段のシフトレジスタ回路を構成する。
同様に、ドライバIC101_21〜101_40の全てにより構成されるシフトレジスタは、印刷制御部1から初段のドライバIC101_21に入力される印刷データ信号HD−DATA23〜HD−DATA20をクロック信号HD−CLKに同期してシフトさせる48×20段又は49×20段のシフトレジスタ回路を構成する。
ストローブ端子STBに入力される負論理の印刷駆動信号HD−STB−Nは、インバータ回路112を介して正論理化されてSTB−P信号が生成され、NAND回路114に入力される。また、端子LOADから入力されるラッチ信号LOAD−PがNAND回路114に入力されることにより、LED駆動回路117に対する駆動のオンオフを制御する信号DRV−ON−Pが生成される。
〈メモリ回路116(MEMブロック)の構成〉
図4は、図3に示されるメモリ回路116の回路構成図である。
なお、実施の形態1の構成においては、LED光量補正のためのドット補正データは4ビットであり、LED駆動電流をドット毎に16段階に調整することで光量補正を行うものとしている。
図4には、図3に示される複数のメモリ回路116(複数のMEMブロック)の内の隣接する2個(2ドット)のMEMブロック151,152が示されている。MEMブロック151には、奇数番目のドット(例えば、ドットNo.1)の補正データが格納され、MEMブロック152には、偶数番目のドット(例えば、ドットNo.2)の補正データが格納される。
以下、MEMブロック(メモリセル)の構成例として、図4に示されるMEMブロック151の構成について説明するが、MEMブロック152の構成も、MEMブロック151の構成と同じである。
MEMブロック151は、バッファ回路169と、補正メモリセルを構成するインバータ153〜160と、NMOSトランジスタ161〜168と、インバータ回路170とをそれぞれ備えている。
インバータ回路170の入力端子は、バッファ回路169の出力端子と接続されている。
また、MEMブロック151は、補正データ入力端子Dと、メモリセル選択端子W0〜W3と、補正データ出力端子Q3〜Q0を備えている。
図4に示されるMEMブロック151の補正データ入力端子Dは、図3に示されるフリップフロップ回路FFA1,FFB1,FFC1,FFD1,FFA2,…,FFA48,FFB48,FFC48,FFD48等の補正データ出力端子Qにそれぞれ接続されている。
メモリセル選択端子W0〜W3には制御回路115からの書き込み制御信号W0〜W3が、それぞれ入力される。
バッファ回路169の入力端子は、補正データ入力端子Dとなっており、バッファ回路169の出力端子は、NMOSトランジスタ161,163,165,167の第1端子に接続されている。
インバータ153とインバータ154、インバータ155とインバータ156、インバータ157とインバータ158、インバータ159とインバータ160は、それぞれ直列に接続され、それぞれがメモリセルを形成している。
NMOSトランジスタ161とNMOSトランジスタ162、NMOSトランジスタ163とNMOSトランジスタ164、NMOSトランジスタ165とNMOSトランジスタ166、NMOSトランジスタ167とNMOSトランジスタ168は、それぞれ直列に接続され、直列接続の一端はバッファ回路169の出力とそれぞれ接続されている。
インバータ回路170の出力は、NMOSトランジスタ162,164,166,168の第1端子に接続されている。
NMOSトランジスタ161,162のゲート端子は、メモリセル選択端子W0に接続されている。NMOSトランジスタ163,164のゲート端子は、メモリセル選択端子W1に接続されている。NMOSトランジスタ165,166のゲート端子は、メモリセル選択端子W2に接続されている。NMOSトランジスタ167,168のゲート端子は、メモリセル選択端子W3に接続されている。
インバータ153からの出力は補正データ出力端子Q0に接続される。インバータ155からの出力は補正データ出力端子Q1に接続される。インバータ157からの出力は補正データ出力端子Q2に接続される。インバータ159からの出力は補正データ出力端子Q3に接続される。
〈LED駆動回路117の構成〉
図5は、図3に示されるLED駆動回路117の回路構成図である。
LED駆動回路117は、PMOSトランジスタ200,201,…,205と、NMOSトランジスタ206と、NAND回路210,211,…,213と、NOR回路207とを備える。
LED駆動回路117は、さらに、印刷データ入力端子E(負論理)と、LED駆動のオンオフを指令する入力端子S(負論理)と、入力端子Vと、補正データ入力端子Q0〜Q3と、駆動電流出力端子D0とを備える。
LED駆動回路117の印刷データ入力端子Eは、図3に示されるラッチ素子LTA1〜LTD1,LTA2〜LTD2,…,LTA48〜LTD48のQN出力端子と接続される。
LED駆動回路117の入力端子Q3〜Q0は、図3に示されるメモリ回路116(例えば、図4に示されるMEMブロック151)からの補正データ出力端子Q3〜Q0に接続されている。
LED駆動回路117の端子Sには、図3に示されるNAND回路114から出力されるLED駆動のオンオフ指令信号DRV−ON−Nが入力される。
LED駆動回路117の端子Vには、図3に示される制御電圧発生回路119からの制御電圧Vcontrolが入力される。
LED駆動回路117の駆動電流出力端子DOは、例えば、ボンディングワイヤーによりLED素子のアノードと接続される。
NOR回路207の2個の入力端子は、それぞれ端子S及び端子E(印刷データ入力端子)に接続されている。
NAND回路210〜213の第1入力端子は、NOR回路207の出力端子に接続されている。NAND回路210〜213の第2入力端子は、それぞれメモリ回路116(例えば、図4に示されるMEMブロック151)の補正データ出力端子Q0〜Q3に接続されている。
PMOSトランジスタ200〜203のゲート端子は、それぞれNAND回路210〜213の出力端子に接続されている。PMOSトランジスタ200〜204のソース端子は電源VDDに接続され、PMOSトランジスタ200〜204のドレーン端子は、駆動電流出力端子DOに接続されている。
NAND回路210〜213及びNOR回路207の電源は、電源VDDと接続される。NAND回路210〜213及びNOR回路207のグランドGNDは、端子Vと接続され、所定の電位Vcontrolに保たれる。
後述するように電源VDDの電位と電位Vcontrolとの電位差はPMOSトランジスタ200〜204がオンするときのゲート・ソース間電圧に略等しく、この電圧を変化させることでPMOSトランジスタ200〜204のドレーン電流を調整することが可能となる。
図3に示される制御電圧発生回路119は、基準電圧回路から基準電圧VREFを受けて、PMOSトランジスタ200〜204等のドレーン電流が所定値となるように制御電圧Vcontrolを制御するために設けられている。
次に、図5に示されるLED駆動回路117の動作について説明する。
印刷データがオン(このとき端子Eの入力レベルはLow)であり、LEDの駆動オンオフの指令信号SがLowとなって駆動オンを指令しているとき、NOR回路207の出力はHighとなる。このとき入力端子Q3〜Q0の端子データに従いNAND回路210〜213の出力信号レベル、及びPMOSトランジスタ205とNMOSトランジスタ206とで構成されるインバータの出力はVDD電位又はVcontrol電位となる。
PMOSトランジスタ204は、LEDアレイ(例えば、LEDアレイCHP1)に主たる駆動電流を供給する主駆動トランジスタであり、PMOSトランジスタ200〜203は、LED素子L1〜L192の駆動電流をドット毎に調整して光量補正するための補助駆動トランジスタである。
主駆動トランジスタであるPMOSトランジスタ204は、印刷データに従って駆動される。
補助駆動トランジスタであるPMOSトランジスタ200〜203は、NOR回路207の出力がHighレベルであるときに、メモリ回路116(補正メモリ回路)の補正データ出力端子Q0〜Q3の出力に従って選択的に駆動される。つまり、主駆動トランジスタであるPMOSトランジスタ204と共に、補正データ出力端子Q0〜Q3の出力に従ってPMOSトランジスタ200〜203が選択的に駆動され、PMOSトランジスタ204のドレーン電流に、選択された補助駆動トランジスタであるPMOSトランジスタ200〜203の各ドレーン電流が加算された駆動電流が、駆動電流出力端子DOからLEDアレイ(例えば、LEDアレイCHP1)に供給される。
PMOSトランジスタ200〜203が駆動されているとき、NAND回路210〜213の出力はLowレベル(すなわち、ほぼ制御電圧Vcontrolに等しいレベル)にあるので、PMOSトランジスタ200〜203のゲート電位は、ほぼ制御電圧Vcontrolに等しくなる。このとき、PMOSトランジスタ205はオフ状態にあり、NMOSトランジスタ206はオン状態にあって、PMOSトランジスタ204のゲート電位もまたほぼ制御電圧Vcontrolに等しくなる。従って、PMOSトランジスタ200〜204のドレーン電流値を、制御電圧Vcontrolにより一括して調整することができる。このとき、NAND回路210〜213は、電源電位VDDを電源とし、グランド電位Vcontrolをグランド電位として動作していることになる。
〈制御回路115の構成〉
図6は、図3に示される制御回路115の回路構成図である。
制御回路115は、フリップフロップ回路221,222,224,225と、NOR回路223と、AND回路230,231,232,233とを有する。
フリップフロップ回路221,222,224,225の負論理リセット端子Rは、LOAD端子と接続されてラッチ信号LOAD−Pが入力される。フリップフロップ回路221,222のクロック端子は、STB端子と接続されてSTB−P信号が入力される。フリップフロップ回路221,222のQ出力は、NOR回路223の入力と接続され、NOR回路223の出力は、フリップフロップ回路221のD入力と接続されている。フリップフロップ回路224,225のクロック端子はフリップフロップ回路221のQ出力に接続され、フリップフロップ回路224の端子Dはフリップフロップ回路225の端子Qと接続され、フリップフロップ回路225の端子Dはフリップフロップ回路224の出力端子QNと接続される。
AND回路233の第1入力はフリップフロップ回路225の端子Qと接続され、第2入力はフリップフロップ回路224の端子QNと接続される。AND回路232の第1入力はフリップフロップ回路225の端子Qと接続され、第2入力はフリップフロップ回路224の端子Qと接続される。AND回路231の第1入力はフリップフロップ回路225の端子QNと接続され、第2入力はフリップフロップ回路224の端子Qと接続される。AND回路230の第1入力はフリップフロップ回路225の端子QNと接続され、第2入力はフリップフロップ回路224の端子QNと接続される。
AND回路230〜233の第3入力はフリップフロップ回路222のQ出力と接続される。AND回路230〜233の出力端子は、図3に示されるメモリ回路116(例えば、図4に示されるMEMブロック151)のメモリセル選択端子W0,W1,W2,W3端子とそれぞれ接続され、メモリ回路116への書き込み指令信号となる。
〈制御電圧発生回路119の構成〉
図7は、図3に示される制御電圧発生回路119の回路構成図である。制御電圧発生回路119は、ドライバICチップ毎に1回路ずつ備えられる。
図7に示されるように、制御電圧発生回路119は、演算増幅器251と、PMOSトランジスタ252と、抵抗切り替え回路253(RDEC)とを有する。
PMOSトランジスタ252のソースは電源VDDに接続され、ゲート端子は演算増幅器251の出力端子に接続されると共に端子Vに接続される。PMOSトランジスタ252のゲート長は、図5に示されるPMOSトランジスタ200〜204のゲート長と等しく構成されている。
演算増幅器251の反転入力端子は、VREF端子に接続されて電位VREFが印加され、非反転入力端子はPMOSトランジスタ252のドレーン端子と接続されるとともに、後述する抵抗切り替え回路253の端子Rと接続されている。
演算増幅器251の出力端子はPMOSトランジスタ252のゲート端子と接続されるとともに、端子Vに接続され、図5に示されるLED駆動回路117に接続され、制御電圧Vcontrolを出力する。制御電圧Vcontrolは、LED駆動回路117への制御電圧である。制御電圧Vcontrolの値は、例えば、電源電圧VDDが5Vのとき、略3Vとなる。ただし、制御電圧Vcontrolの値は、電源電圧VDDの増減に応じて上下する。
抵抗切り替え回路253の入力端子S3〜S0は、図3に示されるメモリ回路116(例えば、図4に示されるMEMブロック151)の出力端子Q3〜Q0とそれぞれ接続されており、4本の各端子間における論理信号レベルの16通りの組み合わせに応じて、内部の抵抗を16段階に切り替えて、端子Rとグランドとの間の抵抗値を16段階に調整することができる。
図7に示される構成においては、演算増幅器251、抵抗切り替え回路253、及びPMOSトランジスタ252で構成される回路により、フィードバック制御回路を構成しており、演算増幅器251の非反転入力端子の電位は略VREFと等しくなるように制御される。このため、PMOSトランジスタ252のドレーン電流Irefは、抵抗切り替え回路253の抵抗値(例えば、16段階のR0〜R15)と、演算増幅器251に入力される基準電圧VREFとから決定される。
さらに具体的に説明すれば、入力端子S3〜S0の論理値が“1111”であり、補正状態が最大と指令されているとき、抵抗切り替え回路253の端子RとグランドGNDとの間の抵抗をR15とすると、PMOSトランジスタ252のドレーン電流Irefは、
Iref=VREF/R15
となる。
一方、入力端子S3〜S0の論理値が“0111”であり、補正状態の中心が指令されているとき、抵抗切り替え回路253の端子RとグランドGNDとの間の抵抗をR7とすると、PMOSトランジスタ252のドレーン電流Irefは、
Iref=VREF/R7
となる。
さらに、入力端子S3〜S0の論理値が“0000”であり、補正状態の最小が指令されているとき、抵抗切り替え回路253の端子RとグランドGNDとの間の抵抗をR0とすると、PMOSトランジスタ252のドレーン電流Irefは、
Iref=VREF/R0
となる。
図5に示されるPMOSトランジスタ200〜204のゲート長とPMOSトランジスタ252のゲート長とは等しく構成され、PMOSトランジスタ200〜204及びPMOSトランジスタ252は飽和領域で動作するように制御されているので、各トランジスタはカレントミラーの関係となり、PMOSトランジスタ200〜204がオンとなるときPMOSトランジスタ252のドレーン電流Irefに比例するドレーン電流を生じる。この結果、入力端子S3〜S0に与える論理値状態によりPMOSトランジスタ252のドレーン電流Iref電流を16段階に調整することができ、図5に示されるPMOSトランジスタ200〜204のドレーン電流もまた16段階に調整可能とすることができる。
〈発光素子駆動システムの構成〉
図8は、LEDヘッド19及び印刷制御部1の要部構成及び接続関係を示すブロック図である。
実施の形態1で説明するLEDヘッド19は、一例としてA3サイズの用紙に1インチ当たり600ドットの解像度で印刷可能なLEDヘッドの具体的な構成を説明する。
発光素子駆動システムは、複数のLEDアレイCHP1〜CHP40と、LEDアレイCHP1〜CHP40を駆動するドライバIC101_1〜101_40と、ドライバIC101_1〜101_40に印刷データ信号HD−DATAを伝搬する配線パターン313,314とを有するLEDヘッド19と、印刷制御部1から配線パターン313,314に印刷データ信号HD−DATAを伝搬させるケーブルとしての接続ケーブル315,316(信号ケーブル)とを備える。
LEDヘッド19は、接続ケーブル315,316により伝搬される印刷データ信号HD−DATA1,HD−DATA2がそれぞれ入力される第1の入力端子(接続コネクタ)としてのLEDヘッド部コネクタ319,320を有する。LEDヘッド19と印刷制御部1とは、LEDヘッド部コネクタ319,320(入力コネクタ端子)を介して互いに接続されている。なお、図8においては接続ケーブル315と接続ケーブル316とを独立したものとして図示しているが、ひとつの集合体とした接続ケーブルとすることもできる。接続コネクタ303及び接続コネクタ304、並びにLEDヘッド部コネクタ319及びLEDヘッド部コネクタ320についても同様である。
配線パターン313,314は、LEDヘッド19内のプリント配線板上に備えられる。LEDヘッド19は、配線パターン313,314にそれぞれ直列に接続される抵抗体としての抵抗311,312を有する。抵抗311は、LEDヘッド部コネクタ319とドライバIC101_1の入力端子DATAIとの間に備えられる。抵抗312は、LEDヘッド部コネクタ320とドライバIC101_21の入力端子DATAIとの間に備えられる。抵抗311は、LEDヘッド部コネクタ319とドライバIC101_1の入力端子DATAIとの間において、LEDヘッド部コネクタ319の近傍に備えられることが望ましい。抵抗312は、LEDヘッド部コネクタ320とドライバIC101_21の入力端子DATAIとの間において、LEDヘッド部コネクタ320の近傍に備えられることが望ましい。
ただし、抵抗311を除く配線パターン313の特性インピーダンスは、接続ケーブル315の特性インピーダンスよりも高い。同様に、抵抗312を除く配線パターン314の特性インピーダンスは、接続ケーブル316の特性インピーダンスよりも高い。
配線パターン313に抵抗311を挿入することにより、LEDヘッド部コネクタ319から配線パターン313を見たときの特性インピーダンスを接続ケーブル315の特性インピーダンスに近づけることができる。同様に、配線パターン314に抵抗312を挿入することにより、LEDヘッド部コネクタ320から配線パターン314を見たときの特性インピーダンスを接続ケーブル316の特性インピーダンスに近づけることができる。
LEDヘッド19は、LED素子の総数が7680ドットとなるように構成される。そのため、LEDヘッド19には、例えば、40個のLEDアレイCHP1〜40が配列される。LEDアレイCHP1〜40の各々は、192個のLED素子(LED素子L1〜L192)を含む。LED素子L1〜L192の各々のカソード端子はグランドGNDに接続され、各アノード端子は、図2に示されるように、ワイヤーボンディング配線等により、隣接して配置されたドライバIC101_1〜101_40の駆動出力端子DO1〜DO192(LED駆動端子)とそれぞれ接続される。
印刷制御部1は、ASIC−LSI(特定用途向け集積回路)300を有する。なお、ASIC−LSI300は、印刷制御部1におけるデータ信号発生源でもある。
印刷制御部1は、接続ケーブル315,316がそれぞれ接続される接続コネクタ303,304を有する。
ASIC−LSI300は、2系統のデータ出力端子D1,D2を備え、それぞれ抵抗301,302を介してLEDヘッド19と接続されている。
印刷データ信号HD−DATA1,HD−DATA2は、接続ケーブル315,316によりそれぞれ伝送される。
LEDヘッド19に備えられるドライバIC101_1〜101_40は、通常、CMOS半導体製造プロセスを用いて作成され、LEDアレイCHP1〜CHP40をそれぞれ駆動する。
図8に示されるように、印刷データ信号HD−DATAは、2つのポートに分けられ、第1ポートの信号である印刷データ信号HD−DATA1は、印刷データ信号HD−DATA13〜10を含み、第2ポートの信号である印刷データ信号HD−DATA2は、印刷データ信号HD−DATA23〜20を含む。
印刷データ信号HD−DATA1,HD−DATA2は、クロック信号HD−CLKと共にLEDヘッド19に入力される。具体的には、印刷データ信号HD−DATA1は、ドライバIC101_1に入力され、印刷データ信号HD−DATA2は、ドライバIC101_21に入力される。
LEDヘッド19は、例えば、A3サイズの用紙に印刷するプリンタに適用可能である。LEDヘッド19を、例えば、1インチ当たり600ドットの解像度を持つプリンタに適用する場合、総計7680ドット分のビットデータが、後述するフリップフロップ回路から成るシフトレジスタ中に順次転送される。
LEDヘッド19には、ラッチ信号HD−LOADが入力され、ビットデータは、後述するラッチ回路にラッチされる。続いて、ビットデータと印刷駆動信号HD−STB−Nとによって、LED素子のうち、High(高)レベルであるドットデータに対応するものが点灯される。
図8に示されるように、LEDヘッド19において、ドライバIC101_1〜101_40は、ドライバIC101_1〜101_20を含むブロック1とドライバIC101_21〜101_40を含むブロック2とに区分される。ドライバIC101_1は、ブロック1において、カスケードに接続された複数のドライバICの内の初段のドライバICである。ドライバIC101_21は、ブロック2において、カスケードに接続された複数のドライバICの内の初段のドライバICである。
ASIC−LSI300のデータ出力端子D1から出力されるデータ信号は、抵抗301、LEDヘッド部コネクタ319、抵抗311、及び配線パターン313を通してドライバIC101_1の入力端子DATAIに入力される。ドライバIC101_1からドライバIC101_20までの間は、カスケード接続される。例えば、ドライバIC101_1の出力端子DATAOは、隣接するドライバIC101_2の入力端子DATAIに接続され、以下同様に、ドライバIC101_20まで接続されることにより、データ出力端子D1から出力されるデータ信号が伝達される。
同様に、ASIC−LSI300のデータ出力端子D2から出力されるデータ信号は、抵抗302、LEDヘッド部コネクタ320、抵抗312、及び配線パターン314を通してドライバIC101_21の入力端子DATAIに入力される。ドライバIC101_21からドライバIC101_40までの間は、カスケード接続される。例えば、ドライバIC101_21の出力端子DATAOは、隣接するドライバIC101_22の入力端子DATAIに接続され、以下同様にドライバIC101_40まで接続されることにより、データ出力端子D2から出力されるデータ信号は、ドライバIC101_21からドライバIC101_40まで伝達される。
図8に示される印刷データ信号HD−DATA1,HD−DATA2は、それぞれ4本の印刷データ信号を含み、隣接するLED4素子(4画素)分のデータをクロック信号毎に同時に送出することができる。
図8に示される例では、抵抗312とドライバIC101_21との間の距離は、抵抗311とドライバIC101_1との間の距離もよりも長い。言い換えると、配線パターン314は、配線パターン313よりも長い。
〈LEDヘッド19のプリント基板パターンの構成〉
図9(a)は、図8に示されるLEDヘッド19のプリント配線板321上の構成を拡大して示す拡大平面図である。図9(b)は、図9(a)に示されるLEDヘッド19の断面図である。
図9(a)には、LEDヘッド19が有するドライバIC101_1〜101_40の内、ドライバIC101_1〜101_3のみが示され、同様に、LEDアレイCHP1〜40の内、LEDアレイCHP1〜CHP3のみが示されている。
印刷制御部1とLEDヘッド19とは、接続ケーブル315,316及び接続コネクタとしてのLEDヘッド部コネクタ319,320により接続されている。LEDヘッド部コネクタ319,320は、LEDヘッド19の基板上に備えられる。
LEDヘッド19は、ドライバIC101_1〜101_40等の回路部品を搭載するプリント基板としてのプリント配線板321を有する。プリント配線板321上には、ドライバIC101_1〜101_40と、LEDアレイCHP1〜40と、制御端子パッド324と、制御端子パッド325(グランドパッド)と、ボンディングワイヤー326,327,328とが備えられる。
ボンディングワイヤー326は、例えば、ドライバIC101_1と制御端子パッド324とを接続する。ボンディングワイヤー327は、例えば、ドライバIC101_1の駆動出力端子DO1〜DO192とLEDアレイCHP1のアノード端子パッドとを接続する(図2)。ボンディングワイヤー328は、例えば、LEDアレイCHP1のカソード端子と制御端子パッド325とを接続する。
抵抗311は、LEDヘッド部コネクタ319とドライバIC101_1の入力端子DATAI3〜0との間において、LEDヘッド部コネクタ319側に配置される。同様に、抵抗312は、LEDヘッド部コネクタ320とドライバIC101_21の入力端子DATAI3〜0との間において、LEDヘッド部コネクタ320側に配置される。
なお、抵抗311とドライバIC101_1とを接続するプリント配線板321上の配線パターン313の配線長は短いので、配線パターン313を伝送線路としての取り扱う必要性は低い。そのため、後述する信号反射の影響は無視することができ、抵抗311を備えない構成としてもよい。
〈LEDヘッドの断面構成〉
図10は、LEDヘッド19の構成を概略的に示す断面図である。
図10に示されるように、LEDヘッド19はベース部材291と、ベース部材291にて固定されたプリント配線板280と、柱状の光学素子を多数配列してなるロッドレンズアレイ292と、ロッドレンズアレイ292を保持するホルダ293と、290と291、ホルダ293とを固定するクランプ部材294,295とで構成される。
なお、ICチップ281(例えば、ドライバIC101_1)は、駆動回路等が集積されたICチップである。LEDアレイ282(例えば、LEDアレイCHP1)は、ICチップ281と対向して配置されたLEDアレイである。なお、ICチップ281とLEDアレイ282とは、図9(a)及び(b)に示されるように、ボンディングワイヤー327により接続されている。
〈LEDヘッド19の動作〉
図11は、LEDヘッド19の各部の動作を示すタイムチャートである。
具体的には、図11に示されるタイムチャートは、プリンタの電源投入後に、LEDヘッド19の内のブロック1に対して行われる補正データ転送処理及び補正データ転送処理の後に行われる印刷データ転送の動作を示す。ただし、LEDヘッド19の内のブロック2の動作も図11に示される動作と同様に動作可能である。
補正データの転送開始に先立ち、引き続くデータ転送が補正データであることを示すため、ラッチ信号HD−LOADをHighレベルにする(A部)。
次に、1ドットあたりbit3〜bit0の4ビットからなる補正データb3,b2,b1,b0の内、補正データのbit3(b3)を、印刷データ信号HD−DATA13〜10をクロック信号HD−CLKに同期して入力して、図3に示されるフリップフロップ回路(FFA1〜FFD48)で構成されるシフトレジスタ中へシフト入力する。シフト入力が完了すると、印刷駆動信号HD−STB−Nが3パルス入力され(B部)、図6に示される制御回路115の動作が行われる。
図11に示される信号Q1,Q2,Q3,Q4は、それぞれ図6に示されるフリップフロップ回路221,222,224,225のQ出力信号である。信号W3,W2,W1,W0は、AND回路233,232,231,230からの各出力信号である。
図11に示されるように、印刷駆動信号HD−STB−Nの1パルス目が入力されると(B部)、信号Q1が発生し(F部)、次いで、印刷駆動信号HD−STB−Nの2パルス目が入力されると(B部)、信号Q2が発生する(G部)。
また、信号Q1が立ち上がると信号Q3は状態反転し、例えば、O部に示されるように信号Q3はHighレベルに遷移する。
また、A部に示されるように、ラッチ信号HD−LOADがLowレベルの場合には、図6に示されるフリップフロップ回路221,222,224,225のリセット端子(端子R)はアクティブであり、各フリップフロップ回路のQ出力はLowレベルとなっている。
図11に示されるように、信号W3〜W0は、信号Q2に引き続いて発生する。また、信号W3〜W0は、W3信号が発生し(S部)、次いで、信号W2(T部)、信号W1(U部)、信号W0(V部)が順に発生する。
信号W3〜W0(パルス信号)がそれぞれ発生するごとに、図4に示されるメモリ回路116にデータの書き込みが行われ、信号W3〜W0(パルス信号)によりメモリ素子へのデータ書き込みが行われる。
以上の過程を経て、補正データのbit3〜bit0の全てのデータ書き込みが完了すると、W部に示されるように、ラッチ信号HD−LOADをLowレベルとし、印刷データ(印刷データ信号HD−DATA13〜10)の転送が可能な状態に遷移する。
ラッチ信号HD−LOADがLowレベルになると、図6に示されるフリップフロップ回路221,222,224,225はリセットされ、フリップフロップ回路221,222,224,225のQ出力は再びLowレベルとなる。
次に、印刷データ(印刷データ信号HD−DATA13〜10)が転送され(X部)、ラッチ信号HD−LOADのパルス(Y部)により、シフトレジスタ(FFA1〜FFD1,・・・,FFA48〜FFD48)にシフト入力された印刷データ(印刷データ信号HD−DATA13〜10)がラッチ素子(LTA1〜LTD1,・・・,LTA48〜LTD48)へラッチされる。
さらに、Z部に示されるように、印刷駆動信号HD−STB−NがLowレベルへと遷移して、LED素子L1〜L192の発光駆動が行われ、印刷駆動信号HD−STB−NがLowレベルとなっている期間にLED素子L1〜L192は点灯状態となる。印刷駆動信号HD−STB−NがHighレベルに戻ると、LED素子L1〜L192は消灯する。
〈印刷制御部1及びLEDヘッド19の動作等価回路〉
図12は、図8に示される印刷制御部1及びLEDヘッド19の等価回路の構成を示すブロック図である。
図12に示される等価回路は、印刷制御部1とドライバIC101_21とが、接続ケーブル316及び配線パターン314により接続された回路に対応する構成を示す。ただし、図12に基づいて説明する構成例は、印刷制御部1とドライバIC101_1とが、接続ケーブル315及び配線パターン313により接続された回路に対応する等価回路の構成にも適用可能である。
図12において、印刷制御部1内のASIC−LSI331は、定電圧パルス源Vsとしてモデル化したものであり、図8に示されるASIC−LSI300に相当する。
抵抗332は、図8に示される抵抗302に相当し、抵抗332の抵抗値をR1とする。
接続ケーブル333は、印刷制御部1とLEDヘッド19とを接続する接続ケーブル(図8に示される接続ケーブル316に相当)を伝送線路としてモデル化しており、接続ケーブル333の特性インピーダンスをZo1とする。
なお、接続ケーブル333として同軸ケーブルを用いる場合、一般的に入手可能なものとしては日本工業規格JISC3501に準拠したもケーブルがあり、特性インピーダンスは、50Ω又は75Ωに限定され、任意に選択することができないという設計上の制約がある。このため、図12に示される例では、接続ケーブル333の特性インピーダンスをZo1=50Ωとする。
抵抗334は、図8に示される抵抗312に相当し、抵抗334の抵抗値(直列抵抗値)をR2とする。
配線パターン335は、図8に示されるLEDヘッド19のプリント配線板上に備えられた配線パターン314を伝送線路としてモデル化したものである。抵抗334を除く配線パターン335の特性インピーダンスをZo2=100Ωとする。
ドライバIC101_21は、入力端子DATAIをキャパシタCiとしてモデル化したものである。キャパシタCiは、ドライバIC101_21の入力端子DATAIの静電容量をモデル化したものであり、典型的には、ドライバIC端子のパッドの浮遊容量、ドライバIC内のESD(静電気放電)保護素子、及び入力バッファの静電容量などを合計したものである。
なお、図12に示される抵抗332の抵抗値R1は、接続ケーブル333の特性インピーダンスZo1と等しくなるように、R1=Zo1と設定する。
抵抗334の抵抗値R2は、プリント配線板のパターンが作る特性インピーダンスZo2及びZo1との関係が、下記の式(1)を満たすように設定する。
R2=Zo2−Zo1 式(1)
図13(a)は、図12に示される等価回路の印刷制御部1における信号波形を示す信号波形図であり、図13(b)は、図12に示される等価回路のLEDヘッド19における信号波形を示す信号波形図である。グラフの横軸は時間t[s]、縦軸は電圧[V]を示す。
図13(a)及び(b)に示される信号波形図は、印刷制御部1とドライバIC101_21とが、接続ケーブル316及び配線パターン314により接続された回路に対応する等価回路における印刷制御部1及びLEDヘッド19(具体的には、ドライバIC101_21の入力端子DATAI)の信号波形をそれぞれ示す。ただし、図13(a)及び(b)に基づいて説明する信号波形は、印刷制御部1とドライバIC101_1とが、接続ケーブル315及び配線パターン313により接続された回路に対応する等価回路における印刷制御部1及びLEDヘッド19(具体的には、ドライバIC101_1の入力端子DATAI)の信号波形にも共通する。
図13(a)に示される信号源Vsは、図12に示される定電圧パルス源Vsの出力波形を示し、Lowレベルは0Vであり、Highレベルは5Vである。信号源Vsは、時刻t1でLowからHighに遷移した後、時刻t2で立ち下がり、再び時刻t3で立ち上がり、時刻t4で立ち下がる波形となっている。
図13(b)に示される信号Viは、図12に示されるドライバIC101_21の入力端子DATAIにおける信号Viの出力波形を示し、信号源Vsが時刻t1で立ち上がった後、時間Tdだけ遅れて、信号Vi波形はA部に示されるように立ち上がる。
同様に、信号源Vsが時刻t2で立ち下がった後、時間Tdだけ遅れて、信号Vi波形はD部に示されるように立ち下がる。なお、時間Tdは、接続ケーブル333の伝搬遅延時間と配線パターン335の伝搬遅延時間とを合計した値に相当する。
ここで、ドライバIC101_21の入力端子DATAIにおける信号Viの出力波形は、信号源Vsの出力波形と略等しく、信号遷移においてオーバシュート及びアンダシュートが発生していない。また、ドライバIC101_21の入力端子DATAIにおいて信号ViのLowレベル(0V)からHighレベル(5V)までの波形遷移時に信号波形の段差(段差状の出力波形)を生じることがないので、信号ViのHighレベル(5V)又はLowレベル(0V)の閾値電圧付近において、波形遷移時に生じ得る波形段差と重なることもない。そのため、図3に示されるフリップフロップ回路FFA1〜FFD1等においてセットアップ時間又はホールド時間が増加してしまうことに起因する、最大動作クロック周波数を低下させるといった問題を未然に防止することが可能となる。
図13(b)に示される入力端子DATAIにおける信号Viにオーバシュート又はアンダシュートが生じない理由について説明する。
図12において、信号源Vsにより発生された信号パルスは、接続ケーブル333により図12の左側から右側に向かって伝搬され、さらに、配線パターン335(領域B)を図12の左側から右側に向かって伝搬される。
信号源Vsにより発生された信号パルスは、ドライバIC101_21の入力端子DATAIに到達し、微小なキャパシタンスCiはあるものの、ほぼ開放状態である末端で信号反射し、入力端子DATAIから矢印の方向(図12の右側から左側に向かう方向)に向かって配線パターン335により伝搬され、領域B(抵抗334の手前)に至る。
ここで、領域Bにおいて抵抗334(ドライバIC101_21から印刷制御部1に向かう方向)を見た場合の抵抗値(インピーダンス)は、特性インピーダンスZo1と抵抗値R2とを加算した値であり、抵抗値R2は、関係式Zo1+R2=Zo2を満たすように定められている。
抵抗値R2が、この関係式(すなわち、式1)を満たすように定められることにより、領域B(すなわち、配線パターン335)において信号反射なく接続ケーブル333によりドライバIC101_21から印刷制御部1に向かう方向に、信号パルスを伝搬させることができる。
ただし、抵抗値R2は、関係式Zo1+R2=Zo2を厳密に満たすように定められる必要はない。例えば、抵抗値R2は、(Zo2ーZo1)により算出される値の近傍に設定されてもよい。
接続ケーブル333により図12の右側から左側に向かって伝搬された信号は、抵抗332によって終端させられる。これにより、信号パルスが、接続ケーブル333において印刷制御部1からドライバIC101_21に向かう方向に多重に伝搬されることを防止できる。
〈比較例〉
図14は、比較例としての発光素子駆動システム及び印刷制御部1の要部構成及び接続関係を示すブロック図である。
図14に示される比較例としての発光素子駆動システム及び印刷制御部1は、図8に示される発光素子駆動システム及び印刷制御部1に対応し、互いに同一の構成要素には同一の符号を付している。図14に示される比較例としての発光素子駆動システムの構成は、図8に示される抵抗311,312を備えていない点で、図8に示される発光素子駆動システムの構成と異なり、その他の点は、互いに同じ構成である。
図15は、図14に示される比較例としての発光素子駆動システム及び印刷制御部1の等価回路の構成を示すブロック図である。
図15に示される比較例としての等価回路は、図12に示される等価回路に対応し、互いに同一の構成要素には同一の符号を付している。図15に示される比較例としての等価回路は、図12に示される抵抗334を備えていない点で、図12に示される等価回路と異なり、その他の点は、互いに同じである。
図16(a)は、図15に示される等価回路の印刷制御部1における信号波形を示す信号波形図である。図16(b)は、図15に示される等価回路のLEDヘッド19における信号波形を示す信号波形図である。グラフの横軸は時間t[s]、縦軸は電圧[V]を示す。
図16(a)及び(b)に示される信号波形図は、図13(a)及び(b)に示される信号波形図に対応する。
図16(a)に示される信号源Vsは、図15に示される定電圧パルス源Vsの出力波形を示し、Lowレベルは0Vであり、Highレベルは5Vである。信号源Vsは、時刻t1でLowからHighに遷移した後、時刻t2で立ち下がり、再び時刻t3で立ち上がり、時刻t4で立ち下がる波形となっている。
図16(b)に示される信号Viは、図15に示されるドライバIC101_21の入力端子DATAIにおける信号Viの出力波形を示し、信号源Vsが時刻t1で立ち上がった後、時間Tdだけ遅れて、信号Vi波形はA部に示されるように立ち上がる。
同様に、信号源Vsが時刻t2で立ち下がった後、時間Tdだけ遅れて、信号Vi波形はD部に示されるように立ち下がる。なお、時間Tdは、接続ケーブル333の伝搬遅延時間と配線パターン335の伝搬遅延時間とを合計した値に相当する。
図15において、信号源Vsにより発生された信号パルスは、抵抗332を通り、接続ケーブル333を図15の左側から右側に向かって伝搬され、さらに、配線パターン335(領域B)を図15の左側から右側に向かって伝搬される。このとき、接続ケーブル333と配線パターン335との間の位置において、両側の特性インピーダンスZo1=50ΩとZo2=100Ωとが差を生じており(すなわち、Zo1≠Zo2)、信号源Vsにより発生された信号パルスの一部は、例えば、領域B内の任意の点(例えば、配線パターン335の内の任意の点)において信号反射して、矢印の方向(図15の右側から左側に向かう方向)に向かって反射する。
一方、図15に示される領域Bにおいて、配線パターン335を図15の左側から右側に向かって伝搬された信号パルスは、図15に示される領域Aを通過してドライバIC101_21の入力端子DATAIに到達し、微小なキャパシタンスCiはあるものの、ほぼ開放状態である末端で信号反射し、入力端子DATAIから矢印の方向(図15の右側から左側に向かう方向)に向かって配線パターン335により伝搬され、領域Bに至る。
ここで、領域BにおいてドライバIC101_21から印刷制御部1に向かう方向を見た場合の特性インピーダンスZo1は、Zo1≠Zo2であるため、ドライバIC101_21から領域Bに到達した信号パルスは、領域Bにおいて反射(信号反射)して配線パターン335を図15の左側から右側に向かって伝搬されて領域Aに至る。
このような結果、図16(b)に示されるように、時刻t1から時間Tdだけ遅れて信号Viの波形が立ち上がるが、信号源VsのHighレベルである5Vよりもオーバシュートして電位差V1だけ高い電位(Vi=5+V1[V])にまで上昇する(A部)。このようなオーバシュート波形は、ドライバIC101_21内に印加され、ラッチアップ破壊を引き起こす。
また、信号Viは、図16(b)に示されるように、オーバシュートした後、波形が立ち下がり、電位5Vよりも下がった値にまで降下する(B部)。続いて、信号Viは、C部に示されるように、再び電位が上昇に転じ、電位5Vよりも僅かに高くなり、次第に電位5Vに収束していく(C部)。
信号Viは、時刻t2から時間Tdだけ遅れて波形が立ち下がり、信号源VsのLowレベルである0Vよりもアンダシュートして電位差V2だけ低い電位にまで降下する(D部)。このようなアンダシュート波形は、ドライバIC101_21内に印加され、ラッチアップ破壊を引き起こす。
信号Viは、アンダシュートした後、波形が立ち上がり、電位0Vよりも上がった値にまで上昇する(E部)。信号Viは、再び電位が下降に転じ、電位0Vよりも僅かに低くなり、次第に電位0Vに収束していく(F部)。
このように、比較例においては、図15に示される領域B(すなわち、配線パターン335)において信号反射を生じることにより、ドライバIC101_21の入力端子DATAIの信号波形に大きなオーバシュート及びアンダシュートを生じてしまい、オーバシュート及びアンダシュートの程度によっては、ドライバIC101_21のラッチアップ破壊を引き起こす要因となる。
比較例のように、LEDヘッド19において、シフトレジスタは、LEDヘッド19の長手方向に複数に分割され、複数のデータ入力ポートを備えている。そのため、LEDヘッド部コネクタ(信号入力コネクタ)とドライバICとの間のデータ信号配線(例えば、配線パターン)の配線長は、データ入力ポートポートによって異なる。LEDヘッド19において、LEDヘッド部コネクタとドライバICとの間のデータ信号配線(例えば、配線パターン)の配線長が長くなるほど、LEDヘッド19内のデータ信号配線(例えば、配線パターン)と接続ケーブル315,316とは、特性インピーダンスが不整合状態となり、LEDヘッド19内において信号反射を生じやすい。比較例では、例えば、配線パターン313の配線長よりも配線パターン314の配線長の方が長いため、配線パターン314に接続されたドライバIC101_21の入力端子DATAIにおいて、オーバシュート波形又はアンダシュート波形が生じやすい。
〈実施の形態1の効果〉
実施の形態1によれば、発光素子駆動システムのLEDヘッド19において、配線パターン(例えば、配線パターン314)の特性インピーダンスを接続ケーブル(例えば、接続ケーブル316)の特性インピーダンスに近づける抵抗(例えば、抵抗312)が、配線パターンに備えられているので、ドライバIC(例えば、ドライバIC101_21)の入力端子DATAIにおける信号のオーバシュート波形又はアンダシュート波形の発生を防止することができ、ドライバICの故障を防止することができる。
接続ケーブル(例えば、接続ケーブル316)の特性インピーダンスをZo1とし、配線パターン(例えば、配線パターン314)の特性インピーダンスをZo2とし、配線パターンに直列接続された抵抗(例えば、抵抗312)の抵抗値(直列抵抗値)をR2とするとき、抵抗値R2が上記式(1)を満たすように設定することにより、LEDヘッド部コネクタ(例えば、LEDヘッド部コネクタ320)とドライバIC(例えば、ドライバIC101_21)との間において接続ケーブル(ドライバICから印刷制御部1に向かう方向)を見た場合の抵抗値(インピーダンス)を、配線パターンの特性インピーダンス(抵抗値R2を除く)と等しくすることができるので、LEDヘッド部コネクタとドライバICとの間における信号反射を防止することができ、信号波形のオーバシュート又はアンダシュートを防止して、ドライバICのラッチアップ破壊を未然に防止することができる。
また、実施の形態1によれば、発光素子駆動システムのクロック周波数を変化させた場合でも、また、接続ケーブル長を変更した場合でも、いずれの場合もLEDヘッド19における信号波形の異常発生を防止することができる。したがって、プリンタによる印刷動作の高速化を目的としてクロック周波数を増加させた場合でも、信号反射に起因するLEDヘッド19の誤動作を防止することができる。
《実施の形態2》
〈発光素子駆動システムの構成〉
図17は、本発明の実施の形態2におけるLEDヘッド19及び印刷制御部1の腰部構成及び接続関係を示すブロック図である。
実施の形態2に係る発光素子駆動システムは、配線パターン413,414にそれぞれ挿入される抵抗体としての抵抗411,412の接続方法が、実施の形態1に係る発光素子駆動システムに備えられる抵抗311,312の接続方法と異なる。また、実施の形態2に係る発光素子駆動システムにおける配線パターン413,414の特性インピーダンスの値が、実施の形態2に係る発光素子駆動システムにおける配線パターン313,314の特性インピーダンスの値と異なる。これらの点以外についての実施の形態2に係る発光素子駆動システムの構成は、実施の形態1に係る発光素子駆動システムの構成と同一なので、実施の形態2に係る発光素子駆動システムの各構成要素について、実施の形態1で説明した制御系100内の各構成要素と同じ構成要素については、実施の形態1で説明した構成要素と同一の符号を付して説明を省略する。
図17に示されるように、抵抗体としての抵抗411,412は、配線パターン413,414(信号配線)とグランドGNDとの間にそれぞれ接続されている。具体的には、抵抗411は、配線パターン413に接続された一端と、グランドGNDに接続された他端とを有する。同様に、抵抗412は、配線パターン414に接続された一端と、グランドGNDに接続された他端とを有する。
配線パターン413,414は、LEDヘッド19内のプリント配線板上に備えられる。抵抗411を除く配線パターン413の特性インピーダンスは、接続ケーブル315の特性インピーダンスよりも低い。同様に、抵抗412を除く配線パターン414の特性インピーダンスは、接続ケーブル316の特性インピーダンスよりも高い。
〈印刷制御部1及びLEDヘッド19の動作等価回路〉
図18は、図17に示される印刷制御部1及びLEDヘッド19の等価回路の構成を示すブロック図である。
図18に示される等価回路は、印刷制御部1とドライバIC101_21とが、接続ケーブル316及び配線パターン414により接続された回路に対応する構成を示す。ただし、図18に基づいて説明する構成例は、印刷制御部1とドライバIC101_1とが、接続ケーブル315及び配線パターン413により接続された回路に対応する等価回路の構成にも適用可能である。
抵抗334は、図17に示される抵抗412に相当し、抵抗334の抵抗値をR3とする。
配線パターン335は、図17に示されるLEDヘッド19のプリント配線板上に備えられた配線パターン414を伝送線路としてモデル化したものである。抵抗412を除く配線パターン335の特性インピーダンスをZo2=40Ωとする。
なお、図18に示される抵抗332の抵抗値R1は、接続ケーブル333の特性インピーダンスZo1=50Ωと等しくなるように、R1=Zo1と設定する。
抵抗334の抵抗値R3は、プリント配線板の配線パターン335が作る特性インピーダンスZo2及び接続ケーブル333の特性インピーダンスZo1との関係が、
Zo2=(Zo1×R3)/(Zo1+R3) 式(2)
を満たすように設定する。
実施の形態1における接続ケーブル333の特性インピーダンスZo1と配線パターン335の特性インピーダンスZo2との関係は、Zo1<Zo2であったが、実施の形態2における接続ケーブル333の特性インピーダンスZo1と配線パターン335の特性インピーダンスZo2との関係は、Zo1>Zo2となる。
具体的には、実施の形態1では、LEDヘッド19のプリント配線板321を2層基板とした場合に、Zo1<Zo2となる。一方、実施の形態2では、LEDヘッド19のプリント配線板321を4層又は6層等の多層基板を用いることで、層間絶縁膜の厚みが減少し、プリント配線板321のパターンが作る特性インピーダンスZo2が低下する場合に、Zo1>Zo2となる。
Zo1=50Ω、R3=200Ωとするとき、式(2)に具体的な数値をあてはめて計算すると、
Zo2=(50×200)/(50+200)=40Ω
となり、式(2)を満たす。
図19(a)は、図18に示される等価回路の印刷制御部における信号波形を示す信号波形図である。図19(b)は、図18に示される等価回路のLEDヘッドにおける信号波形を示す信号波形図である。グラフの横軸は時間t[s]、縦軸は電圧[V]を示す。
図19(a)及び(b)に示される信号波形図は、印刷制御部1とドライバIC101_21とが、接続ケーブル316及び配線パターン414により接続された回路に対応する等価回路における印刷制御部1及びLEDヘッド19(具体的には、ドライバIC101_21の入力端子DATAI)の信号波形をそれぞれ示す。ただし、図19(a)及び(b)に基づいて説明する信号波形は、印刷制御部1とドライバIC101_1とが、接続ケーブル315及び配線パターン413により接続された回路に対応する等価回路における印刷制御部1及びLEDヘッド19(具体的には、ドライバIC101_1の入力端子DATAI)の信号波形にも共通する。
図19(a)に示される信号源Vsは、図18に示される定電圧パルス源Vsの出力波形を示し、Lowレベルは0Vであり、Highレベルは5Vである。信号源Vsは、時刻t1でLowからHighに遷移した後、時刻t2で立ち下がり、再び時刻t3で立ち上がり、時刻t4で立ち下がる波形となっている。
図19(b)に示される信号Viは、図18に示されるドライバIC101_21の入力端子DATAIにおける信号Viの出力波形を示し、信号源Vsが時刻t1で立ち上がった後、時間Tdだけ遅れて、信号Vi波形はA部に示されるように立ち上がる。
同様に、信号源Vsが時刻t2で立ち下がった後、時間Tdだけ遅れて、信号Vi波形はD部に示されるように立ち下がる。なお、時間Tdは、接続ケーブル333の伝搬遅延時間と配線パターン335の伝搬遅延時間を合計した値に相当する。
ここで、ドライバIC101_21の入力端子DATAIにおける信号Viの出力波形は、例えば、信号源Vsの出力波形におけるHighレベル(5V)よりも僅かに低い4Vとなるが、信号遷移時においてオーバシュート及びアンダシュートは発生していない。また、ドライバIC101_21の入力端子DATAIにおいて信号ViのLowレベル(0V)から4Vまでの波形遷移時に信号波形の段差(段差状の出力波形)を生じることがないので、信号ViのHighレベル(4V)又はLowレベル(0V)の閾値電圧付近において、波形遷移時に生じ得る波形段差と重なることもない。そのため、図3に示されるフリップフロップ回路FFA1〜FFD1等においてセットアップ時間又はホールド時間が増加してしまうことに起因する、最大動作クロック周波数を低下させるといった問題を未然に防止することが可能となる。
図19(b)に示される入力端子DATAIにおける信号Viにオーバシュート又はアンダシュートが生じない理由について説明する。
図18において、信号源Vsにより発生された信号パルスは、接続ケーブル333を図18の左側から右側に向かって伝搬され、さらに、配線パターン335(領域B)を図18の左側から右側に向かって伝搬される。
信号源Vsにより発生された信号パルスは、ドライバIC101_21の入力端子DATAIに到達し、微小なキャパシタンスCiはあるものの、ほぼ開放状態である末端で信号反射し、入力端子DATAIから矢印の方向(図18の右側から左側に向かう方向)に向かって配線パターン335により伝搬され、領域B(抵抗334の手前)に至る。
ここで、領域Bにおいて抵抗334及び接続ケーブル333(ドライバIC101_21から印刷制御部1に向かう方向)を見た場合の抵抗値は、接続ケーブル333の特性インピーダンスZo1と抵抗334の抵抗値R3との並列合成抵抗値に等しく、抵抗値R3と、特性インピーダンスZo1,Zo2との関係は、下記式(3)により表すことができる。
Zo2=(Zo1×R3)/(Zo1+R3) 式(3)
さらに、抵抗値R3は、上記式(3)を変形して、下記式(4)のように表すことができ、下記式(4)を満たすように定められる。
R3=(Zo1×Zo2)/(Zo1−Zo2) 式(4)
抵抗値R3が、式(4)を満たすように定められることにより、領域B(すなわち、配線パターン335)において信号反射なく接続ケーブル333によりドライバIC101_21から印刷制御部1に向かう方向に、信号パルスを伝搬させることができる。
ただし、抵抗値R3は、式(4)を厳密に満たすように定められる必要はない。例えば、抵抗値R3は、式(4)により算出される値の近傍に設定されてもよい。
接続ケーブル333により図18の右側から左側に向かって伝搬された信号は、抵抗332によって終端させられる。これにより、信号パルスが、接続ケーブル333において印刷制御部1からドライバIC101_21に向かう方向に多重に伝搬されることを防止できる。
〈実施の形態2の効果〉
実施の形態2によれば、接続ケーブル(例えば、接続ケーブル316)の特性インピーダンスをZo1とし、配線パターン(例えば、配線パターン314)の特性インピーダンスをZo2とし、配線パターンに一端が接続された抵抗(例えば、抵抗312)の抵抗値をR3とするとき、抵抗値R3が上記式(4)を満たすように設定することにより、LEDヘッド部コネクタ(例えば、LEDヘッド部コネクタ320)とドライバIC(例えば、ドライバIC101_21)との間において接続ケーブル(ドライバICから印刷制御部1に向かう方向)を見た場合の抵抗値(インピーダンス)を、配線パターンの特性インピーダンス(抵抗値R3を除く)と等しくすることができるので、LEDヘッド部コネクタとドライバICとの間における信号反射を防止することができ、信号波形のオーバシュート又はアンダシュートを防止して、ドライバICのラッチアップ破壊を未然に防止することができる。
また、実施の形態2によれば、発光素子駆動システムのクロック周波数を変化させた場合でも、また、接続ケーブル長を変更した場合でも、いずれの場合もLEDヘッド19における信号波形の異常発生を防止することができる。したがって、プリンタによる印刷動作の高速化を目的としてクロック周波数を増加させた場合でも、信号反射に起因するLEDヘッド19の誤動作を防止することができる。
《実施の形態3》
〈画像形成装置600の構成〉
図20は、本発明の実施の形態3に係る画像形成装置600の構成を概略的に示す断面図である。
画像形成装置600は、例えば、電子写真プリンタであり、実施の形態1及び2で説明した電子写真プリンタの制御系100を含む。
画像形成装置600は、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、及びシアン(C)の各色の画像を、それぞれ形成する4つのプロセスユニット601,602,603,604を有する。プロセスユニット601,602,603,604は、記録媒体605の搬送経路の上流側から順に配置されている。
プロセスユニット601,602,603,604の内部構成は共通しているため、マゼンタのプロセスユニット601を例として、各プロセスユニットの内部構成を説明する。
プロセスユニット603には、例えば、印刷データ信号HD−DATA1,HD−DATA2に基づく光が照射される像担持体としての感光体ドラム601aが、矢印方向に回転可能に配置される。感光体ドラム601aの周囲には、回転方向上流側から順に、帯電装置601b、露光装置601c、現像装置601d、及びクリーニング装置601eが備えられている。
帯電装置601bは、図1に示される現像器27に含まれる。帯電装置601bは、図1に示される帯電用高圧電源25により、電位(バイアス)が印加され、感光体ドラム601aの表面に電荷を供給して帯電させる。露光装置601cは、帯電された感光体ドラム601aの表面に選択的に光を照射して静電潜像を形成する。露光装置601cとしては、実施の形態1及び2で説明したLEDヘッド19が用いられる。
現像装置601dは、静電潜像が形成された感光体ドラム601aの表面に、所定の色(例えば、マゼンタ)のトナーを付着させて顕像を発生させる。現像装置601dは、図1に示される現像器27に含まれる。
クリーニング装置601eは、感光体ドラム601a上のトナーの顕像を転写した際に残留したトナーを除去する。
プロセスユニット603内の各装置に用いられるドラム又はローラは、画像形成装置600内に備えられた駆動源からギアなどを経由して動力が伝達され、回転することができる。例えば、現像装置601d内の現像ローラは、図1に示される現像・転写プロセス用モータ3から動力が伝達される。
画像形成装置600は、さらに、用紙カセット606、ホッピングローラ607、ピンチローラ608,609、搬送ローラ610、レジストローラ611、及び転写ローラ612を備える。
用紙カセット606は、画像形成装置600の下部に備えられ、紙などの記録媒体605を堆積した状態で収納する。ホッピングローラ607は、用紙カセット606の上方に備えられ、記録媒体605を1枚ずつ分離させて搬送する。
ピンチローラ608,609、搬送ローラ610、及びレジストローラ611は、記録媒体605の搬送方向における、ホッピングローラ607の下流側に備えられ、ピンチローラ608と搬送ローラ610とが記録媒体605を挟持して記録媒体605を搬送し、ピンチローラ609とレジストローラ611とが記録媒体605を挟持して記録媒体605の斜行を修正し、記録媒体605をプロセスユニット601に向けて搬送する。
ホッピングローラ607、搬送ローラ610、及びレジストローラ611は、画像形成装置600内に備えられた駆動源からギア等を経由して動力が伝達され、回転することができる。
転写ローラ612は、半導電性のゴム等によって形成され、感光体ドラム601aに対向する位置に備えられている。転写ローラ612は、図1に示される転写器28に含まれる。転写ローラ612には、図1に示される転写用高圧電源26により、感光体ドラム601a上に付着されたトナーによる顕像(現像剤像)を記録媒体605に転写するための電位(バイアス)が印加される。感光体ドラム601aの表面電位と転写ローラ612の表面電位との電位差により、感光体ドラム601a上の現像剤像が記録媒体605に転写される。
画像形成装置600は、さらに、定着装置613、排出ローラ614,615、ピンチローラ616,617、及び記録媒体スタッカ部618を備える。
定着装置613は、図1に示される定着器22に含まれる。定着装置613は、加熱ローラとバックアップローラとを有し、記録媒体605上に転写されたトナーを加圧・加熱することによって定着する。排出ローラ614,615は、定着装置613から排出された記録媒体605を、排出部のピンチローラ616,617と共に挟持し、記録媒体スタッカ部618に搬送する。
定着装置613、排出ローラ614,615、及びピンチローラ616,617は、画像形成装置600内の駆動源からギアなどを経由して動力が伝達され、回転することができる。例えば、排出ローラ614,615、及びピンチローラ616,617は、図1に示される用紙送りモータ5から動力が伝達される。
〈画像形成装置600の動作〉
次に、画像形成装置600の動作について説明する。
上位装置としての外部コンピュータ等から印刷指示が画像形成装置600に入力されると、図1に示される印刷制御部1は、ドライバ4を介して用紙送りモータ5を駆動させる。また、印刷制御部1は、画像形成装置600に入力された印刷指示に含まれる印刷データ信号HD−DATA1等をLEDヘッド19に送信する。
用紙送りモータ5を駆動されると、ホッピングローラ607が回転し、用紙カセット606に堆積した状態で収納されている記録媒体605が、上から1枚ずつ分離されて搬送される。記録媒体605は、搬送ローラ610、レジストローラ611、及びピンチローラ608,609によって挟持されて、プロセスユニット601の感光体ドラム601aと転写ローラ612の間に搬送される。その後、記録媒体605は、感光体ドラム601a及び転写ローラ612に挟持され、記録面にトナー像が転写されると同時に感光体ドラム601aの回転によって搬送される。
同様にして、記録媒体605は、順次プロセスユニット602〜604を通過し、プロセスユニット602〜604において形成された各色のトナー像が、記録媒体605の記録面に順次転写され、重ね合わされる。
記録媒体605の記録面上に各色のトナー像が重ね合わされた後、定着装置613によってトナー像が定着された記録媒体605は、排出ローラ614,615及びピンチローラ616,617に挟持されて、画像形成装置600の外部の記録媒体スタッカ部618に排出される。以上の過程を経て、カラー画像が記録媒体605上に形成される。
実施の形態3に係る画像形成装置によれば、実施の形態1及び2で説明したLEDヘッド19を用いるので、スペース効率及び光取り出し効率に優れた高品質の画像形成装置(例えば、プリンタ、コピー機など)を提供することができる。なお、実施の形態1及び2で説明したLEDヘッド19を用いることにより、フルカラーの画像形成装置に限らず、モノクロ又はマルチカラーの画像形成装置においても効果が得られるが、特に、複数の露光装置を必要とするフルカラーの画像形成装置において一層大きな効果が得られる。
以上に説明した各実施の形態では、LED素子を光源として用いたLEDヘッド19について説明したが、発光ヘッドは、これに限らず、他の被駆動素子、例えば、有機EL素子又は発熱抵抗体へ電圧印加制御を行うことにより発光させる構成としてもよい。この場合、例えば、有機EL素子のアレイで構成される有機ELヘッドを備えたプリンタ、又は発熱抵抗体の列で構成されるサーマルプリンタにおいて利用することができる。
実施の形態1及び2で説明した発光素子駆動システムは、例えば、列状又はマトリクス状に配列された表示素子の駆動にも適用可能である。実施の形態1及び2で説明した発光素子駆動システムは、2端子構造を備えたLED等の被駆動素子に限らず、3端子構造を備えた発光サイリスタの他、2つのゲート端子(第1及び第2のゲート端子)を備えた4端子サイリスタSCS((Silicon)SemiConductor Controled Switch)を駆動する場合にも適用可能である。
また、以上に説明した各実施の形態の趣旨及び技術思想から明らかなように、実施の形態に係る発光素子駆動システムは、同一構成要素の連続的配置からなる被駆動素子列の駆動回路に限定されるものではなく、複数又は単数の駆動端子出力を備えた任意形状のICチップに広く応用することが可能である。